Q-11 M&Aの相手方との打合せは何がポイントになりますか?交渉の流れについても教えてください。

Q-11 M&Aの相手方との打合せは何がポイントになりますか?交渉の流れについても教えてください。|3分でわかる!M&Aのこと【解説コラム】

 

 

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今後、ますます活用が進んでいくであろうM&Aについて、できるだけわかりやすくQ&A形式で解説するコラムを掲載することにしました。ぜひご一読ください!

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Q-11 M&Aの相手方との打合せは何がポイントになりますか?交渉の流れについても教えてください。

A

Q9でも簡単にふれましたが、M&Aの基本的な交渉の流れは、次のようになるのが一般的です。
(1)意向表明
(2)トップ面談
(3)デューデリジェンス
(4)基本合意
(5)詳細交渉
(6)本契約
(7)クロージング
(8)表明保証条項期間終了
この流れを図にしてみましたので併せてご確認ください。

 

ポイントとしては、下記の通りです。
A どの段階で金額が明らかにされるか?
B そのAの金額に対して、どの程度買い手を信頼できるか?
C 譲渡の条件は何なのか?

 

 

Aの金額については、(1)の段階、(2)の段階、(4)の段階、(6)の段階まで持ち越し、さらには日本長期信用銀行のリップルウッド・ホールディングスへの譲渡のように表明保証条項により、後日、結果、ゼロ円(実はマイナス)となるケースもあります。

 

 

上記の日本長期信用銀行の譲渡については、かなり特異なケースですが、基本的には、売り手・買い手のパワーバランスによって、いかにようにもなるのが必定です。日本のM&A仲介会社は、「双方代理(売り手と買い手双方の代理人/世界的には稀な商習慣)」であるため、このような争いごとを嫌う傾向にあります。よって、上記(1)~(7)の各段階で早めに、前述のA~Cについて、念入りに、より売り手・買い手の信頼が醸成されるよう動いていきます(担当者のコミュニケーション能力にも拠るところですが)。

 

 

そういう意味では、如何に信頼できるMA仲介会社・担当者に巡り合えるかが、とても大事なことだと思っています。

 

【参考】
極端な例として、日本長期信用銀行のリップルウッド・ホールディングスへの譲渡について紹介しておきます。平成12年1月の国会でも質疑がなされましたが、「瑕疵担保条項」として「3年以内に正常先債権の返済が遅延するなどの「瑕疵」が生じ、その資産が二割以上減価した場合……その債権を当初価値で預金保険機構に買い戻させることができる。」という条項(当時日本の国会では欧米ではM&Aの商慣習としては当たり前のこととなっていた、この「表明保証条項」を「瑕疵担保責任」と日本語訳していました。)により、当初約10億円で譲渡した日本長期信用銀行が、結果、マイナスで譲渡することに後日修正されたというケースで日本長期信用銀行は国有化の上の譲渡故、日本国(預金保険機構)がこの二割以上減価した正常先債権(譲渡代金を大きく上回る金額)をリップルウッド・ホールディングスに返却したものと推察されます。

 

M&Aにおける基本的な交渉の流れ

 

 

(執筆:税理士 高井 寿)

 

 

 

 

 


 

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(注意)回答・解説は原則このコラム内で行い、個別の回答はできません。個別事例についてのご相談には対応できませんのであらかじめご承知おきください。

 

 

 

高井 寿(たかい ひさし) 

高井国際税務会計事務所 代表税理士 東京税理士会世田谷支部副支部長

2002年税理士登録、経営品質協議会認定アセッサー、CFPファイナンシャルプランナー、経営計画策定、国内及び国際タックスマネジメント、事業・資産承継、組織再編・連結納税、MAが専門。財団法人日本民事信託協会代表理事。

(著書等)「連結納税マニュアル(税務研究会)」「営業権の実務」(税務通信(税務研究会))、「経理システムと税務」「寄付金課税の問題点」(ともに税務弘報(中央経済社))、「資産家・事業家税務コンサルティングマニュアル」(税務研究会)

 

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