[解説ニュース]

事業承継税制:三代にわたって贈与税の特例措置の適用を受けた場合

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■事業承継税制:「みなし相続の特例措置」の概要と留意点

■事業承継税制を複数の後継者に適用する場合の留意点

 

 

1.贈与税の特例措置の概要


中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する「中小企業者」に該当し、かつ、都道府県知事の認定を受けた会社の株式を、令和9年12月31日までに、その会社の代表権を有していた贈与者(先代経営者)から贈与により取得した個人が、その先代経営者の後継者として一定の要件を満たす者(以下「特例経営承継受贈者」)である場合、その者が納付すべき当該株式(一定の部分に限る。以下「特例対象受贈非上場株式等」)に対応する贈与税額の納税が、贈与者の死亡の日まで猶予されます(措法70条の7の5第1項)。これを「贈与税の特例措置」といいます。
贈与税の特例措置の適用を受けることにより納税が猶予された贈与税額は、贈与者の死亡や、特例経営承継受贈者による下記2の「免除対象贈与」等の事由が生じた場合、特例経営承継受贈者が一定の手続をすることにより、その全部又は一部が免除されます(措法70条の7の5同第11項、70条の7第15項)。

 

 

2.特例経営承継受贈者(2代目経営者)が免除対象贈与をした場合の、納税猶予分の贈与税額の免除


上記1の特例経営承継受贈者が、特例経営贈与承継期間*の末日の翌日(原則)以後に、その特例受贈非上場株式等の全部又は一部をその後継者に贈与し、その後継者が贈与を受けたその特例受贈非上場株式等について、贈与税の特例措置の適用を受ける場合は、その特例経営承継受贈者が一定の届出をすることにより、特例経営承継受贈者の納税猶予分の贈与税額(納税猶予期限が一部確定した税額を除く。)のうち、後継者に係る贈与税の納税猶予の適用に係るものに対応する部分の金額に相当する額が免除されます(措法70条の7の5第11項、70条の7第15項3号)。この場合の特例経営承継受贈者による特例対象受贈非上場株式等の贈与を、「免除対象贈与」といいます。

 

*原則、非上場株式の贈与に係る贈与税の申告書の提出期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます(措法70条の7の5第2項7号)。

 

 

例えば、1代目経営者から株式を贈与により取得して贈与税の特例措置の適用を受けた2代目経営者(=特例経営承継受贈者)が、特例経営贈与承継期間経過後に、その株式の全部を3代目経営者に贈与し、3代目経営者がその贈与により取得した株式に係る贈与税について贈与税の特例措置の適用を受ける場合、2代目経営者から3代目経営者への株式の贈与は「免除対象贈与」に該当し、2代目経営者が一定の届出をすることにより、納税猶予分の贈与税額が免除されます。

 

 

3.免除対象贈与の後、その贈与者に係る”前の贈与者”が死亡した場合


贈与税の特例措置の適用を受ける特例経営承継受贈者に係る贈与者の贈与が、「免除対象贈与」である場合に、特例経営承継受贈者の死亡の日以前にその贈与者の”前の贈与者”が死亡したときは、特例経営承継受贈者は前の贈与者から特例対象受贈非上場株式等を相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与者が前の贈与者から贈与を受けた時の価額を基に、相続税が課税されます(措法70条の7の7第2項)。

 

この場合において、贈与税の特例措置の適用を受けた特例対象受贈非上場株式等を、相続又は遺贈により取得をしたものとみなされた特例経営承継受贈者は、一定の要件を満たすことにより、その贈与者の死亡に係る相続税額のうち、その株式等に係る納税猶予分の相続税額について、その特例経営承継受贈者の死亡の日まで納税が猶予されます(措法70条の7の8第1項)。これを「みなし相続の特例措置」といいます。

 

例えば、1代目経営者から贈与により株式を取得して贈与税の特例措置の適用を受けた2代目経営者が、特例経営贈与承継期間経過後に、その株式の全部を後継者である3代目経営者に贈与し、3代目経営者が特例経営承継受贈者としてその贈与により取得した株式に係る贈与税につき贈与税の特例措置の適用を受けた場合、2代目経営者から3代目経営者への株式の贈与は「免除対象贈与」に該当します。この場合の「前の贈与者」とは、特例対象受贈非上場株式等の免除対象贈与をした者(2代目経営者)に対し、その贈与の前にその株式の贈与をした者、すなわち1代目経営者が該当します(措法70条の7の7第2項、第1項、同政令40条の8の5第4項、40条の8第5項2号)。

 

したがって、1代目経営者(=前の贈与者)の死亡により、3代目経営者(=特例経営承継受贈者)は、特例対象受贈非上場株式等を、1代目経営者から相続又は遺贈により取得したものとみなされ(措法70条の7の7第2項)、3代目経営者に対し1代目経営者に係る相続税が課税されます。この場合、1代目経営者から3代目経営者が取得したものとみなされた特例対象受贈非上場株式等に係る相続税の額について、一定の要件を満たすことにより、「みなし相続の特例措置」の適用を受けることができます。

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/11/25)より転載

[解説ニュース]

事業承継税制:「みなし相続の特例措置」の概要と留意点

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■事業承継税制を複数の後継者に適用する場合の留意点

■贈与税の納税猶予の適用を受ける贈与により非上場株式を取得した者のみなし配当課税の特例

 

 

1.贈与税の特例措置の概要


中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する「中小企業者」に該当し、かつ、都道府県知事の認定を受けた会社の株式を、令和9年12月31日までに、その会社の代表権を有していた贈与者(先代経営者)から贈与により取得した個人が、その先代経営者の後継者(特例経営承継受贈者)として一定の要件を満たす者(以下「後継者」)に当たる場合、その者が納付すべき贈与税額の納税が、贈与者の死亡の日まで猶予されます(措法70条の7の5第1項)。これを「贈与税の特例措置」といいます。

 

納税猶予税額は、その贈与者の死亡等の事由が生じた場合には、後継者が一定の手続をすることによりその全部又は一部が免除されます(同第11項、措法70条の7第15項)。

 

贈与税の納税猶予税額が免除される時までに一定の事由が生じた場合は、原則、納税猶予が打切りとなり、後継者はその事由に応じた各期限までに、納税猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります(措法70条の7の5第3項等)。

 

 

2.贈与税の特例措置の贈与者が死亡した場合


後継者が上記の贈与税の特例措置の適用を受けていた場合に、その納税猶予の打切りの日またはその後継者の死亡の日以前にその贈与者が死亡したときは、上記1のとおり納税猶予とされていた贈与税が免除となります。その一方で、贈与税の特例措置の適用を受けたその株式は、後継者が贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなされ(措法70条の7の7第1項)、相続税が課税されます。

 

ただし、この取扱いにより贈与税の特例措置の適用を受けた非上場株式につき、相続または遺贈により取得をしたものとみなされた後継者は、一定の要件を満たす場合、その贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額のうち、その非上場株式に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、その後継者の死亡の日まで納税が猶予されます(措法70条の7の8第1項)。これを「みなし相続の特例措置」といいます。

 

みなし相続の特例措置の適用について定める法令等において、贈与税の特例措置に係る贈与者の死亡時期の制限規定はありません。したがって、後継者が贈与税の特例措置の適用を受けている場合、特例措置の贈与者の相続開始が(相続税の特例措置の期限切れの)令和10年1月1日以降であっても、みなし相続の特例措置の適用を受けることができます。

 

 

3.みなし相続の特例措置の適用時の留意点


みなし相続の特例措置の適用にあたっては、後継者に関する要件について注意する必要があります。

 

例えば、先代経営者から後継者(1人)が贈与により株式を取得する場合、その後継者がみなし相続の特例措置の適用の前提となる贈与税の特例措置の適用を受けるためには、贈与時に次の三要件を満たす必要があります(措法70条の7の5第2項6号)。

 

①個人が、その贈与の時において対象となる会社の代表者であること。
②その贈与の時において、その個人およびその者と一定の特別の関係のある個人や法人(以下「特別関係者」)の有する、その会社の株式の議決権の数の合計が、その会社の総議決権の数の50%超であること。
③その贈与が行われた時において、その個人が有する会社の株式に係る議決権の数が、その個人の特別関係者のいずれの者(その時点で、贈与税又は相続税の特例措置の適用を受ける個人がいる場合はその人を除く。) の有する議決権の数以上であること。

 

 

後継者は、特例経営贈与承継期間*中に、納税猶予 が打切りとならず継続されるためには、上記①~③の要件を満たす必要があります(措法70条の7の5第3項、70条の7第3項)。

 

*原則、その非上場株式の贈与に係る贈与税の申告書の提出期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます(措法70条の7の5第2項7号)。

 

 

特例経営贈与承継期間の経過後は、上記①~③の要件は撤廃され、後継者がこの三要件を満たさない場合であっても、贈与税の納税猶予は継続します(措法70条の7の5第3項、70条の7第5項)。

 

ただし贈与税の特例措置に係る贈与者が死亡し、その贈与者に係る相続税について、みなし相続の特例措置の適用を受けるためには、贈与者の相続開始時点において、後継者は前述①~③の要件をすべて満たす必要があります(措法70条の7の8第2項1号)。つまり贈与税の特例措置の適用を受けるための後継者の要件は、特例経営贈与承継期間を経過後に緩和され、①~③の要件がなくなりますが、みなし相続の特例措置の適用を受けるためには、贈与者の相続開始の時(瞬間)において、この三要件を満たす必要があるので注意が必要です。

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/11/09)より転載

事業承継に関する企業の意識調査(2020年10月公開分)

 

 

 

◇近畿地区「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

事業承継、企業の約7割が「経営上の問題」と認識
~約4割は事業承継の手法にM&Aの可能性ありと認識~

※詳細はこちら

 

◇新潟県「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

企業の68.4%が事業承継を経営上の問題と認識
~ 新型コロナを機に事業承継への関心が高まった企業は8.4%に ~

※詳細はこちら

 

◇長野県「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

7割以上の企業が事業承継を経営上の問題と認識
~ 「M&Aに関わる可能性がある」は4割を超える ~

※詳細はこちら

 

◇茨城県「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

県内企業の70.4%が事業承継を「経営上の問題」と認識
~ 4割の県内企業で事業承継の計画がありながらも、約半数は未着手 ~

※詳細はこちら

 

◇千葉県「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

企業の66.6%が事業承継を経営上の問題と認識
~ 新型コロナを機に事業承継への関心が高まった企業は7.9% ~

※詳細はこちら

 

◇九州地区「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

事業承継を経営上の問題と認識している企業は68.2%
~ 新型コロナを契機に事業承継に対する関心が高くなった企業は11.4% ~

※詳細はこちら

 

◇栃木県「事業承継に関する企業の意識調査」(2020年10月公開分)

事業承継、69.3%が「経営上の問題」と認識
~ 38.7%の企業がM&Aに関わる可能性を指摘 ~

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[会計事務所の事業承継・M&Aの実務]

第2回:失敗例から学ぶM&A

 

[解説]

辻・本郷税理士法人 辻・本郷ビジネスコンサルティング株式会社

黒仁田健 土橋道章

 

〈目次〉

●従業員の大半が退職したケース

●所長税理士と新所長の引継ぎがうまくいかなかったケース

所長税理士退職時の従業員の退職、顧問先の解約

 

 

▷関連記事:M&Aのメリット・デメリット ~顧問先は?従業員は?~

▷関連記事:「会計事務所・税理士事務所のM&Aの特徴や留意点」とは?

 

 

当社では、今まで50以上のM&A を実践してきましたが、そのM&A の大半が事業承継を中心としており、従業員と顧問先の承継が一番の目的となります。M&A について、全て同じケースはなく、それぞれ事情が異なり、引継ぎ方も異なります。その中で、何が成功で、何が失敗かを考えた際に、「従業員と顧問先を承継し、経営を継続できる」ことが最も重要なポイントになります。

 

M&A を失敗した三つのケースを下記でみていきます。失敗したと思っても、その後のフォローで立て直しができますので、参考にしてください。

 

<従業員の大半が退職したケース>

所長税理士と譲渡契約書を締結し、所長税理士から経営統合の話を従業員に説明したところ、半数以上の従業員が統合までに退職をし、やめた従業員が担当していた顧問先からは、担当者が退職なら解約するということになってしまったというケースがありました。

 

経営統合の話を初めて聞いた際には、従業員に経営統合により今までと環境が大きく変わるのではないかという不安が生じることは当然ですので、事前に変わること・変わらないことを丁寧に説明し、納得してもらうことが必要です。

 

説明したにもかかわらず従業員が退職するケースには、大きい税理士法人だとサラリーマンと変わらない働き方となるので嫌だという方や、本人が所長税理士の承継者となるものと考えていたのにM&A をすることに納得がいかないという方などがいます。

 

ただし、話をすることすら拒まれるケースもあり、所長税理士と従業員との関係がコミュニケーション不足のためうまくいっていなかったのかと感じる瞬間があります。そもそも、会計事務所内の人間関係に所長税理士が悩まれていてM&A を実施する場合もあります。

 

 

<所長税理士と新所長の引継ぎがうまくいかなかったケース>

契約は無事終了し、従業員や顧問先にも納得してもらい、経営統合までできたのですが、引継ぎをしている中で、所長税理士と新所長との間での業務の進め方について意見が対立し、経営統合を解除することになってしまったケースがありました。

 

まず、もめた原因は業務の進め方について、所長税理士が何十年もかけて築いてきたやり方を、新所長が一気に変えようとしたからでした。顧問先に毎月出していた報告書を廃止したり、資料収集の方法を変更したのです。そして、新所長の従業員に対することば遣いや上から目線と感じられる発言などからも不信感が募っていきました。

 

M&A を成功させるのに一番大切なことは、所長税理士と新所長の信頼関係に他なりません。信頼関係を築くにはコミュニケーションが重要です。理解しているだろうと思っていても、双方の認識はズレているものです。同じ言葉を使っていても、言葉の定義が異なっている可能性があると思って話した方が良いでしょう。

 

また、M&A といえども、簡単に環境への変化に対応できないので、一定期間は、業務の進め方を変えることは最低限に控え、慣れてきてから徐々に必要なことを変えていけばよいのです。焦りは禁物です。

 

会計ソフトの変更も、いずれは着手するべきかもしれませんが、M&A で変化することが多いときにやるべきではありません。会計ソフトを変更する際に、事務所内で切替はできたとしても、顧問先に導入している会計ソフトを変更するのは容易ではありません。顧問先の会計ソフトを変更できないケースでは、当初のソフトを残しておかなければならず、コストが二重になることもあるので、自計化している先の会計ソフトの状況も把握しておいた方が、結局は効率的です。

 

まずは、今までの業務の進め方を把握し、所長税理士との新所長が二人三脚でM&A を進めて、従業員にも顧問先にも安心してもらうことを最優先とすべきです。承継元である所長税理士は、あまり細かいことを気にしないことが重要です。

 

 

<所長税理士退職時の従業員の退職、顧問先の解約>

引継ぎも順調に終わってホッとしたとしても、一定期間が経ち、所長税理士が当初の契約により退任した後に、従業員が退職したい、顧問先が解約したいという話が出てきたケースがあります。お世話になった所長税理士が退職するのをきっかけに、従業員が退職を申し出たり、顧問契約を解除したいという話があります。

 

経営統合時には、ひとまず解約せず、また統合後の事務所に残った所長税理士も面倒を見てくれるので契約を継続する場合でも、所長税理士が退職してしまうと、相談もできなくなってしまうので、契約を変更してしまう可能性が出てきてしまいます。それまでに新所長は顧問先との関係を築いておく必要があります。

 

逆に比較的うまくいくケースの場合は、下記①~③をクリアしている場合に多いです。

 

①引継ぎ期間を設けているケース
②新所長を明確にし、常駐者として設置しているケース(番頭を新所長する場合も含む)
③顧問先の重要な事項(主に税務調査、相続、事業承継など)を一緒に対応したケース

 

 

 

 

 

▷参考URL:M&A各種契約書等のひな形(書籍『会計事務所の事業承継・M&Aの実務』掲載資料データ)

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「特例経営承継期間中に事業が立ち行かなくなった場合の取扱い」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】解散に際して支払われる役員退職金の課税関係

■【Q&A】経営状況が悪化した場合の定期同額給与

 


[質問]

① 特例経営承継期間中に会社が破産した場合、納税が猶予されている相続税と利子税を併せて納付する必要がありますが、会社破産と共に、納税者個人も破産した場合、納税が難しいと思われますが、納税はどうなるのでしょうか。また、相続税の連帯納付義務は適用されるのでしょうか。

 

② 特例経営承継期間の経過後に、事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合において、会社について解散した場合、解散時の非上場株式等の相続税評価額が0円であった場合は、納税が猶予されている相続税と利子税は全額免除されると考えて宜しいのでしょうか。

 

また、解散時の非上場株式等の相続税評価額が500万円であった場合で、他の財産がないと仮定した場合、相続税本税と利子税の納付はどうなりますか。

 

 

[回答]

1.質問①について
特例経営承継期間中に会社の破産手続きの開始決定があった場合には、猶予期限の確定事由である解散があった場合に当たります(措置法通達70の7—19)ので、猶予税額の猶予期限が確定します。この場合、納税猶予の適用を受けていた個人が納税できないような状態の場合には、滞納処分に移行することになりますので、その中で検討されると思います。これは、例えば、相続税の延納を受けていた者が、納税できないような場合も同様です。

 

なお、納税義務者が納税猶予制度の適用を受けた場合には、その税額について連帯納付義務は適用されません(相基通34-4)。

 

 

2.質問②について
特例経営承継期間経過後に、事業の継続が困難な一定の事由が生じ解散した場合には、解散時における非上場株式の相続税評価額に基づき再計算した税額と従前の猶予税額との差額が免除されるところ、その相続税評価額が「0」の場合には、猶予税額が発生しませんので、全額が免除となります。また、猶予期限の確定する税額がありませんので、利子税も発生しません。

 

なお、解散時の非上場株式の相続税評価額が500万円であった場合で、他の財産がないと仮定した場合の相続税と利子税の納付はどうなるか、の部分については、当初の非上場株式の相続税評価額、それに基づく納税猶予税額が分かりませんので、回答はご容赦ください。

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2020年7月8日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


事業承継に関する企業の意識調査(2020年9月公開分)

 

 

 

◇事業承継に関する企業の意識調査(2020年9月公開分)

企業の67.0%が事業承継を経営上の問題と認識
~ 新型コロナを機に事業承継への関心が高まった企業は8.9%に ~

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[解説ニュース]

円滑な事業承継のための種類株式の活用

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(吉濱 康倫/税理士)

 

 

[関連解説]

■事業承継税制を複数の後継者に適用する場合の留意点

■贈与税の納税猶予の適用を受ける贈与により非上場株式を取得した者のみなし配当課税の特例

 

 

 

1.種類株式とは


会社法では「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」(会社法109条1項)としており、株式一株の権利内容は、原則として同じです。しかし、株式会社は異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行するように、定款で定めることができます(会社法108)。これを「種類株式」といいます。

 

 

2.種類株式の活用例


(1)議決権制限株式

議決権制限株式とは、株主総会における議決権を行使することができる事項について、他の株式とは異なる定めを置く株式です(会社法108条1項3号)。事業承継における問題として、相続による株式の分散により議決権が分散するため、後継者が過半数の議決権を確保することが困難になるという点が考えられます。これを解消するため、オーナー経営者が保有する普通株式の一部を完全無議決権株式に転換しておき、後継者に普通株式を、後継者以外の相続人には完全無議決権株式を相続させることで、株式は分散しても議決権を分散させないことが可能です。

 

(2)取得条項付株式

取得条項付株式は、株式を発行する会社が一定の事由が生じたことを条件として、その株式を取得できるという株式です(会社法108条1項6号)。取得条項付株式の対価は金銭に限らず、社債や他の種類株式など幅広い設定ができます。これを利用して、議決権制限株式に取得条項をつけておき、いつでも普通株式に転換できるようにしておくことも可能です。例えば、複数の後継者候補に議決権制限付かつ取得条項付株式を贈与しておき、後継者が確定した時点で普通株式に転換することで、後継者のみが議決権を手にすることができます。また、後継者以外の者に相続させる株式を取得条項付株式にしておけば、分配可能額((3)参照)の範囲で会社は自由にその株式を買い取ることが可能であり、少数株主対策の心配が無くなります。

 

(3)分配可能額

分配可能額とは、簡単に言うと、株式会社の最終の貸借対照表の純資産の部に計上されているその他資本剰余金の額とその他利益剰余金の合計額から、自己株式の帳簿価額等及び当期に既に分配した価額をマイナスした残額です(会社法461条2項)。また、株式会社が期中に臨時決算手続き(会社法441条)を行うことにより、前期末から配当基準日までの期間分の利益を分配可能額に反映させ、当該利益分だけ分配可能額を増加させることができます(会社法461条2項2号)。
株式会社が自己株式の買い取りを行う場合には、自己株式の取得の対価の総額が、分配可能額を超えることができないという規制(財源規制)があります(会社法461条1項)。この財源規制に違反して、株式会社が自己株式の買い取りをした場合であっても、原則としてその買い取り自体は無効にはなりません。しかし、取得条項付株式が自己株式として買い取られる場合(会社法155条1号)は、これらの財産の帳簿価額が分配可能額を超えているときには、取得条項付株式の取得が無効になります。(会社法170条5項)

 

 

3.種類株式を発行するための手続き


種類株式を発行するには、種類株式の内容及び発行する数を定款に定めて登記しなければなりません。(会社法108条2項、911条3項7号)。定款に種類株式に関する定めがない場合は定款を変更する必要があります。定款を変更するためには、株主総会の特別決議(議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数)が必要です(会社法309条2項11号、466条)。

 

 

4.種類株式の相続税法上の評価


財産評価基本通達(以下「財基通」)には種類株式の類型ごとに評価方法を定めている規定はありません。平成30年版財基通逐条解説704頁~705頁の「[参考2]種類株式の評価方法」では、「多種多様な種類株式については、権利内容や転換条件など様々な要因によってその発行価格や時価が決まってくると考えられる。しかもこのような種類株式については、社会一般における評価方法も確立されていないうえに、権利内容の組み合わせによっては、相当数の種類の株式の発行が可能であるから、その一般的な評価方法をあらかじめ定めておくことは困難である。したがって、財基通に定める評価方法がなじめないような種類株式については、個別に権利内容等を判断して評価する」という趣旨の考え方が示されています。その中で、中小企業の事業承継目的で活用が想定される特定の種類株式の評価方法は、国税庁から公表されている「相続等により取得した種類株式の評価について」や質疑応答事例において紹介されています。

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/08/31)より転載

[データを読む!データを活用する!「中小零細企業の事業承継型M&A」]

第1回:事業承継型M&Aに対する経営者の意識と傾向分析

 

〈解説〉

株式会社帝国データバンク データソリューション企画部産業データ分析課 窪田剛士

 

 

 

日本経済が持続的に成長するためには、企業がこれまでに培ってきた技術やノウハウ、貴重な人材や設備などを次世代に引き継ぐことが喫緊の課題といわれています。こうしたなかで、政府や行政などの支援も後押しとなり、中小企業における事業承継などの課題解決の手段の1つとしてM&A(合併・買収)が注目されます。本稿では、事業承継型M&Aに対する経営者の意識について紐解いていきます。

 

 

 

1、M&Aへの注目度が高まる一方、企業の3社に2社は後継者が不在

近年、M&Aの活況が続いています。M&Aデータベースなどを提供しているレコフデータによると、2019年に日本企業が関わった案件は4,088件(前年比6.2%増)と初めて4,000件を超え、過去最多を記録しました(図表1)。また、M&Aに関するマスコミへの掲載状況をみると、2019年は前年より減少したものの、5年連続で6,000件を上回るなど、おおむね増加傾向で推移しており社会的な注目度も増しています(図表2)。

 

一方で、企業の3社に2社は後継者が不在となっています[1]。近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業も多くみられるなか、企業による後継者候補人材の育成といった自助努力のほか、国や自治体によるプッシュ型の公的支援、利便性の高い事業承継制度の拡充など、後継者問題への解決に向けた取り組みが求められています。こうしたなかで、企業価値を認めた第三者に経営を委ねる「M&A方式の事業承継」が、後継者問題を解決する有用な選択肢となってきました。

 

 

〈図表1〉

 

 

〈図表2〉

 

 

 

2、近い将来に『M&Aに関わる可能性がある』企業は35.9%

では、企業の経営者はM&Aについてどのように捉えているのでしょうか。帝国データバンクが実施したアンケート調査[2]によると、企業の35.9%が今後5年以内に自社がM&Aに関わる可能性があると考えていました(図表3)。その内訳は、「買い手となる可能性がある」が22.2%、「売り手となる可能性がある」が7.9%、「買い手・売り手両者の可能性がある」が5.8%となっています。

 

他方、企業の39.0%はM&Aに関わる可能性はないと考えており、おおむね企業の3割~4割の間でM&Aに対する見方が二分している様子がうかがえます。

 

こうしたM&Aへの見方、特に売り手となる可能性については、だれが後継者となっているかによって傾向が異なります[3]。後継者がいる企業では、売り手となる可能性は後継者不在企業と比べてやや低くなりますが、配偶者が後継者である場合は売り手となる可能性が12.8%へと上昇しています(図表4)。後継者への事業承継がうまくいかないと見込むなかで、事業の売却を考えている企業も一定程度みられます。一方で、子どもが後継者となっている企業では、M&Aに関わる可能性がないと考える傾向が高くなっています。

 

実際に、企業からもさまざまな声が寄せられています。M&Aに関わる可能性がある企業からは、「将来を見据えた企業規模の拡大、事業戦略としてM&Aは必要と考えている」(建設機械器具賃貸、大企業、後継者あり)や「事業承継や事業の一部譲渡といった観点から、M&Aは有効な一つの手段と考える」(こん包業、中小企業、後継者あり)といった声が聞かれました。

 

また売り手の可能性がある企業からは、「事業承継のためにM&Aを考える時期は近いと思う」(乾物卸売、小規模企業、後継者なし)や「当社を買収したいと思わせるように、魅力的な会社に成長させている」(ソフト受託開発、中小企業、後継者なし)などの意見もあがっています。

 

逆に、近い将来においてM&Aに関わる可能性がない企業からは、「後継者が育っているので、当社には不必要」(製紙機械・パルプ装置製造、小規模企業、後継者あり)や「現状は考えていないが、条件が合致すれば、買い手として考えてみても良い」(包装用品卸売、中小企業、後継者なし)などの見方が寄せられていました。すでに後継者や事業承継の道筋が立っている企業からは、そもそもM&Aを検討していないという声がある一方で、条件などが合致すれば検討するなど前向きな企業もみられています。

 

 

〈図表3〉

 

 

〈図表4〉

 

 

 

3、買い手と売り手で異なる優先順位、買い手は「金額の折り合い」、売り手は「従業員の処遇」を最も重視

ここまで、企業の3社に1社がM&Aに関わる可能性があることをみてきました。しかしながら、いざM&Aに取り組もうとしてもなかなか合意に至らない、ということも少なくありません。そこには、買い手と売り手のそれぞれにおいて重視することの違いが背景にあると考えられます。

 

上述の調査では、M&Aを行う際に何を重視しているかも尋ねています。それによると、買い手として相手企業にM&Aを進める上で重視することは「金額の折り合い」が76.8%で最も高くなっていました(複数回答、以下同)。次いで、「財務状況」(70.3%)、「事業の成長性」(67.4%)、雇用維持などの「従業員の処遇」(54.6%)、「技術やノウハウの活用・発展」(54.3%)が続いています(図表5)。

 

他方で、売り手として重視することは「従業員の処遇」が78.3%でトップとなり、買い手の割合を23.7ポイント上回っています。企業からも「従業員などの生活基盤が大きく崩れないよう配慮する必要がある」(鉄鋼卸売、中小企業、後継者なし)などの声が聞かれ、従来から雇用している従業員の今後を第一に考えている様子がうかがえます。もちろん「金額の折り合い」(72.7%)も7割を超えて高水準であり、売り手も十分に考慮している項目であることは確かです。以下、「経営陣の意向」(50.4%)、「人事労務管理や賃金制度」(35.9%)、「財務状況」(32.6%)が上位にあげられました。

 

「金額の折り合い」は買い手・売り手ともに7割を超えており、売買金額を重視する割合は非常に高いものがあります。また、雇用維持などの「従業員の処遇」では売り手が買い手を、「財務状況」「事業の成長性」では買い手が売り手を大きく上回りました。立場によってM&Aを進める上での重要事項に大きな差異があることが浮き彫りとなっています。

 

 

〈図表5〉

 

 

 

 

4、買い手と売り手をつなぐ仲介者の充実が一段と重要に

中小企業では、事業承継問題の解決や貴重な経営資源の散逸を防ぐ手段としてM&Aに高い可能性を感じています。さらに、今後、社会の大きな変化や経営者の高齢化が進むなかで、企業の半数以上はM&Aの必要性が高まるとみていることも確かです。しかし、実際にM&Aを進める上では、適切な情報収集や仲介役となる企業との関係性なども大きな課題となっています。また、新型コロナウイルスにともなう社会・経済活動の変化や新しい生活様式などが、経営者のM&Aに対する考え方に与える影響は現時点で不明です。

 

しかし政府や行政は、M&Aが企業の直面する課題解決の手段として活用されるよう、引き続き取り組み支援や財政支援を行う必要があります。特に中小企業においては、行政をはじめとする公的な機関に加えて、民間の仲介業者の必要性も高まっており、買い手と売り手をつなぐ仲介者の充実が一段と重要になると言えるでしょう。

 

 

 

 

[1] 帝国データバンク「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」2019年11月15日発表

[2] 帝国データバンク「M&Aに対する企業の意識調査」2019年7月25日発表

[3] 帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」および信用調査報告書をもとに、後継者の有無および後継者属性等を抽出

[中小企業のM&A・事業承継 Q&A解説]

第2回目:譲渡・M&Aにおいて準備すべきこと

~企業価値を向上させ売却金額を増大させるためには?~

 

[解説]

宇野俊英(M&Aコンサルタント)

 

 

[質問(Q)]

当社は後継者不在であることからM&Aで会社売却をしたいと考えています。具体的に何から手を付けてよいかわかりません。M&Aにおいて事前に準備しておくべき必要な事項を教えてください。

 

 

[回答(A)]

事前準備で必要な事項は会社の状況に異なります。事業承継への対応では後継者の有無によって手法は異なりますが、いずれも早めの検討と準備が求められます。M&Aを選択する場合にはより企業価値をブラッシュアップし、譲渡・売却しやすい会社に近づかせることにより、企業価値を向上させ売却金額を増大させる方向が望ましいと考えられます。

 

そのためには、
 ①会社の実態の見える化(実態把握、個人の資産と事業用資産の整理)
 ②M&Aのメリット・デメリットを理解した上で意思決定
 ③株式が分散していた場合には集約化と名義株の整理
 ④仲介・FA機関の選定とFA・仲介契約の締結
等が必要になります。

 

 

 

まずは経営者に改めて事業承継に向けたM&Aへの準備の必要性の認識を持っていただくことが最初の一歩です。

 

1.準備の必要性を認識しましょう


M&Aをする場合にも相応の時間が必要です。M&Aはある意味タイミングが重要です。適切なタイミングを逃してしまうと探してもそもそも候補先が見つからないということがあり得ます。また、候補先がいてもタイミングが適切でなければ不利な条件を許容せざるを得なくなってしまったり、交渉自体が流れてしまうこともあり得ます。

 

タイミングの一つは業績が上げられます。一期赤字でM&Aを決断しても交渉成立時に2 期連続赤字の状態であれば、期待していた売却価格にならないことはよくあることです。また、いたずらに時間を費やしている間に譲渡側の経営者が健康上の問題を引き起こしてしまうこともあります。経営者には「まだ先のことだから……」「日常業務で忙しいから……」とさまざまな理由はあります。しかし、準備が遅れるほど希望する条件に合った候補者を探すことが難しくなってきます。

 

 

2.経営状況・経営課題の「見える化」をしてみましょう


M&Aを準備するためにはまず、自社の経営状況・経営課題、経営資源等を見える化し、正確に現状把握することから始まります。

 

把握した自社の経営状況・経営課題等をベースに自社の強みの伸長と弱みを改善する方向性を見つけ、着手することが重要です。その際に経営者の視点に加え顧問税理士、中小企業診断士などの専門家や金融機関に協力を求めることで客観的かつ効率的に把握することが可能になります。また「見える化」することの効能はM&A に役立つのみならず、自社の経営改善につながる効果も見込まれます。

 

 

3.M&Aの意思決定、信頼できる仲介者等の選定及び仲介契約等の締結


上記過程を経てM&Aの意思決定がなされ、候補者を探索する必要があるときには仲介者・アドバイザリー(以下、「仲介者等」という)を選定して仲介契約若しくはアドバイザリー契約(以下、「仲介契約等」という)を締結します。

 

締結後は基本仲介者等の指導・助言に基づき実行していきますが、仲介者等も必ずしもすべての工程・分野に習熟してない場合もあり得ます。必要に応じて専門家や事業引継ぎ支援センター等のセカンドオピニオンを活用しましょう。あわせて、見える化で把握した課題の改善を図り、企業価値の増大を目指していきます。

 

 

 

 

 

 

[中小企業のM&A・事業承継 Q&A解説]

第1回目:事業が健全かそうでないかの判別

~経営分析とは?非数値情報分析とは?健全性のチェック方法は?~

 

[解説]

植木康彦(公認会計士・税理士)

 

 

[質問(Q)]

長男に事業を承継する予定ですが、長男から「お父さんの事業は健全なの?」と聞かれています。事業の健全性は、どのように判定したらよろしいのでしょうか。

 

 

[回答(A)]

事業承継に際して、その事業が健全か否かはとても重要です。健全性の判定に際しては、数値分析(経営分析)と非数値情報分析を組み合わせるなどして判断します。

 

 

 

健全性の判定に正解はありませんので、あくまでも一例を示します。

 

1.経営分析(ファイナンシャルステートメント分析)


経営分析を行い、営業キャッシュフロー、収益性、安全性、成長性、効率性などの観点から対象会社を評価します。例えば、営業キャッシュフロー(営業利益)が3 年連続でプラスの場合は健全と言えます。それぞれの指標にはおおよその目安があるので、その目安をクリアーしている場合は健全と言えます。また、対象会社と同業他社を比べてみることも重要です。

 

比較することにより、対象会社のポジションを把握でき、良い点、悪い点が明確になります。同業他社との比較にはTKC 会員であればTKC 経営指標BAST(バスト)、非会員なら中小企業基盤整備機構の経営自己診断システム、経済産業省のローカルベンチマーク(ロカベン)を用いる方法があります(自己診断、ロカベンは無償でネットから誰でも利用できます)。

 

2.非数値情報分析


次に、数値情報以外の項目の分析ですが、最も重要なのは対象会社のコアコンピタンス(事業価値の源泉)の状況です。事業承継の鍵はコアコンピタンスが存在し、承継できるか、しやすいか否かにかかっていると言えます。コアコンピタンスは、言い方を変えれば、“ 競争力” です。例えば企画力、技術力、ノウハウ、営業力、生産能力、ブランド、あるいはそれら複合的なものです。多くの中小零細企業では、経営者に帰属している例が多いと思いますが、経営者以外の誰かに帰属している場合や組織に帰属している場合もあります。この機会に自社のコアコンピタンスを探求し、他に誇れるものか、事業承継が可能かについて、検討してみましょう。

 

3.チェックリストによる健全性チェック


チェックリストの例を以下に示しました。

20 項目のうち過半の10 項目以上が〇であれば健全と言えます。

 

なお、チェックリストの実施によって、対象会社の強みと弱みが明確になります。強みは伸ばし弱みは克服すべき課題として位置づけ、〇又は×の理由を分析し、経営にフィードバックすることも有用です。