【業界別M&A動向】

IT業界の現状と課題について

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(佐々木 翼)

 

 

〈目次〉

1.IT業界の現状について

2.IT業界の課題

①IT人材の不足

②エンジニアの長時間労働

3.最後に

 

 

 

 

1.IT業界の現状について


IT業界は私たちの生活と密接に関わる業界です。

近年、日本ではデジタル化が進み、IT業界の市場規模は拡大し続けています。
最近よく耳にする話として、インターネットで情報を管理するサービスや、機械学習を通して情報を蓄積させるAI、5Gといった技術が開発されています。
こうした先端技術を駆使したサービスの実用化も増えており、IT業界はますます市場を拡大していくと予測されています。

 

特に、新型コロナウイルス感染拡大は、IT業界にも大きな影響を及ぼしました。
日本のみならず、世界中で人と人の接触が制限され、”おうち時間”という言葉が流行し、外出自粛を余儀なくされる中で、テレワークやオンライン通話アプリの普及が進み、これまで以上にオンラインでのやり取りをする機会が増えていきました。

 

その結果、企業と個人が活用するサービスも徐々にIT化が進んでいきました。

企業は積極的なクラウドを活用し、各業界ではDX化の流れが一気に加速しました。
個人においても、家で簡単に商品を購入できるeコマースを活用する機会が増え、長く続くコロナ禍は、ビジネス社会だけでなく、個人の消費行動までオンライン化している現状にあります。

日々加速するデジタル化の中で、IT業界は技術の進化が求められています。環境の変化が激しく、その中で生き残っていくためには社会のニーズや世界のトレンドを的確にとらえ、柔軟に対応していく能力が必要な業界と言えます。

 

 

2.IT業界の課題


昨今、各業界がIT化を進め、IT業界の将来性は明るいという意見が多く見受けられます。

そんなIT業界の課題はどのようなことが挙げられるのでしょうか。

 

①IT人材の不足

1点目の課題はIT人材の不足です。

 

IT業界は近年需要が急拡大しており、IT人材が不足しています。
前述の通り、IT市場の急成長により、多くの企業はクラウド等の新サービスを導入するようになりました。

 

その一方、日本企業は既存のシステムから脱却ができず、既存システムの保守・運用に貴重なIT人材が利用されている現状があります。
その結果、日本では、IT人材の不足という課題が顕著に表れています。

さらに、少子高齢化による労働人口の減少も重なり、深刻な人材不足に陥っています。
少子高齢化による人口減少とIT業界の拡大に伴う人材の不足が同時に起きる中、IT業界の人材不足は益々問題になると予測されます。

 

以下はIT人材の需給に関する推計結果の表になります。

 

 

 

(出典)経済産業省「IT分野について」:IT人材の需給に関する推計結果

 

 

人材不足はIT企業だけではなく、情報システム部門に配属する人材も不足していき、今後IT人材の不足は益々加速していくと経済産業省も予測しています。

最近ではプログラミングスクールを実施する企業やプログラミングに義務教育の開始等、IT人材を増やす流れは出来ていますが、効果が出ているとは言い切れない現状があります。

 

②エンジニアの長時間労働

2点目の課題はエンジニアの長時間労働です。

 

IT業界の需要が拡大する一方で人材不足が引き金となりエンジニアの長時間労働が業界として起きています。
また、人材不足の他にIT業界の構造がエンジニアの長時間労働を起こしている要因の一つにもなっています。

それはIT業界の多重下請け構造です。
大手から案件が下りてきて、その案件を受けた中堅企業が更に中小企業に振り分けるという構造です。

 

 

(出典):ITメディア

 

 

この多重下請け構造は自社では抱えきれない業務量を別の企業に振り、案件を受けた企業も大きい案件に携わることができるメリットがある一方で、デメリットも存在します。

下請け企業が大手から無茶な納期を強いられ、エンジニアが長時間労働を強いられるという点です。これがエンジニアの長時間労働が起きる要因の一つです。

また、ソフトウェア開発では、複数のエンジニアがチームで仕事を遂行する為、業務の進捗管理や製品の品質管理を把握することが難しく、個人の経験とノウハウにどうしても依存してしまいます。また、企画の構成が不十分な場合、その後の作業に影響が出て、時間外労働などが増えて長時間労働へと繋がります。

慢性的な長時間労働を解決する為に、働き方改革を推進することは一つの解決策となります。例として、在宅勤務を推奨することで、通勤時間を削減し、家族やプライベートな時間を確保しやすくすることが挙げられます。

 

 

3.最後に


今回はIT業界の課題について記事をまとめさせていただきました。
IT業界が抱える課題である、人材不足と長時間労働は深刻な問題であることがご理解いただけたかと思います。

IT業界は上記課題を解決する為にM&Aが活発です。

薄利な多重下請け構造からの脱却をしたい。大手傘下に入り経営の安定と人材不足、技術不足を解消したい。新しい技術を取り入れたいという理由が主な理由です。

IT企業のM&Aには専門知識が必要となる為、専門業者に相談することをおすすめします。

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年3月14日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

 

 

●SNSマーケティング会社|上場企業含む顧客企業と100%直商流かつ高単価で運営

[業種:情報通信業/所在地:関東地方]

●【無借金経営】金属表面処理剤の製造を主とする会社

[業種:化学工業製品製造業/所在地:関東地方]

●デザイン性の高さと企画提案力が魅力の戸建住宅販売業

[業種:不動産売買業/所在地:西日本]

●知名度あり「菓子小売業」

[業種:菓子小売/所在地:非公表]

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS012355
SNSマーケティング会社|上場企業含む顧客企業と100%直商流かつ高単価で運営

(業種分類)IT・ソフトウェア
(業種)情報通信業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)SNSマーケティング

 

〔特徴・強み〕

◇SNS運用の企画立案から撮影~投稿まで一気通貫で対応可能
◇Twitter、Instagram、TikTok等SNS全媒体対応可能
◇100%直商流での取引で実績多数
◇月額制×年間契約で盤石な収益基盤を構築

 

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案件No.SS011623
【無借金経営】金属表面処理剤の製造を主とする会社

(業種分類)製造業
(業種)化学工業製品製造業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)金属表面処理剤を主とした製造会社

 

〔特徴・強み〕

◇長年の業歴を誇る金属表面処理剤製造会社
◇大口から小口ロット対応することで差別化
◇取引先は分散しており、特定企業への依存度は少ない
◇無借金経営であり、自己資本比率良好

 

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案件No.SS011200
デザイン性の高さと企画提案力が魅力の戸建住宅販売業

(業種分類)住宅・不動産
(業種)不動産売買業
(所在地)西日本
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)分譲・注文住宅の企画・設計・販売を行う不動産業者

 

〔特徴・強み〕

◇デザインと住みやすさを兼ね備えた住宅として評価が高い
◇戸建住宅は分譲地にデザインの統一感を持たせ美しい街並みを形成
◇高級注文住宅の販売実績もあり

 

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案件No.SS008317
知名度あり「菓子小売業」

(業種分類)外食・食品関連
(業種)菓子小売
(所在地)非公表
(直近売上高)5~10億
(従業員数)100名超
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)菓子小売事業を展開。

 

〔特徴・強み〕

◇創業から歴史があり、地元での知名度あり。
◇コロナ渦で業績は影響は受けるものの、回復基調。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[解説ニュース]

不動産購入5か月後、子どもへの贈与で税金トラブル

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■小規模宅地等特例:相続人の継続事業への関与度合いが問われた事例

■土地の地目等は、相続時の利用状況をもとに判断すべきとした裁決

 

 


1、はじめに


財産を次世代に生前贈与する場合には、現金よりも不動産などの現物資産の方が有利といわれています。というのも、課税される対象金額は、現金の場合、その金額100%で評価されるのに、土地なら公示地価レベルの80%で抑制的に評価されるだけでなく、家屋はさらに控え目な固定資産税評価額で評価されるからです。そこで、親が生前に不動産を購入して子どもに贈与することが、節税策として検討されてきました。今回、取り上げるのは、こうした事情を背景に最近、税金トラブルとして浮上した事案です(国税不服審判所裁決令和4年11月4日)

 

2、事案の概要


裁決書によると、事案の概要は次のとおりです。

(1)平成29年11月、父親が不動産を8億7千万円で購入5か月後、子であるAに同不動産を贈与した。

 

(2)Aは、購入価額の2分の1に満たないと見られる「財産評価基本通達(以下、通達という。)に従った評価」で贈与税申告をした。

 

(3)その4年後の令和3年になって、税務当局から実地調査の通知があり、通達6の適用の可否判断する旨の説明があった。

 

(4)Aは、急遽、通達以外の方法で求めた不動産の価額、購入価額の2分の1以上とみられる金額で修正申告した。

 

(5)ところが税務当局は修正申告をもとに、令和4年になって過少申告加算税を賦課決定した。

 

(6)Aは、この間の事情について「調査通知の際、調査担当職員から調査の目的が「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定める通達6 《この通達の定めにより難い場合の評価》の適用の可否判断にある旨の説明を受けたことから、土地建物の評価額が売買価格の2分の1を超えていれば通達6の適用はないと考え、修正申告書を提出したにすぎない」と主張し、Aは皆が平等に利用する通達で評価して当初申告したのに、過少申告加算税をかけるのは酷だとして、国税不服審判所の判断を仰ぐことにした。

 

3、問題の所在


贈与税は、もらった財産の価額に対して課税する税金です。従って、もらった財産が不動産などである場合には、その金銭的価値を見積もる必要があります。

 

そこで登場するのが国税庁の「通達」です。実務上、財産評価のモノサシとなっているからです。しかし、この通達に基づいた財産評価では著しく不適当とされる場合も、出てこないわけではありません。そこで、こうした場合に備えて通達の中に、例外的に、国税庁長官の指示を受けてこの通達の評価方法と異なる評価方法で財産を評価する仕組みを置いています。これが「通達6」です。

 

そうすると上記事例では、納税者であるAが通達に従い不動産を評価して申告したけれども、税務当局は、その評価では著しく不適当となると考えたと推定されます。最高裁は昨年4月、賃貸不動産を多額の借入で購入し相続税を0にする節税策を講じた事案で、通達評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、通達の評価方法以外の評価方法、例えば鑑定評価による評価額を採用してもよいとの考えを明らかにしているからです。

 

実務上の問題点として、相続・贈与時の評価時点と財産の購入・売却時点が近いと取引価額が時価相当と認定されるかどうかという点、その上で通達評価との乖離が著しく、実質的な租税公平に反すると認められる場合には通達6が適用されるかどうかという点が特に気になるところです。しかしこの事案ではその点は問われず、過少申告加算税をかけるのは酷かどうかが争点でした。無論これも深刻な問題をはらみます。

4、 国税不服審判所の判断


国税不服審判所は「評価通達の定める評価方法によって評価し、申告したとしても、通達6の定めにより課税庁から是正を求められることがあるように、評価通達自体が、評価通達の定める評価方法が財産の適正な評価額を求める唯一の方法であることをうたっているものではない(中略)。どのような評価方法を用いるかは納税者の判断と責任に委ねられている」とした上で、当初申告に通達評価を利用せざるをえなかった納税者側でどうにもこうにもしようがない客観的事情はないから、当局が過少申告加算税をかけるのは酷ではないと判断しました。

 

このことを突き詰めれば、納税者は通達評価で是正を求められることが予測できるなら、通達以外の評価方法を選択できるはずで、通達評価を利用したのは納税者自身の主観的事情だと聞こえます。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/3/13)より転載

[スモールM&A マッチングサイト活用が成功のカギ]

第13回:売れる会社の特徴

売れる会社と売れない会社、その分岐点とは?

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

 

 

 

 

 

質問(A)


第三者承継できる会社とできない会社があるようですが、どういったところがポイントなのでしょうか。

 

回答(Q)


後継者候補が現れて上手に第三者承継ができている会社の特徴は、「5つの整理ができている」「再現性がある」「条件が高すぎない」の3つです。

 

 

 

後継者候補が集まりやすい会社の特徴


特別な商品やサービスを扱っていたり、特許を持っていたりなど特徴的な会社は、後継者が見つかりやすいのは確かである。しかし、マッチングサイトを使って後継者候補を探す場合は、あまり特徴がない普通の小さな会社でも、後継者候補が見つかる可能性がある。

 

また、ここまで見てきたように、売上規模が小さくても、赤字や借金があってもマッチングサイトを使った第三者承継では、後継者候補が見つかる可能性は十分にある。その背景には、後継者候補の「数」が増加していることと、後継者候補の「多様化」がある。

 

このようにマッチングサイトにより後継者が見つかりやすくなった状況の中でも、特に後継者候補が集まりやすい会社がある。

 

そのような会社の特徴は次のとおりである。

 

 

● 「5つの整理(株主・書類・資産や負債・私的財産や私的経費・関係会社の整理)」が事前にできている会社

● 社長がいなくてもある程度回っている会社又は再現性がある会社

● 条件が高すぎない会社

 

 

 

再現性のある会社


1つ目にあげた「5つの整理」は、これまでの解説をもう一度確認してほしい。ここでは、2つ目にあげた「社長がいなくてもある程度回っている会社又は再現性がある会社」を確認する。後継者候補の視点は常に、「承継後」にある。承継自体は後継者候補にとっては、スタート地点に過ぎない。承継後にこの会社をどうやって経営していくのか、ノウハウや取引先をどうやって引き継ぐのかなどが重要なのである。

 

承継が済めば、基本的に元社長はその会社からいなくなるが、その時に問題なく会社運営ができるのかが後継者候補の最大の関心事といっていい。承継対象会社が、既に社長抜きでほぼ運営できている場合は、後継者候補にとっては安心だ。この場合は第三者承継とはいえ、トップが代わるだけで、実務はそのまま問題なく継続できるだろう。

 

しかし、小さな会社ではそういった会社はとても少ないのが現実だ。では、一般的な小さな会社が後継者候補に興味をもってもらうためにはどうしたらいいのだろうか。それは、再現性のある会社にすることである。「再現性がある」とは、他の人でも同様の作業ができて、結果が出るような仕組みのことである。具体的には第6回の解説で説明したように、社長が独自にしている業務を、紙に落とし込んでマニュアル化していくのである。

 

 

 

条件が高すぎない会社


特別な商品があり、再現性もある会社なのに、なかなか第三者承継ができない会社がある。なぜであろうか。その理由はズバリ、「条件が高すぎる」のである。これは、小さな会社でも時々ある。たとえ小さくとも特別な商品やサービスがあり、更に再現性のあるような会社では、オーナー経営者自身にとっては自慢の会社である。そうすると、時に、相場とかけ離れた条件を提示してしまい、結果的に後継者候補が現れなくなってしまうのである。こういった時は是非、マッチングサイトに精通したアドバイザーなどの専門家に相談をして、相場観を確認してほしい。そうしないと、取引先も従業員も、オーナー経営者自身も望まない結果となってしまうのだから……。

 

最後は信頼できるかどうか


最後に、「5つの整理」や「再現性」があり、条件も「高すぎない」にもかかわらず、第三者承継ができない会社も実は稀にあるのだが、どんなケースだろうか。 意外と思われるかもしれないが、第三者承継の過程で信頼を醸成できなかったケースである。最終的にお金を支払って全責任を背負うのは、後継者候補である。

 

その後継者候補からみて、オーナー経営者などに対して、「何か隠しているのではないか」という疑念が最後まで払拭できなければ、後継者候補は最終的にお金を支払うことはしないだろう。たとえ資金力や経験豊富な有名企

業が後継者候補として現れても、信頼を相手に抱くことができなければ、雇用の継続や取引先の継続を強く望むオーナー経営者の場合、最終的に会社を引き渡すことはしないだろう。

 

小さな会社の第三者承継では、こういった部分は大変重要であることを覚えておいてほしい。第三者承継を特殊なことと思わず、通常の仕事と同じように考え判断することができれば、納得のできる形で会社を引き継ぐことも可能であるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書籍「小さな会社の事業承継・引継ぎ徹底ガイド ~マッチングサイト活用が成功のカギ」より

【業界別M&A動向】

技術者派遣業界の概況と、M&Aにおけるチェックポイント

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(堺 康行 )

 

 

〈目次〉

1.技術者派遣業界の概況

2.技術者派遣業界のM&A動向と事例考察

①株式会社Success Holdersによる株式会社P&Pの買収(2021年4月)

②三陽工業株式会社による株式会社極東ブレインの買収(2021年12月)

3.技術者派遣業のM&Aにおける売却側のチェックポイント

①採用コストの増加に伴う適切な売価転嫁の進捗

②派遣業務上の適法性

③完成責任を負う請負業務の適切な管理体制構築

④営業、現場対応等業務の権限委譲を進める

4.技術者派遣業のM&Aにおける買収側のチェックポイント

①所属技術者の契約単価、稼働率、技術分野(専門性、転用性)

②売上高・人件費マージンに関する調査

③既存取引先とのリレーション・キーマンの存在有無

5.最後に

 

 

 

 

1.技術者派遣業界の概況


技術者派遣業界は、少子高齢化による人手不足に加え、IT・建設業を中心とした需要高止まりを受け、業界主要企業を中心に業績拡大が続いています。

 

 

データ引用:各社IR資料より

 

 

他方、仕入側となる人材採用においては、厳しい状況が続いています。
コロナ禍により一時的に求人倍率は低下したものの、足下では以前の水準に戻りつつあります。
IT系(約10倍)、建築土木系(約5倍)を始め高い水準で推移しています。

 

また、昨今ではリファラル採用の浸透やフリーランス志向の高まりから、転職市場で経験者を獲得することは一段と難しくなり、採用コスト増(求人・待遇面)による採算性低下は業界内共通の課題となりつつあります。

 

こういった背景から、M&Aは人員確保の有力な手段として活用されており、企業規模を問わず事業承継や買収が活発に行われています。

 

 

データ引用:doda(デューダ)転職求人倍率レポートより

 

 

データ引用:Lancers フリーランス実態調査 2021より

 

 

 

2.技術者派遣業界のM&A動向と事例考察


コロナ禍の中でも、技術者派遣業界ではM&Aのニュースが報告され続けています。

 

業界全体のM&A動向としては、最大手級が海外人材派遣業の買収に取り組む一方、準大手・中堅クラス企業も多く国内M&Aの買い手となっていることが特徴として挙げられます。

 

 

最大手企業による近年の海外M&A事例

 

 

ここでは、最大手以外の企業による2件の国内M&A事例を取り上げ、動向を読み解きます。

 

 

①株式会社Success Holdersによる株式会社P&Pの買収(2021年4月)

 

株式会社Success Holders(JASDAQ上場、エンジニア派遣、メディア事業等)による株式会社P&P(システム開発・派遣等)の買収が2021年4月27日に発表されました。株式会社P&Pは直近期の売上高3.5億円であり、同社ホームページによると従業員数は22人規模とのことです。

 

Success Holderによるプレスリリースによると、「ポストコロナにおいて発展性のある事業・業種」と位置づけ今般のM&Aを決定しており、今後もIT技術者派遣事業の発展性を見込んでいることが推察されます。

 

 

②三陽工業株式会社による株式会社極東ブレインの買収(2021年12月)

 

三陽工業株式会社(非上場、製造業・製造派遣)による株式会社極東ブレイン(機械設計・電気設計の技術派遣等)の買収が2021年12月9日に発表されました。株式会社極東ブレインは1982年設立、従業員数は46人(2021年2月現在)とのことです。

 

三陽工業のプレスリリースによると、CADと設計に関する強みを持つ極東ブレインとの事業上の親和性を見込んでいると読み取れます。

 

この事例のように、設立後30~40年が経過し経営者の代替わりが進む中で、大手資本に参加しその後の発展を図るケースが多いのも、技術者派遣業界のM&Aで昨今増加している様態と言えます。

 

 

3.技術者派遣業のM&Aにおける売却側のチェックポイント


技術者派遣業の経営者様が株式売却を検討する場合のポイントを解説します。
ここで挙げる点で何らか不安点がある場合、事前に解消ができるかを検討することをお勧めします。

 

①採用コストの増加に伴う適切な売価転嫁の進捗

 

前述の通り、業界全体として人材確保難・待遇改善によるコスト増の動向が業界全般に見受けられます。

人材不足は当業界のみならず日本全体の課題と言えます。
顧客との価格交渉によりコスト増加を適切に転嫁し、持続可能な経営状態を保つ努力を行うことが、M&Aや事業承継を円滑に進めるポイントとなります。

 

②派遣業務上の適法性

 

人材派遣業は、2018年に許可制に完全統合されたことなど、法制面やコンプライアンス面の対応が進みつつあります。

その背景には、かつては多重派遣や偽装請負など、法令上問題がある慣習が業界内に横行した反省があり、現在は上場企業を中心に適法性は重視される状況にあります。

第三者監査を受けない中小企業においては図らずも旧来の問題がある体制が残存している場合があります。
M&Aの場になり法務面の不安がネックとならない様、業務フローや契約書などを現行制度に照らして事前整備する必要があります。

特に出向や準委任契約の運用は論点が生じやすいポイントです。あらかじめ労務・法務専門家の意見を受けながら早期に適法性を確認・是正していくことをお勧めします。

 

③完成責任を負う請負業務の適切な管理体制構築

 

技術者派遣業会社では、派遣契約を基本としつつも、一部業務を請負形態で契約している会社は少なくありません。

 

時間単価で稼働分の報酬を得る形態とは違い赤字化リスクを負う形態ですが、プロジェクトマネジメントを含め、適切に管理できる体制・人員が整っていれば、買い手にとっては魅力的なポイントにもなり得ます。

 

請負業務を行っている場合で、直近で見積工数オーバー等による損失が発生している場合、時間単価契約への移行や見積もり精緻化等、何らかの対策をしておいた方が好ましいと言えます。逆にそのような事象がなく少なくとも数年間に亘り安定的な案件運用ができていれば、アピールできるポイントと考えられます。

 

④営業、現場対応等業務の権限委譲を進める

 

売却後に引退を検討される場合は、ご自身がいなくても現在の取引が継続できるよう権限移譲を進める必要があります。

 

 

4.技術者派遣業のM&Aにおける買収側のチェックポイント


逆に技術者派遣業の会社を買収する会社様が検討するべき、業界特有のポイントを解説します。

 

①所属技術者の契約単価、稼働率、技術分野(専門性、転用性)

 

技術者派遣業はその事業の特性上、人員の特性が事業性の大半を占めています。
そのため、技術者ごとの採算性や技術分野、年齢などは細かく検査する必要があります。

 

専門性の高低は基本的には契約単価や稼働率に表れます。但し、特定取引先への依存度が高い場合や交渉を積極的に行っていない場合などでは、適正金額よりも低く評価されている場合があります。買収調査においては、技術者のスキルシートを入手して個別に調査(ヒューマン・デュー・ディリジェンス)を実施し、併せて商流に関する調査を行うのが好ましいと言えます。

 

②売上高・人件費マージンに関する調査

 

前述のように、技術者の採用コストは上昇しつつあります。マージン率が低下しつつある会社については、交渉状況など商流の確認を行う必要があります。

また、所属技術者の転用性が低い(いわゆる潰しが効かない)場合、仮に既存取引先が失注するとマージン率が急落する可能性がありますので、注意が必要です。

 

③既存取引先とのリレーション・キーマンの存在有無

 

技術者派遣業の多くの会社は、従業員の大部分が技術者で占められる組織であり、営業体制は最小限となっていることが少なくありません。
そのような中で既存取引先とのリレーション上、失ってはならないキーマンとなっている営業員や役員が存在する可能性があります。
事前に案件獲得フローなどを確認し、必要に応じてキーマン条項をSPA(株式譲渡契約)に盛り込むなど検討する必要があります。

 

 

 

5.最後に


技術者派遣業界はM&Aが活発な業界の一つです。
現経営者様としては多数の可能性を検討する余地があり、逆に買収を検討される企業様には競争が増す状況でもあります。

当社は技術者派遣業のM&Aについて多数の知見を有しており、業界特有の論点についてもサポートが可能です。
M&Aも一つの選択肢とされる場合、業界動向も含めてご案内させていただきますので、これを機にご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年3月7日)

-以下のM&A案件(1件)を掲載しております-

 

 

 

●商業テナント中心に学校寮、病院、マンション、団地等の内装仕上工事

[業種:内装工事業/所在地:関東地方]

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS011718
商業テナント中心に学校寮、病院、マンション、団地等の内装仕上工事

(業種分類)建設・土木
(業種)内装工事業
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)内装仕上工事全般

 

〔特徴・強み〕

◇長年の歴史がある内装仕上工事業
◇建築施工管理技士複数名在籍
◇職人はほぼ外注している
◇得意先が多く安定した受注基盤を形成

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年2月28日)

-以下のM&A案件(5件)を掲載しております-

 

 

 

●不動産売買取引の課題を解決するプラットフォーマー

[業種:不動産マッチングプラットフォーム/所在地:関東地方]

●日本のサブカルチャー商品の販売に強みをもつ越境EC事業(自社PF所有)

[業種:無店舗小売業/所在地:西日本]

●【業歴20年超、安定した収益力保有】多店舗展開するペットショップ

[業種:その他小売業/所在地:関東地方]

●老舗映像制作会社

[業種:映像音響機器のレンタル・リース/所在地:東日本]

●ブランド品等の高級品EC販売事業(自社ECサイト中心)

[業種:無店舗小売業/所在地:関西地方]

 

 

 

 

 

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案件No.SS011983
不動産売買取引の課題を解決するプラットフォーマー

(業種分類)住宅・不動産
(業種)不動産マッチングプラットフォーム
(所在地)関東地方
(直近売上高)1億以下
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)不動産売買におけるエンドユーザーと不動産会社双方の課題を解決する売買マッチングのプラットフォーム運営事業者 ・顧客課題から事業構築にアプローチする課題解決型スタートアップ(不動産テック企業)

 

〔特徴・強み〕

◇多数の不動産事業者の登録あり
◇複数の国内有力投資家からの出資歴あり
◇不動産事業者と取引者がWin-Winとなる仕組みを構築

 

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案件No.SS011894
日本のサブカルチャー商品の販売に強みをもつ越境EC事業(自社PF所有)

 

(業種分類)小売業
(業種)無店舗小売業
(所在地)西日本
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)日本のサブカルチャー商品の販売に強みをもつ越境EC事業

 

〔特徴・強み〕

◇日本のサブカルチャー商品を中心に販売を手掛ける越境ECサイトを運営。
◇他越境ECサイトと差別化できた商品ラインナップから高いリピート率を誇る独自の海外顧客層を保有。
◇越境ECを通じた購入文化の浸透、サイト知名度向上から更なる成長を見込む。

 

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案件No.SS011613
【業歴20年超、安定した収益力保有】多店舗展開するペットショップ

 

(業種分類)小売業
(業種)その他小売業
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)多店舗展開するペットショップ事業

 

〔特徴・強み〕

◇集客力を有し、毎期安定的に利益確保。
◇販売営業力に強み有り。

 

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案件No.SS011403
老舗映像制作会社

 

(業種分類)金融・リース
(業種)映像音響機器のレンタル・リース
(所在地)東日本
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)映像音響機器のレンタルサービス

 

〔特徴・強み〕

◇企画から実働までワンストップで対応

 

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案件No.SS011329
ブランド品等の高級品EC販売事業(自社ECサイト中心)

 

(業種分類)小売業
(業種)無店舗小売業
(所在地)関西地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)ブランド品等の高級品EC販売事業

 

〔特徴・強み〕

◇ブランド品を中心に取り扱う老舗の自社ECサイトを運営。
◇独自の基幹システムを持ち、あらゆる業務の自動化、徹底した数値化を実現。
◇ネット集客力にも強み有。SEO、MEO、リスティング広告は上位を獲得。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[解説ニュース]

建物取壊費用を譲渡費用にする場合のポイントは?

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■不動産所得の計算で争いになった最近の事例

■親の駐車場を使用貸借で子が借りた場合の駐車場収入の帰属

 

 


1、はじめに


古い建物のある土地を高く売るなら、建物を取壊して更地にしたほうが良い、という考えから、一計を案じる資産家も少なくないでしょう。実際、土地を売るために、その上に建っている建物を取壊した場合には、土地を売った場合にかかる税金の計算上も、この取壊費用は費用として利益から控除することができます。
土地等の資産の譲渡に要した費用(譲渡費用)については、所得税基本通達33ー7《譲渡費用の範囲》で次のように例示されています。

 

(イ)資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用

 

(ロ)上記(イ)に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地(借地権を含む。)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用

 

ご覧のように建物等の取壊し費用が含まれています。しかし、取壊費用だからといって、どんな場合でも税金の計算上費用として認められるかというと、そう簡単ではないようです。ただ、「土地等を売るために」建物を取り壊したという関係がはっきりしていないと、税金の計算上、不利になることもあるようです。

 

2、具体事例から


建物の取壊し費用が譲渡費用として認められなかった事例があります(国税不服審判所令和3年2月25日裁決)。事実関係の概要は次の通りです。

 

・親からX土地とそこに建つ老朽化したY建物、Z建物を相続したA氏は、Z建物に車が突っ込んだ事故があり、賃借人が退去したのを奇貨として平成25年3月に、約330万円を負担してY建物、Z建物を取壊した。

 

・A氏は平成26年11月に不動産仲介会社とX土地の売買に関する媒介契約を締結し、平成30年8月にX土地の売買契約をBさんと締結し、同月中に引き渡した。

 

・A氏は建物取壊費用をX土地の譲渡所得の計算上、譲渡費用として控除したが、令和2年4月に、所轄税務署がその取壊費用の控除は譲渡費用として認められないとして追徴した。

 

・A氏は、取壊費用はX土地を高く売るために必要だったとして国税不服審判所に審査請求した。

 

・A氏は、「更地にすれば媒介業者に頼らずとも買い手がすぐ見つかると思って、取壊しを行い、当初から解体業者等に本件土地の譲渡の意思表示をしていたものの、媒介契約の締結が遅れてしまっただけ(中略)、取壊しは、譲渡の実現のための時の流れの中で本件譲渡のために行われたもの」と主張した。

 

3、 国税不服審判所の判断


国税不服審判所(以下、審判所という)は、審理に当たり、譲渡所得に対する課税について「原則として、資産の譲渡により実現した所得が課税の対象」だから「資産の譲渡に当たって支出された費用が譲渡費用に当たるかどうかは、(中略)現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきもの」と考え方を示しました。

 

ついで、審判所は倒壊の恐れのあったY建物や、長年1階部分以外には入居者がなかったZ建物が、賃借人の「退去から間もない平成25年3月31日に取壊しが完了した」ことを指摘、「取壊しは老朽化や車の衝突事故による損傷等に起因して行われたものとするのが合理的」と認定しました。

 

さらに審判所は、「その後に締結された媒介契約及び売買契約の目的物は、土地のみとされていたのであり、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、取壊しは媒介契約や売買契約の前提又は内容になっていなかった」とも指摘し、「現実に行われた本件売買契約による本件譲渡を前提とすると、客観的に見て譲渡を実現するために費用が必要であったとは認められない」として問題の取壊し費用は譲渡費用には該当しないと判断しています。

 

4、 まとめ


土地等の譲渡所得を適正に計算・申告しようとする場合には、売買の実態に即して、出したお金が譲渡費用に含まれるかどうかが判定されるため、資産をどのような形で売却するかを、決めておくことがポイントといえそうです。そのため売却してから譲渡所得の申告を考えるのではなく、専門家を交えて最初から考えておくことが必要ではないでしょうか。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/2/27)より転載

【業界別M&A動向】

食品製造業のM&A動向(第2回) ~直近の業界内のM&A動向について~

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(金川 明央)

 

 

〈目次〉

1.直近の業界内のM&A動向について

2.検討のポイント

➀異業種を買手とした事例

②ファンドを買手とした事例

③周辺領域を買手とした事例

3.最後に

 

 

 

 

1.直近の業界内のM&A動向について


2021年6月1日から2022年5月末までの1年間で、売手を食品関連企業とするM&Aは公表ベースで47件となっています。
このうち同業種を買手とする割合は51%、異業種/周辺業種を買手とする割合は49%となりました(図A/※1)

 

 

 

 

 

また、上記円グラフに記載の異業種/周辺業種を買手とする23件の事例の内、買手業種別に見てみると、化学・医薬品、商社、外食をはじめとして幅広な業種により構成されています。(図B/※2)

 

 

 

 

これは買手が「川下から川上まで事業領域を拡大する」「新事業領域に進出する」といった目的を基にM&Aを実施していることが起因しています。
また、「事業承継」や「成長支援」をテーマに企業投資を行うファンドによる買収事例も一定数存在します。

前回のコラムでも記載しましたが、同業界は「販路の拡大」や「製造コストの削減による生産効率の改善」を含む様々な課題を抱えており、同業種だけでなく異業種や周辺領域の企業とタッグを組むことにより課題解決につながるケースもあります。

 

また、ビジネス面以外にも「後継者不在」「人材の採用」「人材の育成」など内部的な課題を持つ企業も存在しており、内部体制の強化を期待してファンドに投資を受ける事例もあります。
通常、M&Aの検討から成約まで、またM&A実行後のシナジー構築まで一定の時間を要するケースが大半であるため、課題解決のための一つの方法としてM&Aを検討される場合は想定しているよりも早いタイミングから着手されることを推奨します。
(※1)(※2)レコフデータより弊社作成

 

 

2.検討のポイント


実際に直近1年以内に実施された同業界内のM&Aの事例を基に、本項では同業界のM&Aのポイントについて触れていきたいと思います。

 

➀異業種を買手とした事例

 

 

 

ノフレ食品は、北海道を拠点にした食品の企画販売会社で、レトルト・缶詰・瓶詰を中心とする同社の商品は、様々な賞を受賞するなど商品の企画開発力・ブランド力が高く評価されており、ノフレコミュニケーションズは、ノフレ食品で培った商品企画力やECを中心としたコンサルティングノウハウを活用したサービスを展開しているとのことです。

ノフレ食品は、クロス・マーケティング・グループ社の食品EC部門におけるノウハウを活かしたサービス連携や顧客開拓による更なる会社の売上の拡大を企図していると考えられます。

 

本事例のポイントとしては、売手企業の「企画開発力」「ブランド力」が優れたものであったという点であると考えられます。

事業の根幹である商品力が確立されていることにより、買手企業とのシナジーの構想が描きやすくなります。

 

 

②ファンドを買手とした事例

 

 

 

 

ホソヤコーポレーションは、中華系チルド食品を製造する食品メーカーであり、同社の主力商品である贅沢シリーズ(焼売・餃子・春巻)は、関東圏の食品スーパーマーケットにおいて各カテゴリーのトップシェア商品となっているとのことです。

J-GIAは日本たばこ産業株式会社・株式会社博報堂をアライアンス・パートナーとしており、ファンドによる経営管理機能の強化に加え、2社による生産・品質管理の事業支援やマーケティング支援による更なる企業価値向上を企図しているものと考えられます。

 

本事例においても、売手であるホソヤコーポレーションが既に強固な商品力を有していた点がポイントであると考えられます。

 

 

③周辺領域を買手とした事例

 

 

 

道東ライスは1973年に設立し、道東地区で食品製造業に従事しています。福原は道東ライスの米穀の炊飯加工業、惣菜類の製造ノウハウを活かし、アークスグループの惣菜事業と連携させることにより、惣菜事業の拡大を企図していると考えられます。

 

本案件においては、「製造ノウハウ」「生産拠点」の獲得がポイントとして挙げられます。

食品製造業界においては、生産拠点の獲得を目的としたM&A事例も多く見受けられます。

 

 

3.最後に


食品製造業界のM&Aは、買手の経営戦略の多角化、また売手の抱える課題に応じて、同業種だけでなく、異業種/周辺業種を買手とした事例も増えてきています。

特に売手側がM&Aを検討する動機も「後継者不足」のような内部事情に起因したものだけでなく、「自社の更なる成長」を主眼に置いたケースも増えてきたように見受けられます。

自社の課題解決の一つの選択肢として、M&Aを検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

[ゼロからわかる事業再生]

第7回:法的整理か私的整理かの選択

~法的整理とは、私的整理とは、私的整理と法的整理の選択基準~

 

[解説]

髙井章光(弁護士)

 

 

[質問(Q)]

事業再生を実施したいと思いますが、法的整理と私的整理のどちらの手続を取るのがよいのでしょうか。違いを教えてください。

 

 

[回答(A)]

事業再生の手続においては、法的整理(法的再生手続)と私的整理(私的再生手続)があります。法的整理においては、すべての債権者を対象として支払猶予(支払停止)をしてもらい、債権カットを要請することになりますので、買掛先などの取引先に対しても大きな影響が生じます。したがって、取引先に影響を与えないようにするためには、金融機関のみを対象とする私的整理をまず最初に検討することになります。

 

ただし、私的整理は全対象債権者(金融機関)から最終的に同意を得ないと成立しないため、全対象債権者から同意を得ることが難しい場合には、すべての債権者を対象とするものの、多数決によって成立する法的整理を実施することになります。

 

 

 

1.法的整理とは


法的整理(法的再生手続)とは、裁判所の監督下において、法律の規定に基づき手続が決められており、基本的に全債権者を対象として、債権者を平等に取り扱いながら、債権者の多数決によって再建策の成否が決まることになります。主に中小企業を対象とする民事再生手続や、比較的大規模な企業を対象とする会社更生手続があります。

 

メリットとしては、裁判所が監督しながら、法律によってしっかりとした手続の内容が決められているため、比較的手続自体は安定していると評価できることが挙げられます。手続が開始した時点におけるすべての債権者に対して支払が禁じられ、平等に取り扱わねばならないとされます。それらの債権者への弁済条件を内容とする再生計画案が裁判所に認可されるためには、債権者集会にて、対象債権者の多数決の投票による再生計画案への同意(賛成)で決まることになります。民事再生手続であれば、投票を行った債権者の過半数の賛成があり、かつ、その賛成者の債権額が総債権額の2 分の1 以上であることが可決要件とされています(民再法172 の3)。したがって、全対象債権者の同意が必要とされる私的整理よりは再建計画の認可要件は緩やかといえます。

 

2.私的整理とは


私的整理(私的再生手続)とは、裁判所による監督によって再建するのではなく、金融機関などの大口債権者(通常は、金融機関のみ)にて、協議によって債務者の再建を進める手続です。よって、メインバンクによる支援があると進めやすい手続といえます。

 

金融機関を対象とする私的整理においては、一定の手続ルールを決めて行う準則型私的整理を利用することが多く、大規模な企業においては事業再生ADR が利用され、中小企業においては中小企業再生支援協議会が利用されています。裁判所の調停手続を利用して債権者と債務者が協議によって再生を図る手続として、特定調停手続があり、こちらは協議を行う場所は裁判所となりますが、法的整理のようにすべての債権者を対象として、多数決にて再生計画を認可するのでなく、他の私的整理と同様に債権者全員の同意をもって再生計画を成立させるため、私的整理に分類されています。

 

3.私的整理と法的整理の選択基準


私的整理と法的整理の特徴をまとめると以下のようになります。

 

 

 

取引先に迷惑をかけることや取引に対する影響を考えると、私的整理をまず選択することになります。その上で、私的整理を進めることが困難であったり、法的整理の方が望ましい事情がある場合に法的整理を選択することになります。

 

私的整理は金融債権者を対象としてその全員から同意を得る必要があるため、これまでの経緯から感情的になっていたり、経営陣に不正があるなどにより、債務者の再生には同意できないことが明らかな場合には、私的整理を進めてもまとまらないことが明らかですので、法的整理を選択することになります。

さらに資金繰りが厳しく、金融機関への支払のみを止めても資金ショートが生じる危険がある場合には、すべての支払を止める必要がありますので、すべての債権者を対象とする法的手続を取ることになります。取引先等の債権が過大となってしまっていて、再生計画を作成するにおいて、金融機関の債権のみをカットするだけでは資金が足りず、取引先等の過大な債権もカット対象とする必要がある場合にも、法的手続を選択してすべての債権者を対象とすることになります。

 

逆に、法的整理となったことを理由として、取引が破綻したり、契約解除となる危険が高い場合(例えば、ブランドからライセンスを受けて取引を行っている場合には、往々にして、法的整理を行っている先にはライセンスを与えないという対応がなされることがあります)には、なんとしてでも私的整理ができないかという姿勢で検討することになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「会社買収により退職した役員が親会社の役員となった場合の退職金」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】経営状況が悪化した法人の役員退職金

■【Q&A】会社解散後清算人に就任した代表取締役に対する退職給与

 

 


[質問]

甲株式会社は、乙株式会社のすべての株式を買い取り、子会社にすることを検討しています。甲社と乙社の間には何ら親族関係などはありません。

 

乙社の社長丙は、買収(決済)日に乙社を退職し、その翌日に甲社の役員または使用人として勤務する予定です。乙社は丙に対して退職する当日(決済日)に役員退職金を支給予定です。

 

この退職金は、税務上何か支障がありますか。

 

※法人税基本通達9-2-33、9-2-34には合併法人または被合併法人での退職給与の取扱いがありますが、買収により子会社にする場合の取扱いがありません。

 

丙が乙社を退職することにより受給する退職金なので、翌日甲社に入社しても支障がないと考えますが、いかがでしょうか。

 

 

[回答]

1 役員退職給与

 

(1) 役員退職給与

法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。

 

退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、原則として株主総会の決議等により確定した日の属する事業年度とされていますが、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、これを認めることとされています(法人税法34、法人税法施行令70、法人税基本通達9-2-28)。

 

役員退職金は、本来、退職時の定時株主総会等で決議しておくべき性格のものでしょうし、退職後最初に開催される株主総会等で退職給与の支給決議が行われるのが一般的であるようです。

 

(2) 役員に対する退職給与の損金算入の時期

法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます(法人税法34)。その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります(法人税基本通達9-2-28)。ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます(同通達但し書き)。

 

 

2 退職所得

 

(1) 退職所得

退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいい、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども退職所得とみなされます(所得税法30、31)。

 

(2) 退職手当等の範囲

退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で、その支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職手当等に該当しないことに留意する(所得税基本通達30-1)。

 

また、労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します(所得税基本通達30-5)。

 

 

3 お尋ねについて

 

お尋ねによれば、「甲社は乙社を買収することとなり、乙社の社長丙は、買収により乙社を退職し、甲社の役員(又は使用人)に就任する予定」とのことで、「乙社は社長丙に対して役員退職金を支給する予定」とのことです。

 

(1) 法人が役員に支給する「退職金」で適正な額のものは、損金の額に算入されます(法人税法34②)。

 

その退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、原則として株主総会の決議等により確定した日の属する事業年度とされていますが、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、これを認めることとされています(法人税基本通達9-2-28)。

 

したがって、役員に支給する「退職金」は、①退職給与の額が不相当に高額の場合や②退職の事実がない場合を除き、原則として損金に算入されることになります。

 

 

(2) ところで、お尋ねの場合、甲社の乙社の買収に際して、乙社の社長丙が退任し、甲社の役員に就任するとのことですので、法律上、乙社との委任関係が終了し、新たに甲社との委任関係にいたったということとなります。

 

したがって、事実として社長丙が乙社を退任したのであれば、乙社と甲社は別人格である以上、その退職給与の額が不相当に高額でない限り、損金の額に算入できるものと思われます。

 

なお、法人税基本通達9-2-33《被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入》及び法人税基本通達9-2-34《合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与》の取扱いは、打切り支給の取扱いであり、お尋ねの場合とは直接の関係はありません。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2022年7月19日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年2月21日)

-以下のM&A案件(8件)を掲載しております-

 

 

 

●【急成長中】自動車ライト通販会社

[業種:無店舗小売業/所在地:関東地方]

●技術力を有した養殖用種苗生産業を手掛ける会社

[業種:養殖用種苗生産業/所在地:西日本]

●【高収益】大型物件の施工可能。優良取引先との実績豊富な土工・コンクリート工事会社

[業種:土工・コンクリート工事業/所在地:北海道地方]

●【首都圏】住宅用不動産建設業と不動産賃貸業を営み、安定収益を確保。

[業種:不動産建設・不動産賃貸業/所在地:関東地方]

●【首都圏】土地の仕入れ、施工管理、販売を手掛ける住宅用不動産の建設・販売業。

[業種:不動産建設・販売業/所在地:関東地方]

●メンズアパレルEC。自社ブランドを保有し、自社ECの活用と企画力に強みを持つ。

[業種:メンズアパレルEC・小売り/所在地:関東地方]

●100円ショップを中心に大手取引先への販路を多数保有する雑貨等企画・販売企業

[業種:雑貨等企画・販売業/所在地:関東地方]

●ヘルスケア特化型ITサービス提供企業

[業種:受託開発ソフトウェア業/所在地:関東地方]

 

 

 

 

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案件No.SS012202
【急成長中】自動車ライト通販会社

(業種分類)小売業
(業種)無店舗小売業
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)自社商品に強みを持つ自動車ライト通販会社。

 

〔特徴・強み〕

◇自動車用ライトをECサイトにて販売するweb通信販売会社。
◇販売するライトはOEMにて製造する自社商品。他社製品と比較し、性能・価格帯・耐久性等に競争力を有する。口コミやモール内での評価も抜群。
◇足元急成長中。EBITDA2億円超。今後更なる成長を見込む。

 

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案件No.SS011647
技術力を有した養殖用種苗生産業を手掛ける会社

 

(業種分類)外食・食品関連
(業種)養殖用種苗生産業
(所在地)西日本
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)養殖用種苗の生産(真鯛等の稚魚)を手掛ける会社

 

〔特徴・強み〕

◇大学等からも研究の依頼がある等、技術力が高い。
◇トップシェアの魚種も保有。
◇直近のEBITDAは約96百万円と高い水準。

 

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案件No.SS011567
【高収益】大型物件の施工可能。優良取引先との実績豊富な土工・コンクリート工事会社

 

(業種分類)建設・土木
(業種)土工・コンクリート工事業
(所在地)北海道地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)民間工事を主体に土工・コンクリート工事を手掛ける

 

〔特徴・強み〕

◇大手企業との取引実績豊富
◇若手からベテランまでバランスの取れた人員構成
◇毎期安定したキャッシュフローを確保し高い収益性を維持

 

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案件No.SS011364
【首都圏】住宅用不動産建設業と不動産賃貸業を営み、安定収益を確保。

 

(業種分類)住宅・不動産
(業種)不動産建設・不動産賃貸業
(所在地)関東地方
(直近売上高)100億超
(従業員数)100名超
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)首都圏にて建設業と不動産賃貸業を営む優良企業

 

〔特徴・強み〕

◇東京都郊外を中心に、戸建住宅の建設・販売が主体。
◇埼玉、神奈川エリアにも対応可能。
◇年間の建築棟数は300棟以上。
◇不動産賃貸業で年間賃貸収入で約10億円の安定収益確保。
◇所有不動産は関東圏に保有。

 

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案件No.SS011359
【首都圏】土地の仕入れ、施工管理、販売を手掛ける住宅用不動産の建設・販売業。

 

(業種分類)住宅・不動産
(業種)不動産建設・販売業
(所在地)関東地方
(直近売上高)50~100億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)首都圏にて戸建の土地の仕入れ、施工、販売を行うハウスビルダー

 

〔特徴・強み〕

◇東京都23区を中心に戸建住宅の建設・販売が主体。神奈川県も対応可能。
◇年間の建築棟数は50~100棟。
◇カスタムオーダーを主軸に優れたデザイン性で顧客ニーズをつかむ。

 

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案件No.SS011084
メンズアパレルEC。自社ブランドを保有し、自社ECの活用と企画力に強みを持つ。

 

(業種分類)美容・化粧品・ファッション
(業種)メンズアパレルEC・小売り
(所在地)関東地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)自社ブランドの企画、及び、他社ブランドのEC販売

 

〔特徴・強み〕

◇ファッション感度の高い男性をターゲットに、カジュアルファッションを中心としたメンズアパレルを展開
◇自社ECでの売上が全体の65%
◇自社ブランド及び自社ブランドに準ずるブランドを展開し拡大中
◇収益性が高く、直近売上成長率は約120%

 

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案件No.SS011069
100円ショップを中心に大手取引先への販路を多数保有する雑貨等企画・販売企業

 

(業種分類)小売業
(業種)雑貨等企画・販売業
(所在地)関東地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)雑貨及び衣類製品の企画販売業務

 

〔特徴・強み〕

◇100円均一ショップ及びディスカウントショップ等に販路を構築。
◇海外協力工場とのネットワークを構築し安価で製造可能。
◇「企画力」と「長年の信用」を背景に安定した売上を確保。
◇雑貨及び衣類の企画販売も実施。
◇キャラクターを保有している法人とのコラボ商品も展開。

 

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案件No.SS010409
ヘルスケア特化型ITサービス提供企業

 

(業種分類)IT・ソフトウェア
(業種)受託開発ソフトウェア業
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)ヘルスケア企業向けエンジニアリングサービス提供企業

 

〔特徴・強み〕

◇製薬会社、研究所、大学機関等向けにエンジニアリングサービスを提供。
◇これまでの実績から大手企業と直接取引を継続。
◇AI、DXにも対応。最先端技術にも対応。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年2月14日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

 

 

●【財務良好/NetCash】Webデザインも手掛けるグラフィックデザイン事務所

[業種:デザイン業/所在地:関東地方]

●収益性高く財務内容良好、菓子原料の販売を行う優良企業

[業種:菓子原料卸売業/所在地:中部地方]

●SESを中心としたシステム受託開発業

[業種:受託開発ソフトウェア業/所在地:関東地方]

 

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS011743
【財務良好/NetCash】Webデザインも手掛けるグラフィックデザイン事務所

 

(業種分類)その他

(業種)デザイン業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)企画からデザインまで一貫したトータルクリエイティブを提供するデザイン事務所

 

〔特徴・強み〕

◇大手を含めた確固たる取引基盤を確立。
◇コーポレートアイデンティティ、商品プロモーションなど、様々なクライアントのニーズに対応可能。

 

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案件No. SS010263
収益性高く財務内容良好、菓子原料の販売を行う優良企業

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)菓子原料卸売業

(所在地)中部地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)和菓子を中心とする菓子原料の販売を行う会社

 

〔特徴・強み〕

◇創業60年超と長年の業績を誇る会社
◇業績安定推移且つ自己資本比率も65%超と財務内容も良好。
◇進行期についても売上・利益共に前期を上回る水準で推移。

 

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案件No.SS007532
SESを中心としたシステム受託開発業

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)受託開発ソフトウェア業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)業歴30年超、大手企業との直取引もある受託開発ソフトウェア業

 

〔特徴・強み〕

◇社員数は約10名、外注先も別途7名を抱える。
◇小規模ながら長年の業歴を誇り、大手企業とも安定的に取引を実施。
◇BSはNetCash20百万円程度と安定した財務状況。収益も毎年相応に計上。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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[解説ニュース]

交換差金等の支払いを受けた場合の所得税の固定資産の交換特例の取扱い

 

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■譲渡所得の金額の計算上、総収入金額を契約効力発生日基準により確定させる場合の留意点

■【事例】中小企業オーナーの遺産分割対策としての会社分割の活用法

 

 

 


1.所得税の固定資産の交換の特例の概要


(1)特例の概要

個人が資産の交換を行った場合、交換も譲渡の一種であるため、交換により譲渡する資産の含み益について譲渡所得の金額として所得税が課税されます。
ただし、個人が①1年以上有していた固定資産を、②他の者が1年以上有していた同種の固定資産と交換し、③その交換により取得した固定資産(「交換取得資産」)をその交換により譲渡した固定資産(「交換譲渡資産」)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供する場合において、④この特例の適用を受ける旨等の一定事項を記載した確定申告書を提出したときは、交換譲渡資産の譲渡がなかったものとされます。これが「交換特例」です(所得税法58条)。

 

(2)交換取得資産と交換譲渡資産の時価の差額の要件

交換特例の適用を受けるためには、上記(1)①~④のほか、⑤交換取得資産の時価と交換譲渡資産の時価の差額が、これらの時価のうち、いずれか高い方の価額の20%以内であることが必要です(同2項)。差額が20%超となる交換の場合、この特例の適用はなく通常の譲渡として課税されます。その差額の調整のため交換差金等の授受が行われた場合において、交換譲渡資産を譲渡する個人が、交換取得資産とともに時価の20%以内の交換差金等を取得したときは、その者の所得税の計算上、交換譲渡資産のうち、その20%以内の交換差金等に相当する部分について、譲渡があったものとされます(同1項かっこ書)。

 

 

2.1(2)の要件⑤の判定における留意点


(1)土地・建物と土地・建物とを交換した場合、同種の固定資産の交換が要件であることから、土地は土地と、建物は建物とそれぞれ交換したものとします。「交換譲渡資産」と「交換取得資産」が全体としては等価だが、土地と土地、建物と建物との価額がそれぞれ異なるときは、それぞれの価額の差額が上記1(2)の差額に該当します(所得税基本通達(所基通)58-4)。

 

例えば、交換譲渡資産が土地1,000万円、建物500万円であり、交換取得資産が土地500万円、建物1,000万円である場合、土地は500万円(1,000万円-500万円)の交換差額を取得し、建物は500万円(1,000万円-500万円)の交換差額を支払ったものとして、1(2)の要件を満たすかどうかを判定します。

 

 

(2)交換により同じ種類の2以上の資産を取得した場合に、その取得した資産のうちに譲渡直前の用途と同一の用途に供さなかったものがあるときは、その用途に供さなかった資産は交換取得資産には該当せず、その資産は交換差金等になります(所基通58-5)。

 

例えば、事務所として使用していた時価1,000万円の建物を交換譲渡し、時価600万円の建物と時価400万円の建物とを交換取得した場合に、時価600万円の建物は事務所の用に供し、時価400万円の建物は居住の用に供したときは、その400万円の居住の用に供した建物部分は、交換譲渡資産と同一の用途に供していないため、交換差金等になります。

 

 

(3)一の資産につき、その一部分については交換とし、他の部分については売買としているときは、当該他の部分を含めて交換があったものとし、売買代金は交換差金等に該当するものとして(所基通58-9)、前述1(2)の要件を満たすかどうかの判定をします。

 

例えば、個人Aが所有する建物X及びその敷地200㎡と、個人Bが所有する建物Y及びその敷地180㎡を交換する場合、建物Xと建物Yは等価であるものの、建物Xの敷地は4,000万円、建物Yの敷地は2,000万円であることから、個人Aは建物Xの敷地を100㎡ずつ分筆し、1筆については個人Bの土地と交換し、他の1筆については売買代金を2,000万円として売買契約を締結したとします。この場合、AとBとの間における土地の交換と売買は一つの行為と考え、売買とした部分は交換差金等に相当すると認められます。よって交換とした部分の土地は1(2)の要件を満たさない(4,000万円-2,000万円=2,000万円>4,000万円×20%)ため、交換特例の適用を受けることができません。

 

 

(4)上記(3)の「一の資産」とは、交換特例が土地(所法58条1項1号)、建物(同2号)等の資産の種類の区分ごとに適用されるため、同項各号に掲げる資産の種類の区分の資産をいうものと解されます。

 

例えば、個人C所有の土地Rと個人D所有の土地Sとの交換契約を締結し、土地R上のC所有の建物TについてDに売買する旨の売買契約を締結した場合、建物と土地は別の種類の資産なので、交換特例の適用上、建物Tの売買代金が土地Rと土地Sとの交換に係る交換差金等とされることはありません(平成27年10月15日東京国税局文書回答)。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/2/13)より転載

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年2月7日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

 

 

●有名作品多数 映画制作会社

[業種:映画の製作会社(請負)/所在地:東日本]

●不動産M&A(中部地方)

[業種:不動産賃貸業/所在地:中部地方]

●高収益ライブ配信事業

[業種:ライブ配信事業/所在地:西日本]

●4,000~4,500食/日の生産能力を有する弁当製造業者及び就労支援事業者

[業種:弁当製造業・就労支援事業/所在地:中部地方]

 

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS011206
有名作品多数 映画制作会社

 

(業種分類)娯楽・スポーツ

(業種)映画の製作会社(請負)

(所在地)東日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)映画の製作請負会社 ・創業以来黒字経営 ・財務基盤盤石

 

〔特徴・強み〕

◇ヒット作品多数
◇予算内で作品を作成
◇大手取引先多数

 

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案件No. SS011201
不動産M&A(中部地方)

 

(業種分類)住宅・不動産

(業種)不動産賃貸業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1億以下

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)中部地方にて不動産賃貸業を営む企業

 

〔特徴・強み〕

◇保有資産は一部のエリアに集中しており、稼働率は9割超。

 

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案件No.SS010554
高収益ライブ配信事業

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)ライブ配信事業

(所在地)西日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)ライブ配信事業

 

〔特徴・強み〕

◇仕組み化により誰でも事業運営可能
◇大手取引先を多数保有

 

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案件No. SS009980
4,000~4,500食/日の生産能力を有する弁当製造業者及び就労支援事業者

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)弁当製造業・就労支援事業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)地域密着の弁当製造業及び就労継続支援事業者

 

〔特徴・強み〕

◇朝昼晩で4,000食~4,500食/日の生産能力
◇官公庁をはじめ幅広い取引先を有する
◇グループで就労継続支援も手掛けており地域貢献度は高い

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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[スモールM&A マッチングサイト活用が成功のカギ]

第12回:個人事業の事業引継ぎ

個人事業でも第三者承継の対象になりますか?

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

 

 

 

質問(Q)


私は個人事業で豆腐屋を30年間続けてきました。息子が豆腐屋を継がないことになったので、廃業することも覚悟していますが、個人事業で第三者承継はできませんよね。

 

回答(A)


いいえ。個人事業でも第三者承継は可能です。しかし、承継までに時間があるなら法人成りすることをお勧めします。

 

 

個人事業と会社の違い


個人事業と会社の違いについて、売上高や従業員数、あるいは知名度などをイメージする人もいるかもしれない。しかし、これは間違いである。個人事業であっても売上高や知名度の高い会社は多数存在する。個人事業とは、税務署への開業届の提出など簡単な手続きで、名前や屋号などを使って商売を始めることである。

 

一方、会社は事前に1ヶ月ほどかけて法務局で設立手続きを行い、設立費用がかかる。また、その会社の資金拠出者=会社の所有者として株主が必要になる。もちろん、株主は社長が兼ねることも可能だ。

 

 

 

個人事業は「事業譲渡」しか選択できない


会社組織であると、株主を通じて会社を丸ごと売却する「株式譲渡」が選択できる。この場合、取引先との各種契約、従業員との雇用契約、事務所の賃貸借契約まで、原則的にはすべて譲り受け手に渡すことができるので、手続きは楽だ。特に事業を行うにあたって必要な許認可がある場合などは、そのまま承継ができると、譲り受け手にとって大きなメリットと感じることも多い。

 

一方、個人事業の場合は、会社組織ではないため、資産を1つずつ売却する「事業譲渡」しか選択できない。事業譲渡とは、契約によって個別の資産・負債・権利関係等を移転させる手続きで、営んでいるすべての事業を譲渡することも一部の事業のみを譲渡することも可能となっている。

 

しかし、譲り受け手にとっては、事業譲渡の場合、すべての契約がまき直しとなるため、引き継いだ後に、取引先との契約が結べないリスク、従業員の退職リスク、賃貸借契約が結べないリスクが発生する。更には、許認可等は、原則、再度取得し直す必要がある。引き継いでも数ヶ月間事業が行えないということも、小さな会社の第三者承継では時々発生している。

 

 

 

法人成りも一考


個人事業でも第三者承継は可能であるし、多数行われている。ただし、先述のリスクを考慮すると、承継までに時間があるなら法人成りすることをお勧めする。法人成りとは、個人事業を法人である会社に移行することであるが、実務的には個人事業で所有されている資産等を、図にあるような「売買契約」「賃貸」「現物出資」のいずれかの方法で移行することになる。個人事業から会社に移行していれば、会社を丸ごと売却する「株式譲渡」を選択することができるようになる。

 

 

 

 

 

 

 

書籍「小さな会社の事業承継・引継ぎ徹底ガイド ~マッチングサイト活用が成功のカギ」より

【業界別M&A動向】

物流業のM&A動向(第2回)~物流の2024年問題~

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(玉積 範将)

 

 

〈目次〉

1. 物流の2024年問題とは

2. 物流の2024年問題が物流業に与える影響

①ドライバー視点

②物流会社視点

③荷主視点

3. 対応策の方向性

4. 最後に

 

 

 

 

1. 物流の2024年問題とは


働き方改革関連法により、2024年4月より「自動車運転の業務」に対し、年間時間外労働上限が「年960時間」に制限されることにより発生する諸問題のこととされています。

2019年4月に施行された同法では、「時間外労働の上限は月45時間、年360時間に制限(原則)」されており、労使間で協定を結んだ場合においても「年720時間に制限(例外)」されますが、物流業界(自動車運転の業務)では実態との乖離が大きいことから、適用迄に「5年間」の猶予期間が設けられたことに加え、労使間で協定を結んだ場合の上限として「年960時間」と定められています。

 

しかし、この「年960時間」といういわゆる特例的な対応についても、同法において「将来的な一般則の適用について引続き検討する旨を附則に規定」とされていることから、今後も同上限時間の維持が担保されるとも限らないのです。

 

 

2. 物流の2024年問題が物流業に与える影響


では、物流の2024年問題がどのような影響を及ぼすのかについて、現時点で懸念されているポイントや可能性についてステークホルダー別の視点で見ていきたいと思います。

 

①ドライバー視点

 

前回(第1回)でも記載したように、一般的にドライバー職では、他の産業と比較して「低所得+長時間労働」であることが顕著です。

これは、言い換えると「労働(=長時間の時間外労働を含む)の対価として受け取る時間あたりの報酬(所得)が、全産業と比して低い」ということに他なりません。

そうした状況下、さらに時間外労働の上限が課されることにより、従来受け取ることができていた諸手当を受け取ることができなくなり、結果として収入が減少するドライバーが出てくる可能性は否定できません。

業界慣習として、長い荷待ち時間や手荷役の常態化が大きな要因とされることも多く、ドライバー個人/物流会社単独ではなかなか解決の糸口を探ることは難しい状況となっています。

 

②物流会社視点

 

物流会社における基本的な構図は、「ヒト(従業員)」が「モノ(荷物等)」を「運送」することにより売上を上げるビジネスモデルです。この運送するという行為において、ヒトの稼働時間に制限が掛けられることにより、業務量が減少した結果、売上が下がる可能性が考えられます。

また、業務量を維持するためにヒトの採用を拡大する場合、固定費の割合が増加(従来の時間外手当<新人員の基本給)となる可能性もあり、利益率が減少する可能性についても考えておく必要があります。加えて、人件費以外の固定費等(営業に必要なコスト:事業所やトラックに係る費用)を削減することは比較的難易度が高いことから、売上だけでなく利益そのものについても注視すべきだと考えられます。

もっとも、利益水準が低下した場合、ドライバーに十分な水準の給与を支払うことが可能であるか否かという問題も顕在化することとなり、物流会社における売上の源泉である「ヒト(従業員)」の確保が難しくなり、負のスパイラルに陥る可能性も懸念されています。

 

③荷主視点

 

上述した物流会社(およびドライバー)視点では、売上や収入面においてマイナスの影響が想定されています。この課題を解決する方策の一つとして物流会社では「荷主からの受注額(=運送単価)の増加でカバーする必要性」が生じます。

しかしながら、2012年以降、既に物流コストは上昇基調を辿っています(図A/※1)。

 

 

 

 

また、国内企業の多くは、物流やロジスティクスについて「コスト削減の対象」としての認識が依然として高い傾向があり、戦略的な取り組みが浸透していないことが挙げられます(図B/※1)。

 

 

 

 

このような状況において、「受注額(=運送単価)の増加」という交渉はやはり難易度が高いと言わざるを得ないと考えます。

(※1)経済産業省「物流危機とフィジカルインターネット(令和3年10月)」より

 

 

3. 対応策の方向性


ここまで、「物流の2024年問題」が各ステークホルダーに及ぼす影響・可能性について触れてきました。当然ながら、物流会社の規模やドライバーの現在の労働環境、荷主との関係性において、各社が置かれている状況は様々だと考えられます。

 

この問題に対して、「労働環境や処遇の改善によるドライバーの採用強化」や「荷主に対する受注額(=運送単価)の増額交渉」といった対応策も、短期的に効果を得られるかもしれません。しかしながら、物流業界の構造的な問題が依然根深い状態であることを考えると、2024年という短期的な問題と捉えることには無理が生じます。

 

前回(第1回)でも触れたように、物流業界の展望として「データの利活用によるDX/効率化」や「同業種・異業種を含めた連携」が必要となると考えられます。

 

このように未来を見据えた変革/変容と、2024年問題で挙げられるような課題について、M&Aによる会社売却や事業売却(=大手グループの傘下となること)が有効な手段とされています。

 

2021年の1年間において、売手を物流関連企業とするM&Aは公表ベースで51件(注1)となっており、うち約8割は同業者を買手とする買収事例となっています(図C/※2)。

 

「既存領域の強化」に加え、「効率化・相互補完」や「新事業の創出」という観点でのM&Aは今後も増加していくと考えられています。

 

 

(注1)国内企業同士の買収事例のみ。事業譲渡や資本参加事例は除く。
(※2)レコフデータより弊社作成 

4. 最後に


「経済・産業の血液」と評される物流業界は、我が国がさらに発展するための非常に重要なファクターとされています。

 

しかしながら、現状では労働環境や人材不足、後継者問題等の様々な課題に直面しており、2024年問題に代表されるような「直ぐに対応が求められる」課題に加え、「将来を見据えた変革」さえも求められています。

 

こうした状況に対応する前向きな解決策のひとつとして、M&Aをご検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年1月31日)

-以下のM&A案件(5件)を掲載しております-

 

 

 

●ウェブ・アプリ開発に強みを持ち、アジアのオフショア拠点も構える企業

[業種:ウェブ・アプリ開発・企画・クリエイティブ/所在地:西日本]

●大手企業との販路を保有する企業

[業種:モーター製造業/所在地:関東地方]

●プロバスケットボールチーム運営会社の譲渡案件

[業種:プロバスケットボールチーム運営事業/所在地:非公表]

●【若い従業員が多く在籍】独自技術を持つ板金加工会社

[業種:農業用機械製造業、建築用金属製品製造業、金属用金型・同部分品・附属品製造業/所在地:東日本]

●介護老人保健施設を運営する医療法人(出資持分あり)

[業種:介護老人保健施設/所在地:東日本]

 

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS011830
ウェブ・アプリ開発に強みを持ち、アジアのオフショア拠点も構える企業

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)ウェブ・アプリ開発・企画・クリエイティブ

(所在地)西日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)設立10年以上。ウェブ・アプリ開発に強みを持ち、アジアのオフショア拠点も構えるグループ企業。

 

〔特徴・強み〕

◇大手企業や大手広告代理店と制作プロジェクト実績を豊富に持ち安定した顧客基盤を有する。
◇開発に強みを持ち、企画・提案、デザイン、クリエイティブまで一気通貫で行うことが可能。

 

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案件No. SS010852
大手企業との販路を保有する企業

 

(業種分類)製造業

(業種)モーター製造業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)設計・組立を100%行い、各種部品の製造を約80%行うモーター製造会社

 

〔特徴・強み〕

◇譲渡理由は事業の選択と集中
◇進行期は例年並みの売上を計上予定
◇基本的に受注生産のため、不良在庫が発生しづらいビジネスモデルになっている。
◇既存取引先からの引き合いが多くあるため、人材の増員と機械の増設をすることが出来れば、増収も見込める。

 

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案件No. SS009740
プロバスケットボールチーム運営会社の譲渡案件

 

(業種分類)娯楽・スポーツ

(業種)プロバスケットボールチーム運営事業

(所在地)非公表

 

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)プロバスケットボール(B.LEAGUE)チームの運営とスクール、物販等不随事業等

 

〔特徴・強み〕

◇業界の今後の動向として、今後新リーグ設立に伴い、更なる事業の成長及び知名度の向上が見込まれる案件

 

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案件No. SS008721
【若い従業員が多く在籍】独自技術を持つ板金加工会社

 

(業種分類)製造業

(業種)農業用機械製造業、建築用金属製品製造業、金属用金型・同部分品・附属品製造業

(所在地)東日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)農業機械、建設機械、da資材等に利用される板金加工を行う企業。

 

〔特徴・強み〕

◇自社のオリジナル技術を持っており、メディアにも取り上げられている。
◇広い敷地を有しており、更なる製造能力の拡大余地あり。
◇従業員の平均年齢40歳と非常に若く人材確保ができている。

 

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案件No. SS008257
介護老人保健施設を運営する医療法人(出資持分あり)

 

(業種分類)介護・医療

(業種)介護老人保健施設

(所在地)東日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)出資持分譲渡

(事業概要)介護老人保健施設を中心に介護事業を展開し地域密着の運営で医療福祉に貢献している。後継者不在を理由に譲渡を検討。

 

〔特徴・強み〕

◇介護老人保健施設の稼働率は9割後半の高い水準を維持。
◇医業利益は安定して黒字を確保している。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年1月24日)

-以下のM&A案件(7件)を掲載しております-

 

 

 

●地域で高い知名度を有している菓子製造小売業

[業種:菓子製造小売業/所在地:東北地方]

●優良顧客基盤を持つ地域老舗の補聴器や眼鏡等を販売する企業

[業種:卸売業/所在地:中部地方]

●一般住宅向けの外壁材・屋根材の卸売

[業種:建築資材卸売業/所在地:関東地方]

●自動車補機部品の分解整備業を行う会社

[業種:自動車整備業/所在地:四国地方]

●【財務内容良好】関西圏にてデイサービス施設を複数展開

[業種:デイサービス業/所在地:関西地方]

●【カジュアルフレンチレストラン(1店舗)】高いブランド力を有し、連続増収増益

[業種:レストラン/所在地:関東地方]

●【顧客口コミ高評価】美容院を複数店舗運営

[業種:美容院/所在地:関東地方]

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS011735
地域で高い知名度を有している菓子製造小売業

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)菓子製造小売業

(所在地)東北地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)複数店舗運営する菓子製造小売業者

 

〔特徴・強み〕

◇地場での知名度高く、毎期安定した業績を継続している。
◇商品開発から製造、販売まで社内一貫体制を実現(外注比率はごくわずか)。

 

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案件No. SS010858
優良顧客基盤を持つ地域老舗の補聴器や眼鏡等を販売する企業

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)卸売業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)大手メーカーの補聴器や眼鏡、健康食品・器具を販売

 

〔特徴・強み〕

◇地域での営業基盤が確立しており業績良好。
◇安定した販売ルートを保持している事に加え、仕入先とも関係良好であり高収益体質。
◇実質無借金経営を継続。

 

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案件No. SS010804
一般住宅向けの外壁材・屋根材の卸売

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)建築資材卸売業

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)当地域の工務店や外壁・屋根工事業者を対象に一般住宅向けの外壁材・屋根材の卸売を手掛ける。

 

〔特徴・強み〕

◇住宅新築着工や住宅リフォーム工事の需要拡大を背景に受注は安定。
◇取引先は当地域の工務店や外壁・屋根工事業者を中心に販売先は分散している。
◇自社倉庫を保有の上、豊富な種類の商材を取り扱い自社配送も可能。

 

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案件No. SS010571
自動車補機部品の分解整備業を行う会社

 

(業種分類)その他

(業種)自動車整備業

(所在地)四国地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)自動車補機部品の分解整備業

 

〔特徴・強み〕

◇認証工場・指定工場は有していないが、競合他社は少なく毎期安定した売上高を確保している。

 

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案件No. SS008369
【財務内容良好】関西圏にてデイサービス施設を複数展開

 

(業種分類)介護・医療

(業種)デイサービス業

(所在地)関西地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)デイサービスを複数施設展開

 

〔特徴・強み〕

◇時価純資産1.2億円以上、ネットキャッシュ7,000万円以上の良好な財務内容
◇毎期安定的に収益を計上
◇土地建物は全施設賃貸
◇オーナーは経営面の管理のみ行う、現場は自走できる体制が整っている

 

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案件No. SS007230
【カジュアルフレンチレストラン(1店舗)】高いブランド力を有し、連続増収増益

 

(業種分類)外食・食品関連

(業種)レストラン

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)カジュアルフレンチレストラン

 

〔特徴・強み〕

◇評 価:開店以来常に予約の取りづらい人気店。ミシュラン獲得実績あり。食べログPV数はエリア2,000店舗中、長らく上位3位以内。
◇シェフ:受賞歴多数。他店の監修も多く手掛ける。株式譲渡後の継続関与可能。
◇組 織:徹底的な仕組化(レシピのDB化、オペレーション構築)により、シェフに依存しない店舗運営を実現。
◇従業員:ソムリエ資格保有者および語学堪能なスタッフが多く在籍。
◇集 客:来店顧客によるSNS拡散及び口コミがメイン。集客コスト僅少。
◇業 績:進行期の直近11月、12月、1月についても前年同月を上回る業績推移。

 

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案件No. SS003794
【顧客口コミ高評価】美容院を複数店舗運営

 

(業種分類)美容・化粧品・ファッション

(業種)美容院

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)関東地方にて美容院を複数店舗運営

 

〔特徴・強み〕

◇リピーターが多く評価が高い
◇客層は20代後半から40代女性が多く高単価
◇従業員は正社員が中心(勤続年数の長い人が多い)
◇社内教育制度が充実している

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

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[解説ニュース]

【Q&A】事業承継税制:相続税の特例措置における「中小企業者要件」の判定

 

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■相続不動産に信託契約を締結し、信託受益権として譲渡した場合の取得費加算の特例

■遺留分侵害額の請求に基づき、金銭に代えて金銭以外の資産の移転があった場合の課税関係

 

 

 


【問】

株式会社X(本店:東京都新宿区)の前代表取締役で、同社の発行済株式(すべて議決権あり)の全部を保有していた甲が、令和4年11月に死亡しました。甲の相続人による遺産分割協議の結果、甲が保有していたX社株式は、令和3年より同社代表取締役を務める乙(甲の長女)が全て相続しました。

 

X社は中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」)2条の「中小企業者」に該当します。X社株式は相続税評価額が高く、これに係る相続税額の負担が大きいため、X社が円滑化法上の都道府県知事の認定(以下「円滑化法認定」)を受けた上で、乙は相続したX社株式につき、非上場株式等に係る相続税の納税猶予及び免除の特例(租税特別措置法(措法)70条の7の6・以下「相続税の特例措置」)の適用を受ける予定です。

 

なお、乙の夫で乙と生計を一にする丙は、㈱Y(本店:横浜市)の代表取締役で、同社の発行済株式(すべて議決権あり)の全部を保有しています。Y社は資本金の額や従業員数が多く、円滑化法2条の中小企業者には該当しません。

 

上記の場合において、乙は甲から相続により取得したX社株式に係る相続税につき、「相続税の特例措置」の適用を受けることができますか。

【回答】

1.結論


X社の特定特別関係会社であるY社が中小企業者でないことから、X社は「特例認定承継会社」に該当せず、乙が相続により取得したX社株式については相続税の特例措置の適用を受けることができません。

2.解説


(1)中小企業者要件とは

非上場株式を相続により取得した者が相続税の特例措置の適用を受けるためには、その非上場株式を発行する会社で、円滑化法認定を受けたもの(以下「対象会社」)が「特例認定承継会社」に該当する必要があります(措法70条の7の6第1項)。

 

この特例認定承継会社に該当するための要件の一つに、【(対象)会社の特定特別関係会社が、円滑化法2条の中小企業者に該当すること】があります(措法70条の7の6第2項1号ヘ、措法施行令(措令)40条の8の6第9項、同40条の8の2第10項3号)。

 

これは、中小企業の事業承継支援を目的とする事業承継税制の趣旨を踏まえ、相続税の特例措置の適用対象を円滑化法上の中小企業者、つまり資本金又は従業員数が一定基準以下の会社に限定する要件です。

 

(2)特定特別関係会社の意義

(1)の「特定特別関係会社」とは、①対象会社(X社)、②対象会社の代表権を有する者(乙)及び③②の者と特別の関係がある者が有する議決権の数の合計が、その総株主等議決権数の50%を超える会社をいいます。

 

また③の「②の(代表権を有する)者と特別の関係がある者」の一つに、「その代表権を有する者と生計を一にする親族」があります(措法70条の7の6第2項1号ハ、措令40条の8の6第7項、同40条の8の2第9項、第8項1号)。

 

よって本問のY社のように、対象会社(X社)や対象会社の代表者(乙)がその会社の議決権を全く保有しない場合でも、対象会社の代表者と生計を一にする親族(丙)が自社の総株主等議決権数の50%超を保有している会社は、対象会社の特定特別関係会社に該当します。

 

(3)本問へのあてはめ

Y社はX社の代表者である乙と生計を一にする丙が総株主等議決権数の全てを有しており、X社の特定特別関係会社に該当します。Y社は中小企業者に該当しないため、(1)の要件を満たすことができません。

 

X社が特例認定承継会社に該当しないことから、乙が甲から相続により取得したX社株式は、「相続税の特例措置」の適用を受けることができません。

 

(4)留意点

相続税の特例措置の適用にあたって、対象会社が特例認定承継会社に該当するか否かの判定上、対象会社の関連会社で中小企業者でないものが特定特別関係会社に含まれないかどうかの確認が必要です。

 

なお、対象会社が特例認定承継会社に該当するための要件の一つに、【特定特別関係会社が上場会社及び風俗営業会社に該当しないこと】があります (措法70条の7の6第2項1号ハ、ニ)。相続税の特例措置の適用にあたっては、この要件を満たすかどうかの確認も必要になります。

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/1/23)より転載