[税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務]

第2回:M&A 手続きの全体像

~中小企業のM&Aの売手の流れ、買手の流れとは?~

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 宮口徹

 


Q、M&A 手続き全体の流れを教えてください。

 

A、事前準備、探索業務(ソーシング)、実行業務(エグゼキューション)の流れとなります。大企業のM&A では、会計士や税理士の業務はほぼ実行段階に限定されていますが、中小企業のM&A では案件全体のコントロールをする役割が求められるケースも増加するものと思われます。

 

 

 

図表は相対取引におけるM&A 業務の流れの全体像を示したものです。大きく分けて事前準備、探索業務(「ソーシング」とも言います。)、実行業務(「エグゼキューション」とも言います。)に区分されます。

 

 

まず、事前準備では①売手からの事前相談に基づき、アドバイザーが②秘密保持契約書やアドバイザリー契約書を締結した上で、③案件の概要把握を行い、買手候補に提示する案件概要書を作成します。

 

また、④売却の基本方針、買手候補や譲渡株価の目線について売手と議論を重ねます。次に探索業務の段階では、買手候補に対して⑤匿名情報を開示して興味の有無を確認し、興味を示した候補に対しては⑥秘密保持契約書を締結した上で、⑦案件概要書他、決算書や人事情報などの詳細情報を開示します。

 

 

買手はこうした情報を検討し、株式取得を希望する場合には、株式の取得価格や取得スキーム、その他諸条件を記載した⑧意向表明書を提出します(相対取引の場合は口頭での調整を経て直接基本合意書を締結するケースもあります。)。

 

売手が意向表明書の内容を受け入れることができる場合、⑨基本合意書を締結しますが、基本合意書は法的拘束力を持たせないケースが一般的です。

 

合意書締結後、⑩デュー・ディリジェンスにより対象会社の詳細を調査した上で、株価交渉やその他の条件交渉を経て⑪株式譲渡契約書の締結を行い、売買代金を決済して⑫クロージングとなります。

 

 

大企業のM&A では全体のコントロールは投資銀行や専門のアドバイザリー会社が行うことが一般的ですので、税理士や会計士の業務は実行段階の業務に限定されます。これに対して中小企業のM&A では税理士や会計士が案件全体のコントロールをする役割が求められるケースも増加するものと思われます。

 

前述したとおり、顧問税理士は対象会社の社長と長年にわたる関係を築いていますのでアドバイザーに適任の存在であり、専門業者に任せきりにせず、積極的に関与したいところです。

 

 

 

(「税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務」より)

 

 

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

第3回:「事業デューデリジェンス(事業DD)」とは?

~目的は?調査分析項目とは?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:デューデリジェンスとは?-各種DDと中小企業特有の論点―

▷関連記事:財務デューデリジェンス(財務DD)の費用の相場とは?

▷関連記事:「法務デューデリジェンス(法務DD)」とは?

 

 

事業デューデリジェンス(事業DD)とは?


1、概要

事業デューデリジェンスとは、対象会社の事業性および企業価値の評価をするためには欠かすことのできない重要な調査で、経営管理や事業モデル、将来のキャッシュフロー等を詳細に調査し分析します。また、事業デューデリジェンスで得られた情報を財務デューデリジェンスや事業計画の分析に活用します。

 

事業デューデリジェンスにおける調査の対象は、沿革、経営状況、事業モデル、商品力、労使関係、事業の社会性、経営者のコンプライアンス対応等、会社の経営や事業に関する項目全般であることから、通常その調査は広範に及びます。

 

事業デューデリジェンスで重要なことは、会社を取り巻く外部環境やマーケットにおける位置づけ、各事業のビジネスモデル、内部資源等を充分に把握した上で、会社のSWOTを分析し、事業別の今後の事業計画を策定、検討することです。

 

 

2、事業デューデリジェンスにおける分析

 

事業デューデリジェンスの分析段階では、ビジネスモデル分析、SWOT分析、マーケット分析、競合他社分析、収益性分析、事業ポートフォリオなどを行います。

 

①ビジネスモデル分析

事業デューデリジェンスの出発点は、対象会社の各事業におけるビジネスモデルを正しく理解することです。そのためには、対象会社の全般的事項の調査に続き、経営者ないしは、事業部門責任者に対してインタビューを行い、彼らにビジネスモデルを説明してもらうことが必要となります。このインタビューの目的はビジネスモデルを分析し理解することの他に、経営者や事業部門責任者の資質を評価するという目的も併せもっています。

 

経営者や事業部門責任者へのインタビューを行い、ビジネスモデルの大枠を理解できたら、現場で活動している中間管理職や担当者に対してインタビューを行い、各調査項目の詳細を捉えつつ、ビジネスモデルの分析を進めます。

 

②SWOT分析

SWOT分析とは、対象会社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析しまとめたものです。

 

SWOT分析の目的は、その企業が持っているビジネスの機会や外的脅威等の「外部環境分析」とコア・コンピタンスや組織体制等の「内部要因分析」から、経営課題を具体化し、事業の方向性を明確にすることです。

 

③マーケット分析

対象会社の各事業が属するマーケットの状況とマーケットに対する自社の商品力の分析を行います。これらは、証券会社やシンクタンク等が発表している業界別のアナリストレポートや行政機関が発表している統計情報を入手し、各業界の有識者へのインタビューを行い、様々な観点からマーケットの現況、過去の状況や傾向、今後の見通し等を分析します。

 

④競合他社分析

対象会社の主要な競合他社を分析し、比較を行います。対象会社の業界内での位置付けや、強み・弱み、改善しなければならない点が明確になります。競合他社分析を行う上での重要なポイントは、財務諸表のみならず対象企業が属するマーケットにおけるKPI(Key Performance Indicator)として用いられる指標の比較を行うことです。

 

⑤収益性分析

ビジネスモデル分析、SWOT分析、マーケット分析、競合他社分析の結果を総合的に勘案した上で、財務デューデリジェンスにより入手した過去の営業成績にかかる情報を加味し、対象企業の各事業の収益性の分析を行います。

 

⑥事業ポートフォリオ

市場成長率および市場占有率の2軸にて、対象会社のポートフォリオの検討を行います。対象会社の現在の立ち位置、各事業の立ち位置、投資の分散の状況などを把握して、今後の戦略に役立てます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[事業承継・M&A専門家によるコラム]

M&A後-グループ企業の統率とホールディングスの活用-  ~事業承継に活用したい手法~

 

〈解説〉

ビジネス・ブレイン税理士事務所(畑中孝介/税理士)

 


 

当社のお客様でも1昨年からM&Aが急激に増加していまして年間4-5件のペースでM&Aが成立しています。今年は現状で、すでに3件のM&Aが予定されています。

 

昨年から数百万~数千万円の小規模な事業譲渡に近い案件が増加しており、その傾向はこの後もしばらく続きそうと感じています。

 

知り合いの会社とか取引先とか後継者難の会社を引く継ぐようなケースでのM&Aの活用が増えるでしょう。

 

 

 

そうなると重要なのが増えるグループ企業の管理と統率です。

 

 

 

1、PMI(買収後の体制整備)

一点目は買収後の管理体制です。財務・法務や給与計算労務など様々な問題点があります。それに対する体制整備が非常に重要な論点です。買収するのがゴールではありません(PMIについては「ICTを活用しM&A後の経理体制を合理的に作る【体験記】」をご参照ください」)。

 

 

2、グループの管理体制をどう構築するか

ここは、会社が増えるなどした場合どのような体制を作るかという点です。
支店や事業部のような形で会社の中にセグメントとして置く場合と、持株会社を作りホールディングス化をするケースがあります。

 

持株会社も

A 純粋持株会社(経営管理などだけを行い事業は行わない)
B 事業持株会社(中核会社が事業をやりつつ持株会社の役割もこなす)

 

の2つがあります。

 

どちらがいいかはケースバイケースですが純粋持株会社のほうが、事業を行わない分、事業会社のグループ間の関係が兄弟に近くなります。事業持株会社は親子関係に近いと言えます。

 

また、事業を行わないのでグループ全体の統制や投資活動に責任を持つようなイメージになります。「PL」としての短期の業績管理ではなく「BS」による投資の管理や中長期の視点といった役割求められるといえるでしょう。

 

また、グループ管理ではグループ全体での業績管理に加え決算期の統一なども検討するケースが増えています。

 

 

 

 

「ビジネスブレイン月間メルマガ(2020/02/04号)」より一部修正のうえ掲載

[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年2月4日)

-以下のM&A案件(2件)を掲載しております-

 

●高技術のCADによる各種機器のマニュアル制作や通貨機器保守点検の技術者派遣を展開

[業種:機械設計業/所在地:関東地方]

●4,000世帯以上の顧客(個人)を有する食材宅配サービス事業

[業種:飲食料品小売業/所在地:西日本]

 

 

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(お問い合せ・ご相談は「無料会員登録」が必要です)

 


案件No.SS005471
高技術のCADによる各種機器のマニュアル制作や通貨機器保守点検の技術者派遣を展開

 

(業種分類)その他

(業種)機械設計業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)機械設計業・保守点検業

 

〔特徴・強み〕

◇業歴長く、大手電機メーカーが技術力を高く評価。CAD、図面、写真等を基に製品イラストを作成し、きめ細かいパーツカタログやマニュアル制作力が強み。
◇海外向け多言語(50カ国)の資料作成や、通貨機器保守点検の技術者派遣も展開。

 

-案件に関するお問合せ・ご相談は、このページ文末の「お問合せ・ご相談」ボタンより-


案件No.SS004926
4,000世帯以上の顧客(個人)を有する食材宅配サービス事業

 

(業種分類)小売業

(業種)飲食料品小売業

(所在地)西日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)食材の宅配サービス業

 

〔特徴・強み〕

◇個人宅向け食材の宅配サービス業。
◇営業基盤は盤石で、安定した業績推移が特徴。

 

-案件に関するお問合せ・ご相談は、このページ文末の「お問合せ・ご相談」ボタンより-


情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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③借金過多の状態とM&A

~破綻前の事業売却のリスクとは?再建型M&Aの前提とは?~

 

〈解説〉

公認会計士 大原達朗

 

 

 


 

今回は、“借金過多の状態とM&A”というテーマです。

 

 

 

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これは会社(事業)の借金(負債)が非常に大きな状態になって、苦しい状態になってから、「どなたかに救済してほしい」ということで、売却のご相談を受けることが多々ありますので、そのような場合の売却の可能性について説明いたします。

 

 

まず経営者やオーナーの方が、売却を検討(決断)する動機について、ポジティブな場合としては“事業承継をしたい”(ご自身はやるだけのことはやったので、あとは引退したい。もっと若い経営者に任せたい。大きな会社に任せたい。)というような場合と、同じような動機かもしれませんが、“さらなる拡大をしたい”(個人のレベルとしては、上手くビジネスを行ってきて、例えば店舗を10店舗までにしたが、このビジネスを日本全国あるいは世界中に数千店舗に増やしたいといった場合で、個人では限界があるので資金力のある会社に買収をしてもらい、1段2段と上の事業展開をしたい)というのはポジティブな売却の動機だと思います。

 

 

割合としてはネガティブな方が非常に多くて、先ほどお話ししたように、業績悪化に伴い苦しいので、どこかの会社に救済してほしいというパターンです。

 

 

 

 

 

これを救済型M&Aと、ここでは一括りで呼んでおきますが、実行はやはり難しいです。よほど何か特徴のあるものがあれば、業績が悪くてもあるいは負債が大きくても、どこかの企業が引き取るという可能性はありますが、普通に考えてよほど何か光るものがあるのなら、その会社(事業)は利益が出ているはずです。よほど過去の放漫経営で物凄く無駄なお金を使ってしまい「今のビジネスであれば利益は出ているが、負債が多すぎる。この負債を返していては、ほとんど手元にキャッシュが残らない」というような場合は、可能性がありますが、この後、説明いたしますが、法的整理をする過程の中で企業再生ができる場合もあります。

 

 

しかし、今は利益が出ているが過去の放漫経営によって借金が過多である。ついでに言えば、借金をしているということは、お金をその会社に貸している金融機関や債権者がいるわけですから、再生あるいは一部法的整理をするとなると、簡単に言えば借金の棒引きを行うわけです。

 

 

例えば、「10億円借りているものを、2億円に減らしてもらう。そうすれば会社は回っていく。だから借金を10億円から2億年円の差額の8億円を棒引きするか考えてくれる」ということなのです。

 

 

その種類として、“法的整理”“私的整理”の2種類の方法があります。

 

 

法的整理というのは、法律に基ついで「10億円ある借金を2億円に減らしましょう」というものです。事実上、倒産(破産の手続きはこれに当てはまりますが)です。つまりは会社を潰してしまうわけです。会社が潰れる時というのは、お金が回らなくなっているわけですから、負債を返済するのは不可能です。というような状況の時に、破産の手続は口で言ってしまえば簡単です。お金になりそうな物は全部売ってしまって、いくらにもなりそうもないですが現金に替えて、その現金を債権者の方々に少しずつ配当するというやり方です。

 

 

この中には、“民事再生”とか“会社更生”といった方法があります。 例えば、みなさんが良くご存じのJALは会社更生を行いました。一旦、法的整理を受けているわけです。裁判所が介入して借金を棒引きにして再生したのです。 ただし、みなさんがご存じの通りJALがいきなり無くなって、JALの運行している飛行機が飛ばなくなったら、日本全体が困ってしまいますよね。JALはそう簡単には潰せないわけです。

 

 

厳しい言い方かもしれませんが、皆さんの会社が明日からビジネスをしなくなったとしても、日本国民は困らないわけです。そのため、そう簡単に会社更生を受けられません。借金をしてしまったら「その分の責任を自分でとりなさい」ということです。この類似事例として“民事再生”というものありますが、民事再生も大まかにいえば“会社再生”と同じようなものです。

 

 

例えば、ソフトバンクがスポンサーになりグループインしたウィルコムなども民事再生の実例でした。PHSのビジネスをしていた会社ですが、相当数のお客様を集めておいて、業績が悪いからと、いきなりサービスを止めてしまっては、ユーザーの方々への影響は非常に大きなものになります。そのような場合は、会社は残して借金を棒引きして、その後にキッチリとお金を出して経営を引き継いでくれるような方がいれば、裁判所も「今潰すよりも、そちらに任せた方が金融機関にも少しはお金が返ってくるだろうし、お客様も困らないだろう」といった判断が特別に許された場合にのみ、会社更生や民事再生など法的整理になっても、会社自身は残るといったケースがあります。

 

 

しかし、こういったケースは極めて稀です。新聞やニュースを見ているとそのような事例が目につきますが、件数でいうとほとんどないと思って頂いた方がよいです。

 

 

では、「法的整理は難しいので、私的整理という方法は使えないのか?」となります。私的整理というのは、裁判所が変わらずに“個別”に金融機関など債権者と交渉していくというやり方ですが、難易度が法的整理よりもっと高いです。 金融機関でも、「お金は返さない」ということになれば、当然、社内でその手続きをしなければなりません。

 

 

当然お金を貸したが返ってこないのであれば、「その会社に誰がどうして貸したのだ?」と責任を問われることになります。それを法律で法的に整理してしまったら“しょうがない”となるわけですが、法律が介在しないで、民間同士で行っていくとなると、法的整理よりも交渉が厳しくなることは想像できるのではないでしょうか。

 

 

銀行員の立場でみると、少し理解しやすいかもしれません。「法律で借金は棒引きになってしまいました。」となったら“どうしようもない”ですが、法律が介在せずに「10億円の借金を2億円にしてください」と言われても“NO”に決まっていますよね?「できる限りの債権を回収する」というのが彼ら銀行員の仕事ですので、私的整理の方が、難易度が高いわけです。

 

 

 

 

 

一方で、このようなパターンもあります。ビジネス全体としては厳しいが、一部の事業(あるいは店舗)では、しっかりと利益が出ている。その一部分だけ切り取れば事業の継続は可能である。ということは十分にあり得るのです。 その一部分だけ第三者に売却して、残りは潰してしまうということもあり得ますが、結構大事なことなのですが、金融機関からすると、この虎の子である最後のキャッシュを生む事業(店舗)を誰かが買ってしまったとなった。その値段が適正価格であればよいのですが、知り合いに安く売ってしまったというようなことをすると、他の債権者は一方的に不利になってしまいますので、「知り合いに適当に売りました。安く売ってしまいました。」その後に裁判所が入ってきて、法的整理をするときに、その譲渡を取り消されてしまう可能性があります。

 

 

このように後になって、その譲渡を裁判所によって取り消されるとなると、騒ぎが非常に大きくなってきます。これをやる場合には法的整理の一環でやっていかないと(裁判所が絡んでいる中で行わないと)非常に難しく、裁判所あるいは管財人といわれる専門家の方が来て、法的整理をするわけですが、その方が選んだスポンサーであったり、資金を出してくれる方であったり、売却先に譲渡していかないと、非常にリスクが高いことになっていくということです。

 

 

実際問題、まだ稼ぐことができる事業に関しては、外に売却したほうが良いのですが、業績が苦しいオーナーにとってみると、業績の良い事業(良いビジネス)を外に出して(売却して)も、結局残った会社は潰れるしかないのです。会社の借入れをオーナー社長が個人保証をしていると、個人としても自己破産するし、持っていた会社も無くなってしまう(倒産する)ということで、あまり良いことが無いので、実際にこのような決断をされる方は少ないようです。しかし、将来的に潰れてしまうのなら、1年や2年ぐらい粘っていても、続くはずの業績の良いビジネス(社内の1事業)さえも、続かなくなってしまう可能性があります。

 

 

例えば、会社全体の業績が悪くなってくると、業績の良い事業の取引先も離れて行ってしまう可能性もありますし、従業員の方々も仕事ができる方々から、辞めていってしまうということが良くあります。そのようなことを考えると、経営者の方は早めに決断をするべきだと思います。

 

 

会社の延命をしていく中で、オーナー個人の資産を出すということは、創業オーナーであれば、仕方がないということもありますが、個人のお金が無くなると親戚から借りてくる、友人から借りてくるということもよくあります。しかし、“このお金”を出して、会社が何とかなるものなら良いのですが、大半の場合は、そのタイミングで1000万~2000万円のお金を集めたところで、結果的にはそのお金はすぐに無くなってしまうのです。その結果、親戚や友人にお金を返すこともできなくなってしまうわけです。

 

 

要するに、悪影響が拡散する可能性がありますので、「最悪のケースはどうなってしまうのか?」ということと「どうせ会社も潰れてしまうなら、結果は変わらない」と思うのではなく、早めに手を打つことも知っておいて頂きたいと思います。 あるいは、これからビジネスを始める方、あるいは会社を買収される方にもこのようなリスクもあるのだということを知っておいて頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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■動画解説を見る(外部サイト)

[解説ニュース]

住宅の譲渡所得の特例では、本当に居住していたか見られています

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

1.はじめに


マイホームを売った場合には、新たな住宅を取得するのが通常であるなど、一般の資産の譲渡に比べて特殊な事情があり、その担税力が弱いという理由から、税制上、特例が設けられています。その最もポピュラーな特例が居住用財産の譲渡所得の特別控除、いわゆる3,000万円特別控除です(措法35①)。

 

こうした居住用財産に係る譲渡所得の特例では、譲渡の対象財産が「その居住の用に供している家屋の譲渡若しくはその家屋とともにするその敷地の用に供されている土地等」を譲渡した場合であること、又は住まなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡した場合であることが、大きなポイントになっています。

 

居住の用に供しているということについては、「生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その者の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定するのが相当であり、また、本件特例の適用を受けるためには、譲渡資産に短期間臨時にあるいは仮住まいとして起居していたというのみでは足りず、真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して譲渡資産を生活の拠点としていたことを要するもの」と考えられています(国税不服審判所平成31年2月6日)。

 

しかし、しばしば対象財産が「居住用」であるかどうかを巡って、納税者と税務署との間で争いが起こります。今回は、最近の裁決事例から、居住の用に供している実態がどのように確認されているかをチェックします。

 

 

2.電気・水道等の利用、源泉徴収票の住所…


先の国税不服審判所平成31年2月6日の裁決事例は、納税者Aさん(請求人)が父親から相続した住宅に相続後に住民票を移してから、その住宅を売却し3,000万円特別控除を適用して申告したところ、税務署からその住宅に本当に住んでいたとは認められないとして否認、争いとなったものです。

 

ここで、Aさんがその住宅に住んでいた証拠としてチェックを受けたのは次の事項です。

 

①住民票、運転免許証、源泉徴収票の住所
②職場に届出る住所地やその変更手続き
③郵便局への転居届
④電気、ガス、水道の使用量
⑤近隣住民の証言

 

これらがチェックされるのは、「請求人が本件家屋を生活の拠点として利用していたのであれば、その事実を示す何らかの形跡(例えば、引っ越し、通勤、郵便物、近隣商店の使用に係る領収証、町内会費の支払など)が残るのが通常である」(同裁決)という考えからです。

 

また、この事案では、売却に際して不動産仲介会社に依頼をしており、譲渡対象の住宅のカギを引き渡していた点や、不動産の広告に現況についての記載が「空き家」だった点がチェックされていました。

 

同裁決では、①住民票、運転免許証は対象の住宅の住所地だったが、源泉徴収票の住所は転居前のまま、②職場へ住所変更の手続きの書面を出したが、引っ越し完了連絡がなかったためいったん預かりとなっていたこと、③郵便局への転居届はなく、④電気水道ガスの使用料はほぼなかったこと、⑤近隣住民からは「請求人が本件家屋で生活していたのを見かけたことはない」旨申述があったことから、「生活の拠点として利用していたとは認められない」として3,000万円特別控除の適用を否認した税務署の処分を支持しています。

 

 

3.介護施設への入所と居住地


ケガなどにより介護を必要とする生活となったため、自宅にいられなくなった人が、相続開始直前、その住宅を売却したケースで、3,000万円特別控除の適否が争われた事例があります(国税不服審判所平成31年1月18日)。

 

「居住用家屋」の範囲については、転勤、転地療養等の事情のため、配偶者等と離れ単身で他に起居している場合であっても、その事情が解消したときはその配偶者等と起居を共にすることとなると認められるときは、その配偶者等が居住の用に供している家屋(措法通31の3-2⑴)も含まれるとされています。

 

これを下敷きにしたと見られる相続人(請求人)が住宅を売却した平成26年の前、平成17年から被相続人が施設へ入居していたが、その住宅に戻る意思があったから「居住用」と主張しました。しかし国税不服審判所はこの事例でも電気、ガス、水道の使用量、自治会費の支払い等もチェックし、生活の実態が認められないことから「居住用家屋とは、真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の拠点としていた家屋をいうのであり、治療終了後に家屋に戻る意思の有無のみによって判断されるものではない」とし請求を棄却しています。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/02/03)より転載

[M&Aニュース](2020年1月20日〜1月31日)

◇共同ピーアール<2436>、映画やビデオなど企画・制作のアティカスを子会社化、◇北洋銀行<8524>、経営支援コンサルティングの北海道共創パートナーズを子会社化、◇東芝機械、旧村上ファンド系のTOBへ「留保」の意見表明、◇ZUU<4387>、持ち分法適用関連会社でクラウドファンディング事業のユニコーンを子会社化、◇日立化成<4217>、コンデンサー事業などを中国・南通江海电容器に譲渡、◇片倉工業<3001>、100人規模の希望退職者を募集、◇サニーサイドアップグループ<2180>、ファッション業界に特化したPR会社のステディスタディを子会社化 ほか

 

 

 

 

サイジニア<6031>、京セラコミュニケーションシステムからネット広告に関するDSP事業を取得

2020-01-31

サイジニアは、京セラコミュニケーションシステム(京都市)が運営するDSP(ディマンドサイドプラットフォーム)事業を取得することを決めた。京セラコミュニケーションがDSP事業を新設分割して設立する新会社の株式90%を取得して傘下に収める形とする。

DSPはインターネット広告で広告主側から見た広告効率の最大化を支援するシステムのこと。

サイジニアは市場拡大が続くインターネット広告の分野で、データ解析エンジンの提供に軸足を置いてきた。一方で、今後想定されるインターネット広告の標準仕様の変更や業界構造の変革に迅速に対応するにはデータ解析エンジンにとどまらず、広告配信基盤を自ら運営する必要があると判断し、DSP事業を取り込むことにした。

取得価額は7500万円。取得予定日は2020年3月2日。

 

 

 

岡三証券グループ<8609>、インヴァスト証券から「くりっく株365」に関する事業を取得

岡三証券グループ傘下の岡三オンライン証券(東京都中央区)は、インヴァスト証券(東京都港区)から取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)の取引参加者としての事業を取得することを決めた。取得価額は非公表。取得予定日は2020年8月2日。

 

 

 

HANATOUR JAPAN<6561>、訪日旅行者向けレンタカー事業をマルエイに譲渡

HANATOUR JAPANは、訪日個人旅行者向けレンタカー事業を、不動産関連のマルエイコーポレーション(千葉市)と自動車販売業のマルエイカーズ(東京都港区)に譲渡することを決めた。同社は沖縄でレンタカー事業を展開してきたが、日韓情勢の影響による訪日旅行者の減少などに対応する。当該事業の直近業績は売上高8400万円、経常損失2000万円。

マルエイコーポレーションに車両、マルエイカーズに車両以外の資産を譲渡する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年2月1日。

 

 

 

フジシールインターナショナル<7864>、タイで包装材料製造のフジエースを子会社化

フジシールインターナショナルは、タイで包装材料を製造・販売する持ち分法適用関連会社のフジエース(バンコク。売上高165億円、営業利益△4億700万円、純資産77億6000万円)の株式51%を合弁相手の味の素から追加取得し、完全子会社化することを決めた。取得価額は45億1500万円。2020年3月末までに取得を完了する予定。

フジエースは1995年に味の素と共同出資で設立し、タイを中心にASEAN(東南アジア諸国連合)で市場拡大を進めてきた。フジシールインターナショナルはこの間、タイで実績を積んできたフジエースを子会社化することで、ベトナム、インドネシア、インドにあるフジシールの既存拠点との一体的・効率的な運営を推し進め、アジアにおける一層の事業拡大につなげる。

 

 

 

グローリー<6457>、セルフ決済機器大手の仏アクレレック・グループを約242億円で子会社化

グローリーは31日、英国子会社を通じて、買い物などの際に代金決済を利用者自身で行うセルフサービスキオスク機器の製造・販売を手がけるフランスのアクレレック・グループ(サンティボデヴィーニュ市。売上高151億円、営業利益6億500万円、純資産22億9000万円)の株式 80%取得し、子会社化すると発表した。取得価額は約242億円(アドバイザリー費用を含む)。

アクレレックは欧州を中心に19カ国に拠点を持ち、セルフサービスキオスクに関する機器やソフトウエアの開発から生産、販売、保守までをトータルに事業展開する。セルフサービスキオスク市場は人件費高騰や人手不足への対応を背景にファストフードやスーパーマーケットなどを中心に急成長しており、アクレレックはこの分野のリーディングカンパニーという。

グローリーは同社を傘下に取り込むことで、両社の販売網を相互活用して世界規模で飲食店などへの販売拡大を目指す。買収完了時期は現時点で未定。

 

 

 

みらかホールディングス<4544>、新潟縣健康管理協会から受託臨床検査事業を取得

みらかホールディングスは子会社を通じて、一般社団法人新潟縣健康管理協会(新潟市)が所有する登録衛生検査所「メディカルラボ健康会館」の受託臨床検査事業を取得することを決めた。新潟県での顧客基盤拡大が狙い。新潟縣健康管理協会は1976年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月1日。

 

 

 

JEUGIA<9826>、経営陣による買収(MBO)で非公開化

JEUGIAは31日、経営陣による買収(MBO)を受け入れて非公開化すると発表した。西村昌史社長が全額出資で設立した新会社「cross road」 (京都市)がJEUGIAに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株取得を目指す。楽器販売などの音楽事業とカルチャー事業を経営の両輪とするが、国内市場が縮小に向かう中、非公開化を通じて、抜本的・機動的な意思決定を可能とする経営体制を構築する狙い。

JEUGIA はTOBに賛同しており、同社株の32.1%を保有する筆頭株主のヤマハミュージックジャパン(東京都港区)もTOBに応募を決めている。

cross roadによるJEUGIA株の買付価格は1株あたり1720円で、TOB公表前日の終値1272円に35.22%のプレミアムを加えた。全株式の取得を目標とし、買付代金は最大約14億1400万円。買付予定数の下限は所有割合67.95%に設定。

買付期間は2月3日~3月17日までの30営業日。公開買付代理人はみずほ証券。決済開始日は3月25日。

JEUGIAは1898年、東京・銀座に本店を構えた十字屋が京都に置いた仮店舗から独立する形で、「十字屋田中商店」として創業した。1952年に田中楽器店を設立し、1975年に十字屋を経て、1990年に現社名に変更した。1991年に大阪証券取引所2部(現東証2部)に上場した。

ヤマハ系の楽器販売からスタートし、レコードやCDなどに取扱商品を広げた。1960年代からヤマハ音楽教室の運営を始め、さらにカルチャー事業への展開を推し進めてきた。ただ、近年、カルチャー事業が堅調な半面で、売上高の6割強を占める音楽事業の低迷が続いている。

 

 

 

マーケットエンタープライズ<3135>、ジラフから修理業者情報プラットフォーム「最安修理ドットコム」事業を取得

マーケットエンタープライズは、インターネットサービスの企画や開発を手がけるジラフ(東京都中野区)から修理業者情報プラットフォーム「最安修理ドットコム」の運営に関する事業を取得することを決めた。当該事業の直近売上高は3800万円。取得価額は7500万円。取得予定日は2020年2月1日。

マーケットエンタープライズはインターネットに特化したリユース品(中古品)の買取・販売を主力事業の一つとする。今回、「最安修理ドットコム」を取り込むことで、修理・メンテナンスといったアフター市場への事業領域の拡大を目指す。

「最安修理ドットコム」はiPhone修理店の料金比較・検討サイトとして2015年8月に運営をスタートした。現在では家電、カメラ、ドローン(無人飛行機)など様々な商品を対象としている。掲載した修理店舗数1万9000店舗、月間110万ページビュー、月間訪問者数は57万人(2019年12月)で、国内最大級の修理業者情報プラットフォームという。

 

 

 

日立製作所<6501>、日立ハイテクノロジーズ<8036>をTOBで完全子会社化

日立製作所は31日、連結子会社の日立ハイテクノロジーズ(東証1部上場)に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を2月17日から実施すると発表した。TOBを通じて現在51.73%の所有割合を100%に引き上げる。これに対し日立ハイテクノロジーズは同日付で賛同の意見を表明するとともに、株主が本TOBに応募することを推奨する旨の決議をした。

日立ハイテクノロジーズ株式の買付価格は1株につき8000円で、TOB公表前日の終値7740円に3.36%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は設けず、下限は2054万8181株と設定。予定通りに買い付けられれば、日立ハイテクノロジーズの上場は廃止となる見通し。

買付代金は約5311億円。買付期間は2月17日~4月6日。買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とauカブコム証券が務める。

日立製作所は本TOBで、グループ内の連携強化による企業価値のさらなる向上と顧客ニーズへの迅速な対応の実現を狙うとしている。

 

 

 

UTグループ<2146>、製造業向け人材派遣のサポート・システムを子会社化

UTグループは、関西地区で製造業に対する人材派遣事業を手がけるサポート・システム(大阪市。売上高35億円、営業利益9100万円、純資産4億2200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。

UTグループは工場向けの人材派遣、設計・開発、IT、建設分野への技術者派遣などを主力とする。サポート・システムは1998年に設立し、関西を地盤とするが、近年は関東地区に進出し、食品加工業界向けの人材サービスにも力を入れている。

取得価額は11億5600万円。取得予定日は2020年3月2日。

 

 

 

ヒガシトゥエンティワン<9029>、オフィス移転事業などのワールドコーポレーションを子会社化

ヒガシトゥエンティワンは、持ち分法適用関連会社でオフィス移転事業や引っ越し事業を手がけるワールドコーポレーション(大阪市枚方市。売上高6億7000万円、営業利益4110万円、純資産4170億円)の株式80%を追加取得し、完全子会社化した。31日付。グループ内で連携を強化する狙い。取得価額は3400万円。

 

 

 

佐鳥電機<7420>、60人程度の早期退職者募集を発表

佐鳥電機は30日、60人程度の早期退職者募集を内容とする特別転進支援施策を発表した。対象は同社とグループ会社の満40歳以上60歳未満で勤続10年以上(管理部門は満35歳以上)。募集人員は連結ベースの従業員総数の約9%にあたる。3月16日~31日募集し、退職日は5月30日とする。規程の退職金に特別加算金を上乗せ支給する。また、希望者には再就職支援会社を通じた再就職支援サービスを提供する。

特別転進支援施策は配置転換や職種転換を通じた人的資源の最適配置が狙い。佐鳥電機は電子部品や電子機器、電子材料などの取り扱いを主力とするエレクトロニクス商社。現行の中期経営計画では「ファクトリー」「モビリティー」「メディカル/ヘルスケア」を成長分野と位置づけ、経営資源を投入する方針を打ち出している。

2020年5月期業績の予想は売上高3.7%増の1210億円、営業利益37.1%増の9億円、最終利益135.6%増の7億円。

2020年に入り、上場企業で早期(希望)退職者の募集を発表したのは曙ブレーキ工業、片倉工業に続いて3社目。

 

 

 

ユニゾへの従業員買収、買付期間を2月14日まで7営業日延長

不動産・ホテル業のユニゾホールディングに対して、従業員による買収(EBO)を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施しているチトセア投資(東京都中央区)は30日、2月4日としていた買付期間を2月14日まで7営業日延長すると発表した。チトセア投資は2019年12月24日に1株5100円でユニゾ株の買い付けを始めたが、ユニゾ株価が買付価格を上回る高値圏で推移し、TOB成立が厳しい状況になっている。

ユニゾをめぐっては米フォートレス・インベストメント・グループによるTOBが同時進行しているが、フォートレスは29日に買付価格を4100円から1100円引き上げて5200円と、チトセア投資の買付価格を上回る水準とした(買付期間は2月13日まで)。

ユニゾ株の30日の終値は前日比10円安の5540円。

 

 

 

スターアジア不動産投資法人<3468>、さくら総合リート投資法人<3473>と合併の基本合意書を締結

スターアジア不動産投資法人(東京都港区)とさくら総合リート投資法人(東京都千代田区)は30日、合併に関する基本合意書を締結したと発表した。スターアジアは昨年5月に、さくら総合リートに合併提案。さくら総合リートはスターアジアとの合併に反対し、J-REIT(上場不動産投資信託)で初めての敵対的買収に発展にしていたが、曲折を経て、合併提案を受け入れた。今後、早期の合併契約締結を目指すという。

スターアジアは保有物件34件で資産規模1029億円(2019年7月末)、さくら総合リートは18件で、575億円(同6月末)。

 

 

 

白銅<7637>、東港金属東北支店の非鉄金属販売事業を取得

白銅は、金属スクラップ取り扱いの東港金属(東京都大田区)の東北支店(山形県東根市)が営む非鉄金属の販売事業を取得することを決めた。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月11日。

 

 

 

インテグラル、システム構築の豆蔵ホールディングス<3756>をMBOで非公開化

投資ファンドのインテグラル(東京都千代田区)は30日、傘下企業を通じて、システム構築・開発支援を手がける豆蔵ホールディングス(東証1部)に対するTOB(株式公開買い付け)を実施して非公開化すると発表した。MBO(経営陣が参加する買収)の一環で、全株取得を目指す。買付代金は最大344億円。

買付主体はインテグラルが100%出資するK2TOPホールディングス。提示した買付価格は1885円で、TOB公表前日の終値1499円に25.75%のプレミアムを加えた。買付期間は31日~3月16日までの30営業日。買付予定数の下限は所有割合66.67%に設定している。

豆蔵の創業者で会長・社長を務める荻原紀男氏(所有割合1.66%)、同社筆頭株主の情報技術開発(東京都新宿区、所有割合16.87%)はTOBに応募を決めている。

公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、auカブコム証券。決済開始日は3月24日。

 

 

 

芙蓉総合リース<8424>、ヤマト傘下でトラックリース事業のヤマトリースを子会社化

芙蓉総合リースは、ヤマトホールディングス全額出資子会社でトラックを中心にリース事業を手がけるヤマトリース(東京都豊島区。売上高219億円、営業利益6億7400万円、純資産52億9000万円)の株式60%を取得し、子会社化することを決めた。芙蓉総合リースとヤマトグループとの共同事業とすることで、双方の顧客基盤・ノウハウを組み合わせ、ヤマトリースの競争力強化や事業拡大を目指す。

ヤマトリースは1977年に設立し、主に運送事業者に対して、トラックのリースを中心とするファイナンスサービスや、中古トラックマッチングアプリ「トラマチ。」によるトラック流通サポートサービスなどを提供している。

取得価額は約36億円。取得予定日は2020年4月1日。

 

 

 

ウェルビー<6556>、児童発達支援事業所など運営のアイリスを子会社化

ウェルビーは、大阪府内で児童福祉法に基づく多機能事業所を運営するアイリス(大阪市。売上高4億800万円、営業利益376万円、純資産1億100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。近畿圏での療育事業への本格進出を推し進める狙い。

ウェルビーは大人向け就労移行支援事業と子ども向けの療育事業を中心に、全国で障害福祉サービス事業所を営業している。療育事業については全28事業所のうち近畿圏は3カ所(大阪府2、兵庫県1)にとどまっている。

アイリスは児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所を計8カ所、ほかに相談支援事業所1カ所を営み、幼児から高校生まで幅広い年齢層の利用者にサービスを提供している。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月5日。

 

 

 

じげん<3679>、住宅リフォームや太陽光発電システムの比較サイト運営のアイアンドシー・クルーズを子会社化

じげんは、住宅リフォームや太陽光発電システムに関する比較サイトを運営するアイアンドシー・クルーズ(東京都港区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月3日。

アイアンドシーは2008年に設立。リフォーム会社比較サイト「リショップナビ」、住宅用太陽光発電システム比較サイト「グリーンエネルギーナビ」などを手がけ、工務店や塗装会社といった中小法人を中心に約700社の顧客基盤を持つ。

じげんは、アイアンドシーを傘下に取り込み、不動産領域における事業成長の加速や法人顧客の商流獲得による積み上げ型収益(ストック収益)の拡充を目指す。

 

 

 

共同ピーアール<2436>、映画やビデオなど企画・制作のアティカスを子会社化

共同ピーアールは、映画、ビデオやテレビ・ラジオ番組などの企画、制作を主力とするアティカス(東京都中央区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。共同ピーアール傘下で同様の事業を手がけるマンハッタンピープル(東京都中央区)とのシナジー(相乗効果)獲得を期待している。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月。

 

 

 

北洋銀行<8524>、経営支援コンサルティングの北海道共創パートナーズを子会社化

北洋銀行は、経営支援コンサルティングの北海道共創パートナーズ(札幌市。売上高3億5700万円、営業利益3100万円、純資産1億2500万円)の株式50.51%を追加取得し、完全子会社化することを決めた。

北海道共創パートナーズは2017年、道内企業に対する財務、人材、事業承継などにかかわるコンサルティング業務の提供を目的に、日本人材機構(東京都中央区)が50.51%、北洋銀行が49.49%を出資して設立。北洋銀行の顧客基盤を生かして、伴走型支援サービスを展開してきたが、同行としてこうした取り組みをさらに推し進めるために子会社化に踏み切る。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

 

 

 

東芝機械、旧村上ファンド系のTOBへ「留保」の意見表明

東芝機械は28日、同社に対して旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が1月21日から実施中のTOB(株式公開買い付け)について、意見表明を「留保」すると発表した。同日の取締役会で取締役全員の一致で決議した。TOBに対して東芝機械は買収防衛策で対抗する方針で、今後、賛否の意見を最終的に決定する予定としている。

シティインデックスはグループ企業による既所有分12.5%と合わせ東芝機械株43.82%の取得を目指している。買付価格は1株3456円で、買付代金は最大約259億円。買付期間は1月21日~3月4日までの30営業日。

併せて東芝機械は同日、買収防衛策の発動の賛否を諮る臨時株主総会を3月下旬から4月上旬をめどに開催する方針を発表した。総会招集のための基準日は2月15日に設定。東芝機械はシティインデックス側に買付期間を60営業日まで延長(4月16日)することを要請している。

 

 

 

ZUU<4387>、持ち分法適用関連会社でクラウドファンディング事業のユニコーンを子会社化

ZUUは、持ち分法適用関連会社で株式投資型クラウドファンディング事業を手がけるユニコーン(東京都港区。売上高―、営業利益△3030万円、純資産5160万円)の第三者割当増資を引き受け、子会社化することを決めた。株式1.77%を追加取得し、現在49.13%の所有割合を50.9%とする。ZUUは昨年12月に資本業務提携し、ユニコーンに出資したが、子会社化を通じて同社の経営基盤の安定・強化を期すとしている。取得価額は1050万円。取得予定日は2020年2月12日。

ZUUは昨年10月に融資型クラウドファンディング事業のCOOL SERVICES(東京都中央区)を子会社化したが、今回、株式投資型クラウドファンディング事業にも参入し、金融サービスの幅を広げる。

 

 

 

日立化成<4217>、コンデンサー事業などを中国・南通江海电容器に譲渡

日立化成は、本体と子会社の日立エーアイシー(栃木県真岡市)で手がけるコンデンサー事業(小型フィルムコンデンサー事業を除く)と蒸着フィルム事業を、コンデンサー専業メーカーの中国・南通江海电容器股份有限公司に譲渡することを決めた。対象事業の直近売上高は88億4100万円。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年4月1日。

対象事業を日立エーアイシーが新設する承継準備会社に会社分割により承継させ、新会社の株式のすべてを南通江海电容器に譲渡する。

コンデンサーは電子回路の充放電を行う電子部品。家電から産業機器まで幅広く使われているが、とりわけ産業機器用のコンデンサーはコモディティー(日用品)化や中国企業などとの競合で収益確保が難しい状況にあるという。

 

 

 

片倉工業<3001>、100人規模の希望退職者を募集

片倉工業は27日、100人規模の希望退職者の募集を始めると発表した。対象は4月30日時点で勤続3年以上の正社員。3月9日~19日まで募集し、退職日は4月30日とする。100人程度を予定する募集人員は連結従業員の約9%にあたる。所定の退職金に割増金を加算するとともに、希望者には再就職支援を行う。

同社は繊維事業、医薬品、機械関連、不動産事業を主力とするが、2020年度(2021年12月期)中に黒字化が見込めない事業については規模の縮小・撤退を打ち出し、構造改革を進めており、今回の希望退職者募集もその一環。併せて、同社は繊維事業のうち、肌着部門の縮小や一部事業の譲渡を発表した。

 

 

 

サニーサイドアップグループ<2180>、ファッション業界に特化したPR会社のステディスタディを子会社化

サニーサイドアップグループは、ファッション業界に特化したPR会社のステディスタディ(東京都渋谷区。売上高4億7300万円、営業利益5780万円、純資産1億5200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は6億円。取得予定日は2020年3月1日。

ステディスタディは2000年に設立し、「アタッシュ・ドゥ・プレス」と呼ばれるファッション業界専門のPR会社。サンローラン、ディオール オム、クロエ、モンクレール、H&Mなどのハイブランドを中心に実績を積み、この分野のリーディングカンパニーとされる。サニーサイドアップグループは同社の子会社化を通じて、ファッション・アパレル領域のPR業務を取り込み、事業拡大につなげる。

 

 

 

ブシロード<7803>、ぬいぐるみ劇の劇団飛行船を子会社化

ブシロードは、マスクプレイ(ぬいぐるみ劇)企画・公演の劇団飛行船(川崎市)を子会社化することを決めた。エンターテインメント企業として、新たなIP(知的所有権)コンテンツを取り込み、事業展開の幅を広げる狙い。劇団飛行船は1966年に発足し、マスクプレイと呼ばれる、ぬいぐるみミュージカルの草分け。同社の親会社で、フィットネス事業を手がけるソプラティコ(北海道小樽市)の子会社化を通じて傘下に収める。

ブシロードは2019年9月に劇団飛行船と業務提携したのに伴い、親会社のソプラティコに14.5%出資した。ブシロードはアニメやゲーム、音楽、イベントなど様々なIPコンテンツを持つ。これらのIPコンテンツを活用した新たな舞台を共同で企画するなど、今後、劇団飛行船との事業連携を加速し、シナジー(相乗効果)を引き出すためには子会社化が不可欠と判断した。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月3日。

 

 

 

Nuts<7612>、アミューズメント事業をメイクイーストに譲渡

Nutsは、アミューズメント事業の全部とコンテンツ事業の一部を、プリクラ機の開発などを手がけるメイクイースト(東京都千代田区)へ譲渡することを決めた。事業再構築の一環。パチンコ・パチスロ遊技機をアミューズメント施設用のメダルゲーム機に転用する業務などが譲渡対象。当該事業の直近売上高は2900万円。譲渡価額は2000万円。譲渡予定日は2020年2月1日。

 

 

 

イワキ<8095>、医薬品研究受託のスペラファーマを子会社化

イワキは、医薬品の研究受託事業を手がけるスペラファーマ(大阪市。売上高63億7000万円、営業利益6億2200万円、純資産12億3000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は約60億円。取得予定日は2020年3月。

スペラファーマは2017年に設立し、医薬品・治験薬製造の武州製薬(埼玉県川越市)が全額出資。医薬品の研究開発・製造の受託、製造物の品質管理などのサービスをトータルに提供する事業を展開している。イワキは同社を傘下に取り込み、医薬品開発の初期段階から申請にいたる各段階で取引先の多様な要望にハイレベルで対応できる体制づくりを目指す。

 

 

 

武蔵精密工業<7220>、JSR傘下でリチウムイオンキャパシター製造のJMエナジーを子会社化

武蔵精密工業は、JSRの全額出資子会社でリチウムイオンキャパシター(蓄電装置)の開発・製造を手がけるJMエナジー(山梨県北杜市)の株式80%を取得し、子会社化することを決めた。自動車の電動化などに伴い、今後成長が期待される蓄電デバイスの開発・生産技術や生産施設を取り込み、新たな事業展開を目指す。

リチウムイオンキャパシターは電気二重層キャパシターとリチウムイオンバッテリーの技術を掛け合わせ、エネルギー密度を大幅に高めた蓄電デバイス。なかでも車載用途では電動化の進展に伴い量的ニーズが拡大している。JMエナジーは2007年設立。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

 

 

 

ナック<9788>、ヤマダ電機傘下の住宅会社・エースホームを子会社化

ナックは、ヤマダ電機傘下で住宅フランチャイズを展開するエースホーム(東京都新宿区。売上高13億7000万円、営業利益2300万円、純資産8億1500万円)の株式86%を取得し子会社化することを決めた。

エースホームは2000年設立で、住宅メーカーのヤマダホームズ(旧エス・バイ・エル)が86%、住宅設備機器最大手のLIXILが14%を出資する。両社の製品とサービスを融合させた住宅のフランチャイズを展開し、現在では約50の加盟店が全国で住宅を供給している。

ナックは中小建設業・工務店向けに建築コンサルティング業務を展開している。エースホームをグループに迎え、同社と関係が深い地域ビルダー(比較的小規模の住宅業者)などを新たな顧客層として取り込み、事業拡大につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日2020年2月28日。

 

 

 

Kudan<4425>、空間・位置認識ソフトの研究開発企業である米アーティセンスを子会社化

Kudanは、空間・位置認識ソフトウエアの研究開発企業である米アーティセンス・コーポレーション(カリフォルニア州。売上高500万円、営業利益△2億1200万円、純資産5億9200万円)を子会社化する方針を決議した。3段階に分けて全株式の取得を目指す内容で、まず1月29日に株式12%を取得し、6月29日に追加取得して持ち株比率を38%に高める。その後に、残る株式を取得するが、時期は未定という。取得価額も現時点で未定。

今回の買収に際しては、アーティセンス株式の取得の対価として、同社の株主に対し、買収対価の一部として将来にわたりKudanの普通株式を割り当てることを目的とした第三者割当による新株発行にかかる発行登録書を提出することを決議した。

アーティセンスは独ミュンヘン工科大学教授で、自動運転技術の研究で知られるダニエル・クレマース氏らが2016年に創業した。

Kudanは自動運転・ロボティクス、AR(拡張現実感)・VR(人工現実感)、ドローン(無人航空機)などを応用分野として、空間・位置認識を行う人工知覚アルゴリズム(計算方法)を提供している。この分野の有力企業を傘下に取り込み、シェアの確保を目指す。

 

 

 

前田道路、前田建設によるTOBに「反対」表明

前田道路は24日、同社の子会社化を目的に筆頭株主の前田建設工業が1月21日から実施しているTOB(株式公開買い付け)について、反対するとの意見を発表した。同日の取締役会で決議した。これにより、グループ内の上場企業同士が対立する敵対的TOBが正式に確定した。

前田道路は、前田建設の子会社となることについて「あらゆる面で当社の企業価値を毀損し、また当社の持続的成長を妨げるものだ」と反論。今後、速やかに必要な措置を講じるとしている。一方、前田建設は同日、反対の意見表明に対し「誠に遺憾」とするコメントを発表した。

前田建設は現在、前田道路の株式を約25%保有する。TOBを通じて持ち株比率を51%に引き上げ、子会社化することを目指している。買付代金は約861億円。1株あたりの買付価格は3950円。前田道路は前田建設が保有する全株式を自己取得して、資本関係を解消することを提案しているが、前田建設によるTOB(~3月4日まで)はすでに始まっている。

前田道路はTOB反対の理由について、前田建設グループとの事業シナジー(相乗効果)が見込めないうえ、収益力において前田建設を圧倒的に上回り、資本市場からの評価の差も両社の過去の株価に歴然と表れていることなどを挙げ、独立した経営の確保が企業価値の維持・向上に資するのは明らかだ、としている。

前田道路によると、前田建設との直接の取引は年間売上高の0.76%に過ぎない。また、株価が適正価格かどうかの指標の一つとされる株価純資産倍率(PBR)は前田道路が約1.5倍に対し、前田建設は1倍に満たない状況にある。

前田道路は道路舗装業界主要8社中、2位の大手。前身は1930年に東京都内で発足した高野組。経営再建に際し前田建設に支援を仰ぎ、1968年のグループ入りしたのに伴い、当時の高野建設から前田道路に社名を変更した。

 

 

 

ココカラファイン<3098>、神奈川県で調剤薬局2店舗経営の薬宝商事を子会社化

ココカラファインは、神奈川県で調剤薬局2店舗を展開する薬宝商事(川崎市。売上高3億5200万円)の全株式を取得し子会社化した。24日付。地盤である神奈川県での店舗ネットワークを強固にする狙い。取得価額は非公表。

 

 

 

エン・ジャパン<4849>、建設・不動産業界向け求人サイト運営の中国子会社「英才網聯」を売却検討

エン・ジャパンは24日、建設・不動産業界向け求人サイトを運営する中国子会社の英才網聯科技有限公司(北京)を売却する方向で検討を始めたと発表した。事業の選択と集中の一環。エン・ジャパンは海外進出の第一弾として2006年に英才網聯始に出資し、連結子会社(持ち株比率は49%)とした。売却先や売却時期などは未定。

併せて同日、シンガポールで人材紹介事業を手がける現地子会社en world SINGAPORE PTE.LTD.を3月31日付で閉鎖することを決めた。

 

 

 

児玉化学工業<4222>、住宅設備・冷機部品の中国生産子会社「無錫普拉那」を現地社に譲渡

児玉化学工業は、住宅設備・冷機部品を生産する中国子会社の無錫普拉那塑膠有限公司(江蘇省。売上高3億7800万円、営業利益△7300万円、純資産2億1200万円)の全出資持ち分を、プラスチック射出成形を手がける現地の蘇州明強塑料有限公司(江蘇省)に譲渡することを決めた。無錫普拉那は児玉化学が全額出資で2002年に設立したが、販売低迷で赤字が続いていたのに加え、米中貿易摩擦による事業環境の変化などを考慮した。譲渡価額は約8500万円。譲渡予定日は2020年3月31日。

 

 

 

オーイズミ<6428>、こんにゃくゼリー製造の下仁田物産を子会社化

オーイズミは、こんにゃくゼリー、こんにゃく食品を製造・販売する下仁田物産(神奈川県海老名市。売上高25億3000万円、営業利益1億4200万円、純資産4億5600万円)の全株式を取得し子会社化した。24日付。オーイズミはパチスロ用メダル貸機など遊技場設備機器の製造を主力とするが、太陽光発電、酒類醸造、不動産賃貸など経営多角化を進めており、その一環。取得価額は非公表。

下仁田物産は1986年に設立し、こんにゃくの産地である群馬県内に製造拠点(甘楽郡下仁田町)を置く。

 

 

 

GFA<8783>、「泊まれる本屋」をコンセプトにホステル6店舗展開のアトリエブックアンドベッドを子会社化

GFAは、ホステル形態の宿泊施設を運営するアトリエブックアンドベッド(東京都品川区。売上高4億1200万円、営業利益△5240万円、純資産△1720万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アトリエブックアンドベッドは2016年に設立し、「泊まれる本屋」という独自コンセプトを打ち出し、東京、大阪、京都、福岡に6店舗のホステルを持つ。GFAは不動産の収益化ツールとして有益と判断し、同社を傘下に取り込む。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月28日。

 

 

 

メイコー<6787>、中国発の新型肺炎で現地武漢工場の稼働状況を発表

メイコーは23日、中国の武漢市(湖北省)で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に対応し、現地にある武漢工場の稼働状況などを発表した。工場内の食堂、通勤バス、トイレなどの公共エリアの消毒を実施したほか、現在は1月22日~29日まで当初計画通り春節休暇に入っており、稼働を停止中。4000人を超える従業員の新型肺炎の発症については確認できていないとしている。

武漢工場(名幸電子有限公司)は2006年に稼働し、車載用やスマートフォン用、HDD(ハードディスク駆動装置)用、事務機用などのプリント基板を生産している。

同社は1月6日に、手洗い・うがいの励行、人が多く集まる場所を避けること、発熱したときは医療機関にかかることを通達し、注意喚起してきたという。

 

 

 

インタートレード<3747>、はなびらたけ生産・販売子会社の通販事業をヴィーダに譲渡

インタートレードは、キノコの一種、はなびらたけの生産・販売子会社であるインタートレードヘルスケア(東京都中央区)の通信販売事業を、会員コミュニティーサイト運営のヴィーダ(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。

インタートレードヘルスケアは「ITはなびらたけ」と名づけた自社ブランドで、はなびらたけを生産している。機能性キノコとして認知度が高まってきたのに伴い、自社ブランド商品の販売に経営資源を集中するため、他社商品も取り扱っている通販事業(ECサイト「健康いいものOnline」を含む)を切り離すことにした。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年2月17日。

 

 

 

エル・ティー・エス<6560>、IoTコンサルティングのイオトイジャパンを子会社化

エル・ティー・エスは、IoT(モノのインターネット)関連のコンサルティング事業を手がけるイオトイジャパン(東京都港区。売上高6250万円、営業利益888万円、純資産1130万円)の株式75%を取得し子会社化することを決めた。取得価額は6000万円で、うち4000万円は第三者割当増資引き受けに伴う。取得予定日は2020年1月31日。

イオトイジャパンはIoT事業化検討の初期段階に特化したコンサルティング事業を展開する目的で2017年9月に設立した。IoT事業を目指す企業と、そのために必要となる技術・サービスを持つ企業をマッチングするもので、製造、流通、交通、医療分野などで実績を積んできた。

エル・ティー・エスはイオトイジャパンを傘下に取り込むことで、顧客企業の新規事業企画から実行までのコンサルティングサービスの充実につなげる。

 

 

 

米ベインキャピタル、三井E&S傘下の昭和飛行機<7404>をTOBで子会社化

米投資会社のベインキャピタルは23日、三井E&Sホールディングス(旧三井造船)の連結子会社である昭和飛行機工業(東証2部)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。最大694億円を投じて全株式の取得を目指す。経営再建中の三井E&Sは65.6%(間接所有分を含む)を所有する昭和飛行機の全株式をTOBに応募し、事業構造改革を推し進める。昭和飛行機はTOBに賛同の意見を表明している。

昭和飛行機に対する買付価格は1株あたり2129円。TOB成立を前提として1株あたり631円の特別配当を予定しており、買付価格と特別配当の合計額2760円はTOB公表前日の終値2545円に8.45%のプレミアムを加えた水準。買付予定数の下限は所有割合66.67%で、上限は定めていない。全株取得による非公開化を想定しており、上場廃止となる見通し。買付期間は2月10日~3月10日までの20営業日。決済の開始日は3月17日。

三井E&SはTOBを通じてグループ企業を含めた全所有株式を約455億円で譲渡する。特別配当約134億円と合わせて約589億円を得る。2014年に、三井E&S(当時は三井造船)は昭和飛行機にTOBを行い、連結子会社化した。

三井造船は1937年に航空機の製造を目的に設立され、1961年に東証2部に上場した。現在はギャレー(機内調理設備)、コンテナといった航空機機装品や、特殊車両(タンクローリーなど)、ハニカムパネルなどの製造を手がけ、2019年3月期業績は売上高254億円、営業利益23億8700万円、純資産344億円。

公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とauカブコム証券。

 

 

 

MTG<7806>、ウオーターサーバー事業を萬楽庵に譲渡

MTGは、ウオーターサーバー事業を、投資会社の萬楽庵(名古屋市)に譲渡することを決めた。ウオーターサーバー事業を全額出資で設立する新会社「Kirala」(東京都港区)に移管したうえで、この新会社の全株式を萬楽庵に売却する。構造改革の一環。譲渡価額は約12億円。譲渡予定日は2020年3月2日。

MTGは飲料水を交換式タンクで供給するウオーターサーバー事業について、浅田真央さんをブランドパートナーとして「Kirala」の名称で展開している。当該事業の直近業績は売上高11億4000万円、営業損失9億3000万円。

ウオーターサーバー事業を切り離し、今後は美容機器ブランド「ReFa」、腹筋やウエストを鍛えるトレーニングギア「SIXPAD」、新型マットレス「NEWPEACE」に経営資源を集中する。

 

 

 

メルカリ<4385>、スマホ決済のOrigamiを子会社化|「メルペイ」とサービス統合へ

メルカリは23日、スマホ決済サービスのOrigami(東京都港区。売上高2億2200万円、営業利益△25億4000万円、純資産31億2000万円)を買収すると発表した。子会社のメルペイ(東京都港区)を通じて、Origamiの全株式を2月25日付で取得する。取得価額は非公表。利用者・加盟店への一定の周知期間を経た後に、メルペイが提供する「メルペイ」に統合する。

Origamiは2012年に発足し、16年にスマホ決済サービス「Origami Pay」の提供に乗り出した。18年には信金中央金庫と資本業務提携し、特に地域の中小企業者へのキャッシュレス化を推し進めてきた。

今回Origamiを傘下に収めるメルペイはメルカリの全額出資子会社として発足。2019年2月に「メルペイ」の名称でサービスを始め、フリマアプリ「メルカリ」の月間1450万人の顧客基盤などを背景に利用者を広げている。

 

 

 

ベルーナ<9997>、医療機関向け人材紹介・派遣のシンガポールJOBSTUDIO を子会社化

ベルーナはシンガポールで医療機関向けに人材紹介・派遣事業を展開するJOBSTUDIO (売上高4億7700万円、税引き前当期利益8910万円)の全株式を取得し子会社化した。1月21日付。取得価額は非公表。

ベルーナはグループ会社のナースステージ(大阪市)を通じて看護師向け用品の通販事業を手がけ、2018年度から国内医療機関向けに看護師人材紹介事業を始めた。JOBSTUDIOを傘下に取り込むことで、シンガポールを中心としたアジア諸国で医療人材紹介・派遣事業の拡大を目指すとともに、医療機関・医療人材への業務用品販売やアジアから日本への人材紹介事業の展開なども見据えている。JOBSTUDIOは2010年に設立した。

 

 

 

ユナイテッド<2497>、スマホ向けアプリ開発子会社のトライフォートを経営陣に譲渡

ユナイテッドは、スマートフォン向けアプリやWebサービスの開発子会社であるトライフォート(東京都渋谷区)の全持ち株(所有割合75%)を、トライフォートの大竹慎太郎代表取締役CEOに譲渡することを決議した。譲渡に先立ち、トライフォートが手がける事業のうちゲーム以外のアプリ受託開発事業については、ユナイテッドが100%出資する新会社ブリューアス(東京都渋谷区)に移管する。株式の譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年2月28日。

 

 

 

TIS<3626>、モバイル決済ソフト開発の米Sequent Softwareを子会社化

TISは、モバイル決済に関するソフト・サービス開発の米Sequent Software Inc.(カリフォルニア州。売上高9500万円、営業利益△7億円、純資産△7億6000万円)の株式を追加取得し子会社化することを決議した。現在13.1%の持ち株比率を61.6%に引き上げる。取得価額は約2600万ドル(約28億5000万円)。取得予定日は2020年1月31日。

TISはSequent株式の追加取得にあたり、発行済み株式の譲り受け、第三者割当による新株発行の引き受け、DES(貸付債権の株式化)を組み合わせる。DESによりSequentの債務超過は解消される見通し。

Sequentは2010年に発足したフィンテック企業で、各種モバイル決済で利用可能なトークナイゼーション(暗号化)技術を持つ。TISはデジタルウォレット(電子財布)サービスの開始に際し、2017年に同社と資本・業務提携し、協業を進めてきた。

 

 

 

イメージ ワン<2667>、放射能除染や土壌・水浄化の技術開発を手がける創イノベーションを子会社化

イメージ ワンは、放射能除染や土壌・水浄化に関する技術開発を手がける創イノベーション(東京都千代田区。売上高5000万円、営業利益△7900万円、純資産1億2600万円)を株式交換により完全子会社化することを決めた。クリーンエネルギー社会の形成や地方創生への取り組みを加速するのが狙い。株式交換比率は今後協議したうえ決定する。株式交換予定日は2020年3月。

 

 

 

島根銀行<7150>、SBI証券に投資信託・債券の窓販業務を譲渡

島根銀行は21日、投資信託・債券の銀行窓販業務と付随業務をSBI証券(東京都港区)に譲渡することで基本合意したと発表した。顧客の口座と資産がSBI証券に移管され、SBI証券での預かりとなる。今後、島根銀行はSBI証券から金融商品仲介業務の委託を受け、引き続き投資信託・債券の販売を取り扱う。2020年上期中に対象事業を譲渡する予定。

SBI証券はSBIホールディングス傘下のネット証券最大手。島根銀行は昨年9月、SBIホールディングスと資本業務提携しており、その連携具体化の一つが今回の投資信託・債券に関する事業譲渡。対象事業の直近業績は経常収益(売上高)5600万円、経常損失1000万円。

 

 

 

ファーマライズホールディングス<2796>、近畿で調剤薬局31店舗展開のヘルシーワークを子会社化

ファーマライズホールディングスは、近畿地区で調剤薬局31店舗を展開するヘルシーワーク(大阪市。売上高25億4000万円、営業利益4800万円、純資産8億2700万円)の株式65%を追加取得し、完全子会社化することを決議した。両社は近畿を事業基盤とし、経営資源の相互活用や共同事業の展開などを通じて、シナジー(相乗効果)が見込まれると判断した。ファーマライズは2014年にヘルシーワークと資本業務提携していた。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月1日。

ヘルシーワークは1996年に設立。調剤薬局31店舗中、24店舗は大阪府内にある。ファーマライズは本社を東京に置くが、全国約340店舗のうち近畿地区の店舗が100店舗超え、エリア別で最も多い。

 

 

 

米フォートレス、ユニゾTOBを2月4日まで11度目の延長

不動産・ホテル業のユニゾホールディングスに対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施中の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループは20日、同日までとしていた買付期間を2月4日まで営業日ベースで11日間延長すると発表した。買付期間の延長は昨年8月19日にTOBを開始後、11回目。昨年11月15日に買付価格を100円引き上げて4100円(当初4000円)として以降では5回目の延長。TOB成立の見通しが立たない中、延長を繰り返し、買付期間は111日間に及ぶことになる。

20日のユニゾ株の終値は5180円。市場価格が買付価格を1000円以上上回る高値圏で推移し、フォートレスによるTOBは成立が全く見通せないうえ、フォートレスに対抗して昨年12月末にユニゾ従業員による買収(EBO=エンプロイー・バイアウト)が2月4日までを買付期間としてスタートしている。米投資会社ローン・スターと組んで実施しているEBOはフォートレス側を1000円上回る5100円を提示しており、買付代金は最大1745億円。

 

 

 

サカタインクス<4633>、印刷用インキ製造の独A.M.Ramp&Coを子会社化

サカタインクスは20日、印刷用インキ製造のドイツA.M.Ramp&Co(通称RUCO、売上高39億9000万円)の全株式を取得し子会社化すると発表した。RUCOは1857年に創業し、フランクフルト郊外に本社兼工場を置く。サカタインクスはアジア、米州、欧州の18カ国・地域に製造・販売拠点を持つが、欧州の中心でもあるドイツには拠点がなかった。2020年6月末までに買収完了を見込む。買収金額は非公表。

 

 

 

テモナ<3985>、AKATSUKIから医療関連記事の執筆・監修サービス「イシミル」事業を取得

テモナは、Webマーケティング事業などを手がけるAKATSUKI(東京都新宿区)から医療関連記事の執筆・監修サービス「イシミル」事業を取得することを決議した。

テモナは健康食品・サプリメント(栄養補助食品)、化粧品などの定期通販事業者に対して、 クラウド型通販システム「サブスクストア」の提供を主力事業とする。今回取得する「イシミル」事業は現役医師ら専門家が医療記事の監修を行うサービスで、医療記事を掲載するメディアが一般消費者に信頼性の高い情報を届けることを担保する役割などを持つ。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月31日。

 

 

 

クリエイトSDホールディングス<3148>、食品スーパー「ゆりストア」5店舗運営の百合ヶ丘産業を子会社化

クリエイトSDホールディングは、食品スーパー「ゆりストア」5店舗を展開する百合ヶ丘産業(川崎市。売上高44億円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。取得価額は非公表。川崎市北部でのドラッグストア・調剤薬局と食品スーパーとの複合出店や、食品取り扱いノウハウの共有によるシナジー(相乗効果)創出を見込む。百合ヶ丘産業は1960年に設立し、60年の業歴を持つ。取得予定日は2020年2月7日。

 

 

 

前田建設工業<1824>、前田道路<1883>をTOBで子会社化|前田道路は自己株取得を逆提案

前田建設工業は20日、持ち分法適用関連会社で道路舗装大手の前田道路(東証1部上場)に対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を21日から実施すると発表した。TOBを通じて現在24.68%の所有割合を51.0%に引き上げる。これに対し、前田道路は同日付で、前田建設が保有する全株式を自己株取得して同社との資本関係の解消を提案する書面を送付したと発表した。今回のTOBに前田道路側が賛同していないことから、敵対的買収の様相を帯びている。

前田道路株式の買付価格は1株につき3950円で、TOB公表前日の終値2633円に50.02%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は2181万1300株と設定。予定通りに買い付けられれば、所有株数は既存分と合わせ4227万1300株となり、議決権ベースで51.0%に達する。前田道路の上場は維持する予定。

買付代金は約861億円。買付期間は1月21日~3月4日。買付代理人は大和証券が務める。

前田道路は道路舗装業界大手8社中、2位の大手。前身は1930年に東京都内で発足した高野組。1961年には東京・大阪証券取引所にそれぞれ2部上場したが、翌1962年に会社更生法に基づく更生手続き開始の決定に伴い上場廃止。再建に際し、前田建設の支援を仰ぎ、1968年に当時の高野建設から前田道路に社名を変更し、今日にいたる。東証1部上場は1972年。

一方、同日、前田道路が発表した資本関係解消の提案は前田建設が保有する全株式を自己株取得する内容。50年以上提携関係を継続しているが、前田建設との直接の取引は年間売上高の約1%にとどまっている。資本関係を速やかに解消したうえで、企業価値向上に向けて経営資源を最適に活用することが両社にとって最善だとしている。

 

 

 

クワザワ<8104>、マンション大規模修繕工事のフリー・ステアーズを子会社化

クワザワは、大規模修繕工事のフリー・ステアーズ(千葉県佐倉市。売上高21億円、営業利益1600万円、純資産1億6300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。

フリー・ステアーズは2004年に設立し、首都圏でマンションの防水工事や塗装工事を主体に大規模修繕工事を営んでいる。クワザワはマンションの給排水管の更新工事を主力としており、フリー・ステアーズを傘下に取り込むことで、マンション工事における相乗効果を通じて事業拡大につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

 

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[M&A担当者がまず押さえておきたい10のポイント]

第5回:実際に売却するときの留意点は?-DDの受入れや価格交渉-

 

[解説]

松本久幸 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

大和田寛行 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

 

 

▷第4回:「事業譲渡と株式譲渡」どっちがいいの?-M&Aのスキーム-

▷第6回:売買価格の決め方は?-価値評価の考え方と評価方法の違い-

▷第7回:M&Aのプロジェクトチームはどうする?-社内メンバーと社外専門家の活用-

 


それでは、買い手候補先も見つかり、売却に関する協議交渉が順調に進んだ場合において、どのような点に留意していくべきでしょうか?

 

 

一般的なM&Aプロセスにおいては、買い手側は買収対象会社を対象に、デューデリジェンスという調査を実施します。

 

これは、会社が法律面から正しく存在し運営され、取引先や従業員等との法的な関係がきちんと整備されているかを調査する法務デューデリジェンスや、財務的な数値や会計処理の適切性、会社の税務に関するリスク等を調査する財務・税務デューデリジェンスなどがあります。

 

このデューデリジェンスは、買い手が対象会社から資料や情報の提供を受けて実施するもので、買い手が雇った弁護士や公認会計士や税理士が対象会社にコンタクトを取って資料を依頼したり質問を行ったりします。

 

 

 

 

その際、売り手は第1章で述べたように従業員や取引先に極力知られないように配慮しつつ、デューデリジェンスを受入れなければなりません。

 

このときに、売り手側の経営者が一人でデューデリジェンス対応をすることは現実的には難しいため、例えば、管理責任者や経営者の右腕的な人に相談して、デューデリジェンスの受入れをサポートしてもらうことが必要となります。

 

 

デューデリジェンスを受ける売り手にとっては、問題点を隠すことではなく、全てを詳らかにして買い手に問題点や潜在的なリスクを把握してもらって、それを前提に売買条件等の交渉を行う、ということが重要です。

 

仮に、悪い面を隠し通してM&Aを実行できたとしても、売り手側で意図的に隠していたことがM&A実行後に発覚したりすると、場合によっては譲渡対価の一部を返却しなければならなかったり、損害賠償を求められたりすることになります。

 

 

M&Aの際には売り手側と買い手側双方にて契約を締結しますが、一般的にはその契約書の中に、売り手の開示情報が正しくないことがM&A後に判明した場合は売り手が賠償責任を負う、といった条件が織り込まれるからです(これを表明保証といいます)。

 

 

また、一般的なプロセスでは、デューデリジェンスと並行して価格交渉等が行われますが、その交渉において、会社の収益性や財務内容等を基に、株価算定やValuationと呼ばれる会社の価値を算定するプロセスを買い手が実施することがあります。

 

そこで算出された会社の価値を参考に、売り手と買い手双方が各々希望価格を考慮しながら売買金額の妥協点を見つけて行くこととなります。

 

価格交渉の際には、先に述べたデューデリジェンスでの発見事項が考慮されて、時には価格を下げる要因となったり、または価格を上げる材料となったりします。

 

 

そのため、デューデリジェンスのプロセスは、M&A実行前の非常に重要な手続であることをご理解ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年1月28日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●【大手企業との取引ルートを確保】段ボールを中心とした企画・製造メーカー

[業種:製造業/所在地:九州地方]

●大手ゼネコンと強固な取引関係を有する工事業者。財務盤石、無借金経営。

[業種:職別工事業(設備工事業を除く)/所在地:関東地方]

●若手建築士を擁し、高いデザイン力を有する設計事務所

[業種:建築設計事務所/所在地:西日本]

 

 

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案件No.SS005109
【大手企業との取引ルートを確保】段ボールを中心とした企画・製造メーカー

 

(業種分類)製造業

(業種)製造業

(所在地)九州・沖縄

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)段ボールの企画・製造

 

〔特徴・強み〕

◇段ボールを中心とした包材の企画・製造を行う。
◇大手企業との取引が多く、高い信頼を獲得。
◇作業を行いやすい工場内レイアウトで、顧客ニーズに合わせた製品製造が可能。

 

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案件No.SS005108
大手ゼネコンと強固な取引関係を有する工事業者。財務盤石、無借金経営。

 

(業種分類)建設・土木

(業種)職別工事業(設備工事業を除く)

(所在地)関東地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)大手ゼネコンとの取引主体 専属の下請けとして優秀な職人を有する

 

〔特徴・強み〕

◇自己資本比率、流動比率共に高く無借金
◇業歴長く、既往の実績が新規の受注に繋がっている
◇時価純資産額程度の金額での譲渡を希望

 

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案件No.SS003904
若手建築士を擁し、高いデザイン力を有する設計事務所

 

(業種分類)建設・土木

(業種)建築設計事務所

(所在地)西日本

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)設計事務所

 

〔特徴・強み〕

◇若手の1級、2級建築士が多数在籍
◇設計した建物の表彰を受ける等高い評価を得ている
◇リノベーションの企画設計は設計事務としては競合がない
◇コミュニケーションを重視した特徴のあるオフィスを有する

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

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[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「個人事業者が事業を廃止した場合の事業用資産に係る課税関係」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】個人事業者の事業承継 ~消費税の仕入税額控除の適用について~

■【Q&A】事業譲渡により移転を受けた資産等に係る調整勘定

 

 

 


[質問]

鮮魚店を営む個人事業者が本年11月末日に廃業します。この個人事業者は簡易課税制度を適用しています。

 

廃業後は、事業に供していた店舗建物は、個人において車庫として使用する予定です。

 

この場合、その店舗建物を家事のために消費し、又は使用した時とは、廃業する本年11月末日をいうのでしょうか。また、その譲渡価額は簿価をいうものと考えてよいでしょうか。

 

 

[回答]

事例の場合、個人事業者が事業を廃止して棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたもの(事業用資産)を家事のために消費し、又は使用した場合には、その消費又は使用は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされ(消法4⑤一)、その消費又は使用の時におけるその消費し、又は使用した事業用資産の価額に相当する金額をその対価の額とみなして課税の対象とすることとされています(消法28③一)。

 

そして、事例の場合、個人事業者が事業を廃止したときにおけるその事業用資産の消費又は使用の時とは、その事業の廃止に伴い事業用資産に該当しなくなった時点をいうものと考えます。

 

次に、事例の場合、その消費し、又は使用した事業用資産の価額に相当する金額とは、その事業用資産の簿価等には関係なく、合理的な方法により算出したその事業用資産に係る時価をいうものと考えます。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2018年11月6日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

障害者に関する所得税・相続税・贈与税の特例措置

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田 房枝/税理士)

 

1 はじめに


障害には、大きく分けると身体障害、知的障害、又は精神障害の3つがあります。また、認知症と診断されると、身体に障害がない場合は「精神障害者保健福祉手帳」の、身体の障害が大きい場合は「身体障害者手帳」の申請をすることができる場合があります。認知症の方がこれらの手帳を持っていたり、市区町村長等から一定の認定を受けていたりすれば、障害者として、税務上の特例措置の適用を受けることができます。

本号では、障害者に関する所得税、相続税及び贈与税の特例措置について、その概要をご紹介します。

 

 

2 所得税法・相続税法上の障害者・特別障害者とは


所得税法・相続税法上、障害者とは精神又は身体に障害がある一定の者をいい、特別障害者とは障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある一定の者をいいます。表にまとめると次のとおりです。

 

※1 成年被後見人はこれに該当します。

 

 

3 所得税


(1) 障害者控除

①本人が障害者の場合
居住者である障害者本人の所得税の計算上、所得金額から27万円(特別障害者の場合は40万円)を控除します。

 

②扶養親族等に障害者がいる場合
居住者である障害者の同一生計の配偶者、又は居住者である障害者を扶養している親族の所得税の計算上、所得金額から障害者1人につき27万円(特別障害者の場合には40万円、納税者等との同居を常況とする場合は75万円)を控除します。

 

(2) 心身障害者扶養共済制度の掛金・給付金の取扱い

地方公共団体が条例で実施する心身障害者扶養共済制度の掛金は、所得金額から控除します。また、これに基づき支給される給付金に所得税はかかりません。

 

(3) 少額貯蓄の利子の非課税

身体障害者手帳の交付を受けている者、遺族基礎年金や寡婦年金等を受けている妻、児童扶養手当を受けている児童の母等が受け取る預貯金等の利子等については、一定の手続を要件に貯蓄額350万円までは所得税がかかりません。

 

 

4 相続税(障害者控除)


障害者である相続人が85歳未満である場合には、その者の相続税額から、次の金額を控除します。

 

(1)一般障害者(特別障害者以外の障害者)の場合

10万円×(85歳-相続開始時の年齢)(1年未満切上)

 

(2)特別障害者の場合

20万円×(85歳-相続開始時の年齢)(1年未満切上)

 

 

5 贈与税(特定贈与信託の非課税)


(1) 概要

一定の信託契約に基づき特定障害者を受益者とする財産の信託があった場合には、その信託受益権の価額のうち、一定額までは贈与税がかかりません。

 

(2) 特定障害者の範囲と非課税限度額

 

 

※2 身体障害者は対象外です。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/01/27)より転載

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

第2回:「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い

~会計監査とは? デューデリジェンスとは?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:デューデリジェンスとは?-各種DDと中小企業特有の論点―

▷関連記事:財務デューデリジェンス(財務DD)の費用の相場とは?

▷関連記事:「法務デューデリジェンス(法務DD)」とは?

 

「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い


デューデリジェンスとよく比較される調査行為に会計監査があります。デューデリジェンスと会計監査は、会計情報等を調査するという面では類似する部分もありますが、両者の目的は基本的には全く異なります。

 

 

会計監査は企業が作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる会計基準に従って適正に作成されているかを調査し、監査意見を出すことを目的としています。これに対して、デューデリジェンスとは、ある特定の者や企業が関心を持っている企業について、その特定の目的を満たすための範囲と深度で調査が実施されます。

 

その特定の目的で主なものは、M&Aの買手企業が売手企業の買収調査により、M&Aを実施すべきか、実施する場合の金額その他の条件面、買収後の統合に必要な情報等を取得することを目的とします。

 

他にも、金融機関からの借入の返済が滞る等して、金融機関からの金融支援が必要な場合に、事業再生計画を策定しますが、その前段として実態を把握する目的でデューデリジェンスを実施します。

 

 

また、会計監査は、その手続きや基準が法律や業界の規律によって規定されていますが、デューデリジェンスは、特定の者(M&Aの場合は買手企業、事業再生の場合は金融機関等)のニーズに応えるために行われる私的な調査であるため、実施方法や基準等は法律等では定められておりません。

 

さらに、会計監査はどのような手続きを実施して、どのような結果が得られ、結論に至ったのかを詳細に記述する必要があります。それらの監査証拠の積み重ねにより監査意見を形成し、監査報告書を監査対象企業に提出します。監査報告書はひな形が存在し、基本的にはひな形通りに記述します。

 

一方でデューデリジェンスでは、特定の者や企業に対してデューデリジェンス報告書を作成しますが、その報告書にどのような内容が記述されるかは、報告書の受け手、すなわちデューデリジェンスの依頼人の目的・ニーズによって異なります。

 

M&Aにおけるデューデリジェンスであれば、買収するにあたり必要な情報(買収価格に影響を与える事項、契約書に記載すべき事項、買収後の統合に必要な情報等)が記載されるべきですし、事業再生であれば、窮境に陥った原因やその除去可能性、金融機関目線での財務情報等が記載されるべきでしょう。

 

 

 

以上のように、会計監査とデューデリジェンスは、法令に定めれているものと私的に実施されるものであることから、実施すべき手続きや報告書への記載事項等が大きく異なります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

②「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い

~会計監査とは? デューデリジェンスとは?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

「会計監査」と「デューデリジェンス(買収監査)」の違い


デューデリジェンスとよく比較される調査行為に会計監査があります。デューデリジェンスと会計監査は、会計情報等を調査するという面では類似する部分もありますが、両者の目的は基本的には全く異なります。

 

 

会計監査は企業が作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる会計基準に従って適正に作成されているかを調査し、監査意見を出すことを目的としています。これに対して、デューデリジェンスとは、ある特定の者や企業が関心を持っている企業について、その特定の目的を満たすための範囲と深度で調査が実施されます。

 

その特定の目的で主なものは、M&Aの買手企業が売手企業の買収調査により、M&Aを実施すべきか、実施する場合の金額その他の条件面、買収後の統合に必要な情報等を取得することを目的とします。

 

他にも、金融機関からの借入の返済が滞る等して、金融機関からの金融支援が必要な場合に、事業再生計画を策定しますが、その前段として実態を把握する目的でデューデリジェンスを実施します。

 

 

また、会計監査は、その手続きや基準が法律や業界の規律によって規定されていますが、デューデリジェンスは、特定の者(M&Aの場合は買手企業、事業再生の場合は金融機関等)のニーズに応えるために行われる私的な調査であるため、実施方法や基準等は法律等では定められておりません。

 

さらに、会計監査はどのような手続きを実施して、どのような結果が得られ、結論に至ったのかを詳細に記述する必要があります。それらの監査証拠の積み重ねにより監査意見を形成し、監査報告書を監査対象企業に提出します。監査報告書はひな形が存在し、基本的にはひな形通りに記述します。

 

一方でデューデリジェンスでは、特定の者や企業に対してデューデリジェンス報告書を作成しますが、その報告書にどのような内容が記述されるかは、報告書の受け手、すなわちデューデリジェンスの依頼人の目的・ニーズによって異なります。

 

M&Aにおけるデューデリジェンスであれば、買収するにあたり必要な情報(買収価格に影響を与える事項、契約書に記載すべき事項、買収後の統合に必要な情報等)が記載されるべきですし、事業再生であれば、窮境に陥った原因やその除去可能性、金融機関目線での財務情報等が記載されるべきでしょう。

 

 

 

以上のように、会計監査とデューデリジェンスは、法令に定めれているものと私的に実施されるものであることから、実施すべき手続きや報告書への記載事項等が大きく異なります。

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年1月21日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●住居関連のインターネット販売企業。毎期、黒字を計上。

[業種:EC事業/所在地:関東地方]

●CASE・MaaS・5G等の製品開発において技術力を有する基板回路等設計事業者

[業種:電子部品・デバイス・電子回路製造業/所在地:中部地方]

●関東地方の主要駅近隣でゲストハウスウェディング式場を運営。土地建物は賃貸を希望。

[業種:結婚式場業/所在地:関東地方]

 

-案件に関するお問合せ・ご相談は、このページ文末の「お問合せ・ご相談」ボタンより-

(お問い合せ・ご相談は「無料会員登録」が必要です)

 


案件No.SS005463
住居関連のインターネット販売企業。毎期、黒字を計上。

 

(業種分類)小売業

(業種)EC事業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡事業概要住居関連のインターネット販売企業

 

〔特徴・強み〕

◇当社と同様の商材を取り扱う同業者は少なく、同業界では売上規模で上位に位置する。
◇業歴も長い。

 

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案件No.SS005269
CASE・MaaS・5G等の製品開発において技術力を有する基板回路等設計事業者

 

(業種分類)電子部品

(業種)電子部品・デバイス・電子回路製造業

(所在地)中部地方

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)基板回路の設計・解析・シミュレーション事業

 

〔特徴・強み〕

◇基板回路の設計やシミュレーション技術に強みがあり、大手自動車メーカーや電子機器メーカーの製品開発において、開発期間の短縮化といった効果を発揮することが可能

 

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案件No.SS004917
関東地方の主要駅近隣でゲストハウスウェディング式場を運営。土地建物は賃貸を希望。

 

(業種分類)その他

(業種)結婚式場業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)事業譲渡

(事業概要)ゲストハウスウェディング式場を運営

 

〔特徴・強み〕

◇当地における知名度は高く、年間約100件の結婚式を受託。
◇口コミサイトの評判も高く人気の結婚式場。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

 

お気軽にお問合せください

[経営企画部門、経理部門のためのPPA誌上セミナー]

【第1回】PPA(Purchase Price Allocation)の基本的な考え方とは?

 

〈解説〉

株式会社Stand by C(角野 崇雄/公認会計士・税理士)

 

 

▷第2回:PPAのプロセスと関係者の役割とは?

▷第3回:PPAにおける無形資産として何を認識すべきか?

▷第4回:PPAにおける無形資産の認識プロセスとは?

 

 

1.はじめに

今回からおおよそ12回にわたって取得原価の配分(Purchase Price Allocation)に伴う無形資産評価(以下,便宜的に「PPA」という。)について解説をしていきます。PPAが2010年4月より日本の会計基準においても要求されるようになってから約10年が経過しました。

 

また,PPAが必須とされる国際会計基準(以下,「IFRS」という。)を採用する企業も増加し,日本でもPPAの実務が定着しつつありますが,まだまだ完全に定着しているとは言えない状況にあります。更に,昨今の会計不正が起きている現状において,監査を取り巻く環境も変化し,それに応じて監査人の対応も厳しくなり,PPAも重要な監査項目になってきているのではないでしょうか。

 

このような状況を踏まえて,上場会社の経営企画担当者・経理担当者が読まれることを想定して,PPAの基本的な考え方から,企業業績に与える影響,プロジェクトの進め方,監査対応などを網羅的に解説します。

 

 

2.過去から現在の状況

PPAの実務は,主に米国において確立されたものであり,長い間,多くの日本企業にとってPPAはなじみのないものでした。企業結合会計が日本に導入された後も,しばらくの間はM&A時のPPAにかかる無形資産の計上は強制ではなかったため,資産・負債の差額は,全額のれんとして一括計上処理されることが一般的であったと思われます。

 

ただし,2010年4月の企業結合会計基準の改正に伴い,日本基準においても,原則としてPPAにかかる無形資産の計上が求められることとなりました。

 

現状,経理・監査の現場においても,IRに対する企業の意識の高まりや監査の厳格化等を背景に,M&AにおけるPPAにかかる無形資産評価の要請が高まっており,筆者の個人的感覚ではPPAへの対応が必要となるケースが増加しています。

 

 

3.PPAの課題

日本の企業では,PPAにかかる無形資産評価についての理解がまだまだ不十分な状況にあります。専門書もネット検索でも,PPAについて得られる知識・情報は豊富とは言えず,買収後の会計処理及び開示に関して,実務に即した解説をしている媒体が限られています。多くの企業にとって,M&Aを検討・実行する機会が増えた昨今,当事会社においても,PPAプロセスを円滑に進めるためにも,PPAにかかる手続や無形資産評価実務,監査プロセスに対する理解を深めることが必要となってきています。

 

今後,経理担当者の方にとっても重要性が高まる可能性が高いPPAの概略や無形資産評価の実務について,本稿をきっかけにご理解頂ければ幸いです。

 

 

4.PPAのイメージ

本稿ではまず,PPAのイメージを解説します。図表1に示す通り,従来,日本基準においては,買収価額と時価純資産の差額(以下,「広義ののれん」という。)を20年以内の一定の年数にて償却していました。

それがPPAの導入により,広義ののれんに含まれる無形資産が特定され,広義ののれんから特定された無形資産を差引いた残額(以下,「狭義ののれん」という。)が,いわゆるのれんとして扱われるものとなりました。

 

つまり,従来は買収価額と純資産の差額が一括してのれんとして計上されていたものが,PPAの導入により,のれんのうち,商標権,特許権,顧客関係などに特定された無形資産が計上され,それらを配分後の残額をのれんとして取扱うこととなりました。

 

 

 

【図表1】PPAの流れ

 

 

 

 

詳細は,今後の連載を通じて説明していきますが,無形資産として計上される無形資産にはどのようなものがあるのでしょうか。一般的には図表2で示すような項目を無形資産として認識することとなります。

 

 

 

【図表2】無形資産の例示

 

 

 

 

5.数値例を用いた説明

図表1で示した事柄について数値例を用いて説明します。

X社(日本基準を採用)がY社のすべての株式を10,000百万円で買収して子会社とし,買収時のY社の純資産は7,000百万円でした。PPAを実施する前は,買収価額10,000百万円と純資産7,000百万円の差額3,000百万円が広義ののれんとなります。

 

PPAを実施し,無形資産1,500百万円が計上されると,狭義ののれん1,500百万円は広義ののれん3,000百万円から無形資産1,500百万円を差引くことで計算されます。

 

しかしながら,PPAの手続きはここで終了ではなく,計上された無形資産は,連結上の一時差異として繰延税金負債が計上されます。

本例では,法定実効税率を30%として,1,500百万円×30%の450百万円が繰延税金負債として計上されます。

 

その結果として,繰延税金負債分だけ狭義ののれんが増加することとなることから,1,500百万円+450百万円=1,950百万円が最終的な狭義ののれんとなります。

 

 

 

【図表3】PPA実施によるB/Sの動き

 

 

 

 

Y社をX社の連結財務諸表へ取込む時の仕訳を図表3に沿って作成すると下記のようになります。

 

 

 

 

 

 

図表4がPPAの実施の有無による計上される無形資産の金額の差異を比較したものです。

PPAを実施しない場合,計上されるのはのれん3,000百万円であるのに対して,PPAを実施した場合の広義ののれん相当額は,狭義ののれん1,950百万円と無形資産1,500百万円の合計3,450百万円となります。

両者の差異は,3,450百万円と3,000百万円の差額450百万円ですが,これは無形資産に対する繰延税金負債分に該当し,その分だけのれんが増加したこととなります。

 

このため,無形資産を計上すると,その税効果分だけのれんが増加することとなるため,日本基準を採用している場合,当初ののれんにかかる償却費よりも償却額が増加することとなる点に留意が必要です。

 

 

 

【図表4】 PPA実施の有無による無形資産計上額の差異

(単位:百万円)

 

 

 

6.PPAが業績に与える影響

先ほどPPA実施の有無により計上される無形資産の金額の差異について説明しましたが,ここではP/Lに与える影響について見ていきます。のれんと無形資産では,ケースバイケースではありますが,一般的にはのれんの耐用年数が無形資産の耐用年数より長くなるケースが多いです。つまり,無形資産の耐用年数はのれんの耐用年数より短くなるケースが多いと言えます。

 

仮に,無形資産の償却年数がのれんの償却年数より短いとすると,無形資産の償却が終わるまでの単年度で見た場合,PPAを実施すると毎期の償却負担額は多くなることとなります。図表3の例で,無形資産の耐用年数を5年,のれんの耐用年数を10年とした場合,PPAを実施した場合の方がPPA未実施の場合より,償却費が195百万円多くなっています。これは,①と②の影響によるものです。

 

①無形資産に対する繰延税金負債の計上によるのれんの増加による影響

無形資産1,500百万円×30%÷10年=45百万円

 

②無形資産とのれんの耐用年数の差異による影響

無形資産1,500百万円×(1/5‐1/10)=150百万円

 

 

 

【図表5】PPAの実施が償却費に与える影響

(単位:百万円)

 

 

 

7.本連載で説明していく内容

PPAのイメージを図表と簡単な数値例で説明しましたが,PPAは広義ののれんを無形資産と狭義ののれんに切り分ける作業だけに留まらず,企業業績にも影響を与えることがご理解頂けたのではないでしょうか。

 

例えば,企業買収前の業績シミュレーションを,広義ののれんを10年で償却すると仮定して実施し,買収後にPPAを実施したところ,当初の想定と異なる結果になってしまうことも起こり得ます。このようなことを理解した上で買収を進める場合と,理解しないで進める場合とでは,買収後のプロジェクト関係者の利害調整に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

また,PPAの結果は会計監査人による監査の対象となることから,監査に要する時間を考慮したスケジューリング及び監査に耐えうるPPAのロジック付け等が必要となってきます。

 

以上のことを踏まえて,本連載では,経営企画部門,経理部門がPPAプロジェクトを進めていく上で,必要な知識及び留意点を一つずつ解説していくことを予定しています。なお,現時点で想定している記載内容は下記の通りです。

 

【主な内容】

・PPAのプロセスと登場人物

・無形資産の認識識別基準

・PPAで識別する無形資産

・無形資産の評価手法

・経済的耐用年数

・PPAを実施する上での実務上のポイント

 

 

 

 

 

—本連載(全12回)—

第1回 PPA(Purchase Price Allocation)の基本的な考え方とは?

第2回 PPAのプロセスと関係者の役割とは?

第3回 PPAにおける無形資産として何を認識すべきか?
第4回 PPAにおける無形資産の認識プロセスとは?
第5回 PPAにおける無形資産の測定プロセスとは?
第6回 PPAにおける無形資産の評価手法とは?-超過収益法、ロイヤルティ免除法ー
第7回 WACC、IRR、WARAと各資産の割引率の設定とは?
第8回 PPAにおいて認識される無形資産の経済的対応年数とは?
第9回 PPAで使用する事業計画とは?
第10回 PPAの特殊論点とは?ー節税効果と人的資産ー
第11回 PPAプロセスの具体例とは?-設例を交えて解説ー
第12回 PPAを実施しても無形資産が計上されないケースとは?

 

 

 

 

 

 

 

 

[小規模M&A(マイクロM&A)を成功させるための「M&A戦略」誌上セミナー]

会社や事業を売る準備

~売るために準備しておく、財務上、労務上、法務上のポイントとは?~

 

〈解説〉

公認会計士 大原達朗

 

 

 

 


今回は“会社や事業を売るための準備”というテーマです。”財務””労務””法務””強み弱みの整理”という順番に説明いたします。

 

 

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〈財務〉


財務というよりはビジネスの話になります。そもそも、”儲かっているのか”という点が大きいポイントです。もちろん、「赤字の会社が絶対に売れない」ということはないのですが、確率論で言うと、儲かっている会社の方が圧倒的に売れる可能性が高いです。

 

 

したがって、儲かっているということを前提にした上で、そもそも“事業別とか毎月ごと、月次決算の数値が、きちんと作成できていて、資料を準備できる”かを、確認していただきたいと思います。

 

 

経営者の頭の中に、この企業の売上はいくらで、費用はいくらなのか、という情報は入ってると思いますが、買う方からすると経営者の頭の中を覗くわけにはいきませんので、きちんと資料として残っていて、最終的にはデュー・ディリジェンスで、過去の数値が、本当に正しかったのかどうかチェックしますので、「書類が残っています」「具体的には入出金の事実を確認できる通帳とか、銀行のデータがあります」という形になってないと、結局、その交渉はどこかでつまってしまいます。

 

 

「情報がないからやっぱり買うのをやめる」、あるいは「目をつぶって買うから、その代わり買収金額は大幅に割引をしてくれ」ということになりかねません。きちんと評価をして高く売るという意味で、財務の情報をきちんと整理しておく必要があります。 記帳や会計処理を会計事務所に委託している場合に、こういった月次とか事業別の記録がきちんとされていない状況が思ったよりもたくさんあります。きちんとした会計事務所であれば、月次の数値はきちんと集計されているでしょうが、意外と事業別の業績をきちんと整理している企業は少ないのが実情です。

 

 

一事業ごとの損益は把握しているけれども、一事業ごとにどんな資産があるのか”という点を把握していることは少ないのです。会社をまとめて売却するときにはあまり問題にはならないですが、会社の一部、一事業を売却しようとする際には問題になりますので注意が必要です。

 

 

結果的にこうした情報を整理することによって、ウチのビジネスは順調で将来も有望である、ということを買い手に伝えることになるので、財務というよりもビジネスそのものを第三者にわかりやすい形で準備をしておく必要があるということです。

 

 

 

 

 

〈人〉


次に人です。 “キーパーソンは存在するのでしょうか?”  “事業を回す責任者は存在するのでしょうか?”

 

 

オーナーがいないと事業が回らない場合には、基本的には売れません。したがって、将来の売却を考える場合には、オーナーが抜けても商売が回るようにしておかないといけません。あるいは、キーパーソンがいないということであれば、売却後も1年間、ないし2年間程度は、会社に残り、後継者候補を育成して、引き継ぎをすることが必要になります。このようなパターンのM&Aもありますので、キーパーソンがいないからといって、「絶対に譲渡ができない」と悲観的に考えないでいただきたいと思います。

 

 

基本的に、キーパーソンがいてオーナーは抜けてもなんとか回る番頭というか店長クラスの人はいるんだということを前提に続きの話をすると、”その方が仕事を続けてくれること”が、重要な条件です。 経営人材がどこの会社でも不足していますので、譲渡後も社長として残ってほしいという要望も数多くあります。むしろ、それなりの規模であれば、こうしたパターンの方が多いです。

 

 

彼らは、M&Aを人不足、経営人材不足をカバーするための手段としても考えているのです。その場合に、売り手にその覚悟があるのか、これまでオーナーの判断で、ある意味好き勝手やってきた経営が、そうではなくなります。一方で責任は軽くなります。その覚悟があるのか、という点もあらかじめよく考えておいたほうがよいでしょう。

 

 

その覚悟がない場合には、大企業の傘下に入り、経営を続けるという選択肢はない、とあらかじめ、買い手に明示しておくべきです。

 

 

 

 

 

〈労務〉


今の時代は、労務管理について非常に厳しい世の中になっています。“例えば社会保険の未払がある”  “あるいはそもそも社会保険に加入していない”ような場合です。 社会保険に加入していない状態で、例えば2,000万円の利益がでているとしましょう。買収後、社会保険に加入すると、利益は減ります。買い手としては、当然、その減った利益を基準に、買収金額を決めますので、売り手と買い手の売買金額の目線に差がでてきてしまいます。

 

 

したがって、売却を考えるのであれば、事前に社会保険にきちんと加入しておくということも重要な準備になります。 社会保険料の未納があるような場合には、買い手に迷惑がかかりますし、通常、売却できません。

 

 

このような状況がある場合には、法的整理の一環で事業譲渡をする場合を除き、事前に整理をしておくことが必要です。 労務管理は、今、売買時に非常に重視されるポイントです。

 

 

 

 

 

〈法務〉


少なくとも、“契約書が整理、保管されていること”は基本的なポイントです。 次に“会社法、各種業法によって要請されている書類が適正に整理されている”かどうかも買い手が気にするポイントです。

 

 

これがないと、免許の取り消しやペナルティーの可能性もあるわけですから、買い手としては慎重にならざるを得ません。 長年、経営を続けてきた方が経営を続けるのであれば大きな問題にならないようなことについて、M&Aをするということは、これまで経営に関与していない第三者がきて、あらたに経営を始めるということです。

 

 

彼らにわかりやすい書類、体制を作っておく必要がどうしてもでてきます。

 

 

 

 

 

〈強みと弱みの明示〉


最後にとても重要な”強みと弱みの明示”です。 皆さんの会社の強みと弱みはどこでしょうか。

 

 

強みについては、じっくり考えれば1つ2つは出てくると思います。 一方で弱みはどうでしょうか。弱いところを明らかにするだけではあまり意味がありませんが、弱みを補完できる先はどこなのか、というところまで考えると、どんな会社に買ってもらうがベストなのか、という点が明確になってきます。

 

 

買い手からすると、”お金さえ出せば儲かるという事業”があれば最高です。そのお金を生産設備、販促なのか、個別案件によって異なりますが、その穴を埋めれば、売上、利益があがっていく、そんなイメージがはっきりできると買い手は最高です。 今、厳しいのは人さえいれば、というパターンです。それは買い手も同じ状況だからです。

 

 

 

 


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[解説ニュース]

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予免除制度活用について

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(小林 良治/税理士)

 

1.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度


令和2年度税制改正大綱により、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予免除制度(以下、「本制度」と言います。)の適用期限が新たに3年間延長される見通しとなりました。今回は本制度の概要及びその活用についてお伝えします。

 

(1)本制度概要

相続人が出資持分あり医療法人の出資持分を相続等により取得した場合、その法人が出資持分なし医療法人への移行計画の認定を受けた医療法人であるときは、移行計画の期間満了まで相続税の納税が猶予され、持分を放棄した場合は、一定要件を満たすことにより猶予税額が最終的に免除されます(租法70の7の12)。また、出資者の持分放棄により、他の出資者持分が相対的に増加することで、贈与を受けたものとみなし他の出資者に贈与税が課される場合(全出資者が持分放棄した場合は医療法人に贈与税が課されます)も同様に移行計画の満了まで納税が猶予され、一定要件を満たすことで最終的に免除されます(租法70の7の9)。

 

(2)移行計画の認定申請、移行期限等

本制度の適用を受ける場合、まず移行計画提出等の申請手続き等で一定要件を満たして厚生労働省より認定を受け、認定後3年以内に出資持分なし医療法人に移行し、移行後6年間は厚生労働省に運営状況の報告を行うことで継続して認定要件を満たす必要があります。今回税制改正によりこの認定制度が令和5年9月30日まで延長される見込みです。

 

(3)本制度創設時

そもそも本制度は、出資持分あり医療法人の出資持分をなくすことで出資持分にかかる相続時等の税負担・出資者からの払戻請求額の負担軽減を図り、医業経営の安定化を目指すことを目的として平成26年に創設されました。しかし、当初は計画通りに出資持分なし医療法人に移行した場合でも移行時の税負担が免除されるケースは以下の3パターンであり極めて限定的でした。

 

①社会医療法人への移行
②特定医療法人への移行
③一定の非課税要件(相令33条3項)を満たす出資持分なし医療法人への移行

 

これらはいずれも公益性の担保された医療法人への移行を前提とするものであり、①~③への移行以外の場合は移行時に医療法人を個人とみなして贈与税を支払うこととされました。(相法66④)

創設時の本制度活用の主なメリットは、課税時期を最大猶予期間である3年間先送りできること等、当面の納税負担に関することでした。

 

 

2.平成29年度税制改正後


(1)認定要件の追加

平成29年度税制改正では運営に関する要件が追加され、新たに3年間延長されました。追加された主な認定要件は

 

①法人関係者に利益供与しないこと
②役員報酬について不当に高額にならないように定めていること
③社会保険診療収入に係る収入が全収入の80%超となっていること 等

 

となっており従来の認定要件が強化されました(ただし、非同族要件等は含まれておりません)。認定後3年以内の移行期間中の猶予の取り扱いは変わりませんが、従来と異なり移行時の贈与税負担は生じないこととなり(租法70の7の14)、前記1.(2)により認定要件を移行後6年間維持すること(認定取消時のみ医療法人に贈与税課税)で相続税・贈与税免除の可能性が広がりました。

 

(2)本制度活用の可能性

本制度が延長されてもなお出資持分なし医療法人への移行については慎重な検討が必要です。例えば出資持分なし医療法人の解散時残余財産は国等に帰属し出資払戻額の請求はできません。本制度の活用を検討すべきと考えられるのは、出資持分評価額が高く、現状のままだと承継時に多額の税負担が見込まれる場合や出資者間相互の関係が悪く、将来の払戻請求リスクを排除しておきたい場合等が考えられます。本制度選択の検討は円滑な承継を行うため有用であるのかそのきっかけを与えるものと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/01/20)より転載

[M&Aニュース](2020年1月6日〜1月17日)

◇東芝機械、旧村上ファンド系企業から「TOB」通知を受ける、◇HOYA、東芝傘下のニューフレアテクノロジーTOBを中止、◇JKホールディングス<9896>、建築資材販売のティエフウッドを子会社化、◇前澤給装工業<6485>、住商メタレックスから温水マットなどリビング・ソリューション事業を取得、◇ゼリア新薬工業<4559>、日水製薬傘下の日水製薬医薬品販売を子会社化、◇GFA<8783>、東京・渋谷でナイトクラブ運営のCAMELOTを子会社化、◇セブン&アイ・ホールディングス<3382>、米オクラホマ州でコンビニ102店経営のBrown-Thompson Gereralを子会社化 ほか

 

 

 

 

 

 東芝機械、旧村上ファンド系企業から「TOB」通知を受ける

東芝機械は17日、旧村上ファンド系のオフィスサポート(東京都渋谷区)からTOB(株式公開買い付け)を実施するとの通知を受けたと発表した。通知は、オフィスサポートが20日にTOB計画を公表し、21日から東芝機械株の買い付けを始める内容。オフィスサポートとその共同保有者である野村絢氏、エスグラントコーポレーション(東京都渋谷区)の3者は議決権ベースで東芝機械株の11.49%を保有するという。

東芝機械株の1株あたりの買付価格、買付予定数、買付期間などの詳細は20日に明らかになる見通し。TOB公表前日にあたる17日の東芝機械株の終値は前日比25円高の3115円。

東芝機械の発表によると、オフィスサポート側から1月10日付書面でTOBの予告があり、その後、13日にTOBの公表日と開始日についての通知があり、さらに16日に公表日を20日、開始日を21日にそれぞれ1日早めるとの通知があった。

東芝機械はオフィスサポート側の対応について、実質的な協議を行うことなくTOBが準備され、その諸条件について情報共有がなされておらず、TOB後の経営方針についても一切説明がない、などとしている。

東芝機械は1938年に芝浦製作所(現東芝)の出資で「芝浦工作機械」として発足し、1961年に現社名になった。今では東芝の持ち株比率は約2%まで低下。東芝との資本

HOYA、東芝傘下のニューフレアテクノロジーTOBを中止

HOYAは17日、東芝傘下の半導体製造装置メーカー、ニューフレアテクノロジー(ジャスダック上場)へのTOB(株式公開買い付け)計画を中止すると発表した。東芝が親子上場の解消を目的に進めてきたニューフレアに対するTOBが成立したのを受けた。

HOYAは昨年12月13日に、ニューフレアに対して完全子会社化を目的にTOBを行う計画を発表した。この時点で、ニューフレアをめぐっては東芝が傘下の東芝デバイス&ストレージ(東京都港区)を通じてTOBを実施中だったが、新たに参戦するHOYAは買付価格として東芝側を1000円上回る1万2900円を提示していた(買付代金は最大1477億円)。ただ、東芝側のTOBが不成立となった場合に、HOYAは2020年4月をめどにTOBを開始する予定としていた。

東芝は東芝デバイス&ストレージを通じてニューフレアの株式52.4%を所有する。東芝は買付予定数の下限を66.67%(所有割合)に設定し、1月16日までに14.27%以上の買い付けを目指していたが、ニューフレア株を16%弱所有する東芝機械が最終的に買い付けに応募したことから、TOB成立が確定した。

HOYAは、東芝および直接的に過半数を保有する東芝デバイス&ストレージに対して、メリットのある代替案としてTOBを提案したとしていた。

JKホールディングス<9896>、建築資材販売のティエフウッドを子会社化

JKホールディングスは、建築資材販売のティエフウッド(埼玉県川口市。売上高7億200万円、営業利益1200万円、純資産9400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループ事業の相乗効果が見込まれると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3月31日。

 

前澤給装工業<6485>、住商メタレックスから温水マットなどリビング・ソリューション事業を取得

前澤給装工業は、住商メタリックス(東京都千代田区)から温水マットなど床暖房・住環境部材を取り扱うリビング・ソリューション事業を買収することを決議した。住商メタレックスが同事業を移管するために設立した新会社「前澤リビング・ソリューションズ」(東京都目黒区)の全株式を取得する。取得価額は15億5000万円。取得予定日は2020年3月31日。

前澤給装は住商メタレックスが築いてきた大手ガス会社をはじめ安定した取引基盤を引き継ぎ、住宅設備事業の規模拡大に結び付けたい考えだ。買収する当該事業の直近売上高は62億円。

ゼリア新薬工業<4559>、日水製薬傘下の日水製薬医薬品販売を子会社化

ゼリア新薬工業は、医薬品や健康食品の製造・販売を手がける日水製薬医薬品販売(東京都台東区。売上高26億800万円、営業利益2億1900万円、純資産31億3000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。取得価額は33億円。取得予定日は2020年4月1日。

日水製薬医薬品販売は2016年に日水製薬の全額出資で、OTC医薬品と健康食品の販売会社として発足。2018年には日水製薬から医薬事業も継承し、医薬原料の開発・製造も手がける。

ゼリア新薬は「医療用医薬品事業」とOTC(一般用)医薬品を中心とする「コンシューマーヘルスケア事業」を両輪とする。日水製薬医薬品販売を傘下に取り込み、コンシューマーヘルスケア事業の拡大につなげる。

GFA<8783>、東京・渋谷でナイトクラブ運営のCAMELOTを子会社化

GFAは、東京・JR渋谷駅近くでナイトクラブ「CLUB CAMELOT」を運営するCAMELOT(東京都渋谷区。売上高8億9800万円、営業利益△562万円、純資産△926万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

CAMELOTは2005年設立。「CLUB CAMELOT」は地下1階から地下3階までの3フロアで約1000平方メートルの広さを持つ大型ナイトクラブで、繁盛日には1日あたり約2000人が来場するという。

一般的に地下はその利用方法が限定され、デッドスペース化してしまいがちだが、地上に比べ賃料が安価なことから事業の展開次第では収益性がより増す可能性を持つ。GFAはCAMELOTを傘下に取り込むのを機に、地下フロアの有効活用の提案力向上を目指す。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年2月28日と5月29日(2段階)。

セブン&アイ・ホールディングス<3382>、米オクラホマ州でコンビニ102店経営のBrown-Thompson Gereralを子会社化

セブン&アイ・ホールディングスは米子会社7-Eleven,Inc.(テキサス州)を通じて、米オクラホマ州でコンビニ事業(108店)を運営するBrown-Thompson Gereral Partnershipとその関連企業の全株式を取得することを決めた。オクラホマ州は7-Elevenが地盤とするテキサス州に隣接し、当該エリアでの相乗効果を図るとしている。取得価額は非公表。取得予定日は2020年3~5月。

曙ブレーキ、200人の早期退職者を募集

経営再建中の曙ブレーキ工業は16日、200人の早期退職者を募集すると発表した。対象は2020年1月1日時点で①勤続3年以上、満40歳以上の正社員②60歳以上の再雇用契約社員③勤続3年以上の契約社員。2月24日から3月9日まで募集し、退職日は4月30日とする。

曙ブレーキは米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)からの新規受注の失敗に端を発して業績が大幅悪化。私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請し、昨年9月に、37取引金融機関からの560億円に上る債権放棄や国内外6工場の閉鎖などを柱とする再建計画が承認された。この再建計画に沿って早期退職者の募集に踏み切る。

今回募集する200人は曙ブレーキ本体の契約社員を含む全従業員(出向者を含む)のほぼ2割にあたる。所定の退職金に特別加算金を上乗せするとともに、再就職支援も行う。関連費用は2020年3月期決算に特別損失として計上する予定。

国内工場については今後、ドラムブレーキやホイールシリンダーなどの生産子会社である曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)を閉鎖するほか、曙ブレーキ福島製造(福島県折町)の縮小を進めることにしている。こうした生産再編に伴う人員適正化については別途、決定するとしている。

今年に入り、早期(希望)退職者の募集を発表する上場企業としては曙ブレーキが第1号。昨年、早期退職者の募集を発表した上場企業は30社を超える。

サン電子<6736>、デジタル証拠を収集分析する米ブラックバッグ・テクノロジーズを子会社化

サン電子はイスラエル子会社を通じて、サイバー攻撃発生時などに電子機器に残されたデジタル証拠を収集・分析するデジタルフォレンジック事業を手がける米ブラックバッグ・テクノロジーズ(カリフォルニア州。売上高13億4000万円、経常利益5700万円、純資産2億800万円)の全株式を取得することを決議した。

BlackBagは2001年に設立し、従業員は57人。サイバー攻撃を受けたり、コンピューターセキュリティーが脅かされたりした際、原因調査に必要となるデータ抽出・解析などのサービスを各国の政府機関、捜査機関や民間企業に提供している。

サン電子は2007年、こうしたデジタルフォレンジック事業で先行するイスラエルの Cellebrite Mobile Synchronizationを子会社化した。今回、新たに米の有力企業を傘下に取り込み、世界的なリーディングカンパニーとしての地歩を固めたい考えだ。

取得金額は38億2800万円(アドバイザリー費用を含む)。取得予定日は2020年2月下旬。

 

 

 

ヴィンクス<3784>、ECサイト構築のUi2を子会社化

ヴィンクスは、EC(電子商取引)サイト構築を手がけるUi2(東京都港区。売上高3億5000万円)の株式66.7%を取得し子会社化することを決めた。Ui2は2011年に設立。アジア向けを主体に、自社で企画・製造した商品を自社チャンネルで販売するグローバル「DツーC」サイトの構築も手がける。取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月31日。

サンリン<7486>、えのき茸生産の「えのきボーヤ」を子会社化

サンリンは、えのき茸の生産・販売を手がける、えのきボーヤ(長野県安曇野市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。サンリンはLPガスなどを中心とする燃料商社。傘下企業を通じてえのき茸、ぶなしめじ、エリンギ、なめこなど各種きのこを取り扱っている。取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月1日。

フジ<8278>、広島・備後地区を地盤とするスーパーのニチエーを子会社化

フジは、スーパーマーケットのニチエー(広島県福山市)の事業を継承する新会社の全株式を取得し子会社化することを決めた。ニチエーは広島県備後地区を中心にスーパー11店舗を展開し、直近売上高は90億1900万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ニチエーは1962年に設立した。フジはニチエーの全11店舗と関連施設、従業員を引き継ぐ。ニチエーは会社分割により受け皿となる同名の新会社を3月2日付で設立する予定。ニチエーを傘下に収めるフジは愛媛県の50店舗をはじめ四国一円を地盤とし、広島県、山口県での出店を合わせて計96店舗のスーパーを展開する。

フィードフォース<7068>、インターネット広告運用代行事業のアナグラムを子会社化

フィードフォースは、インターネット広告運用代行事業のアナグラム(東京都渋谷区。売上高8億3600万円、営業利益2億8500万円、純資産6億2800万円)の株式50.1%を取得し子会社化することを決議した。

フィードフォースも同様に、インターネット広告運用代行を主力事業の一つとする。フィードフォースが検索ワードやユーザーの属性に最適化した個別の商品・案件画像を掲載する「データフィード広告」を主に取り扱っているのに対し、アナグラムは検索ワードに最適化したテキストを検索結果画面に掲載する「リスティング広告」をメーンとする。双方の得意領域を生かし、インターネット広告運用代行事業をワンストップで提供し、顧客基盤の拡充につなげる。

取得価額は12億5900万円(アドバイザリー費用含む)。取得予定日は2020年1月24日。

 

三井松島ホールディングス<1518>、リゾート施設・保養所運営子会社のエムアンドエムサービスを大和PIパートナーズに譲渡

三井松島ホールディングスは、リゾート施設・保養所運営子会社のエムアンドエムサービス(大阪市。売上高53億1000万円、営業利益1億5400万円、純資産9億4500万円)の全株式を、大和証券グループ本社傘下の投資会社である大和PIパートナーズ(東京都千代田区)に譲渡することを決議した。

エムアンドエムは1997年設立で、リゾート型宿泊施設の運営や、企業や自治体が所有する保養所・研修所などの運営受託を手がけ、2012年に三井松島の傘下となった。訪日観光客や団塊世代による底堅い旅行需要が見込まれる好環境にある一方、予約システムや施設設備の導入・更新にかかる積極投資が今後必要となる中、大和PI側から株式取得の申し出があったという。大和PIが2月末に設立する特別目的会社がエムアンドエム株式を取得する。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年3月31日。

SHIFT<3697>、リアルグローブからIT自動化事業を取得

SHIFTは、IT関連企業のリアルグローブ(東京都千代田区)が手がけるIT自動化事業を取得することを決めた。リアルグローブがIT自動化事業を分社化するために2月上旬に新会社「リアルグローブ・オートメーティッド」(同)を設立したうえで、SHIFTはこの新会社の株式51%を取得する。対象事業の直近業績は売上高4370万円、営業利益1610万円。取得価額は1億9900万円。事業取得後、営業利益の実績に応じて最大5600万円の追加対価を支払う。取得予定日は2020年2月上旬。

 

クリーク・アンド・リバー社<4763>、持ち分法適用会社でテレビ局向け人材派遣の韓国CREEK&RIVER ENTERTAINMENTを子会社化

クリーク・アンド・リバー社は、持ち分法適用関連会社でテレビ・映像分野を中心に人材派遣事業を手がける韓国CREEK&RIVER ENTERTAINMENT(CRE、ソウル)の資本構成を見直し、連結子会社化した。9日付。クリーク側の出資比率は75%とした。取得価額は非公表。

クリークは2001年に韓国に現地子会社CREEK&RIVER KOREA(CRK、ソウル)を設立し、テレビ局に対する人材派遣事業を開始。その後、2016年に日韓情勢や韓国固有の市場特性などを踏まえ、CRK の人材派遣事業を引き継ぐ CRE を設立し、現地経営陣の株式保有比率を高めることで CRE を持ち分法適用関連会社と位置付けてきた。

一方、CRKは韓国のゲームライセンスを日本を含めて世界展開を進めてきたが、近年、CREが韓国エンタテインメント分野で培ってきた顧客網と連携する機会が増加してきたことなどを踏まえ、連結子会社化することにしたという。

レントラックス<6045>、中国で越境EC向け一括支援サービス展開の阿迪納市場営銷策劃有限公司を子会社化

レントラックスは、中国で越境EC(電子商取引)の一括支援サービスを展開する阿迪納市場営銷策劃有限公司(上海市。売上高2億7800万円、営業利益△814万円、純資産2360万円)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。取得価額は非公表。今後30日以内に取得する予定。

阿迪納市場営銷策劃はメーリングサービスなどを手がけるアテナ(東京都江戸川区)の100%子会社で、2005年に設立。上海に物流拠点を持ち、日本から中国に進出する企業に向けて、販売促進、物流、営業支援などのフルフィルメントと呼ばれる一括支援サービスを展開している。

レントラックスはタイや台湾で同様に越境EC向けの一括支援サービスに力を入れている。この分野で豊富なノウハウを持つ阿迪納市場営銷策劃を傘下に取り込み、事業拡大につなげる。

フリービット<3843>、クラウドビジネスフォン「モバビジ」事業をクラウドテレコムに譲渡

フリービットは、クラウドビジネスフォン事業を会社分割により、クラウドテレコム(東京港区)に譲渡することを決議した。譲渡するのは専用アプリをインストールしたスマートフォンで内線通話機能や固定電話番号による発着信を実現するサービスで、「モバビジ」の名称で事業展開している。対象事業の直近売上高は5200万円。譲渡価額は6億円。譲渡予定日は2020年3月1日。

シェアリングテクノロジー<3989>、不動産売買・仲介子会社の名泗コンサルタントを牧野社長に譲渡

シェアリングテクノロジーは、不動産売買・仲介、賃貸事業を手がける子会社の名泗コンサルタント(三重県四日市市。売上高11億円、営業利益6000万円、純資産11億6000万円)の全株式を、名泗コンサルタント社長の牧野昌良氏に譲渡することを決議した。牧野氏への株式譲渡にあたり、名泗コンサルタントはシェアテクに特別配当を実施する。譲渡価額は8億円(特別配当を含む)。譲渡予定日は2020年2~3月。

シェアテクは2018年春に名泗コンサルタントを子会社化していた。

富士ゼロックスが社名変更、2021年4月「富士フイルムビジネスイノベーション」に

富士フイルムホールディングス(HD)は6日、事務機器子会社の富士ゼロックスの社名を2021年4月1日付で「富士フイルムビジネスイノベーション」に変更すると発表した。昨年11月に米ゼロックスとの合弁関係を解消し、ゼロックスが25%保有する富士ゼロックスを完全子会社化した。これに伴い、技術・ブランドライセンスや販売地域などを規定した契約についても現行の契約期間が満了する2021年3月末をもって終了することを決めた。

富士ゼロックスはアジア太平洋地域、米ゼロックスは米欧などその他地域で、それぞれ複写機やプリンターなど事務機器を販売してきたが、新社名となる現富士ゼロックスは2021年4月以降、地域にとらわれず独自ブランドを展開する。

富士フイルムHDは2018年1月に米ゼロックスを買収することで合意した。しかし、その後、ゼロックス側が合意を破棄して法廷闘争に発展し、1年半以上も対立状態が続いた。富士フイルムHDは2019年11月に、ゼロックスの買収を断念し、代わってゼロックスとの合弁関係を解消し、富士ゼロックスを完全子会社化することで一連の問題にけりをつけた。

 

 

フルサト工業<8087>、日本電産シンポから変速機・減速機の国内販売事業を取得

フルサト工業は、機械工具卸売子会社のジーネット(大阪市)を通じて、日本電産シンポ(京都府長岡京市)が手がけるリングコーン無段変速機とコロネット減速機の国内販売事業を取得した。製造については引き続き、日本電産シンポが行う。取得日、取得価額は非公表。

日本創発グループ<7814>、印刷・広告制作のAPホールディングスを子会社化

日本創発グループは、印刷や広告企画・制作を手がけるAPホールディングス(浜松市)の株式21.25%を追加取得し、子会社化することを決議した。現在37.5%の持ち株比率を58.75%に引き上げる。APホールディングスは持ち株会社で、傘下に事業子会社のアプライズ(浜松市。売上高17億円、営業利益900万円、純資産16億4000万円)を持つ。取得価額は3億8400万円。取得予定日は2020年1月20日。

グッドライフカンパニー<2970>、グローアップから不動産・建築業界向け有料職業紹介事業を取得

グッドライフカンパニーは、不動産・建築業界向け有料職業紹介事業を手がけるプロキャリアエージェント(東京都新宿区)の全株式を取得し、6日付で子会社化した。傘下に収めたプロキャリアエージェントは人材サービス会社のグローアップ(東京都新宿区)が当該事業を切り出すために12月末に設立した会社。取得価額は非公表。

グローアップは2008年設立で、飲食業界と不動産・建築業界を両輪として有料職業紹介事業を展開してきたが、このうち不動産・建築業界向け事業をグッドライフカンパニーに譲渡した。

グッドライフカンパニーは不動産投資家に対し、主に投資用新築一棟賃貸マンションの用地仕入れから、企画、設計、施工、賃貸仲介・管理、売却までのサービスをトータルに提供している。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[伊藤俊一先生が伝授する!税理士のための中小企業M&Aの実践スキームのポイント]

②株式譲渡スキームにおける役員慰労退職金支給~現金支給・現物支給の有利不利判定~

 

〈解説〉

税理士  伊藤俊一

 


[関連解説]

■【Q&A】経営状況が悪化した場合の定期同額給与

■【Q&A】解散をした場合の役員退職金の支給について

 

 

 

中小零細企業M&Aで株式譲渡スキームを採用したとします。当該スキームでは通常、税効果を享受するため、売主において、役員慰労退職金を支給するケースが多いようです。この場合において、「現金支給するか、現物支給するかの有利不利判定」について課税関係をもとに考えてみます。

 

 

税負担のみを考慮すると、下記の事項を総合勘案して有利不利判定をすることになります。

 

(1)現物配当の場合、法人が含み損資産を有している場合、含み損を実現することが可能となります。グループ法人税制下で、関連会社への移転によっても含み損が実現できない資産について有効です。実務では、当該時点での解約返戻金が低い保険を支給するケースも多いようです。

 

(2)当該現物支給対象の現物が消費税の課税取引、非課税取引、課税対象外取引のいずれに該当するかで消費税の課税区分は決定されます。支給金額によっては、支給後の課税売上割合が変動する可能性があります。課税対象外取引となるべく、後述の通り、株主総会において支給決議をするのが必須です[注1]。

 

(3)現物支給の場合、別途、それに係る源泉所得税をグロスアップ計算する必要があります。源泉所得税は金銭での納付しかできないためです。

 

 

下記では、現物を分類して課税関係を検証します。

 

(イ)土地

【売買の場合】

〇土地(宅地)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減、売買契約書・代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

〇土地(宅地以外)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減、売買契約書・代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

 

【現物支給の場合】

〇土地(宅地)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減のトータルコスト

〇土地(宅地以外)

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減のトータルコスト

 

登録免許税と不動産取得税は軽減税率の改正(延長含む)が頻繁に入るため、実行時の税率を確認します。本稿脱稿時点においては、不動産取得税及び登録免許税の軽減税率適用による税負担軽減効果が高いため、土地については、売買の方が有利になる可能性があります。

 

 

(ロ)建物・車両・ゴルフ会員権

【売買の場合】

〇建物

・・・消費税、登録免許税軽減、不動産取得税軽減、売買契約書・代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

〇車両

・・・消費税、代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

〇ゴルフ会員権

・・・消費税、売買契約書(預託金方式のみ)、代金受領書に係る印紙税のトータルコスト

 

【現物支給の場合】

〇建物

・・・登録免許税軽減、不動産取得税軽減のトータルコスト

〇車両

・・・コストなし

〇ゴルフ会員権

・・・コストなし

 

建物・車両・ゴルフ会員権については、現物支給の方が有利です。

 

 

現物支給では、株主総会決議があるかないかで消費税課税区分が変更します。この理由づけには様々なものがあります[注2]。

 

下記の考え方が最もわかりやすいです。

 

役員報酬等の決定方法については、会社法第361条第1項を確認します。

 


(会社法第361条)

(取締役の報酬等)

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

 


 

 

現物支給する場合は、総会決議によって、その具体的な内容、すなわち、支給する現物資産の種類、金額、支給日等々の決議が必要です。よって、株主総会の決議なき場合、現物支給は代物弁済による資産の譲渡に該当します。代物弁済に係る消費税の取扱いは下記から読み取れます。

 

 

 


(消費税法第2条第1項第8号)

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

 

(消費税基本通達5-1-4)

法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「代物弁済による資産の譲渡」とは、債務者が債権者の承諾を得て、約定されていた弁済の手段に代えて他の給付をもって弁済する場合の資産の譲渡をいうのであるから、例えば、いわゆる現物給与とされる現物による給付であっても、その現物の給付が給与の支払に代えて行われるものではなく、単に現物を給付することとする場合のその現物の給付は、代物弁済に該当しないことに留意する。

 


 

 

上記より、株主総会決議がない場合、代物弁済に該当し、資産の譲渡に係る取引なので課税取引に該当しますし、ある場合、給与扱いですから課税対象外です。なお、国税OB執筆の解説本の一部では課税取引と記載しているものもありますが、これは、中小零細企業実務において、株主総会決議をしていないだろう、という前提にたった、すなわち、実態に即した上での解説をされているものと筆者は邪推します。

 

 

 

 


【注釈】

[注1] 役員においては、株主総会の支給決議によってはじめて退職慰労金の支給義務が生じます(法基通9-2-28)。たとえ現実に退職しており、役員退職慰労金支給規定が予め作成されていても、株主総会での決議がない限り、債務確定にはなりません(最判昭和39年12月11日、最判昭和48年11月26日、最判昭和58年2月22日)。一方、最判昭和48年11月26日では明確な支給基準が存在し、本店備付けなど、それが株主に閲覧できるという要件等を満たせば、取締役会への一任できるとあります。以上につき、岡野訓=内藤忠大=濱田康宏=村木慎吾=白井一馬「実務目線からみた税務判断~実務で直面する厳選20事案~」88頁(大蔵財務協会 2014)を参照しています。

[注2] この点につき、前掲注1  96~99頁において、所得税と消費税の対価性の違いから理由づけを行っています。消費税は事前に対価性を問われるため、株主総会決議で現物支給決議を行えば、課税対象外取引なるという考え方です(消基通5-1-4も参照のこと)。

 

 

 

 

 

[M&A担当者がまず押さえておきたい10のポイント]

第4回:「事業譲渡と株式譲渡」どっちがいいの?-M&Aのスキーム-

 

[解説]

松本久幸 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

大和田寛行 公認会計士・税理士(株式会社Stand by C)

 

 

▷第3回:売却するならどこがいい? -同業他社?大企業?ファンド?-

▷第5回:実際に売却するときの留意点は?-DDの受入れや価格交渉-

▷第6回:売買価格の決め方は?-価値評価の考え方と評価方法の違い-

 


会社を売却する場合、株式を売却すれば、株式を譲り受けた人に会社の経営権が移りますので、株式を売買することが一般的な方法ではあります。ただし、会社の法人格をそのまま引き継ぐことで何らかのデメリットや将来のリスクが存在するような場合、買い手側が株式の売買ではなく、事業譲渡を希望する場合があります。

 

事業譲渡とは、会社の中の特定の事業であったり資産であったり人であったりをピックアップして売買することです。M&Aの際に、何らかの事情があって株式売買がそぐわないと判断された場合に、事業譲渡スキームがとられることがあります。

 

 

では、事業譲渡を選択した場合にどういったメリットがあるのでしょうか。

 

まず、買い手から見ると、会社そのものを取得して会社を経営していく場合に、もしかすると隠れた債務や将来の税務等のリスクをも一緒に承継してしまう可能性があると判断される場合や、引継ぎたくない事業や資産・負債等がある場合は、それらのリスクを遮断するために法人格そのものは承継せずに、必要な事業とそれに付随する資産や人のみを譲り受けるという選択を採ることができます。

 

そうすることで、元々の法人格にリスクや隠れた債務等を残したまま、買収したい事業のみを承継することができます。

 

 

一方、売り手から見ると、売りたい事業だけを売却できる方法でもあります。株式を譲渡すると会社の全ての経営権が移ってしまいますが、例えば、いくつかの事業を営んでいたものの、事業のリストラを検討した結果、ある事業をどこかに承継してもらいたいというようなケースにおいては、事業譲渡が選択されることもあります。

 

しかし、事業譲渡にはデメリットもあります。特定の事業や資産や人を承継する場合には、対象となる資産等を一つずつ特定して承継しなければなりません。

 

取引先との契約があれば、それら全ての取引先から承諾を得た上で契約を巻き直す、もしくは契約を移すという手続が必要となります。

 

また、人については、会社そのものの経営権が移るのであれば全従業員が会社にそのまま在籍する形となり、会社と従業員の雇用関係には影響はありませんが、事業譲渡の場合は、譲渡される事業に従事する従業員を個別に説得して新たな会社に移ってもらう、という手続が必要となります。

 

そのため、それらの手続が簡略化出来るよう、事業譲渡のような煩雑な手続を行わずに、包括的な手続によることを可能とする会社分割という手法なども認められています。

 

その他にも、2つの会社の株主を入れ替える株式交換という手法や、2つ以上の会社を統合して1社にまとめる合併という手法などもあります。

 

 

 

 

どのような手法を採るにしても、M&Aのスキームについては、売り手と買い手の協議によって決められますから、メリットとデメリットを慎重に検討して双方納得の上で決定する、ということが肝要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2020年1月15日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

●高品質のワイヤーハーネス製造メーカー

[業種:電気機械器具製造業/所在地:関東地方]

●【土地建物保有】住宅都市にて地域密着型でサ高住・小多機・デイサービスを展開。

[業種:介護事業/所在地:関東地方]

●地域密着の宅地造成工事・宅地販売業者

[業種:土木工事・不動産売買/所在地:中部地方]

●特許を多数保有し独自技術を誇る耐震建材を多種展開する製造メーカー

[業種:建築用金属製品製造業/所在地:西日本]

 

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案件No.SS005376
高品質のワイヤーハーネス製造メーカー

 

(業種分類)製造業

(業種)電気機械器具製造業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)自動車・工作機向けワイヤーハーネスの製造・販売。

 

〔特徴・強み〕

◇設立50年で築き上げた信頼と実績。
◇大手メーカーと直接取引。
◇交通の便の良い立地。

 

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案件No.SS004996
【土地建物保有】住宅都市にて地域密着型でサ高住・小多機・デイサービスを展開。

 

(業種分類)介護・医療

(業種)介護事業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)介護事業

 

〔特徴・強み〕

◇地域に根差した介護サービスを展開。
◇徒歩圏内にサービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型住宅介護、デイサービス(リハビリ)を運営。
◇高齢者人口が今後も増加するエリア。
◇競合他社が少なく、今後も需要が期待できる。
◇サ高住は全室30㎡以上あり、すべてにトイレ、キッチン、浴室を完備。築浅。
◇土地建物を保有している。

 

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案件No.SS004890
地域密着の宅地造成工事・宅地販売業者

 

(業種分類)建設・土木

(業種)土木工事・不動産売買

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)人気エリアの土地を仕入れ、宅地造成、分譲販売を行っている。

 

〔特徴・強み〕

◇業歴が長く、土地の仕入が安定している。

 

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案件No.SS004713
特許を多数保有し独自技術を誇る耐震建材を多種展開する製造メーカー

 

(業種分類)製造業

(業種)建築用金属製品製造業

(所在地)西日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)耐震建材の製造業

 

〔特徴・強み〕

◇特許を多数保有
◇高い技術力
◇優良な財務内容

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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