[M&Aニュース](2021年6月28日〜2021年7月9日)

◇電算システムホールディングス<4072>、ネットワーク機器設計・開発のマイクロリサーチを子会社化、◇NEW ART HOLDINGS<7638>、美術品オークション企画・運営のエスト・ウェストオークションズを子会社化、◇東京建物<8804>、サービスオフィス・コワーキング事業のエキスパートオフィスを子会社化、◇SHIFT<3697>、ゲームソフトのローカライズ事業を手がけるDICOを子会社化、◇ジャパンディスプレイ<6740>、液晶モジュール設計・製造の台湾子会社KOEを現地社に譲渡、◇昭和電工<4004>、鉛蓄電池事業をアドバンテッジパートナーズと東京センチュリーの連合体に譲渡、◇電通グループ<4324>、米LiveAreaを買収、◇日揮ホールディングス<1963>、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)のセラミックス事業を取得へ、◇ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>、岡藤日産証券HD傘下の三京証券を子会社化 ほか

 

 

電算システムホールディングス<4072>、ネットワーク機器設計・開発のマイクロリサーチを子会社化
2021/07/09

電算システムホールディングスは、モデムやルーターを中心にネットワーク機器の設計・開発を手がけるマイクロリサーチ(東京都品川区。売上高14億8000万円、営業利益2億900万円、純資産2億2700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。IoT(モノのインターネット)関連で独自技術を持つマイクロリサーチを傘下に取り込み、セキュリティー事業の強化につなげる。マイクロリサーチは2008年に創業。取得価額は11億2400万円。取得予定日は2021年7月30日。

NEW ART HOLDINGS<7638>、美術品オークション企画・運営のエスト・ウェストオークションズを子会社化
2021/07/09

NEW ART HOLDINGSは、絵画や骨董品など美術品のオークション企画・運営を手がけるエスト・ウェストオークションズ(東京都品川区。売上高5億4600万円、営業利益△3820万円、純資産4億6000万円)の株式70%を取得し、子会社化することを決めた。エストのオークションに関するノウハウを取り込み、絵画販売を中心とするアート事業の成長促進につなげる。取得価額は4億2000万円。取得予定は2021年7月中。

NEW ART HOLDINGSは婚約・結婚指輪を中心とするブライダルジュエリー事業、エステティックサロン運営などのヘルス&ビューティー事業に並ぶ柱として、絵画卸売り・小売りのアート事業を展開している。

エストは2000年設立で、絵画を主力に日本・中国美術、和骨董、東南アジア美術、西洋装飾美術、ジュエリー、時計、エコール・ド・パリ(1920年代にパリを舞台に活動した画家の一群の作品)などを取り扱っている。

東京建物<8804>、サービスオフィス・コワーキング事業のエキスパートオフィスを子会社化
2021/07/08

東京建物は、サービスオフィス・コワーキング事業を手がけるエキスパートオフィス(東京都千代田区。売上高13億円、営業利益4600万円、純資産11億1000万円)の株式51%を取得し、子会社化することを決めた。フレキシブルオフィス拠点の増強とネットワーク化が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月2日。

エキスパートオフィスは「エキスパートオフィス」のブランド名で東京都内を中心にサービスオフィス8拠点を展開する。

SHIFT<3697>、ゲームソフトのローカライズ事業を手がけるDICOを子会社化
2021/07/08

SHIFTは、ゲームソフトのローカライズ(現地語翻訳など)事業やゲーム開発を手がけるDICO(東京都渋谷区。売上高3億1300万円、営業利益1510万円、純資産3260万円)の株式80%を取得し、子会社化することを決めた。国内で開発されるゲームやスマートフォンアプリの多くは海外展開を想定しており、こうしたローカライズ需要の高まりに対して、十分な供給体制を整えるのが目的。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

傘下に収めるDICOは2011年設立で、ゲーム業界の海外進出ニーズに対応してきた。200人を超える各言語のネイティブスピーカーと連携し、各国・地域の文化的背景に即した言語品質を提供するとともに、開発工程で原文・翻訳文の効率的な管理を含む実装機能を備えるのが強みという。

ジャパンディスプレイ<6740>、液晶モジュール設計・製造の台湾子会社KOEを現地社に譲渡
2021/07/08

ジャパンディスプレイは、液晶モジュールの設計・製造を手がける台湾子会社のKaohsiung Opto‐Electronics Inc.(KOE、高雄市。売上高2億8800万円、営業利益1950万円、純資産4039万円)の全株式を、現地での製造委託先であるWistron Corporationのグループ企業に譲渡することを決めた。資産圧縮の一環。譲渡価額は80億円(ただし暫定価額)。譲渡完了は2021年9~12月を見込む。

譲渡先のWistronは世界的なEMS(電子機器の受託製造)企業で、同社とジャパンディスプレイはスマホ用ディスプレーのモジュール製造を長年委託する関係にある。

昭和電工<4004>、鉛蓄電池事業をアドバンテッジパートナーズと東京センチュリーの連合体に譲渡
2021/07/08

昭和電工は、鉛蓄電池事業を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京都港区)と東京センチュリーが出資するコンソーシアム(連合体)に譲渡すると発表した。鉛蓄電池事業は子会社の昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が手がけ、国内のほか、台湾、タイなどに拠点を持つ。譲渡価額は非公表。

昭和電工は昨年、日立化成(現昭和電工マテリアルズ)を約9600億円で買収し、財務基盤健全化のために2000億円規模の資産売却を打ち出しており、その一環。

アドバンテッジパートナーズなどのコンソーシアムは昭和電工マテリアルズが鉛蓄電池事業を会社分割で設立する新会社の全株式を取得し、年内をめどに傘下に収める。

電通グループ<4324>、米LiveAreaを買収
2021/07/07

電通グループは、米国の広告会社PFSweb, Inc.傘下のLiveArea(ライブエリア、テキサス州)を買収することを決めた。BtoC(企業・個人間取引)領域における顧客体験マネジメント(CXM)とコマース(取引)のサービス機能の強化・拡充が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は未確定。

日揮ホールディングス<1963>、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)のセラミックス事業を取得へ
2021/07/07

日揮ホールディングスは傘下の日本ファインセラミックス(仙台市)を通じて、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)のセラミックス事業を取得することで協議に入ると発表した。昭和電工マテリアルズの量産技術・材料技術を取り込み、半導体や次世代自動車などの成長分野の新製品開発につなげる狙い。2021年9月の最終契約締結を目指す。取得価額は未確定。

日揮傘下の日本ファインセラミックスは産業機械、半導体や液晶製造装置に使われるセラミックス、複合材料(MMC)や、高速通信用薄膜回路基板などを主力製品とする。

田中精密工業、130人程度の希望退職を実施
2021/07/06

ホンダ系自動車部品メーカーの田中精密工業は6日、130人程度の希望退職を実施すると発表した。同社と子会社でレース用部品などを製造するタナカエンジニアリング(富山市)に在籍する40歳以上の正規従業員を対象とし、募集期間は8月2日~25日(退職日は10月31日付)。構造改革の一環として、国内生産拠点の統廃合などと合わせ、人員合理化を進め、経営体質の強化と2年連続の赤字からの脱却を目指す。

所定の退職金に割増退職金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

田中精密の2021年3月期業績は売上高18.6%減の260億円、営業赤字2億3900万円(前期は3億2000万円の赤字)、最終赤字5億7100万円(同6億7000万円の赤字)。売上高は5年前の2016年3月期に400億円を超えていたが、大きく落ち込んでいる。2022年3月期予想は売上高296億円、営業黒字11億円、最終黒字7億円。

ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>、岡藤日産証券HD傘下の三京証券を子会社化
2021/07/06

ジャパンインベストメントアドバイザーは、岡藤日産証券ホールディングス傘下の三京証券(東京都中央区。売上高28億9000万円、経常利益4200万円、純資産9億5500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。金融サービス領域の拡大に向け、かねて証券業への進出を検討していた。取得価額は11億8200万円。取得予定日は2021年9月10日。

ジャパンインベストメントアドバイザーは航空機を対象とするオペレーティング・リース事業を中心に、環境エネルギー、パーツアウト・コンバージョン(退役航空機の部品リサイクルなど)事業などを手がける。傘下に収める三京証券は1944年創業の中小総合証券で、富裕層の個人を主力顧客とする。

光村印刷、80人程度の希望退職を実施
2021/07/02

光村印刷は2日、80人程度の希望退職者を募ると発表した。新型コロナウイルス感染拡大によるイベント・展示会の中止などでチラシ、パンフレット類の印刷需要が大きく落ち込んで厳しい経営環境が続いており、収益構造の再構築に向けた体制づくりの一環。子会社を含めて40歳以上の従業員を対象(一部事業所では年齢制限を設けない)とし、募集期間は8月6日~31日。募集人員は全従業員のおよそ15%にあたる。所定の退職金に加算金を上乗せ支給し、再就職支援も行う。

2021年3月期業績は売上高12%減の159億円、営業赤字5億4200万円(前期は1億5200万円の赤字)、最終利益7億9900万円(同3億4700万円の赤字)。期中に、電子部品のフラットパネルセンサー事業からの撤退や、草加工場(埼玉県草加市)の敷地売却・移転集約などのリストラ策に取り組んだ。これに続き、早期退職キャリア支援制度に基づく希望退職を実施し、人員の適正化を進める。

2022年3月期の業績予想は売上高150億円、営業利益1億円、最終利益1億円。営業損益は3期ぶりの黒字を見込む。

日本工営<1954>、英国の建築設計会社Pattern Designを子会社化
2021/07/02

日本工営は、英国の建築設計会社Pattern Design Limited(ロンドン)の全株式を取得し子会社化した。競技場やスタジアムなど大型スポーツ施設の設計・エンジニアリング分野での事業拡大につなげる。取得価額、取得日は非公表。

Patternは2009年に設立。FIFAワールドカップカタール2022の2会場(エデュケーション・シティ・スタジアム、アフマド・ビン・アリ・スタジアム)や、現在構想中のエヴァートンFC(英プレミアリーグ所属、リバプール)の約5万2000人収容の新スタジアムなど世界的に著名な大型スポーツ施設の設計を複数手がけ、スポーツ施設分野で高い専門性を持つ。

日本工営は英子会社BDP Holdings Limited (BDP、マンチェスター)を通じてPatternを傘下に収めた。BDPは歴史的建造物の改修、鉄道駅舎の改修、景観設計などを主力とし、2016年に日本工営が買収した。

フィデアホールディングス<8713>と東北銀行<8349>、2022年10月に経営統合へ
2021/07/02

荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD)と東北銀行(盛岡市)は2日、2022年10月1日の経営統合に向けて協議に入ることで基本合意したと発表した。実現すれば、東北全域(6県)をカバーする金融グループが誕生する。荘内銀行、北都銀行と東北銀行は2018年に包括的業務提携を締結し、共同店舗の開設やATM(現金自動預け払い機)の相互利用、システムの共同利用などを進めてきた。

金融持ち株会社であるフィデアHDが株式交換で東北銀行を傘下に収め、荘内、北都、東北の3行が並列にぶらさがる形となる。株式交換比率は今後確定する。東北銀行は東証1部への上場が廃止となる。

フィデアHDはこれまで岩手県、青森県に店舗を持たなかったが、東北銀行が加わることで、東北全域に店舗網(3行合計で149店舗)が広がる。東北地方では青森県を本拠とする青森銀行(青森市)、みちのく銀行(同)が2022年4月に共同持ち株会社方式で経営統合することを決めている。

地方銀行はマイナス金利の長期化や競争激化に伴う貸出金利の低下で苦境が続き、フィンテックに代表される金融の技術革新への対応も急務になっている。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で取引先の業績悪化や倒産などが重なり、経営環境は厳しさを増している。

2021年3月期の預金等残高は荘内1兆3084億円、北都1兆3480億円、東北8955億円で、3行合計で3兆5460億円。一方、貸出金残高は荘内8704億円、北都8748億円、東北6293億円で、合計2兆3606億円。

SPK<7466>、カーディテイリング事業を展開するカービューティープロを子会社化
2021/07/02

SPKは、カーディテイリング事業を展開するカービューティープロ(東京都世田谷区。売上高4億7700万円、営業利益△9000万円、純資産△2100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。カーディテイリングとは洗車やコーティングにとどまらず、ウインドーやボディーのフィルム施工、室内クリーニング、内外装の破損修理など車両全体を細部まできれいに仕上げるサービスを指す。SPKは自動車整備・補修のアフターマーケットを主要な事業領域として国内・海外の自動車部品卸を手がけており、相乗効果を見込む。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

ブロードメディア<4347>、ソフト開発のシステムデザイン開発を子会社化
2021/07/02

ブロードメディアは、ソフトウエア開発のシステムデザイン開発(札幌市。売上高2億8400万円)の全株式を取得し、2日付で子会社化した。動画配信やセキュリティー対策などを含めた「技術」セグメントの事業拡大につなげる。システムデザイン開発は1985年設立で、農業関連、流通・製造業、食品、医療関連などで長年実績を積んできた。取得価額は非公表。

DeNA<2432>、ライブストリーミング事業のIRIAMを子会社化
2021/07/02

DeNAは、インターネット上のリアルタイム動画配信サービスであるライブストリーミング事業を手がけるIRIAM(東京都渋谷区。売上高1億6400万円、営業利益△8200万円、純資産9億8700万円)の株式を追加取得し、子会社化することを決めた。現在20%の持ち株比率を100%に引き上げる。取得価額は120億2600万円。取得予定日は2021年8月1日。

DeNAは2020年8月に、キャラクターの姿でライブ配信を楽しめるアプリ「IRIAM(イリアム)」を運営するIRIAMに出資し、持ち分法適用関連会社とした。IRIAMの利用者数は順調に伸びており、子会社として傘下に取り込むことで、一層の事業拡大を目指す。

DeNA<2432>、認知機能検査システム開発の日本テクトシステムズを子会社化
2021/07/02

DeNAは、認知機能検査関連のシステム開発などを手がける日本テクトシステムズ(東京都港区。売上高1億3100万円、営業利益△3600万円、純資産2億3800万円)を株式交換で子会社化することを決めた。高齢者向けヘルスケア事業の成長加速につなげる。

株式交換比率はDeNA1:日本テクトシステムズ0.0057。株式交換予定日は2021年9月1日。

日本テクトシステムズは声による認知機能みまもりツール「ONSEI」、高齢者運転免許更新時の認知機能を検査する「MENKYO」など社会課題の解決に向けた機器やヘルスケアアプリを提供している。

西尾レントオール<9699>、木造構造物設計・販売のATAを子会社化
2021/07/01

西尾レントオールは、木造構造物の設計・販売を手がけるATA(富山県滑川市)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。仮設構造物のレンタル分野では大型テントに注力してきたが、木造を品ぞろえに加え、事業強化につなげる。ATAは一般流通材のみを使い、最大スパン(柱間距離)40メートルの木造の中大規模空間を実現する独自構法を展開する。取得価額は非公表。

サイバーエージェント<4751>、シェア型オフィスを企画・運営するリアルゲイトを子会社化
2021/07/01

サイバーエージェントは、スタートアップ企業やクリエーター向けにシェア型オフィスを企画・運営するリアルゲイト(東京都渋谷区)の株式の過半数以上を取得し、1日付で子会社化した。不動産領域への参入が狙い。取得割合、取得価額は非公表。

リアルゲイトは2009年設立で、渋谷エリアを中心にフレキシブル・ワークプレイス事業を展開する。築古ビルを対象に耐震補強や増築、用途変更などの建物のバリューアップを行った後、ラウンジや会議室、スカイテラスなどの共用部を設け、魅力ある物件に生まれ変わらせ、スタートアップ企業などに貸し出す。

サイバーエージェントは不動産領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目指す。

プロパティエージェント<3464>、システムコンサルティングのアヴァントを子会社化
2021/07/01

プロパティエージェントは、システムコンサルティング業のアヴァント(東京都中野区。売上高6億2600万円、営業利益△1億4100万円、純資産△100万円)の株式20.3%を追加取得し、1日付で子会社化した。第三者割当増資を引き受け、これまで30.1%だった持ち株比率を50.4%に引き上げた。今後の注力領域と位置付けるDX(デジタルトランスフォーメーション)関連で相乗効果の発揮を期待している。今年1月に資本参加したばかりだが、次の段階として子会社化に踏み切る。取得価額は6900万円。

インソース<6200>、Webプロモーションやシステム開発を手がけるマリンロードを子会社化
2021/07/01

インソースは、Webプロモーションやシステム開発などを手がけるマリンロード(宇都宮市)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。Webマーケティング事業の強化などが狙い。マリンロードは1999年設立。取得価額は非公表。

インソースは企業の人事部向けに講師派遣、公開講座、オンライン教育などを手がける。

アシードホールディングス<9959>、物流関連サービスのロジックイノベーションを子会社化
2021/07/01

アシードホールディングスは、物流関連サービスを展開するロジックイノベーション(岡山市。売上高1億7400万円、純資産1億200万円)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。物流サービスの付加価値向上の一環。ロジックイノベーションは2013年設立で、倉庫を活用した物流アウトソーシング・物流代行のほか、食品廃棄物・廃プラ・木くずなどのリサイクル事業を手がける。取得価額は非公表。

アウトソーシング<2427>、米軍向け電気通信工事で実績を持つ米国Integrity Networksを子会社化
2021/07/01

アウトソーシングは米国子会社のアメリカンエンジニアコーポレイション(AEC、デラウェア州)を通じて、電気通信工事業の現地Integrity Networks, Inc.(ワシントン州)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。米軍施設向け事業の成長加速の一環。Integrity NetworksはITや弱電設備のシステム構築などに関し、民間企業、公共企業向けにとどまらず、米海軍や米陸軍への豊富なサービス実績を持つ。取得価額は非公表。

今回Integrity Networksを傘下に収めるAECは日本国内の米軍施設を中心に空調・電気工事、建物や設備の改修・保全サービスなどを幅広く展開する。Integrity Networksは米国本土に加え、環太平洋地区を含めてグローバルレベルのプロジェクトへの入札参加が可能になる。

テクノプロ・ホールディングス<6028>、ERP導入コンサルティングのジーコムネットを子会社化
2021/06/30

テクノプロ・ホールディングスは、ERP(統合基幹業務システム)パッケージの導入コンサルティングなどを手がけるジーコムネット(東京都港区。売上高3億4100万円、△3000万円、純資産3700万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。傘下のテクノプロ(東京都港区)を通じて展開するERP事業の開発・人材育成ノウハウを獲得し、顧客提案力の強化につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

テクノプロを通じてジーコムネットを子会社化後、10月1日付でテクノプロを存続会社として吸収合併する予定。

ODKソリューションズ<3839>、システム開発のECSを子会社化
2021/06/30

ODKソリューションズは、システム開発のECS(広島市。売上高3億3300万円、営業利益237万円、純資産6880万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。主要都市圏における拠点整備の一環で、中四国地方での事業拡大につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月16日。

ODKソリューションズは受験支援など教育関連をはじめ、金融、医療関連のシステム開発・運用を手がける。

富士テクノソリューションズ<2336>、ソフト開発・技術者派遣の中日本技研を子会社化
2021/06/30

富士テクノソリューションズは、ソフトウエア開発や技術者派遣を手がける中日本技研(名古屋市。売上高5億7700万円、営業利益27万7000円、純資産4億9400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社は事業内容がほぼ重なり、富士テクノは自社のグループ戦略に合致すると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス<3657>、ソフト受託開発を主力とするMSDホールディングスを子会社化
2021/06/30

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスは、ソフトウエア受託開発を主力とするMSDホールディングス(東京都千代田区)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。幅広い業種業態の顧客を持つMSDを傘下に取り込み、システム設計・開発、第三者検証、モニタリング、インフラ運用、カスタマーサポートなどのトータルサービスの提供につなげる。MSDホールディングスは持ち株会社で、傘下に4つの事業子会社を持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月15日。

MSD傘下の4社はソフト受託開発のMIRAIt Service Design(東京都千代田区。売上高20億円、営業利益1億4700万円、純資産2億3600万円)、ソフト受託開発のソフトワイズ(同。売上高4億3200万円、営業利益4560万円、純資産1億3300万円)、技術系コールセンター事業のMSD Secure Service(同。売上高4590万円、営業利益△2500万円、純資産△1770万円)、システムエンジニアリングサービスの盛達テクノロジー(東京都品川区。売上高8820万円、営業利益△579万円、純資産3000万円)。

Sharing Innovations<4178>、ソフト開発のアップオンデマンドを子会社化
2021/06/30

Sharing Innovationsは、ソフトウエア開発のアップオンデマンド(京都市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。関西圏での拠点獲得が狙い。関西圏での顧客開拓を進めるとともに、関西圏出身のエンジニアの採用や関西圏での勤務を希望するエンジニアへの勤務地の提供につなげる。アップオンデマンドは2010年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月16日。

テクノホライゾン<6629>、ソフト開発の市川ソフトラボラトリーを子会社化
2021/06/30

テクノホライゾンは、ソフトウエア開発の市川ソフトラボラトリー(千葉市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。市川ソフトは1988年設立で、画像処理ソフト技術に強みを持つ。取得価額、取得予定日は非公表。

レオパレス21、上場廃止の猶予期間入り銘柄に
2021/06/29

レオパレス21は29日、東京証券取引所の規定に基づき上場廃止にかかる猶予期間入り銘柄になったと発表した。2021年3月期決算で84億円の債務超過に陥ったのに伴うもので、2023年3月期末までに債務超過が解消できない場合は東証1部への上場が廃止になる見通し。レオパレスは2018年に発覚したアパート建築を巡る施工不良問題を受け、補修工事関連の巨額費用や顧客離れによる新規入居の低迷などで経営が揺らいでおり、信頼回復と再建の途上にある。

レオパレスは施工不良問題で2019年3月期に686億円の最終赤字に転落。20年3月期の最終赤字は802億円に膨らんだが、21年3月期は黒字転換を見込んでいた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なり、最終赤字は236億円だった。3年連続の最終赤字となった結果、3月期末で84億円の債務超過となった。

債務超過になると上場廃止までの猶予期間は通常1年だが、新型コロナの感染拡大の影響に起因すると認められる場合は猶予期間が2年に延長され、この規定がレオパレスに適用される。

戸田工業<4100>、射出成形磁石を製造する中国の江門協立磁業高科技を子会社化
2021/06/29

戸田工業は、射出成形磁石を製造する中国の江門協立磁業高科技有限公司(広東省。売上高17億8000万円、営業利益5億8100万円、純資産8億9100万円)の持ち分60%を取得し、子会社化することを決めた。サプライチェーン(供給網)の安定化と事業承継の観点から、経営権を握ることにした。取得価額は非公表。取得予定は2021年8月10日以降。段階的に持ち分比率を高め、最終的には完全子会社化する。

江門協立は磁性粉末(フェライト系、希土類系)と樹脂を複合化したボンド磁石(プラマグ)をはじめとする精密成形部材の日系メーカーで、設立は2006年。戸田工業は同社と長年、取引関係にあった。

戸田工業は磁性粉末やプラマグ用コンパウンドを開発・製造する。

歯愛メディカル<3540>、新電力子会社「四つ葉電力」「新潟県民電力」の2社をLooopに譲渡
2021/06/29

歯愛メディカルは、新電力事業の子会社である四つ葉電力(大阪市。売上高3億1500万円、営業利益△1億400万円、純資産△8600万円)と新潟県民電力(新潟市。売上高1億1700万円、営業利益0百万円、純資産△500万円)の保有全株式(2社の所有割合はいずれも60%)を、電力小売り事業のLooop(東京都台東区)に譲渡することを決めた。2020年に対象2社を傘下に収めたが、年初の寒波や発電燃料不足を受けた卸電力価格の急騰で新電力を取り巻く事業環境が不透明さを増す中、経営資源の配分を見直すことにした。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年6月30日。

歯愛メディカルは歯科診療用品の通販大手で、経営多角化のために2016年に新電力事業に参入し、歯科医院やクリニックを中心に電力を販売してきた。

2020年に四つ葉電力、新潟県民電力、石川電力(金沢市)、福井電力(福井市)の4社を相次ぎ傘下に収めたが、このうち石川電力、福井電力については親会社のワンレクトホールディングス(金沢市)を今年1月に手放した。今回、四つ葉電力、新潟県民電力の譲渡により、新電力事業は大幅に縮小することになる。

揚工舎<6576>、介護付き有料老人ホーム運営のまんまるを子会社化
2021/06/29

揚工舎は、介護付き有料老人ホーム運営のまんまる(東京都三鷹市。売上高1億6400万円、営業利益△1370万円、純資産△4250万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。東京近郊での事業拠点を拡充する狙い。まんまるは2004年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

シャープ<6753>、マイクロレンズユニット製造の中国子会社「連雲港康達智精密技術」を現地社に譲渡
2021/06/29

シャープは、マイクロレンズユニットを製造する中国子会社の連雲港康達智精密技術有限公司(江蘇省)の全持ち分(所有割合100%)を、現地の遼寧中藍電子科技有限公司(遼寧省)に譲渡することを決めた。連雲港康達智精密技術はシャープ子会社のカンタツ(東京都品川区)の傘下企業で、業績低迷や不適切会計処理の伴う業績修正への対応が課題となっていた。譲渡価額、譲渡予定日は非公表。

譲渡先の遼寧中藍電子科技はスマートフォン機器の部品・コンポーネントの設計や開発、製造を手がける。

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>、オンライン接客サービス提供のUsideUを子会社化
2021/06/29

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスは、クラウド型オンライン接客サービスを提供するUsideU(東京都中央区。売上高1億2900万円、営業利益△237万円、純資産3310万円)の株式50.01%を取得し子会社化することを決めた。Eコマース(電子商取引)など非対面・非接触の接客ニーズを的確に取り込み、オンライン接客市場で独自のポジション確立につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

UsideUは2017年設立で、「TimeRep」と名付けた遠隔接客サービスを開発・展開する。オンライン接客の企画提案から導入支援、導入後の接客データの分析・改善提案などをトータルに行い、アバター(コンピューター上の分身)技術に強みを持つという。

アトラグループ<6029>、鏡を使ったオンライントレーニング事業を展開するOne Third Residenceを子会社化へ
2021/06/29

アトラグループは29日、フィットネスクラブ運営のOne Third Residence(東京都千代田区)を子会社化する方向で交渉を進めると発表した。One Third Residenceが手がける独自のトレーニングツール「Fitness Mirror」に関する事業を共同運営するために合弁会社の設立を昨年来検討してきたが、事業展開のスピードを速めるため、One Third Residenceの買収に切り替えることにした。7月中の合意を目指す。

Fitness Mirrorはミラー型のオンライントレーニング機器で、鏡に自分の姿を映しながら、鏡の中のトレーナーの指示に従ってトレーニングを行う。400本以上のトレーニングコンテンツを収録し、ライブレッスンも実施中。新型コロナウイルス感染拡大が続く中、在宅でのオンライントレーニングの利用が広がると期待している。

アトラグループは鍼灸接骨院の開業支援やデイサービス事業を主力事業とする。Fitness Mirrorに独自コンテンツを加え、付加価値を高める。鍼灸接骨院、デイサービスの利用者にも活用を促し、事業拡大につなげる。

CIJ<4826>、ソフト開発のa‐LINKを子会社化
2021/06/28

CIJは、ソフトウエア開発のa-LINK(横浜市。売上高6億600万円、営業利益1800万円、純資産8億3500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。技術的な相互補完とオフショア(海外開発拠点)活用による量的側面の対応に関し、相乗効果を期待している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

a-LINKは2003年設立で、制御系、通信系のソフト開発を主力とし、上流コンサルティングからシステム設計、ソフト開発、品質評価、保守運用までをトータルに手がける。とくに画像処理関連で強みを持つという。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[M&A事業承継の専門家によるコラム]

第6回:ノンネームシートや企業概要書とは何か? 譲渡企業側のアピールの方法を考える。

 

中小零細企業経営者や経営者をサポートする専門家の方が抱えるM&Aや事業承継に関するお悩みを、中小零細企業のM&A支援・事業計画支援を専門で行っている株式会社N総合会計コンサルティングの平野栄二氏にアドバイスいただきます。

 

〈解説〉

株式会社N総合会計コンサルティング

平野栄二

 

 

 

「私は現在75歳です。従業員5人の製造業を経営しています。第三者に承継(M&A)を行う場合、候補先に、どのようにアピールしていけばよいでしょうか。また、よく、「ノンネームシート」とか「企業概要書」という資料があると聞きますが、どういったものでしょうか。よろしくお願いいたします。」

 


 

平野:ご質問いただきありがとうございます。以下のような手順でご説明をいたします。

 

①M&Aにおいて、譲渡企業はどのような資料を候補先に開示するのか説明いたします。具体的には、「ノンネームシート」、「企業概要書」についての説明を行います。

②ノンネームシートの役割や留意点、アピール方法を説明いたします。

③企業概要書の役割や留意点、アピール方法を説明いたします。

④成功事例を紹介します。

 

 

1、ノンネームシート(ティーザー)

M&Aで候補先を探索を開始するにあたり、まずは「ノンネームシート」と呼ばれる匿名での案内書を作成します。

 

ノンネームシート(ティーザー)とは、譲渡企業が特定されないよう企業概要を簡単に要約した企業情報をいいます。譲受企業側に対して関心の有無を打診するために使用されるものです。

 

 

 

 

2、企業概要書(IM、IP)

企業概要書とは、譲渡企業側が秘密保持契約を締結した後に、譲受企業側に対して提示する譲渡企業についての具体的な情報(実名や事業・財務に関する一般的な情報)が記載された資料をいいます。インフォメーション・メモランダム「IM(Information Memorandum)」やインフォメーション・パッケージ「IP(Information Package)」とも呼びます。

 

 

 

 

3、提出時期と提出目的の違い

ノンネームシートと企業概要書はそれぞれ役割が違っており、以下のとおり、目的と提出時期が異なります。

 

①目的

(ノンネームシート)

譲受企業側に対して関心の有無を打診するために使われます。関心があれば、連絡を受けて、企業名等を開示するかの検討に入ります。

 

(企業概要書)

譲受企業側に対して、譲渡企業の経営・財務情報を開示することによって、関心があれば、企業トップ同士の面談や基本合意へと交渉を進めるために使われます。

 

②提出時期

(ノンネームシート)

M&A の方法や時期などの方針が概ね決まり、これから候補先の探索を始める段階。

 

(企業概要書)

譲受企業側との秘密保持契約を締結すると同時に実名の開示が行われ、譲受企業側が、譲渡企業に関心を持って、交渉に進みたいと打診をしてきた段階。

 

③M&Aの流れと「ノンネームシート」と「企業概要書」の作成時期

ノンネームシートと企業概要書は、以下のようなタイミングで作成されることが求められます。

 

❶アドバイザー等に相談⇒❷アドバイザリー契約の締結⇒❸ノンネームシートの作成候補先の探索・紹介⇒➎候補作と秘密保持契約の締結⇒❻企業概要書の作成トップ面談(お見合い)⇒❽意向表明提出(譲渡企業)⇒❾基本合意の締結(独占交渉権付与)⇒❿譲受企業による買収監査⇒⓫最終条件交渉⇒⓬最終契約書(本契約)の締結⇒⓭対価の授受、業務引継ぎ

 

 

 

4、「ノンネームシート」のアピールポイント

①業種

(例)〇〇の製造販売 など

 

業種はできる限り具体的に記載することがポイントです。ここを広げすぎると、無用な対応の時間が増えてしまいます。しかし、ニッチな業種の場合、特定される可能性があるので、業種を絞らずに大きく記載する場合もあります。

 

②譲渡理由

(例)事業の選択と集中のため

 

譲渡理由は、「後継者不在のため」「事業の選択と集中のため」「アーリーリタイアし別事業へ挑戦するため」「企業の成長・発展のため」などと記載します。業績不振や健康不安など負のイメージはノンネームの段階では、なるべく記載しないようにします。

 

③会社所在地

(例)関西地方

 

業種によっては、地域を狭めると特定されるケースもあるので留意します。

 

④売上高等

(例)1億円弱

 

売上は大きい方が好まれるが、嘘のない範囲で数字を丸めて記載します。また、売上高以外に、純資産額なども譲受企業は重視する傾向があるので、財務内容が良い企業はあえて記載することもあります。

 

⑤従業員数

(例)9名(役員除く)

 

従業員数も、「10人前後」「10人~15人」などとぼやかす場合もあります。ただし、引退予定の役員などは含めない方がよいです。

 

⑥希望形態条件

(例)株式譲渡 (社長所有の事業用不動産の賃貸を希望)

 

「株式譲渡」「事業譲渡」や「会社分割後新設会社を譲渡」などと記載します。100%株式譲渡でない場合など、特殊な場合はその旨を記載しておく必要があります。また、個人の事業用不動産を譲渡や賃貸する場合も記載します。その他条件として、「従業員全員の雇用継続」「代表者の保証債務の抹消」「オーナー一族以外の役員の勤務継続」など記載しておきたいことを簡単に記載します。

 

⑦譲渡希望額

(例)応相談

 

譲渡希望価額はまだ算定できていないケースもあり、その場合は「応相談」と記載しておきます。あまり法外な価額を記載することは相手先が見つからない可能性があります。一方で、低く見積もるとその後の値上げには応じてもらえない可能性があるため慎重に記載する必要があります。

 

⑧特徴

(例)〇〇の部品・を製造・販売している。〇〇品にも力を入れている。歴史ある企業で長年の実績があり、顧客との信頼関係が強い。在庫管理が行き届いており、迅速な配送体制が強みである。本社事務所社屋はオーナー親族の所有であり、譲渡後は適正価格にて賃借が可能であり、交通の便が良好な場所に位置している。

 

①~⑦までの内容について、もう少し詳細に記載したい場合に補足説明します。たとえば、支店や営業所がある場合など。企業の持つ強み・特長を完結に記載します。具体的には、会社の社風や、歴史、ブランド力、取引先の多さ、多様なネットワーク・立地のよさ、技術力・知的財産権などです。逆指名として「〇〇〇〇のような企業を求める」というような記載をしても良いです。

 

 

 

5、「企業概要書」のアピールポイント

【フルバージョンの場合の企業概要書の一例】

1.はじめに

2.概要

3.会社の沿革・代表者のプロフィール

4.会社付近の地図・全景写真など

5.自社の製品・サービスの案内

6.自社の強み

7.株主名簿

8.従業員/役員の状況/労働組合の状況

9.主な売上先・仕入・外注先の概要

10.地代家賃の概要

11.不動産・固定資産の概要

12.借入金の状況

13.M&A後のシナジー効果

14.3期(または2期)比較財務諸表

15.時価貸借対照表

16.EBITDAの計算

 

 

企業概要書は、譲受企業が初めて手にする譲渡企業の概要です。この資料で、譲り受けの判断をすることになるので、非常に重要です。

 

ポイントとしては、4つあります。

 

①「良い会社、希望を持てる会社である」という印象をもってもらう必要があります。そのため、自社の強みについては分かりやすく記載します。

 

②開示した資料についての「算定根拠についてはなるべく詳細に記載する」ことで、読み手の理解を助けることになります。とくに「イレギュラーな数値や内容についてはコメントを記して説明」しておく必要があります。

 

③現状、業績が芳しくない企業については「その原因を記載し改善策も提示」しておくことで、少しでも希望をもってもらう必要があります。

 

④想定される譲受企業の譲受後の統合作業のイメージがわくように、「M&A後のシナジー効果」なども記載しておくと、譲受企業が参考にしやすいと思います。

 

 

【企業概要書のアピール法】
■自社の強みの説明ポイント

(留意点)

●強みを「営業面・商品面、生産面・技術面、組織面」などに区分して記載する

●商品の特長については、写真や図を付けて、視覚的にアピールする

●他社製品との比較表なども付けると、競争力のある事業だと感じてもらえる

●具体的に記載することが重要(実績・経験・資格・許認可・成果など)

 

 

生産プロセスや、サービス提供プロセスなどを、上図のように簡単に図解し、写真なども添付しながら説明を行い、プロセスのどの部分に強み(付加価値)があるのかを記載します。

 

■従業員・株主・役員構成の記載のポイント

従業員の内容は、譲受企業の多くが関心を持つので、丁寧な記載が必要になります。また、イレギュラーな内容がある場合は脚注を付すなどして、理解をしてもらいやすくします。

 

 

 

 

■主要な取引先の記載ポイント

譲受企業の関心の一つに、取引先企業の業種、規模、件数、構成比などがあります。上位5社から10社程度の取引先を以下のように開示すると、参考にしてもらいやすくなります。

 

 

 

 

 

■固定資産等の記載ポイント

固定資産の場合は、できる限り現況を記載する。固定資産台帳などが実際の現況と異なる記載がある場合は、脚注にその旨を記載するなど、配慮をすると参考になります。

 

 

 

 

 

■損益計算書の記載ポイント

●過去3期分程度の損益計算書の推移を決算書などから作成する。

●イレギュラーな数字がある場合は脚注にて説明を行う。

●増減が大きい数字については原因なども記載をするとわかりやすい。

 

 

 

 

 

 

■貸借対照表(時価貸借対照表)の記載ポイント

●過去3期分程度の貸借対照表の推移を決算書などから作成する。

●イレギュラーな数字がある場合は脚注にて説明を行う。

●以下のように簡易な時価評価を記載することで、実態に合った財政状態を提示できる。

 

 

 

 

 

 

6、成功事例(学習塾の場合)

【事例概要】

(譲渡企業)

●30代男性社長

●1教室のみ独立型学習塾を経営

●数年程前に起業をし、駅前のビルを賃貸し、学習塾を立ち上げる

●誠実な指導方法が評判で順調であったが、アーリーリタイアにより、M&Aを検討

 

(譲受企業)

●10教室以上を経営している中堅学習塾

●コロナウイルス禍で学習塾が休業になり、一時交渉が延び延びになったにもかかわらず、交渉は順調に進み、値引きなしの当初の売買価格にてクロージングが達成

 

【成約のポイント】

①譲渡社長の誠実な人柄が信頼されたこと

②充実したサービスを提供しているにもかからず、講座価格等が低く、収益性は悪かったが、平均以上の顧客を抱えており、潜在能力を評価してもらえたこと

 

【企業概要書でのアピールポイント】

●ノンネームの生徒の情報(学校名・学年・学力など)・ 講師の情報(出身校・経験・得意科目など)を掲載して、商圏や学力レベル、講師の指導レベルなどが一目でわかるように記載した。

●授業料の計算方法やサービスの内容を詳細に記載して、問題点と解決策などを記載した。

●本来、受け取るべきテキスト代や臨時講習料なども適正価格に修正した損益シミュレーションを作成し、業務改善しだいでは高い収益を得ることができることを記載した。

●講師1人に対する生徒数の数比率を世間一般での生徒数に変更することで、なお、高い収益性が確保できることをアピールした。

●当面、現経営者にも講師として参画してもらうことで、既存の生徒に安心感をもらってもらうように、現経営者を含めた収益予測を行い企業概要書に提示した。

 

【結果

当初の提示額の3~4倍の譲渡価額で納得いただき、成約することができた

 

 

7、まとめ

①ノンネームシート

●譲受企業に判断してもらいやすいように、情報を簡潔に記載する。

●企業名が特定できないように、記載方法に注意すること。

●ホームページなどの用語をコピーすると、検索に引っかかる可能性があるので注意する。

●ノンネームとはいえ、信頼できるアドバイザーに渡すこと(承諾なく、ファックスやメールでばら撒く業者も存在するので注意する)。

 

②企業概要書

●必ず、秘密保持契約を交わすか、秘密保持の誓約書を受けとってから開示する。

●企業概要書は自社のプレゼンテーション資料だという認識で記載する。

●提示する相手の重要度・信頼度によって、提出する資料の詳細は加減して提示する。

●強みを強調し、今後も持続的に発展する要因がある旨をアピールする。

●問題点を敢えて提示し、その解決策を示すことで、誠実さをアピールする。

●譲渡後の改善策とともに、改善後の収益予測など数字でアピールする。

●確認に時間がかかる場合は、後で随時改良し、概要書の品質を高めていく。

 

[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]

~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~

 

第8回:経営コンサルタントから「売りたくても売れないタイミングが来るよ」と言われました。本当ですか?

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

▷関連記事:取引先に知られずに会社を譲渡することはできる?

▷関連記事:会社の譲渡を検討していますが、譲渡してしまったら、共に働いてきた役員や従業員達から見放されたと思われないか不安です。

▷関連記事:顧問先企業のオーナーから、後継者がいないので会社を誰かに譲りたいと相談されました。

 

 

Q.経営コンサルタントから「売りたくても売れないタイミングが来るよ」と言われました。本当ですか?

 

半導体関連の製造業を営んでいます。創業来25年、特殊なオーダーにも応えられる高い技術力を軸に、取引先から多くの受注をいただいてきました。利益も出しており、財務状態は健全です。私はまだ体力、気力共に充実していますので、これから10年くらいかけてさらに会社を成長させ、70歳を迎えたら会社を譲渡して引退しようと考えております。

 

ただ、知り合いのコンサルタントにその話をしたところ、「10年も待っていたら経済環境が変わって、売りたくても売れなくなってしまうし、引退もしづらくなる」と指摘されました。今のところ取引も順調ですし、10年後に譲渡してもまったく問題ないと思うのですが、そんなことがあるのでしょうか?

 

(愛知県 製造業 K・T さん)

 

 

 

A.会社の業績やご自身の年齢だけでなく、M&Aの市場動向や日本の人口構造も考慮して引退時期を決めた方が良いでしょう。

 

会社の業績も良く、ご相談者の体力・気力が充実されている中で、引退を急かされるような指摘をいただいても、なかなかピンときませんよね。気持ちはよくわかります。一方で、トップの引退を考えるに当たり、今後の経済環境をまったく考えなくてよいかと問われると、決してそんなことはありません。M&Aでは、良い買い手を見つけて会社運営や従業員の雇用を任せることが大事です。譲渡価額などを含めて良い条件でのM&Aを実現するには、自分の主観や都合だけで引退時期を考えるのではなく、好条件で譲渡できる最適なタイミングを客観的に検討する必要があると思います。

 

経営者の平均引退年齢は68歳前後が多いです。ご相談者も70歳を迎えたらとおっしゃっていますので、同じぐらいの年齢ですね。年齢別人口の分布では70~74歳、65~69歳が多くなっています。多くの経営者はこのボリュームゾーンに集中していると考えられています。

 

 

このような情報から見えてくることは次の2つです。

 

①経営者の多くが引退年齢を迎え、譲渡ニーズが増加し始めている。

②それに伴い、買収ニーズに対して譲渡ニーズが過多となり、社長が譲渡したくとも買い手企業が少ない状況に陥ることが見込まれる。

 

 

 

人口構造の変化を考えると、業種を問わず「売りたくても売れなくなる状況」が予測されますので、それを踏まえて経営の出口を考えなければならないと思います。

 

ご相談者に「売りたくても売れなくなる時がくる」とおっしゃったコンサルタントは半導体関連事業の将来性を気にされていたのかもしれません。以前に私がお手伝いしたM&Aでも、ご相談者と似たケースがありました。金型関連のファブレスメーカーで、優良な取引先を有し、売上は減少しているものの無借金で純資産は2億円、ノウハウを持った従業員達が複数在籍する会社でした。「このまま自社単独で経営していたら、今は良いが、いずれ行き詰まる。ならば企業価値が高いうちに譲渡したい」とのご要望があり、ちょうど第二の収益の柱を求めていた異業種のメーカーとのM&Aが早々に実現しました。「今ならば売れる、今しか売れない」―― その決断力が成功要因だったと社長は話されていました。

 

また、買収側の企業は、譲渡側のオーナーの年齢はもちろん、継続勤務する従業員(特にキーパーソン)の年齢も気にします。M&A後、数年でキーパーソンも定年退職する可能性がある場合、買い手企業は二の足を踏んでしまいます。ご相談者は10年後に譲渡を検討すると仰っていますが、その時の社内のキーパーソンは何歳になっているでしょうか。

 

M&Aニーズの多寡は業種・エリア・事業規模により異なります。「少し前のタイミングだったら、良いお相手がいたのに…」と後悔しないために、最近のM&A市場の動向や具体的な候補先の有無、M&Aの条件などについて、ぜひ専門のM&Aアドバイザーにご相談されてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

[事業再生・企業再生の基本ポイント]

第3回:事業再生の概要を教えてください

~事業再生の概要、法的整理と私的整理のメリットとデメリット、財務面と事業面の検討~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

▷関連記事:法的整理と私的整理の比較

▷関連記事:民事再生と会社更生の比較

▷関連記事:事業再生業務の全体像を教えてください

 

 

【事業再生の概要】

営業不振や過剰な設備投資等により営業活動に支障をきたす程資金繰りに窮してしまった会社・事業を、財務面や事業面で正常な営業活動を行える状態に再生していくことを、事業再生と言います。

 

事業再生には、法的整理と私的整理があります。

 

 

 

【法的整理と私的整理】

法的整理は、その名の通り法的な事業再生となるため、裁判所が関与し法律に則り事業再生をすすめていくことになります。一方で、私的整理は、法律に縛られることなく事業再生を進めていくことになります。

 

法的整理と私的整理の違いについての詳細な説明は本章では割愛しますが、主な特徴として、法的整理を行った場合は倒産企業として外部に周知されるという点があります。この点、私的整理では再生企業と事業再生に参加している債権者等以外に情報が洩れることはないため、事業や取引関係をこれまで通り行えるというメリットがあります。一方で、私的整理では事業再生に参加した債権者の全ての同意が必要となります。この点、法的整理は債権者の多数決や債権金額の多数決により決定されるため、債権者が多い場合や一部反対している債権者がいる場合には私的整理ではなく法的整理で事業再生を進めていくことになります。

 

事業再生をする場合に、まずは私的整理を検討して、様々な要因により私的整理が難しい場合には法的整理となるケースが多いです。件数としては、法的整理と私的整理では圧倒的に私的整理の件数の方が多く、私的整理であれば情報が外部に漏れることはないため、実は取引先が私的整理を行っていたということも決して少なくないでしょう。

 

【財務面と事業面の検討】

事業再生は、財務面と事業面の2面から検討する必要があります。

 

 

 

事業再生はリストラ、業務の効率化、採算管理の徹底などのイメージが先行すると思いますが、これらはどちらかというと事業面の施策となります。事業面での施策を実施するためにも、事業面での施策を実施している間の資金繰りを担保するための金融支援が必須となります。金融支援とは、金融機関への返済を一時的に止めたり、返済を免除してもらう等の方法があります。これらの金融支援の検討・獲得が事業再生を進めていくために必須であり、事業面の施策と両輪で進めていくことが重要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

【Q&A】2回以上にわたって取得した同一銘柄の株式の取得費の計算

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■同族株主が相続等により取得した非上場株式の相続税評価

■譲渡所得の計算上、概算取得費を適用すべき場合、取得費を推定できる場合

 

 

 

 

【問】

Aさんは、令和3年6月に保有するB社株式(上場株式)4,000株のうち1,000株を、証券市場において1株1,000円で譲渡しました。

 

Aさんは、平成25年に1株600円で1,000株(600,000円)のB社株式を証券市場で購入後、平成30年に亡父より同じB社株式3,000株を相続しています。なおAさんの父は、平成26年にそのB社株式を1株500円(1,500,000円)で、証券市場より購入しています。

 

AさんのB社株式に係る譲渡所得金額の計算上、控除する取得費の額は、平成25年に購入時の対価600,000円でよいのでしょうか。

 

 

【回答】

1.結論


ご質問のB社株式の取得費の額は、下記2(3)の通り、Aさんが亡父から相続により取得した3,000株につき亡父の取得価額を引き継いだうえで、「総平均法に準ずる方法」により計算され、525,000円(1株525円)となります。

 

2.解説


(1)相続により取得した株式の取得価額

個人が相続又は遺贈により取得した譲渡所得の基因となる資産(例えば株式)は、原則、被相続人がその財産を取得した時から引き続きその個人が所有していたものとみなされます(所得税法60条1項1号)。したがって、Aさんが平成30年に相続により取得したB社株式の取得価額は、亡父の取得時期(平成26年)と取得価額(500円×3,000株=1,500,000円)を引き継ぐことになります。

 

(2)2回以上にわたって取得した同一銘柄の株式の取得費の計算

(1)よりAさんは、B社株式を平成25年に1株600円で1,000株、平成26年に1株500円で3,000株取得し、これらの株式のうち1,000株を令和3年に譲渡したことになります。このようにAさんは、父から相続により取得したB社株式と自ら購入したB社株式が混ざってしまい、どちらの株式を譲渡したのかはっきりしないことから、その株式に係る譲渡所得の取得費(=B社株式の取得価額)の計算方法が問題となります。

 

Aさんのように2回以上にわたって株式を取得した後、その一部を譲渡した場合、その株式に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額は、所得税法施行令118条1項に規定する「総平均法に準ずる方法」により計算します(所得税基本通達33-6の4(注)2)。

 

この場合の「総平均法に準ずる方法」とは、譲渡の都度、直前の譲渡の時からその譲渡の時までの期間を基礎として下記の算式により計算を行う方法をいいます。

 

(算式)

(①譲渡の年1月1日に所有していたその株式の取得価額+②譲渡の年の譲渡日までに取得したその株式の取得価額)÷(①の株式数+②の株式数)=その譲渡株式の譲渡時の1株当たりの取得価額

(3)Aさんに係るB社株式の取得費の額の計算

(600円×1,000株+500円×3,000株)÷4,000株=525円  525円×1,000株=525,000円

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/06/28)より転載

[M&Aニュース](2021年6月14日〜2021年6月25日)

◇セントラル警備保障<9740>、警備業のCSP東北を子会社化、◇プロルート丸光<8256>、血液検査事業のマイクロブラッドサイエンスを子会社化、◇フォーサイド<2330>、角川春樹事務所から女子中高生向けファッション誌「Popteen」事業を取得、◇ゼロ<9028>、中国で完成車の陸上輸送を手がける現地「陸友物流有限公司」を子会社化、◇JALCOホールディングス<6625>、パチンコホール向け機器の製造子会社SUNTACを経営陣に譲渡、◇コロプラ<3668>、位置情報分析コンサルティングサービス「おでかけ研究所」事業をブログウォッチャーに譲渡、◇Nexus Bank<4764>、SAMURAI証券など金融関連子会社2社を譲渡、◇いなげや<8182>、高級スーパーの三浦屋を三菱商事<8058>傘下の丸の内キャピタルに譲渡、◇マブチモーター<6592>、医療機器用モーター製造のスイスElectromagを子会社化、◇アイティフォー<4743>、企業ブランディングや社内報制作支援を手がける子会社のグラス・ルーツを経営陣に譲渡 ほか

 

 

 

 

セントラル警備保障<9740>、警備業のCSP東北を子会社化
2021/06/25

セントラル警備保障は、警備業のCSP東北(仙台市。売上高6億7400万円、純資産632万円)の株式36%を追加取得し子会社化することを決めた。現在31%の持ち株比率を67%に引き上げる。東北地区におけるグループ連携強化の一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

プロルート丸光<8256>、血液検査事業のマイクロブラッドサイエンスを子会社化
2021/06/25

プロルート丸光は、血液検査事業や医療機器製造を手がけるマイクロブラッドサイエンス(MBS、東京都千代田区。売上高7億5000万円、営業利益2億1000万円、純資産2億1800万円)を株式交付により子会社化することを決めた。50%超の株式取得を目指す。

2020年4月にMBSと代理店契約を締結し、血液検採取デバイスや新型コロナウイルス抗原検査キットなどを取り扱ってきたが、同社を子会社として取り込むことでグループとして原価率改善や業績への寄与が見込めると判断した。取得予定日は2021年7月21日。

計画によると、MBSの1株に対し、プロルート丸光の100株を割り当て交付する。取得するMBS株の下限は所有割合で50.004651%にあたる1万751株とした。

フォーサイド<2330>、角川春樹事務所から女子中高生向けファッション誌「Popteen」事業を取得
2021/06/25

フォーサイドは、電子書籍配信事業を手がける全額出資子会社のモビぶっく(東京都中央区)を通じて、角川春樹事務所(東京都千代田区)から女子中高生向けファッション誌「Popteen」事業を取得することを決めた。既存事業である女子小中学生向けファッション誌「Cuugal」との連動で誌面展開できるうえ、デジタル配信でも相乗効果が見込めると判断した。当該事業の直近業績は売上高9億6200万円、経常利益1900万円。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月1日。

フォーサイドは「Popteen」事業の獲得に合わせ、角川春樹事務所傘下で「Popteen」誌に出演する専属モデルのマネジメント業務などを手がけるホールワールドメディア(東京都千代田区。売上高9400万円、営業利益100万円、純資産1900万円)の株式51%を取得し、子会社化する。ホールワールドメディアの残る49%はKeyHolderが所有する。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

ゼロ<9028>、中国で完成車の陸上輸送を手がける現地「陸友物流有限公司」を子会社化
2021/06/24

ゼロは、日系・欧米系自動車メーカーを対象に中国で完成車の陸上輸送を手がける陸友物流有限公司(北京。売上高37億5000万円、営業利益9500万円、純資産23億6000万円)の株式40%を追加取得し、子会社化することを決めた。現在25%の持ち株比率を65%に引き上げる。今後、整備が見込まれる中国の中古車市場における車両輸送への本格参入などに備える。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

陸友物流は2004年に中信興業投資寧波有限公司が35%、ゼロが25%、商船三井が21%、住友商事が19%を出資して設立。中国内での完成車の陸上輸送を中心に、海上輸送・鉄道輸送を手がけるほか、通関・保管・PDI(納車前整備点検)などの業務も担う。ゼロは今回、商船三井、住友商事の保有する全株式を取得する。陸友物流の経営権を獲得し、世界最大の自動車市場に成長した中国で一層の事業拡大につなげる。

中国で生産される電気自動車が日本に輸入されることも視野に入れ、両国にまたがる国内外一貫輸送体制の構築を検討するとしている。

JALCOホールディングス<6625>、パチンコホール向け機器の製造子会社SUNTACを経営陣に譲渡
2021/06/24

JALCOホールディングスは、パチンコホール向け機器の開発・製造子会社のSUNTAC(愛知県江南市。売上高5億4800万円、営業利益3670万円、純資産1億300万円)の全株式を、同社社長の中原大輔氏に24日付で譲渡した。JALCOは2020年10月にサン電子の傘下だったSUNTACを子会社化したが、同社業績が製品販売の遅れや管理遊技機の導入時期の延期などで想定より下振れしたことから、グループの既存事業との相乗効果を見いだしにくい状況にあった。譲渡価額は1億390万円。

コロプラ<3668>、位置情報分析コンサルティングサービス「おでかけ研究所」事業をブログウォッチャーに譲渡
2021/06/24

コロプラは、自治体向けを中心とする位置情報分析コンサルティングサービス「おでかけ研究所」事業を、ブログウォッチャー(東京都中央区)に譲渡することを決めた。グループ内の経営資源の再配分の一環。2011年のサービス開始から10年の節目を迎えるのを機に、市場環境の変化を踏まえ、再編の可能性を探っていた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年7月1日。

譲渡先のブログウォッチャーはスマートフォンの位置情報データを活用した「プロファイルパスポート」などを提供している。

Nexus Bank<4764>、SAMURAI証券など金融関連子会社2社を譲渡
2021/06/24

Nexus Bankは、クラウドファンディングのファンド組成・展開を手がけるSAMURAI証券(東京都港区。売上高9430万円、営業利益△1億6700万円、純資産2億9700万円)など金融関連子会社2社を、SAMURAI FINANCIAL HOLDINGS(東京都中央区)に24日付で譲渡した。SAMURAI FINANCIAL HOLDINGSはSAMURAI証券社長の山口慶一氏が代表取締役を務める会社。取得価額は2社合計で12億7700万円。

譲渡したのはSAMURAI証券のほか、不動産担保融資などを行うSAMURAI ASSET FINANCE(東京都港区。売上高1億7000万円、営業利益8410万円、純資産2億8200万円)。Nexus Bankは2017年10月にSAMURAI証券(旧AIP証券)を子会社化する一方、同11月にSAMURAI ASSET FINANCEを設立した。

主に制作初期段階の映画、ドラマ、音楽などのコンテンツについて、投資型クラウドファンディングプラットフォームを活用し、投資家にオンラインを通じてさまざまな投資機会を提供することを想定していた。しかし、当初の出資者であるNexus Bankと投資家への販売を担う対象2社との間で、グループ内の利害関係への配慮が必要となることから、これら課題解決の方策を検討していた。

こうした中、SAMURAI証券の山口社長から対象2社の全株式を取得したいとの提案があったという。

いなげや<8182>、高級スーパーの三浦屋を三菱商事<8058>傘下の丸の内キャピタルに譲渡
2021/06/23

いなげやは、高級スーパーを展開する子会社の三浦屋(東京都杉並区)の全株式を、三菱商事傘下の投資ファンドである丸の内キャピタル(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。中長期的な相乗効果を検討した結果だとしている。三浦屋は東京・多摩地区を中心に8店舗を展開し、2012年にいなげやの傘下に入った。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年8月1日。

丸の内キャピタルへの譲渡に先立ち、三浦屋の製造事業を会社分割して、いなげや子会社のサンフードジャパン(東京都立川市)に移管する。三浦屋は1924年に創業した老舗高級スーパーで、こだわりの商品力で定評がある。スーパー事業のほか、学校給食向け材料卸の外販事業を手がける。

マブチモーター<6592>、医療機器用モーター製造のスイスElectromagを子会社化
2021/06/22

マブチモーターは、医療機器用モーターメーカーのスイスElectromag SA(売上高2540万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。マブチは車載用を中心にモーター事業を展開するが、新領域として健康・医療用途の拡大につなげる狙い。取得価額は非公表。取得予定は7月上旬。

Electromagは2003年設立で、人工呼吸器、歯科治療用ハンドピースなどに特化したブラシレスモーターを製造する。なかでも人工呼吸器用モーターでは世界的メーカーという。

アイティフォー<4743>、企業ブランディングや社内報制作支援を手がける子会社のグラス・ルーツを経営陣に譲渡
2021/06/22

アイティフォーは、企業ブランディングや社内報などの企画制作支援を手がける連結子会社のグラス・ルーツ(東京都港区。純資産1630万円)の全保有株式45%を、同社社長の小野真由美氏に譲渡することを決めた。経営資源の選択と集中の一環。EC(電子商取引)サイト構築パッケージの受注拡大を目的に、2005年にグラス・ルーツを傘下に収めたが、近年は既存事業との相乗効果が限定的になっていたという。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年6月25日。

グラス・ルーツは1984年に設立。現在の持ち株構成はアイティフォー45%、小野社長55%。

イード<6038>、ECショップ用管理システム提供のNHN SAVAWAYを子会社化
2021/06/22

イードは、EC(電子商取引)ショップの管理システム「TEMPOSTAR」を提供するNHN SAVAWAY(東京都港区。売上高4億3200万円、営業利益△1億4400万円、純資産3億5800万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。主力のメディア事業に並ぶ事業の柱としてEC関連事業を育成する方針を打ち出しており、その一環。取得価額は5700万円。取得予定日は2021年7月1日。

NHN SAVAWAYは2004年に創業。主力の「TEMPOSTAR」は商品管理、在庫管理、受注管理といったECショップ運営に不可欠な業務を同一画面で一元的にこなせるシステム。

エルアイイーエイチ<5856>、日本酒製造子会社の越後伝衛門を第三者に譲渡
2021/06/22

エルアイイーエイチは傘下企業を通じて保有する日本酒製造子会社の越後伝衛門(新潟市。売上高5800万円、営業利益△2300万円、純資産4000万円)の全株式を、第三者に譲渡することを決めた。将来的に大きな相乗効果が見込めないと判断したという。譲渡価額は3700万円。譲渡予定日は2021年7月1日。譲渡先は非公表。

エルアイイーエイチは酒類事業に関し、本格焼酎製造の老松酒造(大分県日田市)を子会社として持つ。

Chatwork<4448>、スターティアホールディングス<3393>傘下のスターティアレイズからクラウドストレージ事業を取得
2021/06/22

Chatworkは、スターティアホールディングス傘下のスターティアレイズ(東京都新宿区)が手がけるクラウドストレージ事業を取得することを決めた。対象事業を会社分割して7月1日に設立される新会社「Chatworkストレージテクノロジーズ」(東京都新宿区)の株式51%を取得し、子会社化する形。ビジネス版スーパーアプリの実現に向けたサービス拡張の一環。取得価額は4億5940万円。取得予定日は2021年7月1日。

スターティアレイズは法人向けクラウド型オンラインストレージ「セキュアSAMBA」を主力サービスとする。セキュアSAMBAは2007年にサービスを始め、今年4月時点で3250社以上に導入されている。

オリバー<7959>、国内投資ファンドのインテグラルと組みMBOで株式を非公開化
2021/06/22

オリバーは22日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。国内投資ファンド大手のインテグラル(東京都千代田区)と共同でTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株取得を目指す。買付代金は最大約385億円。オリバーはTOBに賛成意見を表明している。主力事業である業務用家具・インテリアの市場が縮小に向かう中、短期的な業績変更に動じることなく、事業構造改革を進めるためには非公開化で機動的で柔軟な意思決定を可能にする体制が最善だと判断した。TOBが成立すれば、東証1部への上場は廃止される見通し。

TOB主体はインテグラルが設立したNEXT‐O(東京都千代田区)。オリバー株式の買付価格は1株につき3781円で、TOB公表前日の終値2658円に42.25%のプレミアムを加えた。買付予定数は1020万7016株。買付予定数の下限は所有割合60.61%にあたる618万6900株。買付期間は6月23日~8月5日。決済の開始日は8月20日。公開買付代理人はみずほ証券。

オリバーは1967年に、現会長の大川博美氏が富士スチールを設立したのが始まり。オフィスや商業施設で使われる業務用家具・インテリアの大手メーカーに成長した。1987年にオリバーに社名変更し、88年に名証2部に上場。2019年から東証、名証の各1部に上場。

業務用家具・インテリアは建築着工床面積の減退で市場規模が縮小に向かっており、上向きに転じることは見込みにくい状況にあるという。非公開化で中長期的な視点から経営課題への対処を進める。創業者の大川会長はファウンダー最高顧問の肩書で経営会議のメンバーに入る予定。

アイ・オー・データ機器<6916>、デジタル機器販売のエスティトレードを子会社化
2021/06/21

アイ・オー・データ機器は、光ディスクドライブなどデジタル機器を販売するエスティトレード(東京都中央区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。光ディスク関連事業強化の一環。エスティトレードは1985年に電子機器商社として設立した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

名村造船所、傘下の佐世保重工業で実施した希望退職に248人応募
2021/06/18

名村造船所は18日、傘下の佐世保重工業(長崎県佐世保市)で実施した希望退職者募集に248人の応募があったと発表した。佐世保重工業における新造船事業を2022年1月に休止するのに伴う措置で、関連部門や同社子会社の正社員・再雇用社員を対象として約250人をめどに5月6日~21日に募った。退職時期は6月30日~2022年5月31日。

2022年3月期決算に割増退職金や再就職支援にかかる関連費用9億8400万円を特別損失として計上する見込み。

佐世保重工業は今後、艦艇修繕船と機械の両事業に経営資源を集中し、事業再構築を目指す。新造船事業の従業員は艦艇修繕船事業への配置転換や親会社の名村造船所への出向・転籍などを進めるが、全員の再配置先を確保するのは困難として、希望退職者を募ることにした。

日本アジアグループ、旧村上系シティインデックスイレブンスのTOBに「中立」を表明
2021/06/18

日本アジアグループは18日、同社に旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が実施中の再TOB(株式公開買い付け)について、中立とする意見を表明した。TOBへの応募は株主の判断に委ねる。シティが2月から3月にかけて行った前回TOBには反対を表明したが、この時は最終的にシティがTOBを撤回した。

シティは日本アジア株の全株式取得を目的に4月27日から2度目のTOBを実施している。期限は6月29日までで、買付価格は1株960円。シティはこれまで買付期間を2度延長し、買付価格を当初の910円から960年に1度引き上げたが、日本アジアは意見表明を留保していた。

日本アジアは、自社の要望事項を含めた検討課題が前向きに検討されているとしながらも、支配権取得後の経営の不透明性は依然として十分に払拭されていないと指摘。そのうえで、シティとの関係悪化を回避し、今後の経営方針の早期確定というステークホルダー(利害関係者)の要請に応える必要があるとし、「中立」の立場をとることを決定したとしている。

三菱HCキャピタル<8593>、海上コンテナリース大手の米国CAIを1219億円で買収
2021/06/18

三菱HCキャピタルは18日、海上コンテナリース大手の米国CAIインターナショナル(カリフォルニア州。売上高324億円、営業利益164億円、純資産775億円)を買収すると発表した。ニューヨーク証券取引所に上場する同社の全株式を約1219億円(約11億800万ドル)で取得する。持続的な成長が見込める海上コンテナリース事業の競争力を世界規模で高める。CAIは世界第5位。買収完了は2021年7~12月を見込む。

三菱HCキャピタルは旧三菱UFJリース時代の2014年に、海上コンテナリースで現在世界6位の米ビーコン・インターモーダル・リーシング(マサチューセッツ州)を買収した。今回、CAIを傘下に収めることで、コンテナ保有数が世界2位グループの規模となる。

三菱HCキャピタルは今年4月に三菱UFJリースと日立キャピタルが合併して発足。新生・三菱HCキャピタルとして最初の本格的なM&Aとなる。

ツナググループ・ホールディングス<6551>、人材派遣・職業紹介子会社のツナグ・スタッフィングを譲渡
2021/06/18

ツナググループ・ホールディングスは、人材派遣・有料職業紹介など人材サービス子会社のツナグ・スタッフィング(福島県郡山市。売上高13億1000万円、営業利益△6180万円、純資産1億円)の全株式を、個人(菊地元太氏)に譲渡することを決めた。事業の選択と集中の一環。アルバイト・パートに特化した採用代行サービスに経営資源を集中するとともに、人材派遣・職業紹介事業については今後、東名阪エリアを中心に展開する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年6月21日。

ツナググループは2018年1月に東北地区での事業拡充を目的にスタープランニング(現ツナグ・スタッフィング)を傘下に収めた。しかし、昨年来の新型コロナウイルス感染拡大で案件数が減り、収益が悪化していた。

クレスコ<4674>、組み込み型ソフトウエア開発のOECを子会社化
2021/06/17

クレスコは、組み込み型ソフトウエアやファームウエアの受託開発を手がけるOEC(東京都新宿区。売上高18億8000万円、営業利益1億5400万円、純資産6億900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。今後さらに需要拡大が期待される組み込み型ソフトウエア事業の拡大につなげる。OECは1983年に設立し、金融機関向け業務アプリケーション開発でも豊富な実績を持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人<3298>、スポンサーの米インベスコ・グループがTOBを実施して非公開化
2021/06/17

米投資会社のインベスコ・グループは17日、国内不動産投資信託(REIT)のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(IOJ)に対して非公開化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。全投資口の取得を目指しており、買付代金は最大2002億円。IOJを巡っては米投資会社のスターウッド・キャピタル・グループによる敵対的TOBが不成立となったが、IOJは投資法人のスポンサーである米インベスコ・グループに対抗TOBをかねて要請していた。IOJはTOBに賛同している。

TOB主体はインベスコ・グループ傘下のIRE IOJ(東京都港区)とMAR IOJ(同)。買付価格は投資口1口につき2万2750円で、TOB公表前日の終値2万2530円に0.98%のプレミアムを加えた。買付予定数は880万2650口。買付予定数の下限は所有割合54.1%にあたる476万1794口で、上限は設けていない。買付期間は6月18日~7月27日。決済の開始日は8月3日。公開買付代理人はSMBC日興証券。

IOJは都内を地盤にオフィスビルを中心に投資物件を持ち、東証REITに2014年に上場した。

米スターウッド、インベスコ投資法人へのTOBが不成立に終わる
2021/06/16

米投資会社のスターウッド・キャピタル・グループは16日、不動産投資信託(REIT)のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人に実施したTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わったと発表した。買付予定数の下限としていた387万7247口に対し、応募口数は34万8000口余りにとどまった。インベスコをめぐっては国内REITとして初の敵対的TOBに発展したことで、その成否が注目されていた。

TOB主体はスターウッド傘下の101投資事業有限責任組合(東京都港区)など5者。4月7日にインベスコの全発行済み投資口の取得を目的に1口2万円で買い付けを始め、当初想定された買付代金は最大1665億円だった。インベスコ側は5月6日にTOBに反対意見を表明した。

スターウッド側は投資口1口あたりの買付価格を2度引き上げて2万2500円とし、買付期間も6月15日まで延長していた。一方、買付予定数の下限はTOB成立の確度を高めるため2度変更し、387万7247口(既保有分と合わせて所有割合50.00%の水準)まで引き下げていた。

インベスコはスターウッドの敵対的TOBを受け、インベスコのグループ企業に対して対抗TOBを要請していた。

AGC<5201>、北米建築用ガラス事業を米カーディナルに譲渡
2021/06/15

AGCは15日、北米建築用ガラス事業を住宅向け窓・ドア用ガラスメーカーの米カーディナル(ミネソタ州)に4億5000万ドル(約495億円)で売却すると発表した。7月中に売却完了の見通し。資産効率の改善の一環。AGCは1988年にAFGインダストリーズ(1992年に子会社化、現AGC Flat North America)に資本参加したのに伴い、北米での建築用ガラス事業に参入したが、近年は収益力の立て直しが課題となっていた。

AGCの北米建築用ガラス事業の直近業績は売上高281億円、営業利益11億円。テネシー州、カンザス州、バージニア州に製造拠点を持つ。約250億円の譲渡益を見込む。

ブリヂストン<5108>、合成ゴム製造の中国子会社を台湾LCY CHEMICALに譲渡
2021/06/15

ブリヂストンは、乗用車用タイヤ向けに合成ゴムを製造する中国子会社の普利司通(恵州)合成橡胶有限公司(広東省。売上高68億4000万円、営業利益4億8000万円、純資産8億600万円)の全株式を、素材・化学メーカーの台湾LCY CHEMICAL CORP.(台北)に譲渡することを決めた。原材料内製からタイヤ開発、製造、販売、サービスまでを一貫して行う垂直統合を推進してきたが、タイヤ事業を取り巻く環境変化に迅速に対応するため、事業再編を進めており、その一環。譲渡価額は非公表。2021年12月14日までに譲渡完了を見込む。

LeTech<3497>、住宅型有料老人ホームなどの介護事業をニチイ学館に譲渡
2021/06/14

LeTechは、介護事業を会社分割して設立した西日本ヘルスケア(大阪市)の全株式を、介護大手のニチイ学館(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。経営資源の最適配置の一環。中核とする不動産オーナー向けプラットフォーム事業などとの相乗効果が見込みづらいと判断した。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年7月1日。

具体的な譲渡対象は京都府と大阪府で展開する住宅型有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅など合計7施設。

小僧寿し<9973>、アスラポートから「とり鉄」「とりでん」のFC事業を取得
2021/06/14

小僧寿しは、焼き鳥と鳥料理の居酒屋「とり鉄」などを運営するアスラポート(東京都中央区)が会社分割して新設するTlanseair(東京都中央区)を買収することを決めた。アスラポートを引受先とする第三者割当増資を実施し、現金の代わりにアスラポートが保有するTlanseairの全株式を現物出資の形で取得する。取得価額は3億8100万円。取得予定日は2021年7月1日。

アスラポートは「とり鉄」、釜飯と串焼きの「とりでん」など外食・居酒屋業態を中心にフランチャイズ(FC)展開する。小僧寿しが傘下に収めるTlanseairはアスラポートが7月1日付で会社分割により設立する新会社で、「とり鉄」などのフランチャイザー(チェーンの本部)として当面、出店店舗数は73店舗が予定されている。

Tlanseairが継承する事業の直近業績などは売上高12億4000万円、営業赤字1億1900万円、純資産3億6900万円

鳥料理、お寿司を主軸とした業態の開発や、イートイン、テイクアウト、デリバリーといった多様な商品提供方法の確立により多層的な収益力を備えた業態づくりにつなげる。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

事業承継に関する企業の意識調査(2021年6月公開分)

 

 

◇事業承継に関する企業の意識調査(2021年5月)

3社に2社は事業承継を『経営上の問題』と認識
~ 円滑な事業承継、現代表と後継者の意識共有が最重要 ~

 

新型コロナウイルスの影響拡大により倒産のみならず休廃業の増加も懸念されるなか、その回避策としての事業承継が今まで以上に注目されている。また、政府は若い世代における事業承継の気運醸成や、世代交代にともなう中小企業の成長を促進する施策のほか、税制面の優遇措置や第三者承継の促進など、事業承継への支援体制を強化している。

そこで、帝国データバンクは、事業承継に関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年5月調査とともに行った。

 

■調査期間は2021年5月18日~31日、調査対象は全国2万3,724社で、有効回答企業数は1万1,242社(回答率47.4%)。なお、事業承継に関する調査は、2017年10月、2020年8月に続き、今回で3回目
■本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している

 

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[M&A事業承継の専門家によるコラム]

第5回:相手先の発掘や、手続きなどの支援を受けるため相談先

 

中小零細企業経営者や経営者をサポートする専門家の方が抱えるM&Aや事業承継に関するお悩みを、中小零細企業のM&A支援・事業計画支援を専門で行っている株式会社N総合会計コンサルティングの平野栄二氏にアドバイスいただきます。

 

〈解説〉

株式会社N総合会計コンサルティング

平野栄二

 

 

 

「私(K氏)は現在75歳です。従業員5人の製造業を経営しています。業績は現在芳しくなく、売上も減少傾向です。後継者候補は現在存在していません。そこで、ここ数年、検討することを躊躇していましたが、そろそろ後継者を選んで、経営の引き継ぎをしたいと考えいてます。第三者に承継(M&A)を行う場合、相手先の発掘や、手続きなどの支援を受けるためには、誰に相談すればよろしいでしょうか。」

 

 


 

平野:M&Aは、専門的な知識や経験が必要となる場合が多く、M&Aの専門家に相談を行うことが望ましいと考えます。どのような相談機関があるのかを、ご説明いたします。

 

 

 

1.誰に相談するか?


M&Aのアドバイスをする専門家・事業者は以下の通りに分類できます。それぞれの特徴を記載していますので、参考にしてください。(※参考:中小 M&A ガイドライン(中小企業庁)より)

 

①MA専門業者

専門業者は、譲り渡し側・譲り受け側に対するマッチング支援や、中小M&Aの手続進行に関する総合的な支援を専門に行う民間業者 M&Aを専門的に取り扱う独立系のM&Aブティックや監査法人、弁護士、会計事務所や経営コンサルティング会社を母体する事業者、不動産、リース会社などを母体とする事業者などがある。

 

[仲介者]

譲り渡し側・譲り受け側の双方と契約を締結する。譲り渡し側・譲り受け側の双方の事業内容が分かるため、両当事者の意思疎通が容易となり、中小M&Aの実行に向けて円滑な手続が期待できる。

●譲り渡し側が譲渡額の最大化だけを重視するのではなく、譲り受け側とのコミュニケーションを重視して円滑に手続を進めることを意図する場合などに適している。

●譲り渡し側の事業規模が小さく、支援機関に対して単独で手数料を支払うだけの余力が少ないが、できるだけ支援機関のフルサービスを受けたい場合に適している。

 

[FA(フィナンシャル・アドバイザー)]

譲り渡し側、譲り受け側の一方と契約を締結する。契約者の意向を踏まえ、契約者に対し踏み込んだ助言、指導等を行うことが多い。一方当事者のみと契約を締結しており、契約者の利益に忠実な助言・指導等を期待しやすい。

●譲り渡し側が譲渡額の最大化を特に重視し、厳格な入札方式(最も有利な条件を示した入札者を譲り受け側とする方式)による譲り渡しを希望する場合に適している。

 

[ブローカー]

自らの人脈やネットワークを活用し、マッチングを行い、譲り渡し側と譲り受け側の間、または、譲り渡し、譲り受け側と契約しているFAや仲介者の間に立ち、取引を成立させる事業者をいう。通常、事業者自らブローカーと名乗る事業者は少ない。FAや仲介者のように、直接、譲り渡し側、譲り受け側に対してM&Aの手続きに関する専門的なアドバイスなどの支援は行わないケースが多い。

 

②M&Aプラットフォーマー

M&Aプラットフォーマーとは、M&Aプラットフォームを運営する支援機関をいう。M&Aプラットフォームとは、インターネット上のシステムを活用し、オンラインで譲り渡し側・譲り受け側のマッチングの場を提供するウェブサイトをいう。譲り渡し側・譲り受け側がインターネット上のシステムに登録することで、主にマッチングをはじめとする中小 M&A の手続を低コストで行うことができる。

 

③士業専門家

士業等専門家とは、公認会計士、税理士、中小企業診断士 、弁護士等の資格を有する専門家をいう 。それぞれの専門家としての本来業務から得られた知見を活かす。これら士業等専門家の中には本来業務のほか 、マッチング支援等を行う者もいる。

 

④金融機関

金融機関は、貸付先(与信先)である 顧客の詳細な財務情報等を保有しており、 顧客にとって経営相談等も行う身近な支援機関であり、特に地方においては非常に重要なネットワークを有する存在である。顧客のマッチング候補先を外部に求めるだけでなく、自らの顧客基盤の中からマッチング候補先を抽出できる。

 

士業専門家とM&A事業者の比較

 

 

2.専門家を選択するポイント


●どの分類に属する専門家であったとしても、自らの利益が優先で、適切な支援を行わない悪徳事業者は、残念ながら存在します。

●著名な企業であっても、担当者によって経験不足や、相性が合わない場合もあります。その為、専門家に依頼をする場合は、単に料金や、知名度だけではなく、しっかりと、話し合いを行ったうえで、相性が合って、信頼できる事業者かどうかを、見極めたうえで、選定を行う必要があると思います。

●一度、専門家のオフィスに訪問し、社内の雰囲気や、上司や社長とも面会をして、M&Aに対する考え方などを確かめてみることも重要だと思います。

●基本合意を締結するまでは、一つの事業者と専任契約を締結せず、複数の事業者と提携を行う場合もあります。しかし、あまり過度に複数の事業者と提携しすぎると、専門業者から「出回り案件」として認識されたり、警戒されて、親身なアドバイスを得られない可能性もあります。

●専門家に依頼しない場合も増加していますが、M&Aの場合は、経営、税務、法務、財務、労務など専門的な知識や、交渉・提案のスキルが必要ですので、問題なく成約を進めるため、専門家に依頼することをお薦めします。

 

(良くない専門家の見分け方)

●いかにも自身が公的機関であるかのように振る舞い、DMや電話を行い、近づこうとうする

●候補先があるように見せかけるが、直接、その候補先とのつながりがない

●M&Aの意思を確認していない企業を、いかにも候補先であるように見せかける

●他の案件や、他のアドバイザーの案件を、べらべら話す。(守秘義務を守らない)

●手順を踏まずに成約を急がせる、良く説明もせずに契約書の署名捺印を急がせる

●話が大きい、プラス面しか語らない(自分なら、実際の価格よりも高い価格で譲渡できると煽る)

●言葉の使い方が粗い、やたらと専門用語を使う

 

 

 

3.公的支援機関でも相談を受けられる


[事業引継ぎ支援センター]

経済産業省の委託を受けた機関(都道府県商工会議所、県の財団等)が実施する事業である。具体的には、中小M&Aのマッチング及びマッチング後の支援、従業員承継等に係る支援に加え、事業承継に関連した幅広い相談対応を行っている。センターは、全国48か所(全都道府県に各1か所、ただし東京都は2か所)に設置されている。「事業引継ぎ支援センター」に登録された民間M&A仲介業者、金融機関等を紹介。紹介を受けた登録支援機関が、譲渡企業にマッチした譲受企業を紹介し、マッチング及び譲渡契約成約までを実施する。

 

※第三者による事業引継ぎを支援してきた「事業引継ぎ支援センター」は、おもに親族内承継を支援してきた「事業承継ネットワーク」の機能を統合し、令和3年4月より新たに『事業承継・引継ぎ支援センター』として発足した。

 

[商工団体]

商工会議所、商工会、中小企業団体中央会 、商店街振興組合連合会等といった商工団体 は、地域に根差し、地域における商工業の振興 に向けた取組を行う組織であり、地域の中小企業 における最も身近な相談窓口であり、かつ、中小企業に向けられた公的な支援制度の詳細を最も熟知した支援機関 の1つ である。

 

 

 

4.小規模な事業者が、M&A専門家に依頼するポイント


①引継ぎの方向性をしっかり示す事業者を探す

M&Aは、不動産や物品の売買ではなく、経営理念や、組織文化、技術やノウハウ、従業員や取引先の引き継ぎなど、いわば、会社という「生きもの」を承継します。そのため、単にモノの売買のように、お金だけで、相手先を選んでしまうと、引継ぎが失敗してしまう場合があります。事業の引継ぎの方向性をしっかり示し、自社の存続・成長・発展の提案ができる事業者を選定することが望ましいです。

 

負担できる料金で、支援を受けられる事業者を探す

小規模事業者や業績が厳しい企業など、株式評価額が低い企業は、M&A事業者の最低報酬額が500万円を超えるような場合、報酬額の負担が重く、依頼が困難なケースが多いです。その場合、比較的小規模な企業を専門に行っているM&A事業者を選定することが望ましいです。

 

じっくりと意思決定ができる事業者を探す

事業者の状況では、早急にM&Aを実行しなければないケースもあるが、事業者によっては、自社の利益を優先し、成約を急かす事業者も見受けられます。事業の引き継ぎが円滑に進めていける候補先を選定しないと、後でトラブルになる場合もあるので、納得ができる助言をもらえる事業者を選定することです。

 

 

 

5.成功事例 ~小規模事業者が専門家に依頼する場合~


学習塾の場合 個人事業 年商1千万円 従業員10名(ほとんどがアルバイト社員)

 

ある地方都市の駅前のビルの一室を借りて、単独で学習塾を経営していた経営者が、自ら講師として現場に入りながら、日々の資金繰りや人材の確保などの業務で多忙を極め、体調が悪化されました。そこで、いったん経営から離れ、療養するために、M&Aを行うことを決意されました。まずは、M&Aのプラットフォーマーに登録し、その後、そのプラットフォーマーからの紹介で、専門家に依頼をされました。

 

一般的なM&Aの事業者の報酬体系では、負担できない財務状況でしたので、支援する内容を絞り込み、かつ、月々報酬を支払うことで、費用負担の軽減を行いました。そして、依頼後6か月で、相手先の発掘ができなければ、解約するような契約を結び支援を受けることになりました。専門家は、譲り受け先の探索では、プラットフォームからの情報以外にも、近隣地域数十社にDMを発送したり、直接電話でアポをとって訪問するなどの探索活動を行いました。苦労の結果、晴れて地元の学習塾の譲受先が見つかり、交渉の末、無事成約を行うことができました。

 

(成功のポイント) 

1)依頼者の負担能力にあった報酬体系で支援を受けることができたこと。

→柔軟な料金体系で支援してもらえる、小規模事業者を専門とする支援者を探すこと。

 

2)依頼者の経営者が誠実な人柄で、支援者との協力関係が構築できたこと。

→支援する側(専門家)にとっては、依頼者が必要な資料の提供などの協力を得られない場合は、報酬が低価格なので支援ができない。また、M&Aを行う上でのリスクも、依頼者が負うことを了承してもらう必要がある。しかし、本事例では、相互の信頼関係のもと、依頼者と支援者が二人三脚で、進めていくことができた。

 

3)お金よりも、あくまでも経営の承継を行うという目的を最優先したこと。

→譲渡価額については、希望価格が高いと、交渉が進まないので、高くを望まなかったことも、早期のⅯ&Aが実現できた要因であった。

 

[解説ニュース]

iDeCo(個人型確定拠出年金) ~節税効果を解説~

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田 房枝/税理士)

 

 

[関連解説]

■住宅取得等資金の贈与の非課税制度 コロナ禍の影響で入居等が遅れた場合

■令和3年度税制改正:住宅ローン控除の拡充

 

1. はじめに


iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、個人で任意に加入できる私的年金制度です。コロナ禍でも堅調にその加入者数を増やしており、加入者数は過去5年間で約7.5倍に増加しています。老後生活資金の不安を懸念する声が聞かれる昨今ですが、iDeCoをうまく活用すれば、税制優遇措置の恩恵を受けつつ老後の生活資金を効率よく蓄えられる可能性があります。

 

本稿では、iDeCo最大のメリットとも言われる税制優遇措置を中心に、具体例を用いて解説します。

 

 

 

2.制度概要


(1)掛金の拠出・商品の運用

加入者※1が、運営管理機関※2や運用商品※3を選び、掛金※4を拠出します。運用益(利息や分配金等)は再投資に充てられ、資産は原則として60歳になるまで引き出すことができません。

 

※1 企業型確定拠出年金の加入者等は加入できない場合がある。ただし、2022年10月からはほぼ誰でも利用できるように制度改正が予定されている。
※2 iDeCoを取り扱う証券会社や銀行等の金融機関のこと。本稿執筆日現在、約160社あり、その中から1社だけ選ぶ。運営管理機関によってサービスや手数料が異なる。
※3 各社、3~35銘柄程度の厳選された商品(「元本確保型」の商品(定期預金・保険)と「元本変動型」の商品(投資信託))がある。運用商品によって信託報酬が異なる。
※4 拠出額には上限がある。例えば、自営業者は月額6.8万円、企業年金のない会社に勤務する会社員や専業主婦(夫)は月額2.3万円、公務員は月額1.2万円が上限。

 

(2)老齢給付金の受給

原則として60歳以降に、その運用結果に基づいた老齢給付金を一時金又は年金(分割)で受け取ります。

 

 

 

3.個人の税務上の取扱い(所得税・住民税)


(1)掛金の拠出時

加入者が拠出する掛金は、所得税・住民税の計算上、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。すなわち、拠出期間にわたり、毎年「その年の拠出額×税率※」相当額の節税効果があります。

 

※所得税は課税所得金額に応じて5~45%、住民税は10%。

 

(2)商品の運用時

金融商品の運用益は、通常は所得税及び住民税の課税対象(多くは源泉分離課税20%※)ですが、iDeCoの運用商品から生じた運用益は、非課税となります。すなわち、運用期間にわたり、毎年「その年の運用益×20%」相当額の節税効果があります。

 

※ 2037年までは復興特別所得税も課税されるため20.315%。

 

(3)老齢給付金の受給時

①一時金で受給する場合
次の算式により計算した金額が、退職所得として、他の所得とは分離して課税されます。

 

退職所得の金額 =(勤務先からの退職一時金等の額 + iDeCoの一時金の額- 退職所得控除額)× 1/2

 

②年金で受給する場合
次の算式により計算した金額が、雑所得として、課税されます。 

雑所得の金額 = 公的年金等の年金額 + iDeCoの年金額 - 公的年金等控除額

 

 

 

4. 具体例


(1)前提

30歳の会社員が30年間、毎月2万円の掛金をiDeCoに拠出し、年利3%で運用できたとします。

 

(2)運用結果・節税効果(1万円未満切捨てにて表示)

上記(1)の前提に基づく、60歳の時点での運用資産総額は約1,168万円(元本約720万円+運用益約448万円)、節税効果は次のとおりです。

 

※課税所得金額に応じた所得税の適用税率は20%とし、復興特別所得税及び老齢給付金の受給時は考慮外とします。

 

(3) iDeCoの活用有無による財産額の差

毎月2万円を30年間運用する場合、iDeCoの活用の有無により、財産額に次のような差が生じます。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/06/14)より転載

[M&Aニュース](2021年5月31日〜2021年6月11日)

◇さくらさくプラス<7097>、学習塾のVAMOSを子会社化、◇綿半ホールディングス<3199>、木造住宅のフランチャイズ事業を展開する夢ハウスを子会社化、◇レイズネクスト<6379>、サービスステーション工務事業をENEOSトレーディングに譲渡、◇デンタス<6174>、イオン歯ブラシ開発・製造のアイオニックを子会社化、◇フリー<4478>、記帳アプリ「Taxnote」提供のノンモを子会社化、◇理研ビタミン<4526>、冷凍野菜・水産加工品製造の中国子会社「青島福生食品」を現地社に譲渡、◇ロート製薬<4527>、痔治療薬「ボラギノール」の天藤製薬を子会社化、◇中京銀行、希望退職者を募集 地銀として今年初、◇スペースマーケット<4487>、空き家・空きテナントなど対象にレンタルスペースの企画・運営を手がけるスペースモールを子会社化、◇アステラス製薬、早期退職を募集 450人程度、◇東京センチュリー<8439>、中小型トラック・樹木整備機器販売の米国Work Truck Directを子会社化、◇きんでん<1944>、フジクラ<5803>傘下で電気・通信工事のフジクラエンジニアリングを子会社化 ほか

 

 

さくらさくプラス<7097>、学習塾のVAMOSを子会社化
2021/06/11

さくらさくプラスは都内3カ所で中学受験向けの学習塾を展開するVAMOS(東京都武蔵野市。売上高1億8653万1000円、営業利益1780万6000円、純資産2400万8000円)の全株式を取得し、子会社化すると発表した。

さくらさくプラスは都内を中心に73の保育所を運営をしており、今回の買収で保育園から中学受験までを一貫してサポートする体制づくりを狙う。取得価額は1億7200万円。取得予定日は2021年6月11日。

綿半ホールディングス<3199>、木造住宅のフランチャイズ事業を展開する夢ハウスを子会社化
2021/06/10

綿半ホールディングスは、木造住宅のフランチャイズ事業を手がける夢ハウス(新潟県聖籠町。売上高137億円、営業利益2億2600万円、純資産29億8000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。綿半HDはグループ内で木造住宅のフランチャイズ事業を展開している。夢ハウスを傘下に取り込み、両社の経営資源や天然無垢材の仕入調達力を相互活用することで事業拡大につなげる。取得価額は27億1800万円。取得日は2021年7月15日をめどとする。

夢ハウスは1996年設立で、加盟店は全国で約400社。山林の育成から製材、乾燥、プレカット、施工にいたる全工程を自社で手がける一貫体制を確立し、新潟県内に3つの加工工場を持つ。

レイズネクスト<6379>、サービスステーション工務事業をENEOSトレーディングに譲渡
2021/06/10

レイズネクストは、ENEOS給油所向けに展開するサービスステーション(SS)工務事業を会社分割により、ENEOSトレーディング(東京都中央区)に譲渡することを決めた。ENEOS側から給油所の建設・補修などに関する工務業務を内製化・効率化するため、事業移管の申し入れがあったという。当該事業の直近売上高12億5000万円。譲渡価額は2億1500万円。譲渡予定日は2021年10月1日。

譲渡先のENEOSトレーディングはENEOS給油所向け商品・サービスや機器の販売を手がけている。

デンタス<6174>、イオン歯ブラシ開発・製造のアイオニックを子会社化
2021/06/10

デンタスは傘下企業を通じて、オーラル(口腔)ケア製品を開発・製造するアイオニック(千葉県流山市。売上高7億円2100万円、営業利益1900万円、純資産4億6400万円)の株式76.9%を取得し、子会社化することを決めた。デンタスは歯科技工物(補綴物)の製作を主力とするが、歯科関連で新規ビジネスを模索していた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月28日。

アイオニックは1977年設立。イオンの効果で歯垢を落とすイオン歯ブラシを手がけ、中国、韓国、タイ、米国、欧州にも進出している。

デンタスは歯科技工物製作のシケン(徳島県小松島市)と共同出資(持ち株比率はデンタス76.9%、シケン23.1%)で設立した投資目的会社DSソリューション(東京都品川区)を通じてアイオニック株式を取得する。DSソリューションはアイオニックの全株式を取得した後、自身を消滅会社とする合併を行う予定。

フリー<4478>、記帳アプリ「Taxnote」提供のノンモを子会社化
2021/06/09

フリーは、記帳アプリ「Taxnote」を開発・提供するノンモ(大阪府富田林市。売上高3800万円、営業利益1400万円、純資産3200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。モバイルでのスモールビジネス向け会計サービスを充実させる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

ノンモが展開する「Taxnote」はスモールビジネスの帳簿作成を簡単に行えるサービス。フリーはノンモを子会社化後、8月10日付で吸収合併する。

理研ビタミン<4526>、冷凍野菜・水産加工品製造の中国子会社「青島福生食品」を現地社に譲渡
2021/06/08

理研ビタミンは、冷凍野菜や水産加工品を製造・販売する中国子会社の青島福生食品有限公司(山東省。売上高39億1000万円、営業利益△37億9000万円、純資産△160億円)の全持ち分を、青島農邦農副産品有限公司(山東省)に譲渡することを決めた。青島福生食品の業績悪化と不適切会計問題を契機に、グループ内での同社の位置づけを検討してきたが、収益改善や事業面の相乗効果が見込めないと判断した。譲渡価額は1人民元(約17.2円)。譲渡は2021年6月下旬を予定。

持ち分譲渡の一環として青島福生食品に対する貸付債権の約53億円を放棄する。同時に、譲渡相手の青島農邦農副産品が青島福生食品に10億3000万円余りを貸し付け、これを青島福生食品が債務弁済にあてることで、理研ビタミンは同額相当を債権回収することとなる。

理研ビタミンは1994年に当時中国の国営企業だった青島福生食品を傘下に収めた。しかし、近年は中国国内での人件費高騰や債権の回収遅延による貸倒引当金計上などで業績が悪化していた。

ロート製薬<4527>、痔治療薬「ボラギノール」の天藤製薬を子会社化
2021/06/08

ロート製薬は、痔の治療薬「ボラギノール」を展開する天藤製薬(大阪府豊中市。売上高58億6000万円)の株式67.19%を取得し、子会社化することを決めた。OTC(一般用医薬品)領域の事業拡大が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年8月31日。

天藤製薬のルーツは江戸時代後期。天藤薬化学研究所として設立された1921(大正10)年に痔の治療薬「ボラギノール」を発売し、1950年に現天藤製薬に改組した。医療用医薬品、OTCでそれぞれ痔の治療薬を展開し、業界をリードしてきた。

中京銀行、希望退職者を募集 地銀として今年初
2021/06/07

中京銀行は7日、希望退職者を募ると発表した。一般職と45歳以上の総合職を対象(関連会社以外への出向者らは除く)とし、人数を定めず、8月2日~20日に募集する。マイナス金利の長期化や貸出金利の低下、金融業務のデジタル化の進展など経営環境が厳しさを増す中、店舗の統廃合や業務の削減による組織・人員体制の見直しなどの構造改革を進めており、その一環。

今年に入り、上場企業による希望退職者募集の発表は約25社に上るが、地方銀行として初めてとなる。経営責任を明確にするため、会長、頭取の月額報酬を7月から12月までの6カ月間それぞれ20%減額する。

退職日は協議のうえで個別に設定する。所定の退職金に割増退職金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

スペースマーケット<4487>、空き家・空きテナントなど対象にレンタルスペースの企画・運営を手がけるスペースモールを子会社化
2021/06/07

スペースマーケットは、空き家、空きテナントなどの遊休不動産を対象にレンタルスペースの設計企画・運営や運営代行を手がけるスペースモール(東京都江東区。売上高1億3500万円、営業利益184万円、純資産257万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。スペースマーケットは1万5000件以上のスペース情報を掲載する専用サイトを構築している。スペースモールが培ってきたレンタルスペース運営のノウハウを取り込み、個人・法人や自治体などが所有する遊休資産の活用促進につなげる。

取得価額は1億8030万円。取得予定日は2021年7月1日。

アステラス製薬、早期退職を募集 450人程度
2021/06/03

アステラス製薬は3日、早期退職優遇制度を導入すると発表した。想定対象人数は450人程度で、退職日は12月末日。アステラス製薬本体のほか、医薬品などの製造会社であるアステラスファーマテック(東京都中央区)、グループ内で障がい者雇用を担うアステラスグリーンサプライ(同)の子会社2社を対象とする。5月末に発表した「経営計画2021」(2021年度~25年度)の実行に必要な組織、人員体制の見直しを行った結果だとしている。

早期退職を実施するのは2018年度以来3年ぶりで、前回は600人程度の募集に対して約700人が応募した。

東京センチュリー<8439>、中小型トラック・樹木整備機器販売の米国Work Truck Directを子会社化
2021/06/03

東京センチュリーは米国子会社を通じて、Eコマース(電子商取引)向け中小型トラックと樹木整備機器を販売する現地Work Truck Direct, Inc. (オレゴン州)の全株式を取得し、子会社化した。繁忙期における中小型トラック・樹木整備機器の短期利用ニーズに応える新サービスを拡充するなど、ニッチマーケットの輸送需要を取り込むのが狙い。取得価額、取得日は非公表。

東京センチュリーは2019年に中小型トラックや樹木整備機器を中心に取り扱う独立系リース・ファイナンス会社のAP Equipment Financingを傘下に収めたが、APがかねて Work Truck Directと業務提携関係にあった。例えば、樹木整備機器は、森林面積の大きい米国で林野火災防止・環境保護に重要な役割を果たしている。

きんでん<1944>、フジクラ<5803>傘下で電気・通信工事のフジクラエンジニアリングを子会社化
2021/06/02

きんでんは、フジクラ傘下で電気・通信工事を手がけるフジクラエンジニアリング(東京都江東区)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。今後成長が期待される再生可能エネルギー関連工事や次世代情報通信関連工事で、両社の経営資源の相互補完・共有を図る。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

幸楽苑ホールディングス、希望退職に48人応募
2021/06/01

ラーメンチェーン大手の幸楽苑ホールディングスは1日、希望退職に48人の応募があったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化を受け、40歳以上で5年以上勤務の正社員を対象に50人程度を5月19日~30日に募った(退職日は6月30日)。全正社員の約6%にあたり、人員の適正化と年齢構成の調整が狙い。

同社の2021年3月期業績は売上高30%減の265億円、営業赤字17億2900万円(前期は6億6000万円の黒字)、最終赤字8億4100万円(同6億7700万円の赤字)。最終赤字は2年連続だった。

米スターウッド、インベスコ投資法人へのTOB価格を2万2500円に引き上げ
2021/06/01

米投資会社のスターウッド・キャピタル・グループは1日、不動産投資信託(REIT)のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人に対して実施中のTOB(株式公開買い付け)について、投資口1口あたりの買付価格を2万1750円から750円引き上げて2万2500円にすると発表した。買付価格の引き上げは2度目。インベスコ株式の同日の終値は前日比290円高の2万2800円。

一方、買付予定数の下限は434万1133口から387万7247口に引き下げ、公開買付者の既保有分と合わせて所有割合50.00%(従来は55.27%)の水準に変更した。買付予定数の下限を引き下げるのは2度目。

TOB主体はスターウッド傘下の101投資事業有限責任組合(東京都港区)など5者。4月7日にインベスコの全発行済み投資口の取得を目的に1口2万円で買い付けを始め、当初想定された買付代金は最大1665億円だった。しかし、インベスコ側が5月6日にTOBに反対意見を表明したことで、国内REITとして初の敵対的TOBに発展した。

買付期間はすでに1度延長し、現在の期限は6月15日。

日本管理センター<3276>、賃貸住宅管理のシンエイなど2社を子会社化
2021/06/01

日本管理センターは、賃貸住宅の受託管理を手がけるシンエイ(東京都立川市。売上高48億円、営業利益1億3500万円、純資産27億1000万円)とシンエイエステート(同。売上高1億6300万円、営業利益8850万円、純資産6億9800万円)の2社の全株式を取得し、子会社化することを決めた。首都圏エリアでの事業拡大につなげる。取得価額は27億円。取得予定日は2021年7月20日。

シンエイとシンエイエステートは過半の株式を持つ筆頭株主が同じで兄弟関係にある。東京・多摩地区を中心に東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で9000戸を超える賃貸住宅を管理する。設立はシンエイが1969年、シンエイエステートが1984年と業歴も長い。

日本管理センターはグループで展開するリフォーム事業、滞納保証事業、保険事業を提供することで、対象2社の収益性向上や業務効率化といった相乗効果を見込む。

ガイアックス<3775>、SNSマーケティングのGENIC LABを子会社化
2021/06/01

ガイアックスは、SNSマーケティング企業のGENIC LAB(東京都渋谷区)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。ガイアックスが強みとするデータ分析・戦略設計にGENIC LABの画像コンテンツ制作力を取り込み、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)マーケティング領域での事業拡大につなげる。取得価額は非公表。

PR TIMES、本社を赤坂インターシティに移転|2022年2月
2021/05/31

プレスリリース配信サービスのPR TIMESは31日、都内にある本社を現在の港区南青山から港区赤坂の「赤坂インターシティ」内に2022年2月に移転すると発表した。分散しているオフィスを集約すると同時に、今後の事業拡大に備えるのが狙い。

同社は2005年にキジネタコムとして設立し、2007年に現社名に変更。現在の本社には2016年に移転したが、手狭になっていた。プレスリリース配信サービス「PR TIMES」の利用企業数は今年2月に5万社を突破した。

キャリアインデックス<6538>、Web面接専用システム提供のマージナルを子会社化
2021/05/31

キャリアインデックスは、Web面接専用システム「BioGraph」を提供するマージナル(広島市。売上高7240万円、営業利益185万円、純資産387万円)を株式交換で子会社化することを決めた。人材領域におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環。「BioGraph」は遠隔地での面接を効率化でき、新型コロナウイルス感染拡大で直接会って行う面接が難しい状況の中で需要拡大が見込める。株式交換予定日は2021年8月1日。

株式交換比率はキャリアインデックス1:マージナル147.076。マージナル1株にキャリアインデックスの147.076株を割り当てる。

ブイキューブ<3681>、イベントDX事業拡大へ米Xyvidを子会社化
2021/05/31

ブイキューブは、ウェビナー関連のシステム開発や配信を手がける米Xyvid Inc.(売上高5億8900万円、営業利益1億7900万円、純資産1億6700万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。大規模会議やセミナー、催事などをオンライン化したイベントDX(デジタルトランスフォーメーション)事業の成長加速が狙い。取得価額は約16億5000万円。2022年12月期までの2事業年度の業績の達成度合いに応じて17億500万円から最大で42億9000万円が追加で支払われる。取得予定日は2021年6月3日。

ブイキューブは日本で急成長するイベントDX事業の海外での成長可能性を検討してきた。今後、米国やシンガポールなどの先進国で大きな需要が見込まれると判断、米国の有力企業Xyvidと組むことにした。

H.U.グループホールディングス<4544>、子会社「富士レビオ」のラジオイムノアッセイ製品の一部事業をヤマサ醤油に譲渡
2021/05/31

H.U.グループホールディングスは傘下企業の富士レビオ(東京都新宿区)が手がけるラジオイムノアッセイ(RIA、放射性同位元素を用いた免疫学的測定法の総称)製品の製造販売事業の一部を、ヤマサ醤油(千葉県銚子市)に譲渡することを決めた。選択と集中の一環。具体的な譲渡対象事業は今後協議して決める。譲渡価額は非公表。譲渡時期は今秋以降となる見通し。

ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>、傘下の栄川酒造をスーパー経営のリオン・ドールコーポレーションに譲渡
2021/05/31

ヨシムラ・フード・ホールディングスは、全額出資子会社で日本酒製造の栄川酒造(福島県会津若松市。売上高3億8500万円、営業利益△5900万円、純資産4700万円)を、スーパーマーケット運営のリオン・ドールコーポレーション(福島県会津若松市)に譲渡することを決めた。栄川酒造がリオンを割当先とする1億8000万円の第三者割当増資を2021日6月14日付で実施する。これにより、栄川酒造への持ち株比率はリオン81%、ヨシムラ19%となる。栄川酒造は増資で調達した資金をもとに新たにウイスキー事業を始める。

ヨシムラが2016年に子会社化した栄川酒造は約150年の業歴を持ち、主力の「榮川」は福島県の日本酒を代表するトップブランドの一つ。ただ、日本酒市場は嗜好の多様化や若者のアルコール離れなどで縮小傾向にある。一方、新規参入するウイスキー市場は「ハイボール」を中心とした需要の高まりで活況が続いている。

譲渡先のリオンは福島県、新潟県、栃木県で計67店舗のスーパーを展開する。栄川酒造が製造する日本酒をリオンの店舗で販売するほか、ウイスキー製造に必要な設備投資を行う予定。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[中小企業のM&A・事業承継 Q&A解説]

第7回:M&Aにおける売却価格は

~企業価値や売却価格の算定のポイントは? 会社を高く売却するためには?~

 

[解説]

上原久和(公認会計士)

 

 

 

 


[質問(Q)]

M&Aで会社売却を意思決定するにあたり、企業価値や売却価格の算定ポイントが知りたいです。また、実際に会社を高く売却するためにはどのようにすればよいのでしょうか。

 

 

[回答(A)]

M&Aの企業価値並びに売買価格は譲渡側と譲受側の交渉によって決定されます。ただし、交渉にあたっての売却価格には一般的にはいくつかの算定方式があり、その間の範囲で決まることが一般的です。特に中小企業で用いられものとして以下の算定方法があります。

 

① 資産・負債を基礎に算定(時価純資産法、年買法)
② 収益を基礎に算定(収益還元法)
③ キャッシュフローを基礎に算定(DCF法)
等が一般的です。

 

実際に高い価格で売却するためには、これらの算定で株価が高くなるように財務内容を改善し、かつ収益性の向上に努める必要があります。

 

 

1.資産・負債を基礎に算定(時価純資産法、年買法)


対象会社の資産・負債を時価で評価し直した後の純資産額を株主価値として評価する方法です(時価純資産法)。このためバブル期などに取得した土地やゴルフ会員権などは簿価上の金額より低下するケースが多いことに留意する必要があります。また、売掛金や在庫の金額も同様に時価にすると、回収見込みのない売掛金や販売見込みのない在庫などが評価減されることにより評価額が低下する可能性があります。

 

なお、中小企業のM&A時の評価としては、単純に時価純資産額をベースとすることもあれば、これに「のれん」として営業利益又は経常利益の数年分を加算して評価額とする算定方法も使われています(年買法)。この時に用いられる営業利益や経常利益については、過大な役員報酬や役員保険などを調整した正常収益力に調整して利益を加算することに留意が必要です。他の算定方法と比較すると算定が容易で、わかりやすいという特徴があります。

 

 

 

2.収益を基礎に算定(収益還元法)


将来の獲得が見込まれる収益(税引後利益)を資本還元率で割り戻して株価を算定する方法で、DCF法の簡易版的な計算方法です。ここで用いられる資本還元率は、一般には資本コストと呼ばれるもので、個々の会社の事業の個別リスク(危険率)などを加味して算定されます。

 

留意点とすれば、将来見込まれる収益算定がDCF法より精度が落ちるという点と、見積もり的な要素が強く恣意性が入りやすいという弱点があります。

 

 

3.キャッシュフローを基礎に算定(DCF法)


キャッシュフローを基礎に株価を算定する代表として、DCF(Discounted Cash Flow)法があります。DCF法とは、対象会社が将来獲得すると予想されるフリーキャッシュフロー(FCF)を株主資本コストと負債コストの加重平均である加重平均コスト(WACC)で現在価値に割り引いて「事業価値」を算定する方法です。

 

なお、「事業価値」から「株主価値(株価)」を算定するためには、事業価値に非事業資産を加算し、負債を控除しなければなりません。このDCF法についても将来利益(将来事業計画)をベースに将来キャッシュフローを算定するため、見積もり的な要素が強いという弱点があります。

 

なお、フリーキャッシュフローと収益の大きな相違点としては、減価償却費がキャッシュフローには含まれていますが収益には含まれていません。また、年度の設備投資などがフリーキャッシュフローでは控除されている点が相違しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[新型コロナウイルスに関するM&A・事業再生の専門家の視点]

コロナ融資の返済が難しい場合の対応

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:コロナ禍における飲食店の事業再生の現状

▷関連記事:新型コロナ特例リスケジュールの実務について

▷関連記事:法的整理と私的整理の比較

 

 

 

 

2020年の4月頃から新型コロナウイルス感染症特別貸付等(以下、コロナ関連融資)を多くの企業が借り入れました。返済期間や返済猶予期間は企業によって様々ですが、借入後1年から3年の返済猶予となっているケースが多く、早い会社では2021年の4月頃より返済が始まっています。

 

コロナ関連融資は国の制度として多額の予算をもって行われたため、通常の融資よりも借りやすく、通常の融資であれば断られる企業であっても借りることができました。通常銀行は、借入をする企業の返済能力を総合的に判断して貸し付けますが、通常の融資の場合はこれ以上の借入は難しいと判断されるような企業にもコロナ融資であれば貸し付けています。

 

企業側から見ると、返済能力以上の借入をしたということになります。既往の借入金に加え、コロナ関連融資を加えた返済を行う必要があります。

 

コロナ融資を借りた時は、緊急事態宣言等もあり、借りなければ立ち行かなくなるような状況の企業が多かったと思います。そして、1年後の返済開始のタイミングとなって、業績がコロナ前と同等かそれ以上となっている企業はありますが、まだまだ多くないのが現状です。コロナ前では既存の借入金の返済で精いっぱいだった企業にとっては、業績がコロナ前よりもよくなっていないとコロナ融資の返済まで資金が回りません。

 

つまり、下記の企業はコロナ融資の返済ができないのです。

 

①コロナ前から業績が芳しくなく、コロナ融資を借りたが、業績はコロナ前と比べて改善していない。

②コロナで業績が厳しくなり、コロナ融資を借りたが、コロナが収束せず業績はコロナ前にまで戻っておらず、既往の借入の返済で手一杯。

 

 

返済ができない場合に、取ってほしくない行動は、社保や税金の延滞、仕入先への支払いの延滞、給料の未払等です。これらを行うと、このQ&Aでは詳細は割愛しますが、最悪の場合、会社の存続が難しくなる可能性があるためです。

 

返済ができなくなった場合は、身近なコンサル、金融機関、再生支援協議会等に相談しましょう。返済の猶予(リスケ)や、返済の免除、新たな借入などを行える場合があります。従来では、リスケを実施することも大変な労力が必要でしたが、コロナ禍の現状ではまだ特例リスケという制度が存在しており、特例リスケであれば通常のリスケと比較して、少ない労力、費用で返済の猶予が可能となるため、検討することをお勧めいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「個人事業を引き継いだ場合の償却方法の引継ぎ方について」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】個人事業で代替わりする場合の従業員に対する退職金の取扱い

■【Q&A】父から相続した建物を父の事業に従事していた者に低額譲渡した事例に対するみなし贈与課税の適用について

 

 

 


[質問]

個人事業主の父が廃業して、令和 2 年に息子が事業を引き継ぎました。

 

父が事業で使用していた建物等の減価償却資産を息子が買い取り使用しているのですが、この場合の取得年月日は息子の購入日(事業の用に供した日)、父からの耐用年数を引き継ぐ、償却方法は旧定額法ではなく息子が取得した時点での償却方法である定額法で計上しようと思います。

 

この考えで問題ないでしょうか。

 

 

[回答]

平成19年4月1日以後に取得した建物の減価償却の方法は、定額法とされ(所得税法施行令第120条の2第1項第1号)、この「取得」には、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれます(所得税基本通達49-1)。

 

そして、相続により取得した減価償却資産については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項《中古資産の耐用年数等》の中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数により減価償却費を計算することはできず、被相続人から取得価額、耐用年数、経過年数及び未償却残高を引き継いで減価償却費を計算することになります。

 

ご質問の場合は、相続による取得ではなく購入とのことですので、取得年月日はご子息の購入日(事業の用に供した日)となり、償却方法は旧定額法ではなくご子息が取得した時点での償却方法である定額法となりますが、耐用年数については、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができるものと考えます。

 

詳細につきましては、中古資産を取得した場合の耐用年数をご確認いただければと思います。

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2021年4月2日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

不動産所得の計算で争いになった最近の事例

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■共有物の分割で不動産取得税がかかるとき

■不動産取得税の「相続による取得」を巡る最近のトラブル

 

1.国外不動産の減価償却費


不動産は土地建物まとめていくらという形で契約して売買することがあります。この場合、土地・建物の価額を合理的に按分してそれぞれの取得価額を求めることになります。たとえば、消費税から建物の価額を逆算する方法、土地と建物の固定資産税評価額の価額比で按分する方法が代表的です。

 

もっとも建物の取得価額が多くなるように操作することで、買主側では減価償却費を多く計上することを考える人もいます。この問題は納税者と国税当局の間でしばしば、争いの種になってきたところです。

 

国内の納税者が、アメリカの賃貸用コンドミニアムを土地建物を一括で買って、建物の取得費を購入にかかった金額の80%として減価償却をしたところ、税務当局から否認された事例があります(国税不服審判所、令和2年6月4日裁決)。

 

この納税者は、投資するにあたり、斡旋業者が紹介したパンフレットなどに米州の相場では土地は金額の20%程度、建物は80%程度となるのが一般的と記載されていたことから、これを基に減価償却費の計算の基になる建物の金額を按分したのです。

 

しかし、国税当局はアメリカでの不動産税(固定資産税)の査定価額を基に按分するのが合理的として、納税者の建物価額が高すぎる結果、減価償却費も過大だとして否認しました。国税不服審判所はこの処分を支持しています。

 

 

2.固定資産税の還付金


固定資産税・都市計画税(以下、固定資産税等という)の土地等の評価額に誤りが見つかると、還付金をもらうことがあります。この場合、還付金をどのように扱うか問題になります(国税不服審判所、平成30年2月13日)。

 

土地の貸付けで不動産所得を得ていたAさんは、平成8年度から平成27年度分までの固定資産税等について、同年9月、評価誤りを見付け地方税務当局に評価誤りを訂正迫り、過誤納金還付を請求しました。

 

地方税務当局は、評価誤りを訂正し、平成23年度から26年度分の納め過ぎとなっていた固定資産税等と還付加算金併せて約90万円を還付する通知をするとともに、平成8年度から平成22年度の納め過ぎの固定資産税等については、地方税法上還付不能となった場合に対応する「要綱」等に基づき、約420万円を補填金として支払う通知をしました。

 

これを受けてAさんは、平成27年分の所得税の当初申告では還付金・補填金を不動産所得の総収入金額に算入していましたが、平成8年度から平成22年度の補填金は非課税、平成23年度分以後の還付金は平成23年から平成26年のそれぞれの年分の不動産所得の金額の計算上必要経費の金額を減算すべきとして更正の請求をしました。しかし、国税当局はこれを認めなかったことから争いになったものです。

 

Aさんは補填金について「損害賠償金に類するもので、必要経費を補填するための金額ではない」、「平成23年度から平成26年度分の固定資産税等は還付通知を受けたことにより遡って過誤納となった。還付金は本来必要経費に算入できない金額であるのに算入していたから各年分の必要経費を減算すべき」と主張しました。

 

国税不服審判所は、補填金について所得税法9条の非課税規定を受けた所得税法施行令30条に規定する「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金」に類するものに該当すると認定。また、国税不服審判所は施行令30条の括弧書き「これらのものの額のうちに損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分」の趣旨について、損害賠償金等の額のうち「必要経費に算入される金額を補填するための金額」を控除するのは非課税所得と必要経費の控除という二重の控除を防ぐためと指摘。

 

そのうえで「平成8年分ないし平成22年分の不動産所得の計算上必要経費に算入した固定資産税等は、必要経費として別建てで計算されており、補填金はそのうち還付不能となった固定資産税等の相当額を補填するものだから非課税から除外される「必要経費に算入される金額を補填するための金額」に該当すると判断しました。

 

平成23年分以後の還付金については、国税不服審判所は「還付金の支払請求権は平成27年の過誤納金還付・充当通知書により確定したものとみるのが相当」として、この金額は平成27年分の不動産所得の総収入金額に算入すべきもの」と判断しています。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/06/01)より転載

[M&Aニュース](2021年5月18日〜2021年5月28日)

◇DTS<9682>、システム受託開発のアイ・ネット・リリー・コーポレーションを子会社化、◇ホクシン<7897>、大建工業との建材用MDFの共販会社C&Hを子会社化、◇システム・ロケーション<2480>、ITシステム開発・運用子会社のミネルバグランディールを経営陣に譲渡、◇ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>、ライブコマース事業のMofflyを子会社化、◇日本郵船<9101>、郵船不動産を日本郵政不動産に譲渡、◇アイティメディア<2148>、RPA BANKから会員制メディア事業を取得、◇EPSホールディングス<4282>、MBOで株式を非公開化、◇東邦ホールディングス<8129>、富士フイルム富山化学から定温搬送装置事業を取得、◇GMOインターネット<9449>、飲食店予約管理サービスのOMAKASEを株式交付で子会社化、◇インテージホールディングス<4326>、インターネット市場調査のリサーチ・アンド・イノベーションを子会社化、◇ソフトバンク<9434>、インターネット広告のイーエムネットジャパン<7036>をTOBで子会社化、◇ホンダ<7267>、福利厚生業務サポートのホンダ開発を子会社化 ほか

 

 

 

 

DTS<9682>、システム受託開発のアイ・ネット・リリー・コーポレーションを子会社化
2021/05/28

DTSは、ネットワーク関連のシステム受託開発を手がけるアイ・ネット・リリー・コーポレーション(東京都千代田区。売上高15億7000万円、営業利益1億2000万円、純資産1億8400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ネットワークソリューション事業の強化につなげる。アイ・ネットは2000年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月28日。

ホクシン<7897>、大建工業との建材用MDFの共販会社C&Hを子会社化
2021/05/28

ホクシンは、建材用MDF(中質繊維板)に関する大建工業との共同販売会社C&H(大阪府岸和田市。売上高107億円、営業利益200万円、純資産1億3100万円)を子会社化した。3月31日付。大建工業から株式51%を取得し、持ち株比率を100%とした。C&Hの販売量の85%がホクシン製品であるため、株式を買い戻すことにした。C&Hは2004年にホクシンが設立し、2012年に大建工業との業務提携に基づき資本を受け入れた経緯がある。取得価額は5100万円。

システム・ロケーション<2480>、ITシステム開発・運用子会社のミネルバグランディールを経営陣に譲渡
2021/05/28

システム・ロケーションは、ITシステム開発・運用子会社のミネルバグランディール(東京都新宿区。売上高8600万円、営業利益509万円、純資産1740万円)の全保有株式49.5%を、ミネルバ社長の篠原隆平氏に譲渡することを決めた。ミネルバのシステム開発事業をグループ企業に移管するのに伴い、同社株の49.5%を持つ篠原氏に譲渡する。譲渡価額は930万円。譲渡予定日は2021年6月1日。

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>、ライブコマース事業のMofflyを子会社化
2021/05/27

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスは傘下企業を通じて、ライブコマース事業を展開するMoffly(東京都渋谷区。売上高5670万円、営業利益2030万円、純資産1530万円)の株式51%を取得し子会社化することを決めた。リアル(実店舗)とEコマース(電子商取引)の垣根を越えて、あらゆる販路で顧客企業の成果追求を目指す「オムニチャンネル営業支援」体制の充実につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月1日。

ライブコマースはライブ動画を配信して商品の購入につなげる販売形態。Mofflyは自社開発のクラウド型ライブコマースサービス「TAGsAPI」を活用し、企画提案からEコマースサイトへの導入支援、動画コンテンツの企画・撮影支援などをトータルで手がけ、約40社に導入実績を持つという。

日本郵船<9101>、郵船不動産を日本郵政不動産に譲渡
2021/05/27

日本郵船は、不動産事業を手がける全額出資子会社の郵船不動産(東京都中央区)の株式51%を、日本郵政傘下の日本郵政不動産(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。日本郵政不動産とパートナーシップを組んで事業展開することが郵船不動産の成長と企業価値向上のための最善策と判断した。譲渡価額は非公表。譲渡予定は2021年7~9月中。

郵船不動産は1953年設立で、合計で40棟を超えるオフィスビル、マンション、店舗などを運営する。2020年3月期の売上高は約70億円。

アイティメディア<2148>、RPA BANKから会員制メディア事業を取得
2021/05/27

アイティメディアはRPA BANK(東京都港区)が運営する会員制メディア「RPA BANK」事業を取得することを決めた。「RPA BANK」はAI(人工知能)とRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)に特化したメディアで、会員数は約4万人。アイティメディアは成長分野の有力コンテンツと会員を獲得し、顧客サービスの向上につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年9月1日。

EPSホールディングス<4282>、MBOで株式を非公開化
2021/05/27

新薬開発支援などを手がけるEPSホールディングスは27日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社創業者で現在会長の厳浩氏の傘下企業である新鷹(東京都新宿区)がTOBを実施し、完全子会社を目指す。TOB成立後のEPSに対しては新設会社を通じて医薬品卸大手のスズケンが20%が出資する予定で、EPSはスズケンの持ち分法適用関連会社となる。EPSはTOBに賛同している。

 

新薬開発の治験支援など主力事業を取り巻く環境変化に的確に対応し、中長期的な成長につなげるためには非公開化を通じて柔軟かつ機動的な経営判断が行える体制が望ましいと判断。今年5月に創立30周年に節目を迎え、非公開化の実行を「第2の創業」の機会とする。TOB成立後、東証1部への上場は廃止となる見通し。

TOB主体である新鷹は、厳会長の資産管理会社でEPS株式22%を所有する筆頭株主のワイ・アンド・ジーが設立。買付価格は1株につき1800円で、TOB公表前日の終値1319円に36.47%のプレミアムを加えた。買付予定数は所有割合約78%にあたる3475万3934円で、買付代金は最大625億円5708万円。買付予定数の下限は2002万2368株。

買付期間は5月28日~7月8日。決済の開始日は7月15日。公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券(復代理人auカブコム証券)。

東邦ホールディングス<8129>、富士フイルム富山化学から定温搬送装置事業を取得
2021/05/26

東邦ホールディングスは子会社を通じて、富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学(東京都中央区)から定温搬送装置事業を取得することを決めた。バイオ医薬品や再生医療製品など厳重な温度管理・品質管理が求められるスペシャリティー医薬品分野の業容拡大の一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月30日。

富士フイルム富山化学は独自の温調技術や冷熱設計ノウハウに基づき、庫内温度を4度C~37度Cの範囲で自由に設定できる小型軽量の電子冷却式の搬送装置を事業展開している。

GMOフィナンシャルホールディングス<7177>、Zホールディングス<4689>傘下でFX事業のワイジェイFXを子会社化
2021/05/25

GMOフィナンシャルホールディングス(GMO-FH)は、Zホールディングス傘下でFX(外国為替証拠金取引)事業を手がけるワイジェイFX(東京都千代田区。売上高97億8000万円、営業利益27億7000万円、純資産221億円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。GMO-FHはFX国内最大手のGMOクリック証券(東京都渋谷区)を子会社に持っており、ワイジェイFXをグループに取り込むことでFXサービスの一層のシェア拡大と収益性改善を目指す。取得価額は289億2400万円。取得予定は2021年9月下旬。

ワイジェイFXは2003年に創業し、2013年からZホールディングス傘下のヤフーにおいて金融分野の戦略子会社として事業展開してきた。GMO-FHグループ入りに伴い、社名を「外貨ex by GMO」に変更する予定。

GMOインターネット<9449>、飲食店予約管理サービスのOMAKASEを株式交付で子会社化
2021/05/24

GMOインターネットは、飲食店予約管理サービス「OMAKASE」を展開するOMAKASE(東京都港区。売上高4940万円、営業利益79万3000円、純資産363万円)の株式61.5%を株式交付の手続きにより取得し、子会社化することを決めた。EC(電子商取引)支援事業や決済事業との相乗効果を見込む。取得予定日は2021年6月21日。

「OMAKASE」は予約困難な人気飲食店に特化したのが特徴で、Web上で予約受付や既存予約の管理、キャンセル・空席情報の発信などを行っている。

GMOインターネットはOMAKASEの発行済み株式数40万株のうち24万6069株(下限)を取得する。対価としてOMAKASE1株に対してGMOインターネット株式3.677株と371円を割り当てる。

株式交付は2021年3月1日に施行された改正会社法で制度導入されたM&Aの新たな手法。自社株式を対価とする場合、これまでは完全子会社化(所有割合100%)を目的とする株式交換に限られていたが、株式交付を使えば、株式を100%取得しなくても子会社化が行える。

ホンダ<7267>、福利厚生業務サポートのホンダ開発を子会社化
2021/05/21

ホンダは、ホンダグループ向けに福利厚生業務サポートなどを手がけるホンダ開発(埼玉県和光市。売上高168億円、営業利益11億円、純資産426億円)を株式交換で完全子会社化することを決めた。ホンダ開発への出資比率は現在38.98%。ホンダグループのコーポレート機能強化の一環。株式交換予定日は2021年8月1日。

ホンダ開発は1959年に設立。ホンダグループ向けに社員食堂の運営や保険サービスを手がけるほか、一般向けにホテル・レストラン、住宅リフォーム、トラベル事業などを幅広く展開する。

株式交換比率はホンダ1:ホンダ開発0.30で、ホンダ開発1株にホンダの0.30株を割り当てる。

インテージホールディングス<4326>、インターネット市場調査のリサーチ・アンド・イノベーションを子会社化
2021/05/21

インテージホールディングスは傘下企業を通じて、インターネットを利用した市場調査を手がけるリサーチ・アンド・イノベーション(RNI、東京都港区。売上高3億4100万円、営業利益△4億1400万円、純資産△6億5200万円)の株式を追加取得し子会社化することを決めた。マーケティングリサーチ事業の基盤強化につなげる。株式譲受と第三者割当増資引き受けを通じ、現在14.1%の持ち株比率を61.4%に高める。取得価額は11億2600万円。取得予定日は2021年5月25日。

RNIは2011年設立で、買い物情報や商品評価情報が登録できるスマホアプリ「CODE」を運営する。買い物登録アクティブユーザー数は月間31万人で、月間3400万件の買い物情報や累計5000万件の商品評価情報を随時取得しているという。

RNIを子会社化するのはインテージHD傘下でマーケティングリサーチ事業を展開するインテージ(東京都千代田区)。

ソフトバンク<9434>、インターネット広告のイーエムネットジャパン<7036>をTOBで子会社化
2021/05/21

ソフトバンクは21日、インターネット広告のイーエムネットジャパンの子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。議決権ベースで約41%の株式を取得し、全5人の取締役のうち3人を派遣する。顧客へのマーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)支援体制の強化や顧客基盤の拡大につなげる。買付代金は17億8573万円。イーエムネットジャパンはTOBに賛同している。同社のマザーズ上場は維持される予定。

イーエムネットジャパン株の約60%を保有する筆頭株主の韓国EMNETが40%強、イーエムネット社長の山本臣一郎氏が0.31%をTOBに応募することで合意している。買付価格は1株2257円。EMNET、山本氏の2者の応募を前提としているため、TOB公表前日の終値2508円に対して10.01%のディスカウントとした。

買付予定数(79万1200株)は買付予定数の下限と同数に設定。買付期間は5月24日~6月21日。決済日の開始日は6月28日。公開買付代理人は野村証券。

タキロンシーアイ<4215>、樹脂コンパウンド開発のマーベリックパートナーズを子会社化
2021/05/21

タキロンシーアイは、OA機器や家電製品などのリサイクル材料を活用した樹脂コンパウンドの開発・販売を手がけるマーベリックパートナーズ(東京都中央区)の株式60%を取得し子会社化した。取得相手や取得価額、取得日は非公表。

幸楽苑ホールディングス、50人程度の希望退職を募集|全正社員の約6%
2021/05/20

ラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングスは19日、全正社員の約6%にあたる50人程度の希望退職を募ると発表した。40歳以上で5年以上勤務の正社員が対象で、募集期間は5月19日~30日(退職日は6月30日)。構造改革として人員の適正化と年齢構成の調整を実現する。同社は新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業時間短縮や外出自粛などで来店客数が減少し、業績が悪化している。

2021年3月期は売上高30%減に265億円、営業赤字17億2900万円(前期は6億6000万円の黒字)、最終赤字8億4100万円(同6億7700万円の赤字)。最終赤字は2年連続だった。3月末の直営店舗は411店舗。

希望退職実施の経営責任を明確にするため、6~8月の月額役員報酬を減額する。減額幅は会長100%、社長50%、常勤取締役10%とする。

川崎重工業<7012>と日立造船<7004>、10月1日にトンネル掘進機事業を統合
2021/05/20

川崎重工業と日立造船は20日、シールドマシンなどトンネル掘進機事業を10月1日に統合すると発表した。折半出資で設立する川重日立造船シールド準備(大阪市)が両社の事業を継承する。分割する対象事業の直近売上高は川重が64億円、日立造船が70億円。国内需要が頭打ちとなる中、競争力を高め、東南アジアなど海外展開を推し進める。

新会社が継承する事業は地下鉄、下水道などのトンネル工事に使われるシールドマシン、TBM(トンネルボーリングマシン)、土木機械と関連部品に関する設計・開発、修理、販売(製造は除く)。

トンネル掘進機をめぐっては2016年にIHI、JFEエンジニアリング、三菱重工業が事業統合して、JIMテクノロジー(川崎市)を発足させている。今回の川重と日立造船の事業統合により、トンネル掘進機の国内の勢力図は2社に集約される。

中部飼料<2053>、配合飼料の製造子会社「みらい飼料」の3工場を伊藤忠飼料に譲渡
2021/05/20

中部飼料は、配合飼料の製造子会社であるみらい飼料(名古屋市)が保有する4工場のうち、石巻工場(宮城県石巻市)、門司工場(北九州市)、志布志工場(鹿児島県志布志市)の3工場を伊藤忠飼料(東京都江東区)に譲渡することを決めた。伊藤忠商事グループとの資本業務提携の解消に伴う措置。対象3工場を会社分割して5月下旬に設立する新会社「I・フィード」(名古屋市)の全株式を譲渡する形となる。譲渡価額は約22億円。譲渡予定日は2021年8月2日。

みらい飼料は中部飼料が51%、伊藤忠飼料が49%を出資し、配合飼料を共同生産している。みらい飼料はもともと、伊藤忠飼料が子会社として設立したが、中部飼料が2015年に株式51%を取得して主導権を握った。

みらい飼料が保有する4工場のうち3工場を伊藤忠飼料に譲渡するが、残る八戸工場(青森県八戸市)については当面、従来と同様の枠組みで伊藤忠飼料との共同生産を継続する。将来的には、2023年9月末までに共同生産事業を解消し、みらい飼料の全保有株式を伊藤忠飼料に譲渡する予定。

中部飼料は2015年に伊藤忠商事やその子会社の伊藤忠飼料などと資本業務提携した際、伊藤忠グループから6.95%の資本を受け入れたが、今回、資本提携を解消し、業務提携の内容を変更することにした。独自に経営戦略を推進することが望ましいとの結論にいたったとしている。

ピアラ<7044>、美容情報サイト「MOTEHADA」事業を取得
2021/05/20

ピアラは、MOTEHADA(千葉県木更津市)が運営する美容情報サイト「MOTEHADA(モテハダ)」事業を取得することを決めた。自社メディアを保有することでSEO(検索エンジン最適化)領域の事業を強化する狙い。「MOTEHADA」は脱毛サロン・エステ・アートメイク・スキンケアに関する来店誘致型のSEOメディア。取得価額は非公表。取得予定は2021年6月中旬。

ピアラはヘルスケア、ビューティー、食品領域の通販事業を展開する企業を中心に新規顧客の獲得から顧客育成までをワンストップで手がけている。

FHTホールディングス<3777>、ヘルスケア事業の中国子会社3社をマレーシア社に譲渡
2021/05/18

FHTホールディングスは、中国でヘルスケア事業を手がける吉奥莱科特医疗健康科技(上海)有限公司(上海。売上高2920万円、営業利益△6180万円、純資産△5900万円)など現地子会社3社を、マレーシアの貿易会社APEX TRADING CO. LTD.に譲渡することを決めた。新型コロナウイルス感染拡大で業績不振が一段と深刻化したのに伴い、中国でのヘルスケア事業から撤退する。譲渡価額は合計2億1000万円。譲渡予定は2021年6月下旬。

FHTホールディングスは子会社を通じて、中国で医療技術に関する開発・コンサルティング、養老サービスなどを手がけてきた。

今回、譲渡するのは100%出資する吉奥莱科特医疗健康科技のほか、50.9%をそれぞれ出資する上海蓉勤健康管理有限公司(上海。売上高0円、営業利益△1420万円、純資産△1140万円)、霞市东明置业有限公司(山東省。売上高454万円、営業利益△3650万円、純資産△6万4000円)の全持ち分。

アライドアーキテクツ<6081>、しまうまプリントからSNS特化の撮影サービス「torutte」事業を取得
2021/05/18

アライドアーキテクツは、しまうまプリント(東京都新宿区)からSNSに特化した撮影サービス「torutte」事業を会社分割により取得することを決めた。アライドが展開するSNS活用の企業マーケティング事業と「torutte」を掛け合わせ、ショッピングモールなどの商業施設や店舗事業者に対する支援サービスを充実する。取得価額は1000万円。取得予定日は2021年7月1日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]

~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~

 

第7回:会社の譲渡後も、社長は会社に残れますか?

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

▷関連記事:取引先に知られずに会社を譲渡することはできる?

▷関連記事:会社の譲渡を検討していますが、譲渡してしまったら、共に働いてきた役員や従業員達から見放されたと思われないか不安です。

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Q.会社の譲渡後も、社長は会社に残れますか?

 

48歳の経営者です。25年前に創業し、現在では同業のなかでは中堅クラスの規模になりました。ただ自分の年齢や能力、資本力を考慮すれば、これ以上の事業拡大は難しいと思っております。このため、大会社の資本傘下での成長を考え始めました。

 

心配なのが譲渡後の自分の処遇です。体調に問題なく、これまでの業務経験や人脈もありますので、譲渡した後も会社に貢献した方が、会社にプラスではないかと考えております。ただ、周囲の一部の方からは、引退したら会社には関わらないものだ、と言われました。経営者は譲渡後、会社には残れないのでしょうか。

 

 

 

A.会社に残るか否かは前オーナー経営者の意思が尊重されるのが一般的です。

 

前オーナー経営者は、一般的には他社に会社を譲渡した後でも一定期間は引継ぎ期間として会社に残ります。前オーナー経営者がM&A後にすぐに引退してしまうと会社が円滑に運営できなくなるリスクがあるためです。譲渡された企業の関係者が不安になれば企業間の融和をスムーズにできなくなります。「自分達の処遇や新しい会社の方針はどうなのか」「これまで通り仕事ができなくなるのではないか」。譲渡側の従業員や取引先企業はM&Aの後に不安を感じることがあります。その状況を放置すると従業員が相次いで退職したり、取引先から重要な契約が打ち切られたりするリスクがあります。前の経営者が一定期間在籍することで、従業員も安心して仕事を続けやすくなります。

 

引継ぎ期間が終了した後に前のオーナー経営者が会社に残るか残らないかは、前オーナー経営者自身の意思が最大限尊重されるのが一般的です。自身が高齢で後継者もいないため、引退して第二の人生を歩みたいというオーナー経営者は、引継ぎ期間終了時の引退を望むケースが多いです。

 

一方で、比較的年齢が若く、元気に働ける前オーナー経営者は、肩書や報酬等は別途相談にはなりますが、長期間会社で働くことも可能です。例えば、50歳手前の経営者から、独力での経営に限界を感じ、「M&Aで大企業の傘下に入りたいが60歳までは会社で働きたい」という相談を受けたことがあります。その際は、要望に応じた条件で引き受けてくれる相手を探して実現しました。

 

M&A後にどのような形で会社に関与したいかを私たちに相談していただければ、経営者のご意思を最大限尊重する形でお相手を探しますので、ぜひご連絡いただければと思います。

 

 

 

 

[新型コロナウイルスに関するM&A・事業再生の専門家の視点]

コロナ禍における飲食店の事業再生の現状

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

 

▷関連記事:コロナ禍における飲食店の売上高や今後の考察。

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▷関連記事:外食産業に関する実態調査(2021年1月公開分)

コロナ禍において、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の中での休業や時間短縮営業等、飲食店の経営環境は厳しい状況となっています。

 

営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金等の支援が制度としてはあるものの、これらがスピーディに支払われるわけではありません。例えば、1月の協力金について、5月のこの本稿作成時点において、まだ支払われていない事業者があることも事実です。小規模店舗の多くの事業者は、1日6万円の協力金を受け取ることで「利益」では黒字となります。しかし、「利益」では黒字であっても、協力金が入金されるまでに家賃の支払いや経費の支払いなどが発生しているため、「資金繰り」の観点からは、入金がなく、支払いが先行することで資金残高はどんどん減少していく状況です。このような状況から、窮境に陥る飲食店は多く、既に閉店してしまった飲食店も少なくありません。

 

このような状況の飲食店が事業再生を行う場合は、施策を講じて赤字額を減少させ、コロナが落ち着くまで耐えるという方法を取らざるを得ないのが現状です。上で述べたように、時短要請等の最中は資金繰りが苦しくなるため、一定程度の資金を調達して資金残高が減少しないようにすることが非常に重要となります。筆者が関与した飲食店の場合も、資金繰りが苦しかったため億単位の資金を調達し、資金繰りを安定させたうえで施策を講じるということとなりました。ただし、この厳しい状況で新たな融資を受けることはハードルが高いことも事実です。金融機関には、誠実な態度で現状の共有と、今後の事業計画について丁寧に根気強く説明する必要があるでしょう。

 

現状の把握として、店舗別に損益を把握し、赤字店舗については撤退も含めてより詳細に分析を行う必要があります。しかし、赤字であるからと言っても、内装や設備について長期のリース契約を締結している場合があり、これらの多くは解約時に多額の違約金が必要となることから、違約金も含めたうえで検討する必要があります。

 

赤字額を減らすためには、売上を増加させるために、すでに多くの店舗で行われていますが、テイクアウトや宅配、ゴーストレストラン等を検討し、売上を確保しつつ、経費の削減によりコロナが落ち着くまで持ちこたえるということが必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&Aニュース](2021年5月6日〜2021年5月14日)

◇福井銀行<8362>、福邦銀行を50億円の第三者割当増資引き受けで子会社化、◇ケイアイスター不動産<3465>、分譲住宅・不動産売買子会社のフレスコを譲渡、◇クレステック<7812>、マーケティングコンサルティングなどのマインズを子会社化、◇ユーグレナ<2931>、健康食品・化粧品製造のキューサイを子会社化、◇青森銀行<8342>とみちのく銀行<8350>、2022年4月1日に経営統合で基本合意、◇ユニマット リタイアメント・コミュニティ<9707>、大阪市で介護事業を展開するなでしこを子会社化、◇ビジネス・ブレークスルー<2464>、子供専用オンライン英会話スクールのブレンディングジャパンを子会社化、◇アイサンテクノロジー<4667>、土地・河川など測量の三和を子会社化、◇ジェイテックコーポレーション<3446>、理化学機器開発の電子科学を子会社化 ほか

 

 

福井銀行<8362>、福邦銀行を50億円の第三者割当増資引き受けで子会社化
2021/05/14

福井銀行は14日、第二地方銀行の福邦銀行(福井市。経常収益87億4000万円、経常利益4億5800万円、純資産209億円)を10月1日付で子会社化すると発表した。福邦銀が行う第三者割当増資を50億円で引き受け、51.84%の株式を取得する。歴史的な低金利が続き、地方銀行を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、システム共通化や店舗統廃合などコスト削減を進める。

両行は2020年3月に「Fプロジェクト」と名づけた包括提携を開始し、2021年1月以降は資本提携に向けて協議してきた。両行の2ブランドを維持し、それぞれの強みを生かした金融グループとして地域経済の持続的発展への貢献を目指す。

ケイアイスター不動産<3465>、分譲住宅・不動産売買子会社のフレスコを譲渡
2021/05/14

ケイアイスター不動産は、分譲住宅や不動産の売買を手がける子会社のフレスコ(千葉市。売上高72億7000万円、営業利益5億2200万円、純資産10億7000万円)の全保有株式51.5%を譲渡することを決めた。フレスコが対象株式を自己株式として取得する。ケイアイスターは2018年にフレスコを子会社化したが、ここへきてフレスコから注文住宅に軸足を移したいとの意向があり、関係を発展的に解消する。譲渡価額は非公表。譲渡予定は2021年6月中旬。

クレステック<7812>、マーケティングコンサルティングなどのマインズを子会社化
2021/05/14

クレステックは、各種マーケティングに関するコンサルティング・プロモーションを手がけるマインズ(東京都港区。売上高5億6800万円、営業利益4300万円、純資産1億7900万円)を子会社化することを決めた。株式94.3%を現金で、残る5.7%を株式交換で取得する。販売支援サービスにおけるワンストップ化などの相乗効果を期待している。クレステックは企業の製品取扱説明書や修理マニュアルの制作大手。株式取得価額は3億4800万円。取得予定日は2021年7月1日(株式交換日も同じ)。

ユーグレナ<2931>、健康食品・化粧品製造のキューサイを子会社化
2021/05/14

ユーグレナは、健康食品や化粧品を製造・販売するキューサイ(福岡市。売上高245億円、営業利益18億7000万円、純資産221億円)を子会社化することを決めた。具体的には、キューサイの全株式を持つQ-Partners(東京都港区)の株式36.16%を追加取得し、持ち株比率を49%に高める。これにより、Q-Partnersを通じてキューサイを傘下に収める。取得価額は89億4000万円。取得予定日は2021年6月30日。

Q-Partners取締役のうち過半数を占める3人をユーグレナ側から選任する。

Q-Partnersの株主構成は投資会社アドバンテージパートナーズ(東京都港区)が運営するファンド67.22%、東京センチュリー19.94%、ユーグレナ12.84%(2021年3月末)。他2者との株主間契約ではユーグレナが2022年1月4日までに株式を追加購入するコールオプションを行使する取り決めになっていたが、必要資金の調達が完了したことから前倒しで権利を行使する。

青森銀行<8342>とみちのく銀行<8350>、2022年4月1日に経営統合で基本合意
2021/05/14

青森銀行とみちのく銀行は14日、2022年4月1日に経営統合することで基本合意したと発表した。共同持ち株会社を設立し、両行を傘下に置く。続いて統合効果を最大化するため、その2年後の2024年4月をめどに両行を合併させることとする。歴史的な低金利による預貸金利ザヤの縮小や青森県内人口の減少などで経営環境が一段と厳しさを増す中、経営の合理化・効率化を進め、地域金融機関として高品質で安定的な金融サービスの提供を目指す。

預金等残高は青森銀行が2兆8935億円、みちのく銀行が2兆1464億円(いずれも2021年3月末)。店舗数も青森銀行が90店、みちのく銀行が94店とほぼ拮抗する。両行は県内の貸出シェアが合計で7割近くに達するが、独占禁止法の特例法に基づき、持ち株会社設立による経営統合を進める。

ユニマット リタイアメント・コミュニティ<9707>、大阪市で介護事業を展開するなでしこを子会社化
2021/05/14

ユニマット リタイアメント・コミュニティは、介護事業のなでしこ(大阪市。売上高9億4800万円、営業利益7700万円、純資産1億1100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。なでしこは大阪市内で介護付き有料老人ホーム、小規模多機能ホーム、グループホームなど計8拠点を運営する。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

ユニマットはデイサービス、ショートステイ、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などを中心に全国324拠点、655事業所(2021年3月末)を運営する。なでしこの拠点と連携して、相乗効果を引き出す。

ビジネス・ブレークスルー<2464>、子供専用オンライン英会話スクールのブレンディングジャパンを子会社化
2021/05/14

ビジネス・ブレークスルーは、子供専用オンライン英会話スクール「ハッチリンクジュニア」を展開するブレンディングジャパン(福岡市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。拡大する子供向けオンライン英会話市場への参入が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年5月31日。

ビジネス・ブレークスルーは社会人を対象とするリカレント教育事業を主力とし、ビジネスパーソン向けにオンライン英会話講座「BBTオンライン」などを提供している。

アイサンテクノロジー<4667>、土地・河川など測量の三和を子会社化
2021/05/14

アイサンテクノロジーは、土地・河川などの測量業務を手がける三和(川崎市。売上高2億5300万円、営業利益3500万円、純資産1億3200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アイサンが主力とする測量・土木ソフトウエア製品・サービスに三和の技術力を取り込むとともに、三次元計測請負、三次元地図整備請負などの業務受託で相乗効果を期待している。三和は1969年設立以来、測量一筋に取り組んでいる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年10月1日。

ジェイテックコーポレーション<3446>、理化学機器開発の電子科学を子会社化
2021/05/14

ジェイテックコーポレーションは、理化学機器開発の電子科学(東京都武蔵野市。売上高3億600万円、営業利益5900万円、純資産3億4900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社の技術補完により、半導体・液晶・有機EL(エレクトロルミネッセンス)分野での新製品開発など相乗効果が期待できると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年5月31日。

電子科学は1978年に日本電子の出身者が設立し、理化学機器の開発や分析業務で実績を積んできた。現在は超微量の水素・水を観測可能な独自の昇温脱離分析装置(TDS)で国内トップとされる。

AOI TYO Holdings<3975>、米カーライル・グループと組んでMBOで株式を非公開化
2021/05/14

AOI TYO Holdingsは14日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。中江康人代表取締役グループCEO(最高経営責任者)ら経営陣の依頼に基づき、米投資ファンドのカーライル・グループがTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株取得を目指す。買付代金は最大213億9058万円。AOI TYOはテレビCM制作トップだが、コロナ禍の影響拡大でCM需要が大幅に減少し、2020年12月期決算は営業赤字に陥った。こうした中、広告のデジタル化への対応などを進めるうえで、非公開化を通じて中期的な視点で経営を進められる体制を作り出すことが不可欠と判断した。

AOI TYOはTOBに賛同を表明している。同社の東証1部上場は廃止となる見通し。

TOB主体はカーライルの傘下企業。AOI TYO株の買付価格は1株900円で、TOB公表前日の終値589円に52.8%のプレミアムを加えた。買付予定数は2376万7317株。買付予定数の下限は所有割合65.5%にあたる1584万4900株。買付期間は5月17日~7月5日。決済の開始日は7月12日。公開買付代理人は野村証券。

Eストアー<4304>、システム開発のアーヴァイン・システムズを子会社化
2021/05/14

Eストアーは、システム開発のアーヴァイン・システムズ(東京都品川区。売上高1億5800万円、営業利益△500万円、純資産1億7600万円)を株式交付を通じて50.17%を取得し、子会社化することを決めた。EC(電子商取引)システム構築とその周辺サービスの競争力向上につなげる。アーヴァインにはこれまでシステム開発業務を委託しており、取引関係にあった。株式交付の対価として7月12日付で、現金約9125万円とEストアーの自己株式2万5株(約3910万円)を割り当てる。

FFRIセキュリティ<3692>、ソフトウエアの第三者評価業務を手がけるシャインテックを子会社化
2021/05/14

FFRIセキュリティは、ソフトウエアの第三者評価業務を手がけるシャインテック(川崎市。売上高4億円、営業利益242万円、純資産4770万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。サイバーセキュリティー関連サービスの充実が狙い。取得価額は約2億1400万円。取得予定日は2021年5月25日。

ロコガイド<4497>とくふうカンパニー<4399>、10月1日に経営統合
2021/05/14

チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」運営のロコガイドと結婚関連サービスのくふうカンパニーは14日、2021年10月1日に経営統合すると発表した。共同持ち株会社「くふうカンパニー」(東京都港区)を設立し、傘下にロコガイドと現くふうカンパニー(社名変更を予定)を置く。両社事業の親和性などを踏まえ、総合生活メディア・サービス企業への進化を目指す。

新設される共同持ち株会社「くふうカンパニー」のトップはロコガイドの穐田誉輝社長が就任する予定。穐田氏はロコガイド、くふうカンパニーの株式をそれぞれ50%超保有する支配株主。

共同持ち株会社との株式移転比率はロコガイド4.1:くふうカンパニー1。ロコガイド1株に持ち株会社の4.1株、くふうカンパニー1株に持ち株会社の1株を割り当てる。

廣済堂<7868>、教育図書出版子会社の廣済堂あかつきを譲渡
2021/05/14

廣済堂は、教科書用図書や学校用図書教材などを手がける出版子会社の廣済堂あかつき(東京都練馬区。売上高9億200万円、営業利益△1億5400万円、純資産△1億3200万円)の全株式を、第三者の個人に14日付で譲渡した。児童・生徒数の減少による教育図書事業の縮小に加え、新たに参入した教科書事業の採算確保も進まず、2期連続赤字を計上するなど、短期的な収益改善が困難な状況にあった。譲渡価額は非公表。

住石ホールディングス<1514>、岩石採取・骨材製造子会社の住石山陽採石を地元企業に譲渡
2021/05/14

住石ホールディングスは、岩石の採取や骨材製造を手がける100%子会社の住石山陽採石(兵庫県神河町。売上高3億8600万円、営業利益4600万円、純資産4億4500万円)の全株式を第三者の地元企業に譲渡することを決めた。住石山陽採石の持続的成長と、住石グループの今後の事業展開を総合的に勘案した結果としている。譲渡先、譲渡価額はいずれも非公表。譲渡予定日は2021年5月31日。

ブロードバンドセキュリティ<4398>、モーニングスター<4765>からゴメス・コンサルティング事業を取得
2021/05/14

ブロードバンドセキュリティは、モーニングスターから「ゴメス・コンサルティング」事業を会社分割により7月1日付で取得することを決めた。対象事業はWebサイト改善のための分析・アドバイス業務、Webサイトの製作支援、Webコンサルティングなどで、直近売上高は3億3000万円。対象事業の事業価値を12億円とし、その対価として現金に代えてブロードバンドセキュリティの55万6844株を交付する。事業取得後の相乗効果を最大限に引き出す観点からモーニングスターが一部資本参加するのが最も望ましい形と判断した。

五洋インテックス、希望退職に5人応募|募集人数の半数にとどまる
2021/05/13

五洋インテックスは13日、希望退職(3月に実施)に5人の応募があったと発表した。10人の募集人員に対して応募は半数にとどまった(退職日は4月30日付)。同社はカーテンなど室内装飾品の専門商社。2021年3月期決算に特別退職金と再就職支援にかかる関連費用260万円を特別損失として計上する。

西武ホールディングス<9024>、西武建設傘下で建築材料など製造の西武建材を東和アークスに譲渡
2021/05/13

西武ホールディングスは、子会社の西武建設(埼玉県所沢市)傘下で建築材料、鉱物・金属材料を製造する西武建材(埼玉県所沢市。売上高117億円、営業利益1億5400万円、純資産52億9000万円)の株式を、同業の東和アークス(さいたま市)に譲渡することを決めた。グループの事業構成見直しを通じてアセットライト(保有資産の軽減)な事業運営を実現する取り組みの一環。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年7月1日。

西武建材は1974年設立で従業員94人(3月末)。

ニッケ<3201>、不織布・フェルトメーカーのフジコー<3515>を子会社化
2021/05/13

ニッケは13日、持ち分法適用関連会社で株式32.95%を保有するフジコーを株式交換により9月1日付で完全子会社化すると発表した。両社が主力とする不織布事業などを中心に、世界規模で成長が期待される自動車・環境関連の市場を取り込む。両社は2020年5月に資本業務提携を結び、協業に取り組んできたが、完全子会社化に踏み込み、経営資源の相互活用など相乗効果を最大限に引き出す。フジコーのジャスダック上場は8月30日付で廃止となる予定。

株式交換比率はニッケ1:フジコー3.05で、フジコー1株にニッケの3.05株を割り当てる。

フジコーは1951年に設立し、不織布・フェルトの総合メーカーとして歩んできた。不織布やフェルトの特性を生かした新技術の開発を進め、高温耐熱成型断熱材、NAS(ナトリウム・硫黄)電池の電極用フェルトといった先端技術分野から、カーペットなどの日常消費財まで幅広く手がける。

東海汽船<9173>、小笠原海運を子会社化
2021/05/13

東海汽船は、持ち分法適用関連会社の小笠原海運(東京都港区。売上高23億円、営業利益1億2700万円、純資産26億2000万円)を子会社化した。折半出資相手の日本郵船から株式1%を取得し、持ち株比率を51%に引き上げた。東海汽船は伊豆七島の航路を独占的に手がける。今回、東京~小笠原諸島父島間を運航する小笠原海運を傘下に取り込み、相乗効果の実現につなげる。小笠原海運の設立は1969年。取得価額は約2639万円。取得予定日は2021年5月21日。

インターライフホールディングス<1418>、人材派遣を手がけるジーエスケーとグランドスタッフの2子会社をグロップエスシーに譲渡
2021/05/13

インターライフホールディングスは、人材派遣を手がけるジーエスケー(東京都北区。売上高2億8100万円、営業利益△1870万円、純資産1億5900万円)、グランドスタッフ(東京都北区。売上高3億円、営業利益△850万円、純資産8850万円)の2子会社を、業務請負・人材派遣業のグロップエスシー(岡山市)に譲渡することを決めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で人材サービス事業を取り巻く環境が大きく変化したのに伴い、グループの事業再編に取り組む。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年5月31日。

インターライフHDは2015年に、ジーエスケー(所有割合100%)、グランドスタッフ(同88.3%)の両社を傘下に収めた。

PKSHA Technology<3993>、オウケイウェイヴ<3808>から法人向けFAQサービスなどのソリューション事業を取得
2021/05/13

PKSHA Technologyは買収目的会社を通じて、オウケイウェイヴのソリューション事業を買収することを決めた。オウケイウェイヴが対象事業を会社分割して設立する新会社PRAZNA(東京都港区)の全株式を取得する。取得するソリューション事業は法人向けFAQ(よくある質問)/お問い合わせ管理システム「OKBIZ.」シリーズなど。PKSHAはグループ企業を通じて展開する自動応答エンジンとの掛け合わせにより、プロダクトパッケージの高付加価値化などにつなげる。取得価額は73億1400万円。取得予定日は2021年6月30日。

PKSHA Technology<3993>、ソフト開発のアシリレラを子会社化
2021/05/13

PKSHA Technologyは、ソフトウエア開発のアシリレラ(東京都渋谷区。売上高8億9800万円、営業利益5億6200万円、純資産10億3000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アルゴリズムモジュール(自然言語処理、画像認識、異常検知など)、アルゴリズム・ソフトウエアとの強力な相乗効果を見込む。2021年5月31日付で株式90%を、2023年5月31日付で残る10%をそれぞれ取得する。取得価額は合計50億600万円。

アシリレラは2015年に設立し、ビジネスプロセスの自動化や生産性向上を実現する業務部門に特化したソフトウエアを提供している。エンドユーザー企業のライセンスは1000社以上という。

亀田製菓<2220>、菓子製造のベトナム合弁THIEN HA KAMEDAを子会社化
2021/05/13

亀田製菓は、菓子製造のベトナム合弁会社THIEN HA KAMEDA JOINT STOCK COMPANY(ハノイ。売上高13億2000万円、営業利益2億4900万円、純資産28億6000万円)の株式21%を追加取得し、子会社化することを決めた。現在30%の持ち株比率を51%に高める。経営の支配権を獲得し、成長が続くベトナム市場での業績拡大を目指す。取得価額は算定中。取得時期は未確定。

THIEN HA KAMEDAは2013年に亀田製菓との合弁会社として設立された。亀田製菓の米菓製造技術を活用して現地で米菓「ICHI」が合弁相手のTHIEN HA CORPORATIONの流通網を通じてベトナム市場に広く受け入れられている。亀田製菓は子会社化を弾みにベトナムの事業基盤を固め、海外展開を加速する。

ベトナムは人口1億人に迫る大きな国内市場を持ち、豊富な労働力と良質な原料米が確保できることなどから、生産拠点としても将来性を高く評価している。

ジャパンエレベーターサービスホールディングス<6544>、エレベーター保守管理のトヨタファシリティーサービスを子会社化
2021/05/12

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーターなどの保守管理を手がけるトヨタファシリティーサービス(東京都豊島区。売上高2億6600万円、営業利益721万円、純資産4840万円)の株式60%を取得し子会社化することを決めた。保守契約台数の増加による事業基盤の強化が狙い。トヨタファシリティーサービスは首都圏と関西圏を中心に1000台以上の契約台数を持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2021年5月13日。

信越ポリマー<7970>、昭和電工<4004>傘下の昭和電工マテリアルズから食品包装用ラッピングフィルム事業を取得
2021/05/12

信越ポリマーは、昭和電工傘下の昭和電工マテリアルズ(旧日立化成、東京都千代田区)から食品包装用ラッピングフィルム事業を取得することを決めた。食品包装用ラッピングフィルム事業の競争力向上が狙い。昭和電工マテリアルズは飲食店など外食産業向けを中心に塩化ビニール小巻ラップで高い国内シェアを持つ。取得価額は36億6600万円。取得予定日は2021年8月2日。

信越ポリマーは昭和電工マテリアルズが食品包装用ラッピングフィルム事業を会社分割して8月に設立する新会社「キッチニスタ」(茨城県筑西市)の全株式を取得する。

信越ポリマーは食品包装用ラッピングフィルム事業について塩化ビニール製業務用ラップを主体に事業展開している。

トナミホールディングス<9070>、コンテナ・トラック輸送の高岡通運を子会社化
2021/05/12

トナミホールディングスは、貨物運送業の高岡通運(富山県高岡市。売上高8億5300万円、純資産3億2900万円)の株式50.12%を追加取得し、4月30日付で子会社化した。38.03%の持ち株比率を88.15%に引き上げた。経営基盤強化と事業規模の拡大に役立つと判断した。取得価額は非公表。

高岡通運は1947年に設立し、富山県西部地区を中心にコンテナ輸送・トラック輸送、倉庫業を手がける。

Appier Group<4180>、会話型エンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム事業の台湾Bot Bonnieを子会社化
2021/05/12

Appier Groupは台湾子会社を通じて、会話型エンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム事業を手がける現地の邦妮科技有限公司(Bot Bonnie、台北市)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。Appier GroupはAI(人工知能)マーケティングのサービスをSaaS(サービスとしてのソフトウエア)モデルで提供しており、Bot Bonnieを傘下に取り込むことでグローバルな販売チャネルとAI技術の活用を進める。取得価額は非公表。取得予定は2021年6月。

TOKAIホールディングス<3167>、ITシステム受託開発などのクエリを子会社化
2021/05/11

TOKAIホールディングスは傘下企業のTOKAIコミュニケーションズ(静岡市)を通じて、ITシステム受託開発などのクエリ(東京都豊島区。売上高3億5500万円、営業利益3900万円、純資産1億1800万円)の全株式を取得し、4月30日付で子会社化した。情報通信分野のサービス体制強化の一環。TOKAIコミュニケーションズはネットワーク・データセンター・システム開発を一体で手がける。取得価額は非公表。

東テク<9960>、大崎電気工業<6644>傘下でビルオートメーション事業のシンガポールQuantum Automationを取得
2021/05/11

東テクは、大崎電気工業傘下でビルオートメーション(計装)事業を展開するシンガポールQuantum Automation Pte Ltd(売上高24億2000万円、営業利益1億6200万円、純資産17億円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。東テクはインドネシア子会社の連携を含め、高い経済成長を背景におう盛な建設需要が期待される東南アジア地域での業容拡大につなげる。取得価額は40億5000万円。取得予定は2021年9月下旬。

Quantum Automationは1979年設立で、ビルオートメーション事業で豊富な施工実績を持ち、自社ブランドによるビルオートメーションシステム、空調設備や電気設備などを制御するダイレクトデジタルコントローラー(DDC)を独自展開し、技術力を強みとする。

東テクはビルオートメーション事業にとどまらず、機器販売事業やエネルギーソリューション事業でも相乗効果の創出を目指し、海外事業全般を本格化させる。

デジタルハーツホールディングス<3676>、IT人材登録プラットフォーム事業のアイデンティティーを子会社化
2021/05/11

デジタルハーツホールディングスは傘下企業を通じて、IT人材登録プラットフォーム事業を手がけるアイデンティティー(東京都新宿区。売上高12億6000万円、営業利益△1億2800万円、純資産5630万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループ成長のカギを握るIT関連のエンジニア人材を確保する狙い。取得価額は16億1500万円。取得予定日は2021年6月30日。

アイデンティティーは2008年設立。フリーランスのIT人材を対象にマッチング、紹介・派遣事業を展開し、業界トップクラスのフリーランス求人案件数を誇るという。

アイデンティティーは株式譲渡に先立ち、主力事業のうちIT人材採用支援事業について会社分割で設立する新会社に移管する。デジタルハーツホールディングスはIT人材採用支援事業が切り出された後のアイデンティティーを子会社化する形となる。

ファミリー<8298>、MBOで株式を非公開化
2021/05/11

輸入車ディーラーのファミリーは11日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。創業家出身で同社専務の清水貴志氏が設立したTSホールディングス(千葉市)がMBOの一環としてTOB(株式公開買い付け)を行い、全株取得を目指す。買付代金は最大42億313万円。ファミリーはTOBに賛同している。TOBが成立すれば、ジャスダック上場が廃止となる見通し。少子高齢化や若者の車離れなどで国内自動車市場が縮小に向かう中、中長期的な経営戦略と迅速な意思決定体制をつくるためには非公開化が望ましいと判断した。

TSホールディングスはファミリー株を1株につき750円で買い付ける。TOB公表前日の終値553円に35.62%のプレミアムを加えた。買付予定数は560万4176株で、買付予定数の下限は所有割合67.34%にあたる377万4089株に設定した。創業家の資産管理会社などが保有する29.61%分についてはTOBに応募が決まっている。

買付期間は5月12日~6月22日。決済の開始日は6月29日。公開買付代理人は野村証券。

ファミリーは千葉県を地盤とし、欧米の複数ブラ ンドの正規ディーラーとして新車、中古車、自動車の部品・ 用品の仕入れ・販売、修理を展開する。多角化事業として、不動産の販売、マンション、ビジネスホテルなどの賃貸、太陽光発電事業を手がける。会社設立は1973年で、1988年に株式を店頭登録(現ジャスダック上場)した。

ENEOSホールディングス<5020>、JSR<4185>からエラストマー事業を買収
2021/05/11

ENEOSホールディングスは11日、JSRからタイヤ素材のエラストマー事業を2022年4月をめどに買収すると発表した。世界的な自動車需要の拡大に加え、タイヤはガソリン車から電気自動車(EV)への移行など動力源や形態の変化にかかわらず必要と見込まれることから、エラストマー事業は今後も確実に成長が期待できる分野と判断した。買収金額は企業価値1150億円をベースに純有利子負債、運転資本などを調整したうえで確定する。

エラストマー事業は低燃費・高性能タイヤのトレッド(路面との接地面)の原材料として欠かせないSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)を主力製品とする。JSRがエラストマー事業を会社分割して設立する新会社「日本合成ゴム分割準備株式会社」(東京都港区)に移管したうえで、ENEOSホールディングスは傘下のENEOSを通じて新会社の全株式を取得する。

JSRから買収する当該事業の2021年3月期業績は売上高1431億円(前期は1787億円)、部門損益114億円の赤字(同17億5800万円の赤字)。

JSR、早期退職優遇制度に128人応募
2021/05/10

JSRは10日、エラストマー事業で実施した早期退職優遇制度に128人の応募があったと発表した。40歳以上勤続3年以上の社員を対象に4月19日~30日に募った(退職日は6月30日)。応募は100人程度としていた募集人数を上回った。エラストマー事業はJSRの基幹部門で、自動車タイヤを主要需要先とするが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売が落ち込み、部門赤字が拡大している。

J.フロント リテイリング<3086>、雑貨専門店事業子会社のヌーヴ・エイを投資会社のリブラインベスコに譲渡
2021/05/10

J.フロント リテイリングはファッションビル子会社のパルコの傘下で雑貨専門店事業を手がけるヌーヴ・エイ(東京都渋谷区。売上高119億円、営業利益△8億7200万円、純資産△2億2600万円)の全株式を、投資会社のリブラインベスコ(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。グループ内の構造改革のスピードを上げ、経営資源を主力事業や成長分野に集中する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年6月30日。

ヌーヴ・エイは雑貨専門店を中心に全国のパルコ店舗のほか、ショッピングセンターなどに出店してきた。しかし、専門店を取り巻く環境変化や競合激化などで厳しさが増していたうえ、足元では新型コロナウイルス感染の影響で業績が低迷していた。

プロトコーポレーション<4298>、広告関連子会社のプロトメディカルケアをベネッセホールディングス<9783>に譲渡
2021/05/10

プロトコーポレーションは、介護・福祉・医療分野の広告関連事業を手がける子会社のプロトメディカルケア(東京都千代田区。売上高38億4000万円、営業利益1億7700万円、純資産18億9000万円)の全株式を、ベネッセホールディングスに譲渡することを決めた。事業構成の選択と集中の一環。プロトコーポレーションは2009年にMedical CUBIC(現プロトメディカルケア)を子会社化したが、グループの主力事業である自動車・生活関連部門との相乗効果を十分に引き出すまでにはいたっていなかった。譲渡価額は42億5000万円。譲渡予定日は2021年6月1日。

日本板硝子<5202>、バッテリーセパレーター事業を米国ENTEKに譲渡
2021/05/10

日本板硝子は、バッテリーセパレーター(絶縁体)事業を米国ENTEK Technology Holdings LLC(オレゴン州)に売却することを決めた。会社分割して設立した新会社「日本板硝子コンパス」(岐阜県垂井町)の全株式を、ENTEKが今後設立する日本法人ENTEK Japan(仮称)に譲渡する。譲渡対象には鉛蓄電池用プラスチックケース・蓋を製造する日硝加工(津市)、バッテリーセパレーターを製造する中国子会社の天津日硝玻璃繊維有限公司(天津市)の両社が含まれ、これらを合わせた当該事業の直近売上高は79億5000万円。譲渡価額は非公表。譲渡予定は2021年8月。

譲渡先のENTEKは鉛蓄電池用セパレーターとリチウムイオン電池用セパレーターの有力メーカーで、日本板硝子とはインドネシアで合弁事業を手がけ、かねて緊密な関係にある。日本板硝子はENTEK Japanの一部株式を保有する予定。

ミサワホーム、子会社のミサワホーム中国<1728>をTOBで完全子会社化
2021/05/10

ミサワホームは、住宅販売連結子会社(所有割合72.17%)のミサワホーム中国にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。

ミサワホームの地域販売子会社は、2000年代初めには8社が上場していた。近年は市場環境の変化やグループとしての経営戦略上の重要施策への迅速な対応を目指して上場廃止を進めており、残る上場企業はミサワホーム中国のみとなっていた。

ミサワホーム中国は本TOBに賛同の意見を表明し、株主に応募を推奨している。本TOBが成立すれば、同社の東証JASDAQスタンダード市場の上場は廃止となる。

買付価格は1株当たり320円で、公表前営業日の終値266円に対して20.30%のプレミアムをつけた。買付予定数は363万3626株。買付代金は約11億6200万円。買付期間は5月11日から6月21日まで。公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、復代理人はauカブコム証券。決済開始日は6月28日。

UACJ<5741>、アルミ押出製品の中国子会社を中信集団公司傘下の2社に譲渡
2021/05/10

UACJは、中国でアルミ押出製品を製造する100%子会社の日鋁全綜(天津)精密鋁業有限公司(UEXTJ、天津市)の株式60%を、中国中信集団公司傘下の中信渤海アルミ控股有限公司(河北省秦皇島市)と中信ダイカスタル股份有限公司(同)に譲渡することを決めた。構造改革の一環として合弁運営に切り換えるのが目的。譲渡価額、譲渡予定日は非公表。

UACJは2005年に自動車熱交換器用アルミ押出形材の製造・販売を目的にUEXTJを設立。今回、UEXTJ株式の譲渡先となる中信渤海アルミと中信ダイカスタルとは2019年に、戴卡優艾希杰渤鋁汽車零部件有限公司 (河北省)を設立し、自動車向けアルミニウム部品を共同で製造・販売する関係にある。

SKIYAKI<3995>、SKIYAKI LIVE PRODUCTIONを創業者・元会長の伊藤一臣氏に譲渡
2021/05/10

SKIYAKIは、ライブ・コンサートを中心にO2O(オンラインツーオフライン)事業を手がける子会社のSKIYAKI LIVE PRODUCTION(SLP、東京都渋谷区。売上高10億2000万円、営業利益△5200万円、純資産7700万円)の株式51.7%を、SLPの前身企業の創業者で元会長の伊藤一臣氏に10日付で譲渡した。譲渡価額は非公表。新型コロナウイルス感染拡大の影響でライブ・イベントが相次いで中止・延期されたことで、急激な業績悪化に見舞われている。当該事業を熟知する伊藤氏に経営を託し、再建の実効性を高める。SKIYAKIは引き続き35.4%の株式を保有する。

亀田製菓<2220>、米粉パン製造のタイナイを子会社化
2021/05/08

亀田製菓は、米粉パンを製造・販売するタイナイ(新潟市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。亀田製菓は食品事業の一つとして28品目アレルギー対応の米粉パンを生産しているが、今後の市場拡大に備え、体制整備を検討していた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月1日。

タイナイは青果物卸売業を中心に事業展開し、近年のアレルギー対応への意識の高まりを受けて米粉パン事業に進出。現在、アレルゲン特定原材料など28品目不使用の米粉パンを生産する。タイナイは青果物卸売業を切り離して新会社に継承させ、亀田製菓は会社分割後の米粉パン事業を主体とするタイナイの全株式を取得する。米粉パン事業の直近売上高は1億7300万円。

フルサト工業<8087>とマルカ<7594>、10月1日に経営統合
2021/05/07

フルサト工業とマルカは7日、10月1日に経営統合すると発表した。共同持ち株会社「フルサト・マルカホールディングス」を設立し、フルサト工業とマルカを傘下に置く。機械技術商社として業容拡大と競争力向上を目指す。具体的には工作機械の取扱規模の拡充、ロボットを用いた自動化ラインの提案力強化、海外市場開拓の促進などを推し進める。

両社は大阪市に本社を置く。直近売上高はフルサト工業894億円、マルカ532億円で、単純合計で1400億円超となり、1000億円の大台を一気に突破する。フルサト工業は1959年設立で、鉄骨建築資材を主力とするが、近年は機械・工具、セキュリティー分野に力を注いでいる。一方、マルカは1946年に設立し、産業機械、建設機械を主力とする。

株式移転比率はフルサト工業1:マルカ1.29。フルサト工業1株に共同持ち株会社の1株を、マルカ1株に共同持ち株会社の1.29株を割り当てる。

フルサト工業は6月下旬に定時株主総会、マルカは7月中旬に臨時株主総会を開き、経営統合を諮る。統合新会社の会長に飯田邦彦マルカ社長、社長に古里龍平フルサト工業社長が就任する予定。

ウィザス<9696>、心理トレーニングのアンガーマネジメントを子会社化
2021/05/07

ウィザスは、「怒り(アンガー)」の感情をコントロールする心理トレーニングを手がけるアンガーマネジメント(東京都港区。売上高3億5000万円、営業利益1億300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。総合教育サービス会社として事業領域を拡大する狙い。社会環境が多様化・複雑化する中、企業や学校、医療・福祉などの現場で「怒り」にかかわるアンガーマネジメント需要が高まると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年5月19日。

ウィザスは学習塾事業や幼児・学童英語事業、ICT(情報通信技術)教育・能力開発事業、ランゲージサービス事業など幼児から社会人、シニア、外国人と幅広く教育サービスを展開する。今回、新領域としてアンガーマネジメントを取り込む。

インベスコ投資法人、米スターウッドのTOBに「反対」表明|対抗買い付けの要請も
2021/05/06

国内不動産投資信託(REIT)のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(IOJ)は6日、同社の非上場化を目的に米投資会社のスターウッド・キャピタル・グループが実施中のTOB(株式公開買い付け)について反対を表明した。「当社の価値ないし投資主の共同の利益を毀損する可能性が高い」などとしている。これにより、今年4例目、国内REITでは初となる敵対的TOBが確定した。

さらにIOJは同日、投資法人のスポンサーである米インベスコ・グループに対し、敵対的TOBに対抗するための買い付けを要請したと発表した。要請内容によると、買付期間は5月7日からスターウッドによるTOBの期限である5月24日までで、IOJ投資口の買い付けは東京証券取引所における市場買い付けや要請先が適切と認める方法で行われる。

IOJは上場を維持することで、投資主にIOJの今後の成長と長期安定的な配当を享受していただきたい、としている。

要請先はインベスコ・グループ傘下のインベスコ・インベストメンツ(バミューダ)リミテッドで、現在、IOJ投資口を3.06%所有する。買付規模は明らかでない。スターウッドによるTOBが延長された場合には、買い付けの要請期間もTOB期間の末日までとする。

スターウッドは4月7日、傘下の投資ファンド5者を通じてTOBを始めた。買付価格は投資口1口につき2万円。発行済みの全投資口の取得を目指しており、買付代金は最大1665億円。買付予定数の下限は所有割合3分の2超。TOBが成立すれば、IOJは上場廃止となる見通し。IOJ側はかねて「何らの連絡もなく、一方的かつ当然に行われた」などとして反発していた。

インベスコは米インベスコ・グループがスポンサーで、都内を地盤にオフィスビルを中心に投資物件を持ち、2020年12月末時点の取得価格合計は2258億円。東証REIT市場への上場は2014年。

ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>、ITコンサルティング事業などのグローステクノロジーズから一部事業を取得
2021/05/06

ヒューマンクリエイションホールディングスはシステム開発子会社のアセットコンサルティングフォース(東京都千代田区)を通じて、ITコンサルティング事業などを手がけるグローステクノロジーズ(東京都港区)の一部事業を取得することを決めた。システム開発の最上流工程であるコンサルティング・要件定義に関する受託事業の強化につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年6月1日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

貸家建築のため既存建物を取壊した場合の取壊し損失等に係る所得税の取扱い

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い①

■譲渡所得の計算上、概算取得費を適用すべき場合、取得費を推定できる場合

 

 

 

 

個人が貸家の新築のため、既存の建物を取壊す場合があります。この場合、建物の取壊しにより生じた損失等に係る所得税の取扱いは、その建物が貸家かその個人の自宅であるかにより、以下のようになります。

 

1.貸家を取壊した場合の取壊し損失等の取扱い


(1)貸家について生じた損失の必要経費算入

貸家の取壊しや除却等により生じた損失(以下「資産損失」といいます。)の金額については、その損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。この場合において、貸家の取壊し時における不動産の貸付けが事業的規模であるのか、事業と称するに至らない規模(以下「業務的規模」といいます。)であるかどうかにより、必要経費に算入できる金額が次の通り異なります。

 

①その貸付けが事業的規模の場合
その資産損失及び取壊しに要した費用の全額が必要経費に算入されます(所得税法(所法)51条1項)。不動産所得の金額の計算上、控除しきれなかった損失の額は、給与所得など他の所得の金額との損益通算ができ、青色申告の場合には純損失の繰越控除の適用を受けることができます(同69条、70条)。

 

②その貸付けが業務的規模の場合
その資産損失の額のうち、その取壊し年分の不動産所得の金額(その資産損失を控除する前の金額)を限度として、必要経費に算入されます(所法51条4項)。ただし取壊しに要した費用は資産損失ではないので、その貸付けの規模にかかわらず、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用として全額が必要経費に算入できます(同37条)。

 

(2)損失の金額の計算の基礎とされる資産の価額

不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入される貸家の資産損失の額は、その貸家の未償却残高を基に計算されます。この場合の未償却残高とは、貸家の取壊し等の日にその貸家の譲渡があったものとみなした場合における、貸家の取得費とされる金額とされます(所法38条1項、2項1号、所法施行令(所令)142条1号)。

 

また、貸家など減価償却資産を年の中途で譲渡した場合、その年分の償却費の取扱いは納税者が譲渡所得の金額の計算上取得費に含めるか、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入するかのいずれかを選択できます(所得税基本通達(所基通)49−54)。この取扱いは、資産損失の金額の計算においても同様に適用されます。

 

したがって、不動産所得の金額の計算上、貸家に係る資産損失の計算の基礎とされる未償却残高は、納税者の選択により、次の①又は②の取扱いとなります。

 

①その貸家に係る償却費を不動産所得の必要経費に算入した場合は、その貸家の取壊し日時点における未償却残高となります。
②①以外の場合は、その貸家の取壊し年の前年12月31日時点における未償却残高となります。

 

(3)「事業的規模」に該当するかどうかの判定基準

前述(2)において、不動産の貸付けが事業的規模かどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかにより、実質的に判断されます。

 

ただし建物の貸付けについて、次のいずれかの基準に当てはまる場合は、原則、事業として行われているものとして取扱われます(所基通26−9)。

 

①貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。
②独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

 

 

2.自宅を取壊した場合の取壊し損失等の取扱い


自宅として使用していた建物の取壊しは、家事上の資産を任意に処分したものと考えられます。このため、その取壊しが貸家に係る事業又は業務を開始するためであっても、その取壊しによる損失の額及び取壊しに要した費用の額は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入できません。

 

また、自宅の取壊しによる損失及び取壊しに要した費用の額は、貸家の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額や、貸家を業務の用に供するために直接要した費用の額に該当しないため、貸家の減価償却計算の基礎とされる取得価額に算入することはできません(所令126条1項2号)。

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/05/17)より転載

[わかりやすい!! はじめて学ぶM&A  誌上セミナー] 

第7回:財務デューデリジェンス ~貸借対照表分析とは?~

 

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 清水寛司

 

〈目次〉

1.貸借対照表分析とは

①財務デューデリジェンス

②貸借対照表分析

2.具体例:現預金

①気になる点はどこ?

②実施手続

3.具体例:売上債権

① 売上債権の気になる点は?

②実施手続

4.具体例:棚卸資産

①棚卸資産の気になる点は?

②実施手続

 

 

第6回目ではM&Aの場面でどのようなデューデリジェンスが行われるのかを見ていきました。第7回目となる今回は「財務デューデリジェンス」に焦点をあてます。財務諸表といえば「貸借対照表」と「損益計算書」が中心ですが、今回はその中でも「貸借対照表」に照準を絞って見ていきましょう。

 

 

▷関連記事:財務デューデリジェンスにおいて事業計画をどのように分析するのか?

▷関連記事:財務デューデリジェンス ~損益計算書分析はなぜ必要か?(正常収益力、EBITDA、事例で確認してみよう)~

▷関連記事:財務デューデリジェンス「損益項目の分析」を理解する【前編】~正常収益力の分析、事業別・店舗別・製品別・得意先別等損益の分析、製造原価の分析~

 

 

1. 貸借対照表分析とは


① 財務デューデリジェンス

財務といえば「貸借対照表」と「損益計算書」の2つを思い浮かべる方が多いですね。会社の財産を示す貸借対照表と、会社のもうけを示す損益計算書は非常に重要な財務に関する書類です。

 

読者の皆様が概要だけ知っている会社をM&Aで購入するとします。財務面で最も気になるのは相手会社の「貸借対照表」「損益計算書」に問題があるかどうかではないでしょうか。財務デューデリジェンスは、主に「貸借対照表」と「損益計算書」を分析し、問題がないかを確認していくこととなります。

 

② 貸借対照表分析

貸借対照表分析に当たっては、バリュエーションを見据えた「ネットデット分析」と企業の財務諸表に問題がないかを確認する「純資産分析」が行われることが多いです。

 

バリュエーションで株主価値を算出する際、事業価値から控除するネットデットの内容を確認することがネットデット分析です。

 

一方、純資産分析は企業の実態純資産がどの程度あるかを把握する分析です。

 

ネットデット分析はやや専門的で、入門には難しい内容となりますので、本稿では直感的に分かりやすい純資産分析を取り上げます。

 

「貸借対照表」の中でも、皆様に馴染みのある「現金預金」「売上債権」「棚卸資産」といった資産科目に焦点をあてて、具体例を交えつつご説明します。

 

財務デューデリジェンスは多くの専門的要素が絡む複雑な調査ですが、本記事ではどのようなことをやっているのかイメージがつきやすいよう噛み砕いてご説明しますので、少しでも財務デューデリジェンスについて具体的なイメージになっていただけると幸いです。

 

2. 具体例:現預金


①気になる点はどこ?

帳簿上の現金預金期末残高が10,000千円あるとします。読者の皆様が買い手の立場であるとして、どのような点が気になるでしょうか。

(貸借対照表はある一時点の資産を表すストック数値ですので、基本的には調査対象期間の末日の数値について検証します。)

 

<帳簿上の現金預金>

 

 

<気になる点>

もちろん、実際に現金預金があるか(現金預金が実在しているか)が一番気になる点ですね。

そのため、帳簿上の預金残高について、銀行の残高証明書や預金通帳で残高がきちんとあるかを確認します。

② 実施手続

通常であれば帳簿上の預金残高と銀行の残高は一致するはずです。年度末であれば正確に一致させている会社がほとんどですが、財務デューデリジェンスは年度末を基準日とすることは少なく、調査開始直近の月末を基準日とすることが多いです。月次では預金残高を合わせていない会社もあり、時たまズレが生じているのを見かけます。

例えば、以下の通り相違していました。

 

 

相違金額500千円の内容が分かれば適切な勘定科目に振り替えますが、内容が分からない際は資産を減額します。

 

帳簿上は現預金が10,000千円あるものの、実際には9,500千円しかありませんでした。この結果をDD上反映することとなります。

 

このように、科目毎に「気になる点」(現預金で言えば実際にあるかどうか)を確認し、実態の純資産がいくらかを考えていくのが、財務デューデリジェンスにおける実態純資産分析です。

 

3. 具体例:売上債権


① 売上債権の気になる点は?

売上債権は、売掛金や受取手形等営業取引から獲得した金銭債権です。では、売掛金を見てどのような点が気になるでしょうか。

 

<帳簿上の売掛金>

 

 

<気になる点①>

まず気になるのが、貸倒引当金▲1,000が適切かどうかです。貸倒引当金は、売掛金が貸し倒れるリスクを見積もって金額に落とし込む勘定科目です。そのためリスクの見積方法によって金額にばらつきが生じます。中小企業であれば法人税法に則って貸倒引当金を計算していることが多いですが、財務DDでは実際に貸し倒れる可能性のある金額を可能な限り見積って反映させますので、貸倒引当金の金額は確認が必要です。

 

例えば、官公庁向け売上であれば貸し倒れるリスクはほとんどないですし、業績が悪い企業への売上であれば貸倒リスクは高いといえます。

 

<気になる点②>

次に気になるのが、この売掛金は本当にあるのかどうか、当期に計上してよいのかどうかです。

業績を良く見せるために手っ取り早いのが「当期の売上を増やす」ことです。売上が増えれば当然売掛金も増えますから、売掛金の金額に問題ないかを確認することは不正の有無を確認する上でも非常に重要です。

 

例えば架空の売上を計上して業績を良く見せたとします。架空ですから当然入金がないため、売掛金は残り続けますね。このような売掛金に資産価値はありません。

 

3月決算の会社において、4月の売上を3月に発生したことにすれば、当期の業績は良く見えることとなります。この方法は将来入金がなされる点で架空売上とは異なりますが、実態より資産価値が高い(売掛金が多く計上されている)状態となっていますので、会社を買う側からすると実態より高く買ってしまうことに繋がります

 

このような期ズレ(正しい期間に収益が計上されていない)も投資判断を歪ませますので、注意が必要です。

 

② 実施手続

上記の気になる点を確認するために、様々な手法を使用します。

 

趨勢分析、取引内容や取引条件の把握、契約書や請求書、入金証憑の閲覧、年齢調べ、回転期間分析等がありますが、ここでは分かりやすい「回転期間分析」を例としてみましょう。

 

買収予定の会社の主要顧客として、A社(売掛金残高10,000千円)とB社(売掛金残高25,000千円)があります。どちらも契約上は月末締め翌月末払いの相手先です。残高だけを見ても何も分からないので、年間売上高を使用して回転期間を求めてみると、以下表の通りです。

 

<売上債権の回転期間分析>

 

 

回転期間とは、売掛金等の営業債権計上後、回収されるまでの期間を示す指標です。月末締め翌月末払いですから、回転期間は通常30日から多くて60日程度になるはずです。

 

A社は回転期間が36.5日と特段異常はありませんが、B社は回転期間が60日を超えていますので、何かありそうですね。60日近辺ですので、取引の関係上月初に全ての売上を計上している可能性もありますし、前述した期ズレや架空計上の可能性もあります。

 

その後B社について追加調査を行うことで、その内容を把握することができますね。

 

今回は、M&A前に売上を良く見せようと翌期の売上10,000千円を当期に回していたことが分かったとします。この結果をDDに反映させることとなります。

 

 

 

4. 具体例:棚卸資産


① 棚卸資産の気になる点は?

棚卸資産は営業目的で保有する在庫のことで、製品や仕掛品、半製品、原材料の総称です。

 

<帳簿上の棚卸資産>

 

 

<気になる点>

棚卸資産についても売上債権と同様に、その在庫が実在しているか、在庫価額は適切か、期間配分は正確かというところが主に着目するポイントです。

 

一般的な製造業のDDにおいては、まず原価計算や在庫管理がどのように行われているかを把握します。例えば材料費のみが集計されていて、製造に直接関係する人件費等は集計されていない(販売管理費として期間費用処理されている)ことは多いです。

 

外注先があるケースや預け在庫・預り在庫があるケースも多く、原価計算や在庫管理の方法は第一に把握すべきところです。

 

② 実施手続

実際に行う手続としては、売上債権と同じく趨勢分析、取引内容や取引条件の把握、契約書や請求書、入金証憑の閲覧、回転期間分析、年齢調べ等があります。

今回は「年齢調べ」を例としてみましょう。

 

会社は4種類の製品A~Dを保有しており、それぞれ在庫が入庫されてからの期間が以下の通りであるとします。

 

<在庫年齢調べ>

 

 

製品Aは1か月以内に売却されている一方、製品Bは6ヶ月保有しているものがあることが分かります。相手先との関係から常に在庫を保有し続けている場合もありますので、製品Bはそのような製品なのかもしれません。

 

最も気になるのは製品Dですね。1年超のものが3,000千円あり、明らかに滞留していることが確認出来ます。

 

そこで、製品Dについて追加調査を行うことで、その内容を把握します。

 

例えば他社の完成品における重要な補修部品であり、完成品の保証期間中一定量を保有し続けなければならない製品かもしれません。または新しいモデルが販売されたことによる型落ち品であり、今後の販売見込が立っていない不良在庫かもしれません。

 

今回は、今後の販売見込が立っていない不良在庫であることが分かりました。一切販売が見込まれないと確認が取れましたので、実態をはかる上では全て評価減とします。

 

<帳簿上の売掛金>

 

 

 

[今回のPoint]

事例のように、実態純資産分析においては各科目について気になる点を考え、様々な手法を用いて実態はどうなっているかを1つ1つ確認していくこととなります。

 

 

 

漠然とした財務デューデリジェンスに対するイメージが、少しでも具体的になっていただけたでしょうか。次回は損益計算書分析について見ていきましょう。