[ワンポイント解説]

事業承継税制の特例 ~『後継者要件』について解説~

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 深川雄/税理士

 

 

平成30年度税制改正により「事業承継税制の特例措置」において、後継者の要件が緩和されました。これまでの「一般措置」では、納税猶予の対象となる後継者は1名しか認められておりませんでしたが、「特例措置」では、最大3人の後継者への承継が可能になりました。その結果、会社の実情に合わせた多様な承継方法が選べるようになりました。

 

1.後継者の要件

具体的な後継者の要件は下記になります。

 

2.注意点

贈与より特例措置の適用を受ける場合、贈与の日まで継続して3年以上にわたり役員である必要があるため、計画的に後継者を役員に選任する必要がございます。株式は贈与又相続により取得することが要件となっておりますので、売買による承継は納税猶予の対象とならない点ご注意ください。複数人の後継者を会社の代表者にすることで、後々の運営に問題が生ずることもあります。将来の会社運営について十分な検討を行ったうえで、後継者を選ぶ必要がございます。

 

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年1月11日 )より再編集

[ワンポイント解説]

事業承継税制の特例 ~『特例承継計画』について解説~

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 高中恵美/税理士

 

 

平成30年度税制改正により「事業承継税制の特例措置」が創設されました。「特例措置」はこれまでの事業承継税制を抜本的に見直した10年間限定の時限立法で、株式の贈与や相続に係る税負担が100%猶予されます。特例措置の適用を受けるためには、「特例承継計画」を都道府県庁に提出し、確認を受ける必要があります。特例承継計画を提出することができる期間は平成30年4月1日~令和5年3月31日までの5年間に限られますので注意が必要です。

1.特例承継計画の作成

特例承継計画には、次の事項を記載します。記載内容について認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受ける必要があります。

 

1220.bmp

2.実務上のポイント
特例承継計画を提出しても、その後、必ずしも事業承継税制の適用を受けなければならない訳ではありません。適用の可能性がある場合には、令和5年までに特例承継計画を提出することをお勧めします。特例後継者が事業承継税制の適用を受けた後は、その後継者を変更することはできませんが、特例後継者を二人又は三人記載した場合で、まだ株の贈与・相続を受けていない後継者については変更をすることができます。

 

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2018年12月11日)より再編集のうえ掲載