Q-7 M&Aで買いたい(譲り受けたい)時に知っておくべき情報はどんなものがありますか?|3分でわかる!M&Aのこと【解説コラム】
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今後、ますます活用が進んでいくであろうM&Aについて、できるだけわかりやすくQ&A形式で解説するコラムを掲載することにしました。ぜひご一読ください!
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Q-7 M&Aで買いたい(譲り受けたい)時に知っておくべき情報はどんなものがありますか?
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まずは、買いたい(譲り受けたい)会社・事業について、(1)M&A市場にどの程度の候補会社数が出回っているか、(2)その出回っている会社のおよその規模・価格帯、そして(3)どの地域(都心なのか、特定の地域なのか)等を予め調査しておく必要があります。
M&Aは当然に買い手と売り手の需給バランスの中で成り立っている市場があります。
以下、昨今需要が高い状態が続いている運送業を例に、具体的に考えてみましょう。
(1)については、現状の需給バランスの中で、運送業の売出し候補会社は、いわば取り合いの状況です。多少高いと思っても、即断即決で、例えば最低限「買取の意向表明」まで持っていかないことには、多くの買い希望の競争相手に持って行かれるでしょう。
(2)については、(1)におけるその業態における規模感というものがあります。例えば、運送業でも比較的規模感の小さいもの(単にトラック数台といったケース)は、あちらこちらで散見されることでわかるように、後継者が見つからず、結果、廃業を考えている売り手希望者は相当程度ありますので、買い希望を複数のM&A仲介会社等に提示しておくと、候補が定期的に上がってきます。一方、同じ運送業でも規模が大きく、また、老舗など顧客の固定化が万全な売り会社(いわゆる希少価値のある“出物”)については、即断即決が求められます。
そして、(3)の地域性については、やはりこれも需給バランスの中で決まってきます。運送業の例で言うと、これから成長性が高いと見込まれる地域や、戦略的に物流のボトルネックとなっているようなカテゴリー(港からの陸揚げのドレージ輸送、ロジスティックスセンター間をつなぐ幹線物流等)の運送業態については、やはり、即断即決が求められるのが実情です。
最後に、金融機関サイドの見方として、事業領域によって、どの程度借入をつけられるかも重要な要素です。業種によっては、金融機関がその借入金の返済能力が高いと見ている一方、返済能力はおろか事業リスクが高いと見ている業種もあります。やはり一般的に、高付加価値の特許・許認可・免許等々を有している事業や会社に対し、金融機関は債務返済能力を高く見ていく一方、算入障壁の低い業種や会社に対しては、事業リスクを高く見積もっているため、相当程度の自己資金がない限り、M&Aは成立しないケースが多いです。
また、業種の問題もありますが、顧客基盤が盤石であるとか、認知されたブランド力のある会社について金融機関は、当然に高評価をもっているのが通常ですが、このような会社は、売却価格も小さくありませんので、買い手としては、悩ましいのが常ということになります。
(執筆:税理士 高井 寿)
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高井 寿(たかい ひさし)
高井国際税務会計事務所 代表税理士 東京税理士会世田谷支部副支部長
2002年税理士登録、経営品質協議会認定アセッサー、CFPファイナンシャルプランナー、経営計画策定、国内及び国際タックスマネジメント、事業・資産承継、組織再編・連結納税、MAが専門。財団法人日本民事信託協会代表理事。
(著書等)「連結納税マニュアル(税務研究会)」「営業権の実務」(税務通信(税務研究会))、「経理システムと税務」「寄付金課税の問題点」(ともに税務弘報(中央経済社))、「資産家・事業家税務コンサルティングマニュアル」(税務研究会)
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