Q-4 M&Aの主なメリット、デメリットを教えてください。

Q-4 M&Aの主なメリット、デメリットを教えてください。|3分でわかる!M&Aのこと【解説コラム】

 

 

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今後、ますます活用が進んでいくであろうM&Aについて、できるだけわかりやすくQ&A形式で解説するコラムを掲載することにしました。ぜひご一読ください!

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Q-4 M&Aの主なメリット、デメリットを教えてください。

A

M&Aと聞くと、「会社が乗っ取られるイメージ」や「お金がかかりそうなイメージ」などの印象をもっていたり、「失敗すると財産を減らしてしまいそう」などの漠然とした不安を感じたりする方々がいらっしゃることも事実です。もちろん、M&Aは常に成功するわけではありません。それでもM&Aを行うことには、どのようなメリットがあるのか、またデメリットは何かを、買い手と売り手それぞれについて解説していきます。

 

 

メリット 

買い手のメリット

 

・短期間での事業成長手段

事業を立ち上げるにあたり、一からコツコツ積み上げていくことも考えられますが、時間がかかってしまうことがネックになります。そこで、M&Aにより既存のビジネスを展開している企業ごと取得することで、スピーディに事業を立ち上げることが可能となります。

また、既存の事業規模を短期間で拡大するうえでも、M&Aは有効です。M&Aにより事業規模のみならず、商圏の獲得も短期間で実施することが可能となります。

 

・シナジー効果

M&Aにより、異なるカルチャーの企業同士が統合することで思いがけない相乗効果が得られることがあります。営業が強い会社と企画開発力がある会社がM&Aによって統合されることにより、弱点が補完され、強みにさらに磨きがかかるなどの効果が得られる可能性があります。

 

 

売り手のメリット

 

・事業承継問題の解決

後継者不在により事業の継続が困難な状況に直面した場合には、第三者に事業を譲渡・売却することで、事業を継続させることが可能となります。

 

・雇用の維持

M&Aにより新たな経営者にバトンタッチすることで、従業員の雇用の継続を図ることが可能となります。

 

・売却による金銭的収入

M&Aにより法人等を売却することで、対価としての金銭を得ることができます。それにより、借入金の返済や引退後の生活資金等に充てることができ、いわゆるハッピーリタイアを実現することも可能となります。

 

・事業の成長

M&Aにより自社よりも規模の大きな企業グループの傘下に入るなどにより、自社の既存の成長力よりもはるかに大きな成長を遂げることが可能となります。

 

 

デメリット

買い手のデメリット

 

・当初期待を下回る可能性

当初M&Aによって得られると期待していた効果が得られない可能性があります。取引先が離れてしまう、従業員の退職が相次ぐなど、当初の想定と違うことは常に起こりえますが、時間との勝負でもあるため、ある程度はリスクとして許容することになります。

このような事態をできるだけ回避するためには、売り主との契約に「アーンアウト(注1)」を取り入れる、「表明保証(注2)」を明記するなどのリスク回避が重要です。

 

(注1)アーンアウト:買収対価の一部を買収後の目標達成と連動させて支払うことで、売り手と買い手の目線合わせを行う方法

(注2)表明保証:契約当事者及び対象会社が譲渡日等において、財務、法務、税務、業務内容等の一定の事項が真実かつ正確であることを表明し保証すること。

*表明保証についてはQ3でも触れています。

 

・簿外債務等を引き継ぐリスク

帳簿に記載されている負債以外にも、訴訟リスクや債務保証、そして従業員に対する未払残業等などがある場合で、M&A実施前に把握できていないケースでは、思いがけない損失や金銭的負担を強いられる可能性があります。

それらを事前に回避するためにも、最終合意契約に締結する前までに、「デューディリジェンス(注3)」をしっかり行うことや「表明保証」を明記することがとても重要となります。

 

(注3) デューディリジェンス:M&Aの実行前に対象会社についておこなわれる財務や法務などの調査のこと。

 

 

売り手のデメリット

 

・取引価額のミスマッチ

M&Aにより得られる金銭的収入をあてにしていたが、条件交渉の過程で期待通りの金額にはならない可能性があります。

 

 

 

(執筆:税理士・公認会計士 風間啓哉)

 

 

 

 

 


 

このコラムでは読者の方からのご質問も募集しています。M&Aに関することで疑問に思っていること、コラムの内容に関してもっと詳しく知りたいこと、○○について取り上げてほしい、などありましたら、こちらのアドレス(links@zeiken.co.jp)までお知らせください

 

(注意)回答・解説は原則このコラム内で行い、個別の回答はできません。個別事例についてのご相談には対応できませんのであらかじめご承知おきください。

 

 

 

風間啓哉(かざま けいや) 

税理士・公認会計士(風間会計事務所 代表)

2005年公認会計士登録、2010年税理士登録。

監査法人にて監査業務を経験後、上場会社オーナー及び富裕層向けの各種税務会計コンサル業務及びM&Aアドバイザリー業務等に従事。その後、事業会社㈱デジタルハーツ(現 ㈱デジタルハーツホールディングス:東証プライム)へ参画し、同社取締役CFOを経て、同社非常勤監査役(現任)を経験。2018年から会計事務所を本格的に立ち上げ、現在に至る。

(著書等)『PB・FPのための上場会社オーナーの資産管理実務(三訂版)』『資産家・事業家 税務コンサルティングマニュアル』(共著、税務研究会)、『ケーススタディ M&A会計・税務戦略』(共著、金融財政事情研究会)

 

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