Q-3 M&Aにおける基本的な注意点はなんですか?
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Q-3 M&Aにおける基本的な注意点はなんですか?|3分でわかる!M&Aのこと【解説コラム】
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今後、ますます活用が進んでいくであろうM&Aについて、できるだけわかりやすくQ&A形式で解説するコラムを掲載することにしました。ぜひご一読ください!
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Q-3 M&Aにおける基本的な注意点はなんですか?
A
M&Aでは、企業の合併であれ、企業の買収であれ、経営権や事業を差し出す立場(=売り手)と経営権や事業を買い取る立場(=買い手)の関係は、基本、対立する立場となります。当然に売り手はなるべく高く売りたい、買い手はなるべく安く買いたいというのが本音です。
中でもM&Aにおいては、企業・事業は“生き物”(=そこには、生ものである顧客の存在があり、顧客からの売上が上がり、原価や外注費など取引先に支払った残額の粗利益があり、そのためには今企業に勤めている従業員が一生懸命働いて…)ですので、これを適切に評価するのは容易ではありません。
買い手サイドとしては、合併・買収後のリスクを予め織り込んでおきたい、売り手サイドとしては、今まで築き上げた顧客基盤・ノウハウ・社員教育・ブランド価値を正しく評価してもらいたいというところです。
そのためにM&Aにおいては、
a 将来獲得する収益の総和はいくらか?(事業価値)
b 負債やリスクを勘案するといくらか?(負債評価)
c a-b=企業価値
という方程式を基本として価値算定をしますので、売り手としては、aをなるべく大きく(bをなるべく少なく)、買い手としては、bをなるべく大きく(aをなるべく少なく)評価したくなるのも必定です。そして、M&Aにおいては、このaとbについて、それぞれが合理的にその評価を納得しあえるよう、「表明保証(representations & warranties)」という制度、例えば、売上であれば、「提示された顧客名簿は○月×日時点でアクティブである」とか「この債権の回収可能性は○%以上である」、などを取り決めていくのです。
M&Aにおける基本的注意事項は、a(事業価値)とb(負債評価)を適切に、そして、aとbについて双方が納得のいく「表明保証(注)」を行っていく、ということです。
(注)表明保証(representations & warranties)…表明保証とは、契約の一方当事者が、契約の前提となる事実の存在を相手方に表明し、保証することです。表明保証は、M&Aなどの契約書に表明保証条項として記載されます1。表明保証に違反した場合は、損害賠償請求が可能になります。
M&Aにおける企業価値計算の基本ロジック
(執筆:税理士 高井 寿)
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高井 寿(たかい ひさし)
高井国際税務会計事務所 代表税理士 東京税理士会世田谷支部副支部長
2002年税理士登録、経営品質協議会認定アセッサー、CFPファイナンシャルプランナー、経営計画策定、国内及び国際タックスマネジメント、事業・資産承継、組織再編・連結納税、MAが専門。財団法人日本民事信託協会代表理事。
(著書等)「連結納税マニュアル(税務研究会)」「営業権の実務」(税務通信(税務研究会))、「経理システムと税務」「寄付金課税の問題点」(ともに税務弘報(中央経済社))、「資産家・事業家税務コンサルティングマニュアル」(税務研究会)
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