[解説ニュース]

相続人が米国の連邦所得税上の居住者である場合の手続、報告義務等

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田 房枝/税理士)

 

【前提】

父(日本国籍・日本在住)が死亡しました。相続人である長男(日本国籍)は、仕事の関係で2年前から米国に住んでおり、日本の市区町村に住民登録はありません。父の財産は、すべて日本の国内財産であり、長男はそのうち1,500万円ほどを相続予定です。

 

〔Q〕日本の相続税法における納税義務者と課税財産の範囲について教えてください。

〔A〕日本の相続税法では、被相続人が日本国籍かつ日本在住であれば、相続人の国籍や居住地に関係なく、相続人は日本の無制限納税義務者となり、相続により取得した国内財産・国外財産すべてに対して、日本の相続税が課税されます。本問の場合、長男は、相続により取得した財産すべてに対して、日本の相続税が課税されます。

 

 

〔Q〕米国の連邦遺産税における納税義務者と課税財産の範囲について教えてください。

〔A〕米国の連邦遺産税では、被相続人が米国市民又は米国居住者でなければ、被相続人は米国の制限納税義務者となり、被相続人の財産のうち、米国国内にある財産のみに対して、連邦遺産税が課税されます。
本問の場合、被相続人である父の財産は日本国内にしかないということですので、米国で連邦遺産税が課税される財産はありません。

 

 

〔Q〕日本の相続税の申告をする上で相続人の住民票や印鑑証明が必要な場合、日本の市区町村に住民登録がない長男はどうすればよいですか?

〔A〕米国の日本大使館や領事館で、住民票に代わる書類として在留証明書の、印鑑証明に代わる書類として署名証明書の発行を受けることができます。
在留証明は、どこに住所を有しているかを証明するものです。また、署名証明は、領事の面前で行われた私文書上の署名が申請された本人のものであることを証明するものです。

 

 

〔Q〕米国の居住者である長男にとって、相続後に米国で必要となる手続はありますか?

〔A〕上述のとおり、本問の場合には連邦遺産税は課税されません。しかし、米国の居住者である長男には次のような報告義務があります。怠った場合のペナルティもあるため、提出を忘れないよう、留意が必要です
(出所:税理士法人タクトコンサルティング編『Q&A国際相続の実務と国外転出時課税』Q125日本法令)。

 

 

(1) IRSへ相続財産の報告


①報告(Form 3520)
米国の居住者は、米国の非居住外国人から年間10万ドルを超える財産を相続や贈与により取得した場合には、原則として翌年4月15日までに、IRS(米国内国歳入庁)へ報告しなければなりません。

 

②ペナルティ
無申告や期限後申告の場合には、1万ドル以下の罰金が科されることがあります。

 

 

(2) 米国財務省へ米国外金融資産の報告


①報告(FinCEN Form 114)
米国の居住者は、米国外にある金融資産の年度内最高残高が1万ドルを超える場合には、翌年4月15日までに、米国財務省へその情報を報告しなければなりません。

 

② ペナルティ
報告漏れが意図的でないと認められる場合には1万ドル以下の罰金が、意図的に隠ぺいしたと判断される場合には10万ドル又は総資産残高の50%の大きいほうの金額以下の罰金が科されることがあり、さらに刑事罰が適用されるケースもあります。

 

 

(3)IRSへ米国外金融資産の報告


①報告(Form 8938)
米国の居住者は、米国外にある金融資産の合計残高が年度内に7.5万ドル超又は年末に5万ドル超(夫婦合算申告の場合はそれぞれ倍額)である場合には、翌年4月15日までに、IRSへその情報を報告しなければなりません。

 

②ペナルティ
報告漏れがあった場合等には、6万ドル以下の罰金が科されることがあり、さらに刑事罰が適用されるケースもあります。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/12/23)より転載

[M&A担当者がまず押さえておきたい10のポイント]

第3回:売却するならどこがいい? -同業他社?大企業?ファンド?-

 

[解説]

松本久幸 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

大和田寛行 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

 

 

▷第2回:売却したいけれどどうしたらいい?  -会社を売却すると決めたら-

▷第4回:「事業譲渡と株式譲渡」どっちがいいの?-M&Aのスキーム-

▷第5回:実際に売却するときの留意点は?-DDの受入れや価格交渉-

 


会社を売却することを決めて、買い手候補先を探す場合に、どういった先がよいでしょうか?

 

前章にあったように、懇意にしている取引先がいて、そこが買い手候補先となってくれるというようなケースは、事業の内容もよくわかっているでしょうし、従業員もあの取引先であればと安心するでしょう。

 

しかし、そのような身近なところに買い手候補先があるケースは稀です。そうなると、顧問税理士や取引銀行、またはM&A仲介会社等にある程度幅広く買い手候補を探してもらうことになります。その場合にまず聞かれるのが、どういった先に売却することが、会社として、または、会社オーナーとして望ましいと考えるか、ということです。

 

 

会社の事業を継続して従業員や取引先も今まで通りの関係を継続して、ということになると、同業者や近い事業をしている事業会社が望ましい、ということになります。その場合に、買い手候補先の規模が小さ過ぎたり、資金力がなかったり等、何らかの不安があるような会社であれば買い手候補先としては不十分となってしまうでしょう。

 

最近の傾向としては、資金力もあって事業運営もしっかりしていて、人材も経営資源も豊富な上場会社が、自社の事業と近い事業を営む会社を買収するということが多くなっています。ですので、まずは自社と近い事業を営んでいる上場会社(またはそれに準ずる企業)から探してみる、ということが最初に考えられるステップです。

 

 

また、事業会社ではないものの、近年は様々な企業を買収して、種々の施策を打ってより良い会社にしていくことを目的とするファンドに売却するケースも増えています。事業会社では事業面や資金面での様々な制約があって売買条件が納得いくものとはならないようなケースであっても、ファンドであればそのような制約を乗り越えて納得のいく条件を提示してくれる、というケースもあります。

 

また、一昔前までは、ファンドという響きに対してネガティブなイメージもありましたが、最近はファンドもM&Aの有力な受け皿であるということが一般的に認知されてきておりますし、ファンド自体もそういったイメージを払拭しようとしていますので、以前ほどファンドに売却することを躊躇うケースは減っているのではないかと思われます。

 

そのため、まずは同業や近い業種の比較的規模の大きな事業会社を買い手候補先として探しながら、条件次第ではファンドにも接触する、というようなケースが多く見受けられるようになってきています。

 

 

 

 

どちらに売却するにしても、売却する側としては、会社が将来に向かって発展していくことを望むでしょうから、買い手候補先の将来のビジョンや当該M&Aの目的について、きちんと説明を受けた上で、売却する相手先を決めることが必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

第1回:「M&Aの概要」「M&Aの流れと専門家の役割」を理解する

~M&Aとは?M&Aの流れと専門家の役割とは?~

 

〈目次〉

1、M&Aとは?

2、M&Aの流れと専門家の役割とは?

① 売手企業と買手企業のマッチング

② IM(Information Memorandum)の作成

③ 売手企業に対するデューデリジェンス、バリュエーショ

④ 株式譲渡契約の締結

3、まとめ

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士 氏家洋輔

 

 

▷関連記事:財務デューデリジェンス(財務DD)の費用の相場とは?

▷関連記事:中小企業のM&Aの売手の流れ、買手の流れとは?

▷関連記事:事業引継ぎ支援センターとは?どのような相談ができる?

 

1、M&Aとは?


M&A(Mergers and Acquisitions)にはいくつかの種類がありますが、大きくは「会社の全部を譲渡する方法」と「会社の一部だけを譲渡する方法」の2つの方法に分けることができます。

 

前者の会社の全部を譲渡するスキームには「株式譲渡」「株式交換・株式移転」「合併」があり、後者の会社の一部を譲渡するスキームには「会社分割」「事業譲渡」があります。

 

それぞれのスキームには特徴があり、M&Aの目的や事業遂行上の問題、それぞれの企業の置かれている状況等により最適なスキームは異なってくるため、スキームの検討は専門家を交えて慎重に行う必要があります。

 

最も一般的なスキームである株式譲渡のイメージを下記に示します。

 

 

 

 

 

株式譲渡の場合、一般的には買手企業の方が規模が大きいことが多いため、上図では売手企業よりも買手企業を大きく描いています。

 

買手企業が売手企業の株主へ現金等を支払い、売手企業の株主から売手企業の株式全てを取得します。その結果、売手企業は買手企業の100%子会社となり、売手企業の株主は現金等の対価を手にすることになります。

 

2、M&Aの流れと専門家の役割とは?


①売手企業と買手企業のマッチング

一般的にM&AはFA(フィナンシャルアドバイザー)と呼ばれる専門家が関与します。

 

FAは、M&Aのマッチングからクロージングまで、売手企業又は買手企業(場合によっては双方)に対して、進め方のサポートや価格や条件面での交渉のアドバイス等を行う役割を担います。FAは様々な企業が行っており、M&Aの仲介会社はもとより、証券会社、投資銀行、銀行、コンサルティング会社、弁護士、公認会計士等が行います。

 

 

 

 

上図は、売手企業と買手企業の双方にFAがついている場合のイメージ図です。昨今では、投資先を探している企業が多く、売手企業に比べ買手企業が多いため、上図でも買手企業を3社としています。

 

FA(買手側)は買手企業A、買手企業B、買手企業Cとそれぞれアドバイザリー契約を結んでいて(結んでいない場合もあります)、FA(売手側)は売手企業の株主とアドバイザリー契約を結んでいることが一般的です。価格等を含む様々な条件により、買手企業と売手企業がマッチングしたら、基本合意契約を結びます。

 

 

②IM(Information Memorandum)の作成

売手企業と買手企業をマッチングさせ、プロセスをスムーズに進めるためにはIM(Information Memorandum)が必要になります。

 

売手企業がIMを作成することで、IMがない場合と比べて、買手企業は売手企業のことを短期間で深く理解することが可能となります。このIMの作成をサポートするのが、FAまたは財務等の専門家です。

 

財務等の専門家は、売手企業とアドバイザリー契約を結び、IMの作成支援を行います。財務等の専門家はIMの作成のみにとどまらず、売手企業の事業計画の策定支援や、株価上昇等のアドバイスを実施することもあります。

 

 

 

 

 

③売手企業に対するデューデリジェンス、バリュエーション

基本合意書を結んだ後、買手企業は売手企業を ①買うか買わないか、②買う場合、いくらで買うのか、③金額以外の条件はどうするか、④買収後の統合に向けた情報の整理等を検討します。

 

これらの検討は専門スキルが必要となるため、公認会計士、税理士および弁護士等が外部アドバイザーとして調査することが一般的です。

 

 

 

 

 

 

買手企業の財務等の専門家は買手企業と財務等アドバイザリー契約を結び、売手企業のデューデリジェンス、バリュエーション等を実施します。

 

買手企業の場合、M&Aが初めての会社もあれば毎月のようにM&Aを実施する会社もありますが、売手企業にとっては、財務デューデリジェンスの対象会社となることは、初めてのケースが多いです。

 

財務デューデリジェンスは専門的な調査を短期間で行うことが多く、売手企業にとっては大きな負担となります。そこで、売手企業の財務等の専門家がデューデリジェンスのサポートを行うことで、売手企業の負担を軽減することが可能となります。

 

さらに、M&Aの専門家である財務等の専門家がサポートを行うことで、買手企業の財務等の専門家とのコミュニケーションが円滑化され、買手売手双方にとってストレスを軽減し、スムーズにデューデリジェンスを完了することが可能となります。

 

 

④株式譲渡契約の締結

デューデリジェンスとバリュエーションの結果を受けて、買手企業と売手企業は最終の条件交渉を行い、双方合意すれば株式譲渡契約を締結します。

 

法務の専門家は契約書の作成や法律面でのアドバイスを、財務の専門家は金額等の財務面にかかる契約条件等のアドバイスを行います。

 

 

3、まとめ


以上のように、M&AではFAや財務の専門家、法律の専門家等様々な専門家が関与して多面的なサポートを行います。

 

特に中小零細企業では、M&A自体初めてのことも多く、たとえ案件規模がそれほど大きくなかった場合であっても、専門家の幅広いサポートが必要となることが多いです。また一定規模以上の会社では、専門家が社内にいる場合もありますが、M&Aをより成功に導くために、多くの社外専門家と上手く連携しM&Aをすすめてくことが重要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2019年12月17日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●経営管理者向けソフトウェアの開発、その他基幹システムの開発を請け負う。

[業種:受託開発ソフトウェア業/所在地:関東地方]

●種苗卸売業、有名キャラクター雑貨卸売業の2事業を展開

[業種:種苗卸売業/所在地:中部地方]

●品質には自信あり 高い技術力で基板実装を手掛けるEMS企業

[業種:EMS事業/所在地:近畿地方]

 

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案件No.SS005623
経営管理者向けソフトウェアの開発、その他基幹システムの開発を請け負う。

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)受託開発ソフトウェア業

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)経営管理者向けソフトウェア・パッケージの開発、販売、導入支援を行う他、基幹システムの開発も請け負う。

 

〔特徴・強み〕

◇商品特性上、多数の大企業を顧客として抱え、進行期も業績は安定して推移。
◇実質無借金経営、自己資本に裏付けされた展開が続く。

 

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案件No.SS005531
種苗卸売業、有名キャラクター雑貨卸売業の2事業を展開

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)種苗卸売業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)種苗及び雑貨卸売業

 

〔特徴・強み〕

◇種苗卸売業、雑貨卸売業の2事業を展開。売上比率は概ね5:5。
◇大手筋への販路を有する。
◇有名キャラクターのライセンスを保有。自社デザイナー用い商品企画している。

 

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案件No.SS005307
品質には自信あり 高い技術力で基板実装を手掛けるEMS企業

 

(業種分類)製造業

(業種)EMS事業

(所在地)近畿地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)100名超

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)基板実装を行うEMS事業(電子機器製造受託サービス)

 

〔特徴・強み〕

◇工作機械や電源装置の制御基板等、様々な製品の基盤実装を手掛けている。
◇試作や少量多品種生産にも対応可能。
◇日本国内だけでなく、海外にも製造拠点を有している。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[解説ニュース]

速報!令和2年度税制改正案 ~大綱に盛り込まれた資産課税を中心とする改正案の主な内容は以下のとおり~

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

【土地・住宅税制(所得税・登録免許税・印紙税)】

《「令和2年度税制改正大綱」P33~34、27~28、29、50、52》改正案


1.国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例【創設】

(1)個人が令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合に、その年分の不動産所得の金額の計算上、国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用において生じなかったものとみなされる。

 

(注1)「国外中古建物」とは、個人において使用され又は法人において事業の用に供された国外にある建物であって、個人が取得してその個人の不動産所得を生ずべき業務の用に供したもののうち、不動産所得の金額の計算上その建物の償却費として必要経費に算入する額を計算する際の耐用年数を、次の方法により算定しているものをいう。

 

①法定耐用年数の全部を経過した資産について、その法定耐用年数の20%に相当する年数を耐用年数とする方法。

 

②法定耐用年数の一部を経過した資産について、その資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に、経過年数の20%に相当する年数を加算した年数を耐用年数とする方法。

 

③その用に供した時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とする方法(使用可能期間の年数が適切であることを証する一定の書類の添付がある場合を除く)。

 

(注2)「国外不動産所得の損失の金額」とは、不動産所得の金額の計算上生じた国外中古建物の貸付けによる損失の金額(その国外中古建物以外の国外にある不動産等から生ずる不動産所得の金額がある場合は、その損失の金額をその国外にある不動産等から生ずる不動産所得の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額)をいう。

 

 

(2)上記(1)の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上、その取得費から控除する償却費の額の累計額からは、上記(1)によりなかったものとみなされた償却費に相当する部分の金額が除かれる。

 

 

2.配偶者居住権の消滅等に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費【整備】

(1)配偶者居住権及び又は配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を配偶者居住権に基づき使用する権利(以下「配偶者敷地利用権」)が消滅等し、その消滅等に係る対価の支払を受ける場合には、その対価の額に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、次の算式により計算される。

 

(算式)被相続人に係る配偶者居住権の目的となっている建物又はその建物の敷地の用に供される土地等(以下「居住建物等」)の取得費*1×配偶者居住権等割合*2-配偶者居住権の設定から消滅等までの期間に係る減価の額

 

*1 建物の取得費については、その取得の日からその消滅等の日までの期間に係る減価の額を控除する。
*2 配偶者居住権等割合=その配偶者居住権の設定時における配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の価額に相当する金額÷居住建物等の価額に相当する金額

 

 

(2)相続により居住建物等を取得した相続人が、配偶者居住権及び配偶者敷地利用権が消滅する前にその居住建物等を譲渡した場合において、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その居住建物等の取得費から配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の取得費を控除した金額とされる。

 

(注)上記の居住建物等のうち建物の取得費については、その取得の日から譲渡の日までの期間に係る減価の額を控除することとし、上記の配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の取得費については、その配偶者居住権の設定の日から譲渡の日までの期間に係る減価の額を控除する。

 

 

3.居住用財産の譲渡に係る譲渡所得の特例【適用期限の延長・見直し】

(1)①特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例、②居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等及び③特定居住用財産の讓渡損失の繰越控除等の適用期限が、それぞれ2年延長される。

 

 

(2)住宅の取得等をした家屋(以下「新規住宅」)をその居住の用に供した個人が、その居住の用に供した日のする年から3年目に該当する年中に新規住宅及びその敷地の用に供されている土地等以外の資産の譲渡(以下「従前住宅等の譲渡」)をした場合に、その者が従前住宅等の譲渡につき次に掲げる特例の適用を受けるときは、新規住宅について、所得税の住宅借入金等特別控除等の適用を受けることができない。

 

①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
②居住用財産の譲渡所得の特別控除
③特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期渡所得の課税の特例
④既成市街地等内の土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例

 

(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に従前住宅等の譲渡をする場合について適用される。

 

 

4.登録免許税・印紙税の特例【適用期限の延長】

(1)住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の税率の特例の適用期限が、令和4年3月31日まで2年延長される。

 

(2)不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例の適用期限が、令和4年3月31日まで2年延長される。

 

【消費税】

《令和2年度税制改正大綱」P84~85、82》改正案


1.居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等【見直し】

(1)住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」)の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用が認められない。ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については、引き続き仕入税額控除制度の対象とされる。

 

(注)高額特定資産とは一取引単位につき支払対価の額が税抜1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいう。

 

 

(2)上記(1)により仕入税額控除制度の適用を認めないこととされた居住用賃貸建物について、その仕入れの日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合又は譲渡した場合には、それまでの居住用賃貸建物の貸付け及び譲渡の対価の額を基礎として計算した額を、その課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入控除税額に加算して調整が行われる。

 

 

2.住宅の貸付けに係る消費税の非課税【見直し】

契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、その貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税は非課税とされる。

 

 

3.高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度【見直し】

適用を制限する措置の対象に、高額特定資産である棚卸資産が納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚資産に係る消費税額の調整措置(以下「棚卸卸産の調整措置」)の適用を受けた場合が追加される。

 

(注)上記1の改正は令和2年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について、上記2の改正は同年4月1日以後に行われる貸付けについて、上記3の改正は同日以後に棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合について、それぞれ適用される。ただし上記1の改正は、同年3月31日までに締結した契約に基づき同年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合には、適用されない。

 

 

4.法人に係る消費税の申告期限の特例【創設】

法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、その提出をした日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間に係る消費税の確定申告書の提出期限が1ヶ月延長される。

 

(注)上記4の改正は、令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用される。なお上記提出期限が延長された期間の消費税の納付は、その延長された期間に係る利子税を併せて納付する必要がある。

 

 

【その他 (法人税・相続税・贈与税・国外財産調書等)】

《「令和2年度税制改正大綱」P76、50、94~96、93》


1. 法人の長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物等への買換えの特例【適用期限の延長・見直し】

買換資産から鉄道事業用車両運搬具を除外し、所要の経過措置が講じられた上で、その適用期限が令和5年3月31日まで3年延長される。

 

 

2.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等【適用期限の延長】

良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限が令和5年9月30日まで3年延長される。

 

 

3.国外財産調書制度等【見直し等】

(1)相続国外財産に係る相続直後の国外財産調書への記載の見直し等

相続開始年の12月31日においてその有する国外財産に係る国外財産調書については、その相続又は遺贈により取得した国外財産(以下「相続国外財産」)を記載しないで提出することができる。この場合において、国外財産調書の提出義務については、国外財産の価額の合計額からその相続国外財産の価額の合計額を除外して判定する。

 

なお上記の取扱いは、財産債務調書における相続又は遺贈により取得した財産(以下「相続財産」)も同様とされる。

 

(注)上記の改正は、令和2年分以後の国外財産調書又は財産債務調書について適用される。

 

(2)国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の見直し

①国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置(以下「加算税の加重措置」)の適用対象に、相続国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合が追加される。

 

②その年の12月31日において相続国外財産を有する者の責めに帰すべき事由がなく、提出期限内に国外財産調書の提出がない場合や、国外財産調書に記載すべき相続国外財産の記載がない場合(記載不備を含む)には、原則として加算税の加重措置は適用されない。(財産債務調書における相続財産についても同様とされる)。

 

(3)国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示等がない場合の加算税の軽減・加重措置の特例の創設

国外財産を有する者が、国税庁職員から国外財産調書に記載すべき国外財産の取得、運用又は処分等に係る書類のうち、その者が通常保存し、又は取得することができると認められるものの提示又は提出を求められた場合において、その提示等を求められた日から一定の日までにその提示等をしなかったときは、原則として①その国外財産に係る加算税の軽減措置は適用せず、②その国外財産に係る加算税の加重措置については、その加算する割合が10%*(適用前加算割合:5%)とされる。

*上記(2)②に該当する場合には、その加算する割合が5%(適用前加算割合:なし)とされる。

 

(注)上記の改正は、令和2年分以後の所得税又は令和2年4月1日以後に相続若しくは遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される。

 

 

4.納税地の異動があった場合の振替納税手続の簡素化【見直し】

個人が令和3年1月1日以後に提出する納税地の異動届出書等について、「振替納税を行う個人が他の税務署管内へ納税地を異動した場合には、異動後も従前の金融機関の口座から振替納税を行う」旨をその異動届出書等に記載したときは、異動後の所轄税務署長に対してする申告等について振替納税を引き続き行うことが可能とされる。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/12/16)より転載

[M&Aニュース](2019年12月3日〜12月13日)

◇ぺんてる陣営が株式「50%超」を確保、コクヨによる子会社化を阻止、◇HOYA<7741>、ニューフレアテクノロジー<6256>の子会社化を目指してTOB参戦、東芝グループに対抗、◇コクヨ、子会社化を目指す「ぺんてる」株の持ち株比率45.66%に、◇サノヤスホールディングス<7022>、電力関連機器メーカーのハピネスデンキを子会社化、◇大王製紙<3880>、民事再生手続き中のカタログ印刷「千明社」の事業を取得、◇西華産業<8061>、水中ポンプの欧州販売代理店である英 Obart Pumpsを子会社化、◇ヤマダ電機<9831>、経営再建中の大塚家具<8186>を子会社化、◇ソニー<6758>、子ども向けアニメ制作会社の米シルバーゲートを買収 ほか

 

 

 

 

 

ぺんてる陣営が株式「50%超」を確保、コクヨによる子会社化を阻止

2019-12-13

筆記具大手のぺんてる(東京都中央区)と文具総合大手のプラス(東京都港区)は13日、ぺんてる株を買い付けるためにプラスが設立したジャパンステーショナリーコンソーシアム合同会社、JSC)が持ち株比率で約30%を取得したと発表した。ぺんてる経営陣の保有分と合わせて、全発行済み株式に対する持ち株比率は「50%を優に超える」としている。ぺんてるを巡っては子会社化を目指して業界最大手のコクヨが株式の買い付けを進めていたが、過半数に届かず、ぺんてる・プラス陣営が勝利した。

コクヨは11月15日に、持ち分法適用関連会社であるぺんてるの株式を追加取得し、37.8%の持ち株比率を50%超に引き上げて子会社化する方針を発表した。これに反発するぺんてる経営陣の賛同を得て、プラスは12月10日を期限として、1株3500円でぺんてる株式の買い付けに乗り出していた。

ぺんてるの発表によると、約200人(持ち株比率約30%)の同社株主がプラス傘下のJSCの株式買い付けに応募した。コクヨはプラスを700円上回る4200円(当初3500円で、その後2度引き上げ)の買付価格を提示したが、ぺんてるの従業員やOBを中心とする株主の多くが会社側を支持した。ぺんてるは、コクヨによる子会社化という目論見が阻止され、自主独立の経営を継続することが確保されたとの判断を示した。

ぺんてるとプラスは今後、協業関係を推し進める考え。一方、ぺんてるは敵対的買い付けを行ったコクヨとの「協力関係構築に向けた協議」を打ち切る。

コクヨは12日、45.66%のぺんてる株式を取得予定だと発表した。これに対し、ぺんてるはコクヨが買い付けた約8%の株式について譲渡を承認しない方針を示した。

ただ、子会社化を阻止したとはいえ、引き続き、対立関係にあるコクヨがぺんてるの筆頭株主であることは変わらず、自主独立の経営を進めるうえで道のりは険しい。

 

 

 

 

HOYA<7741>、ニューフレアテクノロジー<6256>の子会社化を目指してTOB参戦、東芝グループに対抗

2019-12-13

HOYAは13日、東芝グループの半導体製造装置メーカー、ニューフレアテクノロジー(ジャスダック上場)に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。買付代金は最大約1477億円。ニューフレアを巡っては現在、同じく完全子会社化を目指して東芝子会社の東芝デバイス&ストレージ(東京都港区)によるTOBが12月25日を期間として進行中。このTOBが不成立になった場合に、HOYAは2020年4月をめどにTOBを開始予定。TOBに新たに参戦するHOYAは買付価格として東芝デバイス&ストレージを1000円上回る1万2900円を提示している。

HOYAは買付予定数の下限を総議決権の3分の2以上にあたる66.67%(所有割合)と設定。上限については設定せず、完全子会社化を目指す。ニューフレアの株式52.4%を持つ東芝デバイス&ストレージがHOYAのTOBに応募することが条件となる。ニューフレアについては東芝機械も16%弱を保有する。

買付価格は東芝デバイス&ストレージの1万1900円に対し、HOYAの提示は1万2900円。TOB公表前日のニューフレア株式の終値1万1872円に対して8.13%、直近6カ月間の終値単純平均値8343円に対して54.62%のプレミアムを加えた。HOYAは、東芝グループにとっても今回のTOBは魅力的なものであり、応募いただけるものと考えている、としている。

ニューフレアは親会社の東芝デバイス&ストレージの意向を確認し、対応を検討する予定。

 

 

 

 

コクヨ、子会社化を目指す「ぺんてる」株の持ち株比率45.66%に

2019-12-12

コクヨは12日、子会社化を目指す筆記具大手のぺんてる(東京都中央区)株式の買付状況について、議決権ベースで7.86%の応募があり、同日時点で持ち株比率が45.66%になったと発表した。株主から応募の意向があったもののうち、売買契約が締結されていない株式数(約0.6%)は含まれていない。約300人の全株主のうち、100人を超える応募があったとしている。買付価格は1株あたり4200円。買付期間は15日までで、最終的に50%超の取得を目指している。

コクヨは11月15日に、持ち分法適用関連会社であるぺんてるの株式を追加取得し、子会社化する方針を発表した。1株3500円で既存株主から株式を買い取り、37.8%の持ち株比率を50%超に高める内容だった。ところが、これに反発するぺんてる経営陣の賛同を得て、同業の総合文具大手、プラスが同じ3500円でぺんてる株の買い付けを開始したことを受け、その後、コクヨは買付価格を2度積み増して4200円に引き上げた経緯がある。

プラスによる買い付けは12月10日に終了。20%程度の応募があったとされているが、詳細は明らかにしていない。

コクヨとしては買付期間の15日までに目標とする50%超の持ち株比率に届くかどうか微妙な状況。今後の方針として、今回の買い付けに応募しなかったぺんてる株主のうち、あらためて株式を売却したいとの意向があれば、追加で株式を取得することを検討するとしている。

 

 

 

 

サノヤスホールディングス<7022>、電力関連機器メーカーのハピネスデンキを子会社化

2019-12-12

サノヤスホールディングスは、電力関連機器メーカーのハピネスデンキ(東京都大田区。売上高31億1000万円、営業利益1億8500万円、純資産6億7200万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

ハピネスデンキは1919年に創業。動力制御盤や分電盤、配電盤などを製造し、官公庁や大学、大型ビル、空港などに多数の納入実績を持つ。サノヤスは造船・プラント事業を主力とするが、ハピネスを傘下に取り込むことで、第2の柱である各種産業機器事業の基盤強化につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月6日。

 

 

 

 

大王製紙<3880>、民事再生手続き中のカタログ印刷「千明社」の事業を取得

2019-12-12

大王製紙は12日、民事再生手続き中で通販向けカタログ印刷を主力とする千明社(東京都千代田区)に対し、スポンサーとして再建支援することを決めたと発表した。新会社として同名の千明社(埼玉県幸手市)を設立し、千明社の事業を2020年1月7日付で承継する。千明社は11月13日に東京地裁に民事再生法の適用を申請し、約30億円の負債を抱え、行き詰まった。

大王製紙は製紙業界で唯一、商業印刷やシール・ラベル印刷、ビジネスフォーム印刷などからなる総合印刷会社をグループ内に抱え、原紙から印刷まで一貫して対応できる独自の営業体制を築いている。千明社は創業64年で、大手直需ユーザーと強固な取引基盤を持つ。大王製紙グループとの一体運営により早期にシナジー(相乗効果)獲得を目指す。

取得価額は非公表。

 

 

 

 

西華産業<8061>、水中ポンプの欧州販売代理店である英 Obart Pumpsを子会社化

2019-12-12

西華産業は、水中ポンプに関する欧州販売代理店の英 Obart Pumps (Holdings) Limitedの株式80%を取得し子会社化することを決議した。Obart Pumpsは持ち株会社で、その傘下の事業会社の業績は売上高7億1200万円、営業利益7400万円、純資産3億1400万円。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月1日。

 

 

 

 

ヤマダ電機<9831>、経営再建中の大塚家具<8186>を子会社化

2019-12-12

ヤマダ電機は12日、経営再建中の大塚家具の第三者割当増資を引き受け、12月30日付で子会社化すると発表した。43億7400万円を投じて、議決権ベースで51.74%の株式を取得する。住まい分野への事業展開を進めるヤマダ電機は今年2月に大塚家具と業務提携したが、自社の利益向上や大塚家具の経営改革の進展が確認できたとし、子会社化に踏み込むことにした。併せて総額21億8700万円で新株予約権も引き受ける。

ヤマダ電機はリフォームやインテリアなど住宅関連の売り場を充実した「家電住まいる館」の展開に力を入れている。大塚家具との業務提携により、「家電住まいる館」への商品供給やホテル・オフィスといった法人分野での家具納入などで協業を進めてきた。

大塚家具の2018年12月期決算は売上高373億円、営業赤字51億円、最終赤字32億円で、3年連続で減収、3年連続の赤字となった。2020年4月期(16カ月変則決算)はこれまで売上高442億円、営業利益1億5700万円、最終利益2500万円を見込んでいたが、同日、各項目について「未定」に修正した。大塚家具は再建の一環として、昨年12月には中国の家具大手の「居然之家」(イージーホーム)と業務提携している。

 

 

 

 

ソニー<6758>、子ども向けアニメ制作会社の米シルバーゲートを買収

2019-12-11

ソニーは11日、米子会社ソニー・ピクチャーズエンタテイメントの傘下企業を通じて、子ども向けメディア企業の米シルバーゲート・メディアを買収したと発表した。買収金額は約1億9500万ドル(約213億円)。アニメーション「すすめ!オクトノーツ」の権利を保有する会社の49%の持ち分や、「ピーターラビット」テレビシリーズを制作する会社の31%の持ち分が含まれる。

シルバーゲートは2011年に設立し、子ども向けアニメの開発・制作とライセンスの提供を手がける。中国ビジネスに強みを持つという。

 

 

 

 

キングジム<7962>、作業用手袋製造のウインセスなど2社を子会社化

2019-12-11

キングジムは、工場用作業手袋を製造するウインセス(高松市。売上高10億5000万円、営業利益6100万円、純資産10億2000万円)の株式65.7%、クリーンルーム用手袋製造のウインズ(高松市、売上高1億8000万円、営業利益500万円、純資産1億6500万円)の全株式をそれぞれ取得し子会社化することを決議した。両社は兄弟会社。

キングジムは文具事務用品とインテリア雑貨の製造・販売を主力とする。販売面の補完関係など、相互の経営資源を有効活用して事業拡大を目指すことで認識が一致したとしている。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月10日。

 

 

 

 

ベステラ<1433>、インターアクションから3次元スキャン・モデリング事業を取得

2019-12-10

ベステラは、光源装置・画像検査装置メーカーのインターアクション(横浜市)から3次元(3D)事業などを取得することを決議した。ベステラが月内に全額出資で設立する新会社の3Dビジュアル(千葉市)が事業を引き継ぐ。

ベステラは電力や製鉄、石油精製、石油化学などの大規模プラント設備の解体工事を主力とし、3Dスキャン技術などを活用して安全で効率的な解体工事計画の提案に力を入れている。

今回、インターアクションから取得するのは3Dスキャン・3Dモデリング(造形)事業とプラント設計事業。対象事業の直近売上高は1億1300万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月1日。

 

 

 

 

ハークスレイ<7561>、仕出し料理の味工房スイセンを子会社化

2019-12-10

ハークスレイは、仕出し料理やケータリング事業を手がける味工房スイセン(東京都品川区)の全株式を取得し子会社化した。味工房スイセンは1991年に設立。ハークスレイは持ち帰り弁当「ほっかほっか亭」を全国展開する。取得価額は非公表。取得日は2019年12月9日。

 

 

 

 

アイフリークモバイル<3845>、ソフト開発のリアルタイムメディアなど2社を子会社化

2019-12-09

アイフリークモバイルは、ソフト開発のリアルタイムメディア(東京都渋谷区。売上高3億8200万円、営業利益△1210万円、純資産7990万円)、コンテンツ配信サーバーの設計・開発を手がけるリアリゼーション(東京都港区。売上高4億8100万円、営業利益△1310万円、純資産4230万円)の2社を株式交換で子会社化することを決めた。高度なIT技術と人的資源の獲得が狙い。

株式交換比率はアイフリーク1:リアルタイムメディア2831.54、アイフリーク1:リアリゼーション538.67。株式交換日は2020年1月1日。リアリゼーションはリアルタイムメディアの関係会社。

 

 

 

 

GA technologies<3491>、高級賃貸サービスサイトを運営するモダンスタンダードを子会社化

2019-12-09

GA technologiesは、高級賃貸サービスサイトを運営するモダンスタンダード(東京都港区。売上高8億2900万円、営業利益△5100万円、純資産2700万円)の株式67%を取得し、9日付で子会社化した。そのうえで、2020年1月15日に残る株式を株式交換で取得し、完全子会社化する。株式取得価額は10億円。株式交換比率はGA1:モダンスタンダード1515。

モダンスタンダードは2009年設立で、7万人の会員を持つ高級賃貸サービスサイト「Modern Standard」を運営し、富裕層や高所得者層を中心にユーザーを獲得している。

GAは中古不動産の売買を中心にリノベーションや不動産投資などのサービスを提供する自社の不動産テック総合ブランド「RENOSY」を展開している。モダンスタンダードを傘下に取り込むことで、販売網の相互活用などを通じて両社のサービス提供機会を拡大する。

 

 

 

 

ヘリオス テクノ ホールディングス<6927>、人材サービス子会社の日本技術センターをMBOの一環で雄渾キャピタル・パートナーズに譲渡

2019-12-09

ヘリオス テクノ ホールディングスは、100%出資の人材サービス子会社の日本技術センター(兵庫県姫路市。売上高60億5000万円、営業利益8700万円、純資産8億6400万円)の全株式を、投資会社の雄渾キャピタル・パートナーズ(東京都千代田区)に譲渡することを決議した。日本技術センターの竹中隆社長ら経営陣からの申し出に基づくMBO(経営陣による買収)の一環。

ヘリオスが主力とする産業機械や検査・計測装置などの製造装置事業とのシナジー効果が十分に発揮・活用できていない状況にあることから、人材サービス事業を切り離す。併せて、人材サービス子会社のテクノリンク(京都市)も雄渾キャピタル・パートナーズに譲渡する。

日本技術センター、テクノリンクのいずれも譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年1月6日。

 

 

 

 

加賀電子<8154>、エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化

2019-12-09

加賀電子は9日、同業のエレクトロニクス商社で東証1部上場のエクセルと2020年4月1日に経営統合すると発表した。旧村上ファンド系の投資会社であるシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が主導したうえで、加賀電子がエクセルの全株式を取得する。株式の取得価額は1億円(別にアドバイザリー費用2億5000万円)。これに伴い、加賀電子は約82億円を負ののれん発生益として、2020年3月期決算の特別利益に計上する。

シティインデックスイレブンスは、金銭対価による株式交換でエクセルを完全子会社化する。旧村上ファンドの関係者が運営する企業グループはエクセル株式の40%弱を保有しており、残る株式について1株あたり1610円で金銭を交付する(総額は約139億円)。そのうえで、エクセルは事業運営上必要な資産を残したうえで、事業運営に必ずしも必要とならない不動産などその他の資産を現物配当としてシティインデックスに移管する。この現物出資を踏まえ、シティインデックスがエクセルの全株式を加賀電子に譲渡する手順となる。

加賀電子はエクセル株の取得に合わせ、エクセルの資金繰りを支援するため、80億円程度の運転資金を貸し付ける予定。

2020年3月期の売上高予想は加賀電子が4300億円、エクセルが570億円。エクセルは2020年2月14日の臨時株主総会で統合を諮る。上場廃止日は同年3月30日。

 

 

 

 

AGC<5201>、セントラル硝子<4044>と国内建築用ガラス事業を2020年12月に統合へ

2019-12-09

AGCとセントラル硝子は9日、国内建築用ガラス事業を統合することで基本合意したと発表した。2020年12月末をめどに事業統合の完了を目指す。新設住宅着工の減少や複層ガラスの普及に伴う需要構造の変化などを受け、今後も厳しい環境が予想されることから、事業統合によって経営の効率化や収益性の向上などを目指す。事業統合の具体的な内容については両社間で今後協議を進める。

AGCは国内ガラス業界首位で、セントラル硝子は同3位。両社とも経営の主軸を自動車用ガラスなどに置いており、とりわけ国内市場が縮小する建築用ガラスについてはかねてから抜本的な構造改革が課題となっていた。

 

 

 

 

ジェイテクト<6473>、トヨタ自動車傘下の豊精密工業を子会社化

2019-12-04

ジェイテクトは4日、トヨタ自動車が100%出資する自動車部品メーカー、豊精密工業(愛知県瀬戸市。売上高485億円、営業利益22億6000万円、純資産126億円)の全株式を取得し、子会社化すると発表した。取得価額は100億4500万円。取得予定日は2020年1月1日。豊精密は1958年設立で、自動車の駆動部品であるデファレンシャルギヤやデファレンシャルアッセンブリーの開発・製造を主力とする。

 

 

日本電産<6594>、無人搬送機用電子部品の米ロボテックを子会社化

2019-12-04

日本電産は、無人搬送機に使われる電子部品(超低電圧ドライブ)の設計・開発を手がける米ロボテック(アリゾナ州)の株式90%を取得し、子会社化した。同社を取り込むことで、無人搬送機メーカーにサーボモーターと精密ギアボックス製品にとどまらず、モーター制御システムに関する各種サポートをワンストップで提供可能になるという。取得価額、取得日は非公表。

ロボテックは2002年に設立し、2019年12月期の売上高は約9億9000万円を見込む。従業員は20人。

 

 

 

 

日本ヒューム<5262>、プレキャストコンクリート製品のタイ子会社化を現地企業に譲渡

2019-12-03

日本ヒュームは、プレキャストコンクリート製品の製造・販売、施工を手がけるタイ子会社NIPPON HUME CONCRETE(バンコク。売上高4億9700万円、営業利益△6940万円、純資産△3億9700万円)の株式60%を、現地投資会社MONGHENG GROUPに譲渡することを決議した。持ち株比率は15.95%に低下するが、現地企業とのパートナーシップを通じて事業再構築を進めることが得策と判断した。NIPPON HUME CONCRETEは1987年に設立。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2019年12月4日。

 

 

 

 

アステラス製薬<4503>、遺伝子治療分野強化へ米バイオ企業「オーデンテス」を約3200億円で子会社化

2019-12-03

アステラス製薬は3日、米バイオテクノロジー企業のオーデンテス・セラピューティクス(サンフランシスコ)を買収することで合意したと発表した。TOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化を目指す。買収金額は約30億ドル(約3200億円)で、2020年1~3月の完了を見込む。今後の成長領域と位置づける遺伝子治療薬の事業強化につなげる。

オーデンテスは2012年に設立し、米ナスダックに株式上場。希少かつ重篤な神経筋疾患を対象にアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく遺伝子治療薬の研究開発に取り組んでいる。AAVを活用した有望なパイプライン(新薬に結び付く開発中の新規候補物質)を持つ。

アステラスは米子会社を通じてオーデンテスに対してTOBを実施する。買付価格は1株60ドルで、12月2日の終値(28.61ドル)に110%のプレミアムを加えた。オーデンテスの取締役会は株主にTOBへの応募を推奨している。

 

レッグス<4286>、インフルエンサーマーケティング事業のRERAISEを子会社化

2019-12-03

レッグスは、インフルエンサーマーケティング事業を手がけるRERAISE(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。インフルエンサーを活用した販促プロモーションの企画・実施やグッズの企画・製作・販売などの取り組みを強めるのが狙い。取得価額は4000万円。取得日は非公表。

 

 

ミンカブ・ジ・インフォノイド<4436>、不動産ファンドに特化した情報・システム会社Prop Tech plusを子会社化

2019-12-03

ミンカブ・ジ・インフォノイドは、不動産ファンドに関する情報サイトの運営などを手がけるProp Tech plus(東京都港区。売上高8億4200万円、営業利益9450万円、純資産6億3700万円)の株式66.73%を取得し子会社化することを決議した。

Prop は不動産投資信託(REIT)など不動産ファンドに特化した個人投資家向け情報サイト「JAPAN REIT.COM」を運営するほか、不動産ファンド向けシステム開発・Web構築などのソリューション事業を展開している。

ミンカブは国内株式を中心に外国株式、外国為替、商品先物、指数、仮想通貨、保険など様々な金融情報を提供している。約17兆円と時価総額で東証2部の倍以上の規模を持つREIT市場の有力情報・システム会社を傘下に取り込むことで、新たな安定収益源を獲得する。

取得価額は12億9200万円。取得予定日は2019年12月27日。

 

 

日本PCサービス<6025>、スマホステーションのスマホ修理事業を取得

2019-12-03

日本PCサービスは、スマホステーション(東京都武蔵野市)が手がけるスマートフォン修理事業を取得することを決めた。当該事業の直近売上高は8620万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月。来年1月に設立する同名の新会社「スマホステーション」(東京都武蔵野市)が事業を引き継ぐ。

スマホステーションはスマホ修理店を関東から沖縄にかけて11店舗(直営店2、フランチャイズ店9)を展開するほか、スマホの修理状況や店舗運用、顧客管理などの関連システムを自社で開発してきた。日本PCサービスは同社をグループに迎えることで、スマホ修理店の増加によるスケールメリットの拡大にとどまらず、システム開発力を取り込み、業務効率改善を期待している。

日本PCサービスは今年3月に、スマホやゲーム機器の修理店「スマホスピタル」を関東や関西で約80店舗運営するスマホスピタル(大阪市)を傘下に収め、出遅れていた修理分野の強化に乗り出している。今回のスマホステーションからの事業取得もこの一環。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務]

第1回:実行段階におけるM&A 支援業務の相互関連性

~デューデリジェンス・スキーム策定・バリュエーションの関連性~

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 宮口徹

 


Q、税理士が行うM&A 支援業務の相互の関連性を教えてください。

 

A、DD により検出されたリスク要因をスキームの工夫によって遮断・軽減できる場合があります。また、リスク要因はバリュエーションにマイナスの影響を及ぼしますが、これもスキームの工夫で軽減させることが可能な場合があるなど各業務は密接に関連しています

 

 

 

 

 

図表はM&A の実行段階における支援業務の全体像と関連性を示したものです。DD、バリュエーション及びスキーム策定は独立したものではなく相互に関連していることを理解することが重要です。

 

 

まず、DD ですが、図に列挙したとおり、各種観点から対象会社をM&A で取得する際のリスク要因を洗い出す手続きとなります。税理士や会計士が行う財務・税務DD は必須の手続きと言えます。

 

 

弁護士が行う法務DD も大多数の案件で行われますが、図表 のDD の欄内の④以降のDD については必要に応じて行われます。めっき工場の売買で土地の環境汚染が心配であれば専門家に依頼し環境DD を行いますし、多様な形態で人員を雇用し、未払残業代や名ばかり管理職など労働法規上の問題が懸念されるのであれば社会保険労務士に依頼して人事面の調査を行うといった感じです。こうしたDD を行う場合、案件全体をコントロールする税理士としては常にリスクを定量化する思考を持つことが大切です。金額に換算できるリスクであれば売買金額の調整などでクリアできるためです。

 

 

次にスキーム策定ですが、DD において検出されたリスクについてスキームを工夫することで遮断したり軽減したりできることがあります。株式取得では対象会社の潜在リスクが全て引き継がれますが、スキームを事業譲渡に切り替えることによりリスクを遮断するといった対応が可能です。また、スキームを工夫することで税金コストの削減が可能になるのであれば、利益やキャッシュフローが増加しますので株価評価にもプラスの影響が生じます。

 

 

最後にバリュエーション(価値算定)ですが、DD においてリスクが検出された場合、当然に評価額に対してマイナスの影響を与えます。中小企業のM&A では仲介会社方式と呼ばれる方法が一般的です。

 

 

以上、M&A の実行段階における支援業務の相互関連について説明しました。

 

 

 

(「税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務」より)

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2019年12月10日)

-以下のM&A案件(5件)を掲載しております-

 

●自社開発のブランドを有する食肉卸売小売会社

[業種:食肉卸売業/所在地:中部地方]

●無垢素材を活用した木造住宅の設計施工販売と高い収益力を有する太陽光売電事業を展開

[業種:木造建築工事業/所在地:関東地方]

●海洋深層水ミネラルウォーターの製造・販売を手掛ける。

[業種:飲料卸売業/所在地:西日本]

●豪華設備を有するリゾートホテル。特徴的な立地で、景観目当ての利用客多数。

[業種:旅館・ホテル/所在地:関東地方]

●【好立地】重量物運送業

[業種:一般貨物自動車運送業/所在地:関東地方]

 

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案件No.SS005577
自社開発のブランドを有する食肉卸売小売会社

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)食肉卸売業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)食肉卸売小売業

 

〔特徴・強み〕

◇豚肉、牛肉を中心に扱う食肉卸売、小売会社。
◇契約牧場から直接仕入れる商流であり、育種の段階から品質向上に努める。
◇自社ブランド豚は約20年かけ開発。
◇得意先は中部から関東にまで及び200先超。

 

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案件No.SS005465
無垢素材を活用した木造住宅の設計施工販売と高い収益力を有する太陽光売電事業を展開

 

(業種分類)建設・土木

(業種)木造建築工事業

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)木造住宅設計施工業及び太陽光等売電事業

 

〔特徴・強み〕

◇木造住宅部門は自然素材の活用した独自のブランドと、高い設計力に強みを有する。
◇太陽光等売電事業部門は固定買取価格42円の極めて高い収益性を有する。

 

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案件No.SS005259
海洋深層水ミネラルウォーターの製造・販売を手掛ける。

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)飲料卸売業

(所在地)西日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)海洋深層水を脱塩処理した飲料水を製造、販売している。

 

〔特徴・強み〕

◇一定の販路を有し、災害備蓄用のOEM製品も製造。
◇業績は安定しているが、増産余地があり、更なる販路拡大を目指す。

 

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案件No.SS005029
豪華設備を有するリゾートホテル。特徴的な立地で、景観目当ての利用客多数。

 

(業種分類)ホテル・旅館業

(業種)旅館・ホテル

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)宿泊・温浴施設運営。 客室50室以上。低価格帯~高級路線まで幅広いニーズに対応可能。

 

〔特徴・強み〕

◇施設は築年数浅く、当地内で最新。
◇漁港から直接仕入れる鮮魚が高評価。

 

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案件No.SS004502
【好立地】重量物運送業

 

(業種分類)物流・運送

(業種)一般貨物自動車運送業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)重量物運送業

 

〔特徴・強み〕

◇産業用機械等重量物をトレーラーで運搬する運送業者
◇好立地で足許黒字

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[解説ニュース]

法人税法132条の2・・・組織再編成に係る行為・計算の一般的否認規定・・・の及ぶ範囲

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(亀山 孝之/税理士)

 

1. 法人税法132条の2と同法57条②③


法人税法132条の2は、合併、分割、現物出資(中略)又は株式交換若しくは株式移転」に係る法人の法人税につき更正をする場合において、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われたときに、税務署長がその行為又は計算にかかわらず法人税額等を計算することができる旨規定しています(組織再編成に係る一般的否認規定)。

 

適格合併(同法2条12の8)が行われた場合、同法57条2項は、被合併法人にいわゆる繰越欠損金があるとき、簡単に言うと、合併法人がその繰越欠損金を引き継いで自らの繰越欠損金として利用できる旨規定しています。一方、その規定に対する個別の否認(制限)規定として同条3項があり、同項は適格合併に係る被合併法人と合併法人等との間に支配関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式の50%を超える数の株式を直接又は間接に保有する関係その他の一定の関係)があり、その支配関係が、合併法人の適格合併があった事業年度開始の日の5年前の日後に生じている場合は、その適格合併が、共同で事業を営むための一定の場合に該当しない限り、その被合併法人の支配関係が生じた日の属する事業年度より前の事業年度に生じた繰越欠損金は合併法人に引き継げない旨規定しています。この3項の規定は、上記の支配関係が上記5年前の日より前に生じている場合(以下「支配関係5年超」)には適用されないので、2項の規定によれば被合併法人の繰越欠損金は制限なく合併法人に引き継がれます。

 

3項が適用されない支配関係5年超の適格合併に係る繰越欠損金の引継ぎについて、さらに上記の一般的否認規定を適用することが許されるのか、ということが争われた裁判例を2で紹介します。許されるとなれば、次に、その適格合併による繰越欠損金の引継ぎが「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」か否かの判定に進むことになります。

 

2. 令和元年6月27日東京地裁判決の判示の要旨


「同法132条の2は、その文言上、組織再編成に係る特定の行為又は計算を否認の対象とし、あるいは否認の対象から除外するとはされていない。また、同条は、組織再編成が、その形態や方法が複雑かつ多様であるため、これを利用して巧妙な租税回避行為が行われやすく、租税回避の手段として濫用されるおそれがあることから、税負担の公平を維持するため、組織再編成において法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われた場合に、それを正常な行為又は計算に引き直して法人税の更正を行う権限を税務署長に認め、組織再編成に係る租税回避を包括的に防止する規定として設けられたものと解される(平成28年の最高裁判決参照)。この一般的否認規定が設けられているのは、立法の際に、組織再編成を利用したあらゆる租税回避行為をあらかじめ想定した上で、個別的な否認規定を網羅的に設けることが困難であることによるものと解される。そうすると、個別の否認規定である同法57条3項が適用されない支配関係5年超の適格合併についても、同項の規定が一般的否認規定の適用を排除するものと解されない限り、(中略)同法132条の2が適用されることを予定しているものと解される。」としました。そして、「同法57条3項の適用が排除される支配関係5年超の適格合併につき、同項の規定が一般的否認規定の適用を排除するものと解されるか否かを原告の主張に基づいて検討する」として、「法人税法57条3項は未処理欠損金額を利用したあらゆる租税回避行為をあらかじめ想定して網羅的に定めたものとはいい難く、支配関係5年超の適格合併であっても、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われる場合が想定されないとはいい難い。同項は、典型的な租税回避行為としてあらかじめ想定されるものを対象として定めた具体的な否認規定にすぎない」などと判示し、法人税法は支配関係5年超の適格合併についても、同法132条の2が適用されることを予定しているものと解するのが相当と判断しました。

 

この裁判では、この判断に続き、合併の経緯やその後の事業態様等の事実認定を行い、合併法人が同法57条2項により被合併法人の繰越欠損金を引き継いでその所得金額の計算において損金の額に算入したことは「法人税の負担を不当に減少させる」ものと判断し、その損金算入を否認した国税局の処分を適法と認めました。合併法人は控訴中ですが、小職は高裁でも結論は変わらないだろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/12/09)より転載

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「無対価合併における適格要件について」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】適格合併の適否及び被合併法人の未処理欠損金の引継ぎ制限

■【Q&A】合併における税制適格要件について

 

 

 


[質問]

A社はB社の株式を取得後、A社の100%子会社であるC社を存続会社とした合併を予定しています。

 

100%子会社同士の合併であり、無対価合併とするつもりです。

 

ここで、B社は自己株式を所有しており、合併と同時に自己株式は消却されることとなると思いますが、このような場合であっても100%子会社同士の無対価合併として適格合併となるでしょうか。

 

A社・B社・C社ともに8月決算

 

8月  B社が自己株式取得
9月  A社がB社株式取得
10月   B社とC社が合併

 

 

[回答]

被合併法人と合併法人との間に同一の者による完全支配関係があり、合併後もその同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている場合の合併は適格合併に該当します。

 

ただし、当該合併が無対価合併である場合には、次に掲げる関係がある場合に限られています(令4の3②)。

 

① 合併法人が被合併法人の発行株式の全部を保有する関係
② 被合併法人及び合併法人の株主のすべてについてその者が保有する被合併法人株式の数の被合併法人の発行済株式の総数のうちに占める割合とその者が保有する合併法人の株式の数の合併法人の発行済総のうちに占める割合とが等しい場合における被合併法人と合併法人との関係

 

なお、この場合の発行済株式には自己株式を除くとされています(法2十二の七の五)。

 

ご照会事例については、被合併法人C社と合併法人B社との間にA社による完全支配関係にあることから、上記②の要件を満たすことになりますので、適格無対価合併に該当することになります。

 

ただし、株式の移動から無対価合併までの一連の取引に経済的合理性がなく、何らかの租税回避行為のみを目的としたものであるとの事実認定によっては、同族会社の行為計算否認規定(法132)及び組織再編成に係る行為計算否認規定(法132の2)に抵触する恐れがありますのでご留意ください。

 

 

(参考)

株式会社は、取締役会又は取締役の決議に基づき取得した自己株式を消却することができるとされています(会社法178)。そして、自己株式を消却した場合には、その消却する自己株式の帳簿価額を原則としてその他資本剰余金の額から減額することとされています(会社計算規則24)。

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2019年9月24日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[資料データ(EXCELデータ)]

「財務デューデリジェンス実施における『事前資料依頼一覧』」サンプル

 

財務デューデリジェンス実施における『事前資料依頼一覧』資料データ!   M&Aに関する各種資料サンプルデータ公開中!

 

 

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[M&A担当者がまず押さえておきたい10のポイント]

第2回:売却したいけれどどうしたらいい?  -会社を売却すると決めたら-

 

[解説]

松本久幸 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

大和田寛行 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

 

 

▷第1回:何のためのM&A? ーM&Aの目的を考えるー

▷第3回:売却するならどこがいい? -同業他社?大企業?ファンド?-

▷第4回:「事業譲渡と株式譲渡」どっちがいいの?-M&Aのスキーム-

 


それでは、会社を売却したいと思った場合は、どうすればいいでしょうか?

 

売却したいというからには、この場合は売り手の立場でのお話となります。

 

会社を売却したいと考える場合は、前章でも述べた通り、会社を将来に向けて継続させることを前提に、株式を売却して経営を他の人に任せる、ということを目指します。その場合、まずは株式を買ってくれて、会社を自身に変わって経営してくれる人を探すことになります。

 

 

では、そのような人をどうやって探せばよいのでしょうか?

 

よくあるケースとしては、懇意にしている取引先に相談して、その取引先に資金力や経営能力等があれば、その取引先に買ってもらう、ということが考えられます。また、日頃から経営相談をしている税理士の先生や取引銀行に相談して、買い手候補を探してもらう、ということもよくあるケースです。

 

最近では、M&A専門の仲介会社がたくさん出てきていますので、インターネットなどでそういった仲介会社を探して、そこに相談して買い手候補を探してもらう、ということも多くなっています。

 

 

このように、買い手候補を探す場合は、自身で探すには限界があることから、誰かしらに相談して買い手候補を探していく、ということが現実的な方法になっています。

 

 

その場合に、留意すべき点は、会社を売却したいと思って買い手候補先を探しているということを、可能な限り秘密にして動くということです。

 

会社を売却しようとしていることが、例えば従業員や取引先の耳に入ってしまうと、従業員が不安になって会社を辞めたり、また、取引先がいらぬ勘繰りをして取引を絞り込んだりする可能性がないとは言えません。そういう事態を招かないためにも、買い手候補を探す段階においては、社内の信頼できるごく一部の人間にだけ相談して秘密裏に進める慎重さが必要となります。

 

会社を売却すると決めたら、まずは信頼できる人に相談して、買い手候補を探しましょう。そのためにも、普段からM&Aに関する情報収集や、信頼できる・相談できる相手を作っておく、という準備は行っておくべきだと思います。

 

 

 

 

 

 

また、会社の経営管理体制をしっかりと整備しておくことも、会社を売却する際の買い手からの評価にはプラスとなり、より売り易くなることから、日頃から意識しておくべきと考えます。

 

特に、会計処理の適正化や、契約書等の法的書類の整備、労務管理のあたりは、いざM&Aを実行する際にここができていないと、後々追加的な負担が生じるため買い手からの評価を下げることになり、M&Aを進める上で大きなボトルネックとなったりしますので、日頃から意識して整備しておくことをお薦めします。

 

 

次章では、買い手探しの際のポイントについて解説したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[中小企業経営者のためのワンポイント解説]

「事業存続に向けて検討すべき方策」~コンサルティングという観点からの『事業承継』とは?⑧~

 

コンサルティングという観点からみた「事業承継」と題した8回目の今回は、前回に引き続き、第1回でご紹介したタイプD(健全性が低く親族内後継者がいない会社)に着目します。 前回は最終的に会社が廃業・清算を選択した場合の手続の流れを説明いたしましたが、今回は廃業という選択に至る前に事業存続に向けて検討すべき方策について紹介いたします。

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 前田俊/公認会計士

 


【検討すべき方策】

タイプDの会社に限らず、承継に向けては、①経営状況・経営課題等の把握(見える化)をし、②事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)を進める必要があります。これは専門家を活用することでより効率的・効果的に実行することができます。

 

①では、外部専門家を活用し、先入観を除外した第三者の視点でより詳細な分析を行うことで、経営状況や課題等をより適切に把握することができます。今まで会社では認識できていなかった収益源泉や強み(人材、取引先、技術、知的財産等)を認識する機会になり得ます。

 

①を基に、②として競争力強化のための「強み」を作り、「弱み」を改善する取り組みを策定・実行していくことで経営改善(収益力の改善)を進めていきます。ここでも外部専門家による知見はより効果的な改善に向けて有益となります。①②のような取り組みだけで財務の健全化が図れない場合、金融支援による再生(私的整理)という選択肢もあります。

 

 

0521.bmpのサムネール画像

 

 

また、上記のような対応により財務健全性を高めることで、M&AやMBOも選択肢になります(タイプDからタイプBへのポジション移行)。上記①で認識した強みが、事業の買手にとって魅力となり得ることがあります。

 

 

0523.bmp

 

 

なお、健全性を高めることが出来れば、健全性が低いことを理由に事業承継に消極的であった親族(ご子息等)に対して親族内事業承継を再検討する可能性も生じます(タイプDからタイプAへのポジション移行)。

 

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年5月21日)より再編集のうえ掲載

[M&A案件情報(譲渡案件)](2019年12月3日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

●自動車のIoT関連デバイス開発を手掛けるファブレスメーカー

[業種:通信・制御デバイス開発/所在地:関東地方]

●【自動車整備業】指定工場の許認可を取得、地場顧客を中心に自動車整備業を営む

[業種:自動車一般整備業/所在地:関東地方]

●【飲食業】商品力を強みに多店舗展開する知名度ある飲食店

[業種:飲食業/所在地:関東地方]

●イベント関連事業者。業績良好・財務堅調。

[業種:イベント関連事業者/所在地:関東地方]

 

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案件No.SS005621
自動車のIoT関連デバイス開発を手掛けるファブレスメーカー

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)通信・制御デバイス開発

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)通信・制御デバイスの開発

 

〔特徴・強み〕

◇自動車IoTに関するデバイス開発・販売、自動運転関連ビジネス等を手掛ける
◇システム受託開発も可能
◇知財戦略に力を入れている(特許を多数保有)
◇今後の成長の為のパートナーを募集

 

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案件No.SS005361
【自動車整備業】指定工場の許認可を取得、地場顧客を中心に自動車整備業を営む

 

(業種分類)その他

(業種)自動車一般整備業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)自動車整備業

 

〔特徴・強み〕

◇関東地域にて車検、板金塗装を中心に営む
◇指定工場として許認可を取得
◇2級整備士2名在籍
◇財務内容に大きな変化なく、近年は堅調に推移

 

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案件No.SS005285
【飲食業】商品力を強みに多店舗展開する知名度ある飲食店

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)飲食業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)飲食業

 

〔特徴・強み〕

◇ドミナント戦略で10店舗以上展開する飲食店。
◇地場で知名度ある店舗として展開。
◇仕入れルートに強みあり。
◇自社便を保有しているため、状況に応じて新鮮な商品配送を実現。
◇近年競合厳しく売上利益共に減少傾向にあるものの全店舗で黒字を確保している。
◇自己資本比率30%以上あり財務内容は良好な水準。

 

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案件No.SS005271
イベント関連事業者。業績良好・財務堅調。

 

(業種分類)その他

(業種)イベント関連事業者

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)イベント関連事業者。 営業基盤確立しており、業績・財務ともに良好。 後継者不在の事業承継案件。

 

〔特徴・強み〕

◇事業に係る大手発注元を押さえており、競合少ない。
◇通年のイベントスケジュール決まっており、安定した売上を計上。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

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[解説ニュース]

美術品(重要文化財)を相続・売却した際の優遇措置について

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(青木 喬/税理士)

 

 

【問】

趣味で美術品の収集をしていますが、収集した日本絵画のうち1点が重要文化財に指定されています。

具体的な評価額は不明ですが、他にも財産があり多額の相続税が生じると考えています。相続税を金銭で納付することができない場合には物納になると思いますが、可能であればこの絵画は相続人に引き継いで貰いたいです。ただ、日常的な保存管理も必要であるため、相続人には負担を掛けると思います。もし相続人が将来的にこの絵画を相続することを了承しない場合には、適切に引き継いでくれる第三者に売却することも考えています。以上を踏まえ、相続の場合と譲渡の場合の税制についてそれぞれ教えてください。

 

 

【回答】

1. 相続の場合


(1)美術品の評価について

相続(遺贈)により取得した財産の価額は、相続が発生した時における時価になります。美術品についての時価の算定は、一般的に画廊やオークションハウスにて鑑定を行うこととなります。相続をした直後に相続人等が売却した場合には、その売却価額を時価とするケースもあります。

 

美術年鑑で記載されている価格は保存状態の良いものを画廊等で販売するときの価格になります。したがって、必ずしも所有されている絵画の時価を表しているものではありません。

 

なお美術品のなかでも「登録美術品」については、相続人からの申請により文化庁長官がその登録美術品の価格を評価し、その結果を通知します。

 

登録美術品制度とは、重要文化財や国宝、世界的に優れた美術品を所有者の申請により、国が審査のうえ登録し、登録した美術品を所有者から美術館に引渡して公開することにより、国民が優れた美術品を鑑賞する機会を拡大することを目的とした制度です。

 

(2)納税資金の手当てができない場合

相続税は金銭による納付が原則ですが、それが困難な場合、税務署長の許可を得て相続財産を物納することができます。物納可能な財産は以下の通りです。数字は物納に充てることができる財産の優先順位です。

 

 

①不動産、船舶、国債、地方債・上場株式等
②非上場株式等
③動産

 

 

美術品は③の動産に該当しますが、登録美術品については、上記の順序に関わらず物納の許可を受けることができます。ただ、相続が発生する前にこの美術品について国から登録を受けておく必要があります(相法41②、措法70の12①)。

 

(3)美術品についての相続税の納税猶予

物納により相続税の納付を行うことは可能ですが、所有権を失うため相続人に美術品を引き継ぐことができません。そこで、「特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除制度」を検討すべきでしょう。

 

この制度は、一定の条件を満たした美術館等に特定美術品(重要文化財として指定された絵画等の動産、登録有形文化財のうち一定のもの)を寄託(※)していた被相続人に相続が発生した場合において、相続人が寄託先美術館の設置者への寄託を継続するときは、納付すべき相続税額のうち、その特定美術品に係る課税価格(評価額)の80%に対応する相続税の納税が猶予される制度です(措法70の6の7)。
(※)被相続人において以下の手続が必要となります。

 

・寄託先美術館の設置者と契約期間、美術品を適切に公開する旨、基本的に所有者からの解約の申し入れができない旨を記載した寄託契約を結んでいること

・寄託契約の内容等を記載した保存活用計画について文化庁の認定を受けていること

 

2. 譲渡の場合


個人が絵画を譲渡した場合には、譲渡による所得について所得税が課税されます。事業所得・不動産所得・給与所得などと合算し、一般の累進税率を適用して税額を計算する総合課税により計算が行われます。

 

ところで、美術品のなかでも重要文化財について第三者に売却しようとするときは、事前に文化庁に「売却の相手方」や「予定対価の額」等を申し出る必要があります(文化財保護法46条)。これは文化財を適正に保護する観点から、国に優先買取権が認められているためです。ただ最近では、無届けの売買が多く、個人所有の重要文化財のほぼ半数の所在が確認できていないといわれています。

 

国が買い取る場合には、申出のあった予定対価の額で買い取りを行いますが、国に譲渡した場合の譲渡所得については、非課税とされています(措法40の2)。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/12/02)より転載

[M&Aニュース](2019年11月18日〜11月29日)

◇米フォートレス、ユニゾTOBで7度目の期間延長、◇コクヨ、ぺんてる株の買付価格を4200円に再引き上げ、◇ヤマノホールディングス<7571>、呉服・和装品小売り「かのこ」の一部店舗を取得、◇平安レイサービス<2344>、葬祭業「さがみライフサービス」とビジネスホテル経営「シンエイ・クリエート・サービス」を子会社化、◇フューチャー<4722>、東大発コンサルティングサービスのイノベーション・ラボラトリを子会社化、◇コーナン商事<7516>、パン・パシフィック傘下「ドイト」のホームセンター事業などを取得、◇エボラブルアジア<6191>、製茶・ショッピングサイト「「斐川茶園」運営のひかわを子会社化、◇富士紡ホールディングス<3104>、プラスチック金型設計・製造の藤岡モールドを子会社化 ほか

 

 

 

米フォートレス、ユニゾTOBで7度目の期間延長

◆不動産・ホテル業のユニゾホールディングスに対して子会社を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施している米投資会社フォートレス・インベストメント・グループは29日、同日を期限としていた買付期間を12月13日まで10営業日延長すると発表した。8月19日にTOBが始まって以降、買付期間の延長は7度目で、買付期間は80日に及ぶ異例の長さになっている。

この間、11月15日には4000円としていた買付価格を100円引き上げ、4100円とした。しかし、29日のユニゾ株の終値は4905円で、市場価格が買付価格を大きく上回り、TOB成立は依然困難視される。

ユニゾに対しては、米投資会社のブラックストーンがユニゾの合意を前提に1株5000円でTOBを持ちかけている。こうした状況下、ユニゾはTOBを実施中のフォートレストに買付価格を5000円に引き上げるよう求めている。

 

 

 

コクヨ、ぺんてる株の買付価格を4200円に再引き上げ

◆コクヨは29日、子会社化を目指す文具大手のぺんてる(東京都中央区)の株式の買付価格をこれまでの3750円から4200円に引き上げると発表した。買付価格の引き上げは2度目。ぺんてるを巡ってはコクヨによる敵対的買収に対抗して、同業大手のプラスがぺんてる経営陣の賛同を得る形で1株3500円で買い付けているが、これを700円上回ることになる。好条件を提示し、買い付けを有利に運ぶ狙いとみられる。

コクヨは11月15日に、ぺんてる株式を追加取得し、子会社化する方針を発表した。1株3500円で既存株主から株式を買い取り、37.8%の持ち株比率を50%超に引き上げることを目指していたが、その後、プラスが同じ3500円でぺんてる株を買い付けているとの情報を得たとして20日に250円を積み増して3750円としていた。プラスによるぺんてる株の買い付けの上限は33.4%で、下限は20%以上とされる。

コクヨによるぺんてる株の買付代金は46億1000万円以上となり、当初(1株3500円で買い付け)に比べ8億円近く増加する。

ぺんてる株の買付期間はコクヨが12月15日まで、プラスは12月10日まで。

 

 

 

ヤマノホールディングス<7571>、呉服・和装品小売り「かのこ」の一部店舗を取得

◆ヤマノホールディングスは、呉服・和装品の小売事業を手がける、かのこ(東京都中央区)の事業を29日付で取得した。取得価額は3000万円。かのこが北海道や関東で運営する10店舗のうちの一部店舗が対象。かのこは、売上高の落ち込みで収益悪化が続き、2019年2月期は12億9000万円の債務超過だった。

 

 

 

平安レイサービス<2344>、葬祭業「さがみライフサービス」とビジネスホテル経営「シンエイ・クリエート・サービス」を子会社化

◆平安レイサービスは、葬祭業のさがみライフサービス(神奈川県小田原市。売上高3億1400万円、営業利益△864万円、純資産9580万円)とビジネスホテル経営のシンエイ・クリエート・サービス(神奈川県開成町。売上高1億3300万円、営業利益860万円、純資産7830万円)の全株式をそれぞれ取得し、子会社化することを決めた。取得価額は現在協議中。取得予定日は2020年1月1日。

子会社化する対象2社は大株主が共通する兄弟会社の関係にある。さがみライフサービスは1998年に設立。一方のシンエイ・クリエート・サービスは1990年に設立し、ビジネスホテルの「ホテル開成」「鴨宮ステーションホテル」を神奈川県内で営む。

平安レイサービスは本拠を置く神奈川県内でトップクラスの冠婚葬祭会社。

 

 

 

フューチャー<4722>、東大発コンサルティングサービスのイノベーション・ラボラトリを子会社化

◆フューチャーは、東京大学発でイノベーション創出に向けた経営コンサルティングサービスを手がけるイノベーション・ラボラトリ(東京都台東区。売上高1億3000万円、営業利益400万円、純資産1800万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。取得価額は非公表。取得予定日は2019年12月26日。

 

 

 

コーナン商事<7516>、パン・パシフィック傘下「ドイト」のホームセンター事業などを取得

◆コーナン商事は、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキホーテホールディングス)傘下のドイト(さいたま市)からホームセンター事業とリフォーム事業を会社分割により取得することを決めた。ドイトは首都圏を中心に16店舗を運営し、事業継承する当該部門の売上高は148億円。取得価額は68億2000万円。取得予定日は2020年2月3日。

コーナン商事は近畿を地盤とするホームセンター大手。今年6月にはLIXILグループ系でプロ顧客向け会員制建築資材卸売店舗「建デポ」を運営する建デポ(東京都千代田区)を239億円で傘下に収めるなど、首都圏での事業基盤拡充に力を入れている。

 

 

 

エボラブルアジア<6191>、製茶・ショッピングサイト「「斐川茶園」運営のひかわを子会社化

◆エボラブルアジアは、製茶やネットショッピングサイト「斐川茶園」運営のひかわ(島根県出雲市。売上高30億6000万円、営業利益5100万円、純資産15億6000万円)を子会社化することを決めた。株式31.9%を取得したうえで、残る68.1%を株式交換を通じて取得する。ライフイノベーション事業強化の一環。

株式取得価額は非公表。株式取得予定日は2019年11月29日。株主交換日は2019年12月23日。ただし株式交換比率は未定。

 

 

 

富士紡ホールディングス<3104>、プラスチック金型設計・製造の藤岡モールドを子会社化

◆富士紡ホールディングスは、プラスチック用金型の設計・製造を手がける藤岡モールド(群馬県藤岡市)の全株式を取得し子会社化することを決議した。化成品事業強化の一環。2018年10月には同じくプラスチック用金型の東京金型(埼玉県越谷市)を傘下に収めており、今回の藤岡モールドの子会社化は東京金型を通じて行う。取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月6日。

 

 

 

インパクトホールディングス<6067>、セガサミー傘下でコールセンターなど受託のジェイエムエス・ユナイテッドを子会社化

◆インパクトホールディングス(HD)は、セガサミーホールディングス傘下でコールセンター・バックオフィスの受託事業を手がけるジェイエムエス・ユナイテッド(東京都新宿区。売上高53億4000万円、営業利益△1370万円、純資産9億5200万円)の全株式を取得して子会社化することを決議した。インパクトHDは2018年6月にジェイエムエスと人材サービス事業の相互補完を目的として業務提携していた。取得価額は9億5800万円。取得予定日は2020年1月31日。

 

 

 

アクロディア<3823>、オーガニックサプリ販売で営業休止中のエミシアを栄光01に譲渡

◆アクロディアは、オーガニックサプリ販売やオーガサロン経営のエミシア(東京都渋谷区。売上高-。営業利益-、純資産△2800万円)の全株式を、投資会社の栄光01(横浜市)に譲渡することを決議した。アクロディアは2016年6月にエミシアを傘下に収めた。しかし、譲渡元に必要な義務の不履行があったとして、株式譲渡契約の解除に伴う損害賠償請求訴訟を提起していた経緯がある(現在は係争終結)。

譲渡価額は1円。譲渡日は2019年11月29日。

 

 

 

中央自動車工業<8117>、三菱商事傘下で全損認定車両処分業務を手がけるABTを子会社化

◆中央自動車工業は、三菱商事の全額出資子会社で損害保険会社の全損認定車両処分に関する業務を手がけるABT(東京都千代田区。売上高54億2000万円、営業利益8億400万円、純資産3億9500万円)を買収することを決議した。ABT株式91%を11月28日付で取得し子会社化したうえで、残りの株式については株式交換を通じて12月20日に取得する。新規顧客の獲得や既存顧客との取引深耕などの相乗効果を期待している。

株式取得価額は52億2500万円。株式交換比率は中央自動車1:ABT1万3266で、ABT1株に対して中央自動車の1万3266株を割り当てる。

 

 

 

三谷商事<8066>、シンガポールの食品卸MJIを子会社化

◆三谷商事は、食品卸売業のシンガポールMJI UNIVERSAL PTE. LTD. (売上高214億円、営業利益4億3000万円、純資産13億7000万円)の株式70%を取得し、28日付で子会社化した。MJIは海外大手食肉会社から畜産用配合飼料の原料を輸入し、インドネシアや中国などアジア諸国で販売している。取得価額は非公表。

三谷商事は化学品や情報システム、建設資材などの取り扱いを主力とするが、近年、国内外で新たな事業領域の開拓に力を入れており、この一環。

 

 

 

パナソニック<6752>、半導体事業を台湾の新唐科技に売却へ

◆パナソニックは28日、半導体事業から撤退すると発表した。半導体事業を手がける子会社のパナソニックセミコンダクターソリューションズ(京都府長岡京市)の全株式を台湾の新唐科技(Nuvoton Technology Corporation)に売却する。2020年6月1日付で売却完了を目指す。売却金額は2億5000万ドル(約270億円)。

パナソニックはオランダのフィリップスとの合弁会社を設立して半導体事業に参入した。1957年に半導体の生産を開始し、1990年代には世界的規模を誇った。韓国や台湾などの海外勢の台頭で、近年は業績が急速に悪化し、工場売却や事業再編などの構造改革を進めてきたが、赤字脱却が困難となっていた。

 

 

 

東京センチュリー<8439>、米の独立系リース・ファイナンス会社Allegiant Partners を子会社化

◆東京センチュリーは、米の独立系リース・ファイナンス会社Allegiant Partners Incorporated(オレゴン州。総資産約97億円)の全株式を取得し子会社化した。Allegiantは中小型トラックや樹木整備機器を中心に取り扱い、顧客数は全米で約3000社。

東京センチュリーはリース・ファイナンスを手がける米子会社Tokyo Century(ニューヨーク州)を通じて傘下に収める。東海岸を本拠にTokyo Centuryと西海岸に強みを持つAllegiantの地域補完により、米での事業連携を進める。取得価額、取得日は非公表。

 

 

 

駒井ハルテック<5915>、川重ファシリテックから鉄構工事業を取得

◆駒井ハルテックは、川崎重工業子会社の川重ファシリテック(兵庫県播磨町)から鉄構工事業を取得することを決議した。橋梁事業と並ぶ鉄骨事業の強化が狙い。川重ファシリテックが鉄構工事業を切り出すために2020年1月に設立する新会社(北九州市)の株式66.6%を取得し、子会社化する形とする。取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

 

 

 

 

フジ住宅<8860>、大阪地場の雄健建設グループ3社を子会社化

◆フジ住宅は、地場建設会社の雄健建設(大阪市。売上高29億7000万円、営業利益1億4600万円、純資産5億6800万円)をはじめ雄健建設グループ3社の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

雄健建設は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築工事を主力とし、大阪府内を中心に施工実績を持つ。フジ住宅は雄健建設グループを傘下に取り込むことで、木造以外の住宅についても提供できる体制づくりを目指す。

雄健建設は、電気工事の関西電設工業(大阪市。売上高8億4800万円、営業利益3200万円、純資産2億3700万円)、空調・給排水設備工事の日建設備工業(大阪市。売上高8700万円、営業利益0、純資産8200万円)とともにグループを形成する。3社の社長を務める三井正雄氏が各社の全株式を保有する。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月29日。

 

 

 

丸一鋼管<5463>、神鋼傘下のコベルコ鋼管を子会社化

◆丸一鋼管は、神戸製鋼所傘下でシームレス(継ぎ目なし)ステンレス鋼管の専業メーカー、コベルコ鋼管(山口県下関市。売上高260億円、営業利益10億8000万円、純資産122億円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。丸一鋼管は溶接鋼管のトップメーカーだが、国内市場が縮小する中、新たな商品分野への進出を検討していた。取得価額は約138億円。取得予定日は2020年4月1日。

コベルコ鋼管は1996年に神戸製鋼所から神鋼特殊鋼管として独立し、2016年から現社名となった。配管や熱交換機用のシームレスステンレス鋼管を主力に、今後成長が期待される半導体用クリーンパイプや直噴エンジン用燃料噴射管に使われる精密細管で高い技術力を持つ。

丸一鋼管はコベルコ鋼管を傘下に取り込むことで、新たな成長分野に進出が可能になると判断した。

 

 

 

メガチップス<6875>、米と台湾の子会社のSC事業部門をケイマンKineticに譲渡

◆メガチップスは、米国と台湾の子会社でディスプレー周辺の半導体製品を手がけるスマート・コネクティビィティ事業(SC事業)部門を、半導体製品設計・開発のケイマン諸島Kinetic Technologiesに譲渡することを決めた。事業構造改革の一環。譲渡価額は27億5000万円。譲渡予定日は2019年12月。

SC事業部門を譲渡するのは米メガチップス・テクノロジー・アメリカ(MCA、カリフォルニア州)と台湾の信芯股份有限公司(MCT、台北市)。対象事業部門の直近売上高は約66億円。MCAは事業部門の譲渡後、会社を解散するが、米国内の別のグループ会社を拠点に事業活動を継続する。

 

 

 

プロトコーポレーション<4298>、自動車関連情報の台湾子会社「台湾寶路多股份有限公司」を経営陣に譲渡

◆プロトコーポレーションは、自動車関連情報サイトを運営する台湾子会社、台湾寶路多股份有限公司(新北市。売上高2億4300万円、営業利益△7900万円、純資産8600万円)の全株式を、台湾寶路多董事兼総経理の鈴木伸隆氏に譲渡することを決議した。譲渡価額は1000円。譲渡予定日は2020年1月1日。

プロトコーポレーションは自動車関連情報事業を海外展開するため、2011年に台湾に現地法人を設立し、主に自動車関連の広告ビジネスに取り組んできた。しかし、事業基盤を確立できない状況が続いていることから、事業の選択と集中の一環として、撤退を決めた。

 

 

 

ロイヤルホールディングス<8179>、西洋フード・コンパスグループからサービスエリアなどの食堂・売店事業を取得

◆ロイヤルホールディングス(HD)は、西洋フード・コンパスグループ(東京都中央区)から、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)における食堂や売店などの運営(コントラクトサービス)事業を取得することを決議した。西洋フーズが対象事業を新会社に移管したうえで、ロイヤルHDがこの新会社の全株式を2023年12月までに段階的に取得し、子会社化する。取得価額は155億円。

西洋フードは子会社のエムエフエス(東京都中央区)と合わせ、海老名SA(下り線)、海ほたるPA、足柄SA(上り線)など合計12拠点で事業を運営している。事業の受け皿となる新会社シーエフエス(東京都中央区)は西洋フーズが100%出資で設立。ロイヤルHDは第一段階として2020年2月1日にシーエフエスの株式50%を取得。続いて2021年12月1日に66.66%、2022年12月1日に94.99%まで持ち株比率を高め、2023年12月1日に残りを取得する。

取得対象事業の直近業績は売上高129億円、営業利益10億円、純資産22億円。

 

 

 

ヤギ<7460>、ヘルスケア関連ベンチャー企業のDream boxを子会社化

◆ヤギは、ヘルスケア関連ベンチャー企業のDream box(福岡市)の全株式を取得し26日付で子会社化した。ヘルスケアとITを融合したヘルステック分野のアパレル商材の開発などを目指す。取得価額は非公表。

Dream boxは2018年6月に設立。フィットネス商材の開発、健康食品・美容品の月額課金制(サブスクリプション)販売、健康管理アプリなどを手がけている。

 

 

 

国際紙パルプ商事<9274>、豪同業Wilmaridgeから紙・板紙の卸売事業を取得

◆国際紙パルプ商事は豪州子会社 Spicers Limited(メルボルン)を通じて、現地同業Wilmaridge Pty Ltd(メルボルン)が営む紙・板紙などの卸売事業を取得することを決めた。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月1日。

国際紙パルプは今年7月に約73億円を投じて紙・包装資材・紙関連製品 の卸売大手Spicersを傘下に収めた。新たに商業印刷用紙や包装資材、食品用包装材などに強みを持つWilmaridgeの事業を取り込むことで、成長が見込まれる豪市場でのビジネス拡大につなげる。

 

 

 

 

鳥居薬品<4551>、尿酸排泄薬「ユリノーム」をトーアエイヨーに譲渡

◆鳥居薬品は、尿酸排泄薬「ユリノーム錠50mg」「ユリノーム錠25mg」の日本における製造販売承認を、医薬品製造のトーアエイヨー(東京都中央区)に譲渡することを決めた。ユリノームは1979年に発売し、直近売上高は約6億円。新製品に注力する中、長期収載品であるユリノームについては他社への譲渡を検討していた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年4月1日。

 

 

旭化成<3407>、米製薬会社のベロキシスを1432億円で買収へ

◆旭化成は25日、米製薬会社のベロキシス・ファーマシューティカルズ(ノースカロライナ州)を約1432億円で買収すると発表した。旭化成はデンマーク子会社を通じて、ベロキシス株式を100%保有するデンマークの親会社に対して12月中にTOB(株式公開買い付け)を実施する。買付価格は1株につき6デンマーククローネ(約97円)。議決権比率の80%以上の応募をTOB成立の前提としている。ベロキシス側の主要株主、経営陣からはTOBに同意を得ている。

ベロキシスの製品は腎移植手術患者向けの免疫抑制剤で、独自のドラッグデリバリー技術(体内での吸収・分布・代謝・排泄をコントロールし、薬物の効果を高め、副作用を抑える技術)を活用して他社と差別化を図っている。米国医薬品市場で事業基盤を持つベロキシスを傘下に取り込み、日本・アジアに強みを持つ旭化成との相乗効果を引き出し、医薬品事業の拡大につなげる。

 

 

 

シモジマ<7482>、包装資材メーカーの朝日樹脂工業を子会社化

◆シモジマは、包装資材メーカーの朝日樹脂工業(千葉県流山市。売上高16億8000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

朝日樹脂工業は1968年に創業。ポリエチレン、ポリプロピレンなど化学樹脂製品の包装資材を製造・販売し、「工場・物流」分野に強みを持つ。シモジマは「小売・流通」を得意とするが、同社を傘下に取り込むことで、商品供給体制の充実を見込む。今年10月に子会社化したミタチパッケージ(兵庫県姫路市)との連携も含めて、互いの販路・製品・サービスで協力関係を強め、相乗効果を引き出す。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年12月19日。

 

 

 

ポールトゥウィン・ピットクルーHD<3657>、IPコンテンツプロデュース事業などのCRESTを子会社化

◆ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスは、IP(知的財産権)コンテンツプロデュース事業などを手がけるCREST(東京都新宿区。売上高2020万円、営業利益△848万円、純資産△353万円)が実施する第三者割当増資を引き受け、同社発行済み株式の60%を取得し、子会社化することを決議した。

ポールトゥウィンはゲームソフトの不具合検出などを行うデバッグ・検証事業を主力事業の一つとする。これまでCREST子会社でゲーム開発人材のマッチングサービス事業を行うCREST JOB(東京都新宿区)に40%出資していたが、CREST本体を傘下に取り込み、協業体制を築くことで企業価値向上につなげる。

取得価額は3億円。取得予定日は2019年11月29日。

 

 

 

キリンホールディングス<2503>、豪子会社の飲料事業を中国・蒙牛乳業に売却

◆キリンホールディングス(HD)は25日、豪州の総合飲料子会社Lion-Dairy and Drinks Pty Ltd(ライオン、メルボルン)の飲料事業を中国蒙牛乳業有限公司に売却すると発表した。売却金額は約600万豪ドル(約456億円)。不振の飲料部門を切り離し、ビールなど酒類事業に経営資源を集中する。2020年上半期に売却手続きを終える見通し。

ライオンの飲料事業はキリンHDが2007年に約2900億円で買収した豪ナショナルフーズが母体。牛乳、乳飲料、ヨーグルト、果汁飲料、氷菓子などを手がけ、2018年12月期の業績は売上高1334億円。一連の飲料事業については今年4月に約571億円の減損損失の計上を発表し、チーズ事業をカナダ企業に売却するなどの構造改革を進めてきた。

飲料事業を整理後、酒類事業はクラフトビールや大人向けプレミアム飲料といった新たな成長分野を重点的に育成し、オセアニア地域で市場拡大を目指す。

 

 

 

FPG<7148>、セスナ機運航の北日本航空を子会社化

◆FPGは、セスナ機によるチャーターフライト(貸し切り飛行)や遊覧飛行を手がける北日本航空(岩手県花巻市。売上高9190万円、営業利益△2840万円、純資産△2億4400万円)の全株式を取得し、25日付で子会社化した。

北日本航空は1981年に設立し、航空機撮影や航空測量、遊覧飛行などのほか、沖縄事業所(那覇市)では離島に所在する病院へのドクター搬送に特化したチャーターフライトに従事している。ただ、業績は低迷し、債務超過に陥っている。

FPGは社会的に有意義な事業を展開する同社を戦略的株式投資として完全子会社化し、収益改善を進める。将来的にはFPGの顧客基盤の一つである個人富裕層向けにプライベートジェット事業への展開も目指すとしている。

取得価額は非公表。

 

 

 

スタンレー電気<6923>、窒化アルミニウム半導体基板開発の米HexaTechを子会社化

◆スタンレー電気は、窒化アルミニウム(AlN)半導体基板を開発・製造する米HexaTech(ノースカロライナ州。資本金31億円、売上高1億5000万円、営業利益△3億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。AlN半導体基板の供給体制を確立し、深紫外LED(発光ダイオード)製品の開発・量産スピードを高め、殺菌市場の開拓を促進する。HexaTechは2001年設立で、2019年から両社は共同開発関係にある。取得価額は約42億円。取得予定日は非公表。

 

 

 

サン・ライフホールディング<7040>、東京霊園を管理、運営する高尾山観光開発を子会社化

◆サン・ライフホールディングは日立製作所から東京霊園を管理、運営する高尾山観光開発(東京都八王子市。売上高2億9600万円、営業利益2800万円、純資産15億7500万円)の株式を取得し、子会社化することを決議した。

日立製作所の保有株式(保有割合72.22%)と自己株式(保有割合27.78%)をすべて買い取る。

サン・ライフホールディングの主力事業である冠婚葬祭互助会事業と、東京霊園との親和性が高く、葬儀の延長として霊園への埋葬を組み込むことで、一貫した質の高い事業が可能になると判断した。

取得価格は13億8800万円。取得予定日は2020年1月。

 

 

 

リズム時計工業<7769>、外国製腕時計などの輸入を手がけるアイ・ネクストジーイーを子会社化

◆リズム時計工業は外国製腕時計や海外雑貨などの輸入を手がけるアイ・ネクストジーイー(東京都品川区、売上高10億8594万円、営業利益892万円、純利益3億1039万円)の90%の株式を取得し、子会社化することを決議した。

アイ・ネクストジーイーは北欧ブランドを中心とした腕時計、クロック、北欧雑貨などを輸入し、時計小売店や卸会社に販売しており、同社を子会社化することで時計の事業領域が拡大すると判断した。

取得価格は非公表。取得予定日は2020年1月31日。

 

 

 

豊田合成<7282>、自動車向けシーリング部品メーカーのドイツ子会社を譲渡

◆豊田合成は自動車向けシーリング部品メーカーのドイツ子会社・豊田合成メテオール(売上高145億2000万円、営業損益△43億2000万円、純資産△63億6000万円)の全株式をドイツのプライベートエクイティファンドの傘下企業であるSCUR-Alpha 1123 GmbHに譲渡することを決議した。

各地域の収益構造改革を進めてきたが、欧州事業では苦戦が続いてため、豊田合成メテオールと、その子会社である米国のメテオールシーリングシステムを手放すことにした。これに伴い、豊田合成は2020年3月期に210億円を事業整理損失として計上する。

譲渡価格は非公表。譲渡予定日は2019年12月末。

 

 

 

藤井産業<9906>、路面切削工事専門会社の日本切削工業を子会社化

◆藤井産業は路面切削工事専門会社の日本切削工業(栃木県小山市。売上高2億8100万円、営業利益4800万円、純資産1億1800万円)の全株式を取得し、完全子会社化した。

日本切削工業は栃木県内唯一の切削工事事業者で、道路補修で用いる特殊な道路機械を操る高度なオペレーション技能を持つ。子会社化で社会インフラに重要な道路の維持補修を栃木県エリア中心に担っていく。

取得価格は非公表。取得日は2019年11月22日。

 

 

 

イルグルム<3690>、オプトの広告効果測定ツール事業を譲受

◆イルグルムはオプト(東京都千代田区)から広告効果測定ツール「ADPLAN」を提供する事業(2018年12月期事業売上高2億8600万円、同事業営業利益非公表)を譲り受けることを決めた。

イルグルムは主力のマーケティングプラットフォーム事業で広告効果測定ツールの「ADEBiS(アドエビス)」を提供している。これにオプトの「ADPLAN」を加えることにより広告効果測定ビジネスでの市場競争力を強化し、事業の成長を狙う。

譲受価格は未定だが、現金により決済する見込み。譲受予定日は2020年1月の予定。

 

 

 

ソフィアホールディングス<6942>、子会社を通じてなのはなの調剤薬局事業を譲受

◆ソフィアホールディングス(ソフィアHD)は子会社のルナ調剤を通じて、なのはな(宮城県塩竃市)の調剤薬局事業(事業売上高3億2000万円、事業営業利益300万円)を譲り受けることを決めた。

譲受する調剤薬局は、宮城県多賀城市の2店舗と同岩沼市の1店舗の合計3店舗。譲受事業の固定資産はのれんや設備などを含めて2億8500万円。ソフィアHDは引き続きM&Aによる調剤薬局事業の拡大を図る。

譲受価格は3億1000万円で、現金により決済する。譲受予定日は2020年1月1日。

 

 

 

テクマトリックス<3762>、金融市場系システム開発の山崎情報設計を子会社化

◆テクマトリックスは、金融機関向け市場系システム開発の山崎情報設計(東京都千代田区。売上高・営業利益・純資産非公表)が実施する第三者割当増資を引き受けて同社発行済株式総数の51%を取得し、子会社化すると発表した。

山崎情報設計はITスペシャリストと金融機関出身者が立ち上げた金融系ITベンチャー企業。累計120サイト以上のライセンス出荷実績がある金融機関向けパッケージ製品「Apreccia(アプレシア)」シリーズの設計・開発を手がけている。

テクマトリックスは金融機関向けの時価評価や約定管理、市場・信用リスクなどの機能を網羅したソリューション群の開発を手がける。同社は2009年に山崎情報設計が提供する市場系業務管理システム「Apreccia」の正規販売代理店となり、銀行・証券・商社など多数の企業向けの導入してきた。

子会社化により、テクマトリックスが持つ営業推進力、開発力・プロジェクトマネジメント力と、山崎情報設計が持つ製品企画・開発力を融合し、金融機関に対するトータルソリューション提供の実現を目指す。

取得価格と株式取得予定日は非公表。

 

 

 

日精樹脂工業<6293>、伊射出成形機のネグリ・ボッシグループを子会社化

◆日精樹脂工業は射出成形機を製造・販売するイタリアのNEGRI BOSSI S.P.A.(ネグリ・ボッシ社、ミラノ。売上高9454万4000ユーロ=113億6970万円、営業利益△34万5000ユーロ=△4148万円、純資産1032万2000ユーロ=12億4130万円)グループの株式75%を取得し、子会社化することを決議した。3年後をめどに完全子会社化する。

ボッシ社は1947年にイタリア・ミラノ市で起業した同国最大手の射出成形機メーカーだ。超大型射出成形機と成形システムを得意とし、自動車産業を中心に個々の顧客に合わせた製品・ソリューションを提供している。

日精樹脂工業はボッシ社の買収により、射出成形機分野での事業領域の拡大・強化を図る。併せて両社が得意とする射出成形機と射出成形技術を組み合わせることで、それぞれの製品ポートフォリオの拡大と、より広い顧客層に対する包括的なソリューションを提供していく。さらに日精樹脂工業が得意とする中・小型電動射出成形機の事業拡大を図るために、ボッシ社の研究開発力と販売力を活用する。

取得価格は未定。株式取得予定日は2020年1月の予定。

 

 

 

fonfun<2323>、武蔵野のボイスメール事業を譲受

◆fonfunは武蔵野(東京都小金井市)から、スマートフォンなどで音声データをメールのように送受信するボイスメール事業(事業売上高9700万円、事業営業利益5200万円)を譲り受けることを決めた。

fonfunはメールやショートメッセージ、チャットサービスなどの文字ベースのコミュニケーションサービスを展開しているが、音声情報や画像によるコミュニケーションサービスが不足しているため、武蔵野のボイスメールサービスを譲り受けることで相乗効果が期待できると判断した。

譲受価格は1億9000万円。譲受予定日は2019年12月6日。

 

 

 

ケア21<2373>、就労移行支援事業を手がける子会社かがやく学び舎を譲渡

◆ケア21は子会社のかがやく学び舎(東京都江東区。売上高319万円、営業利益△2383万円、純資産△1824万円)の保有全株式(保有割合50.0%)を野口(東京都江東区)に譲渡することを決議した。

かがやく学び舎は障がい者の就労に必要な知識や能力の向上のための訓練、就労に関する相談や支援を行う目的で、2017年6月に野口と折半出資で設立した企業。野口から就労移行支援型事業を承継したいとの意向表明があったため、株式を譲渡することにした。

譲渡価格は500万円。譲渡予定日は2019年12月2日。

 

 

 

プラップジャパン<2449>、シンガポールの広告代理店を子会社化

◆プラップジャパンはシンガポールで広告代理事業を手がけるポインツシンガポール(売上高95万8000シンガポールドル=約7568万円、営業利益約2万8000シンガポールドル=約221万円、純資産約19万3000シンガポールドル=約1524万円)の株式51%を取得し、子会社化することを決議した。

2018年に設立した海外子会社PRAP SINGAPORE PTE. LTD.と、ポインツシンガポールが有するプロモーションノウハウとのシナジー効果が見込めると判断した。

またポインツシンガポールの関連会社であるポインツジャパン(東京都千代田区)の全株式を2019年12月までに取得する予定。

具体的な株式の取得方法は今後詰める。株式取得予定日は2020年2月。

 

 

 

日本賃貸住宅投資法人<8986>、ヘルスケア施設投資信託の日本ヘルスケア投資法人<3308>を吸収合併

◆賃貸住宅を対象とするJ-REIT(日本版不動産投資信託)の日本賃貸住宅投資法人(JRH)は、ヘルスケア施設を投資対象とするJ-REITの日本ヘルスケア投資法人(NHI、営業収益7億500万円、営業利益2億8100万円、純資産102億9300万円)を2020年4月1日付で吸収合併することを決議した。

JRHは東京都23区を含む3大都市圏を中心に全国の賃貸住宅へ投資している。一方、NHIは全国のヘルスケア施設へ投資している。両社とも大和証券グループ子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが資産運用会社だ。合併により投資先を相互補完し、ポートフォリオの収益安定性向上とリスク分散を図る。

合併比率は存続法人のJRHが1に対して消滅法人のNHIが2.05。NHI投資口1口につきJRH投資口2.05口を割り当てる。

 

 

 

Zホールディングス<4689>、LINE<3938>と経営統合

◆IT大手ヤフーの持株会社であるZホールディングスと、通信アプリ大手のLINEは経営統合することを決めた。

LINEの親会社である韓国のNAVER(保有割合72.6%)と、Zホールディングスの親会社であるソフトバンク(保有割合44.6%)が、LINEの非公開化を目的にTOB(株式の公開買い付け)を行い、LINEの全株式をソフトバンクとNAVERの両社が保有する。

その後ソフトバンクが保有するZホールディングス株をLINEに移管するとともに、LINEの議決権割合がNAVERとソフトバンクで50:50となる取引を行い、ソフトバンクはLINEを連結子会社化する。

合わせてLINEが新たにLINE承継会社を設立し、LINEの全事業を承継させる吸収分割を実施した後、Zホールディングスを株式交換完全親会社とし、LINE承継会社を株式交換完全子会社とする株式交換を行い、Zホールディングスが、LINE承継会社を傘下に収める。

株式交換はLINE承継会社の株式1株につき、Zホールディングス株式11.75株を割り当てる。吸収分割効力発生日、株式交換効力発行日はいずれも2020年10月の予定。

月間利用者が6743万人のヤフーをかかえるZホールディングスと月間利用者が約8200万人のLINEが互いのサービスを連携させることで、双方の事業拡大を目指す。

 

 

 

日本調剤<3341>、薬栄、新栄メディカル、センチュリーオブジャスティスを子会社化

◆日本調剤は、調剤薬局の薬栄(東京都新宿区。売上高56億5100万円、営業利益9700万円、純資産19億1000万円)、新栄メディカル(東京都武蔵野市。売上高0円、営業利益0円、純資産3600万円)、センチュリーオブジャスティス(東京都渋谷区。売上高2億6600万円、営業利益1600万円、純資産1億2300万円)の3社の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

3社は東京都を中心に千葉県、埼玉県、神奈川県の 1 都 3 県に調剤薬局 19 店舗を展開しており、子会社化により店舗網を拡充するのが狙い。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年12月25日。

 

 

 

GMOインターネット<9449>、フリーWi-Fi自動接続アプリのタウンWiFiを子会社化

◆GMOインターネットはフリーWi-Fi自動接続アプリを展開するタウンWiFi(東京都港区)の株式をGMOアドパートナーズと合わせて50.4%(GMOインターネット45.4%、GMOアドパートナーズ5.0%)を取得し、子会社化した。

タウンWiFiが有する技術力や顧客基盤が、GMOインターネットグループが展開するインターネット接続サービスやインターネット広告、メディア事業との間で相乗効果が見込めるほか、タウンWiFiもGMOインターネットグループの経営ノウハウやブランド力を活用することで、事業拡大が可能と判断した。

取得価額は非公表。取得日は2019年11月18日。

 

 

 

三菱ケミカルホールディングス<4188>、子会社の田辺三菱製薬をTOBで完全子会社化

◆三菱ケミカルホールディングスは18日、子会社の田辺三菱製薬(東証1部上場)に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。現在の56.39%の持ち株比率を100%に引き上げる。

田辺三菱製薬は2007年10月に、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併して誕生した企業で、合併時に三菱ウェルファーマの親会社だった三菱ケミカルホールディングスが株式の過半数を保有した。

両社による知的財産や人材などの相互活用や、経営資源投入などの連携や協業が十分でないと判断、完全子会社化によって研究開発費の増額や先行投資、技術交流などを進め相乗効果を高めることにした。

買付価格は1株2010円で、TOB公表の前営業日の終値1313円に53.08%のプレミアムを加えた。買付予定数は2億4466万6211株で、買付代金は約4917億7900万円。買付予定数の下限は5767万731株。応募株数が下限に満たない場合は、買い付けを行わない。

買付期間は2019年11月19日から2020年1月7日までで、決済開始日は2020年1月15日。買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とカブドットコム証券。

 

 

 

日本調剤<3341>、薬栄、新栄メディカル、センチュリーオブジャスティスを子会社化

◆日本調剤は、調剤薬局の薬栄(東京都新宿区。売上高56億5100万円、営業利益9700万円、純資産19億1000万円)、新栄メディカル(東京都武蔵野市。売上高0円、営業利益0円、純資産3600万円)、センチュリーオブジャスティス(東京都渋谷区。売上高2億6600万円、営業利益1600万円、純資産1億2300万円)の3社の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

3社は東京都を中心に千葉県、埼玉県、神奈川県の 1 都 3 県に調剤薬局 19 店舗を展開しており、子会社化により店舗網を拡充するのが狙い。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年12月25日。

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[M&A案件情報(譲渡案件)](2019年11月26日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●企画から運用まで自社内対応のWebシステム受託開発会社

[業種:Webソリューション事業/所在地:関西地方]

●オーダーメイドで顧客ニーズに応える省力化・自動化機械製造業

[業種:省力化・自動化機械製造業/所在地:中部地方]

●好立地でマンション・アパートを販売。ウィークリーマンションの運営管理も行う。

[業種:不動産業、物品賃貸業/所在地:関東地方]

 

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案件No.SS005352
企画から運用まで自社内対応のWebシステム受託開発会社

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)Webソリューション事業

(所在地)関西地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)医療関連顧客を中心としたWebソリューション事業を行っている。

 

〔特徴・強み〕

◇データセンタで自社環境を構築しており、クラウド環境も自社構築運用。
◇企画・デザイン・開発・運用までを自社内で一気通貫の業務体制。

 

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案件No.SS004362
オーダーメイドで顧客ニーズに応える省力化・自動化機械製造業

 

(業種分類)製造業

(業種)省力化・自動化機械製造業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)省力化・自動化機械製造業

 

〔特徴・強み〕

◇設計から納品、アフターフォローまで一貫した対応が強み
◇高い設計能力を有しており、顧客と構想段階から関与
◇地場の大手製造業が主力受注先
◇取引先からの信頼厚く、リピーターを確保

 

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案件No.SS004310
好立地でマンション・アパートを販売。ウィークリーマンションの運営管理も行う。

 

(業種分類)住宅・不動産

(業種)不動産業、物品賃貸業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)好立地でマンション・アパートを販売。ウィークリーマンションの運営管理も行う。

 

〔特徴・強み〕

◇物件は主要鉄道沿線に立地。
◇販売物件を10棟以上保有している。
◇建築は完全外注だが、外注先との関係は良好、高利回り物件を調達可能な体制を構築している。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[伊藤俊一先生が伝授する!税理士のための中小企業M&Aの実践スキームのポイント]

①最終契約書(表明保証条項等)に係る租税法上のアドバイス

 

〈解説〉

税理士  伊藤俊一

 


[関連解説]

■M&A関連費用の取扱い

■一部株式譲渡スキームの危険性とその対応策

 

 

 

最終契約書における表明保証条項のドラフティングは通常、弁護士が行います。しかし、全ての弁護士が租税法を詳細まで理解しているとは考えにくいため、以下の事項につき税理士の視点から租税法上のアドバイスをする必要性が生じます。

 

ただし、現在、中小零細企業のM&Aは売手市場であり、下記のような買主が有利な契約は現実的に合意に至りにくいこと、通常は売主側(の代理人弁護士、FA等)が先に最終契約書のドラフティングを行うこと、また、株式譲渡契約等における租税補償条項を設けることは我が国では未だ一般的ではないこと[注1]等諸事情から、下記ではあくまでも買主における最終契約書の理想像を述べています[注2]。

 

なお、本稿の対象読者層を想定して、理論的見解や参照裁判例等は極力注釈に記載し、本文中は、筆者の実務家としての現場での所感を示していることをご理解ください。

 

①補償金の税務上の取扱い

クロージング後、売主に表明保証違反があった場合、買主は損失につき補償条項に係る損害賠償請求をします[注3]。売主は損害賠償請求に係る金額を支払い、買主は当該補償金を受け取ります。売主の支払額は法人税基本通達2-2-16により支払事業年度の損金の額に算入されます[注4]。一方で、補償金を受け取った買主の受取額には、以下の2つの考え方があると言われています[注5]。

 

 

(イ)買主が損害賠償金を受け取ったとする考え方

・・・この考え方に立つと、法人税法第22条第2項、法人税基本通達2-1-43により、当該支払いを受けるべきことが確定した日(又は実際に支払いを受けた日)の属する事業年度において益金に算入されることとなります[注6]。

 

(ロ)買主に当初譲渡代金が(一部)返還されたとする考え方

・・・当初譲渡代金が返還されただけなので課税関係は生じないこととなります。

 

 

この点、平成18年9月8日裁決[注7]において、株式譲渡契約書に補償金の支払は譲渡代金の減額である旨を明記していた結果、益金に算入されないと判断された事例があります。この裁決以降、実務では表明保証条項に補償金の支払は減額である旨を明記する事例が増加しています(ただし、これはあくまで裁決であり判例ではないため、当該裁決をもって補償金の返還が譲渡代金の減額と判断する拠り所とはなり得ません[注8])。

 

買主における予防策として考えられることは、最終契約書(表明保証条項等)に「補償金は譲渡代金の減額」である旨を明記しておくこと、また、上記(イ)の考え方により、仮に当該補償金に益金課税された場合においては、「当該課税相当額も買主における損失」と考え、最終契約書(表明保証条項等)にその旨を明記しておくことです。

 

なお、売主においては、補償金が損金算入された結果、課税所得が圧縮され法人税額等が減少することになりますが、「当該法人税額等減少額を損失から控除する」と最終契約書(表明保証条項等)に明記した方がよいでしょう。

 

 

①~④において共通ですが、表明保証には「存続」という概念があり[注9]、実務では当該条項も当然付しますので、存続が終われば補償請求等の対象にはなり得ませんので留意してください。

 

 

②繰越欠損金の減少は買主の損失に該当するか

対象会社においてクロージング日時点、繰越欠損金を有していたとします。クロージング日後、対象会社に税務調査が入り、結果、修正申告対象になったとします。その場合、対象会社の繰越欠損金は修正申告における課税所得増加相当額だけ減少します。

 

 

この場合、

 

(イ)繰越欠損金>課税所得増加相当額

・・・会社からのキャッシュアウトは生じない。

 

(ロ)繰越欠損金<課税所得増加相当額

・・・会社からのキャッシュアウトが生じる。

 

となります。

 

 

最終契約書(表明保証条項等)において、買主における損失の定義が曖昧のままでは、上記(ロ)のように買主において、「キャッシュアウトが生じて初めて損失」とも捉えることも可能となります。損失の定義が売主と買主間で齟齬が生じる(典型的な)場面となりますから、最終契約書(表明保証条項等)で上記(イ)、(ロ)のどちらを指しているか予め明示しておく必要があります。買主では、上記(イ)が有利となります。

 

なお、税務調査は定期的にありうるものから、調査状況によっては、将来的には上記(ロ)になり得ますが、上述の通り、存続が終われば補償請求等の対象にはなり得ません。

 

 

③源泉徴収不納付又は過少納付は買主の損失に該当するか

対象会社においてクロージング日以降、源泉徴収不納付又は過少納付が発覚したとします。この場合、源泉徴収不納付額又は過少納付額は徴収者(クロージング日後は買主)が受給者(対象会社において源泉徴収不納付額又は過少納付額が生じていた者)に対し求償できる(所法222)ため、買主の損失にあたらないと考えます。ただし、不納付加算税及び延滞税(国通法67、60①五)などの附帯税は求償権の範囲にあたらないため[注10]、買主の損失にあたると考えます。

 

附帯税はもちろん、実務上極めて稀なケースと想定されますが、受給者の資力喪失等により、求償権が行使できない可能性もあるため、源泉徴収不納付額又は過少納付額についても、最終契約書(表明保証条項等)に損失であることを明記しておくべきです。

 

①~③に共通して、売主が連結納税制度(本稿脱稿時点、令和2年度税制改正によりグループ通算制度に改正予定)を採用している場合、別の手当が必要となりますが、中小零細企業においては非常に稀なケースと想定されますので、本稿での解説は割愛します。

 

 

④第2次納税義務は表明保証条項で担保されない

 


中小零細企業M&Aにおいては、いわゆる不動産M&Aに限定されると考えられますが、会社分割後に株式譲渡を実行する場合もあります[注11]。当該株式譲渡におけるクロージング日時点においては分割承継会社に第2次納税義務は生じません。第2次納税義務は国税徴収法基本通達32条関係1等による各種要件を満たした後に初めて生じるものであり、クロージング日「時点」の潜在債務が存在しないという表明保証条項では担保できません[注12]。表明保証条項は予測に関して一切担保できないものとされます。

 

 

 

 

以上、主に買主視点にたった表明保証条項の租税法に係る留意点を列挙しました。しかし、現実的には、中小零細企業において表明保証条項(及び補償条項)は極めて実効力に乏しいため、各種デュー・デリジェンスで発覚する懸念事項のインパクトが大きいと想定される場合は、譲渡代金減額、分割払い(アーンアウトまたはクローバックという意味ではなく、文字通りの意味において、ただし税務上の取扱いに留意が必要です)、エスクロー(信託課税の問題があるため留意が必要です。中小零細企業M&Aにおける利用は皆無と想定されます)で対応するべきです。また、筆者は契約中止(破談)がベストと考えます。

 

 

 

 

 


【注釈】

[注1] 一般的でない、という見解は、藤原総一郎=大久保涼=宿利有紀子=笠原康弘=大久保圭「M&Aの契約実務」P201(中央経済社 第2版 2018)を参照しています。この点、森・濱田松本法律事務所=MHM税理士事務所 (編)「設例で学ぶオーナー系企業の事業承継・M&Aにおける法務と税務」(商事法務2018)P448~449において、「表明保証違反に基づく補償履行請求権が私法上どのような性質を有すると考えるべきであるかについて、統一的な見解は現時点では存在しない」とあり、租税補償の取扱いについて法曹でも見解が分かれていることが、未だ一般的でない原因と考えます。

[注2] 上掲注1「設例で学ぶオーナー系企業の事業承継・M&Aにおける法務と税務」P445~P450、森・濱田松本法律事務所(編)「税務・法務を統合したM&A戦略」P22~P28、P95~P97(中央経済社 第2版 2015)を参照しています。

[注3] 補償については上限額を設定するのが通常です。

[注4] この点につき、佐藤友一郎 (編)「法人税基本通達逐条解説」P292 (税務研究会出版局 九訂版 2019)において「法人税の所得計算における損益の認識は、ひとり民事上の契約関係その他の法的基準のみに依拠するものではなく、むしろ経済的観測に重点を置いて当期で発生した損益の測定を行うことになるのである。このような考え方からすれば、契約解除等に伴う損失を当期の損失として処理することはむしろ当然」とあります。

[注5] 上掲注2「税務・法務を統合したM&A戦略」P25を参照しています。

[注6] 最判昭和43年10月17日判決(集民第92号607頁)、東高平成21年2月18日判決参照のこと。

[注7] 裁決事例集72号325頁(国税不服審判所ホームページ  http://www.kfs.go.jp/service/JP/72/19/index.html)参照のこと。

[注8] この点、上掲注1「設例で学ぶオーナー系企業の事業承継・M&Aにおける法務と税務」P449において「法基通7-3-17の2が固定資産について同様の処理を是認していることが参考になる」との見解もあります。

[注9] この点、上掲注1「M&Aの契約実務」P170~P171において存続について「「本契約に基づく表明及び保証は、クロージング日以降3年の間に限って存続する」という規定は「クロージング以降3年間に限り表明保証違反に基づく補償請求等が可能であることを意味している」とあります。

[注10] 最判昭和45年12月24日判決(民集第24巻13号2243頁)参照のこと。

[注11] 平成20年10月1日裁決(裁決事例集76号573頁 国税不服審判所ホームページ http://www.kfs.go.jp/service/JP/76/33/index.html)参照のこと。

[注12] この点につき、第2次納税義務については、別途、特別な条項が必要なことについて、小山浩「企業実務上留意すべき重要租税判決の解説」P318以下(租税研究764号(2013))を参照のこと。また、特別補償を設けることも実務では考えられますが、上掲注1「M&Aの契約実務」P279~P280において「税務の取扱い(・・・筆者中略・・・)などの法令の解釈や事実認定が分かれ得るような論点については、特別補償の規定を定めること自体が対象会社による違法行為を認めるような外見になりかねない」との見解もあり、現実的に設定は困難と考えられます。

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「のれんの税務上の取扱い」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】事業譲渡により移転を受けた資産等に係る調整勘定

■【Q&A】取得した株式の取得価額と時価純資産価額に乖離がある場合

 

 

 


[質問]

事業譲渡におけるグループ法人税制の適用についてお尋ねします。

 

A社はB社の株式を100%所有しています。この度、A社の事業をB社に売却するのですが、事業譲渡の価格算定においてA社の事業の純資産価値のみではなく、利益3年分も加算されることとなっております。

 

この場合、利益3年分は、いわばのれんとしての価値だと考えますが、こののれんの価値部分については、グループ法人税制の対象となるのでしょうか。

 

 

[回答]

1 「のれん」とは、取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合の、その超過額をいうものとされています(企業結合会計基準㉛)。したがって、企業を買収する場合の買収価額(取得原価)が識別可能な資産・負債の時価とイコールの場合には、基本的に「のれん」は生じないことになります。

 

しかし、買収時の価格決定には企業結合に当たって期待されるシナジー効果や、ノウハウ・ブランド等の超過収益力が含まれていることから、買収価額が識別可能な資産負債の時価を超過するケースが少なくありません。これらの時価を超えるシナジーや超過収益力等のプレミアムを総称して「のれん」ということになります。

 

 

 

2 現行の日本の会計基準上、原則として、「のれん」は資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却し、その償却額は販売費および一般管理費の区分に表示することとされており、「のれん」の金額に重要性が乏しい場合には、「のれん」が生じた事業年度の費用として処理することができることとされています(企業結合会計基準㉜、㊼)。

 

一方で、負の「のれん」が発生した場合には、その発生した事業年度の利益として認識し、特別利益の区分に表示することになります(企業結合会計基準㉝、㊽)。

 

 

 

3 税務上、「のれん」という資産分類は存在しませんが、それに類似する概念として平成18年度税制改正で創設された「資産調整勘定」、「差額負債調整勘定」というものがあります。

 

これは、企業結合会計基準の導入により組織再編時の「のれん」の取扱いが明確化されたことから、企業会計との調和を図り、また実務上の不明確さを解消する目的で、会計上の「のれん」に類似する概念が税法においても導入されることとなったものです。

 

具体的には、法人が非適格合併等により交付した金銭等の価額が移転資産負債の時価純資産価額を超えるときは、その超える部分の金額を「資産調整勘定」として認識し(法人税法62の8①)、交付金銭等の額が移転資産負債の時価純資産価額に満たないときは、その満たない金額を「差額負債調整勘定」として認識するものとされています(法人税法62の8③)。

 

ここで非適格合併等とは、非適格合併のほか、非適格分割、非適格現物出資又は事業の譲受けで、事業及び事業に係る主要な資産負債のおおむね全部が移転するものとされており(法人税法62の8①、法人税法施行令123の10①)、事業の移転が前提とされています。事業の意義については旧商法・会社法の概念と基本的に同じと考えられており、「一定の営業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産」を言うことになります。

 

この「資産調整勘定」・「差額負債調整勘定」は、個別資産負債に配分できない残余価値であり、それぞれ会計上の正の「のれん」・負の「のれん」に相当するものです。

 

なお、「資産調整勘定」・「差額負債調整勘定」はあくまで差額概念であるため、承継資産の中に独立した資産として取引される慣習のある営業権が含まれる場合は、営業権(無形固定資産)として認識する必要があります。

 

このようにして計算された「資産調整勘定」・「差額負債調整勘定」は、会社の会計処理にかかわらず、計上後5年間にわたって減額し、損金又は益金の額に算入することになりますが、非適格合併等が期中に行われた場合であっても、計上初年度は1年分の減額を行うこととされています(法人税法62の8④⑦⑪)。

 

 

 

4 お尋ねによれば、「A社はB社の株式を100%所有」しており、「A社の事業をB社に売却する」、この際、「A社の事業の純資産価額に、3年分の利益相当額を加算した譲渡価額とする」とのことです。

 

事業譲渡の規模等の詳細が明らかではありませんが、グループ法人税制に関するお尋ねですので、事業及び事業に係る主要な資産負債のおおむね全部が移転することを前提に、一般論として回答させていただきます。

 

事業及び事業に係る主要な資産負債のおおむね全部が移転する事業譲受については、買収対価と移転資産・負債の時価との差額を「資産調整勘定」として認識することになります。

 

仮に、①A社は100%子会社であるB社に事業を200で譲渡し、②事業に含まれる資産及び負債の時価は170であったとすると、

 

① 会計上、資産及び負債を帳簿価額で引き継いだ場合であっても、事業譲渡の場合は、税務上の時価によって認識し、

② 交付した対価の金額(200)が移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(170)を超えた部分は、資産調整勘定として申告調整される

 

 

ことになると思われます。

 

 

なお、上記のような処理によって生ずる、一般に「のれん」と呼ばれる資産調整勘定は、税務上、5年間の均等償却を行うことで各事業年度の損金の額に算入することになると思われます(法人税法62条の8④⑤)。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2018年1月24日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[M&A案件情報(譲渡案件)](2019年11月19日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

●独自コンセプト複数業態展開の飲食業。駅近店舗のみで高収益。

[業種:飲食業/所在地:中国地方]

●不動産M&A 都内23区RC一棟マンション 他

[業種:不動産賃貸業/所在地:関東地方]

●関西地方の運送業

[業種:運送業/所在地:関西地方]

●首都圏で飲食店11店舗を運営 人気メニューはグランプリで金賞受賞

[業種:飲食業/所在地:関東地方]

 

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案件No.SS005401
独自コンセプト複数業態展開の飲食業。駅近店舗のみで高収益。

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)飲食業

(所在地)中国地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)事業譲渡

(事業概要)居酒屋、イタリアンなど

 

〔特徴・強み〕

◇洗練された独自コンセプトの店舗展開
◇駅近店舗のみ
◇集客、従業員の確保に強み

 

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案件No.SS005358
不動産M&A 都内23区RC一棟マンション 他

 

(業種分類)住宅・不動産

(業種)不動産賃貸業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1億以下

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)不動産賃貸

 

〔特徴・強み〕

◇不動産M&A案件(2棟)
1.(西日暮里)RC一棟マンション
-JR山手線/東京メトロ千代田線/日暮里舎人ライナー:西日暮里駅 徒歩7分
-2018年3月築(築1.5年)
-満室想定収入(年額)31.6百万円
2.(草加)木造1棟アパート
-東武スカイツリーライン:草加駅 徒歩7分
-2016年3月築(築3.5年)
-満室想定収入(年額)10.4百万円
◇表面利回り:6%程度(2物件合計)
◇別途、借入金の引継ぎ(約4.9憶円)が必要

 

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案件No.SS005344
関西地方の運送業

 

(業種分類)物流・運送

(業種)運送業

(所在地)関西地方

(直近売上高)1~5億

(従業員)数10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)運送業

 

〔特徴・強み〕

◇【安定した売上】
◇30代40代のドライバーも在籍。平ボディでの配送がメイン。

 

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案件No.SS003989
首都圏で飲食店11店舗を運営 人気メニューはグランプリで金賞受賞

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)飲食業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)4業態の飲食店を運営。 全店舗が駅から徒歩5分以内

 

〔特徴・強み〕

◇人気のアルコールメニューはコカ・コーラ社とのコラボレーションが決定
◇新店オープンを控え、増収増益見込み

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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