[解説ニュース]

配偶者居住権等と相続税の小規模宅地等の特例・物納の取扱い

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■配偶者居住権が消滅した場合の相続税・贈与税の取扱い

■配偶者居住権等の評価

 

 

1.配偶者居住権の意義


被相続人の死亡時にその被相続人の財産であった建物に居住していた配偶者は、遺産分割または遺言により、その居住していた建物(以下「居住建物」)の全部につき無償で居住したり賃貸したりする権利(=「配偶者居住権」)を取得することができます(民法1028条第1項)。

 

2.配偶者居住権等と相続税の小規模宅地等の特例


(1)小規模宅地等の特例の概要

小規模宅地等の特例とは、個人が相続等により取得した宅地(土地又は土地の上に存する権利をいう。以下「宅地等」。)のうち被相続人又は被相続人と生計をーにしていた被相続人の親族(被相続人等)の事業の用又は居住の用に供されていた一定の宅地等(下図の4区分)について、相続税の申告期限までその宅地等を保有し、事業や居住の用に供するなど一定の要件を満たす場合は、被相続人等に係る相続税の計算上、一定の面積(限度面積)までの部分について、その相続税の課税価格を次のとおり減額する特例をいいます(租税特別措置法69条の4)。

 

 

(2)配偶者居住権等と小規模宅地等の特例の適用

配偶者居住権自体は、建物に関する権利であることから、宅地等に係る特例である、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。
配偶者が配偶者居住権を取得した場合における、居住建物の敷地の利用権は、前述(1)の「土地の上に存する権利」に該当することから、上図④の特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
居住建物の敷地の所有権についても、その取得者が居住建物に被相続人と同居していた等の要件を満たすことにより、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます(租税特別措置法69条の4第1項、第3項2号・財務省「平成31(令和元)年度税制改正の解説」539頁)。

 

3.配偶者居住権等と相続税の物納


(1)相続税の物納の概要

相続税法は、納税義務者が延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合に、税務署長の許可を受けることにより、その納付を困難とする金額を限度として金銭以外の一定の財産による納税(物納)が認められています(同41条第1項)。
相続税の物納に充てることができる財産(物納財産)とは、原則、納税義務者の相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産(相続時精算課税の適用を受ける財産を除く。)で、日本国内に所在するもののうち一定のものをいい、譲渡制限が付されている株式など一定の財産は、管理処分に不適格な財産(「管理処分不適格財産」)として物納財産から除外されています(相続税法41条第2項、同施行令18条)。また物納財産が複数ある場合には、相続税法上、物納に充てることができる財産の順位が定められています(相続税法41条第2項、第5項)。

(2)配偶者居住権等と物納の適用

配偶者居住権自体は譲渡が禁止(民法1032条第2項)されていることから、上記3(1)の「管理処分不適格財産」に該当し、物納に充てることができません(相続税法41条第2項)。
配偶者居住権が設定された建物およびその敷地の所有権は、他の財産に比べて物納の順位が後れる「物納劣後財産」とされ、他に物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り、物納に充てることができます(同法第4項)。

 

4.適用時期


上記2(2)と3(2)の取扱いは、配偶者居住権に関する民法の施行日である、令和2年4月1日以後に開始する相続により取得する財産に係る相続税について適用されます(改正法附則1条7号ロ)。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/08/13)より転載

[M&Aニュース](2019年7月29日〜8月9日)

◇ 昭文社<9475>、グアムのマリンスポーツ会社APRA DIVE & MARINE SPORTSの全事業を取得、◇アイビーシー<3920>、ナビプラスからセキュリティー事業を取得、◇第一交通産業<9035>、戸畑タクシーの事業を取得、◇アイモバイル<6535>、「パズルde懸賞」シリーズなどスマホゲームアプリのオーテを子会社化、◇サーラコーポレーション<2734>、イワキ傘下の動物医薬品卸2社を子会社化、◇伊藤忠テクノソリューションズ<4739>、インドネシアのIT企業Nusantara Compnet Integratorなど2社を子会社化  ほか

 

米投資会社エリオットがユニゾ株をさらに買い増し、所有割合7.71%に

◆米投資会社エリオット・マネジメントがホテル事業とオフィス賃貸事業を手がけるユニゾホールディングス株式の買い増しを続けている。エリオットが9日、前日に続き関東財務局に提出した大量保有の変更報告書によると、ユニゾ株の所有割合は1.09%高まり、7.71%となった。ユニゾは旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)から敵対的TОB(株式公開買い付け)を仕掛けられているが、ユニゾ株価はTOB価格の3100円を上回る高値圏で推移している。

9日のユニゾ株の終値は2日続落し、前日比285円安の3400円。7月30日(3430円)以来の安値となったが、TOB価格よりもなお1割程度高い水準にある。エリオットによるユニゾ株の新規保有(5.51%)が判明したのは6日。

HISは7月11日にTOBを開始し、現在4.79%の所有割合を45%まで高める計画。TOB期間は23日まで。ユニゾ株価がTOB価格を上回る状態が続けば、株主の多くにとって市場売却した方が有利で、予定数の株式を買い付けることが困難とみられる。

TOB価格の3100円はTOB公表前日の終値1990円に55.78%のプレミアム(上乗せ)を加えた額。

 

ズーム<6694>、音楽用電子機器の米国合弁販社Zoom North Americaを子会社化

◆ズームは、持分法適用関連会社で音楽用電子機器の販売を手がける米Zoom North America,LLC(ニューヨーク州。売上高33億7000万円、営業利益4億2800万円、純資産10億3000万円)の株式17.3%を追加取得し、子会社化(所有割合50.6%)することを決議した。

ズームは2013年に北米の販売拠点として合弁でZoom North Americaを設立した。米国の音楽用電子機器市場は世界最大で、ズームの連結売上高の35%を占め、北米販売拠点の重要性が増している。過半数の株式を取得し、経営権を掌握することで北米市場を深耕し、「ズーム」のブランド価値向上につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月30日。

 

エコモット<3987>、暖房設備機器・空調設備の保守管理を主力とするストークを子会社化

◆エコモットは、暖房設備機器・空調設備の製造や保守管理を主力とするストーク(札幌市。売上高8700万円、営業利益△1200万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

ストークは2013年設立で、北海道を地盤に商業施設をはじめ公共施設、学校、医療・福祉施設向けに暖房設備機器などの導入実績を積んでいる。

エコモットは融雪システム遠隔監視システム「ゆりもっと」を手がけるが、これまで集合住宅向けが中心で、商業施設などへの展開を今後の課題としている。ストークを傘下に取り込むことで、商業施設を中心とした新たな需要を開拓する。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月30日。

 

アイカ工業<4206>、無水マレイン酸メーカーの中国・南京鐘騰化工を子会社化

◆アイカ工業は、無水マレイン酸メーカーの中国・南京鐘騰化工有限公司(南京市。純資産約7500万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。取得価額は約13億2900万円。取得予定日は2019年8月下旬。

アイカ工業は中国子会社のダイネア南京社(南京市)を通じて南京鐘騰化工を子会社化する。ダイネア南京社は中国で建築用と産業用の接着剤・樹脂事業を手がけているが、販売量の拡大に伴い製造能力の増強が必要になっていた。

傘下に収める南京鐘騰化工は約6万3000平方メートルの土地使用権と化学品製造設備を持つが、現在、生産活動を停止中。ダイネア南京社と隣接する立地関係にある。

 

NJS<2325>、非破壊検査を手がける日本X線検査を子会社化

◆NJSは、鋼構造物やコンクリート構造物の非破壊検査を手がける日本X線検査(東京都大田区。売上高2億200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。日本X検査が持つX線透過検査や超音波探傷検査などの技術を取り込み、サービス拡大につなげる。日本X線検査は1967年設立。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年9月。

 

綿半ホールディングス<3199>、戸建木造住宅フランチャイズ事業のサイエンスホームを子会社化

◆綿半ホールディングスは、戸建木造住宅のフランチャイズ事業を手がけるサイエンスホーム(浜松市。売上高23億9000万円、営業利益1億7900万円、純資産4億2600万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

サイエンスホームがフランチャイズ事業として展開する「真壁づくりの家」は柱や梁など家の構造材を見せる日本の伝統工法に基づく。国産の天然ひのきや加盟店の各地域で採材・加工した自然素材を利用し、国内の協力工場で加工した高品質な建材を供給している。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月27日。

 

TKC<9746>、会計事務所向けに出版事業を手がけるTKC出版を株式交換で子会社化

◆TKCは、関連会社のTKC出版(東京都千代田区。売上高15億4000万円、営業利益8100万円、純資産6億1900万円)を株式交換により、完全子会社化することを決議した。

TKC出版は1972年に、TKCと会員の会計事務所(TKC会員)などが共同で出資して設立し、会員向け出版活動などを手がける。TKCの出資比率は現在、31.1%。株式交換で100%子会社化することで広報、出版活動の一層の充実を目指す。

株式交換比率はTKC1:TKC出版5。TKC出版の1株に対し、TKCの5株を割り当てる。株式交換予定日は2019年9月24日。

 

データセクション<3905>、小売り向け画像ソリューション事業のチリJach Technologyを子会社化

◆データセクションは、店舗内カメラの画像解析ソリューションを提供するチリJach Technology SpA(サンティアゴ)の株式の過半数を取得し、子会社化することを決めた。数年後に100%子会社化する見通し。

Jachは2010年に設立し、「FollowUP(フォローアップ)」と名づけた小売店向けの画像ソリューションを中南米や南アジアなど17カ国で展開している。データセクションは「FollowUP」に関して日本国内での営業・販売権を保有しているが、Jachを傘下に取り込むことで、成長著しい新興市場国に積極進出する。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月。

 

ティーケーピー<3479>、レンタルオフィスの台湾リージャス社を買収

◆ティーケーピーは、レンタルオフィスの世界的大手スイスIWG傘下で、台湾で事業を運営する現地子会社13社(台湾リージャス社)の全持分を取得し、子会社化することを決議した。台湾リージャス社は「Regus」「SPACES」「HQ」のブラントを通じて3都市に計14拠点を展開する現地最大手のレンタルオフィス会社。取得価額は13社合算で約29億2700万円。取得予定日は台湾当局の承認後。

ティーケーピーは今後の海外戦略について、貸会議室単独での出店でなく、レンタルオフィスなど他事業と組み合わせた出店を進める方向。台湾進出にあたっては台湾リージャス社を買収し、貸会議室事業とともに出店することが最適と判断した。

スイスIWGは世界110カ国、1000都市・3300拠点以上、会員約250万人(2019年5月末)を持ち、「Regus」を多様なブラントでレンタルオフィス事業を展開する。ティーケーピーは今年6月、500億円近くを投じて、IWG傘下の日本リージャスホールディングス(東京都新宿区。売上高132億円)を買収している。

 

韓国マジェスティゴルフ、ゴルフ用品メーカーのマジェスティゴルフ(旧マルマン)<7834>をTOBで子会社化

◆韓国のマジェスティゴルフコリア(MAJESTY GOLF KOREA、ソウル)は9日、ジャスダック上場でゴルフ用品メーカーのマジェスティゴルフ(旧マルマン)の完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。コリア社は現在、マジェスティゴルフ株式の37.68%を所有する筆頭株主。マジェスティゴルフの金在昱社長、金錫根取締役の両氏がコリア社の代表理事(代表取締役)を兼務していることから、今回のTOBはMBO(経営陣による買収)に該当する。

買付価格1株195円で、TOB公表前日の終値136円に43.38%のプレミアムを加えた。買付予定数は1073万5576株。買付代金は最大20億9343万円。買付予定数の下限は総議決権の3分の2に相当する499万3000株に設定。買付期間は8月13日~9月25日。決済開始日は9月30日。三田証券が代理人。

TOBを実施するコリア社は韓国投資会社モーツァルトアドバイザーズコリア(ソウル)の傘下企業。モーツァルトはマジェスティゴルフの株式13.32%を直接所有し、コリア社を通じた間接所有分を合わせてマジェスティゴルフ株式の51%を持つ親会社の地位にある。

マジェスティゴルフは1950年に創業したマルマンを前身とする。ゴルフクラブ、キャディーバッグなどのゴルフ用品を主力に、禁煙関連商品(禁煙パイポなど)、健康食品(各種サプリメント)を製造・販売している。2005年にジャスダックに上場。2018年10月にマルマンから現社名に変更した。コリア社は韓国の代理店としてゴルフ用品を独占的に販売している。

 

米投資会社エリオット、HISが敵対的TOBのユニゾ株を買い増し保有割合6.62%に

◆米投資会社エリオット・マネジメントは、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)から敵対的TОB(株式公開買い付け)を仕掛けられているホテル・不動産業のユニゾホールディングの株式を1.1%買い増し、所有割合を6.62%に高めた。8日、関東財務局に提出された大量保有の変更報告書で判明した。6日にエリオットによるユニゾ株の新規保有(5.51%)が明らかになったばかりだが、継続取得の投資スタンスが浮き彫りになった形だ。

8日のユニゾ株の終値は前日比25円安の3685円で、TOB価格の1株3100円を500円以上上回る高値圏にある。HISは7月11日にTOBを開始し、現在4.79%の所有割合を45%まで高める計画。だが、ユニゾ株価がTOB価格を上回ったまま推移すれば、予定数の株式を買い付けることが困難視される。

今後、エリオットが買い増しを継続すれば、TOB価格の引き上げを誘う思惑買いが広がり、ユニゾ株価が上伸する可能性もある。

ユニゾ株価はTOB公表時点から、1700円近く上昇している。

 

朝日印刷<3951>、マレーシアの印刷会社 Harleighなど2社を子会社化

◆朝日印刷は、マレーシアの印刷会社 Harleigh(ジョホールバル)、Shin-Nippon Industries(同) の2社の株式65%をそれぞれ取得し、子会社化することを決めた。

朝日印刷は医薬品・化粧品包材(パッケージ、添付文書、ラベルなど)の製造・販売を中核事業とする。今回傘下に収める両社は兄弟関係にある。いずれも1980年代後半に設立し、マレーシアにおける医薬品の包装資材分野で長年実績を積み、朝日印刷とも取引関係を持つ。現地に強力な足場を築き、ASEAN(東南アジア諸国連合)での事業拡大を目指す。

取得価額は約3億8000万円。取得予定日は2019年9月末日。

 

日本アンテナ<6930>、NTT-MEの「TVまるごとサポートサービス」を取得

◆日本アンテナは、エヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME、東京都豊島区)の「TVまるごとサポートサービス」事業を取得することを決議した。人口減や新築住宅着工戸数の減少を背景に、日本アンテナが主力とするテレビ受像関連機器市場は変革期を迎えている。こうした中、集合住宅向けテレビ保守サービスを取り込むことで、競争力向上につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年1月1日。

 

プラッツ<7813>、医療介護用電動ベッド組み立てのベトナム子会社を現地社に譲渡

◆プラッツは、医療介護用電動ベッドなどの品質検査や組み立てを行うベトナムの100%出資子会社 PLATZ VIETNAM(ドンナイ省)の全持分を、持分法適用関連会社の現地 SHENGBANG METAL(ドンナイ省)に譲渡することを決議した。

譲渡先のSHENGBANG METALはプレス加工や溶接加工を手がけ、プラッツが48%を出資する。PLATZ VIETNAMはこれまで医療介護用電動ベッドに使われるスチール部品について、SHENGBANG METALに生産を委託していた。主要部品の生産から品質検査、組み立てまでの工程を1社に集約することで、効率的な運営体制の構築を目指す。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2019年9月中旬。

 

高島<8007>、トイレブース製作・施工のレストを子会社化

◆高島は、トイレブース製作・施工のレスト(静岡市。売上高18億2000万円、営業利益4000万円、純資産4億6300万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

レストは1980年に設立し、オフィスビルなど非住宅分野の新築やリニューアル案件でトイレブースを主体とするパーティションの製作・施工で実績を積んできた。高島は同社を傘下に取り込み、建材ソリューション事業のサービス体制拡充につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月1日。

 

クオールホールディングス<3034>、薬局のセラ・メディックを子会社化

◆クオールホールディングスは、薬局運営のセラ・メディック(大阪府堺市。売上高30億4000万円)の全株式を取得し、8日付で子会社化した。セラは1991年設立で、「プラザ薬局」「まりん薬局」「日の丸薬局」「わかば薬局」の屋号で保険薬局を大阪府に9店舗、奈良県に1店舗運営する。今回の子会社化でクオールグループの薬局数は803店舗となる。取得価額は非公表。

 

東海エレクトロニクス<8071>、藤田電機工業から半導体製品の販売事業を取得で合意

◆東海エレクトロニクスは、藤田電機工業(名古屋市)から半導体製品に関する販売事業を取得することで合意した。取得価額など詳細は未定だが、2020年以降に新体制をスタートする予定。取得する当該事業の業績は東海エレクトロニクスの2019年3月期連結売上高(約415億円)の10%を超える規模という。

藤田電機工業は1944年に設立し、電気・機械設備工事のほか、半導体など電子部品の販売を手がける。

 

レンゴー<3941>、産業用重量物包装メーカーの独トライコーなど2社を323億円で子会社化

◆レンゴーはドイツ子会社を通じて、産業用重量物包装メーカーのTRICOR Packaging&Logistics AG(トライコー社。売上高217億円、当期利益5億1300万円、純資産122億円)、機械製造のGutmann Anlagentechnik GmbH(グットマン社。売上高7億3600万円、当期利益3200万円、純資産8800万円)の現地2社を買収すると発表した。トライコー社の全株式、グットマン社の全出資持分を取得する。取得金額は合計約323億円。取得予定日は2019年8月20日。

トライコー社はドイツ国内に4工場があり、重量物包装の分野で欧州3位、ドイツ国内2位のシェアを持つ。レンゴーは同社を取り込むことで、重量物包装事業にとって重要な顧客である自動車産業のウエートが大きいドイツをはじめ欧州域内での事業拡大を目指す。

トライコー社ともう一方のグットマン社は支配株主が共通しグループ関係にある。

 

じげん<3679>、日本在住の外国人向け少額短期保険販売のビバビーダメディカルライフを子会社化

◆じげんは、日本在住の外国人向け少額短期保険販売のビバビーダメディカルライフ(神奈川県大和市。売上高1億6100万円、経常利益1300万円、純資産3300万円)の株式97.78%を取得し、子会社化することを決議した。

ビバビーダメディカルライフは2009年に少額短期保険業に登録し、主に外国人留学生、外国人技能実習生向けに医療保険、生命保険を提供している。2018年度末の契約保有件数は1万6000件に達し、200以上の学校や監理団体と取引する。

じげんは、グループの営業基盤や法人顧客、外国人ユーザー向けの販路を活用し、ビバビーダの業績向上を目指す。将来的には人材、不動産、自動車、旅行といった各既存領域で少額短期保険を活用した新規商材の開発、販売も視野に入れている。

外国人留学生、外国人実習生の日本国内総数は近年増加傾向が続いている。法務省によると、2018年末で留学生は33万人(前年比8%増)、実習生は32万人(同19%増)。

取得価額は非公表。取得予定日は未定。

 

サンデンHD<6444>、流通システム事業子会社のサンデン・リテールシステムを500億円でインテグラル傘下企業に譲渡

◆サンデンホールディングス(HD)は7日、業務用冷凍・冷蔵ショーケース、飲料用自動販売機を製造・販売する子会社のサンデン・リテールシステム(SDRS、群馬県伊勢崎市。売上高537億円、営業利益7億6400万円、純資産30億2000万円)の全株式を、投資会社インテグラル(東京都千代田区)の傘下企業に10月1日付で譲渡すると発表した。譲渡価額は500億円(株式譲渡398億円、ほかに貸付債権、有利子負債などを含む)。電気自動車の普及加速などに対応して成長領域の自動車機器事業に経営資源を集中するのが狙い。

事業譲渡先はインテグラルが100%出資して7月末に設立したSDRSホールディングス(東京都千代田区)。

サンデンHDは自動車機器事業と流通システム事業を経営の両輪とする。自動車業界は電気自動車や自動運転車に代表される100年に一度の大変革期に突入し、業界構造が大きく変化する中、自動車機器事業は競争力向上が急務になっている。一方、流通システム事業も顧客ニーズの変化や労働人口の減少を背景に、コンビニの24時間営業や物流業界の再配達などに関わる社会問題の解決が求められている。しかし、自動車機器、流通システムの両事業に対して、成長加速のために十分な経営資源を投入することは難しいと判断し、流通システム事業の譲渡を決断した。

自動車機器事業では電動コンプレッサーやヒートポンプ、水加熱電気ヒーターなどの空調領域の強化に加え、バッテリーやモーターなどの機器の温度管理領域への展開に力を入れている。

 

VTホールディングス<7593>、独VW・アウディの自動車ディーラーを子会社化

◆VTホールディングスは、外国車ディーラーの光洋自動車(北海道北見市。売上高31億円、営業利益1億5600万円、13億9000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。

光洋自動車は1976年に設立し、北見市、旭川市、札幌市で独フォルクスワーゲン(VW)と独アウディの正規ディーラーとして、VW3店舗、アウディ2店舗を運営する。

取得価額は非公表。取得日は2019年8月6日。

 

SANKYO<6417>、毒島会長の資産管理会社マーフコーポレーションにゴルフ場運営・不動産事業を譲渡

◆SANKYOは子会社の三共クリエイト(東京都渋谷区)からゴルフ場運営事業と不動産賃貸事業の一部を承継するために設立する新会社2社の全株式を、マーフコーポレーション(東京都港区)に譲渡することを決議した。マーフコーポレーションはSANKYO会長の毒島秀行氏の資産管理会社で、SANKYO株式の34.92%を保有する筆頭株主。経営資源をパチンコ・パチスロの遊技機関連事業に集中する一環。

三共クリエイトは群馬県高崎市内にゴルフ場「吉井カントリークラブ」を保有するほか、SANKYO本社ビルなどグループ内使用の不動産(群馬県高崎市)を保有・管理運営する。吉井カントリークラブと、不動産事業を会社分割によりそれぞれ10月1日付で新会社に移管したうえで、両社の全株式をマーフコーポレーションに譲渡する。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2019年10月1日。

 

ティーライフ<3172>、日本ヘルスケアアドバイザーズから一般漢方製剤の通販事業を取得

◆ティーライフは、日本ヘルスケアアドバイザーズ(東京都港区)から一般用漢方製剤の通信販売事業を取得することを決議した。ティーライフは健康茶や化粧品などを中心に通販事業を手がけるが、今回の事業取得を通じて、伸び代のある医薬品の販売拡大が期待できるとしている。当該事業の業績は売上高3億7200万円、営業利益△2億7100万円。取得価額は非公表。取得日は2019年9月1日。

 

エボラブルアジア<6191>、ディスカウントチケットのナショナル流通産業を子会社化

◆エボラブルアジアは、各種商品券などディスカウントチケット事業を手がけるナショナル流通産業(大阪市。売上高137億円、営業利益7290万円、純資産977万円)を株式交換により、子会社化することを決めた。

ナショナル流通産業の前身の旧ナショナル流通産業は2017年4月に民事再生を申し立てて、同名の新会社を設立したうえで事業を譲渡した。

株式交換比率は未確定。株式交換予定日は2019年8月30日。

 

九州フィナンシャルグループ<7180>、総合リース業のJR九州フィナンシャルマネジメントを子会社化

◆九州フィナンシャルグループは傘下の肥後銀行を通じて、JR九州傘下で金融サービス会社のJR九州フィナンシャルマネジメント(JFM、福岡市。売上高53億2000万円、営業利益1億8600万円、純資産18億8000万円)の株式90%を取得し、子会社化することを決めた。取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月2日。

JFMは1988年に設立し、総合リース事業のほか、JR九州向けにキャッシュマネジメントサービス事業と財務シェアードサービス事業を手がけている。このうち、総合リース以外の2事業は10月1日付でJR九州のグループ子会社に移管したうえで、総合リース事業に専念することになっている。九州フィナンシャルグループはJR九州グループから総合リース事業を取り込み、地域総合金融機能の向上を目指す。

 

アクセル<6730>、ソニーネットワークコミュニケーションズ傘下で画像処理技術のモーションポートレートを子会社化

◆アクセルは、ソニーネットワークコミュニケーションズの全額出資子会社で画像認識に関する技術開発を手がけるモーションポートレート(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決議した。人工知能の一つである機械学習領域の事業を加速するのが狙い。

モーションポートレートはソニー木原研究所の出身者を中心に設立し、画像認識や画像処理の技術開発力を強みに、静止画から自動的にアニメーションを生成する「MotionPortrait」技術によるIP(知的財産権)ライセンスや開発支援サービスを提供している。

取得価額、取得予定日は非公表。

 

デファクトスタンダード<3545>、wajaの電子商取引事業を取得

◆デファクトスタンダードは、EC(電子商取引)運営のwaja(東京都港区)から主要事業を取得することを決議した。取得するのは、バイヤーが現地で仕入れた商品を販売する「WORLDROBE」、ブランド公式出店のマーケット「REASONアウトレット」、ファッションアイテムの寄付と買い物で社会貢献できる通販サイト「FASHION CHARITY PROJECT」、マーケットモール「waja」の運営。当該事業の売上規模は5億1500万円。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年9月1日。

 

昭文社<9475>、グアムのマリンスポーツ会社APRA DIVE & MARINE SPORTSの全事業を取得

◆昭文社はグアム子会社を通じて、現地のマリンスポーツ会社APRA DIVE & MARINE SPORTS, INC.の全事業を取得することを決めた。昭文社は今年5月、グアムにジェットスキー、パラセーリングなどアクティビティー事業やリゾート施設からなる「グアムオーシャンパーク(GOP)」を全面開業した。2001年に設立以来、マリンスポーツ分野で実績を積んできたAPRAの事業を取り込み、現地でのサービス体制を充実させる。取得価額は非公表。取得日は2019年8月2日。

GOPの運営にあたり、これまでAPRAと外注関係にあった。GOPのビーチは遠浅のため、引き潮時はジェットスキーやバナナボートなどが実施できないことから、その場合はAPRAへ送客していた。また、APRAはGOPのあるアガニャ湾では実施できないパラセーリング可能な場所を保有する。APRA の事業取得により、各種アクティビティーについて内製化・ 自社催行化が可能となり、収支の向上に寄与すると判断した。

 

アイビーシー<3920>、ナビプラスからセキュリティー事業を取得

◆アイビーシーは、IT関連のナビプラス(東京都渋谷区)からセキュリティー事業を取得した。対象事業は脆弱性診断サービス、Webサイトの身元証明などに必要となるSSL証明書クーポン販売など。サイバーセキュリティー脅威の高まりに対応してサービス体制を拡充する狙い。取得価額、取得日は非公表。

 

第一交通産業<9035>、戸畑タクシーの事業を取得

◆第一交通産業は戸畑タクシー(北九州市)のタクシー事業(タクシー26台を保有)を7月23日付で取得した。これにより、北九州市内では既存のグループ8社608台と合わせて保有634台となる。

 

アイモバイル<6535>、「パズルde懸賞」シリーズなどスマホゲームアプリのオーテを子会社化

◆アイモバイルは、スマートフォン向けアプリの企画・開発などのオーテ(東京都北区。売上高1億4800万円、営業利益7500万円、純資産1億300万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

オーテは2014年に設立。「パズルde懸賞」シリーズを中心に「ナンプレde懸賞」「クロスワードde懸賞」などのスマホ用ゲームアプリを提供している。アイモバイルは自社のインターネット広告事業のノウハウを生かし、オーテの保有するアプリ内での広告収入の収益性向上などにつなげる。

取得価額は5億円。取得予定日は2019年8月9日。

 

サーラコーポレーション<2734>、イワキ傘下の動物医薬品卸2社を子会社化

◆サーラコーポレーションは、イワキ子会社で動物用医薬品の卸売りを手がけるホクヤク(札幌市。売上高8億1400万円、営業利益700万円、純資産△1000万円)、エイ・エム・アイ(千葉県山武市。売上高12億5000万円、営業利益2100万円、純資産1億5200万円)の2社の全株式を取得し、子会社化することを決議した。北海道への進出の足掛かりとする一方、関東地区での事業強化が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2019年9月2日。

 

伊藤忠テクノソリューションズ<4739>、インドネシアのIT企業Nusantara Compnet Integratorなど2社を子会社化

◆伊藤忠テクノソリューションズは、インドネシアのIT企業PT. Nusantara Compnet Integrator(ジャカルタ。売上高72億7000万円、純資産17億6000万円)など現地2社の株式それぞれ70%を取得し子会社化することを決めた。取得価額は未確定。取得予定日は2019年9月。

今回子会社化するのはNusantara Compnet のほか、PT. Pro Sistimatika Automasi(ジャカルタ。売上高3億3000万円、純資産8700万円)。両社ともシステム構築とアプリケーション開発を主軸とする。なかでもNusantara Compnetはインドネシア全土に33拠点からなる保守ネットワークを持つ。

伊藤忠テクノは現地有力2社を傘下に取り込み、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域でも市場規模の大きいインドネシアでの事業拡大につなげる。

伊藤忠テクノは現在、ASEANでマレーシア、シンガポール、タイ、インドネシアの4子会社を通じて、金融、政府・公共機関を中心に現地企業や日系企業にITサービスを提供している。

 

クオールホールディングス<3034>、医薬品製造販売の藤永製薬を子会社化

◆クオールホールディングスは、医療用医薬品を製造販売する藤永製薬(東京都千代田区。売上高17億6000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。医薬品の製造販売事業へ本格参入するのが狙い。藤永製薬は1941年に設立。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月8日。

 

ジェイ・エス・ビー<3480>、学生向け賃貸マンション事業の東京学生ライフなど3社を傘下に

◆ジェイ・エス・ビーは、学生向けに賃貸マンションの管理・運営を手がける東京学生ライフ(東京都渋谷区。売上高2億2300万円、営業利益500万円、純資産6000万円)など3社を買収することを決議した。3社は大株主が共通し兄弟関係にある。それぞれの全株式を取得し、8月30日付で子会社化する。取得価額は非公表。

買収するのは東京学生ライフのほか、学生向け賃貸マンション管理の湘南学生ライフ(神奈川県藤沢市。売上高4700万円、営業利益200万円、純資産600万円)、広告制作のケイエルディ(東京都杉並区。売上高4800万円、営業利益300万円、純資産1600万円)。

ジェイ・エス・ビーは関西を地盤に学生マンション事業の運営を主力とする。今回3社を傘下に取り込むことで、未出店エリアでの事業拡大、未提携の教育機関との関係構築などの相乗効果を期待している。

 

京成電鉄<9009>、茨城県内を地盤とする関東鉄道をTOBで子会社化

◆京成電鉄は31日、茨城県内を中心に鉄道事業やバス事業を手がける関東鉄道(茨城県土浦市)に対し、子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。買付価格は1株あたり500円。買付予定数は709万5544株で、予定通り買い付けられれば、出資比率は現在の30.09%(間接所有を含む)から約99%に高まる。買付代金は最大35億4700万円。買付期間は8月1日から10月1日まで。

関東鉄道は茨城県内と千葉県の一部を事業エリアとする。同社は1922年に鹿島参宮鉄道として設立され、1965年に常総筑波鉄道と合併し、現在の社名となった。京成鉄道は旧鹿島参宮鉄道、旧常総筑波鉄道とそれぞれ資本関係があり、1992年以降、関東鉄道を持分法適用関連会社としている。

京成電鉄は関東鉄道とこれまで、営業・安全施策で情報交換、資材の共同購入、大規模自然災害時の復旧支援、高速バスの共同運行などの緩やかな連携を行ってきた。グループの経営体制を強化するためには子会社化を通じた強固な協力関係の構築が必要と判断した。

決済日は10月8日。買付の決済は、みずほ証券。

 

日本産業パートナーズ、防衛装備品などの日本アビオニクス<6946>をTOBで子会社化へ

◆事業再生型ファンドの日本産業パートナーズ(東京都千代田区)は、NEC傘下で防衛装備品などを手がける日本アビオニクス(東証2部)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化すると発表した。親会社のNECは保有する全株式(所有割合50.11%)についてTOBに応募する。日本アビオニクスはTOBに賛同している。買付期間は20営業日とし、12月中旬からのTOB開始を目指している。日本アビオニクスの上場は維持する。

買付主体は日本産業パートナーズ傘下のNAJホールディングス。買付価格は1株につき1100円。TOB公表前日の終値1223円に対して10.06%のディスカウント。買付予定数の上限は155万6500株(所有割合55.12%)で、NECが保有する株式数を下限とする。買付代金は最大17億1200万円。

日本アビオニクスは1960年、防衛用や一般産業用電子機器に使われる部品などの製造販売を目的に、米ヒューズ・エアクラフト・カンパニーとの合弁で日本アビオトロニクスとして発足。1980年に日本アビオニクスに社名変更した。1988年に東証2部に上場した。

近年、宇宙・防衛市場では防衛省が防衛装備品の調達は国内メーカーから海外メーカーへシフトを進めており、国内メーカーの劣勢が今後も予想される。日本アビオニクスの業績も2019年3月期まで2年連続で営業赤字に陥っている。NECは日本産業パートナーズをパートナーとして迎え入れ、日本アビオニクスの事業立て直しを期待している。

 

ワコールホールディングス<3591>、米の女性用インナーウエア企画販売会社「Intimates Online」を子会社化

◆ワコールホールディングスは、米国の女性用インナーウエア企画販売会社Intimates Online, Inc.(IO、ニューヨーク。売上高12億4000万円、営業利益△3億9800万円、純資産8億2200万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

IO 社は2015 年に設立。「LIVELY(ライブリー)」ブランドを主軸に自社Eコマース(電子商取引)を主要販路としつつ、ニューヨーク・シカゴ市内には直営店舗も持つ。SNS(会員制交流サイト) をはじめ新しいデジタルメディアを顧客とのコミュニケーションツールとして活用する DNVB(デジタル・ネイティブ・ヴァーティカル・ブランド)と呼ばれる新興企業の一つ。

ワコールは同社をグループに迎え、ミレニアル世代の顧客を獲得し、Eコマース売上やデジタルマーケティング手法を通して将来の成長を取り込む考え。行く行くはワコールのネットワークを活用して、米国以外の地域への展開も視野に入れる。

取得価額は約91億8000万円。これに加え、業績の達成度に応じて条件付き取得対価(アーンアウト対価)をIO 社の現株式所有者に支払う条項を盛り込む予定。取得予定日は2019年8月2日。

 

アートネイチャー<7823>、女性用ウィッグ製造・販売のNAO-ARTを子会社化

◆アートネイチャーは、女性用ウィッグ(つけ毛)の製造・販売を手がけるNAO-ART(東京都千代田区。売上高9億600万円、営業利益1億5700万円、純資産2億8200万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。多様化する女性用市場のニーズに対応するため、新たな商品ブランドを獲得する。取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月1日。

 

Jストリーム<4308>、医薬系のインターネット関連事業を手がけるビッグエムズワイを子会社化

◆Jストリームは、医薬系のインターネット関連事業を手がけるビッグエムズワイ(東京都文京区。売上高13億2000万円、営業利益1億2100万円、純資産2億1000万円)の株式61%を追加取得し、完全子会社化することを決議した。

ビッグエムズワイは1994年に設立し、インターネットを活用して医師に医薬情報を提供するディテーリングの草創期から、関連するデジタルコンテンツの制作で実績を積んできた。近年はМR(医薬情報担当者)向けのCLМ(クローズド・ループ・マーケティング)のコンテンツ制作に力を入れている。

Jストリームは2018年7月に同社に出資した。自社の主力事業である医薬業界向けライブ映像配信事業とビッグエムズワイが提供するCLМコンテンツ制作などの事業との協業体制を築いてきた。今回の子会社化で事業の深化と業容拡大を推し進める。

取得価額は3億5400万円。取得予定日は2019年8月30日。

 

メルカリ<4385>、プロサッカーチーム「鹿島アントラーズ」を子会社化

◆メルカリは、プロサッカーチーム「鹿島アントラーズ」を運営する鹿島アントラーズ・エフ・シー(茨城県鹿嶋市。売上高73億3000万円、営業利益5億8300万円、純資産21億6000万円)の株式61.6%を取得することを決議し、日本製鉄と株式譲渡契約を締結した。メルカリは2017年からスポンサーとして鹿島アントラーズにかかわってきたが、関係をより強固にするため、子会社化によって経営に参画する。取得価額は15億9700万円。取得予定日は2019年8月30日。

鹿島アントラーズは1991年10月、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)参加球団の一つとして、住友金属サッカー団を母体に発足した。国内3大タイトル(J1リーグ、Jリーグカップ、天皇杯全日本サッカー選手権大会)で最多優勝回数を誇る。2018年にはアジアでのナンバー1クラブを決めるAFCチャンピオンズリーグで優勝するなど、日本だけでなくアジアを代表するサッカークラブとして知られる。

 

日本M&Aセンター<2127>、OKINAWA J-Adviser(沖縄県名護市)から「J-Adviser」事業を取得

◆日本M&Aセンターは、地域振興支援サービスや株式上場支援サービスを手がけるOKINAWA J-Adviser(沖縄県名護市)から「J-Adviser」事業を取得することを決めた。日本M&Aセンターは7月半ば、TOKYO PRO Market(TPM)で上場審査や上場維持のための助言・指導を行うJ-Adviser資格を取得した。TPMの創成期からJ-Adviserとして実績とノウハウを持つ OKINAWAから当該事業(売上高は約1億円)を譲り受けることによって、新たに開始したJ-Adviser 事業の早期立ち上げと収益基盤の構築につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月31日。

 

大阪ガス<9532>、米シェールガス開発「サビン」を約650億円で買収

◆大阪ガスは29日、シェールガス開発会社の米サビン オイル&ガス コーポレーション(テキサス州)を買収すると発表した。米子会社を通じて全株式を取得する契約を締結した。米のシェールガス開発会社を傘下に収めるのは日本企業として初めて。取得価額は約650億円。年内に買収完了を見込む。大阪ガスは米国でフリーポートLNG(液化天然ガス)事業、発電事業に続く3本目の柱として育成する。

サビンは米テキサス州東部に琵琶湖の1.5倍に相当する約1000平方キロメートルの鉱区を保有し、現在約1200本の井戸からLNG換算で年間約170万トン相当のガスを生産している。大阪ガスは2018年7月にサビンが保有する鉱区の約半分にあたる東側のガス田権益35%を取得しているが、今回の買収で西側も含めてサビンが持つ全鉱区を所有することになる。

 

デジタルハーツホールディングス<3676>、ソフトウエアテスト事業の米LOGIGEAR CORPORATIONを子会社化

◆デジタルハーツホールディングスは、ソフトウエアテスト事業やテスト自動化支援を手がける米LOGIGEAR CORPORATION(カリフォルニア州。売上高12億9000万円、当期純利益1100万円、純資産2900万円)の株式51%を第三者割当増資などで取得し、子会社化することを決議した。

LOGIGEARはソフトウエアテスト業界の権威とされるHung Q. Nguyen氏が1996年に設立したテスト自動化の有力企業。同社はシリコンバレーの最先端技術を結集した独自のテスト自動化ツール「TestArchitect」を展開し、ベトナムのオフショア拠点(ホーチミン)では約 500人のテスト自動化エンジニアを抱える。

デジタルハーツはシステムテストサービス事業を経営の柱の一つに育成中。LOGIGEARを傘下に取り込むことで、電子商取引や自動車など自動化と親和性の高い大規模かつ継続的なテスト案件の獲得に注力する。

取得価額は8億6700万円。取得予定日は2019年8月1日。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[事業承継・M&A専門家によるコラム]

個人版事業承継税制の創設 ~事業承継に活用したい手法~

 

〈解説〉

ビジネス・ブレイン税理士事務所(畑中孝介/税理士)

 


日本の中小企業では事業承継が喫緊の課題となっています。

 

社長の平均年齢は68歳となり、このまま何もしないと127万社もの
中小企業が消滅するかもしれないということで平成30年度税制改正で
特例事業承継税制が創設されました。

 

この特例事業承継税制は、相続税贈与税の全額猶予や雇用確保要件の緩和、
倒産廃業時の価格の引き下げなど懸案事項を大幅に改善され、
事業承継計画の申請件数は例年の約10倍と一気に事業承継税制の適用が増加しています。

 

また、特例事業承継税制の創設が契機となりM&Aなどの事業承継も
一気に加速した感じがあります。
(私の肌感覚では以前の2-3倍の案件が進捗し始めたイメージです)

 

一方で上記の対策は法人に限定されており個人事業者は置き去りにされていました。

法人と異なり事業資産と家計資産が明確に分離されていないなどの懸念点があったためです。

 

しかし、個人事業者209万人のうち150万人(73%)が
70歳以上と高齢化は法人事業者より深刻でして、それに対し平成31年税制改正では
個人版事業承継税制が創設されることになりました。

 

基本的には法人版の事業承継税制と同様のフレームワークとなっています。

 

 

・承継計画は5年間で提出

 

・贈与相続開始期間は約10年間

 

・事業用資産は、土地建物は一定面積まで、その他の減価償却資産は
 青色申告書に添付されているBSに計上されたもの

 

・中小企業経営承継円滑化法の認定が必要

 

・計画には認定支援機関の認定が必要

 

・特定事業用宅地等との併用不可

 

・法人版と異なり事業制限なし(法人版は医療法人税理士法人等は適用不可)

 

・その他全額納税猶予・減免措置などは法人版事業承継税制とほぼ同じです。

 

 

相続後の取り扱いや個人事業との線引きの難しさなどもありますし、
特定事業用宅地の特例との選択などもありますので、
法人版事業承継より若干使いにくい感じがします。

 

法人税率は30%弱まで下がっていますので、将来的な問題まで考えると
個人的には法人化のメリットがあるのではないかなと思っています。

 

 

「ビジネスブレイン月間メルマガ(2019/07/09号)」より一部修正のうえ掲載

[初級者のための入門解説]

中小企業におけるM&Aの利用方法は?  ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」⑤~

 

M&A実務の基礎ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『M&A超入門』」シリーズ。

今回は、「中小企業におけるM&Aの利用方法は?」について解説いたします。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  植木康彦(Ginza会計事務所)

 

 

売り手サイド

M&Aによる売り手の目的としては、選択と集中によるノンコア事業の売却、事業再編、事業売却による資金調達、事業の売却によるリタイヤなどがありますが、最近は事業承継がらみのケースが多く発生しております。

 

事業承継でM&Aを選択するのは、親族や役員・従業員の中に後継者がいない場合に、事業自体をM&Aで売却するときに利用されます。

 

我が国経営者の平均引退年齢は70歳超と言われていますが、その中小企業経営者は245万人(全中小企業者の60%)で、その半数の127万人が廃業を予定していると言われています。廃業予定の理由としては、そもそも後継者がいない、あるいは後継者がいても継いでくれない、が多数を占め、更に残念なことは廃業予定者のうち30%程度は健全な会社が存在することです。

 

いわずもがな我が国経済は中小零細企業によって支えられていると言っても過言でなく、中小零細企業の減少はやがて日本株式会社の終焉を意味する大問題です。

 

他方、いつの時代にもやる気のある起業家や元気な企業が存在することも事実であり、かれらとうまくマッチングできれば廃業を免れることも可能となるのです。

 

 

 

買い手サイド

M&Aの買い手は、一昔前はファンドが多かったようですが、今日では事業会社や個人起業家など、プレーヤーが多様化しています。それでは買い手の目的は、何でしょうか。一般的には以下のように言われております。

 

 

①新規の事業目的

既存の企業が事業を多角化しようとする場合、あるいは、事業ポートフォリオの組み換えをする場合、ゼロから事業を始めるよりも既に得意先やスタッフを抱えた事業を取得する方が容易です。特に、参入障壁が高い事業領域ではM&Aでないと参入できないケースがあります。

 

例)ソフトバンクによるボーダフォンジャパン買収による携帯電話事業への参入

 

 

②関連事業の拡大目的

川上又は川下への参入(アパレルによる小売事業への参入)、商品やサービスの拡充を目的としたM&Aがあります。

 

例)家電量販店ビックカメラによるコジマの買収による広い地域での店舗展開

 

 

③ブランド、許認可目的

ブランドや許認可の取得は容易ではないので、保有する企業自体を取得するM&Aがあります。

 

例)コンビニエンスストアのローソンによる成城石井の買収により、成城石井ブランドにより富裕層地域への出店

 

 

④人員目的

ますます雇用の確保が難しくなってきており、優秀な人員の確保を目的としてM&Aをする例が多くなっています。

 

例)IT技術者の雇用確保を目的としたM&A

 

 

M&A仲介会社とマッチングサイトの使い分け

M&Aをする場合、検討すべき項目として費用と手間があります。

 

M&A仲介会社に依頼すると500万円~2000万円以上の費用がかかるので、費用の捻出が難しい場合や売り手企業の事業規模が小さい場合には、日本税理士会連合会の運営する「担い手探しナビ」、国が営む「事業引継ぎ支援センター」、トランビ等の民間のマッチングサイトの利用が検討されます。

 

しかしながら、M&Aに際して、M&A仲介会社を利用するのは一般的な方法です。M&A仲介会社は、M&Aマーケットに広いネットワークを有しているので、売り手、買い手共に短時間のうちに相手先を探してもらうことができ、売買交渉やデューデリジェンス、バリエーション、売買契約までフルパッケージでしっかりと支援してもらえる場合が多いと言えます。他方で、専門家をフルに活用するのでそれなりの費用がかかり、今日まで中小企業のM&Aが活性化してこなかった理由が費用面にあると言っても過言ではありません。

 

マッチングサイトとは、主にインターネット上で、売り手と買い手がそれぞれM&A情報を掲載し、手軽に、かつ安価なコストで、自分自身で相手先を探せる場所(サイト)です。端的に言うと、売り手は、まずノンネームといわれる情報(対象会社が特定できないように、業種、地域、おおよその年商のみ)を掲載して買い手からの応募を待ち、買い手は、業種や地域を絞った上で希望するM&A候補を探すことができます。売り手と買い手がうまく出会えた場合は、次のステップとして更に詳細な情報を交換して、お互いの希望がマッチすれば売買条件を詰め、最終的に売買契約(M&A)に至りますが、専門家の関与が少なければ少ないほどコストは安価ですむので、中小企業のM&Aに適していると言えます。そうはいっても、多くの中小企業者はM&Aの経験が無く知見が足りない場合が多いので、マッチングサイトを提供する会社や組織は、公認会計士・税理士やM&Aアドバイザリー等、各種専門家と提携していて、マッチングの場の提供だけでなく、売買交渉やデューデリジェンス、バリエーション業務を支援するケースもあります。

 

日本税理士会連合会の運営する「担い手探しナビ」は、マッチングサイトの一種ですが、誰でも参加できるわけでなく、税理士を通して行う点に特徴があります。もともとは北陸税理士会が行っていたサービスを好評につき全国版に拡大し2018年10月から運用を開始したもので、システム利用料も無料のため、利用の拡大が期待されています。「担い手探しナビ」は、クライアントを良く知る税理士が関与することで安心感が得られ社会的にも大きな意義があります。また、日本M&AセンターはM&A仲介会社として知名度の高い会社ですが、中小企業向けのマッチングサービスとして「Batonz」を始めており、注目を集めています。

 

M&Aアドバイザリー(仲介会社やマッチングサイト)のそれぞれの特徴と費用のイメージは以下のとおりです。

 

 

 

M&Aはだらだら時間をかけてするものではありません。

期限を設けて迅速に行う必要があるので、上記の複数の方法によってM&Aを行う場合もあります。

 

 

 

 

 

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「適格合併における従業員引継要件」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】適格合併の適否及び被合併法人の未処理欠損金の引継ぎ制限

■【Q&A】合併における税制適格要件について

 

 

 


[質問]

「A社」は「B社」を吸収合併する予定です。株式保有は50%超(100%ではない)で、適格要因として「金銭不交付要件」「支配関係継続要件」「事業継続要件」は満たしています。しかし、「従業者引継要件」を満たすかどうかの判断で悩んでいます。「A社」と「B社」の雇用形態が異なるので「B社」の従業者は合併までに一度退職金を支払って退職してもらい「A社」で再雇用をしたいと思います。何か良い方法(適格要件を満たす)はあるのでしょうか。

 

[回答]
1 適格合併

(1) 適格合併の要件

法人税法上、次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないものは適格合併に該当します(法人税法2十二の八)。

 

イ その合併に係る被合併法人と合併法人との間に完全支配関係がある場合の当該合併(法人税法2十二の八イ、法人税法施行令4の3②)。

ロ その合併に係る被合併法人と合併法人との間に支配関係がある場合の当該合併のうち、「所定の要件」を満たすもの(法人税法2十二の八ロ、法人税法施行令4の3③)。

ハ その合併に係る被合併法人と合併法人とが共同で事業を行うための合併として法人税法施行令第4条の3第4項に掲げる要件(共同事業要件)の全てに該当するもの(法人税法2十二の八ハ、法人税法施行令4の3④)。

 

(2) 従業者引継要件

上記(1)ロの「所定の要件」及びハの共同事業要件の一つに、いわゆる「従業者引継要件」があります。

 

具体的には、合併に係る被合併法人の当該合併の直前の「従業者」のうち、その総数の概ね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていることを、その要件としています(法人税法2十二の八ロ(1)、法人税法施行令4の3④三)。

 

ここで、「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併の直前において被合併法人の合併前に行う事業に現に従事する者をいうものとされています(法人税基本通達1-4-4)。

 

2 合併契約

会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない(会社法748①)。

吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継するものとされています(会社法750)。

 

3 お尋ねについて

お尋ねによれば「被合併法人であるB社と合併法人であるA社との間には支配関係があり」、「金銭不交付要件、支配関係継続要件及び事業継続要件を満たしている」とのことですので、お尋ねの合併が適格合併に該当するためには、従業者引継要件を満たす必要があります。以下、適格合併における「従業者引継要件」の考え方をお示しします。

 

(1) 会社法においては、吸収合併が行われた場合、その合併により消滅する法人(被合併法人)の権利義務の全部は、合併の効力発生日において、合併後存続する法人(合併法人)に承継されますので(会社法750)、当該合併に際し特段の合意がない限り、被合併法人の従業者の地位も合併法人に承継されることになります。

 

お尋ねの合併においては、合併の日の前日に被合併法人B社の全従業者は、B社を退職して雇用契約を終了し、雇用契約は合併法人A社に承継されないことから、形式的にはA社はB社の従業者を引き継いでいないことになります。

 

 

(2) 法人税法における従業者引継要件においては、「合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること」と規定している(法人税法施行令4の3④三)ことから、文理上、当該被合併法人の従業者の地位、具体的には被合併法人の従業者の権利義務や当該被合併法人の従業者と被合併法人との間の雇用契約等が必ずしも合併法人に承継されることまでをその要件とはしていないものと考えられます。

 

また、従業者引継要件における「従業者」とは、「役員、使用人その他の者で、合併の直前において被合併法人の合併前に行う事業に現に従事する者」とされている(法人税基本通達1-4-4)ことから、その従業者がその合併の直前の従業者に該当するか否かを判断するに当たって、雇用契約の有無といった契約形態は直接には関係がないものと考えられます。

 

 

(3) (1)及び(2)のことから、被合併法人の従業者の雇用契約等が合併法人に承継されるか否かということとは関係なく、被合併法人の合併の直前の従業者の総数のおおむね80%以上に相当する者が合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれているのであれば、従業者引継要件を満たすと考えられます。

 

したがって、お尋ねの場合、「B社の従業者は合併までに一度退職金を支払って退職してもらい、A社で再雇用する予定」とのことですので、合併の前日までに被合併法人であるB社とその従業者との間の雇用契約等は終了(退職)するものの、合併後において、被合併法人の合併の直前の従業者が引き続き合併法人であるA社の業務に従事することが見込まれていますので、従業者引継要件を満たすものと考えて差し支えないものと思われます。

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2019年6月12日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[中小企業経営者のためのワンポイント解説]

「親族外承継における課題」~コンサルティングという観点からの『事業承継』とは?⑤~

 

コンサルティングという観点からみた「事業承継」と題した5回目として、第1回でご紹介したタイプB(健全性は高いものの親族内後継者がいない会社)に着目します。タイプBは、親族外の役員・従業員へ承継するケースと、第三者へ売却するケースに分けられますが、今回は、親族外の役員・従業員へ承継するケースをご紹介いただきます。

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 関場靖人/公認会計士

 


【親族外の役員・従業員への承継】

親族の中に適切な後継者がいない場合、役員又は従業員の中から後継候補者を選んで承継させることが考えられます。親族外の役員に経営を委任し、所有権(自社株式)は引き続き保有し続ける場合(所有と経営の分離)も考えられますが、機動性の低下、経営者のモチベーションや将来オーナーに生じる相続等の問題から、所有と経営の一致を維持するのが望ましいと言われています。所有と経営を一致させることは、会社の支配権を移転することを意味するため、その手法として株式譲渡が典型です。親族外の役員へ株式譲渡する手法(自社株式の買取)を「MBO(ManagementBuyout)」、従業員へ株式譲渡する手法を「EBO(EmployeeBuyout)」などといいます。

【親族外承継における課題】

親族外承継において最も課題として以下の2つがあります。
①自社株式の買取資金に関する課題
健全性の高い会社においては、自社株式が高く評価されるため、後継者が当該自社株式を買い取るだけの資金力を有さず、自社株式の買取ができない場合があります。この場合、「経営承継円滑化法の金融支援(融資・保証制度)」「贈与税の納税猶予制度」などの解決方法があります。

 

例えば、上記で挙げたMBO、EBOでは、役員又は従業員が新会社を設立し、その会社がオーナー経営者から株式を買い取るという手法が用いられます。この際、新会社には資金力がないことから、金融機関等の資金面での協力が必要となり、この点において、経営承継円滑化法の金融支援制度が活用されています。

 

なお、上記贈与税の納税猶予について、平成30年度税制改正により「事業承継税制の特例措置」が創設されており、当該特例措置については、以前に解説した「事業承継税制の特例~『特例承継計画』について解説」もあわせてご参照ください。

 

②借入金の経営者個人保証の引継ぎに関する課題
 経営者の個人保証額は、当該個人が保有する資産額を上回っているケースが多く、経営者は無限責任とも言える重い責任を負担しています。この個人保証を引き継ぐことが、後継者の事業承継意欲を阻害する一因といわれます。親族内承継の場合、先代経営者から親族へ一定の資産が相続されることから、親族外承継の方が不安に感じる傾向があります。

 

この点について、平成26年2月1日より、中小企業の融資における合理的な保証契約の在り方を示した自主的なルールとして、「経営者保証ガイドライン」が適用されています。そもそも経営者が個人保証を求められる背景は、資金調達の際に信用を補完することにありますが、中小企業では経営者と所有者が一致している場合が多く、法人と個人間における資産保有の区分が曖昧なケースが散見されることから、個人保証により経営規律を担保する意味合いも持っています。

 

そのため、経営者保証ガイドラインにおいては、「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」、「財務基盤の強化」、「財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保」がされた経営状態の会社が、保証契約の解除の申入れを行った場合に、債権者へ経営者保証を求めない可能性又は代替的な融資手法を活用する可能性を検討するように求めています。

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年2月21日)より再編集のうえ掲載

[解説ニュース]

令和元年分の路線価公表・地価上昇による相続税への影響

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(厚地満里 /税理士)

 

1.路線価4年連続上昇


国税庁は7月1日、令和元年分の路線価を記載した路線価図を同庁のホームページで公表しました。

http://www.rosenka.nta.go.jp/

 

全国の平均路線価は4年連続で上昇傾向にあり、その上昇率は前年対比で平成30年分の「+0.7%」を上回る「+1.3%」となりました。現在国税庁のホームぺージでは、平成25年分以降の路線価を確認することができます。

 

都道府県別の路線価では、19都道府県で前年より上昇しました。上昇率の上位を見ると、観光客数が増えている沖縄が8.3%と2年連続で全国トップ、2位は東京が4.9%、都市部の再開発が進む宮城が4.4%で3位と続いています。一方、路線価が前年より下落したのは27県で、内22県は下落幅が縮小しているものの、大都市圏や集客力のある観光地と、それ以外の地域との二極化の傾向が続いています。

 

2020年にオリンピック・パラリンピックの開催を控えた東京は、平均路線価が6年連続の上昇中で、訪日外国人の増加に加えて、再開発やホテルの建設が着々と進み、都心部で地価のバブル傾向が続いています。路線価の変動率を見ると、外国人観光客で賑わう浅草・雷門通りの上昇は前年対比で35%上昇と都内最高でした。大学キャンパスの進出が相次ぐ北千住駅前も大きく上昇、複数の路線が乗り入れる利便性の高さから、マンションの建設も続いています。

 

2. 土地の相続税評価額への影響


相続税・贈与税の宅地の評価額は、固定資産税評価額に評価倍率を乗じて算出する地域を除き、基本的には一平方メートル当たりの土地の評価額である路線価に地積を乗じて算出します。つまり路線価の上昇がそのまま相続財産の総額、そして相続税の納税に影響してきます。

 

ここ数年は商業地だけでなく、立地の良い住宅地でも毎年数万円単位で路線価が上昇してきました。現状の路線価ベースで相続税額を試算してみると、何年か前に試算した時より納税額が驚くほど増えていたというケースをよく見かけます。これまで手持ちの金融資産で何とか納税ができそうと考えていた方は、今改めて現状把握をしていただきたいと思います。

 

3.地価の上昇と小規模宅地の評価減の関係


小規模宅地の評価減の特例とは、相続人がその生活を維持するために欠くことのできない被相続人の自宅や事業用の土地を相続した場合に、土地の価額を一定の面積まで50%もしくは80%減額して評価することができる制度です。

 

例えば自宅の宅地の価額が1億円ですと、この制度の適用により価額の80%が減額されますので、相続税の課税対象となる宅地の評価額は2千万円になります。その効果は絶大である上に、現在のように路線価が高い時程、大きな効果を表します。小規模宅地の評価減の適用要件は事前に確認しておきたいところです。

 

4.最後に


空家や空地、その他子供や孫が今後引き継いでいくことが難しい物件があり、いずれは売却をと考えているようでしたら、地価が高騰して市場が動いている時は売却の好機です。相続税の納期限は相続開始から10か月しかありません。相続発生後に、納税のために物件を売却しようとしても、相続人間で話を取りまとめて換金に至るには余りに時間が短く、何よりその時市場が動いていなければ売却の目途が立ちません。問題を先送りしてタイミングを逸してしまわないように、家族でよく話し合い準備しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/08/05)より転載

[個人版事業承継税制 入門ガイド]

個人版事業承継税制とは?制度の概要や手続きをわかりやすく解説!

 

[監修]

税理士法人山田&パートナーズ 税理士 北澤淳 氏

 

【目次】

1、個人版事業承継税制とは?

2、どういった場合に適用を受けられるの?納税が必要になる場合とは?

3、猶予税額や納税額はどのように計算するの?

4、会社の事業承継税制とは何が違う?

5、適用を受けるための手続きは?

6、個人事業承継計画とは?いつまでに?どこに提出?

7、個人版事業承継税制に関する書類などはどこで入手するの?

8、個人版事業承継税制のおすすめ書籍は?

9、特定事業用資産とは?資産保有型事業とは?

~個人版事業承継税制で出てくる用語解説~

 

 

 

[関連解説]

■個人版事業承継税制 超入門ガイド(その1)~簡単な仕組みと適用を受けるまで~

■個人版事業承継税制 超入門ガイド(その2)~適用後の手続と注意点~

 

 

1、個人版事業承継税制とは?


Q、個人版事業承継税制とは、 どのような制度ですか?制度利用のイメージを教えてください。

 

A、後継者の事業用資産取得に係る贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者がさらに次世代の後継者に当該事業用資産を承継した場合等に、その猶予された税額が免除される制度です。

 

後継者が先代事業者から特定事業用資産を贈与・相続又は遺贈により取得した場合に、経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けたときは、特例受贈事業用資産(特定事業用資産のうち贈与税の納税猶予制度の適用を受けるものをいいます。)に係る贈与税又は特例事業用資産(特定事業用資産のうち相続税の納税猶予制度の適用を受けるものをいいます。)に係る相続税の100%について納税が猶予されます。

 

納税を猶予された後継者(2代目)は、さらに次世代の後継者(3代目)にその特例受贈事業用資産又は特例事業用資産(以下、まとめて「特例事業用資産等」といいます。)を承継すれば、その後継者(2代目)について猶予されていた贈与税・相続税は免除されます。

 

この個人版事業承継税制は、平成30年度税制改正により創設された非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度、いわゆる事業承継税制(特例措置)に準じて設けられています。

 

個人版事業承継税制の適用のイメージは、次のとおりです。

 

 

 

 

 

贈与により取得した場合には、まずはその特例受贈事業用資産に係る贈与税が猶予されます。

 

次に、贈与者(先代事業者)に相続が発生した場合には、その猶予された贈与税は免除されます。ただし、その事業用資産をその先代事業者からの相続により取得したものとみなして、相続税の課税対象になります。相続税の納税猶予の要件(被相続人の要件を除きます。)を満たしていることについて都道府県知事の確認を受けたうえで、相続税の申告をした場合には、その特例受贈事業用資産に係る相続税について猶予を受けることができます。

 

そして、納税を猶予された後継者(2代目)が次世代の後継者(3代目)にその特例受贈事業用資産を贈与により承継し、その次世代の後継者(3代目)が本税制の適用を受けたときや、その後継者(2代目)に相続が発生したときは、その後継者(2代目)について猶予されていた相続税は免除されます。

 

 

 

 

相続により取得した場合には、その特例事業用資産に係る相続税が猶予されます。

 

その後、贈与税の納税猶予の場合と同様に、納税を猶予された後継者(2代目)が次世代の後継者(3代目)にその特例事業用資産を承継し、その次世代の後継者(3代目)が本税制の適用を受けたときや、その後継者(2代目)に相続が発生したときは、その後継者(2代目)について猶予されていた相続税は免除されます。

 

 

 

2、どういった場合に適用を受けられるの?納税が必要になる場合とは?


Q、個人版事業承継税制の適用を受けるための条件について教えてください。また、どういった場合に納税する必要がありますか?

 

A、先代事業者に関する要件、後継者に関する要件のすべてを満たしていることが必要となります。
適用後は、事業継続している限りその納税は猶予されますが、事業を廃業した場合などには納税する必要があります。

 

(1) 個人版事業承継税制の適用要件

本税制が適用できるかどうかの判断にあたって、先代事業者の要件、後継者の要件をそれぞれ定めており、そのすべてを満たしていることが必要となります。

 

先代事業者、後継者のそれぞれの主な要件は以下の表のとおりです。

 

 

 

(2) 確定事由(納税が必要となる場合)

本税制の適用を受けた後、事業を廃止した場合や贈与・相続等により取得した資産を売却した場合などには、猶予された税額を納税する必要があります。

 

主な確定事由は以下の表のとおりです。

 

 

 

確定事由に該当した場合には、猶予された税額に加えて、利子税を納税しなければなりません。利子税は原則として年3.6%ですが、利子税の特例(貸出約定平均金利の年平均が0.6%の場合)を適用した場合には、0.7%とされます。

 

 

 

 

(3) 免除事由(納税が免除される場合)

本税制の適用を受けた後、後継者からさらに次の後継者に本税制を適用して事業用資産を贈与した場合や、適用を受けた後継者に相続が発生した場合には猶予された税額が免除されます。

 

主な免除事由は以下の表のとおりです。

 

 

 

本税制の適用を受ける贈与税・相続税の申告期限から5年経過後に、納税を猶予されている後継者(2代目)からさらに次世代の後継者(3代目)にその特例事業用資産等を贈与し、その次世代の後継者(3代目)が本税制の適用を受ける場合には、その後継者(2代目)について猶予されていた贈与税・相続税は免除されます。

 

そのため、後継者(2代目)は事業承継後、少なくとも5年間は事業を継続する必要がありますので、事業承継時に自己の強み・弱みを把握する取組みが必要となると考えます。

 

 

 

3、猶予税額や納税額はどのように計算するの?


Q、事業用資産を贈与により取得した場合の猶予税額及び納税額の計算方法を教えてください。

 

A、猶予税額及び納税額の計算にあたっては、次の3ステップにより計算します。

 

<ステップ1 >

その年分の贈与税の総額を計算します。

 

<ステップ2 >

後継者が、その年中に贈与された財産が本税制の適用を受ける資産のみと仮定した贈与税額を計算します(=猶予税額)。

 

<ステップ3 >

ステップ1の金額からステップ2の金額を差し引いた金額が納税額です。

 

なお、ステップ1及びステップ2の贈与税額については、暦年課税制度又は相続時精算課税制度のいずれかの方法により計算した金額を用います。

 

(1) 猶予税額計算(贈与)の3つのステップ

 

<ステップ1 (贈与税の総額)>
贈与を受けたすべての財産の価額の合計額に基づき贈与税額を計算します。

 

<ステップ2 (猶予税額)>
贈与を受けた財産がこの制度の適用を受ける特例受贈事業用資産のみであると仮定して贈与税額を計算します。

 

<ステップ3 (納税額)>
ステップ1により計算した贈与税額から、ステップ2により計算した贈与税額(猶予税額)を差し引いた金額が、その贈与に係る申告期限までに納付する金額となります。

 

 

(2) 負担付贈与である場合の注意点

贈与を受けた特定事業用資産のうち本税制の適用を受けるものの価額から、債務その他の負担の額を控除した金額が猶予税額の基礎とされます。

 

 

 

(3) 暦年課税制度による場合の注意点

暦年課税制度により贈与税を計算する場合、贈与税は累進税率となります。
事業用資産と非事業用資産を同じ年に贈与した場合には、非事業用資産に係る納税額が高額となるケースがありますので、注意が必要です。

 

例えば、下記のようなケースにおいては、贈与を受けた現金はいずれも500万円ですが、納税額は大きく異なります。
※贈与を受けた者は20歳以上で直系尊属からの贈与の場合

 

(例1) 現金500万円のみ贈与を受けた場合
納税額: (500万円-110万円)× 15%-10万円=48万5,000円

 

(例2) 現金500万円と事業用資産5,000万円の贈与を受けた場合
贈与税の総額: (500万円+5,000万円-110万円)×55%-640万円=2,324万5,000円

猶予税額: (5,000万円-110万円)× 55%-640万円=2,049万5,000円
納税額: 2,324万5,000円-2,049万5,000円=275万円

 

(4) 相続時精算課税制度による場合の注意点

相続時精算課税制度の特別控除額は、猶予税額を計算するうえでも考慮されます。そのため、非事業用資産について納税額が発生するケースがあります。

 

例えば、下記のようなケースにおいては、贈与を受けた現金に係る贈与税を納付する必要があります。

 

(例) 現金500万円と事業用資産5,000万円の贈与を受けた場合
贈与税の総額: (500万円+5,000万円-2,500万円)×20%=600万円
猶予税額: (5,000万円-2,500万円)×20%=500万円
納税額: 600万円-500万円=100万円

 

贈与税の納税猶予制度は、その年において生じた贈与税の支払いを猶予する制度です。したがって、特定事業用資産の価額の合計額が特別控除額相当額である2,500万円(その年の前年以前に既に相続時精算課税制度の適用を受けている場合には2,500万円から既に適用を受けた金額を控除した残額。)以下の場合には、その年において生じた贈与税額が0 円となりますので相続時精算課税制度を適用したうえでこの制度の適用を受けることは出来ません。

 

また相続時精算課税制度は一度選択したら撤回することができません。特定事業用資産の贈与年の翌年以後に同じ贈与者から贈与を受けた場合には暦年課税制度を選択することは出来ず、その贈与を受けた財産の価額の20%相当額を納税することになります。

 

4、会社の事業承継税制とは何が違う?


Q、会社の事業承継税制との相違点を教えてください。

 

A、会社の事業承継税制は納税猶予の対象資産が非上場株式等ですが、個人版事業承継税制の対象資産は事業用の土地や建物等、一定の減価償却資産である点が主な相違点です。

 

具体的な相違点は以下の表のとおりです。

 

 

 

5、適用を受けるための手続きは?


Q、個人版事業承継税制の適用を受けるための手続きを教えてください。

 

A、以下の4つのステップにより、適用を受けることができます。

 

(1) 個人事業承継計画を作成し、認定経営革新等支援機関からの指導及び助言を受けたうえで、都道府県庁への確認申請を行います。
(2) 先代事業者から後継者へ特定事業用資産の贈与・相続等を行います。
(3) (2)の後一定の期間内に、都道府県庁へ認定申請を行います。
(4) 都道府県庁から発行された確認書認定書を添付して、税務署に贈与税・相続税の申告をすることで本税制の適用を受けることができます。

 

 

本税制の適用を受けるにあたっては、基本的には「個人事業承継計画の作成」 「都道府県庁への確認申請」 「特定事業用資産の贈与・相続」「都道府県庁への認定申請」「税務署への申告」という流れになります。

 

(1) まずは先代事業者及び後継者が協力して個人事業承継計画を作成し、その個人事業承継計画について認定経営革新等支援機関からの指導及び助言を受けたうえで、先代事業者の納税地がある都道府県庁へ確認申請を行います。個人事業承継計画の提出期間は平成31年(2019年)4 月1 日から令和6年(2024年)3 月31日までの間に限られています。

 

(2) 平成31年(2019年)1 月1 日から令和10年(2028年)12月31日までの間に先代事業者から後継者へ特定事業用資産の贈与を行います(又は、後継者が相続等により取得します。)。なお、先代事業者からの贈与・相続の日以後1年間に限り、先代事業者と生計を一にする配偶者その他の親族等から特定事業用資産の贈与・相続等を受けた場合には、その贈与・相続等に係る贈与税・相続税も本税制の適用を受けることができます。

 

(3) (2)の後一定の期間内に、後継者の納税地がある都道府県庁へ認定申請を行います。
原則として、贈与税の納税猶予の適用を受ける場合には贈与があった年の10月15日から翌年1月15日までに、相続税の納税猶予の適用を受ける場合には相続開始の日の翌日から5か月を経過する日から8か月を経過する日までの間に、都道府県庁へ認定申請を行う必要があります。

 

(4) 都道府県庁から発行された確認書認定書を添付して、税務署に贈与税・相続税の申告をすることで本税制の適用を受けることができます。

 

 

なお、事業の状況や個人の状況は様々ですので、以下のような柔軟な対応が認められています。

 

● 特定事業用資産の贈与年と、個人事業承継計画の作成年が同じであれば、個人事業承継計画の確認申請と個人版事業承継税制の各種要件を満たしていることの認定申請は、同時に行うことができます。
● 個人事業承継計画が提出できる期間内であれば、先代事業者からの贈与・相続の後に個人事業承継計画を作成・提出することもできます。

6、個人事業承継計画とは?いつまでに?どこに提出?


Q、個人事業承継計画について教えてください。

 

A、本税度の適用を受けるには、「個人事業承継計画」を作成し、都道府県知事の確認を受ける必要があります。提出できる期限は令和6年(2024年)3月31日までとなっています。

 

(1) 本税制の適用を受ける場合には、個人事業承継計画を作成し、都道府県知事の確認を受ける必要があります。
(2) 個人事業承継計画には、事業承継前後の経営見通しを記載し、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受ける必要があります。
(3) 個人事業承継計画が提出できる期間は、平成31年(2019年) 4月1日から令和6年(2024年) 3月31日までとなっています。
(4) 個人事業承継計画は、都道府県知事の確認を受けた後でも、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けたうえで変更することができます。

 

(1) 対象者

本税制の適用を受けることが出来るのは、個人事業承継計画を作成し、その個人事業承継計画に記載された個人に限られています。

(2) 記載事項

先代事業者の氏名、後継者の氏名、事業承継するまでの経営見通し、事業承継をした後の経営見通しといった内容を記載します。
また、個人事業承継計画は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則」に定められているため、個人事業承継計画を提出できるのは中小企業者に限定されます。したがって、先代事業者が中小企業者に該当することを確認するため、従業員数についても記載が必要です。常時使用する従業員の数は、青色申告書の「給料賃金の内訳」等で確認します。
従業員数がゼロ人であったとしても、個人事業承継計画を提出することができます。

(3)提出期間

個人事業承継計画が提出できる期間は、平成31年(2019年) 4月1日から令和6 年(2024年) 3月31日までとなっています。
贈与・相続自体は、平成31年(2019年) 1月1 日から令和10年(2028年) 12月31日までに発生しているものが対象となりますが、個人事業承継計画は令和6 年(2024年) 3月31日までに提出する必要があります。これは、事業承継には時間がかかることから早期に事業承継に向けた準備に取り組んでもらう必要があるためです。
なお、個人事業承継計画の提出日が令和6 年(2024年) 3月31日までであれば良く、都道府県知事の確認を受ける日付は令和6年(2024年) 4月1 日以降となっても差し支えありません。

(4) 計画の変更

個人事業承継計画に記載された後継者を変更する場合には必ず変更申請を行わないといけません。変更申請を提出する際には、改めて認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受ける必要があります。なお、当初提出時とは別の認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けても構いません。
一方で、事業承継するまでの経営見通し、事業承継をした後の経営見通しについては、必ずしも変更申請を提出する必要はありません。ただし、当初は具体的な経営計画が記載されていなかった場合、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けたうえで、それを具体化するための計画の変更の手続きを行うことが求められます。

(5) 計画通りに実行できなかった場合

個人事業承継計画の確認を受けたにもかかわらず、事業用資産の贈与等を行わなかった場合においても、罰則はありません。
個人事業承継計画を提出した後も、(4)のとおり個人事業承継計画の変更は可能です。そのため、少しでも本税制の適用を受ける可能性があるのであれば、とりあえず個人事業承継計画の提出を行っておくことをおすすめします。

7、個人版事業承継税制に関する書類などはどこで入手するの?


中小企業庁ウエブサイトに以下の書類が掲載されております。

※最新の情報は必ず該当のホームページ等でご確認ください。

◇マニュアル

・「個人版事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の手続マニュアル」

 ◇申請手続関係書類

<個人事業承継計画(認定の申請にあたり必ず提出が必要です) >

・「個人事業承継計画(様式21の3)」

・「添付書類」

・「個人事業承継計画の変更届(様式24の3)」

※確認を受けた計画を変更する場合に使用します。

・「確認取消申請(様式25) 」

※確認の取消を申請する場合に使用します。

 

<認定申請(様式) >

(贈与の場合)

・「認定申請書(様式7の5)」

※先代事業者から後継者への贈与 (第一種贈与認定申請)

・「認定申請書(様式7の6)」

※生計一親族等から後継者への贈与 (第二種贈与認定申請)

 

(相続(遺贈)の場合)

・「認定申請書(様式8の5)」

※先代事業者から後継者への相続 (第一種相続認定申請)

・「認定申請書(様式8の6)

※生計一親族等から後継者への相続 (第二種相続認定申請)

 

 

<認定有効期間中の報告等>

・「随時報告書(様式第12の2) 」
※認定の有効期間中に認定の取り消し事由に該当した場合に使用します。

・「切替確認申請書(様式第17の2)」 
※贈与者の相続が開始した場合において相続税の納税猶予へ切り替えるときに使用します。

・「法人成り後の切替確認申請書(様式第17の3)」
※法人成り後、贈与者の相続が開始した場合において相続税の納税猶予へ切り替えるときに使用します。

 

 ◇申請窓口・お問い合わせ先

事業承継税制に関するお問い合わせ先・申請窓口は、申請企業の主たる事務所が所在している都道府県庁です。

「各都道府県の申請窓口・お問い合わせ先」よりご確認ください。

 ◇税務申告の際の手続きについて

贈与税・相続税の納税猶予を受けるためには、都道府県知事による認定を受けた後、税務申告の際に別途手続きが必要です。詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。

 国税庁「事業承継税制特集ページ」よりご確認ください。

 

 

中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_kojin_ninntei.htm)を加工して作成

 

 

8、個人版事業承継税制のおすすめ書籍は?


 

「Q&Aで理解する『個人版事業承継税制の仕組みと手続き』」がおススメです。

 

この解説コラムの監修を頂いた北澤先生(税理士法人山田&パートナーズ)がご執筆した書籍です。

 

中小企業庁にて、事業承継税制(特例措置)の創設を担当し、まさに、個人版事業承継税制の草案を作成された北澤先生が、個人版事業承継税制の制度概要をわかりやすくQ&A形式で解説した書籍です。個人版事業承継税制の全体像を把握するのに最適な書籍です。ぜひ、ご参考にしてみてください。

(※実は、今回の解説コラムもこの書籍を参考に作成しております)

 

今回の解説コラムでは紹介しきれいていない「主な適用要件」「担保の提供」「小規模宅地等の選択適用」「具体的な承継パターン」「適用に関する詳細な手続き」「ケーススタディ」等々も掲載されていています。

 

Amazonまたは税務研究会サイトにて購入できます。

 

 

 

 

 

 

 

各章の主な内容は以下のとおりです。

 

第一章 制度の概要として主な適用要件や猶予税額の計算方法等を説明しています。

第二章 適用手続きについて、手続きごとに提出書類・提出先・記載内容・留意点をまとめています。

第三章 猶予税額が免除される場合又は税額が確定する場合をそれぞれ解説しています。

第四章 ケーススタディとして、個人版事業承継税制と事業用宅地等の小規模宅地等の評価減の特例のどちらの制度を適用した方が有利か、相続人が子1人又は2人だった場合など事例ごとに検討を行っています。

巻末 参考資料として承継計画等の様式を掲載しています。

 

9、特定事業用資産とは?資産保有型事業とは?


[用語解説]
(1) 特定事業用資産

贈与者又は被相続人(当該贈与者又は被相続人と生計を一にする配偶者その他の親族を含みます。)の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業を除きます。)の用に供されていた次に掲げる資産で、当該贈与者又は当該被相続人の事業所得に係る青色申告書(租税特別措置法第25条の2第3項の規定の適用に係るものに限ります。)の貸借対照表に計上されているもの(棚卸資産に該当するものを除きます。)をいいます。

 

① 宅地等(士地又は士地の上に存する権利をいい、建物又は構築物の敷地の用に供されているものとして一定のものに限ります。)
…当該宅地等の面積の合計のうち400㎡以下の部分(小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、一定の計算式により計算した面積を控除した部分)。
② 建物
…当該建物の床面積の合計のうち800㎡以下の部分
③ 減価償却資産
…機械、器具備品、車両、船舶、構築物、無形償却資産(特許権等)、生物(乳用牛等、果樹等)その他の一定の資産をいいます。

 

(2) 資産保有型事業

贈与の日又は相続の開始の日の属する年の前年の1月1日から当該贈与に係る贈与税又は当該相続に係る相続税の全部について、免除事由又は確定事由に該当することとなった日までのいずれかの日において、次の①及び③に掲げる金額の合計額に対する②及び③に掲げる金額の合計額の割合が100分の70以上となる事業をいいます。

 

① その日における当該個人の貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額の総額(事業所得に係るものに限ります。)
② その日における当該個人の貸借対照表に計上されている特定個人事業資産の金額の合計額(事業所得に係るものに限ります。)

③ その日以前5年以内において、当該個人と特別の関係がある者が当該個人から受けた給与のうち、必要経費の額に算入されなかった金額

 

(3) 特定個人事業資産

特定事業用資産に係る事業所得の貸借対照表に計上されている資産のうち、次に掲げるものが該当します。

 

① 有価証券等
② 現に自ら使用していない不動産
申請者が所有している不動産のうち、現に自ら使用していないものです。太陽光発電設備を設置している不動産や販売用として保有する不動産は、特定個人事業資産に該当します。
③ ゴルフ会員権等
④ 絵画、貴金属等
⑤ 現預金その他これらに類する資産

(4) 資産運用型事業

贈与の日又は相続の開始の日の属する年の前年の1月1日から当該贈与に係る贈与税又は当該相続に係る相続税の全部について、免除事由又は確定事由に該当することとなった日まで期間内のいずれかの年における事業所得に係る総収入金額に占める特定個人事業資産の運用収入の合計額の割合が100分の75以上となる事業をいいます。

(5) 特定申告期限

次の①又は②のうち、いずれか早い日をいいます。

 

① 後継者が初めて個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除の適用を受ける贈与に係る贈与税の申告期限
② 後継者が初めて個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の適用を受ける相続又は遺贈に係る相続税の申告期限

 

 

【この解説を監修した税理士】


税理士 北澤淳

税理士法人山田&パートナーズ マネージャー

 

2009年慶応義塾大学経済学部卒。2011年税理士法人山田&パートナーズ入所。
2016年10月経済産業省中小企業庁事業環境部財務課(税制専門官)。事業承継税制(平成29年度、平成30年度税制改正) の改正、個人版事業承継税制の草案の作成、事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の政省令改正、マニュアル作成等をはじめ、会計検査院対応、認定等を行う都道府県庁に対する助言等を行う。

2018年10月現職。ZEIKEN LINKS専門家登録。

 

税理士法人山田&パートナーズ
〒100-0005
束京都千代田区丸の内一丁目8 番1 号丸の内トラストタワーN 館8 階
TEL : 03-6212-1660
URL : https://www.yamada-partners.gr.jp/
人員数:747名(2019年4月1日現在)
地方拠点:札幌事務所、盛岡事務所、仙台事務所、北関東事務所、横浜事務所、新潟事務所、金沢事務所、静岡事務所、名古屋事務所、京都事務所、大阪事務所、神戸事務所、広島事務所、高松事務所、福岡事務所

(2019年4月1日現在)

[初級者のための入門解説]

後継者ごとの対処法 ~ゼロから学ぶ「事業承継 超入門」②~

 

事業承継の基本ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『事業承継 超入門』」シリーズです。

今回は、「後継者ごとの対処法」として、それぞれのケースにおいて、どの様な対処法を取るべきなのかを解説していきます。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 植木康彦(Ginza会計事務所)

 

 

 

前回、解説したとおり事業承継は、後継候補者の属性によって区分すると、親から子などへの「親族承継」、役員や従業員への「社内承継」、外部に譲渡する「M&A」の3つの類型のいずれかになりますが、それぞれのケースにおいて何をしたらよいのか、と相談を受けることが少なからずあります。

 

特例事業承継税制の内容やM&Aに関する解説本は多々ありますが、どういうときに何を利用したらよいのかがイマイチわからないといわれます。

 

そこで、本稿では、どういうときに、どういう処方をしたらよいかを、シンプルに「後継者ごとの対処法」として整理してみました。

 

単純化した分だけ、相違することもありえますが、どうしたらよいかがわかりやすくなったかと思います。

 

 

 

 

 

1.切り口1


後継候補者が誰であっても、まずは、事業の承継が可能か、可能でないかを検討します。

その際のメルクマールは、事業が健全か、健全でないかです。

 

いわゆる健全な事業とは、事業の営業利益、または営業キャッシュフローが黒字かそうでないかによって判別します。仮にその時点の貸借対照表が債務超過であったとしても、数年(一般的には3年程度)で回収できる位の営業利益があれば、健全の範疇に入ると考えてもよいと思います。

 

事業が健全であれば、後継候補者への承継M&Aによる売却(切り口2)の検討をします。

 

他方で、事業が健全でない場合は、事業磨き上げ(事業再生)によって健全化できないか、できない場合は廃業・清算を検討することになります。

 

万が一、事業が健全でないと判断した場合でも、早期に判断することで無駄な赤字の垂れ流しを避けることができるので、このような分析を行うことには意味があります。

 

2.切り口2


事業が健全な場合、あるいは、事業の磨き上げによって健全化できる場合、次に後継候補者の属性に従い、それぞれ次のような対処をします。

 

(1)親族承継

子供や兄弟などの親族を後継者とする場合は、無償での承継、すなわち、贈与や相続によって承継するのが通常です。相続か贈与のどちらが適してるかというと、承継計画に沿った実行が可能な贈与の方が優れていると思います。

 

なぜかというと、事業承継のメインテーマは事業自体の円滑な承継にあるわけですが、承継すべき経営理念やコアコンピタンスの明確化、後継者教育、従業員や取引関係者・金融機関の協力取り付け、個人保証など多くの課題解決を同時並行的に進めるに際して、計画できない相続でなく、計画可能な贈与がマッチするためです。

 

事業承継時の税金(相続税・贈与税)も課題のひとつなので、税負担を軽減するために株式に対する税金が無税となる特例事業承継税制を利用すべきでしょう。しかし、特例事業承継税制は手間とコストがかかるので、すべてのケースにおいて利用すべきではありません。個人的には純資産が1億円以上の規模で相続税や贈与税が数千万円かかるようなケースで利用すべきかと思います。他方で、それよりも規模が小さい場合は、持株会を使って対象株式数を抑えたり、株式評価の低減を図ったりといった税対策を中心に行った方が良いと思います。

 

 

(2)役員・従業員承継

親族後継者がいない場合は、役員や従業員に後継候補者がいないかを探ることになります。

 

役員・従業員承継の場合、通常は有償取引となるでしょうから、特例事業承継税制は利用できません。極めて稀でしょうが、無償で行う場合は、親族承継と同様に特例事業承継税制が利用できます。その場合、特例事業承継税制には、後継者は自身の同族関係者(親族等)で過半数の議決権を有するという要件があるので、必要に応じて先代経営者と養子縁組するなどの対策が必要になる場合があります。(後継者の同族関係者で議決権の過半数を所有できない場合)

 

役員・従業員承継の場合の最大の課題は、株式買い取り代金の資金調達と金融機関借入金の個人保証、そして経営者としての適格性です。株式購入対価が高いと個人資金では足りず金融機関からの借入で賄う必要があります。また、金融機関借入金の個人保証に関しては後継候補者本人にやる気があっても家族の反対で破談になるケースはよく耳にします。更に、従業員としては超がつくほど有能な方でも経営者として優秀とは限りません。

 

このように役員・従業員承継はそれなりにハードルが高いので、それほど成功例が多くないというのが現実です。

 

 

(3)近親者に後継者不在

親族や会社内部に後継候補者がいない場合は、M&Aによる売却を検討することになります。M&Aで売却しようとする場合、M&A仲介業者、マッチングサイト、日本税理士会連合会、事業引継支援センターなど、どの機関を利用するかを検討します。

 

その際の一番大きな問題は費用と言われます。M&A仲介会社に依頼すると最低500万円かかりますが、マッチングサイトなら売り手数料がかからないなど大きな違いがあります。他方、M&A仲介会社に頼めば仲介会社が有する豊富なマーケットが利用できますし、法務面や会計面の専門家も利用できますが、マッチングサイトは自分自身で対応するのが基本です。

 

このような違いを十分理解したうえで、M&Aを進めることになりますが、時間を優先したい場合は複数の機関を利用することも検討したらよいと思います。

 

 

次回は、それぞれの内容について、深堀してみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[M&Aニュース](2019年7月16日〜7月26日)

◇省電舎ホールディングス<1711>、エネルギー関連子会社のエールを経営陣に譲渡 、◇第一交通産業<9035>、はとタクシーを子会社化 、◇マーケットエンタープライズ<3135>、ENECHANGEから格安SIM・スマートフォン情報サイト「SIMCHANGE」事業を取得 、◇ケアサービス<2425>、介護事業の「ひだまり」を子会社化 、◇TOKAIホールディングス<3167>、ソフト開発のアムズブレーンを子会社化 、◇アサヒグループホールディングス<2502>、ABインベブ傘下の豪ビール大手CUBを1.2兆円で買収へ   ほか

 

アイリッジ<3917>、システム受託開発のキースミスワールドを吸収合併

◆アイリッジは、システム受託開発のキースミスワールド(東京都千代田区。売上高9990万円、営業利益△56万5000円、純資産282万円)を10月1日付で吸収合併することを決議した。キースミスワールドは2013年に設立し、サーバープログラム構築(プログラミング、データ設計、データ分析、運用・保守)やインフラ構築、スマホアプリ開発などを得意領域とする。アイリッジはこれまで同社を開発パートナーとし、緊密な取引関係にあった。開発体制を強化するため、吸収合併する。合併比率はアイリッジ1:キースミスワールド111。キースミスワールドの1株に対しアイリッジの111株を割り当てる。

 

メルカリ<4385>、フリマアプリ事業の英国子会社を現地社に譲渡

◆メルカリは、フリーマーケットアプリ事業を展開するため2016年に設立した英国子会社Merpay Limited(ロンドン)の全株式を譲渡することを決議した。当初は英国からの事業撤退に伴い会社解散を予定していたが、現地企業から株式取得の申し出があったという。譲渡先と譲渡価額は非公表。譲渡日は2019年7月25日。

 

早稲田アカデミー<4718>、NYで日本人子女向け学習塾を経営するSHINKENSHA U.S.A. を子会社化

◆早稲田アカデミーは、米ニューヨーク在住の日本人子女を対象に学習塾を経営するSHINKENSHA U.S.A. INCORPORATED(ニューヨーク州)の全株式を取得し子会社化することを決議した。帰国生入試の分野で業容拡大につなげる狙い。SHINKENSHA U.S.A.は1996年に設立し、「VERITAS ACADEMY(ヴェリタスアカデミー)」の名称で、ニューヨーク在住の小学生から高校生向けに進学指導を行っている。毎年、開成高校・国立高校をはじめ早慶付属中学・高校などの難関校入試で高い合格実績を持つ。早稲田アカデミーは2008年、同社と提携し、帰国生入試対応や海外受験講演会などのイベント共催を通じて緊密な関係にあった。取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月31日。

 

アサヒホールディングス<5857>、消防設備工事子会社の紘永工業を永和ファシリティーズに譲渡

◆アサヒホールディングスは、消防設備工事を主力とする紘永工業(横浜市。売上高24億3000万円、営業利益1億6100万円)の全株式を、同じく消防設備工事を手がける永和ファシリティーズ(神奈川県横須賀市)に譲渡することを決議した。紘永工業は1978年に設立。アサヒは2014年に同社を子会社化していた。東京五輪関連の建設需要の高まりを背景に連結業績に一定に寄与してきたが、グループ全体の経営資源の最適配分の一環として譲渡することにした。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2019年8月1日。

 

日本管財<9728>、日テレ傘下の清掃・警備会社「サンエイワーク」の関西・九州事業を取得

◆日本管財は、日本テレビホールディングス傘下で建物の清掃・警備などを手がけるサンエイワーク(東京都千代田区)の関西支社と九州営業所の事業を9月1日付で取得することを決議した。サンエイワークは関西支社と九州営業所の事業を会社分割するため、6月に受け皿会社として同名のサンエイワーク(大阪市)を設立。日本管財はこの新設会社の全株式を取得して傘下に収める。取得価額は未定。

 

ヤフー<4689>、岩田アスクル社長の取締役再任に反対の議決権を行使

◆ヤフーは7月24日、2019年8月2日開催予定のアスクルの株主総会の取締役選任議案に関して、岩田彰一郎代表取締役社長の再任に反対の議決権を行使したと発表した。低迷する業績の早期回復、経営体制の若返りなどの観点から抜本的な変革が必要と判断した。また業績低迷の理由である岩田社長を任命した責任など総合的な判断から、独立社外取締役の戸田一雄氏、宮田秀明氏、斉藤惇氏の再任にも反対の議決権を行使した。議決権行使はインターネットを用いた方法により実施した。

 

アルー<7043>、D2Cからクラウド型eラーニングシステム「etudes」 事業を取得

◆アルーは、デジタルマーケティング事業などを手がけるD2C(東京都中央区)が運営するクラウド型eラーニングシステム「etudes」 事業を取得することを決議した。法人向け人材育成事業の取り組みを強化するのが狙い。取得価額は1円。取得日は2019年8月31日。アルーは2000年設立で、NTTドコモ、電通、エヌ・ティ・ティ・アド(東京都品川区)などが主要株主。

 

共同印刷<7914>、クレハからブローボトル事業を取得

◆共同印刷は、クレハからブローボトル(食品用プラスチック容器)事業を会社分割により取得することを決議した。生活・産業資材部門における事業領域拡大の一環。当該事業の直近業績は売上高17億9000万円、営業利益1億800万円。取得価額は約17億円。取得予定日は2019年11月1日。

 

極東開発工業<7226>、バンボディー・特装車生産のタイ子会社を現地合弁先に譲渡

◆極東開発工業は、バンボィーや特装車を生産するタイ合弁子会社TREX THAIRUNG(TTR、バンコク。売上高3億600万円、営業利益△3億8200万円、純資産3億1000万円)の保有株式のすべて(45%)を、合弁パートナーの現地THAI RUNG UNION CAR PUBLIC(バンコク)に譲渡することを決めた。譲渡価額は3億5500万円。譲渡予定日は2019年7月31日。TTRは2014年、極東開発工業と同社子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)、三井物産現地子会社、現地THAI RUNG UNIONの4社が出資して設立した。中核製品として期待していたウイングバン(トラックの横から荷上げ・荷下ろしができるタイプ)の需要が当初想定を大きく下回ったことや、現地の不安定な雇用慣行で操業度が向上しないことなどから、業績不振が続いていた。三井物産現地子会社も同様に保有株(15%)を譲渡する

 

パスコ<9232>、測量・計測の米子会社Keystone Aerial Surveysを現地社に譲渡

◆パスコは、測量・計測業務を手がける米子会社Keystone Aerial Surveys,Inc.(ペンシルベニア州。売上高20億1000万円、営業利益3億6300万円、純資産20億800万円)の全株式を、米データ分析会社のGeomni,Inc.(ユタ州)に譲渡することを決議した。Keystone Aerial Surveysは1963年設立で、航空機を主体とした撮影・計測事業を手がける。パスコは2011年に同社株式の70%を取得し、子会社化した(15年に100%取得)。米国における大手企業や異業種からの参入増による市場再編、競争激化、さらに外資規制強化の見通しを踏まえ、会社を手放すことにした。譲渡価額は約32億円。譲渡予定日は2019年7月31日。

アプリックス<3727>、光通信傘下でMVNOサービス「スマモバ」運営のスマートモバイルコミュニケーションズを子会社化

◆アプリックスは、光通信傘下でMVNO(仮想移動体通信)サービス「スマモバ」を運営するスマートモバイルコミュニケーションズ(東京都文京区。売上高56億円、営業利益5640万円、純資産7720万円)を株式交換により、子会社化することを決議した。アプリックスはIoT(モノのインターネット)関連の技術開発を主力とするが、2018年12月期まで7年連続で売上高の減少と営業損失の計上という危機的状況に陥っている。MVNO事業の成長可能性や自社事業とのシナジー(相乗効果)が期待できるとして、スマートモバイルを傘下に取り込む。株式交換比率はアプリックス1:スマート143で、スマートの1株にアプリックスの143株を割り当てる。株式交換日は2019年8月15日。株式交換の実行を前提として、アプリックスはスマートの親会社である光通信と資本業務提携することで合意した。光通信は議決権ベースでアプリックス株式の10%以上を保有し、アプリックスの経営立て直しを後押しする。

 

FHTホールディングス<3777>、福島県と宮崎県で手がける2カ所の太陽光発電所をグローバルエナジーに譲渡

◆FHTホールディングスは子会社のエリアエナジー(東京都千代田区)が福島県と宮崎県の2カ所で運営する太陽光発電所を、グローバルエナジー(東京都港区)に譲渡することを決議した。広野発電所(福島県双葉郡、出力1990キロワット)と児湯発電所(宮崎県児湯郡、出力936キロワット)が対象で、譲渡価額は約17億6000万円。譲渡予定日は2019年8月23日。FHTは4月に、今回の2カ所のほか、北海道、福島県、千葉県の3カ所を合わせて計5カ所の太陽光発電所について、情報処理業務などのコマネチ(東京都港区)に譲渡すると発表した。しかし、その後、コマネチ側が取得代金約27億円を用意できなくなったことから、6月末にFHTは譲渡契約を解除。これを受け、FHTは新たな譲渡先を模索していた。5カ所のうち2カ所について今回、グルーバルエナジーが引き受けることになった。

 

ヤギ<7460>、「泉州タオル」の老舗メーカーのツバメタオルを子会社化

◆ヤギは、「泉州タオル」のトップメーカーであるツバメタオル(大阪府泉佐野市)の全株式を取得し、23日付で子会社化した。ツバメタオルは1913(大正2)年創業の老舗で、年間生産量は2000万枚(フェースタオル換算)。大阪・泉州地域の地場産品「泉州タオル」は国内タオル生産量の4割を占め、「今治タオル」と並ぶ著名ブランド。取得価額は非公表。

 

ハウスドゥ<3457>、不動産売買・賃貸仲介の小山建設を子会社化

◆ハウスドゥは、不動産売買・賃貸仲介を手がける小山建設(埼玉県草加市。売上高31億9000万円、営業利益4億5200万円、純資産18億7000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。小山建設は1970年設立。傘下に小山不動産(売上高4億3800万円、営業利益3300万円、純資産2億7200万円)、草加松原住建(売上高9700万円、営業利益100万円、純資産300万円)を抱え、グループ全体の管理戸数は約6000戸。ハウスドゥは同社グループを傘下に取り込み、不動産事業拡大の一助とする。取得価額は27億5000万円。取得予定日は2019年8月9日。

 

省電舎ホールディングス<1711>、エネルギー関連子会社のエールを経営陣に譲渡

◆省電舎ホールディングスはエネルギーコンサルティング子会社のエール(東京都渋谷区。売上高0円、営業利益0円、純資産3000万円)の全株式を、エール社長の中村健治氏に譲渡することを決議した。太陽光発電事業の縮小に伴う措置。エールは子会社を通じて太陽光発電設備関連事業を手がけている。譲渡価額は8000万円。省電舎は決済資金として全額を中村氏に融資した。中村氏は省電舎の元取締役会長。譲渡日は2019年7月19日。

 

第一交通産業<9035>、はとタクシーを子会社化

◆第一交通産業は、タクシー車両42台を持つ「はとタクシー」(広島市)の全株式を取得し子会社化した。広島県内でのタクシー保有台数は既存のグループ4社255台と合わせ、5社297台となる。はとタクシーは1964年設立で、従業員56人。取得価額は非公表。取得日は2019年7月19日。

 

マーケットエンタープライズ<3135>、ENECHANGEから格安SIM・スマートフォン情報サイト「SIMCHANGE」事業を取得

◆マーケットエンタープライズはENECHANGE(東京都千代田区)から格安SIM・スマートフォンに関する情報サイト「SIMCHANGE」事業を取得することを決議した。今年9月に予定されるSIMロック解除の義務化により中古スマホの流通量拡大や格安SIMへのニーズの高まりが見込まれるのに対応する。マーケットエンタープライズは格安SIMや中古スマホ、データ通信端末などの販売を主力事業の一つとし、シナジー(相乗効果)創出が期待できると判断した。取得する「SIMCHANGE」は格安SIMスピードチェッカー(格安SIMの通信速度をリアルタイムで可視化するサービス)など各種コンテンツを掲載している。当該事業の直近売上高は1億4000万円。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月1日。

 

ケアサービス<2425>、介護事業の「ひだまり」を子会社化

◆ケアサービスは、居室介護支援・訪問介護事業を手がけるひだまり(東京都江東区。売上高1億3900万円、営業利益△99万4000円、純資産725万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。在宅介護事業の強化が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月22日。

 

TOKAIホールディングス<3167>、ソフト開発のアムズブレーンを子会社化

◆TOKAIホールディングスはソフトウエア受託開発のアムズブレーン(岡山市。売上高0円、営業利益△17万6000円、純資産3000万円)の株式99%を取得し子会社化した。TOKAIは岡山県内にある自社データセンターを核としたシナジー(相乗効果)創出を期待している。アムズブレーンは1989年に設立。実質的な事業活動については全額出資子会社のアムズユニティー(同。売上高1億8000万円、営業利益△700万円、純資産1億9000万円)を通して展開している。取得価額は非公表。取得日は2019年7月18日。

 

アサヒグループホールディングス<2502>、ABインベブ傘下の豪ビール大手CUBを1.2兆円で買収へ

◆アサヒグループホールディングスは19日、豪州ビール大手、カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を買収すると発表した。親会社で、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)と合意に達した。買収金額は160億豪ドル(約1兆2096億円)。2020年第1四半期(1~3月)中の買収完了を見込む。日本企業による酒類事業の買収として、2014年にサントリーホールディングスが米ウイスキー大手のビームを約1兆6000億円で傘下に収めたのに次ぐ規模となる。CUBは「Carton」「Great Northern」などのブランドで知られ、2019年12月期業績見込みは売上高1820億円、営業利益781億円。アサヒは同社の販路を活用して、「スーパードライ」など主力商品の売り上げ拡大を目指す。アサヒは2016年にABインベブから西欧のビール事業を約2900億円で、翌17年には同じくABインベブの中東欧事業を約8800億円で買収しているが、今回の買収はこれを大きく上回る。日本、欧州、豪州の3極を核に強固なグローバルネットワークを築く。

 

平和<6412>、レイクウッドゴルフクラブ「富岡コース」を取得

◆平和は、レイクウッドコーポレーション(神奈川県大磯町)が所有・経営するレイクウッドゴルフクラブ富岡コース(群馬県富岡市、27ホール)を買収すると発表した。同ゴルフ場の事業を承継するために8月1日付で設立される新会社・富岡ゴルフ(神奈川県大磯町)の全株式を取得して子会社化する。当該事業の売上高は3億9900万円(2018年10月期)。取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月1日。平和はパチンコ・パチスロの大手メーカー。2011年にゴルフ場保有・運営大手のPGMホールディングス(現パシフィックゴルフマネージメント、東京都台東区)を傘下に収め、現在、コース数は全国で140を超える。平和はゴルフ事業の拡大ためにゴルフ場の買収に積極的に取り組んでいる。レイクウッドコーポレーションは富岡コースのほか、神奈川県内に2コース、山梨県内に1コースを持つ。富岡コースは1996年に開場した。

 

ネオジャパン<3921>、システム開発のPro-SPIREを子会社化

◆ネオジャパンは、システム開発のPro-SPIRE(東京都大田区)の全株式を取得し子会社化することを決議した。IT人材の確保やシステム開発案件の獲得、新事業への展開などにつなげる。Pro-SPIREは1988年に設立し、システムインテグレーション事業、クラウドインテグレーション事業、Webマーケティング事業を主力領域とする。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月中。

 

ティーガイア<3738>、ソフト開発のポピュラーソフトを子会社化

◆ティーガイアはソフトウエア開発のポピュラーソフト(東京都渋谷区)の過半の株式を取得し子会社化した。取得割合、取得価額などは非公表。ティーガイアは携帯販売代理店最大手。近年、法人顧客向けに自社ブランドのクラウドサービスの提供や各種ソリューション開発に力を入れている。ポピュラーソフトは2004年に設立し、金融システムなどの大規模プロジェクトからパッケージ製品までソフト開発全般で実績を持つ。

 

ジオスター<5282>、トンネル工事部材のシンガポール販売子会社 GEOSTR-RVを現地合弁先に譲渡

◆ジオスターは、トンネル工事に使われるセグメント(覆工部材)の販売を手がけるシンガポール子会社 GEOSTR-RV PTE. LTD.(売上高3億4100万円、営業利益△1億9900万円、純資産△8500万円)の保有株式のすべて(所有割合51%)を、合弁相手の現地 Robin Village International Pte. Ltd.に譲渡することを決議した。ジオスターはシンガポールでシールドトンネル工事の計画的発注が見込まれるのに対応し、2014年6月にセグメントと呼ばれる工事部材の販売会社を合弁で設立した。しかし、近年、セグメント市場の需給環境悪化で採算性が大幅に低下し、今後も業況の回復は困難と判断。合弁先に経営を移管することにした。譲渡価額は1シンガポールドル(約80円)。譲渡予定日は2019年8月1日。

 

SYSホールディングス<3988>、マスターズソリューションから生保関連情報システム開発事業を取得

◆SYSホールディングスは、IT関連のマスターズソリューション(東京都中央区)から生命保険分野の情報システム開発事業を取得することを決議した。当該事業の直近売上高は9940万円。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月1日。

 

フジッコ<2908>、中華総菜製造のフーズパレットを子会社化

◆フジッコは、中華総菜の製造・販売を手がけるフーズパレット(神戸市。売上高23億3000万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。フーズパレットは1952年に創業し、百貨店を中心に中華総菜を販売し、「四陸(フォールー)」「チャイナチューボー」のブランドを展開している。フジッコは総菜製品を主力事業の一つと位置づけており、フーズパレットを傘下に取り込み、事業拡大につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月1日。

 

ギフト<9279>、「ラーメン天華」と製麺・餃子製造「ケイアイケイフーズ」の2社を子会社化

◆ギフトは、ラーメン店9店舗を展開するラーメン天華(栃木県那須町。売上高7億7900万円、営業利益329万円、純資産1億3800万円)と、中華麺・餃子製造などのケイアイケイフーズ(栃木県那須塩原市。売上高3億9600万円、営業利益430万円、純資産7210万円)の2社の全株式を取得し、子会社化することを決議した。両社は菊地司氏が社長を務め、同氏が筆頭株主。ラーメン天華は1997年に設立し、味噌ラーメン業態を主体に北関東で展開。一方、ケイアイケイは1989年設立で、自社製麺と自社製造の宇都宮餃子などの食材を天華ラーメン各店と他社のラーメン店に供給している。ギフトは横浜家系ラーメンを中心に、九州釜焚きとんこつラーメン、がっつり系ラーメンなどを427店舗(直営店70、業務委託店5、プロデュース店352。4月末)展開する。同社は将来目標として国内1000店舗を掲げ、M&Aに積極的に取り組んでいる。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月1日。

 

アークランドサカモト<9842>、ヴァーテックスからフィットネス事業を取得

◆アークランドサカモトは、卸・小売り業のヴァーテックス(新潟市)からフィットネス事業を会社分割により取得することを決議した。アークランドは新潟県を地盤とし、ホームセンターを経営する。ヴァーテックスが新潟県内で運営するスポーツクラブ「ジョイフィット」(5店舗)、「フィット365」(1店舗)を取り込み、ホームセンターとの組み合わせなど複合型店舗の展開につなげる。当該事業の直近業績は売上高9億3600万円、営業利益1億8000万円。取得価額は18億4000万円。取得予定日は2019年9月1日。

 

電通<4324>、インドのデータ分析会社ウガムを子会社化

◆電通は、インドのデータ分析会社ウガム(ムンバイ)の株式87%を取得し子会社化することを決めた。ウガムは2000年設立で、米国をはじめ海外企業に対して調査分析、小売り分析、顧客のIT導入支援、電子商取引のコンテンツ最適化などの各種オフショアサービスをインドから提供している。取得価額、取得日は非公表。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「M&Aに伴う手数料の処理」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】非上場株式の譲渡に当たり交渉支援、契約内容の検討等を依頼した弁護士費用等について

■【Q&A】税理士事務所の事業承継と一時払金の処理

 

 

 


[質問]

甲社は、コンサルタント会社A社から話を持ちかけられ、B社の株式取得を検討することとなりました。甲社は、A社と情報収集・仲介・株式取得に向けた諸手続・B社従業員等へのフォロー・新たな体制づくりのフォローを含め、総合的なコンサルタント契約を結びました。株式取得が行われなかった場合は、その時点で契約終了となり、A社へ手数料を支払い、費用処理を行いますが、株式取得を行う場合、前述の各種業務を引続きお願いすることとなり、契約で定めた期間満了時に手数料を支払う予定です。

 

この場合の手数料の処理は、期間満了時に属する事業年度の損金として差し支えないでしょうか。或いは、株式の取得価額に含めるべきものとして資産計上すべきでしょうか。

 

[回答]

ご高尚のことかとは存じますが、企業が、いわゆるM&A取引を行った場合、その仲介者等に支払う手数料等の、いわゆる助言費用等に関し、その取扱いに関しては、企業会計上は、従来の暖簾勘定等への計上処理から、IFRS基準による一時損金の費用化が図られつつあるものと承知いたしております。

 

具体的には、平成25年9月13日公表の「企業結合に関する会計基準」等の改正(原則:平成27年4月1日以後開始事業年度から適用)により、企業買収の際に外部のアドバイザー等に支払う取得関連費用の会計処理が変更され、投資銀行、証券会社等のファイナンシャルアドバイザー(FA)に関する報酬、ビジネス、会計・税務、法務等のデューデリジェンス(DD)費用といったアドバイザリーフィーは、連結財務諸表上では、原則として発生した事業年度の費用となり、買収対象会社の株式の取得費用として取得原価に含めることができなくなりました。

 

一方、税務上の取扱いは、これら会計上の処理に即応する形での改正は行われていないものと存じます。
原則的には、取得する株式等に関する法令の規定は法人税法施行令第119条第1項各号に定める取得態様に応じた取得価額の算定が予定され、これらによって課税関係が律せられるものと考えていますが、そこでは、例えば、購入した有価証券等の額は、その購入代価に購入手数料その他購入のために要した費用の額を加えた額であるとされているため、原則的には『購入のために要した費用は全て取得価額を構成する』という理解があり、単に通信費や名義書換料等についてはその金額が少額であるところから、これを取得価額に算入しないことができる旨を定めているに過ぎないとされています(㈱税務研究会版「法人税基本通達解説」法人税基本通達2-3-5の項の記載事項参照) 。

 

他方、法人税法第62条の8(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)の規定がこのような非適格事業譲受けの形態に対応する規定として存在することも理解しておく必要があるように思います。

 

すなわち、同条の規定では、引継受入資産と引継受入負債との差額が生ずる場合には、当該差額を超える金額が支出されるときには当該超過額は資産調整勘定の額として、不足額が生ずるときには当該不足額は負債調整勘定の額として(一時に課税関係を律するのではなく)、将来にわたって損益調整を行うこととされているところから、いわゆる正の暖簾と負の暖簾によって課税の平準化が図られているといえるものと考えています。

 

会計の場合のように、直截に助言費用の資産計上を否定するという方法を採り上げるのではなく、総額的に時間(5年間)をかけて時価との調整を図ることが税制の考え方であるともいえると考えられます。

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2019年4月9日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

離婚に伴い自宅を財産分与する場合の税務上の取扱い等-2/2 ~財産分与を受ける側~

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田房枝/税理士)

 

 

[関連解説]

■離婚に伴い自宅を財産分与する場合の税務上の取扱い等-1/2 ~財産分与をする側~

■不動産の財産分与があった場合の不動産取得税

 

【問】

私(妻)はこの度、夫と協議離婚をすることとなりました。離婚に伴い、婚姻期間中の財産の清算として、婚姻期間中に夫名義で取得した自宅の土地及び建物(以下「自宅」)を夫から財産分与により取得する予定です。離婚に伴う税務上の留意点等を教えてください。
(夫における税務上の留意点等については、前回の解説を参照してください。)

 

【回答】

1.贈与税


(1) 離婚後に財産分与する場合

①原則
離婚に伴う財産分与によって取得した財産については、贈与により取得した財産とはならず、元妻に贈与税は課税されません(相基通9-8)。
②例外
次の場合におけるそれぞれに掲げる財産額は、贈与によって取得した財産となり、元妻に贈与税が課税されます(贈与税の基礎控除は、年110万円)。
(a)分与財産額が婚姻中の夫婦の協力で得た財産額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合・・・その過当である部分の財産額
(b)離婚を手段として贈与税のほ脱を図ると認められる場合・・・離婚により取得した財産額

(2) 離婚前に財産移転する場合

基本的に、夫から妻への贈与として取り扱われ、妻に贈与税が課税されます(贈与税の基礎控除は、年110万円)。なお、財産移転時における婚姻期間が20年以上であり、妻が自宅に住み続けるときは、妻において贈与税の配偶者控除(上記基礎控除のほか2,000万円まで非課税)の適用を受けられます(相法21の6)。

 

2.所得税


(1)自宅の取得時期及び取得費

①離婚後の財産分与によって取得した場合

財産分与により取得した自宅については、元妻がその財産分与を受けた時に、その時の価額により取得したこととなり、後に元妻がその自宅を譲渡した場合の譲渡所得は、これらをもとに計算します(所基通38-6)。

②贈与によって取得した場合

贈与により取得した自宅については、贈与者(元夫)の取得時期及び取得費がそのまま受贈者(元妻)に引き継がれ、後に元妻がその自宅を譲渡した場合の譲渡所得は、これらをもとに計算します(所法60①)。

(2)住宅ローン控除

自宅について金融機関からの借入残高があり、その借入を元妻が負担承継する場合には、元妻が住宅ローン控除の適用要件を満たしていれば、元妻は住宅ローン控除の適用を受けることができます(措法41)。

 

3.不動産取得税


不動産取得税は、財産分与の性質により、その取扱いが異なります。婚姻中の財産関係の清算の場合(実質的共有財産を対象とした清算的財産分与の場合)は基本的に課税されませんが、離婚の原因が元夫にあり元妻への慰謝料として行われる場合(慰謝料的財産分与)や、離婚後の元妻への扶養のために行われる場合(扶養的財産分与)等は課税されます。詳細は、タクトニュース782号を参照してください。

 

4.登録免許税(登法9、別表第1)


財産分与により取得した自宅の登記に際しては、「固定資産税評価額×2 %」の登録免許税が課税されます。

 

5.印紙税


前回の解説の2.参照。

 

6.固定資産税(地法343、350、359)


財産分与の翌年以降、元妻は「固定資産税評価額×1.4%」の固定資産税を負担する必要があります。

 

7.最後に


離婚に伴う財産分与により自宅を取得する場合、基本的に元妻に贈与税は課税されませんが、その後その自宅を譲渡する際には、その自宅の取得時期及び取得費は、元夫のものを引き継がず、財産分与時のものとなります。例えば、財産分与により取得した自宅を5年以内に譲渡する場合には、譲渡所得税等の適用税率は39.63%(所得税、復興特別所得税及び住民税の合計)と高率で課税されます(自宅を譲渡する場合の適用税率はタクトニュース№790の1. (1)①(b)参照)。
また、不動産取得税や登録免許税等の課税もあるため、もし元妻が自宅に居住し続ける予定がないのであれば、将来の税負担も考慮して、どのタイミングでどのような財産で分与を受けるか等、事前に検討し交渉する必要があると思われます。税負担の詳細については、税理士にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/07/22)より転載

[初級者のための入門解説]

M&Aで売却しやすい会社とは? ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」④~

 

M&A実務の基礎ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『M&A超入門』」シリーズ

今回は、売却しやすい会社の特徴を「業界・ビジネスモデル」「財務面」「組織面」から解説します。皆さまの「売却しやすい会社にするためは?」という疑問にお答えします。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  植木康彦(Ginza会計事務所)

公認会計士・本山純(Ginza会計事務所)

 

~売却しやすい会社の特徴は?~


売り手の条件と買い手のニーズが合致したとき、M&Aによる会社の売買が成立します。

そのため、買い手のニーズに合致しやすい会社が売却しやすい会社と言えますが、買い手は具体的にどのようなニーズを持っているのでしょうか。

 

ここでは、一般的に買い手のニーズが高いといわれる事項を「業界・ビジネスモデル」「財務面」「組織面」に分けて見ていきましょう 。

 

 

【業界・ビジネスモデル】

買い手がM&Aで会社を取得する目的は様々ですが、一般的には、新規事業への参入・事業拡大が挙げられます。

 

これらの目的を達成するためには、1から会社を立ち上げる方法もあるでしょう。

しかし、コストや時間が多大にかかってしまうケース、業界の規制や契約等により新規参入のハードルが高いケースには、M&Aによりその業界の既存会社を購入するという選択が有効となってきます。いわゆる参入障壁が高い業界は1からの会社立ち上げが困難なことから、一般的に買い手のニーズが高くなります。

 

また、ビジネスモデルの面では、会員からの毎月の利用料収入がある等、ストック型のビジネスモデルは、売上や利益が激減するリスクが少なく、会員を保有している事自体に価値があることから一般的に買い手のニーズは高くなります。

 

【財務面】

売上・利益が大きい会社が魅力的であることは言うまでもありませんが、何よりも重要なことは、財務状況が健全であることです。

 

利益があっても、多額の借入金、簿外債務や連帯保証等によりリスクが高いと判断されれば、魅力的な会社であっても買い手に敬遠されることとなってしまいます。

 

また、粉飾や不正経理がなく、会社の財務が適切に反映された会計処理がなされていることも重要です。

そのうえで、一般的に買い手が重視するポイントとして以下の事項が挙げられます。

 

・適正な営業利益と営業キャッシュフローが確保できている。

・業績が右肩上がりである。

・内部留保があり、財務面が安定している。

 

これらの条件を満たしていれば魅力的な会社でしょう。

 

しかし、満たしていないからと言って会社の売却が出来ないということではありません。

買い手のニーズと合致すれば、どのような会社でも売却のチャンスはあります。

 

例えば、組織再編により事業を整理し、一部の事業のみを切り出す方法(会社分割)より買い手のニーズにマッチさせるという選択肢もあります。

 

詳しくは次の項目(売却しやすい会社へするには)で。

 

【組織面】

中小企業では、オーナー社長等特定個人の属人的なノウハウや人脈により事業が成り立ち、組織的な事業運営が行われていないケースも多々あります。

 

買い手は商品やサービスを購入するのではなく、会社(事業)を購入するわけですから、魅力的な会社であっても、オーナー社長がいなくなることにより会社の価値が大きく下がるような場合には、事業取得の目的を果たすことが出来なくなってしまいます。

 

これはM&Aに限った話ではありませんが、権限が適切に委譲され組織的な事業運営が行われていることが会社(事業)の継続にとって重要であり、買い手のニーズも高まるといえるでしょう。

 

 

~売却しやすい会社へするには?~ 


M&Aの買い手は、目的をもって会社(事業)を購入します。そのため、前の項目で記載したような買い手のニーズに合致する事業が売りやすい会社といえますが、会社は複数の事業を行っていたり、中には業績が良くない、あるいは将来性のない事業を抱えているケースもあります。

 

このような場合、会社をそのまま売却するのではなく、会社を分割することで売却がスムーズに進む可能性があります。

 

例えば、りんごとみかんのセット200円と、みかん単品120円で売っている場合、割安な200円のセットを望む買い手もいれば、セットよりも多少割高であったとしても120円のみかんを望む買い手もいるので、後者のみかんを望む買い手向けには、りんごとみかんを分ける必要があります。

 

 

 

 

会社はこのように単純に分割できるものではありませんが、例えばそれぞれの事業価値の源泉ごとに会社を分割し売却単位をスリム化することで、買い手のニーズにマッチできることがあります。

 

~中小企業では個人依存経営から組織的経営への変革がポイント~

これまでは、M&Aというと大企業や相当規模の事業が対象となるというイメージをもたれる方が多かったかもしれません。

 

しかし、近年では、中小企業経営者の高齢化による事業承継問題等の解決策としても、中小企業でのM&Aに注目が集まっています。

そこで、ここでは中小企業のM&Aで特に解決しておくべき課題を取り上げたいと思います。

 

中小企業では、限られた人材の中で事業を運営している場合も多く、経営者の経営力や特定個人の営業力、属人的なノウハウ等、事業価値の源泉が、個人的な能力に依存している場合が多々あります。

しかし、事業価値の源泉が個人の能力に依存している場合、その個人がいなくなってしまっては事業価値が大幅に下落してしまう可能性が高いといえます。

 

そこで、事業価値を会社組織で維持できる仕組みづくりを行うことが重要となります。

 

具体的には、個人の能力に依存していた事業価値の源泉となる知識やノウハウを会社全体(複数人)で共有できる仕組みを作るとともに、意思決定を個人ではなく組織で行える組織形態を作り、適切な権限委譲を行うことで、特定個人への依存度を低くする必要があります。

また、組織的経営のための形づくりだけではなく、その価値源泉を維持するための根幹となる経営理念を明確にし、浸透させることが重要となります。

 

これは、M&Aに限らず、親族承継・従業員承継の場面でも検討する必要がある事項ですので、自社の個人依存度がどの程度か、経営者や特定個人が事業に関与しない場合の姿を想像することで、個人依存度を判定してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

[M&Aニュース](2019年7月1日〜7月12日)

◇日本紙パルプ商事<8032>、英国の紙・包装資材卸売り会社PREMIER PAPER GROUPを子会社化、◇トスネット<4754>、北海道地盤の北日本警備を子会社化、◇モブキャストホールディングス<3664>、エンタメ関連IP管理のゲームゲートを子会社化、◇ソフィアホールディングス<6942>、調剤薬局の盛徳商事を子会社化、◇リコー<7752>、コンテンツ管理システムの独ドキュウェアを子会社化  ほか

 

ショーケース<3909>、スマホWebアプリ「Go!Store」事業をコンコースに譲渡

◆ショーケースは、スマートフォンWebアプリ「Go!Store」事業を、インターネット事業のコンコース(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた。当該事業の直近売上高は875万円。譲渡価額は1850万円。譲渡予定日は2019年7月31日。

 

サン・ライフホールディング<7040>、伊豆箱根鉄道から介護事業を取得

◆サン・ライフホールディングは、伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)から介護事業を取得することを決めた。ショートステイやデイサービスを提供する「エミーズ東間門」(静岡県沼津市)、「エミーズ原」(同)、「エミーズ鴨宮」(神奈川県小田原市)の3施設が対象。出生から葬儀・法要までのトータルライフサポートの実現の一環。取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月1日。

Gunosy<6047>、ブロックチェーン関連子会社LayerXの株式をMBOで譲渡

◆Gunosyは、ブロックチェーン(分散型台帳)に関するコンサルティングやシステム開発を手がける子会社のLayerX(東京都港区。売上高1億400万円、営業利益100万円、純資産1億円)の株式45%を、LayerX社長の福島良典氏に譲渡することを決議した。福島氏から申し出のあったMBO(経営陣による買収)の一環。福島氏はGunosyの取締役ファウンダー(創立者)。譲渡価額は1億3500万円。譲渡予定日は2019年8月23日。

LayerXは2018年8月にGunosyとAnyPay(東京都港区)が折半出資で設立した。この1年間でブロックチェーンをめぐる市場環境が急激に変化したのに伴い、経営の先行きに不透明感が増している。こうした中、同社社長の福島氏からMBOの申し出があったという。

 

リクルートホールディングス<6098>、求人広告自動最適化プラットフォームを運営する英Blackstone Pointを子会社化

◆リクルートホールディングスは欧州子会社を通じて、求人広告自動最適化プラットフォーム「ClickIQ」を運営する英国Blackstone Point LTD(サリー州)の全株式を取得し子会社化することを決議した。Blackstone Pointは2015年に設立。同社が2017年に提供を始めた「ClickIQ」はAI(人工知能)技術を用い、顧客企業の求人広告費用をリアルタイムで管理し、最適な応募者とのマッチングを可能にする。取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月中。

 

ナカシマ、水道工事の安藤建設を完全子会社化

◆上下水道資材や空調機器、住宅設備機器などの販売や工事などを手がけるナカシマ(兵庫県姫路市)は、神戸市を中心に水道工事事業を展開している安藤建設(神戸市、資本金2000万円)を完全子会社化した。神戸市で配水管の更新需要の増大が見込まれているため、工事や営業に関する情報を交換することで両社の事業を拡大するのが狙い。取得金額は非公表。取得日は2019年7月5日。

 

東京エネシス<1945>、発電プラント関係設備製造のタイ合弁「TES Practicum」を特定子会社化

◆東京エネシスは、発電プラント関係設備の製造・販売を目的とするタイの合弁会社TES Practicum(バンコク。売上高800万円、営業利益△900万円、純資産800万円)の増資に伴う株式の追加取得により、同社を特定子会社とする。合弁会社への出資額が東京エネシス本体の資本金額の10%以上に相当するため、従来の関連会社から特定子会社の扱いとなる。取得価額は約8億2300万円。取得予定日は2019年8月。

東京エネシスは2016年に現地企業と合弁でTESを設立した。TESはこのほど、タイ国内で工場(2020年4月に本格稼働を予定)を新規取得。これに伴い、資本金を従来の約3500万円(1000万バーツ)から約17億1500万円に増資することになったもので、東京エネシスは応分の株式を追加取得する。増資後の持ち株比率は49%(増資前48%)、現地企業51%(同52%)。

 

マネックスグループ<8698>、しあわせパートナーズ信託を子会社化

◆マネックスグループは、信託会社のしあわせパートナーズ信託(東京都港区。資本金1億円)の株式90%を取得し連結子会社化し、11日付で「マネックスSP信託」に社名変更した。同社は昨年4月、仮想通貨交換業のコインチェック(東京都渋谷区)を傘下に収めた。今回、新たに信託を取り込み、グループの金融サービス機能を強化する。取得価額は非公表。

 

アゴーラ・ホスピタリティー・グループ、大阪・千日前でホテル運営の難波・ホテル・オペレーションズを子会社化

◆アゴーラ・ホスピタリティー・グループは、宿泊業の難波・ホテル・オペレーションズ(東京都港区。売上高10億9000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。宿泊事業の拡大が狙い。難波・ホテル・オペレーションズは大阪・千日前にある200室規模のホテルを賃貸借契約に基づき運営している。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月末。

 

クイック<4318>、システム開発のクロノスを子会社化

◆クイックは、システム開発事業などを手がけるクロノス(東京都品川区。売上高5億4500万円、営業利益458万円、純資産1億6000万円)の株式90.79%を追加取得し、完全子会社化することを決議した。

クロノスは2002年に設立し、システム開発事業と教育事業を経営の2本柱とする。近年はAI(人工知能)関連システムの開発、導入支援に積極的に取り組むと同時に、AI分野のエンジニア育成研修に力を入れている。

クイックは人材紹介や求人広告の取り扱いを主力とする。クロノスを傘下に取り込み、人材採用・労務管理などのシステム開発を推し進めるとともに、エンジニア教育事業の拡充を通じて顧客企業の人手不足の解消やIT化を支援する。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年10月1日。

 

HIS、オフィス賃貸・ホテル運営のユニゾHDに426億円投じTOB 「敵対的」の可能性も

◆旅行大手のHIS(エイチ・アイ・エス)は10日、オフィスビル賃貸事業とビジネスホテル事業を手がけるユニゾホールディングス(HD)に対するTOB(株式公開買い付け)を11日から開始すると発表した。現在4.79%の所有割合を45%まで高める。HISは昨年12月から今年4月にかけてユニゾHDに出資を含む資本・業務提携についての協議を申し入れたものの、これに応じてもらえなかったことから、TOBを通じて提携実現に向けた強い意思を示す必要があると判断したという。

HISは今回のTOB実施について、事前にユニゾHD側と協議を行っていない。ユニゾHDは取締役会として10営業日以内に、TOBに賛成、反対、中立などの意見表明を行う。ユニゾHDの意見表明の内容次第では敵対的TOBに発展する可能性がある。同社の上場は維持する。

買付価格は1株3100円で、TOB公表前日のユニゾHD株式の終値1990円に55.78%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は所有割合で40.21%に相当する1375万9700株とし、買付金額は最大426億5500万円。買付期間は7月11日~8月23日。決済開始日は8月30日。公開買付代理人(証券会社)はエイチ・エス証券。

ユニゾHDはオフィスビル賃貸事業を主力とし、米国でも展開する。ビジネスホテル事業については、大都市圏や地方中核都市で「ホテルユニゾ」「ユニゾイン」「ユニゾインエクスプレス」の3ブランドで25ホテルを運営する。HISは自社の旅行事業とユニゾHDのホテルを含む不動産事業との連携を通じて双方の収益機会の拡大を目指す。

ユニゾHDは1959年に大商不動産(東京都中央区)として設立し、合併や再編を重ね、2015年に現社名となった。ホテル事業は1977年から手がけている。この間、2009年に東証2部に上場した(2011年に1部昇格)。

 

ジェイテクト<6473>、トヨタ自動車傘下「豊精密工業」の子会社化を検討

◆ジェイテクトは、トヨタ自動車が100%出資する豊精密工業(愛知県瀬戸市)の全株式を取得し、子会社化する方向で検討することを決議した。実施時期、株式取得方法などの詳細は今後両社で協議する。

豊精密は駆動製品であるデファレンシャルギヤの生産を主力とする。ジェイテクトは同じ駆動製品の電子制御カップリングをはじめとするトルクコントロールデバイスを開発・生産している。豊精密を子会社化することで駆動製品の事業基盤を強化する。

豊精密は1958年に設立し、従業員957人(4月1日時点)。

 

グランディハウス<8999>、不動産仲介・売買のプラザハウスなど2社を子会社化

◆グランディハウスは、不動産売買・仲介を手がけるプラザハウス(川崎市。売上高27億6000万円、営業利益8230万円、純資産10億1300万円)とウェルカムハウス(同。売上高8750万円、営業利益348万円、純資産3080万円)の2社の全株式を取得し子会社化することを決議した。

プラザハウス(1998年設立)とウェルカムハウス(2006年設立)は兄弟会社で、プラザハウス社長の柳英明氏が両社に全額を出資する。2社は川崎市を中心に田園都市線沿線を営業エリアとする。グランディハウスは本社を置く栃木県をはじめ北関東3県を地盤とし、住宅など不動産販売事業を展開する。今回の子会社化を機に、神奈川県に本格進出する。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月19日。

 

ファイズ<9325>、貨物運送のドラゴン・ホールディングスを子会社化

2019-07-08

◆ファイズは、貨物運送のドラゴン・ホールディングス(愛知県大府市。売上高21億2000万円、営業利益1900万円、純資産9億6500万円)の株式51%を取得し子会社化することを決議した。

ファイズはサードパーティーロジスティクス(荷主が第三者であるロジスティクス業者に対し、物流業務全般を長期間一括して委託すること)業務をネット通販向けなどに展開している。中部地区を地盤に中・大型車両による貨物輸送を手がけるドラゴンを傘下に取り込み、物流サービス面での連携強化を目指す。

取得価額は6億2300万円(アドバイザリー費用などを含む)。取得予定日は2019年10月9日。

 

日本紙パルプ商事<8032>、英国の紙・包装資材卸売り会社PREMIER PAPER GROUPを子会社化

◆日本紙パルプ商事は、英国の紙・包装資材卸大手PREMIER PAPER GROUP LIMITEDを傘下に持つRADMS PAPER LIMITED(売上高318億円、営業利益14億2000万円、純資産19億8000万円)の株式60%を取得し子会社化することを決議した。1年後をめどにRADMS株式の追加取得を行い、100%子会社化するオプション権を保有する。日本紙パルプ商事は基幹事業の「国内卸売」に加え、「海外卸売」「製紙・加工」「資源・環境」「不動産賃貸」の各重点分野で事業の拡充に力を入れている。「海外卸売」では2010年に米Gould Paperを買収したのをはじめ、豪州、シンガポールの紙・包装資材会社を相次いで傘下に収めた。英国の紙・板紙の需要は年間約 850 万㌧。その多くを欧州大陸からの輸入に頼り、在庫・物流機能を持つ紙商が重要な役割を担っている。今回子会社化するPREMIERは英国第2位の売上規模を誇る大手紙商で、英国内18 拠点、約3000 の顧客を持つ。従業員は480人。日本紙パルプ商事は両社の国際的なネットワークを融合させることで 英国での卸売事業の拡大を目指す。取得価額は52億2000万円。取得日は2019年7月5日。

 

トスネット<4754>、北海道地盤の北日本警備を子会社化

◆トスネットは警備会社の北日本警備(札幌市。売上高3億1000万円、営業利益837万円、純資産1億4900万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。北日本警備は1970年に設立で、北海道内を地盤とする。工事現場の警備業務を主力に、駐車場での交通誘導警備、イベント会場の雑踏警備、各種施設の常駐警備、巡回警備、機械警備などを幅広く手がける。トスネットは交通誘導警備と施設警備を主力とする。同社は札幌市内にアーバン警備保障とI・C・Cインターナショナルの2警備子会社を持つ。北日本警備を傘下に取り込み、現地2社との連携でシナジー(相乗効果)創出を期待している。取得価額は2億50万円。取得日は2019年7月3日。

 

モブキャストホールディングス<3664>、エンタメ関連IP管理のゲームゲートを子会社化

◆モブキャストホールディングスは、アニメや漫画・ゲームを中心としたエンターテイメント関連の知的財産権(IP)管理を手がけるゲームゲート(東京都渋谷区。売上高6億400万円、営業利益4960万円、純資産1億600万円)の全株式を取得し子会社化することで基本合意した。ゲームゲートは2011年に設立。「ガールズ&パンツァー」「転生したらスライムだった件」などのゲーム化、「ご注文はうさぎですか?」「この素晴らしい世界に祝福を!」などのアプリ化をはじめ、その知的財産利用時のマネジメントで実績を積んできた。取得価額は未定。取得予定日は2019年12月末。

 

ソフィアホールディングス<6942>、調剤薬局の盛徳商事を子会社化

◆ソフィアホールディングスは、調剤薬局3店舗を都内で経営する盛徳商事(東京都世田谷区。売上高2億9100万円、営業利益1120万円、純資産3900万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。盛徳商事は1965年に設立。取得価額は9200万円。取得予定日は2019年8月1日。

 

ソフィアホールディングス<6942>、アールエムエスからSSL証明書事業を取得

◆ソフィアホールディングスは子会社を通じて、アールエムエス(東京都多摩市)からWebサイトの身元証明などに必要となる「SSL証明書」販売事業を取得することを決議した。インターネット関連事業を強化する一環。取得価額は非公表。取得予定日は2019年8月1日。

 

リコー<7752>、コンテンツ管理システムの独ドキュウェアを子会社化

◆リコーは、コンテンツ管理システムを提供するドイツDocuWare GmbH(ドキュウェア)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ドイツ、オーストリアでの競争当局の審議を経て今夏に株式取得を目指す。取得価額は非公表。ドキュウェアは1988年に設立し、画像や動画、音声など様々な形式のコンテンツを統合的に管理するクラウド型・オンプレミス型システムを展開し、ワークフローの自動化や会計システムとの連携を実現している。リコーはこれまでドキュウェア製品の販売を手がけるなどパートナー関係にあった。

 

ログリー<6579>、PLAN-Bからユーザー分析DMPサービス「Juicer事業」を取得

◆ログリーは、デジタルマーケティング事業のPLAN―B(大阪市)からユーザー分析DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)サービス「Juicer事業」を取得することを決議した。当該事業の売上高は9900万円。取得価額は未定。取得予定日の2019年9月30日までに取得価額を確定させる(ただし着手金として4400万円を7月1日付で支払い)。ログリーはネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」を軸に、広告主(代理店を含む)の広告効果の最大化や媒体社(メディア)の満足度向上に向けたサービスを提供している。「Juicer事業」を取り込むことで、インターネット広告市場を牽引している運用型広告の市場領域拡大に生かせると判断した。

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「子が事業を引き継いだ場合の引き継いだ資産に係る減価償却」についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】税理士事務所の事業承継と一時払金の処理

■【Q&A】事業譲渡により移転を受けた資産等に係る調整勘定

 

 

 


[質問]

個人事業主の父が廃業して息子が事業を引き継ぎました。父が事業で使用していた機械装置をそのまま息子が使用しているのですが、この場合、使用貸借の扱いで、息子がその機械を減価償却して経費にすることは可能でしょうか。
※息子の機械引継ぎの仕訳 機械装置(帳簿価額)/事業主借(帳簿価格)

 

[回答]

所得税法第56条は、「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が、居住者の営む・・・・・・事業から対価の支払を受ける場合には、・・・・・・その親族の対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る・・・・・・所得の金額の計算上、必要経費に算入する。」と規定していることから、その親族が対価の支払を受けていない場合には、形式的には、配偶者その他の親族の有する資産に係る必要経費に算入されるべき金額は、事業主の営む事業に係る所得の金額の計算上必要経費にされないことになります。

 

しかしながら、所得税法第56条の規定が事業に係る所得における世帯単位課税を考慮した規定であることに着目し、事業主と生計を一にする配偶者その他の親族の有する資産を事業主が無償で使用している場合であっても、その対価の授受があったものとしたならば所得税法第56条の規定により事業主の営む事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入される金額(その親族の各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額)を事業主の営む事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することができることとされています(所基通56-1)。

 

したがいまして、事業主と生計を一にする配偶者その他の親族が所有する資産を事業主が無償で事業の用に供している場合であっても、その資産に係る固定資産税、修繕費、減価償却費等については、事業主の事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することができることになります。

 

ご照会の事例につきましては、父親と息子が生計を一にするか否かが明らかではありませんが、父親と息子が生計を一にしているのであれば、父親の所有する機械装置を息子が使用貸借(無償)で事業の用に供している場合には、その機械装置に係る減価償却費は息子の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができると考えられます。

 

一方、父親と息子が生計を一にしていないのであれば、所得税法第56条及び所得税基本通達56-1の適用がありませんので、その機械装置に係る減価償却費は息子の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないと考えられます。

なお、上記の検討は、息子が父親の事業を引き継いだが、父親の所有していた機械装置は息子に引き継がれず、息子は父親から使用貸借で事業の用に供している場合を想定しています。ご照会には、「息子の機械引継ぎの仕訳 機械装置/事業主借」と記載されていますので、事業の引継ぎに際して機械装置も引き継がれている(息子が購入している)のであれば、息子の所有する機械装置を息子が事業の用に供していることになりますので、その機械装置の減価償却費は息子の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができると考えられます。

 

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2019年4月9日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。

 

 

 

 


[解説ニュース]

相続税の個人版事業承継税制の対象資産(「特定事業用資産」)

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎信義/税理士)

 

 1.相続税の個人版事業承継税制の概要


相続税の個人版事業承継税制とは、下記2の特定事業用資産を所有し、事業(不動産貸付業等を除く。以下同じ。)を行っていた先代事業者として一定の者(被相続人)から、後継者として一定の者(特例事業相続人等)が、2019年1月1日から2018年12月31日までの相続又は遺贈(相続等)により、その事業にかかる特定事業用資産の全部を取得した場合に、その特定事業用資産にかかる相続税について、担保の提供その他一定の要件を満たすことにより納税が猶予され、後継者の死亡等により猶予されている相続税の納付が免除される税制をいいます(租税特別措置法(措法)70条の6の10第1項)。

 

2.特定事業用資産の意義


(1)特定事業用資産の範囲

「特定事業用資産」とは、先代事業者の事業の用に供されていた次の資産です。ただし、その贈与または相続等の日を含む年の前年分の事業所得にかかる青色申告書(措法25条の2第3項に規定する65万円の青色申告特別控除にかかるものに限る。)の貸借対照表に計上されていたもの限ります(措法70条の6の10第2項1号、同施行規則23条の8の8第2項等)。

 

①宅地等
事業の用に供されていた土地または土地の上に存する権利で、建物または構築物の敷地の用に供されているもののうち、棚卸資産に該当しないもので、面積が400㎡以下の部分。

 

②建物
事業の用に供されていた建物で、棚卸資産に該当しないもののうち床面積の合計が800㎡以下の部分。

 

③減価償却資産
②以外の減価償却資産のうち、構築物、機械装置、器具備品、船舶等、一定の自動車等、乳牛・果樹等の生物、特許権等の無形減価償却資産。

 

(2)先代事業者の生計一親族の所有する資産

上記(1)の「先代事業者」には、先代事業者と生計をーにする配偶者その他の親族が含まれます(措法70条の6の10第2項1号かっこ書)。したがって、先代事業者が配偶者の所有する土地の上に建物を建て、事業を行っていた場合におけるその土地など、先代事業者と生計をーにする親族が所有する資産のうち上記(1)①~③のいずれかに該当するものについても、特定事業用資産に該当します。

 

ただし、先代事業者と生計をーにする親族が所有する資産が特定事業用資産に該当するためには、(1)の下線部の通り、その資産が先代経営者の一定の青色申告書にかかる貸借対照表に計上されている必要があります(措法70条の6の10第2項1号)。所得税の青色申告にかかる貸借対照表に、同一生計親族名義の資産を計上する処理を通常は行わないので、今後の取扱いについては国税庁通達等を確認する必要があります。

 

3.小規模宅地等の特例の適用を受ける者がいる場合


2(1)①の宅地等につき、先代事業者および先代事業者と生計を一にする親族(以下「先代事業者等」)から相続等により取得した宅地等について、措法69条の4の小規模宅地等の特例の適用を受ける者がいる場合には、その適用を受ける小規模宅地等の区分に応じ相続税の個人版事業承継税制の適用が次のとおり制限されます(措法70条の6の10第2項1号イ、2号へ、同施行令40条の7の10第7項)。

 

 

上図①のとおり、特定事業用宅地等にかかる小規模宅地等の特例と相続税の個人版事業承継税制については併用できず、どちらかを選択することになります。

 

相続税の個人版事業承継税制は100%納税猶予・免除が可能ですが、後継者が納税猶予を継続し、免除に至るまでには、原則として終身の事業継続や資産保有が求められます(措法70条の6の10第3項、第15項等)。小規模宅地等の特例に比べて要件が厳しいため、後継者が相続等による取得する特定事業用資産の価額のうち宅地等がその大半を占める場合には、通常は小規模宅地等の特例を選択するケースが多いと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

士法人タクトコンサルティング「TACTニュース」(2019/07/08)より転載

[解説ニュース]

最近の事例にみる「不動産所得で経費になるもの」

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一)

 

 

 1.はじめに


個人でアパート経営をしている場合、不動産所得の計算上、必要経費になる支出の範囲で、税務調査で否認されるかどうか不安になるケースがあります。むろん、必要経費になることがはっきりしているものは、きちんと必要経費に算入して適切な課税所得の計算につなげたいものです。

 

不動産所得は、所得税の計算上、アパートの家賃や地代などの収入から必要経費を差し引いて計算します。不動産所得の必要経費となるもので、よく知られているものといえば、アパートなどの資産についての固定資産税・都市計画税、火災保険などの保険料、減価償却費や修繕費などです。これらについては、大きな争いの種になることはありません。

 

必要経費とは原則、「売上原価その他当該総収入金額を得るために直接した費用及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」(所法37)です。このうち、家事上の経費と明確に区分でき「その年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」については、税務署と見解を異にするケースが少なくないところです。

2.最近の裁決から


最近の裁決で「その年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」で、税務署が否認した支出のうち、国税不服審判所が一部を必要経費と認めた事例が出ています(国税不服審判所平成30年9月12日)。

 

裁決書によると、勤め先を退職する前から不動産賃貸業を始めていたAさんは、退職時期をまたいで不動産賃貸業の業務に励んでいたといいます。

 

しかし、平成25年分から平成27年分の所得税の確定申告では、必要経費をめぐって税務署と争いになり、最終的に国税不服審判所に判断してもらうことになりました。

 

具体的に問題になった支出は①業務の参考図書等の費用「図書研修費」約34万円、②業務を円滑にする「接待交際費」約46万円、③福利厚生費などです。

3.考え方の基本


国税不服審判所は、まず「所得税法第37条第1項に規定する「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、当該業務の遂行上生じた費用、すなわち業務と関連のある費用をいうが、単に業務と関連があるというだけでなく、客観的にみてその費用が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当である」と述べ、考え方のポイントを示しました。一方、家事関連費については、「「必要経費」と「家事費」の両要素が混在しているため、原則として必要経費に算入できないが、所得税法第45条第1項第1号及びこれを受けた所得税法施行令第96条第 1号の規定により、その主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その部分に相当する経費に限り必要経費に算入され、また、同条第 2 号の規定により、青色申告者については、家事関連費のうち業務の遂行上必要である部分が主たる部分でなくても、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分がある場合には、その部分に相当する経費は必要経費に算入される」と整理しました。

4.必要経費と認められたもの


そのうえで国税不服審判所は、具体的に次のような支出については、必要経費になると判断しています。

 

ア、不動産賃貸経営及び住まいのリフォーム並びに会社経営及び住宅建築上のノウハウなどの建築工事に関して書かれた書籍を購入するための支出のうち、コンクリートのひび割れ補修等に活用された書籍等の購入費用。

 

Aさん自身においても、賃貸物件の維持管理に際し、コンクリートひび割れ用塗布剤等を購入し、賃貸物件の各室の機器や備品の交換、補修、修理等、各種の作業を行っていることが認められたからです。

 

イ、 事業に係る不動産の管理会社である管理会社Zを訪問した際の手土産代及び管理会社のスタッフに対する謝礼のためのギフト券の購入費。

 

Aさんは、不動産管理会社に対してお菓子を贈答している事実が複数回認められ、そして、平成26年において管理会社Z等が管理する物件に係る収入が前年に比して増加している事実が認められる。この支出は、不動産管理会社との円滑な取引関係を維持するために支出されたものと認めることができるから、当該支出は客観的にみて業務に直接関係し、かつ、業務の遂行上必要な費用であると認められたからです。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/07/01)より転載

[M&Aニュース](2019年6月17日〜6月28日)

◇テクノホライゾン・ホールディングス<6629>、メカトロ関連装置のエムディテクノスを子会社化、◇ハウスコム<3275>、営繕工事のエスケイビル建材を子会社化、◇フォーシーズホールディングス<3726>、総合衛生管理コンサルティングのHACCPジャパンを子会社化、◇エン・ジャパン<4849>、外国人向け求人事業のJapanWorkを子会社化、◇Fonfun<2323>、受託ソフト開発子会社のアドバンティブをAHDに譲渡  ほか

 

日本取引所グループ<8697>、東京商品取引所へのTOB延期

◆日本取引所グループ(JPX)は28日、経営統合で基本合意(3月末)している東京商品取引所(東商取)に対するTOB(株式公開買い付け)を延期すると発表した。6月末にTOB実施を予定していたが、現時点で買付価格について合意にいたっていないのが理由。

当初計画は6月末~9月までをTOB期間として株式を買い付け、10月に決済して東商取を完全子会社化する内容。TOB開始は延期するものの、TOBの終了日や決済日のスケジュールについては変更しないことを前提に今後協議を進めるとしている。

JPXは傘下の東京証券取引所が株式、大阪取引所が金融派生商品(デリバティブ)を扱っている。穀物や原油、金などの商品先物を扱う東商取を取り込むことで、様々な金融商品をワンストップで扱う「総合取引所」の実現を目指している。経営統合したうえで、2020年度の早い時期に商品移管や清算機関の統合を済ませる予定。

JPXは2013年に東京証券取引所グループと大阪証券取引所(現大阪取引所)が経営統合して発足した。一方、東商取も同年、東京工業品取引所が東京穀物品取引所の商品を引き継いで誕生した。JPXと東商取は昨年10月から総合取引所構想に向けて統合協議を進め、今年3月末に基本合意した。

 

ミクシィ<2121>、スマホフォトプリント事業のスフィダンテを子会社化

◆ミクシィはスマホフォトプリント事業を手がけるスフィダンテ(東京都渋谷区。売上高3億5500万円、営業利益4400万円、純資産6700万円)の全株式を取得し子会社化した。

スフィダンテは2009年に設立。スマホで撮影した写真で高品質な写真年賀状を作れる年賀状アプリサービスを複数展開する。ミクシィは2015年4月から写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」を提供し、6月に利用者数が500万人を突破した。スフィダンテのサービスを組み合わせ、付加価値の向上につなげる。

取得価額は非公表。取得日は2019年6月28日。

 

総合メディカルホールディングス<9277>、病院内の売店・コンビニを運営する滋賀文教綜合サービスを子会社化

◆総合メディカルホールディングスは、病院内の売店やコンビニエンスストアなどを運営する滋賀文教綜合サービス(大津市)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

総合メディカルは子会社の文教(東京都千代田区)を通じて滋賀文教綜合サービスを傘下に収める。文教は病院内の売店・コンビニ、レストランなどの事業を関東、中部、九州を中心に約100病院で展開している。今回、滋賀文教綜合サービスを傘下に取り込み、関西での営業基盤を強化する。

取得価額は非公表。取得日は2019年6月28日。

 

カヤック<3904>、木材流通加工の八女・流域資本を子会社化

◆カヤックは、木材流通加工の八女・流域資本(福岡県八女市)が実施する第三者割当増資を引き受け、同社を子会社化(所有割合98.1%)した。

八女・流域資本は2019年2月に、福岡県下で最大の森林を持つ八女市ならではの循環型林業モデルの構築を目的に設立。今後、木材加工・卸売り、建築業、地域プロモーション、賃貸住宅事業などを計画している。

カヤックはグループ会社を通じて、地域創生関連事業を手がける。八女市ではこれまで地元の八女里山賃貸(福岡県八女市)に出資し、定住・移住希望者の地方におけるライフスタイル構築を支援するなどしてきた。

取得価額は510万円。取得日は2019年6月28日。

 

五洋インテックス<7519>、前社長の資産管理会社と持分の帰属を争っていた子会社「キュアリサーチ」を譲渡

◆五洋インテックスは27日、遺伝子検査事業や訪日外国人観光客(インバウンド)向け医療観光事業を手がける全額出資子会社、キュアリサーチ(東京都中央区。売上高1億3900万円、営業利益△3740万円、純資産2250万円)の持分の帰属をめぐり、五洋前社長の大脇功嗣氏が経営する資産管理会社「大倉商事(現オオクラコーポレーション)」(東京都中央区)と争っていた問題から手を引くことを決めたと発表した。キュアリサーチの全株式が4月27日付で大倉商事の所有となり、キュアリサーチは連結子会社から外れた。譲渡価額は4100万円(質権行使価額)。

五洋は4月28日に臨時株主総会を開き、大脇前社長を解任している。

五洋は昨年12月末、カーテンなど室内装飾品事業の運転資金確保を目的に、大脇前社長の資産管理会社である大倉商事から9000万円を借り入れ、その際、子会社のキュアリサーチの全株式を担保に差し出した。その後、両社は2019 年4 月19日に、当初の一括返済から分割返済に返済スケジュールを変更した。ところが、4月26 日に第1回の支払期限が到来したものの、大脇前社長ら旧経営陣が支払いを行わなかったため、債権者の大倉商事が4月27日に質権を行使した。

これに対し、五洋は意図的に支払いを行わなかった大脇前社長の行為は特別背任罪に該当するなどとして、キュアリサーチ株式の帰属を争っていた。

五洋側の発表によると、2019年6月中旬頃、キュアリサーチが税金を期限内に支払えない状況で、しかもキュアリサーチの旧経営陣が別会社を設立し、従業員を移籍させ事実上、同社を抜け殻としたという情報が入ったため、 4月27日の時点でキュアリサーチの株式が大倉商事に移転したことを前提に持分の帰属を争わないことにしたという。

 

アジャイルメディア・ネットワーク<6573>、Webサービスのクリエ・ジャパンを子会社化

◆アジャイルメディア・ネットワークはWebサービスのクリエ・ジャパン(東京都渋谷区。売上高3000万円、営業利益△1600万円、純資産△2580万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

クリエ・ジャパンは2010年に設立し、購買情報、属性情報、契約内容、口コミ情報など各種ユーザーデータに基づき、サーバー上で動画を組み合わせ画像素材を合成して、一人ひとりに合わせて行うone to oneマーケティングを実現する動画ソリューション「PRISM」を提供している。

アジャイルメディアは企業やブランドのファンの育成・活性化を支援するアンバサダー事業を主力とする。クリエ・ジャパンの動画ソリューションを取り込み、業容拡大につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月1日。

 

ヒビノ<2469>、防音設備工事のサンオーを子会社化

◆ヒビノは、防音設備工事のサンオー(東京都台東区。売上高2億4600万円、営業利益2500万円、純資産1900万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

サンオーは1989年に設立し、工場やオフィスビル、公共施設、商業施設の騒音対策工事を主力とするほか、防音パネルやサイレンサーなどの防音設備製品をつくっている。

ヒビノは子会社の日本音響エンジニアリング(東京都墨田区)を通じて、工場などの騒音対策のコンサルティングサービスを提供している。サンオーを傘下に取り込み、騒音対策事業の育成を加速する。

取得価額は7000万円。取得予定日は2019年8月1日。

 

日本エスコン<8892>、戸建分譲のワンズオウンハウスなど2社を子会社化

◆日本エスコンは、戸建分譲のワンズオウンハウス(さいたま市。売上高21億1000万円、営業利益1億6300万円、純資産4億8600万円)、戸建建築工事のライズホーム(さいたま市。売上高11億5000万円、営業利益1億700万円、純資産11億1000万円)の2社の全株式を取得し子会社化することを決議した。

子会社化する2社は兄弟会社。ワンズオウンハウスは年間40戸程度の戸建分譲事業を、ライズホームは年間60戸程度の戸建建築工事を手がけている。両社が地盤とする埼玉県は1年間の人口増加率が東京に次ぐ全国2位で、2018年度のマンション供給戸数は前年度比8.5%増と首都圏で千葉に次ぐ伸び率を示している。

日本エスコンは両社を傘下に取り込み、都心のベッドタウンとして安定的な成長が見込める埼玉エリアでの不動産事業の強化につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月1日。

 

日本エスコン<8892>、戸建分譲のワンズオウンハウスなど2社を子会社化

◆日本エスコンは、戸建分譲のワンズオウンハウス(さいたま市。売上高21億1000万円、営業利益1億6300万円、純資産4億8600万円)、戸建建築工事のライズホーム(さいたま市。売上高11億5000万円、営業利益1億700万円、純資産11億1000万円)の2社の全株式を取得し子会社化することを決議した。

子会社化する2社は兄弟会社。ワンズオウンハウスは年間40戸程度の戸建分譲事業を、ライズホームは年間60戸程度の戸建建築工事を手がけている。両社が地盤とする埼玉県は1年間の人口増加率が東京に次ぐ全国2位で、2018年度のマンション供給戸数は前年度比8.5%増と首都圏で千葉に次ぐ伸び率を示している。

日本エスコンは両社を傘下に取り込み、都心のベッドタウンとして安定的な成長が見込める埼玉エリアでの不動産事業の強化につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月1日。

 

クリエイト・レストランツHD<3387>、西洋フード・コンパスグループからゴルフ場内のレストラン運営事業を取得

◆クリエイト・レストランツ・ホールディングス(HD)は、社員食堂や学校給食などの運営受託を主力とする西洋フード・コンパスグループ(SFCG、東京都中央区)からレストラン運営事業の一部を取得することを決議した。ゴルフ場やテーマパーク、商業施設内でのレストランなど134店舗を対象とする。取得価額は58億8400万円。

クリエイト・レストランツは、SFCGが対象事業を会社分割する目的で5月に新設したエスエスエル(東京都中央区)の全株式を9月1日付で取得して連結子会社化する。株式取得後、社名を「クリエイト・スポーツ&レジャー」に変更する予定。対象事業の直近業績は売上高118億円、営業利益6億円、純資産13億円。ゴルフ場でのレストラン運営では業界トップのシェアを持つという。

クリエイト・レストランツはゴルフ場内のレストラン運営のアウトソーシング(外部委託)化の流れを踏まえ、今後も受託増加が見込め、安定的な収益確保につながると判断した。

 

三菱重工業<7011>、カナダ・ボンバルディアの小型旅客機事業を590億円で買収

◆三菱重工業は25日、カナダの航空機メーカー、ボンバルディアから小型ジェット旅客機事業を買収することで合意したと発表した。座席数50~100席の小型旅客機「CRJ」シリーズに関する保守・顧客サポート、改修、販売、型式証明などを5億5000万ドル(約590億円)で取得する。200億ドル(約210億円)の債務も引き受ける。ボンバルディアの顧客基盤や整備・補修拠点(カナダ、米に各2カ所)を引き継ぎ、子会社の三菱航空機が2020年半ばに納入を目指す国産ジェット「スペースジェット(旧MRJ)」の事業拡大につなげる。

買収するCRJ事業の業績は売上高約1880億円、支払金利前税引き前利益(EBIT)△約807億円。買収対象に製造機能は含まない。2019年末~2020年上期に買収完了を見込む。

CRJの製造拠点(カナダ・ケベック州)はボンバルディアに残り、ボンバルディアが部品や予備部品の供給を継続する。CRJの生産は受注残機体の納入後、2020年後半に終了する予定。

金融情報サービス大手のリフィニティブによると、今回の三菱重工によるボンバルディアのCRJ事業の買収は日本企業によるカナダ案件として2012年の三菱商事によるエンカナの天然ガス開発プロジェクトへの投資約1160億円に次ぐ2番目の規模。

 

アクセル<6730>、ソフト開発のbitcraftを子会社化

◆アクセルは、ソフト開発のbitcraft(東京都渋谷区。本社売上高1億400万円、営業利益2700万円、純資産4800万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

アクセルは2014年設立で、メンバー全員が日本語を母国語としない人材で構成されるという。アクセルは傘下企業のax(東京都千代田区)を通じてミドルウエア、AI(人工知能)関連のソフト開発事業を手がけるが、成長加速のためにAI技術者やグローバル人材の積極的な採用を課題としていた。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月1日。

 

東テク<9960>、太陽光発電子会社のケーピーエネルギーを日本再生可能エネルギーに譲渡

◆東テクは太陽光発電事業子会社のケーピーエネルギー合同会社(東京都千代田区。売上高―、営業利益△8700万円、純資産32億5000万円)の全持分(持分割合84.5%)を、太陽光発電事業の日本再生可能エネルギー(東京都港区)に譲渡することを決議した。

東テクは2017年3月に太陽光発電事業を手がけるケーピーエネルギーに出資し、連結子会社化した。ケーピーエネルギーは栃木県矢板市で太陽光発電所の建設を進めている。しかし、太陽光や風力でつくった電気を大手電力会社が買い取るFIT(固定価格買い取り制度。2012年創設)が終了の方向にあるのに加え、進行中の建設工事でゲリラ豪雨による土砂崩落が発生するなどしており、こうした事業遂行上のリスクを総合的に勘案した結果、譲渡を決めた。

譲渡価額は39億1600万円。譲渡予定日は2019年7月26日。

 

凸版印刷<7911>、建装用化粧シートメーカーの独インタープリントを子会社化

◆凸版印刷は24日、建装材用化粧シートの大手メーカー、ドイツのインタープリント(アルンスベルク市。売上高約438億円、純資産約205億円)の全株式を取得し子会社化すると発表した。取得価額は3億8400万ユーロ(約480億円)。12月中に買収を完了する。

インタープリントは1969年に設立し、従業員約1300人。ドイツ、米国、ポーランド、マレーシア、中国、ロシア、ブラジルに生産拠点を持ち、家具や建具、床などの表面化粧材として使われる建装材で世界有数の規模で事業を展開する。

凸版印刷は1956年に印刷技術を生かして建装材事業に進出し、1970年代から海外市場の開拓に乗り出した。現在、米国内2カ所に建装材印刷工場を持つ。2017年にはスペインのデコテックプリンティング(カタルーニャ州)を買収し、海外での生産体制を強化してきた。

 

テクノホライゾン・ホールディングス<6629>、メカトロ関連装置のエムディテクノスを子会社化

◆テクノホライゾン・ホールディングスは、メカトロニクス関連装置メーカーのエムディテクノス(愛媛県西条市。資本金1000万円)の全株式を取得し子会社化した。FA(ファクトリー・オートメーション)事業強化の一環。取得価額は非公表。取得日は2019年6月21日。

 

ハウスコム<3275>、営繕工事のエスケイビル建材を子会社化

◆ハウスコムは、営繕工事のエスケイビル建材(埼玉県富士見市。売上高6億6800万円、営業利益6020万円、純資産1億4500万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

エスケイビル建材は2007年に設立。塗装工事、金属建具工事、リニューアル工事などの各種営繕工事を主力とし、関東地区で外注業者と緊密な関係を築いている。ハウスコムは経営多角化の一環として2016年3月にリフォーム事業に進出した。今回、エスケイビル建材を傘下に取り込み、同事業の拡大を促す。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月1日。

 

フォーシーズホールディングス<3726>、総合衛生管理コンサルティングのHACCPジャパンを子会社化

◆フォーシーズホールディングスは、総合衛生管理コンサルティングのHACCPジャパン(福岡市)の株式98.9%を取得し、子会社化(非連結)することを決議した。

フォーシーズは現在、化粧品の通信販売事業を主力とする。しかし、化粧品をめぐっては異業種からの新規参入や商品の低価格化、販売チャンネルの多様化などで競争が激化し、同社を取り巻く経営環境は厳しさを増している。こうした中、総合衛生管理コンサルティングを展開するHACCPジャパンを傘下に収め、経営基盤の安定と業績の改善を目指す。HACCPジャパンは2018年10月に設立。

取得価額は890万円。取得予定日は2019年6月24日。

 

エン・ジャパン<4849>、外国人向け求人事業のJapanWorkを子会社化

◆エン・ジャパンは、外国人向け求人事業のJapanWork(東京都港区。売上高1600万円、営業利益△1900万円、純資産100万円)の株式51%を取得し子会社化することを決議した。その後、残る株式について2022年に株式交換で追加取得し同社を完全子会社化する。

JapanWorkは16年2月に設立し、外国人向けに求人一括検索サイト「JapanWork」を運営している。18年12月からは企業と言葉の壁がある外国人とのやりとりを代行するチャットコンシェルジュサービスを始め、清掃や工場系派遣企業を中心に顧客を広げている。

改正出入国管理法が19年4月に施行され、外国人の受け入れ拡大を目的とした単純労働者に対する就労ビザの取得が認められた。ホテルや飲食業界などの現場では慢性的な人手不足で、外国人労働者市場の成長が見込まれている。

エン・ジャパンはJapanWorkを傘下に取り込み、外国人労働者事業を通じた人材サービス拡大を目指す。

第一段階の株式の取得価額は2億3400万円。取得予定日は7月12日。

 

Fonfun<2323>、受託ソフト開発子会社のアドバンティブをAHDに譲渡

◆Fonfunは、受託ソフトウエア開発子会社のアドバンティブ(熊本県益城町。売上高1億200万円、営業利益1000万円、純資産1900万円)の全株式を、ITコンサルティング会社のAHD(熊本市)に譲渡することを決議した。

Fonfunは携帯電話・スマートフォン向けのコンテンツ提供を事業の柱とする。2015年にアドバンティブを設立し、 ソフトウエアの受託開発に乗り出したが、思ったほどの利益水準に達成していなかった。今回、アドバンティブの取締役らが5月に設立したAHDからアドバンティブの株式取得の打診があり、譲渡を決めた。Fonfunは今後、リモートメール事業・SMS (ショートメッセージサービス)事業に経営資源を集中するという。

譲渡価額は2800万円。譲渡予定日は2019年7月1日。

 

UACJ<5741>、銅管子会社「UACJ銅管」を豊川ホールディングスに240億円で譲渡

◆UACJは、全額出資の銅管製造子会社のUACJ銅管(愛知県豊川市。売上高452億円、営業利益16億円1000万円、純資産90億5000万円)の全株式を、豊川ホールディングス(東京都港区)に約240億円で譲渡することを決議した。譲渡予定日は2019年9月30日。豊川ホールディングスは投資ファンドのアスパラントグループ(東京都港区)と大和証券グループの大和PIパートナーズ(東京都千代田区)が出資して5月末に設立した特別目的会社。

UACJ銅管は主に空調機向け銅管を製造する。今後もおう盛な需要が見込まれる東南アジア市場での成長機会が期待されるとしながらも、UACJグループの経営資源の有効活用の観点から銅管事業への追加投資や人的資源の投入が難しいと判断した。

 

PKSHA Technology<3993>、駐車場機器メーカーのアイドラを子会社化

◆PKSHA Technologyは、特別目的会社「桜坂1号」(東京都文京区)を通じて、駐車場機器メーカーのアイドラ(東京都新宿区。売上高44億5000万円、営業利益2億2500万円、純資産6億300万円)の全株式を取得し、7月1日付で子会社化することを決議した。取得価額は28億200万円。これとは別に、業績の達成割合に応じて条件付き対価(アーンアウト対価)を支払うことで合意している。

アイドラは駐車場機器の製造・販売と駐車場運営受託を通じて、全国に10万台以上のIoT(モノのインターネット)機器を配置し、各種データをクラウドで蓄積・管理する。PKSHAは同社を傘下に収め、将来性が期待されるMaas(サービスとしての移動手段)領域での取り組みを強化する。

 

平山ホールディングス<7781>、民事再生計画確定の大松自動車を子会社化

◆平山ホールディングス(HD)は、自動車整備業や介護事業を手がける大松自動車(三重県大台町。売上高4億6400万円、営業利益△2億2400万円、純資産△7億6300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。6月18日付で大松自動車の民事再生計画が確定したのに伴い減資後、同社の増資を8000万円で引き受ける。大松自動車は新規事業のバイオマス事業で資金繰りに行き詰まり、平山HDに再生支援を要請していた。取得予定日は2019年7月1日。

 

EMシステムズ<4820>、電子カルテシステム販売のポップ・クリエイションを子会社化

◆EMシステムズは、電子カルテ・医療情報システムを販売するポップ・クリエイション(福岡県筑紫野市)の全株式を取得し子会社化することを決議した。ポップ・クリエイションは1999年に設立し、診療所、クリニック、保険薬局を主な顧客とする。EMは同社を傘下に取り込み、北部九州での事業拡大につなげる。取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月1日。

 

昭和電線HD<5805>と古河電工<5801>、建設・電販市場向け汎用電線の販売事業を2020年4月に統合

◆昭和電線ホールディングス(HD)と古河電気工業は18日、子会社で手がける建設・電販市場向け汎用電線の販売事業を統合することで基本合意したと発表した。新販売会社「SFCC」(仮称、川崎市)を共同出資で設立し、2020年4月1日の営業開始を目指す。単独での収益改善が困難な見通しにあるとの認識で一致した。

新販売会社「SFCC」は昭和電線HDが60%、古河電工が40%を出資する計画。昭和電線HD100%子会社の昭和電線ケーブルシステム(川崎市)、SDS(同)、古河電工100%子会社の古河テレコム(東京都千代田区)の3社が取り扱う建設・電販市場向け汎用電線の販売事業を統合する。新販社では販売業務の効率化を進め、在庫の一括集中管理を実施し、収益改善につなげる。

建設・電販市場向け汎用電線を除いた商品の販売については従来通り、両社の子会社が継続する。

 

三城ホールディングス<7455>、眼鏡フレーム修理のオプトメイク福井を子会社化

◆三城ホールディングスは、眼鏡フレーム修理のオプトメイク福井(福井県鯖江市)の全株式を取得し子会社化した。三城HDはグループに眼鏡フレーム製造のクリエイトスリー(福井県鯖江市)を持つが、アフターサービスについてもグループ内で徹底して行うとしている。オプトメイク福井は1989年設立で、従業員は17人。取得価額は非公表。取得日は2019年6月17日。

 

東海カーボン<5301>、ドイツの炭素黒鉛電極メーカーCOBEXを1000億円で買収

◆東海カーボンは17日、ドイツの炭素黒鉛製品メーカー大手、COBEX HoldCo GmbH(ヴィースバーデン。売上高298億円、営業利益96億円、純資産120億円)を買収すると発表した。約1000億円を投じて全株式を7月下旬に取得する。

COBEXはポーランドに2工場を構え、アルミ精錬用カソード(電極)、高炉の内張りに使われるライニング(高炉用ブロック)、金属シリコンなどの精錬に使われる炭素電極の3分野で世界有数のシェアを持つ。

主力のアルミ精錬用カソードはアルミを溶かす際に使われる消耗品。アルミは自動車や航空機の軽量化ニーズ、建材分野での使用量増加、飲料容器のアルミ化、エレクトロニクス分野における銅の代替需要などを背景に安定的な成長が見込まれている。

東海カーボンは昨年、米のカーボンブラックメーカー大手、シド・リチャードソン・カーボン(テキサス州)を約300億円で買収した。ドイツでは2005年に黒鉛電極製造のエルフトカーボン(現東海エルフトカーボン)を傘下に収めている。

 

日産東京販売ホールディングス<8291>、自動車整備・中古車買い取りのGTNETを子会社化

◆日産東京販売ホールディングスは、自動車整備や中古車の買い取り・販売のGTNET(大阪府茨木市。売上高65億3000万円、営業利益8900万円、純資産38億3000万円)の株式51%を取得し子会社化することを決議した。

GTNETは1999年設立で、スポーツタイプの車両を中心に中古車販売や自動車整備を全国14事業所で展開している。日産東京販売は東京エリアで日産とルノーの新車の販売、中古車販売、自動車整備などを手がけ、2019年度スタートした中期経営計画で重点戦略の一つとしてM&Aによる規模拡大を打ち出している。

取得価額は非公表。取得予定日は2019年7月22日。

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

離婚に伴い自宅を財産分与する場合の税務上の取扱い等-1/2 ~財産分与をする側~

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田房枝/税理士)

 

 

[関連解説]

■離婚に伴い自宅を財産分与する場合の税務上の取扱い等-2/2 ~財産分与を受ける側~

■不動産の財産分与があった場合の不動産取得税

 

 

【問】

私(夫)はこの度、妻と協議離婚をすることとなりました。離婚に伴い、婚姻期間中の財産の清算として、婚姻期間中に私名義で取得した自宅の土地及び建物(以下「自宅」)を妻へ財産分与(*)する予定です。離婚に伴う税務上の留意点等を教えてください。
(*) 相手方の請求に基づき、離婚した者の一方から相手方に財産を渡すことを財産分与といいます(民法768)。

(妻における税務上の留意点等については、次回以降に解説予定です。)

 

【回答】

1.所得税


(1) 譲渡所得課税
① 離婚後に財産分与する場合

 

(a)譲渡所得
所得税法上、譲渡所得の基因となる財産(本問の場合は自宅)の財産分与があった場合には、財産分与時に、元夫は、その自宅を財産分与時の価額により元妻へ譲渡したものとして取り扱われます(所基通33-1の4)。
自宅を財産分与した場合の譲渡所得金額は、次の算式により計算します(所法33、措法35①②⑪)

 

〔算式〕
財産分与時の自宅の時価 -(取得費+譲渡費用)- 居住用財産の譲渡所得の特別控除3,000万円※

 

※「居住用財産の譲渡所得の特別控除」の適用については、自宅の所有期間や居住期間についての制限はありません。したがって、この特別控除を適用することにより、元夫の譲渡所得金額がゼロになることもあります。ただし、この特別控除の適用を受けるためには、元夫の財産分与年分の確定申告書にこの規定の適用を受ける旨等の記載をし、この財産分与に係る譲渡所得の明細書等の添付をする必要があるため、確定申告をし忘れないよう留意が必要です。なお、この3,000万円の特別控除の規定は、配偶者のような特別関係者等への譲渡においては適用できないため、この規定の適用を受けたい場合には、離婚後に財産分与する必要があります。

 

(b)税率
上記(a)の算式により計算した譲渡所得金額がある場合(上記(a)の算式により計算した結果がプラスとなる場合)には、その財産分与のあった年の1月1日現在における自宅の所有期間や譲渡所得金額に応じて、次の税率による所得税等が課されます(措法31、31の3、32①、地法附34、34の3、35、復興財源確保法9、13)。

 

② 離婚前に財産移転する場合

財産移転が離婚前に行われる場合には、基本的に、夫から妻への贈与として取り扱われ、夫において譲渡所得課税はありません。

(2) 離婚後の新たな住宅ローン控除の適用

離婚に伴う自宅の財産分与に際し、元夫が、居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(上記1.(1)①(a)※印参照)又は所有期間10年超の場合の譲渡所得の軽減税率(上記1.(1)①(b)の14.21%)等の適用を受けた場合には、その後3年以内に元夫が新たに借入をして自宅を取得等したとしても、元夫は住宅ローン控除の適用を受けることができません(措法41⑮)。

2.印紙税(措法91②)


財産分与契約における自宅の価額に応じて、次の印紙税が課税されます。

3.固定資産税(地法343、350、359)


固定資産税は、1月1日現在の自宅の所有者に対して課税されます(固定資産税評価額×1.4%)。したがって、年の途中で財産分与をして所有者が元妻に変わったとしても、その年分については元夫が納税義務者となります(別途、元夫婦間の合意で固定資産税の精算を行うことはできます)。

4.最後に


離婚に伴って自宅の財産分与をする場合、実行のタイミング等により、課税関係が異なります。詳細は税理士にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2019/06/24)より転載

[税理士のための税務事例解説]

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。今回は、事業承継税制(特例措置)の適用要件の一つである「先代経営者等である贈与者」の要件についてです。

 

[関連解説]

■【Q&A】個人版事業承継税制について ~先代事業者が医師、後継者が歯科医師の場合~

■【Q&A】相続税・贈与税の事業承継税制について~資産保有型会社の判定で採用する基準~

 

 

 


[質問]

事業承継税制におけるこのたびの特例措置を適用したく、作業を進めています。その適用要件のなかで、「先代経営者等である贈与者」の要件について以下の3つを定めています。

 

(1) 会社の代表権を有していたこと
(2) 贈与の直前において、贈与者及び贈与者と特別の関係が有る者で総議決権数の50%超の議決権を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと。
(3) 贈与時において、会社の代表権を有していないこと。

 

当社は、「先代経営者等である贈与者」にあたる者が、取締役に就任しているものの、代表取締役に過去に一度も就任しておりません。
そのため、これから代表取締役になるべく定款変更(共同代表取締役)し、就任しようと思っています。このスキームで(1)の要件を満たすでしょうか。

 

[回答]

1 租税特別措置法第70条の7の5(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)に規定する「特定贈与者」について、同法施行令第40条の8の5第1項第1号は「・・・特例認定贈与承継会社(略)の代表権(制限が加えられた代表権を除く。イ及びロにおいて同じ。)を有していた個人で、・・・」と規定しています。

 

2 したがって、贈与の前に会社の定款を変更して贈与予定者を共同代表取締役に就任させ、その旨を登記した後に、特例承継計画を都道府県に提出して経営承継円滑化法の確認を受け、その後、株式等の贈与前に共同代表を辞任すれば適用要件の「会社の代表権を有していたこと」に該当します。この場合、定款等において贈与予定者の代表権に制限を加えないことが必要です。

 

 

税理士懇話会事例データベースより

(2018年6月15日回答)

 

 

 

 

[ご注意]

掲載情報は、解説作成時点の情報です。また、例示された質問のみを前提とした解説となります。類似する全ての事案に当てはまるものではございません。個々の事案につきましては、ご自身の判断と責任のもとで適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い申し上げます。