[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]

~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~

 

第6回:顧問先企業のオーナーから、後継者がいないので会社を誰かに譲りたいと相談されました。

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

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Q.顧問先企業のオーナーから、後継者がいないので会社を誰かに譲りたいと相談されました。

 

私が運営する会計事務所の顧問先企業はご高齢の経営者が多く、先日もある会社から「引退をしたいが後継者がいない。どこか引き継いでくれる会社はないか」という相談がありました。「体裁もあるので地元以外の会社で探してほしい」とのことでした。他の会計事務所の方々はM&A相談についてどのように対応されているのでしょうか?

 (山形県 会計事務所 S・Gさん)

 

 

 

A.顧問先企業からのM&A相談は、積極的に対応した方が良い結果につながります。

 

経営者の多くが、事業売却に関する相談相手について、「長年の付き合いがあり、会社の状態も知り尽くしている税務顧問の先生が最適」と考えていらっしゃるようです。先生方の知らないところで譲渡されるような事態を避けるためにも、相談を受けたときには、先生方にイニシアチブをとっていただくことをお勧めします。ストライクのようなM&A専門会社にご相談いただければ、最適な譲渡スキームの構築等を共同で行うことが可能です。

 

顧問先減少につながると考える先生方もおられますが、会社分割方式を使えるような事案であれば、顧問先を減らさずに済むケースもあります。他エリアのお相手とのM&Aを望まれるケースでは、買い手企業より引き続き税務顧問を依頼されるケースもあります。

 

例えば、会社分割で本業と不動産賃貸業とを分け、不動産事業は元の経営者が引き続き経営し、本業の会社を株式譲渡したという事例がありました。税務顧問の先生を通じてご相談いただいた案件でしたが、先生は不動産事業の税務顧問を引き続き担当されています。

 

M&Aが成立するまでのプロセスには、財務諸表を含む資料の開示、買収監査への対応、各種税金の納付等があり、税務顧問の先生なしには進められません。相談の初期段階でのメリットやリスクの説明、売却意思の確認、M&Aアドバイザー選定の必要性等の助言は、長年に渡り築いてきた経営者との信頼関係や幅広い知識力が重要です。後継者不在を理由に存在意義のある会社が廃業に追い込まれないようにするためにも、M&Aについて前向きに考えていただければと思います。

 

 

 

 

[M&A担当者のための 実務活用型誌上セミナー『税務デューデリジェンス(税務DD)』]

第3回 M&A取引に伴う税務リスクとその対応

 

[解説]

税理士法人LINK 公認会計士・税理士 長野弘和

 

〈目次〉

1.M&A取引に伴う税務リスク

(①法人税、②消費税、③源泉所得税、④関税)

2.グループ企業に係る税務リスク

(①棚卸資産取引、②役務提供取引、③固定資産取引、④資金貸借取引)

3.オーナー企業に係る税務リスク

(①役員給与、②個人資産と会社資産の混同)

4.グローバル企業に係る税務リスク

(①移転価格税制、②タックスヘイブン対策税制、③海外子会社の所在する国の税制に係る税務リスク)

5.発見された税務リスクへの対応

(1)買収価格への反映による対応

(2)表明保証による対応

(3)ストラクチャーの変更による対応

(4)M&Aの中止による対応

 

 

▷第1回:M&Aにおける税務デューデリジェンスの目的、手順、調査範囲など

▷第2回:M&A取引の税務ストラクチャリング

 

1.M&A取引に伴う税務リスク


M&Aにおける一般的な税務リスクは、買収対象となる企業や事業の過去の税務処理の内容(税務申告書の内容等)に誤りがあり、それが買収後の税務調査等において露見し、想定外のデメリットを負うことと言えます。税務リスクの特徴として、企業の存続を脅かすような重大なリスクとなる可能性は高くありませんが、税務調査は定期的に行われることから、リスクが顕在化する可能性は高いと言えます。また、それがメディア等で報じられることによるレピュテーションリスクもあります。

 

 

M&Aの後に顕在化する可能性のある主な税務リスクを税目別に見ると、①法人税、②消費税、③源泉所得税、④関税等が挙げられます。

 

 

①法人税は、その他の税目に比べて税率が高く、また住民税や事業税と連動することもあり、金額的な重要性は高いです。税制も複雑で毎年のように税制改正が行われることもあり、税務処理を誤るリスクも高いです。M&Aにおいて複雑な組織再編を伴う場合には税制の適用を誤るリスク、グローバル企業の案件等では特に影響の大きい移転価格税制やタックスヘイブン対策税制等に係る税務リスク等、税務リスクを検討する上で最も重要性は高い税目と言えます。

 

②消費税は、近年の税率引き上げに伴い重要性は高まっていると言えます。一般的には金融業や不動産業等と言われますが、他の業種でも課税売上割合が低く、仕入税額控除が制限される会社については、税務リスクの重要性が高まります。特に詳細な検討を行う必要がある場合を除き、法人税と比べて調査の範囲・深度は限定的となる場合が多いと言えます。

 

③源泉所得税は、課税所得が発生していない場合でも支払が行われるという特徴があります。海外への支払がある場合、非経常的な支払がある場合等、源泉徴収漏れが生じやすい取引が行われている場合には、税務リスクが高まります。特に詳細な検討を行う必要がある場合を除き、法人税と比べて調査の範囲・深度は限定的となる場合が多いと言えます。

 

④関税は、国や業種によって重要性が高い場合があり、特に欧州では関税について税務調査等で問題となるケースが見られます。関税の専門家の関与が必要となるという特徴もあります。上記の税目とは異なり、一般的には調査が必要と判断された場合にのみDDが行われています。

 

 

2.グループ企業に係る税務リスク


資本関係のある企業グループは、グループ会社間で様々な規模・種類の取引が行われています。グループ会社間において、経済合理性に疑義のある取引が行われている場合、税務調査において寄附金や受贈益の認定が行われるリスクがあります。

 

グループ会社間の取引には、①棚卸資産取引、②役務提供取引、③固定資産取引、④資金貸借取引など、様々な取引があります。

 

 

 

 

 

①棚卸資産取引については、(後述する移転価格税制を除き)通常大きな税務リスクは想定されませんが、不自然な取引が行われていないか、頻繁な(異常な)取引価格の変更が行われていないか等には留意が必要です。

 

②役務提供取引③固定資産取引④資金貸借取引などについては、実態を伴った取引か、対価の授受が行われているか、対価の設定が適切かどうか、といった点が税務調査の主な論点となります。取引実態の伴わない支払いが行われている、資金の貸付を行っているにも関わらず利息を受け取っていない、出張者や出向者に係る人件費等の費用が請求されていない等、様々なケースがあります。対価の設定が適切かどうかという点については、その妥当性の検討が難しいところですが、どのような考え方で取引価格を設定しているか確認するとともに、明らかに異常と考えられる取引価格になっていないか、頻繁な(異常な)取引価格の変更が行われていないか等には留意が必要です。

 

 

3.オーナー企業に係る税務リスク


個人やその一族が所有する会社(オーナー企業)は、上述のグループ企業と同様の税務リスクがありますが、それだけでなく、その個人(一族)との取引についても税務リスクがあります。

 

例えば、①役員給与、②個人資産と会社資産の混同などが挙げられます。

 

 

 

 

 

①役員給与については、不相当に高額と指摘された場合には、不相当に高額な部分について損金の額に算入することができません。また、いわゆる「定期同額給与」や「事前確定届出給与」等に該当しない役員給与についても損金の額に算入することができません。これらはオーナー企業に限った話ではありませんが、株主と役員が一致しているオーナー企業では特に留意が必要です。

 

②個人資産と会社資産の混同については、主にオーナー企業で見られる事象です。個人やその一族にとって、個人で支出すると節税効果がない場合でも、法人で支出すると節税効果が見込まれます。本来は個人で負担すべきものを法人に負担させている可能性がある点には留意が必要です。

 

 

4.グローバル企業に係る税務リスク


対象会社が海外に子会社を有する場合、留意すべき税務リスクが大幅に広がります。日本の税制だけをとっても、いわゆる国際税務に係る税務リスクが関わってきますが、その中でも特に留意すべき税務リスクとして、①移転価格税制と②タックスヘイブン対策税制が挙げられます。また、③海外子会社の所在する国の税制に係る税務リスクも関わってきますので、日本の税務専門家だけでなく、海外の税務専門家と連携した検討が必要となります。

 

 

 

 

 

①移転価格税制については、グローバル企業にとって影響が非常に大きく、税務調査で否認された場合の税負担が多額になりやすいという特徴があります。税務DDでは限られた時間・情報の中で調査をすることになりますが、移転価格税制への対応状況や取引規模、グループ各社の利益水準等から、効果的かつ効率的な調査を行い、重要な税務リスクを抱えていないか留意が必要です。

 

②タックスヘイブン対策税制については、軽課税国(税負担割合が20%未満)に所在する海外子会社が多額の利益を計上している場合には、特に検討が必要となります。ペーパーカンパニーではなく事業実態の伴った(適用除外要件を満たす)海外子会社であっても、資産性所得(利息、ロイヤリティ等)を多く有する場合には合算課税を受ける可能性がありますので、重要な税務リスクを抱えていないか留意が必要です。

 

③海外子会社の所在する国の税制に係る税務リスクについては、海外子会社についても同様に詳細な税務DDを行うことが望まれます。しかしながら、全ての海外子会社について詳細な税務DDを実施することは時間的・物理的な制約から現実的ではありません。特に重要な海外子会社は詳細な税務DDを実施するとしても、残りの海外子会社については日本の親会社を通じて得られる情報を用いたハイレベルな調査を実施する、重要な項目に限定して詳細な調査を行う等により、重要な税務リスクの特定に努める必要があります。重要性がないと考えられる海外子会社についても、想定外の税務リスクを抱えている可能性は否定できませんので、全く何も検討しないというのは避けた方が良いと言えます。

 

 

5.発見された税務リスクへの対応

税務DDを通じて発見された税務リスクについては、それぞれ対応方法を検討することになりますが、それには大きく4つの方法があります。

 

(1)買収価格への反映による対応

税務DDを通じて発見された税務リスクについては、なるべく定量化するとともに、可能な限り買収価格に反映すべきです。税務リスクは定量化が難しい場合も少なくありませんが、リスクの金額は極力大きく算定した上で、売手と交渉することが望ましいと考えます。

 

(2)表明保証による対応

売買契約書における売手の表明保証という形で対応する方法もあります。表明保証とは、売買契約書において、一定の事項が真実かつ正確であることを表明するもので、真実あるいは正確ではなかった場合には、金銭による補償等を可能とする条項が合わせて定められます。例えば、税務申告や納税が適正に行われていること等がありますが、発見された税務リスクのうち、定量化が困難なもの、あるいは買収価格への反映が困難なものについては、表明保証による対応が考えられます。

なお、表明保証による対応については、金額や期間に一定の制限が設けられることが一般的です。また、実際に売手からの補償が得られそうかという点についても留意が必要です。

 

(3)ストラクチャーの変更による対応

ストラクチャーの変更によって、税務リスクに対応する方法もあります。例えば、ストラクチャーについて株式買収から事業買収へ変更することで、税務リスクを切り離してしまうという方法があります。ストラクチャーの変更は、売手が難色を示すことも少なくありませんので、売手との交渉が重要になります。

 

(4)M&Aの中止による対応

いずれの方法によっても税務リスクへの対応が出来ず、かつ、それが許容できない税務リスクと判断された場合は、M&Aの中止を検討することになります。

[解説ニュース]

同族株主が相続等により取得した非上場株式の相続税評価

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■非上場株式を後継者等(非居住者)に贈与した場合の留意点

■相続税法64条1項の同族会社等の行為又は計算の否認規定の適用要件

 

 

1.はじめに


相続又は遺贈(「相続等」)により非上場株式を取得した個人がその株式を発行した会社(評価会社)の同族株主に該当する場合、その株式の相続税評価額は常に原則的評価方式により評価すると考えがちです。

しかし、同族株主である個人が有する議決権割合によっては、その相続等により取得した株式を特例的評価方式により評価する場合もありえます。

 

2.同族株主のいる非上場会社で、同族株主グループに属する個人が相続等により取得したその会社の株式の相続税評価


「同族株主」とは、原則、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその親族等の「同族関係者」の所有議決権の合計数が、その会社の議決権総数の30%以上である場合における、その株主及びその同族関係者(以下、両者をあわせて「同族株主グループ」という。)をいいます(財産評価基本通達188(1))。

同族株主グループに属する個人株主が相続等により取得した非上場株式の相続税評価方式は、その取得後の議決権割合(その株主の有する議決権数÷評価会社の議決権総数)に応じ、次のとおりとなります(財産評価基本通達178・188)。

 

(1)その議決権割合が5%以上の同族株主の株式原則的評価方式により評価します。

 

(2)その議決権割合が5%未満の同族株主の株式

 

①評価会社に中心的な同族株主がいない場合は、原則的評価方式により評価します。

 

②評価会社に中心的な同族株主がいる場合は、その同族株主が次のいずれに当たるかに応じ、それぞれに掲げる方式で評価します。
イ.中心的な同族株主は、原則的評価方式により評価します。
ロ.課税時期において評価会社の役員である同族株主または課税時期の翌日から法定申告期限までの間に評価会社の役員となる同族株主は、原則的評価方式により評価します。
ハ.イ及びロ以外の同族株主が取得した株式は、特例的評価方式により評価します。

 

③「中心的な同族株主」とは、同族株主のいる会社の株主で、課税時期において次のイ〜ハの株主グループの有する議決権の合計数が、評価会社の議決権総数の25%以上である場合における、その株主をいいます(財産評価基本通達188(2))。
イ.同族株主の1人
ロ.イの株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び一親等の姻族
ハ.イ及びロの者の同族関係者である会社のうち、イ及びロの者が有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の25%以上である会社

 

3.事例による非上場株式の相続税評価方式の判定


非上場会社の㈱Y(議決権総数10,000個)の代表取締役の甲が死亡し、その遺言により甲所有の㈱Yの株式を、甲の長男Aと孫C(次男Bの子)が取得しました。これにより長男Aの有する㈱Yの議決権数は9,600個、孫Cの有する議決権数は400個となりました(甲に係る相続税の申告期限において、Aは㈱Yの役員ですが、Cは役員ではありません)。この場合、AとCが取得した㈱Y株式の相続税評価は、次のとおりとなります。

 

(1)長男Aの取得した株式の評価方式

Aは㈱Yの議決権総数の96%を有する同族株主です。したがって、Aが取得した㈱Yの株式の評価方式は前述2(1)より、原則的評価方式となります。

 

(2)孫Cの取得した株式の評価方式

Aは中心的な同族株主となり、㈱Yは中心的な同族株主のいる会社となります。これに対し、Cは同族関係者(叔父)であるAとあわせて㈱Yの議決権をすべて有するので、同族株主に該当します。Cについて中心的な同族株主の判定を行うと、Cが有する㈱Yの議決権数は議決権総数の4%(25%未満)、C以外の㈱Yの株主は叔父のAのみであり、株主のなかにCの配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族はいません。よってCは中心的な同族株主には該当しません。また、Cの有する㈱Yの議決権数は議決権総数の5%未満であり、かつCは甲に係る相続税の申告期限までに㈱Yの役員となるわけでもありません。したがって、Cが取得した㈱Yの株式の評価方式は、前述2(2)②ハより、特例的評価方式となります。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/4/12)より転載

[マッチングサイトを活用したスモールM&A]

~年商1,000万円から2億円までのM&Aの現場から~

第4回:「マッチングサイトを使ったスモールM&A」こそ専門家選びが重要!

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

▷売上1,000万円程度からの「スモールM&Aお任せサービス」受付開始!M&A仲介業者への依頼に至らない規模の小さい案件も依頼しやすい手数料で。まずはお気軽にご相談を。

 

(1)ネットM&Aの世界は文字でしかない

後継者不在などの理由で、「廃業」ではなく「第三者承継(M&A)」を売り手社長が選択したとします。年商2億円以下のスモール企業(中小零細企業)であれば、「対面(リアル)」でお相手を探す銀行やM&A仲介業者には高額な費用の面で頼むことができません。

 

そこで、前々回お伝えしましたように、バトンズやトランビのようなM&Aマッチングサイトに無料登録を試みようとします。当然ですが、会社が特定されないノンネーム状態の会社概要のような感じでの登録となりますが、そのノンネーム状態の会社概要に、買い手の興味を引くような、もっといえば条件に合った買い手が現れるような情報を書き込まないといけません。

 

買い手からしてみると、最初は対面の説明など一切なく、また写真や動画ももちろんなく、文字オンリーでの情報で、買いたいか買いたくないかを判断する必要があります。そこに単に、「関西、製造業、従業員3名、売上6,000万円、赤字、安定した売上が特長」とだけ書かれていて、買い手が買いたいと思うでしょうか。

 

逆に、下記のような会社概要であれば、買い手はどう感じ、どのように行動するでしょうか。

 

超極細ばねから太物まで!バネの総合メーカー

【事業内容】

金属製スプリングの製作並びに販売 お客様からご注文をいただいた際は原材料・部品の購入から完成品として出荷されるまでの工程の各段階での、管理特性や管理方法を記載した表を使いご提案。その上で15社ほどの生産協力会社の中から適合性の高い先を選定し、製品の生産を依頼しています。 出来上がった製品を検査データとともに受け取り、当社にて受入検査を行ったのち、梱包・出荷をいたします。

【譲渡希望額】

1,000万円〜2,000万円

【会社概要】

[事業形態]法人

[都道府県・地域]××県

[設立年月]10年以上

[従業員数(正社員数、パート・アルバイトの合計)]1人〜4人

【財務概要】 ※ 公開日、または更新日から起算した直近期の財務概要です。

[売上高]5,000万円〜1億円

[売上総利益]2,000万円〜5,000万円

[営業利益]-100万円〜0円

[役員報酬総額]1,000万円〜2,000万円

[減価償却費]0円〜100万円

[現預金等]300万円〜500万円

[売掛金等]500万円〜1,000万円

[金融借入金]1,000万円未満

[純資産]1,000万円〜2,000万円

【M&A譲渡概要】

[譲渡希望額]1,000万円〜2,000万円

[譲渡対象]会社譲渡

[M&A交渉対象]すべて(個人も含む)

[その他希望条件]連帯保証の解除, 従業員雇用継続, 車を引き取りたい
【補足】借入金500万円の連帯保証の解除をお願いします。

 

[譲渡に際して最も重視する点]想いを継いでくれること

[譲渡理由]後継者不在

[支援専門家の有無]あり

【事業概要】

●商流(仕入先、販売先やエンドユーザー、モノの流れ)

 

[顧客、エンドユーザーについて]

家電や航空業界に使われるバネを販売。またばねの総合メーカーともお取引がございます。

 

[仕入れ先の特徴や関係性について]

長年の付き合いがあり、安定したお付き合いを続けています。

 

 

●アピールポイント(商品・サービス、資産・立地、会社の歴史等の強み)

 

[商品・技術・サービスの特徴や魅力]

15社ほどの生産協力会社との独自ネットワークを築き上げております。そのため一般的なスプリングの生産は勿論のことながら、特殊製品にも対応し数多くの商品を取り扱っています。

 

[当事業の歴史や創業の背景、想い]

社長は元々サラリーマンとして同業界の企業にお勤めでしたが、2002年、定年を機に当社を創業。長年の経験で得た知識・ネットワークを生かし、自ら営業活動を行ってまいりました。順調に仕事を増やしてきましたが、次を担う後継者がいらっしゃらないことからこちらへ掲載をすることになりました。社長は譲渡を急いでいるわけではなく働ける限りは現場にて業務に取り組みたいというお気持ちです(経理と荷造り担当の妻も同様)。 お客様のどんなニーズにもお応えすることがモットーです。

 

[事業の強み、発展性]

売上先が安定しております。 また、新規開拓をしていないため、売上向上の余地があります(見込先一覧表あり)。 品質には自信ありです。

 

 

以下、省略


(M&A総合支援プラットフォーム バトンズhttps://batonz.jp/より転載、一部修正)

 

 

 

 

M&Aという性格上、多数の優良な買い手にアピールしたいと思う反面、秘密保持にはそれ以上に注意を払わないといけません。そのため、売り手が特定されるような情報は載せられませんので、当然ながら写真等も基本的には掲載不可となります。

 

つまり、売り手は最初、「ほぼ文字だけの情報で、秘密を守りながら買い手へのアピール」を行わなければなりません。文章が得意な社長であればまだいいのですが、そうでなければ、文章力や表現力が豊富なマッチングサイトでのM&Aに特化したアドバイザーに頼まれた方がいいでしょう。文章作りは得意という方でも、「買い手目線で」会社概要を書かないといけないということと、買い手の数より質を高めることが重要でそのため「条件に合う良質な買い手を集める」という視点でも書かないといけませんので、やはり、売り手の方は、最初からこういったM&Aマッチングサイトの特性をよく知ったアドバイザーに頼んだ方がいいでしょう。

 

因みにですが、買い手が現れたらアドバイザーを入れようとするのはタイミングとして間違いです。不動産の売り案件と一緒で、一般的には最初に来る客が一番良い客であることが多いですので、最初のM&Aマッチングサイトに載せるところからアドバイザーに相談されることをお勧めします。

 

 

(2)買い手も最初からM&Aマッチングサイトに精通したアドバイザーを付けるとスムーズ

一方、買い手においては、サイト上で売り案件を見て、興味のあるものに対して、サイト上でメールを送るような感覚で、質問や実名開示依頼を行っていきます。

 

前回の解説で説明しましたが、M&Aマッチングサイト初心者の買い手がよくやる落とし穴は、「自己紹介や購入理由等の記載が何もなく、また売り手への配慮が無い言葉で質問のみ」を実行して、その後、売り手や売り手アドバイザーから「音沙汰なし」又は「返信はあるが素っ気ない」対応をされてしまうことです。

 

いずれは変化があると思いますが現在では、M&Aマッチングサイトは、買い手9割売り手1割の世界です。特に優良な売り案件には、20人以上の買い手が当然のように手を挙げます。M&Aマッチングサイトでは、買い手は、多数の買い手から売り手やそのアドバイザーにまずは選んでもらないといけないということを、常に念頭において交渉を進めないといけません、特に最初が肝心です。

 

弊社では過去に多数の売り手アドバイザーをしてきています。その結果、多数の買い手からのオファーをネット上で買い手同士の文章比較をしながら見ていますが、「よく売り手の立場を考えて練られた文章を送ってくる買い手や買い手アドバイザー」と「それ以外」は明白です。いくら、買い手に知名度や資金力があっても、M&Aマッチングサイトでは選ばれる買い手にならないと優良な売り案件にはその交渉の場にすらたどり着くことができません。過去にどれほど大きなディールに取り組まれていようが、「M&AマッチングサイトにはM&Aマッチングサイトなりの流儀やお作法」というものが存在します。そういった意味では、買い手も最初から、M&Aマッチングサイトに明るいM&Aアドバイザーを付けてその方に交渉をお任せした方が良いでしょう。

 

 

(3)全国の会計事務所に立ち上がって欲しい

私自身も会計事務所(税理士事務所)を経営していますが、顧客の8割は年商2億円以下のスモール企業です。もっと具体的にいえば、「年商8,000万円、従業員3名、トントンか赤字」といった感じの規模感等です。

 

会計事務所や税理士事務所の皆さん、このようなメイン顧客の社長が70歳を超えて後継者不在の場合、どんなアドバイスや支援をされてきましたか?高齢の社長より、「息子が継ぎたくないっていっているけど、この先どうしよう?」と言われて、どんな励ましの言葉をかけることができましたか、どんな対策を提案されてきましたか?

 

既存のM&A仲介業者や銀行等に頼むと、最低手数料1,000万円からと言われますので、ご紹介すらできませんし、先方も引き受けてくれません。

 

今までこのような顧問先にできることといえば、粛々と廃業に向けての「会社の終活支援」や「廃業支援」くらいではなかったでしょうか?さらにいえば、これらの支援すらしてあげられなかったのが、多くの会計事務所の実態ではないでしょうか。

 

同業者ですからご容赦願う前提でストレートに言わせていただければ、今までの会計事務所の後継者不在スモール企業への対応は、「ほったらかし」でした。もしその顧問先の年間顧問料が50万円で、20年のお付き合いがあれば50万円×20年=1,000万円、40年のお付き合いがあれば50万円×40年=2,000万円を、今まで頂戴してきたにも関わらず、最後にできることは、「ほったらかし」です。

 

これでいいのでしょうか?こんな無策で、本当に間違っていないのでしょうか?こんな仕事のやり方で、子供世代に会計業界について自信をもって説明できますか?

 

「M&Aマッチングサイトを使ったスモールM&A」では、このような後継者不在企業に、平均して7社の買い手候補を、無料で連れてきてくれます。「M&Aマッチングサイトを使ったスモールM&A」の仕組みを顧問先に伝えることは、会計事務所の使命ではないかと思います。

 

例えばですが、バトンズというM&Aマッチングサイトでは、無料登録が可能で更には登録サポートも無料になっています。社長やその親族等に、「バトンズとネット検索してみて」などとお伝えしてみてはいかがでしょうか。

 

できれば、会計事務所の方が登録の仕方やネットを使ったスモールM&Aの仕組みを理解して、登録代行等をしてあげるとなお良いでしょう。M&Aマッチングサイトを通じてマッチングをしてきた買い手の情報を顧問先にお持ちすると、それこそ飛び上がって喜ばれることもあります。「廃業しかないと思っていたのに、継いでくれる可能性のある人が現れるとは!」、と。

 

今まで廃業しか選択肢が無かった、特に地方のスモール企業に、第三者承継という手段を与えたという意味で、控えめにいって、プラットフォームとも呼ばれるM&Aマッチングサイトは、「革命」を起こしたと言えるでしょう。廃業であれば、650万人の雇用と22兆円のGDPが喪失する可能性がありますが、廃業ではなく第三者承継が実現すれば、取引先や雇用が継続されます。売り手社長自身にとっても、廃業より手残りが多くなるでしょう。

 

M&Aマッチングサイトを革命の第1章とすれば、革命の第2章は、全国の会計事務所や税理士事務所が立ち上がって、後継者不在の顧問先をマッチングサイトに多数登録していくような状況をいうのではないかと考えています。全国には、127万者の後継者不在企業等がありますが、まだまだM&Aマッチングサイトを見る限りそれらの一部しか登録がされていません。廃業予備軍ともいえる多数のスモール企業に、M&Aマッチングサイトを使ったM&Aの世界がまだまだ認知されていないからです。これら全国のスモール企業にリーチできるのは、全国の会計事務所しかありません。そう考えると、革命の第2章の主役は、全国の、特に地方の会計事務所や税理士事務所ではないでしょうか。全国の会計事務所や税理士事務所の皆さん、共に立ち上がり、革命第2章を共に歩みましょう。

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「個人事業で代替わりする場合の従業員に対する退職金の取扱い」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】従業員である相続人に退職金を支払った場合の債務控除の可否

■【Q&A】個人事業者が事業を廃止した場合の事業用資産に係る課税関係

 

 

 


[質問]

今年の12月で個人事業主Aが廃業し、来年1月から子B(生計別)に承継する予定です。この場合に、現在Aに雇用されている従業員(他人)に退職金を支給し、必要経費にすることは可能ですか。従業員はBに引き続き雇用される予定です。

 

相続による承継のケースは、退職金としての必要経費算入はできない旨の相談事例がありましたが、今回のケースも同様ですか。

 

[回答]

所得税法第63条は、事業を廃止した後にその事業に係る必要経費に算入されるべき費用が生じた場合、その費用を事業廃止年分等の必要経費に算入する旨規定し、同法第152条は、かかる場合の更正の請求の特例について規定しています。

 

したがって、親Aが事業を廃止し、子Bが事業を承継した後、親Aの時代から引き続き従業員として勤務していたCが退職したことにより、Cに退職金を支給した場合、親Aに勤務していた期間に係る部分の退職金は、所得税法第63条により、親Aの必要経費に算入することができることになります。これは、親Aが事業を廃止した時点で従業員Cに退職金を支給していない場合ですが、親Aが事業廃止時に従業員Cに退職金を支給していたとすれば、これを親Aの必要経費に算入することができないとする所得税法上の根拠は見出しがたいものと考えます。

 

ただし、ご検討されましたように、相続により事業承継した場合の裁判例(平成27年11月4日広島地裁判決、退職金の支払い事実がなく、承継者が未払費用として処理していたもの)もありますから、退職金を親Aの事業廃止時に親Aから従業員Cに実際に支払うとともに「退職所得の受給に関する申告書」や子Bと従業員Cとの雇用契約書などの書類は整えておくべきものと考えます。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年12月10日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[わかりやすい!! はじめて学ぶM&A  誌上セミナー] 

第6回:デューデリジェンスとは何か?デューデリジェンスはなぜ必要なの? デューデリジェンスの種類とは?

 

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 清水寛司

 

〈目次〉

1.デューデリジェンスとは何か

2.デューデリジェンスはなぜ必要なの?

3.デューデリジェンスの種類

①財務デューデリジェンス

②税務デューデリジェンス

③法務デューデリジェンス

④ビジネスデューデリジェンス

⑤人事労務デューデリジェンス

⑥環境デューデリジェンス

⑦ITデューデリジェンス

 

 

第5回では相手会社を「しっかりと」知るためにデューデリジェンスを行うことに触れました。M&A実行後に何か致命的な問題が出てきても後の祭りです。当初見込んでいた相乗効果を上回る程の費用が発生してしまい、最悪の場合は自社の信用が失墜してしまいます。

 

対象会社についてしっかりと把握し、「概要しか知らない」会社や事業を買う「怖さ」を減らすために行うデューデリジェンスについて見ていきましょう。

 

 

 

▷関連記事:財務デューデリジェンスにおいて事業計画をどのように分析するのか?

▷関連記事:財務デューデリジェンス ~損益計算書分析はなぜ必要か?(正常収益力、EBITDA、事例で確認してみよう)~

▷関連記事:「バリュエーション手法」と「財務デューデリジェンス」の関係を理解する ~バリュエーション手法と財務デューデリジェンスの重点調査項目、DCF法を用いた場合の財務デューデリジェンスとの関係~

 

 

1. デューデリジェンスとは何か


実務でM&Aを行う場合、必ず「デューデリジェンス(Due Diligence)」という言葉を聞く機会があります。頭文字を取ってDDと略されることが多いデューデリジェンスですが、いったい何のことなのでしょうか。

 

1単語ずつ訳すとDueは「正当の、当然の、相応の」、Diligenceは「勤勉、精励、注意」ですので、「当然の勤勉」や「正当な注意」と直訳することができるでしょうか。

 

M&Aに限らず不動産投資やプロジェクトファイナンス等で出てくる単語で、取引を行う前に投資対象の事業内容・実態を詳細に調査することを言います。

 

会社や事業を行う前に詳細に調査することは「当然行うべきこと」とも言えますし、投資対象として適切かどうかを確認することは「正当な注意」と言えますね。そこから派生して、現在では「デューデリジェンス」という言葉がよく使われています。

 

 

 

 

2. デューデリジェンスはなぜ必要なの?


デューデリジェンスを行う段階はどの段階でしょうか。第5回でご説明させていただきました、M&Aの実行段階でしたね。ターゲット会社に接触して基本合意書を締結した後に行うのが一般的ですから、かなり「本気度が高い」状況で行うことになります。

 

<第5回:実行段階の流れ(再掲)>

 

この「本気度が高い」というのがポイントで、どの会社にしようかと迷っていたり、理想を求める手法としてM&A以外の選択肢があったりするときは、対象となる会社について「ある程度」の知識のみで問題ありません。他と比較して意思決定を行うことができるだけの情報で事足りるからです。

 

例えば家電を買う際に、まずはある程度のスペックや金額だけでいろいろ比較しますね。カタログに載るような、比較できる項目のみを知っていれば問題ないのです。

 

一方、基本合意書を締結した後ということは、この会社と「本格的に交渉する」ことを決定していることになります。他と目移りしている状況ではなく、会社を絞って本気でM&Aを実行すると決めた状況になります。ここで会社や事業を買う側の気持ちになってみると、「ある程度」の情報だけで会社の命運を左右するかもしれないM&Aを行うのはかなり怖いです。家電を買う際はメーカーが保証してくれる部分も大きいですし、変なものが混じっている怖さはあまりないでしょう。しかし、M&Aは「ビジネスを行う組織を売買すること」でした。組織を買うとなると、単純なモノを買うより厄介ごとが含まれている可能性が高そうです。

 

 

 

具体的には、組織を買う場合は以下のような怖さがあります。

 

●思わぬ訴訟を抱えている

●全く知らない簿外負債を抱えている

●相乗効果を見込んで買収したのに、実は自社と全く相乗効果が発揮されない分野だった

●組織風土が自社と大きく異なる

●税務署から指摘される可能性のある処理をしている

●環境問題を抱えている

●残業代を巡って労働者と対立している

●保有する技術に重大な瑕疵がある

●優良顧客がM&A後に離れてしまう可能性がある

●自社と全く合わないシステムを使用しており、統合に際し多大な労力がかかる

 

これらを買う前に知ることができたのと、買った後で知ったのとでは大違いです。

 

事前に知っておくことで費用の発生をある程度予見することができますし、社会的信用が失墜する可能性を検討することもできます。それらは全て価格に織り込むことができますし、致命的な事項が見つかった場合はM&Aを破談にすることもできます。

 

この「怖さ」を減らし、相手会社を「しっかりと」知るために「デューデリジェンス」が必要となります。多くの場合において「本気度が高い」状況になるとデューデリジェンスを行うことになります。(なお、この「怖さ」の程度を表す言葉の1つとして、「リスク」という表現がよく使われます。)

 

買う会社の規模が非常に小さい場合や、リスクがあまりないと想定される会社であれば簡易的なデューデリジェンスで済ませる場合がありますが、そのM&Aが重要であればあるほど、相手会社のことをしっかりと知りたいと感じてデューデリジェンスを行う流れとなります。

 

 

[Point]

デューデリジェンスは、M&Aにおけるリスク(怖さ)を確認し、必要な対策を講じるために行うもの。

 

 

 

3. デューデリジェンスの種類


デューデリジェンスは相手会社を知ることですから、その種類は相手会社によって変わってきます。ここではよく行われるデューデリジェンスについて、概要を見ていきましょう。

 

① 財務デューデリジェンス

会社や事業を買う際の価格決定に当たってまず参考とする情報は、相手会社の「財務諸表」でしょう。どのような損益構造で、どのような資産構造かの把握は必須と言えます。財務デューデリジェンスでは、財務に関する事項に焦点を絞って詳細に知っていくこととなります。

 

不良資産・簿外負債・債務保証・不採算事業を財務の観点から事前に発見することができ、不当に高額な取引価格となることを防ぐことができます。また、結果に応じてどのように買収するかを決定することもできますし、一部事業のみの買収といった形態に変更する意思決定を行うこともできるようになります。

 

②税務デューデリジェンス

会社を買収すると、基本的にはその会社の過去の税務処理について買い手が引き継ぐこととなります。過去の税務処理が誤っていると、思わぬ追加税金の発生があり得ますので、会社の過去の税務申告を分析し、税務リスクの程度を確認する必要があります。

 

税務リスクには主として以下のようなものがあります。

 

●税務申告が適正ではないため、過小申告・繰越欠損金の過大計上がなされている。

●関係会社間取引について、寄附金認定・移転価格税制適用による追加税金発生があり得る。

●過去の税務調査で指摘されているにもかかわらず、対応策がない。

●税務処理能力があまりないため、買収後に新たな間違いをしてしまう。

 

これらの税務リスクを早期に確認し、買収することに問題がないかを税務の観点から見ていくのが税務デューデリジェンスです。

 

 

実施者

上記の財務デューデリジェンスや税務デューデリジェンスは、企業内部で財務・税務に精通したメンバーによって行われることもありますし、外部の公認会計士や税理士に依頼して行われることもあります。専門性が求められる分野でもありますし、外部への説明の際に独立した立場からの調査の方が信頼度が増しますので、外部の専門家に依頼することの方が多いですね。

 

 

③法務デューデリジェンス

法律関係の詳細な調査が法務デューデリジェンスです。企業活動には契約関係や人事問題はもちろん、許認可や関連資産、関連会社、訴訟等、様々な法律分野に関する活動が含まれています。これから買収する予定の会社が、どのような法務上の問題を抱えているかを確認せずにM&Aを実施するのは非常にリスクが高く、必須の手続と言えるでしょう。

 

デューデリジェンスに際しては、財務・税務チームと法務チームで連携を取って、対象会社の事業内容を調査していきます。財務・税務上の問題が法務に影響を与えることは多いですし、法律上の問題を数値に落とし込む必要がある場合も多いためです。

 

よくある例として、チェンジオブコントロール(COC:Change of control)条項が挙げられます。チェンジオブコントロール条項とは、買収予定の会社の主要取引先との契約書において、経営権の移動があった場合の対応が記載されている条項です。会社が取引先と交わしている契約を解除せざるを得なかったり、契約相手に対して事前の承諾が必要となる場合、事業計画分析に多大な影響を与えます。法務デューデリジェンスで確認している「主要な相手先との取引がなくなる可能性」を、財務デューデリジェンスのリスクに落とし込む形です。

 

 

実施者

法務デューデリジェンスは企業内部で法務に精通したメンバーによって行われることもありますが、多くの場合において外部の弁護士が実施しています。弁護士はどのようにM&Aを行うかといった仕組みづくりを法律の面からサポートし、契約書案を会社とともに作成する等、M&Aの多くの局面で活躍します。

 

 

④ビジネスデューデリジェンス

会社の事業内容を把握して、どのような事業からどのように利益を獲得することができるのかを調査するのがビジネスデューデリジェンスです。ビジネスを分析することは非常に難しく、その分析手法は多岐に渡ります。例えば強み(strengths)、弱み(weaknesses)、機会(opportunities)、脅威(threats)を分析するSWOT分析を用いて、買収予定の会社を分析します。

 

⑤人事労務デューデリジェンス

人事・労務の観点から詳細な調査を行うのが人事労務デューデリジェンスです。主に労働争議や労働組合との関係、未払賃金や未払退職金の有無、労働法の遵守状況を確認します。

 

法務デューデリジェンスのように広範な調査ではなく、人事労務の観点に焦点を絞った調査です。特に議論になるのが未払残業代の有無で、買収後に労働者又は退職者から追加の未払残業代支払を求める声が上がると、M&Aの買い手としては追加の費用が発生する可能性が高くなりますし、社会的信頼を損なうことにもつながります。会社は残業代を固定分として支払済であると認識していたとしても、法令に照らし合わせると支払義務が生じることもありますので、事前に調査を行います。

 

⑥環境デューデリジェンス

会社や主要な工場を取り巻く環境に関するリスク調査です。

 

では、環境リスクとはどのようなリスクでしょうか。分かりやすいのは、工場から排出される有害物質の影響で周辺の土壌汚染や大気汚染が起こる場合です。原状回復費用は膨大になりますし、企業の社会的信頼も著しく損なうことになります。

 

騒音問題や振動問題、産業廃棄物処理、危険物や特殊な液体等を扱う施設の管理状況等、一たび発生すると致命的になりかねないリスクが多いため、特殊な環境下にある企業を買収する際には欠かせない手続となります。

 

⑦ ITデューデリジェンス

ITシステムに関する状況を確認するリスク調査です。

 

ビジネスを行う上でITシステムはどの企業も取り入れている項目ですが、その状況はまちまちです。

 

買収対象となる会社のITが脆弱で追加の投資が必要となった場合、大規模な追加費用が発生することになってしまいます。また、ITが脆弱ではない場合でも、自社のシステムと買収対象のシステムがマッチするとは限りません。買収後の相乗効果を考えて、システムを統一する会社も多いです。このような状況を詳細に調査し、M&A前にシステム計画を設計できるよう、システムに関するリスクを確認していくこととなります。

 

 

このように様々なデューデリジェンスがありますが、M&Aでは会社に内在する様々なリスク(怖さ)を鑑み、必要なデューデリジェンスを実施していきます。

 

 

 

 

 

 

[Point]

M&Aにおけるリスク(怖さ)の程度に応じて、必要なデューデリジェンスが実施される。

 

 

以上、M&Aの対象となる会社の特殊性や、リスクの度合いを鑑み、様々なデューデリジェンスがあることが分かりました。案件に応じて実施されるデューデリジェンスとされないデューデリジェンスがありますが、デューデリジェンスに対する漠然としたイメージが、少しでも具体的になっていただけると嬉しいです。

 

 

 

 

[解説ニュース]

地価動向の曲がり角:住宅譲渡損をカバーする特例について再確認

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い②

■住宅取得等資金の贈与の非課税制度 コロナ禍の影響で入居等が遅れた場合

 

1.はじめに


不動産価格が下落局面になると、活用が期待される住宅税制があります。
その税制とは、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41の5)(以下、この特例という。)」です。

 

この特例は、バブル崩壊以降、不動産の値下がりによって含み損を抱えたマイホーム所有者の「損切り」を推し進めることで、住宅買い換えの後押しを狙いとして登場しました。

 

制度の仕組みは、マイホームを売却して出た損失額がある場合、給与所得などと損益通算でき、損失額が給与所得などを上回り、その年の所得が赤字になった場合、赤字を翌年以降3年間繰り越すというものです。

 

主な適用の要件は、次の通りです。

1.売却する年の1月1日時点で住宅の保有期間が5年超

2.売却する年の前年1月から売却した年の翌年末までに新たな住宅に買い換えて居住すること

3.買換え先の住宅の床面積は50㎡以上

4.買い換えにあたっても償還期間10年以上ローンがあり、特例を適用する年の末日に残高があること

 

2.最新の基準地価動向は下落に転じる


昨年公表された7月1日時点の都道府県地価調査によると、三大都市圏では住宅地は平成25年以来7年ぶりに下落に転じたほか、地方圏では住宅地の平均変動率は▲0.9%と下落を継続し、下落幅が拡大(ただし地方圏のうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の平均変動率は3.6%と8年連続の上昇)とシテイます。地価Lookレポートなどによると、最近の地価動向でも新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、年率20%以上の下げを記録しており大阪市中央区道頓堀など路線価の減額補正を必要とする地域も出てきています。このため住宅価格そのものの動向への悪影響も少なからずあるのではないかと懸念が出てきました。3月24日には今年1月1日時点の公示地価が公表され、地価下落傾向が強まりを見せています。

 

3.最近の特例の適用動向


住宅買い換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例の適用動向は、地価動向や住宅の価格動向の影響を比較的よく反映します。平成18事務年度までは年間2万件もの件数がありましたが、その後、減少を続け、平成22事務年度には1万件の大台を割り込んでいます。直近の動向は以下のとおりです(事務年度とは7月1日〜翌年6月30日までの1年間のことです)。

 

平成26事務年度     9,467件
平成27事務年度     8,701件
平成28事務年度     7,401件
平成29事務年度     6,367件
平成30事務年度     5,522件

 

住宅の損切りを必要とするケースが増える事態となれば、今後、同特例の適用件数は増加することが予想されます。

 

4.繰越控除の適用上の注意点等


住宅買い換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例が適用できない場合は、特例の性格上、「損益通算・繰越控除ができない場合」と「繰越控除ができない場合」との2段構えになっています。
特に注意したいのは繰越控除が適用できない場合です。

 

ア.売却した住宅の敷地の面積が500㎡を超える場合、500㎡を超える部分に対応する譲渡損失の繰越控除はできません(措法41の5⑦三)。ただし譲渡した年は、500㎡を超える部分に係る譲渡損失の金額についても損益通算と対象とすることができます。

 

イ.繰越控除を適用する年の12月31日で買換え先の住宅に償還期間10年以上の住宅ローンがない場合も、損失の繰越控除はできません。なお、資金は「住宅の用に供する家屋の新築若しくは取得又は当該家屋の敷地の用に供される土地若しくは当該土地の上に存する権利の取得に要するもの」とされているため(措法41の5⑦四)、家屋か敷地どちらか一方が10年以上の償還期間を持つなら適用があるとされます。
ウ.合計所得金額が3,000万円を超える年分は、その年分で損失の繰越控除はできません(措法41の5④)。

 

 

このほか、注意すべき場合として、買換え先の住宅にいったん居住後、転勤等により翌年居住しなくなった場合がありますが、この場合は、住まなくなっても繰越控除はできることとされています。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/03/29)より転載

[M&A事業承継の専門家によるコラム]

第3回:事業承継における後継者の選定方法について

~親族承継、従業員承継、第三者承継(M&A)のメリット・デメリットと事前対策~

◆参考になる成功事例!取引先の社長へ株式譲渡し、従業員が社長になった事例◆

 

中小零細企業経営者や経営者をサポートする専門家の方が抱えるM&Aや事業承継に関するお悩みを、中小零細企業のM&A支援・事業計画支援を専門で行っている株式会社N総合会計コンサルティングの平野栄二氏にアドバイスいただきます。

 

〈解説〉

株式会社N総合会計コンサルティング

平野栄二

 

 

 

 

「私(K氏)は現在75歳です。ここ数年、検討することを躊躇していましたが、そろそろ後継者を選んで、甲社の経営の引き継ぎをしたいと考えています。しかし、娘はサラリーマンの男性(A氏)と結婚し、現在は専業主婦で経営に参画をしておらず、事業を引き継ぐ意思がありません。可能性があるとしたら、娘婿(A氏)が脱サラをして、後を引き継いでもらうということです。

 

また、従業員に、引き継ぐ人材がいるかというと、以前に、番頭格の幹部(B氏)に、お酒の席の雑談の中で、確認を行いましたが、B氏は「承継は荷が重く、妻も反対している」というという感想でした。

 

以上のような状況で、M&Aという選択肢も視野に入れて、後継者の検討をしていますが、①親族が承継する場合、②従業員が承継する場合、③第三者に承継(M&A)を行う場合、それぞれの留意点などを、お教えいただきますでしょうか。」

 

 

 

 

 

平野:それでは、順番にご回答いたします。

 

1.親族への承継(娘婿への承継)について


一般的に親族への承継は、他の方法と比べて、①社内・社外の関係者から心情的に受け入れられやすい、②後継者の早期決定により長期の準備期間の確保が可能である、③相続等により財産や株式を後継者に移転できるため所有と経営の一体的な承継が期待できる、といったメリットがあります。

 

しかし、甲社のケースで、嫁婿(A氏)に承継させる場合、①まったく異業種で甲社の実務経験と経営者としての経験がない、②A氏本人のやりたいという意思を確認していない、③直系血族ではなく、実務経験もないA氏が、従業員から直ぐに受け入れられるか、などの懸念があります。

 

まずは、娘様とA氏にしっかりとお話をして、意思を確認するとともに、A氏が甲社の経営者としての資質・能力があるのかを、K氏ご自身がしっかりと判断することが重要です。また、実務経験や経営者としての経験がないため、5年から10年の準備期間を設ける必要があります。そのため、75歳のK氏のご年齢を考えると、少なくとも80歳までは経営の指揮をとり、A氏を後継者として育成していく覚悟をしておかなければなりません。

 

 

 

2.従業員・役員への承継について


現在、従業員・役員への承継は増加傾向であり、①経営者としての能力のある人材を見極めてから承継することができる、②社内で長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性を保ちやすい、③社内の信頼の厚い適任者に承継させることで社内外の関係者より受け入れてもらいやすい、といったメリットがあります。

 

ご質問の甲社の場合、従業員B氏は、承継には消極的な姿勢であったということが懸念されます。しかし、雑談の中で、お話をしただけでは、B氏の本意が分かりませんので、しっかりとした席を設け、意思確認を行う必要があります。

 

B氏は番頭格で、社内の信頼も厚いので、適任者と考えられますが、経営者の補佐役としての才覚が発揮できても、経営者としての資質がないケースもあります。無理をして、経営者になった場合、リーダーシップが発揮できなかったり、重責に耐えられず心身に支障が生じるケースも見受けられます。また、B氏の家族にも受け入れられないと、株式の買い取りや、個人保証の引き継ぎを家族に反対されると、本人に意思があっても、頓挫するケースもあります。

 

引き継ぐ場合は、現経営者が、全面的にサポートを行い、後継者教育を計画的に行っていきます。

 

 

 

3.第三者へのM&Aによる承継


親族・従業員以外の第三者へ承継を行う方法は、広く候補者を外部に求めることができ、また、現経営者は会社の株式を譲渡した利益を得ることができる等のメリットがあります。第三者への引継ぎを成功させるためには、本業の強化や、内部の諸問題を解決し、企業価値を十分に高めておく必要があります。そのためには、現経営者にはできるだけ早期に専門家に相談を行い、企業価値(株価)の向上(磨き上げ)に着手することが望まれます。

 

M&Aを行う場合は、①相応しい譲受企業の発掘とその企業との交渉、②企業評価の算定・譲渡価額の提案、③譲受企業へ承継のメリットの提案、④法務・労務・税務上の問題点の抽出と解決策の提案など、さまざまな専門的な知見が必要になります。そのため、目先の利益を追うのではなく、最適な選択ができるように助言が受けられる、信頼のおけるアドバイザーを確保する必要があります。

 

ご質問の甲社の場合、親族、従業員への承継という選択肢も残されていますので、それぞれの長所・短所を検討し、優先順位を決めて、行動を起こす必要があると考えます。慎重に検討しつつも、行動することで、躊躇しがちな決断を促すことに繋がります。

 

M&Aの場合、行動を起こしてから成約まで早くても半年、場合によっては2~3年かかるケースもあります。そのため、秘密が取引先や従業員に漏洩しないように注意しつつ、早期に相手先の探索に取り掛かる必要があります。そして、譲受企業の選定が見込まれそうな段階を見て、親族やB氏に、意思確認を行うなど、M&Aと他の選択肢を併行して、検討を進めていかれることを推奨いたします。また、現経営者(K氏)は、バトンタッチがされるまで、甲社を更なる魅力ある企業へ、磨き上げを行うことも頑張っていただきたいです。

 

 

 

 

◆参考になる成功事例!取引先の社長へ株式譲渡し、従業員が社長になった事例

①事業承継の決意し、専門家に相談

従業員5人の、食に関連する卸売業で創業40年の企業(甲社)です。後継者がいないままで、社長(K氏)が70歳になり、事業承継の着手をはじめられました。最初は、サラリーマンの息子に事業を引き継ぐ予定でいましたが、息子の妻の強い反対にあい断念し、第三者承継を目指すべく、M&Aのアドバイザーと相談しながら、後継候補先の探索を始めることになりました。

 

②取引先へ話を持ち込む

業界は、昔ながらのネットワークが存在し、まずは、取引先に継承をしてもらうことを考え、創業当時から懇意にしている取引先の社長(D氏)に相談をいたしました。話し合いの中で、「株式は、私が譲り受けるが、経営は今いる従業員に任せたい」という意向を持たれました。対象となる従業員(A氏)は、実務には精通していましたが、経営の経験どころか、管理職の経験もありませんでした。

 

③意欲のある従業員を社長に

A氏に、その話を打診したところ、突然の打診に驚きながらも、「せっかくの、職業人生、社長という仕事をやってみたい」と意欲をもたれました。幸い甲社の借入金は少額であり、A氏は、家族の賛成も得ることができました。話し合いの末、晴れて話がまとまり、D氏は、役員にはならず、従業員A氏が代表取締役社長に就任されました。他の従業員も、納得し、新たな体制がスタートしました。旧経営者のK氏は1年ほど会長という呼称で、引継ぎを行った後、引退をされました。

 

④身の丈にあった経営に

その後、A社長より先輩の社員が退職したり、新しい社員を採用しても育たず退職したりと問題は発生しましたが、株主であるD社長は、じっと甲社とA氏を見守り続け、「身の丈のあった規模で経営をすればよい」と、採算の合わない分野は撤退をするなど、規模を縮小しながらも、利益がでる体質へと企業再構築を図っていきました。5年経った現在は、高い経常利益率を維持しています。将来は、D氏の持つ株式を社長へ段階的に譲渡する運びで話が進んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

〈事業承継が成功した要因を考えてみましょう〉

1.小規模事業者であったこと  


①変化に対応しやすい組織であったこと 

事業承継に成功した理由の一つとして、従業員が5人という小規模であったため、組織をまとめやすかったことがあります。また、株式の譲受者(D氏)にとっても株式価額が少額で、投資がしやすく、外部の借入金も少額であったため、万一の場合でも、本業が受けるダメージも少ないことも後押ししたことになったと思われます。よく、「うちは小規模事業だから、M&Aはできない」と思っておられる経営者の声を聴きますが、小規模事業者だからこそ、M&Aが成立する場合もありますので、決して諦めないことが重要です。

 

②身の丈にあった組織に再構築したこと

会社の規模を拡大することだけが、成長戦略ではないと考えます。甲社の場合、不採算の事業から撤退することで、A氏が経営者として身の丈にあったマネジメントができる体制に再構築したことも、承継が成功した要因であると考えられます。

 

 

2.従業員が、勤勉で、後継する強い意欲があったこと   


①後継者がポジティブであったこと

A氏は、代表になることに前向きな姿勢を崩さなかったことも、大きな成功要因です。 高い実務能力があっても、引き継ぐ意欲が低いと、当事者意識の欠如により、組織内で紛争が起きることがあります。また、意欲があっても、責任感が強すぎると、重荷となって、意思決定が遅れて経営判断を誤ったり、精神的に疲弊してしまう後継者も多く見受けられます。そのため、前向きな姿勢で経営に邁進されたことは、経営者の資質があったといえます。従業員承継を検討する場合は、後継者の「意欲と覚悟」の有無は、仕事の能力以上に、重要な成功要因であると言えます。

 

②後継者が勤勉であったこと

A氏は勤勉で、実務能力に長けており、通常業務は滞りなく任せられたため、先代社長K氏が引退後も、強力なマネジメントの必要性がなかったことも成功要因だと考えられます。 承継後は、毎月の業績報告をD氏に行い、都度重要な意思決定は相談を行うなど、コミュニケーションを円滑にとることができたことも、株主との信頼関係を維持し、事業が継続できた要因です。

 

 

3.取引先社長(D氏)との長年の信頼関係があったこと  


①業界のことを良く知り、専門家と相談しながら戦略的に進めたこと

業界の結束が固く、他の異業種からM&Aによって参入されることは取引先(D氏)にとっても脅威であったため、D氏自らが株主になることで、サプライチェーン(商品の供給連鎖)の強化をはかり、参入障壁を高める戦略的な意図もありました。

 

譲渡者がM&Aを検討する場合、業界の慣習や動向、顧客の動向をよく分析を行うことで、最適な譲受先に、最適な提案が可能であるので、M&A専門家と相談するなどしてじっくり検討を行う事が重要です。このケースの場合、異業種の候補先に話を持ち込んでいたら、承継後、問題が生じていたかもしれません。

 

②利害関係者との良好な人間関係を構築していたこと

K氏とD氏は、創業当時から苦楽を共にした仲で、同志的な信頼関係が構築できていました。事業承継の成功要因で、「良好な人間関係」は大切な要素になります。得意先、仕入先、取引業者、従業員、同業者、家族、株主など、普段からなるべく良好な人間関係を構築していると、思わぬ協力をいただける可能性もあり、事業承継がスムーズに運ぶことができます。

 

現在、関係性が悪い場合があっても、会社の存続のために、今からでも遅くはありませんので、関係の修復をはかる努力することが重要だと考えます。

 

 

[事業再生・企業再生の基本ポイント]

第2回:法的整理と私的整理の比較

~法的整理のメリット、私的整理のメリット、法的整理と私的整理の選択視点~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

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法的整理とは、債権者または債務者が裁判所に対して、一定の法的手続きを申請し、裁判所の関与・監督の下、法律に則って債務者の再建、または清算手続きが進められます。

 

一方で私的整理とは、法的整理によらず、債権者と債務者との協議により倒産処理を図る手続きです。法的整理、私的整理ともに清算型と再建型がありますが、ここでは再建型について記述します。

 

法的整理のメリットは、以下の通りです。

①裁判所の関与の下で法的手順に従って進められるため、柔軟性に欠けるものの、債権者の利益を公平に調整でき、債務者の詐害行為を防止することができます。

 

②法的整理は、再生案や更生案が裁判所に認可されると、その内容が全債権者に及ぶため次の場合に適しています。

Ⓐ利害関係が複雑で債権者の協力を得られない場合

Ⓑ公的な融資等特殊な債権者が存在する場合

Ⓒ債権者が多く、個別の交渉を行うことが時間・コストの制約上困難である場合

 

③法的整理において、債権者が再建放棄を行う場合、「貸倒損失」として処理されます。

 

 

私的整理のメリットは以下の通りです

①法的整理と比較して、弁護士費用などの直接倒産費用および法的整理の長引きによる資産劣化などの間接倒産費用を回避できる可能性が高いです。

 

②私的整理では、法的整理のように広告により倒産状態であることが周知されません。よって、私的整理案に対して銀行債権者全員の合意が可能であれば、一般事業債権者からの信用低下を防ぐことが可能です。

 

③私的整理は債権者ごとに柔軟に弁済条件を設定でき、メイン銀行などの主要債権者のみに金融支援要請をすることができます。

 

 

法的整理と私的整理の選択視点

法的整理に比べ私的整理の方が迅速に進められることや債権者の回収額が多くなる場合が多いため、まずは私的整理の可能性を検討することが一般的です。法的整理と私的整理のどちらを選ぶかの検討ポイントとしては、債権者の数、大口債権者や特殊な債権者の状況、時間的猶予、経営陣の処遇などがあります。

 

一般的には、規模が大きく、多数の債権者を抱えている場合や、権利関係等複雑に絡み合っている場合には私的整理で決着させることが難しく法的整理を選ぶことが多くなります。

 

事業再生のスキームの選択は専門性が高いため、経験豊富な事業再生の専門家と協議する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「法人が解散・残余財産が確定した場合の事業年度」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】解散による残余財産の分配に係るみなし配当の計算

■【Q&A】解散に際して支払われる役員退職金の課税関係

 

 

 


[質問]

〇当社は、11月末日決算法人(事業年度令和元年12月1日~令和2年11月30日)です。今般諸事情により、下記の予定にて解散・清算の予定です。
・解散予定日 令和2年9月30日

 

〇下記内容にて申告を考えています。
・解散申告…令和元年12月1日~令和2年9月30日…申告期限 令和2年11月30日
・みなし清算事業年度…令和2年10月1日~令和3年9月30日…申告期限 令和3年11月30日

 

〇みなし事業年度ですが、財産の整理が令和3年1月31日までには完了する予定です。
・したがって、上記みなし事業年度にかかわらず…令和2年10月1日~令和3年1月31日の事業年度として法人税等の申告を考えています。

 

〇残余財産確定申告書についても、残余財産の整理が令和3年2月28日には完了の予定です。
・残余財産確定申告書は、令和3年2月1日~2月28日の期間で法人税等の申告を考えています。

 

上記の事業年度で法人税等の申告をした場合には、税法上何か問題は発生しますか。

 

 

[回答]

1 事業年度
 (1) 事業年度の意義
この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(定款等)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第3項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第4項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が1年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、その1年未満の期間)をいう(法人税法13①)。

 

 (2) みなし事業年度(抜粋)
次の各号に規定する法人(…(省略)…)が当該各号に掲げる場合に該当することとなったときは、前条第1項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間をそれぞれ当該法人の事業年度とみなす(法人税法14)。
一 内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をした場合
その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度終了の日までの期間
ニ~二十 (省略)
二十一 清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定した場合(第十号に掲げる場合を除く。)
その事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間
二十二~二十五 (省略)

 

(3) 解散、継続又は合併の日
法人税法第14条第1項第1号及び第12号《みなし事業年度》の「解散の日」又は第22号の「継続の日」とは、株主総会その他これに準ずる総会等において解散又は継続の日を定めたときはその定めた日、解散又は継続の日を定めなかったときは解散又は継続の決議の日、解散事由の発生により解散した場合には当該事由発生の日をいう。また、同項第2号、第10号及び第13号の「合併の日」とは、合併の効力を生ずる日(新設合併の場合は、新設合併設立法人の設立登記の日)をいう(法人税基本通達1-2-4)。

 

 

2 会社法
 (1) 清算の開始原因
株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない(会社法475)。
一 解散した場合(第471条第4号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
二 設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
三 株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

 

(2) 貸借対照表等の作成及び保存
清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(第475条各号に掲げる場合に該当することとなった日の翌日又はその後毎年その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各1年の期間をいう。)に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない(会社法475)。

 

 (3) 株式会社等が解散等をした場合における清算中の事業年度
株式会社…(中略)…が解散等(会社法第475条各号…(中略)…《清算の開始原因》に掲げる場合をいう。)をした場合における清算中の事業年度は、当該株式会社等が定款で定めた事業年度にかかわらず、会社法第494条第1項…(中略)…《貸借対照表等の作成及び保存》に規定する清算事務年度になるのであるから留意する(法人税基本通達1‐2‐9)。

 

 

3 お尋ねについて
会社法の施行日(平成18年5月1日)以後に解散等した株式会社については、清算中の事業年度は、当該株式会社が定款で定めた事業年度にかかわらず、会社法第494条第1項《貸借対照表等の作成及び保存》に規定する清算事務年度になるとされています。

 

すなわち、法人が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をした場合には、まず、法人が定款等で定めた事業年度開始の日から解散の日までの期間についてみなし事業年度が生じ、次に、解散の日の翌日から会社法上の清算事務年度終了の日までの期間についてみなし事業年度が生じることとなります。

 

また、清算中の法人は、最終的に残余財産を分配して清算事務を終了し、清算結了することになりますが、その法人の残余財産が事業年度の途中で確定した場合には、その事業年度開始の日から残余財産確定の日までの期間を清算最終事業年度としてみなし事業年度を設けることとなります。ここでいう「残余財産確定の日」とは、特段明文化されていませんが、残余財産は、全ての資産を換価し債務を弁済することによって確定するため、実務上は、これらの全てが完了した日を「残余財産確定の日」とすることとなり、清算人が状況に応じて判断して定めることになると考えられています。

 

お尋ねによれば「11月決算法人が、令和2年9月30日に解散し、…」とのことですが、お尋ねの文中の「財産の整理が令和3年1月31日までに完了」と「財産の整理が令和3年2月28日までに完了」の使い分けが分かりませんので、便宜、「お尋ねの法人が株式会社であり、残余財産確定の日が令和3年2月28日である」と仮定した場合には、事業年度は次のようになるものと思われます。

 

(1) 解散の日が令和2年9月30日
イ 平成元年12月1日から令和2年9月30日まで(通常の事業年度)
ロ 令和2年10月1日から令和3年9月30日まで(清算中の事業年度)
(2) 残余財産確定の日が令和3年2月28日
上記(1)ロの事業年度の途中で残余財産が確定しますので、令和2年10月1日から令和3年2月28日までのみなし事業年度(清算最終事業年度)が生ずることになります。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年10月5日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


 

 

 

[解説ニュース]

自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い②

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い①

■譲渡所得の計算上、概算取得費を適用すべき場合、取得費を推定できる場合

 

1.自宅の敷地のみを譲渡した場合に3,000万円控除の適用が受けられる場合


前回の解説では、個人が自宅の敷地のみを譲渡した場合であっても、譲渡所得の3,000万円控除の適用が認められる場合について解説をしました。

 

前回の解説内容は、以下のとおりです。

 

自宅敷地に対する3,000万円控除の適用は、災害により自宅家屋が滅失した場合を除き、原則として、自宅家屋とその敷地を一体で譲渡する場合に認められます。ただし、租税特別措置法通達(措通)35-2では、所有者が居住の用に供している家屋(または居住の用に供されなくなった家屋)を取壊し、その敷地の用に供されていた土地等を譲渡した場合において、その土地等の譲渡が以下に掲げる要件のすべてを満たしているときは、居住用財産の譲渡に該当するものとして3,000万円控除の適用を認めています。

 

(1)その土地等の譲渡契約が、その家屋を取壊した日から1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住用に使用しなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること。
(2)その家屋の取壊し後、譲渡契約の締結日まで貸付けその他に使用していない土地等の譲渡であること。

 

2.敷地の譲渡契約を締結後に家屋を取壊した場合の3,000万円控除の適用(私見)


措通35-2の(1)の要件は、土地上の家屋を取壊し、その後に土地の譲渡契約を締結する前提で定められています。では、先に家屋の取壊しての引渡しを定める土地の譲渡契約を締結し、その後、その土地上の家屋を取壊して土地の譲渡をした場合、その土地の譲渡が居住用財産の譲渡に該当するものとして、3,000万円控除の適用が認められるのでしょうか。この疑問について、筆者の私見を以下のとおり述べます。

 

措通35-2の(1)は「その土地等の譲渡契約が、その家屋を取壊した日から1年以内に締結され」と規定されているので、家屋の取壊し日よりも前に土地の譲渡契約を締結した場合、形式的には要件を満たさないことになります。ただし、租税特別措置法通達逐条解説(譲渡所得関係)によれば、措通35-2が発遣された趣旨は、「買主から家屋を除去したうえで土地のみ売ってほしいという条件が付いたため、家屋を取壊して土地だけを譲渡した場合に、3000万円控除が受けられないことになると、不動産取引の実態にそわない結果となる」を認め、そのようなケースに適用を認めないことが法令の趣旨から外れた結果となると考え、そのような事態を回避することにあります。この趣旨からすれば、「不動産取引の実態」においてありうる土地の譲渡で、措通35-2(1)と(2)の要件と同レベルの内容を有するものについても、3,000万円控除の適用対象となる居住用財産の譲渡に該当すると思われます。

 

措通35-2の要件のうち(1)は、家屋の取壊しが先行し、その後に土地の譲渡契約が行われるという前提に基づいていますが、買主と売主の力関係等の個別事情により、先に土地の譲渡契約を締結し、その後に土地上の家屋を取壊すことも不動産取引ではありうることです。家屋の取壊しと譲渡契約の順序が通達の前提とは逆になった場合でも、それが「不動産取引の実態」の一つであり、譲渡時に居住用財産(であった)という属性が保たれていれば、措通35-2と同様の取扱いが認められるべきです。

 

したがって、先に土地の譲渡契約を締結し、その後、その土地上の家屋を取壊した場合でも、その取引が措通35-2(1)と(2)の要件と遜色ない内容となっているときは、その通達の要件を満たす土地の譲渡と同様に、3,000万円控除の適用が認められると考えます。

 

たとえば、土地の譲渡契約後にその譲渡契約の条件としてうたわれているべき合理的な期間内(措通35-2(1)とのバランスから最長1年が妥当でしょう。)に家屋が取壊され、かつ、措通35-2(1)の後半で規定する「その家屋をその居住用に使用しなくなった日以後3年を経過する日の属する年の 12月31日までに」土地の譲渡(引渡し)が行われた場合で、その譲渡した土地が譲渡契約の締結後、家屋の取壊しを経て引渡しまでの間に、貸付けその他の用に供していないものであるときは、その土地の譲渡について3,000万円控除の適用が認められるものと考えます。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/3/8)より転載

[マッチングサイトを活用したスモールM&A]

~年商1,000万円から2億円までのM&Aの現場から~

第3回:「マッチングサイトを使ったスモールM&A」で、選ばれる買い手になるために

 

〈解説〉

税理士 今村仁

 

 

 

▷売上1,000万円程度からの「スモールM&Aお任せサービス」受付開始!M&A仲介業者への依頼に至らない規模の小さい案件も依頼しやすい手数料で。まずはお気軽にご相談を。

 

(1)ユーザーの9割は買い手という現実

前回の解説にてスモール企業(中小零細企業)の売り手目線の選択肢として、「廃業」ではなく「ネットを使った第三者承継、(M&A)」を、弊社がサポートした実例を踏まえて説明をしましたが、いかがだったでしょうか。

 

前回の末尾に、サラリーマンを含めて買い手が多数いることについても少し触れました。 M&Aマッチングサイトをスマホやパソコンで見てみると、トップページにユーザー数が表示さています。そのマッチングサイトを使っているユーザーの数のことですが、一般的には約9割が買い手といわれています。つまり、10人いれば、1人が売り手で9人が買い手という感じです。

 

多数の買い手がマッチングサイトには存在しているのですが、それら買い手の成り立ちや業種業態、規模感などは多種多様です。一般的によくあるのは、今までM&Aを検討したことはあるのだけれど、売買価格や専門家費用が高く、なかなか実現できなかったようないわゆる中小零細企業の方々です。売上規模でいうと、3億円未満でしょうか。

 

他にも、過去に数億円ほどのM&Aを実現したことがあるような売上規模でいうと30億円未満の中小企業も多数います。中には、上場企業が買いくるケースもあり、弊社でもM&Aの成約実績があります。

 

一方で、自身もスモール企業といえるような売上2億円未満の企業も、売上拡大や昨今のコロナ禍でのリスクヘッジを買収理由として、マッチングサイトでのM&Aに積極的です。

 

さらには、冒頭申し上げたサラリーマンの方がいずれの起業や副業目的で、主婦の方やリタイヤメント世代が第二の人生に向かう1つの手段として、M&Aマッチングサイトに買い手候補として個人登録をしています。

 

また、買い手の業種業態や本社等のエリアは、マッチングサイトという性格も相まって、あまり偏りがなくあらゆる業種業態やエリアの方々がいます。

 

マッチングサイトを活用したM&Aの最前線でアドバイザーとして仕事をしていて、最近強く感じるのは、中国などのアジアを中心とした買い手企業が多数出てきていることです。マッチングサイトは日本語オンリーであることが多いので、日本語がある程度できるということ(また、形式上は日本企業ということでもあります)ですが、日本のスモール企業の魅力は日本人以上に外国の方々の方が強く感じているのかもしれません。

 

一方で、本連載の第1回で、「事業者数381万者のうち、3者に1者に当たる127万者が経営者70歳以上かつ後継者不在で廃業の危機にある」と説明しました。これら127万者の廃業が日本経済に与えるインパクトは、「650万人の雇用喪失、22兆円のGDP喪失」です。そのため、国は2019年12月20日に「第三者承継支援総合パッケージ」を、2020年3月31日に「中小M&Aガイドライン」をそれぞれ公表しました。これら政府資料では、127万者のうち黒字廃業率49.1%をかけた60万者を、今後10年間でM&Aを実現していく、との目標を掲げています。つまり、今後は圧倒的な売り案件がマッチングサイトに出てくるはずです。しかし、現状ではまだまだ、売り手の社長自身が自分の会社が第三者に売れるとは考えていないことなどもあり、圧倒的に買い手の方がマッチングサイトのユーザーとなっています。この部分については次回に説明したいと考えていますが、全国の会計事務所が立ち上がって、今まで救えなかった廃業間近の顧問先への情報提供や、M&Aマッチングサイトを利用するお手伝いをして欲しいと、強く思っています。

 

 

(2)ほとんどの買い手がハマる「落とし穴」

マッチングサイトに登録している買い手候補は、こういった買い手9割という実情をあまり知らないようです。場合によっては、「買い手がお金を出すのだから」と上から目線で交渉に臨んでいるケースもあります。

 

M&Aマッチングサイトに買い手が初めて登録して、この案件に少し興味あるなと思って、質問をしたり、前回、説明した実名開示依頼をしたりした時に、ほとんどの方がハマる「落とし穴」があります。

 

それは、メッセージを送ったのに、「何も返信がない」または「返信はあるが素っ気ない」ということです。このコラムをお読みの方でも、ご経験あるのではないでしょうか。

 

理由は明確です。現在のM&Aマッチングサイトでは、圧倒的な買い手過多なのです。また、人気案件は誰が見ても興味を引くものですから、1つの売り案件に、10件、20件買い手候補が現れることも珍しくありません。弊社も売り手アドバイザーをしていて、多数の買い手候補が現れているときに、「スマホからメール文言のチェックもせずに片手でよこしてきたな、しかもこの時間であれば飲み屋からか?」とわかるようなメールには、なかなか時間をかけて返信することはできません。

 

ネットの世界というのは、これはM&Aに限らずですが、リアルに会っているわけではありませんから相手の顔色など全く不明で、基本的にネット情報やメール文章のみで、判断をすることになります。過去にM&Aを多数実行してきた名の知れた大企業が買い手であっても、そこは同じです。実際に、弊社で過去成約した事例を振り返ると、規模も大きく知名度のある買い手候補が必ずしも、優良な売り案件の成約を実現できておらず、意外な伏兵ともいえるような小企業や時には個人が数多ある買い手候補をねじ落とし、売り手の心を射止めています。

 

 

(3)選ばれる買い手になるためには

先ほど「相手の顔色など全く不明で」と書きましたが、実は、文章というのは、思いっきり顔色が出ます。これを知っているかどうかは、M&Aマッチングサイトで選ばれる買い手になるためには重要です。

 

メールのやりとりを続けていくと、相手がどんな状況でこのメールを書いているのかまでわかりますし、もちろんどれくらいの熱意で書いているのかもわかります。残念なのは、本当はすごく熱意もあるし、もちろんそのための準備としての資金なども潤沢にあるにも関わらず、最初の売り手やそのアドバイザーとのやり取りを、疎かにされてしまうケースです(メール含めたネット音痴の方も含みます)。最初のメールで、「挨拶や買い手自身のことを何も書かずに、一方的な買手目線で、質問のみする」というのでは、十中八九上手くいかないでしょう。どんな交渉事でもそうだと思いますが、相手つまり売り手の立場に立って、常に発言をされることが大事です。この辺り、不得意と言うことであれば、少し費用は発生しますが、こういったM&Aマッチングサイトの交渉に長けたアドバイザーを、最初から付けられることをお勧めします。せっかくの貴重な売り案件を逃すことになりますから。

 

選ばれる買い手になるためには、「常に売り手の立場に立つ」ということは重要ですが、他にも、「売り手の条件を満たしている」ことをきちんと説明することも必要です。ケースによっては許認可や業種などが条件になっていることもありますが、多くの売り案件に共通する条件は、「価格」です。その価格を買い手はきちんと用意できるのかです。

 

つまり、選ばれる買い手になるためには、買収価格を例えば自己資金で用意しているとか、既に銀行に話をしていて内諾を得ているなどであれば、かなりのアピールになるでしょう。当然ですが、買収価格はその後に交渉していく前提で決して売り手が最初に提示した価格で購入するということではありませんが、とにかく最初は多数の買い手候補から売り手やそのアドバイザーに選んでもらわないと交渉のステージにすら進めないわけですから、資金手当ての話は重要なこととなります。

 

 

 

 

 

 

 

[業界別・業種別 M&Aのポイント]

第10回:「アパレル小売業のM&Aの特徴や留意点」とは?

~ブランド・店舗ごとの損益管理は?商品仕入れは?会計処理は?在庫状況・利益率は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:「小売業のM&Aの特徴や留意点」とは?

▷関連記事:「製造業のM&Aの特徴や留意点」とは?

▷関連記事:「医療業界のM&Aの特徴や留意点」とは?

 

Q、アパレル小売業のM&Aを検討していますが、アパレル小売業M&A特徴や留意点はありますか?


 

アパレル小売業の多くは、店舗での販売とECでの販売を併用しています。また、1ブランドのみを運営している企業もありますが、ある程度の規模になると複数のブランドを運営している企業が多くなってきます。複数の店舗や複数のブランドを運営している場合に、重要となってくるのがブランドごとの損益、店舗ごとの損益管理ができているかです。ブランドごとや店舗ごとに損益管理をすることで、実状の正確な把握と今後の適切な打ち手の検討が可能となるからです。M&Aを検討する場合でも、ブランド別や店舗別の損益状況は非常に重要な損益指標となります。

 

ブランド別や店舗別の損益以外に、KPIとしてされる基本的な指標として、客数・客単価が挙げられます。売上高を購入客数、客単価に分解をして分析を行います。入店客数の把握が可能な場合には、購入率(購入客数/入店客数)もKPIとして設定しましょう。買上点数を把握して、客単価を買上点数×平均商品単価に分解することも可能となります。どのようにKPIを設定するかは企業ごとの判断になりますが、一般的にはこれらの指標は重要であるため、分析している企業も多いです。

 

また、アパレル業界の特徴として、小売価格を上代(じょうだい)、卸売価格を下代(げだい)と呼ぶので、覚えておきましょう。また、アパレル業界だけではないですが、商品仕入に関して、買取仕入、委託仕入、消化仕入の3つの取引方法があります。

 

 

①買取仕入は、仕入れ先から商品を買取る仕入れ方法です。買取るわけですから、売れなかったとしても返品することは出来ません。つまり在庫リスクがあるため、商品の仕入れ内容や数の精度が重要となります。

 

②委託仕入は、仕入先と販売委託契約を結び、店舗に商品を置き、商品が売れた場合に商品代金ではなく「販売手数料」をもらう方式の仕入方法です。在庫リスクがないことがメリットとなります。

 

③消化仕入は、商品が売れるまでは仕入先の資産となり、商品が売れた場合に、仕入と売上を計上します。委託仕入と同様に在庫リスクがないことがメリットとなります。

 

 

委託仕入や消化仕入は在庫リスクがないことがメリットですが、1商品あたりの利益率は買取仕入よりも低くなります。それぞれの仕入方法を理解した上で、在庫の状況や商品の利益率を正確に把握しましょう。

 

アパレル業界では一般的に夏と冬の売上・利益が大きくなり、中でも冬の売上・利益の金額が最も大きくなります。これは、夏と冬にバーゲン等が行われること、冬物はコート等を取り扱うことから商品単価が大きくなることためです。夏は暑く、冬は寒い方が売上は大きくなる傾向にあり、バーゲン期間中や売上が大きくなる土日の天気によっても売上は変動します。自社の努力以外の天候の要素等で売上高が変動してしまうというところもアパレル業界の特徴となります。

 

商品の売上の状況により在庫も増減しますが、アパレル企業の在庫は鮮度が重要であることが多く、1シーズン売れ残ってしまうと価値が一気に下落します。そのため、在庫の状況の把握は非常に重要です。滞留在庫の会計処理や、値引き販売時の会計処理、在庫処分時の会計処理は企業により様々であるため、M&Aを検討している場合は、対象の企業がどのような会計処理を選択しているのかを把握して、実態を掴む必要があります。

 

小売業の場合は、バイヤーは非常に重要な役割を持っており、アパレル企業におけるバイヤーも例外ではなく、むしろ一般的な小売業よりも重要度は高いかもしれません。ある程度の規模のブランドになるとカリスマ性のあるバイヤーが存在することが多く、M&Aを検討する場合にはキーマンとなります。

 

アパレル小売業では、ブランド別や店舗別、商品別等の売上・損益、KPI指標等基本的な項目を把握しましょう。さらに、アパレル小売業特有の季節性や仕入方式および会計処理を理解した上で実態を掴み、M&Aを成功に導きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

外国人が母国から送金を受けた場合の贈与税課税

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(中山 史子/税理士)

[関連解説]

■不動産取得税の「相続による取得」を巡る最近のトラブル

■相続人が米国の連邦所得税上の居住者である場合の手続、報告義務等

 

 

【質問】

技能実習生として日本に居住する外国人が、母国に住む親から贈与により、親の外国の預金口座から、自分の日本の預金口座へ1,000万円の送金を受けました。贈与者(親)と受贈者(技能実習生である子)は、ともに日本国籍を有さず、日本での居住期間は、受贈者は10年以内、贈与者はゼロ(居住歴なし)です。従って、この送金を受けた金銭が国内財産に該当しなければ、日本の贈与税は課税されないことになります。この場合、この送金を受けた金銭は国内財産と国外財産のどちらに該当するのでしょうか?

 

 

【回答】

この送金を受けた金銭は国外財産に当たり、日本の贈与税は課税されないと考えられます。

 

課税財産の範囲


贈与税の課税財産の範囲は、贈与者と受贈者を、日本国内における住所(=生活の本拠地)の有無や国籍により区分し、その区分の組み合わせにより受贈者ごとに決定されます(下表)(相続税法1条の4、2条の2)。「一時居住者」とは、贈与の時において在留資格(出入国管理及び難民認定法別表第1の在留資格)を有する人で、その贈与前15年以内に日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人をいいます。

 

質問の場合は、受贈者は別表第1「技能実習」の資格を有し、日本での居住期間は10年以内ですので「一時居住者」に該当します。一方、贈与者は日本の居住期間はゼロですから「10年以内に国内に住所なし」に該当し、受贈者の課税財産の範囲は国内財産に限定されます(下表)。よって、この送金が国外財産に該当する場合には、日本の贈与税は課税されません。

 

贈与財産は何か?財産の所在は?


質問のケースは、まず金銭(現金)の贈与契約があり、その後に送金手続きが取られたと考えることが自然です。

 

よって、贈与財産である金銭の所在が国内なのか国外なのかにより贈与税の課税の有無が決定されます。相続税法10条は、財産の所在する場所について規定しており、動産(金銭)については”その動産の所在する場所”とし、その判定は”財産を贈与により取得した時の現況”によるとしています。

 

財産を贈与により取得した時はいつか?

 

民法第549条では「贈与は当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」とし、第550条では、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」としています。これら民法を受けて、相続税基本通達1の3・1の4共-8では、贈与による財産の取得の時期について「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」としています。

 

履行の時とは


「履行の時」とは、「贈与者の送金の手続き完了時(=外国)」なのか、「受贈者の預金口座への入金された時(=日本)」なのかという疑問が生じます。本質問と逆のケースですが、高裁の事案(平成14年9月18日判決)では、日本に居住する親が日本の預金口座から、国外に居住する子の外国の預金口座への送金について、贈与財産が国内財産か国外財産なのかについて争われましたが、裁判所はその判断の中で、”履行の時とは贈与者が送金の手続きを完了した時”という見解を示しました。

 

質問への当てはめ


質問の場合では、書面による契約があれば贈与契約時(=送金の前)、書面がないときは履行時(=親の送金手続き完了時)となり、いずれの時も金銭の所在は国外となり、日本の贈与税は課税対象外となります。

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/02/22)より転載

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「事業譲渡に当たっての適正価額について」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】事業を譲り受けた場合に営業権の計上について

■【Q&A】事業譲渡により移転を受けた資産等に係る調整勘定

 

 

 


[質問]

A社は事業縮小を図っており、物品販売の事業をB社に譲渡しようと考えています。譲渡にあたり、在庫を簿価でB社に売却する以外の金銭の授受は生じません。

 

1. 在庫の譲渡について利益を乗ぜず簿価で行いますが、損失が生じるわけではなく、両者の同意のもとで行われる取引であり問題がないと考えます。

2. 事業を引き継いでもらうことから、顧客データ等については無償で譲り渡すつもりです。金額の算定が難しく、有償では引き継いでもらえないことから無償譲渡で問題がないと考えます。

 

B社はA社の100%子会社ではありません。A社とB社の資本関係に影響されないと考えますがいかがでしょうか。

 

 

[回答]

法人税法上、資産の販売等に係る収益の額は、資産の販売等により受け取る対価ではなく、販売等をした資産の価額をもって認識すべきであるとされています(法22②④、22の2④)。そして、この「価額」、すなわち時価とは、一般的には第三者間で取引されたとした場合に通常付される価額のことをいいます。したがって、資産の低廉譲渡又は無償譲渡のように、時価と異なる価額を対価の額とする取引が行われた場合には「価額」に修正して益金の額を計算する必要があることとなります。具体的には、売手側には、寄附金課税等の問題が生じます。このことは、単体で商品等を販売することはもとより、事業譲渡のような形態であっても同様です。

 

ご質問についてですが、在庫を簿価で譲渡する場合や顧客データ等を無償で譲渡する場合でもそれが第三者で行われた事業譲渡であれば、利害が相反する当事者、すなわち売手(A社)と買手(B社)との交渉の結果合意された値段であると考えられますので、適正な価額で譲渡されたということについて特段問題は生じないと考えられます。

 

ご質問にある「B社はA社の100%子会社ではありません。A社とB社の資本関係に影響はされないと考えます」という趣旨が必ずしも判然としませんが、仮に、A社がB社の株式の70%を所有していたとすると、A社とB社とは親子関係となり価額決定に恣意性が入る余地が生じてしまいます。両社の同意のもと価額決定がされたとしても、そのことをもって恣意性が排除されているとは言い切れないと考えます。結果として時価譲渡に問題なしということになるかもしれませんが、適正な価額での取引であることを裏付けるためにも、例えば次のような点を検討しておく必要があるものと思われます。

 

① A社の事業縮小以外になぜ在庫品を簿価で譲渡しなければならなかったのか。在庫品を簿価で譲渡することで両社が合意するに至った経緯は何か。

② 一般的に、顧客データ等は、信用、ノウハウ、技術力等と同様に営業権(のれん)の構成要素となり得ると考えられますが、金額の算定の困難性以外になぜ有償では引き継いでもらえないのか。
など。

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年10月26日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]

~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~

 

第5回:会社の譲渡を検討していますが、譲渡してしまったら、共に働いてきた役員や従業員達から見放されたと思われないか不安です。

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

▷関連記事:なぜ「会社を買う」のか~買う側の理由、売る側の理由~

▷関連記事:取引先に知られずに会社を譲渡することはできる?

▷関連記事:自社の売却を検討していますが、家族や従業員には伝えづらいです。どのように伝えればよいのでしょうか?

 

Q.会社の譲渡を検討していますが、譲渡してしまったら、共に働いてきた役員や従業員達から見放されたと思われないか不安です。

 

私は約40年間、金属加工業を営んできました。会社が潰れかねない危機は何度もありましたが、全社員が一丸となって課題に取り組み、乗り越えてきました。お陰様で人員整理をする事無く経営ができ、長年の社員ともなれば社長と従業員という関係より戦友のように思っています。

 

ただ数カ月前に入院を伴う病気を患い、今の時代に即した経営者に後を託すべきだと考えるようになりました。仮に会社を譲渡すれば、これまで共に働いてきた役員や従業員達から、私が社員達を見放したと思われないでしょうか。

 

 

A.実際には杞憂である場合がほとんどです。

 

愛情を持って会社や社員を育ててきた経営者の方ほど、同様の不安を抱えておられることが多いようです。ただ、実際には杞憂である場合がほとんどです。

 

事業承継型のM&Aの場合、従業員の雇用条件も社名も当面変えずに、外から見ても社員や取引先からもあまり変化を感じないM&Aにしようと努めることが多いです。

 

同様の問題を抱えたある企業では、M&Aの最終契約後にオーナーが従業員に説明したところ、従業員からは意外な反応が返ってきたといいます。従業員はむしろ、高齢のオーナーが倒れてしまえば、会社を廃業せざるを得ないのではないかという不安を抱えていたというのです。このため、「M&Aで事業を存続することが決まって安心できた」「良い企業を売却先に選んでくれた社長に感謝したい」という反応すらあったそうです。

 

それを聞いた社長も「従業員も冷静に会社の行く末について考えていたことがよくわかった。良い売却先を選んで企業を存続させるという、最後の良い仕事ができた」と言っていたということです。

 

このようにM&Aを通じて事業上の相乗効果や安定的な経営を期待できれば、従業員のモチベーションがむしろ上がるケースも多いのです。経営者にとっては、これまで手塩にかけて育ててきた会社であり、大切にしてきた従業員です。M&Aに一歩踏み出すことに不安も多いと思いますが、良い相手先を選ぶことができれば、その心配は杞憂に終わる可能性が高いと思います。

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

住宅取得等資金の贈与の非課税制度 コロナ禍の影響で入居等が遅れた場合

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■生前贈与がある場合の相続税申告の留意点

■令和3年度税制改正:住宅ローン控除の拡充

 

1、はじめに


緊急事態宣言に基づく外出の自粛要請など新型コロナウイルス感染防止策の影響により、住宅の新築竣工時期等の遅れが生じ、住宅税制の入居に関する適用要件を充たせなくなることが懸念されています。

 

このため政府は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)について昨年4月、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」を施行し、入居期限までに入居できないケースへの対応を行ったところです。

 

ここでは、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例(措法70の2)」では、どのように対応されているのかについて確認します。

 

2、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例


住宅取得等資金に関する贈与税の非課税制度とは、父母・祖父母など直系尊属から満20歳以上で贈与の年の合計所得金額が2,000万円以下の子や孫が住宅取得等資金をもらう場合に、申告を条件に一定の限度額までは非課税となる制度です。

 

住宅用家屋の新築・取得・増改築(以下、取得等という)に係る契約の締結日が平成31年4月1日から令和2年3月31日の場合、非課税枠は以下の表のとおりです。

 

 

 

ただし贈与の翌年の3月15日までに住宅を取得等し、その年末までに居住すること等の要件があります。ここで着目すべきは、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の取得等をしなければならない点です。従来から、両制度とも住宅の取得等の期限については、厳格に贈与を受けた年の翌年3月15日とされてきており、これを徒過すると、同制度の適用は認められませんでした。

 

ただし、同制度には納税者自身の責めに帰さない「災害に基因するやむを得ない事情」で住宅の引渡しや新築の時期・入居の時期が適用要件の期日に遅れた場合には、1年延長が認められる法律上の定め(宥恕規定)があります(措法70の2⑩⑪)。

 

それによると、災害に基因するやむを得ない事情により贈与により金銭の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに取得等ができなかったとき又は取得等の年の12月31日までに入居できなかった場合であっても、特例の規定の適用を受けることができるとされており、たとえば住宅の取得等の期限が「翌々年3月15日」とされる仕組みです。

 

3、最新の国税庁のFAQ


国税に関し新型コロナウイルス感染症への対応を明らかにした「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」に、令和3年2月2日付で、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例における取得期限等の延長について」が追加されました。

 

それによると、国税庁は「今般の新型コロナウイルス感染症に関しては、例えば、緊急事態宣言などによる感染拡大防止の取組に伴う工期の見直し、資機材等の調達が困難なことや感染者の発生などにより工事が施行できず工期が延長される場合など、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた自己の責めに帰さない事由については、「災害に基因するやむを得ない事情」に該当するものと認められます」として上記宥恕規定の適用があることを明らかにしました。

 

同FAQでは、次のような事例を示しています。

 

①令和元年に贈与を受け、令和2年中に住宅の取得等をして年末までに住む予定だったケースで、コロナ禍で工期が遅れ年末までに住めなかった場合
→令和3年の年末までに居住すればOK
②令和2年に贈与を受け令和3年3月15日までに住宅の取得等をする予定がコロナ禍で遅れた場合
→令和4年3月15日までに取得し、その年末までに居住すればOK

 

 

なお、工務店等に住宅の新築工事をお依頼している場合には、資金の贈与の翌年3月15日までに棟上げしていれば、特例の適用のある住宅の取得等に含まれます(措法規23条の5の2①)。この点、新築マンションや建売住宅のケースでは、あくまで引渡し時点がポイントですので、注意が必要です。
申告にあたってはコロナ禍により取得時期や居住時期が遅れたことに関し工期が延期されたなど「やむを得ない事情」を証明する書面を用意する必要があります。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/02/16)より転載

[事業再生・企業再生の基本ポイント]

第1回:民事再生と会社更生の比較

~経営者の交代は? 担保権行使の制限は? 手続きや費用負担は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

▷関連記事:法的整理と私的整理の比較

▷関連記事:事業再生の概要を教えてください

▷関連記事:事業再生業務の全体像を教えてください

 

 

民事再生は民事再生法に基づいた手続きで、会社更生は会社更生法に基づいた手続きです。

 

下記のように様々な相違点がありますが、特に重要であると考えるのは、民事再生は経営者が原則続投しますが、会社更生では経営者は原則交代する点、民事再生では原則担保権の行使が制約されないが、会社更生では担保権の行使が制限される点、会社更生では手続きが厳格で費用が高くなる点です。個別の事情で一概には言えませんが、法的整理をする場合は、上場企業のように規模の大きい会社は会社更生を利用し、中小企業は民事再生での事業再生を図ることが一般的です。

 

 

[M&Aニュース](2021年1月25日〜2021年2月5日)

◇LIXIL、希望退職プログラムに965人応募、◇投資会社ユニゾン・キャピタル、精神科領域の訪問看護事業を手がけるN・フィールド<6077>をTOBで子会社化、◇名古屋木材<7903>、MBOで株式を非公開化、◇エアトリ<6191>、選挙活動支援ツール提供のセンキョを前澤ファンドに譲渡、◇日本電産<6594>、EV戦略強化に向けて三菱重工工作機械を買収、◇前田工繊<7821>、電気牧柵・酪農用品製造のエスケー電気工業を子会社化、◇マネックスグループ<8698>、メタップス<6172>傘下で暗号資産関連サービスのメタップスアルファを子会社化、◇クスリのアオキホールディングス<3549>、能登地区で食品スーパー2店舗を経営するサン・フラワー・マリヤマを吸収合併、◇セーラー万年筆<7992>、フランス販売代理店SAS Univers & Marquesを子会社化、◇インターネットインフィニティー<6545>、福祉用具レンタル・販売などのフルケアを子会社化、◇ソニー<6758>、米音楽出版社コバルト・ミュージックから音楽配信サービス「AWAL」事業を取得  ほか

 

 

 

LIXIL、希望退職プログラムに965人応募

LIXILは5日、1200人を募った希望退職プログラム「ニューライフ」に965人の応募があったと発表した。昨年2月にも希望退職を募集(人数を定めず、応募497人)しており、この種の人員合理化は2年連続。40歳以上勤続10年以上の正社員(工場の人事総務・経理部門や物流センター、デジタル部門は除く)を対象とし、2021年1月12日~22日に募った。退職日は3月25日。国内の新築住宅市場が急速に縮小する中、実力主義の徹底、機動的な組織づくりを進め、事業構造転換を加速させる。

通常の退職金に特別退職金を加算して支給し、再就職支援サービスを提供する。2021年3月期決算に関連費用約136億円を計上する。2022年3月期以降の人件費の減少は年間で約82億円を見込む。

投資会社ユニゾン・キャピタル、精神科領域の訪問看護事業を手がけるN・フィールド<6077>をTOBで子会社化

投資会社のユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)は5日、精神科領域の訪問看護事業を手がけるN・フィールド(東証1部)に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。買付代金は約155億円。成長事業へ経営資源を集中できる体制を構築するためには非公開化が適切だと判断した。N・フィールドはTOBに賛同している。

TOB主体はユニゾン・キャピタル傘下のCHCP-HN(東京都中央区)。N・フィールド株の買付価格は1株につき1200円で、前営業日の終値830円に44.58%のプレミアムを加えた。買付予定数は1292万5434株。買付予定数の下限は議決権ベースで3分の2以上となるように所有割合66.67%にあたる861万7000株に設定した。買付期間は2月8日~3月23日。公開買付代理人は野村証券。決済の開始日は3月30日。

N・フィールドは2003年に設立。2013年にマザーズに上場し、2015年東証1部に昇格した。

名古屋木材<7903>、MBOで株式を非公開化

名古屋木材は5日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社社長の丹羽耕太郎氏が設立した新会社のNホールディングス(名古屋市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株式の取得を目指す。名古屋木材はTOBに賛同を表明している。TOBが成立すれば、名古屋木材の名古屋証券取引所2部への上場が廃止となる。

名古屋木材株の買付価格は1株につき4350円で、2月3日の終値3750円に16%のプレミアムを加えた。買付予定数は37万2219株で、買付代金は16億1900万円。買付予定数の下限は所有割合65.98%にあたる24万7300株とした。

名古屋木材は1945年12月に木材・建材の販売を目的に設立。1949年に名証2部に上場し、今日にいたる。木材・建材に続き、住宅設備機器、分譲住宅・マンション、不動産賃貸の各事業に進出し、業容を拡大した。

しかし、人口減少などで新設住宅着工が縮小に向かい、業績は停滞している。こうした中、商業施設や公共施設など非住宅の木質化需要の取り込みなど成長戦略を進めるためには、機動的な意思決定を可能とする経営体制の確立が必要だとして株式の非公開化に動くことにした。

買付期間は2月8日~3月23日。公開買付代理人は東海東京証券。決済の開始日は3月30日。

エアトリ<6191>、選挙活動支援ツール提供のセンキョを前澤ファンドに譲渡

エアトリは5日、クラウド選挙活動支援ツール「スマート選挙」を開発・提供するセンキョ(東京都港区)の全株式を、ファッション通販サイト最大手ZOZOの創業者である前澤友作氏が設立した前澤ファンド(東京都港区)に譲渡したと発表した。譲渡価額は非公表。

センキョが手がけるスマート選挙は選挙・政治活動を支援するツールで、クラウドによる名簿管理をはじめ一連の選挙活動の見える化を実現する。2019年の地方統一選挙では新人候補者を含む利用者の約9割が当選したという。

エアトリは2020年2月に投資事業の一環としてセンキョに出資したが、今回、同社が前澤ファンドから資金調達することが決まったのに伴い、保有する全株式を手放すことにした。

譲渡先の前澤ファンドは社会課題の解決や趣味の追求を事業テーマに掲げる起業家や団体に対して出資を行う会社で、前澤氏の個人資産をもとに総額100億円規模の投資を予定している。前澤ファンドには4300件余りの応募があり、13の事業に出資が決定し、その1つとしてセンキョが選ばれた。

日本電産<6594>、EV戦略強化に向けて三菱重工工作機械を買収

日本電産は5日、三菱重工業の子会社で工作機械や切削工具の製造を手がける三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)を買収すると発表した。EV(電気自動車)用駆動モーターシステムの中核部品であるギア(歯車)の技術力を強化する。日本電産はEVモーターを成長の柱と位置づけており、工作機械事業をグループ内に取り込むことで、ギアをはじめ主要部品の内製化を進める。買収金額は非公表。買収完了は5月をめどとしている。

三菱重工工作機械は滋賀県栗東市のほか、米国、中国、インドに生産拠点を置く。従業員は1400人。売上高は2020年3月期が403億円、2021年3月期見込みが231億円。

日本電産は三菱重工工作機械の買収に合わせ、親会社の三菱重工が海外で展開する工作機械事業も傘下に収める。

前田工繊<7821>、電気牧柵・酪農用品製造のエスケー電気工業を子会社化

前田工繊は、電気牧柵など獣害対策製品や酪農用品を製造するエスケー電気工業(北海道苫小牧市)の全株式を取得し、5日付で子会社化した。前田工繊は子会社の未来にアグリ(札幌市)で獣害対策製品や牧場施設の製造を手がけており、取り扱い商材の多様化や販売網の相互活用による事業拡大を見込む。エスケー電気は1948年設立で、電気牧柵のパイオニアとして実績を積んできた。取得価額は非公表。

マネックスグループ<8698>、メタップス<6172>傘下で暗号資産関連サービスのメタップスアルファを子会社化

マネックスグループは5日、暗号資産交換事業を手がける傘下のコインチェック(東京都渋谷区)がオンチェーンのNFT(代替不可能なトークン)マーケットプレイス「miime」を提供するメタップスアルファ(東京都港区)の全株式を取得し子会社化すると発表した。コインチェックはネットワーク送金手数料が発生しないオフチェーンのNFTマーケットプレイスの開発を進めているが、オンチェーンにも対応することで早期の事業展開につなげるという。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月12日。

旧村上系の投資会社シティインデックスイレブンス、MBO中の日本アジアグループ<3751>にTOBを実施

投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は4日、日本アジアグループに対して全株式取得を目的に対抗TOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。日本アジアを巡っては同社の山下哲生会長兼社長が米投資ファンドのカーライル・グループと組んでMBO(経営陣による買収)を2020年11月初めから実施中。シティはカーライルを10円上回る1210円の買付価格を提示し、2月5日から3月22日まで買い付ける。買付代金は最大約264億円。

シティは旧村上ファンド系の投資会社で現在、共同保有者分と合わせて日本アジア株式の20.47%を所有する。TOBを通じて残る80%近い株式(2183万3880株)の買い付けを目指す。買付予定数は上限も下限も設けていない。公開買付代理人は三田証券、マネックス証券。決済の開始日は3月29日。

日本アジアの非公開化を目指すMBOは昨年11月に買付価格600円で始まった。このMBOについて、シティは買付価格が不当に安く、株主の利益を犠牲にしていると指摘し、今年1月半ばに1株840円で対抗TOBを2月上旬から始める方針を発表。MBOを主導するカーライル側は1月下旬、買付価格を600円から1200円に引き上げた。

シティが提示した買付価格1210円はTOB公表前日の終値1217円とほぼ同水準。今後、対抗TOBに対する日本アジアの意見表明とカーライル側の対応が注目される。

日本アジアは航空測量事業を中心に、太陽光、バイオマス、風力、地熱、小水力発電などのグリーン・エネルギー事業、森林事業を3本柱とする。

クスリのアオキホールディングス<3549>、能登地区で食品スーパー2店舗を経営するサン・フラワー・マリヤマを吸収合併

クスリのアオキホールディングスは、ドラッグストアを展開する全額出資子会社のクスリのアオキ(石川県白山市)が地場食品スーパーのサン・フラワー・マリヤマ(石川県輪島市。売上高6億4700万円、営業利益△100万円、純資産3700万円)を吸収合併することを決めた。食品販売を強化する一環。合併対価としてサン・フラワー・マリヤマ株主に現金を割り当て交付するが、金額は非公表。合併予定日は2021年5月21日。

サン・フラワー・マリヤマは1995年設立で、能登地区に食品スーパー2店舗を経営する。クスリのアオキは北陸・信越、東海・近畿、関東・東北の21府県にドラッグストア666店舗(うち調剤薬局併設346店舗)、専門調剤薬局6店舗の合計672店舗を持つ。近年は食品の販売に力を入れ、大型店では生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)を取り扱っている。

ひかりホールディングス<1445>、ビル・マンション修繕工事の本田組を子会社化

ひかりホールディングスは、ビル・マンションなどの修繕工事を手がける本田組(東京都品川区。売上高1億600万円、営業利益1160万円、純資産4410万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。タイル・石材建築工事のセラミックワン(横浜市)など既存子会社との相乗効果が期待できると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月16日。

ワールド、構造改革の追加実施で約100人の希望退職募集|2年連続

ワールドは3日、構造改革の追加実施に伴い約100人の希望退職を募集すると発表した。百貨店で展開するアパレルブランドを中心に不採算の7ブランドを廃止し、来期(2022年3月期)に約450店舗を閉店する。希望退職はこれら一連の構造改革に関わるフィールズインターナショナル(神戸市)、ワールドストアパートナーズ(東京都港区)のグループ2社の40歳以上の社員(定年再雇用者を含む。店舗従事者は除く)を対象とする。募集期間は3月9日~19日(退職日は4月20日)。

ワールドは昨年9月に200人規模の希望退職を募集(応募は294人)しており、2年連続となる。新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言の再発動で年明け1月の既存店売上高は前年比59.3%(見込み)と一段と厳しい状況となり、来期以降の収益回復の道筋を確実とするためには、今期(2021年3月期)中に事業構造の転換にもう一段のアクセルを踏み込む必要があると判断した。

資生堂<4911>、パーソナルケア事業を欧州投資ファンド大手のCVCキャピタル・パートナーズに1600億円で売却

資生堂は3日、アジアを中心に「TSUBAKI」「SENKA」などのブランドでヘアケア商品やスキンケア商品を展開するパーソナルケア事業を欧州系大手投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズ(英国)に1600億円で売却すると発表した。ドラッグストアや量販店を主要販路とするため、価格競争が激しく、収益力に課題があった。資生堂は売却先である事業運営会社の株式を35%取得し、合弁事業として運営に引き続き関与する。

パーソナルケア事業は1959年に始まり、60年を超える歴史を持つ。女性用で数多くの著名ブランドを持つほか、男性用は「uno」などで知られ、日本をはじめ中国、アジア各国で販売している。当該事業の2019年12月期の売上高は1055億円で、全社の約10%を占める。

国内外の事業は資生堂が2021年上期中に全額出資で設立する新会社に移管し、この新会社の株式をCVCキャピタル・パートナーズ傘下のOriental Beauty Holding(OBH、東京都千代田区)に7月1日付で譲渡する予定。そのうえで資生堂はOBHの親会社の株式35%を取得して合弁事業化する。

ルネサンス<2378>、アウトドアフィットネス事業のBEACH TOWNを子会社化

ルネサンスは、海、川などの自然や公園を利用して運動を楽しむアウトドアフィットネス事業を展開するBEACH TOWN(横浜市)の株式51.7%を取得し、子会社化することを決めた。アウトドアフィットネス分野への本格参入が狙い。ルネサンスは2009年にBEACH TOWNと業務委託契約を結び、「ルネサンス アウトドアフィットネス」として一部のスポーツクラブで周辺の公園や自然を使い、「ノルディックウオーキング」「ランニング」「パークヨガ」などのプログラムを実施してきた。

BEACH TOWNは2008年設立で、日本におけるアウトドアフィットネスの第一人者とされる黒野崇氏が社長を務める。現在、同社が運営・企画制作する施設は首都圏の1都3県を中心に北海道、滋賀、京都、大阪、岡山、宮崎、鹿児島に24カ所にある。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月1日。

デクセリアルズ、特別早期転身支援制度に59人が応募

電子材料・部材メーカーのデクセリアルズは2日、昨年9月から11月にかけて実施した特別早期転身支援制度に59人の応募があったと発表した。50歳以上の管理職社員を対象に50~100人程度を募った(昨年12月末までに段階的に退職)。退職加算金などに伴う関連費用約10億円を特別損失として2021年3月期決算に計上する。

セーラー万年筆<7992>、フランス販売代理店SAS Univers & Marquesを子会社化

セーラー万年筆は、フランスの販売代理店SAS Univers & Marques(モントロイ市。売上高2090万円、営業利益0千円、純資産800万円)の株式70%を取得し、子会社化することを決めた。セーラー万年筆は2000年に英国に支店を開設し、欧州での筆記具販売の拡大に取り組んできたが、英国のEU(欧州連合)離脱を受け、EU域内での拠点確保を模索していた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月8日。

サノヤスホールディングス<7022>、豪州メルボルンで観覧車を運営する現地子会社をスイスROBUグループに譲渡

サノヤスホールディングスは、豪州で観覧車を運営する現地子会社Sanoyasu Rides Australia Pty Ltd(メルボルン。売上高4億9600万円、営業利益△2810万円、純資産6億5200万円)の全株式を、リヒテンシュタインのVeyron Stiftungに譲渡した。Veyron Stiftungは世界各地で観覧車建設・運営事業を展開するスイスROBUグループを傘下に持つ。譲渡価額は約2400万円。譲渡日は2021年1月31日。

サノヤスHDは子会社を通じて2013年から豪メルボルンで大観覧車の運営を手がけてきたが、現地のレジャー産業を取り巻く事業環境が厳しさを増していたところに、コロナ禍による休業の影響などが重なり、業績が低迷していた。

インターネットインフィニティー<6545>、福祉用具レンタル・販売などのフルケアを子会社化

インターネットインフィニティーは、福祉用具や医療機器のレンタル・販売、住宅改修などを手がけるフルケア(広島市。売上高5億8000万円、営業利益0百万円、純資産1億3800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。中国地方への営業エリア拡大を図る狙い。取得価額は3億3500万円。取得予定日は2021年4月1日。

インターネットインフィニティーはリハビリ型通所介護「レコードブック」やケアマネジャー向け介護専門サイト「ケアマネジメント・オンライン」などを展開している。

ジョイフル本田<3191>、傘下のジョイフルアスレティッククラブを「ゴールドジム」運営のTHINKフィットネスに譲渡

ジョイフル本田は、スポーツクラブ3店舗(茨城県2、千葉県1)を運営する全額出資子会社のジョイフルアスレティッククラブ(茨城県土浦市)の株式67%を、スポーツクラブ「ゴールドジム」を展開するTHINKフィットネス(東京都江東区)に譲渡することを決めた。ジョイフル本田は引き続き株式33%を保有し、共同経営の事業形態に移行する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年3月1日。

ソニー<6758>、米音楽出版社コバルト・ミュージックから音楽配信サービス「AWAL」事業を取得

ソニーは2日、音楽事業統括子会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)を通じて、米音楽出版社コバルト・ミュージック・グループが展開する音楽配信サービス「AWAL」事業と音楽の著作隣接権管理事業を買収する契約を締結したと発表した。買収金額は約452億円(4億3000万ドル)。

「AWAL」はメジャー(大手)に属さないインディーズアーティストを主な対象とし、音楽配信サービスを提供している。アーティスト側は初期費用が発生せず、配信収益から一定の手数料を支払う仕組み。SMEは傘下にインディーズ(独立系)向け音楽配信会社の米オーチャードを持つが、新たに「AWAL」を取り込むことで、サービス領域がレコードレーベルにととまらずDIY(自作型)アーティストにまでより拡大する。

買収完了は関係当局の承認・許可を前提にしており、現時点で未確定。

飛島建設<1805>、ITシステム開発のアクシスウェアを子会社化

飛島建設は、ITシステム開発のアクシスウェア(東京都中央区。売上高9億5700万円)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速による次世代事業運営体制の構築に備える。アクシスウェアは2006年設立。取得価額は非公表。

ユアサ商事<8074>、持ち分法適用関連会社で業務用システム開発のシーエーシーナレッジを子会社化

ユアサ商事は持ち分法適用関連会社で業務用システム開発のシーエーシーナレッジ(東京都中央区)の株式を追加取得し1日付で子会社化した。49%だった持ち株比率を51%に引き上げた。IT関連領域の事業強化が目的。取得価額は非公表。

シーエーシーナレッジは1989年にユアサ商事の情報子会社化として設立。2002年に独立系IT企業のシーエーシー(東京都中央区)の傘下となったが、ユアサ商事グループにおける基幹システムの開発・運用・保守の業務委託先として緊密な関係を維持していた。子会社化に伴い、シーエーシーナレッジの社名を「ユアサシステムソリューションズ」に4月1日付で変更する予定。

アウトソーシング<2427>、新潟県上越市で業務請負・派遣業を手がける新生産業を子会社化

アウトソーシングは、業務請負や派遣業を手がける新生産業(新潟県上越市)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。取得価額は非公表。新生産業は2006年設立で、アウトソーシング傘下となることで地場以外の人材確保など一層の事業拡大を目指す。

JMホールディングス<3539>、群馬県太田市でショッピングセンター「ニコモール」運営の田園都市未来新田を子会社化

JMホールディングスは、群馬県太田市内でショッピングセンター「ニコモール」を運営・管理する田園都市未来新田(群馬県太田市。売上高4億3100万円、営業利益1億2200万円、純資産9億4100万円)を子会社化することを決めた。89%の株式を追加取得し、現在7.7%の持ち株比率を96.7%に高める。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月15日。

JMホールディングスは関東圏を中心に食品スーパー「ジャパンミート生鮮館」「ジャパンミート卸売市場」、業務用スーパー「肉のハナマサ」などを展開する。今回子会社化する田園都市未来新田が運営する「ニコモール」には「ジャパンミート生鮮館新田店」が出店している。

フマキラー<4998>、スイス農薬・種苗大手シンジェンタの日本法人からフラワー事業を取得

フマキラーは、スイスの農薬・種苗大手シンジェンタの日本法人であるシンジェンタジャパン(東京都中央区)からフラワー事業(種子、挿し穂など)を取得することを決めた。種苗代理店や花卉生産者、ホームセンター、公園事業者などに対し、フマキラーのガーデニング製品と同時提案することで事業拡大を目指す。取得価額は非公表。取得は数カ月以内に完了するとしている。

シンジェンタジャパンは1992年に設立し、フラワー事業のほか、アグリビジネス事業、野菜種子事業、プロフェッショナルソリューション事業(ゴルフ場用農薬など)を日本で展開している。

ウイルコホールディングス<7831>、情報誌制作子会社の関西ぱどを個人に譲渡

ウイルコホールディングスは、全額出資子会社で生活情報誌制作の関西ぱど(大阪市。売上高13億2000万円、営業利益△6800万円、純資産1億8400万円)の全株式を、富岡紀幸氏に譲渡することを決めた。グループ内の経営資源の最適配分の一環。譲渡価額は1億3100万円。2021年2月1日に全株式の61%、4月30日に残る39%を譲渡する予定。

ウイルコHDは2014年6月に関西ぱどを子会社化したが、近年は赤字体質が恒常化していた。

スタンレー電気、特別転進支援施策に155人応募|予定の半数にとどまる

スタンレー電気は29日、退職者を募る特別転進支援施策に155人の応募があったと発表した。49歳以上60歳未満で勤続10年以上の基幹社員を対象に300人程度を予定していたが、応募は半数にとどまった。募集期間は2021年1月7日~13日(退職日は2月28日。一部社員は3月31日)。2021年3月期決算に特別退職金など関連費用約15億円を特別損失として計上する。

主力の自動車ランプが売上高の約8割を占めるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い自動車業界で生産停止や減産が広がるなどの影響で業績が落ち込んでいる。

同社は特別転進支援施策の実施に合わせて、現在60歳の定年年齢を65歳に引き上げる定年延長制度の導入を決めた。

東京コスモス電機、30人程度の特別退職者を募集

東京コスモス電機は29日、30人程度の特別退職者を募集すると発表した。募集期間は3月1日~12日。退職日は4月30日とする。産業機器用可変抵抗器(ポテンショメーター)、車載用電装品を主力製品とするが、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で業績が悪化しており、要員の適正化や人員効率向上を図る。特別退職加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

佐鳥電機、30人程度の希望退職を実施|2年連続で募集

エレクトロニクス商社の佐鳥電機は29日、間接部門の正社員を対象に30人程度の希望退職を募集すると発表した。同社は昨年3月に特別転進支援施策としてグループを含めて60人程度の退職者(46人応募)を募っており、2年連続の人員合理化となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響や主要取引先との特約店契約の解消などを受けた収益構造改革の一環で、人員構成の最適化を一層進めるとしている。

募集期間は3月15日~31日(退職日は5月30日)。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

フォーサイド<2330>、子会社の映像制作事業を広告業のallfuzに譲渡

フォーサイドは子会社のフォーサイドメディア(東京都中央区)が手がける映像制作事業を、広告業のallfuz(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。アーティストのミュージックビデオやライブDVDの制作を主力としているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で受託していた制作案件の延期や中止が相次いでいた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年1月31日。

帝人<3401>、富士フイルム傘下で再生医療製品開発のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング<7774>をTOBで子会社化

帝人は29日、再生医療製品の開発に取り組むジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。バイオ医療領域の事業拡大が狙い。買付代金は最大約216億円。ジャパン・ティッシュ株式の50.13%を持つ筆頭株主の富士フイルムは全株式をTOBに応募する。ジャパン・ティッシュのジャスダック上場は維持される。同社はTOBに賛同している。

ジャパン・ティッシュ株の買付価格は1株につき820円で、TOB公表前日の終値644円に27.33%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は所有割合64.98%にあたる2638万9900株。下限は富士フイルムの保有分の50.13%で、TOBの成立は事実上確定している。買付期間は2月1日~3月2日。公開買付代理人はSMBC日興証券。決済の開始日は3月9日。

ジャパン・ティッシュは眼科用医療機器メーカー大手のニデック(愛知県蒲郡市)を中心に再生医療ベンチャーとして1999年に設立。生物から採取した細胞を用いて組織や臓器を人工的に作り出すティッシュ・エンジニアリングと呼ばれる医療技術の確立を目指している。2007年にジャスダックに上場。2010年に富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルムが同社の第三者割当増資を引き受け、筆頭株主となっていた。現在第2位株主のニデックは10.41%を引き続き保有する。

アウトソーシング<2427>、電気通信工事関連の技術者派遣を手がけるアイテックを子会社化

アウトソーシングは傘下企業を通じて、電気通信工事関連の技術者派遣を手がけるアイテック(千葉県野田市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アイテックは2011年設立で、移動体通信の基地局建設や建柱工事を強みとする。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

技術者派遣大手のビーネックスグループ<2154>と夢真ホールディングス<2362>、2021年4月に合併

技術者派遣大手のビーネックスグループ(東証1部)と夢真ホールディングス(ジャスダック)は29日、2021年4月に合併すると発表した。新社名は「夢真ビーネックスグループ」。ビーネックスは機械・電機・電子系、夢真は建設(施工管理)系の技術者派遣を主力とし、顧客の重複がほぼなく、統合効果が大きいと判断した。需要が拡大するIT領域での採用・人材育成力の強化などにつなげる。

ビーネックスを存続会社とし、夢真は3月30日付で上場廃止となる見通し。合併比率はビーネックス1:夢真0.63で、夢真1株にビーネックスの株式0.63株を割り当てる。合併後の新会社の会長にビーネックスの西田穣社長、社長に夢真の佐藤大央社長が就く予定。両社の直近売上高を合計すると約1400億円(ビーネックス817億円、夢真586億円)。

ビーネックスは1997年設立で、連結従業員1万8125人。夢真は1980年に設立し、同9848人。

SREホールディングス<2980>、システム受託開発の九州シー・アンド・シーシステムズを子会社化

SREホールディングスは、システム受託開発の九州シー・アンド・シーシステムズ(福岡市。売上高4億9300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。AI(人工知能)を活用した不動産価格推定などのコンサルティングツールの改善や新商品開発につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月以降。

九州シー・アンド・シーシステムズは1987年に設立し、30年以上の業歴を持つ。流通・金融を中心に人事や営業支援に関するシステム開発で実績を積んできた。SREホールディングスは不動産仲介と取引テータに基づくAIクラウド・コンサルティング事業を展開する。

セキュアヴェイル<3042>、システム受託開発子会社のインサイトをアステックコンサルティングに譲渡

セキュアヴェイルは、システム受託開発子会社のインサイト(大阪府豊中市。売上高2億8300万円、営業利益1140万円、純資産3460万円)の全株式を、アステックコンサルティング(大阪市)に譲渡することを決めた。新型コロナ下におけるグループ内の業務見直しの一環。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年2月12日。

譲渡先のアステックコンサルティングは製造業に特化したコンサルティング業務を展開している。これにインサイトの受託システム開発を組み合わせることで相乗効果を引き出し、事業拡大につなげる。

アイカ工業<4206>、台湾DSMコーティング・レジンから工場と付随するUV硬化型コーティング事業を取得

アイカ工業は台湾子会社を通じて、化学工業用原料・塗料メーカーの現地DSMコーティング・レジン(桃園市)の大園工場(同)とこれに付随するオーバープリントワニス用UV(紫外線)硬化型コーティング剤事業を取得することを決めた。対象事業の直近売上高は約12億円。取得価額は約14億3000万円。取得は2021年6月中旬を予定する。

アイカ工業は2018年に、靴・繊維・日用品用途のウレタン樹脂やアクリル系モノマー・オリゴマーなどを製造販売する台湾Evermore Chemical Industry Co.,Ltd.(南投市)を子会社化した。DSMコーティング・レジンをグループに迎えることで、台湾、東南アジアでの事業拡大につなげる。

オーテック<1736>、アサヒホールディングス<5857>傘下で放射冷暖房システム設計・施工のインターセントラルを子会社化

オーテックは、アサヒホールディングス傘下で放射冷暖房システムの設計・施工を手がけるインターセントラル(東京都中央区。売上高23億2000万円、営業利益3億7200万円、純資産23億7000万円)の全株式を取得することを決めた。オーテックは空調自動制御システムの設計・施工の「環境システム事業」と管工機材と住宅設備機器を販売する「管工機材事業」を両輪とするが、いずれの部門でも相乗効果が見込めると判断した。取得価額は35億7600万円。取得予定日は2021年3月1日。

インターセントラルは1974年に設立。放射熱を利用した放射冷暖房システムや電気暖房機器はビルのエントランス、病院、空港、図書館などで採用実績を積んできた。

テックファームホールディングス<3625>、自動車業界向けソフト開発子会社のEBEをツリー・エイトに譲渡

テックファームホールディングスは、自動車業界向けソフト開発子会社のEBE(東京都中央区。売上高13億7000万円、営業利益△1億500万円、純資産1億7200万円)の株式57.5%を、ツリー・エイト(東京都目黒区)に譲渡することを決めた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年2月1日。併せて、EBEに対する貸付金など約7億3000万円の債権を放棄する。

テックファームホールディングスは中古車や修理・解体、チューニングなど自動車アフターマーケットにかかわる事業拡大の一環として2015年3月にEBEを子会社化した。しかし、当初想定した事業計画と開きが生じていたうえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で顧客のシステム投資に慎重姿勢が急速に強まるなど、収益確保が一段と困難になっていた。

株式譲渡先のツリー・エイトは風力、太陽光、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギー関連の事業を手がけている。

サンフロンティア不動産<8934>、都内でビル清掃を手がける日本システムサービスを子会社化

サンフロンティア不動産は傘下企業を通じて、オフィスビルの清掃事業を手がける日本システムサービス(東京都港区)の全株式を取得し、29日付で子会社化した。グループ内における都心の清掃事業の基盤拡充が狙い。日本システムサービスは1979年に創業し、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)を中心に都内442棟のビル清掃を受託する。取得価額は非公表。

タイCPグループのシノバイオファーマシューティカル、医薬品開発のLTTバイオファーマにTOB

シノバイオファーマシューティカルリミテッド(ケイマン諸島。香港証券取引所に上場)は27日、医薬品開発のLTTバイオファーマ(東京都港区。2011年に東証マザース上場を廃止)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。TOBを通じて株式を買い増し、グループ企業との共同保有分と合わせて現在24.13%の所有割合を49.37%に引き上げる。LTTバイオに関して戦略的パートナーとしての位置づけを明確にするのが狙い。

LTTバイオ株の買付価格は1株3万4000円。買付予定数は3万3280株(所有割合25.24%に相当)。買付代金は11億3152万円。買付期間は1月27日~3月11日。公開買付代理人は三田証券で、決済の開始日は3月25日。LTTバイオはTOBに「積極的に賛同する」としている。

買付者のシノバイオはタイの巨大企業集団であるチャロン・ポカパン(CP)グループに属し、グループ内で製薬・医療事業を担う。シノバイオは現在、中国を主軸に製薬事業を手がけているが、中国国内での競争激化などに伴い、グローバル展開が課題となっている。このため、かねて結び付きが深かったLTTバイオとの資本関係をさらに強化する。

シノバイオ傘下で中国における中核子会社の北京泰德制药股份有限公司は1995年、LTTバイオの前身企業と中日友好病院(北京の政府系病院)と合弁で設立された。

大阪油化工業<4124>、工場排水濾過装置メーカーのカイコーを子会社化

大阪油化工業は工場排水濾過装置メーカーのカイコー(さいたま市。売上高2億4800万円、営業利益3900万円、純資産2340万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。カイコーが持つ濾過精製技術、小型排水処理装置の設計ノウハウを取り込み、大阪油化の主力製品である蒸留装置の総合提案力を高め、中長期的な収益力強化につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。

アウトソーシング<2427>、豪人材サービスのHorizonOne Recruitment を子会社化

アウトソーシングは豪州子会社を通じて、同国の人材サービス会社HorizonOne Recruitment Pty Ltd (キャンベラ)の全株式を取得し子会社化することを決めた。HorizonOneは政府や自治体など公共セクター向けホワイトカラー人材の紹介・派遣を手がける。アウトソーシングは事業安定化の一環として近年、主力である製造業系とはサイクルが異なる分野や景気変動などの影響を受けにくい公共系分野での人材サービス事業を国内外で拡大している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。

HorizonOneは2008年に設立。首都キャンベラを本拠とし、連邦政府との結び付きを強みの一つとする。アウトソーシングは豪州での展開に関し、これまでシドニーに比べて手薄だったキャンベラでのシェア拡大につなげる。

アウトソーシング<2427>、北九州で人材派遣を手がけるセレクトスタッフを子会社化

アウトソーシングは、人材派遣業のセレクトスタッフ(北九州市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。セレクトスタッフは2001年設立で、九州で物流系や食品工場などコロナ禍の影響が少ない派遣先を主力とする。グループの事業安定化と業容拡大に向けた取り組みの一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

東京インキ<4635>、紙加工・建築用塗料メーカーの荒川塗料工業を子会社化

東京インキは、紙加工用塗料や建築用塗料の製造を手がける荒川塗料工業(さいたま市。売上高12億8000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社の製品は事業領域が競合せず、インキ事業の拡大余地が大きいと判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。

荒川塗料工業は1949年に創業し、塗料・水性光沢インキで長年の実績とブランド力を持つ。近年は建材用コート剤など今後伸びが期待される製品も展開中。

日本コンクリート工業<5269>、東北電力<9506>傘下でコンクリートポール・パイル製造の東北ポールを子会社化

日本コンクリート工業は、東北電力傘下でコンクリートポール・パイプを製造する東北ポール(仙台市。売上高104億円、営業利益2億5800万円、純資産68億3000万円)を子会社化することを決めた。株式を追加取得し、現在6.4%の持ち株比率を64.3%に高める。5G(次世代通信規格)ネットワーク整備、国土強靭化対策などへの対応力を強化する。両社はポール・パイルの製造技術、パイルの施工技術の供与、営業協力などを通じて良好な関係を築いていた。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

セイコーエプソン<6724>、ICテストハンドラー事業を兼松<8020>に譲渡

セイコーエプソンは、ICテストハンドラー事業を総合商社の兼松に譲渡することを決めた。商品構成の適正化の一環。ICテストハンドラーはパッケージング後の半導体の動作試験の際に用いられる搬送装置で、当該事業の部門売上高は30億~40億円という。譲渡価額は非公表。譲渡は2021年4月上旬に予定。

アマナ<2402>、撮影・CGなどビジュアル制作事業子会社のアンを経営陣に譲渡

アマナは、撮影・コンピューターグラフィックス(CG)を中心とするビジュアル制作事業を手がける全額出資子会社のアン(東京都品川区。売上高3億3300万円、営業利益1300万円、純資産9000万円)の株式61%を、同社社長の兼子弘政氏に譲渡することを決めた。固定費の一部変動費化を進め、効率的なグループ運営管理体制を実現する狙い。アンの設立は2001年。譲渡価額は80万円。譲渡予定日は2021年2月1日。

オリンパス<7733>、オランダ医療機器メーカーのクエスト・フォトニック・デバイセズを子会社化

オリンパスはドイツ子会社を通じて、医療用蛍光イメージング(視覚)システムの開発・製造を手がけるオランダのクエスト・フォトニック・デバイセズ(売上高3億9600万円、営業利益1億2000万円、純資産4億7400万円)を買収することを決めた。約46億円で全株式を取得する。ほかに買収後の企業業績に応じた条件付き対価(アーン・アウト)として最大約18億円。取得予定日は2021年2月8日。

蛍光イメージングは外科手術に際し、通常の白色光の下では観察が難しい組織や病変を可視化する技術で、クエストはこの分野の先進的企業。オリンパスの持つ外科手術用内視鏡システムと組み合わせ、開腹手術・腹腔鏡手術の両方をカバーする高品質なイメージングサービス提供につなげる。

NOK、基板製造子会社の日本メクトロンで実施した希望退職に246人応募

NOKは27日、フレキシブルプリント基板(FPC)製造子会社の日本メクトロン(東京都港区)で実施した希望退職に246人の応募があったと発表した。300人程度を予定人員として2020年11月1日~12月31日に募った。3月31日までに退職完了する予定。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。NOKは2021年3月期に特別加算金など関連費用約62億円を特別損失として計上する予定。

フリージア・マクロス<6343>、持分法適用会社化を目指して日邦産業<9913>にTOB

フリージア・マクロスは、日邦産業株のTOB(公開買い付け)を実施すると発表した。資本業務提携の強化により日邦産業の顧客提案力の向上と仕入れコストの低下というシナジー効果を実現し、持分法適用会社化を通じてフリージア・マクロスの業績向上につながると期待している。TOB後もフリージア・マクロスの株式保有割合は最大で27.57%にとどまり、日邦産業の上場は維持される見通し。

一方、日邦産業は「今回のTOBは一方的かつ突然に行われたものである」とし、「公開買付届出書の内容などを精査した上で、速やかに見解を公表する」としている.

TOB価格は1株当たり930円で、公表前営業日での終値528円に76.13%のプレミアムをつけた。買付予定数は71万4800株。応募総数が2万5000株を下回った場合は、買付を実施しない。買付代金は約6億6500万円。公開買付代理人は三田証券。決済開始日は3月19日。

東京エネシス<1945>、日立プラントコンストラクションから火力発電設備の設計・施工事業を取得

東京エネシスは、日立プラントコンストラクション(東京都豊島区)から火力発電設備の設計・施工に関する事業(売上高122億円)を取得することを決めた。中核と位置づける電力設備の建設・保守事業を拡充するのが狙い。日立プラントコンストラクションの技術力や人材を取り込み、生産性向上やグローバル展開、協力会社体制を活用した施工力強化などの相乗効果を見込む。取得価額は22億~28億円。取得予定日は2021年7月1日。

マネックス証券<8698>、新生銀行<8303>から投資信託保護預かり口座に関する事業を取得

マネックス証券は27日、新生銀行の投資信託保護預かり口座に関する事業を会社分割により取得すると発表した。同日、マネックス証券、新生銀行、同行傘下の新生証券の3社が基本合意した金融商品仲介業務にかかる包括提携の一環。取得する投資信託(預かり総資産)は2867億円(2020年3月期)。2021年3月中をめどに最終契約を結び、2022年から新体制で運営を始める予定。

エディオン<2730>、システム開発のHampsteadなどを傘下に持つPTNを子会社化

エディオンは、システム開発や印刷事業などをグループ企業を通じて手がけるPTN(東京都新宿区)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。サービス基盤やマーケティング体制の強化につなげる狙い。

PTNは持ち株会社で、傘下に受注管理システム開発やデジタルマーケティング事業のHampstead(東京都品川区)、印刷事業のプライムステーション(東京都新宿区)、プログラミング教室運営のEdBank(東京都品川区)、英会話サッカースクール運営のBRIDGEs(東京都渋谷区)を子会社に持つ。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月8日。

モブキャストホールディングス<3664>、ゲームタイトル「キングダム乱ー天下統一への道ー」をでらゲーに譲渡

モブキャストホールディングスは、傘下のモブキャストゲームス(東京都港区)が展開するゲームタイトル「キングダム乱-天下統一への道-」(売上高約8億円)を共同開発先の「でらゲー」(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。対象とするゲームタイトルの損失解消が目的。譲渡価額は0円。譲渡予定日は2021年1月28日。

モブキャストHDは2020年3月に、戦略外であるスポーツ系ゲームタイトルの一部を譲渡するなど、選択と集中を進めている。

ミナトホールディングス<6862>、システム開発のアイティ・クラフトを子会社化

ミナトホールディングスは、システム開発のアイティ・クラフト(東京都中央区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ミナトHD傘下でWeb構築などを手がける日本ジョイントソリューションズ(東京都中央区)がアイティ・クラフトとシステム開発案件に共同で取り組んだ実績があり、グループ化により一層の相互補完が期待できると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

アイティ・クラフトは2007年設立で、金融系の業務システム開発に強みを持つ。

サコス<9641>、電気設備工事の親和電気を子会社化

サコスは、電気設備工事業の親和電気(大阪府守口市。売上高5億1600万円、営業利益0百万円、純資産1億3600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。サコスが手がける業務の一つである発電機レンタルで新たな需要開拓につながると判断した。親和電気は1964年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月9日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[中小企業のM&A・事業承継 Q&A解説]

第6回:M&Aの仲介契約とFA契約の違い

~仲介契約とアドバイザリー契約の違いとは?報酬体系は?~

 

[解説]

宇野俊英(M&Aコンサルタント)

 

 

 

 

 

 


 

[質問(Q)]

後継者を探しましたが、親族内、役員・従業員にも適任者が見当たりません。ついてはM&Aで事業継続を図りたいと思いますが、現在候補先にあてがない状態です。候補先を探索する場合、誰に相談したらよいですか。

 

 

[回答(A)]

一般的には決まった相手先がいない場合には仲介者若しくはアドバイザーからの支援を受けることが一般的です。仲介者・アドバイザー(以下、「仲介者等」といいます)の選択は、業務範囲や業務内容、活動提供期間、報酬体系、ディール実績、利用者の声等をホームページや担当者から、確認した上で複数の仲介者等に打診、比較検討して決定することが望ましいです。また、公的相談窓口として事業引継ぎ支援センターにご相談いただいても、信頼できる仲介者等を紹介してもらうことができます。

 

 

 

1.信頼できる仲介者等の選任


信頼できる仲介者等を選任することが重要です。仲介者等はM&Aを支援する機関で、候補先は民間のM&A事業者、金融機関、税理士を含む士業専門家等です。身近な相談先として顧問税理士や取引金融機関も挙げられます。主な契約は2 種類でそれぞれの機関ごとの指針や取引状況により契約体系が大きく異なる仲介契約とアドバイザリー契約があります。選定の際には仲介者等の担当者との相性や信頼関係の構築ができそうかという点も重要なポイントになります。

 

また、契約を締結する際は調印前に充分な説明を納得がいくまで受けることも重要です。特に契約内容や報酬等については後程問題になるケースもあることから確認が必須となります。もし、契約内容等に疑義がある場合には、必要に応じセカンドオピニオンを受けることが有効です。

 

 

 

2.仲介契約とアドバイザリー契約の違い


仲介契約仲介者と譲渡企業、譲受企業との間の契約です。双方の間になって中立・公平の立場から助言を行うため、交渉が円滑に進みやすいという特徴を持っています。

 

アドバイザリー契約アドバイザーが譲渡企業又は譲受企業の一方との間で締結する契約です。契約者の意向が交渉に全面的に反映されるという特徴があります。

 

中小企業のM&Aでは仲介契約が一般的であることが多いと推察されますが、契約者に対する利益相反の観点からアドバイザリー契約のみに限定している支援者もいます。また、弁護士は弁護士法で双方代理は認められていないため、自動的にアドバイザリー契約となります。

 

 

3.仲介者等の役割


一般的には以下のような支援をすることが多いです。

 

また、以下の一部のみサービスを提供している仲介者等もいます。

 

①事業評価
②候補先選定サポート
③交渉サポート
④基本合意締結サポート
⑤デューデリジェンスサポート
⑥最終契約締結・クロージングサポート

 

 

4.報酬体系


一般的な報酬は以下のとおりです。別途交通費等の実費やデューデリジェンスの費用が必要な場合があります。また、着手金やリテーナーフィー、基本合意時の報酬は不要として成功報酬のみとしている仲介者等もいます。

 

● 対応開始時:着手金
● 対応中:リテーナーフィー(月額報酬)
● 基本合意締結時:中間的な報酬で、成功報酬の一定割合としている仲介者等もいます。
● 成約時(決済時):成功報酬、レーマン方式といわれるM&Aで一般的に使用される方式を採用しています。一方、最低報酬額を別途定めている仲介者等も多く存在します。