[業界別・業種別 M&Aのポイント]

第10回:「アパレル小売業のM&Aの特徴や留意点」とは?

~ブランド・店舗ごとの損益管理は?商品仕入れは?会計処理は?在庫状況・利益率は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

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Q、アパレル小売業のM&Aを検討していますが、アパレル小売業M&A特徴や留意点はありますか?


 

アパレル小売業の多くは、店舗での販売とECでの販売を併用しています。また、1ブランドのみを運営している企業もありますが、ある程度の規模になると複数のブランドを運営している企業が多くなってきます。複数の店舗や複数のブランドを運営している場合に、重要となってくるのがブランドごとの損益、店舗ごとの損益管理ができているかです。ブランドごとや店舗ごとに損益管理をすることで、実状の正確な把握と今後の適切な打ち手の検討が可能となるからです。M&Aを検討する場合でも、ブランド別や店舗別の損益状況は非常に重要な損益指標となります。

 

ブランド別や店舗別の損益以外に、KPIとしてされる基本的な指標として、客数・客単価が挙げられます。売上高を購入客数、客単価に分解をして分析を行います。入店客数の把握が可能な場合には、購入率(購入客数/入店客数)もKPIとして設定しましょう。買上点数を把握して、客単価を買上点数×平均商品単価に分解することも可能となります。どのようにKPIを設定するかは企業ごとの判断になりますが、一般的にはこれらの指標は重要であるため、分析している企業も多いです。

 

また、アパレル業界の特徴として、小売価格を上代(じょうだい)、卸売価格を下代(げだい)と呼ぶので、覚えておきましょう。また、アパレル業界だけではないですが、商品仕入に関して、買取仕入、委託仕入、消化仕入の3つの取引方法があります。

 

 

①買取仕入は、仕入れ先から商品を買取る仕入れ方法です。買取るわけですから、売れなかったとしても返品することは出来ません。つまり在庫リスクがあるため、商品の仕入れ内容や数の精度が重要となります。

 

②委託仕入は、仕入先と販売委託契約を結び、店舗に商品を置き、商品が売れた場合に商品代金ではなく「販売手数料」をもらう方式の仕入方法です。在庫リスクがないことがメリットとなります。

 

③消化仕入は、商品が売れるまでは仕入先の資産となり、商品が売れた場合に、仕入と売上を計上します。委託仕入と同様に在庫リスクがないことがメリットとなります。

 

 

委託仕入や消化仕入は在庫リスクがないことがメリットですが、1商品あたりの利益率は買取仕入よりも低くなります。それぞれの仕入方法を理解した上で、在庫の状況や商品の利益率を正確に把握しましょう。

 

アパレル業界では一般的に夏と冬の売上・利益が大きくなり、中でも冬の売上・利益の金額が最も大きくなります。これは、夏と冬にバーゲン等が行われること、冬物はコート等を取り扱うことから商品単価が大きくなることためです。夏は暑く、冬は寒い方が売上は大きくなる傾向にあり、バーゲン期間中や売上が大きくなる土日の天気によっても売上は変動します。自社の努力以外の天候の要素等で売上高が変動してしまうというところもアパレル業界の特徴となります。

 

商品の売上の状況により在庫も増減しますが、アパレル企業の在庫は鮮度が重要であることが多く、1シーズン売れ残ってしまうと価値が一気に下落します。そのため、在庫の状況の把握は非常に重要です。滞留在庫の会計処理や、値引き販売時の会計処理、在庫処分時の会計処理は企業により様々であるため、M&Aを検討している場合は、対象の企業がどのような会計処理を選択しているのかを把握して、実態を掴む必要があります。

 

小売業の場合は、バイヤーは非常に重要な役割を持っており、アパレル企業におけるバイヤーも例外ではなく、むしろ一般的な小売業よりも重要度は高いかもしれません。ある程度の規模のブランドになるとカリスマ性のあるバイヤーが存在することが多く、M&Aを検討する場合にはキーマンとなります。

 

アパレル小売業では、ブランド別や店舗別、商品別等の売上・損益、KPI指標等基本的な項目を把握しましょう。さらに、アパレル小売業特有の季節性や仕入方式および会計処理を理解した上で実態を掴み、M&Aを成功に導きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

外国人が母国から送金を受けた場合の贈与税課税

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(中山 史子/税理士)

[関連解説]

■不動産取得税の「相続による取得」を巡る最近のトラブル

■相続人が米国の連邦所得税上の居住者である場合の手続、報告義務等

 

 

【質問】

技能実習生として日本に居住する外国人が、母国に住む親から贈与により、親の外国の預金口座から、自分の日本の預金口座へ1,000万円の送金を受けました。贈与者(親)と受贈者(技能実習生である子)は、ともに日本国籍を有さず、日本での居住期間は、受贈者は10年以内、贈与者はゼロ(居住歴なし)です。従って、この送金を受けた金銭が国内財産に該当しなければ、日本の贈与税は課税されないことになります。この場合、この送金を受けた金銭は国内財産と国外財産のどちらに該当するのでしょうか?

 

 

【回答】

この送金を受けた金銭は国外財産に当たり、日本の贈与税は課税されないと考えられます。

 

課税財産の範囲


贈与税の課税財産の範囲は、贈与者と受贈者を、日本国内における住所(=生活の本拠地)の有無や国籍により区分し、その区分の組み合わせにより受贈者ごとに決定されます(下表)(相続税法1条の4、2条の2)。「一時居住者」とは、贈与の時において在留資格(出入国管理及び難民認定法別表第1の在留資格)を有する人で、その贈与前15年以内に日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人をいいます。

 

質問の場合は、受贈者は別表第1「技能実習」の資格を有し、日本での居住期間は10年以内ですので「一時居住者」に該当します。一方、贈与者は日本の居住期間はゼロですから「10年以内に国内に住所なし」に該当し、受贈者の課税財産の範囲は国内財産に限定されます(下表)。よって、この送金が国外財産に該当する場合には、日本の贈与税は課税されません。

 

贈与財産は何か?財産の所在は?


質問のケースは、まず金銭(現金)の贈与契約があり、その後に送金手続きが取られたと考えることが自然です。

 

よって、贈与財産である金銭の所在が国内なのか国外なのかにより贈与税の課税の有無が決定されます。相続税法10条は、財産の所在する場所について規定しており、動産(金銭)については”その動産の所在する場所”とし、その判定は”財産を贈与により取得した時の現況”によるとしています。

 

財産を贈与により取得した時はいつか?

 

民法第549条では「贈与は当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」とし、第550条では、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」としています。これら民法を受けて、相続税基本通達1の3・1の4共-8では、贈与による財産の取得の時期について「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」としています。

 

履行の時とは


「履行の時」とは、「贈与者の送金の手続き完了時(=外国)」なのか、「受贈者の預金口座への入金された時(=日本)」なのかという疑問が生じます。本質問と逆のケースですが、高裁の事案(平成14年9月18日判決)では、日本に居住する親が日本の預金口座から、国外に居住する子の外国の預金口座への送金について、贈与財産が国内財産か国外財産なのかについて争われましたが、裁判所はその判断の中で、”履行の時とは贈与者が送金の手続きを完了した時”という見解を示しました。

 

質問への当てはめ


質問の場合では、書面による契約があれば贈与契約時(=送金の前)、書面がないときは履行時(=親の送金手続き完了時)となり、いずれの時も金銭の所在は国外となり、日本の贈与税は課税対象外となります。

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/02/22)より転載

[M&Aニュース](2021年2月8日〜2021年2月19日)

◇日本アジアグループ、旧村上系投資会社のTOBに反対表明、◇グッドスピード<7676>、米ハーレーと伊ベスパの正規ディーラー運営のチャンピオンを子会社化、◇ガイアックス<3775>、ソーシャルメディア子会社のEDGEを経営陣に譲渡、◇アジア開発キャピタル<9318>、ワンアジア証券を子会社化、◇カシオ計算機、早期退職に81人が応募、◇コーユーレンティア<7081>、映像設備・音響装置製造の共和通信を子会社化、◇ハマキョウレックス<9037>、食品向け3PL事業を主力とする栄進急送とマルコ物流の2社を子会社化、◇GCA<2174>、M&Aオンラインプラットフォーム「BIZIT M&A」を運営するBIZITを子会社化、◇コロプラ<3668>、スマホを使ったインターネット調査事業をトゥルージオに譲渡、◇ハークスレイ<7561>、ベーカリー子会社「アルヘイム」をスーパーの万代に譲渡  ほか

 

 

 

日本アジアグループ、旧村上系投資会社のTOBに反対表明
2021/02/19

日本アジアグループは19日、同社の子会社化を目的に旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が2月5日に始めたTOB(株式公開買い付け)について反対意見を表明した。「当社の事業内容に一切関心を持っておらず、企業価値、株主価値を毀損するおそれがある」などとしている。これにより、今年2例目の敵対的TOBに発展した。

日本アジアを巡っては2月初めまで米投資ファンドのカーライル・グループと共同でMBO(経営陣による買収)が行われたが、不調に終わっている。

シティインデックスイレブンスは旧村上ファンド系投資会社。同社は日本アジア株について1株1210円の買付価格を提示し、3月22日までTOBを実施中。全株取得を目指しており、買付代金は最大約264億円。19日の日本アジア株の終値は1233円。

2021年に入り、敵対的TOBは日本製鉄が実施中の東京製綱に対する案件に続き2例目。

グッドスピード<7676>、米ハーレーと伊ベスパの正規ディーラー運営のチャンピオンを子会社化
2021/02/19

グッドスピードは、米ハーレーダビッドソンとイタリアのベスパの正規ディーラーを運営するチャンピオン(名古屋市。売上高7億1800万円、営業利益1680万円、純資産10億5000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グッドスピードが主力とする四輪顧客と共通項の多い輸入バイク顧客を取り込むことで、バイク顧客と四輪顧客相互への商材販売、バイク事業そのものの拡大などを目指す。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月1日。

チャンピオンは1965年に創業。1985年から米オートバイのハーレーダビッドソン正規ディーラーとなり、愛知県と静岡県で計4店舗を展開。イタリアのベスパはスクーターで知られる。

グッドスピードは2020年にバイク事業に参入し、ドイツBMW Motorradの正規ディーラーを岐阜市内にオープンしている。

ガイアックス<3775>、ソーシャルメディア子会社のEDGEを経営陣に譲渡
2021/02/19

ガイアックスはソーシャルメディア事業子会社のEDGE(東京都千代田区。売上高1億6900万円、営業利益1580万円、純資産△3780万円)の株式65.55%を、EDGEの佐原資寛社長が設立した同名の新会社EDGE(東京都港区)に譲渡することを決めた。新EDGEは旧EDGEを子会社化したうえで、同社を吸収合併する。ガイアックスは合併後のEDGE株式5%強を保有する。譲渡価額は1億1560万円。譲渡予定日は2021年3月1日。

EDGEはガイアックスから分社して2017年に設立され、人事課題解決に特化したサービス「エアリー」を法人向けに展開し、600以上の導入実績を持つ。

アジア開発キャピタル<9318>、ワンアジア証券を子会社化
2021/02/19

アジア開発キャピタルは、中小証券のワンアジア証券(東京都千代田区。売上高3480万円、営業利益△1億6300万円、純資産2億3400万円)が実施する第三者割当増資を引き受け、62.23%の株式を取得して子会社化することを決めた。アジア開発キャピタルは投資事業を手がけるが、2020年3月期まで14期連続で経常損失が続いており、事業再構築に向けたリバイバル(再生)プランの一環。取得価額は6000万円。取得予定日は2021年2月26日。

アジア開発キャピタルは香港を拠点とする新鴻基有限公司(サンフンカイ)グループを筆頭株主とする。新鴻基のグローバルネットワークとの連携を活用し、ワンアジア証券を通じて中国・香港地域で資金調達やM&Aアドバイザリー業務などを展開する。

今回傘下に収めるワンアジア証券は2001年に設立し、証券業務を行ってきた。しかし、M&A仲介事業などに新規進出したものの、成果が出ず、業績不振が続いている。

カシオ計算機、早期退職に81人が応募
2021/02/18

カシオ計算機は18日、「早期希望退職優遇制度」に81人の応募があったと発表した。営業部門またはスタッフ部門に在籍する勤続10年以上の社員のうち、45歳以上の一般社員と50歳以上の管理職社員が対象で、募集人数は定めず、1月18日~2月1日に募った(退職日は5月20日)。2021年3月期決算に特別退職金や再就職支援の関連費用約12億円を特別損失として計上する予定。

カシオはコンパクトデジタルカメラ事業からの撤退などに伴い、新規事業創出に向けて構造改革を推し進めている。足元の業績は黒字圏を維持しているが、新コロナ禍の影響で厳しさが増している。2021年3月期業績予想は売上高21.6%減の2200億円、営業利益51.8%減の140億円、最終利益46%減の95億円。

同社は2019年2月にも今回と同様の内容で早期退職を募っており、156人が応募した。

コーユーレンティア<7081>、映像設備・音響装置製造の共和通信を子会社化
2021/02/18

コーユーレンティアは傘下企業を通じて、映像設備や音響装置の設計・製造、施工を手がける共和通信(川崎市)の全株式を取得し、18日付で子会社化した。ICT(情報通信技術)関連の点検・修理や工事などフィールドサービスの拡充につなげる。取得価額は非公表。

ハマキョウレックス<9037>、食品向け3PL事業を主力とする栄進急送とマルコ物流の2社を子会社化
2021/02/18

ハマキョウレックスは栄進急送(兵庫県伊丹市。売上高20億円、営業利益2億2800万円、純資産5億2400万円)、マルコ物流(同。売上高6億1300万円、営業利益3500万円、純資産1億1700万円)の物流2社の全株式を取得し、18日付で子会社化した。関西エリアでの物流センター事業(3PL事業)を拡充するのが狙い。栄進急送、マルコ物流は食品分野を主力に3PL事業で実績を積んできた。取得価額は非公表。

設立は栄進急送が1986年、マルコ物流が1999年。兄弟会社の関係にあり、両社の社長を務める村上功氏がそれぞれの筆頭株主。

海外旅行事業のベルトラ、約25人の希望退職者を募集
2021/02/17

ベルトラは17日、約25人の希望退職者を募集すると発表した。同社は海外旅行の現地体験ツアーのオンライン予約サービスを展開するが、新型コロナウイルス感染拡大で旅行市場が縮小し、業績の大幅悪化に見舞われている。募集人員は全従業員(188人、1月末)の約13%にあたる。募集期間は2月18日~24日で、退職日は3月31日。特別退職金を支給する。

直近の2020年12月期決算は売上高79%減の8億9000万円、営業赤字13億3300万円(前期は8億4400万円の黒字)、最終赤字15億4700万円(同5億2100万円の黒字)だった。

休業導入や在籍出向、オフィス移転などの対策を講じてきたが、コロナの収束が見通せない状況下、コスト構造の抜本的見直しに向けて人員合理化に踏み切る。

駅探<3646>、マーベリックからスマホ向けインフィード広告事業を取得
2021/02/17

駅探は、広告配信関連のシステム開発などを手がけるマーベリック(東京都新宿区)からスマートフォン向けインフィード広告事業を取得することを決めた。マーベリックが同事業を分社して設立予定の新会社サークア(東京都千代田区)の全株式を取得する。駅探の主力事業である経路検索サービス「駅探ドットコム」の収益拡大や経路検索サービスのユーザーデータ利活用事業の展開などにつなげる。取得価額は8億2500万円。取得予定日は2021年4月1日。

インフィード広告はSNSやニュースサイトでコンテンツ中に表示される広告のこと。今回、マーベリックから取得するのはスマホ向けインフィード広告配信システムの開発・運用に関する事業で、女性スマホユーザーをターゲットにしたものとしては業界最大規模という。

ジー・スリーホールディングス<3647>、Cファクトリーから医療機器・医療用消耗品販売事業などを取得
2021/02/17

ジー・スリーホールディングスは、医療機器・医療用消耗品販売などを手がけるCファクトリー(東京都中央区)から一部事業を取得することを決めた。太陽光発電関連、非常用電源関連に続く第3の経営の柱とする狙い。

取得するのは医療機器・医療用消耗品の販売のほか、化粧品・健康食品、美容機器の製造・販売に関する事業で、直近売上高は2億8900万円(2021年6月期見込み)。ジー・スリーHDは受け皿会社として近くジー・スリーファクトリー(東京都品川区)を設立する。

取得価額は非公表。業績連動型のアーンアウト条項を採用し、目標売上高を超えた場合、一定額の追加支払いが発生する。取得予定日は2021年3月1日。

コロプラ<3668>、スマホを使ったインターネット調査事業をトゥルージオに譲渡
2021/02/17

コロプラはスマートフォンを使ったインターネット調査「スマートアンサー」事業を、マーケティング領域のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を手がけるトゥルージオ(東京都港区)に譲渡することを決めた。主力であるゲーム事業やVR(仮想現実)事業の周辺事業として2014年から事業を展開してきたが、経営資源再配分の一環として手放すことにした。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年4月1日。

曙ブレーキ工業、国内生産拠点での早期退職に予定を2割上回る223人が応募
2021/02/16

曙ブレーキ工業は16日、国内生産拠点で実施した早期退職措置に223人の応募があったと発表した。180人程度としていた募集人数を2割超上回った。募集は2020年12月21日~2021年2月12日(退職日は3月31日付)。同社は2020年2~3月に本社間接系社員を対象に200人規模の早期退職を実施(154人応募)しており、これに続く。

今回の早期退職措置は国内生産拠点再編の一環で、曙ブレーキ山形製造(山形県寒河江市)、曙ブレーキ福島製造(福島県桑折町)、曙ブレーキ岩槻製造(さいたま市)、曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)のグループ4工場のほか、運送・梱包のアロックス(さいたま市)、曙ブレーキ工業本体(生産部門、工場再編推進室、生産技術部など)で実施した。

2021年3月期決算に退職金への特別加算金や再就職支援にかかる関連費用約10億円を特別損失として計上する予定。

VTホールディングス<7593>、富士モーター商会と大兵自動車から愛知県津島市内のホンダ販売店を取得
2021/02/16

VTホールディングスは傘下のホンダカーズ東海(名古屋市)を通じて、富士モーター商会(愛知県津島市)のホンダカーズ津島神尾店を、大兵自動車(同)のホンダカーズ津島西古川店をそれぞれ事業取得することを決めた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月1日。

ホンダカーズ東海はホンダディーラーとして現在、愛知県内20店舗、岐阜県内7店舗を展開する。今回の2店舗取得で愛知県内22店体制となる。

プラップジャパン<2449>、シンガポール広告会社のWild Advertising & Marketingを子会社化
2021/02/16

プラップジャパンはシンガポール子会社を通じて、現地広告会社Wild Advertising & Marketing Pte. Ltd. (Wild、売上高3億1600万円、営業利益3060万円、純資産4620万円)の株式80%を取得し、傘下に収めることを決めた。東南アジアでの事業基盤を拡充するのが狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月1日。

Wildは2009年設立で、フェイスブックやインスタグラムなどSNSマーケティングに強みを持つ。シンガポール政府機関・公共機関のデジタルキャンペーンで実績を積んできた。

プラップジャパンは2020年にシンガポールのPR会社PRAP ASIA PTE. LTD.を子会社化したが、これに続きWildを傘下に収め、日系企業へのサービス体制を強化する。

ハークスレイ<7561>、ベーカリー子会社「アルヘイム」をスーパーの万代に譲渡
2021/02/16

ハークスレイは、ベーカリーショップ子会社のアルヘイムフードサービス(大阪市)を、スーパーの万代(大阪市)に16日付で譲渡した。ベーカリー事業の事業性を再評価した結果としている。ハークスレイは弁当店「ほっかほっか亭」を全国展開するが、新型コロナウイルスの影響を最小限に抑え、コロナ収束後に成長が見込める事業領域に重点的に経営資源を投入する。譲渡価額は非公表。

アルヘイムフードサービスは旧アルヘイムから全事業を引き継ぐために2月1日に新設され、今回、この新会社の全株式を譲渡した。旧アルヘイムは北欧フードサービスが前身で、ベーカリーの製造とベーカリーカフェの営業を手がけ、2001年にハークスレイの傘下に入った。

譲渡先の万代は近畿圏を中心にスーパー150店舗余りを展開する。

リーガルコーポレーション、100人程度の希望退職者を募集
2021/02/15

製靴大手のリーガルコーポレーションは15日、100人程度の希望退職者を募ると発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務の広がりで主力のビジネスシューズ需要が一段と落ち込んでいる。50歳以上の社員(再雇用社員を含む)を対象とし、募集期間は3月8日~19日。募集人員は全社員のほぼ1割にあたる。退職日は4月30日付。特別退職金を支給し、再就職を支援する。

同社の2021年3月期業績予想は売上高28%減の210億円、営業赤字22億円(前期は7億2700万円の赤字)、最終赤字26億円(同13億円の赤字)。5年連続の減収、2年連続の営業・最終赤字を見込む。革靴市場の縮小やカジュアル化の進展でビジネスシューズ需要が減少しているところに新型コロナ禍が重なった。

革靴製造の国内4子会社のうち、米沢製靴(千葉県浦安市)を4月30日をもって解散することも決めた。これに伴い、米沢製靴在籍の全従業員48人は退職とする。希望退職と同様に、特別退職金を支給し、再就職も支援する。

北の達人コーポレーション<2930>、FMラジオ局のエフエム・ノースウエーブを子会社化
2021/02/15

北の達人コーポレーションはFMラジオ局のエフエム・ノースウエーブ(札幌市。売上高5億8600万円、営業利益1060万円)の株式72.8%を取得し、子会社化することを決議した。

エフエム・ノースウエーブが有する音声コンテンツの制作ノウハウと、北の達人コーポレーションのマーケティングノウハウなどを相互に活用し、デジタル音声広告の事業化を推進する。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月31日。

パーカーコーポレーション<9845>、医療用、食品用の乾燥剤メーカーの東海化学工業所を子会社化
2021/02/15

パーカーコーポレーションは医療用、食品用の乾燥剤メーカーの東海化学工業所(愛知県豊田市)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

パーカーコーポレーションは機械事業、化成品事業、化学品事業、産業用素材事業、化工品事業を手がけており、両社の技術やノウハウ、製品販売網を共有することで、事業拡大を目指す。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月1日。

INCLUSIVE<7078>、「堀江貴文のブログでは言えない話」発信・運営のSNSメールマガジンを子会社化
2021/02/15

INCLUSIVEは「堀江貴文のブログでは言えない話」の発信・運営を手がけるSNSメールマガジン(東京都港区)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

SNSメールマガジンは2021年1月の設立で、堀江貴文氏が支配株主であるSNS media&consulting(東京都港区)からメールマガジン事業を譲り受けた企業。同事業の2020年1-12月の売上高は1億5300万円、営業利益は7200万円、純資産は2億2200万円だった。

INCLUSIVEはSNSメールマガジンの子会社化を機に、個人の発信者を支援する事業を拡大する。取得価額は2億2400万円。取得予定日は2021年2月19日。

ショクブン<9969>、第三者割当増資で米穀卸の神明ホールディングス傘下に
2021/02/15

ショクブンは米穀卸の神明ホールディングス(神戸市)を引受先とする第三者割当増資を実施し、神明HDがショクブン株式の50.1%を保有し親会社になると発表した。

食材の宅配事業を手がけているショクブンは近年、業績が振るわず財務体質が弱まっていたため第三者割当増資で15億7500万円を調達し、借入金を一部返済するとともに、新規拠点の整備や営業車両への投資などを実施する。2020年3月期の売上高は66億5000万円、営業利益は1億6700万円だった。

神明HDは米穀を中心とする食品卸事業を展開しており、元気寿司(東証1部)や雪国まいたけ(東証1部)を傘下に持つ。2017年にショクブンと資本、業務提携し、ショクブン株式の19.78%を保有していた。

エコモット<3987>、電気・電子回路設計、ソフト開発などのフィットを子会社化
2021/02/15

エコモットは電気・電子回路設計やソフトウエア開発などのフィット(札幌市。売上高1億3200万円、営業利益△500万円、純資産3000万円)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

エコモットはIoT(モノのインターネット)ソリューションサービスを手がけており、今後の成長のために、シナジー効果を有する企業への出資やM&Aを模索していた。フィットの子会社化を機に画像や通信(5G)などの分野を中心に協業を進める。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月19日。

全国保証<7164>、信用保証事業の筑波信用保証を子会社化
2021/02/15

全国保証は筑波銀行から信用保証事業を手がける筑波信用保証(茨城県つくば市)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

両社ともに住宅ローンなどの信用保証事業を展開しているため、保証債務残高増加につながるとともに、ノウハウを活用した経営管理を展開できると判断した。取得価額は56億5000万円。取得予定日は2021年3月31日。

北の達人コーポレーション<2930>、ヘアアイロンEC販売のASHIGARUを子会社化
2021/02/15

北の達人コーポレーションはオリジナルヘアアイロンのEC(電子商取引)販売を手がけているASHIGARU(大阪市。売上高3億4100万円、営業利益1億4300万円)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。

ASHIGARUが有する美容家電分野の商品開発やECモールでの販売ノウハウと、北の達人コーポレーションの経営資源を組み合わせることで事業拡大を目指す。取得価額は非公表。取得予定日は2021年5月。

丸文、希望退職に115人応募
2021/02/12

エレクトロニクス商社の丸文は12日、希望退職者募集に115人の応募があったと発表した。人員体制の再構築を通じて早期の業績回復と持続的な成長の実現を目的とし、100人程度をめどに2020年12月23日~2021年1月29日に募った。退職日は2月28日。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

2021年3月期決算に特別退職金などの関連費用11億2100万円を特別損失として計上する。これらに伴い、最終損益は従来予想の9億円の黒字から17億円の赤字に下方修正した。

竹田印刷、希望退職に88人応募
2021/02/12

竹田印刷は12日、100人程度を募った希望退職に88人の応募があったと発表した。デジタル化の進展で国内印刷市場が縮小していたところに新型コロナウイルス感染の影響が重なり、業績が悪化。勤続5年以上で40歳以上の正社員、定年後再雇用社員で65歳未満の社員を対象とし、1月6日~29日に募った(退職日は3月31日)。2021年3月期決算に特別退職金と再就職支援の関連費用5億9700万円を特別損失として計上する予定。

名村造船所、傘下の佐世保重工業で新造船事業を休止|250人の希望退職者を募集
2021/02/12

名村造船所は12日、傘下の佐世保重工業(長崎県佐世保市)における新造船事業の休止(2022年1月)と、これに伴う250人の希望退職者募集を発表した。新型コロナウイルス感染拡大で世界的に海上輸送需要が落ち込み、受注環境が一段と悪化しているのを受けた措置。募集期間は5月6日~21日。

佐世保重工は今後、艦艇修繕船と機械の両事業に経営資源を集中し、事業再構築を目指す。新造船事業の従業員は艦艇修繕船事業への配置転換や名村造船所への出向・転籍などを進めるが、全員の再配置先を確保するのは困難などとして希望退職に踏み切る。佐世保重工の新造船事業の直近売上高は約230億円。

東芝、傘下の東芝デバイス&ストレージで実施した早期退職に452人応募
2021/02/12

東芝は12日、傘下の東芝デバイス&ストレージ(TDSC、東京都港区)で実施した早期退職優遇制度に452人の応募があったと発表した。TDSCはシステムLSI(大規模集積回路)からの撤退に伴い、2020年12月8日~21年2月5日に早期退職を募った。退職日は2月28日。早期退職募集と同時に進めるグループ内での人員再配置では372人が対象となった。

TDSCは2017年に東芝の社内カンパニーから独立し、半導体製品とストレージ(記憶装置)を主力事業とする。同社は2019年にもLSI事業の構造改革の一環として350人規模の早期退職(応募414人)を実施している。

アートスパークホールディングス<3663>、ソフト開発子会社のエイチアイをミックウェアに譲渡
2021/02/12

アートスパークホールディングスは、ソフト開発子会社のエイチアイ(東京都新宿区。売上高6億7000万円、経常利益3100万円、純資産1億5100万円)の全株式を、同じくソフト開発のミックウェア(神戸市)に譲渡することを決めた。アートスパークは自社IP(知的財産権)製品を前面に押し出すビジネス展開に軸足を移している。エイチアイは受託開発を中心とし、グループ戦略の方向性と合致しない面があることから、切り離すことにした。

譲渡価額は4億5000万円。譲渡予定日は2021年3月1日。

JKホールディングス<9896>、岩手県で建築資材卸売の坂田建材を子会社化
2021/02/12

JKホールディングスは、建築資材卸売や板金成形・加工を手がける坂田建材(岩手県花巻市。売上高25億9000万円、営業利益1600万円、純資産6億800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。東北地区でのグループ事業拡大の一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月20日。

テーオーホールディングス<9812>、サ高住などケアサービス事業をアサヒ調剤薬局に譲渡
2021/02/12

テーオーホールディングスは、子会社のテーオー総合サービス(北海道函館市)で展開するケアサービス事業などを、アサヒ調剤薬局(北海道函館市)に譲渡することを決めた。テーオーHDは北海道を地盤に木材・住宅事業やホームセンター、自動車販売などを展開するが、これら中核事業との相乗効果が見込みにくかったことから、グループ事業から切り放すことにした。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年4月1日。

テーオーHDはテーオー総合サービスを通じて2013年から在宅介護、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などをケアサービス事業として手がけてきた。ケアサービス事業を会社分割により承継する新会社「廣辯」(北海道函館市)を4月1日付で設立したうえで、この新会社の全株式をアサヒ調剤薬局に譲渡する。当該事業の直近売上高は4億5200万円。同時に、テーオーHD本体の不動産事業の一部も譲渡する。

コクヨ<7984>、学習アプリ運営のCLEARを子会社化
2021/02/12

コクヨは学習アプリ運営のCLEAR(東京都港区)の株式85.1%を取得し、12日付で子会社化した。アフターコロナを見据えたビジネスモデル拡充の一環。CLEARは2010年設立で、中高生向け学習ノート共有サービス「Clear」、学習塾・予備校の生徒募集サービス「MEETS」、高校生向け針路情報サポート「進路選び」事業を手がける。取得価額は非公表。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス<8616>、エース証券をTOBで子会社化
2021/02/12

東海東京フィナンシャル・ホールディングスは12日、持ち分法適用関連会社のエース証券(大阪市)の完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。東海東京フィナンシャル・HDはエース証券の株式29.18%を所有する筆頭株主。買付代金は約113億7000万円。中京圏にとどまらず、大阪を中心とする関西の大都市圏で事業基盤を獲得するのが狙い。株式26.98%を持つ第2位株主の富士ソフトもTOBに応募を決めた。

買付価格は1株3220円。買付予定数は353万923株。買付予定数の下限は所有割合37.49%にあたる186万9000株に設定している。買付期間は2月15日~3月29日。公開買付代理人は東海東京証券。決済の開始日は4月16日。

エース証券は1914年、伊藤銀三がブローカー大清を大阪で創業したのが始まり。1931年に伊藤商店を設立し、伊藤銀証券を経て、1989年にエース証券に社名を変更した。2016年から東海東京フィナンシャル・HDの持ち分法適用関連会社となっていた。

ギフティ<4449>、体験ギフト企画・販売のソウ・エクスペリエンスを子会社化
2021/02/12

ギフティは、体験ギフトの企画・販売を手がけるソウ・エクスペリエンス(東京都渋谷区。売上高13億6000万円、営業利益△1億400万円、純資産1億7400万円)を子会社化することを決めた。株式73%を取得したうえで、残る株式について株式交換を行い完全子会社化する。販路の相互活用、ギフトコンテンツの共同開発などを推進し、企業価値の最大化を目指す。

ギフティはeギフトの発行から流通までトータルにeギフトプラットフォーム事業を国内外で展開。カジュアルギフトサービス「giftee」、eギフトやチケットを発行する「eGift System」など4つのサービスを用意し、個人や法人、自治体を対象に事業を運営している。

今回傘下に取り込むソウ・エクスペリエンスは2005年設立で、体験ギフトに強みを持つ。株式の取得価額は14億8800万円。株式の取得予定日は2021年3月11日。

株式交換比率はギフティ1:ソウ1546で、ソウ1株にギフティ株式1546株を割り当てる。交換予定日は2021年3月12日。

GCA<2174>、M&Aオンラインプラットフォーム「BIZIT M&A」を運営するBIZITを子会社化
2021/02/12

GCAは12日、M&Aオンラインプラットフォーム「BIZIT M&A」を運営するBIZIT(東京都港区)を買収すると発表した。GCAの持つ国際的なネットワークと顧客基盤を融合し、M&A市場の活性化などにつなげる。取得価額は非公表。買収完了は2021年3月中を予定。

BIZITは投資会社のTryFunds(東京都港区)から分社・独立して2019年に設立。同社が運営するM&Aプラットフォームは現在、世界約160カ国約5200社から利用され、日本最大級という。

ソルクシーズ<4284>、映像や音響設備設計・施工子会社のインターディメンションズを東北ターボ工業に譲渡
2021/02/12

ソルクシーズは、映像・音響設備の設計、施工やデジタルサイネージ(電子看板)事業を手がける全額出資子会社のインターディメンションズ(仙台市。売上高2億2500万円、営業利益△4480万円、純資産△7250万円)の全株式を、産業廃棄物処理や特殊工事を主力とする東北ターボ工業(盛岡市)に12日付で譲渡した。事業構成見直しの一環。譲渡価額は非公表。

ディーエムソリューションズ<6549>、衣料・輸入雑貨卸売りのビアトランスポーツを子会社化
2021/02/12

ディーエムソリューションズは、衣料・輸入雑貨卸売りのビアトランスポーツ(東京都渋谷区。売上高10億1000万円、営業利益4530万円、純資産2億8800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ビアトランスポーツが持つ海外商品取り扱いのノウハウ、海外でのコネクションなどを活用し、越境EC(電子商取引)事業の拡充につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月1日。

ビアトランスポーツは1989年設立で、海外の有名アパレル・スポーツブランドの無地Tシャツの販売を主力とするが、実店舗は持たない。

ディーエムソリューションズはインターネット広告やSEO(検索エンジン最適化)、Web制作に関する経験・技術や営業力を投入し、ビアトランスポーツのサイト集客力の強化や新規卸顧客の開拓を促す。

パルマ<3461>、セルフストレージ事業強化へ設計監理・施工の令和エンジニアリングを子会社化
2021/02/12

パルマは、設計監理・施工の令和エンジニアリング(東京都調布市)を子会社化することを決めた。第三者割当増資を引き受け、64%の株式を取得する。セルフストレージ施設の供給・運営サービスの拡充につなげる。セルフストレージはトランクルーム、レンタル収納、貸コンテナなどの総称で、近年、パルマは一棟専用施設の開発・販売に力を入れている。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月26日。

令和エンジニアリングは2019年に中堅不動産・建築業者の出身者で設立した。

メドレー<4480>、オンライン介護動画研修のメディパスを子会社化
2021/02/12

メドレーは、介護事業所向けにオンライン研修サービスを展開するメディパス(東京都品川区。売上高11億6000万円、営業利益3200万円、純資産4億1500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。オンライン研修への参入が狙い。取得価額は15億900万円。取得予定日は2021年2月26日。

メディパスはオンライン介護動画研修「メディパスアカデミー介護」、有料老人ホーム紹介「ゴイカのかいご」などを運営する。メドレーは主力事業の一つとして、医療ヘルスケア領域での人材の不足や地域偏在などの課題解決を目指す人材プラットフォーム「ジョブメドレー」を展開しており、これらの顧客事業所へのサービスメニュー拡充につなげる。

ポーラ・オルビスホールディングス<4927>、パーソナライズサプリメント「FUJIMI」ブランド展開のトリコを子会社化
2021/02/12

ポーラ・オルビスホールディングスは、パーソナライズサプリメント(健康食品)やスキンケアを通信販売するトリコ(東京都新宿区。売上高13億5000万円、営業利益△3億5000万円)を子会社化することを決めた。株式89.44%を追加取得して持ち株比率を100%に高める。トリコはコーポレートベンチャーキャピタル事業の投資先企業の一つで、これまで10%余りを出資していた。傘下に取り込むことで、トリコの企業成長を加速させるのが狙い。取得価額は33億3200万円。取得時期は2021年3~4月。

トリコは2018年に設立し、ユーザー一人ひとりの肌に合わせたサプリメントやフェイスマスクを作り、サブスクリプション(定額課金)形式で提供する「FUJIMI」ブランドを展開する。

アジュバンコスメジャパン<4929>、システム開発子会社のエクシードシステムを経営陣に譲渡
2021/02/12

アジュバンコスメジャパンは、ソフト開発子会社のエクシードシステム(岡山市。売上高7億3900万円、営業利益△5010万円、純資産1億6400万円)の全株式を、同社経営陣に譲渡することを決めた。美容サロン向けシステム開発に進出したものの、当初期待していた相乗効果が得られていなかった。こうした中、エクシードシステムの丸山英一社長らから株式譲渡の申し出があったという。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年3月1日。

アジュバンコスメジャパンは美容サロン向けスキンケア、ヘアケア商品の開発、販売を主力とする。

日本アジアグループ、経営陣による買収を目的とするTOBが不成立に
2021/02/10

日本アジアグループは10日、MBO(経営陣による買収)を目的に実施したTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わったと発表した。TOBへの応募株式が買付予定数の下限(議決権の3分の2)に届かなかった。また、日本アジアに対して旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が2月5日に始めた対抗TOBについては現時点で意見の表明を留保すると発表した。

日本アジアを巡っては同社の山下哲生会長兼社長が米投資ファンドのカーライル・グループと組んでMBOを2020年11月初めから2月9日まで実施した。この間、1月下旬には買付価格を従来の600円から1200円に引き上げたが、日本アジア株はこれを上回る高値圏が続き、TOB成立が難しい状況にあった。

一方、シティは全株取得を目指して日本アジア側を10円上回る1210円の買付価格を提示し、3月22日までTOBを実施中で、買付代金は最大約264億円。

10日の日本アジア株の終値は1270円。

サントリーHD、子会社のダイナックHD<2675>をTOBで完全子会社化
2021/02/10

サントリーホールディングス(大阪市)は、外食事業を展開するダイナックやゴルフ場などのレストランを受託運営するダイナックパートナーズを傘下に持つ連結子会社(所有割合61.71%)のダイナックホールディングスにTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。

ダイナックHDは2020年末時点で235店舗を展開するが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 拡大により業績が低迷。本TOBによる完全子会社化で、抜本的な構造改革をするのが狙い。ダイナックHDは本TOBに賛同の意見を表明し、株主に応募を推奨している。本TOBが成立すれば、ダイナックHDの東証二部上場は廃止となる。

買付価格は1株当たり1300円で、公表前営業日での終値 1177円に対して10.45%のプレミアムをつけた。買付予定数は269万2746株。買付代金は約35億円。買付期間は2月12日から4月14日まで。公開買付代理人は野村證券。決済開始日は4月21日。

サンゲツ<8130>、ウェーブロックホールディングス<7940>傘下で壁紙製造のウェーブロックインテリアを子会社化
2021/02/10

サンゲツは、壁紙製造のウェーブロックインテリア(WIT、東京都中央区。売上高96億9000万円、営業利益9億2300万円、純資産18億1000万円)の株式51%を取得し、子会社化することを決めた。WITはサンゲツが調達する壁紙の3割弱を供給する主要仕入先。WITを傘下に取り込むことで製販一貫体制を確立し、壁紙事業の競争力向上につなげる。取得価額は23億9700万円。取得予定日は2021年3月31日。

サンゲツはWIT株を引き続き49%を所有するウェーブロックホールディングス(東京都中央区)との間で、一定の条件の下でWIT株の売却を請求できる権利(コールオプション)を持ち、将来的に100%子会社化を視野に入れている。

オイシックス・ラ・大地<3182>、エー・ピーホールディングス<3175>傘下で水産品卸のセブンワークを子会社化
2021/02/10

オイシックス・ラ・大地は、居酒屋「塚田農場」「四十八漁場」などを展開する飲食大手チェーンのエー・ピーホールディングス傘下で、水産品卸を手がけるセブンワーク(東京都港区)の株式51%を取得し、子会社化することを決めた。オイシックスとエー・ピーによる資本業務提携の一環。セブンワークは豊洲市場(東京都江東区)での市場買い付けに加え、全国各地の漁場からの直接買い付けを実現し、中間流通を通さない流通網を強みとする。子会社化に伴い、「豊洲漁商産直市場」に社名を変更する。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月31日。

オイシックスとエー・ピーは昨年10月からコロナ禍における食領域での連携について協議してきた。オイシックスはエー・ピーが月内に実施する第三者割当増資の一部を引き受ける。提携を受け、仕入れ原価削減、食材の共同調達、製造・加工工場の共同利用、飲食店支援EC(電子商取引)売場「Oisixおうちレストラン」の協業強化などに取り組む。

オイシックスは食品宅配最大手で、「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の3ブランドで約38万人の会員を持つ。

UTグループ<2146>、製造業向け人材サービスのスリーエムを子会社化
2021/02/10

UTグループは、製造業を対象に業務請負や人材派遣をグループで展開するスリーエム(愛知県豊橋市。売上高7億8900万円、営業利益3300万円、純資産16億1000万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。UTグループが中核とする大手製造業向け人材サービスの競争力強化につなげる。スリーエムは30年を超える業歴を持ち、ブラジル国籍を中心に95%以上を外国人社員が占める。

取得価額は33億4400万円。2021年2月26日に18.8%、5月31日に残る80%余りの株式を2段階で取得する。

スリーエムは持ち株会社で、傘下にスリーエム中部(愛知県岡崎市。売上高20億9000万円、営業利益△2億3500万円、純資産10億円)、スリーエム東海(愛知県豊橋市。売上高14億4000万円、営業利益△4100万円、純資産4億4400万円)、スリーエムスタッフ(愛知県岡崎市。売上高24億9000万円、営業利益△1億5100万円、純資産4億6900万円)の3社を持つ。

旅行大手のKNT-CTホールディングス、希望退職に1376人が応募
2021/02/09

旅行大手のKNT-CTホールディングスは9日、希望退職に1376人の応募(パート社員などを含む)があったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で国内外の旅行需要が激減し、業績が急速に悪化したのを受け、傘下の近畿日本ツーリスト各社の35歳以上の従業員を主な対象とし、人数を定めず、1月4日~22日に募った。応募人員は約7000人の人員の約2割にあたる。

2021年3月期決算に特別退職加算金などに関わる関連費用約60億円を特別損失として計上する予定。

KNT-CTは新型コロナ後を見据え、会員組織による個人旅行のクラブツーリズム事業、首都圏エリアでの法人旅行事業を中核に据え、個人旅行・団体旅行事業では注力分野を特定し集約・縮小するなどの事業構造改革を推し進めている。

フォーバルテレコム<9445>、複写・印刷子会社トライ・エックスの広島事業部を経営陣に譲渡
2021/02/09

フォーバルテレコムは複写・印刷業子会社のトライ・エックス(広島県呉市)の広島事業部を、トライサクセス(広島県呉市)に譲渡することを決めた。トライサクセスはトライ・エックスの広島事業部担当取締役の中山正博氏らが設立した会社で、広島事業部独立の要請にこたえた。広島事業部の直近売上高は4億3200万円。譲渡価額は3億8000万円。譲渡予定日は2021年4月1日。

サカイオーベックス<3408>、MBOで株式を非公開化|1株2850円
2021/02/09

サカイオーベックスは9日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社社長の松木伸太郎氏が設立した新会社のサカイ繊維(福井市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株取得を目指す。買付代金は約176億円。

基幹部門である染色加工の市場縮小が続く中、非公開化して制御機器事業をはじめ新分野への展開や事業の入れ替えを迅速に進められる経営体制をつくる狙い。サカイオーベックスはTOBに賛同している。TOBが成立すれば、同社の東証1部への上場は廃止となる。

サカイオーベックス株の買付価格は1株につき2850円。TOB公表前日の終値2183円に30.55%のプレミアムを加えた。買付予定数は619万1626株。下限は所有割合67.67%にあたる412万7800株に設定した。

6.3%を所有する第3位の大株主である英系投資ファンドのニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドは全株をTOBに応募する契約を結んだ。

買付期間は2月9日~3月24日。公開買付代理人はみずほ証券。決済の開始日は3月30日。

サカイオーベックスは1934年に初代酒井伊四郎が三井物産と共同で織物、撚糸の製造・販売を目的に「酒伊織産」を設立したのが始まり。1980年代、安価な輸入品に押され、競争力が低下したことを受け、制御機器(制御盤、配電盤など)事業への進出など経営多角化に乗り出した。現在、染色加工、繊維販売、制御機器を3本柱とする。東証1部上場は1949年。

介護事業のユニマット リタイアメント・コミュニティ<9707>、TOBで非公開化|1株1400円
2021/02/09

ユニマットグループ傘下で介護事業を手がけるユニマット リタイアメント・コミュニティ(ジャスダック上場)は9日、大株主でコーヒーや食品、日用品など販売のユニマットライフ(東京都港区)が同社に対して株式の非公開化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。ユニマットグループ内における事業戦略の一環。買付代金は約60億7000万円。ユニマット リタイアメントはTOBに賛同している。

ユニマット リタイアメント株式については公開買付者のユニマットライフが18.07%を、ユニマットグループ代表の髙橋洋二氏が31.48%を所有する。TOBを通じて、両者を除く残りの株式約49%を取得し、非公開化する。

ユニマットグループのリゾート事業などとユニマット リタイアメントが手がける介護施設などの事業を融合し、多世代共生型シニア住宅の展開につなげる。

買付価格は1株につき1400円で、TOB公表前日の終値1082円に29.39%のプレミアムを加えた。買付予定数は433万7373株。下限は所有割合17.12%にあたる147万1500株に設定した。買付期間は2月10日~3月25日。公開買付代理人はSMBC日興証券。決済の開始日は3月31日。

ユニマット リタイアメントは1975年に埼玉臨床検査研究所として設立された。2008年にユニマットグループ入りした。

総合ビルメンテナンス業の大成<4649>、MBOで株式を非公開化|1株1140円
2021/02/08

大成は8日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社社長の加藤憲司氏が代表取締役を務めるアイ・ケイ・ケイ(名古屋市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株式を取得する。新型コロナウイルス感染拡大を契機とするテレワークの浸透でオフィス需要の縮小が見込まれるなど、主力の総合ビルメンテナンス業を取り巻く事業環境に不透明感が台頭する中、非公開化によって機動的な経営判断を可能にする体制をつくる。

大成はTOBに賛同している。TOBが成立すれば、大成は名古屋証券取引所2部への上場が廃止となる。

アイ・ケイ・ケイによる大成株の買付価格は1株1140円で、前営業日の終値768円に48.44%のプレミアムを加えた。買付予定数は380万9024株で、買付代金は約43億4200万円。買付予定数の下限は所有割合41.61%にあたる211万4769株と、アイ・ケイ・ケイが所有する12.76%などと合わせ、所有割合が3分の2以上となるよう設定した。

買付期間は2月9日~3月24日。公開買付代理人はSMBC日興証券。決済の開始日は3月31日。

大成は1959年に設立し、ビルの清掃業務をスタート。その後、警備、設備管理、リニューアル工事などに業容を広げ、総合ビルメンテナンス企業に発展。1999年に名証2部に上場した。

土木工事積算システムのビーイング<4734>、MBOで株式を非公開化|1株900円
2021/02/08

ビーイングは8日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社会長の津田能成氏が代表取締役を務めるトゥルース(津市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株式を取得する。買付代金は約44億9300万円。

土木工事積算システムを中心に安定的な経営を続けているものの、建設業のICT(情報通信技術)化の流れの中、中長期的に土木積算分野依存から脱却し事業多角化を進めるうえで、非公開化による機動的な意思決定が行える経営体制が望ましいと判断した。ビーイングはTOBに賛同している。TOBが成立すれば、ビーイングはジャスダックへの上場が廃止となる。

買付主体のトゥルースはビーイング株の36.34%を持つ筆頭株主。買付価格は1株につき900円で、前営業日の終値665円に35.34%のプレミアムを加えた。買付予定数は499万2373株。買付予定数の下限は所有割合30.33%にあたる237万8200株で、既所有分と合わせ3分の2以上となる。

買付期間は2月9日~3月24日。公開買付代理人は岡三証券。決済の開始日は3月30日。

ビーイングは1984年にコンピューター関連の販売会社として設定。その後、現在の主力事業である土木工事積算システムの開発・販売に進出した。1999年に店頭登録し、2010年からジャスダック上場。

エフィッシモ 、サンケン電気<6707>にTOB
2021/02/08

エフィッシモ キャピタル マネージメント ピーティーイー エルティーディー(シンガポール)が運用するECM マスター ファンド SPV 2(ケイマン諸島)は、サンケン電気に対するTOB(株式公開買い付け)を始めたと発表した。本TOBにより、所有割合を現在の9.97%から30.00%へ引き上げるのが狙い。サンケン電気は意見を保留している。

買付予定数と上限は483万4343 株で、下限を設けない。応募総数が買付予定数の上限を超える場合は、その超える部分の買い付けをしない。

買付価格は1株当たり5205円で、公表前営業日での終値4525円に対して15.02%のプレミアムとなる。買付期間は2月9日から3月24日まで。買付代金は約251億円。公開買付代理人は立花証券。決済開始日は3月29日。

MBKパートナーズ、ツクイホールディングス<2398>をTOBで子会社化|1株924円
2021/02/08

アジア投資会社のMBKパートナーズは8日、介護事業のツクイホールディングスの完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。介護事業を取り巻く環境変化を踏まえ、非公開化で機動的な意思決定を可能にする経営体制づくりを進めるのが狙い。買付代金は最大約490億円。ツクイはTOBに賛同している。TOBが成立すれば、同社は東証1部への上場が廃止となる。

買付主体はMBKパートナーズ傘下のMBKP Life合同会社(東京都千代田区)。ツクイ株の買付価格は1株につき924円で、前営業日の終値640円に44.38%のプレミアムを加えた。買付予定数は5310万2016株。買付予定数の下限は所有割合41.08%にあたる2931万6000株。創業家の資産管理会社で25.58%を所有する筆頭株主の津久井企画はTOBに応募せず、TOB後にツクイが2021年6月をめどに行う自己株式取得に応じて全株式を売却する。これに伴い、津久井宏社長CEOは退任する予定。

買付期間は2月9日~3月24日。公開買付代理人は大和証券。決済の開始日は3月31日。

ツクイは1969年に土木工事の津久井土木として設立。その後、1983年に介護事業に進出し、在宅介護、通所介護、有料老人ホームなどを幅広く手がける。2004年に株式を店頭登録し、ジャスダックなどを経て2012年に東証1部に上場した。

ユアテック<1934>、ベトナムの設備工事大手Sigma Engineeringを子会社化
2021/02/08

ユアテックは、ベトナムの設備工事企業Sigma Engineering Joint Stock Company(ハノイ。売上高84億6000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。現地同業大手を傘下に取り込み、成長市場であるベトナムでの受注機会の拡大や施工の効率化などにつなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月下旬。

Sigmaは2005年設立で、ベトナム全域で電気、空調、給排水衛生、消火などの設備工事を総合的に手がける。ユアテックはベトナムを海外事業展開の基軸と位置づけており、同国で日系企業の設備工事を中心に25年以上の実績を持つ。経済成長が著しいベトナム市場の開拓促進に向け、現地企業への資本参加や買収の機会をかねて模索していた。

ルネサスエレクトロニクス<6723>、アナログ半導体大手の英ダイアログ・セミコンダクターを買収で合意
2021/02/08

ルネサスエレクトロニクスは8日、英アナログ半導体メーカー大手のダイアログ・セミコンダクターを買収することで同社と合意したと発表した。ダイアログの全株式を約6157億円(ほかにアドバイザリー費用約22億円)で取得する。2021年末までの買収完了を予定する。IoT(モノのインターネット)分野や自動車分野に代表される高成長市場向け製品の提供を拡大する。

ダイアログのアナログ半導体は低電力やコネクティビリティー(相互接続性)技術を強みとする。ルネサスが主力とするマイコンやSoC(システム・オン・チップ)などの製品群と補完関係にあり、顧客への提案力が向上するなど相乗効果を見込む。ダイアログの2019年12月期の業績は売上高1644億円、営業利益398億円、純資産1651億円。

ルネサスは買収資金を調達するため、三菱UFJ銀行とみずほ銀行から総額7354億円を限度とする借入契約を結んだ。

ルネサスはこれまで海外のアナログ半導体メーカーを相次ぎ買収してきた。2017年に米インターシルを約3200億円、2019年には同じく米のインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を約7300億円で傘下に収めた。

ルネサスは日立製作所と三菱電機の半導体部門が統合した旧ルネサステクノロジと、NECエレクトロニクスが合併して2010年に誕生した。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「事業譲渡に当たっての適正価額について」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】事業を譲り受けた場合に営業権の計上について

■【Q&A】事業譲渡により移転を受けた資産等に係る調整勘定

 

 

 


[質問]

A社は事業縮小を図っており、物品販売の事業をB社に譲渡しようと考えています。譲渡にあたり、在庫を簿価でB社に売却する以外の金銭の授受は生じません。

 

1. 在庫の譲渡について利益を乗ぜず簿価で行いますが、損失が生じるわけではなく、両者の同意のもとで行われる取引であり問題がないと考えます。

2. 事業を引き継いでもらうことから、顧客データ等については無償で譲り渡すつもりです。金額の算定が難しく、有償では引き継いでもらえないことから無償譲渡で問題がないと考えます。

 

B社はA社の100%子会社ではありません。A社とB社の資本関係に影響されないと考えますがいかがでしょうか。

 

 

[回答]

法人税法上、資産の販売等に係る収益の額は、資産の販売等により受け取る対価ではなく、販売等をした資産の価額をもって認識すべきであるとされています(法22②④、22の2④)。そして、この「価額」、すなわち時価とは、一般的には第三者間で取引されたとした場合に通常付される価額のことをいいます。したがって、資産の低廉譲渡又は無償譲渡のように、時価と異なる価額を対価の額とする取引が行われた場合には「価額」に修正して益金の額を計算する必要があることとなります。具体的には、売手側には、寄附金課税等の問題が生じます。このことは、単体で商品等を販売することはもとより、事業譲渡のような形態であっても同様です。

 

ご質問についてですが、在庫を簿価で譲渡する場合や顧客データ等を無償で譲渡する場合でもそれが第三者で行われた事業譲渡であれば、利害が相反する当事者、すなわち売手(A社)と買手(B社)との交渉の結果合意された値段であると考えられますので、適正な価額で譲渡されたということについて特段問題は生じないと考えられます。

 

ご質問にある「B社はA社の100%子会社ではありません。A社とB社の資本関係に影響はされないと考えます」という趣旨が必ずしも判然としませんが、仮に、A社がB社の株式の70%を所有していたとすると、A社とB社とは親子関係となり価額決定に恣意性が入る余地が生じてしまいます。両社の同意のもと価額決定がされたとしても、そのことをもって恣意性が排除されているとは言い切れないと考えます。結果として時価譲渡に問題なしということになるかもしれませんが、適正な価額での取引であることを裏付けるためにも、例えば次のような点を検討しておく必要があるものと思われます。

 

① A社の事業縮小以外になぜ在庫品を簿価で譲渡しなければならなかったのか。在庫品を簿価で譲渡することで両社が合意するに至った経緯は何か。

② 一般的に、顧客データ等は、信用、ノウハウ、技術力等と同様に営業権(のれん)の構成要素となり得ると考えられますが、金額の算定の困難性以外になぜ有償では引き継いでもらえないのか。
など。

 

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年10月26日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」]

~M&Aで会社や事業を売却しようとご検討の中小企業経営者におすすめ~

 

第5回:会社の譲渡を検討していますが、譲渡してしまったら、共に働いてきた役員や従業員達から見放されたと思われないか不安です。

 

 

〈解説〉

株式会社ストライク

 


M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東証一部上場)が、中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えします。

 

 

▷関連記事:なぜ「会社を買う」のか~買う側の理由、売る側の理由~

▷関連記事:取引先に知られずに会社を譲渡することはできる?

▷関連記事:自社の売却を検討していますが、家族や従業員には伝えづらいです。どのように伝えればよいのでしょうか?

 

Q.会社の譲渡を検討していますが、譲渡してしまったら、共に働いてきた役員や従業員達から見放されたと思われないか不安です。

 

私は約40年間、金属加工業を営んできました。会社が潰れかねない危機は何度もありましたが、全社員が一丸となって課題に取り組み、乗り越えてきました。お陰様で人員整理をする事無く経営ができ、長年の社員ともなれば社長と従業員という関係より戦友のように思っています。

 

ただ数カ月前に入院を伴う病気を患い、今の時代に即した経営者に後を託すべきだと考えるようになりました。仮に会社を譲渡すれば、これまで共に働いてきた役員や従業員達から、私が社員達を見放したと思われないでしょうか。

 

 

A.実際には杞憂である場合がほとんどです。

 

愛情を持って会社や社員を育ててきた経営者の方ほど、同様の不安を抱えておられることが多いようです。ただ、実際には杞憂である場合がほとんどです。

 

事業承継型のM&Aの場合、従業員の雇用条件も社名も当面変えずに、外から見ても社員や取引先からもあまり変化を感じないM&Aにしようと努めることが多いです。

 

同様の問題を抱えたある企業では、M&Aの最終契約後にオーナーが従業員に説明したところ、従業員からは意外な反応が返ってきたといいます。従業員はむしろ、高齢のオーナーが倒れてしまえば、会社を廃業せざるを得ないのではないかという不安を抱えていたというのです。このため、「M&Aで事業を存続することが決まって安心できた」「良い企業を売却先に選んでくれた社長に感謝したい」という反応すらあったそうです。

 

それを聞いた社長も「従業員も冷静に会社の行く末について考えていたことがよくわかった。良い売却先を選んで企業を存続させるという、最後の良い仕事ができた」と言っていたということです。

 

このようにM&Aを通じて事業上の相乗効果や安定的な経営を期待できれば、従業員のモチベーションがむしろ上がるケースも多いのです。経営者にとっては、これまで手塩にかけて育ててきた会社であり、大切にしてきた従業員です。M&Aに一歩踏み出すことに不安も多いと思いますが、良い相手先を選ぶことができれば、その心配は杞憂に終わる可能性が高いと思います。

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

住宅取得等資金の贈与の非課税制度 コロナ禍の影響で入居等が遅れた場合

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■生前贈与がある場合の相続税申告の留意点

■令和3年度税制改正:住宅ローン控除の拡充

 

1、はじめに


緊急事態宣言に基づく外出の自粛要請など新型コロナウイルス感染防止策の影響により、住宅の新築竣工時期等の遅れが生じ、住宅税制の入居に関する適用要件を充たせなくなることが懸念されています。

 

このため政府は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)について昨年4月、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」を施行し、入居期限までに入居できないケースへの対応を行ったところです。

 

ここでは、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例(措法70の2)」では、どのように対応されているのかについて確認します。

 

2、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例


住宅取得等資金に関する贈与税の非課税制度とは、父母・祖父母など直系尊属から満20歳以上で贈与の年の合計所得金額が2,000万円以下の子や孫が住宅取得等資金をもらう場合に、申告を条件に一定の限度額までは非課税となる制度です。

 

住宅用家屋の新築・取得・増改築(以下、取得等という)に係る契約の締結日が平成31年4月1日から令和2年3月31日の場合、非課税枠は以下の表のとおりです。

 

 

 

ただし贈与の翌年の3月15日までに住宅を取得等し、その年末までに居住すること等の要件があります。ここで着目すべきは、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の取得等をしなければならない点です。従来から、両制度とも住宅の取得等の期限については、厳格に贈与を受けた年の翌年3月15日とされてきており、これを徒過すると、同制度の適用は認められませんでした。

 

ただし、同制度には納税者自身の責めに帰さない「災害に基因するやむを得ない事情」で住宅の引渡しや新築の時期・入居の時期が適用要件の期日に遅れた場合には、1年延長が認められる法律上の定め(宥恕規定)があります(措法70の2⑩⑪)。

 

それによると、災害に基因するやむを得ない事情により贈与により金銭の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに取得等ができなかったとき又は取得等の年の12月31日までに入居できなかった場合であっても、特例の規定の適用を受けることができるとされており、たとえば住宅の取得等の期限が「翌々年3月15日」とされる仕組みです。

 

3、最新の国税庁のFAQ


国税に関し新型コロナウイルス感染症への対応を明らかにした「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」に、令和3年2月2日付で、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例における取得期限等の延長について」が追加されました。

 

それによると、国税庁は「今般の新型コロナウイルス感染症に関しては、例えば、緊急事態宣言などによる感染拡大防止の取組に伴う工期の見直し、資機材等の調達が困難なことや感染者の発生などにより工事が施行できず工期が延長される場合など、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた自己の責めに帰さない事由については、「災害に基因するやむを得ない事情」に該当するものと認められます」として上記宥恕規定の適用があることを明らかにしました。

 

同FAQでは、次のような事例を示しています。

 

①令和元年に贈与を受け、令和2年中に住宅の取得等をして年末までに住む予定だったケースで、コロナ禍で工期が遅れ年末までに住めなかった場合
→令和3年の年末までに居住すればOK
②令和2年に贈与を受け令和3年3月15日までに住宅の取得等をする予定がコロナ禍で遅れた場合
→令和4年3月15日までに取得し、その年末までに居住すればOK

 

 

なお、工務店等に住宅の新築工事をお依頼している場合には、資金の贈与の翌年3月15日までに棟上げしていれば、特例の適用のある住宅の取得等に含まれます(措法規23条の5の2①)。この点、新築マンションや建売住宅のケースでは、あくまで引渡し時点がポイントですので、注意が必要です。
申告にあたってはコロナ禍により取得時期や居住時期が遅れたことに関し工期が延期されたなど「やむを得ない事情」を証明する書面を用意する必要があります。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/02/16)より転載

[事業再生・企業再生の基本ポイント]

第1回:民事再生と会社更生の比較

~経営者の交代は? 担保権行使の制限は? 手続きや費用負担は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

▷関連記事:法的整理と私的整理の比較

▷関連記事:事業再生の概要を教えてください

▷関連記事:事業再生業務の全体像を教えてください

 

 

民事再生は民事再生法に基づいた手続きで、会社更生は会社更生法に基づいた手続きです。

 

下記のように様々な相違点がありますが、特に重要であると考えるのは、民事再生は経営者が原則続投しますが、会社更生では経営者は原則交代する点、民事再生では原則担保権の行使が制約されないが、会社更生では担保権の行使が制限される点、会社更生では手続きが厳格で費用が高くなる点です。個別の事情で一概には言えませんが、法的整理をする場合は、上場企業のように規模の大きい会社は会社更生を利用し、中小企業は民事再生での事業再生を図ることが一般的です。

 

 

[M&Aニュース](2021年1月25日〜2021年2月5日)

◇LIXIL、希望退職プログラムに965人応募、◇投資会社ユニゾン・キャピタル、精神科領域の訪問看護事業を手がけるN・フィールド<6077>をTOBで子会社化、◇名古屋木材<7903>、MBOで株式を非公開化、◇エアトリ<6191>、選挙活動支援ツール提供のセンキョを前澤ファンドに譲渡、◇日本電産<6594>、EV戦略強化に向けて三菱重工工作機械を買収、◇前田工繊<7821>、電気牧柵・酪農用品製造のエスケー電気工業を子会社化、◇マネックスグループ<8698>、メタップス<6172>傘下で暗号資産関連サービスのメタップスアルファを子会社化、◇クスリのアオキホールディングス<3549>、能登地区で食品スーパー2店舗を経営するサン・フラワー・マリヤマを吸収合併、◇セーラー万年筆<7992>、フランス販売代理店SAS Univers & Marquesを子会社化、◇インターネットインフィニティー<6545>、福祉用具レンタル・販売などのフルケアを子会社化、◇ソニー<6758>、米音楽出版社コバルト・ミュージックから音楽配信サービス「AWAL」事業を取得  ほか

 

 

 

LIXIL、希望退職プログラムに965人応募

LIXILは5日、1200人を募った希望退職プログラム「ニューライフ」に965人の応募があったと発表した。昨年2月にも希望退職を募集(人数を定めず、応募497人)しており、この種の人員合理化は2年連続。40歳以上勤続10年以上の正社員(工場の人事総務・経理部門や物流センター、デジタル部門は除く)を対象とし、2021年1月12日~22日に募った。退職日は3月25日。国内の新築住宅市場が急速に縮小する中、実力主義の徹底、機動的な組織づくりを進め、事業構造転換を加速させる。

通常の退職金に特別退職金を加算して支給し、再就職支援サービスを提供する。2021年3月期決算に関連費用約136億円を計上する。2022年3月期以降の人件費の減少は年間で約82億円を見込む。

投資会社ユニゾン・キャピタル、精神科領域の訪問看護事業を手がけるN・フィールド<6077>をTOBで子会社化

投資会社のユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)は5日、精神科領域の訪問看護事業を手がけるN・フィールド(東証1部)に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。買付代金は約155億円。成長事業へ経営資源を集中できる体制を構築するためには非公開化が適切だと判断した。N・フィールドはTOBに賛同している。

TOB主体はユニゾン・キャピタル傘下のCHCP-HN(東京都中央区)。N・フィールド株の買付価格は1株につき1200円で、前営業日の終値830円に44.58%のプレミアムを加えた。買付予定数は1292万5434株。買付予定数の下限は議決権ベースで3分の2以上となるように所有割合66.67%にあたる861万7000株に設定した。買付期間は2月8日~3月23日。公開買付代理人は野村証券。決済の開始日は3月30日。

N・フィールドは2003年に設立。2013年にマザーズに上場し、2015年東証1部に昇格した。

名古屋木材<7903>、MBOで株式を非公開化

名古屋木材は5日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社社長の丹羽耕太郎氏が設立した新会社のNホールディングス(名古屋市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株式の取得を目指す。名古屋木材はTOBに賛同を表明している。TOBが成立すれば、名古屋木材の名古屋証券取引所2部への上場が廃止となる。

名古屋木材株の買付価格は1株につき4350円で、2月3日の終値3750円に16%のプレミアムを加えた。買付予定数は37万2219株で、買付代金は16億1900万円。買付予定数の下限は所有割合65.98%にあたる24万7300株とした。

名古屋木材は1945年12月に木材・建材の販売を目的に設立。1949年に名証2部に上場し、今日にいたる。木材・建材に続き、住宅設備機器、分譲住宅・マンション、不動産賃貸の各事業に進出し、業容を拡大した。

しかし、人口減少などで新設住宅着工が縮小に向かい、業績は停滞している。こうした中、商業施設や公共施設など非住宅の木質化需要の取り込みなど成長戦略を進めるためには、機動的な意思決定を可能とする経営体制の確立が必要だとして株式の非公開化に動くことにした。

買付期間は2月8日~3月23日。公開買付代理人は東海東京証券。決済の開始日は3月30日。

エアトリ<6191>、選挙活動支援ツール提供のセンキョを前澤ファンドに譲渡

エアトリは5日、クラウド選挙活動支援ツール「スマート選挙」を開発・提供するセンキョ(東京都港区)の全株式を、ファッション通販サイト最大手ZOZOの創業者である前澤友作氏が設立した前澤ファンド(東京都港区)に譲渡したと発表した。譲渡価額は非公表。

センキョが手がけるスマート選挙は選挙・政治活動を支援するツールで、クラウドによる名簿管理をはじめ一連の選挙活動の見える化を実現する。2019年の地方統一選挙では新人候補者を含む利用者の約9割が当選したという。

エアトリは2020年2月に投資事業の一環としてセンキョに出資したが、今回、同社が前澤ファンドから資金調達することが決まったのに伴い、保有する全株式を手放すことにした。

譲渡先の前澤ファンドは社会課題の解決や趣味の追求を事業テーマに掲げる起業家や団体に対して出資を行う会社で、前澤氏の個人資産をもとに総額100億円規模の投資を予定している。前澤ファンドには4300件余りの応募があり、13の事業に出資が決定し、その1つとしてセンキョが選ばれた。

日本電産<6594>、EV戦略強化に向けて三菱重工工作機械を買収

日本電産は5日、三菱重工業の子会社で工作機械や切削工具の製造を手がける三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)を買収すると発表した。EV(電気自動車)用駆動モーターシステムの中核部品であるギア(歯車)の技術力を強化する。日本電産はEVモーターを成長の柱と位置づけており、工作機械事業をグループ内に取り込むことで、ギアをはじめ主要部品の内製化を進める。買収金額は非公表。買収完了は5月をめどとしている。

三菱重工工作機械は滋賀県栗東市のほか、米国、中国、インドに生産拠点を置く。従業員は1400人。売上高は2020年3月期が403億円、2021年3月期見込みが231億円。

日本電産は三菱重工工作機械の買収に合わせ、親会社の三菱重工が海外で展開する工作機械事業も傘下に収める。

前田工繊<7821>、電気牧柵・酪農用品製造のエスケー電気工業を子会社化

前田工繊は、電気牧柵など獣害対策製品や酪農用品を製造するエスケー電気工業(北海道苫小牧市)の全株式を取得し、5日付で子会社化した。前田工繊は子会社の未来にアグリ(札幌市)で獣害対策製品や牧場施設の製造を手がけており、取り扱い商材の多様化や販売網の相互活用による事業拡大を見込む。エスケー電気は1948年設立で、電気牧柵のパイオニアとして実績を積んできた。取得価額は非公表。

マネックスグループ<8698>、メタップス<6172>傘下で暗号資産関連サービスのメタップスアルファを子会社化

マネックスグループは5日、暗号資産交換事業を手がける傘下のコインチェック(東京都渋谷区)がオンチェーンのNFT(代替不可能なトークン)マーケットプレイス「miime」を提供するメタップスアルファ(東京都港区)の全株式を取得し子会社化すると発表した。コインチェックはネットワーク送金手数料が発生しないオフチェーンのNFTマーケットプレイスの開発を進めているが、オンチェーンにも対応することで早期の事業展開につなげるという。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月12日。

旧村上系の投資会社シティインデックスイレブンス、MBO中の日本アジアグループ<3751>にTOBを実施

投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は4日、日本アジアグループに対して全株式取得を目的に対抗TOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。日本アジアを巡っては同社の山下哲生会長兼社長が米投資ファンドのカーライル・グループと組んでMBO(経営陣による買収)を2020年11月初めから実施中。シティはカーライルを10円上回る1210円の買付価格を提示し、2月5日から3月22日まで買い付ける。買付代金は最大約264億円。

シティは旧村上ファンド系の投資会社で現在、共同保有者分と合わせて日本アジア株式の20.47%を所有する。TOBを通じて残る80%近い株式(2183万3880株)の買い付けを目指す。買付予定数は上限も下限も設けていない。公開買付代理人は三田証券、マネックス証券。決済の開始日は3月29日。

日本アジアの非公開化を目指すMBOは昨年11月に買付価格600円で始まった。このMBOについて、シティは買付価格が不当に安く、株主の利益を犠牲にしていると指摘し、今年1月半ばに1株840円で対抗TOBを2月上旬から始める方針を発表。MBOを主導するカーライル側は1月下旬、買付価格を600円から1200円に引き上げた。

シティが提示した買付価格1210円はTOB公表前日の終値1217円とほぼ同水準。今後、対抗TOBに対する日本アジアの意見表明とカーライル側の対応が注目される。

日本アジアは航空測量事業を中心に、太陽光、バイオマス、風力、地熱、小水力発電などのグリーン・エネルギー事業、森林事業を3本柱とする。

クスリのアオキホールディングス<3549>、能登地区で食品スーパー2店舗を経営するサン・フラワー・マリヤマを吸収合併

クスリのアオキホールディングスは、ドラッグストアを展開する全額出資子会社のクスリのアオキ(石川県白山市)が地場食品スーパーのサン・フラワー・マリヤマ(石川県輪島市。売上高6億4700万円、営業利益△100万円、純資産3700万円)を吸収合併することを決めた。食品販売を強化する一環。合併対価としてサン・フラワー・マリヤマ株主に現金を割り当て交付するが、金額は非公表。合併予定日は2021年5月21日。

サン・フラワー・マリヤマは1995年設立で、能登地区に食品スーパー2店舗を経営する。クスリのアオキは北陸・信越、東海・近畿、関東・東北の21府県にドラッグストア666店舗(うち調剤薬局併設346店舗)、専門調剤薬局6店舗の合計672店舗を持つ。近年は食品の販売に力を入れ、大型店では生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)を取り扱っている。

ひかりホールディングス<1445>、ビル・マンション修繕工事の本田組を子会社化

ひかりホールディングスは、ビル・マンションなどの修繕工事を手がける本田組(東京都品川区。売上高1億600万円、営業利益1160万円、純資産4410万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。タイル・石材建築工事のセラミックワン(横浜市)など既存子会社との相乗効果が期待できると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月16日。

ワールド、構造改革の追加実施で約100人の希望退職募集|2年連続

ワールドは3日、構造改革の追加実施に伴い約100人の希望退職を募集すると発表した。百貨店で展開するアパレルブランドを中心に不採算の7ブランドを廃止し、来期(2022年3月期)に約450店舗を閉店する。希望退職はこれら一連の構造改革に関わるフィールズインターナショナル(神戸市)、ワールドストアパートナーズ(東京都港区)のグループ2社の40歳以上の社員(定年再雇用者を含む。店舗従事者は除く)を対象とする。募集期間は3月9日~19日(退職日は4月20日)。

ワールドは昨年9月に200人規模の希望退職を募集(応募は294人)しており、2年連続となる。新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言の再発動で年明け1月の既存店売上高は前年比59.3%(見込み)と一段と厳しい状況となり、来期以降の収益回復の道筋を確実とするためには、今期(2021年3月期)中に事業構造の転換にもう一段のアクセルを踏み込む必要があると判断した。

資生堂<4911>、パーソナルケア事業を欧州投資ファンド大手のCVCキャピタル・パートナーズに1600億円で売却

資生堂は3日、アジアを中心に「TSUBAKI」「SENKA」などのブランドでヘアケア商品やスキンケア商品を展開するパーソナルケア事業を欧州系大手投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズ(英国)に1600億円で売却すると発表した。ドラッグストアや量販店を主要販路とするため、価格競争が激しく、収益力に課題があった。資生堂は売却先である事業運営会社の株式を35%取得し、合弁事業として運営に引き続き関与する。

パーソナルケア事業は1959年に始まり、60年を超える歴史を持つ。女性用で数多くの著名ブランドを持つほか、男性用は「uno」などで知られ、日本をはじめ中国、アジア各国で販売している。当該事業の2019年12月期の売上高は1055億円で、全社の約10%を占める。

国内外の事業は資生堂が2021年上期中に全額出資で設立する新会社に移管し、この新会社の株式をCVCキャピタル・パートナーズ傘下のOriental Beauty Holding(OBH、東京都千代田区)に7月1日付で譲渡する予定。そのうえで資生堂はOBHの親会社の株式35%を取得して合弁事業化する。

ルネサンス<2378>、アウトドアフィットネス事業のBEACH TOWNを子会社化

ルネサンスは、海、川などの自然や公園を利用して運動を楽しむアウトドアフィットネス事業を展開するBEACH TOWN(横浜市)の株式51.7%を取得し、子会社化することを決めた。アウトドアフィットネス分野への本格参入が狙い。ルネサンスは2009年にBEACH TOWNと業務委託契約を結び、「ルネサンス アウトドアフィットネス」として一部のスポーツクラブで周辺の公園や自然を使い、「ノルディックウオーキング」「ランニング」「パークヨガ」などのプログラムを実施してきた。

BEACH TOWNは2008年設立で、日本におけるアウトドアフィットネスの第一人者とされる黒野崇氏が社長を務める。現在、同社が運営・企画制作する施設は首都圏の1都3県を中心に北海道、滋賀、京都、大阪、岡山、宮崎、鹿児島に24カ所にある。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月1日。

デクセリアルズ、特別早期転身支援制度に59人が応募

電子材料・部材メーカーのデクセリアルズは2日、昨年9月から11月にかけて実施した特別早期転身支援制度に59人の応募があったと発表した。50歳以上の管理職社員を対象に50~100人程度を募った(昨年12月末までに段階的に退職)。退職加算金などに伴う関連費用約10億円を特別損失として2021年3月期決算に計上する。

セーラー万年筆<7992>、フランス販売代理店SAS Univers & Marquesを子会社化

セーラー万年筆は、フランスの販売代理店SAS Univers & Marques(モントロイ市。売上高2090万円、営業利益0千円、純資産800万円)の株式70%を取得し、子会社化することを決めた。セーラー万年筆は2000年に英国に支店を開設し、欧州での筆記具販売の拡大に取り組んできたが、英国のEU(欧州連合)離脱を受け、EU域内での拠点確保を模索していた。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月8日。

サノヤスホールディングス<7022>、豪州メルボルンで観覧車を運営する現地子会社をスイスROBUグループに譲渡

サノヤスホールディングスは、豪州で観覧車を運営する現地子会社Sanoyasu Rides Australia Pty Ltd(メルボルン。売上高4億9600万円、営業利益△2810万円、純資産6億5200万円)の全株式を、リヒテンシュタインのVeyron Stiftungに譲渡した。Veyron Stiftungは世界各地で観覧車建設・運営事業を展開するスイスROBUグループを傘下に持つ。譲渡価額は約2400万円。譲渡日は2021年1月31日。

サノヤスHDは子会社を通じて2013年から豪メルボルンで大観覧車の運営を手がけてきたが、現地のレジャー産業を取り巻く事業環境が厳しさを増していたところに、コロナ禍による休業の影響などが重なり、業績が低迷していた。

インターネットインフィニティー<6545>、福祉用具レンタル・販売などのフルケアを子会社化

インターネットインフィニティーは、福祉用具や医療機器のレンタル・販売、住宅改修などを手がけるフルケア(広島市。売上高5億8000万円、営業利益0百万円、純資産1億3800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。中国地方への営業エリア拡大を図る狙い。取得価額は3億3500万円。取得予定日は2021年4月1日。

インターネットインフィニティーはリハビリ型通所介護「レコードブック」やケアマネジャー向け介護専門サイト「ケアマネジメント・オンライン」などを展開している。

ジョイフル本田<3191>、傘下のジョイフルアスレティッククラブを「ゴールドジム」運営のTHINKフィットネスに譲渡

ジョイフル本田は、スポーツクラブ3店舗(茨城県2、千葉県1)を運営する全額出資子会社のジョイフルアスレティッククラブ(茨城県土浦市)の株式67%を、スポーツクラブ「ゴールドジム」を展開するTHINKフィットネス(東京都江東区)に譲渡することを決めた。ジョイフル本田は引き続き株式33%を保有し、共同経営の事業形態に移行する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年3月1日。

ソニー<6758>、米音楽出版社コバルト・ミュージックから音楽配信サービス「AWAL」事業を取得

ソニーは2日、音楽事業統括子会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)を通じて、米音楽出版社コバルト・ミュージック・グループが展開する音楽配信サービス「AWAL」事業と音楽の著作隣接権管理事業を買収する契約を締結したと発表した。買収金額は約452億円(4億3000万ドル)。

「AWAL」はメジャー(大手)に属さないインディーズアーティストを主な対象とし、音楽配信サービスを提供している。アーティスト側は初期費用が発生せず、配信収益から一定の手数料を支払う仕組み。SMEは傘下にインディーズ(独立系)向け音楽配信会社の米オーチャードを持つが、新たに「AWAL」を取り込むことで、サービス領域がレコードレーベルにととまらずDIY(自作型)アーティストにまでより拡大する。

買収完了は関係当局の承認・許可を前提にしており、現時点で未確定。

飛島建設<1805>、ITシステム開発のアクシスウェアを子会社化

飛島建設は、ITシステム開発のアクシスウェア(東京都中央区。売上高9億5700万円)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速による次世代事業運営体制の構築に備える。アクシスウェアは2006年設立。取得価額は非公表。

ユアサ商事<8074>、持ち分法適用関連会社で業務用システム開発のシーエーシーナレッジを子会社化

ユアサ商事は持ち分法適用関連会社で業務用システム開発のシーエーシーナレッジ(東京都中央区)の株式を追加取得し1日付で子会社化した。49%だった持ち株比率を51%に引き上げた。IT関連領域の事業強化が目的。取得価額は非公表。

シーエーシーナレッジは1989年にユアサ商事の情報子会社化として設立。2002年に独立系IT企業のシーエーシー(東京都中央区)の傘下となったが、ユアサ商事グループにおける基幹システムの開発・運用・保守の業務委託先として緊密な関係を維持していた。子会社化に伴い、シーエーシーナレッジの社名を「ユアサシステムソリューションズ」に4月1日付で変更する予定。

アウトソーシング<2427>、新潟県上越市で業務請負・派遣業を手がける新生産業を子会社化

アウトソーシングは、業務請負や派遣業を手がける新生産業(新潟県上越市)の全株式を取得し、1日付で子会社化した。取得価額は非公表。新生産業は2006年設立で、アウトソーシング傘下となることで地場以外の人材確保など一層の事業拡大を目指す。

JMホールディングス<3539>、群馬県太田市でショッピングセンター「ニコモール」運営の田園都市未来新田を子会社化

JMホールディングスは、群馬県太田市内でショッピングセンター「ニコモール」を運営・管理する田園都市未来新田(群馬県太田市。売上高4億3100万円、営業利益1億2200万円、純資産9億4100万円)を子会社化することを決めた。89%の株式を追加取得し、現在7.7%の持ち株比率を96.7%に高める。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月15日。

JMホールディングスは関東圏を中心に食品スーパー「ジャパンミート生鮮館」「ジャパンミート卸売市場」、業務用スーパー「肉のハナマサ」などを展開する。今回子会社化する田園都市未来新田が運営する「ニコモール」には「ジャパンミート生鮮館新田店」が出店している。

フマキラー<4998>、スイス農薬・種苗大手シンジェンタの日本法人からフラワー事業を取得

フマキラーは、スイスの農薬・種苗大手シンジェンタの日本法人であるシンジェンタジャパン(東京都中央区)からフラワー事業(種子、挿し穂など)を取得することを決めた。種苗代理店や花卉生産者、ホームセンター、公園事業者などに対し、フマキラーのガーデニング製品と同時提案することで事業拡大を目指す。取得価額は非公表。取得は数カ月以内に完了するとしている。

シンジェンタジャパンは1992年に設立し、フラワー事業のほか、アグリビジネス事業、野菜種子事業、プロフェッショナルソリューション事業(ゴルフ場用農薬など)を日本で展開している。

ウイルコホールディングス<7831>、情報誌制作子会社の関西ぱどを個人に譲渡

ウイルコホールディングスは、全額出資子会社で生活情報誌制作の関西ぱど(大阪市。売上高13億2000万円、営業利益△6800万円、純資産1億8400万円)の全株式を、富岡紀幸氏に譲渡することを決めた。グループ内の経営資源の最適配分の一環。譲渡価額は1億3100万円。2021年2月1日に全株式の61%、4月30日に残る39%を譲渡する予定。

ウイルコHDは2014年6月に関西ぱどを子会社化したが、近年は赤字体質が恒常化していた。

スタンレー電気、特別転進支援施策に155人応募|予定の半数にとどまる

スタンレー電気は29日、退職者を募る特別転進支援施策に155人の応募があったと発表した。49歳以上60歳未満で勤続10年以上の基幹社員を対象に300人程度を予定していたが、応募は半数にとどまった。募集期間は2021年1月7日~13日(退職日は2月28日。一部社員は3月31日)。2021年3月期決算に特別退職金など関連費用約15億円を特別損失として計上する。

主力の自動車ランプが売上高の約8割を占めるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い自動車業界で生産停止や減産が広がるなどの影響で業績が落ち込んでいる。

同社は特別転進支援施策の実施に合わせて、現在60歳の定年年齢を65歳に引き上げる定年延長制度の導入を決めた。

東京コスモス電機、30人程度の特別退職者を募集

東京コスモス電機は29日、30人程度の特別退職者を募集すると発表した。募集期間は3月1日~12日。退職日は4月30日とする。産業機器用可変抵抗器(ポテンショメーター)、車載用電装品を主力製品とするが、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で業績が悪化しており、要員の適正化や人員効率向上を図る。特別退職加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

佐鳥電機、30人程度の希望退職を実施|2年連続で募集

エレクトロニクス商社の佐鳥電機は29日、間接部門の正社員を対象に30人程度の希望退職を募集すると発表した。同社は昨年3月に特別転進支援施策としてグループを含めて60人程度の退職者(46人応募)を募っており、2年連続の人員合理化となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響や主要取引先との特約店契約の解消などを受けた収益構造改革の一環で、人員構成の最適化を一層進めるとしている。

募集期間は3月15日~31日(退職日は5月30日)。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

フォーサイド<2330>、子会社の映像制作事業を広告業のallfuzに譲渡

フォーサイドは子会社のフォーサイドメディア(東京都中央区)が手がける映像制作事業を、広告業のallfuz(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。アーティストのミュージックビデオやライブDVDの制作を主力としているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で受託していた制作案件の延期や中止が相次いでいた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年1月31日。

帝人<3401>、富士フイルム傘下で再生医療製品開発のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング<7774>をTOBで子会社化

帝人は29日、再生医療製品の開発に取り組むジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。バイオ医療領域の事業拡大が狙い。買付代金は最大約216億円。ジャパン・ティッシュ株式の50.13%を持つ筆頭株主の富士フイルムは全株式をTOBに応募する。ジャパン・ティッシュのジャスダック上場は維持される。同社はTOBに賛同している。

ジャパン・ティッシュ株の買付価格は1株につき820円で、TOB公表前日の終値644円に27.33%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は所有割合64.98%にあたる2638万9900株。下限は富士フイルムの保有分の50.13%で、TOBの成立は事実上確定している。買付期間は2月1日~3月2日。公開買付代理人はSMBC日興証券。決済の開始日は3月9日。

ジャパン・ティッシュは眼科用医療機器メーカー大手のニデック(愛知県蒲郡市)を中心に再生医療ベンチャーとして1999年に設立。生物から採取した細胞を用いて組織や臓器を人工的に作り出すティッシュ・エンジニアリングと呼ばれる医療技術の確立を目指している。2007年にジャスダックに上場。2010年に富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルムが同社の第三者割当増資を引き受け、筆頭株主となっていた。現在第2位株主のニデックは10.41%を引き続き保有する。

アウトソーシング<2427>、電気通信工事関連の技術者派遣を手がけるアイテックを子会社化

アウトソーシングは傘下企業を通じて、電気通信工事関連の技術者派遣を手がけるアイテック(千葉県野田市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アイテックは2011年設立で、移動体通信の基地局建設や建柱工事を強みとする。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

技術者派遣大手のビーネックスグループ<2154>と夢真ホールディングス<2362>、2021年4月に合併

技術者派遣大手のビーネックスグループ(東証1部)と夢真ホールディングス(ジャスダック)は29日、2021年4月に合併すると発表した。新社名は「夢真ビーネックスグループ」。ビーネックスは機械・電機・電子系、夢真は建設(施工管理)系の技術者派遣を主力とし、顧客の重複がほぼなく、統合効果が大きいと判断した。需要が拡大するIT領域での採用・人材育成力の強化などにつなげる。

ビーネックスを存続会社とし、夢真は3月30日付で上場廃止となる見通し。合併比率はビーネックス1:夢真0.63で、夢真1株にビーネックスの株式0.63株を割り当てる。合併後の新会社の会長にビーネックスの西田穣社長、社長に夢真の佐藤大央社長が就く予定。両社の直近売上高を合計すると約1400億円(ビーネックス817億円、夢真586億円)。

ビーネックスは1997年設立で、連結従業員1万8125人。夢真は1980年に設立し、同9848人。

SREホールディングス<2980>、システム受託開発の九州シー・アンド・シーシステムズを子会社化

SREホールディングスは、システム受託開発の九州シー・アンド・シーシステムズ(福岡市。売上高4億9300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。AI(人工知能)を活用した不動産価格推定などのコンサルティングツールの改善や新商品開発につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年4月以降。

九州シー・アンド・シーシステムズは1987年に設立し、30年以上の業歴を持つ。流通・金融を中心に人事や営業支援に関するシステム開発で実績を積んできた。SREホールディングスは不動産仲介と取引テータに基づくAIクラウド・コンサルティング事業を展開する。

セキュアヴェイル<3042>、システム受託開発子会社のインサイトをアステックコンサルティングに譲渡

セキュアヴェイルは、システム受託開発子会社のインサイト(大阪府豊中市。売上高2億8300万円、営業利益1140万円、純資産3460万円)の全株式を、アステックコンサルティング(大阪市)に譲渡することを決めた。新型コロナ下におけるグループ内の業務見直しの一環。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年2月12日。

譲渡先のアステックコンサルティングは製造業に特化したコンサルティング業務を展開している。これにインサイトの受託システム開発を組み合わせることで相乗効果を引き出し、事業拡大につなげる。

アイカ工業<4206>、台湾DSMコーティング・レジンから工場と付随するUV硬化型コーティング事業を取得

アイカ工業は台湾子会社を通じて、化学工業用原料・塗料メーカーの現地DSMコーティング・レジン(桃園市)の大園工場(同)とこれに付随するオーバープリントワニス用UV(紫外線)硬化型コーティング剤事業を取得することを決めた。対象事業の直近売上高は約12億円。取得価額は約14億3000万円。取得は2021年6月中旬を予定する。

アイカ工業は2018年に、靴・繊維・日用品用途のウレタン樹脂やアクリル系モノマー・オリゴマーなどを製造販売する台湾Evermore Chemical Industry Co.,Ltd.(南投市)を子会社化した。DSMコーティング・レジンをグループに迎えることで、台湾、東南アジアでの事業拡大につなげる。

オーテック<1736>、アサヒホールディングス<5857>傘下で放射冷暖房システム設計・施工のインターセントラルを子会社化

オーテックは、アサヒホールディングス傘下で放射冷暖房システムの設計・施工を手がけるインターセントラル(東京都中央区。売上高23億2000万円、営業利益3億7200万円、純資産23億7000万円)の全株式を取得することを決めた。オーテックは空調自動制御システムの設計・施工の「環境システム事業」と管工機材と住宅設備機器を販売する「管工機材事業」を両輪とするが、いずれの部門でも相乗効果が見込めると判断した。取得価額は35億7600万円。取得予定日は2021年3月1日。

インターセントラルは1974年に設立。放射熱を利用した放射冷暖房システムや電気暖房機器はビルのエントランス、病院、空港、図書館などで採用実績を積んできた。

テックファームホールディングス<3625>、自動車業界向けソフト開発子会社のEBEをツリー・エイトに譲渡

テックファームホールディングスは、自動車業界向けソフト開発子会社のEBE(東京都中央区。売上高13億7000万円、営業利益△1億500万円、純資産1億7200万円)の株式57.5%を、ツリー・エイト(東京都目黒区)に譲渡することを決めた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年2月1日。併せて、EBEに対する貸付金など約7億3000万円の債権を放棄する。

テックファームホールディングスは中古車や修理・解体、チューニングなど自動車アフターマーケットにかかわる事業拡大の一環として2015年3月にEBEを子会社化した。しかし、当初想定した事業計画と開きが生じていたうえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で顧客のシステム投資に慎重姿勢が急速に強まるなど、収益確保が一段と困難になっていた。

株式譲渡先のツリー・エイトは風力、太陽光、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギー関連の事業を手がけている。

サンフロンティア不動産<8934>、都内でビル清掃を手がける日本システムサービスを子会社化

サンフロンティア不動産は傘下企業を通じて、オフィスビルの清掃事業を手がける日本システムサービス(東京都港区)の全株式を取得し、29日付で子会社化した。グループ内における都心の清掃事業の基盤拡充が狙い。日本システムサービスは1979年に創業し、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)を中心に都内442棟のビル清掃を受託する。取得価額は非公表。

タイCPグループのシノバイオファーマシューティカル、医薬品開発のLTTバイオファーマにTOB

シノバイオファーマシューティカルリミテッド(ケイマン諸島。香港証券取引所に上場)は27日、医薬品開発のLTTバイオファーマ(東京都港区。2011年に東証マザース上場を廃止)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。TOBを通じて株式を買い増し、グループ企業との共同保有分と合わせて現在24.13%の所有割合を49.37%に引き上げる。LTTバイオに関して戦略的パートナーとしての位置づけを明確にするのが狙い。

LTTバイオ株の買付価格は1株3万4000円。買付予定数は3万3280株(所有割合25.24%に相当)。買付代金は11億3152万円。買付期間は1月27日~3月11日。公開買付代理人は三田証券で、決済の開始日は3月25日。LTTバイオはTOBに「積極的に賛同する」としている。

買付者のシノバイオはタイの巨大企業集団であるチャロン・ポカパン(CP)グループに属し、グループ内で製薬・医療事業を担う。シノバイオは現在、中国を主軸に製薬事業を手がけているが、中国国内での競争激化などに伴い、グローバル展開が課題となっている。このため、かねて結び付きが深かったLTTバイオとの資本関係をさらに強化する。

シノバイオ傘下で中国における中核子会社の北京泰德制药股份有限公司は1995年、LTTバイオの前身企業と中日友好病院(北京の政府系病院)と合弁で設立された。

大阪油化工業<4124>、工場排水濾過装置メーカーのカイコーを子会社化

大阪油化工業は工場排水濾過装置メーカーのカイコー(さいたま市。売上高2億4800万円、営業利益3900万円、純資産2340万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。カイコーが持つ濾過精製技術、小型排水処理装置の設計ノウハウを取り込み、大阪油化の主力製品である蒸留装置の総合提案力を高め、中長期的な収益力強化につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。

アウトソーシング<2427>、豪人材サービスのHorizonOne Recruitment を子会社化

アウトソーシングは豪州子会社を通じて、同国の人材サービス会社HorizonOne Recruitment Pty Ltd (キャンベラ)の全株式を取得し子会社化することを決めた。HorizonOneは政府や自治体など公共セクター向けホワイトカラー人材の紹介・派遣を手がける。アウトソーシングは事業安定化の一環として近年、主力である製造業系とはサイクルが異なる分野や景気変動などの影響を受けにくい公共系分野での人材サービス事業を国内外で拡大している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。

HorizonOneは2008年に設立。首都キャンベラを本拠とし、連邦政府との結び付きを強みの一つとする。アウトソーシングは豪州での展開に関し、これまでシドニーに比べて手薄だったキャンベラでのシェア拡大につなげる。

アウトソーシング<2427>、北九州で人材派遣を手がけるセレクトスタッフを子会社化

アウトソーシングは、人材派遣業のセレクトスタッフ(北九州市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。セレクトスタッフは2001年設立で、九州で物流系や食品工場などコロナ禍の影響が少ない派遣先を主力とする。グループの事業安定化と業容拡大に向けた取り組みの一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

東京インキ<4635>、紙加工・建築用塗料メーカーの荒川塗料工業を子会社化

東京インキは、紙加工用塗料や建築用塗料の製造を手がける荒川塗料工業(さいたま市。売上高12億8000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社の製品は事業領域が競合せず、インキ事業の拡大余地が大きいと判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。

荒川塗料工業は1949年に創業し、塗料・水性光沢インキで長年の実績とブランド力を持つ。近年は建材用コート剤など今後伸びが期待される製品も展開中。

日本コンクリート工業<5269>、東北電力<9506>傘下でコンクリートポール・パイル製造の東北ポールを子会社化

日本コンクリート工業は、東北電力傘下でコンクリートポール・パイプを製造する東北ポール(仙台市。売上高104億円、営業利益2億5800万円、純資産68億3000万円)を子会社化することを決めた。株式を追加取得し、現在6.4%の持ち株比率を64.3%に高める。5G(次世代通信規格)ネットワーク整備、国土強靭化対策などへの対応力を強化する。両社はポール・パイルの製造技術、パイルの施工技術の供与、営業協力などを通じて良好な関係を築いていた。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年7月30日。

セイコーエプソン<6724>、ICテストハンドラー事業を兼松<8020>に譲渡

セイコーエプソンは、ICテストハンドラー事業を総合商社の兼松に譲渡することを決めた。商品構成の適正化の一環。ICテストハンドラーはパッケージング後の半導体の動作試験の際に用いられる搬送装置で、当該事業の部門売上高は30億~40億円という。譲渡価額は非公表。譲渡は2021年4月上旬に予定。

アマナ<2402>、撮影・CGなどビジュアル制作事業子会社のアンを経営陣に譲渡

アマナは、撮影・コンピューターグラフィックス(CG)を中心とするビジュアル制作事業を手がける全額出資子会社のアン(東京都品川区。売上高3億3300万円、営業利益1300万円、純資産9000万円)の株式61%を、同社社長の兼子弘政氏に譲渡することを決めた。固定費の一部変動費化を進め、効率的なグループ運営管理体制を実現する狙い。アンの設立は2001年。譲渡価額は80万円。譲渡予定日は2021年2月1日。

オリンパス<7733>、オランダ医療機器メーカーのクエスト・フォトニック・デバイセズを子会社化

オリンパスはドイツ子会社を通じて、医療用蛍光イメージング(視覚)システムの開発・製造を手がけるオランダのクエスト・フォトニック・デバイセズ(売上高3億9600万円、営業利益1億2000万円、純資産4億7400万円)を買収することを決めた。約46億円で全株式を取得する。ほかに買収後の企業業績に応じた条件付き対価(アーン・アウト)として最大約18億円。取得予定日は2021年2月8日。

蛍光イメージングは外科手術に際し、通常の白色光の下では観察が難しい組織や病変を可視化する技術で、クエストはこの分野の先進的企業。オリンパスの持つ外科手術用内視鏡システムと組み合わせ、開腹手術・腹腔鏡手術の両方をカバーする高品質なイメージングサービス提供につなげる。

NOK、基板製造子会社の日本メクトロンで実施した希望退職に246人応募

NOKは27日、フレキシブルプリント基板(FPC)製造子会社の日本メクトロン(東京都港区)で実施した希望退職に246人の応募があったと発表した。300人程度を予定人員として2020年11月1日~12月31日に募った。3月31日までに退職完了する予定。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。NOKは2021年3月期に特別加算金など関連費用約62億円を特別損失として計上する予定。

フリージア・マクロス<6343>、持分法適用会社化を目指して日邦産業<9913>にTOB

フリージア・マクロスは、日邦産業株のTOB(公開買い付け)を実施すると発表した。資本業務提携の強化により日邦産業の顧客提案力の向上と仕入れコストの低下というシナジー効果を実現し、持分法適用会社化を通じてフリージア・マクロスの業績向上につながると期待している。TOB後もフリージア・マクロスの株式保有割合は最大で27.57%にとどまり、日邦産業の上場は維持される見通し。

一方、日邦産業は「今回のTOBは一方的かつ突然に行われたものである」とし、「公開買付届出書の内容などを精査した上で、速やかに見解を公表する」としている.

TOB価格は1株当たり930円で、公表前営業日での終値528円に76.13%のプレミアムをつけた。買付予定数は71万4800株。応募総数が2万5000株を下回った場合は、買付を実施しない。買付代金は約6億6500万円。公開買付代理人は三田証券。決済開始日は3月19日。

東京エネシス<1945>、日立プラントコンストラクションから火力発電設備の設計・施工事業を取得

東京エネシスは、日立プラントコンストラクション(東京都豊島区)から火力発電設備の設計・施工に関する事業(売上高122億円)を取得することを決めた。中核と位置づける電力設備の建設・保守事業を拡充するのが狙い。日立プラントコンストラクションの技術力や人材を取り込み、生産性向上やグローバル展開、協力会社体制を活用した施工力強化などの相乗効果を見込む。取得価額は22億~28億円。取得予定日は2021年7月1日。

マネックス証券<8698>、新生銀行<8303>から投資信託保護預かり口座に関する事業を取得

マネックス証券は27日、新生銀行の投資信託保護預かり口座に関する事業を会社分割により取得すると発表した。同日、マネックス証券、新生銀行、同行傘下の新生証券の3社が基本合意した金融商品仲介業務にかかる包括提携の一環。取得する投資信託(預かり総資産)は2867億円(2020年3月期)。2021年3月中をめどに最終契約を結び、2022年から新体制で運営を始める予定。

エディオン<2730>、システム開発のHampsteadなどを傘下に持つPTNを子会社化

エディオンは、システム開発や印刷事業などをグループ企業を通じて手がけるPTN(東京都新宿区)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。サービス基盤やマーケティング体制の強化につなげる狙い。

PTNは持ち株会社で、傘下に受注管理システム開発やデジタルマーケティング事業のHampstead(東京都品川区)、印刷事業のプライムステーション(東京都新宿区)、プログラミング教室運営のEdBank(東京都品川区)、英会話サッカースクール運営のBRIDGEs(東京都渋谷区)を子会社に持つ。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月8日。

モブキャストホールディングス<3664>、ゲームタイトル「キングダム乱ー天下統一への道ー」をでらゲーに譲渡

モブキャストホールディングスは、傘下のモブキャストゲームス(東京都港区)が展開するゲームタイトル「キングダム乱-天下統一への道-」(売上高約8億円)を共同開発先の「でらゲー」(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。対象とするゲームタイトルの損失解消が目的。譲渡価額は0円。譲渡予定日は2021年1月28日。

モブキャストHDは2020年3月に、戦略外であるスポーツ系ゲームタイトルの一部を譲渡するなど、選択と集中を進めている。

ミナトホールディングス<6862>、システム開発のアイティ・クラフトを子会社化

ミナトホールディングスは、システム開発のアイティ・クラフト(東京都中央区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ミナトHD傘下でWeb構築などを手がける日本ジョイントソリューションズ(東京都中央区)がアイティ・クラフトとシステム開発案件に共同で取り組んだ実績があり、グループ化により一層の相互補完が期待できると判断した。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

アイティ・クラフトは2007年設立で、金融系の業務システム開発に強みを持つ。

サコス<9641>、電気設備工事の親和電気を子会社化

サコスは、電気設備工事業の親和電気(大阪府守口市。売上高5億1600万円、営業利益0百万円、純資産1億3600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。サコスが手がける業務の一つである発電機レンタルで新たな需要開拓につながると判断した。親和電気は1964年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月9日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[中小企業のM&A・事業承継 Q&A解説]

第6回:M&Aの仲介契約とFA契約の違い

~仲介契約とアドバイザリー契約の違いとは?報酬体系は?~

 

[解説]

宇野俊英(M&Aコンサルタント)

 

 

 

 

 

 


 

[質問(Q)]

後継者を探しましたが、親族内、役員・従業員にも適任者が見当たりません。ついてはM&Aで事業継続を図りたいと思いますが、現在候補先にあてがない状態です。候補先を探索する場合、誰に相談したらよいですか。

 

 

[回答(A)]

一般的には決まった相手先がいない場合には仲介者若しくはアドバイザーからの支援を受けることが一般的です。仲介者・アドバイザー(以下、「仲介者等」といいます)の選択は、業務範囲や業務内容、活動提供期間、報酬体系、ディール実績、利用者の声等をホームページや担当者から、確認した上で複数の仲介者等に打診、比較検討して決定することが望ましいです。また、公的相談窓口として事業引継ぎ支援センターにご相談いただいても、信頼できる仲介者等を紹介してもらうことができます。

 

 

 

1.信頼できる仲介者等の選任


信頼できる仲介者等を選任することが重要です。仲介者等はM&Aを支援する機関で、候補先は民間のM&A事業者、金融機関、税理士を含む士業専門家等です。身近な相談先として顧問税理士や取引金融機関も挙げられます。主な契約は2 種類でそれぞれの機関ごとの指針や取引状況により契約体系が大きく異なる仲介契約とアドバイザリー契約があります。選定の際には仲介者等の担当者との相性や信頼関係の構築ができそうかという点も重要なポイントになります。

 

また、契約を締結する際は調印前に充分な説明を納得がいくまで受けることも重要です。特に契約内容や報酬等については後程問題になるケースもあることから確認が必須となります。もし、契約内容等に疑義がある場合には、必要に応じセカンドオピニオンを受けることが有効です。

 

 

 

2.仲介契約とアドバイザリー契約の違い


仲介契約仲介者と譲渡企業、譲受企業との間の契約です。双方の間になって中立・公平の立場から助言を行うため、交渉が円滑に進みやすいという特徴を持っています。

 

アドバイザリー契約アドバイザーが譲渡企業又は譲受企業の一方との間で締結する契約です。契約者の意向が交渉に全面的に反映されるという特徴があります。

 

中小企業のM&Aでは仲介契約が一般的であることが多いと推察されますが、契約者に対する利益相反の観点からアドバイザリー契約のみに限定している支援者もいます。また、弁護士は弁護士法で双方代理は認められていないため、自動的にアドバイザリー契約となります。

 

 

3.仲介者等の役割


一般的には以下のような支援をすることが多いです。

 

また、以下の一部のみサービスを提供している仲介者等もいます。

 

①事業評価
②候補先選定サポート
③交渉サポート
④基本合意締結サポート
⑤デューデリジェンスサポート
⑥最終契約締結・クロージングサポート

 

 

4.報酬体系


一般的な報酬は以下のとおりです。別途交通費等の実費やデューデリジェンスの費用が必要な場合があります。また、着手金やリテーナーフィー、基本合意時の報酬は不要として成功報酬のみとしている仲介者等もいます。

 

● 対応開始時:着手金
● 対応中:リテーナーフィー(月額報酬)
● 基本合意締結時:中間的な報酬で、成功報酬の一定割合としている仲介者等もいます。
● 成約時(決済時):成功報酬、レーマン方式といわれるM&Aで一般的に使用される方式を採用しています。一方、最低報酬額を別途定めている仲介者等も多く存在します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外食産業に関する実態調査(2021年1月公開分)

 

 

◇上場企業(外食産業)の月次売上高動向調査(2020年12月分)

忘年会など年末需要消失、各社減少幅拡大
~ 65社中10社で前年同月の半分以下に ~

 

1月7日に1都3県(その後2府5県追加)に対して昨年4月以来となる緊急事態宣言が発出された。営業時間の短縮要請に伴い、協力金による支援はなされているものの、もとより忘年会や新年会需要の消失で苦境に立たされている飲食店の先行きの見えない状況が続く。

帝国データバンクでは、外食事業を展開している上場企業(または上場グループの中核事業会社)において、1月28日時点でHPなどで月次売上高データの確認できた65社について、全店実績を集計し、分析した。

※直営店とFC店の合計をリリースしている企業は、直営店とFC店の合計値で集計。直営店のみをリリースしている企業は直営店のみの数値を集計した

※月次売上高の集計方法等は、リリース企業の手法・方針に準ずる

 

※詳細はこちら

 

 

◇居酒屋経営業者の倒産動向調査(2020年)

居酒屋倒産189件で過去最多を更新
~ 地域別では「近畿」、都道府県別では「東京都」が最多 ~

 

忘年会や新年会などの自粛で大ダメージを受けている居酒屋経営業者。そうしたなか、再度の緊急事態宣言の発出により、先行きの見通しが立たない状況が続く。

帝国データバンクでは、居酒屋経営業者の倒産(※)動向について集計・分析した。

※「酒場,ビヤホール」を主業とする事業者(法人・個人事業者)で、法的整理かつ負債1000 万円以上を対象としている

 

※詳細はこちら

 

 

◇飲食店の倒産動向調査(2020年)

飲食店倒産は780件で過去最多
~ 業態別では「酒場・ビヤホール」が最多 ~

 

帝国データバンクでは、2020年(1月~12月)の飲食店事業者の倒産(※)動向について集計・分析した。

※飲食事業を主業とする事業者(法人・個人事業者)で、法的整理かつ負債1000 万円以上を対象としている

 

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]

第7回:企業価値、事業価値および株式価値について

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:M&Aにおける価値評価(バリュエーション)の手法とは?

▷関連記事:売買価格の決め方は?-価値評価の考え方と評価方法の違い-

▷関連記事:M&A における株式評価方法と中小企業のM&A における株式評価方法 ~中小企業M&Aで最も用いられている仲介会社方式とは?~

 

 

 

M&Aを検討する場合に、中小企業でもDCF法などの理論的な価値算定を行う事例が増えてきました。しかし、正確な理解をした上でこれらの方法を用いないと、意思決定を誤った方向に導いてしまう可能性があります。営業利益の3年分などの非理論的な方法を用いず、せっかく理論的な方法を用いたのにその使い方が誤っていると元も子もありません。

 

私が財務デューデリジェンスで関与した案件で、買い手側のFAがDCF法を用いた価値算定を行ったのですが、企業価値は約5億円で負債が多かったため株式価値はほぼゼロだったのです。FAは株式価値(ゼロ)ではなく企業価値(5億円)をベースとして株式の譲渡価格の議論を行っていました。その結果、買手企業は株式の売買を行うにも関わらず、株式の価値ではなく企業の価値で買収価格の検討を進めていたという事例がありました。

 

FAが誤った理解をしていても買手企業としてその誤りに気づけるように、概念的な理解だけでもしておくことをお勧めいたします。

 

 

上図のように、計画期間のキャッシュフローを割引いて現在の事業価値を算定します。事業価値に余剰資金と非事業用資産を加えたものが企業価値、そこから有利子負債(ネットデット)を差し引いたものが株式価値となります。

 

「企業価値」 = 「事業価値」 + 「余剰資金」 + 「非事業用資産」

「株式価値」 = 「企業価値」 – 「有利子負債(ネットデット)」

 

理論的な計算方法にて株式譲渡価格を検討することは望ましいことですが、誤った理解を前提に株式譲渡価格を検討することで、M&Aという重要な意思決定を誤ってしまいます。理論的な計算方法は専門的で難しく、買手企業の社長やM&Aの経験が浅い担当者ではわからないことが一般的です。専門家に見えるFA等が誤った理解をしていても、買手企業側は誤っていることに気づけないこともあるため、公認会計士や価値算定の専門家に株式価値算定を依頼するなどすることをお勧めいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

譲渡所得の計算上、概算取得費を適用すべき場合、取得費を推定できる場合

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

[関連解説]

■小規模宅地等の評価減『特定事業用宅地等』

■【Q&A】等価交換事業が行われた場合に適用を受けることが出来る譲渡所得の特例

 

1.土地等の概算取得費の特例の概要


土地等の分離課税の長期譲渡所得課税の対象となる資産を売却した時の譲渡所得の計算は、譲渡収入金額から取得費と譲渡費用を控除することで行います。しかし、取得当時の契約書などがなく、実際にいくらで取得したかわからない土地等を譲渡する場合もあります。この場合は、譲渡所得の計算上、売買時の収入金額の5%を取得費とすることが認められています。これを長期譲渡所得の概算取得費控除と言います(措法31の4)。

 

これは、原則として、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地等や建物等について適用されるものですが、昭和28年1月1日以降に取得した土地や建物等の取得費の計算でも収入金額の5%で概算しても差支えないとされています(措法通31の4 −1)。また、取扱いで短期譲渡所得の計算でも5%の概算取得費の控除が認められています。

 

ただ取得費が収入金額の5%では譲渡所得の金額が大きくなる傾向にあるため、納税者としては少しでも節税したい思いはあるでしょう。

 

そこで、概算取得費よりも高額な「資産取得時の時価」が推定できれば、その推定金額で申告や更正の請求をしたいところです。

 

2.市街地価格指数を基に取得費を推定する方法


平成12年11月16日の国税不服審判所裁決では、土地建物を一括して譲渡したケースで、取得費がわからなかったため、それほど償却の進んでいない築4年の建物について着工建築物構造単価から建物の取得費を割り出し、これを譲渡対価の総額から控除して土地の譲渡価額を求め、取得時の六大都市を除く市街地価格指数(住宅地)の割合を乗じて土地の取得費を算定する方法を合理的としたものでした。

 

市街地価格指数は日本不動産研究所が不動産鑑定士の価格調査によりまとめている資料で、土地の取得価額がわからないときにこれを活用する方法が有望とされています。

 

ただし市街地価格指数(住宅地)等にも限界はあります。平成26年3月4日の国税不服審判所の裁決では、六大都市には含まれていない所在地の土地の取得費について、六大都市市街地価格指数を用いて納税者が畑の取得費を再計算し更正の請求をした事案では、国税審判所は「所在地や地目の異なる六大都市市街地価格指数を用いた割合が、問題の土地の地価の推移を適切に反映した割合であるということはできない」として、納税者の再計算を認めませんでした。市街地価格指数を利用するには、上記のような注意点があります。

 

3.株式の取得費を推定する方法


株式を譲渡した場合にも、取引報告書を保存していないケースなどで、取得価額がわからないことがあります。この場合、譲渡した同一銘柄の株式等について譲渡収入金額の5%を概算取得費とする取扱いが認められています(措法通37の10・37の11共-13)。

 

しかし名義書換日を調べて取得時期とし、その時期の相場(終値)で取得価額を算定することも、合理性を有する取得価額の把握方法として知られています。
最近の国税不服審判所の事例でも、この方法が認められています(令和元年11月28日)。

 

大阪国税局の「誤りやすい事例 株式等譲渡所得関係」では、株式の取得価額がわからない場合の対応について次のように記載しています。

 

1 取引報告書を保存していない場合で、過去10 年間に証券業者で購入したものは、その証券業者で確認の上、取得価額を算定する。
2 取引報告書又は1 の方法により確認できない場合で、日記帳、預金通帳などの本人の手控えにより取得価額が分かればそれによる。
3 2によっても確認できない場合には、その上場株式等の名義書換時期を調べてその時の相場により取得価額を算定する。

 

 

なお、 譲渡価額の5 %の方が有利な場合は、これを取得費として計算して差し支えない。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/01/26)より転載

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「解散による残余財産の分配に係るみなし配当の計算」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】解散に際して支払われる役員退職金の課税関係

■【Q&A】解散をした場合の役員退職金の支給について

 

 

 

 


[質問]

A株式会社(資本金300万円・資本金等300万円 清算会社)は、今般、残余財産が確定し、全部分配を行うことにしています。

 

株主構成
甲・・・・50株(250万円)
乙・・・・10株(50万円)

 

・A社の前事業年度(解散事業年度)における、簿価純資産価額は、550万
・残余財産確定額は、400万円

 

上記の場合、残余財産を甲・乙に分配いたしますが、甲・乙のみなし配当所得はどのように計算されますか。ご教示ください。

 

[回答]

資本の払戻し又は解散による残余財産の分配に伴って、交付された金銭等の額がその払い戻し等を行った法人の払戻し等の直前の「払戻等対応資本金額等」のうち所有株式に対応する金額を超える場合には、その超過額がみなし配当になるとされています。この場合の「払戻等対応資本金額等」とは、次の算式により計算することとされています(法24①、令23①四)。

 

(払戻し等の直前の資本金等の額)×(資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は解散による残余財産の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の合計額)/(払戻法人の前期期末時の簿価純資産価額)

 

この場合に、上記算式の分数については、その資本金等の額がプラスで、かつ、残余財産の全部の分配を行うときは、その割合は1として計算することとされています(令23①四本文かっこ書)。

 

ご照会事例については、残余財産の全部の分配を行うとのことですので、払戻等対応資本金額等は、3,000,000円(3,000,000円×1)となります。

 

みなし配当の額は、1,000,000円{(残余財産の分配額)4,000,000円-(払戻等対応資本金額等)3,000,000円}となります。したがって、甲及び乙のみなし配当の額は、それぞれの所有株式の割合によることになりますので、甲については1,000,000円×50/60に相当する金額、また、乙については1,000,000円×10/60に相当する金額になると考えます。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年9月23日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


 

 

[業界別・業種別 M&Aのポイント]

第9回:「民泊運営事業者のM&Aの特徴や留意点」とは?

~どの法律に基づいて運営しているか?物件は所有か賃貸か?物件オーナーとの契約内容は?~

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷関連記事:「産業廃棄物処理業のM&Aの特徴や留意点」とは?

▷関連記事:「医療業界のM&Aの特徴や留意点」とは?

▷関連記事:「建設業のM&Aの特徴や留意点」とは?

 

Q、民泊運営事業者のM&Aを検討していますが、民泊運営事業者M&Aの特徴や留意点はありますか?


民泊運営事業者が民泊事業を行うには、旅館業法簡易宿泊営業、特区民泊、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のいずれかに従う必要があります。2018年6月に住宅宿泊業法(民泊新法)が施行されたことにより、これまで民泊運営を行ってきた事業者の多くが事業を見直すきっかけとなりました。住宅宿泊業法(民泊新法)では、年間営業日数が180日以内という制限が課されたため、180日の営業では利益が出しづらく事業としては成り立たないケースがほとんどとなったためです。

 

事業として行うには、旅館業法簡易宿泊営業又は特区民泊のどちらかにて営業を行うことが考えられます。旅館業法簡易宿泊営業および特区民泊では住宅宿泊事業法(民泊新法)に比べ遵守事項が多く、特に通常の住宅設備では消防法の遵守事項を達成できないケースが多く民泊事業を続けることを断念した事業者も多くいました。

 

 

 

そのため、まずはM&Aを検討している会社がどの法律に基づいて運営しているのかを把握する必要があります。そして、物件を所有しているのか、賃借しているのか、或いはオーナーから民泊運営のみの委託を受けているのかについて把握しましょう。これにより固定資産の有無や、損益分岐点が大きく異なってきます。また、運営委託を受けている場合は、物件のオーナーとの契約関係が非常に重要な事項であるため、契約書は必ず確認しましょう。

 

民泊事業者の主な収入はインターネットの旅行サイト等からの収入であり、その収入に応じて支払手数料を支払っています。主な費用はこの支払手数料と、物件の清掃費、人件費、その他外注部分があればその外注費等です。

 

コロナ禍で、外国人観光客の減少によりインバウンドの産業が厳しい状況の中、民泊事業も厳しい状況となっており、今後M&A案件が増加する可能性もあるため、民泊事業の特徴や留意点を把握しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[解説ニュース]

自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い①

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■自宅家屋を取壊して敷地を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の取扱い①

■譲渡所得税の最近のトラブル事例集

 

1.3,000万円控除の概要


個人が自己の居住用の不動産を譲渡した場合は、譲渡所得の金額の計算上、最高3,000万円が控除できる特例が設けられています。これが「居住用財産の譲渡に係る3,000万円特別控除(以下「3,000万円控除」といいます。)」です。

 

3,000万円控除の対象不動産には、次のようなものがあります(租税特別措置法第35条第2項)。

 

①現に自己が居住している家屋
②居住用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡した家屋
③①又は②の家屋とともに譲渡したその敷地
④①の家屋が災害により滅失した場合において、その家屋に住まなくなった日から3年目の年の12月31日までの間(原則)に譲渡したその敷地

 

2.自宅家屋を取壊し後に敷地の譲渡契約を締結した場合の3,000万円控除の取扱い


上記1より、3,000万円控除は災害により自宅家屋が滅失した場合を除き、個人が自宅使用の家屋を譲渡することを前提としている特例です。

 

しかし、この前提を厳しく当てはめようとすると、例えば自宅家屋とその敷地を一体で(同時に)譲渡しようとしたが、買主から家屋を除去したうえで土地のみを譲渡してほしいといわれたため、売主がその家屋を取壊して土地だけを譲渡したような場合には、自宅家屋の譲渡を伴わないので、その土地の譲渡については3,000万円控除に係る上記の適用要件を満たさないことになります。不動産取引においては、土地の譲渡を進めるために譲渡前にその土地上の家屋を取壊すことが珍しくなく、家屋の取壊しにより3,000万円控除の適用が受けられないとすると、不動産取引の実態に税制がマッチしていないことになります。

 

このため国税庁では、租税特別措置法通達35-2 により、所有者が居住の用に供している家屋(または居住の用に供されなくなった家屋)を取壊し、その敷地の用に供されていた土地等を譲渡した場合であっても、その譲渡が次の要件をすべて満たしているときは、3,000万円控除の適用を認めています。

 

 

①その土地等の譲渡契約が、その家屋を取壊した日から1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住用に使用しなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること。
②その家屋の取壊し後、譲渡契約の締結日まで貸付けその他の用に使用していない土地等の譲渡であること。

 

 

上記①については、土地等の譲渡の期限について、譲渡契約を締結する日が「その家屋を取壊した日から1年以内」という要件を定めています。この要件を設けた理由について、「令和2年1月改訂版 租税特別措置法通達逐条解説(譲渡所得関係)」(大蔵財務協会)では、土地等を譲渡するためにその土地等上の家屋を取壊すという関係からして、このような期限を定めることは合理的であり、かつ、土地等を譲渡するために家屋を取壊す場合、その取壊し後1年間という猶予期間があれば、その間に土地等の譲渡契約をすることが十分可能である旨を説明しています(同逐条解説470頁)。

 

また②については、家屋の取壊し後、土地等の譲渡契約の締結日までの期間は跡地の利用を制限していますが、土地等の譲渡契約の締結後、土地等の所有権移転(引渡し)までの期間については、跡地の利用につき特に制限を設けていません。

 

例えば”等価交換方式”によるマンション建設のため、譲渡契約締結後に土地の譲受者がその土地上に建物を建設し、建物完成時にその建物と土地とを交換する場合には、他の要件を満たしているのであれば、3,000万円控除の適用が認められます。

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2021/1/13)より転載

[M&A担当者のための実務活用型誌上セミナー『価値評価(バリュエーション)』」

第5回:財務デューデリジェンスの発見事項の取扱い

 

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  中田博文

 

〈目次〉

1、財務DD

2、買収価格への反映

3、収益性分析

4、BS分析

5、事業計画分析

 

 

▷第1回:M&Aにおける価値評価(バリュエーション)の手法とは?

▷第2回:倍率法における価値評価(バリュエーション)のポイントとは?

▷第3回:DCF法における価値評価(バリュエーション)のポイントとは?

▷第4回:支配権プレミアム&流動性ディスカウントについて

 

▷関連記事:M&A取引の税務ストラクチャリング

▷関連記事:売買価格の決め方は?-価値評価の考え方と評価方法の違い-

▷関連記事:「バリュエーション手法」と「財務デューデリジェンス」の関係を理解する

 

 

1、財務DD


中規模以上のM&Aでは、公認会計士が財務DDを行い、調査結果を報告するケースが多いと思います。財務DDの目的は、「買収をストップするような重要イシューの検出」です。さらに、調査結果を①買収価格に反映、②契約書に反映、③PMI計画に反映することによって、買い手のリスク低減を図ります。

 

 

①買収価格に反映

「過去に設備投資が十分に行われておらず、事業計画の売上高を達成するために、買収後に200百万円の設備投資が必要」という調査結果が報告された場合、事業計画の設備投資額の十分性(設備投資のタイミング及び金額)を確認し、金額等が適当でないと判断される場合は、事業計画を修正します。これによって、財務DDの検出事項が、買収価格に反映され、高値買いのリスクが低減されます。

 

②契約書に反映

「環境債務等の定量化できない偶発債務の存在」が報告された場合、①土地を譲渡対象から除外する等のスキーム変更、②土壌改善をM&Aの成立条件とする、③当事者が把握していない汚染事実が発覚した場合の補償方法等を検討し、契約書に織り込みます。これによって、財務DDの検出事項が、契約書に反映され、買い手のリスクが低減されます。

 

③PMI計画に反映

「多額の滞留債権」が報告された場合、買収後に内部統制の構築が必要になります。具体的には、与信管理、月次債権管理資料の作成・報告によって、滞留債権の適時検出、債権回収の早期実行ができる管理体制を構築します。そのための、経理規定の整備、経理メンバーの追加、本社サポート体制を検討します。このように内部統制の構築によって、買い手のビジネスリスクが低減されます。

 

 

2、買収価格への反映


財務DDの報告書は、調査結果を価値評価に反映する方法を明示的に記載したものばかりではないため、買い手は、財務DDの検出項目の価値評価(DCF法及び倍率法)への反映方法を理解しておく必要があります。倍率法では、すべての検出項目を価値評価に反映できるわけではない点に注意してください。

 

 

 

3、収益性分析


(1)一過性費用

●例えば、「創業50周年記念費用として100百万円を計上」のように一過性費用を前期に計上していた場合、DCF法及び倍率法では、どのように反映すればいいでしょうか。

 

●DCF法では、基準日以降のFCFの割引現在価値の合計が事業価値となるため、過去の一過性費用は、価値評価には影響しません。ただし、事業計画の販管費を見積もる際に、過去の販管費率を参考にする場合は、過去の販管費率の計算から一過性費用の影響を除外する必要があります。

 

●倍率法では、過去実績及び予算値に倍率を乗じて事業価値を計算します。そのため、過去実績及び予算値から一過性費用を除外することによって、一過性費用の影響のない事業価値が算定されます。

 

 

(2)撤退事業・取引先の喪失

●DCF法では、事業計画に撤退事業・取引先の喪失の影響が反映されているかを確認し、反映されていない場合は事業計画を修正します。なお、新規取引先の増加によって売上減少の補填を見込んでいる場合、当該取引の実現可能性を十分に検討します。

 

●倍率法では、過去実績又は当期予算から撤退事業・取引先の喪失にかかる影響を控除する必要があります。具体的には、過去実績又は当期予算から撤退事業にかかる損益及び喪失した取引にかかる損益を取り除きます。

 

 

4、BS分析


(1)滞留債権・滞留在庫(帳簿上、評価減を計上していない)

●滞留債権・滞留在庫は財務DDの最頻出の検出項目です。基準時点の運転資本に滞留債権・滞留在庫が含まれている場合、運転資本の水準が、適正な水準と比較して過大になっている可能性があります。そのため、基準時点の運転資本から滞留部分を控除して、運転資本の増減を計算します。なお、基準時点の債権・在庫の回転期間を用いて、将来の債権・在庫の残高推移を推計する場合、基準時点の債権・在庫から滞留部分を控除して回転期間を計算します。さらに、滞留在庫の処分に廃棄コストが見込まれる場合、廃棄コストを純有利子負債に含めます。

 

●倍率法では、運転資本の水準・増減を考慮しないため、滞留債権・滞留在庫の影響を価値評価に反映することが出来ません。そのため、DCF法との計算結果の相違要因となります。なお、滞留在庫の処分に廃棄コストが見込まれる場合、DCF法と同様に廃棄コストを純有利子負債に含めます

 

 

(2)引当金の不足

●財務DDで引当金不足が検出されるケースも非常に多いです。DCF法では、検出された引当金が毎期経常的に発生するキャッシュアウトに対応する場合(ex 製品保証引当金、賞与引当金等)、事業計画に適切な引当金の見込額を費用計上するとともに、引当金残高の増減を運転資本の増減としてFCFに反映させます。これによって、引当金のキャッシュアウトのタイミングとFCFが対応して、引当金の不足が事業価値に反映されます。検出された引当金が一時的に発生するキャッシュアウトに対応する場合(ex 資産除去債務)、キャッシュアウト見込み額を純有利子負債に含めます。

 

●倍率法では、検出された引当金が毎期経常的に発生するキャッシュアウトに対応する場合(ex 製品保証引当金、賞与引当金)、過去実績又は当期予算に適切な引当金の見込額を費用計上します。これによって、引当金の不足が事業価値に反映されます。検出された引当金が一時的に発生するキャッシュアウトに対応する場合(ex 資産除去債務)、DCF法と同様にキャッシュアウト見込み額を純有利子負債に含めます。

 

 

(3)偶発債務(訴訟、環境債務等)

●偶発債務は定量化しないと、価値評価に反映できないので、財務DD担当者は可能な限り、前提条件を置いて、偶発債務の定量化を図ります。DCF法及び倍率法ともに、定量化された偶発債務を純有利子負債として、事業価値の控除項目とします。

 

 

(4)過去の設備投資の不足

●過去の資金繰りの影響によって、設備投資が十分に行われていないケースがあります。DCF法では、事業計画の売上高を達成するために必要な設備投資見込額を将来のFCFに反映します。

 

●一方、倍率法では、将来の設備投資額を考慮しない(類似会社の設備投資の水準をベースとしており、個別企業の特殊事情を考慮しない)ので、過去の設備投資の不足の影響を価値評価に反映することが出来ません。そのため、DCF法との計算結果の相違要因となります。設備投資の不足額が金額的に重要である場合は、不足額を純有利子負債として、事業価値から控除することを検討します。

 

 

5、事業計画分析


(1)事業計画の前提条件

●「製品が成熟化しているにも関わらず、事業計画の販売価格が横置きのままである」、「新規取引先の増加によって販売数量の増加を達成する見込み」、「材料価格の変動を販売価格に転嫁するまでのタイムラグが長い」、「人件費のベースアップが考慮されていない」等、事業計画の前提条件が、過去の実績と比較してアグレッシブになっているケースが多くあります。DCF法では、市場データーや専門家のアドバイスを参照して、前提条件を見直し、見直し後の修正事業計画を基にした事業価値を算定します。

 

●倍率法では、過去実績又は予算をベースに事業価値を算定するため、前提条件の修正をダイレクトに事業価値に反映させることが出来ません。

 

 

(2)カーブアウト

●カーブアウト案件では、①コスト構造の変化( 売り手のグループ間取引から買い手のグループ間取引への変更等)と②一過性コストの発生(ex. ITデーターの移管コスト、オフィス移転コスト、従業員の引越費用等)が検出事項となります。

 

●DCF法では、カーブアウト後の前提条件に沿った事業計画を用いて価値評価をすることで、検出事項を価値評価に反映することができます。具体的には、①コスト構造の変化を事業計画に織り込み、②一過性コストを純有利子負債に含めて事業価値の控除項目とします。

 

●倍率法では、過去実績又は予算をカーブアウト後の数字に修正(プロフォーマ調整:過去にカーブアウトがあったと仮定して財務諸表を作成)をします。具体的には、①コスト構造の変化を過去実績又は予算に織り込み、これに倍率を乗じて事業価値を算定します。②一過性コストは、DCF法と同様に、純有利子負債に含めて事業価値の控除項目とします。

[失敗しないM&Aのための「財務デューデリジェンス」]

第7回:財務デューデリジェンス「事業計画の分析」を理解する

 

〈解説〉

公認会計士・中小企業診断士  氏家洋輔

 

 

▷第4回:財務デューデリジェンス「損益項目の分析」を理解する【後編】

▷第5回:財務デューデリジェンス「貸借対照表項目の分析」を理解する【前編】

▷第6回:財務デューデリジェンス「貸借対照表項目の分析」を理解する【後編】

 

 

財務デューデリジェンス「事業計画の分析」を理解する


事業計画は、バリュエーション手法でDCFを採用している場合、将来キャッシュフローの前提であり、対象会社の今後の事業運営を検討するうえでも非常に重要です。

 

重要であるため、財務デューデリジェンスの枠内での外部の公認会計士等の専門家による事業計画の検討の有無によらず、買手企業が自社内で分析を行うことが基本となります。

 

買手企業の財務デューデリジェンスにかける予算の都合から事業計画の検討を行わないことや、事業デューデリジェンスを行う場合には事業計画の主な分析は事業デューデリジェンスで行う場合もあります。

 

以下では、財務デューデリジェンスにおける、事業計画の分析について解説したいと思います。

 

1、外部環境の把握

事業計画を策定するうえで、外部環境の把握は重要です。外部環境は事業デューデリジェンスで行われることが多いため、事業デューデリジェンスのレポートを参考にします。

 

外部環境の過去のトレンドや今後のトレンド予測と事業計画との整合性を確認します。

 

例えば、製品の製造に必要な主要原材料の単価が、過去から上昇傾向にあり、今後も上昇が予測されるにも関わらず、事業計画上の売上高原材料費比率が過年度と同水準である場合、外部環境と不整合となります。このような場合は特に、原材料の仕入単価の上昇を抑える施策等合理的な説明が必要となります。

 

また、店舗型の小売業を営んでおり、同じ商圏内に競合店の出店が予定されている場合、当該事項が事業計画上に織り込まれているかどうかの確認も必要となります。

 

2、事業計画の策定時期、目的の把握

財務デューデリジェンスの中で事業計画の分析を行う上で、事業計画の策定時期や目的の把握は前提となります。事業計画の策定時期よりも後に、急激な外部環境の変化や対象会社で重要な意思決定等があった場合は、事業計画にそれらの影響が反映されていないため留意する必要があります。また、事業計画策定の目的がM&Aのためである場合には、達成可能性が低く楽観的な計画となっている可能性があるため留意する必要があります。

 

3、各計画の整合性の確認

一般的に、企業で事業計画を策定する場合は、多くの人が事業計画に関与して策定されます。また、事業計画策定にかかるリソースの不足から、同時期に全ての項目の検討を行っていない場合もあり、各事業部の計画や各種計画がそれぞれ整合していないことがあります。

 

そのため、財務デューデリジェンスでは各計画がそれぞれ整合しているかどうかを確認する必要があります。例えば、各事業部の計画の合計と全社計画が整合していない場合や、人員計画では採用を強化して従業員が増加する計画となっているにも関わらず、損益計画では人件費が同水準で推移している場合等、不整合が生じることがあります。これらの不整合がある場合には、事業計画上これらの調整を加味して分析を行う必要があります。

 

4、事業計画の前提の確認

事業計画は、将来の計画であるため、一定の仮定や前提を置いて作成されることが一般的です。一般的な前提は、マーケット成長率、得意先の獲得・喪失、新製品の有無、店舗の出退店、販売価格・数量、原材料価格、人員数の推移、1人あたり人件費、為替相場、関連法規制の変更等です。これらの前提を把握した上で、対象会社の作成している事業計画の合理性を検討します。

 

5、過年度の計画又は予算と達成状況

事業計画は将来の計画であるため、事業計画通りに全ての施策を実施しないことや、全ての施策を実施しても、様々な要因から事業計画が達成できないことも少なくありません。また、各企業によって事業計画策定の精度は異なり、どの程度の精度で策定されているかを把握するために、過年度に策定された事業計画や予算と実績の比較の分析が有用です。

 

6、売上高の分析

製品、得意先、店舗等の分類を行い、既存製品、得意先、店舗等の売上高と、新製品、新規得意先、新店舗等の売上高、およびM&Aの影響による売上高に区分して分析することが有用です。これらの分析の切り口は、財務デューデリジェンスや事業デューデリジェンスの切り口と同じであることが必要です。逆に言うと、財務デューデリジェンスや事業デューデリジェンスの分析の切り口は、事業計画と同様の切り口とする必要があります。

 

 

 

 

 

上図は既存店舗の店舗別売上実績および事業計画です。デューデリジェンスで分析した切り口と同様の切り口で売上計画を分析することで、外部環境、連続性および実現可能性等の把握が可能となります。

 

既存店舗の分析を行った上で、新規店舗による売上高を把握します。

 

 

 

 

既存店舗での売上高と、新店舗による売上増加をそれぞれ区分して把握します。新店舗の売上増加分については、既存店舗で分析をしたKPIを用いて、実現可能性を分析します。店舗であれば、立地や広さ等で検討することが一般的で、これらの実現可能性等を検討する必要があります。

 

なお、売上増加に伴い、新店舗への出店等が予定されている場合には、設備投資計画に当該投資が織り込まれているか、金額の妥当性等も含めて検討する必要があります。

 

7、売上原価の分析

売上高の増減に対して、売上原価がどのように見積もられているかを分析します。デューデリジェンスの過年度の分析で、それぞれの勘定科目ごとのドライバーを把握していますので、それらのドライバーで事業計画上の売上原価が作成されているかを確認します。

 

 

 

 

材料費は、一般的には売上高をドライバーとして売上高の増減に合わせて増減するように見積もられます。その他、外部環境から材料仕入高の上昇等が予想されている場合には、当該上昇率等も織り込まれているかを確認します。

 

直接労務費は、一般的には固定費とされることが多いです。正社員の賃金は固定費、パート・アルバイトの賃金は変動費とするケースも見受けられます。固定費であるため、計画上横置きとなっているケースがありますが、ある程度売上高が増加すると新たに人員を採用する必要があり、新店舗を開店すれば通常人件費は増加します。そのため、人件費について、固定費とするものの、どのような事象により人件費が増加するかを過年度のデューデリジェンスで把握する必要があります。また、人事制度の改定が織り込まれているか、過年度の1人あたり人件費との整合性等も確認する必要があります。

 

製造間接費は、それぞれの勘定科目ごとのドライバーで事業計画が作成されているかを確認します。キャッシュフローの影響はありませんが、設備投資を行う計画の場合は減価償却費が増加するため、それが織り込まれているか留意する必要があります。

 

また、これらの勘定科目ごとに売上高割合を分析します。必ずしも売上高に連動する費用ばかりではありませんが、売上高割合が大きく増減するような場合には、費用の作成前提に織り込むべき事象の漏れがないか等再度確認する必要があります。

 

8、販管費の分析

販管費の分析のアプローチは製造間接費の分析アプローチと類似しています。販管費は、製造間接費と同様に、それぞれの勘定科目ごとのドライバーで事業計画が作成されているかを確認します。

 

その他の留意点としては、売上の増減に対して、販売費や消耗品費等が適切に織り込まれているか、店舗の増減に伴い適切に人員計画が作成され、人員計画と人件費の計画が整合しているか等を確認します。

 

また、1人あたり人件費が過去の実績と整合しているか、人事制度の変更の影響が適切に見積もられているかを確認します。人員が増加する場合に、本社等の移転の必要はないか、研修費等も適切に見積もられているかを確認する必要があります。

 

9、税金の分析

過年度の分析で、法人税申告書の別表四の調整項目を把握し、計画上税額計算上影響を及ぼす可能性のある重要な金額があれば、それらが適切に計画上の税額計算上も考慮されているかを確認する必要があります。また、過年度に発生している繰越欠損金があれば、それらを使用する計画となっているかを確認します。

 

なお、税務ストラクチャ―において、適格・非適格の別により、繰越欠損金の引継ぎや、資産・負債の時価評価等取扱がかわるため、税務上の判断が重要である場合には、税務の専門家に助言をもらう等の検討が必要になります。

 

10、運転資本の分析

運転資本は、回収条件、支払条件、在庫施策、得意先ポートフォリオ、仕入先ポートフォリオ、製品ポートフォリオに重要な変更がないとするならば、売上高や仕入高に対する回転期間は一定であると考えられます。

 

そのため、過年度分析で正常な回転期間を分析していますので、回転期間が過年度から計画にかけて整合しているかがポイントとなります。回転期間が計画上変化している場合は、変化している理由、その合理性を検討する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「合併に伴う繰越欠損金の引継ぎ」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】適格合併の適否及び被合併法人の未処理欠損金の引継ぎ制限

■【Q&A】合併における税制適格要件について

 

 

 


[質問]

A社は、甲が50%の株式、乙が50%の株式を5年間以上保有する会社です。
B社は、A社が50%、甲が25%、乙が25%の株式を5年以上保有する会社です。
A社を合併法人、B社を被合併法人として合併する場合、A社とB社の関係は、支配関係と解してよいですか。
この合併によりA社はB社の繰越欠損金をどのような場合に引き継ぐことができますか。

 

[回答]

(回答要旨)
B社とA社との間に5年以上継続して支配関係があり、かつ、本件の合併が適格合併に該当する場合には、被合併法人の未処理欠損金額は、合併法人の合併事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額とみなして、合併事業年度以降の各事業年度において繰越欠損金額の控除制度が認められます。

 

 

(解説)
1 被合併法人の未処理欠損金の引継ぎ
適格合併が行われた場合には、被合併法人の合併の日前10年以内に開始した事業年度に発生した未処理欠損金額は、原則として、合併法人の合併事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額とみなして、合併事業年度以降の各事業年度において繰越欠損金額の控除制度が認められます(法法57②)。

 

ただし、この制度を無制限に認めると、過度な節税目的に利用される可能性があるため、企業グループ内の合併については、共同で事業を行うための合併に比べて税制適格要件が緩和されていることを考慮して、特定の場合には被合併法人の未処理欠損金額の合併法人への引継ぎが制限されています(法法57③)。

 

具体的には、被合併法人(合併法人との間に支配関係のある場合に限る。)から引き継ぐ未処理欠損金額には、①適格合併が「みなし共同事業要件」を満たす場合、又は、②被合併法人と合併法人との間に合併法人のその適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日、被合併法人の設立の日若しくは合併法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して支配関係がある場合を除き、所定の欠損金額を含まないこととされています。

 

 

2 適格合併の要件
本件のA社とB社との関係は、A社がB社の発行済株式の総数の50%以上を直接又は間接に保有している関係なので、当事者間に支配関係があるものと認められます(法法2十二の七の五)。

 

当事者間に支配関係がある法人グループ内の合併の要件は、次の2つの要件を満たす場合に適格合併に該当します(法法2十二の八ロ)。

 

イ 被合併法人の合併直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が、その合併後の合併法人の業務に従事することが見込まれていること(従業者従事要件)
ロ 被合併法人の合併前に行う主要な事業が、その合併後の合併法人において引き続き行われることが見込まれていること(事業継続要件)。

 

 

3 本件における未処理欠損金額の引継ぎの適否
本件においては、B社とA社との間には5年以上継続して支配関係があるということなので、上記1の②の要件により、いわゆる引継制限規定は適用されないものと考えられます。

 

そうすると、本件の合併が上記2の要件を満たす適格合併に該当する場合には、被合併法人の未処理欠損金額は、合併法人の合併事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額とみなして、合併事業年度以降の各事業年度において繰越欠損金額の控除制度が認められるものと考えます。

 

 

4 租税回避行為の判断
本件の場合は、合併に際し支配関係の要件である従業者従事要件及び事業継続要件を満たす必要があるので、繰越欠損金額を引き継ぐことだけを目的とする合併ということはないと思いますが、過去の裁判例においては、事業を別の法人に引き継がせて、親法人が欠損金と不動産だけとなった子会社を合併した事例において、いわゆる行為計算否認の規定(法法132の2)の規定が適用され、欠損金の引継ぎが認められなかった事例があるので、ご注意してください(東京地判令和元年6月27日・東京高判令和元年12月11日)。

 

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年9月18日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


後継者問題に関する実態調査(2020年12月公開分)

 

 

 

◇長崎県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

長崎県企業の63.4%が「後継者不在」
~後継者不在率は高水準で推移~

※詳細はこちら

 

◇熊本県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

熊本企業の50.3%が「後継者不在」
~ 後継者不在率は、九州内では最も低いものの、50%を上回り過去最高 ~

※詳細はこちら

 

◇四国地方「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率、2011年以降で最高を更新
~全国9地域別、「四国」が最も低い~

※詳細はこちら

 

◇茨城県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

茨城県内企業の「後継者不在率」は47.9% 3年連続で低下し最低を更新
~「建設業」「不動産業」「サービス業」は5割超と引き続き高い傾向~

※詳細はこちら

 

◇山梨県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率は65.8%、前年より0.6ポイント低下
~ 80代以上の不在率、3割超に上昇 ~

※詳細はこちら

 

◇佐賀県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

佐賀県企業の後継者不在率は53.7%
~ 後継者不在率は5年連続で上昇 ~

※詳細はこちら

 

◇埼玉県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率66.0%、2017年以降4年連続低下
~ 2020年の事業承継、「同族承継」が4割超を占めるも低下傾向に ~

※詳細はこちら

 

◇山口県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率75.3%、全国で3番目に高く
~ 社長年齢が60歳以上の企業では5割強を占める ~

※詳細はこちら

 

◇島根県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率73.5%、全国で4番目に高く
~ 社長年齢が60歳以上の企業でも5割を超える ~

※詳細はこちら

 

◇鳥取県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率77.9%、全国で2番目に高く
~ 社長年齢が60歳以上でも約6割を占める ~

※詳細はこちら

 

◇岡山県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率64.1%、全国平均を下回る
~ 社長年齢が60歳以上の企業では4割を占める ~

※詳細はこちら

 

◇中国地方「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率70.8%、全国9エリアで2番目に高く
~ 都道府県別、鳥取が2位、山口が3位、島根が4位、広島が8位に ~

※詳細はこちら

 

◇広島県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率71.3%、じわり改善続く
~都道府県別の順位、初回の2位から8位に低下~
~社長年齢が60歳以上の企業でも半数近くを占める~

※詳細はこちら

 

◇大分県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

後継者不在率は66.9%、前年より1.9pt低下
~ 事業承継は「同族承継」による引き継ぎがトップ ~

※詳細はこちら

 

◇山形県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

山形県の後継者不在率62.2% 前年比横ばいだが、楽観視できない状況が続く
~ 「内部昇格」型の事業承継が増加し、同族間の承継は低下 ~

※詳細はこちら

 

◇青森県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

青森県の後継者不在率、2011年以降で最高を更新
~ 青森県は60.9%、4年連続で上昇 ~

※詳細はこちら

 

◇沖縄県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

沖縄県企業の後継者不在率、全体の81.2%
~ 後継者不在率は調査開始以来4年連続、全国で1位 ~

※詳細はこちら

 

◇九州地方「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

九州企業の62.7%が「後継者不在」
~ 後継者不在率は4年連続で上昇、過去最高に ~

※詳細はこちら

 

◇静岡県「後継者問題に関する実態調査」(2020年12月公開分)

企業の後継者不在率は60.7%
~「建設業」の後継者不在率が70.4%で最多 ~

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[M&Aニュース](2020年12月14日〜12月25日)

◇河西工業、早期退職制度に175人応募 予定数を100人以上下回る、◇ロイヤルホールディングス、早期退職に予定数を5割上回る315人が応募、◇テラ<2191>、新型コロナ治療薬開発のメキシコPrometheus. BiotechをCENEGENICS JAPANに譲渡、◇スターティアホールディングス<3393>、Brocanteのチャットポッド事業を取得、◇イグニス<3689>、子会社パルスの医療用VRシステム「うららかVR」事業をParafeedに譲渡、◇OSJBホールディングス<5912>、港湾関連工事業の山木工業ホールディングスを子会社化、◇「株式新聞」が紙媒体を廃止し、デジタル版に完全移行、◇りらいあコミュニケーションズ<4708>、対面・訪問事業子会社のアイヴィジットを博報堂DY<2433>傘下のバックスグループに譲渡 ほか

 

 

河西工業、早期退職制度に175人応募 予定数を100人以上下回る 

河西工業は25日、特別早期退職優遇制度に175人の応募があったと発表した。予定していた300人程度を大幅に下回った。正規社員と契約社員を対象に9月と11月(追加分)に募った。新型コロナウイルス感染拡大で自動車用内装インテリア部品など主力製品の需要が大幅に減ったのを受け、人員適正化を含む構造改革を進めている。

早期退職優遇制度への応募数は予定数を100人以上下回ったものの、自己都合退職者などを加えた退職者の合計は232人という。グループ会社でも構造改革施策を実施し、別途205人を削減しており、人員適正化は達成する見込みとしている。

2021年3月期業績予想は売上高28%減の1470億円、営業赤字135億円(前期は40億円の黒字)、最終赤字135億円(同20億円の赤字)。

ロイヤルホールディングス、早期退職に予定数を5割上回る315人が応募

外食大手のロイヤルホールディングス(HD)は25日、早期退職に315人の応募があったと発表した。グループ会社を含む50歳以上64歳以下の社員を対象に12月1日~18日に募ったが、応募者は200人程度としていた予定人員を5割強上回った。退職日は2021年1月31日。新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が急速に悪化し、不採算店舗閉鎖や本部組織のスリム化などの事業構造改革を進めている。

2020年12月期業績予想は売上高39%減の850億円、営業赤字190億円(前期は46億円の黒字)、最終赤字280億円(同19億円の黒字)。

テラ<2191>、新型コロナ治療薬開発のメキシコPrometheus. BiotechをCENEGENICS JAPANに譲渡

テラは、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に取り組むメキシコ子会社のPrometheus. Biotech Corporation.の全保有株式(所有割合51%)を、共同出資パートナーで先端医療支援事業を手がけるCENEGENICS JAPAN(東京都中央区)に譲渡することを決めた。テラはPrometheus. Biotechを8月末に子会社化したが、その際、2020年12月末までにメキシコで薬事承認が得られない場合には取得価額の1億5300万円でCENEGENICS JAPANに買い戻しを要請できる取り決めだった。譲渡価額は1億5300万円。譲渡予定日は2020年12月28日。

テラは今年4月、CENEGENICS JAPANと新型コロナ感染症に対する間葉系幹細胞を用いた治療法の開発に関する共同研究契約を締結し、メキシコに共同運営する新会社で治療薬の臨床試験を進めてきた。9月に現地イダルゴ州から薬事承認を取得したものの、同州以外では年内に薬事承認が得られない状況だったという。

スターティアホールディングス<3393>、Brocanteのチャットポッド事業を取得

スターティアホールディングスはWebアプリケーション企画・開発子会社のスターティアラボ(東京都新宿区)を通じて、Brocante(東京都渋谷区)のチャットポッド事業「LAMPCHAT」を取得することを決めた。デジタルマーケティング事業の強化が狙い。スターティアラボが情報発信や集客、見込み客育成・顧客化などを目的に展開するSaaS(サービスとしてのソフトウエア)群「Cloud CIRCUS」と統合し、サービス充実につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月4日。

イグニス<3689>、子会社パルスの医療用VRシステム「うららかVR」事業をParafeedに譲渡

イグニスは、子会社のパルス(東京都渋谷区)が手がける医療用VR(仮想現実)システム「うららかVR」事業を、コンサルティング事業のParafeed(東京都千代田区)に25日付で譲渡した。「うららかVR」は研究開発段階にあり、商業化するまでに一定の期間を要することから事業を切り離し、最重点と位置づけるVR活用のエンターテインメント事業に経営資源を集中する。譲渡価額は1500万円。

OSJBホールディングス<5912>、港湾関連工事業の山木工業ホールディングスを子会社化

OSJBホールディングスは傘下企業のオリエンタル白石(東京都江東区)を通じて、福島県小名浜港での港湾関連工事を主力とする山木工業ホールディングス(福島県いわき市)の株式99.9%を取得し、子会社化することを決めた。山木工業ホールディングスは持ち株会社で、その子会社の山木工業(同。売上高55億3000万円、営業利益5億6800万円、純資産21億8000万円=持ち株会社との単純合計)が中核会社。取得価額は38億2000万円。取得予定日は2021年2月19日。

OSJBホールディングスはオリエンタル白石における橋梁工事の受注機会の拡大などを期待している。

りらいあコミュニケーションズ<4708>、対面・訪問事業子会社のアイヴィジットを博報堂DY<2433>傘下のバックスグループに譲渡

りらいあコミュニケーションズは、フィールドオペレーション(対面・訪問)事業子会社のアイヴィジット(東京都渋谷区。売上高51億3000万円、営業利益2億2700万円、純資産12億6000万円)の全株式を、バックスグループ(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。譲渡先のバックスグループは博報堂DYホールディングスの傘下企業。譲渡価額は16億円。譲渡予定日は2021年2月26日。

「株式新聞」が紙媒体を廃止し、デジタル版に完全移行

SBIホールディングス傘下のモーニングスターは24日、発行する日刊「株式新聞」について2021年3月31日をもって紙媒体を休刊し、デジタル版に完全移行すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の流れが進展する中、新聞事業を取り巻く環境が一段と悪化し、紙媒体の発行を取りやめることで印刷費や輸送費などのコストをなくし、デジタル媒体に経営資源を集中する。

株式新聞は1949年に発足した証券専門紙。インターネットの普及に伴い、読者離れが進み、業績が悪化し、2008年にモーニングスターに買収された。現在、日本証券新聞と業界を2分するが、かつて証券専門3大紙を形成した株式市場新聞は2009年に廃刊した。

エイベックス、希望退職に103人が応募

エイベックスは24日、希望退職者募集に103人の応募があったと発表した。音楽事業の一部と全社間接部門に在籍する40歳以上の社員(該当者443人)を対象に100人程度を募集人員とし、12月10日~21日に募った。音楽ソフト市場が縮小する中、新型コロナウイルス感染症の影響拡大が重なり、ライブ・イベントの開催自粛を余儀なくされるなど業績が急速に悪化していた。退職日は2021年3月31日付。特別退職加算金を支給するほか、再就職支援サービスを提供する。

投資会社のロングリーチグループ、ITサービスのジャパンシステム<9758>をTOBで子会社化

ジャパンシステムは24日、独立系投資会社のロングリーチグループ傘下のJSLホールディングス合同会社(東京都千代田区)が同社に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。ジャパンシステムはTOBに賛同を表明した。TOBが成立すれば、ジャパンシステムはジャスダック上場が廃止となる。

ジャパンシステムは米ITサービス企業DXCの子会社で、システム構築・運用を主力とする。現在、DXCのグループ企業(DXC US)がジャパンシステムの株式53.67%を保有する。ロングリーチグループはTOBを通じて、DXC US以外の株主が保有する46.33%を買い付ける。そのうえで、ジャパンシステムがDXC USの全保有株式について自己株取得を実施する。

ジャパンシステム株の買付価格は1株につき590円で、TOB公表前日の終値409円に44.25%のプレミアムを加えた。買付予定数は1206万3005株で、下限は所有割合13%にあたる338万4400株。買付代金は最大71億1717万円。買付期間は12月25日~2021年2月15日。決済の開始日は2021年2月22日。公開買付代理人は野村証券。

ジャパンシステムは1969年に東京ソフトウェアサービスとして設立。ソフト受託開発で実績を積み、1988年に店頭市場(現ジャスダック)に上場した。経営危機をきっかけに1990年代から一貫して米企業の傘下にあり、2017年からはDXCが最終親会社。

ドラフト<5070>、ブランドコンサルティング事業のサティスワンを子会社化

ドラフトは、ブランドコンサルティングや広告宣伝の企画を主力するサティスワン(東京都渋谷区。売上高1億7900万円、営業利益181万円、純資産5340万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ドラフトはグループで手がける都市開発、大型案件の空間デザイン業務でブランディングやプロモーション施策と一体化した総合的なサービス体制の強化を目指す。取得価額は未確定。2021年3月中に取得する予定。

SBSホールディングス<2384>、SMC<6273>傘下の東洋運輸倉庫を子会社化

SBSホールディングスは、SMC傘下で倉庫・通関、運送事業を手がける東洋運輸倉庫(東京都港区。売上高24億3000万円、営業利益2億2000万円、純資産59億5000万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。人口集中や電子商取引の進展に伴い、首都圏で倉庫需要が拡大しているのに対応する。東洋運輸倉庫は東京臨海部の東扇島(川崎市)、若洲(東京都江東区)に大型倉庫を持つ。

取得価額は72億円。取得予定日は2021年1月29日。

クロス・マーケティンググループ<3675>、マーケティングサービス事業のドゥ・ハウスを子会社化

クロス・マーケティンググループは、首都圏を中心にマーケティングサービス事業を展開するドゥ・ハウス(東京都港区。売上高33億3000万円、営業利益990万円、純資産7億300万円)を子会社化することを決めた。デジタルマーケティング領域での事業展開を拡大する。株式と新株引受権の取得により、所有割合53.26%を予定する。取得価額は約5億6900万円(うち新株引受権は約8700万円)。株式取得・新株引受権行使日は2021年1月12日。

ドゥ・ハウスはネット上でのサンプリングを通じて商品の魅力をオンライン上で口コミで伝えるサービス「モラタメ」などを展開する。

コムチュア<3844>、キヤノンマーケティングジャパン<8060>傘下で人材教育事業のエディフィストラーニングを子会社化

コムチュアは、キヤノンマーケティングジャパン傘下で企業向け人材教育・研修事業を手がけるエディフィストラーニング(東京都中央区。売上高13億2000万円、営業利益1億2600万円、純資産4億4300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。DX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展とともに、企業内でクラウドサービスやデジタル技術を活用できるIT人材の育成が欠かせなくなる中、教育需要が一層高まると判断した。取得価額は13億5430万円。取得予定日は2021年3月1日。

幸和製作所<7807>、福祉用具製造販売子会社の幸和ライフゼーションが手がけるデイサービス事業をポラリスに譲渡

幸和製作所は、車いすや歩行器など福祉用具製造・販売子会社の幸和ライフゼーション(東京都江戸川区)が手がけるデイサービス事業を、通所・居室介護事業のポラリス(兵庫県宝塚市)に2021年1月1日付で譲渡することを決めた。主要事業の集約が目的としている。譲渡価額は2140万円。

カシオ計算機、2019年に続き早期退職者を募集

カシオ計算機は23日、早期退職優遇制度を実施すると発表した。営業部門またはスタッフ部門に在籍する勤続10年以上の社員のうち、45歳以上の一般社員と50歳以上の管理職社員が対象で、募集人数は定めず、2021年1月18日から2月1日まで募る。2019年2月にも同様の内容で早期退職を募っており、156人が応募した。

コンパクトデジタルカメラ事業からの撤退などに伴い新規事業創出などに向けて構造改革を推進中。足元では新型コロナの影響拡大が重なり、業績は黒字圏ながら厳しさを増している。通常の退職金に特別退職金を上乗せして支給し、再就職を支援する。

カシオ計算機の2021年3月期業績予想は売上高21.6%減の2200億円、営業利益65.6%減の100億円、最終利益63%減の65億円。

サッポロホールディングス、早期退職優遇制度の第二次申請に51人

サッポロホールディングスは23日、中核子会社のサッポロビールで実施した早期退職優遇制度の2次申請分について59人の応募があったと発表した。勤続10年以上45歳以上の社員を対象に人数を定めず、10月1日から12月10日に募った。退職日は2021年5月20日。今年5月に実施した第1次分では51人が応募しており、同制度への応募者数は合計110人。通常の退職金に加えセカンドキャリア支援金を支給し、再就職を支援する。

NFS、日本フォームサービス<7869>をTOBで非公開化

NFS(東京都江東区)は日本フォームサービスにTOB(株式公開買い付け)を実施し、同社を非公開化する。日本フォームは賛同の意見を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。NFSは日本フォーム株を保有していないが、山下岳英元日本フォーム社長の子息である山下宗吾氏が代表取締役を務めており、個人として同社株の66.80%を所有する。同氏は本TOBに応募しない。

日本フォームは情報通信ラックや太陽光発電システムなどの製造・販売を手がける東証JASDAQ(スタンダード)上場企業。取締役会や監査役会の虚偽開催や会計操作などが発覚し、東証は同社を2019年8月に特設注意市場銘柄に指定し、2021年2月の判定で内部管理体制などに改善が認められない場合には上場廃止となる見込みだった。

事実上の支配株主である山下岳英元社長の影響力を排除することが改善の条件で、日本フォームの同族支配を維持するために一族が経営するNFSによるTOBで自ら「幕引き」を図ったとみられる。

買付価格は1株につき3100円。TOB公表前日の終値2010円に54.23%のプレミアムを加えた。買付予定数は13万2205株で、下限は設けないが本TOB成立後にスクイーズアウトを実施する。買付代金は約4億1000万円。買付期間は2020年12月24日から 2021年2月10日までの30営業日。公開買付代理人は三田証券。決済開始日は2021年2月15日。

トーモク<3946>、愛知県地盤のタマゼンから戸建住宅分譲事業を取得

トーモクは、戸建住宅分譲事業を手がける玉善(名古屋市)の事業を取得することを決めた。玉善が戸建住宅分譲事業を会社分割して設立するタマゼン(名古屋市)を子会社化する形をとる。2021年3月1日付で全株式を取得後、タマゼンの社名を元の玉善(新玉善)に変更する。旧玉善はKTキャピタルに社名変更する予定。取得価額は非公表。

トーモクは段ボール・紙器事業を中心に住宅、運輸倉庫事業を展開する。住宅事業では輸入住宅「スウェーデンハウス」で知られる。玉善は1988年創業で、愛知県内で戸建住宅分譲事業のほか、商業施設、マンションの開発などを手がける。

燦キャピタルマネージメント<2134>、山林売買・管理の早稲田不動産管理を子会社化

燦キャピタルマネージメントは、山林の売買・管理を専門とする早稲田不動産管理(東京都中央区。売上高2060万円、営業利益26万6000円、純資産1040万円)の株式51%を取得し、23日付で子会社化した。早稲田不動産管理が所有地の山林(新潟県十日町市、約4万4000平方メートル)で企画する地熱発電やバイオマス発電、マイクロ水力発電の開発事業に参画するのが目的。取得価額は510万円。

燦キャピタルは投資事業の一環としてクリーンエネルギー分野での案件の発掘と機会をうかがっていた。

ハウスコム<3275>、不動産賃貸仲介の宅都を子会社化

ハウスコムは不動産賃貸仲介の宅都(大阪市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。宅都は不動産賃貸仲介のほか、不動産売買・売買仲介、不動産賃貸、ホテルの各事業を手がけるが、ハウスコムによる子会社化に先立ち、不動産賃貸仲介を除く事業は会社分割で切り離される。関西圏での不動産賃貸仲介事業を強化するのが目的。取得価額は10億4300万円。取得予定日は2021年3月1日。

宅都は大阪市内中心部・北摂エリアを中心に不動産賃貸仲介店舗を23店舗、東京駅・新大阪駅周辺に法人営業拠点2カ所を持ち、年間仲介件数は1万件を超える。ハウスコムは不動産賃貸仲介店舗を188店舗を持つが、関西圏では6店舗(大阪府4、京都府2)にとどまっていた。

ひろぎんホールディングス<7337>、ひろぎんリースを子会社化

ひろぎんホールディングスは、持ち分法適用関連会社のひろぎんリース(広島市。売上高206億円、営業利益11億1000万円、純資産149億円)を2021年3月1日付で完全子会社化することを決めた。ひろぎんリースの出資構成はひろぎんHD20%、三菱UFJリース80%となっているが、ひろぎんリースが三菱UFJリース保有分を自己株取得することにより、ひろぎんHDの完全子会社となる。資本構成の是正と資本効率の改善が目的。

ワットマン<9927>、シナノ・グループから神奈川県内のゲームステーション事業を取得

ワットマンは、書籍販売やフィットネス事業などを手がけるシナノ・グループ(長野市)からゲームステーション事業を取得することを決めた。リユース(中古品)事業の強化が狙い。取得対象はシナノ・グループが「ゲームステーション」の名称で神奈川県内で展開するゲームやDVD、CD、ホビー製品などの買取ショップ2店舗(本厚木店、上大岡店)。当該事業の直近業績は売上高3億6900万円、経常利益1100万円。取得予定日は2021年2月1日。

岡藤日産証券ホールディングス<8705>、商品取引業のフジフューチャーズから事業を取得

岡藤日産証券ホールディングスは傘下の日産証券を通じて、フジフューチャーズ(東京都中央区)が営む金融商品取引業と商品先物取引業の一部を取得することを決めた。日産証券の顧客基盤の拡充と収益力の強化につなげる。対象事業の売上高は2億9400万円。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月22日。

RVH<6786>、Webサイトアプリ制作子会社のスカイリンクを経営陣に譲渡

RVHはWebサイト・アプリやゲームアプリの制作子会社のスカイリンク(東京都港区。売上高21億2000万円、営業利益△1170万円、純資産△7780万円)の全株式を、スカイリンク経営陣に22日付で譲渡した。2015年に子会社化したが、業績が当初計画を大きく下回っていたうえ、新型コロナの影響拡大も加わり、収益確保の見通しが立たない状況にあった。譲渡価額は1000万円。

リゾートトラスト<4681>、遠隔画像診断支援サービスのダイヤメディカルネットを子会社化

リゾートトラストは傘下企業を通じて、遠隔画像診断支援サービスを手がけるダイヤメディカルネット(東京都板橋区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。グループで手がけるメディカル事業への相乗効果を期待している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月1日。

ダイヤメディカルネットが提供する遠隔画像診断支援サービスは医療機関や健康施設で撮影されて画像データについて、専門医による読影診断結果を迅速に届ける内容。リゾートトラストは子会社のiMedical(東京都港区)を通じて同様の事業を展開しているが、ダイヤメディカルネットを傘下に取り込むことで、遠隔画像診断市場で業界2位の地歩を確保することになる。

ダイヤメディカルネットは2001年に設立し、国内で100人以上の放射線科医が登録し、100以上の医療機関にサービスを展開している。

マクアケ<4479>、ソフト開発などのジシバリを子会社化

マクアケはソフトウエアやWebサイト・アプリケーションの開発を手がけるジシバリ(東京都渋谷区。売上高6670万円、営業利益△67万2000円、純資産815万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。システム開発力の強化につなげる。マクアケは新商品・サービスのテスト販売に特化したEC(電子商取引)サイトの運営を主力とする。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月29日。子会社化後、2021年2月1日付で吸収合併する。

長谷川香料<4958>、米国の食品香料メーカーMISSIONを子会社化

長谷川香料は米国の食品香料メーカー、MISSION FLAVORS & FRAGRANCES, INC.(カリフォルニア州。売上高25億2000万円、営業利益△1400万円、純資産8500万円)を買収することを決めた。米国での事業展開を加速するのが狙い。米子会社を通じて全株式を約133億円で29日付で取得する。MISSIONは天然嗜好や低糖質・低脂質などに対応した食品香料に強みを持つ。

長谷川香料は米国でスナック菓子やドレッシング、調味料などに使われる食品を現地生産し、同国で40年を超える実績を持つ。2017年には同業の米FLAVOR INGREDIENT HOLDINGS, LLC(カリフォルニア州)を買収し、健康分野や飲料分野に参入した。今回傘下に収めるMISSIONは1987年に設立。顧客網が重複せず、相互補完性が高く、製造・販売の両面で相乗効果が期待できると判断した。

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス<3657>、ゲームメーカー向け2次元・3次元アートなど提供の米5518 Studiosを子会社化

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスは米子会社を通じて、ゲームソフト企業向けに2次元・3次元アートやアニメーション関連のサービスを展開する現地5518 Studios, Inc.(カリフォルニア州)の全事業を取得することを決めた。ポールトゥウィンはゲームソフトの不具合検出サービスや取扱説明書・攻略本制作などを主力とする。両社はいずれもゲームソフトメーカーを主要顧客とし、相互送客による受注拡大など相乗効果が見込めると判断した。対象事業の直近業績は売上高4億1600万円、営業利益6900万円。取得価額は約6億2000万円。取得予定日は2021年1月17日。

川辺、希望退職に41人が応募

川辺は21日、希望退職者募集に41人の応募があったと発表した。正社員(18~59歳)を対象に50人程度を予定人数とし、11月30日~12月14日に募った。退職日は2021年3月15日。川辺はハンカチ、タオルなど身の回り品の卸売を主力とする専門商社。新型コロナの影響拡大で販売が大幅に落ち込んだのを受け、人員の適正化を含む構造改革に取り組んでいる。

三陽商会、早期退職を募るセカンドキャリア支援制度を実施

三陽商会は21日、40歳以上の正社員(販売職を除く)を対象にセカンドキャリア支援制度を実施すると発表した。募集人数は定めず、2020年12月21日から2021年1月29日まで募る。退職日は2021年3月31日付。同様の早期退職の実施は2018年(250人募集)以来。足元の2021年2月期を含めて5期連続で最終赤字が見込まれており、経営再建に向けた「再生プラン」達成の一環として人員構成の最適化を進める。

所定の退職金に加えてセカンドキャリア支援金を支給し、再就職を支援する。

松屋、子会社4社で30人程度の希望退職を募集

松屋は21日、婚礼宴会事業などを手がける子会社4社で30人程度の希望退職者を募ると発表した。募集期間は2021年2月10日~26日(退職日は3月31日)。新型コロナウイルス感染拡大の影響で婚礼宴会のキャンセルが相次ぎ、業績が急激に悪化。不採算店舗の撤退など構造改革を進めており、その一環として人員体制を再構築する。

対象はアターブル松屋ホールディングス(東京都中央区。持ち株会社)、アターブル松屋(同。婚礼・宴会事業)、アターブル松屋フードサービス(同。給食事業)、アターブルイーピーエヌ(同。イタリアンレストラン事業)。4社は2021年4月1日に合併を予定している。

キーコーヒー、100人程度の希望退職を実施

キーコーヒーは21日、100人程度の希望退職者を募ると発表した。51歳以上の社員、64歳未満の定年再雇用嘱託社員、一般嘱託社員を対象とし、募集期間は2021年1月25日~2月12日(退職日は3月31日)。新型コロナウイルスの感染拡大で主力の業務用コーヒー事業は飲食店の休業や営業時間短縮などで業績が急速に悪化。今後の事業展開を踏まえ、現在の営業網を維持しながら、合理的かつ効率的な組織体制を再構築するため、人員圧縮に踏み切る。

2021年3月期業績予想は売上高14.6%減の535億円、営業赤字29億円(前期は5億3100万円の黒字)、最終赤字35億円(同7億2500万円の黒字)。

シモジマ<7482>、紙袋製造子会社のヘイコーパックを売却

シモジマは21日、紙袋製造子会社のヘイコーパック(栃木県芳賀町。売上高22億9000万円、営業利益300万円、純資産1億9000万円)の全保有株式(所有割合25%)を、ヘイコーパックの大株主の鈴木裕二氏に21日付で譲渡した。これにより実質的な支配関係を解消した。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の低迷で紙袋など紙製品の需要が縮小していた。

アサヒグループホールディングス<2502>、傘下の豪ビール大手CUBの一部ブランドをハイネケンに売却

アサヒグループホールディングスは21日、6月に買収完了した豪ビール大手のカールトン&ユナイテッド・ブリュアリーズ(CUB)のビール、サイダーの一部ブランドについて、オランダのハイネケンに売却すると発表した。アサヒは約1兆1400億円でCUBを買収したが、市場に寡占化が進むとして豪競争法当局から一部事業の売却を求められていた。

売却するブランドはビールが「Stella Artois」「Beck’s」、サイダーが「Strongbow」「Little Green」「Bonamy’s」。売却価額は非公表。売却予定日は2021年1月5日。

荏原<6361>、トルコのポンプメーカー「バルサン」を買収

荏原は21日、トルコのポンプメーカー、バルサン(イズミル市。売上高67億円)を買収すると発表した。欧州、中央アジア、中東、アフリカ市場へのアクセスを強化するのが狙い。バルサングループを構成する3社の全株式を約113億円で取得する。2021年3月末までに買収完了を見込む。バルサンは深井戸モーターポンプ、縦型ポンプを主力製造品とする。

サムティ<3244>、ベトナムの住宅分譲事業会社S-VINを子会社化

サムティはベトナム子会社を通じて、住宅分譲事業を手がける現地S-VIN VIETNAM REAL ESTATE TRADING(S-VIN、ハノイ)の株式90%を取得し、子会社化することを決めた。S-VINはベトナム最大の不動産開発会社VINHOMES(ハノイ)の傘下企業で、ハノイで計画されている大規模複合開発プロジェクト「ビンホームズ・スマートシティ」で分譲住宅4棟の開発許可を取得済み。取得価額は約147億円。取得予定日は2020年12月24日。

「ビンホームズ・スマートシティ」はハノイ市内の住宅、学校、病院、スーパーマーケット、ショッピングセンター、事務所ビルなど58棟からなる大規模開発プロジェクト。サムティはベトナム国内で不動産開発事業に進出を計画してきたが、新たに土地の選定、開発申請を行うより、同プロジェクトですでに開発許可を持つS-VINを買収する方がベトナム事業の早期立ち上げにつながると判断した。

「今治タオル」大手の一広、繊維製品商社の川辺<8123>をTOBで子会社化

川辺は21日、タオルメーカー大手の一広(愛媛県今治市)が同社に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。一広は川辺株式の26.6%を保有する筆頭株主。TOBを通じて株式を追加取得し、持ち株比率を最大55%に引き上げて子会社化する。川辺はTOBに賛同している。川辺のジャスダック上場は維持される。

一広による川辺株式の買付価格は1株につき1300円。TOB公表前営業日の終値925円に40.5%のプレミアムを加えた水準。買付予定数の下限は所有割合23.5%にあたる42万9080株とし、川辺の第2位の大株主である伊藤忠商事が相当分についてTOBに応募する。買付予定数の上限は51万8500株(所有割合28.4%)で、伊藤忠以外の一般株主からも買い付ける。買付代金は6億7405万円。

買付期間は2020年12月22日~2021年1月25日。決済の開始日は2021年1月29日。公開買付代理人はみずほ証券。

川辺はハンカチ、スカーフなどを中心とする繊維製品の専門商社。1979年に店頭登録(現ジャスダック)した。一広は「今治タオル」の大手。川辺は1980年代前半にタオル製品の販売で一広と取引が始まり、その後、資本関係に発展した。一広は川辺を傘下に取り込み、海外工場(中国、ベトナム)の活用強化や販売チャネルの共有などを通じて事業拡大につなげる。

オリンパス、950人程度の早期退職を募る社外転進支援制度を実施

オリンパスは18日、950人程度の早期退職者を募る社外転進支援制度を実施すると発表した。国内グループ会社を含めて40歳以上勤続3年以上の正社員、定年後再雇用者、無期契約社員を対象とし、募集期間は2021年2月1日~19日。退職日は3月31日。通常の退職金に加え、特別支援金を上乗せ支給し、再就職支援サービスを提供する。

新型コロナウイルスの影響拡大で業績が後退しているほか、ミラーレス一眼を中心とするデジタルカメラや交換レンズ、ICレコーダーなどの映像事業を売却するなどの事業構造改革を進め、2021年3月期は55億円の最終赤字(前期は516億円の黒字)を見込む。

アジャイルメディア・ネットワーク<6573>、美容師・美容室向け動画教育サービスのakubiを子会社化

アジャイルメディア・ネットワークは、美容師・美容室向けSaaS(サービスとしてのソフトウエア)型オンライン動画教育プラットフォーム「ヘアスタディ」を運営するakubi(東京都港区。売上高1810万円、営業利益17万1000円、純資産204万円)の全株式を取得し、18日付で子会社化した。中小企業や個人事業主に対するビジネス支援事業を強化するのが狙い。取得価額は非公表。

アジャイルメディアはデジタル活用による中小企業や個人事業主への経営支援サービスを主力とする。

厚生労働省によると、美容室は25万店(2018年時点)を超え、53万人の美容師が就業する。近年はSNS活用や、フリーランスの美容師が増加するなど、美容業界のマーケティングや美容師の働き方、独立の形態も多様化しているという。アジャイルメディアは自社サービスとakubiの「ヘアスタディ」との連携を通じて、相乗効果を引き出す。akubiは2011年に設立。

ガイアックス<3775>、コンテンツサービス子会社のGT-AgencyをAppBank<6177>に譲渡

ガイアックスは、スマートフォン・パソコン向けに占いやゲームなどのコンテンツサービスを提供する子会社の社GT-Agency(東京都千代田区。売上高1490万円、営業利益△318万円、純資産△444万円)の全株式を、AppBankに譲渡することを決めた。コンテンツのオリジナルでの新規制作やパッケージ提供を手がけてきたが、業績低迷が続いていた。譲渡価額は255万円。譲渡予定日は2021年1月1日。

RIZAPグループ傘下のワンダーコーポレーション、HaPiNS、ジーンズメイトの上場3社が経営統合で合意

RIZAPグループ傘下で映像・音楽ソフト販売のワンダーコーポレーション、インテリア・生活雑貨メーカーのHaPiNS、衣料品販売のジーンズメイトの上場3社は18日、経営統合することで合意したと発表した。2021年4月1日に共同持ち株会社「REXT(レクスト)」を設立し、3社がぶらさがる形となる。3社は上場廃止となるが、共同持ち株会社のREXTがジャスダックに上場する。経営再建途上にある親会社のRIZAPグループが進める事業構造改革の一環をなす。

経営統合する3社はRIZAPグループの「ライフスタイル」部門に属する。国内小売り市場は新型コロナウイルス感染拡大の影響が加わり、事業環境が一段と厳しさを増している。こうした中、3社の経営資源を集中し、プライベート商品(自社企画商品)の拡充、デジタル化対応による非対面事業への移行などを推し進め、ビジネスモデルの転換やコスト競争力の強化につなげる。

直近売上高はワンダーコーポレーションが612億円、HaPiNSが83億円、ジーンズメイトが77億円。ワンダーコーポレーションは映像・音楽ソフトやゲームソフトの専門店「新星堂」で知られる。

LITALICO<6187>、障害福祉施設向け請求支援ソフト提供の福祉ソフトを子会社化

LITALICOは、障害福祉施設向けソフトウエアを提供する福祉ソフト(長崎県佐世保市。売上高1億3900万円、営業利益556万円、純資産2690万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は10億5000万円。取得予定日は2021年1月31日。

福祉ソフトは障害福祉施設で導入数トップを誇る公費請求支援ソフト「かんたん請求ソフト」のほか、介護福祉施設向けにも同種の「かんたん介護ソフト」を持ち、いずれもSaaS(サービスとしてのソフトウエア)として展開している。LITALICOは福祉領域向け就労支援サービスを主力とする。福祉ソフトを傘下に取り込み、福祉関連の経営支援サービスを強化する。

竹田印刷、100人程度の希望退職を実施

竹田印刷は17日、100人程度の希望退職者を募ると発表した。募集人数は単体従業員の約17%にあたる。①勤続5年以上で40歳以上の正社員②定年後再雇用社員で65歳未満の社員を対象とし、募集期間は2021年1月6日~29日(退職日は3月31日)。デジタル化の進展による国内印刷市場の縮小に新型コロナウイルス感染の影響が重なり、業績が急激に悪化。従来から推し進めていた事業構造改革に加え、人員合理化で業績の早期改善を目指す。特別退職金を加算し、再就職を支援する。

竹田印刷の2021年3月期業績予想は売上高13%減の310億円、営業赤字5000万円(前期は5億円の黒字)、最終赤字1億3000万円(同3億8100万円の黒字)。

ローランド ディー.ジー.150人程度の早期退職者を募集

ローランド ディー.ジー.は17日、150人程度の早期退職者を募集すると発表した。すべての製造専任職と35歳以上の管理職、一般社員、嘱託社員が対象で、募集期間は2021年2月1日~26日。広告・看板などサイン分野の市場成熟化や競争激化に直面していたところに新型コロナウイルス感染拡大が重なり、収益低下が大きく低下。コスト構造の抜本的見直しとサイン市場に依存する事業構造からの脱却を進めるのに合わせ、人員構成をスリム化し固定費を削減する。

募集人員は連結従業員の約12%にあたる。退職日は2021年3月31日(製造専任職は同12月31日)。通常の退職金に割増退職金を加算して支給し、再就職を支援する。

ローランドの2020年12月期業績予想は売上高15.9%減の343億円、営業利益89.3%減の3億円、最終赤字3億6000万円(前期は19億4400万円の黒字)。

メドレー<4480>、中小病院向け電子カルテシステム開発のパシフィックシステムを子会社化

メドレーは、電子カルテシステム開発のパシフィックシステム(高知県宿毛市。売上高6億1500万円、営業利益1000万円、純資産1億1200万円)の株式80%を取得し子会社化することを決めた。病院向け電子カルテ市場への参入が狙い。パシフィックシステムが強みとする中小病院向け電子カルテは普及が進みつつあるものの、紙カルテが依然主流で、今後の有望分野とみている。取得価額は8億2300万円。取得予定日は2021年1月4日。

パシフィックシステムは1997年設立。主力商品である中小病院向け電子カルテの利用継続率は過去17年間で98%という。

メドレーは医療ヘルスケア分野の人材不足や地域偏在の改善、医療機関の業務効率向上などを目指す各種のプラットフォーム事業を展開している。パシフィックシステムを傘下に取り込み、医療ヘルスケア分野でのデジタル活用を加速する。

日本山村硝子<5210>、中山運送とマルイシ運輸の運送2社を子会社化

日本山村硝子は傘下企業を通じて、中山運送(大阪府茨木市。売上高28億5000万円、純資産1億600万円)、マルイシ運輸(同。売上高17億5000万円、純資産8700万円)の運送2社の全株式を取得し、子会社化することを決めた。関西での運送事業の拡充が狙い。対象2社の全株式は齊藤正治中山運送社長が保有し、両社は兄弟関係にある。取得価額は非公表。取得は2021年9月を予定。

2社を子会社化するのは日本山村硝子が全額出資する山村ロジスティクス(兵庫県尼崎市)。山村ロジスティクスは兵庫県に本社を置くものの、運送事業の中心は関東で、関西での事業が手薄だった。

サニーサイドアップグループ<2180>、コミュニケーション支援のENGAWAを一時的に子会社化

サニーサイドアップグループは、外国人観光客向けコミュニケーション支援や外国語メディア運営を手がける持ち分法適用関連会社のENGAWA(東京都新宿区。売上高5億9500万円、営業利益△1億6200万円、純資産534万円)の株式を追加取得し、子会社化することを決めた。現在31.25%の持ち株比率を55.4%に引き上げる。子会社化後の当該株式はその後、第三者に譲渡する予定で、譲渡交渉を円滑に進めるために一時的に子会社化したとしている。取得価額は約7500万円。取得は2021年1月15日までに完了させる予定。

メニコン<7780>、医療用機械器具販売の板橋貿易を子会社化

メニコンは、医療用機械器具の販売・輸出入を手がける板橋貿易(東京都中央区。売上高83億9000万円、営業利益9億3900万円、純資産19億3000万円)を子会社化することを決めた。成長著しい中国市場に本格進出し、コンタクトレンズ事業の拡大を目指す。板橋貿易は医療機器販売の中国子会社(大連)を持つ。メニコンは現在、板橋貿易株の14%を保有するが、残る86%をすべて追加取得する。取得価額は35億6000万円。取得予定日は2021年1月8日。

メニコンは中国でオルソケラトロジーレンズやケア製品を販売している。このうちオルソケラトロジーレンズは内側に特殊なデザインが施されたハードコンタクトレンズで、寝ている間に角膜形状を矯正し、近視視力の改善に役立つとされる。

タムロン、青森県内の主力2工場で募った希望退職に204人が応募

タムロンは16日、青森県内の弘前工場(弘前市)と浪岡工場(青森市)の主力2工場を対象とした希望退職に204人の応募があったと発表した。単体従業員の約2割にあたる200人程度を予定人数とし、11月10日~20日に募った。両工場は一眼レフ用交換レンズの組み立てや加工を手がけるが、スマートフォンの普及でデジタルカメラ市場が縮小していたところに新型コロナウイルスの影響が重なった。現行の生産体制では収益構造がさらに悪化するとして、人員合理化に踏み切った。

募ったのは弘前、浪岡の両工場の正社員(45歳以上)と準社員ら。退職日は12月31日付。所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

同日発表した2020年12月期業績予想は売上高23%減の485億円、営業利益52%減の33億円、最終利益68%減の17億1000万円。

TCSホールディングス、子会社のアンドール<4640>をTOBで非公開化

TCSホールディングス(東京都中央区)は子会社を通じて、同じく子会社でJASDAQスタンダード市場に上場するアンドールにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。これによりグループの持ち株比率を現在の54.27%から100%に引き上げて完全子会社化する。

株式の非公開化が狙いで、TOB成立後は上場を廃止する。アンドールは賛成の意見表明をしている。

買付価格は1株当たり625円。TOB公表前営業日の終値440円に対して42.04%のプレミアムを加えた。買付予定数は517万7851株(下限は345万1900株)で、買付予定額は約32億3600万円。買付期間は2020年12月17日から2021年2月8日までの33営業日。決済の開始日は2021年2月16日。買付代理人はみずほ証券。

TCSホールディングス、子会社のアイレックス<6944>をTOBで非公開化

TCSホールディングス(東京都中央区)は子会社を通じて、同じく子会社でJASDAQスタンダード市場に上場するアイレックスにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。これによりグループの持ち株比率(優先株を含む)を現在の79.19%から100%に引き上げて完全子会社化する。

株式の非公開化が狙いで、TOB成立後は上場を廃止する。アイレックスは賛同の意見表明をしている。

買付価格は1株当たり2100円。TOB公表前営業日の終値1554円に対して35.13%のプレミアムを加えた。買付予定数は294万642株(下限は196万400株)で、買付予定額は約61億7500万円。買付期間は2020年12月17日から2021年2月8日までの33営業日。決済の開始日は2021年2月16日。買付代理人はみずほ証券。

システム・ロケーション<2480>、自動車関連コンテンツ開発の韓国バリューアブルを子会社化

システム・ロケーションは、自動車関連コンテンツの開発などを手がける韓国バリューアブル(ソウル)が実施する第三者割当増資を引き受け、子会社化(所有割合70%)することを決めた。バリューアブルは自動車の現在価値や将来価値などの分析データをビジュアル化する独自システム「CAR STAT」を展開し、自動車金融や自動車輸入などを中心に顧客を広げている。取得価額は3330万円。取得予定日は2020年12月25日。

システム・ロケーションは自動車金融・販売の支援システムを主力事業とする。バリューアブルを傘下に取り込み、データ分析・商品開発、マーケティング、顧客基盤の相互活用などを通じて、海外事業展開を強化する。

シーズメン<3083>、TSIホールディングス<3608>傘下でメンズ衣料のスピックインターナショナルを子会社化

シーズメンは、TSIホールディングス傘下でメンズ衣料品製造・販売のスピックインターナショナル(東京都目黒区。売上高29億2000万円、営業利益△2億1600万円、純資産7億7400万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。シーズメンは郊外型ショッピングセンターで中価格帯のメンズ衣料を主体とする店舗を展開しているが、新たに都市部ファンションビル中心の販売チャネルを取り込み、成長につなげる。

スピックインターナショナルはTSIホールディングスの全額出資子会社で、「トルネードマート」「ハイストリート」などのメンズブランドを展開する。TSIホールディングスは経営立て直しの一環として子会社の整理・統合を進めている。

取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月1日。

ワタベウェディング、希望退職に126人応募

ワタベウェディングは15日、希望退職者募集に126人の応募があったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で国内外で展開する挙式事業の実施が困難になるなど急激な業績悪化を受け、店舗閉鎖と人員合理化策を打ち出していた。募集人員は120人程度とし、10月26日~11月15日に募った。退職日は12月31日付。特別退職金を支給し、再就職支援サービスを提供する。

オーウイル<3143>、メビウスから電気工事業を取得

オーウイルは子会社を通じて、メビウス(東京都狛江市)が手がける電気工事業を15日付で取得した。業務用大型シーリングファンの販売拡大を図るうえで設置作業機能の内製化が不可欠と判断した。対象事業の直近売上高は1億4400万円。取得価額は非公表。

カクヤスグループ<7686>、日本創発グループ<7814>傘下で乳製品宅配の明和物産を子会社化

カクヤスグループは、日本創発グループ傘下で乳製品の宅配業務を手がける明和物産(東京都中央区。売上高9億2800万円、営業利益2170万円、純資産1億4900万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。酒類・飲料以外の配達商材を取り込むのが狙い。取得価額は1億9800万円。取得予定日は2021年2月1日。

明和物産は1983年設立で、乳業大手の明治の特約代理店として、明治乳製品の配達を都内や千葉県、神奈川県で展開する。

ブイ・テクノロジー<7717>、微細加工プロセスのリソテックジャパンを子会社化

ブイ・テクノロジーは、微細加工プロセス用評価・製造装置の開発を手がけるリソテックジャパン(埼玉県川口市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。半導体関連事業の拡大につなげる狙い。リソテックジャパンは1993年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月6日。

出光興産<5019>、子会社の東亜石油<5008>をTOBで完全子会社化

出光興産は子会社の東亜石油にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。これにより持ち株比率を現在の50.12%から100%に引き上げて完全子会社化する。石油消費の減少に対応し、経営効率化や意思決定のスピードアップを狙う。東亜石油は賛同の意見表明をしている。

買付価格は1株当たり2450円。TOB公表前営業日の終値1991円に対して23.05%のプレミアムを加えた。買付予定数は620万5484株(下限は205万8875株)で、買付予定額は約152億円。買付期間は2020年12月16日から2021年2月2日まで。決済の開始日は2021年2月9日。買付代理人は大和証券。

国内石油製品需要は1999年をピークに人口減少やエコカーの普及により漸減傾向にある。今後はその傾向が加速し、気候変動に対応した脱炭素社会への動きや自動車の所有から共同利用への変化などにより、国際エネルギー機関は2030年には、現状の2割から3割程度減少すると予想。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う原油価格の下落や自動車、航空機向けを中心とした石油製品需要の減少もあり、事業環境はさらに厳しさを増している。

帝人<3401>、ガラス繊維強化複合材料製造の中国合弁CSP-Victallを子会社化

帝人は、中国でガラス繊維強化複合材料の原材料や完成品を製造する持ち分法適用関連会社の賽史品威奥(唐山)結構複合材料有限公司(CSP-Victall、河北省。売上高9億3500万円、営業利益△4億7500万円、純資産63億5000万円)を子会社化することを決めた。合弁相手の青島威奥軌道股份有限公司(山東省)から50.6%の株式を取得し、持ち株比率を100%とする。経営権を掌握し、効率的な事業運営を行うとともに、需要増が期待されるEV(電気自動車)バッテリーボックス用途の供給拡大などを推し進める。

取得価額は48億9000万円。取得予定日は2020年12月31日。

中国では帝人が2017年に買収した複合材料製品メーカーの米CSPを通じて、鉄道向け部品などを製造する現地企業の青島威奥軌道と合弁事業を展開してきた。ただし、青島威奥軌道が保有する50.6%の株式については今回、帝人の中国子会社である帝人(中国)投資有限公司が取得する。

イートアンドホールディングス<2882>、タンメン発祥の中華レストラン「横濱一品香」を子会社化

イートアンドホールディングスは、「横濱一品香」で知られる中華レストランを経営する一品香(横浜市。売上高8億1900万円、営業利益1000万円、純資産2億4800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。一品香は1955年に創業し、国内におけるタンメン発祥の店とされる。横浜市内を中心に11店舗を展開する。取得価額は非公表。取得予定日は2020年12月30日。

イートアンドホールディングスは餃子専門店「大阪王将」を中心に、ラーメン、ベーカリー、カフェなど多様な業態で全国に480店舗あまりを展開する。「横濱一品香」の伝統と老舗の味を取り込むことで、既存事業とのシナジー(相乗効果)創出を期待している。

アウトソーシング<2427>、兵庫県で人材サービス業を展開するマークスファクトリーを子会社化

アウトソーシングは、人材サービス業のマークスファクトリー(兵庫県西脇市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。兵庫県エリアや非製造系における顧客拡充の一助とする。マークスファクトリーは2004年設立で、製造派遣のほか、物流系や医療・看護系など幅広い業種に対して人材派遣や職業紹介を手がける。取得価額は非公表。取得予定日は2020年12月16日。

アイフリークモバイル<3845>、情報システム開発子会社のファンレボを経営陣に譲渡

アイフリークモバイルは、情報システム開発子会社のファンレボ(東京都新宿区。売上高732万円、営業利益△2490万円、純資産△3290万円)の全株式を、ファンレボ代表取締役の菅井朝日氏に譲渡することを決めた。コンテンツ事業強化の一環として2020年1月にファンレボを傘下に収めたが、コロナ禍で事業環境が悪化していた。譲渡価額は1円。譲渡予定日は2021年1月1日。

PCIホールディングス<3918>、組み込みパソコン・周辺機器開発のソードを子会社化

PCIホールディングスは、組み込みパソコンや周辺機器の開発・製造や保守サービスを手がけるソード(千葉市。売上高106億円、営業利益4億3700万円、純資産25億1000万円)を子会社化することを決めた。投資会社のアスパラントグループ(東京都港区)から全株式を取得する。取得価額は42億800万円。取得予定日は2021年1月15日。

ソードは1970年に創業。コンピューター関連の製品開発から設計、調達、製造、品質保証、保守修理までの各機能を社内に備える。PCIホールディングスは同社を傘下に取り込み、組み込みソフトウエア開発や半導体設計・テスト事業などに関する顧客提案力を高める。

Cominix<3173>、切削工具製造・販売の川野辺製作所を子会社化

Cominixは、切削工具製造・販売の川野辺製作所(東京都大田区。売上高7億8200万円、営業利益2700万円、純資産5億2500万円)の株式85.8%を取得し、15日付で子会社化した。川野辺製作所は米国子会社(オハイオ州)でも切削工具を現地生産し、日本や北米で自動車メーカーを中心に顧客基盤を持つ。Cominixは製造機能を取り込み、切削工具の取り扱い拡大につなげる。取得価額は非公表。

川野辺製作所は1957年設立で、国内では茨城県常陸大宮市に生産拠点を持つ。

新電元工業、140人程度の希望退職を実施

新電元工業は14日、140人程度の希望退職を実施すると発表した。同社と国内グループ会社の35歳以上勤続10年以上の正社員を対象とし、募集期間は2021年1月18日~2月19日(退職日は3月20日付)。米中貿易摩擦の長期化で車載・産業用パワー半導体など主力のデバイス事業を取り巻く環境が厳しさを増していたところに、新型コロナ感染の影響拡大が重なり、早期の収益回復が見通せないと判断し、人員合理化による固定費圧縮を進める。

同社は11月中旬に事業構造改革を発表し、この中で2021年3月期中に国内人員の10%程度を減らす方針を打ち出していた。希望者には所定の退職金に特別加算金を上乗せ支給し、再就職を支援する。

クミアイ化学工業<4996>、シンガポールの農薬メーカーAsiatic Agricultural Industriesを子会社化

クミアイ化学工業は、シンガポールの農薬メーカー、Asiatic Agricultural Industries(AAI)の株式60%を取得し、子会社化することを決めた。アジア・アフリカ地域ですでに構築している販売網の強化・補完を目指す。AAIは1972年設立で、シンガポールに製剤工場を持ち、アジア・アフリカの計16カ国で農薬、公衆衛生向け害虫駆除剤などを販売している。取得価額は非公表。取得予定日は2021年2月1日。

タスキ<2987>、給与の日払い・週払いプラットフォーム「タスキDayPay」事業を譲渡

タスキは、給与の日払い・週払いプラットフォームを提供する「タスキDayPay」事業を第三者に譲渡することを決めた。DayPay事業は2019年10月にスタートしたが、業績は当初計画を下回り、主力の不動産販売・コンサルティング事業とのシナジー(相乗効果)も期待しにくい状況にあった。当該事業の直近業績は売上高183万円、営業赤字5910万円。譲渡先、譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2021年1月4日。

藤井産業<9906>、太陽光発電の帯広ソーラーパークを子会社化

藤井産業は、太陽光発電事業の合同会社帯広ソーラーパーク(東京都千代田区。売上高2億1900万円、営業利益4700万円、純資産△100万円)の全持ち分を取得し子会社化することを決めた。帯広ソーラーパークは北海道帯広市に2018年3月に運転開始した太陽光発電設備(出力4000万キロワット)を持つ。藤井産業は電設資材商社だが、新規事業の一環として再生可能エネルギー発電事業に取り組んでいる。取得価額は10万円。取得予定日は2020年12月24日。

藤井産業は併せて、匿名組合・JAICソーラー投資事業有限責任組合(東京都千代田区)の出資持ち分のすべてを12月24日に取得する。これに関する取得金額は非公表。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク