[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年1月28日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●【大手企業との取引ルートを確保】段ボールを中心とした企画・製造メーカー

[業種:製造業/所在地:九州地方]

●大手ゼネコンと強固な取引関係を有する工事業者。財務盤石、無借金経営。

[業種:職別工事業(設備工事業を除く)/所在地:関東地方]

●若手建築士を擁し、高いデザイン力を有する設計事務所

[業種:建築設計事務所/所在地:西日本]

 

 

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案件No.SS005109
【大手企業との取引ルートを確保】段ボールを中心とした企画・製造メーカー

 

(業種分類)製造業

(業種)製造業

(所在地)九州・沖縄

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)段ボールの企画・製造

 

〔特徴・強み〕

◇段ボールを中心とした包材の企画・製造を行う。
◇大手企業との取引が多く、高い信頼を獲得。
◇作業を行いやすい工場内レイアウトで、顧客ニーズに合わせた製品製造が可能。

 

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案件No.SS005108
大手ゼネコンと強固な取引関係を有する工事業者。財務盤石、無借金経営。

 

(業種分類)建設・土木

(業種)職別工事業(設備工事業を除く)

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)大手ゼネコンとの取引主体 専属の下請けとして優秀な職人を有する

 

〔特徴・強み〕

◇自己資本比率、流動比率共に高く無借金
◇業歴長く、既往の実績が新規の受注に繋がっている
◇時価純資産額程度の金額での譲渡を希望

 

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案件No.SS003904
若手建築士を擁し、高いデザイン力を有する設計事務所

 

(業種分類)建設・土木

(業種)建築設計事務所

(所在地)西日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)設計事務所

 

〔特徴・強み〕

◇若手の1級、2級建築士が多数在籍
◇設計した建物の表彰を受ける等高い評価を得ている
◇リノベーションの企画設計は設計事務としては競合がない
◇コミュニケーションを重視した特徴のあるオフィスを有する

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「個人事業者が事業を廃止した場合の事業用資産に係る課税関係」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】個人事業者の事業承継 ~消費税の仕入税額控除の適用について~

■【Q&A】事業譲渡により移転を受けた資産等に係る調整勘定

 

 

 


[質問]

鮮魚店を営む個人事業者が本年11月末日に廃業します。この個人事業者は簡易課税制度を適用しています。

 

廃業後は、事業に供していた店舗建物は、個人において車庫として使用する予定です。

 

この場合、その店舗建物を家事のために消費し、又は使用した時とは、廃業する本年11月末日をいうのでしょうか。また、その譲渡価額は簿価をいうものと考えてよいでしょうか。

 

 

[回答]

事例の場合、個人事業者が事業を廃止して棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたもの(事業用資産)を家事のために消費し、又は使用した場合には、その消費又は使用は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされ(消法4⑤一)、その消費又は使用の時におけるその消費し、又は使用した事業用資産の価額に相当する金額をその対価の額とみなして課税の対象とすることとされています(消法28③一)。

 

そして、事例の場合、個人事業者が事業を廃止したときにおけるその事業用資産の消費又は使用の時とは、その事業の廃止に伴い事業用資産に該当しなくなった時点をいうものと考えます。

 

次に、事例の場合、その消費し、又は使用した事業用資産の価額に相当する金額とは、その事業用資産の簿価等には関係なく、合理的な方法により算出したその事業用資産に係る時価をいうものと考えます。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2018年11月6日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

障害者に関する所得税・相続税・贈与税の特例措置

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田 房枝/税理士)

 

1 はじめに


障害には、大きく分けると身体障害、知的障害、又は精神障害の3つがあります。また、認知症と診断されると、身体に障害がない場合は「精神障害者保健福祉手帳」の、身体の障害が大きい場合は「身体障害者手帳」の申請をすることができる場合があります。認知症の方がこれらの手帳を持っていたり、市区町村長等から一定の認定を受けていたりすれば、障害者として、税務上の特例措置の適用を受けることができます。

本号では、障害者に関する所得税、相続税及び贈与税の特例措置について、その概要をご紹介します。

 

 

2 所得税法・相続税法上の障害者・特別障害者とは


所得税法・相続税法上、障害者とは精神又は身体に障害がある一定の者をいい、特別障害者とは障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある一定の者をいいます。表にまとめると次のとおりです。

 

※1 成年被後見人はこれに該当します。

 

 

3 所得税


(1) 障害者控除

①本人が障害者の場合
居住者である障害者本人の所得税の計算上、所得金額から27万円(特別障害者の場合は40万円)を控除します。

 

②扶養親族等に障害者がいる場合
居住者である障害者の同一生計の配偶者、又は居住者である障害者を扶養している親族の所得税の計算上、所得金額から障害者1人につき27万円(特別障害者の場合には40万円、納税者等との同居を常況とする場合は75万円)を控除します。

 

(2) 心身障害者扶養共済制度の掛金・給付金の取扱い

地方公共団体が条例で実施する心身障害者扶養共済制度の掛金は、所得金額から控除します。また、これに基づき支給される給付金に所得税はかかりません。

 

(3) 少額貯蓄の利子の非課税

身体障害者手帳の交付を受けている者、遺族基礎年金や寡婦年金等を受けている妻、児童扶養手当を受けている児童の母等が受け取る預貯金等の利子等については、一定の手続を要件に貯蓄額350万円までは所得税がかかりません。

 

 

4 相続税(障害者控除)


障害者である相続人が85歳未満である場合には、その者の相続税額から、次の金額を控除します。

 

(1)一般障害者(特別障害者以外の障害者)の場合

10万円×(85歳-相続開始時の年齢)(1年未満切上)

 

(2)特別障害者の場合

20万円×(85歳-相続開始時の年齢)(1年未満切上)

 

 

5 贈与税(特定贈与信託の非課税)


(1) 概要

一定の信託契約に基づき特定障害者を受益者とする財産の信託があった場合には、その信託受益権の価額のうち、一定額までは贈与税がかかりません。

 

(2) 特定障害者の範囲と非課税限度額

 

 

※2 身体障害者は対象外です。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/01/27)より転載

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

第2回:「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い

~会計監査とは? デューデリジェンスとは?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:デューデリジェンスとは?-各種DDと中小企業特有の論点―

▷関連記事:財務デューデリジェンス(財務DD)の費用の相場とは?

▷関連記事:「法務デューデリジェンス(法務DD)」とは?

 

「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い


デューデリジェンスとよく比較される調査行為に会計監査があります。デューデリジェンスと会計監査は、会計情報等を調査するという面では類似する部分もありますが、両者の目的は基本的には全く異なります。

 

 

会計監査は企業が作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる会計基準に従って適正に作成されているかを調査し、監査意見を出すことを目的としています。これに対して、デューデリジェンスとは、ある特定の者や企業が関心を持っている企業について、その特定の目的を満たすための範囲と深度で調査が実施されます。

 

その特定の目的で主なものは、M&Aの買手企業が売手企業の買収調査により、M&Aを実施すべきか、実施する場合の金額その他の条件面、買収後の統合に必要な情報等を取得することを目的とします。

 

他にも、金融機関からの借入の返済が滞る等して、金融機関からの金融支援が必要な場合に、事業再生計画を策定しますが、その前段として実態を把握する目的でデューデリジェンスを実施します。

 

 

また、会計監査は、その手続きや基準が法律や業界の規律によって規定されていますが、デューデリジェンスは、特定の者(M&Aの場合は買手企業、事業再生の場合は金融機関等)のニーズに応えるために行われる私的な調査であるため、実施方法や基準等は法律等では定められておりません。

 

さらに、会計監査はどのような手続きを実施して、どのような結果が得られ、結論に至ったのかを詳細に記述する必要があります。それらの監査証拠の積み重ねにより監査意見を形成し、監査報告書を監査対象企業に提出します。監査報告書はひな形が存在し、基本的にはひな形通りに記述します。

 

一方でデューデリジェンスでは、特定の者や企業に対してデューデリジェンス報告書を作成しますが、その報告書にどのような内容が記述されるかは、報告書の受け手、すなわちデューデリジェンスの依頼人の目的・ニーズによって異なります。

 

M&Aにおけるデューデリジェンスであれば、買収するにあたり必要な情報(買収価格に影響を与える事項、契約書に記載すべき事項、買収後の統合に必要な情報等)が記載されるべきですし、事業再生であれば、窮境に陥った原因やその除去可能性、金融機関目線での財務情報等が記載されるべきでしょう。

 

 

 

以上のように、会計監査とデューデリジェンスは、法令に定めれているものと私的に実施されるものであることから、実施すべき手続きや報告書への記載事項等が大きく異なります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

②「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い

~会計監査とは? デューデリジェンスとは?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い


デューデリジェンスとよく比較される調査行為に会計監査があります。デューデリジェンスと会計監査は、会計情報等を調査するという面では類似する部分もありますが、両者の目的は基本的には全く異なります。

 

 

会計監査は企業が作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる会計基準に従って適正に作成されているかを調査し、監査意見を出すことを目的としています。これに対して、デューデリジェンスとは、ある特定の者や企業が関心を持っている企業について、その特定の目的を満たすための範囲と深度で調査が実施されます。

 

その特定の目的で主なものは、M&Aの買手企業が売手企業の買収調査により、M&Aを実施すべきか、実施する場合の金額その他の条件面、買収後の統合に必要な情報等を取得することを目的とします。

 

他にも、金融機関からの借入の返済が滞る等して、金融機関からの金融支援が必要な場合に、事業再生計画を策定しますが、その前段として実態を把握する目的でデューデリジェンスを実施します。

 

 

また、会計監査は、その手続きや基準が法律や業界の規律によって規定されていますが、デューデリジェンスは、特定の者(M&Aの場合は買手企業、事業再生の場合は金融機関等)のニーズに応えるために行われる私的な調査であるため、実施方法や基準等は法律等では定められておりません。

 

さらに、会計監査はどのような手続きを実施して、どのような結果が得られ、結論に至ったのかを詳細に記述する必要があります。それらの監査証拠の積み重ねにより監査意見を形成し、監査報告書を監査対象企業に提出します。監査報告書はひな形が存在し、基本的にはひな形通りに記述します。

 

一方でデューデリジェンスでは、特定の者や企業に対してデューデリジェンス報告書を作成しますが、その報告書にどのような内容が記述されるかは、報告書の受け手、すなわちデューデリジェンスの依頼人の目的・ニーズによって異なります。

 

M&Aにおけるデューデリジェンスであれば、買収するにあたり必要な情報(買収価格に影響を与える事項、契約書に記載すべき事項、買収後の統合に必要な情報等)が記載されるべきですし、事業再生であれば、窮境に陥った原因やその除去可能性、金融機関目線での財務情報等が記載されるべきでしょう。

 

 

 

以上のように、会計監査とデューデリジェンスは、法令に定めれているものと私的に実施されるものであることから、実施すべき手続きや報告書への記載事項等が大きく異なります。

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年1月21日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●住居関連のインターネット販売企業。毎期、黒字を計上。

[業種:EC事業/所在地:関東地方]

●CASE・MaaS・5G等の製品開発において技術力を有する基板回路等設計事業者

[業種:電子部品・デバイス・電子回路製造業/所在地:中部地方]

●関東地方の主要駅近隣でゲストハウスウェディング式場を運営。土地建物は賃貸を希望。

[業種:結婚式場業/所在地:関東地方]

 

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案件No.SS005463
住居関連のインターネット販売企業。毎期、黒字を計上。

 

(業種分類)小売業

(業種)EC事業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡事業概要住居関連のインターネット販売企業

 

〔特徴・強み〕

◇当社と同様の商材を取り扱う同業者は少なく、同業界では売上規模で上位に位置する。
◇業歴も長い。

 

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案件No.SS005269
CASE・MaaS・5G等の製品開発において技術力を有する基板回路等設計事業者

 

(業種分類)電子部品

(業種)電子部品・デバイス・電子回路製造業

(所在地)中部地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)基板回路の設計・解析・シミュレーション事業

 

〔特徴・強み〕

◇基板回路の設計やシミュレーション技術に強みがあり、大手自動車メーカーや電子機器メーカーの製品開発において、開発期間の短縮化といった効果を発揮することが可能

 

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案件No.SS004917
関東地方の主要駅近隣でゲストハウスウェディング式場を運営。土地建物は賃貸を希望。

 

(業種分類)その他

(業種)結婚式場業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)事業譲渡

(事業概要)ゲストハウスウェディング式場を運営

 

〔特徴・強み〕

◇当地における知名度は高く、年間約100件の結婚式を受託。
◇口コミサイトの評判も高く人気の結婚式場。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[経営企画部門、経理部門のためのPPA誌上セミナー]

【第1回】PPA(Purchase Price Allocation)の基本的な考え方とは?

 

〈解説〉

株式会社Stand by C(角野 崇雄/公認会計士・税理士)

 

 

▷第2回:PPAのプロセスと関係者の役割とは?

▷第3回:PPAにおける無形資産として何を認識すべきか?

▷第4回:PPAにおける無形資産の認識プロセスとは?

 

 

1.はじめに

今回からおおよそ12回にわたって取得原価の配分(Purchase Price Allocation)に伴う無形資産評価(以下,便宜的に「PPA」という。)について解説をしていきます。PPAが2010年4月より日本の会計基準においても要求されるようになってから約10年が経過しました。

 

また,PPAが必須とされる国際会計基準(以下,「IFRS」という。)を採用する企業も増加し,日本でもPPAの実務が定着しつつありますが,まだまだ完全に定着しているとは言えない状況にあります。更に,昨今の会計不正が起きている現状において,監査を取り巻く環境も変化し,それに応じて監査人の対応も厳しくなり,PPAも重要な監査項目になってきているのではないでしょうか。

 

このような状況を踏まえて,上場会社の経営企画担当者・経理担当者が読まれることを想定して,PPAの基本的な考え方から,企業業績に与える影響,プロジェクトの進め方,監査対応などを網羅的に解説します。

 

 

2.過去から現在の状況

PPAの実務は,主に米国において確立されたものであり,長い間,多くの日本企業にとってPPAはなじみのないものでした。企業結合会計が日本に導入された後も,しばらくの間はM&A時のPPAにかかる無形資産の計上は強制ではなかったため,資産・負債の差額は,全額のれんとして一括計上処理されることが一般的であったと思われます。

 

ただし,2010年4月の企業結合会計基準の改正に伴い,日本基準においても,原則としてPPAにかかる無形資産の計上が求められることとなりました。

 

現状,経理・監査の現場においても,IRに対する企業の意識の高まりや監査の厳格化等を背景に,M&AにおけるPPAにかかる無形資産評価の要請が高まっており,筆者の個人的感覚ではPPAへの対応が必要となるケースが増加しています。

 

 

3.PPAの課題

日本の企業では,PPAにかかる無形資産評価についての理解がまだまだ不十分な状況にあります。専門書もネット検索でも,PPAについて得られる知識・情報は豊富とは言えず,買収後の会計処理及び開示に関して,実務に即した解説をしている媒体が限られています。多くの企業にとって,M&Aを検討・実行する機会が増えた昨今,当事会社においても,PPAプロセスを円滑に進めるためにも,PPAにかかる手続や無形資産評価実務,監査プロセスに対する理解を深めることが必要となってきています。

 

今後,経理担当者の方にとっても重要性が高まる可能性が高いPPAの概略や無形資産評価の実務について,本稿をきっかけにご理解頂ければ幸いです。

 

 

4.PPAのイメージ

本稿ではまず,PPAのイメージを解説します。図表1に示す通り,従来,日本基準においては,買収価額と時価純資産の差額(以下,「広義ののれん」という。)を20年以内の一定の年数にて償却していました。

それがPPAの導入により,広義ののれんに含まれる無形資産が特定され,広義ののれんから特定された無形資産を差引いた残額(以下,「狭義ののれん」という。)が,いわゆるのれんとして扱われるものとなりました。

 

つまり,従来は買収価額と純資産の差額が一括してのれんとして計上されていたものが,PPAの導入により,のれんのうち,商標権,特許権,顧客関係などに特定された無形資産が計上され,それらを配分後の残額をのれんとして取扱うこととなりました。

 

 

 

【図表1】PPAの流れ

 

 

 

 

詳細は,今後の連載を通じて説明していきますが,無形資産として計上される無形資産にはどのようなものがあるのでしょうか。一般的には図表2で示すような項目を無形資産として認識することとなります。

 

 

 

【図表2】無形資産の例示

 

 

 

 

5.数値例を用いた説明

図表1で示した事柄について数値例を用いて説明します。

X社(日本基準を採用)がY社のすべての株式を10,000百万円で買収して子会社とし,買収時のY社の純資産は7,000百万円でした。PPAを実施する前は,買収価額10,000百万円と純資産7,000百万円の差額3,000百万円が広義ののれんとなります。

 

PPAを実施し,無形資産1,500百万円が計上されると,狭義ののれん1,500百万円は広義ののれん3,000百万円から無形資産1,500百万円を差引くことで計算されます。

 

しかしながら,PPAの手続きはここで終了ではなく,計上された無形資産は,連結上の一時差異として繰延税金負債が計上されます。

本例では,法定実効税率を30%として,1,500百万円×30%の450百万円が繰延税金負債として計上されます。

 

その結果として,繰延税金負債分だけ狭義ののれんが増加することとなることから,1,500百万円+450百万円=1,950百万円が最終的な狭義ののれんとなります。

 

 

 

【図表3】PPA実施によるB/Sの動き

 

 

 

 

Y社をX社の連結財務諸表へ取込む時の仕訳を図表3に沿って作成すると下記のようになります。

 

 

 

 

 

 

図表4がPPAの実施の有無による計上される無形資産の金額の差異を比較したものです。

PPAを実施しない場合,計上されるのはのれん3,000百万円であるのに対して,PPAを実施した場合の広義ののれん相当額は,狭義ののれん1,950百万円と無形資産1,500百万円の合計3,450百万円となります。

両者の差異は,3,450百万円と3,000百万円の差額450百万円ですが,これは無形資産に対する繰延税金負債分に該当し,その分だけのれんが増加したこととなります。

 

このため,無形資産を計上すると,その税効果分だけのれんが増加することとなるため,日本基準を採用している場合,当初ののれんにかかる償却費よりも償却額が増加することとなる点に留意が必要です。

 

 

 

【図表4】 PPA実施の有無による無形資産計上額の差異

(単位:百万円)

 

 

 

6.PPAが業績に与える影響

先ほどPPA実施の有無により計上される無形資産の金額の差異について説明しましたが,ここではP/Lに与える影響について見ていきます。のれんと無形資産では,ケースバイケースではありますが,一般的にはのれんの耐用年数が無形資産の耐用年数より長くなるケースが多いです。つまり,無形資産の耐用年数はのれんの耐用年数より短くなるケースが多いと言えます。

 

仮に,無形資産の償却年数がのれんの償却年数より短いとすると,無形資産の償却が終わるまでの単年度で見た場合,PPAを実施すると毎期の償却負担額は多くなることとなります。図表3の例で,無形資産の耐用年数を5年,のれんの耐用年数を10年とした場合,PPAを実施した場合の方がPPA未実施の場合より,償却費が195百万円多くなっています。これは,①と②の影響によるものです。

 

①無形資産に対する繰延税金負債の計上によるのれんの増加による影響

無形資産1,500百万円×30%÷10年=45百万円

 

②無形資産とのれんの耐用年数の差異による影響

無形資産1,500百万円×(1/5‐1/10)=150百万円

 

 

 

【図表5】PPAの実施が償却費に与える影響

(単位:百万円)

 

 

 

7.本連載で説明していく内容

PPAのイメージを図表と簡単な数値例で説明しましたが,PPAは広義ののれんを無形資産と狭義ののれんに切り分ける作業だけに留まらず,企業業績にも影響を与えることがご理解頂けたのではないでしょうか。

 

例えば,企業買収前の業績シミュレーションを,広義ののれんを10年で償却すると仮定して実施し,買収後にPPAを実施したところ,当初の想定と異なる結果になってしまうことも起こり得ます。このようなことを理解した上で買収を進める場合と,理解しないで進める場合とでは,買収後のプロジェクト関係者の利害調整に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

また,PPAの結果は会計監査人による監査の対象となることから,監査に要する時間を考慮したスケジューリング及び監査に耐えうるPPAのロジック付け等が必要となってきます。

 

以上のことを踏まえて,本連載では,経営企画部門,経理部門がPPAプロジェクトを進めていく上で,必要な知識及び留意点を一つずつ解説していくことを予定しています。なお,現時点で想定している記載内容は下記の通りです。

 

【主な内容】

・PPAのプロセスと登場人物

・無形資産の認識識別基準

・PPAで識別する無形資産

・無形資産の評価手法

・経済的耐用年数

・PPAを実施する上での実務上のポイント

 

 

 

 

 

—本連載(全12回)—

第1回 PPA(Purchase Price Allocation)の基本的な考え方とは?

第2回 PPAのプロセスと関係者の役割とは?

第3回 PPAにおける無形資産として何を認識すべきか?
第4回 PPAにおける無形資産の認識プロセスとは?
第5回 PPAにおける無形資産の測定プロセスとは?
第6回 PPAにおける無形資産の評価手法とは?-超過収益法、ロイヤルティ免除法ー
第7回 WACC、IRR、WARAと各資産の割引率の設定とは?
第8回 PPAにおいて認識される無形資産の経済的対応年数とは?
第9回 PPAで使用する事業計画とは?
第10回 PPAの特殊論点とは?ー節税効果と人的資産ー
第11回 PPAプロセスの具体例とは?-設例を交えて解説ー
第12回 PPAを実施しても無形資産が計上されないケースとは?

 

 

 

 

 

 

 

 

[小規模M&A(マイクロM&A)を成功させるための「M&A戦略」誌上セミナー]

会社や事業を売る準備

~売るために準備しておく、財務上、労務上、法務上のポイントとは?~

 

〈解説〉

公認会計士 大原達朗

 

 

 

 


今回は“会社や事業を売るための準備”というテーマです。”財務””労務””法務””強み弱みの整理”という順番に説明いたします。

 

 

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〈財務〉


財務というよりはビジネスの話になります。そもそも、”儲かっているのか”という点が大きいポイントです。もちろん、「赤字の会社が絶対に売れない」ということはないのですが、確率論で言うと、儲かっている会社の方が圧倒的に売れる可能性が高いです。

 

 

したがって、儲かっているということを前提にした上で、そもそも“事業別とか毎月ごと、月次決算の数値が、きちんと作成できていて、資料を準備できる”かを、確認していただきたいと思います。

 

 

経営者の頭の中に、この企業の売上はいくらで、費用はいくらなのか、という情報は入ってると思いますが、買う方からすると経営者の頭の中を覗くわけにはいきませんので、きちんと資料として残っていて、最終的にはデュー・ディリジェンスで、過去の数値が、本当に正しかったのかどうかチェックしますので、「書類が残っています」「具体的には入出金の事実を確認できる通帳とか、銀行のデータがあります」という形になってないと、結局、その交渉はどこかでつまってしまいます。

 

 

「情報がないからやっぱり買うのをやめる」、あるいは「目をつぶって買うから、その代わり買収金額は大幅に割引をしてくれ」ということになりかねません。きちんと評価をして高く売るという意味で、財務の情報をきちんと整理しておく必要があります。 記帳や会計処理を会計事務所に委託している場合に、こういった月次とか事業別の記録がきちんとされていない状況が思ったよりもたくさんあります。きちんとした会計事務所であれば、月次の数値はきちんと集計されているでしょうが、意外と事業別の業績をきちんと整理している企業は少ないのが実情です。

 

 

一事業ごとの損益は把握しているけれども、一事業ごとにどんな資産があるのか”という点を把握していることは少ないのです。会社をまとめて売却するときにはあまり問題にはならないですが、会社の一部、一事業を売却しようとする際には問題になりますので注意が必要です。

 

 

結果的にこうした情報を整理することによって、ウチのビジネスは順調で将来も有望である、ということを買い手に伝えることになるので、財務というよりもビジネスそのものを第三者にわかりやすい形で準備をしておく必要があるということです。

 

 

 

 

 

〈人〉


次に人です。 “キーパーソンは存在するのでしょうか?”  “事業を回す責任者は存在するのでしょうか?”

 

 

オーナーがいないと事業が回らない場合には、基本的には売れません。したがって、将来の売却を考える場合には、オーナーが抜けても商売が回るようにしておかないといけません。あるいは、キーパーソンがいないということであれば、売却後も1年間、ないし2年間程度は、会社に残り、後継者候補を育成して、引き継ぎをすることが必要になります。このようなパターンのM&Aもありますので、キーパーソンがいないからといって、「絶対に譲渡ができない」と悲観的に考えないでいただきたいと思います。

 

 

基本的に、キーパーソンがいてオーナーは抜けてもなんとか回る番頭というか店長クラスの人はいるんだということを前提に続きの話をすると、”その方が仕事を続けてくれること”が、重要な条件です。 経営人材がどこの会社でも不足していますので、譲渡後も社長として残ってほしいという要望も数多くあります。むしろ、それなりの規模であれば、こうしたパターンの方が多いです。

 

 

彼らは、M&Aを人不足、経営人材不足をカバーするための手段としても考えているのです。その場合に、売り手にその覚悟があるのか、これまでオーナーの判断で、ある意味好き勝手やってきた経営が、そうではなくなります。一方で責任は軽くなります。その覚悟があるのか、という点もあらかじめよく考えておいたほうがよいでしょう。

 

 

その覚悟がない場合には、大企業の傘下に入り、経営を続けるという選択肢はない、とあらかじめ、買い手に明示しておくべきです。

 

 

 

 

 

〈労務〉


今の時代は、労務管理について非常に厳しい世の中になっています。“例えば社会保険の未払がある”  “あるいはそもそも社会保険に加入していない”ような場合です。 社会保険に加入していない状態で、例えば2,000万円の利益がでているとしましょう。買収後、社会保険に加入すると、利益は減ります。買い手としては、当然、その減った利益を基準に、買収金額を決めますので、売り手と買い手の売買金額の目線に差がでてきてしまいます。

 

 

したがって、売却を考えるのであれば、事前に社会保険にきちんと加入しておくということも重要な準備になります。 社会保険料の未納があるような場合には、買い手に迷惑がかかりますし、通常、売却できません。

 

 

このような状況がある場合には、法的整理の一環で事業譲渡をする場合を除き、事前に整理をしておくことが必要です。 労務管理は、今、売買時に非常に重視されるポイントです。

 

 

 

 

 

〈法務〉


少なくとも、“契約書が整理、保管されていること”は基本的なポイントです。 次に“会社法、各種業法によって要請されている書類が適正に整理されている”かどうかも買い手が気にするポイントです。

 

 

これがないと、免許の取り消しやペナルティーの可能性もあるわけですから、買い手としては慎重にならざるを得ません。 長年、経営を続けてきた方が経営を続けるのであれば大きな問題にならないようなことについて、M&Aをするということは、これまで経営に関与していない第三者がきて、あらたに経営を始めるということです。

 

 

彼らにわかりやすい書類、体制を作っておく必要がどうしてもでてきます。

 

 

 

 

 

〈強みと弱みの明示〉


最後にとても重要な”強みと弱みの明示”です。 皆さんの会社の強みと弱みはどこでしょうか。

 

 

強みについては、じっくり考えれば1つ2つは出てくると思います。 一方で弱みはどうでしょうか。弱いところを明らかにするだけではあまり意味がありませんが、弱みを補完できる先はどこなのか、というところまで考えると、どんな会社に買ってもらうがベストなのか、という点が明確になってきます。

 

 

買い手からすると、”お金さえ出せば儲かるという事業”があれば最高です。そのお金を生産設備、販促なのか、個別案件によって異なりますが、その穴を埋めれば、売上、利益があがっていく、そんなイメージがはっきりできると買い手は最高です。 今、厳しいのは人さえいれば、というパターンです。それは買い手も同じ状況だからです。

 

 

 

 


【動画解説を見る(外部サイト)】

[解説ニュース]

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予免除制度活用について

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(小林 良治/税理士)

 

1.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度


令和2年度税制改正大綱により、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予免除制度(以下、「本制度」と言います。)の適用期限が新たに3年間延長される見通しとなりました。今回は本制度の概要及びその活用についてお伝えします。

 

(1)本制度概要

相続人が出資持分あり医療法人の出資持分を相続等により取得した場合、その法人が出資持分なし医療法人への移行計画の認定を受けた医療法人であるときは、移行計画の期間満了まで相続税の納税が猶予され、持分を放棄した場合は、一定要件を満たすことにより猶予税額が最終的に免除されます(租法70の7の12)。また、出資者の持分放棄により、他の出資者持分が相対的に増加することで、贈与を受けたものとみなし他の出資者に贈与税が課される場合(全出資者が持分放棄した場合は医療法人に贈与税が課されます)も同様に移行計画の満了まで納税が猶予され、一定要件を満たすことで最終的に免除されます(租法70の7の9)。

 

(2)移行計画の認定申請、移行期限等

本制度の適用を受ける場合、まず移行計画提出等の申請手続き等で一定要件を満たして厚生労働省より認定を受け、認定後3年以内に出資持分なし医療法人に移行し、移行後6年間は厚生労働省に運営状況の報告を行うことで継続して認定要件を満たす必要があります。今回税制改正によりこの認定制度が令和5年9月30日まで延長される見込みです。

 

(3)本制度創設時

そもそも本制度は、出資持分あり医療法人の出資持分をなくすことで出資持分にかかる相続時等の税負担・出資者からの払戻請求額の負担軽減を図り、医業経営の安定化を目指すことを目的として平成26年に創設されました。しかし、当初は計画通りに出資持分なし医療法人に移行した場合でも移行時の税負担が免除されるケースは以下の3パターンであり極めて限定的でした。

 

①社会医療法人への移行
②特定医療法人への移行
③一定の非課税要件(相令33条3項)を満たす出資持分なし医療法人への移行

 

これらはいずれも公益性の担保された医療法人への移行を前提とするものであり、①~③への移行以外の場合は移行時に医療法人を個人とみなして贈与税を支払うこととされました。(相法66④)

創設時の本制度活用の主なメリットは、課税時期を最大猶予期間である3年間先送りできること等、当面の納税負担に関することでした。

 

 

2.平成29年度税制改正後


(1)認定要件の追加

平成29年度税制改正では運営に関する要件が追加され、新たに3年間延長されました。追加された主な認定要件は

 

①法人関係者に利益供与しないこと
②役員報酬について不当に高額にならないように定めていること
③社会保険診療収入に係る収入が全収入の80%超となっていること 等

 

となっており従来の認定要件が強化されました(ただし、非同族要件等は含まれておりません)。認定後3年以内の移行期間中の猶予の取り扱いは変わりませんが、従来と異なり移行時の贈与税負担は生じないこととなり(租法70の7の14)、前記1.(2)により認定要件を移行後6年間維持すること(認定取消時のみ医療法人に贈与税課税)で相続税・贈与税免除の可能性が広がりました。

 

(2)本制度活用の可能性

本制度が延長されてもなお出資持分なし医療法人への移行については慎重な検討が必要です。例えば出資持分なし医療法人の解散時残余財産は国等に帰属し出資払戻額の請求はできません。本制度の活用を検討すべきと考えられるのは、出資持分評価額が高く、現状のままだと承継時に多額の税負担が見込まれる場合や出資者間相互の関係が悪く、将来の払戻請求リスクを排除しておきたい場合等が考えられます。本制度選択の検討は円滑な承継を行うため有用であるのかそのきっかけを与えるものと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/01/20)より転載

[M&Aニュース](2020年1月6日〜1月17日)

◇東芝機械、旧村上ファンド系企業から「TOB」通知を受ける、◇HOYA、東芝傘下のニューフレアテクノロジーTOBを中止、◇JKホールディングス<9896>、建築資材販売のティエフウッドを子会社化、◇前澤給装工業<6485>、住商メタレックスから温水マットなどリビング・ソリューション事業を取得、◇ゼリア新薬工業<4559>、日水製薬傘下の日水製薬医薬品販売を子会社化、◇GFA<8783>、東京・渋谷でナイトクラブ運営のCAMELOTを子会社化、◇セブン&アイ・ホールディングス<3382>、米オクラホマ州でコンビニ102店経営のBrown-Thompson Gereralを子会社化 ほか

 

 

 

 

 

 東芝機械、旧村上ファンド系企業から「TOB」通知を受ける

東芝機械は17日、旧村上ファンド系のオフィスサポート(東京都渋谷区)からTOB(株式公開買い付け)を実施するとの通知を受けたと発表した。通知は、オフィスサポートが20日にTOB計画を公表し、21日から東芝機械株の買い付けを始める内容。オフィスサポートとその共同保有者である野村絢氏、エスグラントコーポレーション(東京都渋谷区)の3者は議決権ベースで東芝機械株の11.49%を保有するという。

東芝機械株の1株あたりの買付価格、買付予定数、買付期間などの詳細は20日に明らかになる見通し。TOB公表前日にあたる17日の東芝機械株の終値は前日比25円高の3115円。

東芝機械の発表によると、オフィスサポート側から1月10日付書面でTOBの予告があり、その後、13日にTOBの公表日と開始日についての通知があり、さらに16日に公表日を20日、開始日を21日にそれぞれ1日早めるとの通知があった。

東芝機械はオフィスサポート側の対応について、実質的な協議を行うことなくTOBが準備され、その諸条件について情報共有がなされておらず、TOB後の経営方針についても一切説明がない、などとしている。

東芝機械は1938年に芝浦製作所(現東芝)の出資で「芝浦工作機械」として発足し、1961年に現社名になった。今では東芝の持ち株比率は約2%まで低下。東芝との資本

HOYA、東芝傘下のニューフレアテクノロジーTOBを中止

HOYAは17日、東芝傘下の半導体製造装置メーカー、ニューフレアテクノロジー(ジャスダック上場)へのTOB(株式公開買い付け)計画を中止すると発表した。東芝が親子上場の解消を目的に進めてきたニューフレアに対するTOBが成立したのを受けた。

HOYAは昨年12月13日に、ニューフレアに対して完全子会社化を目的にTOBを行う計画を発表した。この時点で、ニューフレアをめぐっては東芝が傘下の東芝デバイス&ストレージ(東京都港区)を通じてTOBを実施中だったが、新たに参戦するHOYAは買付価格として東芝側を1000円上回る1万2900円を提示していた(買付代金は最大1477億円)。ただ、東芝側のTOBが不成立となった場合に、HOYAは2020年4月をめどにTOBを開始する予定としていた。

東芝は東芝デバイス&ストレージを通じてニューフレアの株式52.4%を所有する。東芝は買付予定数の下限を66.67%(所有割合)に設定し、1月16日までに14.27%以上の買い付けを目指していたが、ニューフレア株を16%弱所有する東芝機械が最終的に買い付けに応募したことから、TOB成立が確定した。

HOYAは、東芝および直接的に過半数を保有する東芝デバイス&ストレージに対して、メリットのある代替案としてTOBを提案したとしていた。

JKホールディングス<9896>、建築資材販売のティエフウッドを子会社化

JKホールディングスは、建築資材販売のティエフウッド(埼玉県川口市。売上高7億200万円、営業利益1200万円、純資産9400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループ事業の相乗効果が見込まれると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月31日。

 

前澤給装工業<6485>、住商メタレックスから温水マットなどリビング・ソリューション事業を取得

前澤給装工業は、住商メタリックス(東京都千代田区)から温水マットなど床暖房・住環境部材を取り扱うリビング・ソリューション事業を買収することを決議した。住商メタレックスが同事業を移管するために設立した新会社「前澤リビング・ソリューションズ」(東京都目黒区)の全株式を取得する。取得価額は15億5000万円。取得予定日は2020年3月31日。

前澤給装は住商メタレックスが築いてきた大手ガス会社をはじめ安定した取引基盤を引き継ぎ、住宅設備事業の規模拡大に結び付けたい考えだ。買収する当該事業の直近売上高は62億円。

ゼリア新薬工業<4559>、日水製薬傘下の日水製薬医薬品販売を子会社化

ゼリア新薬工業は、医薬品や健康食品の製造・販売を手がける日水製薬医薬品販売(東京都台東区。売上高26億800万円、営業利益2億1900万円、純資産31億3000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。取得価額は33億円。取得予定日は2020年4月1日。

日水製薬医薬品販売は2016年に日水製薬の全額出資で、OTC医薬品と健康食品の販売会社として発足。2018年には日水製薬から医薬事業も継承し、医薬原料の開発・製造も手がける。

ゼリア新薬は「医療用医薬品事業」とOTC(一般用)医薬品を中心とする「コンシューマーヘルスケア事業」を両輪とする。日水製薬医薬品販売を傘下に取り込み、コンシューマーヘルスケア事業の拡大につなげる。

GFA<8783>、東京・渋谷でナイトクラブ運営のCAMELOTを子会社化

GFAは、東京・JR渋谷駅近くでナイトクラブ「CLUB CAMELOT」を運営するCAMELOT(東京都渋谷区。売上高8億9800万円、営業利益△562万円、純資産△926万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

CAMELOTは2005年設立。「CLUB CAMELOT」は地下1階から地下3階までの3フロアで約1000平方メートルの広さを持つ大型ナイトクラブで、繁盛日には1日あたり約2000人が来場するという。

一般的に地下はその利用方法が限定され、デッドスペース化してしまいがちだが、地上に比べ賃料が安価なことから事業の展開次第では収益性がより増す可能性を持つ。GFAはCAMELOTを傘下に取り込むのを機に、地下フロアの有効活用の提案力向上を目指す。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月28日と5月29日(2段階)。

セブン&アイ・ホールディングス<3382>、米オクラホマ州でコンビニ102店経営のBrown-Thompson Gereralを子会社化

セブン&アイ・ホールディングスは米子会社7-Eleven,Inc.(テキサス州)を通じて、米オクラホマ州でコンビニ事業(108店)を運営するBrown-Thompson Gereral Partnershipとその関連企業の全株式を取得することを決めた。オクラホマ州は7-Elevenが地盤とするテキサス州に隣接し、当該エリアでの相乗効果を図るとしている。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3~5月。

曙ブレーキ、200人の早期退職者を募集

経営再建中の曙ブレーキ工業は16日、200人の早期退職者を募集すると発表した。対象は2020年1月1日時点で①勤続3年以上、満40歳以上の正社員②60歳以上の再雇用契約社員③勤続3年以上の契約社員。2月24日から3月9日まで募集し、退職日は4月30日とする。

曙ブレーキは米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)からの新規受注の失敗に端を発して業績が大幅悪化。私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請し、昨年9月に、37取引金融機関からの560億円に上る債権放棄や国内外6工場の閉鎖などを柱とする再建計画が承認された。この再建計画に沿って早期退職者の募集に踏み切る。

今回募集する200人は曙ブレーキ本体の契約社員を含む全従業員(出向者を含む)のほぼ2割にあたる。所定の退職金に特別加算金を上乗せするとともに、再就職支援も行う。関連費用は2020年3月期決算に特別損失として計上する予定。

国内工場については今後、ドラムブレーキやホイールシリンダーなどの生産子会社である曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)を閉鎖するほか、曙ブレーキ福島製造(福島県折町)の縮小を進めることにしている。こうした生産再編に伴う人員適正化については別途、決定するとしている。

今年に入り、早期(希望)退職者の募集を発表する上場企業としては曙ブレーキが第1号。昨年、早期退職者の募集を発表した上場企業は30社を超える。

サン電子<6736>、デジタル証拠を収集分析する米ブラックバッグ・テクノロジーズを子会社化

サン電子はイスラエル子会社を通じて、サイバー攻撃発生時などに電子機器に残されたデジタル証拠を収集・分析するデジタルフォレンジック事業を手がける米ブラックバッグ・テクノロジーズ(カリフォルニア州。売上高13億4000万円、経常利益5700万円、純資産2億800万円)の全株式を取得することを決議した。

BlackBagは2001年に設立し、従業員は57人。サイバー攻撃を受けたり、コンピューターセキュリティーが脅かされたりした際、原因調査に必要となるデータ抽出・解析などのサービスを各国の政府機関、捜査機関や民間企業に提供している。

サン電子は2007年、こうしたデジタルフォレンジック事業で先行するイスラエルの Cellebrite Mobile Synchronizationを子会社化した。今回、新たに米の有力企業を傘下に取り込み、世界的なリーディングカンパニーとしての地歩を固めたい考えだ。

取得金額は38億2800万円(アドバイザリー費用を含む)。取得予定日は2020年2月下旬。

 

 

 

ヴィンクス<3784>、ECサイト構築のUi2を子会社化

ヴィンクスは、EC(電子商取引)サイト構築を手がけるUi2(東京都港区。売上高3億5000万円)の株式66.7%を取得し子会社化することを決めた。Ui2は2011年に設立。アジア向けを主体に、自社で企画・製造した商品を自社チャンネルで販売するグローバル「DツーC」サイトの構築も手がける。取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月31日。

サンリン<7486>、えのき茸生産の「えのきボーヤ」を子会社化

サンリンは、えのき茸の生産・販売を手がける、えのきボーヤ(長野県安曇野市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。サンリンはLPガスなどを中心とする燃料商社。傘下企業を通じてえのき茸、ぶなしめじ、エリンギ、なめこなど各種きのこを取り扱っている。取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

フジ<8278>、広島・備後地区を地盤とするスーパーのニチエーを子会社化

フジは、スーパーマーケットのニチエー(広島県福山市)の事業を継承する新会社の全株式を取得し子会社化することを決めた。ニチエーは広島県備後地区を中心にスーパー11店舗を展開し、直近売上高は90億1900万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ニチエーは1962年に設立した。フジはニチエーの全11店舗と関連施設、従業員を引き継ぐ。ニチエーは会社分割により受け皿となる同名の新会社を3月2日付で設立する予定。ニチエーを傘下に収めるフジは愛媛県の50店舗をはじめ四国一円を地盤とし、広島県、山口県での出店を合わせて計96店舗のスーパーを展開する。

フィードフォース<7068>、インターネット広告運用代行事業のアナグラムを子会社化

フィードフォースは、インターネット広告運用代行事業のアナグラム(東京都渋谷区。売上高8億3600万円、営業利益2億8500万円、純資産6億2800万円)の株式50.1%を取得し子会社化することを決議した。

フィードフォースも同様に、インターネット広告運用代行を主力事業の一つとする。フィードフォースが検索ワードやユーザーの属性に最適化した個別の商品・案件画像を掲載する「データフィード広告」を主に取り扱っているのに対し、アナグラムは検索ワードに最適化したテキストを検索結果画面に掲載する「リスティング広告」をメーンとする。双方の得意領域を生かし、インターネット広告運用代行事業をワンストップで提供し、顧客基盤の拡充につなげる。

取得価額は12億5900万円(アドバイザリー費用含む)。取得予定日は2020年1月24日。

 

三井松島ホールディングス<1518>、リゾート施設・保養所運営子会社のエムアンドエムサービスを大和PIパートナーズに譲渡

三井松島ホールディングスは、リゾート施設・保養所運営子会社のエムアンドエムサービス(大阪市。売上高53億1000万円、営業利益1億5400万円、純資産9億4500万円)の全株式を、大和証券グループ本社傘下の投資会社である大和PIパートナーズ(東京都千代田区)に譲渡することを決議した。

エムアンドエムは1997年設立で、リゾート型宿泊施設の運営や、企業や自治体が所有する保養所・研修所などの運営受託を手がけ、2012年に三井松島の傘下となった。訪日観光客や団塊世代による底堅い旅行需要が見込まれる好環境にある一方、予約システムや施設設備の導入・更新にかかる積極投資が今後必要となる中、大和PI側から株式取得の申し出があったという。大和PIが2月末に設立する特別目的会社がエムアンドエム株式を取得する。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年3月31日。

SHIFT<3697>、リアルグローブからIT自動化事業を取得

SHIFTは、IT関連企業のリアルグローブ(東京都千代田区)が手がけるIT自動化事業を取得することを決めた。リアルグローブがIT自動化事業を分社化するために2月上旬に新会社「リアルグローブ・オートメーティッド」(同)を設立したうえで、SHIFTはこの新会社の株式51%を取得する。対象事業の直近業績は売上高4370万円、営業利益1610万円。取得価額は1億9900万円。事業取得後、営業利益の実績に応じて最大5600万円の追加対価を支払う。取得予定日は2020年2月上旬。

 

クリーク・アンド・リバー社<4763>、持ち分法適用会社でテレビ局向け人材派遣の韓国CREEK&RIVER ENTERTAINMENTを子会社化

クリーク・アンド・リバー社は、持ち分法適用関連会社でテレビ・映像分野を中心に人材派遣事業を手がける韓国CREEK&RIVER ENTERTAINMENT(CRE、ソウル)の資本構成を見直し、連結子会社化した。9日付。クリーク側の出資比率は75%とした。取得価額は非公表。

クリークは2001年に韓国に現地子会社CREEK&RIVER KOREA(CRK、ソウル)を設立し、テレビ局に対する人材派遣事業を開始。その後、2016年に日韓情勢や韓国固有の市場特性などを踏まえ、CRK の人材派遣事業を引き継ぐ CRE を設立し、現地経営陣の株式保有比率を高めることで CRE を持ち分法適用関連会社と位置付けてきた。

一方、CRKは韓国のゲームライセンスを日本を含めて世界展開を進めてきたが、近年、CREが韓国エンタテインメント分野で培ってきた顧客網と連携する機会が増加してきたことなどを踏まえ、連結子会社化することにしたという。

レントラックス<6045>、中国で越境EC向け一括支援サービス展開の阿迪納市場営銷策劃有限公司を子会社化

レントラックスは、中国で越境EC(電子商取引)の一括支援サービスを展開する阿迪納市場営銷策劃有限公司(上海市。売上高2億7800万円、営業利益△814万円、純資産2360万円)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。取得価額は非公表。今後30日以内に取得する予定。

阿迪納市場営銷策劃はメーリングサービスなどを手がけるアテナ(東京都江戸川区)の100%子会社で、2005年に設立。上海に物流拠点を持ち、日本から中国に進出する企業に向けて、販売促進、物流、営業支援などのフルフィルメントと呼ばれる一括支援サービスを展開している。

レントラックスはタイや台湾で同様に越境EC向けの一括支援サービスに力を入れている。この分野で豊富なノウハウを持つ阿迪納市場営銷策劃を傘下に取り込み、事業拡大につなげる。

フリービット<3843>、クラウドビジネスフォン「モバビジ」事業をクラウドテレコムに譲渡

フリービットは、クラウドビジネスフォン事業を会社分割により、クラウドテレコム(東京港区)に譲渡することを決議した。譲渡するのは専用アプリをインストールしたスマートフォンで内線通話機能や固定電話番号による発着信を実現するサービスで、「モバビジ」の名称で事業展開している。対象事業の直近売上高は5200万円。譲渡価額は6億円。譲渡予定日は2020年3月1日。

シェアリングテクノロジー<3989>、不動産売買・仲介子会社の名泗コンサルタントを牧野社長に譲渡

シェアリングテクノロジーは、不動産売買・仲介、賃貸事業を手がける子会社の名泗コンサルタント(三重県四日市市。売上高11億円、営業利益6000万円、純資産11億6000万円)の全株式を、名泗コンサルタント社長の牧野昌良氏に譲渡することを決議した。牧野氏への株式譲渡にあたり、名泗コンサルタントはシェアテクに特別配当を実施する。譲渡価額は8億円(特別配当を含む)。譲渡予定日は2020年2~3月。

シェアテクは2018年春に名泗コンサルタントを子会社化していた。

富士ゼロックスが社名変更、2021年4月「富士フイルムビジネスイノベーション」に

富士フイルムホールディングス(HD)は6日、事務機器子会社の富士ゼロックスの社名を2021年4月1日付で「富士フイルムビジネスイノベーション」に変更すると発表した。昨年11月に米ゼロックスとの合弁関係を解消し、ゼロックスが25%保有する富士ゼロックスを完全子会社化した。これに伴い、技術・ブランドライセンスや販売地域などを規定した契約についても現行の契約期間が満了する2021年3月末をもって終了することを決めた。

富士ゼロックスはアジア太平洋地域、米ゼロックスは米欧などその他地域で、それぞれ複写機やプリンターなど事務機器を販売してきたが、新社名となる現富士ゼロックスは2021年4月以降、地域にとらわれず独自ブランドを展開する。

富士フイルムHDは2018年1月に米ゼロックスを買収することで合意した。しかし、その後、ゼロックス側が合意を破棄して法廷闘争に発展し、1年半以上も対立状態が続いた。富士フイルムHDは2019年11月に、ゼロックスの買収を断念し、代わってゼロックスとの合弁関係を解消し、富士ゼロックスを完全子会社化することで一連の問題にけりをつけた。

 

 

フルサト工業<8087>、日本電産シンポから変速機・減速機の国内販売事業を取得

フルサト工業は、機械工具卸売子会社のジーネット(大阪市)を通じて、日本電産シンポ(京都府長岡京市)が手がけるリングコーン無段変速機とコロネット減速機の国内販売事業を取得した。製造については引き続き、日本電産シンポが行う。取得日、取得価額は非公表。

日本創発グループ<7814>、印刷・広告制作のAPホールディングスを子会社化

日本創発グループは、印刷や広告企画・制作を手がけるAPホールディングス(浜松市)の株式21.25%を追加取得し、子会社化することを決議した。現在37.5%の持ち株比率を58.75%に引き上げる。APホールディングスは持ち株会社で、傘下に事業子会社のアプライズ(浜松市。売上高17億円、営業利益900万円、純資産16億4000万円)を持つ。取得価額は3億8400万円。取得予定日は2020年1月20日。

グッドライフカンパニー<2970>、グローアップから不動産・建築業界向け有料職業紹介事業を取得

グッドライフカンパニーは、不動産・建築業界向け有料職業紹介事業を手がけるプロキャリアエージェント(東京都新宿区)の全株式を取得し、6日付で子会社化した。傘下に収めたプロキャリアエージェントは人材サービス会社のグローアップ(東京都新宿区)が当該事業を切り出すために12月末に設立した会社。取得価額は非公表。

グローアップは2008年設立で、飲食業界と不動産・建築業界を両輪として有料職業紹介事業を展開してきたが、このうち不動産・建築業界向け事業をグッドライフカンパニーに譲渡した。

グッドライフカンパニーは不動産投資家に対し、主に投資用新築一棟賃貸マンションの用地仕入れから、企画、設計、施工、賃貸仲介・管理、売却までのサービスをトータルに提供している。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[伊藤俊一先生が伝授する!税理士のための中小企業M&Aの実践スキームのポイント]

②株式譲渡スキームにおける役員慰労退職金支給~現金支給・現物支給の有利不利判定~

 

〈解説〉

税理士  伊藤俊一

 


[関連解説]

■【Q&A】経営状況が悪化した場合の定期同額給与

■【Q&A】解散をした場合の役員退職金の支給について

 

 

 

中小零細企業M&Aで株式譲渡スキームを採用したとします。当該スキームでは通常、税効果を享受するため、売主において、役員慰労退職金を支給するケースが多いようです。この場合において、「現金支給するか、現物支給するかの有利不利判定」について課税関係をもとに考えてみます。

 

 

税負担のみを考慮すると、下記の事項を総合勘案して有利不利判定をすることになります。

 

(1)現物配当の場合、法人が含み損資産を有している場合、含み損を実現することが可能となります。グループ法人税制下で、関連会社への移転によっても含み損が実現できない資産について有効です。実務では、当該時点での解約返戻金が低い保険を支給するケースも多いようです。

 

(2)当該現物支給対象の現物が消費税の課税取引、非課税取引、課税対象外取引のいずれに該当するかで消費税の課税区分は決定されます。支給金額によっては、支給後の課税売上割合が変動する可能性があります。課税対象外取引となるべく、後述の通り、株主総会において支給決議をするのが必須です[注1]。

 

(3)現物支給の場合、別途、それに係る源泉所得税をグロスアップ計算する必要があります。源泉所得税は金銭での納付しかできないためです。

 

 

下記では、現物を分類して課税関係を検証します。

 

(イ)土地

【売買の場合】

〇土地(宅地)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減、売買契約書・代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

〇土地(宅地以外)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減、売買契約書・代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

 

【現物支給の場合】

〇土地(宅地)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減のトータルコスト

〇土地(宅地以外)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減のトータルコスト

 

登録免許税と不動産取得税は軽減税率の改正(延長含む)が頻繁に入るため、実行時の税率を確認します。本稿脱稿時点においては、不動産取得税及び登録免許税の軽減税率適用による税負担軽減効果が高いため、土地については、売買の方が有利になる可能性があります。

 

 

(ロ)建物・車両・ゴルフ会員権

【売買の場合】

〇建物

・・・消費税、登録免許税軽減、不動産取得税軽減、売買契約書・代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

〇車両

・・・消費税、代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

〇ゴルフ会員権

・・・消費税、売買契約書(預託金方式のみ)、代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

 

【現物支給の場合】

〇建物

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減のトータルコスト

〇車両

・・・コストなし

〇ゴルフ会員権

・・・コストなし

 

建物・車両・ゴルフ会員権については、現物支給の方が有利です。

 

 

現物支給では、株主総会決議があるかないかで消費税課税区分が変更します。この理由づけには様々なものがあります[注2]。

 

下記の考え方が最もわかりやすいです。

 

役員報酬等の決定方法については、会社法第361条第1項を確認します。

 


(会社法第361条)

(取締役の報酬等)

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

 


 

 

現物支給する場合は、総会決議によって、その具体的な内容、すなわち、支給する現物資産の種類、金額、支給日等々の決議が必要です。よって、株主総会の決議なき場合、現物支給は代物弁済による資産の譲渡に該当します。代物弁済に係る消費税の取扱いは下記から読み取れます。

 

 

 


(消費税法第2条第1項第8号)

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

 

(消費税基本通達5-1-4)

法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「代物弁済による資産の譲渡」とは、債務者が債権者の承諾を得て、約定されていた弁済の手段に代えて他の給付をもって弁済する場合の資産の譲渡をいうのであるから、例えば、いわゆる現物給与とされる現物による給付であっても、その現物の給付が給与の支払に代えて行われるものではなく、単に現物を給付することとする場合のその現物の給付は、代物弁済に該当しないことに留意する。

 


 

 

上記より、株主総会決議がない場合、代物弁済に該当し、資産の譲渡に係る取引なので課税取引に該当しますし、ある場合、給与扱いですから課税対象外です。なお、国税OB執筆の解説本の一部では課税取引と記載しているものもありますが、これは、中小零細企業実務において、株主総会決議をしていないだろう、という前提にたった、すなわち、実態に即した上での解説をされているものと筆者は邪推します。

 

 

 

 


【注釈】

[注1] 役員においては、株主総会の支給決議によってはじめて退職慰労金の支給義務が生じます(法基通9-2-28)。たとえ現実に退職しており、役員退職慰労金支給規定が予め作成されていても、株主総会での決議がない限り、債務確定にはなりません(最判昭和39年12月11日、最判昭和48年11月26日、最判昭和58年2月22日)。一方、最判昭和48年11月26日では明確な支給基準が存在し、本店備付けなど、それが株主に閲覧できるという要件等を満たせば、取締役会への一任できるとあります。以上につき、岡野訓=内藤忠大=濱田康宏=村木慎吾=白井一馬「実務目線からみた税務判断~実務で直面する厳選20事案~」88頁(大蔵財務協会 2014)を参照しています。

[注2] この点につき、前掲注1  96~99頁において、所得税と消費税の対価性の違いから理由づけを行っています。消費税は事前に対価性を問われるため、株主総会決議で現物支給決議を行えば、課税対象外取引なるという考え方です(消基通5-1-4も参照のこと)。

 

 

 

 

 

[M&A担当者がまず押さえておきたい10のポイント]

第4回:「事業譲渡と株式譲渡」どっちがいいの?-M&Aのスキーム-

 

[解説]

松本久幸 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

大和田寛行 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

 

 

▷第3回:売却するならどこがいい? -同業他社?大企業?ファンド?-

▷第5回:実際に売却するときの留意点は?-DDの受入れや価格交渉-

▷第6回:売買価格の決め方は?-価値評価の考え方と評価方法の違い-

 


会社を売却する場合、株式を売却すれば、株式を譲り受けた人に会社の経営権が移りますので、株式を売買することが一般的な方法ではあります。ただし、会社の法人格をそのまま引き継ぐことで何らかのデメリットや将来のリスクが存在するような場合、買い手側が株式の売買ではなく、事業譲渡を希望する場合があります。

 

事業譲渡とは、会社の中の特定の事業であったり資産であったり人であったりをピックアップして売買することです。M&Aの際に、何らかの事情があって株式売買がそぐわないと判断された場合に、事業譲渡スキームがとられることがあります。

 

 

では、事業譲渡を選択した場合にどういったメリットがあるのでしょうか。

 

まず、買い手から見ると、会社そのものを取得して会社を経営していく場合に、もしかすると隠れた債務や将来の税務等のリスクをも一緒に承継してしまう可能性があると判断される場合や、引継ぎたくない事業や資産・負債等がある場合は、それらのリスクを遮断するために法人格そのものは承継せずに、必要な事業とそれに付随する資産や人のみを譲り受けるという選択を採ることができます。

 

そうすることで、元々の法人格にリスクや隠れた債務等を残したまま、買収したい事業のみを承継することができます。

 

 

一方、売り手から見ると、売りたい事業だけを売却できる方法でもあります。株式を譲渡すると会社の全ての経営権が移ってしまいますが、例えば、いくつかの事業を営んでいたものの、事業のリストラを検討した結果、ある事業をどこかに承継してもらいたいというようなケースにおいては、事業譲渡が選択されることもあります。

 

しかし、事業譲渡にはデメリットもあります。特定の事業や資産や人を承継する場合には、対象となる資産等を一つずつ特定して承継しなければなりません。

 

取引先との契約があれば、それら全ての取引先から承諾を得た上で契約を巻き直す、もしくは契約を移すという手続が必要となります。

 

また、人については、会社そのものの経営権が移るのであれば全従業員が会社にそのまま在籍する形となり、会社と従業員の雇用関係には影響はありませんが、事業譲渡の場合は、譲渡される事業に従事する従業員を個別に説得して新たな会社に移ってもらう、という手続が必要となります。

 

そのため、それらの手続が簡略化出来るよう、事業譲渡のような煩雑な手続を行わずに、包括的な手続によることを可能とする会社分割という手法なども認められています。

 

その他にも、2つの会社の株主を入れ替える株式交換という手法や、2つ以上の会社を統合して1社にまとめる合併という手法などもあります。

 

 

 

 

どのような手法を採るにしても、M&Aのスキームについては、売り手と買い手の協議によって決められますから、メリットとデメリットを慎重に検討して双方納得の上で決定する、ということが肝要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年1月15日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

●高品質のワイヤーハーネス製造メーカー

[業種:電気機械器具製造業/所在地:関東地方]

●【土地建物保有】住宅都市にて地域密着型でサ高住・小多機・デイサービスを展開。

[業種:介護事業/所在地:関東地方]

●地域密着の宅地造成工事・宅地販売業者

[業種:土木工事・不動産売買/所在地:中部地方]

●特許を多数保有し独自技術を誇る耐震建材を多種展開する製造メーカー

[業種:建築用金属製品製造業/所在地:西日本]

 

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案件No.SS005376
高品質のワイヤーハーネス製造メーカー

 

(業種分類)製造業

(業種)電気機械器具製造業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)自動車・工作機向けワイヤーハーネスの製造・販売。

 

〔特徴・強み〕

◇設立50年で築き上げた信頼と実績。
◇大手メーカーと直接取引。
◇交通の便の良い立地。

 

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案件No.SS004996
【土地建物保有】住宅都市にて地域密着型でサ高住・小多機・デイサービスを展開。

 

(業種分類)介護・医療

(業種)介護事業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)介護事業

 

〔特徴・強み〕

◇地域に根差した介護サービスを展開。
◇徒歩圏内にサービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型住宅介護、デイサービス(リハビリ)を運営。
◇高齢者人口が今後も増加するエリア。
◇競合他社が少なく、今後も需要が期待できる。
◇サ高住は全室30㎡以上あり、すべてにトイレ、キッチン、浴室を完備。築浅。
◇土地建物を保有している。

 

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案件No.SS004890
地域密着の宅地造成工事・宅地販売業者

 

(業種分類)建設・土木

(業種)土木工事・不動産売買

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)人気エリアの土地を仕入れ、宅地造成、分譲販売を行っている。

 

〔特徴・強み〕

◇業歴が長く、土地の仕入が安定している。

 

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ンより-


案件No.SS004713
特許を多数保有し独自技術を誇る耐震建材を多種展開する製造メーカー

 

(業種分類)製造業

(業種)建築用金属製品製造業

(所在地)西日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)耐震建材の製造業

 

〔特徴・強み〕

◇特許を多数保有
◇高い技術力
◇優良な財務内容

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[解説ニュース]

贈与税の納税猶予の適用を受ける贈与により非上場株式を取得した者のみなし配当課税の特例

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

1.非上場株式等に係る贈与税の納税猶予(一般措置)


(1)概要

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する「中小企業者」に該当する会社で、同法による都道府県知事の認定を受けたものの株式について、その会社の代表権を有していた贈与者から贈与を受けた受贈者が、一定の要件を満たすその会社の後継者(経営承継受贈者)である場合は、経営承継受贈者が納付すべき贈与税のうち、その非上場株式 (一定の部分に限る。)に対応する額の納税が、その贈与者の死亡の日まで猶予されます(租税特別措置法(措法)70条の7第1項)。この猶予税額は、経営承継受贈者より先に贈与者が死亡した等の場合には、その全部又は一部が免除されます(同第15項1号、2号)。

 

(2)(1)の贈与者が死亡した場合の相続税の特例

経営承継受贈者が(1)の納税猶予の適用を受けていた場合において、その者よりも先に贈与者が死亡したときは、経営承継受贈者は(1)の通り猶予税額が免除されるものの、贈与税の納税猶予の適用を受けた非上場株式を贈与者から相続等により取得したものとみなされ(措法70条の7の3第1項前段)、その株式は贈与者に係る相続税の課税対象とされます。

 

 

 

2.個人が非上場株式を発行会社に譲渡した場合の税務


(1)みなし配当課税となる部分

個人が所有する非上場株式をその発行会社に譲渡する場合には、その会社はその時の株式の価額を対価として株主に支払います。この場合に、個人株主が発行会社への株式の譲渡対価として取得した金銭等の額のうち、[その譲渡株式に対応する発行会社の資本金等の額]を超える額は”発行会社からの配当”とみなされ(みなし配当)、配当所得の金額の収入金額とされます(所得税法25条1項5号)。この配当所得の金額は総合課税の対象となり、他の所得と合算されて最高 55.945%の税率(所得税+復興特別所得税+住民税)で課税されます(所得税法89条等)。

 

(2)株式譲渡所得となる部分

個人株主が非上場株式を譲渡した場合、通常その譲渡対価が譲渡所得の金額の総収入金額となりますが、発行会社による自己株式の取得の場合、(1)の通り譲渡対価の形で受領した金銭の一部は配当とみなされ、その配当とみなされる部分を譲渡対価から控除した残額が譲渡所得の金額の総収入金額となります。その総収入金額から取得費と譲渡費用を差引いて、譲渡所得の金額が計算されます。この譲渡所得は他の所得と分離され、20.315%の税率で課税されます(措法37条の10第1項等)。

 

(3)相続等により取得した非上場株式を発行会社へ譲渡した場合のみなし配当課税の特例

相続等により非上場株式を取得(相続税法および租税特別措置法の規定により、相続等による財産の取得とみなされるものを含む)した個人のうち、その相続等につき納付すべき相続税額のあるものが、その相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、その相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された非上場株式をその発行会社に譲渡した場合には、2(1)(2)にかかわらず、一定の手続の下で、その譲渡対価の全額が株式に係る譲渡所得として課税されます(措法9条の7第1項、第2項)。

 

 

 

3.贈与税の納税猶予の適用を受ける贈与により非上場株式を取得した者の、みなし配当課税の特例の適用


個人が贈与税の納税猶予の適用を受けて生前贈与により非上場株式を取得したものの、その贈与者の相続の時に全く相続財産を取得していない場合は、その者が他の要件を全て満たすときであっても、上記2(3)の「みなし配当課税の特例」の適用が受けられないのではないかという疑問が生じます。

 

この点について、相続等による財産の取得には、租税特別措置法の規定により相続等による財産の取得とみなされるものが含まれ (2(3)下線部参照)、贈与税の納税猶予の適用を受けた非上場株式は、その贈与者の死亡した場合、その経営承継受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなされます(1(2)下線部参照)。ゆえに表題の場合は一定の手続の下で、2(3)の特例の適用を受けることができます。

 

なお、後継者が非上場株式の贈与による取得において「非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例措置」(措法70条の7の5)の適用を受ける場合も、上記と同様の取扱いがなされます。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/01/14)より転載

[中小企業経営者のためのワンポイント解説]

「廃業・清算を選択した場合の検討すべき方策」~コンサルティングという観点からの『事業承継』とは?⑨~

 

コンサルティングという観点からみた「事業承継」と題したテーマの最終回となる今回は、前回に引き続き、第1回でご紹介したタイプD(健全性が低く親族内後継者がいない会社)に着目します。前回(令和元年5月第3号)は廃業・清算という選択に至る前に事業存続に向けて検討すべき方策を説明いたしましたが、今回は後継者不在や厳しい将来性等からやむを得ず廃業・清算という選択をした場合に、検討すべき方策について紹介いたします。

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 山田隆寛/公認会計士

 


【廃業・清算を選択した場合の検討すべき方策】

廃業をする場合、取引先・従業員・金融機関等多くの関係者に多大な影響を及ぼし、また場合によっては経営者の個人資産への影響を及ぼすため、廃業に向けた事前の準備が必要となります。会社の財産状況によって廃業の手続や対応が異なってくるため、会社の財産状況の把握(『資産超過』か『債務超過』かの判断)が重要となります。財産状況の把握において、資産については個々の資産を簿価ではなく処分価額で評価することになります。また、負債については賃貸借契約の違約金等の貸借対照表に現れない簿外債務の検討が必要になるため、専門家の利用が有効と考えられます。

 

【会社の財産状況に応じた清算の流れ】

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※ 経営者保証に関するガイドラインとは
中小企業の経営者が金融機関等と締結している個人保証(経営者保証)について、保証契約を検討する際や、金融機関等の債権者が保証履行を求める際における、中小企業・経営者・金融機関の自主的なルールを定めたもの。

 

いずれのケースにおいても会社が赤字の場合は、事業が長引くほど会社の財産が目減りしていくことになりますので、できるだけ早期の廃業を目指すことが有効になります。特に、『経営者保証に関するガイドライン』による保証債務整理をする際には、早期に債権者の同意を求めることで、個人資産を手許に残せる可能性が高くなります。

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年6月20日)より再編集のうえ掲載

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「個人事業者の事業承継  ~消費税の仕入税額控除の適用について~」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】個人事業者が事業を廃止した場合の事業用資産に係る課税関係

■【Q&A】個人版事業承継税制について ~先代事業者が医師、後継者が歯科医師の場合~

 

 

 


[質問]

個人事業者である肥育牛農家Aは、高齢のため2019年11月30日にその事業を廃止し、同日に生計を一にする子Bに譲ることを考えています。

 

現在、〇〇万円程度の棚卸資産に該当する肥育牛があり、これは同日にAからBに売却し、事業用の固定資産はAからBに無償で貸与する考えです。

 

Aの事業の廃業の日は2019年11月30日となり、この日にその肥育牛の棚卸資産を譲渡することとしています。

 

この場合、Bの開業の日をAの廃業の日の2019年11月30日として、Bは「消費税課税事業者選択届出書」を提出することにより、その肥育牛である棚卸資産に係る消費税について仕入税額控除をすることができるという認識で間違いはないでしょうか。

 

 

 

[回答]

消費税において、免税事業者が、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下である課税期間につき、「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に提出した場合には、その提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(その提出をした日の属する課税期間が事業を開始した課税期間である場合等には、その課税期間)から課税事業者になるとされています(消法9④、消令20)。

 

事例の場合、Bにとって2019年が事業を開始した課税期間であることを前提とすれば、Aの廃業日、Bの開業日及び棚卸資産の譲渡日を2019年11月30日とし、2019年中にBが「消費税課税事業者選択届出書」を提出することにより、Bは2019年1月1日から課税事業者となるので、棚卸資産の譲受けに係る課税仕入れについては仕入税額控除の適用を受けることができると考えます。

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2019年9月3日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

滞納固定資産税の”相続”問題にご用心

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

1. はじめに


相続の現場では、財産整理や遺産分割が速やかに行われていなかったことが災いして、税務上不利な状況に見舞われるケースが少なくありません。

 

よく知られているのは、相続税申告の際、相続税の特例である、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例事業承継税制が適用できないということ。固定資産税にも気を付ける必要があります。財産・債務の整理や遺産分割を放置していたことから、後になって思わぬ税負担を求められるケースが少なくないためです。

 

というのも、不動産の相続があった場合、被相続人の固定資産税の納税義務は、次の通り相続人が承継することになっているからです。「相続があった場合には、その相続人(包括受遺者を含む)は、被相続人(包括遺贈者を含む。以下同)に課されるべき、又は被相続人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入しなければならない」(地法9①)。

 

市町村は、固定資産税の徴収をする場合ときには、納税者に文書で納付又は納入の告知をしなければならないことになっています(地法13)。その上で督促、滞納処分に入ることになります。

 

納税者の中には、このように降って湧いたような納税義務に、抵抗する人もいます。しかしその言い分はなかなか聞いてもらえないのが実情です。そこで最近、実際に税務上争いになった事例を見てみましょう。

 

 

2. 未分割で請求が回ってきた事例


被相続人の滞納固定資産税の納付を管轄の市町村から請求されたとき、無視して支払わないと督促の上、最悪の場合、督促された相続人の預金等が差押えられ、税金を強制的に徴収されることがあります。

 

中でも気を付けたいのは、相続人が複数いる場合に遺産分割をせず相続財産が共有になったままのケースです。

 

なぜなら共有物の税金は連帯納付義務が生じるからです。(地法10の2)。連帯納付義務のある税金については、徴収権のある市町村は、連帯納税義務者の1人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯納税義務者に対し、その税金の支払いを請求することができる点に注意が必要です。

 

 

花巻市の事例です(平成28年11月22日裁決)。

 

市内の30物件の所有者である被相続人Xさん対し数年度分課税していた固定資産税につき、花巻市は、遺産分割前だったことから複数の共同相続人のうち代表者として相続人Aさんを指定し、賦課徴収の書類を送付していました。

 

ところがAさんは、納期限後になっても納付しません。そこで一転、花巻市は平成28年3月、別の相続人Bさんに納期限を3月末とする連帯納税通知書を送付しました。Bさんも無視。花巻市は同年4月20日付で、督促状をBさんに送付しました。

 

Bさんはここで督促処分に不服を申立てました。いわく「Aが単独で課税対象不動産を流用し、年間100万円超の賃料収入を得ており、その固定資産税はAから徴収すべき」と。

 

しかし、審理した花巻市は、督促処分に違法性はないとする裁決を下しています。

 

 

3. 90年以上前の相続が発端の事例


防府市の事例です(平成29年10月4日裁決)。

 

90年以上前に亡くなった祖父の兄弟名義の不動産につき、相続人と見なされて、課税されたうえ、預貯金を差し押さえられたケースがありました。

 

防府市は、平成18年になって、問題の不動産の現況が原野から雑種地に変わっていたことから固定資産税の課税評価をしたところ、免税点を超えたため祖父の代の兄弟やその子の世代も亡くなっている中、相続人14人を確認し、市内に住む祖父の兄弟の孫Cさんを相続人代表者と認定。課税処分したうえ、滞納処分に入り、預貯金を差押さえて、強制的に固定資産税を徴収してしまいました。

 

Cさんは、「市内に居住していることのみを理由として相続人代表者に指定され、自分だけに課税され、それに基づいて差押処分を受けることには納得できない。」と反発、不服申立しました。

 

審査した防府市は、相続人間の公平性を損なう事情があり、新たな課税は取消されるべきだが、不服申立をする期間を過ぎて時効となった課税分は取消できず、徴収した税額については滞納固定資産税に充当済みで、「取消しによって審査請求人の権利の回復を図ることはできず、審査請求の申立ての利益はないことから却下せざるを得ない」としてCさんの言い分を退けています。

 

子や孫が苦労しないためにも財産整理・遺産分割は、しっかり済ませておきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/01/07)より転載

[小規模M&A(マイクロM&A)を成功させるための「M&A戦略」誌上セミナー]

①M&Aにおいて一部門を譲受(譲渡)する際の注意点

~一部門を譲受(譲渡)する際に把握しておくべき情報とは?売買金額のつけ方とは?~

 

〈解説〉

公認会計士 大原達朗

 

 

 

 


今回は、“一部門を譲受(譲渡)する際の注意点”というテーマです。 まず一部門を譲渡するというのはどういうことかを確認します。

 

 

 

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[株式譲渡と事業譲渡]

通常M&Aというと、株式譲渡を想定される方が多いと思います。改めて、株式譲渡とはどのようなものかを整理します。

 

 

 

売り手とは、対象会社のオーナー(株主)となります。中小企業の場合は、社長が株主を兼ねていることが多いので、株主兼社長のような方が株式譲渡における売り手になることが多くなります。

 

 

その方が持っている会社の株を、買い手が買うというのが、シンプルなM&Aとなります。何も言わないでM&Aというと、ほとんどの方がこれを想像すると思います。ただし、この場合(株式譲渡)、対象会社の権利は全て買い手に移ってしまいますので、100%の株を譲渡した場合、例えば、この対象会社が店を3つ持っていた場合、3つ全ての権利義務が売り手から買い手に移ります。

 

 

もしかすると、3つのお店(事業)のうち、1つのお店(事業)のみ、買い手が欲しい場合もあるかと思います。実務的に言えば、このようなケースは意外とあります。場合によっては、「不採算部門(事業・店舗)のみを売却したい」「儲かっていないから、それだけを引き取って欲しい」というように考える売り手もいるかと思います。一方で、「儲かっていない事業はいらないから、儲かっている事業のみ売って欲しい」という買い手もいると思いますので、部分的に会社の一部だけを譲渡しなければいけないというケースは思ったよりあるわけです。

 

 

そのような時に、株式譲渡という通常のスキームを使ってしまうと、言い方が悪いですが“いらない部分(事業)”も含めて、会社を丸ごと引き取らないといけないわけです。

 

 

 

それを避けるための1つの方法が“事業譲渡”となります。事業譲渡というスキームは、会社の一部を切り取って売買の対象とすることができるので、先ほどの“株式譲渡”の絵とは少し変わってきます。 この“事業譲渡”の売り手というのは、先ほどで言うところの対象会社になります。自分の会社の一部を切り取って、買い手に売るわけですので、対象会社が“事業譲渡”の当事者となります。

 

 

1つの会社の中にビジネスが3つあり、そのうち1つのビジネスを買い手に買ってもらう。こうなると、当たり前ですが対象会社というのは譲渡契約の当事者となりますので、譲渡代金はこの売り手である対象会社に入ってくる(支払われる)ことになります。 この点が、株式譲渡と少し違うところです。

 

 

 

このような形で、会社の一部譲渡というのが行われています。事業譲渡というのは、これはこれで便利な部分もあるのですが、デメリットもあります。理由があって、事業譲渡のスキームは使えないということがあります。しかしながら、どうしても会社の一部だけを欲しいといったニーズもあります。

 

 

そのような場合は、そもそもの売買の対象となる会社のうち、譲渡の対象としたい事業の一部のみを新しく作った会社に振る(会社を分ける)ことができるのです。 これを“会社分割”と言いますが、例えば譲渡の対象としたい会社の「一部のみを譲渡したい」とします。その一部を切り取って新しい会社に振る(会社を分ける)わけです。その新しい会社の株を売り手と買い手で売買するということを行います。このようなやり方もあるわけです。 このスキームは、弁護士の先生にしっかりと相談して、法的に問題が無いかの確認を取ってもらいたいと思います。やり方はいくらでもあるということです。

 

 

どうしても、会社とか事業の一部を譲渡しなければならないといったニーズはあるわけです。ですので、一部門を譲渡するということは比較的、頻繁に起きているということです。

 

 

[一部譲受の際に必要な情報とは?]

その際に注意しなければならないことですが、会社の一部(一部門)の譲受(譲渡)をする場合には当然ですが“当該部門の情報が必要”となります。

 

 

全社の数字(BS、PLなど)ではなくて、譲渡の対象となっている部門やお店の情報がないと話にならないわけです。なぜならば、会社全体を引き取るわけではないためです。 たとえば、全く利益が出ていない事業を譲受しようとした際に、会社全体の数字を見て「こんなに儲かっているのですか?」と言っても何も意味がないわけです。 反対に、会社全体としての業績は良くないのですが、業績の良い事業を買収して、売り手はその資金を基に、残っている会社(事業譲渡しなかった事業)を再生したいといった場合は、会社全体を見れば悪いに決まっているわけですので、「こんなに悪いのか」と考えても仕方がないのです。

 

 

ターゲットとなっているお店もしくは事業の財務状態や契約関連などを把握しなければならないわけです。そのようなことから、会社全体の財務数値を入手しても始まらないわけです。

 

 

むしろ売り手の方にとってみると、「売買の対象となっていないような事業の情報を、なんで買い手候補に出さなければいけないのか?」といった話になるわけです。そもそも会社全体は売り物でなく、会社のほんの一部が譲渡対象でしかないのに、「それ以外の情報をなぜ提供しなければならないのか?」というのは売り手の立場に立ってみれば当然のことになります。

 

 

買い手としては、譲渡対象外の情報も「提供してくれるなら欲しい」と言われる方も当然いるかと思いますが、「その情報をもらって何に使うのですか?」というところもあるわけです。お互いのメリット・デメリットのことを考えると、しっかりとフォーカスをして必要な情報を取っていくことを念頭に置いておかなければならないのです。

 

 

ですから、全社の数字がどうしても欲しいと、例えばM&Aの本に“M&Aをする際は、少なくとも全社の過去3年間分の決算書が必要”と書いてあったから「3年間分の全社の数字をください」と言っても意味がないわけです。譲渡の対象(ターゲット)となっている箇所(部門)の数字を見なければいけないということになります。

 

 

 

[一部譲受の売買金額のつけ方]

では、その一部の譲受(譲渡)の時の金額のつけ方についてですが、基本的に株式譲渡の場合と変わりません。ターゲットとなっている対象事業の財務諸表の数値をベースにバリュエーションを実施することになります。

 

 

 

これは中小企業の事例(案件)になると、実務的にネックになるところです。「部門別あるいはお店別の収支や財務状況をください」とお願いしても、現実問題として作成していない会社があります。先ほど、全社の数字を見ても仕方がないと言いましたが、全社の数字は年に1回税務申告をしなければいけないため、どの会社も基本的にはあります。しかし、対象となっている事業やお店の数字がないとなると基本的には諦めることになると思います。

 

 

 

どれくらい稼いているかさっぱり分からない、どのような資産を持っているかさっぱり分からない事業の買収は中々できません。ただし、それで諦めるのはもったいないというのであれば、我々はこのようなやり方を行います。

 

 

少なくとも売上に関しては実在していないと話になりませんので、過去の売上の実績がどれぐらいであったのかといったチェックをしてもらいます。これは財務デュー・ディリジェンスの一環でもありますが、それほど難しいことではないです。

 

 

売上が分からないのであれば、その案件は止めた方がよいかもしれません。売上が全く分からないというケースは殆んど無いので、「そのデータをベースに本当に入金されているのか?」を預金通帳などでチェックすればよいのです。そう考えればさほど難しくはないわけです。

 

 

 

では、売上だけしか分からなくて、「事業の譲渡ができるのか?」「価値の算定ができるのか?」という話ですが、買い手が買った後に「どのように経営をしていくのか?」ということを想定します。例えば、店舗を想像してもらえると分かるかもしれませんが、“意外と難しくない”のです。発生する経費と言えば賃料があります。あるいはスタッフの方の人件費、あとは店舗で使う消耗品類、あるいは飲食店などであれば部材や商材などがあると思います。あと水道光熱費など、その他もろもろです。

 

 

事業を買収した後に、「どんな経費が掛かるのか?」「どんなコストがかかるのか?」というのは意外とシミュレーションできるものなのです。自分が譲渡を受けた後に、「このような体制でやっていくのだ」と、数字もシミュレーションできるので、そのシミュレーションした数字をベースに金額を算出することが出来るわけです。

 

 

 

もちろん、売り手にとってはちゃんとした情報や数字を出し、自分たちが有利に交渉を進めるようにした方が良いに越したことはないですが、そうは言ってもそのような部門別の数字なんて今まで作ったことがない。そうなると、どうしても今回事業を売りたいというのであれば、買い手の立場に立って、協力してそのようなシミュレーションをすることもできます。

 

 

M&Aというのは多種多様の案件によって事情が異なりますので、「数字が出て こないので、情報が不足しているから買収は止めよう」というように考えるのでは少しもったいない案件もあります。必ずしも、このようなやり方で一部譲渡のM&A案件全てが上手くいくわけではないのですが、工夫の仕方によって、このようなことが出来るということを覚えて置いて頂きたいと思います。

 

 

 

事業譲渡契約は個別にリストアップしていきます。「これとこれとこれを下さい」「これとこれとこれを譲り渡します」といった契約になりますので、簿外債務を引き継ぐ必要がないのです。つまりはリスクが非常に低いのです。ただし、株式譲渡の場合は会社丸ごとになりますので、譲渡をしたときに気が付かなかった債務や負債を引き継ぐ可能性があります。事業譲渡にはそれがないので、財務のデュー・ディリジェンスについてもやり方次第では、かなりコストや工数も軽くなります。つまりは、コストや時間やリスクも取らずに、事業を譲渡することができるのです。

 

 

このようなやり方もあるのだということを皆さんには是非知っておいて頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


動画解説を見る(外部サイト)

[M&Aニュース](2019年12月16日〜12月27日)

◇みらかホールディングス<4544>、食品検査事業の日本食品エコロジー研究所を子会社化、◇アニコム ホールディングス<8715>、ペット関連インターネットサービスのシムネットを子会社化、◇フリークアウト・ホールディングス<6094>、金融保証業務子会社のGardiaを伊藤忠商事<8001>に譲渡、◇ハマキョウレックス<9037>、九州地盤に物流センター事業を手がけるシティーラインを子会社化、◇ミネベアミツミ<6479>、アナログ半導体メーカーのエイブリックを子会社化、◇アズマハウス<3293>、和歌山市にある賃貸住宅センターなど3社を子会社化、◇エスクリ<2196>、結婚式場「ラヴィマーナ神戸」の運営と衣装事業を取得 ほか

 

 

 

 

 

第一交通産業<9035>、中国専業旅行社の西日本日中旅行社を子会社化

第一交通産業は、中国専業旅行会社の西日本日中旅行社(福岡市)の株式99.8%を取得し、27日付で子会社化した。ツアー業務の企画・募集を通じた外国人観光客の取り込みとともに、上海と大連にある中国子会社との連携による相乗効果を見込む。取得価額は非公表。

 

 

 

小僧寿し<9973>、「サ高住」事業子会社の介護サポートサービスを東洋商事に譲渡

小僧寿しは、サービス付き高齢者住宅の運営事業を手がける子会社の介護サポートサービス(東京都品川区)の全株式を、業務用食品商社の東洋商事(東京都中央区)に譲渡した。小僧寿しは2016年に介護・福祉事業に参入したが、中核と位置づける持ち帰り寿司事業とデリバリー(宅配)事業に経営資源を集中する。譲渡価額は非公表。譲渡日は2019年12月26日。

東洋商事はJFLAホールディングス傘下の業務用食品商社で、病院食や介護食の卸売事業にも取り組んでいる。

 

 

 

アステラス製薬<4503>、がん免疫治療医薬品開発の米ザイフォス・サイエンシズを子会社化

アステラス製薬は27日、がん免疫治療技術を用いた医薬品の研究開発に取り組む米ザイフォス・バイオサイエンシズ(サンフランシスコ)を買収したと発表した。全株式を1億2000万ドル(約130億円)で取得し、完全子会社化した。今後、開発の進捗に応じて支払う対価と合わせると、買収金額は最大で総額6億6500万ドル(約727億円)となる。ザイフォスは2017年に設立した新興企業で、従業員は7人。独自手法により、次世代のがん免疫療法をめぐる研究開発をリードしているという。

 

 

 

ケーユーホールディングス<9856>、メルセデス・ベンツ正規販売店4店舗経営のシュテルン横浜東を子会社化

ケーユーホールディングスは、メルセデス・ベンツの正規販売店を神奈川県内で4店舗展開するシュテルン横浜東(横浜市。売上高114億円、営業利益4億5100万円、純資産146億円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

シュテルン横浜東は1988年設立で、「メルセデス・ベンツ横浜東」「同日吉」「同逗子」「同藤沢」を持つ。ケーユーホールディングスは同社を傘下に取り込むことで、メルセデス・ベンツの販売網が東京都南部、神奈川県北部、静岡県に加え、神奈川県東部、神奈川県南部に広がる。取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月31日。

 

 

 

北越コーポレーション<3865>、感熱紙製造の中国子会社「浙江越宏新材料」を合弁相手に譲渡

北越コーポレーションは、感熱紙を製造する中国合弁子会社「浙江越宏新材料有限公司」(浙江省長興県)の全出資持ち分(89.48%)を、合弁相手の上海敦普貿易中心有限合伙(上海)に譲渡した。2018年11月に合弁会社を設立し、感熱紙製造に向けて準備を進めてきたが、将来的な市場変化などを踏まえ、合弁を解消することにした。譲渡価額は非公表。

 

 

 

安楽亭<7562>、吉野家HD傘下で「ステーキのどん」「フォルクス」展開のアークミールを子会社化

安楽亭は26日、吉野家ホールディングス傘下でレストランチェーンを手がけるアークミール(東京都中央区。売上高202億円、営業利益△9億3000万円、純資産△3億3700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アークミールは「ステーキのどん」「どん亭」「フォルクス」「donイタリアーノ」の各ブランドで、ステーキやしゃぶしゃぶのレストランを158店舗(11月末時点)運営するが、外食産業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、業績が急速に悪化していた。2020年2月末までに買収完了を目指す。取得金額は非公表。

安楽亭は焼肉レストラン「安楽亭」「七輪房」などを中心とする飲食店を関東圏を主体に219店舗(うち直営158店舗、12月時点)を展開する。外食産業は原材料価格や人件費の上昇、消費者の節約志向の高まりなどに直面しているが、安楽亭の主要業態である焼肉とアークミールのステーキ・しゃぶしゃぶ業態の間で、食材や店舗運営など共通部分が多いことから、収益基盤を強化するうえでシナジー(相乗効果)創出が期待できると判断した。

アークミールは1970年にスーパーのダイエーが大阪府内に出店したステーキレストラン「フォルクス」を起源とする。2008年に吉野家の傘下に入った。

アークミールを子会社化する安楽亭の2019年3月期の業績は売上高163億円、営業利益1億8500万円、純資産61億1500万円。売上高が勝るアークミールを傘下に収めることで、経営規模は一挙に倍以上に拡大するが、債務超過状態のアークミールの立て直しが急務となる。

 

 

 

栗田工業<6370>、半導体分野で精密洗浄大手の米ペンタゴン・テクノロジーズを子会社化

栗田工業は、半導体分野の精密洗浄事業を手がける米ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ(カリフォルニア州)の株式を追加取得し子会社化することを決めた。現在26%の持ち株比率を51%に引き上げる。

ペンタゴン・テクノロジーズは米国内に拠点を持つ半導体メーカーと半導体製造装置メーカーを主要顧客とし、半導体精密洗浄市場で世界トップクラスのシェアを持つという。栗田工業は2019年4月に米子会社を通じてペンタゴン・テクノロジーズ株式の25%を取得した。さらに子会社化に踏み切ることで、国内精密洗浄事業との相乗効果を通じてビジネス拡大につなげる。

取得価額は58億7500万円。取得予定日は2020年4月1日。

 

 

 

ジャパンシステム<9758>、セキュリティー事業を両備システムズに譲渡

ジャパンシステムは、ICカード認証システム「ARCACLAVIS」を中心とするセキュリティー事業を、システム構築・ソフト開発の両備システムズ(岡山市)に譲渡することを決めた。譲渡対象事業の直近売上高は6億1300万円。事業を譲渡後は両備システムズの販売代理店として「ARCACLAVIS」などの既存製品の販売とサポートを続ける。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年3月31日。

 

 

 

ピーエイ<4766>、認可保育所「ココカラ高津」をソラストに譲渡

ピーエイは、保育事業子会社のピーエイケイ(福島県郡山市)が運営する認可保育所「ココカラ高津」(川崎市。対象5カ月~5歳、定員60人)を、ソラストに譲渡することを決議した。ピーエイケイが中核とする小規模保育施設事業との相乗効果が期待通り発揮できていなかったことから、切り離す。ココカラ高津の直近業績は売上高9780万円、営業利益592万円。譲渡価額は5500万円。譲渡予定日は2020年4月1日。

 

 

 

SAMURAI&J PARTNERS<4764>、maneoのソーシャルレンディングサービスサイトの運営事業を取得

SAMURAI&J PARTNERSは、クラウドファンディングサイト「SAMURAI」を運営する子会社のSAMURAI証券(東京都港区)を通じて、maneoマーケット(東京都千代田区)が管理するソーシャルレンディング(融資仲介)サービスサイト「さくらサイト」の運営事業を取得することを決めた。「SAMURAI」の利便性や効率性を向上させるとともに、安全性の投資型プラットフォームの再構築につなげる狙い。取得価額は100万円。取得日は2019年12月25日。

取得する当該事業の業績は売上高163万円、営業利益163万円。

 

 

 

楽天<4755>、電子書籍・オーディオブック配信の米子会社OverDriveを現地投資会社に譲渡

楽天は、図書館や教育機関に電子書籍、オーディオブック、雑誌などの配信サービスを展開する米子会社OverDrive Holdings,Inc.(クリーブランド市)を、現地投資会社Aragorn Parent Corporation(ニューヨーク市)に譲渡することを決めた。経営資源配分の最適化を図る狙いという。OverDriveは1986年設立。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年1月末。

 

 

 

中電工<1941>、熱絶縁工事の昭和コーポレーションを傘下に持つホライズン1を子会社化

中電工は、投資業のホライズン1(東京都港区)の全株式を取得し子会社化することを決議した。ホライズン1傘下で、熱絶縁工事の設計・施工や断熱配管支持金具の製造を手がける昭和コーポレーション(東京都港区。売上高215億円、営業利益12億9000万円、純資産37億6000万円)を取り込むのが目的。中電工は自社の設備工事部門と昭和コーポの熱絶縁工事部門との協業を進め、総合的なサービスを提供する。昭和コーポは1954年に設立。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月3日。

 

 

 

サッポロホールディングス<2501>、米飲料統括持ち株会社のカントリーピュアフーズを現地投資会社BPCPに譲渡

サッポロホールディングスは、米国飲料事業を統括する持ち株会社である現地カントリーピュアフーズ(CPF、デラウエア州。売上高279億円、営業利益△7億6300万円、純資産56億6000万円)の全保有株式(所有割合51%)を、米投資会社BPCP CPF Holdings Inc.(オハイオ州)に譲渡することを決めた。サッポロは2012年に米の果汁飲料事業(米ビール市場には1963年進出)に参入したが、苦戦していた。米市場では今後は酒類事業に経営資源を集中する。CPFの合弁相手は豊田通商で、49%を出資する。譲渡価額は約40億円。譲渡日は2019年12月24日。

 

ジー・スリーホールディングス<3647>、渋谷109でショップ運営の子会社「SBY」を双葉貿易に譲渡

ジー・スリーホールディングスは、100%出資子会社のSBY(東京都品川区。売上高9億2700万円、営業利益△4260万円、△純資産4030万円)の全株式を、カラーコンタクトレンズや化粧品の卸売を手がける双葉貿易(新潟県三条市)に譲渡することを決議した。SBYは東京・道玄坂のファッションビル「渋谷109(イチマルキュー)」でエンターテインメントショップを運営する。SBY子会社で米バーガーブランド「FATBURGER」を国内展開するGreen Micro Factory(東京都品川区。売上高9190万円、営業利益△4760万円、純資産△1億3800万円)の譲渡も含まれる。譲渡価額は1円。譲渡予定日は2020年1月1日。

 

 

 

ブティックス<9272>、介護用品・健康器具のEC事業をヤマシタに譲渡

ブティックスは、介護用品や健康器具を取り扱う電子商取引サイトの管理・運営事業を、福祉用具レンタル・販売のヤマシタ(静岡県島田市)に譲渡することを決議した。競合サイトとの販売価格競争に対抗する値下げキャンペーンの実施などで収益が悪化していたことから、事業を切り離す。譲渡先のヤマシタは福祉用レンタル・販売で30年の歴史を持つ業界大手。ブティックスは今後、商談型展示会事業とM&A仲介事業に経営資源を集中させる。譲渡価額は3250万円。譲渡予定日は2020年3月31日。

 

 

 

三井E&Sホールディングス<7003>、プラント子会社の三井E&SプラントエンジニアリングをJFEエンジニアリングに譲渡

三井E&Sホールディングスは24日、プラント設計・建設を手がける傘下の三井E&Sプラントエンジニアリング(千葉市。売上高120億円、営業利益3億3500万円、純資産24億9000万円)の全株式を、JFEエンジニアリング(東京都千代田区)に2020年3月31日付で譲渡することで最終合意したと発表した。譲渡価額は非公表。経営再建中の三井E&Sは子会社などの資産売却やグループ従業員の約1割にあたる1000人規模の削減・配置転換を柱とする事業構造改革を進めており、その一環。

三井E&Sは2019年3月期に695億円の最終赤字となり、20年3月期はさらに880億円に最終赤字幅が拡大する見通し。インドネシアの火力発電所工事関連の巨額損失が経営の屋台骨を揺るがす事態となっている。

 

 

 

ネクソン<3659>、モバイル・ソーシャルゲーム開発子会社のgloopsをジーアールドライブに譲渡

ネクソンは、モバイル・ソーシャルゲーム開発子会社のgloops(東京都港区。売上高43億3000万円、営業利益△3億7400万円、純資産△9億8000万円)の全株式を、コンピューターグラフィックス制作のジーアールドライブ(埼玉県川口市)に譲渡することを決議した。ネクソンは2012年にgloopsを傘下に収めたが、当初の想定を下回る困難な経営状況が続いていた。譲渡価額は1円。譲渡予定日は2020年2月1日。

 

 

 

東芝、ニューフレアテクノロジーTOBの買付期間を10日間延長

東芝は23日、親子上場の解消を目的に半導体製造装置メーカーのニューフレアテクノロジーに対して実施中のTOB(株式公開買い付け)に関し、12月25日までとしていた買付期間を2020年1月16日まで10営業日延長すると発表した。東芝はTOB成立の条件となる買付予定数の下限を14.27%と設定し、最大で100%、最低でもすでに保有する52.4%を合わせて3分の2以上の取得を目指している。ニューフレアを巡っては東芝のTOBが不成立になった場合、HOYAが東芝を上回る買付価格でTOBを2020年4月に実施する意向を表明している。

東芝は子会社の東芝デバイス&ストレージ(東京都港区)を通じて、ニューフレアに対するTOBを11月14日に開始。一方、HOYAは12月13日に、ニューフレアへのTOBを実施すると発表した。HOYAはニューフレア株の買付価格について、東芝を1000円上回る1株1万2900万円を提示している。

東芝によるTOBが成立するかどうかについては、15.8%を保有するニューフレアの第2位株主の東芝機械の動向に注目が集まっている。

 

 

 

トーホー<8142>、業務用食品卸売の香港Suitfitを子会社化

トーホーは、香港の業務用食品卸会社Suitfit Company Limited(売上高20億7000万円、純資産4億8900万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。シンガポール、マレーシアに続く3カ所目の海外進出で、外食向けに日本食材などの業務用食品卸売事業を強化する狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月7日。

 

 

 

エディオン<2730>、プログラミング教室を運営する「夢見る」を子会社化

エディオンは、プログラミング教室を運営する夢見る(堺市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。エディオンは2018年12月からプログラミング教育事業をスタートさせており、事業拡大の一助とする。夢見るは全国100教室以上のロボットプログラミング教室を展開し、STEM教育(Science 科学・Technology 技術・Engineering 工学・Math数学)の基礎を学びながら、プログラミングや論理的思考力・問題解決力などを身につける独自のカリキュラムで知られる。

取得価額は非公表。取得日は2019年12月23日。

 

 

 

JALUX<2729>、農産物加工輸出のタイ子会社Taniyama Siamをソノリクに譲渡

JALUXは、農産物加工輸出を手がけるタイ子会社のTaniyama Siam Co., Ltd.のグループ会社保有分を含めた全株式を、物流会社のソノリク(佐賀県鳥栖市)に譲渡することを決議した。譲渡理由は明らかにしていない。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年3月16日。ソノリクは農産物の一時保管・加工・出荷・配送による一貫物流事業を展開しており、国内とタイでの農産物の流通拡大につなげる。

 

 

 

メディアスホールディングス<3154>、医療機器販売・賃貸のアクティブメディカルを子会社化

メディアスホールディングス(HD)は、医療機器の販売・賃貸を手がけるアクティブメディカル(東京都文京区。売上高171億円、営業利益2億6100万円、純資産12億5000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

メディアスHDは手術室業務支援ソフトウエア「SURGLane」や医療材料 データベース・医療材料分析サービス「meccul」などの医療機関向けサービスの拡充による医療材料の販売に加え、M&Aによる事業規模の拡大を基本方針とする。地域的には東海、首都圏、北関東、北陸、東北で基盤強化に力を入れている。アクティブメディカルは首都圏と北海道で循環器領域を中心に営業展開する。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月。

 

 

 

Denkei<9908>、監視システムなど製造の新栄電子計測器を子会社化

Denkeiは、各種電子機器開発の新栄電子計測器(神奈川県藤沢市。売上高2億7500万円、営業利益△2000万円、純資産3億4600万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。新栄電子は1978年に設立し、太陽光発電所の点検・維持管理に必要なメンテナンス機器や監視システムのほか、太陽光発電モニター、耐久試験機、バッテリーテスターなど各種計測機器を手がける。日本電計は「技術商社」を旗印とし、多様な製品群を取り込み、業容拡大につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月16日。

 

 

 

コマニー<7945>、間仕切りの中国生産子会社・格満林新型建材を現地社に譲渡

コマニーは、パーティション(間仕切り)を製造する中国子会社の格満林(南京)新型建材科技有限公司(南京市。売上高21億4000万円、営業利益△9200万円、純資産12億8000万円)の全持ち分を、現地コンサルティング会社の南京若林企業管理諮詢有限公司(南京市)に譲渡することを決議した。事業の選択と集中の一環。譲渡価額は16億8000万円。譲渡予定日は2020年1月15日。

コマニーは2012年に全額出資で格満林を設立し、パーティションの製造・販売に乗り出した。しかし、販売競争の激化で収益確保が困難な状況が続いていた。出資持ち分の譲渡に伴い、貸付金17億4500万円の債権放棄を行う予定。

 

 

 

東和薬品<4553>、スペインの後発医薬品メーカーPensaを子会社化

東和薬品は23日、スペインの後発医薬品メーカーPensa Investments, S.L. (カタルーニャ州、売上高325億円、営業利益2億4200万円、純資産291億円)の全株式を取得し子会社化すると発表した。欧米での販売網とともに、生産面でも欧州に拠点を確保して、海外展開を本格化する。取得価額は320万ユーロ(約389億円)。2020年1月末までの取得完了を目指す。

Pensaはスペインの大手医薬品メーカー、Esteve グループの傘下にあり、グループの後発医薬品事業を手がける。Pensa の後発医薬品事業は1999年にスタートし、現在、20カ国以上で300品目以上を提供している。2009年には同業の米Breckenridge Pharmaceutical Inc.を買収した。

東和薬品はPensaを傘下に取り込むことで、欧州の事業基盤とともに、米での後発医薬品市場への参入も果たす。

 

 

 

ジューテックホールディングス<3157>、プレカット加工や建築資材卸の角野産業を子会社化

ジューテックホールディングスは、プレカット加工・販売や建築資材の卸売りを手がける角野産業(堺市。売上高29億5000万円、営業利益3100万円、純資産13億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。関西での事業基盤強化が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月6日。

 

 

 

ニチレキ<5011>、埋設型伸縮装置を製造するヒートロック工業を子会社化

ニチレキは、橋梁工事に使われる埋設型伸縮装置を製造するヒートロック工業(新潟市)の全株式を取得し子会社化した。橋面舗装・防水事業のメニュー拡大や既存事業との相乗効果を見込む。取得価額は非公表。取得日は2019年12月23日。

 

 

 

Eストアー<4304>、ECサイト構築ソフト開発のコマースニジュウイチを子会社化

Eストアーは、ヤフー子会社でEC(電子商取引)サイト構築ソフトウエアを開発するコマースニジュウイチ(コマース21、東京都港区。売上高20億3000万円、営業利益3億6200万円、純資産7億8300万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

コマース21が強みとするパッケージ型インテグレーションECシステムを取り込むことで、大企業から中小企業まで様々なニーズに対応したECシステムの品ぞろえを強化する。

取得価額は13億200万円。取得予定日は2020年1月29日。

 

 

 

ツクイ<2398>、アサヒサンクリーンから訪問看護事業を取得

ツクイは、介護事業を展開するアサヒサンクリーン(静岡市)から訪問介護事業を取得することを決議した。取得対象は訪問介護事業所10カ所で、当該事業の直近売上高は6億4500万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

ツクイは1983年に訪問入浴を開始して介護事業に参入した。その後、訪問介護やデイサービス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などに事業を展開してきた。

 

 

 

メドピア<6095>、医療品・医療機器コンテンツ制作のコルボを子会社化

メドピアは、医療品・医療機器コンテンツの企画制作を手がけるコルボ(東京都中央区。売上高14億6000万円、営業利益1100万円、純資産3億5000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。取得価額は5億4550万円。取得予定日は2020年1月1日。

メドピアは医師専用コミュニティーサイト「MedPeer」を運営し、医薬品の口コミ情報や症例相談、Web講演会などの各種コンテンツを提供する。現在、MedPeerには12万人の医師(国内医師の3人に1人)が会員登録する。現在、MedPeerを軸に、製薬企業におけるマーケティング戦略の策定からコンテンツ制作、配信、効果検証までのワンストップサービスの実現に力を入れている。

コルボは1993年に創業し、専門性の高い学術情報部、製薬協コードや関連法規制に通じた校閲・校正チーム、グラフィックス・映像からスペースデザインまで実現する制作部を社内に持ち、医療品・医療機器のコンテンツ制作で実績を積んできた。

 

 

 

ユニゾホールディングス<3258>、従業員による買収(EBO)で非公開化

ユニゾホールディングスは22日、従業員による買収(EBO=エンプロイー・バイアウト)を実施して非公開化すると発表した。従業員と米投資ファンドのローン・スターが出資する新会社がユニゾに対してTOB(株式公開買い付け)を行い、全株式の取得を目指す。ユニゾをめぐっては現在、ソフトバンクグループ傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループによるTOBが8月以降現在も進行中だが、ユニゾ株の買付価格としてフォートレスを1000円上回る5100円を提示した。買付代金は最大1745億円。

ユニゾ株の買付主体となるチトセア投資(東京都中央区)はユニゾ従業員が73%、ローン・スターが27%を出資して設立した。買付価格5100円は先週末(20日)のユニゾ株の終値4900円に約4%のプレミアムを加えた設定。最大100%(3422万126株)、最低でも3分の2以上(2281万3400株)の取得を目指す。買付資金はローン・スターが支援する。

買付期間は12月24日~2020年2月4日。買付代理人は東海東京証券。

ユニゾに対しては現在、フォートレスによるTOBが進行中。別途、ユニゾは米投資会社のブラックストーンをはじめ、国内外の投資ファンドや事業会社との間で買収提案に関する協議を進めていたが、今回の従業員主導によるTOB開始に伴い、フォートレスを含めて一連の協議を終了する。

今回のTOBが成立すれば、小崎哲資ユニゾ社長はじめ、グループのすべての取締役、監査役、執行役員が2020年3月16日付で辞任する予定。

 

 

 

放電精密加工研究所<6469>、タイのアルミ押出用金型合弁会社を子会社化

放電精密加工研究所は、アルミ押出用金型製造のタイ合弁会社KYODO DIE-WORKS(KDT)の株式を追加取得して子会社化することを決めた。1987年に現地得意先と折半出資でKDTを設立したが、従来50%だった持ち株比率を51%に引き上げる。金型製造に加え、近年は自社開発のサーボプレス機や機能性塗料などの拡販に力を入れており、経営のスピードを速めるには子会社化が欠かせないと判断した。今後、社長を派遣するなど経営資源を投入し、業績拡大を目指す。取得価額は1300万円。取得予定日は2020年1月24日。

 

 

 

スペースシャワーネットワーク<4838>、音楽ソフト企画・制作子会社のPヴァインをMBOで譲渡

スペースシャワーネットワークは、音楽ソフト企画・制作と音楽著作権管理を手がける100%子会社のPヴァイン(東京都渋谷区。売上高6億500万円、純資産7億1500万円)の全株式を、Pヴァインの水谷聡男社長が設立したニュースクール(東京都世田谷区)に2020年3月31日までに譲渡することを決めた。MBO(経営陣が参加する買収)の一環で、水谷氏から譲渡の申し出があったという。譲渡価額は非公表。スペースシャワーネットワークは子会社売却損8億9600万円を2020年3月期決算に計上する。

 

 

 

SGホールディングス<9143>、中国物流企業の上海虹迪物流科技を子会社化

SGホールディングスは、中国上海を拠点に物流事業を手がける上海虹迪物流科技股份有限公司(RUNBOW、売上高79億9000万円、営業利益5億4200万円、純資産47億1000万円)の株式 70%を取得し子会社化することを決議した。中国の日系進出企業への物流サービスの向上が狙い。RUNBOWは上海、成都、武漢、西安、天津、瀋陽に物流拠点を構え、アパレルとケミカル分野に強みを持つという。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月31日。

 

 

 

ケアサービス<2425>、クレアバーグから訪問看護事業を取得

ケアサービスは、不動産売買・仲介のクレアバーグ(東京都江戸川区)が手がける訪問看護事業を取得することを決議した。ケアサービスは東京23区に出店を集中するドミナント戦略を通じて在宅介護事業を強化しており、その一環。取得するのは江戸川区と墨田区にある訪問介護事業所2カ所で、当該事業の直近売上高は4900万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月1日。

 

 

 

宇部興産<4208>、山口市内のゴルフ場「宇部72カントリークラブ」を市川興業に譲渡

宇部興産は、傘下の宇部興産開発(山口市)が運営するゴルフ場事業を、市川興業(東京都練馬区)に譲渡することを決めた。ゴルフ場名は「宇部72カントリークラブ」(山口市)。宇部興産開発が設立した同名の新会社が事業を引き継いだうえで、新会社の全株式を譲渡する。

宇部72カントリークラブは1960年に営業開始し、4コースを持つ西日本最大級のゴルフ場とされてきたが、プレー人口が減少する中で、厳しい経営が続いていた。宇部興産は譲渡に伴い約48億円の特別損失を2020年3月期決算に計上する。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年3月2日。

 

 

 

ヤマノホールディングス<7571>、個別指導塾「スクールIE」FC加盟店大手のマンツーマンアカデミーを子会社化

ヤマノホールディングス(HD)は、個別指導塾「スクールIE」のFC(フランチャイズ)加盟店事業を手がけるマンツーマンアカデミー(千葉県旭市。売上高6億1800万円、営業利益3600万円、純資産7億3700万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

ヤマノHDは美容事業・和装宝飾事業・DSM(訪販)事業を展開するが、新分野開拓に向けてM&Aの取り組みを強化中。創始者・山野愛子の事業の原点が「美容」と「教育」であることを踏まえ、教育を成長分野と位置づける。

マンツーマンアカデミーは、やる気スイッチグループ(東京都中央区)が全国展開する個別指導塾「スクーIE」のFC加盟店事業を主力とし、関東圏(千葉県、茨城県、埼玉県)で36店舗(2019年11月時点)を運営。FC加盟店としては20年以上、生徒数全国トップの実績を誇るメガフランチャイジーという。今後は全国規模で出店エリアの拡大を検討している。

取得価額は4億9300万円。取得予定日は2020年3月2日。

 

 

 

SHIFT<3697>、データ分析の分析屋を子会社化

SHIFTは、データ分析やシステム構築事業を手がける分析屋(神奈川県藤沢市。売上高5億7000万円、営業利益1910万円、純資産1160万円)の全株式を取得し子会社化した。顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みに伴う課題分析やビッグデータ分析基盤の構築につなげる。分析屋は2011年に設立し、医療業界やマーケティングにおける分析領域で実績とノウハウを持つ。取得価額は非公表。取得日は2020年12月20日。

 

 

 

イード<6038>、学研プラスからアニメ出版事業を取得

イードは、学研ホールディングス子会社の学研プラス(東京都品川区)からアニメ出版事業などを取得することを決議した。取得するのはアニメ専門月刊誌「アニメディア」、声優専門誌「声優アニメディア」、男性向けアニメ専門誌「メガミマガジン」、ウェブメディア「超!アニメディア」の運営に関する事業。取得価額は未定。取得予定日は2020年2月1日。

イードはアニメに特化したウェブメディアとして「アニメ!アニメ!」「アニメ!アニメ!ビズ」を運営する。

 

 

 

新田ゼラチン<4977>、コラーゲンケーシング製造の米子会社を現地社に譲渡

新田ゼラチンは、コラーゲンケーシングを製造する米子会社ニッタケーシングズ(ニュージャージー州。売上高44億9000万円、営業利益△9500万円、純資産△1億6100万円)の全株式を、人工ケーシングメーカーの米Viscofan(アラバマ州)に譲渡することを決議した。事業の選択と集中の一環。

新田ゼラチンはカナダにある子会社ニッタケーシングズ(カナダ)(オンタリオ州、売上高4億5400万円、営業利益―、純資産8100万円)の全株式も同時に譲渡する。譲渡価額は2社合計で14億5600万円。譲渡日は2019年12月19日。

 

 

 

ソフィアホールディングス<6942>、和歌山県で調剤薬局を経営する「わかば薬局」を子会社化

ソフィアホールディングスは、調剤薬局のわかば薬局(和歌山県御坊市。売上高2億6800万円、営業利益348万円、純資産2110万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。わかば薬局は御坊市1店舗、岩出市(和歌山県)1店舗を持つ。取得価額は9172万円。取得予定日は2020年2月1日。

 

 

 

新東京グループ<6066>、産業廃棄物業者のグリーンシステムズを子会社化

新東京グループは、産業廃棄物業者のグリーンシステムズ(川崎市。売上高1億2200万円、営業利益△200万円、純資産△2900万円)の全株式を取得し子会社化した。12月19日付。取得価額は200円。新東京グループは今年4月に民事再生手続き中のグリーンシステムズに対する再建支援スポンサー契約を結んでいた。

 

 

 

長谷工コーポレーション<1808>、細田工務店<1906>をTOBで子会社化

長谷工コーポレーションは19日、戸建住宅分譲の細田工務店(ジャスダック上場)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。長谷工はマンション建築最大手だが、戸建住宅分野への本格進出に向けた足がかりとする。細田工務店はTOBに賛同する意見を表明している。

細田工務店株式の買付価格は1株あたり130円で、TOB公表前日の終値121円に7.44%のプレミアムを加えた。買付期間は12月20日~2020年2月4日。買付代金は最大約24億3600万円。買付予定数の下限は所有割合で66.67%。決済の開始日は2020年2月12日。買付代理人は大和証券。

細田工務店は1947年に創業し、1957年に法人化した。木造戸建住宅の開発・分譲を主力とし、2004年にジャスダックに上場した。用地取得競争の激化による仕入原価の上昇や供給過多に伴う販売価格の下落などが重なり、厳しい経営環境が続いていた。

 

 

 

米フォートレスの対ユニゾTOB、1月8日まで9度目の期間延長

不動産・ホテル業のユニゾホールディングスに対して子会社を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施中の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループは18日、12月27日を期限としていた買付期間を2020年1月8日まで営業日ベースで3日延長すると発表した。8月19日にTOBを始めて以降、買付期間の延長は9度目。これにより、買付期間は93日に及ぶとともに、越年が決定した。11月15日に買付価格を当初の4000円から4100円に100円引き上げて以降では4度目の延長。

18日のユニゾ株の終値は前日比10円安の4895円。市場価格が買付価格を大きく上回り、TOB成立が依然難しい状況が続いている。一方、ユニゾはフォートレスとの間で買付価格を5000円に引き上げるよう求めて協議を継続している。

 

 

 

GameWith<6552>、アットフリークスのゲーム攻略情報サービス「@WIKI(アットウィキ)」を取得

GameWithは、アットフリークス(和歌山市)からゲーム攻略情報に特化した掲示板サービス「@WIKI(アットウィキ)」事業を取得することを決議した。これに伴い、同事業を継承する新会社としてアットウィキ(東京都港区)を設立した。当該事業の直近売上高は1億200万円。取得価額は非公表。取得予定日は2019年12月25日。

GameWithはスマホゲームの情報サイト「GameWith」を運営している。

 

 

 

いすゞ自動車<7202>、ボルボと提携しUDトラックスを買収

いすゞ自動車は18日、スウェーデンの商用車大手、ボルボと業務提携し、ボルボ子会社のUDトラックス(旧日産ディーゼル工業、埼玉県上尾市)を買収すると発表した。2000年末までにUDトラックスの全株式の取得を目指す。買収金額は今後詰めるが、いすゞはUDトラックスの事業価値について2500億円程度と見積もっている。

自動車業界は100年に一度といわれる変革期を迎え、商用車分野でも電動化や自動運転など「CASE」と呼ばれる先進技術への対応が待ったなしとなっており、いすゞとボルボの両社は長期的な協力関係の構築で一致した。技術開発面での相互補完をはじめ、日本・アジアを中心とした海外市場での大型トラック事業の強化、物流革命に向けた中・小型トラックの協業可能性の追求などに取り組む。

一連の提携の第一弾がいすゞによるUDトラックスの子会社化。同社の全株式とUDブランドで展開している海外事業を取得する。UDトラックスは中・小型トラックに強みを持ち、旧日産ディーゼル工業時代の2007年にボルボの傘下に入り、2010年に現社名に変更した。

 

 

 

プロルート丸光<8256>、コンサートグッズ制作のSanko Advanceを子会社化

プロルート丸光は、アーティストのコンサートグッズの版権管理などを手がけるSanko Advance(東京都港区。売上高―、営業利益―、純資産98万8000円)を株式交換で完全子会社化することを決議した。Sankoは2018年10月に設立したばかりだが、将来の成長性が有望と判断した。

Sankoはコンサートグッズの製造・販売に関する権利を生産者に許諾し、その対価として商品販売額の一定額をローヤルティーとして受け取る事業を主力としている。コンサートグッズの市場規模は現在約800億円とされる。

株式交換比率はプロルート丸光1:Sanko1450で、Sankoの1株に対してプロルート丸光の1450株を割り当てる。株式交換予定日は2020年1月20日。

 

 

 

富士フイルムホールディングス<4901>、日立から画像診断関連事業を1790億円で買収

富士フイルムホールディングスは18日、傘下の富士フイルムを通じて、日立製作所の画像診断関連事業を買収すると発表した。買収金額は1790億円。日立が展開するCT(コンピューター断層撮影装置)、MRI(核磁気共鳴断層撮影装置)、X線診断装置、超音波診断装置など世界クラスの製品群を取り込み、メディカルシステム事業の拡大を目指す。

日立は新会社を設立して対象事業(2019年3月期の売上高は1432億円)を移管し、そのうえで富士フイルムが新会社の全株式を取得する。2020年7月1日の買収完了を予定する。

 

 

 

昭和電工<4004>、日立化成<4217>を9640億円投じてTOBで子会社化へ

昭和電工は18日、日立製作所傘下で東証1部上場の日立化成に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。日立化成の株式51.24%を保有する親会社の日立はTOBに応募することで合意している。買収金額は最大9640億円。今年の日本企業がかかわるM&Aとして、豪ビール大手を約1兆2000億円で買収することを決めたアサヒグループホールディングスの案件に次ぐ2番目の規模となる。

日立は社会インフラ事業やIoT(モノのインターネット)事業に経営資源を集中させる方針に基づき、グループ子会社の見直しを進めていた。日立化成は1962年に日立から分離独立して発足した中核子会社で、エレクトロニクス関連の機能材料などに強みを持つ。

日立化成株式の買付価格は1株につき4630円。TOB公表前日の終値4080円に13.48%のプレミアムを加えた。買付予定数の下限は議決権ベースで3分の2にあたる1億3881万3300株。昭和電工は買付主体となるHCホールディングス(東京都港区)を設立した。

買い付けは2020年2月開始を目指す。買付代理人はみずほ証券。

 

 

 

ヒビノ<2469>、イベント用映像・音響システム企画立案のシグマ映像を子会社化

ヒビノは、イベント用映像・音響システムの企画立案を手がけるシグマ映像(横浜市。売上高8億9000万円、営業利益1億1900万円、純資産6億円6400万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

シグマ映像は1990年に設立し、展示会や企業イベントなどの大型映像サービスを主力とする。日本では特定複合観光施設区域整備法の成立で、IR(統合型リゾート)施設建設に向けた動きが出ているが、IRでは大規模なMICE施設(国際会議場、展示場)を含むことが要件となっている。ヒビノはシグマ映像を傘下に取り込むことで、MICE市場の拡大に照準を合わせ、大型映像サービスの対応力強化を目指す。

取得価額は6億9500万円。取得予定日は2020年2月1日。

 

 

 

テクノスジャパン<3666>、CRM関連ソフト会社のアックを子会社化

テクノスジャパンは、ソフトウエア関連のアック(大阪市。売上高5億9400万円、営業利益5500万円、純資産1億4300万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

アックは1991年に設立。CRM(顧客管理システム)のリーディング企業である米セールスフォース・ドットコムのクラウド関連サービスとERP(統合基幹業務システム)関連サービスを主力とする。近年、ビッグデータの活用が経営課題となり、CRM分野の重要性が一段と増している。こうした中、テクノスジャパンはアックを傘下に取り込み、CRM関連の事業強化を目指す。

取得価額は3億2200万円。取得予定日は2020年1月10日。

 

 

 

エスクリ<2196>、結婚式場「ラヴィマーナ神戸」の運営と衣装事業を取得

エスクリは、ラヴィマーナ神戸(神戸市)が手がける結婚式場「ラヴィマーナ神戸」の運営と扇屋(大阪市)が同施設で営む衣装事業を取得することを決議した。ラヴィマーナ神戸の宮里武司社長が扇屋を兼務し、両社は一体的に事業を行う関係にある。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月1日。「ラヴィマーナ神戸」は神戸空港島(神戸市)の西岸に位置し、約5万2000平方メートルの敷地に2つの独立型チャペル、貸し切り可能な4つのヴィラ(宿泊所)を含む9つのパーティー会場で構成する。

 

 

 

アズマハウス<3293>、和歌山市にある賃貸住宅センターなど3社を子会社化

アズマハウスは、不動産賃貸事業の賃貸住宅センター(和歌山市。売上高4億900万円、営業利益6770万円、純資産3億1000万円)などグループ3社を子会社化することを決議した。アズマハウスは和歌山市に本社を置き、住宅建設を中心に不動産賃貸事業や土地分譲などを手がけ、対象3社とは取引関係にある。

子会社化するのは賃貸住宅センターのほか、不動産管理事業のシージェーシー管理センター(同。売上高3億9100万円、営業利益7770万円、純資産3億1000万円)、リフォーム工事のアイワライフネット(同。売上高8億6800万円、営業利益1億4200万円、純資産8億5800万円)。3社の株式をそれぞれ70%取得する。3社の社長はいずれも塚本治雄氏が務める。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月31日。

 

 

 

ミネベアミツミ<6479>、アナログ半導体メーカーのエイブリックを子会社化

ミネベアミツミは17日、アナログ半導体メーカーのエイブリック(千葉市。売上高328億円、営業利益41億7000万円、純資産234億円)を買収すると発表した。エイブリックの親会社で70%の株式を保有する日本政策投資銀行と30%の株式を持つセイコーインスツル(千葉市)から全株式を343億9300万円で取得する。医療機器向けのアナログ半導体の拡販や、カーインフォテイメントと呼ばれる次世代車載情報通信システム市場でのシェア向上を目指す。

エイブリックは電源用IC、リチウムイオン電池保護IC、車載用EEPROM(不揮発性メモリーの一種で、書き換え可能)、医療機器用超音波イメージングICなどを中心に小型、低消費電力の高精度アナログ半導体を生産している。2015年にセイコーホールディングスグループのセイコーインスツルから半導体事業を分社し、エスアイアイ・セミコンダクタとして独立。2018年1月に共同出資相手の政投銀が持ち株比率を70%に高め、筆頭株主になったのを機に、現社名に変更した。

ミネベアはアナログ半導体を主力事業の一つとし、産業・住宅機器市場に強みを持つ。医療機器や車載機器向けに特徴のある製品群を展開するエイブリックとは足りない分野を相互補完できる製品構成であることなどから、幅広く相乗効果が期待できると判断した。

買収完了時期は2020年7月ごろを想定している。また、ミネベアは買収後のエイブリックの業績に応じて、最大15億円の追加支払いを行うことで合意している。

 

 

 

ハマキョウレックス<9037>、九州地盤に物流センター事業を手がけるシティーラインを子会社化

ハマキョウレックスは、物流センター事業を手がけるシティーライン(福岡県志免町。売上高20億2000万円、営業利益5100万円、純資産2億8100万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

シティーラインは1984年設立で、福岡県を中心に九州を地盤として、ラストワンマイル(最寄拠点から利用者の間)や医療関連の運送業務を軸に物流サービスを提供している。ハマキョウレックスは同社を取り込み、九州地区での事業拡充につなげる。

取得価額は非公表。取得日は2019年12月17日。

 

 

 

フリークアウト・ホールディングス<6094>、金融保証業務子会社のGardiaを伊藤忠商事<8001>に譲渡

フリークアウト・ホールディングスは、金融関連保証業務を手がける子会社のGardia(東京都港区。売上高10億5000万円、営業利益1億8400万円、純資産1億4700万円)の株式90%を、伊藤忠商事に譲渡することを決議した。豊富な資金力を持つ伊藤忠主導の下、共同経営体制に移行する。フリークアウトは2018年12月に伊藤忠と資本業務提携している。譲渡価額は2億円。譲渡予定日は2019年12月17日。

Gardiaは2017年10月設立で、①飲食店などを無断キャンセルのリスクから守るリスク保証サービス、②Visaプリペイドカードなどに対して保証付き後払い決済を行うペイメントサービスを提供している。

 

 

 

アニコム ホールディングス<8715>、ペット関連インターネットサービスのシムネットを子会社化

アニコム ホールディングスは、ペット関連インターネットサービスの企画・開発を手がけるシムネット(仙台市)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

シムネットは2001年設立で、同社子会社がブリーダーマッチングサイト「みんなのブリーダー」「みんなの子猫ブリーダー」などを運営する。アニコムはペット保険事業を主力とし、近年は遺伝子検査を通じて安心してペットを飼育できる環境の提供に力を入れている。今回、シムネットを傘下に取り込むことで、ブリーダーとの接点を確保し、事業拡大につなげる。

 

 

 

みらかホールディングス<4544>、食品検査事業の日本食品エコロジー研究所を子会社化

みらかホールディングス(HD)は、食品検査事業を手がける日本食品エコロジー研究所(神戸市)の全株式を取得し子会社化することを決議した。みらかHDは今年6月に東京都内に新会社を設立し、食品検査事業に再参入した。関西を地盤とする日本食品エコロジーを傘下に取り込み、食品検査事業の拡大を目指す。取得価額は非公表。取得予定日は12月中。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[M&A案件情報(譲渡案件)](2019年12月24日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●【特長あり・財務内容良好】ブライダルプロデュース事業

[業種:ブライダルプロデュース事業/所在地:関西地方]

●教育関連や大学を顧客とし、底堅い経営をしている広告業

[業種:広告業/所在地:西日本]

●スポーツサイクルの輸入販売/ブランド製品・ノーブランド製品を取扱う

[業種:スポーツサイクルの輸入販売/所在地:関西地方]

 

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(お問い合せ・ご相談は「無料会員登録」が必要です)

 


案件No.SS005664
【特長あり・財務内容良好】ブライダルプロデュース事業

 

(業種分類)その他

(業種)ブライダルプロデュース事業

(所在地)関西地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)ブライダルプロデュース事業

 

〔特徴・強み〕

◇式場運営無し

 

-案件に関するお問合せ・ご相談は、このページ文末の「お問合せ・ご相談」ボタンより-


案件No.SS005267
教育関連や大学を顧客とし、底堅い経営をしている広告業

 

(業種分類)出版・印刷・広告

(業種)広告業

(所在地)西日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)広告業

 

〔特徴・強み〕

◇学校法人を主に顧客としており、高い評価を受けている。
◇堅実な経営を手掛けており、着実に利益を積み上げている。

 

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案件No.SS004918
スポーツサイクルの輸入販売/ブランド製品・ノーブランド製品を取扱う

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)スポーツサイクルの輸入販売

(所在地)関西地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)事業譲渡

(事業概要)スポーツサイクルの輸入販売(ブランド製品・ノーブランド製品ともに扱う)

 

〔特徴・強み〕

◇有名ブランドとのライセンス契約を持つメーカーと取引あり(=日本市場での販売権)
◇取引先数の多さ

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「非上場株式の譲渡に当たり交渉支援、契約内容の検討等を依頼した弁護士費用等について」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】M&Aに伴う手数料の処理

■【Q&A】税理士事務所の事業承継と一時払金の処理

 

 

 


[質問]

非上場会社M社のオーナー社長A(持株比率100%)は、この度上場企業P社より、M社株式の全株購入(買収)を持ち掛けられ、提案を前向きに検討し、弁護士B及び公認会計士Cにその交渉支援、契約内容の法的チェック等を依頼することになりました。この場合の弁護士費用等は、株式譲渡に係る譲渡費用と解して問題ないでしょうか。

 

 

 

[回答]

所得税基本通達33-7は、譲渡費用の範囲について仲介手数料、運搬費等を例示したうえで「・・・当該譲渡のために直接要した費用」とする旨明らかにしております。

 

おたずねの弁護士費用等をA氏のM株式の譲渡に係る譲渡費用とすることができるかどうかもこの取扱いに照らし、M株式譲渡のために直接要した費用であるかどうかを検討しその可否を判断することになります。したがって、A氏がM株式の譲渡に当たりB弁護士およびC公認会計士に対して支払った費用をM株式の譲渡に係る譲渡費用に算入できるかどうかは、支払った費用別にそれぞれその支払いがM株式を譲渡するために直接要するものであったかどうかを検討してその可否を判断する必要があります。

 

国税庁のホームページの質疑応答事例によると、譲渡代金の取立てに要した弁護士費用や譲渡資産に係る訴訟に際し支払った弁護士費用については、いずれも譲渡に直接要した費用であるとは認められないので譲渡費用に該当しないと回答しております。

 

ご照会の事例の支払費用についても交渉支援、法的チェック等の詳細について検討したうえで、それらがM株式を譲渡するために欠かせないものであったかどうかにより譲渡費用に該当するかどうか判断すべきものと考えます。

 

株式の譲渡に備えて一般的な事項について関与を求めてその報酬として支払ったものであるとすると、それをM株式の譲渡費用に該当するとの結論には賛否両論があるのではないかと思われ、賛否のいずれによるかは当事者A氏の考えによることになるのではないかと考えます。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2019年10月7日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。