取引先に知られずに会社を譲渡することはできる?
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[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]
~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~
第1回:取引先に知られないように会社を譲渡することはできますか?
〈解説〉
株式会社ストライク
M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。
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Q.取引先に知られないように会社を譲渡することはできますか?
光学機器関連の製造業を営んでいます。私どもの業種は専門性が高く、市場が狭い技術分野ですので、信頼できる従業員達や取引先の仲間としっかりと協力し合って成長してきました。ただ、私も高齢になり、健康に不安を感じるようになってきました。妻や子どもからも「いつまで経営を続けるのか」「健康を害したり、事故にあったりするなど、何かが起こってからでは遅い」などと言われ、事業承継を考えるようになりました。親族に後継者の候補がいないので、良い経営者に会社を譲渡できればと思っています。
しかし、一つ難点があります。我々の業界は、狭い市場で複数社がしのぎを削っている状況です。私自身が弊社の信用になっているところがあり、取引先も「Tさんがいるので」と言って委託してくれています。考えすぎかもしれませんが、私が急に経営から降りると業績悪化要因になりかねません。取引先に知られないように、スムーズに会社を譲渡することはできないでしょうか。
(埼玉県 光学機器部品製造業代表取締役 Tさん)
A.可能ですが、いずれ取引先に告知する必要があります。
Tさんが希望されるように、取引先に知られないようにM&Aを進めること自体は可能です。また、M&Aで最も多く活用されている株式譲渡という手法は、株主が変わるだけですので、対外的には目立った変化がないように見えます。
ただし、実際のM&Aでは取引先を引き継げるかどうかが、事業を続けるうえで重要なポイントとなります。このため重要な取引先には、契約締結前や契約締結後、すぐに説明に行くケースが多いです(※)。また、会社を譲渡した経営者が代表権のない会長や顧問に就任する場合もあります。例えば1年間というふうに一定期間、会社に残って経営に関与する条件で、M&Aをするというやり方です。その間に取引先への告知、新社長への引き継ぎなどを、一定の時間をかけながら行うこともできます。いずれにしても、いつかは取引先に会社を譲渡することについて告知しなくてはなりません。もちろん取引先への告知のタイミングや方法等には細心の注意を払い、トラブル等を避ける必要があります。まずはM&Aの専門家にご相談されることをお勧めします。
※取引先との契約で、株主が変更する場合に事前に了承を得る条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)が付されている場合には、例外的に事前に了承を得る必要があります。