事業引継ぎ(スモールM&A)のスケジュール「事業の引継ぎって どうやって進めるの?」
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[スモールM&A マッチングサイト活用が成功のカギ]
第2回:事業引継ぎ(スモールM&A)のスケジュール「事業の引継ぎって どうやって進めるの?」
〈解説〉
早期の準備が成功の秘訣
マッチングサイトを使えば今までになかった新しい方法で「後継ぎ」が見つかるかもしれない。
では、実際に第三者への事業引継ぎはどのように進めていくことになるのだろうか。
過去の例によると、その多くにおいて成功要因といえるのが「早いうちに事業引継ぎのための準備」を行っていたことだ。これはとても大事な視点で、経営者が高齢になるにつれ売上げが減少していくことも多く、結果として承継対価などが下がることになる。そのため、廃業が脳裏にちらついたら、すぐにでも事業引継ぎの準備を始めてほしい。事業引継ぎは「早期の準備が成功の秘訣」なのである。
さて、親族内承継であれば、阿吽の呼吸である程度のおおまかな承継でも、新経営者と伴走しながら伝言不足の軌道修正などができるかもしれない。また、書類不足なども事後に補完して上手くいく可能性もある。
しかし、「第三者への承継」となると、そうはいかない。会社にとって大事な「契約書」や「規定」があれば、当然に承継前にきちんと開示し、最終的には現物を後継者候補に渡さないといけない。資産の中に承継後も社長が必要となる「車」や「生命保険」があれば、個人のものとして名義変更するなど事前に対策しなければならない。「借金」はなるべくなら減らしておいた方が、承継がスムーズなのは自明の理である。会社承継前に後継者候補にきちんと情報開示できていれば問題となることはほぼないが、退職金規程の有無や契約書の一部を紛失しているなどの情報を開示できていないと後日問題となる。これは誤解のないようにしておきたいのだが、書類が不備であるかどうかも大事だが、たとえ不備であったとしても、その不備であるということを事前にきちんと伝えておくことの方がより重要だということだ。
こういった整理をきちんと行い、決算書などの資料を準備した上で、マッチングサイトに登録し、後継者候補と交渉する場合と、後継者候補からの質問で慌てて整理を急いだり、資料を準備したりするのでは、当然にその最終結果は大きく異なるものとなる。実は、第三者承継の場合でも、不動産と似ていて、「最初に来た客=後継者候補」が一番良い客ということはよくある。そのためにも、マッチングサイト活用前に、まずは事前準備をしっかり行っておこう。
第三者への事業引継ぎスケジュール(スモールM&Aの手順)
事前準備を十分に行った上でマッチングサイトに登録することになるが、その登録は秘密保持の観点から、「会社名などを伏せた形のノンネームバリューシート(業種やエリア、概算売上金額や利益金額、特徴などの文章、売買価格を含めた売却条件などを記したもの)」で行うことになる。
その後、ノンネームバリューシートを見た後継者候補が、承継を考える社長やそのアドバイザーにアプローチをしてくるのが一般的な流れとなる。
次には、それら複数の後継者候補との「質疑応答」や「トップ面談」を経て、仮契約となる「基本合意書の締結」となる。この基本合意書の締結で、特定の後継者候補1社による承継を考える社長との独占交渉権が発生することになるが、それぞれの納得のもと、行うことになる。
更には、後継者候補による財務や労務を中心とした「会社調査(デューデリジェンス=DD)」を経て、「最終契約書の締結」がなされ、無事に「会社の引渡し」となる。
[用語解説]
■ノンネームシート
会社名などを伏せた状態で会社の概要を記したもの。
■ノンネームバリューシート
マッチングサイト用に、ノンネームシートに文章などを更に追加したもの。マッチングサイトを使った第三者承継で、特に最初の段階では、リアルで交渉を行う場合と比較して、文章情報のみで交渉相手を探さないといけないので、ノンネームバリューシートの上手な作成は第三者承継の成功のカギとなる。
■デューデリジェンス(DD)
M&Aを行うに当たって、リスクや課題を洗い出すために対象会社を詳しく調査すること。ビジネス、財務、税務、法務などの種類がある。
書籍「小さな会社の事業承継・引継ぎ徹底ガイド ~マッチングサイト活用が成功のカギ」より