[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年4月18日)

-以下のM&A案件(8件)を掲載しております-

 

 

 

●【無借金経営/5期連続黒字/特許保有】特殊技術を有するエクステリア資材メーカー

[業種:エクステリア資材メーカー/所在地:中部地方]

●JFL所属のプロサッカーチーム

[業種:プロサッカーチーム/所在地:非公表]

●【関東圏】全国に外注専属職人を抱え、年間工事実績多数。毎期安定した受注を確保。

[業種:建築工事業・リフォーム工事業/所在地:関東地方]

●老舗ポストプロダクション業

[業種:ポストプロダクション事業/所在地:関東地方]

●関東地方でイタリアンレストランを中心に20店舗以上展開する飲食店

[業種:飲食業/所在地:関東地方]

●寒冷地で培った高気密・高断熱性能に強みを持つハウスメーカー

[業種:木造建築工事業/所在地:北海道地方]

●【 応対品質・通販知見の高い】コールセンター

[業種:コールセンター業務/関東地方]

●【地場老舗企業】少量多品種の水産加工品を取り扱う仲卸企業

[業種:生鮮魚介卸売業/北海道地方]

 

 

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案件No.SS012446
【無借金経営/5期連続黒字/特許保有】特殊技術を有するエクステリア資材メーカー

(業種分類)製造業
(業種)エクステリア資材メーカー
(所在地)中部地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)エクステリア資材のファブレスメーカー 毎期安定して利益を計上 無借金経営

 

〔特徴・強み〕

◇付加価値の高い商材を有し、高い利益率を誇る
独自の特許を保有

 

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案件No.SS012408
JFL所属のプロサッカーチーム

(業種分類)娯楽・スポーツ
(業種)プロサッカーチーム
(所在地)非公表
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)サッカーチームの運営の他、インターネット広告事業を展開

 

〔特徴・強み〕

◇サッカーチームの運営の他、インターネット広告事業を展開
◇オーナーチェンジ案件

 

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案件No.SS011758
【関東圏】全国に外注専属職人を抱え、年間工事実績多数。毎期安定した受注を確保。

(業種分類)建設・土木
(業種)建築工事業・リフォーム工事業
(所在地)関東地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)100名超
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)【関東圏】全国の工事実績多数。大手メーカーから毎期安定した受注を確保。

 

〔特徴・強み〕

◇全国(北海道~九州)の工事に対応可能で知名度高い優良企業。
◇戸建、アパート、大型工事(老人ホーム、倉庫等)まで幅広く対応可能。
◇太陽光パネル設置工事も可能なため、今後さらなる成長が見込まれる。

 

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案件No.SS011328
老舗ポストプロダクション業

(業種分類)IT・ソフトウェアグ
(業種)ポストプロダクション事業
(所在地)関東地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)テレビCMやミュージックビデオ、映画などの映像作品が撮影された後の全ての工程を担当し、完成原版を作成するまでのサービスを提供。

 

〔特徴・強み〕

◇撮影から映像編集、音声ミックス、CG/VFXなどのトータルサービスの提供。
◇Netflixなどの高い技術レベルの要求に対応できる、数少ない会社である。
◇最新鋭の設備とハイレベルのテクニカルスタッフ。

 

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案件No.SS009986
関東地方でイタリアンレストランを中心に20店舗以上展開する飲食店

(業種分類)外食・食品関連
(業種)飲食業
(所在地)関東地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)ロードサイド店を中心にイタリアンレストランを展開。

 

〔特徴・強み〕

◇手頃な値段でコストパフォーマンスが高いと口コミで評判。
◇コロナ禍においてもNetCash500百万円超あり、財務良好が企業。

 

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案件No.SS009192
寒冷地で培った高気密・高断熱性能に強みを持つハウスメーカー

(業種分類)建設・土木
(業種)木造建築工事業
(所在地)北海道地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)注文住宅の設計・施工

 

〔特徴・強み〕

◇断熱効率の高い家づくりに強み
◇自社ブランドを展開し当地での知名度の高い企業
◇若年層からの引き合い強く施工棟数は増加基調を維持

 

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案件No.SS008386
【 応対品質・通販知見の高い】コールセンター

(業種分類)人材派遣・アウトソーシング
(業種)コールセンター業務
(所在地)関東地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)高品質のコールセンター事業を展開

 

〔特徴・強み〕

◇通販事業の知見も高く、在籍する従業員全ての事務処理能力が高いことも特徴
◇取引先は全社大手企業であり、安定した受注基盤を保有

 

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案件No.SS007588
【地場老舗企業】少量多品種の水産加工品を取り扱う仲卸企業

(業種分類)商社・卸・代理店
(業種)生鮮魚介卸売業
(所在地)北海道地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)水産加工品卸売業

 

〔特徴・強み〕

◇数百種類の加工品を取り扱う老舗企業
◇取引先は仲卸企業や飲食店、一般消費者に分散
◇競りに参加する資格である買参権を保有

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年4月11日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

 

 

●関東地方で一般雑貨を中心に、幅広い輸送業務を担う運送業者

[業種:一般貨物自動車運送業/所在地:関東地方]

●携帯・通信機器販売に強い販売支援、人材派遣企業

[業種:労働者派遣業/所在地:関西地方]

●「水を使わない」「特別な菌」は不要のバイオトイレ開発会社

[業種:その他製造業/所在地:東日本]

●アウトバウンド主体のコールセンターを中心に事業を展開

[業種:インターネット利用サポート業/所在地:関西地方]

 

 

 

 

 

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案件No.SS011708
関東地方で一般雑貨を中心に、幅広い輸送業務を担う運送業者

(業種分類)物流・運送
(業種)一般貨物自動車運送業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)一般貨物自動車運送業。

 

〔特徴・強み〕

◇一般貨物自動車輸送を手掛け、拠点間輸送やスーパー店舗のルート配送などを行う。
◇関東一円を配送エリアとする。
◇大手物流会社を中心に受注基盤を築いている。

 

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案件No.SS011643
携帯・通信機器販売に強い販売支援、人材派遣企業

(業種分類)人材派遣・アウトソーシング
(業種)労働者派遣業
(所在地)関西地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)人材派遣・セールスプロモーション業

 

〔特徴・強み〕

◇大手企業からの受注実績多数。
◇携帯販売や通信機器、セキュリティソフト等の販売員派遣に強みを持ち、多くの実績、ノウハウを蓄積。
◇売り場への人材派遣のみならず、売り場をコントロールするマネージャー人材の派遣も行う。

 

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案件No.SS011332
「水を使わない」「特別な菌」は不要のバイオトイレ開発会社

(業種分類)製造業
(業種)その他製造業
(所在地)東日本
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)バイオトイレの開発・製造販売 電気製品の販売

 

〔特徴・強み〕

◇多数の受賞歴に加え、国内外での複数技術特許を保有。
「水の環境問題」「断水時や災害時のトイレ問題」といった社会課題を解決。

 

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案件No.SS011165
アウトバウンド主体のコールセンターを中心に事業を展開。

(業種分類)人材派遣・アウトソーシング
(業種)インターネット利用サポート業
(所在地)関西地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)コールセンター・ECリユース事業

 

〔特徴・強み〕

◇テレマーケティング、コールセンターによる販売業務を手掛け、営業代行事業、EC事業を展開。
◇コールセンター業務の事業拡大を図るためテレアポ人員を増員して対応。
◇自社従業員の効率的な立ち回りから収益性を改善。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

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[解説ニュース]

建物敷地以外の駐車場が貸家建付地として認められる場合

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■土地の地目等は、相続時の利用状況をもとに判断すべきとした裁決

■リストラで借換えた賃貸不動産の借入金の利子が必要経費になる範囲

 

 


1.はじめに


貸家建付地とは、貸家の敷地の用に供されている宅地のことです。その相続税評価は、この土地の自用地としての価額に借地権割合と借家権割合と賃貸割合を乗じて求めた価額を、この土地の自用地としての価額から控除した価額です。

ところで貸家の敷地以外の駐車場スペースが貸家建付地になるかどうかは、相続税に影響が出ます。1筆の土地に建つ賃貸住宅と貸家の居住者専用の駐車スペースなら、その土地全体で貸家建付地と認められますが、駐車スペースが第三者に貸し付けられていると、話が変わってきます。

 

また、同じ事業者に事業用建物の敷地と駐車スペースとして貸し付けた一団の土地でも、契約の仕方によっては、部分的にしか貸家建付地と認められないこともあります。裁決事例からポイントを考えてみます。

 

 

2.認められた事例


最初に認められた事案です。この事案の契約は被相続人が借地人との間で昭和59年2月に、倉庫を建てる目的で約100坪の土地を貸し付ける土地賃貸借契約でした。賃貸借されたのは次のような土地です。

 

 

9111.png

 

 

相続開始時点の現況は、⑴上記土地の東側部分には、倉庫建物(昭61年新築。床面積69.42㎡)が建っており、借地人は、倉庫を漬物の原料及び製造機械の保管に使用。⑵土地の西側部分及び隣地は、その地面に、ロープによって車両18台分の駐車位置が示されるとともに、コンクリート製ブロックの輪止めが設置されており、借地人が一体として月ぎめ駐車場として利用。上記土地には、倉庫の敷地部分と駐車場として利用されている部分の境界を示すものはありませんでした。もっとも倉庫近くの土地は、倉庫建物へ積荷を搬入する車両の駐車場所や転回場所等としても利用していたということです。

 

ただし、土地賃貸借契約は相続開始時点で法定更新されましたが、借地人による一部借地の月ぎめ駐車場への利用変更に関しては契約の変更等は行われていませんでした。相続人は、貸家建付地として評価し相続税申告をしていました。
税務署は、倉庫敷地以外の駐車場部分(214.30㎡)は自用地として評価減なしで評価すべきだとして相続税の更正処分等をしました。賃貸借契約があったとしても「土地に建物の所有という目的が及ぶ範囲とは、おのずと限度があるものであって、建物の所有に通常必要な範囲でなければならない」と考えたためでした。

 

しかし国税不服審判所は、次のことを指摘して、土地全体を貸宅地として借地権価額を控除する評価にすべきと認めました(平成26年7月8日裁決)。ポイントとなった理由は、土地の西側部分は倉庫への積荷の搬入等に通常必要な土地であると認められ、そうすると、倉庫を所有するためには、土地全体が通常必要な範囲であるということでした。

 

 

3.認められなかった事例


次の事例は、被相続人が三角形に近い形の約1500㎡の一団の角地をレンタカー事業者に貸し付けていた事例です。賃貸借契約の内訳は、「現況有姿のまま、貸自動車業務のみの目的として使用すること」を条件とする約1300㎡の駐車場として一時使用する賃貸借契約と、残りの土地約200㎡を店舗用に係る一時使用の賃貸借契約でした。相続人は土地全体を一体として貸家建付地として評価し相続税申告をしていました。

 

ところが税務署は建物の敷地部分以外の部分は賃借権の目的となっている雑種地として評価すべきとして更正処分等を行ったことから、争いとなったものです(平成24年10月10日裁決)。

 

国税不服審判所は、「駐車場としての現況有姿のまま、貸自動車業務のみの目的として使用することのために被相続人が本件法人に貸し付けたものであるところ、賃借権の登記がされた事実はなく、また、賃借権の設定の対価としての権利金その他の一時金の授受もなく、堅固な構築物の所有を目的とするものでもないことから、評価基本通達86《貸し付けられている雑種地の評価》(1)ロに定める貸し付けられている雑種地として評価するのが相当」と判断、その部分には「貸家の敷地の用に供されている宅地」部分がないとして貸家建付地評価を認めませんでした。

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/4/10)より転載

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年4月4日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

 

 

●東南アジア地域で大規模な太陽光発電・売電事業を手掛ける会社

[業種:太陽光発電・売電事業/所在地:海外]

●長年の業歴と実績を誇る、精密機械部品製造・加工会社

[業種:金属製品製造業/所在地:東北地方]

●【自社ブランド確立】自社にて企画・デザイン・設計した住宅設備・生活雑貨等を販売

[業種:その他の建築材料卸売業/所在地:中部地方]

 

 

 

 

 

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案件No.SS012314
東南アジア地域で大規模な太陽光発電・売電事業を手掛ける会社

(業種分類)小売業
(業種)太陽光発電・売電事業
(所在地)海外
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)日照時間の多い東南アジア地域にて、大規模太陽光発電・売電事業を手掛ける。

 

〔特徴・強み〕

◇50万平米以上の広大な土地に大規模なメガソーラー(数十MW以上)を保有している。
◇安定した高い収益性を誇り、残売電期間の想定の累計CFは50億円超を見込んでいる。

 

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案件No.SS012307
長年の業歴と実績を誇る、精密機械部品製造・加工会社

(業種分類)製造業
(業種)金属製品製造業
(所在地)東北地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)業歴60年超を誇る、精密部品・機械部品の製造・加工、産業機械・工作機械の組立製造業。

 

〔特徴・強み〕

◇レーザー加工、板金・製缶加工、切削加工、研削加工、組立・電気配線、ワイヤー放電、塗装関連まで、様々な工程を一気通貫して対応可能。
◇近年半導体製造装置関連の受注が好調にあり、増収基調。

 

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案件No.SS011203
【自社ブランド確立】自社にて企画・デザイン・設計した住宅設備・生活雑貨等を販売

(業種分類)商社・卸・代理店
(業種)その他の建築材料卸売業
(所在地)中部地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)・デザイン性の高い住宅設備(水回り)、生活雑貨(キッチン周り)を取り扱っている卸売事業者。 ・社内にて商品企画、デザイン、設計を行うデザイナーが複数在籍。自社ブランドを確立。 ・洗練されたHP、SNS、ECサイトを展開。

 

〔特徴・強み〕

◇ライフサイクルの長いヒット商品を複数生み出す企画

◇デザイン力
◇確立されたブランドイメージ

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[解説ニュース]

【Q&A】被相続人が法人への土地の賃貸借に際し無償返還の届出書を提出していた場合の相続税評価

 

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■【Q&A】相続開始直前に被相続人が老人ホームに入所していた場合の小規模宅地等の特例の適用

■【Q&A】相続時精算課税の住宅取得等資金贈与の特例に係る贈与者が死亡した場合の相続税の取扱い

 

 

 


【問】

(株)Aの代表取締役の甲が令和5年1月に死亡しました。甲の相続財産中に、その発行済株式の全部を所有していた(株)Aの株式と、生前に甲と(株)Aとの間で締結した土地の賃貸借契約により、(株)Aに借地権が設定された土地Bがあります。甲は、賃貸借契約により(株)Aから毎年土地Bの固定資産税・都市計画税の年額の3倍相当の地代を受けていました。

 

また賃貸借契約に際して、借地人である(株)Aが将来土地Bを無償で地主の甲に返還する旨を記載した「無償返還の届出書」を、(株)Aと甲の連名で甲の所轄税務署長に提出しています。土地Bと(株)Aの株式の全部については、甲の長男で(株)A次期社長の乙が相続の予定です。

 

上記の場合において、甲に係る相続税の計算上、土地Bと(株)Aの株式の評価はどのようになりますか。

【回答】

1.結論


土地Bは自用地評価額から借地権の価額として自用地評価額の20%相当額を控除した残額(=自用地評価額×80%)相当額で評価されます。

(株)Aの株式の評価額の計算上、(株)Aの株式の純資産価額に土地Bの自用地評価額の20%相当額が借地権の価額として算入されます。

2.解説


(1)土地の賃貸借に際し権利金を支払わずに無償返還の届出書を提出した場合の、その土地の相続税評価

 

土地の貸借において、貸主である地主が受取る地代の水準が、その土地の公租公課(主に固定資産税等)相当額を超える場合には賃貸借契約とされ、借地借家法上、借地人に借地権が生じます。

 

土地の貸借に際し権利金を収受する取引上の慣行があるにもかかわらず、借地人である法人と地主との間で権利金の収受が行われず、法人税法施行令137条の「相当の地代」(注)も収受しない場合には、法人税法上、原則として地主から借地人である法人に借地権が贈与されたものと認定され、法人において贈与された借地権の経済的価値の受贈益が益金の額に算入されます(法人税法22条2項)。

 

(注)「相当の地代」とは、権利金の額の収受がない場合に、更地価額(原則として通常の取引価額ですが、公示価格又は相続税評価額も選択できます。)に年6%の地代水準を乗じた額をいいます(法人税基本通達(法基通)13-1-2)。

 

本問の場合、固定資産税及び都市計画税の年額の3倍に相当する地代水準であり、これは通常の場合「相当の地代」に達していないと考えられます。ただし、法人が土地の賃貸借契約により土地を借受ける場合で、権利金を支払わず、かつ支払う地代が相当の地代に満たないときであっても、賃貸借契約書において法人が将来地主に土地を無償で返還する旨を明記し、かつ地主と法人の連名で無償返還の届出書を地主の所轄税務署長に提出したときには、法人税上はその借地権の経済的価値がないものとして取扱われます(法基通13-1-14(1))。

 

無償返還の届出書が提出されている場合、相続税評価上も借地権の価額は0とされます(「相当地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱い(昭60課資2-58、直評9)」5)。しかし、本問のような同族関係者間の取引であっても賃貸借契約が締結され実際に使用されているときは、土地について借地借家法による借地人に対する強い保護と賃貸借契約に基づく利用の制約があります。このため賃貸借契約により借地権が設定されている土地に無償返還の届出書が提出されている場合、その土地の相続税評価額は自用地評価額の80%相当額で評価されます。(同8)。

(2)(株)Aの株式の相続税評価における、土地Bに設定された借地権の相続税評価

 

賃貸借契約に基づき借地権が設定されている土地に無償返還の届出書が提出されている場合、その借地権の価額は上記通達5項により0とされます。 ただし、本問のように被相続人(甲)が同族関係者である同族会社((株)A)に対し土地を貸付けている場合には、土地の評価額が地主個人と借地人の同族会社を通じて100%顕現することが課税の公平上適当と考えられることから、同族会社の株式の評価上、その

 

土地の自用地評価額の20%相当額が純資産価額に借地権の価額として算入されます(前掲通達8後段、「相当の地代を収受している貸宅地の評価について(昭43年直資3-22、直審(資)8、官審(資)30)」)

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/3/28)より転載

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年3月28日)

-以下のM&A案件(5件)を掲載しております-

 

 

 

●患者数増加傾向にある整骨院

[業種:整骨院/所在地:関西地方]

●不動産担保ローンや事業資金の貸金業

[業種:貸金業/所在地:関西地方]

●業歴50年の知名度、歴史のある温泉旅館

[業種:温泉旅館/所在地:関西地方]

●<関東圏内展開>空調・給排水設備、水道土木工事業者

[業種:一般管工事業/所在地:東日本]

●【CG制作会社】映画や配信系ドラマなど、数多くの有名タイトルを制作

[業種:映像・音声・文字情報制作業/所在地:関東地方]

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS012020
患者数増加傾向にある整骨院

(業種分類)介護・医療
(業種)整骨院
(所在地)関西地方
(直近売上高)1億以下
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)鍼灸、整骨院

 

〔特徴・強み〕

◇駐車場完備の大型整骨院1院運営。スケールメリットを活かした集客力が強み
◇毎期患者数順調に増加
◇近隣のクリニックと提携し、診断書・鍼灸同意書を発行してもらえる関係構築出来ている。
◇弁護士とも連携しており、事故患者の取扱いも多い。

 

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案件No.SS011354
不動産担保ローンや事業資金の貸金業

(業種分類)金融・リース
(業種)貸金業
(所在地)関西地方
(直近売上高)1億以下
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)不動産担保ローンや事業資金の貸金業

 

〔特徴・強み〕

◇不動産担保ローンや事業資金の貸金業

 

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案件No.SS011100
業歴50年の知名度、歴史のある温泉旅館

(業種分類)ホテル・旅館業
(業種)温泉旅館
(所在地)関西地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)業歴50年の知名度、歴史のある温泉旅館

 

〔特徴・強み〕

◇業歴50年の知名度、歴史のある温泉旅館
◇バリアフリーに対応した和洋室や露天風呂付客室もある
◇当温泉付近は、幾多の重要文化財が点在している

 

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案件No.SS010989
<関東圏内展開>空調・給排水設備、水道土木工事業者

(業種分類)建設・土木
(業種)一般管工事業
(所在地)東日本
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)関東圏内にてビル、マンション等各種施設の空調・給排水設備工事、及び水道土木工事の請負。

 

〔特徴・強み〕

◇資格者が多く、民間企業・自治体共に強固な受注体制を確立し同業他社比少人数で高利益を実現。
◇財務内容良好、進行期でも増収増益を見込む。

 

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案件No.SS010498
【CG制作会社】映画や配信系ドラマなど、数多くの有名タイトルを制作

(業種分類)IT・ソフトウェア
(業種)映像・音声・文字情報制作業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)CG制作会社。映画や配信系ドラマなど、数多くの有名タイトルを制作

 

〔特徴・強み〕

◇実写のみならず、ゲーム及びアニメーションCGの制作も可能。
◇今期は大型案件を獲得し、増収増益の見込。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年3月23日)

-以下のM&A案件(3件)を掲載しております-

 

 

 

●【財務良好】純正品を取扱う自動車製品卸売業

[業種:自動車製品卸売業/所在地:非公表]

●【5期連続黒字/実質無借金】拘りの品質で高価格帯の建築を得意とするハウスビルダー

[業種:一般住宅建築工事/所在地:関東地方]

●安定した受注基盤を構築する総合ビルメンテナンス業者。業績好調で財務内容も健全。

[業種:ビルメンテナンス業/所在地:関東地方]

 

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS012277
SNSマーケティング会社|上場企業含む顧客企業と100%直商流かつ高単価で運営

(業種分類)商社・卸・代理店
(業種)自動車製品卸売業
(所在地)非公表
(直近売上高)10~50億
(従業員数)100名超
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)全国に営業基盤を有する自動車製品卸売業。自動車メーカーの純正品を取扱っており毎期安定して利益を計上。

 

〔特徴・強み〕

◇自動車メーカーの純正品を取扱う
◇実質無借金経営
◇全国に営業所を展開

 

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案件No.SS011771
【5期連続黒字/実質無借金】拘りの品質で高価格帯の建築を得意とするハウスビルダー

(業種分類)建設・土木
(業種)一般住宅建築工事
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)一般住宅建築工事が主業でファミリー層を中心に顧客を獲得している。併設された売電事業が収益の下支えとなっている。

 

〔特徴・強み〕

◇拘りの品質で高価格帯の建築を得意とするハウスビルダー。
◇創業から100年以上、地域に根差した営業活動を展開。
◇太陽光売電事業も営んでおり、毎期安定的に収益を計上している。
◇後継者不在のため、譲渡を検討。

 

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案件No.SS011550
安定した受注基盤を構築する総合ビルメンテナンス業者。業績好調で財務内容も健全。

(業種分類)ビルメンテナンス
(業種)ビルメンテナンス業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)事務所・店舗・工場等、幅広く清掃業務を手掛ける総合ビルメンテナンス会社

 

〔特徴・強み〕

◇事務所等の一般清掃に加え、食品工場や薬品工場、自動車部品工場等の高所清掃、ダクト清掃、特殊清掃等も幅広く手掛ける。
◇売上の1割程度は清掃機器の販売及び修理が占める。
◇高単価の仕事が多く、長年安定した利益を確保している。
◇対応エリアは北関東を中心に関東全域。

 

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[スモールM&A マッチングサイト活用が成功のカギ]

第14回:売却後の会社との関係

承継後も元社長が会社に残って働くことは可能?

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

 

 

 

質問(Q)


第三者承継により会社を譲る予定です。まだまだ元気なので、動けるうちは承継後も会社に残って働きたいのですが、可能でしょうか。例えば、週3日程度でもいいのですが…。

 

回答(A)


後継者次第ですが、可能です。昨今の人手不足のため、後継者からの希望で、承継後も1年以上仕事を継続しているケースもあります。

また、オーナー経営者にとって「社長」という肩書きが急になくなり環境が変化することは、身体的・精神的に影響が大きいので、承継後の生活をイメージしておくことも大切です。

 

 

 

 

小さな会社の引継ぎ業務のよくあるケース


小さな会社がマッチングサイトを使って後継者を見つけ、承継が成立した後の「引継ぎ業務」のよくあるケースを紹介する。毎日出社してしっかりとした引継ぎを行う期間は、1ヶ月程度であることが多い(技術の承継が必要な場合や全くの異業種からの承継の場合は1ヶ月以上となる)。

 

実際の引継ぎ業務としては、主要な仕事の引継ぎ以外にも「得意先や仕入先などへの挨拶回り」「個々の従業員との面談や過去の経緯の共有」「社内資料の引継ぎ(パソコン内に保存しているデータを含む)」など多岐に渡る。長年経営してきた会社を第三者へ引き継ぐのであるから、様々な項目の引継ぎ業務が発生するのは当然である。

 

また、このような短い期間の必要最小限度の引継ぎでは、オーナー経営者側は無報酬であることが多い。

 

 

 

元社長が会社に残ることを後継者が望むことも…


日本は現在人手不足の状況が続いている。そのため、後継者側からの要望で承継後も元社長が会社に残って働くというケースもよくある。承継後も元社長に仕事を継続してもらうことで、後継者としては、内製化などのシナジーに着手したり、新規営業やホームページの整備などを手掛けたりすることがある。

 

もちろんこのようなケースでは、承継前に報酬を含めた条件について元社長と後継者の相互の同意をとっておくことになる。また、引継ぎ期間の報酬をいくらにするかは税理士などの専門家に相談したうえで慎重に決めることが重要である。

 

 

 

承継後の生活をイメージしよう


ここからは少し余談となるが、オーナー経営者の皆さんは、承継前に是非承継後の生活をイメージしておいてほしい。

 

できれば、「承継後に実現したいこと」などを、家族と相談しておこう。第三者承継をした後というのは、はっきり言って大きく生活が変わる。事例のように承継後も会社に残るという選択をした場合は別であるが、そうでない場合は、朝出社、夕方帰宅という日課がなくなるのである。

 

何も予定がなく、お酒やテレビ三昧となれば、肉体的・精神的に大きな影響がある。また、環境の変化により配偶者と不仲となり、熟年離婚ともなれば、いくら承継がうまくいきお金を手に入れたとしても、財産分与となり、幸せなこととはいえない。他にも、社長という「肩書き」がなくなることも、事前にきちんと理解しておいてほしい。

 

何かを申請などする際に、ふと肩書きがないことに気づき、戸惑ったという話を聞いたことがある。事前に覚悟しておけば、そんなときにも柔軟に対応できるというものだ。

 

 

 

 

 

 

書籍「小さな会社の事業承継・引継ぎ徹底ガイド ~マッチングサイト活用が成功のカギ」より

[会計事務所の第三者承継(M&A)]

第2回:会計事務所M&Aの税務

~事業譲渡に関する税務処理、会計事務所M&Aに関する税務処理~

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 中村大相

 

 

 

 

 

 

会計事務所M&Aは「事業譲渡」で行われます。

税理士法人の持分を譲渡するということも考えられますが、税理士法人の持分は税理士個人が取得するしかない(税理士法人が他の税理士法人の持分を取得することはできない)のと、税理士は2つ以上の税理士法人の社員になることはできないという制限があるため、税理士法人の持分の売買はハードルが高いです。

 

 

1.事業譲渡に関する税務処理


ではまず事業譲渡に関する税務処理について触れたいと思います。

 

(1)個人事業主が事業譲渡する場合

譲渡する資産の種類によって所得の区分が異なります。

 

①土地建物を譲渡した場合の所得は、譲渡所得(分離課税)となります。

なお、土地や建物を譲渡したときの譲渡所得は、次のとおり所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の二つに区分し、税金の計算も別々に行います。

 

 

 

(参考)分離課税の譲渡所得の計算方法

 

 

②事業所得者が商品、製品、半製品、仕掛品、原材料などの棚卸資産を譲渡した場合の所得は、事業所得となります。

 

 

③使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満である減価償却資産(業務の性質上基本的に重要なものを除きます)、取得価額が20万円未満である減価償却資産で、取得の時に「一括償却資産の必要経費算入」の規定の適用を受けたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除きます)を譲渡した場合の所得は、事業所得又は雑所得となります。

 

 

④その他の資産を譲渡した場合の所得は、譲渡所得(総合課税)となります。

 

 

⑤営業権を譲渡した場合の所得は、譲渡所得(総合課税)となります。事業譲渡の対価が資産総額(負債も承継する場合は資産総額と負債総額の差額)を超えた金額は営業権となりますが、この営業権の譲渡は譲渡所得(総合課税)となります。

 

 

 

(参考)総合課税の譲渡所得の計算方法

総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算します。短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその1/2が総合課税の対象になります。

 

 

 

※譲渡所得の特別控除の額はその年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。

 

 

(2)法人が事業譲渡する場合

事業譲渡ですので法人が所有する資産が譲渡され、事業譲渡対価がその資産総額を上回った場合は譲渡益として計上され、法人税等の課税の対象となります。

 

 

 

2.会計事務所M&Aに関する税務処理


(1)会計事務所(個人)の場合

事務所の建物は賃借、机やパソコンは一括資産や少額資産、高額なコピー機はリースという事務所が多いです。会計事務所の資産は事業会社に比べると少ないのであまり論点にはなりません。

会計事務所運営に必要なものは顧問先と従業員です。では会計事務所の顧問先や従業員を引き継ぐ対価は営業権の譲渡、つまり譲渡所得(総合課税)となるでしょうか。

 

 

昭和42年に国税庁が通知した見解では、税理士事務所の顧客を他の税理士等に引き継いだ際の対価は、得意先のあっせんの対価ということで「雑所得」であるとしています。

 

(国税庁サイト)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/670727/01.htm

 

 

また、平成22年には上記の国税庁の見解と同じく税理士事務所を他の税理士に承継した際の対価は雑所得であるという裁決が出ています。

 

 

(国税不服審判所サイト)

https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0206140000.html

 

 

この裁決は、請求人が以下のように主張したことに対するものです。

 

この裁決では税理士事務所の顧客は「一身専属性の高いもの」とされていて、営業権の存在を否定しています。

つまり、会計事務所を譲渡した際の対価は「雑所得」として処理することになります。

 

(2)会計事務所(法人)の場合

1(2)で説明した通り、事業譲渡の対価は譲渡益として計上され、法人税等の対象になります。

 

 

 

 

 

 

【業界別M&A動向】

IT業界の現状と課題について

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(佐々木 翼)

 

 

〈目次〉

1.IT業界の現状について

2.IT業界の課題

①IT人材の不足

②エンジニアの長時間労働

3.最後に

 

 

 

 

1.IT業界の現状について


IT業界は私たちの生活と密接に関わる業界です。

近年、日本ではデジタル化が進み、IT業界の市場規模は拡大し続けています。
最近よく耳にする話として、インターネットで情報を管理するサービスや、機械学習を通して情報を蓄積させるAI、5Gといった技術が開発されています。
こうした先端技術を駆使したサービスの実用化も増えており、IT業界はますます市場を拡大していくと予測されています。

 

特に、新型コロナウイルス感染拡大は、IT業界にも大きな影響を及ぼしました。
日本のみならず、世界中で人と人の接触が制限され、”おうち時間”という言葉が流行し、外出自粛を余儀なくされる中で、テレワークやオンライン通話アプリの普及が進み、これまで以上にオンラインでのやり取りをする機会が増えていきました。

 

その結果、企業と個人が活用するサービスも徐々にIT化が進んでいきました。

企業は積極的なクラウドを活用し、各業界ではDX化の流れが一気に加速しました。
個人においても、家で簡単に商品を購入できるeコマースを活用する機会が増え、長く続くコロナ禍は、ビジネス社会だけでなく、個人の消費行動までオンライン化している現状にあります。

日々加速するデジタル化の中で、IT業界は技術の進化が求められています。環境の変化が激しく、その中で生き残っていくためには社会のニーズや世界のトレンドを的確にとらえ、柔軟に対応していく能力が必要な業界と言えます。

 

 

2.IT業界の課題


昨今、各業界がIT化を進め、IT業界の将来性は明るいという意見が多く見受けられます。

そんなIT業界の課題はどのようなことが挙げられるのでしょうか。

 

①IT人材の不足

1点目の課題はIT人材の不足です。

 

IT業界は近年需要が急拡大しており、IT人材が不足しています。
前述の通り、IT市場の急成長により、多くの企業はクラウド等の新サービスを導入するようになりました。

 

その一方、日本企業は既存のシステムから脱却ができず、既存システムの保守・運用に貴重なIT人材が利用されている現状があります。
その結果、日本では、IT人材の不足という課題が顕著に表れています。

さらに、少子高齢化による労働人口の減少も重なり、深刻な人材不足に陥っています。
少子高齢化による人口減少とIT業界の拡大に伴う人材の不足が同時に起きる中、IT業界の人材不足は益々問題になると予測されます。

 

以下はIT人材の需給に関する推計結果の表になります。

 

 

 

(出典)経済産業省「IT分野について」:IT人材の需給に関する推計結果

 

 

人材不足はIT企業だけではなく、情報システム部門に配属する人材も不足していき、今後IT人材の不足は益々加速していくと経済産業省も予測しています。

最近ではプログラミングスクールを実施する企業やプログラミングに義務教育の開始等、IT人材を増やす流れは出来ていますが、効果が出ているとは言い切れない現状があります。

 

②エンジニアの長時間労働

2点目の課題はエンジニアの長時間労働です。

 

IT業界の需要が拡大する一方で人材不足が引き金となりエンジニアの長時間労働が業界として起きています。
また、人材不足の他にIT業界の構造がエンジニアの長時間労働を起こしている要因の一つにもなっています。

それはIT業界の多重下請け構造です。
大手から案件が下りてきて、その案件を受けた中堅企業が更に中小企業に振り分けるという構造です。

 

 

(出典):ITメディア

 

 

この多重下請け構造は自社では抱えきれない業務量を別の企業に振り、案件を受けた企業も大きい案件に携わることができるメリットがある一方で、デメリットも存在します。

下請け企業が大手から無茶な納期を強いられ、エンジニアが長時間労働を強いられるという点です。これがエンジニアの長時間労働が起きる要因の一つです。

また、ソフトウェア開発では、複数のエンジニアがチームで仕事を遂行する為、業務の進捗管理や製品の品質管理を把握することが難しく、個人の経験とノウハウにどうしても依存してしまいます。また、企画の構成が不十分な場合、その後の作業に影響が出て、時間外労働などが増えて長時間労働へと繋がります。

慢性的な長時間労働を解決する為に、働き方改革を推進することは一つの解決策となります。例として、在宅勤務を推奨することで、通勤時間を削減し、家族やプライベートな時間を確保しやすくすることが挙げられます。

 

 

3.最後に


今回はIT業界の課題について記事をまとめさせていただきました。
IT業界が抱える課題である、人材不足と長時間労働は深刻な問題であることがご理解いただけたかと思います。

IT業界は上記課題を解決する為にM&Aが活発です。

薄利な多重下請け構造からの脱却をしたい。大手傘下に入り経営の安定と人材不足、技術不足を解消したい。新しい技術を取り入れたいという理由が主な理由です。

IT企業のM&Aには専門知識が必要となる為、専門業者に相談することをおすすめします。

 

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年3月14日)

-以下のM&A案件(4件)を掲載しております-

 

 

 

●SNSマーケティング会社|上場企業含む顧客企業と100%直商流かつ高単価で運営

[業種:情報通信業/所在地:関東地方]

●【無借金経営】金属表面処理剤の製造を主とする会社

[業種:化学工業製品製造業/所在地:関東地方]

●デザイン性の高さと企画提案力が魅力の戸建住宅販売業

[業種:不動産売買業/所在地:西日本]

●知名度あり「菓子小売業」

[業種:菓子小売/所在地:非公表]

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS012355
SNSマーケティング会社|上場企業含む顧客企業と100%直商流かつ高単価で運営

(業種分類)IT・ソフトウェア
(業種)情報通信業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)SNSマーケティング

 

〔特徴・強み〕

◇SNS運用の企画立案から撮影~投稿まで一気通貫で対応可能
◇Twitter、Instagram、TikTok等SNS全媒体対応可能
◇100%直商流での取引で実績多数
◇月額制×年間契約で盤石な収益基盤を構築

 

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案件No.SS011623
【無借金経営】金属表面処理剤の製造を主とする会社

(業種分類)製造業
(業種)化学工業製品製造業
(所在地)関東地方
(直近売上高)1~5億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)金属表面処理剤を主とした製造会社

 

〔特徴・強み〕

◇長年の業歴を誇る金属表面処理剤製造会社
◇大口から小口ロット対応することで差別化
◇取引先は分散しており、特定企業への依存度は少ない
◇無借金経営であり、自己資本比率良好

 

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案件No.SS011200
デザイン性の高さと企画提案力が魅力の戸建住宅販売業

(業種分類)住宅・不動産
(業種)不動産売買業
(所在地)西日本
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)分譲・注文住宅の企画・設計・販売を行う不動産業者

 

〔特徴・強み〕

◇デザインと住みやすさを兼ね備えた住宅として評価が高い
◇戸建住宅は分譲地にデザインの統一感を持たせ美しい街並みを形成
◇高級注文住宅の販売実績もあり

 

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案件No.SS008317
知名度あり「菓子小売業」

(業種分類)外食・食品関連
(業種)菓子小売
(所在地)非公表
(直近売上高)5~10億
(従業員数)100名超
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)菓子小売事業を展開。

 

〔特徴・強み〕

◇創業から歴史があり、地元での知名度あり。
◇コロナ渦で業績は影響は受けるものの、回復基調。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[解説ニュース]

不動産購入5か月後、子どもへの贈与で税金トラブル

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■小規模宅地等特例:相続人の継続事業への関与度合いが問われた事例

■土地の地目等は、相続時の利用状況をもとに判断すべきとした裁決

 

 


1、はじめに


財産を次世代に生前贈与する場合には、現金よりも不動産などの現物資産の方が有利といわれています。というのも、課税される対象金額は、現金の場合、その金額100%で評価されるのに、土地なら公示地価レベルの80%で抑制的に評価されるだけでなく、家屋はさらに控え目な固定資産税評価額で評価されるからです。そこで、親が生前に不動産を購入して子どもに贈与することが、節税策として検討されてきました。今回、取り上げるのは、こうした事情を背景に最近、税金トラブルとして浮上した事案です(国税不服審判所裁決令和4年11月4日)

 

2、事案の概要


裁決書によると、事案の概要は次のとおりです。

(1)平成29年11月、父親が不動産を8億7千万円で購入5か月後、子であるAに同不動産を贈与した。

 

(2)Aは、購入価額の2分の1に満たないと見られる「財産評価基本通達(以下、通達という。)に従った評価」で贈与税申告をした。

 

(3)その4年後の令和3年になって、税務当局から実地調査の通知があり、通達6の適用の可否判断する旨の説明があった。

 

(4)Aは、急遽、通達以外の方法で求めた不動産の価額、購入価額の2分の1以上とみられる金額で修正申告した。

 

(5)ところが税務当局は修正申告をもとに、令和4年になって過少申告加算税を賦課決定した。

 

(6)Aは、この間の事情について「調査通知の際、調査担当職員から調査の目的が「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定める通達6 《この通達の定めにより難い場合の評価》の適用の可否判断にある旨の説明を受けたことから、土地建物の評価額が売買価格の2分の1を超えていれば通達6の適用はないと考え、修正申告書を提出したにすぎない」と主張し、Aは皆が平等に利用する通達で評価して当初申告したのに、過少申告加算税をかけるのは酷だとして、国税不服審判所の判断を仰ぐことにした。

 

3、問題の所在


贈与税は、もらった財産の価額に対して課税する税金です。従って、もらった財産が不動産などである場合には、その金銭的価値を見積もる必要があります。

 

そこで登場するのが国税庁の「通達」です。実務上、財産評価のモノサシとなっているからです。しかし、この通達に基づいた財産評価では著しく不適当とされる場合も、出てこないわけではありません。そこで、こうした場合に備えて通達の中に、例外的に、国税庁長官の指示を受けてこの通達の評価方法と異なる評価方法で財産を評価する仕組みを置いています。これが「通達6」です。

 

そうすると上記事例では、納税者であるAが通達に従い不動産を評価して申告したけれども、税務当局は、その評価では著しく不適当となると考えたと推定されます。最高裁は昨年4月、賃貸不動産を多額の借入で購入し相続税を0にする節税策を講じた事案で、通達評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、通達の評価方法以外の評価方法、例えば鑑定評価による評価額を採用してもよいとの考えを明らかにしているからです。

 

実務上の問題点として、相続・贈与時の評価時点と財産の購入・売却時点が近いと取引価額が時価相当と認定されるかどうかという点、その上で通達評価との乖離が著しく、実質的な租税公平に反すると認められる場合には通達6が適用されるかどうかという点が特に気になるところです。しかしこの事案ではその点は問われず、過少申告加算税をかけるのは酷かどうかが争点でした。無論これも深刻な問題をはらみます。

4、 国税不服審判所の判断


国税不服審判所は「評価通達の定める評価方法によって評価し、申告したとしても、通達6の定めにより課税庁から是正を求められることがあるように、評価通達自体が、評価通達の定める評価方法が財産の適正な評価額を求める唯一の方法であることをうたっているものではない(中略)。どのような評価方法を用いるかは納税者の判断と責任に委ねられている」とした上で、当初申告に通達評価を利用せざるをえなかった納税者側でどうにもこうにもしようがない客観的事情はないから、当局が過少申告加算税をかけるのは酷ではないと判断しました。

 

このことを突き詰めれば、納税者は通達評価で是正を求められることが予測できるなら、通達以外の評価方法を選択できるはずで、通達評価を利用したのは納税者自身の主観的事情だと聞こえます。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/3/13)より転載

[スモールM&A マッチングサイト活用が成功のカギ]

第13回:売れる会社の特徴

売れる会社と売れない会社、その分岐点とは?

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

 

 

 

 

 

質問(A)


第三者承継できる会社とできない会社があるようですが、どういったところがポイントなのでしょうか。

 

回答(Q)


後継者候補が現れて上手に第三者承継ができている会社の特徴は、「5つの整理ができている」「再現性がある」「条件が高すぎない」の3つです。

 

 

 

後継者候補が集まりやすい会社の特徴


特別な商品やサービスを扱っていたり、特許を持っていたりなど特徴的な会社は、後継者が見つかりやすいのは確かである。しかし、マッチングサイトを使って後継者候補を探す場合は、あまり特徴がない普通の小さな会社でも、後継者候補が見つかる可能性がある。

 

また、ここまで見てきたように、売上規模が小さくても、赤字や借金があってもマッチングサイトを使った第三者承継では、後継者候補が見つかる可能性は十分にある。その背景には、後継者候補の「数」が増加していることと、後継者候補の「多様化」がある。

 

このようにマッチングサイトにより後継者が見つかりやすくなった状況の中でも、特に後継者候補が集まりやすい会社がある。

 

そのような会社の特徴は次のとおりである。

 

 

● 「5つの整理(株主・書類・資産や負債・私的財産や私的経費・関係会社の整理)」が事前にできている会社

● 社長がいなくてもある程度回っている会社又は再現性がある会社

● 条件が高すぎない会社

 

 

 

再現性のある会社


1つ目にあげた「5つの整理」は、これまでの解説をもう一度確認してほしい。ここでは、2つ目にあげた「社長がいなくてもある程度回っている会社又は再現性がある会社」を確認する。後継者候補の視点は常に、「承継後」にある。承継自体は後継者候補にとっては、スタート地点に過ぎない。承継後にこの会社をどうやって経営していくのか、ノウハウや取引先をどうやって引き継ぐのかなどが重要なのである。

 

承継が済めば、基本的に元社長はその会社からいなくなるが、その時に問題なく会社運営ができるのかが後継者候補の最大の関心事といっていい。承継対象会社が、既に社長抜きでほぼ運営できている場合は、後継者候補にとっては安心だ。この場合は第三者承継とはいえ、トップが代わるだけで、実務はそのまま問題なく継続できるだろう。

 

しかし、小さな会社ではそういった会社はとても少ないのが現実だ。では、一般的な小さな会社が後継者候補に興味をもってもらうためにはどうしたらいいのだろうか。それは、再現性のある会社にすることである。「再現性がある」とは、他の人でも同様の作業ができて、結果が出るような仕組みのことである。具体的には第6回の解説で説明したように、社長が独自にしている業務を、紙に落とし込んでマニュアル化していくのである。

 

 

 

条件が高すぎない会社


特別な商品があり、再現性もある会社なのに、なかなか第三者承継ができない会社がある。なぜであろうか。その理由はズバリ、「条件が高すぎる」のである。これは、小さな会社でも時々ある。たとえ小さくとも特別な商品やサービスがあり、更に再現性のあるような会社では、オーナー経営者自身にとっては自慢の会社である。そうすると、時に、相場とかけ離れた条件を提示してしまい、結果的に後継者候補が現れなくなってしまうのである。こういった時は是非、マッチングサイトに精通したアドバイザーなどの専門家に相談をして、相場観を確認してほしい。そうしないと、取引先も従業員も、オーナー経営者自身も望まない結果となってしまうのだから……。

 

最後は信頼できるかどうか


最後に、「5つの整理」や「再現性」があり、条件も「高すぎない」にもかかわらず、第三者承継ができない会社も実は稀にあるのだが、どんなケースだろうか。 意外と思われるかもしれないが、第三者承継の過程で信頼を醸成できなかったケースである。最終的にお金を支払って全責任を背負うのは、後継者候補である。

 

その後継者候補からみて、オーナー経営者などに対して、「何か隠しているのではないか」という疑念が最後まで払拭できなければ、後継者候補は最終的にお金を支払うことはしないだろう。たとえ資金力や経験豊富な有名企

業が後継者候補として現れても、信頼を相手に抱くことができなければ、雇用の継続や取引先の継続を強く望むオーナー経営者の場合、最終的に会社を引き渡すことはしないだろう。

 

小さな会社の第三者承継では、こういった部分は大変重要であることを覚えておいてほしい。第三者承継を特殊なことと思わず、通常の仕事と同じように考え判断することができれば、納得のできる形で会社を引き継ぐことも可能であるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書籍「小さな会社の事業承継・引継ぎ徹底ガイド ~マッチングサイト活用が成功のカギ」より

【業界別M&A動向】

技術者派遣業界の概況と、M&Aにおけるチェックポイント

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(堺 康行 )

 

 

〈目次〉

1.技術者派遣業界の概況

2.技術者派遣業界のM&A動向と事例考察

①株式会社Success Holdersによる株式会社P&Pの買収(2021年4月)

②三陽工業株式会社による株式会社極東ブレインの買収(2021年12月)

3.技術者派遣業のM&Aにおける売却側のチェックポイント

①採用コストの増加に伴う適切な売価転嫁の進捗

②派遣業務上の適法性

③完成責任を負う請負業務の適切な管理体制構築

④営業、現場対応等業務の権限委譲を進める

4.技術者派遣業のM&Aにおける買収側のチェックポイント

①所属技術者の契約単価、稼働率、技術分野(専門性、転用性)

②売上高・人件費マージンに関する調査

③既存取引先とのリレーション・キーマンの存在有無

5.最後に

 

 

 

 

1.技術者派遣業界の概況


技術者派遣業界は、少子高齢化による人手不足に加え、IT・建設業を中心とした需要高止まりを受け、業界主要企業を中心に業績拡大が続いています。

 

 

データ引用:各社IR資料より

 

 

他方、仕入側となる人材採用においては、厳しい状況が続いています。
コロナ禍により一時的に求人倍率は低下したものの、足下では以前の水準に戻りつつあります。
IT系(約10倍)、建築土木系(約5倍)を始め高い水準で推移しています。

 

また、昨今ではリファラル採用の浸透やフリーランス志向の高まりから、転職市場で経験者を獲得することは一段と難しくなり、採用コスト増(求人・待遇面)による採算性低下は業界内共通の課題となりつつあります。

 

こういった背景から、M&Aは人員確保の有力な手段として活用されており、企業規模を問わず事業承継や買収が活発に行われています。

 

 

データ引用:doda(デューダ)転職求人倍率レポートより

 

 

データ引用:Lancers フリーランス実態調査 2021より

 

 

 

2.技術者派遣業界のM&A動向と事例考察


コロナ禍の中でも、技術者派遣業界ではM&Aのニュースが報告され続けています。

 

業界全体のM&A動向としては、最大手級が海外人材派遣業の買収に取り組む一方、準大手・中堅クラス企業も多く国内M&Aの買い手となっていることが特徴として挙げられます。

 

 

最大手企業による近年の海外M&A事例

 

 

ここでは、最大手以外の企業による2件の国内M&A事例を取り上げ、動向を読み解きます。

 

 

①株式会社Success Holdersによる株式会社P&Pの買収(2021年4月)

 

株式会社Success Holders(JASDAQ上場、エンジニア派遣、メディア事業等)による株式会社P&P(システム開発・派遣等)の買収が2021年4月27日に発表されました。株式会社P&Pは直近期の売上高3.5億円であり、同社ホームページによると従業員数は22人規模とのことです。

 

Success Holderによるプレスリリースによると、「ポストコロナにおいて発展性のある事業・業種」と位置づけ今般のM&Aを決定しており、今後もIT技術者派遣事業の発展性を見込んでいることが推察されます。

 

 

②三陽工業株式会社による株式会社極東ブレインの買収(2021年12月)

 

三陽工業株式会社(非上場、製造業・製造派遣)による株式会社極東ブレイン(機械設計・電気設計の技術派遣等)の買収が2021年12月9日に発表されました。株式会社極東ブレインは1982年設立、従業員数は46人(2021年2月現在)とのことです。

 

三陽工業のプレスリリースによると、CADと設計に関する強みを持つ極東ブレインとの事業上の親和性を見込んでいると読み取れます。

 

この事例のように、設立後30~40年が経過し経営者の代替わりが進む中で、大手資本に参加しその後の発展を図るケースが多いのも、技術者派遣業界のM&Aで昨今増加している様態と言えます。

 

 

3.技術者派遣業のM&Aにおける売却側のチェックポイント


技術者派遣業の経営者様が株式売却を検討する場合のポイントを解説します。
ここで挙げる点で何らか不安点がある場合、事前に解消ができるかを検討することをお勧めします。

 

①採用コストの増加に伴う適切な売価転嫁の進捗

 

前述の通り、業界全体として人材確保難・待遇改善によるコスト増の動向が業界全般に見受けられます。

人材不足は当業界のみならず日本全体の課題と言えます。
顧客との価格交渉によりコスト増加を適切に転嫁し、持続可能な経営状態を保つ努力を行うことが、M&Aや事業承継を円滑に進めるポイントとなります。

 

②派遣業務上の適法性

 

人材派遣業は、2018年に許可制に完全統合されたことなど、法制面やコンプライアンス面の対応が進みつつあります。

その背景には、かつては多重派遣や偽装請負など、法令上問題がある慣習が業界内に横行した反省があり、現在は上場企業を中心に適法性は重視される状況にあります。

第三者監査を受けない中小企業においては図らずも旧来の問題がある体制が残存している場合があります。
M&Aの場になり法務面の不安がネックとならない様、業務フローや契約書などを現行制度に照らして事前整備する必要があります。

特に出向や準委任契約の運用は論点が生じやすいポイントです。あらかじめ労務・法務専門家の意見を受けながら早期に適法性を確認・是正していくことをお勧めします。

 

③完成責任を負う請負業務の適切な管理体制構築

 

技術者派遣業会社では、派遣契約を基本としつつも、一部業務を請負形態で契約している会社は少なくありません。

 

時間単価で稼働分の報酬を得る形態とは違い赤字化リスクを負う形態ですが、プロジェクトマネジメントを含め、適切に管理できる体制・人員が整っていれば、買い手にとっては魅力的なポイントにもなり得ます。

 

請負業務を行っている場合で、直近で見積工数オーバー等による損失が発生している場合、時間単価契約への移行や見積もり精緻化等、何らかの対策をしておいた方が好ましいと言えます。逆にそのような事象がなく少なくとも数年間に亘り安定的な案件運用ができていれば、アピールできるポイントと考えられます。

 

④営業、現場対応等業務の権限委譲を進める

 

売却後に引退を検討される場合は、ご自身がいなくても現在の取引が継続できるよう権限移譲を進める必要があります。

 

 

4.技術者派遣業のM&Aにおける買収側のチェックポイント


逆に技術者派遣業の会社を買収する会社様が検討するべき、業界特有のポイントを解説します。

 

①所属技術者の契約単価、稼働率、技術分野(専門性、転用性)

 

技術者派遣業はその事業の特性上、人員の特性が事業性の大半を占めています。
そのため、技術者ごとの採算性や技術分野、年齢などは細かく検査する必要があります。

 

専門性の高低は基本的には契約単価や稼働率に表れます。但し、特定取引先への依存度が高い場合や交渉を積極的に行っていない場合などでは、適正金額よりも低く評価されている場合があります。買収調査においては、技術者のスキルシートを入手して個別に調査(ヒューマン・デュー・ディリジェンス)を実施し、併せて商流に関する調査を行うのが好ましいと言えます。

 

②売上高・人件費マージンに関する調査

 

前述のように、技術者の採用コストは上昇しつつあります。マージン率が低下しつつある会社については、交渉状況など商流の確認を行う必要があります。

また、所属技術者の転用性が低い(いわゆる潰しが効かない)場合、仮に既存取引先が失注するとマージン率が急落する可能性がありますので、注意が必要です。

 

③既存取引先とのリレーション・キーマンの存在有無

 

技術者派遣業の多くの会社は、従業員の大部分が技術者で占められる組織であり、営業体制は最小限となっていることが少なくありません。
そのような中で既存取引先とのリレーション上、失ってはならないキーマンとなっている営業員や役員が存在する可能性があります。
事前に案件獲得フローなどを確認し、必要に応じてキーマン条項をSPA(株式譲渡契約)に盛り込むなど検討する必要があります。

 

 

 

5.最後に


技術者派遣業界はM&Aが活発な業界の一つです。
現経営者様としては多数の可能性を検討する余地があり、逆に買収を検討される企業様には競争が増す状況でもあります。

当社は技術者派遣業のM&Aについて多数の知見を有しており、業界特有の論点についてもサポートが可能です。
M&Aも一つの選択肢とされる場合、業界動向も含めてご案内させていただきますので、これを機にご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年3月7日)

-以下のM&A案件(1件)を掲載しております-

 

 

 

●商業テナント中心に学校寮、病院、マンション、団地等の内装仕上工事

[業種:内装工事業/所在地:関東地方]

 

 

 

 

 

 

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案件No.SS011718
商業テナント中心に学校寮、病院、マンション、団地等の内装仕上工事

(業種分類)建設・土木
(業種)内装工事業
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)内装仕上工事全般

 

〔特徴・強み〕

◇長年の歴史がある内装仕上工事業
◇建築施工管理技士複数名在籍
◇職人はほぼ外注している
◇得意先が多く安定した受注基盤を形成

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

・掲載情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。税務研究会及び情報提供会社は、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

・掲載情報は公開日時点の情報になります。既に案件が特定の対象会社と交渉に入っている場合や成約している場合もございます。

 

 

 

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[M&A案件情報(譲渡案件)](2023年2月28日)

-以下のM&A案件(5件)を掲載しております-

 

 

 

●不動産売買取引の課題を解決するプラットフォーマー

[業種:不動産マッチングプラットフォーム/所在地:関東地方]

●日本のサブカルチャー商品の販売に強みをもつ越境EC事業(自社PF所有)

[業種:無店舗小売業/所在地:西日本]

●【業歴20年超、安定した収益力保有】多店舗展開するペットショップ

[業種:その他小売業/所在地:関東地方]

●老舗映像制作会社

[業種:映像音響機器のレンタル・リース/所在地:東日本]

●ブランド品等の高級品EC販売事業(自社ECサイト中心)

[業種:無店舗小売業/所在地:関西地方]

 

 

 

 

 

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案件No.SS011983
不動産売買取引の課題を解決するプラットフォーマー

(業種分類)住宅・不動産
(業種)不動産マッチングプラットフォーム
(所在地)関東地方
(直近売上高)1億以下
(従業員数)10名以下
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)不動産売買におけるエンドユーザーと不動産会社双方の課題を解決する売買マッチングのプラットフォーム運営事業者 ・顧客課題から事業構築にアプローチする課題解決型スタートアップ(不動産テック企業)

 

〔特徴・強み〕

◇多数の不動産事業者の登録あり
◇複数の国内有力投資家からの出資歴あり
◇不動産事業者と取引者がWin-Winとなる仕組みを構築

 

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案件No.SS011894
日本のサブカルチャー商品の販売に強みをもつ越境EC事業(自社PF所有)

 

(業種分類)小売業
(業種)無店舗小売業
(所在地)西日本
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)日本のサブカルチャー商品の販売に強みをもつ越境EC事業

 

〔特徴・強み〕

◇日本のサブカルチャー商品を中心に販売を手掛ける越境ECサイトを運営。
◇他越境ECサイトと差別化できた商品ラインナップから高いリピート率を誇る独自の海外顧客層を保有。
◇越境ECを通じた購入文化の浸透、サイト知名度向上から更なる成長を見込む。

 

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案件No.SS011613
【業歴20年超、安定した収益力保有】多店舗展開するペットショップ

 

(業種分類)小売業
(業種)その他小売業
(所在地)関東地方
(直近売上高)5~10億
(従業員数)50~100名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)多店舗展開するペットショップ事業

 

〔特徴・強み〕

◇集客力を有し、毎期安定的に利益確保。
◇販売営業力に強み有り。

 

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案件No.SS011403
老舗映像制作会社

 

(業種分類)金融・リース
(業種)映像音響機器のレンタル・リース
(所在地)東日本
(直近売上高)5~10億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)映像音響機器のレンタルサービス

 

〔特徴・強み〕

◇企画から実働までワンストップで対応

 

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案件No.SS011329
ブランド品等の高級品EC販売事業(自社ECサイト中心)

 

(業種分類)小売業
(業種)無店舗小売業
(所在地)関西地方
(直近売上高)10~50億
(従業員数)10~50名
(譲渡スキーム)株式譲渡
(事業概要)ブランド品等の高級品EC販売事業

 

〔特徴・強み〕

◇ブランド品を中心に取り扱う老舗の自社ECサイトを運営。
◇独自の基幹システムを持ち、あらゆる業務の自動化、徹底した数値化を実現。
◇ネット集客力にも強み有。SEO、MEO、リスティング広告は上位を獲得。

 

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情報提供会社:株式会社ストライク

 

 

 

 

【免責事項】

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[解説ニュース]

建物取壊費用を譲渡費用にする場合のポイントは?

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■不動産所得の計算で争いになった最近の事例

■親の駐車場を使用貸借で子が借りた場合の駐車場収入の帰属

 

 


1、はじめに


古い建物のある土地を高く売るなら、建物を取壊して更地にしたほうが良い、という考えから、一計を案じる資産家も少なくないでしょう。実際、土地を売るために、その上に建っている建物を取壊した場合には、土地を売った場合にかかる税金の計算上も、この取壊費用は費用として利益から控除することができます。
土地等の資産の譲渡に要した費用(譲渡費用)については、所得税基本通達33ー7《譲渡費用の範囲》で次のように例示されています。

 

(イ)資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用

 

(ロ)上記(イ)に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地(借地権を含む。)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用

 

ご覧のように建物等の取壊し費用が含まれています。しかし、取壊費用だからといって、どんな場合でも税金の計算上費用として認められるかというと、そう簡単ではないようです。ただ、「土地等を売るために」建物を取り壊したという関係がはっきりしていないと、税金の計算上、不利になることもあるようです。

 

2、具体事例から


建物の取壊し費用が譲渡費用として認められなかった事例があります(国税不服審判所令和3年2月25日裁決)。事実関係の概要は次の通りです。

 

・親からX土地とそこに建つ老朽化したY建物、Z建物を相続したA氏は、Z建物に車が突っ込んだ事故があり、賃借人が退去したのを奇貨として平成25年3月に、約330万円を負担してY建物、Z建物を取壊した。

 

・A氏は平成26年11月に不動産仲介会社とX土地の売買に関する媒介契約を締結し、平成30年8月にX土地の売買契約をBさんと締結し、同月中に引き渡した。

 

・A氏は建物取壊費用をX土地の譲渡所得の計算上、譲渡費用として控除したが、令和2年4月に、所轄税務署がその取壊費用の控除は譲渡費用として認められないとして追徴した。

 

・A氏は、取壊費用はX土地を高く売るために必要だったとして国税不服審判所に審査請求した。

 

・A氏は、「更地にすれば媒介業者に頼らずとも買い手がすぐ見つかると思って、取壊しを行い、当初から解体業者等に本件土地の譲渡の意思表示をしていたものの、媒介契約の締結が遅れてしまっただけ(中略)、取壊しは、譲渡の実現のための時の流れの中で本件譲渡のために行われたもの」と主張した。

 

3、 国税不服審判所の判断


国税不服審判所(以下、審判所という)は、審理に当たり、譲渡所得に対する課税について「原則として、資産の譲渡により実現した所得が課税の対象」だから「資産の譲渡に当たって支出された費用が譲渡費用に当たるかどうかは、(中略)現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきもの」と考え方を示しました。

 

ついで、審判所は倒壊の恐れのあったY建物や、長年1階部分以外には入居者がなかったZ建物が、賃借人の「退去から間もない平成25年3月31日に取壊しが完了した」ことを指摘、「取壊しは老朽化や車の衝突事故による損傷等に起因して行われたものとするのが合理的」と認定しました。

 

さらに審判所は、「その後に締結された媒介契約及び売買契約の目的物は、土地のみとされていたのであり、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、取壊しは媒介契約や売買契約の前提又は内容になっていなかった」とも指摘し、「現実に行われた本件売買契約による本件譲渡を前提とすると、客観的に見て譲渡を実現するために費用が必要であったとは認められない」として問題の取壊し費用は譲渡費用には該当しないと判断しています。

 

4、 まとめ


土地等の譲渡所得を適正に計算・申告しようとする場合には、売買の実態に即して、出したお金が譲渡費用に含まれるかどうかが判定されるため、資産をどのような形で売却するかを、決めておくことがポイントといえそうです。そのため売却してから譲渡所得の申告を考えるのではなく、専門家を交えて最初から考えておくことが必要ではないでしょうか。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2023/2/27)より転載

【業界別M&A動向】

食品製造業のM&A動向(第2回) ~直近の業界内のM&A動向について~

 

 

〈解説〉

ロングブラックパートナーズ株式会社(金川 明央)

 

 

〈目次〉

1.直近の業界内のM&A動向について

2.検討のポイント

➀異業種を買手とした事例

②ファンドを買手とした事例

③周辺領域を買手とした事例

3.最後に

 

 

 

 

1.直近の業界内のM&A動向について


2021年6月1日から2022年5月末までの1年間で、売手を食品関連企業とするM&Aは公表ベースで47件となっています。
このうち同業種を買手とする割合は51%、異業種/周辺業種を買手とする割合は49%となりました(図A/※1)

 

 

 

 

 

また、上記円グラフに記載の異業種/周辺業種を買手とする23件の事例の内、買手業種別に見てみると、化学・医薬品、商社、外食をはじめとして幅広な業種により構成されています。(図B/※2)

 

 

 

 

これは買手が「川下から川上まで事業領域を拡大する」「新事業領域に進出する」といった目的を基にM&Aを実施していることが起因しています。
また、「事業承継」や「成長支援」をテーマに企業投資を行うファンドによる買収事例も一定数存在します。

前回のコラムでも記載しましたが、同業界は「販路の拡大」や「製造コストの削減による生産効率の改善」を含む様々な課題を抱えており、同業種だけでなく異業種や周辺領域の企業とタッグを組むことにより課題解決につながるケースもあります。

 

また、ビジネス面以外にも「後継者不在」「人材の採用」「人材の育成」など内部的な課題を持つ企業も存在しており、内部体制の強化を期待してファンドに投資を受ける事例もあります。
通常、M&Aの検討から成約まで、またM&A実行後のシナジー構築まで一定の時間を要するケースが大半であるため、課題解決のための一つの方法としてM&Aを検討される場合は想定しているよりも早いタイミングから着手されることを推奨します。
(※1)(※2)レコフデータより弊社作成

 

 

2.検討のポイント


実際に直近1年以内に実施された同業界内のM&Aの事例を基に、本項では同業界のM&Aのポイントについて触れていきたいと思います。

 

➀異業種を買手とした事例

 

 

 

ノフレ食品は、北海道を拠点にした食品の企画販売会社で、レトルト・缶詰・瓶詰を中心とする同社の商品は、様々な賞を受賞するなど商品の企画開発力・ブランド力が高く評価されており、ノフレコミュニケーションズは、ノフレ食品で培った商品企画力やECを中心としたコンサルティングノウハウを活用したサービスを展開しているとのことです。

ノフレ食品は、クロス・マーケティング・グループ社の食品EC部門におけるノウハウを活かしたサービス連携や顧客開拓による更なる会社の売上の拡大を企図していると考えられます。

 

本事例のポイントとしては、売手企業の「企画開発力」「ブランド力」が優れたものであったという点であると考えられます。

事業の根幹である商品力が確立されていることにより、買手企業とのシナジーの構想が描きやすくなります。

 

 

②ファンドを買手とした事例

 

 

 

 

ホソヤコーポレーションは、中華系チルド食品を製造する食品メーカーであり、同社の主力商品である贅沢シリーズ(焼売・餃子・春巻)は、関東圏の食品スーパーマーケットにおいて各カテゴリーのトップシェア商品となっているとのことです。

J-GIAは日本たばこ産業株式会社・株式会社博報堂をアライアンス・パートナーとしており、ファンドによる経営管理機能の強化に加え、2社による生産・品質管理の事業支援やマーケティング支援による更なる企業価値向上を企図しているものと考えられます。

 

本事例においても、売手であるホソヤコーポレーションが既に強固な商品力を有していた点がポイントであると考えられます。

 

 

③周辺領域を買手とした事例

 

 

 

道東ライスは1973年に設立し、道東地区で食品製造業に従事しています。福原は道東ライスの米穀の炊飯加工業、惣菜類の製造ノウハウを活かし、アークスグループの惣菜事業と連携させることにより、惣菜事業の拡大を企図していると考えられます。

 

本案件においては、「製造ノウハウ」「生産拠点」の獲得がポイントとして挙げられます。

食品製造業界においては、生産拠点の獲得を目的としたM&A事例も多く見受けられます。

 

 

3.最後に


食品製造業界のM&Aは、買手の経営戦略の多角化、また売手の抱える課題に応じて、同業種だけでなく、異業種/周辺業種を買手とした事例も増えてきています。

特に売手側がM&Aを検討する動機も「後継者不足」のような内部事情に起因したものだけでなく、「自社の更なる成長」を主眼に置いたケースも増えてきたように見受けられます。

自社の課題解決の一つの選択肢として、M&Aを検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

[ゼロからわかる事業再生]

第7回:法的整理か私的整理かの選択

~法的整理とは、私的整理とは、私的整理と法的整理の選択基準~

 

[解説]

髙井章光(弁護士)

 

 

[質問(Q)]

事業再生を実施したいと思いますが、法的整理と私的整理のどちらの手続を取るのがよいのでしょうか。違いを教えてください。

 

 

[回答(A)]

事業再生の手続においては、法的整理(法的再生手続)と私的整理(私的再生手続)があります。法的整理においては、すべての債権者を対象として支払猶予(支払停止)をしてもらい、債権カットを要請することになりますので、買掛先などの取引先に対しても大きな影響が生じます。したがって、取引先に影響を与えないようにするためには、金融機関のみを対象とする私的整理をまず最初に検討することになります。

 

ただし、私的整理は全対象債権者(金融機関)から最終的に同意を得ないと成立しないため、全対象債権者から同意を得ることが難しい場合には、すべての債権者を対象とするものの、多数決によって成立する法的整理を実施することになります。

 

 

 

1.法的整理とは


法的整理(法的再生手続)とは、裁判所の監督下において、法律の規定に基づき手続が決められており、基本的に全債権者を対象として、債権者を平等に取り扱いながら、債権者の多数決によって再建策の成否が決まることになります。主に中小企業を対象とする民事再生手続や、比較的大規模な企業を対象とする会社更生手続があります。

 

メリットとしては、裁判所が監督しながら、法律によってしっかりとした手続の内容が決められているため、比較的手続自体は安定していると評価できることが挙げられます。手続が開始した時点におけるすべての債権者に対して支払が禁じられ、平等に取り扱わねばならないとされます。それらの債権者への弁済条件を内容とする再生計画案が裁判所に認可されるためには、債権者集会にて、対象債権者の多数決の投票による再生計画案への同意(賛成)で決まることになります。民事再生手続であれば、投票を行った債権者の過半数の賛成があり、かつ、その賛成者の債権額が総債権額の2 分の1 以上であることが可決要件とされています(民再法172 の3)。したがって、全対象債権者の同意が必要とされる私的整理よりは再建計画の認可要件は緩やかといえます。

 

2.私的整理とは


私的整理(私的再生手続)とは、裁判所による監督によって再建するのではなく、金融機関などの大口債権者(通常は、金融機関のみ)にて、協議によって債務者の再建を進める手続です。よって、メインバンクによる支援があると進めやすい手続といえます。

 

金融機関を対象とする私的整理においては、一定の手続ルールを決めて行う準則型私的整理を利用することが多く、大規模な企業においては事業再生ADR が利用され、中小企業においては中小企業再生支援協議会が利用されています。裁判所の調停手続を利用して債権者と債務者が協議によって再生を図る手続として、特定調停手続があり、こちらは協議を行う場所は裁判所となりますが、法的整理のようにすべての債権者を対象として、多数決にて再生計画を認可するのでなく、他の私的整理と同様に債権者全員の同意をもって再生計画を成立させるため、私的整理に分類されています。

 

3.私的整理と法的整理の選択基準


私的整理と法的整理の特徴をまとめると以下のようになります。

 

 

 

取引先に迷惑をかけることや取引に対する影響を考えると、私的整理をまず選択することになります。その上で、私的整理を進めることが困難であったり、法的整理の方が望ましい事情がある場合に法的整理を選択することになります。

 

私的整理は金融債権者を対象としてその全員から同意を得る必要があるため、これまでの経緯から感情的になっていたり、経営陣に不正があるなどにより、債務者の再生には同意できないことが明らかな場合には、私的整理を進めてもまとまらないことが明らかですので、法的整理を選択することになります。

さらに資金繰りが厳しく、金融機関への支払のみを止めても資金ショートが生じる危険がある場合には、すべての支払を止める必要がありますので、すべての債権者を対象とする法的手続を取ることになります。取引先等の債権が過大となってしまっていて、再生計画を作成するにおいて、金融機関の債権のみをカットするだけでは資金が足りず、取引先等の過大な債権もカット対象とする必要がある場合にも、法的手続を選択してすべての債権者を対象とすることになります。

 

逆に、法的整理となったことを理由として、取引が破綻したり、契約解除となる危険が高い場合(例えば、ブランドからライセンスを受けて取引を行っている場合には、往々にして、法的整理を行っている先にはライセンスを与えないという対応がなされることがあります)には、なんとしてでも私的整理ができないかという姿勢で検討することになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「会社買収により退職した役員が親会社の役員となった場合の退職金」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】経営状況が悪化した法人の役員退職金

■【Q&A】会社解散後清算人に就任した代表取締役に対する退職給与

 

 


[質問]

甲株式会社は、乙株式会社のすべての株式を買い取り、子会社にすることを検討しています。甲社と乙社の間には何ら親族関係などはありません。

 

乙社の社長丙は、買収(決済)日に乙社を退職し、その翌日に甲社の役員または使用人として勤務する予定です。乙社は丙に対して退職する当日(決済日)に役員退職金を支給予定です。

 

この退職金は、税務上何か支障がありますか。

 

※法人税基本通達9-2-33、9-2-34には合併法人または被合併法人での退職給与の取扱いがありますが、買収により子会社にする場合の取扱いがありません。

 

丙が乙社を退職することにより受給する退職金なので、翌日甲社に入社しても支障がないと考えますが、いかがでしょうか。

 

 

[回答]

1 役員退職給与

 

(1) 役員退職給与

法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。

 

退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、原則として株主総会の決議等により確定した日の属する事業年度とされていますが、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、これを認めることとされています(法人税法34、法人税法施行令70、法人税基本通達9-2-28)。

 

役員退職金は、本来、退職時の定時株主総会等で決議しておくべき性格のものでしょうし、退職後最初に開催される株主総会等で退職給与の支給決議が行われるのが一般的であるようです。

 

(2) 役員に対する退職給与の損金算入の時期

法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます(法人税法34)。その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります(法人税基本通達9-2-28)。ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます(同通達但し書き)。

 

 

2 退職所得

 

(1) 退職所得

退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいい、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども退職所得とみなされます(所得税法30、31)。

 

(2) 退職手当等の範囲

退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で、その支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職手当等に該当しないことに留意する(所得税基本通達30-1)。

 

また、労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します(所得税基本通達30-5)。

 

 

3 お尋ねについて

 

お尋ねによれば、「甲社は乙社を買収することとなり、乙社の社長丙は、買収により乙社を退職し、甲社の役員(又は使用人)に就任する予定」とのことで、「乙社は社長丙に対して役員退職金を支給する予定」とのことです。

 

(1) 法人が役員に支給する「退職金」で適正な額のものは、損金の額に算入されます(法人税法34②)。

 

その退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、原則として株主総会の決議等により確定した日の属する事業年度とされていますが、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、これを認めることとされています(法人税基本通達9-2-28)。

 

したがって、役員に支給する「退職金」は、①退職給与の額が不相当に高額の場合や②退職の事実がない場合を除き、原則として損金に算入されることになります。

 

 

(2) ところで、お尋ねの場合、甲社の乙社の買収に際して、乙社の社長丙が退任し、甲社の役員に就任するとのことですので、法律上、乙社との委任関係が終了し、新たに甲社との委任関係にいたったということとなります。

 

したがって、事実として社長丙が乙社を退任したのであれば、乙社と甲社は別人格である以上、その退職給与の額が不相当に高額でない限り、損金の額に算入できるものと思われます。

 

なお、法人税基本通達9-2-33《被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入》及び法人税基本通達9-2-34《合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与》の取扱いは、打切り支給の取扱いであり、お尋ねの場合とは直接の関係はありません。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2022年7月19日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。