[M&Aニュース](2021年10月18日〜2021年10月29日)

◇澤田ホールディングス、「HSホールディングス」に社名変更へ、◇日本ペイントホールディングス<4612>、スロベニアの塗料メーカー JUBを子会社化、◇ベステラ<1433>、アスベスト・ダイオキシン対策工事の矢澤を子会社化、◇ロコンド<3558>、通信販売業のデファクトスタンダードが運営するファッション通販サイト「waja」を取得、◇FHTホールディングス<3777>、機械式駐車場据え付け工事のアイレスを子会社化、◇早稲田アカデミー<4718>、明光ネットワークジャパン<4668>の新設子会社「個別進学館」を取得、◇ヨシックスホールディングス<3221>、店舗内装の芝産業を子会社化、◇ルネサスエレクトロニクス<6723>、イスラエルのアナログ半導体企業「セレノ」を子会社化、◇ダスキン<4665>、氷菓子・アイスクリーム製造子会社の蜂屋乳業をバンリューに譲渡、◇中越パルプ工業<3877>、巴川製紙所<3878>から超軽量印刷用紙事業を取得、◇システムリサーチ<3771>、ソフト開発のゼネラルソフトウェアを子会社化 ほか

 

 

 

 

 

 

澤田ホールディングス、「HSホールディングス」に社名変更へ
2021/10/29

澤田ホールディングスは28日、2022年1月1日付で「HSホールディングス」に社名を変更すると発表した。主要株主である筆頭株主及び関係会社の異動を理由としている。同社では今年4月末に、筆頭株主で約27%の株式を持つ投資会社のタワー投資顧問(東京都港区)に代わって、第2位株主だった会長の澤田秀雄氏(エイチ・アイ・エス会長)が筆頭株主となった。新社名の「HS」は澤田秀雄会長のイニシャルにちなんだものとみられる。社名変更は12月14日に開く臨時株主総会に諮る。

澤田ホールディングスは国内外で金融事業を展開し、エイチ・エス証券やハーン銀行(モンゴル)などを傘下に持つ。澤田ホールディングスを巡っては昨年2月、投資ファンドのMETA Capital(東京都港区)がTOB(株式公開買い付け)を始め、株式50%超を取得して子会社化を目指した。しかし、TOBは今年7月に不成立となるまで343日に及ぶ異例の展開となった。

澤田会長は保有株をTOBに応募することにしていたが、最終的に会社側はTOBに反対を表明した経緯がある。

日本ペイントホールディングス<4612>、スロベニアの塗料メーカー JUBを子会社化
2021/10/29

日本ペイントホールディングスはスロベニアの塗料メーカー、JUB(売上高150億円、税引き前利益17億円)を買収すると発表した。1億9450万ユーロ(約254億円)を投じて、株式99.8%を取得する。JUBは建築用塗料や断熱材の製造・販売を手がけ、スロベニア、セルビア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナを中心に流通網を持つ。買収完了は2022年1~6月中を見込む。日本ペイントは同社を足掛かりに、成長が期待される中・東欧市場での地盤構築を目指す。

日本ペイントは2019年に傘下に収めたオーストラリア最大手の塗料メーカー、デュラックスグループが英国に設立した新会社を通じてJUB株を取得する。

ベステラ<1433>、アスベスト・ダイオキシン対策工事の矢澤を子会社化

2021/10/29

ベステラは、アスベスト・ダイオキシン対策工事の矢澤(東京都渋谷区。売上高5億2000万円、営業利益1800万円、純資産8700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ベステラが主力とするプラント設備の解体工事においても、アスベスト対策、ダイオキシン対策など特殊工事の需要増加が見込まれているのに対応する。取得価額は非公表。取得予定日は2021年12月20日。

矢澤は2007年設立で、大手ゼネコン(総合建設会社)向けに豊富な工事実績を持つ。

ロコンド<3558>、通信販売業のデファクトスタンダードが運営するファッション通販サイト「waja」を取得
2021/10/29

ロコンドは、通信販売業のデファクトスタンダード(東京都大田区)からファッション通販サイト「waja」を取得することを決めた。ロコンドが運営する靴・ファッションのEC(電子商取引)サイト「LOCONDO.jp」との相乗効果が大きいと判断した。取得価額は155万円。取得予定日は2022年1月1日。

FHTホールディングス<3777>、機械式駐車場据え付け工事のアイレスを子会社化
2021/10/29

FHTホールディングスは、関東近郊を中心に機械式駐車場の据え付けや保守・修繕工事を手がけるアイレス(東京都港区。売上高1億9200万円、営業利益313万円、純資産952万円)の全株式を取得し、29日付で子会社化した。FHTはマンション管理・清掃業務を行う子会社の東環(東京都港区)との連携で新たな顧客や物件の獲得につなげる。取得価額は6220万円。

早稲田アカデミー<4718>、明光ネットワークジャパン<4668>の新設子会社「個別進学館」を取得
2021/10/29

早稲田アカデミーは、明光ネットワークジャパンが「早稲田アカデミー個別進学館」事業を会社分割して新設する個別進学館(東京都豊島区)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。「早稲田アカデミー個別進学館」は高学力向け個別指導塾で、早稲田アカデミーと明光ネットワークの両社が資本業務提携に基づき2010年から相互展開してきたが、今後、早稲田アカデミー単独での展開に切り替えるのに伴う措置。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月30日。

明光ネットワークは早稲田アカデミー個別進学館を直営で7校、フランチャイズで15校を展開しており、これらが譲渡対象となる。早稲田アカデミーと明光ネットワークは資本業務提携を解消する。

ヨシックスホールディングス<3221>、店舗内装の芝産業を子会社化
2021/10/29

ヨシックスホールディングスは、店舗内装の設計・施工・管理を手がける芝産業(神奈川県小田原市。売上高10億8000万円、営業利益5200万円、純資産2億1600万円)の全株式を取得し、29日付で子会社化した。店舗内装など建装事業の強化・拡大が狙い。ヨシックスは寿司居酒屋「や台ずし」を中核ブランドに飲食チェーンを運営する一方、子会社を通じて建装事業を展開する。芝産業を傘下に取り込み、グループ外顧客との取引拡大につなげる。取得価額は非公表。

芝産業は1978年設立で、首都圏の建装業界における老舗企業。

ルネサスエレクトロニクス<6723>、イスラエルのアナログ半導体企業「セレノ」を子会社化
2021/10/28

ルネサスエレクトロニクスはイスラエルのアナログ半導体企業、セレノ・コミュニケーションズ(ラーナナ市)を買収すると発表した。米国にあるセレノの持ち株会社(デラウェア州。売上高42億2000万円、営業利益△9億8100万円、純資産△1億9700万円)の全株式を約359億円で取得し、子会社化する。買収完了は2021年12月までに見込む。

セレノはWi-Fi向けの半導体に強みを持ち、高解像度画像技術を組み合わせ、家庭での高齢者の見守りやホームセキュリティー、自動車の安全運転、ネットワーク化した工場の稼働などに用途を広げている。ルネサスは同社を取り込み、IoT(モノのインターネット)、社会インフラ、産業、自動車分野などのアプリケーションとして需要が高まる低電力のコネクティビリィティー(相互接続性)技術をグローバルに提供する。

ルネサスは米国に設立する買収子会社とセレノの持ち株会社の合併(逆三角合併)を実施する。合併対価としてセレノの株主に現金が交付される一方、買収子会社の株式がセレノの発行済み株式に転換されることにより、セレノを完全子会社化する。

セレノはイスラエルに設計拠点を持ち、同国のほか、ウクライナ、インド、中国、台湾などにも展開している。

ダスキン<4665>、氷菓子・アイスクリーム製造子会社の蜂屋乳業をバンリューに譲渡
2021/10/28

ダスキンは氷菓子やアイスクリーム、菓子類の製造・販売子会社の蜂屋乳業(大阪市。売上高16億7000万円、営業利益4400万円、純資産1億9200万円)の全株式を、バンリュー(兵庫県姫路市)に譲渡することを決めた。事業の選択と集中による事業構成の適正化の一環としている。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年11月30日。

ダスキンは2012年に蜂屋乳業を子会社化し、全国展開する「ミスタードーナツ」店舗でのアイスクリーム販売などの事業展開を検証してきた。

譲渡先のバンリューは傘下に食肉の加工・販売、外食を手がける子会社を抱える持ち株会社。

中越パルプ工業<3877>、巴川製紙所<3878>から超軽量印刷用紙事業を取得
2021/10/28

中越パルプ工業は傘下の三善製紙(金沢市)を通じて、巴川製紙所(東京都中央区)から洋紙事業の一部を取得することを決めた。対象となるのは超軽量印刷用紙(トモエリバー薄葉印刷用紙、手帳洋紙)の営業権や商標権、棚卸資産。取得価額は約3億円。三善製紙の営業基盤の強化につなげる狙い。取得予定日は2021年11月28日。

システムリサーチ<3771>、ソフト開発のゼネラルソフトウェアを子会社化
2021/10/28

システムリサーチは、ソフトウエア開発のゼネラルソフトウェア(東京都千代田区。売上高8億9200万円、営業利益8900万円、純資産10億7000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。関東圏と関西圏での取引拡大などが狙い。取得価額は11億9800万円。取得予定日は2021年11月30日。

ゼネラルソフトウェアは1980年設立で、関東圏と関西圏を中心にソフトウエアの設計・開発、サーバーネットワークのシステム環境構築、システム運用・保守、ヘルプデスクといったソフトウエアにかかわる業務全般を手がけてきた。同社を傘下に収めるシステムリサーチは名古屋市に本社を置き、東海圏を地盤している。

Abalance<3856>、太陽光発電のジャパン・ソーラー・パワーを子会社化
2021/10/28

Abalanceは傘下企業を通じて、太陽光発電事業のジャパン・ソーラー・パワー(高知市。売上高10億円、営業利益4900万円、純資産1億4600万円)の全株式を取得し、28日付で子会社化した。ストック型ビジネスを推し進める一環で、安定収益、キャッシュフロー(現金収支)の確保につなげる。取得価額は非公表。

ジャパン・ソーラー・パワーは石川県鳳珠郡と島根県邑智郡に太陽光発電所を保有する。年間発電量は3330メガワットアワーで、一般家庭の約720世帯分の消費電力に相当するという。

電通グループ<4324>、ネット広告大手のセプテーニ・ホールディングス<4293>を子会社化
2021/10/28

電通グループは28日、ネット広告大手のセプテーニ・ホールディングスが実施する第三者割当増資を引き受け、子会社化すると発表した。現在19.36%の持ち株比率を52.01%に引き上げる。これまでの両社の資本業務提携を深化させ、電通グループが重点分野と位置付けるデジタルマーケティング分野の事業拡大を推し進める。総額約326億円に上る第三者割当増資の実行予定日は2022年1月4日。セプテーニのジャスダック上場は維持される。

セプテーニは電通グループへの傘下入りに伴い、電通グループの子会社でダイレクトマーケティング事業の電通ダイレクト(東京都港区。売上高159億円、営業利益4億1100万円、純資産10億8000万円)を2022年1月4日付で子会社化する予定。

インフォコム<4348>、システム開発のメディカルクリエイトを子会社化
2021/10/27

インフォコムは、医療機関の放射線部門向けシステム開発を手がけるメディカルクリエイト(広島市。売上高4億9500万円、営業利益9900万円、純資産1億3500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ヘルスケア事業の規模拡大や顧客サポートの品質向上などにつなげる。メディカルクリエイトは2004年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月29日。

INPEX<1605>、ノルウェーで石油・天然ガス開発の出光スノーレ石油開発を子会社化
2021/10/27

INPEXは、ノルウェーで石油と天然ガスの探鉱・開発・生産を手がける出光スノーレ石油開発(東京都千代田区)の株式50.5%を取得し、子会社化することを決めた。引き続き49.5%の株式を保有する出光興産と共同で事業を進める。安定した収益基盤と成長機会を兼ね備えた優良な資産であると判断した。取得価額は非公表。取得完了はノルウェー政府による承認などを踏まえ2022年初めを見込む。

出光スノーレ石油開発の株主構成は現在、出光興産が50.5%、大阪ガスと住友商事が共同出資する大阪ガスサミットリソーシズ(大阪市)が49.5%。INPEXは今回、出光興産が保有する50.5%のうち1%、大阪ガスサミットリソーシズが保有する全株式49.5%をそれぞれ取得(合計50.5%)する。これに伴い、大阪ガスは事業から撤退する。一方、出光興産にとっては出光スノーレ石油開発が持ち分法適用関連会社となることにより、連結バランスシートの圧縮につなげる狙いがある。

出光スノーレ石油開発はノルウェー子会社を通じて、スノーレプロジェクトをはじめ11の生産・開発中の油ガス田権益のほか、複数の有望な既発見未開発油・ガス田と探鉱鉱区を持つ。

三社電機製作所<6882>、産業用乾式変圧器メーカーの大阪電装工業を子会社化
2021/10/27

三社電機製作所は、産業用乾式変圧器メーカーの大阪電装工業(大阪市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。大阪電装は三社電機の電源機器事業における中核部材の仕入先だが、後継者不在の状態に直面。このため、部材の安定調達を確保する観点から傘下に収めることにした。大阪電装は1949年創業で、従業員は43人(2021年8月末)。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

セレス<3696>、成功報酬型アルバイト求人サイト「モッピーバイト」事業をアドヴァンテージに譲渡
2021/10/26

セレスは、成功報酬型アルバイト求人サイト「モッピーバイト」事業を会社分割により、採用サイト制作・運用のアドヴァンテージ(横浜市)に譲渡することを決めた。コロナ禍による事業環境の変化を踏まえ、事業構成を見直すことにした。「モッピーバイト」のサービス開始は2010年で、直近売上高は7200万円。譲渡価額は2000万円。譲渡予定日は2021年12月1日。

GameWith<6552>、プロeスポーツ運営のDetonatioNを子会社化
2021/10/26

GameWithは、プロeスポーツチーム「DetonatioN Gaming」を運営するDetonatioN(東京都豊島区。売上高3億1100万円、営業利益△1650万円、純資産2140万円)の株式59.82%を取得し子会社化することを決めた。拡大が期待されるeスポーツ市場で事業成長を加速するのが狙い。取得価額は2億5300万円。取得予定日は2021年10月31日。

DetonatioNは日本でのプロeスポーツチームの先駆者の一つ。世界で最もプレーヤー数が多いパソコンゲームとされる「League of Legends」部門の日本チャンピオンチーム「DetonatioN FocusMe」の運営をはじめ、日本国内だけでなく世界的な大会で実績を残している。

エンビプロ・ホールディングス<5698>、子会社を通じてバイオマス燃料の製造・販売を手がける富士見BMSを子会社化
2021/10/25

エンビプロ・ホールディングスは完全子会社のエコネコル(静岡県富士宮市)を通じてバイオマス燃料の製造・販売を手がける富士見BMS(静岡県富士市。売上高・営業利益・純資産非公表)の全株式を富士見工業(静岡市)から取得し、完全子会社化すると発表した。

エコネコルは産業廃棄物のリサイクルを手がけており、従来の金属・プラスチックに加え、これまで取り扱いが少なかった木くずの処理能力を拡大することで顧客の利便性を向上するのが狙い。バイオマス原燃料の需要拡大にも対応する。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

イオンディライト<9787>、現地子会社を通じて中国医療機関向けサービス会社を子会社化
2021/10/25

イオンディライトは、現地子会社の永旺永楽(中国)物業服務有限公司を通じて医療施設での清掃や院内運送、警備、設備管理、患者付添などのサービスを手がける浙江美特来物業管理有限公司(杭州経済技術開発区。売上高7億1600万円、営業利益△3500万円、純資産400万円)の株式51%を同社の許增偉総経理から取得して子会社化すると発表した。

中国での医療施設関連の業容拡⼤を図り、成⻑を加速するため、医療施設でのファシリティマネジメントの豊富な事業経験と実績、⾼い専⾨性を有する浙江美特来を子会社化した。

取得価額は増資引き受け1000万人民元(約1億7200万円)を含めて総額2805万⼈⺠元(約4億8400万円)。取得予定日は2021年12月から2022年2月。

ダイキアクシス<4245>、住宅サッシ・エクステリア建材施工のアルミ工房萩尾を完全子会社化
2021/10/22

ダイキアクシスは、住宅サッシ・エクステリア建材の施工・販売を手がけるアルミ工房萩尾(愛媛県新居浜市。売上高2億8186万円、経常利益2331万円、純資産1億2042万円)の全株式を取得、完全子会社化すると発表した。

ダイキアクシスは水回り関係を中心とした住設機器を元請けのゼネコン・地場建築業者・ハウスメーカーに販売する住宅機器関連事業を手がけている。アルミ工房萩尾の子会社化により、水回り関係に加えて住宅サッシやエクステリア建材についても提案することで、より質の高い商材・サービスの提供とシナジー効果を見込めると判断した。

アルミ工房萩尾は2009年1月設立。取得価額は非公開。取得予定日は2021年10月26日。

デザインワン・ジャパン<6048>、岡山県のITサービス企業イー・ネットワークスを完全子会社化
2021/10/22

デザインワン・ジャパンは、岡山県でITサービスを展開するイー・ネットワークス(岡山市。売上高1億6074万円、営業利益703万円、純資産9296万円)の全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。

デザインワンは国内最大級のオールジャンル口コミ店舗検索サイト「エキテン」を運営し、国内20万社以上の中小事業者に集客支援サービスを提供している。同社はイー・ネットワークスが持つ中小企業向けのウェブ制作や受託開発、ホスティング・サーバ関連サービスなどを利用して、自社事業の中長期的な開発リソースを確保する。

ベトナムのシステム開発子会社である Nitro Tech Asia Incとの一体運用で、DXソリューションの拡大も目指す。取得価額は非公表。取得日は2021年10月22日。

santec<6777>、光測定装置を手がけるカナダのJGR Optics Inc.を完全子会社化
2021/10/22

santec<6777>は、光測定装置の開発・製造・販売を手がけるカナダのJGR Optics Inc.(オンタリオ州オタワ市。売上高1127万カナダドル=9億1100万円、営業利益280万カナダドル=2億2700万円、純資産245万カナダドル=1億9800万円)を完全子会社化すると発表した。santecの光測定器関連事業でのシェア拡大が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月29日。

ニューラルポケット<4056>、サイネージ広告のフォーカスチャネルを完全子会社化
2021/10/22

ニューラルポケットは、サイネージ(屋外)広告のフォーカスチャネル(東京都豊島区。売上高5300万円、営業利益600万円、純資産3400万円)の全株式を同社親会社のWiz(東京都豊島区)から譲受し、完全子会社化すると発表した。

ニューラルポケットはAI(人工知能)カメラを搭載したデジタルサイネージ広告表示装置を設置。通行人や広告を視聴した人のデータを収集し、広告の付加価値を上げるサービスを展開している。

都心部の大型高級マンションのエントランスを中心に設置しているフォーカスチャネルのサイネージ広告表示装置にAIカメラを搭載することで、高所得者層へ訴求する広告展開を目指す。事業者向けITサービスを展開する売り主のWizとも事業連携する。

取得価額は2億6700万円(アドバイザリー費用などを含む)。取得予定日は2021年11月1日。

ガンホー<3765>、ゲーム開発のグラスホッパーを5月に譲渡していたと発表
2021/10/22

ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2021年5月31日にゲームソフトやデジタルコンテンツの企画・制作などを手がけるグラスホッパー・マニファクチュア(東京都千代田区。売上高・営業利益・純資産はいずれ非公表)の全株式を、スマートフォン向けゲーム開発のNetEase Interactivate Entertainment Pte. Ltd(シンガポール)へ譲渡していたことを明らかにした。取引先への影響などから、これまで開示を控えていたという。

ガンホーはゲーム開発力強化のため、2013年2月にグラスホッパー・マニファクチュアを完全子会社化し、「LET IT DIE」などの共同開発に当たってきた。2018年3月には同社を知的財産の強化・拡充を図るスーパートリック・ゲームズと独自のゲーム開発を手がけるグラスホッパー・マニファクチュアの二つの会社に分けた。

このうちグラスホッパー・マニファクチュアが、今後の事業展開を踏まえてNetEaseの傘下に入りたいとの申し出があり、NetEaseと株式譲渡で合意したことから全株式を譲渡した。スーパートリック・ゲームズはガンホーグループに残る。譲渡価額は非公表。

シャノン<3976>、 Webソリューション事業のヴィビットインタラクティヴを子会社化
2021/10/21

シャノンはWebソリューション事業を手がけるヴィビットインタラクティヴ(東京都渋谷区。売上高7322万円、営業利益△291万1000円 、純資産2014万円)の全株式を取得し、子会社化すると発表した。

Webサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザイン・レイアウト情報(テンプレート)などを一元的に保存・管理するCMS(Contents managementSystem)技術の強化が狙い。

シャノンは統合型マーケティング支援システム「SHANON MARKETING PLATFORM」で顧客企業のマーケティング支援サービスを手がけている。その中でウェブサイトのリニューアルや改修が実施されることも多く、 CMSツールが利用されるケースも増えている。

そこで「vibit CMS」を提供し、同ツールを得意とするヴィビットインタラクティヴを子会社化することで、顧客企業のデジタルマーケティング活動の支援強化を狙う。

取得価額は1億3200万円。取得予定日は2021年11月1日。

ウインテスト<6721>、太陽光発電サービスのオランジュをエネプライムに売却
2021/10/21

ウインテストは、100%子会社で太陽光発電O&M(運転管理・保守点検)サービスを手がけるオランジュ(横浜市。売上高8301万円、営業利益△363万4000円、純資産△5363万9000円)をエネプライム(東京都新宿区)に売却すると発表した。

同サービスは近年のFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)売電単価の下落と太陽光発電所の新設件数が減少しているのに伴い、成長が鈍化している。オランジュの2021年9月中間期の売上高は3583万3000円にとどまり、806万3000円の営業損失を計上した。当初想定していたシナジー効果も限定的だったため、売却を決めた。

譲渡価額は非公開。譲渡予定日は2021年10月21日。

Abalance<3856>、太陽光発電事業のカンパニオソーラーを子会社化
2021/10/20

Abalanceは、太陽光発電所の設計や運営などを手がける子会社のバローズ(大阪府吹田市)を通じて、太陽光発電事業を営むカンパニオソーラー(大阪府吹田市。売上高3300万円、営業利益△600万円、純資産△4100万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。カンパニオソーラーが保有する太陽光発電所(年間発電量4000メガワット)を取得することで、太陽光発電事業を拡大するのが狙い。

カンパニオソーラーは2015年設立。取得価額は7億3200万円。取得予定日は2021年10月29日。

日本ペイントホールディングス<4612>、フランスの建築用塗料メーカー「クロモロジー」を子会社化
2021/10/20

日本ペイントホールディングスは、豪州子会社のDuluxGroup Limitedが英国に新たに設立した孫会社を通じて、欧州で建築用塗料などの製造、販売を手がけるフランスCromology Holding SAS(クロモロジー、クリシー。売上高822億円、当期利益10億4000万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。

クロモロジーを傘下に収めることで、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、東欧諸国の一部などへの市場拡大が可能になるほか、新たな企業買収を行うための基盤を得ることができるとしている。

クロモロジーは2006年設立で、欧州で第4位の建築用塗料メーカー。取得価額は約1509億7000万円。取得は2022年上期中を予定している。

ケーズホールディングス<8282>、運送や電気工事などのサワハタキャリーサービスを株式交換で子会社化
2021/10/20

ケーズホールディングスは、運送や電気工事などを手がけるサワハタキャリーサービス(茨城県ひたちなか市。売上高17億3000万円、営業利益5500万円、純資産2億3900万円)を株式交換で子会社化することを決めた。

ケーズホールディングスグループの配送や工事を安定的に行える体制を構築するのが狙い。サワハタキャリーサービスは1995年設立で、25年にわたりケーズホールディングスグループの配送や工事を手がけてきた。株式交換比率や実施予定日などの詳細は今後協議して決める。

クレアシオン・キャピタル、Web会議システム開発・販売のジャパンメディアシステムにTOB
2021/10/19

クレアシオン・キャピタル(東京都港区)は19日、買収目的会社のJXホールディングス(同、石油元売りの旧JXホールディングス=現ENEOSホールディングスとは別会社)を通じてWeb会議システム開発・販売のジャパンメディアシステム(東京都千代田区)に対してTOB(株式公開買い付け)を始めると発表した。

クレアシオン・キャピタルは国内独立系プライベートエクイティ(PE)ファンド。ジャパンメディアシステムが手がけるWeb会議システムの成長を見込み、同社の新規上場(IPO)を狙う。買付価格は18万2000円。買付予定数は全株に当たる4万3630株、下限は2万6147株。

買付代金は約71億9100万円。買付期間は10月19日から12月15日までの40営業日。公開買付代理人はSMBC日興証券。決済開始日は12月30日。

ソニーグループ<6758>、米国子会社のゲーム部門「GSN Games」を米スコープリーに売却
2021/10/19

ソニーグループは、米国子会社のソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(カリフォルニア州)の子会社であるGame Show Network, LLC(同)のゲーム部門「GSN Games」を、モバイルゲームを手がける米Scopely, Inc.(スコープリー、同)に売却する。譲渡価額は約1100億円で、今後運転資金やその他の調整を経て正式に決める。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、半分を現金で、残り半分をスコープリーの優先株で受け取る。譲渡予定日は未確定。

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、スコープリーの株主になることで、成長が期待されるモバイルゲーム業界からの収益が見込めるとしている。「GSN Games」は全世界で約400人社員がおり、ゲームは世界中で数百万人が利用している。一方、スコープリーは急成長しているモバイルゲーム企業で、2018年から2020年の3年間で、売上高が3倍になったという。

インバウンドテック<7031>、光通信<9435>傘下で電話予約サポートのOmniGridを子会社化
2021/10/18

インバウンドテックは、光通信傘下で予約サービス事業を展開するEPARK(東京都港区)から音声予約システム事業(売上高2億6640万円、営業利益△231万円)とレンタルサーバー事業(売上高1億5744万円、営業利益1億2410万円)を譲り受けるOmniGrid(東京都豊島区)の株式65.0%を取得し、子会社化することを決めた。

コロナ後に発生するインバウンド需要を取り込むとともに、インバウンドテックが運営するコンタクトセンターや新規サービスとの相乗効果を創出するのが狙い。取得価額は約9億4450万円。取得予定日は2021年11月1日。

ビジョン<9416> 、月額定額制の会議室などを運営する「あどばる」を子会社化
2021/10/18

ビジョンは、月額定額制の会議室「Office Ticket(オフィスチケット)」などを運営する「あどばる」(東京都渋谷区。売上高11億8000万円、営業利益3億5400万円、純資産△3億4200万円)を株式交付により子会社化することを決めた。50%超の株式取得を目指す。

あどばるは2008年創業で、空き部屋を会議室として活用するスペースマネジメント事業を展開している。通信インフラやオフィス機器の提供などを手がけているビジョンは、あどばるの顧客基盤やノウハウなどを利用することで、売り上げの拡大やコスト削減などが可能と判断した。

あどばるの1株に対し、ビジョンの4.7株を割り当て交付する。取得価額は約6億5663万円。取得予定日は2021年12月1日。

 

 

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

【事例】中小企業オーナーの遺産分割対策としての会社分割の活用法

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■株式交付制度の概要と活用時の留意点

■遺産分割による配偶者居住権の設定と相続税の小規模宅地等の特例の適用

 

 

【問】

A氏はB株式会社(B社)の代表取締役として、発行済株式を全部保有しています。B社は甲事業と乙事業を営んでおり、A氏の長男と次男がそれぞれ甲事業、乙事業の責任者として経営に参加しています。A氏の死亡後、長男と次男が揉めないように、B社をどのように承継させたらよいでしょうか。

 

 

【回答】

1.会社分割を活用した対策の概要


現状のまま遺言もなくA氏の相続が開始した場合、B社株式を兄弟でどう分けるかでトラブルになるおそれがあります。また遺産分割協議により、兄弟がそれぞれB社の株式を半分ずつ相続したような場合には、会社の意思決定に支障が出る問題があります。

 

上記の問題点を踏まえれば、A氏が生前にB社を甲事業、乙事業と事業別に二つに分割しておくことが有効な対策となります。具体的には、B社は甲事業を営む会社として存続させる一方で、乙事業を営む会社としてC社を下記2の会社分割により設立(会社法762条以下。以下「新設分割」。)します。生前にそのような対策を実行することにより、A氏の相続開始時には相続財産がB社株式と新設のC社の株式になります。

 

B社株式とC社株式を長男と次男兄弟がそれぞれ相続することで、遺産分割とその後の会社経営にかかるトラブルを未然に防ぐことができます。税務上は、A氏が生前に上記の会社分割を行い、①分割後のB社株式とC社株式を相続開始時まですべて保有する予定で、②他にB社からは何も給付を受けなければ、その他の要件を満たすことにより適格分割となり、課税の問題も生じません(下記2参照)。A氏の相続開始後に、B社を甲事業、乙事業と事業別に分割することは可能ですが、すでに兄弟間でトラブルが顕在化している場合には、会社分割を行うことが手続面も含めて煩雑になります。会社分割による遺産分割対策は、A氏がB社のオーナー経営者であるうちに実行すべきでしょう。

 

2.会社分割を実行した場合の税務上の取扱い


会社分割とは、株式会社または合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により他の会社に承継させることをいいます(会社法2条29号、30号)。この場合の「他の会社」には、既存の会社のときと新設会社のときとがありますが、本稿では新たに会社を設立する「新設分割」を想定します。新設分割にかかる税務上の取扱いをまとめると、次のとおりになります。

(1)分割した場合の株主A氏の課税(所得税)

分割により新設されるC社が、A氏に対してC社株式以外の資産を交付しなければ、法人税法上の「適格分割型分割」に該当します。適格分割型分割に該当する場合のA氏の課税関係は次の通りです。

 

①C社株式に関してみなし配当は生じません(所得税法25条第1項2号)。
②A氏の側から見ると、実態として会社分割の前後でB社株式の価値の一部がC社株式に変わった(移転した)だけであると考えられます。したがって、この分割によりB社株式からC社株式へ移転した株式の価値については、B社株式の取得価額の一部をC社株式の取得価額に付替える計算のみを行い、譲渡所得課税は行いません(所得税法施行令113条・租税特別措置法37条の10第3項2号かっこ書)。

(2)B社とC社の課税(法人税)

適格分割型分割を行った場合には、B社の乙事業に係る資産および負債を適格分割直前の簿価でC社に引き継ぎます(法人税法62条の2)。よって、B社において乙事業の分割に伴う資産負債の譲渡損益は認識せず、B社とC社に課税関係は生じません。

 

3.会社分割の実行による相続税への影響


会社分割を行うことにより、A氏に係る相続税の計算上、会社分割前のB社株式の相続税評価額に比べ、分割後のB社株式とC社株式の相続税評価額の合計額が大きくなる場合があるので注意が必要です。

 

例えば、会社分割後3年以内にオーナー経営者に相続が発生した場合、C社株式の純資産価額の計算上、C社がその土地や家屋の取得(=会社分割)後3年以内にA氏の相続が発生したことになるので、その土地や家屋は相続税評価額ではなく通常の取引価額で評価されることになります(財産評価基本通達185)。路線価や固定資産税評価額に基づく相続税評価に比べて、通常の取引価額に基づく評価の方が、相続税評価額は通常高くなります。また、この場合のC社株式は、開業後3年未満の会社の株式となるので、純資産価額方式のみによる評価となり、一般的に相続税評価額の低くなる類似業種比準価額による評価はできません(同189-4)。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/10/25)より転載

[スモールM&A マッチングサイト活用が成功のカギ]

第1回:『廃業と承継の 比較』~「廃業」するとこんなに大変! 「承継」できるとこんなに幸せ!~

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

廃業するとこんなに大変


「もし自分が明日倒れたり病気になったら、従業員やお客さん、取引先はどうなるのだろう?」と、食事の後や寝る前に、又は夢の中で、不安に駆られたことはないだろうか。

 

後継者不在の多くの社長と話をしていると、大体60歳を超えたあたりでまず「漠然と今後の会社の行く末」に不安を感じ始め、65歳を超えると「廃業」が頭をよぎり始めるようである。

 

 

では、皆さんの会社が「もし」廃業した場合、ご自身や周囲に実際どのような影響があるのだろうか。

 

まずは従業員であるが、廃業する場合には基本的には「解雇」となる。小さな会社であれば、その多くが地元採用であろうから、現実的には、解雇でハイサヨウナラと杓子定規にドライに対応することなどできない。例えば、社長が謝罪すると共に再就職先を斡旋することまで行うケースもある。従業員の配偶者と社長の配偶者が同じ社交ダンスサークルのメンバーだったり、廃業した次の日にスーパーで出会うなんてことも想定されるのが、小さな会社の廃業の現実だからである。

 

 

社長が廃業を選択した場合に、得意先や仕入先、外注先などの取引先にはどのような影響があり、何をしないといけないのだろうか。

 

今まで長くお付き合いがあったところが大半だろうから、取引の頻度や金額にもよるが、できるだけ早く廃業予定の案内をすることになる。御社が取引終了することにより、連鎖的に廃業や倒産とならないようにするべきなのは当然であるから、得意先に限らず広く取引先全般に、なるべく早めに案内を行うべきだ。

 

 

法律論はさておき現実的には、小さな会社で廃業を選択した社長は、広く取引先への謝罪行脚をしないといけない。時には、こちらで自社に代わる会社を紹介する必要も出てくる。

 

また、ご自身にとっての影響も事前に知っておくべきである。事業で使っている機械や車両、備品などは、事業継続して使い続ける限り高い価値があるが、それを廃業と共に売却するとなると二束三文に、時には逆に廃棄コストがかかることもある。更には、工場や店舗、事務所には、撤去費用が莫大にかかることもある。

 

 

承継できればこんなに幸せ


では、マッチングサイトを使ってお相手が現れ、廃業ではなく「第三者承継(M&A)」ができた場合は、どうであろうか。

 

まずは従業員であるが、ほとんどの第三者承継では、雇用の継続が図られる。理由は単純で、昨今の人手不足の影響もあるが、小さな会社では従業員個々の役割が重要なことが多く、承継者である買い手には貴重な存在だからである。

 

次に取引先であるが、こちらも基本的には継続となる。廃業前の謝罪行脚ほど、辛く恥ずかしいものはないと思うので、これは廃業予定だった社長にとって有り難いことではないかと思う。

 

 

小さな会社の場合、雇用や取引先の継続が図られるということは、その多くが地元採用や地元企業であることも含めて考えると、地域社会に好影響となることも付け加えておく。

 

 

最後にお金の話であるが、社長の手残りは、廃業よりも第三者承継を選択できた方が多くなることが大半だ。廃業コストがかからず、承継対価も貰えるので、一般的には手残りが多くなるのである。税金も株式譲渡の2割課税であると、一般的には得することが多い。

 

 

 

 

書籍「小さな会社の事業承継・引継ぎ徹底ガイド ~マッチングサイト活用が成功のカギ」より

 

 

 

 

 

[ゼロからわかる事業再生]

第3回:チェックリストによる磨き上げ

~チェックリストによる健全性チェック~

 

[解説]

植木康彦(公認会計士・税理士)

 

 

[質問(Q)]

“会社の財務状態を磨き上げた方がよい” と言われますが、正直何をしたらよいのか、よくわかりません。何から手をつけたらよいか、教えてください。

 

 

[回答(A)]

“磨き上げ” とは、会社の財務状態や経営状況をより良くすることで、決まった方法があるわけではありません。しかしながら、何をしたらよいかわからないという声もよく耳にします。一例としては、「健全性チェックリスト」を用いて×となった項目につき、〇になるように対策を立て実施する方法があります。

 

 

 

1.チェックリストによる健全性チェック


チェックリストの例を以下に示したので、まずは会社の現在の状況をチェックしてみてください。20 項目のうち過半の10 項目以上が〇であれば、健全の範疇に入ると言えます。また、チェックリストの実施によって、対象会社の強みと弱みが明確になります。強みは伸ばし、弱みは“ 磨き上げの課題” として位置づけ、〇又は×の理由を分析し、経営にフィードバックすることも有用です。

 

 

2.主な磨き上げ項目


(1)営業キャッシュフローや営業利益が赤字

(対策)
一過性の赤字の場合には、黒字化の事業計画を立て、計画と実績を月次で管理しながら営業黒字化に導きましょう。恒常的な赤字の場合、事業構造の見直しが必要となる場合が多いと思います。ビジネスモデルの見直し、費用構造の見直し等によって、営業黒字化を図りましょう。

(2)総資産経常利益率が低い場合

(意味)
総資産経常利益率(ROA)は、総資産(投資)に対するリターン(利益)の割合を意味します。この数値が低いということは、投資額が大きすぎるか、売上の回転が悪いか、利益率が低いかによります。会社全体の状態を見る上で、最も重要な指標です。

 

(対策)
総資産の圧縮、売上回転率の増加、収益拡大、費用の見直しによって、ROA 向上を図りましょう。

 

(3)流動比率が低い場合

(意味)
流動比率は、流動資産(短期資産)と流動負債(短期債務)の比較によって、短期的な支払能力を見る指標です。この数値が低いということは、短期債務の支払のための短期資産の貯えが十分でないことを意味します。また、固定資産投資を短期債務で資金調達した場合も数値が低くなります。

 

(対策)
継続的な利益の計上や短期債務の長期債務化、又は増資による流動資産の増加、流動負債の減少を図ります。

 

(4)在庫が大きい場合

(意味)
在庫金額が大きいということは、通常備えるべき量を超えて在庫が不良化、滞留化している場合があります。また、資金がその分寝ている状態にあるため、負債も大きくなっている場合があります。

 

(対策)
決算セールや処分による在庫の圧縮、それでも売れないデッドストックは廃棄します。

 

(5)管理会計面が弱い

(意味)
中小零細企業では、せっかく決算書を作成しても経営に生かされず、税務申告くらいにしか利用されていない場合が多いようです。

 

(対策)
せっかく時間と費用をかけて作成した決算書類を、税務申告だけにしか利用しない手はありません。簡単な利用法としては、下図のとおり、①事業計画を作成し、②事業計画を数値に落とし込んだ月次予算を作成し、③月次試算表の実績と予算を比較し、④予算と実績の差異につき、原因を分析、判明した原因は関係部署内で共有し、必要に応じて事業計画を修正するなどして、経営に役立てましょう。この一連の流れをPDCA サイクル(Plan 計画・Do 実行・Check 評価・Action 改善)により繰り返すことで、継続的な改善活動となり、決算情報がより有効活用できます。

 

 

 

 

 

チェックリストの項目ごとに、B/S の磨き上げ、P/L の磨き上げの区別、目標例を示してみましたので、参考にしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&Aニュース](2021年10月4日〜2021年10月15日)

◇ENECHANGE<4169>、法人向け電力切り替えサービス事業のオーベラス・ジャパンを子会社化、◇ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>、光通信<9435>傘下で病院向け予約ソリューション事業のイーディライトを子会社化、◇MITホールディングス<4016>、組み込みソフト受託開発のオレンジコンピュータを子会社化、◇テーオーホールディングス<9812>、スポーツクラブ事業をオカモトに譲渡、◇ジェイフロンティア<2934>、医薬品ECサイトのシーディとオリジナル医薬品製造のバイオセーフを子会社化、◇レアジョブ<6096>、フリー<4478>傘下のサイトビジットから「資格スクエア事業」を取得、◇三井物産<8031>、冷凍洋菓子製造の五洋食品産業<2230>をTOBで子会社化、◇セントケア・ホールディング<2374>、愛知県を中心に在宅介護事業を展開する福祉の里を子会社化 ほか

 

 

 

ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>、光通信<9435>傘下で病院向け予約ソリューション事業のイーディライトを子会社化
2021/10/15

ヤマシタヘルスケアホールディングスは、病院向け予約ソリューション事業を手がける持ち分法適用関連会社のイーディライト(福岡市。売上高3320万円、営業利益822万円)の株式32%を追加取得し、子会社化することを決めた。現在34%の持ち株比率を66%に引き上げる。イーディライトは光通信傘下で予約サイト運営のEPARK(東京都港区)と共同出資で2017年に設立したが、協業の成果が確認できたことなどから、子会社化によって一層の相乗効果を引き出す狙い。取得価額は1700万円。取得予定日は2021年11月15日。

MITホールディングス<4016>、組み込みソフト受託開発のオレンジコンピュータを子会社化
2021/10/15

MITホールディングスは子会社を通じて、組み込みソフトウエア受託開発のオレンジコンピュータ(東京都府中市。売上高3640万円、営業利益222万円、純資産2250万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。これまで手薄だった組み込みソフト開発の事業領域を補完し、グループ内の開発体制を充実させる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

オレンジコンピュータは2009年設立で、Linux用各種ドライバー(駆動装置)の開発、計測・制御システムにおけるファームウエアやアプリケーション開発で実績を積んできた。

テーオーホールディングス<9812>、スポーツクラブ事業をオカモトに譲渡
2021/10/15

テーオーホールディングスは子会社を通じて運営するスポーツクラブ事業を、ガソリンスタンド経営などのオカモト(北海道帯広市)に譲渡することを決めた。地域人口の減少や他社との競合激化に加え、新型コロナウイルスの影響などで厳しい業況が続いていた。譲渡価額は未確定。譲渡予定日は2022年1月1日。

譲渡するのは傘下のテーオー総合サービス(北海道函館市)が手がける総合型スポーツクラブ「テーオースポーツクラブ」に関する事業で、直近売上高は1億3400万円。譲渡先のオカモトは道内を中心に各種の小売リ・サービス事業を展開し、スポーツクラブ事業も行っている。

ENECHANGE<4169>、法人向け電力切り替えサービス事業のオーベラス・ジャパンを子会社化
2021/10/15

ENECHANGEは、不動産分野の法人顧客向け電力切り替えサービスを手がけるオーベラス・ジャパン(東京都江東区。売上高1億2800万円、営業利益△1250万円、純資産△313万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。オーベラス・ジャパンはJ‐REIT(不動産投資信託)や不動産ファンドの運用会社を主要顧客とする。取得価額は約3億5800万円。取得予定日は2021年11月1日。

ENECHANGEは家庭向けや法人向けに電力・ガスの最適な選択をサポートする「エネルギープラットフォーム事業」を主力とする。

オーベラス・ジャパンは2015年設立。法人向け電力切り替えサービスのほか、会員制不動産を手がけるが、このうち会員制不動産事業は分社し、ENECHANGEによる子会社化には含まれない。

レアジョブ<6096>、フリー<4478>傘下のサイトビジットから「資格スクエア事業」を取得
2021/10/15

レアジョブは、フリー傘下で電子契約サービス事業などを手がけるサイトビジット(東京都千代田区)から司法試験や弁理士試験などの資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」事業を取得することを決めた。サイトビジットが対象事業を会社分割して12月に設立する新会社、資格スクエア(東京都渋谷区)の株式70%について、レアジョブが取得する。レアジョブはオンライン英会話サービスを主力事業とするが、今後、英語関連資格の取得を目的とした新サービスの開発などを目指す。取得価額は5億2837万円。取得予定日は2021年12月1日。

三井物産<8031>、冷凍洋菓子製造の五洋食品産業<2230>をTOBで子会社化
2021/10/15

三井物産は15日、東京プロマーケット上場で冷凍洋菓子製造の五洋食品産業に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化すると発表した。五洋食品の前社長で第2位株主の舛田圭良氏の所有株式12.96%を除く、87.04%の株式を取得し、非公開化する。買付代金は13億8212万円。五洋食品はTOBに賛同している。三井物産は高付加価値の冷凍スイーツへの関心がアジア・太平洋市場で高まっていることなどを踏まえ、海外展開の拡大につなげる。

五洋食品株の買付価格は1株につき879円。2019年12月30日に879円で取引を終えて以降、TOB公表前日(2021年10月14日)まで売買が成立していないことから、直前取引日である2019年12月30日の終値と同額とした。

35.87%を持つ筆頭株主のイノベーション・エンジン食品革新投資事業有限責任組合をはじめ上位株主4者(合計保有分は52.31%)はTOBへの応募契約を結んだ。買付予定数は157万2385株。買付予定数の下限は所有割合53.71%にあたる97万300株。買付期間は10月18日~12月2日。決済の開始日は12月9日。公開買付代理人はSMBC日興証券。

五洋食品は飲食店用ピザの材料であるナチュラルチーズの加工・販売を目的に1975年に設立。現在は冷凍洋菓子事業に完全にシフトしている。ただ、競争激化や米国での事業失敗などで業績が低迷し、2015年からは投資ファンド主導で経営の立て直しを進めてきた。東京プロマーケットへの上場は2012年。

セントケア・ホールディング<2374>、愛知県を中心に在宅介護事業を展開する福祉の里を子会社化
2021/10/15

セントケア・ホールディングは、愛知県を中心に在宅介護サービス事業を展開する福祉の里(愛知県北名古屋市。売上高25億6000万円、営業利益1900万円、純資産4億3400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。戦略エリアと位置付ける中京圏での事業基盤を強化し、これまで以上に地域に根差したサービス展開を目指す。福祉の里は1983年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

ジェイフロンティア<2934>、医薬品ECサイトのシーディとオリジナル医薬品製造のバイオセーフを子会社化
2021/10/15

ジェイフロンティアは、医薬品などのEC(電子商取引)サイトを運営するシーディ(埼玉県草加市。売上高8億4700万円、営業利益100万円、純資産△3300万円)とオリジナル医薬品を開発・製造するバイオセーフ(東京都足立区。売上高3億3100万円、営業利益△200万円、純資産3600万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。健康食品・医薬品事業の拡大や競争力強化の一環。取得価額は未確定。取得予定日は2021年11月30日。

傘下に収めるシーディとバイオセーフは兄弟会社。シーディは医薬品ECサイト「くすりのインディアン」「@Buddy」「おくすり本舗」を運営し、累計顧客数は500万人を超える。一方、バイオセーフはシーディが運営する医薬品ECサイトで販売するオリジナル医薬品の開発・製造を手がける。

ジェイフロンティア<2934>、販促支援・物流アウトソーシング事業のアルファランを子会社化
2021/10/15

ジェイフロンティアは、販促支援・物流アウトソーシング事業を手がけるアルファラン(東京都港区。売上高38億8000万円、営業利益1900万円、純資産1200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。主要ユーザーである医療機関や薬局向けに、アルファランが培ってきたダイレクトメーリング(DM)の企画・制作・発送などの販促支援サービスを展開する。取得価額は未確定。2021年11月30日までに取得する予定。

アルファランは2005年に設立し、DMなどの発送数は年間4000万通以上にのぼるという。ジェイフロンティアはオンライン診療・オンライン服薬指導から処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供できる医療プラットフォーム「SOKUYAKU」を提供している。

東京ソワール、50人程度の希望退職者を募集
2021/10/14

レディースフォーマルウエア大手の東京ソワールは14日、50人程度の希望退職者を募ると発表した。40歳以上の従業員(販売員は除く)を対象とし、募集期間は12月6日~24日(退職日は2022年1月31日付)。コロナ禍で衣料品販売の低迷が続く中、所有不動産の売却、給与・賞与体系の見直しなどの経費削減を進めてきたが、会社が永続するためには抜本的な事業構造改革が必要と判断し、人員の合理化に踏み切る。募集人数は全従業員の約20%にあたる規模。

応募者には所定の退職金に特別退職加算金を上乗せして支給し、再就職を支援する。

同社の2021年12月期業績予想は売上高20.1%増の123億円、営業赤字14億円(前期は22億5000万円の赤字)、最終利益3億5000万円(同19億8400万円の赤字)。営業損益は大幅な赤字圏が続くが、最終損益は所有不動産の売却益約16億円の計上などで3年ぶりの黒字を確保する。

フィードフォースグループ<7068>、EC事業者向け業務自動化サービスのシッピーノを子会社化
2021/10/14

フィードフォースグループは、EC(電子商取引)事業者向けに出荷関連の業務自動化サービスなどを展開するシッピーノ(神奈川県茅ケ崎市。売上高2億1900万円、営業利益400万円、純資産9700万円)の株式50.59%を取得し子会社化することを決めた。シッピーノを取り込むことで、バックヤード業務や販売管理業務を含めたEC事業者の多様な業務全般を自動化するサービスをワンストップで提供する体制づくりを進める。取得価額は約3億7700万円(うち第三者割当増資引き受けで5200万円)。取得予定日は2021年10月21日。

フィードフォースグループはEC事業者を対象として定期課金型サービス「Shopify」の活用を中心としたDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を主力事業の一つとする。今回傘下に収めるシッピーノは2010年に設立し、EC事業者の生産性向上・業務効率化を実現する各種サービスを手がける。

丸一鋼管<5463>、鋼管メーカーの米国Geneva Structural Tubesを子会社化
2021/10/14

丸一鋼管は米国子会社を通じて、鋼管メーカーの現地Geneva Structural Tubes, LLC(ネブラスカ州。売上高25億1000万円、営業利益2億1500万円、純資産15億6000万円)の全持ち分を取得し子会社化することを決めた。米中西部地区での供給体制を整える狙い。取得価額は持ち分取得にかかる1500万ドルに現金相当額、運転資本増減分調整額を含めて合計約2250万ドル(約25億5200万円)。取得予定日は2021年11月1日。

丸一鋼管はこれまでロサンゼルス、ポートランド(オレゴン州)、シカゴで鋼管類を製造してきたが、Genevaを傘下に取り込み、米国で4拠点体制を確立する。これまで米中西部での顧客にはシカゴから製品を供給していたが、今後はGenevaを拠点に需要に迅速に対応する。

住友金属鉱山<5713>、チリ「シエラゴルダ銅鉱山」の全権益を豪資源大手South32に譲渡
2021/10/14

住友金属鉱山は14日、チリのシエラゴルダ銅鉱山の保有全権益(31.5%)をオーストラリア資源大手South32に譲渡すると発表した。全社的な資産構成の見直しの一環。譲渡価額は約11億9000万ドル(約1349億円)。具体的には対象の権益を保有する現地子会社など3社の全株式を譲渡する形。今後の銅価格や生産量の状況に応じ、2025年末までに最大3億5000万ドル(約400億円)を追加で受け取る。2022年3月までの譲渡完了を予定する。

住友金属鉱山は2011年から住友商事と共同でシエラゴルダ銅鉱山の開発に参画(2014年から操業)。今回、住友商事も保有する全権益13.5%をSouth32に譲渡することになっている。

譲渡する3子会社はチリSMM-SG Holding Inversiones Limitada(サンティアゴ)、チリSMM Sierra Gorda Inversiones Limitada(同)、オランダSMM Holland B.V. (アムステルダム)。

譲渡先のSouth32はオーストラリアを拠点とする資源大手で、オーストラリア証券取引所、ヨハネスブルク証券取引所、ロンドン証券取引所に上場している。

イオン<8267>、100円ショップ大手のキャンドゥ<2698>をTOBなどで子会社化|上場は維持
2021/10/14

イオンは14日、100円ショップ大手のキャンドゥを子会社化すると発表した。TOB(株式公開買い付け)で最大37.18%の株式を買い付けたうえで、創業家の資産管理会社が保有する13.82%の株式を現金対価で取得し、持ち株比率を51%とする。取得価額は約211億円で、うちTOB分が約160億2700万円。キャンドゥの東証1部上場は維持する予定。キャンドゥはTOBに賛同している。

キャンドゥ株の買付価格は1株につき2700円。TOB公表前日の終値1876円に43.92%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は所有割合37.18%にあたる593万6100株。買付予定数の下限は19.68%(314万1000株)で、この分は城戸一弥社長らキャンドゥの創業家(個人)が応募予定であることから、TOBの成立は事実上確定している。

買付期間は10月15日~11月24日。決済の開始日は11月29日。公開買付代理人はみずほ証券。

TOBは二段構えで行われ、2回目の買付価格は1回目よりも400円低い2300円。創業家の資産管理会社からの取得価格と同額とし、一般株主にも売却の機会を確保する。資産管理会社は13.82%の株式(220万5600株)を所有しており、イオンは2回目のTOB終了後に約50億7200万円で取得する。これにより、51%以上の株式を獲得する見通し。

100円ショップ業界は市場の成熟化や競争激化に加え、足元では新型コロナウイルス感染拡大で収益環境が一層厳しさを増し、人口減少や消費者のライフスタイルの多様化、Eコマース(電子商取引)の台頭などで、キャンドゥとしてもビジネスモデルの再構築が急務となっている。小売最大手、イオンの傘下で事業・経営ノウハウを共有するなど相乗効果を引き出し、新たな展開につなげる。

キャンドゥは1993年に設立し、100円ショップで大創産業、セリアに次ぐ業界3位。2001年に株式を店頭登録し、2003年に東証2部、2004年から東証1部に上場する。

住友商事<8053>、チリ「シエラゴルダ銅鉱山」の全権益を豪資源大手South32に譲渡
2021/10/14

住友商事は14日、チリのシエラゴルダ銅鉱山の保有全権益(13.5%)をオーストラリア資源大手South32に譲渡すると発表した。戦略的選択肢を検討した結果だとしている。譲渡価額は約5億1000万ドル(約578億円)で、対象の権益を保有する現地子会社などの全株式を譲渡する形となる。今後の操業状況に応じて、2025年末までに最大1億5000万ドル(約170億円)を追加で受け取る。2022年3月までの譲渡完了を予定する。

住友商事は2011年から住友金属鉱山と共同でシエラゴルダ銅鉱山の開発に参画(2014年から操業)。今回、住友金属鉱山も保有する全権益31.5%をSouth32に譲渡することを決めた。

譲渡する2子会社はチリInversiones SC Sierra Gorda Limitada(サンティアゴ)、オランダSC Sierra Gorda Finance B.V.(アムステルダム)。譲渡先のSouth32はオーストラリアを拠点とする資源大手で、オーストラリア証券取引所、ヨハネスブルク証券取引所、ロンドン証券取引所に上場している。

ソラスト<6197>、愛知県を中心に介護事業を展開するプラスを子会社化
2021/10/13

ソラストは、愛知県を中心にグループホーム・小規模多機能型居宅介護を16事業所で運営するプラス(岐阜県各務原市。売上高11億2000万円、営業利益3億4000万円、純資産10億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。愛知県エリアでのサービス拡充につなげる。取得価額は約28億2000万円。取得予定日は2021年11月12日。

キングジム<7962>、生活家電や雑貨を企画・製造するライフオンプロダクツを子会社化
2021/10/13

キングジムは、生活家電や雑貨、ルームフレグランス(屋内用芳香商品)などを企画・製造するライフオンプロダクツ(大阪市。売上高42億4000万円、営業利益7億4800万円、純資産19億3000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。インテリアライフスタイル事業の飛躍的な拡大を実現するとしている。商品調達・品質管理を共同で展開し、事業効率を高めるとともに、海外を含む販路の相互活用で売上増を目指す。ライフオンプロダクツの設立は2003年。取得価額は約36億7000万円。取得予定日は2021年11月4日。

日立製作所<6501>、放射線測定装置・産業用X線CT装置事業を日本みらいキャピタルに譲渡
2021/10/13

日立製作所は、放射線測定装置事業と産業用X線CT(コンピューター断層撮影)装置事業を、独立系国内投資ファンドの日本みらいキャピタル(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。対象2事業(直近売上高は80億円)を会社分割して設立する新会社の全株式を日本みらいキャピタルの傘下企業に2022年4月1日付で譲渡する。事業の選択と集中の一環。日本みらいキャピタルは大企業の事業部門の独立に伴う体制構築支援などで実績を持つ。譲渡価額は非公表。

放射線測定装置事業は国や地方自治体、電力会社、大学、病院などを主な顧客とし、環境放射線監視システム、放射線管理総合システムなどを手がける。一方の産業用X線CT装置事業は自動車業界や研究機関などに高い撮像能力を持つ製品を提供している。

ヒューマンホールディングス<2415>、システム開発のエフ・ビー・エスを子会社化
2021/10/13

ヒューマンホールディングスは子会社を通じて、システム開発のエフ・ビー・エス(東京都千代田区。売上高3億1200万円、営業利益3850万円)の株式51%を取得し、子会社化することを決めた。顧客企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化推進や生産性向上につなげる。エフ・ビー・エスは1985年設立で、輸出入管理ソフトに強みを持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月29日。

サイバー・バズ<7069>、ネットマーケティング支援のスタイル・アーキテクトを子会社化
2021/10/13

サイバー・バズは、ネットマーケティング集客支援のスタイル・アーキテクト(東京都港区。売上高1億4800万円、営業利益76万4000円、純資産712万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。スタイル・アーキテクトが強みとするSEO(検索エンジン最適化)コンサルティング、EC(電子商取引)サイト運営に関するノウハウを取り込み、コンテンツマーケティング力の向上や直接消費者に販売するD2C事業の基盤強化などにつなげる。取得価額は非公表。取得予定は2021年11月中旬。

美濃窯業<5356>、ロータリーキルン専門メーカーの岩佐機械工業を子会社化
2021/10/12

美濃窯業は、ロータリーキルン(回転炉)専門メーカーの岩佐機械工業(東京都中央区。売上高4億5500万円、純資産5600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。美濃窯業はセメント業界向け耐火物や各種工業炉の設計・施工などを主力としており、岩佐機械を傘下に取り込むことにより、さまざまな相乗効果を見込めると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月29日。

岩佐機械は1940年に創業し、80年を超える業歴を持つ。これまで冶金・鉱業、窯業、化学工業、電子材料、建材、公害処理・リサイクルなど幅広い産業分野に製品を納入し、保守点検やオーバーホール(分解・修理)でも実績を積んできた。

TIS<3626>、システム開発子会社の中央システムを国内投資ファンドのベーシック・キャピタル・マネジメントに譲渡
2021/10/12

TISはシステム開発子会社の中央システム(東京都新宿区。売上高72億5000万円、営業利益6億1100万円、純資産19億9000万円)の全株式を、国内投資ファンドのベーシック・キャピタル・マネジメント(東京都中央区)に譲渡することを決めた。ビジネス革新と市場創造を柱とする「グループビジョン2026」の推進に向けた構造転換の一環。中央システムは1981年設立。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年11月18日。

ENEOSホールディングス<5020>、GS傘下の再エネ発電大手ジャパン・リニューアブル・エナジーを2000億円で子会社化
2021/10/11

ENEOSホールディングスは11日、米金融大手ゴールドマン・サックス(GS)の傘下で太陽光など再生可能エネルギー発電大手のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京都港区。売上高224億円、営業利益16億5000万円、純資産397億円)の全株式を取得し子会社化すると発表した。取得価額は約2000億円。ENEOSは2022年度末までに国内外での再生可能エネルギー事業の発電容量を100万キロワット超に拡大することを目指しており、脱炭素化の取り組みを加速する。2022年1月下旬に取得完了を見込む。

JREは2012年に設立し、株主構成はGS75%、シンガポール政府投資公社25%。全国40数カ所で太陽光を中心に陸上風力、バイオマスの再エネ発電事業を展開し、海外の第1号案件として昨年9月に台湾で太陽光発電を始めている。2021年9月時点で運転中の再エネ発電容量は約37.9万キロワットで、建設中を含めると約70.8万キロワットに達する。今後、洋上風力発電の事業化も予定している。

ENEOSホールディングスは9月初めにGSと組んで、上場子会社で道路舗装最大手のNIPPOにTOB(株式公開買い付け)を実施し、非公開化する計画を発表した。親子上場を解消し、株式売却で得られた資金を脱炭素に向けた成長分野への投資に充てるのが狙いで、TOBは10月中旬にも始まる見通し。ENEOSはNIPPO株の売却で約1900億円を得ることになっており、これをJRE買収の原資にするとみられる。

東京機械製作所、希望退職に61人応募
2021/10/08

輪転機メーカー大手の東京機械製作所は8日、希望退職に61人の応募があったと発表した。50歳以上の正社員・嘱託社員を対象に9月13日~30日に募った(退職日は10月31日)。主要顧客の新聞社は販売部数の落ち込みや広告収入の減少で設備投資に慎重姿勢を強めており、輪転機の受注が低迷。合理化の一環として募集人数を55人程度(連結従業員の約14%)とし、希望退職を実施した。2022年3月期決算に特別退職金などにかかる費用約1億円を特別損失として計上する。

東京機械製作所を巡っては、東証2部上場で投資事業を手がけるアジア開発キャピタルの子会社が東京機械株の買い増しを続け、持ち株比率が39.9%に達している。大規模な株買い占めに対抗するため、東京機械は10月下旬に臨時株主総会を開き、買収防衛策発動の是非を諮る予定となっている。

安田倉庫<9324>、運送業の南信貨物自動車を子会社化
2021/10/08

安田倉庫は、運送業の南信貨物自動車(長野県松本市。売上高44億3000万円、営業利益1億5900万円、純資産12億2000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループの輸配送ネットワークとサービスメニューの拡充を見込む。南信貨物自動車は1943年設立で、甲信地区から関東圏、中京圏を結び、大型車両から小型車両、冷蔵・冷凍車両など300台以上の車両を持つ。長野県全域に拠点を持ち、取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

アウトソーシング<2427>、交通誘導警備・雑踏警備請負を手がけるアーク警備システムなど2社を子会社化
2021/10/08

アウトソーシングは、交通誘導警備・雑踏警備請負を手がけるアーク警備システム(東京都渋谷区)とアークミライズ(東京都千代田区)の両社の全株式を取得し、8日付で子会社化した。警備請負はエッセンシャルワーカー(日常生活の維持に必要不可欠な働き手)領域として堅調な市場拡大が見込めるうえ、50歳以上の就業機会を確保することでグループとして雇用の長期化が期待できる事業と位置付けている。取得価額は非公表。

わらべや日洋ホールディングス<2918>、子会社の新潟工場のセブン‐イレブン向け食品事業をデイリーはやしやに譲渡
2021/10/07

わらべや日洋ホールディングスは、子会社のわらべや日洋食品(東京都新宿区)が手がける新潟県内のセブン‐イレブン向け調理済み食品の製造・販売事業を、同じくセブン‐イレブン向け食品製造のデイリーはやしや(長野県松本市)に譲渡することを決めた。わらべや日洋食品の新潟工場(新潟県見附市)を2022年3月末で閉鎖するのに伴うもので、デイリーはやしやが建設中の新工場が事業を引き継ぐ。

当該事業の直近売上高は22億3000万円。譲渡価額は5億円に2022年末日の簿価金額を加算した額。譲渡予定日は2022年3月31日。

岡部<5959>、米国建材メーカーのヴィムコから製造事業を取得
2021/10/07

岡部は7日、建材製品メーカーの米国ヴィムコ(ペンシルベニア州)から製造事業を取得したと発表した。米国市場ではこれまで販売のみを手がけていたが、生産機能を取り込むことで、製造から販売までの一貫体制を確立するのが狙い。現地の需要にきめ細かく対応するとともに、サプライチェーン(供給網)の分断リスクの軽減を実現する。ヴィムコは米国での仕入先の一つで、かねて良好な取引関係にある。取得価額は非公表。

岡部は2002年に米国子会社OCM, Inc.(シカゴ)を設立し、鉄筋コンクリート工事に使われるバーサポート(鉄筋の補助材)、ワイヤメッシュ(溶接金網)などを販売してきた。米建設市場の成長を受け、同国での建材製品の売上高は2021年12月期に91億円、2022年12月期には128億円を見込む。こうした好調な業績を背景に、現地生産体制の確立を模索していた。

ホットランド<3196>、もつやき専門店「日本再生酒場」「もつやき処い志井」などの事業を取得
2021/10/05

ホットランドは、外食企業のエムファクトリー(東京都調布市)、い志井(同)の両社から「もつやき・ホルモン・焼肉」事業を取得することを決めた。両社はもつやき専門店の「日本再生酒場」、「もつやき処い志井」などを首都圏で直営11店舗を運営している。ホットランドは「築地銀だこ」で知られるが、コロナ禍でも成長が見込まれる「もつやき・ホルモン・焼肉」事業を取り込み、事業拡大につなげる。

ホットランドは、エムファクトリー、い志井の両社がそれぞれ当該事業を会社分割して新設する日本再生酒場(東京都調布市。売上高7億3100万円、営業利益△9300万円)、もつやき処い志井(同。売上高2億9300万円、営業利益△5900万円)の両社の全株式を12月1日付で取得する予定。取得価額は非公表。

ナブテスコ<6268>、フィルム包装用シール検査装置メーカーのベルギーEngilico Engineering Solutionsを子会社化
2021/10/05

ナブテスコは傘下企業のPACRAFT(東京都港区)を通じて、フィルム包装用シール検査装置メーカーのベルギーEngilico Engineering Solutions NVの全株式を取得し、子会社化することを決めた。Engilicoのプログラミング・解析技術を取り込み、充填包装機の高度化に役立てる。PACRAFTはレトルト食品用充填包装機で国内トップ。取得価額、取得日などは非公表。

フジシールインターナショナル<7864>、スイス子会社PAGOのタックラベル事業を現地社に譲渡
2021/10/05

フジシールインターナショナルは5日、スイス子会社PAGO AGのタックラベル事業を同国のラベル印刷会社Helvetikett AGに9月21日付で譲渡したと発表した。併せてPAGOの本社用地・隣接地、建物など所有不動産を10月1日付で現地の別の企業に譲渡した。事業ポートフォリオの見直しの一環としている。フジシールは2012年に約98億円でPAGOを子会社化していた。譲渡価額は事業のほかに不動産を含めて約34億円。

イーサポートリンク、70人程度の希望退職を実施
2021/10/04

青果物業界向けシステムの開発や運用支援を手がけるイーサポートリンクは4日、70人程度の希望退職者を募集すると発表した。正規従業員を対象とし、募集期間は10月11日~10月31日(退職日は11月30日)。募集人数は連結従業員の約25%にあたる。事業構造改革の一環で、一部契約終了などによる輸入青果物流通関連の売上高減少に伴い、事業規模に見合った組織・人員体制を構築する。

応募者には所定の退職金に特別加算金を上乗せして支給する。

イード<6038>、進学相談イベントなどを展開するリンクを子会社化
2021/10/04

イードは、私立小・中・高校を中心とする進学相談イベントや地域密着型フリーペーパー「Fravent」の発行を手がけるリンク(横浜市)の全株式を取得し、10月1日付で子会社化した。進路情報をリアルとオンライン、紙媒体とWeb媒体で全方位から発信するのが狙い。イードはWeb媒体として教育情報サイト「リセマム(保護者向け)」「リシード(教育関係者向け)」を運営している。取得価額は非公表。

北日本紡績<3409>、プラスチック製造・廃棄物リサイクルの金井産業を子会社化
2021/10/04

北日本紡績は、プラスチック製造や産業廃棄物リサイクルを手がける金井産業(山口県周南市。売上高9300万円、営業利益△500万円、純資産9200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。今年新規参入したリサイクル事業の本格展開に向け、廃プラスチック提供元の確保とともに、グループ内で産業廃棄物収集運搬業許可と中間処理設備を保有しておくことが得策と判断した。取得価額は約1億2500万円。取得予定日は2021年11月4日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[M&A動向レポート](2021年9月)

■9月M&A件数、5カ月ぶりに前年比プラスの83件 金融関連で大型案件

 

2021年9月のM&A件数(適時開示ベース)は83件で、前年同月を22件上回る大幅増加となった。5カ月ぶりに前年比プラスに転じ、9月として2017年(84件)以来の高水準。一方、月間の取引金額は1兆2626億円。金融分野で三菱UFJフィナンシャル・グループ、新生銀行を巡る大型案件があったことから、4月(1兆9300億円)に次ぐ今年2番目の規模に膨らんだ。

 

上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online編集部)が集計した。

 

 

 

件数は5月から8月まで4カ月連続で前年に届かず、1~4月の“貯金”が10数件まで目減りしていたが、9月は一転してひと月で20件以上を積み増した。この結果、9月までの累計は前年同期比37件増の657件と、2008年(689件)以来13年ぶりのハイペースを堅持している。

 

月間の取引金額が1兆円を超えるのは2月、3月、4月に続いて9月で今年4度目。7月、8月とゼロだった1000億円を超える大型案件が復活して9月は2件あった。

 

金額トップは三菱UFJフィナンシャル・グループが傘下の米地銀MUFGユニオンバンク(カリフォルニア州)の全株式を、米地銀最大手のUSバンコープ(ミネソタ州)に約8800億円で売却すると発表した案件。売却対象は個人・中小企業向け部門で、大企業向け部門は三菱UFJ側に移管する。

 

三菱UFJは2008年にユニオンバンクに追加出資して完全子会社化したが、今後、米市場で法人取引と投資銀行業務に集中する体制とし、経営効率を高めるのが狙いだ。2022年1~6月中の売却完了を見込む。

 

金額2位も同じく金融だ。SBIホールディングスは新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を開始。SBIは最大1164億円を投じて、現在20%余りの持ち株比率を48%に高め、子会社化する計画。ただ、一方的なTOBに対し、新生銀行は反発しており、買収防衛策で対応する構え。

 

金融関連の2案件を含めて、9月として取引金額が100億円超えるのは8件(一覧表参照)。1~9月累計でみると、100億円超の案件は55件を数え、3カ月を残して2020年の年間51件を上回った。

 

 


①三菱UFJフィナンシャル・グループ

傘下の地銀MUFGユニオンバンクを米地銀最大手USバンコープに譲渡(8800億円)

 

②SBIホールディングス

新生銀行をTOBで子会社化(1164億円)

 

③三菱ケミカルホールディングス

傘下の三菱ケミカルが手がける結晶質アルミナ繊維事業を米アポロ・グローバル・マネジメントに譲渡(850億円)

 

④JSR

EUV(極端紫外線)用メタルレジストメーカーの米Inpriaを子会社化(565億円)

 

⑤明治ホールディングス

医療用医薬品子会社Meiji Seikaファルマの農薬事業を三井化学アグロに譲渡(467億円)

 

⑥ペプチドリーム

富士フイルム富山化学から放射性医薬品事業を取得(305億円)

 

⑦韓国NAVER

Zホールディングス傘下のイーブックイニシアティブジャパンをTOBで子会社化(159億円)

 

⑧パイプドHD

アドバテッジパートナーズと組んでMBOで株式を非公開化(143億円)

 

⑨チャーム・ケア・コーポレーション

大阪府内4カ所で有料老人ホーム運営のライク(大阪府八尾市)を子会社化(44.9億円)

 

⑩ユニデンホールディングス

レーダー・レーザー探知機メーカーの韓国ATTOWAVEを子会社化(21.3億円)

 


 

 

 

情報提供元:株式会社ストライク

[解説ニュース]

株式交付制度の概要と活用時の留意点

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(吉濱 康倫/税理士)

 

 

[関連解説]

■円滑な事業承継のための種類株式の活用

■法人税法132条の2・・・組織再編成に係る行為・計算の一般的否認規定・・・の及ぶ範囲

 

 

 

1.はじめに


令和3年3月1日から改正会社法が施行され、株式交付制度が創設されました。この制度によって自社株式を対価とするM&Aへの活用が期待されています。中小企業における組織再編においても適用の可能性が考えられることから、今回その概要と活用にあたっての留意点等をご説明いたします。

 

2.概要


株式交付制度は、「株式会社(以下、A社)が他の株式会社(以下、B社)をその子会社(法務省令で定めるものに限る。第七百七十四条の三第二項において同じ。)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう(会法2三十二の二)。」と定義されています。

 

子会社化する制度で類似するものとして株式交換(会法2三十一)や、現物出資(会法207)があります。しかし、株式交換は完全子会社化する制度であり、株主の意向(B社株主の中にA社株主になってほしくない者がいる、A社株式ではなくB社株式を持ち続けたい等)により完全子会社化を望まない場合には適用ができません。また、現物出資は現物出資規制(検査役の調査が原則必要)(会法207➀)や有利発行規制(有利発行の場合に株主総会特別決議が必要)(会法199②、309②五)など手続きが煩雑であるというデメリットがあります。

 

3.税務上の取扱い


①株主における譲渡損益の繰延

B社の株主が、株式交付によりB社株式をA社に譲渡し、A社株式の交付を受けた場合(A社株式の価額が交付を受けた金銭及び金銭以外の資産の価額の合計額のうちに占める割合が80%以上の場合に限ります)、その譲渡したB社株式の譲渡損益は繰り延べられます(措法37の13の3①,66の2の2①)。

 

この場合において、A社株式以外の資産の交付を受けたときは、A社株式に対応する部分のみ譲渡損益が繰り延べられます(措法37の13の3①,66の2の2①)。

 

B社株主が対価として取得したA社株式の取得価額は原則として、譲渡したB社株式の取得価額を引き継ぎます(措令25の12の3④、39の10の3③一)。

 

 

②A社におけるB社株式の取得価額

A社におけるB社株式の取得価額は、B社株式を取得する株主数に応じて以下の通りです(措令39の10の3④一)。

 

一、50人未満の株主から取得した場合:
当該株主が有していた当該株式の当該取得の直前における帳簿価額に相当する金額

 

二、50人以上の株主から取得した場合:
当該株式交付子会社の前期期末時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額に相当する金額に当該株式交付子会社の当該取得の日における発行済株式の総数のうちに当該取得をした当該株式交付子会社の株式の数の占める割合を乗ずる方法その他財務省令で定める方法により計算した金額

 

4.留意点


株式交付は、株式会社が他の「株式会社」を子会社にする制度であることから、持分会社や外国会社は対象になりません(会法774の3①一)。

 

また、子会社でない株式会社を「子会社にする」制度のため、既に子会社である会社の株式を追加取得する場合や取得後に子会社にならない場合には適用できません。加えてこの場合の子会社は議決権割合50%超の子会社に限定(実質支配力基準による子会社化は対象外)されているため注意が必要です(会規3③一、4の2)。

 

5.必要な手続き


株式交付制度を利用する場合、A社において以下の手続きを取る必要があります。詳細は紙面の都合により割愛致します。

 

①株式交付計画の作成(会法774の2)
②事前開示手続(会法816の2)
③株式譲渡の申込み及び割当て(会法774の4、5)
④株主総会決議による承認(会法816の3)
⑤反対株主の株式買取請求(会法816の6)。
⑥債権者異議手続(会法816の8、会規213の7)。
⑦事後開示手続(会法816の10)。

 

6.まとめ


株式交付は自社株対価M&Aだけでなく、B社に同族株主以外の第三者(集約困難な他の親族や事業上の取引先など)がいた場合に比較的簡単な手続きにより同族株主のみを株主とする資産管理会社A社(株主に第三者が入らず、第三者はB社株式を保有し続けられる)を構築するなども可能と考えられます。株式交付は新しい制度であり実務事例が少ないことから、活用を検討される際は弊社担当税理士にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/10/12)より転載

[M&A事業承継の専門家によるコラム]

第8回:株主の所在が分からない株式の整理方法

 

中小零細企業経営者や経営者をサポートする専門家の方が抱えるM&Aや事業承継に関するお悩みを、中小零細企業のM&A支援・事業計画支援を専門で行っている株式会社N総合会計コンサルティングの平野栄二氏にアドバイスいただきます。

 

〈解説〉

株式会社N総合会計コンサルティング

平野栄二

 

 

 

 

「前回の解説でご説明いただいた「株主の所在が分からない株式の整理方法」について、詳しく教えていただけますでしょうか」

 

 


株主の所在が分からない株式の整理方法

個人が保有している株式を集約化するためには、通常は、適正な価格を提示し、株主の承諾を得て、買い取る方法で行うことになりますが、株主の所在が分からない場合、株主の個別の承諾を得ることなく、金銭を対価として取得(キャッシュアウトといわれます)する以下のような制度が活用できます。

 

 

 

 

そのため、できる限り所在不明株主を生じさせないように、「日ごろから株主間のコミュニケーションを充実させる」「株主間契約を締結しておき、連絡が取れなくなった場合の対応のルールを決めておく」ことは重要でしょう。

 

 

1、所在不明株主の株式売却制度(会社法197 198)


次のような要件を満たせば、株主の承諾を得ることなく、売却を行うことが認められています。

 

 

[問題点]

これまで株主総会招集通知を所在不明株主に送付していなかったり、あるいはそもそも株主総会をやっていなかった会社は要件を満たさず、すぐにこの制度を利用することができません。

 

株主総会は年1回以上の開催が義務付けられていますので、今後株主総会の招集通知を毎年所在不明株主に送付し、5年間継続して受け取りがないことを確認するまではこの制度を利用することはできません。

 

 

 

 

2、株式等売り渡し請求制度(会179)


株式等売り渡し請求制度とは、総株主の議決権の10分の9以上を有する株主(特別支配株主)が他の株主に対して、その保有する株式の全てを売り渡すことを請求できる制度のことをいいます。所在不明になっている株主の株式を強制的に取得する方法として、活用されています。

 

メリットとしては、対象会社の取締役会の承認があれば、株主総会の決議を経ることなく、少数株主が保有する株式を取得することがきることです。(会社179)

 

M&Aなどでは、全株譲受が条件になっている場合が多く、株式を迅速に取得したいときに、有効な方法だといえます。

 

 

[留意点]

特別支配株主は1人又は1社である必要があるという点です。そのため、株主で残しておきたい人の株式(右表でいうと専務の株式)も売渡の対象になってしまいます。そのため、買い戻すなどの処理が必要な場合があります。

 

[手順の概要]

①特別支配株主から対象会社への通知

特別支配株主が株式の取得日や株式の買取代金額等の取引条件を決めて株式売渡請求をすることを会社に通知する。

 

②対象会社の承認

株式売渡請求について、会社の承認を得る。対象会社が取締役会設置会社である場合は、承認するか否かの決定は取締役会の決議により、取締役会非設置会社である場合は、取締役の過半数をもって決定。

 

③売り渡し株主への通知

会社が少数株主に対して、株式の取得日の20日前までに、特別支配株主から売渡請求がされ、会社が承認したことを通知する。この通知は株主名簿に記載された少数株主の住所に宛てて通知すれば足り、通知が届かないときでも通常届くべき時期に届いたものとみなされます(会社法第126条)。

 

④事前開示手続き

対象会社は、売渡株主等に対する通知又は公告の日のいずれか早い日から取得日後1年を経過するまでの間、次の事項を記載・記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置く。

 

⑤取得日

会社に通知した「取得日」に、株式が特別支配株主から多数株主に移転する。 買取代金は本来、所在不明株主に支払うべきものですが、支払先がわからないため、法務局に供託(株式買取代金を預ける)が認められている。

 

⑥事後開示手続き

対象会社は、取得日後遅滞なく取得日から1年間(非公開会社の場合)、所定の事項を記載・記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置く。

 

 

[問題点]

不満のある売渡株主から以下のような訴え等をされるリスクがあります。会社法では、少数株主の利益が害されないように、少数株主を保護するための様々な制度があります。

 

(1)売渡株式の全部の取得の差止請求

(2)売買価格の決定の申立て

(3)無効の訴え

(4)取締役に対する損害賠償請求

 

特別支配株主の株式等売渡請求を行う場合には、紛争に発展し、問題が長期化するリスクがあります。そのため、他の方法を検討してから、最終手段として、この方法を考えることが望ましいと思います。

 

 

3、株式併合による株式集約化(会180)


株式の併合とは、数個の株式をあわせて、それよりも少数の株式にすることで、すべての株主の保有株式数を一律に減少させることになります。(会社法1801項)

 

株式併合によって、株式を集約する方法とは、①少数株主が保有する株式について、株式の併合により交付される株式が端株になるように、併合割合を決めて、株式の併合を行います。②併合によって生じた1株に満たない端株の株式は換金されて少数株主に交付されることにより、少数株主は株主でなくなり、株式の集約が完了します。

 

 

[手順の概要]

①対象企業による事前の情報開示手続き

株主総会に先立って、会社本店において、一定の書類を備え置いておき、株主から希望があった場合には閲覧させる。

 

②株主総会で株式併合の特別決議をする

株主総会を正しく招集して特別決議により株式併合を決定する。併合の割合、株式の併合の効力発生日などを決議し、株式併合の理由などを説明する。

※「特別決議」とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の2/3以上の賛成で可決する決議方法

 

③株主に対する個別の通知発送

株式の併合の効力発生日の20日前までに、全株主に対して、個別に併合の割合等を通知する。連絡がとれない株主については株主名簿に記載された住所に宛てて通知すれば、通知が届かないときでも通常届くべき時期に届いたものとみなされる。

 

④効力発生

従来の株式数に併合割合を乗じた数の株主となる。

 

⑤対象企業による事後の情報開示

 

⑥裁判所に売却許可の申立てをする

株式併合により生じた端株(1株未満の株式)について、競売もしくは裁判所に売却許可の申し立てをすることができる。裁判所から売却を許可されれば、会社は端株を自ら買い取ることが可能となる。支払先がわからない場合は、法務局に代金を預けること(供託)が認められている。

 

[問題点]

●株式併合が法令または定款に違反する場合において、株式が不利益を受けるおそれがあるときは、併合の差し止めの請求が可能であります。

●反対株主には株式併合によって、生じる端数について、株式買取請求権がみとめられている。このときには、価格決定の申し立てがされた場合、想定外の高い価格で買い取らねばならないリスクがあります。

●会社または、他の株主が、反対株主や端数の買取りのための資金を準備しておく必要があります。

●自己株式を取得する場合、剰余金の分配可能額の範囲内でしか行うことができません(財源規制)(会461)ので、注意が必要です。

紛争に発展しないためにも、できるかぎり事前に株主の理解を得ることが重要です。

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「事業譲渡があった場合に譲受法人が支払う引受従業員への退職金の課税関係」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】事業譲渡に当たっての適正価額について

■【Q&A】「事業譲渡に係る収益計上時期

 

 

 


[質問]

事業譲渡法人A社の株主と事業譲受法人B社の株主は親族であるため、兄弟会社になります。A社は、債務超過の法人であったため、平成29年9月、事業譲渡法人A社、事業譲受法人B社とする事業譲渡が行われました。その際、A社が保有する債権債務、従業員もすべてB社が引き継ぎました。その後、A社は解散し、平成30年9月に清算結了しました。A社は、債務超過の状態であり、従業員に退職金を支給する原資がなかった為、事業譲渡の際には従業員に退職金を支給しておりませんでした。

 

この度、A社から引き継いだ従業員甲がB社を退職することになりました。従業員甲は、B社では勤続年数が4年ほどですが、A社では勤続期間は30年ほどあります。長い間の功労として退職金を支給する予定ですが、退職所得控除額を計算するうえで、勤続年数はB社で働いた勤続期間になるのでしょうか。それともA社での勤続期間を合わせた勤続年数となるのでしょうか。

 

[回答]

結論から申し上げますと、ご照会の従業員甲に係る勤続年数が、いずれの勤続期間になるかは、B社の退職金支給規程の定め方次第ということになります。

 

すなわち、所得税法施行令第69条第1項第1号ロの規定に「退職所得者(甲)が退職手当等の支払者(B社)の下において勤務しなかった期間に他の者(A社)の下において勤務したことがある場合において、その支払者(B社)がその退職手当等の支払金額の計算の基礎とする期間(4年+?年)のうちに当該他の者(A社)のもとにおいて勤務した期間(30年)を含めて計算するときは、当該他の者(A社)において勤務した期間(30年)を勤続期間に加算した期間(34年)により勤続年数を計算する。」旨の定めがあります。

 

従って、この規定が適用できれば、従業員甲の退職金に係る勤続年数は、34年ということになります。ただし、この規定を適用するには、一定の条件があります。

 

その条件とは、所得税基本通達30-10に定める条件をいいます。

 

具体的には、こうした他の者の下で勤務した期間を加算して勤続年数を計算できるのは、「法律若しくは条例の規定により、又は所得税法施行令第153条若しくは旧法人税法施行令第105条に規定する『退職給与規程において他の者の下において勤務した期間—を含めた期間により退職手当等の支払金額の計算をする旨が明らかに定められている場合に限り適用する』ものとする。」とされていますので、この条件を満たす規程を支給者であるB社が有するか、或いは制定し得るかということに懸かっていることになります。

 

このような取扱いになっているのは、引受者のうち特定の者だけを通算対象とし、他の者は自社の勤続期間だけで計算するという偏った取り扱いが行われるといった弊害を排除するためのものであり、事業譲渡法人元A社の従業員の全てを、普遍的、一律に取り扱うことを期待した条件といえます。

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2021年2月4日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[M&Aニュース](2021年9月21日〜2021年10月1日)

◇芙蓉総合リース<8424>、ITソリューション事業のWorkVisionを子会社化、◇AMGホールディングス<8891>、岐阜県を地盤とする建設会社の髙垣組を子会社化、◇日本創発グループ<7814>、印刷業の小西印刷所を子会社化、◇イチネンホールディングス<9619>、ガラス加工製品メーカーの新光硝子工業を子会社化、◇日本郵政<6178>、「かんぽの宿」32施設を米投資会社フォートレスなど4者に譲渡、◇ヤマト・インダストリー、10人程度の希望退職者を募集、◇マーベラス<7844>、eスポーツ運営のグルーブシンクを子会社化、◇米フーリハン・ローキー、M&A助言で国内最大手「GCA」へのTOBが成立、◇ドリームインキュベータ<4310>、投資事業子会社のDIMENSIONを経営陣に譲渡、◇アトラグループ<6029>、H2O<8242>傘下でおもちゃ・雑貨販売「ペリカン」展開のビーユーを子会社化、◇メディアドゥ<3678>、DeNA<2432>傘下で小説投稿サイト運営のエブリスタを子会社化、◇SBIホールディングス、新生銀行へのTOB期間を12月8日まで延長、◇マネジメントソリューションズ<7033>、生保業界に特化したコンサルティング事業のテトラ・コミュニケーションズを子会社化 ほか

 

 

 

 

 

芙蓉総合リース<8424>、ITソリューション事業のWorkVisionを子会社化
2021/10/01

芙蓉総合リースは、クラウド・パッケージを中心にITソリューション事業を展開するWorkVision(旧東芝ソリューション販売、東京都品川区。売上高124億円、経常利益4億7500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。顧客企業の業務改革を後押しするBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の拡大・強化の一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月15日。

傘下に収めるWorkVisionは2017年に東芝デジタルソリューションズ(川崎市)から独立し、2019年に東芝ソリューション販売から現在のWorkVisionに変更した。自社開発のSaaS(サービスとしてのソフトウエア)型システム「WorkVision」シリーズやクラウド基盤構築サービスなどのITソリューションを提供している。

AMGホールディングス<8891>、岐阜県を地盤とする建設会社の髙垣組を子会社化
2021/10/01

AMGホールディングスは、岐阜県を地盤とする建設会社の髙垣組(岐阜県郡上市。売上高47億7000万円、営業利益9700万円、純資産6億5600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。AMGは愛知県を本拠として分譲マンションや戸建て分譲、注文建築を手がけている。髙垣組を傘下に取り込むことで、グループの事業基盤の拡充や中長期的な成長につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月30日。

日本創発グループ<7814>、印刷業の小西印刷所を子会社化
2021/10/01

日本創発グループは、総合印刷業の小西印刷所(兵庫県西宮市。売上高17億円7000万円、営業利益△1億7000万円、純資産5億300万円)の株式60.98%を追加取得し、1日付で完全子会社化した。小西印刷所は1926(大正15)年に創業し、本社を置く西宮市内で最大の印刷会社。日本創発は2020年10月に株式39.02%を取得し、持ち分法適用関連会社としていた。取得価額は3億700万円。

イチネンホールディングス<9619>、ガラス加工製品メーカーの新光硝子工業を子会社化
2021/10/01

イチネンホールディングスは、ガラス加工製品メーカーの新光硝子工業(富山県砺波市。売上高9億2500万円、営業利益1270万円、純資産16億6000万円)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。イチネンはグループのケミカル事業や機械工具販売事業、合成樹脂事業における製造ノウハウと新光硝子の技術を融合し、新たな事業分野への進出につなげる。取得価額は非公表。

新光硝子は1953年に設立し、曲げガラス、樹脂合わせガラスなどの各種ガラス加工製品を主力とする。

日本郵政<6178>、「かんぽの宿」32施設を米投資会社フォートレスなど4者に譲渡
2021/10/01

日本郵政は1日、宿泊施設「かんぽの宿」のうち32施設にかかる事業を、米投資会社フォートレス・インベストメント・グループなど4者に譲渡すると発表した。「かんぽの宿」事業はかねて厳しい経営が続いていたが、コロナ禍が重なり、赤字幅が一段と拡大する状況にあった。地域における集客拠点・雇用の場として存続し続けるためには、ホテル・旅館の運営に実績や意欲を持つ事業者に譲渡することが最善と判断した。譲渡額は総額88億円。

「かんぽの宿」は現在33施設が営業しているが、1施設を残して32施設を譲渡する。その内訳はフォートレスに29施設、シャトレーゼホールディングス(山梨県笛吹市)、ノザワワールド(福島県いわき市)、日田淡水魚センター(大分県日田市)に各1施設。

今回の譲渡対象事業の直近業績は売上高76億円、経常赤字113億円。2022年4月5日にフォートレスに、同4月1日にフォートレス以外の3者にそれぞれ譲渡する。

グローセル、希望退職に3割増の79人が応募
2021/09/30

半導体商社のグローセルは30日、希望退職に79人の応募があったと発表した。60人程度としていた募集人数を3割程度上回った。45歳以上の総合職、35歳以上の一般職などを対象に9月6日~24日に募った。業績悪化に伴う経営基盤強化施策の一環で、営業拠点も九州支店(福岡市)、名古屋営業所(名古屋市)、立川営業所(東京都立川市)の廃止を決めている。

応募者の内訳は総合職71人、一般職8人で、退職日は12月20日。割増退職金や再就職支援にかかる費用約11億円を2022年3月期決算に特別損失として計上する予定。

ヤマト・インダストリー、10人程度の希望退職者を募集
2021/09/30

プラスチック部品製造のヤマト・インダストリーは30日、10人程度の希望退職者を募ると発表した。40歳以上64歳未満の正社員、嘱託社員を対象とし、募集期間は11月1日~5日(退職日は12月13日)。コロナ禍で電機や自動車など取引先の生産調整が響き、業績悪化。子会社の事業譲渡や徹底した経費削減などの構造改革を進めているが、さらに一歩踏み込む。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給する。

2022年3月期業績予想は売上高15.7%増の150億円、営業利益9000万円(前期は5億円3100万円の赤字)、最終利益1500万円(同5億7800万円の赤字)。

戸田建設<1860>、茨城県地盤の昭和建設を子会社化
2021/09/30

戸田建設は茨城県の地場大手建設会社、昭和建設(水戸市。売上高91億4000万円、純資産36億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。茨城エリアでの事業基盤強化の一環。昭和建設は1955年に創業。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

マーベラス<7844>、eスポーツ運営のグルーブシンクを子会社化
2021/09/30

マーベラスは、eスポーツ運営とWebサイト制作などのグルーブシンク(東京都新宿区。売上高2億6700万円、営業利益7930万円、純資産1億1000万円)の株式60%を取得し子会社化することを決めた。拡大が期待されるeスポーツ分野への事業展開を視野に入れている。グルーブシンクは2002年設立で、eスポーツ運営に関して15年以上の実績を持つ。取得価額は2億5500万円。取得予定日は2021年10月1日。

ドリームインキュベータ<4310>、投資事業子会社のDIMENSIONを経営陣に譲渡
2021/09/30

ドリームインキュベータは、投資事業子会社のDIMENSION(東京都千代田区)の全株式を、同社代表取締役の宮宗孝光氏に譲渡することを決めた。構造改革の一環として、ベンチャー投資事業へのかかわり方を再検討していた。譲渡価額は300万円。譲渡予定日は2021年10月1日。

富士ピー・エス<1848>、コンクリート構造物の耐震補強・補修工事の駿河技建を子会社化
2021/09/30

富士ピー・エスは、高速道路や橋梁などコンクリート構造物の耐震補強、補修工事を主力とする駿河技建(静岡市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。社会インフラの維持補修・更新分野での事業拡大につなげる。駿河技建は2009年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月4日。

アトラグループ<6029>、H2O<8242>傘下でおもちゃ・雑貨販売「ペリカン」展開のビーユーを子会社化
2021/09/30

アトラグループは、エイチ・ツー・オーリテイリング傘下でおもちゃ、雑貨、文具販売のビーユー(大阪市)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。鍼灸接骨院支援事業を主力とするアトラとして、新規事業の第1号案件として取り組む。傘下に収めるビーユーは「ペリカン」ブランドで近畿・中四国・九州地区において30以上の店舗を展開する。アトラは鍼灸接骨院支援で蓄積したリアル店舗への経営指導のノウハウを生かし、ビーユーの業績改善を推し進める。取得価額は非公表。取得予定日は2021年12月1日。

Cominix<3173>、機械・工具総合卸の広州加茂川国際貿易を子会社化
2021/09/30

Cominixは、機械・工具を中心に生産財総合卸事業を展開する日系企業の広州加茂川国際貿易有限公司(広州市。売上高5億8300万円、営業利益△1120万円、純資産8330万円)の全持ち分を取得し子会社化することを決めた。中国での切削工具事業の業容拡大が狙い。取得価額は非公表。取得予定は2021年11月中旬。

広州加茂川国際貿易はKamogawa(京都市)の中国子会社で、設立は2002年。

藤井産業<9906>、計量器・測量機製造のコアミ計測機を子会社化
2021/09/30

藤井産業は、計量器や測量機など製造のコアミ計測機(宇都宮市。売上高7億2700万円、営業利益2900万円、純資産1億9500万円)の全株式を取得し、30日付で子会社化した。建設業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化への対応力向上の一環。取得価額は非公表。

スターティアホールディングス<3393>、民事再生手続き中のSharp Document 21yoshidaなど2社からITインフラ関連事業を取得
2021/09/30

スターティアホールディングスは傘下企業を通じて、いずれも民事再生手続き中のSharp Document 21yoshida(仙台市。売上高23億円)、吉田ストア(福島県会津若松市。売上高3億円)の両社からITインフラ関連事業を取得することを決めた。両社は兄弟関係にあり、複合機、ネットワーク機器をはじめ各種オフィス機器の販売・保守やインターネット回線の提供などを手がけ、宮城県・福島県を中心に約5000社の顧客基盤を持つ。取得価額は5億2700万円。取得予定日は2021年11月1日。

パイプドHD<3919>、MBOで株式を非公開化
2021/09/30

パイプドHDは30日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。国内投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP、東京都港区)と組んで、TOB(株式公開買い付け)を実施し、64%余りの株式取得を目指す。買付代金は最大約143億円。パイプドHD社長で35%強の株式を所有する佐谷宣昭氏はTOBに応募しない。パイプドHDはTOBに賛同している。TOBが成立すれば、東証1部への上場が廃止となる見通し。

パイプドHDはクラウドを活用したデータ管理プラットフォーム「スパイラル」を中心に事業展開する。今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展でサービスの競争環境が一層激しく変化することが予想される中で、中長期的な観点から成長戦略を推し進めるには非公開化が必要と判断した。

買付主体はAP傘下のミライサイテキグループ(東京都港区)。パイプドHD株の買付価格は1株2800円で、TOB公表前日の終値2512円に11.46%のプレミアムを加えた。買付予定数は510万7632株。買付予定数の下限は所有割合23.09%にあたる183万400株。買付期間は10月1日~11月15日。決済の開始日は11月22日。公開買付代理人は大和証券。

さらにパイプドHDはTOB成立を条件とし、第二段階の取引として自社株TOBを1株2611円で行う方針を明らかにした。買付予定数の上限は最大79万8400株(所有割合10.07%)に設定する。株主の事情などにも配慮し、可能な限り株式売却の機会を提供するとしている。買付期間は11月24日~12月21日。決済の開始日は2022年1月17日。公開買付代理人は野村証券。

三菱ケミカルホールディングス<4188>、結晶質アルミナ繊維事業を米アポロ・グローバル・マネジメントに譲渡
2021/09/30

三菱ケミカルホールディングスは30日、傘下の三菱ケミカルが手がける結晶質アルミナ繊維事業を、米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメント(ニューヨーク)に譲渡すると発表した。事業構成の見直しを検討する中で、グループ内での運営では事業の変革や持続的な成長を図ることが難しいと判断した。譲渡価額は850億円。2022年3月1日に譲渡完了を見込む。

三菱ケミカルが手がける結晶質アルミナ繊維事業を会社分割して設立する新会社に移管したうえで、新会社の全株式をアポロ・グローバル・マネジメントが都内に設立した特別目的会社に譲渡する。

結晶質アルミナ繊維は自動車の排ガスを浄化する触媒コンバーターなどで使われるほか、製鉄所の炉内断熱剤としても普及している。自動車関連の需要は堅調に推移しているものの、足元ではガソリン車の販売を規制する動きも出ている。

SBIホールディングス、新生銀行へのTOB期間を12月8日まで延長
2021/09/29

SBIホールディングスは29日、新生銀行の子会社化を目的に実施中のTOB(株式公開買い付け)の期間を当初の10月25日までから変更し、新生銀が要請していた12月8日まで延長すると発表した。新生銀によって買収防衛策に基づく対抗措置の一部が暫定的に発動される可能性があることから、新生銀の株主などに無用な混乱を生じさせないためにも、やむを得ず要請に応じることにしたとしている。

新生銀の約20%の株式を持つSBIは9月10日にTOBを開始し、10月25日までに所有割合を最大48%まで引き上げ、傘下に収めることを目指している。これに対し、新生銀はSBIの所有割合を下げるため、新株予約権の無償割り当てを内容とする買収防衛策の導入を取締役会で決定。今後、臨時株主総会(基準日の定めは10月13日)を開いて買収防衛策の発動の是非を諮る予定。

SBIはTOB期間を12月8日まで延長するよう求める新生銀に対し、株主総会の早期開催など4項目の条件が受け入れられれば、11月24日まで延長すると回答。しかし、新生銀は9月30日正午までを期限とし、当初の要請通りに12月8日までのTOB延長に応じるよう求めていた。

新生銀はSBIから事前の連絡がないままTOBが始まったとして反発し、対決色が強まっているが、現在までTOBへの賛否に関しては意見の表明を留保している。

メディアドゥ<3678>、DeNA<2432>傘下で小説投稿サイト運営のエブリスタを子会社化
2021/09/29

メディアドゥは、DeNA傘下で小説投稿サイトの運営や投稿された作品の出版などを手がけるエブリスタ(東京都渋谷区。売上高8億8100万円、営業利益2億3200万円、純資産17億6000万円)の株式70%を取得し子会社化することを決めた。エブリスタの投稿コミュニティーサイトとしての機能を強化し、読者・ユーザーとのダイレクトコミュニケーションによって多様な作品が生み出される環境、サイクルの構築につなげる狙いという。取得価額は20億6500万円。取得予定日は2021年12月1日。

マネジメントソリューションズ<7033>、生保業界に特化したコンサルティング事業のテトラ・コミュニケーションズを子会社化
2021/09/29

マネジメントソリューションズは、生命保険業界向けに特化した業務・システムコンサルティングを手がけるテトラ・コミュニケーションズ(東京都千代田区。売上高7億100万円、営業利益2120万円、純資産6250万円)の株式80%を取得し子会社化することを決めた。業界特化コンサルティング機能を取り込み、主力事業のコンサルティングサービスのメニュー拡充につなげる。取得価額は6億8000万円。取得予定日は2021年11月1日。

テトラ・コミュニケーションズは2008年に設立以来、生保界向けコンサルティング活動を展開。生保業務や関連法令についての蓄積された知見やシステム開発力などを背景に、現在では国内生保のおよそ4割と直接取引があるという。

AKIBAホールディングス<6840>、電子回路開発・製造のシーアールボックスを子会社化
2021/09/29

AKIBAホールディングスは傘下企業を通じて、各種マイコンユニットや電源モジュールなどの電子回路を開発・製造するシーアールボックス(東京都八王子市。売上高2億4200万円、営業利益△1240万円、純資産1億9600万円)の株式52.9%を取得し子会社化することを決めた。新規顧客の開拓、調達力の強化につなげる。シーアールボックスは業歴50年以上に及び、産業機器や医療機器で使われる電源のカスタム設計に強みを持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月15日。

株式の取得割合は52.9%だが、残りの47.1%はシーアールボックスの自己株式のため、実質的に100%子会社となる。

ソースネクスト<4344>、東京SIM外語研究所から外国語教育事業を取得
2021/09/29

ソースネクストは、東京SIM外語研究所(東京都多摩市)が運営する外国語教育事業を会社分割により取得することを決めた。事業領域拡大の一環で、英語教育アプリの開発、販売などにつなげる。対象事業の直近売上高は100万円。取得価額は900万円。取得予定日は2021年11月2日。

ソースネクストはパソコン用ソフトウエア開発やウイルス対策を主力とするが、新分野として2020年5月に東京SIM外語研究所から英語学習教材「スーパーエルマー」を含む6製品の著作権を譲り受けている。

米フーリハン・ローキー、M&A助言で国内最大手「GCA」へのTOBが成立
2021/09/28

M&A助言で国内最大手のGCAは28日、同社に対する米投資銀行フーリハン・ローキーのTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。フーリハンは議決権ベースで89.96%の株式を買い付け、TOB成立の前提だった買付予定数の下限(所有割合66.67%)を大きく上回った。フーリハンは今後、所定の手続きに従って残る株式を取得し、GCAを完全子会社化する。これに伴い、GCAは東証1部への上場が廃止となり、米企業の傘下で再出発する。

フーリハンによるGCA株の買付価格は1株1398円(当初は1380円)で、最大約690億円を投じて全株取得を目指した。買い付けは8月4日に始まり、9月27日に終了した。フーリハンは日本・アジアでM&A助言で実績を持つGCAを傘下に取り込み、アジアでの事業基盤拡大を狙いとしている。

GCAは2004年に独立系のM&A助言会社として創業し、2006年に東証マザーズに上場。2008年に米国の有力M&A助言会社サヴィアンを買収するなどグローバル展開を推し進めてきた。2012年に東証1部に上場

カヤック<3904>、オンライン家庭教師事業のゲムトレを子会社化
2021/09/28

カヤックは、ゲームのオンライン家庭教師事業「ゲムトレ」を運営するゲムトレ(東京都渋谷区。売上高1270万円、営業利益539万円、純資産457万円)が実施した第三者割当増資の引き受けなどで株式60%(うち10%はカヤック代表取締役CEOの柳澤大輔氏が個人取得)を取得し、28日付で子会社化した。eスポーツ関連の事業領域を拡充する狙い。取得価額は9000万円(柳澤氏取得分を除く)。

ゲムトレは2020年4月、eスポーツを活用した学習支援サービスの提供を目的に設立した。

チャーム・ケア・コーポレーション<6062>、大阪府内で有料老人ホーム運営のライクを子会社化
2021/09/28

チャーム・ケア・コーポレーションは、介護付き有料老人ホームを大阪府内4カ所で運営するライク(大阪府八尾市。売上高15億1000万円、営業利益2億6800万円、純資産8億9200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。近畿圏の展開エリア拡充の一環。ライクは2004年設立で、八尾市、池田市、堺市、大阪市に4ホーム(計410室)を持つ。取得価額は44億9900万円。取得予定日は2021年11月30日。

ヨコレイ<2874>、サーモン・トラウト養殖のノルウェー子会社を合弁相手に譲渡
2021/09/28

ヨコレイは、ノルウェーでサーモンやトラウトの養殖事業を手がけるHofseth Aqua AS(HA、売上高66億6000万円、営業利益△1億6600万円、純資産54億6000万円)を傘下に置く合弁子会社(持ち株会社)HI YR ASの全保有株式50%を、合弁相手で現地の大手水産加工会社Hofseth International AS(HI)に28日付で譲渡した。ノルウェー政府が国策として漁業への保護姿勢を強める中、事業拡大への制約が目立つようになり、協業スキームの再編をかねて検討していた。譲渡価額は未確定。

ヨコレイは2016年、ノルウェーサーモンの安定的な供給先確保を目的にHIと折半出資でHI YR ASを設立し、HA(旧Fjordlaks Aqua AS)を買収した。事業は拡大したものの、ノルウェー政府の保護姿勢の強まりから、外国企業が50%を持つHAのままでは養殖ライセンスの新規発給やその他優遇策も受けられないなどの支障が生じていた。

ヨコレイは引き続きHIに14%余りの株主として参加し、取締役や経理担当もこれまで通り派遣し、経営に関与する。HIは今後、ヨコレイとの安定的なパートナー関係のため、東京に拠点開設を予定しているという。

レカム<3323>、子会社で手がける太陽光発電システムなどの販売事業をNEXTAGE GROUPに譲渡
2021/09/27

レカムは傘下の産電(大阪市)が手がける太陽光発電システムやオール電化システムなどの住宅設備機器販売事業(直近業績は売上高13億3000万円、経常利益△0百万円)を、住宅・住宅設備関連のNEXTAGE GROUP(東京都港区)に譲渡することを決めた。コロナ禍の影響で提案営業が思うように行えない状況が続き、収益が悪化していた。

これに併せて、設備工事を担当する100%子会社の産電テクノ(奈良市。売上高1億3200万円、営業利益300万円、純資産6300万円)の全株式を、NEXTAGE GROUP傘下でリフォーム事業を手がけるMED Communications(東京都港区)に譲渡する。

事業譲渡、株式譲渡の予定日はいずれも2021年9月30日。譲渡価額は非公表。

クラウドワークス<3900>、IT人材ダイレクトマッチング事業のコデアルを子会社化
2021/09/27

クラウドワークスは、IT人材のダイレクト型マッチングサービス「CODEAL」を運営するコデアル(東京都千代田区。売上高5500万円、営業利益400万円、純資産4500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。月額課金型のサービスモデルを拡大することにより、マッチング事業の中長期的な収益確保や成長力強化につなげる。コデアルはエンジニアを中心に1万5000人を超える登録ユーザー数を持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

INCLUSIVE<7078>、ゴルフクラブフィッティングサービスのOGSを子会社化
2021/09/27

INCLUSIVEは、ゴルフクラブのフィッティングサービスを手がけるOGS(東京都世田谷区。売上高1億9000万円、営業利益△1180万円、純資産△4800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ゴルファーに最適なクラブ提案を行うフィッティングのノウハウをデジタル化する「ゴルフテック」サービスの展開を計画している。取得価額は約1億200万円。2021年10月中に取得予定。

OGSは2016年に設立し、ゴルフクラブのフィッティングを行う「大蔵ゴルフスタジオ」を都内などで運営。アマチュアからプロゴルファーまで直近1年間で2000人以上が同社のサービスを利用しているという。

INCLUSIVEはシャフトやヘッドの性能の網羅化、クラブをはじめ各種ゴルフ用品を利用した際の口コミ情報や試打情報に関するメディア運営など、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の余地が大きいと判断している。

新日本建設、元東証1部上場「冨士工」の子会社化を中止
2021/09/26

新日本建設は24日、元東証1部上場の建設会社で10月1日付で予定していた冨士工(東京都中央区)の子会社化を中止したと発表した。150億円を投じて冨士工の全株式を取得することにしていたが、冨士工の子会社化後の経営方針や営業展開など主要な点で相違点が顕在化したとして、8月18日に合意していた株式譲渡契約の解除を決めた。

新日本建設は首都圏を中心に建設事業と分譲マンションなどの不動産開発事業を経営の2本柱とする。冨士工の子会社化は非住宅分野の強化を大きな狙いとしていた。冨士工は1946年に設立し、同じ首都圏を地盤に建築・土木工事を手がけ、とくに建築工事で医療法人や社会福祉法人などの非住宅分野の受注に強みを持つ。

冨士工はバブル崩壊後に経営危機が表面化。2001年に民事再生法手続きを申請し、総額831億円の負債を抱え、行き詰まり、東証1部への上場が廃止となった。2021年3月期は売上高199億円、営業利益14億4000万円、純資産93億8000万円。

ETSホールディングス<1789>、電気工事業の岩井工業所を子会社化
2021/09/24

ETSホールディングスは、電気工事業の岩井工業所(岡山市。売上高3億3800万円、営業利益△700万円、純資産2億5400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。共同営業や工事要員の人材交流などで相乗効果を期待している。岩井工業所は1948年創業で、中国電力を主要顧客として送電線工事、地中線工事で実績を積んできた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年9月30日。

ユニデンホールディングス<6815>、レーダー・レーザー探知機メーカーの韓国ATTOWAVEを子会社化
2021/09/24

ユニデンホールディングスは、レーダー・レーザー探知機を開発、製造する韓国ATTOWAVE CO., LTD.(ソウル。売上高17億1000万円、営業利益2億7500万円、純資産6億8700万円)の株式80%を取得し、24日付で子会社化した。北米市場を中心に事業が順調に成長しているレーダー・レーザー探知機について、その他の海外市場を含めて競争優位性を確立するのが狙い。取得価額は約21億3900万円。

米国では速度違反の取り締まりを巡る技術革新の進展でレーダー・レーザー探知機へのニーズの変化やそのスピードの加速が予想されているほか、欧州やその他地域で成長を果たすためには各市場のニーズを反映した製品開発力や販売力が求められている。この分野における韓国の有力メーカーを傘下に取り込み、グローバルな事業拡大に弾みをつける。

ミダックホールディングス<6564>、産業廃棄物中間処理事業の柳産業を子会社化
2021/09/24

ミダックホールディングスは、建設廃棄物の破砕、圧縮を中心に産業廃棄物中間処理事業を手がける柳産業(浜松市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。主力地盤である東海エリアで一段の業容拡大につなげる。ミダックHDは自社の既存施設での廃棄物処理を柳産業が運営する中間処理施設へ中長期的にシフトし、コスト低減やグループの事業基盤の強化を目指す。柳産業の設立は1982年。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月21日。

セレス<3696>、TikTok公認MCNを展開するstudio15を子会社化
2021/09/24

セレスは中国系動画投稿アプリ「TikTok」公認MCN(マルチチャンネルネットワーク)を展開するstudio15(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。急拡大するインフルエンサーマーケティング事業の拡大につなげる狙い。studio15はTikTokを中心にショート動画(縦型短尺動画)の企画・制作からプロモーションまでをワンストップで提供している。取得価額は2億円。取得予定日は2021年10月1日。

セレスは国内最大級のポイントサイト「モッピー」などの成果報酬型広告メディアや成功報酬型広告の掲載をサポートするアフィリエイトプログラム「AD.TRACK」を運営している。傘下に収めるstudio15は2019年に設立し、TikTok公認MCNとして、所属クリエーター数60人、総フォロワー数1200万人以上、総再生回数50億回以上のプロダクション事業を主力とする。

光村印刷、希望退職に3割増の105人応募
2021/09/22

光村印刷は22日、希望退職に105人の応募があったと発表した。全従業員の15%にあたる80人程度としていた募集人数を3割程度上回った。子会社を含めて40歳以上の従業員を対象(一部事業所では年齢制限を設けない)とし、8月6日~31日に募った(退職日は9月30日)。コロナ禍の長期化によるイベント・展示会の中止などでチラシ、パンフレット類の印刷需要が大きく落ち込んでおり、収益構造の再構築に向けた体制づくりの一環。

応募者には退職加算金を支給し、再就職支援を行う。2022年3月期に特別退職金などにかかる費用3億5600万円を特別損失として計上する予定。

ポプラ<7601>、海産珍味製造卸子会社の大黒屋食品をまるか食品に譲渡
2021/09/22

ポプラは、海産珍味の製造卸を手がける子会社の大黒屋食品(広島市。売上高9億3400万円、営業利益△1600万円、純資産4億2300万円)の全株式を、海産珍味・スナック類製造販売のまるか食品(広島県尾道市)に譲渡することを決めた。近年、施設内出店に力を入れてきたが、病院や大学、オフィス内など珍味を取り扱わない店舗の割合が増えたことにより、大黒屋食品との取引高が年々減っていたという。譲渡価額は2億8000万円。譲渡予定日は2021年10月8日。

大黒屋食品は1962年設立で、ポプラ発足の起源となった会社。長年、グループ店舗のための珍味商材の調達機能を果たしてきたが、ポプラは本業であるコンビニ事業の立て直しに専念するため、重要取引先であるまるか食品に大黒屋食品の経営を委ねる。

OCHIホールディングス<3166>、寝具・衣料品など繊維商品卸売りの寺田を子会社化
2021/09/22

OCHIホールディングスは、寝具や衣料品、タオルなどの繊維商品卸売りの寺田(北海道函館市。売上高38億6000万円、営業利益4400万円、純資産17億2000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。住宅需要の変化を受けにくい企業体質の確立に向けて非建材分野の事業拡大を進めており、その一環。寺田は1956年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月8日。

OCHIホールディングスは建材・住宅設備機器の卸売りを主力としている。

ソニーグループ<6758>、インド子会社と現地放送大手Zee Entertainment Enterprisesが統合へ
2021/09/22

ソニーグループは22日、インドで映像配信を手がける子会社Sony Pictures Networks Indiaが現地放送大手のZee Entertainment Enterprises Ltd.と合併に関する独占交渉のための法的拘束力のない条件確認書を締結したと発表した。確認書はソニーが約15億7500万ドル(約1720億円)の成長資金を拠出し、統合新会社の過半数の株式を取得する内容を含む。今後、法的拘束力のある確定契約に向けて90日間独占的に交渉を行う。世界第2位の人口13億人を抱えるインドでメディア・コンテンツ事業を展開し、巨大市場を取り込む。

マイネット<3928>、プロバスケットボール「滋賀レイクスターズ」運営会社を子会社化
2021/09/22

マイネットは、Bリーグ所属のプロバスケットボールチームを運営する滋賀レイクスターズ(大津市。売上高5億3400万円、営業利益500万円、純資産0百万円)の株式75%を取得し、22日付で子会社化した。マイネットは今春、J2所属プロサッカーチームの琉球フットボールクラブ(沖縄県沖縄市)に一部出資したが、プロスポーツクラブの経営権を得るのは今回が初めて。取得価額は非公表。

マイネットは主力のゲームサービス事業に次いで、ITツールを活用してチームの戦績や選手のパフォーマンスを上げるなどのスポーツDX(デジタルトランスフォーメーション)事業に力を注いでいる。

ディア・ライフ<3245>、東京・城南地区で不動産開発を手がけるアイディを子会社化
2021/09/21

ディア・ライフは、東京・城南地区でマンション・アパートなどの不動産開発を手がけるアイディ(東京都品川区。売上高59億4000万円、営業利益3億1400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。土地の仕入れ・開発物件の売却力の強化につなげるほか、施工業務請負や賃貸仲介・管理事業を取り込む。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

ディア・ライフは都心に特化した不動産開発会社で、単身者やDINKS(子どもを持たない共働き夫婦)向けの都市型マンションの開発・供給を主力とする。今回傘下に収めるアイディは1979年設立で、同社子会社のアイディプロパティ(東京都品川区)はアパート・マンションの賃貸管理、賃貸・売買仲介を手がける。

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、傘下の米銀MUFGユニオンバンクをUSバンコープに売却
2021/09/21

三菱UFJフィナンシャル・グループは21日、傘下の米地銀MUFGユニオンバンク(カリフォルニア州サンフランシスコ)の全株式を、米地銀最大手のUSバンコープ(ミネソタ州ミネアポリス)に売却すると発表した。米市場で法人取引と投資銀行業務に経営資源を集中するのが目的。売却に先立ち、個人・中小企業向けのリテール・コマーシャルバンキング部門を除き、大企業向け部門は三菱UFJ側に移管する。売却価額は総額80億ドル(約8800億円)で、このうち55億ドルが現金。残りはUSバンコープの株式2.9%相当を受け取る。2022年1~6月中に売却完了を見込む。

三菱UFJは2008年にユニオンバンクに追加出資して完全子会社化した。ユニオンバンクの総資産は約1300億ドルで、このうち今回売却対象となるリテール・コマーシャルバンキング部門は約1054億ドル、支店数309店舗。競争力維持のためには今後、デジタル化対応による多額のIT投資が必要となることなどから、米国での銀行業務を大企業向けを中心とする法人部門に絞り、収益安定化を目指す。

中部鋼鈑<5461>、プラント設備製作のベトナム子会社MEITOKU ENGINIEERING VIETNAMをソルテック工業に譲渡
2021/09/21

中部鋼鈑はベトナムでプラント設備製作・据え付け工事を手がける全額出資子会社MEITOKU ENGINIEERING VIETNAM CO.,LTD.の全株式を、各種プラント設備製作のソルテック工業(大阪市)に譲渡することを決めた。経営資源の選択と集中の一環で、現中期経営計画で国内における事業基盤整備の推進を基本方針に打ち出したのを踏まえた措置。MEITOKU ENGINIEERING VIETNAMは子会社の明徳産業(名古屋市)を通じて2015年に設立。譲渡価額は非公表。譲渡予定は2021年11月。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[会計事務所の事業承継・M&Aの実務]

第6回:会計ソフトの統合

~会計ソフトは統合した方がいいのでしょうか?~

 

[解説]

辻・本郷税理士法人 辻・本郷ビジネスコンサルティング株式会社

黒仁田健 土橋道章

 

 

 

 

▷関連記事:事業が健全かそうでないかの判別

▷関連記事:「会計事務所・税理士事務所のM&Aの特徴や留意点」とは?

 

 

Q、会計ソフトは統合した方がいいのでしょうか?

A、会計事務所に特有なのが、会計ソフトの問題です。M&Aした買主と売主の会計ソフトが違う場合に会計ソフトを統合するかどうかは、大きな課題となります。同じである場合には、業務を標準化しやすく、M&Aをスムーズに進めることもできます。

 

会計ソフトが違う場合、当初から統合することも選択肢の一つですが、税務申告・試算表作成等を提供するサービスの中心としていたとすると、会計ソフトがサービスの中心的な役割をしていますし、会計ソフトベンダーとの契約期間等もありますので、容易に統合はできません。

 

効率性を優先するのであれば会計ソフトなどは統合すべきですが、顧問先との長い年月の関係で現在のカタチができています。ありがたいことに最終的な成果物である申告書や決算書のひな形は同じです。それを作成するための道具(会計ソフト)は異なりますが、統合当初の段階から合わせていくべきものなのかは慎重に決めた方がいいでしょう。顧問先からのニーズを把握できない状態で、会計ソフトを統合することは控えるべきです。

 

会計事務所にとって、最大の商売道具(ツール)といえるのが「会計ソフト」です。道具を一気に変えてしまった場合、使う側としては戸惑いと同時に、慣れるまでに時間がかかります。特に、M&Aによる変化が多い状況でストレスがかかるので、M&A直後に会計ソフトを統合することは避けるべきと考えます。

 

当社の場合、M&A当初の時期は会計ソフトを基幹のソフトに一本化しようと考えていましたが、モチベーションの低下をもたらすとともに業務が非効率となったので、統合前のそのままの会計ソフトを使うようにしています。会計ソフトを変えずに継続して同じものを使うようになってからは業務上でのストレスがなくなり、経営統合はスムーズにいく機会が増えました。

 

 

 

また、結果的に、多数の会計ソフトを使用している多様性が強みになる可能性も感じています。

 

参考までに、当社がM&Aした際に承継先の事務所が使用していた会計ソフトは上記のグラフとなります。

 

統合した際の効果として、会計ソフトやITツールなどのシステムのシナジー効果があります。会計ソフトは、その事務所によってこだわりが出やすいものです。会計事務所によって、メインで使用する会計ソフトは全く異なります。

 

そのため、会計ソフトの範囲を限定してしまっていて、他に便利なソフトが出ても閉鎖的になり、新たなソフトを使用しようとしない傾向があります。まさに武士の魂である刀のように、こだわりが強いのです。

 

しかし、業務の内容によっては、メインで使用している会計ソフト以外のソフトの機能を駆使した方が効率が上がる場合があります。事務所が統合することにより、これまで使ったことのない会計ソフトに触れることで、臨機応変に使い分けることができるようになります。

 

また、業務の内容に応じて、それぞれの会計ソフトの利点を活かせるように、それぞれの事務所の使い方等を共有して融合できれば、業務の効率化をはかることができます。

 

当社のM&Aの事例でも、昔から使用していた会計ソフトしか使わないという文化に、クラウド型の会計ソフトなどの最新型のソフトを使う文化が融合した際、最初はなかなか浸透しませんでしたが、時間をかけてコミュニケーションをとり、それぞれの良さをわかり合うことができ、業務効率が格段に上昇した事例があります。

 

 

 

 

 

▷参考URL:M&A各種契約書等のひな形(書籍『会計事務所の事業承継・M&Aの実務』掲載資料データ)

 

[失敗しないM&Aのための「財務デューデリジェンス」]

第8回:財務デューデリジェンス「レポート(報告書)作成・報告」を理解する

~M&Aをサポートする専門家に向けたアドバイス~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷第5回:財務デューデリジェンス「貸借対照表項目の分析」を理解する【前編】

▷第6回:財務デューデリジェンス「貸借対照表項目の分析」を理解する【後編】

▷第7回:財務デューデリジェンス「事業計画の分析」を理解する

 

 

財務デューデリジェンス「レポート(報告書)作成・報告」を理解する


1、レポートの作成イメージ

財務デューデリジェンスにおいて、論点は一定程度どの会社も同様ですが、会社ごとに特に重要と考えられる論点やその重要度が異なることがあります。また、買手企業から依頼を受けて財務デューデリジェンスを実施している場合、買手企業のニーズに合わせた分析・レポートにする必要があります。そのため、財務デューデリジェンスのレポートは対象会社ごとに毎回異なった分析・レポートとなることが一般的です。

 

筆者は財務デューデリジェンスのセミナー等を行った時に、受講生から「財務デューデリジェンスのレポートひな形を頂けませんか」と言われることがあります。先に述べたように、対象会社ごとに異なる分析・レポートを作成するため、ある程度の「ひな形」がないわけではないですが、ひな形通りにレポートを作ればとりあえず大丈夫というようなものは持ち合わせていません。

 

私のイメージするひな形は一般的な分析例が載っているものと理解していますが、おそらくそのひな形通りに分析をしても8割から9割の論点は抑えられますが、1~2割の分析が抜けてしまう可能性があります。その1~2割の分析が対象会社・買手のニーズごとに異なる部分であり、実は、その部分がとても重要な分析・レポートとなることが筆者の経験上多いです。

 

筆者がひな形をあまり好ましくないと思っている理由のもう一つに、対象会社ごとに異なるのはレポート全体だけはありません。それぞれの分析において、対象会社の規模や業種等によっても分析の切り口が変わり、発見事項が異なることが一般的です。レポートは、会計監査の監査調書や、税務調査対応のための証憑とは異なり、常に読み手を意識しながら、どのように伝えるか、伝わるかを考え作成します。

 

例えば、発見事項の有無に関わらず、全ての実施した分析とその結果がレポートに記載されているとどうでしょうか。伝えたい部分をつかみにくく、読み手としては読みにくいと思います。「発見事項がなかったという事実」が重要な場合を除いて、発見事項がない場合はレポートに記載するかどうかを検討する必要があります。

 

そのため、同じ分析であっても、どのような事実があり、その事実が対象会社と買手企業のM&Aにおいてどのような影響をもたらすのか、そしてそれをどのように伝えるかを検討してレポートを作成するため、レポートに載せる表やグラフ、強調したい部分、キーメッセージが異なることになります。

 

分析項目については、市販の本やインターネット等である程度記載されていると思います。ただ、上述したように対象会社特有の論点が重要となりやすいため、それらの論点が漏れてないかは常に意識する必要があります。その上で、各スライドで伝えたいことを意識して、さらにはレポート全体として伝えたいことを意識してレポートを作成する必要があります。

 

 

2、適時の報告

財務デューデリジェンスでは、レポートを作成して報告することが必要ですが、分析途中で、想定以上の粉飾が発見された等重大な問題が生じた場合は、どのような対応をするのが良いでしょうか。それは、レポートが完成する前に、当該事実を買手企業に適時に報告することが望ましいです。対象企業に重大な問題があった場合、ディールブレイクの要因となり得ます。つまり、この重大な事実のみをもってM&Aを実行しないという意思決定になり得るため、その場合はそれ以外の分析に意味を成さないのです。ディールブレイク要因になり得る重大な事実を確認した場合は、買手企業に適時に報告し、以降のデューデリジェンスを続けるかどうかの指示を仰ぐ必要があります。

 

 

3、スライド構成の検討

必要な分析を進めていくと、スライドは50枚や100枚、子会社の有無等によっては100枚を超えるレポートになることがあります。それらのスライドを、例えばBS項目、PL項目程度の分類で並べたレポートとすると、読み手にとって何が重要な事なのかが伝わりにくいレポートになってしまいます。また、M&Aは買手企業にとって重要な意思決定であることが多いため、レポートを社長や取締役が見ることも少なくありません。社長や取締役がレポートの全てのページを見る時間はありませんので、重要な項目のみを記したサマリースライドを作成します。このサマリーページをエグゼクティブサマリーと呼ぶことが一般的です。

 

エグゼクティブサマリーのスライドにどの内容を記載するか、そしてその記載の順番は、発見事項の中でも特に重要な項目の有無や、買手企業のニーズの有無、読み手に取って理解しやすいかどうかを意識して検討します。そのため、レポートごとにエグゼクティブサマリーの内容、順番は異なります。

 

報告会でもエグゼクティブサマリーについて報告し、その他のスライドは捕捉で必要があれば説明し、聞き手にとっても短い時間で必要な内容を把握することが可能となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]

~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~

 

第9回:会社を譲渡した後、取引先との関係はどうなりますか?

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

▷関連記事:会社の譲渡後も、社長は会社に残れますか?

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Q.会社を譲渡した後、取引先との関係はどうなりますか?

 

近畿地方で食品卸売を営んでいます。戦前に父が開業した会社を引き継ぎはや40年。「いつか誰かに譲らないといけない」と思いながら事業を続け、この年齢になってしまいました。会社をM&Aで譲渡することに異存はありませんが、一つ懸念するのが、譲渡後の取引先との関係です。

 

数十年前に取引先が倒産して大変な危機に陥りまして、Bという会社だけが掛けの取引に応じてくれました。B社への恩義を忘れず、「人で取引をする」という理念をかかげ、信用を重視して会社を大きくすることができました。

 

ただ、私がM&Aで会社を譲渡したら、「買い手企業に仕入先を変えられてしまわないか」という不安を感じています。私は恩義のあるB社をはじめ既存取引先との取引を継続してほしいのですが、その点はどうなるのでしょうか?

 

 (食品商社 Hさん)

 

 

 

A.取引先も会社の重要な資産。取引継続だけでなく、相乗効果を目指すのが買い手企業です。

 

取引先との信頼関係や従業員と会社の関係など、企業の価値は財務諸表だけで測りづらい面があります。社長が「会社の顔」である場合も多く、M&Aで別の会社の傘下に入ると、その繋がりが断絶してしまうのではないかと心配される方は多くいらっしゃいます。

 

ただ、これまでの経験からいえば、買い手企業もそのあたりは理解していることが多いと思います。取引先や従業員に不安を感じさせないよう、買い手企業もあまり急激な事業環境の変化を起こさないようにすることが一般的です。取引先が離れると、せっかく買収した企業の価値が下がってしまい、買い手企業にとってはデメリットが大きいからです。

 

買い手企業にとっては、「買収した企業の価値をより高めるためにどうするか」「相乗効果をどう生み出すのか」が最も大事です。例えば、ある包装資材関連の企業は、買収した大手企業が自社の販売ネットワークを活用して取引メーカー(仕入先)の商品販路を拡大しました。譲渡したオーナーは、取引先だったメーカーの社長から感謝されたそうです。

 

買い手企業にとっても、重要な取引先がM&A後も確実に取引を継続してくれるのかどうか重要です。例えば、譲渡企業の有力な販路だった企業から、取引を停止されて困るのは、買い手企業です。継続取引の可否が企業価値に大きく影響を与える取引先がある場合には、事前に買い手から、取引が継続されることを先方に確認するよう求められることもあるほどです。

 

もちろん、買い手企業が従来の取引先とずっと取引を続けるかを確約することはできません。社会情勢、経済環境や、買い手企業の財務状況や戦略の変化があるかもしれないからです。どうしても気になる場合は事前に買い手企業と相談しておいてもよいかもしれません。不安なことがある場合は、是非、M&Aの実績とノウハウを蓄積しているM&Aアドバイザーにご相談されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

持分の定めのない法人への預金移転で贈与税が問題になった事例

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■譲渡所得の計算上、概算取得費を適用すべき場合、取得費を推定できる場合

■公益社団法人等へ財産を贈与した場合の譲渡所得の非課税の特例・・・株式を贈与する場合

 

1.持ち分の定めのない法人への贈与と課税問題


持ち分の定めのない法人へ財産を贈与又は遺贈をして、その贈与等をした人の親族等の贈与税又は相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、その法人を個人と見なして、贈与税又は相続税を課税する規定があります(相法66④)。これは平成20年度税制改正で、一般社団法人等を用いた租税回避に対する防止策として改めて整備されたものです。

 

ポイントは、一定の基準を全て満たし、その贈与等をした人の親族等の贈与税又は相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められないとされるかどうかです(相令33③)。

 

今回は、この規定の適用を巡って争われた、つい最近の裁決事例を紹介します。

 

2.令和3年5月20日裁決


事案は、ある宗教法人を舞台としたものです。問題になった行為は、前住職(故人)が生前、平成27年に宗教法人の口座に3千万円を超える預金を移動させたこと。相続人に対する相続開始前3年内の贈与財産なら相続税の計算上加算されますが、国税当局は、上記行為につき住職の親族の相続税の負担を不当に減少させる結果になるとして、宗教法人を個人と見なして贈与税を課税しました。宗教法人はこれについて、「贈与」ではないとして審査請求に至り、最終的には国税不服審判所(以下、審判所という。)が贈与税の課税を全部取消したという事案です。争点は次の通りです。

 

⑴問題の資金移動は、前住職(故人)から請求人(宗教法人)への財産の贈与に該当するか否か(相法66④に規定する財産の贈与の有無(争点1))。
⑵問題の資金移動により相法66④に規定する相続税の負担が不当に減少する結果となると認められるか否か(争点2)。

 

3.審判所における贈与の認定・判断


争点1について、不服を申立てた宗教法人側では、前住職名義の口座にあったお金は、宗教法人の余剰金などを原資とするものが大半で、もともと宗教法人のものなどと主張していました。しかし審判所は、前住職の口座にあった金融資産の原資が宗教法人の収入であることをうかがわせる事情は見当たらないなどとして、その帰属は前住職にあるとしました。これを受けて、お金の宗教法人の口座への移動により、宗教法人に経済的利益が生じているから、移動したお金は「贈与により取得したものとみなされる」と判断しました。

 

4.審判所における不当減少の認定・判断


次に争点2についてです。審判所は、「贈与者の親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるかどうかは、(中略)その時点において、その法人の社会的地位、寄附行為、定款等の定め、役員の構成、収入支出の経理及び財産管理の状況等からみて、財産の提供者等ないしはその特別関係者が、当該法人の業務、財産の運用及び解散した場合の財産の帰属等を実質上私的に支配している事実があるかによって判断すべき」と判断基準を示しました。

 

そして審判所は、具体的には相令33③を基に、①法人運営が適正であるかどうか(定款等に法人の役員等に占める親族関係者等の割合が3分の1以下にする旨の定めがあるかどうか)、②法人に贈与した者や役員等又はその親族などに特別の利益を与えないかどうか、③定款等に残余財産の帰属先について国等とする旨の定めがあるかどうか、④法令順守しているかどうか…をチェックしました。

 

まず①については、この宗教法人の寺院規則に役員等に占める親族関係者等の割合が3分の1以下にする旨の定めはないとしつつも、②については、前住職らが私的に業務運営や財産管理を行っていたり、私的に財産を費消・使用したと認められないこと、③残余財産について、国等その他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めはないが、この宗教法人の寺院規則では「法人の解散には、責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得た上、管長の承認及び県知事の認証を受付けなければならない旨定めており、前住職らの意思のみで恣意的に解散等を行うことは事実上、困難と認められる」ことを指摘しました。結論として審判所は「前住職らが、請求人の業務、財産の運用及び解散した場合の財産の帰属等を実質上私的に支配している事実は認められない。したがって、本件各資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職(故人)の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められない」として贈与税の課税を取り消しています。弾力的な制度運用もありうるといっていいのでしょうか。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/09/24)より転載

[事業再生・企業再生の基本ポイント]

第5回:事業再生における財務DDとは何ですか?(M&Aにおける財務DDとの違いの観点から)

~財務DDの目的、対金融機関という側面、重要な分析指標~

 

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

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【財務DDの目的】

財務DDと聞いてまず思い描くのは、M&Aを検討する際に買手企業が売手企業に対して行う財務調査のことと思います。M&Aの時だけではなく、事業再生を行う際にも財務DDは必要となります。

 

M&Aの時に行う財務DDの主な目的は、ディールブレイク要因の有無、買収価格に影響を与える事項の有無、表明保証とすべき事項の有無、買収後の参考情報となる事項が等が主な目的ですが、事業再生のおける財務DDの目的は、事業再生計画を策定するために必要な財務情報の獲得です。

 

【対金融機関という側面】

事業再生は対金融機関という側面が強くなります。なぜなら、会社が資金繰りに窮してしまい、債権者である金融機関への返済ができなくなった事が事業再生手続きの入り口となることが多く、金融機関に対する説明責任を全うする必要があるからです。さらに、金融機関には事業再生の施策の1つとして、返済の免除や返済猶予等の金融支援を依頼することが一般的であるからです。

 

つまり、事業再生における財務DDは、事業再生計画を策定するための実態把握という側面と、対金融機関に対する実態説明という2つの側面があります。そのため、M&Aにおける財務DDと同じ財務DDとはいえ、対金融機関という側面が強いため、分析内容や見せ方が異なり、全く違ったレポートとなることが一般的です。

 

【重要な分析指標】

事業再生における財務DDで、重要な分析として以下の内容があります。実質債務超過、正常収益力、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)、過剰債務、債務償還年数、非保全額、税務上の繰越欠損金があげられます。正常収益力は、M&Aにおいても分析されることが多いですが、その他の分析は事業再生ならではの分析内容です。

 

このように、M&Aと事業再生の財務DDでは、目的や分析内容が大きく異なるため、専門家もM&Aと事業再生では異なります。専門家選びも適材適所となるよう、会社の状況が厳しい場合は事業再生の専門家に相談しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[業界別・業種別 M&Aのポイント]

第13回:「書店業界のM&Aの特徴や留意点」とは?

~~在庫の金額は?在庫の積み増しによる不正会計は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

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Q、書店業界のM&Aを検討していますが、書店業界M&Aの特徴や留意点はありますか?


書店業界の経営環境は下記のグラフのように、2002年以降販売額や事業所数が減少し、2016年では2002年の半分程度にまで落ち込んでいる状況です。さらに近年では、ECサイトでの購入や電子書籍の台頭により、経営環境は厳しい状態が続いています。

このような経営環境から、経営状態が苦しくなる書店が増加しており、書店の閉店や売却を行う事業者も増加しています。

 

書店のM&Aを検討する場合は、書店特有の商習慣を把握する必要があります。書店業界では、再販売価格維持制度があります。再販売価格維持制度とは、出版社が書籍・雑誌の定価を決定し、書店等で定価販売ができる制度です。つまり、書店での書籍・雑誌の販売価格は書店には裁量がなく、決まった価格で販売することとなります。

 

また、書店が書籍・雑誌を仕入れる際には、書店は出版取次企業から仕入を行います。出版取次企業は大手2社(日本出版販売株式会社と株式会社トーハン)であり、ほとんどの書店がそのどちらかから仕入を行っています。そして、この取次企業から仕入れた商品は、多くの場合、期限内なら返品が可能です。

 

このように、書店の小売りでは値決めができないため、同一の本であればどの書店、あるいはECで購入しても同じ金額です。このような業界特徴があるため、書店小売りの目線では商品の差別化や値引き、セールなどができないため営業戦略の幅が限定的となります。さらに、通常の小売業であれば廃棄ロスが発生するため、仕入については慎重に行いますが、書店の場合は基本的に返品ができるため仕入について、他の小売業程は慎重になっていないのが現状です。しかし、返品ができると言っても、特に雑誌等には厳格に期限が定められており、期限を過ぎると返品できなくなるため、返品期限の管理が重要になります。

 

書店の特徴としては、上記のほかに在庫の金額が多額になります。書店の仕入れ方針や取り扱い書籍にもよりますが、在庫の回転期間は4か月から長い店だと10か月程度となります。そのため、運転資本が必要な業種と言えます。

 

また、在庫が多額となることが一般的であるため、在庫の積み増しによる不正会計が行われるケースが少なくないため留意が必要です。

 

書店業界のM&Aを検討する場合は、業界の特色を理解した上で、対象会社の特徴や強み、不正会計については専門性が高いため財務の専門家をうまく活用して理解した上で、M&Aの検討することが望ましいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&Aニュース](2021年9月6日〜2021年9月17日)

◇JSR<4185>、EUV用メタルレジストメーカーの米Inpriaを子会社化、◇メディアスホールディングス<3154>、内視鏡など医療機器販売の佐野器械を子会社化、◇ミツウロコグループホールディングス<8131>、清涼飲料水受託製造の静岡ジェイエイフーズを子会社化、◇イメージ情報開発<3803>、医療・美容モール運営子会社のマーベラントをホーイムズに譲渡、◇ハイアス・アンド・カンパニー<6192>、断熱リフォーム事業子会社のSUNRISEを経営陣に譲渡、◇ヒノキヤグループ<1413>、FC加盟企業の桧家住宅名古屋を子会社化、◇コンドーテック<7438>、アルミ押出型材製造の栗山アルミを子会社化、◇ミアヘルサ<7688>、ヒノキヤグループ<1413>傘下で保育・介護事業のライフサポートを子会社化、◇Orchestra Holdings<6533>、金融業界向けにデジタルマーケティング事業を展開する「ぱむ」を子会社化、◇米フーリハン・ローキー、GCA株のTOB価格を1398円に18円引き上げ ほか

 

 

 

 

JSR<4185>、EUV用メタルレジストメーカーの米Inpriaを子会社化
2021/09/17

JSRは17日、次世代EUV(極端紫外線)用メタルレジストメーカーの米国Inpria Corporation(オレゴン州。売上高2540万円、営業利益△13億6000万円、純資産17億5000万円)の株式79%を追加取得し、子会社化すると発表した。現在21%の持ち株比率を100%に引き上げる。Inpriaの事業価値に関して約565億円で合意。半導体の微細化に伴い高解像度のEUVフォトレジスト(塗布剤)が求められる中、有望素材としてメタルレジストが期待されている。2021年10月末までに取得完了の見込み。

Inpriaは2007年設立以来、EUV用メタルレジストの開発に取り組み、スズ酸化物を主成分とした製品はEUV露光系で世界最高性能の限界解像度を達成しているという。

買収はJSRが米国内に設立した特別目的会社をInpriと合併させ、合併後の存続会社をInpriaとする逆三角合併方式で行われる。

メディアスホールディングス<3154>、内視鏡など医療機器販売の佐野器械を子会社化
2021/09/17

メディアスホールディングスは、医療機器販売・修理の佐野器械(京都市。売上高31億円、営業利益9300万円、純資産2億6600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。医療機器の販売エリア拡大の一環。佐野器械は1973年設立で、京都府・滋賀県の京滋地区を地盤に内視鏡分野の製品取り扱いで実績を積んできた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

ミツウロコグループホールディングス<8131>、清涼飲料水受託製造の静岡ジェイエイフーズを子会社化
2021/09/17

ミツウロコグループホールディングスは傘下企業を通じて、各種清涼飲料水を受託製造する静岡ジェイエイフーズ(静岡市。売上高91億3000万円、営業利益1億5500万円、純資産7億1100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。従来のミネラルウォーターにとどまらず、清涼飲料水市場に参入し、飲料事業の規模拡大につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

静岡ジェイエイフーズは2002年設立で、静岡県経済農業協同組合連合会(静岡市)と清水農業協同組合(同)の2者が出資する。大手飲料メーカーからの清涼飲料水の受託製造を軸に、静岡県の特産品であるみかんと緑茶を使った清涼飲料水「ちゃレンジ」などを販売している。

イメージ情報開発<3803>、医療・美容モール運営子会社のマーベラントをホーイムズに譲渡
2021/09/17

イメージ情報開発は医療・美容モールを運営する子会社のマーベラント(東京都千代田区。売上高8100万円、経常利益400万円、純資産△1億5900万円)の全株式を、美容化粧品開発のホーイムズ(東京都港区)に譲渡することを決めた。経営資源の選択と集中の一環で、医療・美容事業の拡大についてはなお投資と時間を要すると判断した。譲渡価額は4600万円。譲渡予定日は2021年9月28日。

ハイアス・アンド・カンパニー<6192>、断熱リフォーム事業子会社のSUNRISEを経営陣に譲渡
2021/09/17

ハイアス・アンド・カンパニーは断熱リフォーム事業を手がける子会社のSUNRISE(長野県松本市。売上高1億7800万円、営業利益△3100万円、純資産△9800万円)の株式65%を、同社社長の田中英光氏に譲渡することを決めた。主力である住宅・不動産のコンサルティング事業に経営資源を集中させるのに伴う措置。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年9月30日。

ヒノキヤグループ<1413>、FC加盟企業の桧家住宅名古屋を子会社化
2021/09/16

ヒノキヤグループは、木造住宅設計・施工の桧家住宅名古屋(名古屋市。売上高7億300万円、営業利益△4270万円、純資産△8870万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。桧家住宅名古屋はヒノキヤグループの主力ブランド「桧家住宅」のフランチャイズ(FC)加盟企業で、近年、業績低迷が続いていた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年9月30日。

コンドーテック<7438>、アルミ押出型材製造の栗山アルミを子会社化
2021/09/16

コンドーテックは、アルミ押出型材製造の栗山アルミ(名古屋市。売上高13億8000万円、営業利益1億4300万円、純資産73億5000万円)の株式75.7%を取得し、子会社化することを決めた。コンドーテックの取扱商材の素材は鉄が大部分を占めており、今回、今後需要増が見込まれるアルミ商材を取り込むことで事業基盤を強固にする。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

栗山アルミは1958年設立。アルミ押出型材の分野で東海地方を中心に輸送機器、土木建築、金属製品などの製造業者を幅広く顧客に持つ。

ミアヘルサ<7688>、ヒノキヤグループ<1413>傘下で保育・介護事業のライフサポートを子会社化
2021/09/16

ミアヘルサは、ヒノキヤグループ傘下で保育事業・介護事業を手がけるライフサポート(東京都渋谷区。売上高52億5000万円、営業利益1億5800万円、純資産11億500万円)の株式96%を取得し子会社化することを決めた。自社事業所との地理的な重なりが少ないほか、学童クラブなど多様な子育て支援ニーズへの対応が可能になることから、相乗効果が期待できると判断した。取得価額は約17億8000万円。取得予定日は2021年10月20日。

ライフサポートは東京都内を中心に54の保育施設(認可・認証保育園、学童クラブなど)を展開し、高齢者住宅なども運営している。2014年にヒノキヤグループの傘下に入った。ミアヘルサは首都圏に39の調剤薬局、62の介護事業所62、34の認可保育園を展開している。

前田工繊<7821>、外壁用の防水材や保護・仕上げ材を製造するセブンケミカルを子会社化
2021/09/16

前田工繊は、外壁用の防水材や保護・仕上げ材を製造販売するセブンケミカル(東京都新宿区)の全株式を取得し、16日付で子会社化した。構造物の補修・補強技術との相乗効果や取扱製品の多様化などを期待している。セブンケミカルは1971年設立で、50年の業歴を持つ。取得価額は非公表。

DM三井製糖ホールディングス<2109>、日本甜菜製糖と折半出資の関門製糖を子会社化
2021/09/16

DM三井製糖ホールディングスは傘下の大日本明治製糖(東京都千代田区)を通じて、持ち分法適用関連会社で製糖業を手がける関門製糖(北九州市。売上高29億1000万円、営業利益9000万円、純資産17億9000万円)の株式を追加取得し、完全子会社化することを決めた。折半出資する日本甜菜製糖から株式50%を取得し、持ち株比率を100%とする。DM三井製糖と日本甜菜は資本業務提携に基づき両社間の効率的な生産体制の構築に関して協議を進めてきた。取得価額は7億7600万円。取得予定日は2021年9月30日。

日本甜菜はこれまで関門製糖に精製糖の製造を委託しているが、全保有株の譲渡後も大日本明治を通じて引き続き関門製糖への製造委託を継続する。

アクリート<4395>、SMS配信事業のXoxzoを子会社化
2021/09/16

アクリートは、SMS(ショートメッセージ)配信事業のXoxzo(東京都台東区。売上高1億5200万円、営業利益500万円、純資産1億4900万円)の株式67%を取得し子会社化することを決めた。アクリートは国内網を用いたSMS配信事業を手がけているが、国際網を主としたXoxzo の事業を取り込むことで、SMS配信市場でのシェア向上につなげる。取得価額は2億3300万円。取得予定日は2021年10月7日。

Orchestra Holdings<6533>、金融業界向けにデジタルマーケティング事業を展開する「ぱむ」を子会社化
2021/09/16

Orchestra Holdingsは傘下のデジタルアイデンティティ(東京都渋谷区)を通じて、金融業界を中心にWeb制作やコンテンツ制作などのデジタルマーケティング事業を手がける、ぱむ(東京都豊島区。売上高9億7800万円、営業利益5000万円、純資産2億7100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。金融業界において両社が抱える既存顧客により広範なサービス支援を可能にするとともに、新たな顧客獲得を目指す。取得価額、取得予定日はいずれも未確定。

メイホーホールディングス<7369>、新潟県上越市の有坂建設を子会社化
2021/09/15

メイホーホールディングスは、地場建設業の有坂建設(新潟県上越市。売上高4億2100万円、営業利益1840万円、純資産2億5700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループ内の建設会社は2017年に買収した愛木(三重県尾鷲市)、東組(愛知県日進市)に続く3社目で、人材交流や技術共有など経営資源の相互活用を進め、建設事業の安定化につなげる。取得価額は2億9250万円。取得予定日は2021年10月1日。

メイホーホールディングスは建設コンサルタント、人材派遣、建設、介護を4本柱とする。建設事業は中間持ち株会社のメイホーエクステック(岐阜市)を通じて展開しており、有坂建設もメイホーエクステックの傘下に入る。有坂建設は1950年に設立し、70年を超える業歴を持つ。

メイホーホールディングス<7369>、北海道で建設コンサルタント業を手がけるノース技研を子会社化
2021/09/15

メイホーホールディングスは、建設コンサルタント業のノース技研(北海道函館市。売上高3億7400万円、営業利益41万8000円、純資産1億2500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。メイホーは傘下に建設コンサルタント関連で5子会社を持っており、グループ内の連携を強化し、経営基盤の安定化につなげる。取得価額は3億2967万円。取得予定日は2021年10月1日。

ノース技研は1971年に設立し、測量設計、補償コンサルタント、地質調査などを手がける。

メイホーホールディングスはグループの持ち株会社で、建設コンサルタント、人材派遣、建設、介護の4事業を展開する。このうち建設コンサルタント事業では2017年にエイコー技術コンサルタント(福井県敦賀市)、2018年にエスジー技術コンサルタント(佐賀市)、地域コンサルタント(岐阜県恵那市)を子会社化した。

Sun Asterisk<4053>、ゲーム開発・運営のTrysを子会社化
2021/09/15

Sun Asteriskは、ゲーム開発・運営やデジタルコンテンツ制作を手がけるTrys(東京都港区。売上高19億4000万円、営業利益△2億2100万円、純資産△4700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。エンターテインメント領域の事業拡大につなげる。取得価額は5億7300万円。取得予定日は2021年9月30日。

Trysは2020年5月にExys(2008年創業)とトライフォート(2012年創業)が統合して発足した。統合後、不採算事業の撤退や財務リストラに取り組み、2021年12月期は黒字化を見込んでいる。

IDOM<7599>、ドイツBMW製乗用車販売のモトーレングローバルなど子会社2社をモトーレンレピオに譲渡
2021/09/15

IDOMはドイツBMW社乗用車販売のモトーレングローバル(東京都千代田区。売上高8億4000万円=営業拠点は北海道旭川市)、モトーレングランツ(千葉県市川市。売上高153億円)の2子会社の全株式を、同業のモトーレンレピオ(茨城県土浦市)に譲渡することを決めた。これに伴い、「BMW」「MINI」の新車ディーラー事業から撤退し、「ガリバー」の店舗名で知られる中古車事業に経営資源を集中させる。譲渡価額は非公表。譲渡予定日はモトーレングランツが2021年9月30日、モトーレングローバルが10月1日。

アイドマ・ホールディングス<7373>、ドコデモからクラウド系VDIソリューション「どこでもデスクトップ」事業を取得
2021/09/15

アイドマ・ホールディングスは、ドコデモ(東京都豊島区)のクラウド系VDI(デスクトップ仮想化)ソリューション「どこでもデスクトップ」事業を取得することを決めた。増加傾向にある在宅や場所を問わない働き方を志向するクラウドワーカーの情報セキュリティー面への対応が課題となる中、一連のリスクを解決できるツールと判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年9月30日。

アイドマ・ホールディングスはクラウドワーカー向け営業支援・業務支援サービスを主力とする。今回ドコデモから取得する「どこでもデスクトップ」は個人のパソコンから仮想空間上にアクセスし、当該仮想空間上でクラウドワーカーが業務を行ってもらうことでさまざまなセキュリティーリスクを回避できるサービス。

リスクモンスター<3768>、オフィス業務受託サービスのシップスを子会社化
2021/09/15

リスクモンスターは傘下企業を通じて、データ入力、編集・オンデマンド印刷、事務代行・発送など各種オフィス業務の受託サービスを手がけるシップス(東京都新宿区。売上高3億6600万円、営業利益△1600万円、純資産△5000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス事業の受注増につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年9月28日。

シップスは1990年に設立し、BPO事業者として30年を超える業歴を持つ。大手の生損保会社を主要取引先とし、情報セキュリティーの国際規格「ISO27001」、クレジットカード業界の国際セキュリティー基準「PCI‐DSS」に準拠した管理体制で高い評価を得ているという。

ディ・アイ・システム<4421>、システム開発のステップコムを子会社化
2021/09/15

ディ・アイ・システムは、システム開発のステップコム(静岡市。売上高2億2800万円、営業利益400万円、純資産5300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。事業拠点の拡大に加え、システムインテグレーション事業における開発体制の強化や顧客企業の多様化を期待している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

ステップコムは2004年に設立し、Webシステム開発、パッケージ開発を中心に事業を展開してきた。色覚バリアフリーに関する研究では色覚教示プログラムなどの特許を複数取得し、高い技術力を持つ。

三洋工業<5958>、建築金物・材料販売の三洋UDを子会社化
2021/09/14

三洋工業は、建築金物・材料販売の三洋UD(東京都墨田区)の株式41%を追加取得し、14日付で子会社化した。現在49%の持ち株比率を90%に引き上げた。代表者(社長)の高齢化に伴い十分な営業活動が行えず、業績が伸び悩んでいたことから、経営陣の若返りと意思決定の迅速化などを目的に子会社化する。取得価額は非公表。

三洋UDは2011年に設立。マンションの建設業者を中心に乾式遮音二重床や吸音材などの建築金物・材料を販売している。

アシロ<7378>、弁護士費用保険のカイラス少額短期保険を子会社化
2021/09/14

アシロは、弁護士費用保険「メルシー」などの少額短期保険を取り扱うカイラス少額短期保険(名古屋市。売上高1370万円、経常利益△5510万円、純資産8190万円)の株式62.31%を追加取得し、子会社化することを決めた。現在14.82%の持ち株比率を77.14%に高める。法律トラブルの潜在層へのリーチ(訴求)が可能になるほか、将来的に新たな保険商品の開発・販売につなげる。取得価額は未確定。2022年1月31日までに取得する予定。

カイラスは2020年2月に設立し、4月から営業開始した。主力商品の「メルシー」は弁護士費用の一部を保険金で補填できることから、当該保険の被保険者は弁護士に依頼する可能性を備えた法律トラブルの潜在層と位置付けられる。アシロはカイラスの開業に際して一部出資した。

アシロは離婚問題や労働問題などに関するリーガル(法曹)メディアを運営している。このため、アシロのユーザーとカイラスの被保険者の属性は近い。カイラスの開業後の保有契約件数の積み上がりも順調なことから、子会社化により事業連携を深める。

インフォメーションクリエーティブ<4769>、ソフト開発のシルク・ラボラトリなど2社を子会社化
2021/09/14

インフォメーションクリエーティブは、ソフトウエア開発のシルク・ラボラトリ(東京都新宿区。売上高3億1900万円、営業利益2800万円、純資産1億3900万円)と多言語音声翻訳システムの開発を手がけるフィート(同。売上高1億5500万円、営業利益3490万円、純資産8900万円)の2社を子会社化することを決めた。両社は親子関係にあり、いずれも奥山美雪氏が社長を務める。ITサービスの事業基盤強化や新事業創出につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

アピリッツ<4174>、オンラインゲーム配信のムーンラビットを子会社化
2021/09/14

アピリッツは、オンラインゲーム配信サービスのムーンラビット(東京都渋谷区。売上高1億5700万円、営業利益4500万円、純資産3400万円)の全持ち分を取得し、子会社化することを決めた。オンラインゲームの海外事業展開に備える狙い。ムーンラビットは台湾X-Legend Entertainment Co., Ltd(台北市)のゲームタイトルを日本国内に供給している。取得価額は未確定。取得予定日は2021年10月1日。

ジャパンエレベーターサービスホールディングス<6544>、四国エレベーターサービスを子会社化
2021/09/14

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーターなど保守管理の四国エレベーターサービス(徳島市。売上高8410万円、営業利益△298万円、純資産1340万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。四国地区での事業基盤強化の一環。四国エレベーターサービスは1990年設立で、徳島県内を中心に300台以上のエレベーターなどの保守管理を手がける。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

トライステージ<2178>、テレビ通販向け商品卸を手がけるインドネシア子会社.Merdisを経営陣に譲渡
2021/09/14

トライステージは、テレビ通販向け商品卸のインドネシア子会社PT.Merdis International(ジャカルタ。売上高8億3200万円、営業利益4400万円、純資産6億2100万円)の全保有株式74%を、同社経営陣に譲渡することを決めた。今後の収益性やグループ内での相乗効果を見極めた結果、事業継続は難しいと判断した。譲渡価額は非公表。譲渡予定は2021年10月中。

トライステージはテレビ通販向け各種支援サービスを主力事業とし、2016年2月にASEAN(東南アジア諸国連合)地域で拠点確保を目的にMerdisを傘下に収めた。

SYSホールディングス<3988>、ソフト開発のスレッドアンドハーフを子会社化
2021/09/13

SYSホールディングスは、ソフトウエア開発のスレッドアンドハーフ(東京都千代田区。売上高1億8000万円、営業利益△53万8000円、純資産3750万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループにおける総合情報サービス事業をより成長させるために規模の拡大が必要と判断。営業連携や採用ノウハウの共有などを進め、相乗効果を引き出す。スレッドアンドハーフは2008年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年11月1日。

テスホールディングス<5074>、バイオマス発電の伊万里グリーンパワーを子会社化
2021/09/13

テスホールディングスは、バイオマス発電事業の伊万里グリーンパワー(佐賀市。売上高ー、営業利益△2900万円、純資産△2億6800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。再生可能エネルギー発電事業の基盤強化の一環。伊万里グリーンパワー(2016年設立)は出力規模約46メガワットのバイオマス発電事業を計画し、2025年5月の運転開始を目指している。取得価額は18億1100万円。取得予定日は2021年9月14日。

アマガサ、希望退職に9人応募
2021/09/10

女性向けカジュアルシューズ販売のアマガサは10日、正社員を対象に8月10日~9月10日に10人程度を募った希望退職に9人の応募があったと発表した。今年1月に10人程度の希望退職を募ったが、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に伴う来店客の減少などを受けて2月以降、直営店3店、百貨店売場4店から撤退。しかし、業績悪化が止まらず、もう一段の合理化に迫られた。

同社はコロナ前の2019年5月にも希望退職を実施しており、2年余りで3度目となる。

共和コーポレーション<6570>、民事再生手続き開始決定のブルームから「スクイーズ」を中心とするおもちゃ事業を取得
2021/09/10

共和コーポレーションは、キャラクターグッズやアミューズメント商品の企画・製造を手がけるブルーム(東京都渋谷区)から「スクイーズ」と呼ばれるポリウレタン素材のおもちゃを中心とした事業を取得することを決めた。ブルームは6月30日に東京地裁から民事再生手続きの開始決定を受けている。アミューズメント施設の運営や機器の販売を主力とする共和コーポレーションにとっておもちゃ事業は本業との親和性が高く、多角化の好機と判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

ブルームが主力商品とする「スクイーズ」はポリウレタン素材でできた柔らかい独特の感触で女子小中学生に人気がある。最近では本物そっくりのパンやフルーツを模した香り付きの癒し系雑貨として大人にも受け入れられている。

共和コーポは事業取得の受け皿となる同名の新会社「ブルーム」(東京都渋谷区)を9月10日付で設立した。今後、アミューズメント業界向け景品の企画・開発などにもつなげたい考えだ。

鈴茂器工<6405>、飲食サービス業向けシステム開発の日本システムプロジェクトを子会社化
2021/09/10

鈴茂器工は、飲食サービス業向けシステム開発の日本システムプロジェクト(東京都新宿区。売上高6億500万円、営業利益2800万円、純資産8500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。飲食店の厨房にとどまらず、客席フロアを含めて省人化・効率化を実現する新製品・サービスの提供につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

日本システムプロジェクトは1991年設立。飲食店向けPOS(販売時点情報管理)システム、セルフオーダーシステムの開発を主力とし、近年は客席フロアで使う配膳ロボットも手がけている。鈴茂器工は同社を傘下に取り込み、飲食店向けトータルソリューション(課題解決)の展開体制を強化する。

鈴茂器工は現在、世界約80カ国に自社開発した寿司ロボット、ご飯盛り付けロボットなどを販売している。

明治ホールディングス<2269>、子会社Meiji Seikaファルマの農薬事業を三井化学アグロに譲渡
2021/09/10

明治ホールディングスは医療用医薬品子会社のMeiji Seikaファルマ(東京都中央区)が手がける農薬事業を、三井化学アグロ(東京都中央区)に譲渡することを決めた。医療用医薬品事業の基盤強化と新薬の創出に向けて経営資源を集中するのに伴う措置。譲渡価額は約467億円。譲渡予定日は2022年1月4日。

Meiji Seikaファルマの農薬事業は殺菌剤「オリゼメート」、除草剤「ザクサ」などを中心とし、直近売上高は54億1000万円。農薬事業を会社分割して設立する新会社に承継させたうえで、新会社の全株式を三井化学アグロに譲渡する。三井化学アグロは三井化学傘下で、農薬・肥料、非農業用殺虫剤などを製造販売する。

米フーリハン・ローキー、GCA株のTOB価格を1398円に18円引き上げ
2021/09/09

M&A事業者のGCAに対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施中の米投資銀行フーリハン・ローキーは9日、GCA株式の買付価格を当初の1380円から1398円に18円引き上げると発表した。TOB成立の確度を高めるのが狙いとみられる。8月初めのTOB公表直後からGCA株価は買付価格近辺で推移している。現行の買付期間は9月27日までで、9日の終値は1376円。

GCAは2004年に独立系のM&A助言会社として発足。2006年にM&A事業者で初めて株式を東証マザーズに上場。2012年から東証1部に上場しているが、TOBが成立すれば上場廃止となる見通し。

SBIホールディングス<8473>、新生銀行<8303>をTOBで子会社化へ|2000円で買い付け
2021/09/09

SBIホールディングスは9日、新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化すると発表した。SBIは20.32%の株式を持つ筆頭株主。TOBを通じて所有割合を48%に高め、実質な支配力基準に基づき傘下に収める。資本業務提携を打診したものの、新生銀行から前向きの対応が見られず、株式の買い増しに踏み切る。買付代金は最大1164億円。新生銀行はSBIから事前の連絡がなく、TOBへの賛成か反対かなどの意見表明は内容を分析・検討したうえで行うとしている。新生銀行の対応によっては敵対的買収に発展する可能性がある。

新生銀行の買付主体はSBI傘下のSBI地銀ホールディングス(東京都港区)。買付価格は1株につき2000円。TOB公表前日の終値1453円に37.65%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は所有割合27.68%に相当する5821万1300株で、既所有分と合わせて48%となる水準に設定した。SBIの所有割合が50%を超えると「銀行持ち株会社」の扱いとなり、親会社の業務範囲が規制されることから、50%未満にとどめる。

買付予定数の下限は設けておらず、上限までの範囲であればすべての応募株を買い付ける。買付期間は9月10日~10月25日。決済の開始日は11月1日。公開買付代理人はSBI証券。

SBIは新生銀行の業績改善と企業価値向上を目的に経営権を取得し、役員体制を刷新する。新生銀行は2016年3月期以降ほとんどの事業年度で業績の計画未達が続き、現状では自発的な役員体制を見直し、ガバナンス機能の回復に努めることを同行に期待することは難しいと判断したとしている。

新生銀行の前身は日本長期信用銀行で、1998年10月に経営破綻し、国の公的管理に置かれた。2000年6月に新生銀行として再出発し、2004年に東証1部に再上場した。

鎌倉新書<6184>、エイジプラスから有料老人ホーム紹介・高齢者見守り事業を取得
2021/09/09

鎌倉新書は子会社を通じて、介護事業を手がけるエイジプラス(大阪市)から有料老人ホーム紹介・高齢者見守り事業を取得することを決めた。成長が期待される介護分野においてオン・オフライン両面で強固な紹介プラットフォーム(基盤)を構築する一環。対象事業の直近売上高は2億4400万円。取得価額は未確定。取得予定日は2021年10月15日。

鎌倉新書は日本郵便の顧客向けに「終活紹介サービス」を提供しているほか、2020年8月に老人ホームなど介護施設の紹介サービス「いい介護」を開始。今回子会社化するエイジプラスは有料老人ホーム・高齢者住宅ガイド「住まいるケア」を発行し、かねて良好な関係にあったという。鎌倉新書はエイジプラスの事業を引き継ぐため、同名の新会社「エイジプラス」(東京都中央区)を8月に設立している。

トランスジェニック<2342>、病理ピアレビューサービスのルナパス毒性病理研究所(仮称)を子会社化
2021/09/07

トランスジェニックは、長期毒性試験やがん原性試験に関する病理ピアレビューサービスを手がけるルナパス合同会社(東京都立川市。売上高3950万円、営業利益925万円、純資産1550万円)を子会社化することを決めた。主力事業である創薬支援サービスの補完・強化の一環。今後、株式会社の「ルナパス毒性病理研究所(仮称)」に組織形態が変更されるのを受け、同社の全株式を取得する。取得価額は非公表。取得予定日は2011年11月1日。

病理ピアレビューサービスは個人の経験・知識に依存する病理組織学的所見に対し、他の病理学者が公正に評価・論評することで、主観的判定のリスクを軽減し、診断の質と信頼性を高めるのが目的。

アース製薬<4985>、フィリピンNeumann & Mueller Philippinesから虫ケア製品・家庭用製品などの販売事業を取得
2021/09/07

アース製薬は、フィリピンNeumann & Mueller Philippines, Inc.(NMPI、サンファン市)から虫ケア製品・家庭用製品・ペットケア製品などの販売事業を取得することを決めた。フィリピンでの事業展開を加速する狙い。NMPIが同事業を移管するために設立する新会社の株式66.7%を取得する。5年後に株式を追加取得し、完全子会社化する予定。取得価額、取得予定日は非公表。

NKKスイッチズ<6943>、タッチパネル事業の製造部門をディ・エム・シーいわきに譲渡
2021/09/06

NKKスイッチズは、タッチパネル事業の製造部門をディ・エム・シーいわき(東京都港区)に譲渡することを決めた。自社工場(福島県いわき市)でタッチパネルを一貫生産してきたが、選択と集中の観点から、自社の強みを生かせる開発・販売に経営資源を集中することとし、製造部門を手放す。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年10月11日。

 

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「事業譲渡に係る収益計上時期」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】事業譲渡に当たっての適正価額について

■【Q&A】事業を譲り受けた場合に営業権の計上について

 

 

 


[質問]

6月決算の株式会社が事業譲渡を計画しています。譲渡側です。事業譲渡の中身は、土地、建物、金銭債権債務です。契約は6月中、実際の資産、負債の引き渡しは7月になる予定ですが、事業譲渡に係る損益の認識は6月でしょうか、7月でしょうか。

 

[回答]

ご照会の事例の場合、「実際の資産、負債の引渡し」が具体的にどのようなことを指しているのか、必ずしも明らかではありませんが、資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に係る収益の額は、原則として、その目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の益金の額に算入することとされています(法法22の2①)から、お尋ねの事業譲渡に係る収益及び譲渡原価を翌期7月の損益とすることに疑問はないように思われます。

 

なお、従来から、固定資産の譲渡に係る収益の額について、引渡しの日を原則としつつ、法人が契約の効力発生の日の属する事業年度の収益としているときはこれを認めるという取扱いがあり、平成30年度の税制改正(企業会計における「収益認識基準」に対応)に伴う法人税基本通達の改正(平30.5.30付課法2-8)後もその取扱いが継承されています(法法22の2②、法基通2-1-14)。

 

ご照会の事例の場合、この取扱いにより、事業譲渡に係る損益を6月の損益として計上することも考えられなくもありませんが、この取扱いは、「固定資産の譲渡」に係るものである上、法人自身がその意思に基づいて「契約効力発生日」に収益計上した場合のものですし、「公正妥当と認められる会計処理の基準に従って」契約の効力発生日その他の「(引渡しの日に)近接する日」に確定決算により(法法22の2②)収益に計上した場合の取扱いですから、「事業譲渡に係る損益の認識は契約の効力発生日の6月にすべきである」といえる性質のものではないと考えます。

 

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2021年6月4日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

【Q&A】合同会社の社員が死亡した場合の取扱い

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田 房枝/税理士)

 

 

[関連解説]

■法人が匿名組合契約により営業者に金銭出資している場合の出資金の相続税評価

■持分の定めのある社団医療法人の解散と課税関係

 

【Q】

合同会社の社員であった父が死亡しました。父に遺言はありません。相続人は、母と私の2人であり、母に相続放棄をする予定はありません。

 

〔問1〕父の社員としての地位を私だけが承継するには、母と私で遺産分割協議をすればよいですか?
〔問2〕相続税の計算上、合同会社の出資はどのように評価しますか?

 

 

【A】

〔問1〕について


まずは、定款に、社員が死亡した場合の持分の承継に関する定めがないかどうか確認してください。

 

① 定款に定めがない場合
合同会社の社員は死亡によって退社し、その地位は、原則として、相続人へ承継されないため、遺産分割協議の対象とはなりません(会社法607①三)。あなたが社員になりたいのであれば、今回の相続とは関係なく、定款の定めに従って入社の手続をする必要があります。

 

② 定款に定めがある場合
定款に「死亡した社員の相続人がその社員の持分を承継する」旨の定め(以下「別段の定め」)がある場合には、相続人にその地位が承継されます(会社法608①)。しかし、この場合も遺言がないということですので、仮に定款に別段の定めがあったとしても、共同相続人であるお母様とあなたとが相続分に応じてその地位を承継することとなり、遺産分割協議によって、あなたのみを社員にするということはできないと考えられます(青山修『持分会社の登記実務〔補訂版〕』(民事法研究会)121・122頁)。いったんお母様も社員となった上で、お母様は任意退社又は持分譲渡をする必要があると考えられます。

 

 

 

〔問2〕について


社員が死亡した場合の地位の承継に関して定款に別段の定めがない場合には、その社員の出資持分は「払戻請求権」として評価します(会社法611①)。

 

また、定款に別段の定めがあり、相続人が持分を承継する場合には、「出資」として、取引相場のない株式の評価方法に準じて評価します(財基通178~193、194)。

 

 

【解説】

(1) 合同会社の社員とは

合同会社は、1又は2以上の個人又は法人の出資により設立されます(会社法578)。この出資者のことを「社員」と呼びます(ここでいう「社員」は、従業員という意味合いではありません)。そして、出資者である社員は、原則として、経営者でもあるというのが合同会社の特徴です(会社法590)。

 

(2) 死亡した社員の出資持分の取扱い

① 原則
社員が死亡した場合に、もしその相続人その他の一般承継人(以下「相続人等」)が当然にその死亡した社員の地位を承継できるとなると、他の社員にとって望まない者が新たに社員として加わる可能性がでてきます。そこで、会社法上、社員の死亡は法定退社事由とされており、その地位は、原則として相続人等に承継されることはありません。この場合、その相続人等は、出資持分の払戻しを受けることになります(会社法611①)。

 

この払戻請求権は、いったん被相続人に帰属した後に、相続財産として相続人に承継されると解釈されています(神戸地判平成4年12月25日税務訴訟資料193号1189頁)。すなわち、その払戻金額がその法人の資本金等の額のうちその死亡した社員の出資持分に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は被相続人に対する配当とみなされ、所得税が源泉徴収されて、被相続人の所得税の課税対象となった上で、払戻請求権は相続税の課税対象になると考えられます(所法25①四)。

 

このように出資持分の払戻しを受ける場合の払戻請求権の相続税評価額は、「退社した社員と持分会社との間の計算は、退社の時における持分会社の財産の状況に従ってしなければならない。」(会社法611②)とされていることから、評価すべき持分会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の合計額を控除した金額に、持分を乗じて計算した金額となります(国税庁質疑応答事例)。

 

 

② 例外
一方、死亡した社員の地位を相続人等へ承継させたいという場合もあります。そのような場合には、定款に別段の定めをしておくことで、社員が死亡して退社したとしても、その地位を相続人等へ承継させることができます。この場合、その相続人等は、出資の払戻しは受けず、被相続人の出資持分を承継します(会社法611①)。
なお、相続人の中でも特定の相続人に社員の地位を承継させたい場合には、定款において別段の定めをするとともに、社員が遺言で特定の相続人に自己の持分の全部又は一部を承継する旨を定めておく必要があると考えられます。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/09/13)より転載

[ゼロからわかる事業再生]

第2回:事業の磨き上げ

~貸借対照表B/S はスリム化し、損益計算書P/Lは事業の見直しや固定費の削減を~

 

[解説]

植木康彦(公認会計士・税理士)

 

 

[質問(Q)]

当社の貸借対照表では過去に取得した遊休資産の金額などが大きく、総資産に対する利益率が低いので磨き上げが必要、と会計事務所の担当者に言われました。この場合の磨き上げ方法を教えてください。

 

 

[回答(A)]

会社の業績の良し悪しは、総合的には総資産に対する利益の割合(ROA(注1))によって評価されます。そこで、貸借対照表B/S はスリム化し、損益計算書P/Lは事業の見直しや固定費の削減によって磨き上げます。

 

 

 

 

磨き上げに定型的な方法はありませんが、決算書の磨き上げの観点から言うと、貸借対照表(以下、「B/S」といいます。)の磨き上げと損益計算書(以下、「P/L」といいます。)の磨き上げが必要です。B/S とP/L の磨き上げによって、会社の財務状況を健全な状態に誘導します。

 

1.貸借対照表= B/S の磨き上げ


御社の場合、過去に取得した遊休資産があるとのことですので、まずはその処分が課題となります。固定資産は、総資産に占めるウエイトが大きいので、遊休資産のように収益を生まない場合には総資産経常利益率(ROA(注1))の計算式の分母のみが大きくなって、ROA は著しく悪化します。資産処分によってROA は改善しますが、将来的な資産の利用計画がある場合は、「タイムズ」のような臨時駐車場にする方法でも改善できます。

 

また、やや裏技的になりますが、リース会計基準の適用によって、オフバランスが難しい場合を除き、中小企業ではリース取引を利用することで、総資産を増やさず利益を獲得する方法もあります。

 

売掛金の適正化としては、不良債権については回収促進と回収不能な場合は損失処理、正常債権であっても回収サイト(回収期間)が長期化している取引先について取引条件の見直しによる回収サイトの短縮化を検討します。

 

在庫については、取引ロットや流通経路を見直すことによって圧縮できないかを検討しますが、保管場所を圧縮(例えば、2箇所を1箇所に集約)するだけで在庫が減少することもままあります。

 

さらに、大規模な磨き上げの方法としては、不採算事業の整理・撤退があります。複数の事業を営み、一部事業が赤字で他の事業とのシナジーが期待できない場合などです。不採算事業の整理・撤退によって得た資金は、優良事業の拡大、事業ポートフォリオの見直し、有利子負債の削減に利用します。

 

また、純資産が債務超過であったり、自己資本比率(注2)が低い場合、増資により純資産を厚くする方法もあります。

 

上記のような総資産のスリム化や純資産の増強によって企業体質は強化されますが、通常は一連の対応により固定費も削減されるため、P/L 改善も伴うことが多いと思います。

 

 

 

 

(注1) 総資産経常利益率(ROA)
総資産経常利益率(ROA)は、総資産(投資)に対するリターン(利益)の割合を意味します。この数値が低いということは、投資額が大きすぎるか、売上の回転が悪いか、利益率が低いかによります。会社全体の総合的な状態を見る上で、最も重要な指標です。

 

(注2) 自己資本比率
総資産に対する自己資本(純資産)の占める割合をいいます。この割合が高いほど財務の安定性が高いと評価されます。

 

 

2.損益計算書= P/L の磨き上げ


B/S の磨き上げに比べてP/L の磨き上げは難しいと言われます。

 

通常、無駄な経費(主には変動費)の削減は恒常的に実施しているでしょうから、主たる磨き上げの対象となるのは固定費の削減です。固定費の代表格は人件費と家賃ですが、これらの固定費を削減する意味は、事業の見直しです。不採算の事業や収益率が低い事業について、廃業や売却、ビジネスモデルの見直しを行い、経営体質の強化を図ります。

 

 

 

 

しかしながら、得意先ごとの粗利益率分析(粗利益率ABC 分析)をするだけで、高い利益率になっている得意先(ランクA B の得意先)と低い利益率の得意先(ランクC の得意先)を明確にし、又は発見し、粗利益率改善のための対応(値上げや取引縮小など)をするだけで、利益率や利益額が改善できるケースもあります。まずは、利益率が上位50% より低いランクCの得意先について、見直し対象にしてみるのもよいと思います。なお、ABC格付けはあくまで一例ですので、対象会社の実情に応じて格付け(例えばA~ D など)してみてください。

 

 

 

 

磨き上げによって、事業をより良い健康状態に仕上げることが可能となります。他方、自力で磨き上げができない場合には、B/S 面であれば法的手続等による債務カット、P/L 面であればスポンサーによる経営支援や譲渡を検討することになります。