[失敗しないM&Aのための「財務デューデリジェンス」]

第2回:「バリュエーション手法」と「財務デューデリジェンス」の関係を理解する

・バリュエーション手法と財務デューデリジェンスの重点調査項目

・DCF法を用いた場合の財務デューデリジェンスとの関係

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

[関連解説]

■「財務デューデリジェンスの目的」を理解する

■実行段階におけるM&A 支援業務の相互関連性~デューデリジェンス・スキーム策定・バリュエーションの関連性~

 

 

「バリュエーション手法」と「財務デューデリジェンス」の関係を理解する


①バリュエーション手法と財務デューデリジェンスの重点調査項目

前号で解説したように、財務デューデリジェンスの重点調査項目は、バリュエーション方法によって変わります。

 

 

DCF法でバリュエーションを行う場合であれば、正常収益力、設備投資、運転資本、ネットデット、事業計画の分析が重点調査項目となり、純資産を用いた評価を行う場合は、実態純資産の分析が重要調査項目となります。

 

なお、重点調査項目以外にも、店舗を保有する企業であれば店舗別損益、工場を保有する企業であれば原価計算、製品別損益、小売店であれば客数・客単価、商品別損益等重要な調査項目があり、これらは買手企業のニーズによっても異なります。

 

 

買手企業の担当者としては、バリュエーションと財務デューデリジェンスの一般的な内容を理解し、対象会社の重点的な調査項目を検討し、また自社で行っている管理会計と照らしあわせて理解しやすい分析の切り口を検討しておくべきでしょう。

 

また、アドバイザーとしてM&Aをサポートする専門家としては、デューデリジェンスの開始に先立って買手企業の業種の特性、買手企業固有の状況、ニーズ、使用するバリュエーション手法等を把握するため、買手企業と十分なコミュニケーションをとることが必要となります。

 

 

②DCF法を用いた場合の財務デューデリジェンスとの関係

下記では上場会社等のM&Aにて採用する代表的なバリュエーション手法の1つであるDCF法を用いた場合の財務デューデリジェンスとの関係を説明します。

 

 

 

 

 

 

事業計画から各期のFCF(フリーキャッシュフロー)を算出し、各期のFCFおよび残存価値をWACCを用いて現在価値に割引きます。

 

この割引額の合計が事業価値となります。この事業価値からネットデット(有利子負債から余剰資金および非事業用資産の時価を差し引いたもの)を差し引くことで株式価値を算出します。

 

つまり、株式価値を算出するためには、各期のFCF、WACC、ネットデットの金額が必要ということが分かります。

 

 

WACCは一般的にバリュエーション業務で算出し、FCFの金額についてもバリュエーションで算出することもありますが、財務デューデリジェンスではその基礎となる事業計画を分析する場合があります。

 

なお、事業計画のFCFの分析を行うには、その発射台となる現状のFCFの分析が不可欠であり、正常収益力、運転資本、設備投資の分析を行った上で事業計画を分析する必要があります。

 

ただし、事業計画については買手企業で分析を行うため、財務デューデリジェンスの範囲外となることもあります。

 

よって、DCF法によるバリュエーションを行う場合、価値算定に直接影響を与える項目は正常収益力、運転資本、設備投資、ネットデット、事業計画となり、これらの項目を財務デューデリジェンスで重点的に分析することになります。

 

 

 

 

 

[新型コロナウイルスを背景としたM&A需要調査](2020年7月公表)

コロナ禍、「生き残り」のためのM&A!

64.8%の経営者が新型コロナの影響で会社や事業の買収を実施・検討の事実
〜株式会社バトンズ、新型コロナウイルスを背景としたM&A需要調査を実施〜

 

 

M&A総合支援プラットフォームを運営する株式会社バトンズ(本社:東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディング24階、代表:大山敬義)が、新型コロナウイルスを背景としたM&A需要の調査を目的に、会社・事業の売却もしくは買収について検討したことがある経営者111名を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施しましたのでお知らせいたします。

 

 

■アンケート調査結果の詳細を見る

 

 

 

[まとめ(アンケート調査結果より)]

今回、 新型コロナウイルスを背景としたM&A需要の調査を実施しましたところ、約9割の経営者がコロナを受け会社経営に変化があったと回答しました。また、コロナ発生後の現在、会社や事業の買収もしくは売却を実施・検討した経営者は約6割にのぼることが明らかとなりました。売却理由では「撤退」のため売るという選択肢も見受けられましたが、買収理由としては「市場の変化への対応」や「自社のウィークポイントの補強のため」が多く選択されました。コロナ禍における緊急事態宣言をきっかけに、都心から離れた地方にある営業拠点の増設や取引先の確保をしていく動きが増えていたり、ひとつの業種にこだわらず事業の多角化戦略を図っていく、といったトレンドが反映されています。

 

今後ますます市場の変化が激しくなっていく中、企業の生き残り戦略としてのM&Aには成約までのスピードが早いことが求められていきます。加えて、コロナ禍を受けて突発的に財務状況が厳しくなったことを理由とする売却が増えており、正しい企業価値を見極められ、トラブルなくM&Aの交渉や実務を行える専門家のニーズは今後さらに高まっていくでしょう。

 

 

 

情報提供元:株式会社バトンズ

[新型コロナウイルスに関するM&A・事業再生の専門家の視点]

家賃支援給付金の詳細情報が公表(2020年7月7日)。制度内容は、給付額は、申請方法は。

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

[関連解説]

■新型コロナ対策融資と特例リスケ ~事業再生の専門家の観点から~

■「M&Aの検討段階における新型コロナウイルス等による影響」とは?

 

 

1、制度概要


新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長等により、売上の急減に直⾯する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃(賃 料)の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して「家賃支援給付金」を支給されます。

 

2、支給対象者


(1)2020年4月1日時点で、次のいずれかにあてはまる法人であること

●資本金の額または出資の総額が、10億円未満であること

●資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。

 

(2) 2019年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。(持続化給付金と同様に創業特例等があります)

 

(3) 2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響など により、以下のいずれかにあてはまること。

①いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少

②連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少

 

(4)他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接 に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。

 

 

3、給付額の算定の基礎となる契約・費用


以下の契約・費用が給付額算定の基礎となります。

 

※1)賃貸借契約以外の形式での契約の場合は確認に時間が必要となるようです。

※2)地代家賃として税務申告しているなど、申告者自らの事業のために使用・収益する部分についてのみ対象

※3)共益費、管理費が賃料について規定された契約書と別の契約書に規定されている場合は給付額算定の対象外となります。

※4)契約書において、賃料と、これら以外の費用が項目ごとに区分されておらず、賃料として一括計上されている場合には、給付額の算定の基礎に含むことがあります。

※5)賃料及び共益費管理費には消費税を含みます。

上記の※4に記載されている内容によって、シェアオフィス等の水道光熱費やオフィスの受付の人件費等が賃料に含まれている契約も対象になるものと思われます。

 

4、給付額の算定根拠となる契約期間


給付の対象となるのは以下の全てに当てはまることが条件となります。

 

①2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約があること。

②申請日時点で有効な賃貸借契約があること。

③申請日より直前3ヵ月間の賃料の支払い実績があること。

 

※1)2020年3月31日から申請日までの間に、引越し、再契約、契約更新等がある場合はそれらの内容を証明する資料が必要となります。

※2)又貸しを目的とした取引、自己取引(会社と代表取締役等)、親族間(一親等以内)取引については対象外となります。

 

5、給付額


申請時の直近の支払賃料(月額)に基づいて算出される給付額(月額)を基に、6カ月分の給付額に相当する額が支給されます。

 

6、算出方法


①法人の場合

1カ月分の給付の上限額は100万円となります。

 

支払家賃(月額)75万円までの部分が2/3給付で、支払家賃(月額)75万円の場合は給付額(月額)50万円となります。家賃の支払額が75万円を超える場合は、75万円を超える部分が1/3給付となります。支払家賃(月額)225万円で上限の給付額(月額)100万円になります。6カ月分では600万円が給付の上限額となります。

 

出典:経済産業省「令和2年度第2次補正予算の事業概要」

 

 

 

②個人事業主の場合

1カ月分の給付の上限額は50万円となります。

 

支払家賃(月額)37.5万円までの部分が2/3給付で、支払家賃(月額)37.5万円の場合は給付額(月額)25万円となります。家賃の支払額が37.5万円を超える場合は、37.5万円を超える部分が1/3給付になるため、支払家賃(月額)112.5万円で上限の給付額(月額)50万円になります。6カ月分では300万円が給付の上限額となります。

 

出典:経済産業省「令和2年度第2次補正予算の事業概要」

 

 

※1)複数月数の賃料をまとめて支払っている場合には、申請日の直前の支払いを1ヵ月分に平均した金額が算定の基礎となります。

※2)2020年4月1日以降に賃料に変更があった場合、2020年3月31日時点で有効か賃貸借契約書に記載されている1か月分の金額と比較し、低い金額を給付額の算定の基礎とします。つまり、20203月の賃料申請月の前月の賃料の、いずれか低い家賃が給付額の算定の基礎となります。

※3)家賃が月ごとに変動する場合、20203月の賃料申請月の前月の賃料の、いずれか低い金額が給付額の算定の基礎となります。

 

 

7、申請書類


申請書類は持続化給付金の申込時に必要な書類(③④)に①②の書類が追加されます。

 

①賃貸借契約の存在を証明する書類(賃貸借契約書等)

②申請時の直近3か月分の賃料支払実績を証明する書類(銀行通帳の写し、振込明細書等)

③本人確認書類(運転免許証等)

④売上減少を証明する書類(確定申告書、売上台帳等)

 

8、申請期間


2020年7月14日から2021年1月15日までの間

(なお、給付額は申請時の直近1ヵ月における支払家賃等に基づき算定されます。)

 

 

9、対象範囲の例示


①自己保有の土地・建物について、ローン支払いについては対象外となります。

②個人事業主の「自宅」兼「事務所」の家賃は、確定申告書における損金計上額等、自らの事業に要する部分について対象となります。

③駐車場や資材置き場等として、事業に用している土地の賃料等の借地の賃料は対象となります。

④管理費は共益費については、賃貸借契約において賃料と一体的に取り扱われている等一定の場合に対象となります。

⑤地方自治体から賃料支援を受けている場合は、対象ではあるものの、給付額の算定に際して考慮 される場合があります。

 

10、申請方法


PCやスマートフォンで家賃支援給付金ホームページにアクセスし、WEB上で申請します。WEB上での申請が困難な場合は、申請サポート会場での申請が可能となっています。

 

新型コロナウイルスの影響で売上高が減少している事業者にとって、固定費である家賃の支援となる家賃支援給付金は非常に重要です。これらの制度を正確に理解して、自社にとって最も良いタイミングで申請を行いましょう。

 

また、上記では家賃支援給付金の概要を記載しておりますが、詳細な情報や最新の情報は経済産業省等のWEBサイトにて確認頂くようにお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

[中小企業のM&A・事業承継 Q&A解説]

第2回目:譲渡・M&Aにおいて準備すべきこと

~企業価値を向上させ売却金額を増大させるためには?~

 

[解説]

宇野俊英(M&Aコンサルタント)

 

 

[質問(Q)]

当社は後継者不在であることからM&Aで会社売却をしたいと考えています。具体的に何から手を付けてよいかわかりません。M&Aにおいて事前に準備しておくべき必要な事項を教えてください。

 

 

[回答(A)]

事前準備で必要な事項は会社の状況に異なります。事業承継への対応では後継者の有無によって手法は異なりますが、いずれも早めの検討と準備が求められます。M&Aを選択する場合にはより企業価値をブラッシュアップし、譲渡・売却しやすい会社に近づかせることにより、企業価値を向上させ売却金額を増大させる方向が望ましいと考えられます。

 

そのためには、
 ①会社の実態の見える化(実態把握、個人の資産と事業用資産の整理)
 ②M&Aのメリット・デメリットを理解した上で意思決定
 ③株式が分散していた場合には集約化と名義株の整理
 ④仲介・FA機関の選定とFA・仲介契約の締結
等が必要になります。

 

 

 

まずは経営者に改めて事業承継に向けたM&Aへの準備の必要性の認識を持っていただくことが最初の一歩です。

 

1.準備の必要性を認識しましょう


M&Aをする場合にも相応の時間が必要です。M&Aはある意味タイミングが重要です。適切なタイミングを逃してしまうと探してもそもそも候補先が見つからないということがあり得ます。また、候補先がいてもタイミングが適切でなければ不利な条件を許容せざるを得なくなってしまったり、交渉自体が流れてしまうこともあり得ます。

 

タイミングの一つは業績が上げられます。一期赤字でM&Aを決断しても交渉成立時に2 期連続赤字の状態であれば、期待していた売却価格にならないことはよくあることです。また、いたずらに時間を費やしている間に譲渡側の経営者が健康上の問題を引き起こしてしまうこともあります。経営者には「まだ先のことだから……」「日常業務で忙しいから……」とさまざまな理由はあります。しかし、準備が遅れるほど希望する条件に合った候補者を探すことが難しくなってきます。

 

 

2.経営状況・経営課題の「見える化」をしてみましょう


M&Aを準備するためにはまず、自社の経営状況・経営課題、経営資源等を見える化し、正確に現状把握することから始まります。

 

把握した自社の経営状況・経営課題等をベースに自社の強みの伸長と弱みを改善する方向性を見つけ、着手することが重要です。その際に経営者の視点に加え顧問税理士、中小企業診断士などの専門家や金融機関に協力を求めることで客観的かつ効率的に把握することが可能になります。また「見える化」することの効能はM&A に役立つのみならず、自社の経営改善につながる効果も見込まれます。

 

 

3.M&Aの意思決定、信頼できる仲介者等の選定及び仲介契約等の締結


上記過程を経てM&Aの意思決定がなされ、候補者を探索する必要があるときには仲介者・アドバイザリー(以下、「仲介者等」という)を選定して仲介契約若しくはアドバイザリー契約(以下、「仲介契約等」という)を締結します。

 

締結後は基本仲介者等の指導・助言に基づき実行していきますが、仲介者等も必ずしもすべての工程・分野に習熟してない場合もあり得ます。必要に応じて専門家や事業引継ぎ支援センター等のセカンドオピニオンを活用しましょう。あわせて、見える化で把握した課題の改善を図り、企業価値の増大を目指していきます。

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

共有物の分割で不動産取得税がかかるとき

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一 )

 

 

[関連解説]

■不動産の財産分与があった場合の不動産取得税

■不動産取得税の「相続による取得」を巡る最近のトラブル

 

1.はじめに


不動産の共有状態を解消する場合に行われるのが不動産現物の「共有物の分割」です。この場合、持ち分に応じて分割がされる等の所定の要件を満たすと、不動産取得税では形式的な所有権の移転等に当たるとして非課税となります。ただし、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得は除かれます(地法73条の7①2の3括弧書き、以下、持分超過部分規定という。)。今回は、分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得について整理します。

 

2.平成13年の改正


不動産取得税は、土地や家屋の「取得」に課税される都道府県税です(地法73条の2①)。ただし、形式的に不動産の所有権を移転したものとされる所定の「取得」は非課税とされます(地法73条の7)。共有物である不動産を分割した場合についても、もともと「不動産の取得」として不動産取得税の課税対象に含められるのですが、平成13年の改正前の実務では、共有であった不動産を分割した場合、その分割が持分に応じて単純に分割するケースについては、通達によって非課税として運用されていました。

 

ところが、東京高等裁判所平成10年8月5日判決で、法に基づかない非課税事由を通達で設定することは税法上問題であると判示したことに伴い、通達の非課税措置を地方税法上明らかに規定することが求められた結果、平成13年に上記の持分超過部分規定が新設された経緯があります。

 

 

3.分割前持分の割合を超える部分の取得とは?


そこで、実務上問題となるのは、不動産取得税が課税される「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得」は、どのように認識されるか、ということです。

 

考え方は、①分割前の土地の評価額の持ち分の金額と②分割後に取得した土地の評価額を前提として、超過部分については、②の分割後の評価額が①の分割前の評価額の持ち分の金額より高い部分とするものです。ポイントは、①と②の金額をどのように算定するかという点です。この場合は通常、土地に固定資産税評価額がある場合にはその価格を、ない場合には改めて固定資産評価基準により評価した価格を用いることになります(地法73条の21①②)。

 

これについて、「地方税の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)第5章・第1・5の2⑴」では、次のように注釈をつけています。

 

「持分の割合とは、原則として、不動産の価格の割合と解すべきものであるが、意図的に租税回避を図ろうとする意思が認められない場合については、不動産の面積の割合によっても差し支えないこと。」

 

 

4.最高裁の判決について


最高裁が原審を破棄して自判した令和2年3月19日判決は、兄弟で各々2分1の持ち分で遺贈を受けた1,200㎡弱の土地の分割が問題となったものでした。

 

具体的には、分割に際し相続税の財産評価基本通達に照らして差額が出ないように配慮し、620㎡弱と570㎡弱に分筆、兄が620㎡の方を取得したところ、分割後の土地の評価額に関し、地積比で約100万円分の持分超過部分があるとして不動産取得税が課税されたため、その取消しを求めて裁判に発展したものです。

 

一審は当初の課税処分を支持しましたが、二審では、分割前の一画地は、所有者が異なる土地をそれぞれ拠出している関係にあるため、分割後のそれぞれの土地の価格の割合で按分するのが公平、分割前の評価額を基に分割後の地積比で按分して兄の評価額を出すのは違法として、課税処分の取消を認容しました。

 

争点の重要なポイントは、分筆した土地が一体利用されていたことから、これを一画地として評価すべきか、それとも分筆後の土地ごとに評価すべきか、という点です。

 

これに対し最高裁は、問題の土地が一体として駐車場として利用されている事実関係があったことを前提に、分割後の土地の評価額は地積ベースですることと結論付けました。その理由の概要は次のとおりです。

 

「固定資産評価基準により、形状や利用状況からみて一体をなしていると認められる「隣接する2筆以上の宅地」は一画地として認定し評価することになるから、その単位面積当たりの評価額は、この土地全体に当てはまる。この場合の分割後の各筆の評価額は、単位面積当たりの評価額に分割後の各筆の地積を乗じることにより算出されるものというべき。」共有物分割のため分筆する際には、注意しておきたい判例でした。

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/07/07)より転載

人手不足に対する企業の意識調査(2020年6月公開分)

 

 

 

◇栃木県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員不足29.4%、急速に低下
~ 「過剰」とする企業、製造・小売などで増加 ~

※詳細はこちら

 

◇長野県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員が「不足」は28.5%、「過剰」と同水準に低下
~企業の人手不足感が大きく変化、30%未満は6年9カ月ぶり~

※詳細はこちら

 

◇埼玉県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員・非正社員とも人手「不足」が大幅に減少
~ 正社員・非正社員とも「過剰」が大幅に増加 ~

※詳細はこちら

 

◇愛知県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員「過剰」が2.6倍増、人手不足感は急速に後退
~ 「製造」「卸売」は過剰が不足を上回る ~

※詳細はこちら

 

◇九州地方「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感は急激に低下
~新型コロナウイルスの影響などで人手が過剰とする企業は前年同月比11.9ポイント増加~

※詳細はこちら

 

◇山梨県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感は急激に低下
~ 人手が過剰とする割合は増加 ~

※詳細はこちら

 

◇東北地方「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感は急激に低下
~ 人手が過剰とする企業、5社に1社の割合へ急増 ~

※詳細はこちら

 

◇神奈川県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感、コロナ禍で急速に低下
~ 人手が「過剰」とする割合は急増、「飲食店」で顕著 ~

※詳細はこちら

 

◇茨城県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

新型コロナウイルスの影響で人手不足感は急激に低下
~正社員、非正社員ともにリーマン・ショック後に次ぐ落ち込み幅~

※詳細はこちら

 

◇近畿地方「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

人手不足感は急激に低下、減少幅はリーマン越え
~ 人手が「過剰」とする割合は増加、特に「旅館・ホテル」で顕著 ~

※詳細はこちら

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

⑥財務デューデリジェンス(財務DD)の費用の相場とは?

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

[関連解説]

■「財務デューデリジェンスの目的」を理解する

■「事業デューデリジェンス(事業DD)」とは?

 

財務デューデリジェンス(財務DD)の費用の相場はどれぐらいですか?また、どのような要素で決まりますか?


①コンサル企業の規模

財務デューデリジェンスの費用を検討するには、まず、どれぐらいの規模のコンサルディングファーム、会計事務所に依頼するかによって相場感が異なります。

 

当然の事ですが、大手のコンサルティングファームや、監査法人等に依頼すると費用は高くなり、中小のコンサルティングファームや会計事務所に依頼すると費用は安くなります。必ずしも大手であるから品質が高いとは限りませんが、一般的に大手は品質が高く、海外に提携事務所があるため海外案件等に強みを持っています。

 

一方、中小のコンサルティングファームや会計事務所は、大手と比べると品質にばらつきがありますが、小回りや融通が利き、費用は安くなります。

 

大手であれば最低500万円以上、中小であれば最低100万円以上が相場となります。(戦略的に安く請け負っている場合や、調査範囲を限定している場合等はこの限りではありません。)

 

 

②プロフェッショナル度

同規模のコンサルティングファームや会計事務所であっても、それぞれに特徴があります。M&Aのマッチングに強みを持っている場合や、財務デューデリジェンスを得意としている場合、税務顧問をメイン業務としているが財務デューデリジェンスも行う場合等、財務デューデリジェンスに対するプロフェッショナル度が大きく異なります。プロフェッショナル度が高い事務所に依頼するほど、費用は高くなることが一般的です。

 

 

③対象企業の規模

財務デューデリジェンスを行いたい対象企業の規模によっても費用は異なります。規模の大小により、調査項目の大枠はあまり影響しませんが、一般的に規模が大きくなると子会社を保有していたり、事業を複数行っている場合、海外展開している場合等がありこれらの調査が必要であれば費用も高くなることが一般的です。売上3億円の会社と売上30億円の会社の財務デューデリジェンス費用は2倍程度、売上3億円の会社と売上300億円の会社は3~5倍程度の差となることが多いでしょう。

 

 

④調査範囲

財務デューデリジェンスと言っても、M&Aスキーム、バリュエーション方法や調査の目的等により、当然調査項目は異なります。これらの調査項目を取捨選択し絞ることで、多少の費用削減にはなるでしょう。しかし、会計は様々な項目と連動していることが多く、あまり調査項目を絞りすぎると、会社全体としての動きを見誤ったり、見落としてしまうことがあるため注意が必要です。

 

財務デューデリジェンスの費用は、コンサルティング企業の規模、コンサルティング企業のプロフェッショナル度、対象企業の規模、調査範囲等で異なります。検討している企業の財務デューデリジェンスの費用を想定した上で、どのコンサルディング企業に、どの調査項目を依頼するかを検討しましょう。

 

 

 

 

 

 

[M&A担当者のための実践講座『価値評価(バリュエーション)』]

第2回:倍率法における価値評価(バリュエーション)のポイントとは?

 

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  中田博文

 

〈目次〉

1、マーケット・アプローチ

2、倍率法

3、類似会社の選定

◇EBITDA倍率の計算例

4、個別論点

①類似会社は何社必要なのか?

②対象会社が複数事業を抱える会社(例えば、電子機器、化学品、自動車部品)の場合、どのように評価すればいいか?

③倍率法でサイズプレミアム(SCP)を考慮するケースはあるのか?

④倍率法でよくある誤りとは?

5、異次元緩和の影響

 

 

[関連記事]

■M&Aにおける価値評価(バリュエーション)の手法とは?

 

 

1、マーケット・アプローチ


マーケット・アプローチには、①対象会社の株価を基準とする評価方法(市場株価法)、②対象会社と類似する上場会社の株価を参考とする評価方法(倍率法)、③類似のM&A取引の取引価額を参考とする評価方法(取引事例法)等があります。どれも株式市場や第三者間の取引価格を参考とする評価であるため、評価の客観性が高いと考えられています。

 

 

①市場価格法は、対象会社が上場会社であるケースや上場会社が絡む組織再編時に採用されており、対象会社が非上場会社の場合は適用できない方法です。

 

②倍率法は、対象会社が非上場企業の場合に適用できます。M&A取引の中で対象会社が非上場会社の場合が圧倒的に多いことを考慮すると、最も使用頻度の高い方法と言えます。

 

③取引事例法は、そもそも類似取引自体が少なく、存在する場合であっても、個々のM&A取引は個別要因が深く絡んでいる(シナジー効果の見立て等)ので、あるM&Aの取引価格を別のM&Aの取引価格に適用するには高度な判断が必要となります。そのため、取引事例法は参考値として利用されるケースが多いです。

 

 

2、倍率法


上場企業の中から、対象企業と事業内容、事業規模、収益の状況等が類似する企業を複数選定し、それら類似会社の株式時価総額や事業価値に対する財務指標の倍率を算定し、当該倍率を対象企業の財務指標に乗じて価値を推計する手法です。

 

倍率は、EBITDA倍率の使用頻度が最も高いですが、その他にも様々な倍率が考えられます。下記のような業界特有の倍率を使用するケースもあります。

 

 

 

 

 

 

倍率の計算式の分子(事業価値と株式価値のどちらか)に注意する必要があります。PERは株式時価総額(株式価値)を分子とするため、「PER」×「対象会社の税引後利益」によって、対象会社の株式価値が算定されます。一方、EBITDA倍率は、事業価値を分子とするため、「EBITDA倍率」×「対象会社のEBITDA」によって、対象会社の事業価値が算定されます。事業価値と株式価値の整理ができていないと、交渉時に意見がかみ合わず、時間のロスが発生してしまいます。

 

 

 

 

 

 

使用する倍率に関して、特別の理由がない限り、M&Aで最も使用頻度の高いEBITDA倍率を用いるのがベターです。ただし、対象会社の一過性の損益を平準化した後の調整後EBITDAが赤字の場合、EBITDA倍率を使用できないため、その際は売上倍率等を検討します。なお、売上高倍率とEBITDA倍率を30:70のようにウェイト付けをしたレポートを見ることがありますが、ウェイト付けの計算根拠が曖昧で、社内外に対して説明に窮することになるため、避けた方がいいです。

 

 

3、類似会社の選定


倍率法では、類似会社の選定が最も重要です。対象会社に類似する上場企業を選定する際、以下のような基準を設定します。

 

[ビジネス]

●事業の類似性:業界、商品、製品、サービス

●事業の成熟度:製品ライフサイクル

●事業戦略:直営vsFC、自社製造vsファブレス、ブランド戦略vs低価格戦略 等

 

[財務]

●収益性、成長率、事業規模 等

●地域

●販売拠点、製造拠点 等

 

 

 

具体的には、以下のようなスクリーニング作業(初期的⇒量的⇒質的)を通じて、類似会社を選定します。

 

(初期的スクリーニング)

●データーベースの産業別分類による抽出

 

(量的スクリーニング)

●売上高規模:1,000億円超を除外

●EBITDAマージン30%超及び10%未満を除外

●売上高成長率10%超を除外 等

 

(質的スクリーニング)

●有価証券報告書、企業ホームページ等をチェック

✓事業が過度に多角化している会社を除外

✓収益の大半が製造業からの収益ではない会社(投資事業、不動産事業等)を除外

✓事業戦略の異なる会社を除外(B2C向け、ファブレス企業等) 等

 

 

◇EBITDA倍率の計算例◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4、個別論点


①類似会社は何社必要なのか?

⇒重複の程度の高い会社があれば、選定する企業は少なくてもいいが、倍率の分散傾向が強ければ、傾向を把握するために、より多くの類似会社が必要と考えています。実務上、上記のスクリーニングを通じて4社~7社程度の適当な類似会社が選定されていれば、評価結果の信頼性に問題ないと考えられます。

 

 

②対象会社が複数事業を抱える会社(例えば、電子機器、化学品、自動車部品)の場合、どのように評価すればいいか?

⇒対象会社の各事業別(電子機器、化学品、自動車部品)に類似会社を選定し、各事業別の倍率を用いて、事業別の事業価値を算定します。その後、事業別の事業価値を合算して全社の事業価値を計算します。なお、ソニーのような上場会社は、コングロマリット・ディスカウントによって、全社の事業価値が、事業別の事業価値の合計よりも小さいと考えられます。一方で、シナジー効果(共通仕入、多能工の活用、管理部門の共通化等)が存在する場合もあるため、複数事業のケースにおいて、コングロマリット・ディスカウントを機械的に反映するのではなく、案件ごとの詳細な検討が必要です。

 

 

③倍率法でサイズプレミアム(SCP)を考慮するケースはあるのか?

⇒サイズプレミアム(SCP)は、株式時価総額が小さな企業に対して適用するプレミアムのことをいいます。ビジネスリスクが同程度の場合、規模の大きな企業よりも小さい企業の方がリターンは高いという実証研究に基づくもので、実務で広く共有されている概念です。具体的には、DCF法の割引率を推定する際に、対象会社の株式価値の規模に応じたサイズプレミアム(5%~5.5% )を加味します。

⇒倍率法において、類似する上場会社が規模の大きい会社しかない場合、算定された倍率は大企業ベースの倍率と考えられるため、対象会社が小規模会社のケースでは、倍率法で算定された株式価値に対してサイズプレミアムを反映させることを検討します。具体的には、DCF法で、サイズプレミアムの有無に対応する株式価値の差額(比率)を用いて、倍率法の株式価値を減額させます。

 

 

④倍率法でよくある誤りとは?

⇒翌期以降、大型の設備投資を予定しているが、株式価値に反映されていない。DCF法では、将来の設備投資はフリーキャッシュフローに反映されますが、倍率法では、事業価値から翌期以降の大型の設備投資額(通常の設備投資と異なる規模)を控除する必要があります。

⇒規模、利益率、成長率等が大きく異なる会社を類似会社としているケース

⇒類似会社のEBITDAに一過性の損益が含まれているケース

⇒対象会社のEBITDAに一過性の損益が含まれているケース

⇒対象会社のEBITDAに経済合理性のない関連当事者取引が含まれているケース(多額の役員報酬、社長のプライベートの費用等)等が要因として考えられます。

 

 

 

5、異次元緩和の影響


2010年以降、日本銀行が金融緩和を目的として上場投資信託(ETF)を購入しており、2013年以降、インフレ目標を達成するため異次元緩和の一環として、毎年の購入量が大幅に増加しています(2020年3月:日本銀行のETF購入残高29.4兆円)。日本銀行は、一般投資家の経済合理性とは異なる価値判断に基づいて株式投資(日本銀行のETF購入は間接的な株式購入)をしているため、日本銀行のETF購入がマーケットに歪みを生じてる可能性があると考えています。マーケットの歪みの程度について、学術的な実証研究の成果がまだないので、定量的な判断は出来ないのですが、倍率法の倍率もある程度の影響を受けていると実務の中で感じることがあります。

 

 

 

 

 

 

□■本連載の今後の掲載予定□■

—連載(全5回)—

第1回:M&Aにおける価値評価(バリュエーション)の手法とは?

第2回:倍率法における価値評価(バリュエーション)のポイントとは?

第3回:DCF法における価値評価(バリュエーション)のポイントとは?

第4回:支配権プレミアム&流動性ディスカウントについて

第5回:財務デューデリジェンスの発見事項の取扱い

※掲載タイトル、内容は予定のものを含みます。

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「経営状況が悪化した場合の定期同額給与」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】解散をした場合の役員退職金の支給について

■【Q&A】解散に際して支払われる役員退職金の課税関係

 


[質問]

「役員報酬の臨時改定事由」に該当するか否かご教示ください。

 

 <概要>
・5月決算の法人です。(飲食店を営んでいます)
・従業員は代表取締役である社長ほか多数です。
・銀行等第三者からの借入はありません。
・株主は社長のみです。

 

 <質問>
昨今のコロナウイルスの影響で、大幅に売上高が落ち急激に業績が悪化しています。そのため役員報酬の大幅な減額を検討しています。その場合は法人税基本通達9-2-13《経営の状況の著しい悪化に類する理由》に該当しますか。

 

また業績が回復した後に通常改定以外で役員報酬を増額した場合は、増額分が損金不算入でよろしいでしょうか。

 

 

[回答]

1 法人税法上、役員給与のうち損金算入ができるものとして挙げられている定期同額給与は、次に掲げるものとされています(法34①一、令69①一)

 

(1) その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)で、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの

 

(2) 定期給与で次の改定がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの支給額が同額であるもの

 

① その事業年度開始の日から3月を経過する日までにされた定期給与の額の改定(通常改定)
② 臨時改定事由によりされた定期給与の額の改定
③ 業績悪化改定事由によりされた定期給与の額の改定

 

 

2 上記の業績悪化改定事由とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいい、一時的な資金繰りの都合や業績目標に達しなかったことなどは含まれないとされています(基通9-2-13)。

 

 

3 そこで、お尋ねの場合は、「昨今のコロナウイルスの影響で、大幅に売上高が落ち急激に業績が悪化」したということですが、単に業績目標が達成しなかったというわけではなさそうですし、その業績悪化の原因はコロナウイルスの影響であることが明らかなようですので、上記の業績悪化改定事由に該当するものと認められます。

 

 

4 また、上記の業績悪化事由による改定により減額した後に、業績が回復したからといって通常改定以外で増額改定した場合には、臨時改定事由にも該当しませんので、その増額改定分(回復部分)は定期同額給与として取り扱われない、すなわち損金不算入になると考えます。したがって、損金不算入を避けるのであれば、通常の給与改定時期で増額改定(回復)するのが望ましいと考えます。

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年3月6日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

[M&Aニュース](2020年6月15日〜6月26日)

◇小島鉄工所<6112>、創業家によるMBOで非公開化、◇東京製綱<5981>、中国のスチールコード生産子会社を現地社に譲渡、◇SBテクノロジー<4726>、クラウドワークス傘下でシステム開発の電縁を子会社化、◇ユニチカ<3103>、プラスチック成形加工子会社のコソフを譲渡、◇モブキャストホールディングス<3664>、トヨタ車のコンプリートカー企画・開発を手がける子会社「トムス」をT2に譲渡、◇ヒューマンホールディングス<2415>、プロeスポーツチーム「CREST GAMING」運営のACTRIZEから全事業を取得 ほか

 

 

小島鉄工所<6112>、創業家によるMBOで非公開化

小島鉄工所は26日、MBO(経営陣による買収)を実施し、非公開化すると発表した。同社会長・筆頭株主の児玉正蔵氏ら創業家出身の4氏が設立した新会社「児玉本社」(群馬県高崎市)がTOB(株式公開買い付け)を通じて全株式を目指す。小島鉄工所はMBOに賛成している。

同社は大型油圧プレス機のメーカー。現在、名古屋証券取引所第2部に上場しているが、3月の平均時価総額が5億円未満となり、上場廃止のおそれが出ている。このため、顧客や取引先に対する信用力の低下などから、受注に悪影響が及ぶ懸念が出ており、中長期的な成長を見据えた場合、非公開化により事業基盤を再構築する必要があると判断した。

MBOの主体となる児玉本社は小島鉄工所会長の児玉正蔵、正蔵氏の実兄の児玉恒二、児玉三郎(いずれも取締役相談役)、甥の児玉太郎の4氏が各25%を出資して設立した。

買付価格は1株あたり570円で、TOB公表前日の終値401円に42.14%のプレミアムを加えた。買付予定数は99万9050株。買付予定数の下限は所有割合67%に相当する66万9976株。買付代金は5億6945万円。児玉本社に出資する大株主4氏(所有割合は合計29.17%)はTOBに応募する。

買付期間は6月29日~8月12日。決済の開始日は8月19日。公開買付代理人はSMBC日興証券。

2019年11月期業績は売上高0.6%減の22億4800万円、営業利益74.4%減の2300万円、最終利益66%減の3400万円。今年2月にはやはり時価総額が回復せず、東証2部を廃止となった。

小島鉄工所は1809年に初代の小島弥平が朝廷から免許を得て鋳造所として創業したことを起源とする名門。1930年に合資会社、1936年に株式会社に改組。明治期には水圧機(水圧プレス)の国産第1号を開発したことで知られる。

東京製綱<5981>、中国のスチールコード生産子会社を現地社に譲渡

東京製綱は、傘下の東京製綱海外事業投資(東京都中央区。純資産15億5000万円)を、不動産開発などを手がける中国の大連光伸企業集団有限公司(遼寧省)に譲渡することを決めた。東京製綱海外事業投資は100%出資の中国子会社として、タイヤ補強材のスチールコードを製造する東京製綱(常州)有限公司(江蘇省。売上高約15億円)を抱える。新型コロナ感染の影響で受注が減り、工場の稼働を停止していたが、安定操業再開の見通しが立たないことから、現地での事業継続を断念した。

スチールコード事業についてはグループの東綱スチールコード(岩手県北上市)に経営資源を集中し、収益改善に努めるとしている。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年7月31日。

SBテクノロジー<4726>、クラウドワークス傘下でシステム開発の電縁を子会社化

SBテクノロジーは、クラウドワークス傘下でシステム開発を手がける電縁(東京都品川区。売上高24億1000万円、営業利益6500万円、純資産3億2900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社が強みとする通信業、自治体向けに次世代通信規格(5G)や電子自治体といった領域で事業拡大を目指す。

取得価額は14億4100万円。取得予定日は2020年7月10日。

SBテクノロジーは建設業や製造業を中心とした法人、官公庁、自治体向けのIT関連プロジェクトを手がけている。

電縁は2000年設立。クラウドワークスは2017年11月に電縁を子会社化し、通信業や自治体、生命保険業などを主要顧客とする各種システム開発を展開してきた。しかし、マッチング事業を取り巻く環境が副業解禁や新型コロナに端を発するテレワーク(在宅勤務)の普及で、大きな転換点を迎える中、中核事業のマッチング事業へ経営資源を集中することの重要度が高まったとしている。

ユニチカ<3103>、プラスチック成形加工子会社のコソフを譲渡

ユニチカは、プラスチック成形加工の全額出資子会社であるコソフ(京都府久御山町。売上高4億9800万円、営業利益200万円、純資産4億3500万円)の全株式を、自己株取得するコソフ(取得割合90%)と同社社長の谷浩一氏(同10%)に譲渡することを決めた。経営資源の集中の一環という。譲渡価額は3億2000万円。譲渡価額は2020年7月1日。

コソフは1984年に設立し、センサーなどに使われる構造部品、光学部品などの精密射出成形を主力としている。

モブキャストホールディングス<3664>、トヨタ車のコンプリートカー企画・開発を手がける子会社「トムス」をT2に譲渡

モブキャストホールディングスは、トヨタ車をベースとしたコンプリートカーの企画・開発などを手がける全額出資子会社のトムス(東京都世田谷区。売上高24億円、営業利益△2億7500万円、純資産2億5300万円)の株式80%を、T2(東京都世田谷区)に譲渡することを決めた。譲渡価額は8億円。譲渡予定日は2020年6月26日。

トムスは1974年に設立し、モブキャストが2018年2月に子会社化。以降、SUPRA、CENTURYといったトヨタ自動車を代表する車種のコンプリートカー(市販車をベースにチューニングを施し、インテリア、エクステリアを変更したオリジナルな完成車)の発売、グッズ拡充、公認ファンクラブの発足などの新施策を実施してきた。ただ、モブキャストグループとのシナジー(相乗効果)創出には時間をなお要すると判断し、保有株の20%を残して、他社に経営を委ねることにした。

ヒューマンホールディングス<2415>、プロeスポーツチーム「CREST GAMING」運営のACTRIZEから全事業を取得

ヒューマンホールディングスは子会社のヒューマンアカデミー(東京都新宿区)を通じて、プロeスポーツチーム「CREST GAMING」運営のACTRIZE(東京都千代田区)から全事業を取得することを決めた。今後成長が期待されるeスポーツ関連事業の強化が目的。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ヒューマンアカデミーは2019年からスポンサーとしてACTRIZEが運営する「CREST GAMING」を支援してきた経緯がある。

ヒューマンアカデミー傘下の全日制専門校の総合学園ヒューマンアカデミーは2020年4月からeスポーツを学べる「e-Sportsカレッジ」を開講しているが、今回、「CREST GAMING」事業を取り込むことにより、選手からの実践指導、授業カリキュラムの監修・作成、卒業生のチーム加入機会の提供などが可能になると期待している。一連の取り組みを通じて、eスポーツ業界の発展と業界で活躍する人材の輩出を目指す。

オリンパス<7733>、デジカメなどの映像事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに譲渡へ

オリンパスは24日、デジタルカメラや交換レンズ、ICレコーダーなどの映像事業を投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP、東京都千代田区)に譲渡する意向確認書を締結したと発表した。赤字が続いている映像事業を新会社として分社化し、新会社の株式をJIPに売却する。今後、映像事業の抜本的な構造改革を実施したうえで、9月末までに最終契約を済ませ、年内の売却完了を目指す。

2020年3月期の映像事業の部門業績は売上高10.4%減の436億円、営業赤字103億円(前期は182億円の赤字)。映像事業の主力であるデジタルカメラはスマートフォンやタブレット端末の普及などに伴い、売上規模が年々縮小し、全社売上高に占める割合は6%に満たない。生産拠点の再編などのコスト構造見直しを進めたものの、収益改善が追い付かず、2020年3月期まで3期連続で営業赤字に陥っている。

三共生興、約30人の早期退職者を募集へ

繊維商社の三共生興は23日、グループ会社を含めて約30人の早期退職者を募集すると発表した。40歳以上の社員が対象。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、繊維アパレル市場を取り巻く先行き不透明な経営環境に対応するため、効率的な組織・人員体制の確立を目指す。募集期間は7月20日~31日。退職日は8月31日とする。

三共生興のほか、子会社の三共生興ファッションサービス、三共生興アパレルファッションから募集する。応募者には特別退職金を支給し、本人の要望に応じて会社負担による再就職支援を行う。

同社の2020年3月期業績は売上高14.6%減の233億円、営業利益94.9%減の9600万円、最終利益78.2%増の30億円。

日立化成、10月1日に「昭和電工マテリアルズ」に社名変更

昭和電工は23日、約9600億円を投じて子会社化した日立化成の社名を10月1日付で「昭和電工マテリアルズ」に変更すると発表した。日立化成は昭和電工によるTOB(株式公開買い付け)を通じた子会社化に伴い、6月19日付で東証1部から上場廃止となった。

日立化成は1962年に日立製作所から分離独立した化学メーカーで、半導体や自動車電池に使われる機能材料などに強みを持つ。日立によるグループ戦略の見直しや親子上場解消策を受け、昭和電工が日立化成の買収に動いた。買収金額約9600億円は昭和電工の連結売上高(2019年12月期9065億円)を上回り、社運をかけた大型M&Aとして注目された。

No.1<3562>、インターネット関連システム・アプリ開発のリライを子会社化

No.1はインターネット関連システム・アプリ開発のリライ(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。クラウドサービスを中心としたデジタル分野で新サービスの提供、新規顧客の開拓につなげる。取得価額は3699万円。取得予定日は2020年6月30日。

リライは2012年に設立。7月1日付で「No.1デジタルソリューション」に社名変更を予定している。

FIG<4392>、物流向けシステム開発のプライムキャストを子会社化

FIGは、物流向けシステム開発のプライムキャスト(東京都千代田区。売上高2億2700万円、営業利益708万円、純資産1億3300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。コンテンツ開発の強化に向け、IT人材の確保などが狙い。

FIGは物流・タクシー・バス事業者向け音声・動態サービスやホテル向けマルチメディアシステムなどの月額サービス契約件数が20万件を突破するなど、顧客基盤の拡大に伴い、コンテンツ開発の強化が課題となっている。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月8日。

ガイアックス<3775>、海外マッチングサイト事業のロコタビを子会社化

ガイアックスは、マッチングサイト事業を手がけるロコタビ(東京都千代田区。売上高9730万円、営業利益△5760万円、純資産△2120万円)を子会社化することを決めた。株式を追加取得し、現在11.56%の持ち株比率を50.002%に引き上げる。シェアリングエコノミー関連サービスの拡充が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ロコタビは海外在住日本人に観光案内や現地サポート、ビジネス翻訳、食事アテンドなどを依頼できるマッチングサイト「ロコタビ」を運営している。

テクノホライゾン・ホールディングス<6629>、AV機器販売・設置工事のシンガポールEscoを子会社化

テクノホライゾン・ホールディングスは、AV機器・システムの販売や設置工事を手がけるシンガポールEsco Pte.Ltd.(売上高22億5000万円、純資産3億1800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。海外事業強化の一環。取得価額は約13億円。取得予定日は2020年7月上旬。

Escoは1989年設立で、シンガポールのほか、マレーシア、中国、香港、フィリピン、韓国、タイ、インドに拠点を置く。

大和工業<5444>、韓国子会社の棒鋼事業を現地同業の大韓製鋼に譲渡

大和工業は、韓国子会社のワイケー・スチールコーポレーション(釜山市)が営む棒鋼事業を、現地鉄鋼メーカーのDaehan Steel (大韓製鋼、釜山市)に譲渡することを決めた。棒鋼事業を全額出資で設立する新会社「ワイケーエスカンパニーリミテッド」(釜山市)に移管したうえで、大韓製鋼が新会社の株式51%を取得する。分割する事業の直近売上高は559億円。株式の譲渡価額は41億1200万円。譲渡予定日は2020年9月8日。

大和工業は2002年に韓国にヤマト・コリア・スチールコーポレーション(現ワイケー・スチールコーポレーション)を設立し、韓宝釜山製鉄所の営業を譲り受け、同国で建設向けを主用途とするH形鋼など棒鋼事業を展開してきた。しかし、棒鋼市場の縮小や競争激化に伴い、新たな戦略パートナーが必要と判断し、現地での棒鋼事業を合弁運営に切り替えることにした。大韓製鋼は1954年に設立し、従業員は約420人。

オプトホールディング<2389>、動画広告配信子会社のリレイドをCMerTVに譲渡

オプトホールディングは、動画広告配信事業を手がける100%子会社のリレイド(東京都千代田区。売上高7億400万円、営業利益△1億3200万円、純資産2億9500万円)の全株式を、同業のCMerTV(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。国内の動画広告市場は急速に拡大する一方で、厳しい競争にさらされ、業績が厳しさを増していた。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年6月30日。

オルトプラス<3672>、アクセルマーク<3624>からゲーム事業を取得

オルトプラスは、アクセルマークからゲーム事業を取得することを決めた。ソーシャルゲーム事業の基盤強化につなげる狙い。対象事業の直近業績は売上高7億3400万円、営業損失5億600万円(セグメント利益)。取得価額は協議中。取得予定は2020年9月。今回、オルトプラス、アクセルマークの両社は、新たな成長分野として期待されるブロックチェーン(分散型台帳)ゲームで協業体制を構築することでも基本合意した。

ウイルテック<7087>、ビジネスホンなどOA機器買取・販売のサザンプランを子会社化

ウイルテックは、中古ビジネスホンなどOA機器の買取・販売を手がけるサザンプラン(東京都新宿区。売上高5億3300万円、営業利益9700万円、純資産2億5900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は5億9200万円。取得予定日は2020年6月23日。

サザンプランは2012年設立で、ビジネスホンを中心に仕入れ、メンテナンス、流通の収益モデルを確立し、再生、磨き、塗装といった独自の再生技術を強みに業績を伸ばしてきた。ウイルテックは技術者派遣事業をはじめ、電子部品の卸売りや制御機器ユニットなどの受託生産、修理サービス事業を展開している。サザンプランを傘下に取り込むことで、電子部品の販売力強化などを期待している。

オウケイウェイヴ<3808>、通訳・翻訳子会社のブリックスをMBOで譲渡

オウケイウェイヴは、通訳・翻訳子会社のブリックス(東京都新宿区。売上高9億3400万円、経常利益763万円、純資産6550万円)の全所有株式76.85%を、MBO(経営陣が参加する買収)を通じてブリックス出資組合(東京都新宿区)に譲渡することを決めた。譲渡価額は3億円。譲渡予定日は2020年6月28日。

ブリックス出資組合はブリックス株式の取得を目的に、ブリックス社長の吉川健一氏が中心となって設立した。

オウケイウェイヴは2012年にブリックスを子会社化した。しかし、AI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳)、情報セキュリティーの各技術を組み合わせたプラットフォーム事業に経営資源を集中する中で、訪日外国人向けサービスを手がけるブリックスについて好条件での売却を模索していた。

エムジーホーム<8891>、戸建分譲のTAKI HOUSEを子会社化

エムジーホームは、戸建分譲のTAKI HOUSE(川崎市。売上高50億3000万円、営業利益1億2600万円、純資産8億9500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。エムジーホームは住宅事業でマンション分譲、注文住宅を手がけるが、新たに分譲住宅を取り込む。取得価額は8億9800万円。取得予定日は2020年7月。

TAKI HOUSEは2009年に設立し、神奈川・東京エリアを中心に年間100棟以上の戸建分譲住宅を手がける。東海地域を地盤とするエムジーホームは土地情報の共有を通じて、戸建住宅にとどまらず、マンション、オフィス、テナントビル、工場などで協業を進め、関東での事業拡大につなげる。

KLab<3656>、岡山事業所のゲーム事業をさくらソフトに譲渡

KLabは、岡山事業所(岡山市)で手がけるゲームの企画・制作・運営事業を、ゲーム開発のさくらソフト(千葉市)に譲渡することを決めた。モバイルオンラインゲーム市場が先進国を中心に成熟期を迎える中、ソフト・ハード両面から経営資源の再配分を進めており、その一環。

岡山事業所は2012年に子会社化したメディアインクルーズを前身とし、譲渡対象事業の直近売上高は6億8500万円。7月末に全額出資で設立する新会社「まかねソフト」(岡山市)に事業を移管し、この新会社の全株式をさくらソフトに譲渡する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年8月1日。

SBIインシュアランスグループ<7326>、常口セーフティ少額短期保険を子会社化

SBIインシュアランスグループは、常口セーフティ少額短期保険(札幌市。売上高13億6000万円、経常利益5200万円、純資産5億300万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。傘下の既存4社との相乗効果を通じて、少額短期保険事業の拡大につなげる。常口セーフティは2008年に北海道で第1号の少額短期保険業者として営業開始し、賃貸住宅入居者向け災害時生活復旧費用保険を取り扱っている。取得価額は非公表。取得予定日は未定。

SBIインシュアランスグループは子会社のSBI少額保険ホールディングスを通じて、現在、SBIいきいき少額短期保険(東京都港区。死亡・医療保険、ペット保険、地震補償保険)、SBI日本少額短期保険(大阪市。賃貸向け保険、バイク・自動車保険)、SBIリスタ少額短期保険(東京都港区。地震補償保険)、日本アニマル倶楽部(仙台市。ペット保険)の4社を持つ。

JKホールディングス<9896>、合板・建材卸の井田商事を子会社化

JKホールディングスは合板・建材卸の井田商事(大阪市。売上高4億3600万円、営業利益800万円、純資産9900万円)の全株式を取得することを決めた。井田商事は1951年に設立し、大阪市内と大阪府北部を地盤とする。JKホールディングスは子会社のKEY BOARD(東京都江東区)を通じて傘下に収める。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク