[事業再生・企業再生の基本ポイント]

第4回:事業再生業務の全体像を教えてください

~事前簡易調査、現状の把握を行うためのDD実施、事業再生計画の策定、事業再生計画で策定した施策を実行~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

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事業再生のProcessは四段階あります。まずは事前簡易調査を行います。会社の概要や財務の内容、事業の内容、資金繰りをレビューして、初期的な再生スキームや事業再生計画における事業戦略のイメージを把握します。特に。事業再生プロセスは3か月から6か月程度を要するため、その間の資金繰りが大丈夫かどうかは非常に重要です。

 

次に、Process2として現状の把握を行うためのDDを実施します。現状の把握プロセスでは、財務DDと事業DDが実施されることが一般的です。期間は、1か月から2か月程度かけて、会社の過去から現在までの実態を財務・事業の両面から把握します。その後、債権者である金融機関に対して、会社の実態を説明するバンクミーティングを開催し、調査内容が報告され、会社の事業再生計画の方向性が議論されることとなります。

 

そして、Process3として、事業再生計画の策定を行います。Process2は専門家による調査であったことに対して、Process3は会社と専門家が一体となって作り上げます。会社の事業再生計画の骨子を策定し、それに向けたアクションプランを策定し、それらを数字に落とし込んだ計数計画や返済計画を策定します。計画の策定についても1か月から2か月程度で実施します。そして、事業再生計画を策定すると、事業再生計画の説明をするバンクミーティングを開催します。事業再生計画の内容を説明し、金融機関からの質疑応答を経て、全金融機関からの同意を得ることで、当該事業再生計画が実行されることとなります。バンクミーティングからすべての銀行から同意を得るまで2週間から1か月程度の期間となることが一般的です。

 

Process3までが、専門家が強く関与をして進めていくプロセスで、Process4からは会社が主体となって進めていくことになります。Process4では、事業再生計画で策定した施策を実行していくことになります。また、金融機関としても、事業再生計画の進捗状況を把握する必要があるため、計画と実績を比較した説明資料を作成し金融機関に提出する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2021年8月11日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●大手ゼネコンの元請け。県内では知名度が高く、一定の受注基盤を構築。

[業種:建設関連業/所在地:西日本]

●「高収益体質」倉庫・3PL・アウトソーシング事業

[業種:倉庫業・3PL業/所在地:関東地方]

●成長が見込まれる製造業向けソフトウェアパッケージ業

[業種:製造業向けソフトウェアパッケージ業/所在地:九州・沖縄地方]

 

 

 

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案件No.SS007504
大手ゼネコンの元請け。県内では知名度が高く、一定の受注基盤を構築。

 

(業種分類)建設・土木

(業種)建設関連業

(所在地)西日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)老舗の建設関連業。 公共事業・民間工事から大型プロジェクト事業まであらゆるニーズに対応可能。

 

〔特徴・強み〕

◇特に大型プロジェクトの工期の遂行には定評がある。
◇業績は堅調に推移しており、今後も安定した収益を見込む。

 

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案件No.SS007339
「高収益体質」倉庫・3PL・アウトソーシング事業

 

(業種分類)物流・運送

(業種)倉庫業・3PL業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)関東の倉庫業。医療、アパレル等の3PL事業運営し、増収増益で推移。

 

〔特徴・強み〕

◇高収益体質。
◇一般的な物流機能に加え、事務処理、コールセンター業務のアウトソーシングまで幅広く対応している。
◇医療機器等の許認可を有している。

 

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案件No.SS007318
成長が見込まれる製造業向けソフトウェアパッケージ業

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)製造業向けソフトウェアパッケージ業

(所在地)九州・沖縄

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)CAD開発・販売・コンサルティング

 

〔特徴・強み〕

◇CADソフトの開発・販売・コンサルティング等で実績を築き、安定した取引基盤は確立。
◇コンサルティング費用等のストック収益。
◇DX化が進む中で市場規模は毎年伸長。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「非上場株式の売買とみなし譲渡課税 ~社長が買い取る場合、会社が買い取る場合~」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】事業譲渡に当たっての適正価額について

■【Q&A】事業を譲り受けた場合に営業権の計上について

 

 

 


[質問]

同族会社で親族に株が分散しています。

 

①社長が買い取る場合(中心的株主)→原則法
②会社が買い取る場合       →

②の場合、自己株式の取得となり、資本の払戻しとみなし配当が生ずると思いますが、そもそも買取価格は税務上どのように決めたらよいのでしょうか。

 

[回答]

ご照会の内容については、多くの課税上の要素を含んでおりますので、課税上問題のない取引価額とする際に留意すべき点についてご説明します。

 

 

〔説明〕
非上場株式をどのような価額で取引するかということは、本来、税法で決めるべきことではなく、利害関係の相反する当事者が適正な交渉によって決めた価額であれば、それが時価と考えられるため、通常、課税上特殊な問題は生じません。

 

しかし、非上場株式の取引の多くは親族間等、利害関係の相反さない者の間で行われるため、各税法・通達等の内容を参考にして適正な価額を算定し、課税上の問題が発生することを回避することが求められます。

 

 

1 個人間の取引について

個人間で非上場株式を取引する場合に多く発生する問題は、時価より低い価額で売買したため、買主に経済的な利益が生じ、贈与税が課税されることです(相法7条)。

 

贈与税における非上場株式の時価は、財産評価基本通達により評価した価額であり(相法22条、評基通1(1))、具体的には評基通178~189-7により評価した価額となります。ご照会のケースでは「社長が買取る」とされていますので、買取り後の社長の議決権数を基に評価方式を判定する必要があり、原則的評価方式により評価することになると思われます。したがって、原則的評価方式による評価額で売買すれば、贈与税の問題は発生しませんが、当該評価額を下回る価額で売買した場合には、その差額は買主が贈与により取得したものとみなされます。

 

 

2 法人・個人間の取引

法人が絡む取引の場合も、適正な時価で取引すれば通常、課税上の特殊な問題は生じませんが、時価の算定に当たっては、評価の安全性等を考慮した相続税評価額をそのまま適用することは適当ではありません。

 

(1) 所得税法上の考え方
所得税の法令・通達のうち非上場株式の価額の算定の参考となるものとしては、所基通23~35共-9が挙げられます。同項では、「最近の売買実例で適正と認められる価額」や「比準すべき類似法人の株価」などがない場合の価額の算定は、「その株式の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」によることとされています(所基通23~35共-9(4)ニ)。

 

また、所得税法59条≪贈与等の場合の譲渡所得等の特例≫(いわゆる「みなし譲渡課税」)の適用に当たっての通達として、所基通59-6があります。同項では、「その時における価額」について、所基通23~35共-9に準じて算定した価額によるとし、更に、所基通23~35共-9(4)ニについて、一定の条件を加えた上で、評基通178~189-7までの例により算定した価額とすることとされています。

 

一定の条件については、所基通59-6の内容を十分ご確認いただきたいと思いますが、特に、譲渡者の議決権数については、「株式の譲渡又は贈与直前」の議決権数により財産評価基本通達における評価方式の判定を行うことにご留意ください。

 

(2) 法人税法上の考え方
法人税の法令・通達のうち非上場株式の価額の算定の参考となるものとしては、法基通9-1-13及び9-1-14が挙げられます。ここでは、「当該事業年度終了の日前6月間の売買実例のうち適正と認められる価額」や「比準すべき類似法人の株価」などがない場合の価額の算定は、一定の条件を加えた上で、評基通178~189-7までの例により算定した価額によることを認めています(法基通9-1-14)。

 

法基通9-1-14は非上場株式の譲渡価額について規定したものはありませんが、法人税基本通達逐条解説(税務研究会出版局)において、「なお、本通達は、気配相場のない株式について評価損を計上する場合の期末時価の算定という形で定められているが、関係会社間等において気配相場のない株式の売買を行う場合の適正取引価額の判定に当たっても、準用されることになろう。」と述べられており、非上場株式の売買においても指針となる通達であると考えられます。

 

 

3 法人による自己株式の取得について

法人が個人株主から自己株式を買い取る場合について、個人株主側から見れば、上記2(1)でお示ししたところにより算定した価額で売買すれば、所得税法上の問題は生じないと思われます。自己株式の取得に係る所法59条の適用に関しては、措通37の10・37の11共-22の注書きにおいて「当該自己株式等の時価」は、「所基通59-6により算定するものとする。」とされており、所基通59-6により算定した価額の1/2を下回る価額で売買した場合には、時価で譲渡したものとみなされることとなります(所法59、所令169)。この場合の時価は、個人株主の譲渡直前の議決権数により判定した評価方式が原則的評価方式となるのか、特例的評価方式(配当還元方式)となるのかにより異なることとなります。

 

なお、付言すれば、譲渡後に譲渡株主以外の株主の株価(相続税評価額)が大きく上昇するような取引とならないよう、相続税法9条(みなし贈与)の適用について考慮しておくことも必要と思われます。

 

法人側から見た場合には、上記2(2)でお示ししたところにより算定した価額が、適正な価額ということになりますが、仮にそれを下回る価額で売買されたとしても、自己株式の取得は資本等取引であるため、法人に課税上の特殊な問題は通常発生しないと思われます。

 

 

4 まとめ

ご照会の自己株式の取得については、上記2(1)でお示しした算定方法をベースとして取引価額を設定することが、課税上の問題を発生させない現実的な方法と思われます。

 

なお、算定に当たっては、通達の示す条件(相続税評価額と異なる点)に十分ご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2021年5月27日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[M&Aニュース](2021年7月26日〜2021年8月6日)

◇INCLUSIVE<7078>、田端大学校からオンラインサロン「田端大学」事業などを取得、◇米投資銀行のフーリハン・ローキー、M&A助言国内最大手のGCA<2174>をTOBで子会社化、◇メドピア<6095>、みんコレが運営する医学生学習支援サービス「みんコレ!」事業を取得、◇カーディナル<7855>、MBOで株式を非公開化、◇九電工<1959>、防災設備工事の中央理化工業を子会社化、◇楽天グループ<4755>、通信ネットワーク用ソフトウエア企業の米アルティオスター・ネットワークスを子会社化、◇ブリヂストン<5108>、車両運行管理サービスの米アズーガ・ホールディングスを子会社化、◇ジーニー<6562>、チャットボット制作サービス「Engagebot」提供のREACTを子会社化 ほか

 

 

 

 

 

ジャパンエレベーターサービスホールディングス<6544>、四国昇降機サービスを子会社化
2021/08/06

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーターなどの保守管理を手がける四国昇降機サービス(高知市。売上高6140万円、営業利益9万2000円、純資産△263万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。四国地区での事業基盤強化の一環。四国昇降機サービスは2006年設立で、保守管理台数は高知県を中心に200台以上という。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月10日。

愛光電気<9909>、MBOで株式を非公開化
2021/08/06

愛光電気は6日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社の近藤保社長が設立したAKコーポレーション(神奈川県小田原市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株式を取得する。買付代金は最大18億876万円。愛光電気はTOBに賛同している。愛光電気は家電用品やIT周辺機器など電設資材の流通商社。市場環境が目まぐるしく変化する中、M&Aなどを通じて経営の多角化を推し進めるためには短期的な業績にとらわれない経営体制が必要と判断した。TOBが成立すれば、ジャスダック上場が廃止となる見通し。

買付価格は1株につき2360円。直近取引成立日(8月4日)の終値1855円に27.22%のプレミアムを加えた。買付予定数は76万6424株。買付予定数の下限は所有割合54.29%にあたる47万4920株。取引先でつくる持ち株会「愛光電気共栄会」(所有割合19.3%)などはTOBへの応募契約を結んでいる。

買付期間は8月10日~9月28日。決済の開始日は10月5日。公開買付代理人はSBI証券。

愛光電気は1953年に電気材料・器具を販売する田中商店として創業。1959年に現社名となった。1991年に株式を店頭登録(現ジャスダック)した。

ファーマフーズ<2929>、滋養強壮剤「金蛇精」など医薬品製造の明治薬品を子会社化
2021/08/06

ファーマフーズは、医薬品メーカーの明治薬品(東京都千代田区。売上高53億3000万円、営業利益7億8700万円、純資産24億1000万円)の株式を3分の2以上取得することを決めた。明治薬品は1948年設立で、かぜ薬や鼻炎内服液、胃腸薬など各種医薬品を製造し、なかでも滋養強壮剤「金蛇精」、健康食品「黒マカEX」などはドラッグストアや越境EC(電子商取引)で強みを持つ。ファーマフーズは卵黄由来の「タマゴサミン」などサプリメント商品や化粧品の通販を主力とする。取得価額は15億~23億円程度。取得予定日は2021年8月31日。

メドピア<6095>、みんコレが運営する医学生学習支援サービス「みんコレ!」事業を取得
2021/08/05

メドピアは、みんコレ(山梨県南アルプス市)が運営する医学生学習支援サービス「みんコレ!」事業を取得することを決めた。「みんコレ!」は医師国家試験当日に会員の受験生が自己採点できるサービス。メドピアは医師専用コニュニティーサイト「MedPeer」を運営しており、これに「みんコレ!」を統合する予定。取得価格は非公表。取得予定日は2021年8月31日。

「みんコレ!」は2017年にサービス開始し、累計約1万7000人の学生会員の多くは現在、医師となっている。メドピアが運営する「MedPeer」には医師約12万5000人(国内医師の約4割)が参加し、薬剤評価掲示板、症例相談などのコンテンツを提供する。

カーディナル<7855>、MBOで株式を非公開化
2021/08/05

カーディナルは5日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社の山田弘直社長が設立した山田マーケティング(大阪市)がTOB(株式公開買い付け)を実施する。買付代金は最大11億1970万円。カーディナルはTOBに賛同している。同社は会員証などのプラスチックカードの専業メーカー。近年はスマートフォンアプリの台頭などでカード需要が減っており、株価や短期的な業績にとらわれず、中長期的な観点から抜本的、機動的な意思決定を可能する経営体制をつくるには非公開化が望ましいと判断した。

買付価格は1株につき851円。TOB公表前日の終値551円に54.45%のプレミアムを加えた。買付予定数は131万5755株。買付予定数の下限は所有割合33.2%にあたる67万5878株で、山田弘直社長ら創業家の関係者が所有する35.38%の株式(72万株、TOBに不応募)と合わせて68.58%となる水準に設定した。

買付期間は8月6日~9月21日。決済の開始日は9月29日。公開買付代理人は岡三証券。TOBが成立すれば、カーディナルはジャスダック上場が廃止となる見通し。

カーディナルは1967年にプラスチックカード製造の宮田機械印刷研究所として大阪市で発足。1990年に現社名に変更した。2000年に大阪証券取引所新市場部(現ジャスダック)に上場した。

九電工<1959>、防災設備工事の中央理化工業を子会社化
2021/08/04

九電工は、消防など防災設備工事の中央理化工業(東京都豊島区)の過半数の株式を取得し子会社化することを決めた。中央理化工業は1921年の創業(設立1948年)から業歴100年に及び、関東を中心に強固な営業基盤を持つ。両社の営業・技術力を融合し、消防・防災分野の事業拡大につなげる。株式の取得割合、価額は非公表。取得予定日は2021年9月22日。

アルインコ<5933>、プリント配線板設計・製造の東電子工業を子会社化
2021/08/04

アルインコは、プリント配線板設計・製造の東電子工業(東京都八王子市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。電子事業部門の基盤拡充の一環。東電子工業は1979年に創業。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月18日。

楽天グループ<4755>、通信ネットワーク用ソフトウエア企業の米アルティオスター・ネットワークスを子会社化
2021/08/04

楽天グループは4日、通信ネットワーク用ソフトウエア企業の米アルティオスター・ネットワークス(マサチューセッツ州)の株式を追加取得し、完全子会社化すると発表した。追加取得額は約3億7000万ドル(約400億円)。楽天グループは傘下の楽天モバイルが展開する携帯電話事業にアルティオスターのソフトを利用している。アルティオスターを取り込み、携帯関連の海外事業を加速する。2021年9月までに買収完了を見込む。

アルティオスターは2011年設立。楽天グループは2019年に出資し、持ち分法適用関連会社(出資比率は非公表)としていた。

米投資銀行のフーリハン・ローキー、M&A助言国内最大手のGCA<2174>をTOBで子会社化
2021/08/03

独立系投資銀行の米フーリハン・ローキーは3日、M&A助言で国内最大手のGCAに対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。全株式の取得を目指しており、買付代金は最大約681億円。GCAはTOBに賛同している。投資銀行業務におけるアジアでのプレゼンス(存在感)拡大が目的で、日本・アジアでM&A助言で実績を持つGCAを傘下に取り込む。TOBが成立すれば、GCAは東証1部への上場が廃止となる見通し。

買付価格は1株につき1380円で、TOB公表前日の終値1051円に31.3%のプレミアムを加えた。買付予定数は4938万2808株。買付予定数の下限は所有割合66.67%にあたる3292万1900株に設定した。GCAの渡辺章博社長(所有割合8.05%)、トッド・カーター取締役(3.75%)ら9人の取締役全員(社外取締役は除く)が保有株をTOBに応募する契約を交わした。

買付期間は8月4日~9月27日。決済の開始日は10月4日。公開買付代理人は大和証券。

GCAは2004年に独立系のM&A助言会社として創業し、2006年に東証マザーズに上場。2008年に米国の有力M&A助言会社サヴィアンと経営統合し、日米間の国際M&Aへの対応力を大幅に高めるとともに、米市場での基盤を確保した。2012年に東証1部に上場。

フーリハン・ローキーは1972年設立。M&A、証券資金調達、財務リストラクチャリング、財務・評価に関する助言を業務分野とし、米国をはじめ欧州、アジア、豪州、中東に23拠点を持つ。米国を主力地盤とし、近年は欧州や中東でも事業を広げているが、アジアでの存在感は限定的という。

ブリヂストン<5108>、車両運行管理サービスの米アズーガ・ホールディングスを子会社化
2021/08/03

ブリヂストンは3日、米国子会社を通じて、運送事業者向けに車両運行管理サービスを展開する現地のアズーガ・ホールディングス(カリフォルニア州)を買収すると発表した。車両やタイヤの稼働状況に関するビッグデータを活用することで断トツ商品・サービスの開発につなげる。買収額はアズーガの企業価値約428億円に運転資本などを調整して確定する。2021年9月末までに買収完了を見込む。

アズーガは2012年に設立し、シリコンバレーに本社を置く。GPSトラッキング(追跡)、テレマティクス、ドライバーの動作モニタリングなどの車両運行管理サービスを6000を超える北米の運送事業者に提供している。ブリヂストンは同社を傘下に収め、車両運行管理サービスのグローバル展開を加速する。

ブリヂストンは2019年に約1100億円を投じて、車両運行管理サービスの欧州大手であるトムトムテレマティクス(現ウェブフリート・ソリューションズ、オランダ)を買収している。

アイナボホールディングス<7539>、住設機器・水回り資材販売のマニックスを子会社化
2021/08/03

アイナボホールディングスは、住宅設備機器や水回り資材を販売するマニックス(神戸市。売上高75億8000万円、営業利益3200万円、純資産12億6000万円)の株式を追加取得し子会社化することを決めた。現在9.5%の持ち株比率を100%に引き上げる。販売ルートの共有化など連携を進め、業容拡大につなげる。取得予定日は2021年10月1日。

マニックスは1968年設立で、兵庫県、大阪府、岡山県、広島県を地盤とする。同社を傘下に収めるアイナボはタイルや住設機器の販売とともに、タイル工事、内装仕上げ工事などの各種工事を手がけ、関東、東海、関西を中心に事業展開している。

ジーニー<6562>、チャットボット制作サービス「Engagebot」提供のREACTを子会社化
2021/08/02

ジーニーは、チャットボット制作サービス「Engagebot」を提供するREACT(東京都渋谷区)の全株式を取得し、2日付で子会社化した。新規顧客の獲得や既存顧客の管理ツールとして評価を得ているREACTのサービスを取り込み、マーケティングSaaS(サービスとしてのソフトウエア)事業で展開中のチャット型Web接客プラットフォーム「Chamo(チャモ)」の機能を強化・拡張し、収益機会を拡大する。取得価額は非公表。

JMDC<4483>、医療システム開発のアイシーエムを子会社化
2021/08/02

JMDCは、医療システム開発のアイシーエム(東京都千代田区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。医療提供者向けサービスを強化し、ヘルスデータの集積と利活用を加速する。取得価額、取得日は非公表。

アイシーエムは1999年設立で、病床数400床以上の大規模病院を中心に国内70以上の医療機関に対し、病歴、薬歴、検査歴などのカルテ・診察データを集約し薬剤管理指導文書を自動作成するシステムを提供している。

ノジマ<7419>、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント傘下の衛星放送事業会社3社を子会社化
2021/08/02

ノジマは、ソニーグループのソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPEJ、東京都港区)傘下の衛星放送事業会社3社を子会社化することを決めた。衛星放送事業への参入が狙い。家電量販店として既存の事業領域にこれまでなかった番組コンテンツを融合させ、新たなサービス提案につなげる。

買収する3社はSPEJ全額出資子会社でミステリードラマ専門チャンネルのミステリーチャンネル(東京都港区)、衛星基幹放送事業者のAXNエンタテインメント(東京都港区)、SPEJとケーブルテレビ大手のJCOM(東京都千代田区)が共同出資する海外ドラマチャンネルのAXNジャパン(東京都港区)。

ノジマは今後設立する新会社を通じて、各社の全株式を10月1日付で取得する予定。取得価額は非公表。

アビックス<7836>、プロテラスのデジタルサイネージ事業を取得
2021/08/02

アビックスは、LED(発光ダイオード)表示機やITサービスを手がけるプロテラス(東京都港区)からデジタルサイネージ(電子看板)事業を会社分割により取得することを決めた。中核事業であるデジタルサイネージ事業の競争力向上が目的。プロテラスはデジタルサイネージの設置件数で国内最大クラスの実績を持つ。対象事業の直近業績は売上高9億2700万円、営業利益7800万円。取得予定日は2021年11月1日。取得対価としてプロテラスの親会社であるテラスホールディングス(東京都港区)にアビックス株式を割り当てる。

旧村上系のシティインデックスイレブンス、日本アジアグループへのTOB成立
2021/08/01

日本アジアグループは31日、同社に対して実施していた旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。シティの日本アジア株の所有割合はTOB前の15.35%(共同所有者との合計31.13%)から58.96%(同74.74%)に高まり、日本アジアは8月6日付でシティの子会社となる。

日本アジアはシティが2月から3月にかけて行った前回TOBに反対を表明し、特別配当の実施による対抗措置を講じたことなどで、この時はシティ側がTOBを撤回したが、今回の4月下旬に始まった再TOBでは最終的に賛同に方針転換した。

シティは日本アジア株の全株取得を目的とし、1株970円(当初910円)で7月30日(同6月29日)まで買い付けた。買付予定数1890万5795株(所有割合で約68.8%)に対し、応募数は1197万492株だった。

シティによる2度のTOBに先立ち、日本アジアを巡っては昨年11月から今年2月初めまで同社の山下哲生会長兼社長が主導し、米投資ファンドのカーライル・グループと共同でMBO(経営陣による買収)が行われたが、不調に終わった。

関電工<1942>、ネクストウェア<4814>傘下でケーブルテレビ局向けソフト開発のネクストキャディックスを子会社化
2021/07/30

関電工は、ネクストウェア傘下でケーブルテレビ局向けソフトウエア開発を手がけるネクストキャディックス(東京都港区。売上高6億4000万円、営業利益2300万円、純資産2億3600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。社会インフラ周辺領域のローカル5G(高速通信規格)市場の開拓促進に向け、提案力や施工力の強化につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年9月1日。

ネクストキャディックスは2004年設立で、全国の約70%にあたるケーブルテレビ局に対し、ケーブルテレビ用CAD(コンピューター支援設計)、図面管理ソフト、マッピングGIS(地理情報システム)事業を軸に、伝送路情報の設計・開発・運用システムを提供している。

カンダホールディングス<9059>、ソフト開発のソフトエイジを子会社化
2021/07/30

カンダホールディングスは、ソフトウエア・情報システム開発のソフトエイジ(仙台市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。カンダは総合物流事業者として必要な情報システム部門の維持・発展に寄与すると判断した。ソフトエイジは1997年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月2日。

アンリツ<6754>、NEC<6701>傘下で電源・電子負荷装置など製造の高砂製作所を子会社化
2021/07/30

アンリツはNEC傘下で電源や電子負荷装置の製造を手がける高砂製作所(川崎市)の株式99.7%を取得し、子会社化することを決めた。高砂製作所は70年超の業歴を持ち、高電圧・大電流・大容量の電気エネルギー制御技術に強みがある。アンリツは同社を傘下に取り込み、重点開拓分野の一つに掲げるEV(電気自動車)・電池測定関連の事業拡大につなげる。取得価額は非公表。2022年1月の取得完了を予定。

ナック<9788>、化粧品受託製造のトレミーを子会社化
2021/07/30

ナックは、スキンケア商品を中心に化粧品受託製造を手がけるトレミー(東京都府中市。売上高10億3000万円、営業利益1億2700万円)の全株式を取得し、30日付で子会社化した。美容・健康事業で新たな商品開発やビジネス展開につなげる。ナックは2013年にJIMOS(福岡市)を子会社化し、美容・健康事業に参入し、オリジナルブランドの化粧品や健康食品を個人顧客に通信販売で提供している。傘下に取り込むトレミーとはこれまでJIMOSの主力製品を受託生産する関係にある。取得価額は非公表。

オエノンホールディングス、50人程度の希望退職を実施
2021/07/29

オエノンホールディングスは29日、50人程度の希望退職を実施すると発表した。子会社で酒類・食品、医薬品製造の合同酒精(東京都墨田区)、加工用デンプン製造のサニーメイズ(静岡市)に在籍する2022年に満45歳以上となる正社員・シニア社員・嘱託社員を対象とし、10月1日~15日に退職者を募る(退職日は12月31日付)。組織のスリム化と人員体制の適正化を通じて早期に安定した収益構造をつくり上げる。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、料飲店向けの酒類が引き続き低調に推移している一方、巣ごもりによる家飲み需要の高まりも継続し、売上高はチューハイやチューハイの素、本格焼酎の「博多の華」、甲乙混和焼酎の「すごむぎ」が伸びている。しかし、世界的な経済活動の再開による粗留アルコール・コーンなどの原材料価格や重油・ガスなどの燃料価格の高騰を受け、利益水準が当初予想を大きく下回る見込みとなっている。

希望退職者には所定の退職金に加え、特別加算金を支給し、再就職を支援する。

6月末に発表した2021年12月期業績予想の修正によると、売上高は780億円(前回予想を据え置き)、営業利益は7億円(前回予想18億円)、最終利益は3億5000万円(同10億円)。

古河機械金属<5715>、宇部興産<4208>傘下で金属粉製造の山石金属を子会社化
2021/07/29

古河機械金属は、宇部興産傘下でアルミニウム粉や錫粉、銅粉など金属粉を製造する山石金属(千葉県野田市。売上高14億4000円、営業利益1億1500万円、純資産14億9000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。山石金属の金属粉の取り扱い技術・ノウハウを取り込み、古河機械金属グループが持つ粉末冶金技術の展開を強化し、新たな素形材製品の開発につなげる。山石金属は1947年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

オムロン<6645>、MEMS事業をミネベアミツミ<6479>傘下のミツミ電機に譲渡
2021/07/29

オムロンは、MEMS(微小電気機械システム)事業をミネベアミツミ傘下のミツミ電機(東京都多摩市)に譲渡することを決めた。対象事業は圧力センサー、フローセンサー、サーマルセンサーなど各種MEMSセンサー製品で、直近売上高は23億円。今後は外部パートナー企業からの調達に切り替える。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年10月1日。

オムロンは対象事業を会社分割して設立する滋賀セミコンダクター(滋賀県野洲市)に移管したうえで、新会社の全株式を譲渡する。

光村印刷<7916>、子会社の光村商事倉庫が手がける保険代理店事業をエムエスティ保険サービスに譲渡
2021/07/29

光村印刷は、運輸・倉庫子会社の光村商事倉庫(東京都品川区)が手がける保険代理店事業をエムエスティ保険サービス(東京都新宿区)に譲渡することを決めた。収益構造改革に向けた経営資源の選択と集中の一環。当該事業の直近売上高は1000万円。譲渡価額は4000万円。譲渡予定日は2021年10月1日。

ITbookホールディングス<1447>、婦人服・服飾雑貨の三鈴をアパテックジャパンに譲渡
2021/07/29

ITbookホールディングスは、婦人服、服飾雑貨の企画・製造を手がける子会社の三鈴(東京都品川区。売上高9億8900万円、営業利益△4億1400万円、純資産△1億3200万円)の全株式を、IT企業のアパテックジャパン(東京都港区)に譲渡することを決めた。ITbookは昨年春にRIZAPグループ傘下だった三鈴を子会社化したが、新型コロナウイルス感染拡大による長期間の店舗休業や時短営業などで赤字に転落し、短期的な業績回復は難しいと判断した。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月20日。

三鈴は1970年に設立し、主に20代から30代の女性をターゲットに「Rewde」「shop DADA」「ZOYA」などのブランドを展開する。2016年4月に買収によりRIZAPグループの傘下となったが、RIZAPの事業構造改革に伴い、ITbookが2020年3月に三鈴を子会社化していた。

ITbookホールディングス<1447>、土地・建売住宅の分譲を手がける三愛ホームを子会社化
2021/07/29

ITbookホールディングスは地盤保証事業を主力とする傘下のGIR(東京都江東区)を通じて、土地・建売住宅の分譲を手がける三愛ホーム(埼玉県川越市。売上高11億7000万円、営業利益1400万円、純資産3億3000万円)の株式70%を取得し、子会社化することを決めた。GIRにおける事業拡大の一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

石油資源開発<1662>、カナダでのオイルサンド事業撤退に伴い子会社Japan Canada Oil Sandsを現地社に譲渡
2021/07/29

石油資源開発はカナダでのオイルサンド(油砂)事業からの撤退に伴い、全額出資の現地子会社Japan Canada Oil Sands Limited(JACOS、売上高230億円、営業利益△76億7000万円、純資産783億円)の全株式を、カナダのHE Acquisition Corporation(HAC)に譲渡することを決めた。コロナ禍の影響の長期化や脱炭素化の進展などでオイルサンドの探鉱・開発・生産を巡る事業環境が一段と厳しさを増している。事業撤退に伴い、2022年3月期決算に株式売却損など約900億円を特別損失として計上する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年9月15日。

JACOSは現在、2017年に生産を開始したハンギングストーン鉱区で日量2万バレル台の超重質油(ビチューメン)を生産している。譲渡先のHACはオイルサンドの開発・生産を手がける企業。

Shinwa Wise Holdings<2437>、美術品オークションのアイアートを子会社化
2021/07/29

Shinwa Wise Holdingsは、美術品などのオークションを運営するアイアート(東京都港区。売上高3億500万円、営業利益3430万円、純資産2億1800万円)を株式交換により子会社化することを決めた。美術品の価格は景気の影響を受けやすく、バブル崩壊以降のデフレ経済の中で一貫して低迷が続き、市場の流通量も大幅に減少している。両社は美術品オークション業界で競合関係にあるが、経営の一体化により国内外での競争力を向上するとともに、日本の美術品市場の再生と活性化を推し進めるとしている。株式交換予定日は2021年9月9日。

株式交換比率はShinwa1:アイアート2544.5で、アイアート1株にShinwaの2544.5株を割り当てる。

アイアートは2008年に設立。同社を傘下に収めるShinwaは1989年設立で、美術品オークション業界で唯一の上場企業。

フリージア・マクロス、日邦産業に対するTOBを撤回
2021/07/28

押出機メーカーのフリージア・マクロスは、電子部品商社の日邦産業に対して持ち分法適用関連会社化を目的に1月末から実施してきたTOB(株式公開買い付け)を撤回する、と発表した。日邦産業の買収防衛策に関する名古屋地裁への仮処分命令の申し立てが棄却される見通しであることを踏まえ、申し立てを取り下げる。

フリージアは最大で27%余りの株式取得を目指していたが、日邦産業が反対意見を表明して敵対的TOBに発展。買収防衛策を巡り、買付期間は再三延長され、120日を超える攻防戦となっていた。

インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人へのTOBが成立
2021/07/28

米投資会社のインベスコ・グループは28日、不動産投資信託(REIT)のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(IOJ)の非公開化を目的に実施したTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。IOJを巡っては米投資会社のスターウッド・キャピタル・グループによる敵対的TOBが不成立となったが、IOJは投資法人のスポンサーである米インベスコ・グループに対抗TOBを要請していた。

TOB主体はインベスコ・グループ傘下のIRE IOJ(東京都港区)とMAR IOJ(同)で、投資口1口につき2万2750円で買い付けた。買付期間は6月18日~7月27日。買付予定数880万2650口に対して応募数は572万7676口で、買付予定数の下限である476万1794口(所有割合54.1%)を上回り、TOBが成立した。

応募がなかった分を含めて、今後、全投資口の取得を進める。

インプレスホールディングス<9479>、月刊誌「エアライン」などのイカロス出版を子会社化
2021/07/27

インプレスホールディングスは、月刊誌「エアライン」など航空関連を中心とする出版社のイカロス出版(東京都新宿区。売上高12億4000万円、営業利益△2600万円、純資産13億500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。イカロス出版の専門性の高いコンテンツや企画編集力を取り込み、ファンコミュニティーの構築、電子出版、Webサービスや法人向け事業などの開発を進める。取得価額は13億6950万円。取得予定日は2021年8月2日。

イカロス出版は1980年設立で、月刊誌「エアライン」など航空関連を軸に40年の業歴を持ち、陸海空、旅行、防災などの分野も手がける。

インプレスHDはグループの中核事業の一つが出版。パソコン解説書「できるシリーズ」、月刊誌「山と渓谷」などの発行で知られる。

日本光電工業<6849>、患者容態管理のアルゴリズム開発などを手がける米AMP3Dを子会社化
2021/07/27

日本光電工業は米国子会社を通じて、医療分野のアルゴリズム(計算の方法・手順)やソフトウエアの研究開発を手がける現地Advanced Medical Predictive Devices, Diagnostics and Displays, Inc.(AMP3D、バージニア州)の全株式を取得し子会社化することを決めた。デジタルヘルスソリューション(DHS)分野の技術開発力の強化や革新的な解析アルゴリズム開発の加速を期待している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月6日。

AMP3Dは2013年設立で、患者の容態を管理するためのアルゴリズム、患者の情報を医療従事者に知らせるソフトウエアの開発を主力とする。

日本光電工業は生体情報モニター、人工呼吸器をはじめ医用電子機器の開発で豊富な実績を持つ。

ココカラファイン<3098>、三重県で調剤薬局経営のイー・ウェルなど3社を子会社化
2021/07/27

ココカラファインは調剤薬局のイー・ウェル(津市)、ウェル・サポート(同)、メディカル・サポート(三重県松阪市)の3社の全株式を取得し、27日付で子会社化した。3社はそれぞれ調剤薬局1店舗を経営し、いずれも野田明雄氏が社長を務め、兄弟関係にある。三重県におけるドミナント(集中出店)戦略の一環という。取得価額は非公表。

ジャパンベストレスキューシステム<2453>、シック・ホールディングス<7365>傘下で会員制「駆け付けサービス」展開のアクトコールなど2社を子会社化
2021/07/27

ジャパンベストレスキューシステムは、シック・ホールディングス傘下で住宅設備や暮らしの困りごとの会員制「駆け付けサービス」を展開するアクトコール(東京都新宿区。売上高28億3000万円、営業利益2億9700万円、純資産43億9000万円)など2社を株式交換により子会社化することを決めた。これまでライバル関係にあったアクトコールを取り込み、会員事業の拡大と収益向上につなげる。株式交換予定日は2021年9月30日。

ジャパンベストレスキューシステムは不動産賃貸入居者向けの「安心入居サポート」、大学生向けの「学生生活110番」などの会員事業を主力とし、ガラスの割換工事、水回りトラブル、鍵の交換、パソコンのトラブルなど、日常生活で発生する困りごとを解決するサービスを展開する。

子会社化するのはアクトコールのほか、コールセンター運営事業のTSUNAGU(東京都新宿区。純資産500万円)。株式交換比率はアクトコールについて1:0.265533647、TSUNAGUについて1:96.415。

シック・ホールディングスは家賃に関する決済サービス事業にグループの経営資源を集中させる。

サカイオーベックス<3408>、株式の非公開化へMBOを再実施
2021/07/27

サカイオーベックスは27日、MBO(経営陣による買収)を再度実施し、株式を非公開化すると発表した。2月から3月にかけて行われた前回のMBOは不調に終わっている。同社社長の松木伸太郎氏が設立したサカイ繊維(福井市)がTOB(株式公開買い付け)を実施する。サカイオーベックスはTOBに賛同している。TOBが成立した場合も、筆頭株主で旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は株式(所有割合8.33%)の保有を継続することで合意している。

公開買付者のサカイ繊維によるサカイオーベックス株の買付価格は1株につき3810円(前回の買付価格は2850円。最終的に3000円に変更)。TOB公表前日の終値3035円に25.54%のプレミアムを加えた。買付予定数は567万5533株で、買付代金は最大216億2378万円。買付予定数の下限は所有割合58%にあたる361万1900株。

買付期間は7月28日~9月8日。決済の開始日は9月15日。公開買付代理人はみずほ証券。

株式の非公開化は基幹部門である染色加工の市場縮小が続く中、制御機器事業をはじめ新分野への展開や事業の入れ替えを迅速に進められる経営体制をつくることを目的としている。

サカイオーベックスは1934年に初代酒井伊四郎が三井物産と共同で織物、撚糸の製造・販売を目的に設立した「酒伊織産」が前身。1980年代、安価な輸入品に押され、競争力が低下したことを受け、制御機器(制御盤、配電盤など)事業への進出など経営多角化に乗り出した。現在、染色加工、繊維販売、制御機器を3本柱とする。東証1部上場は1949年。

INCLUSIVE<7078>、田端大学校からオンラインサロン「田端大学」事業などを取得
2021/07/26

INCLUSIVEはオンラインニュースレター配信子会社のNewsletter Asia(東京都港区)を通じて、田端大学校(東京都渋谷区)からオンラインサロン「田端大学」とデジタルコンテンツ配信サービスの両事業を取得することを決めた。コミュニティーを中心とするビジネスモデルへの進出などが狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

田端大学校は2020年9月に、リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOなどでメディア関連事業やブランディング事業にかかわった田端信太郎氏が設立。同社が手がけるオンラインサロン「田端大学」は発信力を持ちたい個人や各分野の専門家としてのコミュニケーションスキルの強化を目指す方法など、田端氏が提唱する「ブランド人」を志向する人を対象とする。

 

 

 

 

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第8回:財務デューデリジェンス ~損益計算書分析はなぜ必要か?~

 

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 清水寛司

 

〈目次〉

1.損益計算書分析はなぜ必要か

2.正常収益力とは何?

① 正常収益力

②EBITDA

3.事例で確認してみよう

①事例の概要

②事例における収益力分析

4.その他の損益計算書分析

 

 

財務諸表といえば「貸借対照表」と「損益計算書」が中心ですが、第8回目となる今回は財務デューデリジェンスの中でも「損益計算書」に照準を絞って見ていきましょう。

 

 

▷関連記事:財務デューデリジェンスにおいて事業計画をどのように分析するのか?

▷関連記事:財務デューデリジェンス ~貸借対照表分析とは?(現預金、売上債権、棚卸資産の具体例)~

▷関連記事:財務デューデリジェンス「損益項目の分析」を理解する【前編】~正常収益力の分析、事業別・店舗別・製品別・得意先別等損益の分析、製造原価の分析~

 

 

1. 損益計算書分析はなぜ必要か


損益計算書分析で最も重要なことは、会社の「収益力」がどれほどかを確認することです。読者の皆様が概要だけ知っている会社をM&Aで購入する立場になったとき、買い手として気になるのは会社がどれほどの収益・利益を稼得することができるのかではないでしょうか。

 

将来の収益力を示す「事業計画」も大事ですが、過去の成績に基づかない事業計画は絵に描いた餅となってしまいます。事業計画は当年度の財務諸表を発射台として作成されますので、発射台の正確さを確認することは将来計画の検証にもつながりますね。そのため過去の成績を示す「損益計算書」を分析し、正常な状況における収益力を把握していくこととなります。

 

 

2. 正常収益力とは何?


①正常収益力

正常収益力は、会社が正常な営業活動を行った際に稼得する経常的な収益力です。

例えば、希望退職に伴う特別退職金の支払がある期があったとします。特別退職金の支払はその期だけの一時的な支払で、その期だけ利益が大きく落ち込んでいる原因となります。(特別退職金は人件費として販管費に含まれていたものとします。)

 

 

 

極端なケースですが、×2期だけ営業利益が大きく赤字となっています。この状態は正常とは言えないですね。状況に応じて特別退職金を除く、退職給付引当金繰入として各期に配分する等様々な考え方がありますが、会社にとって正常な状態とはどのような状態か?を考え、計算していくこととなります。

会社の非経常的な損益を除外して、正常な収益力を計算します。

 

②EBITDA

収益力把握の際によく使われる指標として「EBITDA」があります。EBITDAはEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの頭文字を取った語で、直訳すると「金利支払前、税金支払前、減価償却費控除前の利益」です。すなわち当期純利益から税金・支払利息・減価償却費を加算した指標で、利益から税金や利息、減価償却の影響を排除した指標と言えますね。借入金の支払利息・税金・減価償却費を除くことで、事業そのものの正常収益力を図ろうとしています

 

このEBITDAは、簡便的に「営業利益+減価償却費」で表現されることが多いです。営業利益であれば支払利息や税金を除いた状態ですので、営業利益に減価償却費を加算することで簡便的にEBITDAを表現しています。

 

 

ポイントは、減価償却費が「非現金支出費用」だという点です。減価償却費は費用計上時にキャッシュアウト(現金の流出)が生じない費用です。固定資産の減価償却であれば、最初に固定資産を購入する際に現金流出が生じていて、その後の償却はあくまで計算の結果発生している費用ですね。

営業利益に非金支出費用である減価償却費を足し戻すことから、簡便的な営業キャッシュフローとも言える、純粋な収益力を図る指標です。

 

 

ここで例として、2つの異なる会社の収益力を考えてみましょう。

 

 

 

両社とも売上高・営業利益が同じ会社ですが、当期純利益はB社の方がやや高い会社です。当期純利益で比較するとそこまで差はないものの、ややB社の方の収益力が高そうです。この考え方も決して間違ってはいないのですが、EBITDAで比較すると全く異なる発想が出てくることとなります。

 

 

 

 

EBITDAで見ると、A社の方が圧倒的に高い収益力を誇っています。この差はひとえに減価償却費の差です。例えば、A社は固定資産を購入したばかりで、定率法を選択しているため初年度の減価償却費負担が重い状態かもしれません。B社は10年前に固定資産を購入しており、ほぼ償却費がない状態とも考えられます。

 

利益での比較は上記のように会社の状況によって差が生じる原因となりますので、設備投資に影響されないEBITDAが活躍することとなります。

 

非現金支出費用である減価償却費を除いているので、A社とB社で比較するとA社の方が1年間に多くのキャッシュを手に入れています。固定資産投資をするために借入を積極的に行っているために支払利息が多くなっていると想定もできますね。

 

EBITDAを用いるとキャッシュベースの収益力を比較することが出来るため、利益や売上高と並んでEBITDAもよく使用される指標となっています。

 

3. 事例で確認してみよう


①事例の概要

最初の会社の事例を用いて、正常収益力を3期分算出してみます。その際、正常収益力に影響を与える項目が3つ発見されているとします。

 

 

 

 

 

最初に記載した点ですね。臨時的な支出であり、事業構造改革費用の性質であることが判明しました。先程の通り考え方は様々ですが、ここでは簡便的に特別損失と考え除外する方針とします。

 

 

 

 

続いて、経常的に発生する性質ではない売上が×1年にありました。継続した取引先ではなく、この期だけ発生した臨時の売上だったようです。このような項目は毎期経常的に発生する正常収益とは言えませんので除外します。

 

 

 

 

事業に関係ない販管費を含めてしまうと正常収益力を歪めますので、こちらも除外します。その他の例としては、役員が明らかに事業上必要でない高級車を社用車として使用している場合に社用車分の減価償却費を調整する等があります。

 

 

②事例における収益力分析

上記3項目を反映すると以下の通りです。各期の減価償却費は6,000→5,000→4,000とします。

 

 

利益のみを見ると×2期が赤字でしたが、会社の正常収益力を示す指標の1つであるEBITDAは毎期安定水準を保っていることが確認できます。

買い手である読者の皆様はこれを見ると安心できますね。長期的な視点に立って会社を買収する際には、結局本業でどれだけ稼いでいるかが一番の関心事となりますので、正常収益力を確認していくことになります。

 

逆に利益が安定的に出ていても正常収益力にばらつきがある場合もありますので、M&Aの意思決定に際して1つの重要な視点を提供することになります。

 

4. その他の損益計算書分析


正常収益力以外にも、各費目を事業部別、地域や拠点別、製品別、顧客別に分解して分析することが出来ますし、原価を変動費と固定費に分解して分析することもできます。

 

また、これまでの予算と実績を比較してその精度を確かめることで、将来の事業計画の精度を確認します。予算と実績が大きく乖離している場合は、原因を確認して将来の事業計画に与える影響を考えることとなります。

 

 

 

[Point]

損益計算書分析では、主に正常収益力(会社が正常な営業活動を行った際に稼得する経常的な収益力)がどれほどなのかを確認します。EBITDAを用いるとキャッシュベースの収益力を比較することが出来るため、売上高や営業利益と並んでよく使われます。

 

 

漠然とした財務デューデリジェンスに対するイメージが、少しでも具体的になっていただけたでしょうか。次回は損益計算書分析から派生して、事業計画分析について見ていきましょう。

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2021年8月3日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●ベンチャーキャピタルの譲渡案件

[業種:投資運用業/所在地:関東地方]

●地元を中心に営業基盤を有する業歴60年以上のタクシー業者

[業種:タクシー業/所在地:東日本]

●高利益体質の空調設備工事業

[業種:冷暖房設備工事業/所在地:関東地方]

 

 

 

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案件No.SS007438
ベンチャーキャピタルの譲渡案件

 

(業種分類)金融・リース

(業種)投資運用業

(所在地)関東地方

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)出資持分譲渡

(事業概要)ベンチャーキャピタル

 

 

〔特徴・強み〕

◇キーマンは、引き続きファンド運営に従事。
◇IPOの可能性が高い投資先が複数あり、数年以内に投資金額の回収を見込む。
◇投資先の一部に関してExitに成功しており、一定程度の資金回収が進んでいる。
◇有望な投資先が多く、投資時から株価上昇率100%超の企業数が二桁以上。

 

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案件No.SS007335
地元を中心に営業基盤を有する業歴60年以上のタクシー業者

 

(業種分類)物流・運送

(業種)タクシー業

(所在地)東日本

(直近売上高)1億以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)地元顧客や観光客向けにサービス提供を行うタクシー会社

 

〔特徴・強み〕

◇業歴60年以上の長い業歴を持ち、地元で高い認知度を保有
◇個人利用顧客に加え、豊富な法人契約等から営業基盤を確立

 

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案件No.SS007018
高利益体質の空調設備工事業

 

(業種分類)建設・土木

(業種)冷暖房設備工事業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)商業ビル、医療施設、工業等の空調設備工事を行う。

 

〔特徴・強み〕

◇現場調査からダクト、空調の施行、重量物の搬入まで一貫して行う。
◇医療施設等の特殊空調の対応も可能。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[ゼロからわかる事業再生]

第1回:経営状態の把握と事業再生

~貸借対照表と損益計算書が示す財務の状態によって、会社の方向性を考える~

 

[解説]

植木康彦(公認会計士・税理士)

 

 

[質問(Q)]

祖父の代から承継してきた事業ですが、ここ数年間は営業赤字が続いています。事業再生をした方がよいと言われますが、どのように進めたらよいか、助言をください。

 

 

[回答(A)]

会社の現状の財務状態をよく把握し、B/S 面が弱い(悪い)のか、P/L 面が弱い(悪い)のかによって対応が相違します。症状が軽度の場合はB/S 面・P/L 面ともに自助努力での対応が中心となりますが、症状が重い(悪い)場合のB/S 面・P/L 面での対応は金融機関や債権者の協力を得て再生手続を進める方法があります。

 

 

1.経営状態の把握


会社の行く末を検討するに当たって、定期的に会社の現在の状態を分析してみることは重要です。そうはいっても複雑な経営分析をするまでもなく、貸借対照表(以下、「B/S」といいます。)と損益計算書(以下、「P/L」といいます。)の2 つの計算書類が示す財務の状態によって、ある程度、会社の方向性を考えることができます。

 

B/S が資産超過でP/L が営業黒字のケース(図右上のセル)は、健全な状態を意味するセルであり、良い状態をキープすることが望まれます。

 

B/S が資産超過でP/L が営業赤字のケース(図右下のセル)は、事業(P/L)の磨き上げによる営業黒字化を検討し、無理な場合には資産超過のうちに廃業も視野に入れます。

 

B/S が債務超過でP/L が営業黒字のケース(図左上のセル)は、財務内容(B/S)の磨き上げによる資産超過を検討し、無理な場合には廃業するか、不健全な部分を切り捨てて、健全部分の継続かM&A を検討します。

 

B/S が債務超過でP/L が営業赤字のケース(図左下のセル)は、営業赤字の拡大を予防するために早急な廃業を検討します。

 

もちろん、実際にはこれほど単純な例は少なく、例えば、B/S が債務超過でP/L が営業赤字のケースでも、従業員の高いモチベーションと経営改善策によって営業黒字が見込めるときは、すぐに廃業しないで経営改善をチャレンジしてみることも可能です。

 

以上はあくまでも、原則的な指針としての位置づけですが、方向性に迷ったときには参考にしてほしいと思います。

 

 

 

2.事業再生の方法


事業再生は、弱い点や悪い点を改善し修復する手続ということができます。

 

B/S 面が弱い(悪い)ならB/S を磨き上げ、P/L 面が弱い(悪い)ならP/L を磨き上げます。

 

B/S の磨き上げは、会社の意思決定でできる低利用(低稼働)資産や不要資産の処分、不採算事業の整理・撤退のほか、金融機関や債権者の協力を得て債務の削減までしてもらう場合もあります。

 

P/L の磨き上げは、不採算事業や収益率が低い事業の廃業や売却、事業内容の見直しが中心テーマとなります。B/S の見直しと違い、会社の自助努力が中心となります。

 

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2021年7月27日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

●プランニング力に長けたインターネット広告代理店

[業種:広告業/所在地:中国地方]

●大手企業と取引多数のクリエイティブエージェンシー

[業種:広告制作業、映像・音声情報制作サービス業/所在地:関東地方]

●専門図書の出版事業及び書店経営を行う老舗企業

[業種:出版/所在地:関東地方]

 

 

 

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案件No.SS007374
プランニング力に長けたインターネット広告代理店

 

(業種分類)出版・印刷・広告

(業種)広告業

(所在地)中国地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)インターネット広告代理業 WEB制作業 システム開発業

 

〔特徴・強み〕

◇インターネット広告代理業を中心に営む。
◇顧客との広告戦略立案、現状の広告分析、広告用動画の制作などを一気通貫に手掛けている。

◇当社の強みとしては2点
└①広告予算案の作成から広告配信プランの立案等、企画段階からのプランニング力に長けている点

└②自社システムを用いて高度な広告配信状況の分析を行える点

◇取引先、取引金額は拡大傾向であり今後も継続的な売上増が見込まれる。また主要取引先においては毎年、年間予算を獲得しているため、安定的なストック収益基盤がある。

 

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案件No.SS007317
大手企業と取引多数のクリエイティブエージェンシー

 

(業種分類)出版・印刷・広告

(業種)広告制作業、映像・音声情報制作サービス業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)企業ブランディング 映像制作 WEB制作

 

〔特徴・強み〕

◇東証1部上場企業など大手企業との直取引を多数有するクリエイティブエージェンシー。
◇制作媒体はWebを中心に、CM、紙なども対応可能。
◇制作内容も映像、ホームページ、LPなど幅広く制作可能。
◇自社内で企画から制作まで一気通貫で対応が可能。
◇ブランディング目的の制作から見込み客獲得目的のダイレクトレスポンス型制作までノウハウを蓄積

 

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案件No.SS006019
専門図書の出版事業及び書店経営を行う老舗企業

 

(業種分類)出版・印刷・広告

(業種)出版

(業所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)教科書・参考書の出版販売

 

〔特徴・強み〕

◇譲渡対象会社は専門図書の出版事業と複数店舗の書店経営を行っている。
◇譲渡理由は「事業の成長と発展」及び「潜在的な後継者不在」のため。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[事業承継・M&A専門家によるコラム]

思ったより厳しかった事業再構築補助金 しかしやってみてよかった・・・

~ぜひ皆さまも一度は事業再構築にチャレンジもしくは考えてみてはいかがでしょうか?~

 

〈解説〉

ビジネス・ブレイン税理士事務所(畑中孝介/税理士)

 


 

今年、1兆円を超える予算規模、5万社の採択予定という超大型の事業再構築補助金が出ました。5万社の採択予定ですので初回の採択率はかなり高いのだろうと思いましたが、ふたを開けてみると緊急事態宣言特別枠(大幅に業績悪化した会社用)は5181社中2866社が採択 採択率55.3%、通常枠に至っては17050社中5150社 採択率30.2%とほかの補助金に比べても採択率が低い結果となりました。

 

しかし、採択結果の分析を中小企業庁 村上経営支援部長自らYOUTUBE動画として「第1回公募終了 ~その傾向と参考事例~」を公開し、全体的な傾向や事業計画を作る上での注意点、そして、これから申請される方へのアドバイスも含め配信していただいています。さらに、採択結果について個別にフィードバックをもらえるという、過去にないサービスも実施されています。

 

▷参考URL:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

 

 

そこでは、新規性に関する記述が不足、既存事業の延長ではない事業としての記載をもっとすべき。思い切った挑戦とは言えない。競合分析が不十分。新規性を追うがあまり、既存事業のリソースが生かし切れていないがもっと生かせるのでは。アフターコロナのための取り組みに関する説明不足。など真摯なコメントがあふれていました。

 

今回補助金の申請まで間に合わなかったお客様、申請要件をぎりぎり満たせなかったお客様、採択されなかったお客様などからも「結果的にはダメだったが、この新規事業について考えた結果、自分のビジネスを見つめ直し、新しい取り組みのアイディアが浮かんだのでやってみてよかった。」との声を頂戴しました。

 

 

ぜひ皆さまも、一度は事業再構築にチャレンジもしくは考えてみてはいかがでしょうか?

 

 


 

「ビジネスブレイン月間メルマガ(2021/07/26号)」より一部修正のうえ掲載

[解説ニュース]

貸家と敷地を所有する親が子に貸家を贈与し、敷地を使用貸借で貸付け後に死亡した場合の敷地の相続税評価

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い①

■相続税の家屋評価をめぐる最近の裁判例から

 

 

1.貸家建付地の相続税法上の評価


土地付き建物の所有者が建物を他に貸付けている場合、その建物の敷地を「貸家建付地」といいます。貸家の借家人には建物敷地の利用権があり、所有者もその敷地の処分や利用が制限されます。よって貸家建付地を相続により取得した場合は、相続税計算上、土地所有者の自己使用地(自用地)としての評価額から借家人の有する敷地利用権相当額(=自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)を控除して評価をします(財産評価基本通達通26)。

 

 

2.使用貸借により土地を貸していた個人に相続が発生した場合の、その土地の相続税法上の評価の原則


使用貸借に係る土地を相続により取得した場合、その土地に係る相続税法上の評価額は、自用地としての価額となります(使用貸借通達3)。

 

建物の所有を目的として使用貸借により土地を借受けた場合の借主の使用権は、借地借家法が適用されず、借主には賃貸借による賃借権などの借地権とは違い、強い法的保護がなく、貸主は、その求めにより、いつでも無償で土地の返還を受けられます。よって、使用貸借に係る土地の使用権の経済的価値は極めて低いと考えられ、その相続税評価額はゼロとされます。つまり、使用貸借に係る土地の貸主側のその土地の相続税法上の評価は、【自用地の価額-使用貸借の使用権の価額(=0)】により、自用地としての評価となります。

 

 

3.貸家とその敷地を所有する親が、子に貸家を贈与し、その敷地を使用貸借により貸し付け後に親が死亡した場合の敷地の相続税評価


(1)原則的な考え方

貸家とその貸家の敷地を所有する親が、貸家のみを子に贈与し、その敷地を子に使用貸借により貸付けている場合、貸家贈与後のその貸家敷地の相続税法上の評価の原則的な考え方は、前述2と同様に、自用地評価となります。自用地として評価する理由につき、使用貸借通達3の取扱いを解説した「令和2年11月改訂版相続税法基本通達逐条解説」(以下「逐条解説」)867頁は次のように述べています。「…すなわち、一般に、使用貸借により借り受けた土地の上に建物が建築され、その建物が賃貸借により貸し付けられている場合における、その建物賃借人の敷地利用権は、建物所有者(土地使用借権者)の敷地利用権から独立したものではなく、建物所有者の敷地利用権に従属し、その範囲内において行使されるにすぎないものと解されている。したがって、土地の使用借権者である建物の所有者敷地利用権の価額をゼロとして取り扱うこととした以上、その建物賃借人の有する敷地利用権についてもゼロとして取り扱うことは当然であり、また、その土地自体の価額も自用であるとした場合の価額によるべきと考えられるからである。」

 

(2)貸家に係る賃貸借契約が贈与前に既に締結されており、贈与後から敷地の相続による取得の時までその契約が継続している場合の貸家の敷地の評価

表題の場合、その貸家の敷地の相続税法上の評価は、次の理由により貸家建付地としての評価とされます(参考:「逐条解説」867頁~868頁)。

 

貸家の贈与前は、貸家の所有者である親がその敷地の所有者でもあり、貸家の所有者である親と貸家の借家人との間で締結された賃貸借契約に基づき、貸家の借家人は貸家を通じてその敷地利用権を有しています。その敷地利用権は敷地の所有権に対するものであり、判例(最判昭和38年2月21日民集17巻1号219頁、最判昭和41年5月19日民集20巻・989頁参照)において、貸家借家人の有する敷地利用権は、貸家が第三者に譲渡された場合でも侵害されないとしています。つまり、借家人の権利の保護の観点から、その貸家の譲渡(贈与や相続による所有権の移転も含むと解されます)により、貸家自体の土地に対する利用権が使用貸借となっても、借家人の従前の敷地の所有権に対する敷地利用権が、敷地の使用貸借による利用権(ゼロ評価)に対する敷地利用権に変わることはないということです。

 

表題の場合の貸家の借家人は、相続で新たにその貸家の敷地の所有者が変わっても、それより前の贈与の前に取得している貸家の敷地に対する利用権は侵害されることなく有しているため、その敷地は、相続で誰に取得されても、引き続きその処分や利用が、その利用権により直接制限されるため、表題の場合の貸家敷地の評価額は、自用地としての評価額から貸家建付地と同等の減額を行うのが当然といえます。以上により、表題の場合の貸家の敷地の相続税法上の評価は、前述 (1)にかかわらず、貸家建付地としての評価とされます。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/07/26)より転載

[M&Aニュース](2021年7月12日〜2021年7月21日)

◇神栄<3004>、キャベツやメロン栽培など農業子会社の神栄アグリテックをH.A.S.E.に譲渡、◇サイネックス<2376>、歯科医療機械器具・歯科材料卸のマルヤマ歯科商店を子会社化、◇Kaizen Platform<4170>、Webサイト制作のディーゼロを子会社化、◇アステナホールディングス<8095>、スカイネットの薬事サポート事業などを取得、◇and factory<7035>、宿泊予約管理システム「innto」事業をUSEN-NEXT HOLDINGS傘下のアルメックスに譲渡、◇レノバ<9519>、木質バイオマス専焼発電事業の苅田バイオマスエナジーを子会社化、◇栗林商船<9171>、タマネギを中心とする青果物卸売りの北千生氣を子会社化、◇シーアールイー<3458>、持ち分法適用関連会社で物流システム・ソフト提供のAPTを子会社化、◇ネクストジェン<3842>、子会社アクロスウェイの「VCLog」事業を長塚電話工業所に譲渡 ほか

 

 

 

神栄<3004>、キャベツやメロン栽培など農業子会社の神栄アグリテックをH.A.S.E.に譲渡
2021/07/21

神栄は、キャベツやトマト、メロン栽培などを手がける農業事業子会社の神栄アグリテック(福井県あわら市。売上高3300万円、営業利益△3600万円、純資産△2億1000万円)の全株式を、野菜栽培のH.A.S.E.(香川県三豊市)に譲渡することを決めた。農業事業は神栄が主力とする食品関連やその他事業との相乗効果や収益力が十分に見込めないと判断した。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月2日。

神栄は株式譲渡に合わせ、神栄アグリテックに対する貸付金2億4100万円の債権を放棄する。

サイネックス<2376>、歯科医療機械器具・歯科材料卸のマルヤマ歯科商店を子会社化
2021/07/21

サイネックスは、歯科医療機械器具・歯科材料卸のマルヤマ歯科商店(兵庫県三木市)の全株式を取得し、21日付で子会社化した。サイネックスはグループにおけるヘルスケア事業の中核企業としてマルヤマ歯科商店を迎え入れ、事業拡大を目指す。取得価額は非公表。

Kaizen Platform<4170>、Webサイト制作のディーゼロを子会社化
2021/07/21

Kaizen Platformは、Webサイト制作のディーゼロ(福岡市。売上高5億3700万円、営業利益600万円、純資産1億8300万円)の株式70.2%を取得し、子会社化することを決めた。Webサイトの改善を支援するUX(顧客体験)ソリューションの提供価値向上や新たな市場機会の創出などにつなげる。取得価額は4億3100万円。取得予定日は2021年8月11日。

ディーゼロは2000年に設立し、年間300件以上の制作・運営実績を持つ九州最大級のWeb制作専門会社という。

アステナホールディングス<8095>、スカイネットの薬事サポート事業などを取得
2021/07/21

アステナホールディングス(旧イワキ)は子会社を通じて、スカイネット(東京都文京区)から薬事サポートや製品輸入などの事業を取得することを決めた。薬事コンサルタント、医療機器製造販売受託ビジネスに参入するとともに、医療機器の企画・開発や輸入業務を強化する。取得価額、取得予定日は非公表。

and factory<7035>、宿泊予約管理システム「innto」事業をUSEN-NEXT HOLDINGS傘下のアルメックスに譲渡
2021/07/21

and factoryは宿泊予約管理システム「innto」に関する事業を、USEN-NEXT HOLDINGS傘下でビジネスホテル向け製品などの提供を手がけるアルメックス(東京都品川区)に譲渡することを決めた。宿泊関連はコロナ禍を契機に事業環境が激変したのを受けた措置。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月31日。

and factory<7035>、宿泊施設専用タブレットサービス「tabii」事業をxxxに譲渡
2021/07/21

and factoryは宿泊施設専用タブレットサービス「tabii」事業を、IT分野のM&A仲介などを手がけるxxx(東京都新宿区)に譲渡することを決めた。宿泊関連はコロナ禍を契機に事業環境が激変したのを受け、事業を取捨選択し、財務健全化と収益確保につなげる。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月31日。

レノバ<9519>、木質バイオマス専焼発電事業の苅田バイオマスエナジーを子会社化
2021/07/21

レノバは、持ち分法適用関連会社で木質バイオマス専焼発電事業を手がける苅田バイオマスエナジー(福岡県苅田町。設備容量75メガワット。売上高ー、営業利益△2500万円、純資産35億7000万円)の株式10%を追加取得し、子会社化することを決めた。現在43.07%の持ち株比率を53.07%に引き上げる。契約に基づき、株式の追加取得権を行使する。苅田バイオマス発電所は2021年6月に運転開始した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月28日。

栗林商船<9171>、タマネギを中心とする青果物卸売りの北千生氣を子会社化
2021/07/20

栗林商船は、タマネギを中心とする青果物卸売りの北千生氣(北海道中富良野町。売上高20億8000万円、営業利益3000万円、純資産8億2100万円)の全株式を取得し、20日付で子会社化した。栗林商船の全国的な海陸一貫の輸送サービスと、北千生氣が培ってきた仕入れ・販売ネットワークの組み合わせによる相乗効果の実現を見込む。北千生氣は1975年設立で、全国各地の中央・地方卸売市場、青果物卸売業者を取引先とする。取得価額は8億円。

シーアールイー<3458>、持ち分法適用関連会社で物流システム・ソフト提供のAPTを子会社化
2021/07/20

シーアールイーは、持ち分法適用関連会社で物流システム・ソフトウエア提供のAPT(千葉市。売上高13億3000万円、営業利益△5100万円、純資産1億6300万円)の株式を追加取得し、子会社化することを決めた。現在44.55%の持ち株比率を58.18%に高める。両社の関係緊密化とAPTのコーポレートガバナンス(企業統治)強化が狙い。シーアールイーは2018年にAPTと資本提携し、2020年12月に持ち分法適用関連会社としていた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

ネクストジェン<3842>、子会社アクロスウェイの「VCLog」事業を長塚電話工業所に譲渡
2021/07/19

ネクストジェンは、通信サービス事業子会社のアクロスウェイ(東京都港区)が手がける通話録音製品の輸入販売・保守に関する「VCLog」事業を、19日付で長塚電話工業所(東京都目黒区)に譲渡した。アクロスウェイにおける経営資源をクラウドコミュニケーションサービス事業に集中するため。当該事業の直近売上高は5700万円。譲渡価額は非公表。

ウエルシアホールディングス<3141>、中国四国でドラッグストア125店舗展開のププレひまわりを子会社化へ
2021/07/16

ウエルシアホールディングスは16日、中国・四国地方でドラッグストア125店舗を展開するププレひまわり(広島県福山市。売上高516億円)の株式50%超を取得し、子会社化することで基本合意したと発表した。中国・四国での店舗網拡大の一環。株式の相手先、条件などは今後協議のうえ決定する。取得価額は未確定。取得予定日は2021年12月1日。

ププレひまわりは1978年に「ひまわり薬局」として創業。1993年にドラッグストア事業に進出し、「スーパードラッグひまわり」「ププレひまわり サプラス」のブランドで、広島県を中心に岡山、島根、鳥取、兵庫、愛媛、香川県に調剤薬局併設店舗を含めて展開する。

イルグルム<3690>、動画マーケティング支援のトピカを子会社化
2021/07/16

イルグルムは、動画マーケティング支援のトピカ(東京都新宿区。売上高1億5600万円、営業利益400万円、純資産2100万円)の株式60.05%を取得し、子会社化することを決めた。急成長が続くソーシャルメディアマーケティング市場に事業領域を広げ、既存顧客企業へのサービス提供を強化する。取得価額は2億2000万円。取得予定日は2021年7月30日。

トピカは男性向け料理動画メディア「GOHAN」(フォロワーは延べ120万人)の運営をはじめ、コンテンツ制作からSNSアカウント運用代行までトータルに提供する独自サービス「TOPICA WORKS」を展開している。

ナレッジスイート<3999>、営業・マーケティング関連コンサルティングのネットビジネスサポートを子会社化
2021/07/16

ナレッジスイートは、ビジネスコンサルティングサービスを手がけるネットビジネスサポート(東京都渋谷区。売上高1億3100万円、営業利益800万円、純資産2700万円)の全株式を取得し、16日付で子会社化した。サブスクリプション(定額制)・リカーリング(従量制)収益モデルの強化を推し進める。取得価額は2億6200万円。

ネットビジネスサポートはAI(人工知能)・RPA(業務自動化)技術の活用に強みを持つ。営業・マーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む顧客企業に対し、入力負荷を下げ、営業効率・生産性の向上のほか、膨大な企業データベースでも名寄せが自社が行えるようになるという。

クオールホールディングス<3034>、鹿児島・宮崎で調剤薬局8店舗運営のケーアイ調剤薬局を子会社化
2021/07/15

クオールホールディングスは、調剤薬局のケーアイ調剤薬局(鹿児島県姶良市)の全株式を取得し、15日付で子会社化した。ケーアイ調剤薬局は1991年に創業し、鹿児島県、宮崎県に調剤薬局8店舗を運営する。取得価額は非公表。

and factory<7035>、賃貸不動産の管理会社と入居者をつなぐコミュニケーションアプリ「totono」事業をスマサポに譲渡
2021/07/15

and factoryは、賃貸不動産の管理会社と入居者をつなぐコミュニケーションアプリ「totono」事業を、不動産業界向けプラットフォーム事業のスマサポ(東京都中央区)に譲渡することを決めた。totono事業は2020年に始めたが、コロナ禍を契機に事業環境が激変したことなどを踏まえ、自社での事業継続を断念し、他社に委ねることにした。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月31日。

フュートレック<2468>、テレビ番組・CM制作子会社のメディアジャパンエージェンシーをエムテツクサービスに譲渡
2021/07/15

フュートレックは、テレビ番組やCMの企画・制作子会社のメディアジャパンエージェンシー(名古屋市。売上高5億9200万円、営業利益1620万円、純資産2億3000万円)の全株式を、立体駐車装置の改造・保守点検を手がけるエムテツクサービス(名古屋市)に譲渡することを決めた。中核と位置付ける「ソフトウエア開発・ライセンス事業」への経営資源集中の一環。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月2日。

ロコンド<3558>、サッカー・フットサルの通販サイトを運営するフェアプレイを子会社化
2021/07/14

ロコンドは、サッカー・フットサル商品の通販サイトを運営するフェアプレイ(東京都世田谷区。売上高7億8100万円、営業利益700万円、純資産2400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。スポーツ分野の通販事業を拡大する狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。子会社化後、9月1日付で吸収合併する。

フェアプレイが運営する「SPORTS WEB SHOPPERS」は国内最大規模のサッカー・フットサル専門サイトとして知られ、2021年1月期の商品取扱高は10億4600万円。

ロコンドは自社通販サイトの一つのカテゴリーとして「ロコンドスポーツ」を展開し、サッカー・フットサルをはじめ、ゴルフ、ランニング、ウォーキング、フィットネス、野球、スイミングなど幅広いスポーツ用品を取り扱う。ただ、主力の靴・バッグ・アパレルカテゴリーと比べると、売り上げ規模は見劣りする。今後、スポーツ分野の通販事業を拡大するにはロコンドとは別の「スポーツ専門通販サイト」が必要と判断したという。

Macbee Planet<7095>、AIマーケティングプラットフォーム運営のAlphaを子会社化
2021/07/14

Macbee Planetは、AI(人工知能)マーケティングプラットフォーム「3DAD」を展開するAlpha(東京都渋谷区。売上高6億7000万円、営業利益1億6300万円、純資産2億3700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。既存顧客の美容や金融業界への提供価値向上とともに、急成長が続くゲーム・エンターテインメントなど他業界へのLTV(顧客生涯価値)マーケティングの展開につなげる。取得価額は12億4000万円。取得予定日は2021年8月2日。

Alphaは2016年設立で、独自AIを用いた配信アルゴリズムと3次元(3D)技術に強みを持つ。

ジャパンエレベーターサービスホールディングス<6544>、愛媛県を拠点とするエヒメエレベータサービスを子会社化
2021/07/14

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーター保守管理のエヒメエレベータサービス(松山市。売上高3億8900万円、営業利益1780万円、純資産2億8400万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。保守契約台数の増大を通じた事業基盤拡大の一環。エヒメエレベータサービスは1985年設立で、愛媛県内を中心に1300台以上のエレベーターなどの保守管理を手がける。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

ワットマン<9927>、フィギュアを中心とするインターネット通販のホビーサーチを子会社化
2021/07/14

ワットマンは、フィギュアを中心にホビーグッズのインターネット通販を手がけるホビーサーチ(東京都墨田区。売上高15億4000万円、営業利益5500万円、純資産1億7700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ホビーサーチが抱える国内外54万人のユーザーに対し、衣料や家電のリユース事業を提供するとともに、リアル店舗やASEAN(東南アジア諸国連合)展開のノウハウなどを活用し、グループ事業の拡大を目指す。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月21日。

ホビーサーチは1999年設立で、北米を中心とする海外売上高が全体の半分以上を占める。

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス<6575>、研修・講座企画の中国子会社「思康博企业管理咨询有限公司」を経営陣に譲渡
2021/07/14

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスは、中国で研修・講座の企画・実施を手がける現地子会社の思康博企业管理咨询(上海)有限公司(上海市。売上高2400万円、営業利益△1700万円、純資産△300万円)の全株式を、経営陣に譲渡することを決めた。事業環境の変化に対応した措置という。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年9月30日。

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス<3657>、イラスト・動画制作のPanda Graphicsを子会社化
2021/07/12

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスは傘下企業を通じて、イラスト・動画制作を手がけるPanda Graphics(東京都新宿区。売上高3億7500万円、営業利益1650万円、純資産6610万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ゲームグラフィック受託開発の事業拡大につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月2日。

Pandaは2016年設立で、イラスト制作の中でも有名キャラクターを扱う版権イラストの絵寄せ制作を得意とする。

Pandaを子会社化するのはポールトゥウィン傘下のキュービスト(東京都新宿区)。キュービストはゲーム内で使うグラフィックやプロモーション動画、ゲームと連動したWebサイト、ゲーム攻略本、マニュアルの制作などを手がける。

ワッツ<2735>、音通<7647>傘下で100円ショップ「FLET’S」展開の音通エフ・リテールなど2社を子会社化
2021/07/12

ワッツは、音通傘下で100円ショップを展開する音通エフ・リテール(大阪市。売上高91億9000万円、営業利益3億3000万円、純資産△5億6100万円)など2社の全株式を取得し、子会社化することを決めた。基幹事業である100円ショップ事業の店舗網と事業規模の拡大につなげる。取得価額は未確定。取得予定日は2021年10月1日。

音通エフ・リテールは関西、関東を中心に「FLET’S」「百圓領事館」などのブランドで100円ショップを約140店舗展開する。ワッツは同社のほか、100円ショップ向け商材の卸売りを手がけるニッパン(大阪市。売上高5億2600万円、営業利益△0百万円、純資産0百万円)を併せて子会社化する。

ワッツは「ワッツ」「ワッツウィズ」「ミーツ」「シルク」などのブランドで100円ショップを全国に約1200店舗展開する。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[会計事務所の事業承継・M&Aの実務]

第4回:M&A後の所長税理士の関与方法

~M&A後の所長税理士の関与方法はどのようになりますか?~

 

[解説]

辻・本郷税理士法人 辻・本郷ビジネスコンサルティング株式会社

黒仁田健 土橋道章

 

 

 

▷関連記事:失敗例から学ぶM&A ~従業員の大半が退職したケース 、所長税理士と新所長の引継ぎがうまくいかなかったケース ~

▷関連記事:「会計事務所・税理士事務所のM&Aの特徴や留意点」とは?

 

 

Q、M&A後の所長税理士の関与方法はどのようになりますか?

A、M&A後の所長税理士(「所長税理士」は、売主側の個人事務所の所長をいいます。以下同様。)の関与度合いは、契約の中で待遇面も含めて決めることが重要です。M&A後の所長税理士の関与度合いには、大きく分けて四つのケースが考えられます。

 

①M&Aと同時に退職する
②M&A後一定期間は、所長として従来通りの業務をし、一定期間経過後退職する
③M&A後顧問などの相談役となり、一定期間経過後退職する
④期間は設けず、所長を継続する

 

①のM&Aと同時に退職するケースでは、業務の引継ぎに時間をかけることができず、瞬間的な引継ぎとなってしまいますので、引継ぎを受ける方の負担が大きくなり、また、従業員や顧問先も所長税理士が急に変わることによる不安感が大きいので、買主側としてはできるだけ避けます。

 

ただし、売主側である所長税理士は健康問題や個人的な事情があり、やむなく選択するケースがあります。この場合には、新しい所長をみつけて手配する必要があり、他のケースに比べて対応すべきことのスピードを速める必要が出てきます。

 

会計事務所の場合、高齢化や健康問題を要因とした事業承継型のM&Aをするケースが多いので、②又は③のように一定期間残って、引継ぎを進めていくケースが大半です。

 

なお、一定期間をどのくらいにするかは、その後の所長税理士のライフプランもあるので、契約段階での調整となりますが、1 年~ 5 年程度が目安となります。

 

特に③のケースのように、顧問などの相談役として関与する場合の出社頻度は、業務の引継ぎ状況に応じて決めていくケースが大半であり、毎日の場合もあれば、徐々に日数を減らす場合、当初から週何日と決める場合があります。

 

④の期間を設けず所長を継続するケースは、相当長い期間を見据えてM&Aをした場合が考えられますが、あまり多くありません。期間を設けず、そのまま継続するのであれば、個人事務所で事業をしているのと変わらないため、M&Aになるケースが少ないからです。

 

いずれにしろ従業員・顧問先に対して安心してもらうためにも、長年にわたり牽引してきた所長税理士が残ってくれることが重要です。

 

 

 

 

▷参考URL:M&A各種契約書等のひな形(書籍『会計事務所の事業承継・M&Aの実務』掲載資料データ)

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2021年7月20日)

-以下のM&A案件(5件)を掲載しております-

 

●建築設備検査・消防設備点検を主軸に安定収益を計上。都内ビルメンテナンス業

[業種:ビルメンテナンス/所在地:関東地方]

●中部地区で30年以上にわたり、クリニックを運営する事業者。

[業種:医療業/所在地:中部地方]

●アルミ材料の老舗問屋。安定顧客を有しており、受注は底堅く推移。

[業種:非鉄金属製品卸売業/所在地:関東地方]

●北陸地方を地盤とし、関西エリアでも業容拡大中 土木工事一式を行う建設会社

[業種:土木工事/所在地:中部地方]

●【業歴30年超】保温保冷材を中心とした建築資材卸売業

[業種:建築資材卸売業/所在地:東日本]

 

 

 

 

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案件No.SS007565
建築設備検査・消防設備点検を主軸に安定収益を計上。都内ビルメンテナンス業

 

(業種分類)ビルメンテナンス

(業種)ビルメンテナンス

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)建築設備検査・消防設備点検業務を主軸とするビルメンテナンス

 

〔特徴・強み〕

◇法令で義務付けられている建築物や消防設備の検査・点検業務を主軸に、一部設備工事まで手掛ける。
◇大手ビルメンテナンス会社等からの請負がメインであり、毎期安定した取引を継続している。
◇収益率高く、財務健全(無借金)である。

 

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案件No.SS007511
中部地区で30年以上にわたり、クリニックを運営する事業者。

 

(業種分類)介護・医療

(業種)医療業

(所在地)中部地方

(直近売上高)1億以下

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)事業譲渡

(事業概要)中部地区で耳鼻咽喉科を運営する事業者。地区内での評判も高く、安定した診療報酬を計上している。

 

〔特徴・強み〕

◇長年の業歴から信頼厚く、多くの固定客を有する。

 

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案件No.SS007485
アルミ材料の老舗問屋。安定顧客を有しており、受注は底堅く推移。

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)非鉄金属製品卸売業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)アルミ材料およびアルミ二次製品や加工品を主力とし、安定した顧客基盤を持つ老舗問屋。

 

〔特徴・強み〕

◇上場等の有力先が顧客に連ね、底堅い受注を確保しており、業績は堅調に推移。
◇コンサルティングから納品まで一貫体制でサービスを提供。

 

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案件No.SS007200
北陸地方を地盤とし、関西エリアでも業容拡大中 土木工事一式を行う建設会社

 

(業種分類)建設・土木

(業種)土木工事

(所在地)中部地方

(直近売上高)5~10億

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)北陸エリアにおいて土木・建築工事を手掛ける建設会社。

 

〔特徴・強み〕

◇若い社員が多い一方で技術力に定評があり、丁寧な仕事ぶりから大手ゼネコンの1次請のポジションを維持。

 

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案件No.SS007188
【業歴30年超】保温保冷材を中心とした建築資材卸売業

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)建築資材卸売業

(所在地)東日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)保温保冷材を中心とした建築資材卸売業

 

〔特徴・強み〕

◇保温保冷材のほか、空調設備用資材、吸音材、遮音材などを手掛ける。
◇従業員の知識が豊富で、取引先に対してきめ細やかな対応が可能。
◇建設業者や設備工事業者に豊富な取引基盤を有する。
◇病院やビルなどの集中暖房設備に強み。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「法人が解散した場合の欠損金の控除」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】法人が解散・残余財産が確定した場合の事業年度

■【Q&A】解散に際して支払われる役員退職金の課税関係

 

 

 


[質問]

顧問先がコロナの影響を受けて売上が激減したため法人の解散を検討しております。当該法人は代表取締役(現在70歳)とその兄弟が100%出資の株式会社で同族会社であり青色申告法人です。

 

現在の貸借対照表の状況は、資産の部700万円(うち不動産は無し)、負債の部が3,000万円(負債はほぼ代表取締役からの役員借入金で第三者からの借入金は無し)、純資産の部が△2,300万円(うち資本金が1,000万円、別途積立金が500万円)という状況です。

 

なお、直前期の別表7(一)5の繰越欠損金は約200万円残っており、別表5(1)の差引翌期首現在利益積立金額は約3,400万円となっています。

 

この状況で期限切れ欠損金を損金算入できるか否かご教示頂きたく照会させて頂いております。

 

私見としては、資産を処分価格で算定したとしても「残余財産は無いと見込まれる」状況にあると考えるため法人税法59条3項より期限切れ欠損金(別表5(1)の3,400万円)は損金算入でき、債務免除益として出てくるであろう約2,300万円に法人税は課税されないと考えておりますが、私の考え方に間違い無いでしょうか。

 

[回答]

ご承知のように、平成22年度税制改正において、清算所得課税が廃止され、通常所得課税に移行したことに伴い、従来の清算所得課税においては残余財産がない場合には最終的な清算所得もゼロであったことを考慮して、通常所得課税においても残余財産がないと見込まれるときには、その所得の金額を限度として期限切れ欠損金を損金算入することにより、税額が生じないようにする仕組みが導入されたものです。

 

つまり、法人が解散した場合において、「残余財産がないと見込まれる」ときは、その清算中に終了する事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額(期限切れ欠損金額)に相当する金額は、青色欠損金等の控除後の所得の金額を限度として、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされています(法法59③)。

 

そして、この措置の適用上、残余財産がないと見込まれるかどうかの判定は、この措置を受けようとする清算中の各事業年度終了の時の現況により行うこととされ(法基通12-3-7)、その事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときは「残余財産がないと見込まれる」ことが明らかにされています(法基通12-3-8)。また、一般には、実態貸借対照表(その法人の有する資産及び負債の時価ベースで作成された貸借対照表)により債務超過の状態にあるかどうかが確認できることとなります(法基通12-3-9)。

 

ご照会の事例の場合、「解散を検討」しているとのことで、まだ解散はしていないようですが、ご照会の事例の法人が解散し、清算中の事業年度に入ったという前提で考え、実態貸借対照表がご照会にあるとおりの数額であるとするならば、ご照会のとおりでおおむね差し支えないと考えます(別表5(1)の「約3,400万円」はマイナスの金額であると理解します)。

 

なお、言わずもがなですが、「期限切れ欠損金(別表5(1)の3,400万円)」の全額が損金算入されて所得金額がマイナスになるわけではありませんから、念のため申し添えます。

 

また、損金算入の対象となる期限切れ欠損金額は、この措置を受けようとする事業年度(適用年度)の前事業年度から繰り越された欠損金額の合計額から法人税法第57条第1項《青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し》又は第58条第1項《青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越し》により適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される青色欠損金額又は災害欠損金額を控除した金額とされており(令118)、「前事業年度から繰り越された欠損金額の合計額」とは、適用年度の確定申告書に添付する申告書別表5(1)の「期首現在利益積立金額」の合計額として記載されるべき金額で、その金額がマイナスである場合のその金額(申告書別表7(1)の控除未済欠損金額に満たない場合にはその控除未済欠損金額)とされています(法基通12-3-2)。

 

ただし、適用年度終了の時における資本金等の額がマイナスである場合には、「繰り越された欠損金額の合計額」からそのマイナスの資本金等の額を減算することとされており、そのマイナスの資本金等の額を欠損金額と同じように損金算入の対象とすることとされています(法法59③、法令118①一)。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2021年5月14日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[業界別・業種別 M&Aのポイント]

第12回:「トラック運送業のM&Aの特徴や留意点」とは?

~トラックの取得条件は?人員(ドライバー)の確保は?損益管理の状況は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:「産業廃棄物処理業のM&Aの特徴や留意点」とは?

▷関連記事:「小売業のM&Aの特徴や留意点」とは?

▷関連記事:「建設業のM&Aの特徴や留意点」とは?

 

 

 

Q、トラック運送業のM&Aを検討していますが、トラック運送業M&Aの特徴や留意点はありますか?


トラック運送業は、当たり前ですがトラックを保有しているという特徴があります。会社の資産の大部分が車両運搬具(トラック)となっている会社も多いです。トラックは、取得にかかる投資が必要となり、金融機関から借入又はリースによりトラックを調達します金融機関やリース会社と信頼関係を築けていないと、借入期間やリース期間が少し短くなる場合があります。期間が短いと月々の返済金額が多くなり、資金繰りが苦しくなるため注意が必要です。なお、一般的には、リースよりも借入の方が利率や手数料が低いため有利な条件でトラックを取得できます。また、リースよりも借入でトラックを購入している方が、財務的な健全であることが多いため、M&Aを検討している場合にはこれらを確認するようにしましょう。

 

また、トラック運送業は人員の確保に苦慮している業界の1つであると言えるでしょう。職業別労働市場関係指標によると、ドライバーの有効求人倍率は2019年で約3倍となっており、募集をかけてもなかなか応募が来ないのが現状となっています。

 

 

 

 

 

 

このような状況であるため、ドライバーを獲得するというのもM&Aの主要な役割となっています。この場合には、ドライバーが高齢化していないか、年齢を確認する必要があります。

 

トラック運送業の主なコストは、人件費、減価償却費(又は支払リース料)、燃料費です。人件費の上昇はどの業種でも同様となっていますが、燃料である軽油を少しでも安く調達するために、協会や組合等に加入している会社が多いです。また、資源エネルギー庁によると軽油の価格は2004年から2019年の間では@90円から@135円程度をだいたい5年周期で変動しています。

 

 

 

 

 

人件費の上昇や軽油の価格の変動を価格に転嫁できると良いですが、中小企業の運送業は大手の下請けを行っている場合が多く、値上げ交渉をできずにいる会社も少なくありません。この点、国土交通省から基本運賃が公表されていますが、やはり中小企業は基本運賃を獲得できていない会社が多いのが実情となっています。

 

車両は10年程度で買い替えることになるため、車両の購入費用等を賄えているかを確認するためにも、車両別の損益管理が必要です。さらに、車両だけでは戦略的に安い金額で受注している場合等もあるため、得意先別での損益管理も重要となります。M&Aを検討する場合には、損益管理の状況も含めて把握すると良いでしょう。

 

トラック運送業は、トラックを保有して事業を行うため、どうしてもトラック関連と人件費関連の支出がメインとなります。M&Aを検討する場合には、これらの経費のコントロールの状況や、取引条件等の得意先との関係性、トラックを借入で購入しているのかリースとしているのか、ドライバーの年齢の確認等を行いましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&Aニュース](2021年6月28日〜2021年7月9日)

◇電算システムホールディングス<4072>、ネットワーク機器設計・開発のマイクロリサーチを子会社化、◇NEW ART HOLDINGS<7638>、美術品オークション企画・運営のエスト・ウェストオークションズを子会社化、◇東京建物<8804>、サービスオフィス・コワーキング事業のエキスパートオフィスを子会社化、◇SHIFT<3697>、ゲームソフトのローカライズ事業を手がけるDICOを子会社化、◇ジャパンディスプレイ<6740>、液晶モジュール設計・製造の台湾子会社KOEを現地社に譲渡、◇昭和電工<4004>、鉛蓄電池事業をアドバンテッジパートナーズと東京センチュリーの連合体に譲渡、◇電通グループ<4324>、米LiveAreaを買収、◇日揮ホールディングス<1963>、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)のセラミックス事業を取得へ、◇ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>、岡藤日産証券HD傘下の三京証券を子会社化 ほか

 

 

電算システムホールディングス<4072>、ネットワーク機器設計・開発のマイクロリサーチを子会社化
2021/07/09

電算システムホールディングスは、モデムやルーターを中心にネットワーク機器の設計・開発を手がけるマイクロリサーチ(東京都品川区。売上高14億8000万円、営業利益2億900万円、純資産2億2700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。IoT(モノのインターネット)関連で独自技術を持つマイクロリサーチを傘下に取り込み、セキュリティー事業の強化につなげる。マイクロリサーチは2008年に創業。取得価額は11億2400万円。取得予定日は2021年7月30日。

NEW ART HOLDINGS<7638>、美術品オークション企画・運営のエスト・ウェストオークションズを子会社化
2021/07/09

NEW ART HOLDINGSは、絵画や骨董品など美術品のオークション企画・運営を手がけるエスト・ウェストオークションズ(東京都品川区。売上高5億4600万円、営業利益△3820万円、純資産4億6000万円)の株式70%を取得し、子会社化することを決めた。エストのオークションに関するノウハウを取り込み、絵画販売を中心とするアート事業の成長促進につなげる。取得価額は4億2000万円。取得予定は2021年7月中。

NEW ART HOLDINGSは婚約・結婚指輪を中心とするブライダルジュエリー事業、エステティックサロン運営などのヘルス&ビューティー事業に並ぶ柱として、絵画卸売り・小売りのアート事業を展開している。

エストは2000年設立で、絵画を主力に日本・中国美術、和骨董、東南アジア美術、西洋装飾美術、ジュエリー、時計、エコール・ド・パリ(1920年代にパリを舞台に活動した画家の一群の作品)などを取り扱っている。

東京建物<8804>、サービスオフィス・コワーキング事業のエキスパートオフィスを子会社化
2021/07/08

東京建物は、サービスオフィス・コワーキング事業を手がけるエキスパートオフィス(東京都千代田区。売上高13億円、営業利益4600万円、純資産11億1000万円)の株式51%を取得し、子会社化することを決めた。フレキシブルオフィス拠点の増強とネットワーク化が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月2日。

エキスパートオフィスは「エキスパートオフィス」のブランド名で東京都内を中心にサービスオフィス8拠点を展開する。

SHIFT<3697>、ゲームソフトのローカライズ事業を手がけるDICOを子会社化
2021/07/08

SHIFTは、ゲームソフトのローカライズ(現地語翻訳など)事業やゲーム開発を手がけるDICO(東京都渋谷区。売上高3億1300万円、営業利益1510万円、純資産3260万円)の株式80%を取得し、子会社化することを決めた。国内で開発されるゲームやスマートフォンアプリの多くは海外展開を想定しており、こうしたローカライズ需要の高まりに対して、十分な供給体制を整えるのが目的。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

傘下に収めるDICOは2011年設立で、ゲーム業界の海外進出ニーズに対応してきた。200人を超える各言語のネイティブスピーカーと連携し、各国・地域の文化的背景に即した言語品質を提供するとともに、開発工程で原文・翻訳文の効率的な管理を含む実装機能を備えるのが強みという。

ジャパンディスプレイ<6740>、液晶モジュール設計・製造の台湾子会社KOEを現地社に譲渡
2021/07/08

ジャパンディスプレイは、液晶モジュールの設計・製造を手がける台湾子会社のKaohsiung Opto‐Electronics Inc.(KOE、高雄市。売上高2億8800万円、営業利益1950万円、純資産4039万円)の全株式を、現地での製造委託先であるWistron Corporationのグループ企業に譲渡することを決めた。資産圧縮の一環。譲渡価額は80億円(ただし暫定価額)。譲渡完了は2021年9~12月を見込む。

譲渡先のWistronは世界的なEMS(電子機器の受託製造)企業で、同社とジャパンディスプレイはスマホ用ディスプレーのモジュール製造を長年委託する関係にある。

昭和電工<4004>、鉛蓄電池事業をアドバンテッジパートナーズと東京センチュリーの連合体に譲渡
2021/07/08

昭和電工は、鉛蓄電池事業を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京都港区)と東京センチュリーが出資するコンソーシアム(連合体)に譲渡すると発表した。鉛蓄電池事業は子会社の昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が手がけ、国内のほか、台湾、タイなどに拠点を持つ。譲渡価額は非公表。

昭和電工は昨年、日立化成(現昭和電工マテリアルズ)を約9600億円で買収し、財務基盤健全化のために2000億円規模の資産売却を打ち出しており、その一環。

アドバンテッジパートナーズなどのコンソーシアムは昭和電工マテリアルズが鉛蓄電池事業を会社分割で設立する新会社の全株式を取得し、年内をめどに傘下に収める。

電通グループ<4324>、米LiveAreaを買収
2021/07/07

電通グループは、米国の広告会社PFSweb, Inc.傘下のLiveArea(ライブエリア、テキサス州)を買収することを決めた。BtoC(企業・個人間取引)領域における顧客体験マネジメント(CXM)とコマース(取引)のサービス機能の強化・拡充が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は未確定。

日揮ホールディングス<1963>、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)のセラミックス事業を取得へ
2021/07/07

日揮ホールディングスは傘下の日本ファインセラミックス(仙台市)を通じて、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)のセラミックス事業を取得することで協議に入ると発表した。昭和電工マテリアルズの量産技術・材料技術を取り込み、半導体や次世代自動車などの成長分野の新製品開発につなげる狙い。2021年9月の最終契約締結を目指す。取得価額は未確定。

日揮傘下の日本ファインセラミックスは産業機械、半導体や液晶製造装置に使われるセラミックス、複合材料(MMC)や、高速通信用薄膜回路基板などを主力製品とする。

田中精密工業、130人程度の希望退職を実施
2021/07/06

ホンダ系自動車部品メーカーの田中精密工業は6日、130人程度の希望退職を実施すると発表した。同社と子会社でレース用部品などを製造するタナカエンジニアリング(富山市)に在籍する40歳以上の正規従業員を対象とし、募集期間は8月2日~25日(退職日は10月31日付)。構造改革の一環として、国内生産拠点の統廃合などと合わせ、人員合理化を進め、経営体質の強化と2年連続の赤字からの脱却を目指す。

所定の退職金に割増退職金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

田中精密の2021年3月期業績は売上高18.6%減の260億円、営業赤字2億3900万円(前期は3億2000万円の赤字)、最終赤字5億7100万円(同6億7000万円の赤字)。売上高は5年前の2016年3月期に400億円を超えていたが、大きく落ち込んでいる。2022年3月期予想は売上高296億円、営業黒字11億円、最終黒字7億円。

ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>、岡藤日産証券HD傘下の三京証券を子会社化
2021/07/06

ジャパンインベストメントアドバイザーは、岡藤日産証券ホールディングス傘下の三京証券(東京都中央区。売上高28億9000万円、経常利益4200万円、純資産9億5500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。金融サービス領域の拡大に向け、かねて証券業への進出を検討していた。取得価額は11億8200万円。取得予定日は2021年9月10日。

ジャパンインベストメントアドバイザーは航空機を対象とするオペレーティング・リース事業を中心に、環境エネルギー、パーツアウト・コンバージョン(退役航空機の部品リサイクルなど)事業などを手がける。傘下に収める三京証券は1944年創業の中小総合証券で、富裕層の個人を主力顧客とする。

光村印刷、80人程度の希望退職を実施
2021/07/02

光村印刷は2日、80人程度の希望退職者を募ると発表した。新型コロナウイルス感染拡大によるイベント・展示会の中止などでチラシ、パンフレット類の印刷需要が大きく落ち込んで厳しい経営環境が続いており、収益構造の再構築に向けた体制づくりの一環。子会社を含めて40歳以上の従業員を対象(一部事業所では年齢制限を設けない)とし、募集期間は8月6日~31日。募集人員は全従業員のおよそ15%にあたる。所定の退職金に加算金を上乗せ支給し、再就職支援も行う。

2021年3月期業績は売上高12%減の159億円、営業赤字5億4200万円(前期は1億5200万円の赤字)、最終利益7億9900万円(同3億4700万円の赤字)。期中に、電子部品のフラットパネルセンサー事業からの撤退や、草加工場(埼玉県草加市)の敷地売却・移転集約などのリストラ策に取り組んだ。これに続き、早期退職キャリア支援制度に基づく希望退職を実施し、人員の適正化を進める。

2022年3月期の業績予想は売上高150億円、営業利益1億円、最終利益1億円。営業損益は3期ぶりの黒字を見込む。

日本工営<1954>、英国の建築設計会社Pattern Designを子会社化
2021/07/02

日本工営は、英国の建築設計会社Pattern Design Limited(ロンドン)の全株式を取得し子会社化した。競技場やスタジアムなど大型スポーツ施設の設計・エンジニアリング分野での事業拡大につなげる。取得価額、取得日は非公表。

Patternは2009年に設立。FIFAワールドカップカタール2022の2会場(エデュケーション・シティ・スタジアム、アフマド・ビン・アリ・スタジアム)や、現在構想中のエヴァートンFC(英プレミアリーグ所属、リバプール)の約5万2000人収容の新スタジアムなど世界的に著名な大型スポーツ施設の設計を複数手がけ、スポーツ施設分野で高い専門性を持つ。

日本工営は英子会社BDP Holdings Limited (BDP、マンチェスター)を通じてPatternを傘下に収めた。BDPは歴史的建造物の改修、鉄道駅舎の改修、景観設計などを主力とし、2016年に日本工営が買収した。

フィデアホールディングス<8713>と東北銀行<8349>、2022年10月に経営統合へ
2021/07/02

荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD)と東北銀行(盛岡市)は2日、2022年10月1日の経営統合に向けて協議に入ることで基本合意したと発表した。実現すれば、東北全域(6県)をカバーする金融グループが誕生する。荘内銀行、北都銀行と東北銀行は2018年に包括的業務提携を締結し、共同店舗の開設やATM(現金自動預け払い機)の相互利用、システムの共同利用などを進めてきた。

金融持ち株会社であるフィデアHDが株式交換で東北銀行を傘下に収め、荘内、北都、東北の3行が並列にぶらさがる形となる。株式交換比率は今後確定する。東北銀行は東証1部への上場が廃止となる。

フィデアHDはこれまで岩手県、青森県に店舗を持たなかったが、東北銀行が加わることで、東北全域に店舗網(3行合計で149店舗)が広がる。東北地方では青森県を本拠とする青森銀行(青森市)、みちのく銀行(同)が2022年4月に共同持ち株会社方式で経営統合することを決めている。

地方銀行はマイナス金利の長期化や競争激化に伴う貸出金利の低下で苦境が続き、フィンテックに代表される金融の技術革新への対応も急務になっている。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で取引先の業績悪化や倒産などが重なり、経営環境は厳しさを増している。

2021年3月期の預金等残高は荘内1兆3084億円、北都1兆3480億円、東北8955億円で、3行合計で3兆5460億円。一方、貸出金残高は荘内8704億円、北都8748億円、東北6293億円で、合計2兆3606億円。

SPK<7466>、カーディテイリング事業を展開するカービューティープロを子会社化
2021/07/02

SPKは、カーディテイリング事業を展開するカービューティープロ(東京都世田谷区。売上高4億7700万円、営業利益△9000万円、純資産△2100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。カーディテイリングとは洗車やコーティングにとどまらず、ウインドーやボディーのフィルム施工、室内クリーニング、内外装の破損修理など車両全体を細部まできれいに仕上げるサービスを指す。SPKは自動車整備・補修のアフターマーケットを主要な事業領域として国内・海外の自動車部品卸を手がけており、相乗効果を見込む。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

ブロードメディア<4347>、ソフト開発のシステムデザイン開発を子会社化
2021/07/02

ブロードメディアは、ソフトウエア開発のシステムデザイン開発(札幌市。売上高2億8400万円)の全株式を取得し、2日付で子会社化した。動画配信やセキュリティー対策などを含めた「技術」セグメントの事業拡大につなげる。システムデザイン開発は1985年設立で、農業関連、流通・製造業、食品、医療関連などで長年実績を積んできた。取得価額は非公表。

DeNA<2432>、ライブストリーミング事業のIRIAMを子会社化
2021/07/02

DeNAは、インターネット上のリアルタイム動画配信サービスであるライブストリーミング事業を手がけるIRIAM(東京都渋谷区。売上高1億6400万円、営業利益△8200万円、純資産9億8700万円)の株式を追加取得し、子会社化することを決めた。現在20%の持ち株比率を100%に引き上げる。取得価額は120億2600万円。取得予定日は2021年8月1日。

DeNAは2020年8月に、キャラクターの姿でライブ配信を楽しめるアプリ「IRIAM(イリアム)」を運営するIRIAMに出資し、持ち分法適用関連会社とした。IRIAMの利用者数は順調に伸びており、子会社として傘下に取り込むことで、一層の事業拡大を目指す。

DeNA<2432>、認知機能検査システム開発の日本テクトシステムズを子会社化
2021/07/02

DeNAは、認知機能検査関連のシステム開発などを手がける日本テクトシステムズ(東京都港区。売上高1億3100万円、営業利益△3600万円、純資産2億3800万円)を株式交換で子会社化することを決めた。高齢者向けヘルスケア事業の成長加速につなげる。

株式交換比率はDeNA1:日本テクトシステムズ0.0057。株式交換予定日は2021年9月1日。

日本テクトシステムズは声による認知機能みまもりツール「ONSEI」、高齢者運転免許更新時の認知機能を検査する「MENKYO」など社会課題の解決に向けた機器やヘルスケアアプリを提供している。

西尾レントオール<9699>、木造構造物設計・販売のATAを子会社化
2021/07/01

西尾レントオールは、木造構造物の設計・販売を手がけるATA(富山県滑川市)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。仮設構造物のレンタル分野では大型テントに注力してきたが、木造を品ぞろえに加え、事業強化につなげる。ATAは一般流通材のみを使い、最大スパン(柱間距離)40メートルの木造の中大規模空間を実現する独自構法を展開する。取得価額は非公表。

サイバーエージェント<4751>、シェア型オフィスを企画・運営するリアルゲイトを子会社化
2021/07/01

サイバーエージェントは、スタートアップ企業やクリエーター向けにシェア型オフィスを企画・運営するリアルゲイト(東京都渋谷区)の株式の過半数以上を取得し、1日付で子会社化した。不動産領域への参入が狙い。取得割合、取得価額は非公表。

リアルゲイトは2009年設立で、渋谷エリアを中心にフレキシブル・ワークプレイス事業を展開する。築古ビルを対象に耐震補強や増築、用途変更などの建物のバリューアップを行った後、ラウンジや会議室、スカイテラスなどの共用部を設け、魅力ある物件に生まれ変わらせ、スタートアップ企業などに貸し出す。

サイバーエージェントは不動産領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目指す。

プロパティエージェント<3464>、システムコンサルティングのアヴァントを子会社化
2021/07/01

プロパティエージェントは、システムコンサルティング業のアヴァント(東京都中野区。売上高6億2600万円、営業利益△1億4100万円、純資産△100万円)の株式20.3%を追加取得し、1日付で子会社化した。第三者割当増資を引き受け、これまで30.1%だった持ち株比率を50.4%に引き上げた。今後の注力領域と位置付けるDX(デジタルトランスフォーメーション)関連で相乗効果の発揮を期待している。今年1月に資本参加したばかりだが、次の段階として子会社化に踏み切る。取得価額は6900万円。

インソース<6200>、Webプロモーションやシステム開発を手がけるマリンロードを子会社化
2021/07/01

インソースは、Webプロモーションやシステム開発などを手がけるマリンロード(宇都宮市)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。Webマーケティング事業の強化などが狙い。マリンロードは1999年設立。取得価額は非公表。

インソースは企業の人事部向けに講師派遣、公開講座、オンライン教育などを手がける。

アシードホールディングス<9959>、物流関連サービスのロジックイノベーションを子会社化
2021/07/01

アシードホールディングスは、物流関連サービスを展開するロジックイノベーション(岡山市。売上高1億7400万円、純資産1億200万円)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。物流サービスの付加価値向上の一環。ロジックイノベーションは2013年設立で、倉庫を活用した物流アウトソーシング・物流代行のほか、食品廃棄物・廃プラ・木くずなどのリサイクル事業を手がける。取得価額は非公表。

アウトソーシング<2427>、米軍向け電気通信工事で実績を持つ米国Integrity Networksを子会社化
2021/07/01

アウトソーシングは米国子会社のアメリカンエンジニアコーポレイション(AEC、デラウェア州)を通じて、電気通信工事業の現地Integrity Networks, Inc.(ワシントン州)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。米軍施設向け事業の成長加速の一環。Integrity NetworksはITや弱電設備のシステム構築などに関し、民間企業、公共企業向けにとどまらず、米海軍や米陸軍への豊富なサービス実績を持つ。取得価額は非公表。

今回Integrity Networksを傘下に収めるAECは日本国内の米軍施設を中心に空調・電気工事、建物や設備の改修・保全サービスなどを幅広く展開する。Integrity Networksは米国本土に加え、環太平洋地区を含めてグローバルレベルのプロジェクトへの入札参加が可能になる。

テクノプロ・ホールディングス<6028>、ERP導入コンサルティングのジーコムネットを子会社化
2021/06/30

テクノプロ・ホールディングスは、ERP(統合基幹業務システム)パッケージの導入コンサルティングなどを手がけるジーコムネット(東京都港区。売上高3億4100万円、△3000万円、純資産3700万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。傘下のテクノプロ(東京都港区)を通じて展開するERP事業の開発・人材育成ノウハウを獲得し、顧客提案力の強化につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

テクノプロを通じてジーコムネットを子会社化後、10月1日付でテクノプロを存続会社として吸収合併する予定。

ODKソリューションズ<3839>、システム開発のECSを子会社化
2021/06/30

ODKソリューションズは、システム開発のECS(広島市。売上高3億3300万円、営業利益237万円、純資産6880万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。主要都市圏における拠点整備の一環で、中四国地方での事業拡大につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月16日。

ODKソリューションズは受験支援など教育関連をはじめ、金融、医療関連のシステム開発・運用を手がける。

富士テクノソリューションズ<2336>、ソフト開発・技術者派遣の中日本技研を子会社化
2021/06/30

富士テクノソリューションズは、ソフトウエア開発や技術者派遣を手がける中日本技研(名古屋市。売上高5億7700万円、営業利益27万7000円、純資産4億9400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社は事業内容がほぼ重なり、富士テクノは自社のグループ戦略に合致すると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス<3657>、ソフト受託開発を主力とするMSDホールディングスを子会社化
2021/06/30

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスは、ソフトウエア受託開発を主力とするMSDホールディングス(東京都千代田区)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。幅広い業種業態の顧客を持つMSDを傘下に取り込み、システム設計・開発、第三者検証、モニタリング、インフラ運用、カスタマーサポートなどのトータルサービスの提供につなげる。MSDホールディングスは持ち株会社で、傘下に4つの事業子会社を持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

MSD傘下の4社はソフト受託開発のMIRAIt Service Design(東京都千代田区。売上高20億円、営業利益1億4700万円、純資産2億3600万円)、ソフト受託開発のソフトワイズ(同。売上高4億3200万円、営業利益4560万円、純資産1億3300万円)、技術系コールセンター事業のMSD Secure Service(同。売上高4590万円、営業利益△2500万円、純資産△1770万円)、システムエンジニアリングサービスの盛達テクノロジー(東京都品川区。売上高8820万円、営業利益△579万円、純資産3000万円)。

Sharing Innovations<4178>、ソフト開発のアップオンデマンドを子会社化
2021/06/30

Sharing Innovationsは、ソフトウエア開発のアップオンデマンド(京都市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。関西圏での拠点獲得が狙い。関西圏での顧客開拓を進めるとともに、関西圏出身のエンジニアの採用や関西圏での勤務を希望するエンジニアへの勤務地の提供につなげる。アップオンデマンドは2010年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月16日。

テクノホライゾン<6629>、ソフト開発の市川ソフトラボラトリーを子会社化
2021/06/30

テクノホライゾンは、ソフトウエア開発の市川ソフトラボラトリー(千葉市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。市川ソフトは1988年設立で、画像処理ソフト技術に強みを持つ。取得価額、取得予定日は非公表。

レオパレス21、上場廃止の猶予期間入り銘柄に
2021/06/29

レオパレス21は29日、東京証券取引所の規定に基づき上場廃止にかかる猶予期間入り銘柄になったと発表した。2021年3月期決算で84億円の債務超過に陥ったのに伴うもので、2023年3月期末までに債務超過が解消できない場合は東証1部への上場が廃止になる見通し。レオパレスは2018年に発覚したアパート建築を巡る施工不良問題を受け、補修工事関連の巨額費用や顧客離れによる新規入居の低迷などで経営が揺らいでおり、信頼回復と再建の途上にある。

レオパレスは施工不良問題で2019年3月期に686億円の最終赤字に転落。20年3月期の最終赤字は802億円に膨らんだが、21年3月期は黒字転換を見込んでいた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なり、最終赤字は236億円だった。3年連続の最終赤字となった結果、3月期末で84億円の債務超過となった。

債務超過になると上場廃止までの猶予期間は通常1年だが、新型コロナの感染拡大の影響に起因すると認められる場合は猶予期間が2年に延長され、この規定がレオパレスに適用される。

戸田工業<4100>、射出成形磁石を製造する中国の江門協立磁業高科技を子会社化
2021/06/29

戸田工業は、射出成形磁石を製造する中国の江門協立磁業高科技有限公司(広東省。売上高17億8000万円、営業利益5億8100万円、純資産8億9100万円)の持ち分60%を取得し、子会社化することを決めた。サプライチェーン(供給網)の安定化と事業承継の観点から、経営権を握ることにした。取得価額は非公表。取得予定は2021年8月10日以降。段階的に持ち分比率を高め、最終的には完全子会社化する。

江門協立は磁性粉末(フェライト系、希土類系)と樹脂を複合化したボンド磁石(プラマグ)をはじめとする精密成形部材の日系メーカーで、設立は2006年。戸田工業は同社と長年、取引関係にあった。

戸田工業は磁性粉末やプラマグ用コンパウンドを開発・製造する。

歯愛メディカル<3540>、新電力子会社「四つ葉電力」「新潟県民電力」の2社をLooopに譲渡
2021/06/29

歯愛メディカルは、新電力事業の子会社である四つ葉電力(大阪市。売上高3億1500万円、営業利益△1億400万円、純資産△8600万円)と新潟県民電力(新潟市。売上高1億1700万円、営業利益0百万円、純資産△500万円)の保有全株式(2社の所有割合はいずれも60%)を、電力小売り事業のLooop(東京都台東区)に譲渡することを決めた。2020年に対象2社を傘下に収めたが、年初の寒波や発電燃料不足を受けた卸電力価格の急騰で新電力を取り巻く事業環境が不透明さを増す中、経営資源の配分を見直すことにした。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年6月30日。

歯愛メディカルは歯科診療用品の通販大手で、経営多角化のために2016年に新電力事業に参入し、歯科医院やクリニックを中心に電力を販売してきた。

2020年に四つ葉電力、新潟県民電力、石川電力(金沢市)、福井電力(福井市)の4社を相次ぎ傘下に収めたが、このうち石川電力、福井電力については親会社のワンレクトホールディングス(金沢市)を今年1月に手放した。今回、四つ葉電力、新潟県民電力の譲渡により、新電力事業は大幅に縮小することになる。

揚工舎<6576>、介護付き有料老人ホーム運営のまんまるを子会社化
2021/06/29

揚工舎は、介護付き有料老人ホーム運営のまんまる(東京都三鷹市。売上高1億6400万円、営業利益△1370万円、純資産△4250万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。東京近郊での事業拠点を拡充する狙い。まんまるは2004年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

シャープ<6753>、マイクロレンズユニット製造の中国子会社「連雲港康達智精密技術」を現地社に譲渡
2021/06/29

シャープは、マイクロレンズユニットを製造する中国子会社の連雲港康達智精密技術有限公司(江蘇省)の全持ち分(所有割合100%)を、現地の遼寧中藍電子科技有限公司(遼寧省)に譲渡することを決めた。連雲港康達智精密技術はシャープ子会社のカンタツ(東京都品川区)の傘下企業で、業績低迷や不適切会計処理の伴う業績修正への対応が課題となっていた。譲渡価額、譲渡予定日は非公表。

譲渡先の遼寧中藍電子科技はスマートフォン機器の部品・コンポーネントの設計や開発、製造を手がける。

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>、オンライン接客サービス提供のUsideUを子会社化
2021/06/29

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスは、クラウド型オンライン接客サービスを提供するUsideU(東京都中央区。売上高1億2900万円、営業利益△237万円、純資産3310万円)の株式50.01%を取得し子会社化することを決めた。Eコマース(電子商取引)など非対面・非接触の接客ニーズを的確に取り込み、オンライン接客市場で独自のポジション確立につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

UsideUは2017年設立で、「TimeRep」と名付けた遠隔接客サービスを開発・展開する。オンライン接客の企画提案から導入支援、導入後の接客データの分析・改善提案などをトータルに行い、アバター(コンピューター上の分身)技術に強みを持つという。

アトラグループ<6029>、鏡を使ったオンライントレーニング事業を展開するOne Third Residenceを子会社化へ
2021/06/29

アトラグループは29日、フィットネスクラブ運営のOne Third Residence(東京都千代田区)を子会社化する方向で交渉を進めると発表した。One Third Residenceが手がける独自のトレーニングツール「Fitness Mirror」に関する事業を共同運営するために合弁会社の設立を昨年来検討してきたが、事業展開のスピードを速めるため、One Third Residenceの買収に切り替えることにした。7月中の合意を目指す。

Fitness Mirrorはミラー型のオンライントレーニング機器で、鏡に自分の姿を映しながら、鏡の中のトレーナーの指示に従ってトレーニングを行う。400本以上のトレーニングコンテンツを収録し、ライブレッスンも実施中。新型コロナウイルス感染拡大が続く中、在宅でのオンライントレーニングの利用が広がると期待している。

アトラグループは鍼灸接骨院の開業支援やデイサービス事業を主力事業とする。Fitness Mirrorに独自コンテンツを加え、付加価値を高める。鍼灸接骨院、デイサービスの利用者にも活用を促し、事業拡大につなげる。

CIJ<4826>、ソフト開発のa‐LINKを子会社化
2021/06/28

CIJは、ソフトウエア開発のa-LINK(横浜市。売上高6億600万円、営業利益1800万円、純資産8億3500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。技術的な相互補完とオフショア(海外開発拠点)活用による量的側面の対応に関し、相乗効果を期待している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

a-LINKは2003年設立で、制御系、通信系のソフト開発を主力とし、上流コンサルティングからシステム設計、ソフト開発、品質評価、保守運用までをトータルに手がける。とくに画像処理関連で強みを持つという。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[M&A案件情報(譲渡案件)](2021年7月6日)

-以下のM&A案件(6件)を掲載しております-

 

●大手企業との共同開発多数。産業用部材等の開発ベンチャー。

[業種:金属部品製造、工業用部品製造、産業用部材製造/所在地:関東地方]

●業歴が長く関東地方で高いシェアを有する生コンクリート運送業

[業種:運送業/所在地:関東地方]

●急成長中の越境EC支援事業を展開するベンチャー企業

[業種:越境EC支援/所在地:東日本]

●業歴50年以上、地元で高い知名度を誇る自動車部品製造業者

[業種:自動車部品製造業/所在地:関東地方]

●医療・薬局向け自社パッケージソフトウェアの販売が急拡大中。システム開発会社

[業種:システム開発/所在地:中部地方]

●販売、仕入ともに大手企業と取引をおこなう九州地方の業務用衣類等卸売業

[業種:繊維・衣類等卸売業 その他の卸売業/所在地:九州・沖縄地方]

 

 

 

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案件No.SS007487
大手企業との共同開発多数。産業用部材等の開発ベンチャー。

 

(業種分類)製造業

(業種)金属部品製造、工業用部品製造、産業用部材製造

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)出資持分譲渡

(事業概要)金属部品、工業用部品、産業用部材等を開発製造

 

〔特徴・強み〕

◇産業用部材等の開発、設計、技術提供が主業
◇大手企業との共同開発が多数進行中であり、今後の成長が期待される
◇ベンチャーキャピタル投資持分の売却案件

 

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案件No.SS007453
業歴が長く関東地方で高いシェアを有する生コンクリート運送業

 

(業種分類)物流・運送

(業種)運送業

(所在地)関東地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)会社分割

(事業概要)関東地方で高いシェアを誇る生コンクリート運送業

 

〔特徴・強み〕

◇数十台のミキサー車を所有。
◇関東地方で高いシェア。
◇荷主のニーズにきめ細かく対応可能。

 

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案件No.SS007365
急成長中の越境EC支援事業を展開するベンチャー企業

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)越境EC支援

(所在地)東日本

(直近売上高)5~10億

(従業員数)10~50名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)中国への越境EC事業を展開 戦略立案から、進出準備、現地での販売までワンストップで支援 新ブランド開発のコンサルティング 商標関連のアドバイザリーサービス

 

〔特徴・強み〕

◇中国ビジネスへの深い知見
◇戦略立案から実働までワンストップで支援

 

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案件No.SS007236
業歴50年以上、地元で高い知名度を誇る自動車部品製造業者

 

(業種分類)製造業

(業種)自動車部品製造業

(所在地)関東地方

(直近売上高)10~50億

(従業員数)50~100名

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)自動車部品の製造加工を主業とする

 

〔特徴・強み〕

◇大手Tier1をメイン得意先とし関係性も良好。足元の業績好調。東南アジアにも製造拠点あり。

 

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案件No.SS007059
医療・薬局向け自社パッケージソフトウェアの販売が急拡大中。システム開発会社

 

(業種分類)IT・ソフトウェア

(業種)システム開発

(所在地)中部地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡

(事業概要)システム開発 自社パッケージソフトウェアの販売

 

〔特徴・強み〕

◇医療・薬局向けのシステム開発をメインに、提案から開発、納入までがワンストップで行えるシステム開発会社。
◇自社パッケージソフトウェアの販売が好調であり、保守・ライセンスにかかる月額継続課金によって安定・高収益を計上し、今後も事業拡大が見込まれる。
◇開発・営業リソース不足の課題解消のため、事業パートナーとの資本提携を希望。

 

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案件No.SS006892
販売、仕入ともに大手企業と取引をおこなう九州地方の業務用衣類等卸売業

 

(業種分類)商社・卸・代理店

(業種)繊維・衣類等卸売業 その他の卸売業

(所在地)九州・沖縄地方

(直近売上高)1~5億

(従業員数)10名以下

(譲渡スキーム)株式譲渡事業概要業務用の作業服、制服、靴等の企画・販売をおこなう

 

〔特徴・強み〕

◇長年の業歴を誇る業務用衣類等の販売をおこなう会社
◇仕入先、販売先に大手企業の取引先を持ち、創業以来継続して取引をおこなっている。
◇取引先ごとに企画したオリジナルの衣類等を販売。

 

-案件に関するお問合せ・ご相談は、このページ文末の「お問合せ・ご相談」ボタンより-


情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[M&A事業承継の専門家によるコラム]

第6回:ノンネームシートや企業概要書とは何か? 譲渡企業側のアピールの方法を考える。

 

中小零細企業経営者や経営者をサポートする専門家の方が抱えるM&Aや事業承継に関するお悩みを、中小零細企業のM&A支援・事業計画支援を専門で行っている株式会社N総合会計コンサルティングの平野栄二氏にアドバイスいただきます。

 

〈解説〉

株式会社N総合会計コンサルティング

平野栄二

 

 

 

「私は現在75歳です。従業員5人の製造業を経営しています。第三者に承継(M&A)を行う場合、候補先に、どのようにアピールしていけばよいでしょうか。また、よく、「ノンネームシート」とか「企業概要書」という資料があると聞きますが、どういったものでしょうか。よろしくお願いいたします。」

 


 

平野:ご質問いただきありがとうございます。以下のような手順でご説明をいたします。

 

①M&Aにおいて、譲渡企業はどのような資料を候補先に開示するのか説明いたします。具体的には、「ノンネームシート」、「企業概要書」についての説明を行います。

②ノンネームシートの役割や留意点、アピール方法を説明いたします。

③企業概要書の役割や留意点、アピール方法を説明いたします。

④成功事例を紹介します。

 

 

1、ノンネームシート(ティーザー)

M&Aで候補先を探索を開始するにあたり、まずは「ノンネームシート」と呼ばれる匿名での案内書を作成します。

 

ノンネームシート(ティーザー)とは、譲渡企業が特定されないよう企業概要を簡単に要約した企業情報をいいます。譲受企業側に対して関心の有無を打診するために使用されるものです。

 

 

 

 

2、企業概要書(IM、IP)

企業概要書とは、譲渡企業側が秘密保持契約を締結した後に、譲受企業側に対して提示する譲渡企業についての具体的な情報(実名や事業・財務に関する一般的な情報)が記載された資料をいいます。インフォメーション・メモランダム「IM(Information Memorandum)」やインフォメーション・パッケージ「IP(Information Package)」とも呼びます。

 

 

 

 

3、提出時期と提出目的の違い

ノンネームシートと企業概要書はそれぞれ役割が違っており、以下のとおり、目的と提出時期が異なります。

 

①目的

(ノンネームシート)

譲受企業側に対して関心の有無を打診するために使われます。関心があれば、連絡を受けて、企業名等を開示するかの検討に入ります。

 

(企業概要書)

譲受企業側に対して、譲渡企業の経営・財務情報を開示することによって、関心があれば、企業トップ同士の面談や基本合意へと交渉を進めるために使われます。

 

②提出時期

(ノンネームシート)

M&A の方法や時期などの方針が概ね決まり、これから候補先の探索を始める段階。

 

(企業概要書)

譲受企業側との秘密保持契約を締結すると同時に実名の開示が行われ、譲受企業側が、譲渡企業に関心を持って、交渉に進みたいと打診をしてきた段階。

 

③M&Aの流れと「ノンネームシート」と「企業概要書」の作成時期

ノンネームシートと企業概要書は、以下のようなタイミングで作成されることが求められます。

 

❶アドバイザー等に相談⇒❷アドバイザリー契約の締結⇒❸ノンネームシートの作成候補先の探索・紹介⇒➎候補作と秘密保持契約の締結⇒❻企業概要書の作成トップ面談(お見合い)⇒❽意向表明提出(譲渡企業)⇒❾基本合意の締結(独占交渉権付与)⇒❿譲受企業による買収監査⇒⓫最終条件交渉⇒⓬最終契約書(本契約)の締結⇒⓭対価の授受、業務引継ぎ

 

 

 

4、「ノンネームシート」のアピールポイント

①業種

(例)〇〇の製造販売 など

 

業種はできる限り具体的に記載することがポイントです。ここを広げすぎると、無用な対応の時間が増えてしまいます。しかし、ニッチな業種の場合、特定される可能性があるので、業種を絞らずに大きく記載する場合もあります。

 

②譲渡理由

(例)事業の選択と集中のため

 

譲渡理由は、「後継者不在のため」「事業の選択と集中のため」「アーリーリタイアし別事業へ挑戦するため」「企業の成長・発展のため」などと記載します。業績不振や健康不安など負のイメージはノンネームの段階では、なるべく記載しないようにします。

 

③会社所在地

(例)関西地方

 

業種によっては、地域を狭めると特定されるケースもあるので留意します。

 

④売上高等

(例)1億円弱

 

売上は大きい方が好まれるが、嘘のない範囲で数字を丸めて記載します。また、売上高以外に、純資産額なども譲受企業は重視する傾向があるので、財務内容が良い企業はあえて記載することもあります。

 

⑤従業員数

(例)9名(役員除く)

 

従業員数も、「10人前後」「10人~15人」などとぼやかす場合もあります。ただし、引退予定の役員などは含めない方がよいです。

 

⑥希望形態条件

(例)株式譲渡 (社長所有の事業用不動産の賃貸を希望)

 

「株式譲渡」「事業譲渡」や「会社分割後新設会社を譲渡」などと記載します。100%株式譲渡でない場合など、特殊な場合はその旨を記載しておく必要があります。また、個人の事業用不動産を譲渡や賃貸する場合も記載します。その他条件として、「従業員全員の雇用継続」「代表者の保証債務の抹消」「オーナー一族以外の役員の勤務継続」など記載しておきたいことを簡単に記載します。

 

⑦譲渡希望額

(例)応相談

 

譲渡希望価額はまだ算定できていないケースもあり、その場合は「応相談」と記載しておきます。あまり法外な価額を記載することは相手先が見つからない可能性があります。一方で、低く見積もるとその後の値上げには応じてもらえない可能性があるため慎重に記載する必要があります。

 

⑧特徴

(例)〇〇の部品・を製造・販売している。〇〇品にも力を入れている。歴史ある企業で長年の実績があり、顧客との信頼関係が強い。在庫管理が行き届いており、迅速な配送体制が強みである。本社事務所社屋はオーナー親族の所有であり、譲渡後は適正価格にて賃借が可能であり、交通の便が良好な場所に位置している。

 

①~⑦までの内容について、もう少し詳細に記載したい場合に補足説明します。たとえば、支店や営業所がある場合など。企業の持つ強み・特長を完結に記載します。具体的には、会社の社風や、歴史、ブランド力、取引先の多さ、多様なネットワーク・立地のよさ、技術力・知的財産権などです。逆指名として「〇〇〇〇のような企業を求める」というような記載をしても良いです。

 

 

 

5、「企業概要書」のアピールポイント

【フルバージョンの場合の企業概要書の一例】

1.はじめに

2.概要

3.会社の沿革・代表者のプロフィール

4.会社付近の地図・全景写真など

5.自社の製品・サービスの案内

6.自社の強み

7.株主名簿

8.従業員/役員の状況/労働組合の状況

9.主な売上先・仕入・外注先の概要

10.地代家賃の概要

11.不動産・固定資産の概要

12.借入金の状況

13.M&A後のシナジー効果

14.3期(または2期)比較財務諸表

15.時価貸借対照表

16.EBITDAの計算

 

 

企業概要書は、譲受企業が初めて手にする譲渡企業の概要です。この資料で、譲り受けの判断をすることになるので、非常に重要です。

 

ポイントとしては、4つあります。

 

①「良い会社、希望を持てる会社である」という印象をもってもらう必要があります。そのため、自社の強みについては分かりやすく記載します。

 

②開示した資料についての「算定根拠についてはなるべく詳細に記載する」ことで、読み手の理解を助けることになります。とくに「イレギュラーな数値や内容についてはコメントを記して説明」しておく必要があります。

 

③現状、業績が芳しくない企業については「その原因を記載し改善策も提示」しておくことで、少しでも希望をもってもらう必要があります。

 

④想定される譲受企業の譲受後の統合作業のイメージがわくように、「M&A後のシナジー効果」なども記載しておくと、譲受企業が参考にしやすいと思います。

 

 

【企業概要書のアピール法】
■自社の強みの説明ポイント

(留意点)

●強みを「営業面・商品面、生産面・技術面、組織面」などに区分して記載する

●商品の特長については、写真や図を付けて、視覚的にアピールする

●他社製品との比較表なども付けると、競争力のある事業だと感じてもらえる

●具体的に記載することが重要(実績・経験・資格・許認可・成果など)

 

 

生産プロセスや、サービス提供プロセスなどを、上図のように簡単に図解し、写真なども添付しながら説明を行い、プロセスのどの部分に強み(付加価値)があるのかを記載します。

 

■従業員・株主・役員構成の記載のポイント

従業員の内容は、譲受企業の多くが関心を持つので、丁寧な記載が必要になります。また、イレギュラーな内容がある場合は脚注を付すなどして、理解をしてもらいやすくします。

 

 

 

 

■主要な取引先の記載ポイント

譲受企業の関心の一つに、取引先企業の業種、規模、件数、構成比などがあります。上位5社から10社程度の取引先を以下のように開示すると、参考にしてもらいやすくなります。

 

 

 

 

 

■固定資産等の記載ポイント

固定資産の場合は、できる限り現況を記載する。固定資産台帳などが実際の現況と異なる記載がある場合は、脚注にその旨を記載するなど、配慮をすると参考になります。

 

 

 

 

 

■損益計算書の記載ポイント

●過去3期分程度の損益計算書の推移を決算書などから作成する。

●イレギュラーな数字がある場合は脚注にて説明を行う。

●増減が大きい数字については原因なども記載をするとわかりやすい。

 

 

 

 

 

 

■貸借対照表(時価貸借対照表)の記載ポイント

●過去3期分程度の貸借対照表の推移を決算書などから作成する。

●イレギュラーな数字がある場合は脚注にて説明を行う。

●以下のように簡易な時価評価を記載することで、実態に合った財政状態を提示できる。

 

 

 

 

 

 

6、成功事例(学習塾の場合)

【事例概要】

(譲渡企業)

●30代男性社長

●1教室のみ独立型学習塾を経営

●数年程前に起業をし、駅前のビルを賃貸し、学習塾を立ち上げる

●誠実な指導方法が評判で順調であったが、アーリーリタイアにより、M&Aを検討

 

(譲受企業)

●10教室以上を経営している中堅学習塾

●コロナウイルス禍で学習塾が休業になり、一時交渉が延び延びになったにもかかわらず、交渉は順調に進み、値引きなしの当初の売買価格にてクロージングが達成

 

【成約のポイント】

①譲渡社長の誠実な人柄が信頼されたこと

②充実したサービスを提供しているにもかからず、講座価格等が低く、収益性は悪かったが、平均以上の顧客を抱えており、潜在能力を評価してもらえたこと

 

【企業概要書でのアピールポイント】

●ノンネームの生徒の情報(学校名・学年・学力など)・ 講師の情報(出身校・経験・得意科目など)を掲載して、商圏や学力レベル、講師の指導レベルなどが一目でわかるように記載した。

●授業料の計算方法やサービスの内容を詳細に記載して、問題点と解決策などを記載した。

●本来、受け取るべきテキスト代や臨時講習料なども適正価格に修正した損益シミュレーションを作成し、業務改善しだいでは高い収益を得ることができることを記載した。

●講師1人に対する生徒数の数比率を世間一般での生徒数に変更することで、なお、高い収益性が確保できることをアピールした。

●当面、現経営者にも講師として参画してもらうことで、既存の生徒に安心感をもらってもらうように、現経営者を含めた収益予測を行い企業概要書に提示した。

 

【結果

当初の提示額の3~4倍の譲渡価額で納得いただき、成約することができた

 

 

7、まとめ

①ノンネームシート

●譲受企業に判断してもらいやすいように、情報を簡潔に記載する。

●企業名が特定できないように、記載方法に注意すること。

●ホームページなどの用語をコピーすると、検索に引っかかる可能性があるので注意する。

●ノンネームとはいえ、信頼できるアドバイザーに渡すこと(承諾なく、ファックスやメールでばら撒く業者も存在するので注意する)。

 

②企業概要書

●必ず、秘密保持契約を交わすか、秘密保持の誓約書を受けとってから開示する。

●企業概要書は自社のプレゼンテーション資料だという認識で記載する。

●提示する相手の重要度・信頼度によって、提出する資料の詳細は加減して提示する。

●強みを強調し、今後も持続的に発展する要因がある旨をアピールする。

●問題点を敢えて提示し、その解決策を示すことで、誠実さをアピールする。

●譲渡後の改善策とともに、改善後の収益予測など数字でアピールする。

●確認に時間がかかる場合は、後で随時改良し、概要書の品質を高めていく。

 

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第8回:経営コンサルタントから「売りたくても売れないタイミングが来るよ」と言われました。本当ですか?

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

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Q.経営コンサルタントから「売りたくても売れないタイミングが来るよ」と言われました。本当ですか?

 

半導体関連の製造業を営んでいます。創業来25年、特殊なオーダーにも応えられる高い技術力を軸に、取引先から多くの受注をいただいてきました。利益も出しており、財務状態は健全です。私はまだ体力、気力共に充実していますので、これから10年くらいかけてさらに会社を成長させ、70歳を迎えたら会社を譲渡して引退しようと考えております。

 

ただ、知り合いのコンサルタントにその話をしたところ、「10年も待っていたら経済環境が変わって、売りたくても売れなくなってしまうし、引退もしづらくなる」と指摘されました。今のところ取引も順調ですし、10年後に譲渡してもまったく問題ないと思うのですが、そんなことがあるのでしょうか?

 

(愛知県 製造業 K・T さん)

 

 

 

A.会社の業績やご自身の年齢だけでなく、M&Aの市場動向や日本の人口構造も考慮して引退時期を決めた方が良いでしょう。

 

会社の業績も良く、ご相談者の体力・気力が充実されている中で、引退を急かされるような指摘をいただいても、なかなかピンときませんよね。気持ちはよくわかります。一方で、トップの引退を考えるに当たり、今後の経済環境をまったく考えなくてよいかと問われると、決してそんなことはありません。M&Aでは、良い買い手を見つけて会社運営や従業員の雇用を任せることが大事です。譲渡価額などを含めて良い条件でのM&Aを実現するには、自分の主観や都合だけで引退時期を考えるのではなく、好条件で譲渡できる最適なタイミングを客観的に検討する必要があると思います。

 

経営者の平均引退年齢は68歳前後が多いです。ご相談者も70歳を迎えたらとおっしゃっていますので、同じぐらいの年齢ですね。年齢別人口の分布では70~74歳、65~69歳が多くなっています。多くの経営者はこのボリュームゾーンに集中していると考えられています。

 

 

このような情報から見えてくることは次の2つです。

 

①経営者の多くが引退年齢を迎え、譲渡ニーズが増加し始めている。

②それに伴い、買収ニーズに対して譲渡ニーズが過多となり、社長が譲渡したくとも買い手企業が少ない状況に陥ることが見込まれる。

 

 

 

人口構造の変化を考えると、業種を問わず「売りたくても売れなくなる状況」が予測されますので、それを踏まえて経営の出口を考えなければならないと思います。

 

ご相談者に「売りたくても売れなくなる時がくる」とおっしゃったコンサルタントは半導体関連事業の将来性を気にされていたのかもしれません。以前に私がお手伝いしたM&Aでも、ご相談者と似たケースがありました。金型関連のファブレスメーカーで、優良な取引先を有し、売上は減少しているものの無借金で純資産は2億円、ノウハウを持った従業員達が複数在籍する会社でした。「このまま自社単独で経営していたら、今は良いが、いずれ行き詰まる。ならば企業価値が高いうちに譲渡したい」とのご要望があり、ちょうど第二の収益の柱を求めていた異業種のメーカーとのM&Aが早々に実現しました。「今ならば売れる、今しか売れない」―― その決断力が成功要因だったと社長は話されていました。

 

また、買収側の企業は、譲渡側のオーナーの年齢はもちろん、継続勤務する従業員(特にキーパーソン)の年齢も気にします。M&A後、数年でキーパーソンも定年退職する可能性がある場合、買い手企業は二の足を踏んでしまいます。ご相談者は10年後に譲渡を検討すると仰っていますが、その時の社内のキーパーソンは何歳になっているでしょうか。

 

M&Aニーズの多寡は業種・エリア・事業規模により異なります。「少し前のタイミングだったら、良いお相手がいたのに…」と後悔しないために、最近のM&A市場の動向や具体的な候補先の有無、M&Aの条件などについて、ぜひ専門のM&Aアドバイザーにご相談されてはいかがでしょうか。