[税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務]

①実行段階におけるM&A 支援業務の相互関連性

~デューデリジェンス・スキーム策定・バリュエーションの関連性~

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 宮口徹

 


Q、税理士が行うM&A 支援業務の相互の関連性を教えてください。

 

A、DD により検出されたリスク要因をスキームの工夫によって遮断・軽減できる場合があります。また、リスク要因はバリュエーションにマイナスの影響を及ぼしますが、これもスキームの工夫で軽減させることが可能な場合があるなど各業務は密接に関連しています

 

 

 

 

 

図表はM&A の実行段階における支援業務の全体像と関連性を示したものです。DD、バリュエーション及びスキーム策定は独立したものではなく相互に関連していることを理解することが重要です。

 

 

まず、DD ですが、図に列挙したとおり、各種観点から対象会社をM&A で取得する際のリスク要因を洗い出す手続きとなります。税理士や会計士が行う財務・税務DD は必須の手続きと言えます。

 

 

弁護士が行う法務DD も大多数の案件で行われますが、図表 のDD の欄内の④以降のDD については必要に応じて行われます。めっき工場の売買で土地の環境汚染が心配であれば専門家に依頼し環境DD を行いますし、多様な形態で人員を雇用し、未払残業代や名ばかり管理職など労働法規上の問題が懸念されるのであれば社会保険労務士に依頼して人事面の調査を行うといった感じです。こうしたDD を行う場合、案件全体をコントロールする税理士としては常にリスクを定量化する思考を持つことが大切です。金額に換算できるリスクであれば売買金額の調整などでクリアできるためです。

 

 

次にスキーム策定ですが、DD において検出されたリスクについてスキームを工夫することで遮断したり軽減したりできることがあります。株式取得では対象会社の潜在リスクが全て引き継がれますが、スキームを事業譲渡に切り替えることによりリスクを遮断するといった対応が可能です。また、スキームを工夫することで税金コストの削減が可能になるのであれば、利益やキャッシュフローが増加しますので株価評価にもプラスの影響が生じます。

 

 

最後にバリュエーション(価値算定)ですが、DD においてリスクが検出された場合、当然に評価額に対してマイナスの影響を与えます。中小企業のM&A では仲介会社方式と呼ばれる方法が一般的です。

 

 

以上、M&A の実行段階における支援業務の相互関連について説明しました。

 

 

 

(「税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務」より)

 

 

 

[初級者のための入門解説]

M&Aの相談先  ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」⑧~

 

M&A実務の基礎ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『M&A超入門』」シリーズ。今回は、「M&Aの相談先」について解説いたします。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  植木康彦(Ginza会計事務所)

公認会計士・本山純(Ginza会計事務所)

 

 

 

M&Aにより会社や事業の売却を行う場合の、課題や検討すべき事項は多岐にわたり、また専門的な知識が必要となる局面が多数あります。そのため、迅速にM&Aを進めるためには、状況に応じて適切な相談先を選定することが重要となります。

 

ここでは、M&Aの主要な相談先である会計事務所とM&A仲介会社について、具体的なケースで一般的にどちらが適していると考えられるか、それぞれの特徴と主な依頼可能業務をご紹介いたします。

 

 

会計事務所に相談するケース

会計事務所は、顧問契約等により既に関係があるケースが多いことから、経営者にとって気軽に相談できる相手先と言えるでしょう。

 

M&Aにおける会計事務所の特徴は、会計や税務の専門知識を有していることから、財務・税務デューデリジェンスやタックスプランニングを得意とする場合が多いと言えます。他方、M&A仲介会社と比較するとM&Aマーケットでのネットワークはさほど持っていないことが一般的です。

 

そのため、比較的規模が小さい案件(事業価値1億円未満)や、すでに買い手候補がある場合、また、税理士経由でのみ利用可能な日本税理士協会連合会の運営するマッチングサイト「担い手探しナビ」を利用したい場合の相談先として適切と言えるでしょう。

 

会計事務所に依頼可能な主な業務は、初期相談、バリエーション、デューデリジェンス、スキーム構築、タックスプランニング等が挙げられます。

 

 

M&A仲介会社に相談するケース

M&Aに際しては、M&A仲介会社を利用するのは一般的な方法です。

 

M&A仲介会社は、M&Aマーケットに広いネットワークを有しているので、売り手、買い手共に短時間のうちに相手先を探してもらうことができ、売買交渉やデューデリジェンス、バリエーション、売買契約までフルパッケージでしっかりと支援してもらえる場合が多いと言えます。他方で、専門家をフルに活用するのでそれなりの費用がかかることが一般的です。

 

そのため、比較的規模が大きい案件(事業価値1億円以上)や広く買い手を探す場合、仲介や価格交渉等の専門業務を任せたい場合の相談先として適切と言えるでしょう。

 

M&A仲介会社に依頼可能な主な業務は、初期相談、バリエーション、仲介、交渉、契約等、M&Aに係る全般的な事項を依頼することが可能です。

 

 

 

会計事務所に相談した方が良いケース

上記表の通り、M&A仲介会社へ相談すればM&Aに係る業務をフルパッケージでサポートしてもらうことが可能なため、大規模な案件ではM&A仲介会社が介入することが一般的です。これに対し、会計事務所では、M&Aに係る業務の中で、バリエーション、デューデリジェンス、スキーム構築、タックスプランニングを得意としており、M&A仲介会社で行われるこれらの業務も会計士や税理士等の専門家が行っているケースが大半です。

 

そのため、これらの業務をメインに依頼したい場合には、会計事務所へ相談した方がコストを抑えることが可能なケースもあります。

 

特に、スキームやタックスプランニング次第で、M&Aに係る税務コストが大きく変動するため、小規模なM&A案件であってもこれらの検討は行うべきと言えるでしょう。

 

例えば、退職金支給スキームでは、譲渡代金の一部を税率の低い退職金として受け取ることで、総額の手取り額を増加させることができる可能性があります。また、平成29年度税制改正により、会社分割を行った場合の支配関係継続要件の「支配株主と分割法人との関係継続」が不要となったことから、譲渡事業の含み益課税を受けずにM&Aを実施するスキームを構築することも可能となりました。(詳細は「M&Aにおけるタックスプランニング ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」⑦~」をご参照ください。)

[初級者のための入門解説]

M&Aにおけるタックスプランニング  ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」⑦~

 

M&A実務の基礎ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『M&A超入門』」シリーズ

今回は、「M&Aにおけるタックスプランニング」について解説いたします。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  植木康彦(Ginza会計事務所)

 

 

 

M&Aにおいてタックスプランニングは重要です。というのも、キャッシュアウトに占める税金の負担が大きいためです。今回は、売り手と買い手、それぞれの事例を見ていきたいと思います。

 

売り手側


売り手側で残したい事業や資産がある場合、あるいは、会社全体では黒字事業と赤字事業があって、赤字事業は買いたくないという買い手側の希望がある場合など、実務ではいろんなケースがあります。

 

以上のようなケース、すなわち会社丸ごとでないM&Aの手続選択肢としては「対象事業そのものを譲渡する方法」「会社分割して分割した会社の株式を譲渡する方法」があります。買い手の希望があるので、売り手側の意向だけで決められるものではありませんが、節税の意識を持って対応することも重要です。

 

 

(1)事業譲渡で含み益事業を譲渡するケース

会社で営んでいる含み益事業をM&Aで譲渡する場合、含み益が実現した事業譲渡益に対して法人税が課税されます。もちろん、法人税の計算上は他の営業損益があれば合算されますし、青色欠損金があれば控除できます。

 

 

 

この場合のタックスプランニングとしては、経営陣(オーナー)や従業員の今までの功労に報いるために、事業譲渡益を財源として「退職金を支給する方法」が考えられます。

 

従業員は譲渡先との間で再雇用される機会があったとしても、経営陣は事業譲渡によって退職し将来の生活の糧を失うことが多いため、特に経営陣に対して退職金を支給し譲渡益課税される所得を圧縮した方がメリットになります。

 

また、もう一つのメリットとして、事業譲渡代金は会社に帰属するため譲渡代金を株主個人に帰属させるには法人税課税後に、配当所得課税され、都合2回の課税(法人と個人)によって個人株主が受取る対価が大きく目減りするのに対し、退職金の場合は退職所得として優遇税制が利用できるので、個人が受け取る対価は増加します。

 

 

 

(2)事業を分割し、分割会社の株式を譲渡するケース

一部の事業を譲渡し、一部の事業(資産)を残したい場合、譲渡対象外の事業を会社分割により簿価で切り出してから譲渡する方法が、平成29年度税制改正で可能となりました。

 

すなわち、平成29年度税制改正により、会社分割を行った場合の支配関係継続要件が、改正前の「支配株主と分割法人及び分割承継法人との間の関係継続」から「支配株主と分割承継法人との関係継続」のみに改正され「支配株主と分割法人との関係継続」が不要となったものです。

 

その結果、以下の例のように、含み益を有するB事業(残したい事業)を会社分割によってB社(分割承継会社)として切り離し、M&A対象のA事業を持つA社(分割会社)株式を譲渡するスキームが可能となりました。

 

改正前はB社分割時に税制非適格となりB社事業の時価譲渡となったものが、改正後は税制適格となり簿価譲渡(含み益は未実現のまま)が認められることになったものです。

 

譲渡しない事業や譲渡対象外の資産に含み益がある場合には、簿価のままの分割が可能になったので、例えば、不動産賃貸業は残したい(不動産に含み益有り)という希望がある場合には、検討すべきスキームです。

 

 

 

買い手側


事業の買い方としては、株式売買または事業譲渡の方法がありますが、それぞれの会計処理は相違します。

 

株式売買の場合は、投資有価証券となり、投資有価証券の取得価額は、購入対価に加えて購入手数料や購入に要した費用を加算した額とされているので、少額費用を除き取得価額になります。

 

他方の事業譲渡の場合は、取得した事業を土地、建物、たな卸資産など資産の区分ごとに細分化した上で簿価でなく時価額をもって受入の会計処理を行い、時価純資産額を超える購入価額の部分(下記図の15)は資産調整勘定(のれん)とし、5年間で損金に算入します。

 

 

株式売買の場合には、支出した対価が取得時に損金になることはありませんが、事業譲渡の場合は時価純資産額を超える部分は資産調整勘定(のれん)として5年間の損金になるので、損金の額を得たい場合には事業譲渡の方にメリットがあります。

[中小企業経営者のためのワンポイント解説]

「廃業・清算」~コンサルティングという観点からの『事業承継』とは?⑦

 

コンサルティングという観点からみた「事業承継」と題した7回目の今回は、前回に引き続き、第1回でご紹介したタイプD(健全性が低く親族内後継者がいない会社)に着目します。 但し、現状がタイプDの会社であると判断しても、会社の健全性を高めて他のタイプの事業承継を選択する可能性もあり得ますので一度、外部専門家のコンサルティングを受けることも有用と考えられます。最終的にやむを得ず廃業・清算を選択する場合は以下のような手続きになります。なお、清算の際に債務超過である場合の取り扱いに関しては次回ご紹介いたします。

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 三好誠司/公認会計士

 


【廃業・清算手続】

一般的な廃業・清算手続きの流れを簡単に図示しています。廃業の手続きは様々な手続きが必要となりますので、廃業を決断して即廃業できる訳ではありません。

 

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【廃業時の留意点】

①取引先への告知

廃業日を決めたら取引先に迷惑をかけないように廃業を伝えるあいさつを行うため廃業挨拶状を出します。廃業手続きは2~3か月程度かかるため廃業によって迷惑が掛からないように早い段階で行うことが望ましいです。

 

②従業員への通知

従業員は会社と雇用契約を締結しています。雇用先である会社が消滅すると従業員は解雇となりますが、解雇の場合には30日前に通知する必要があります。30日前に通知することが困難な場合は30日に満たない期間の給与支払いが必要となります。

③上記以外の関係者

・店舗や土地を賃借している場合、廃業に伴い物件の明渡しが必要となります。期限前の契約解除の場合は、契約内容に従った手続きが必要となりますので敷金や保証金、原状回復義務等についてあらかじめ条件を確認しておく必要があります。
・リース契約について中途解約は残期間までのリース料又はそれに相当する違約金を支払う必要がある契約が多いので資金面の手当てが必要になります。

 

 

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年4月22日)より再編集のうえ掲載

[初級者のための入門解説]

デューデリジェンス(DD)とは?  ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」⑥~

 

M&A実務の基礎ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『M&A超入門』」シリーズ

今回は、「デューデリジェンス(DD)」について解説いたします。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  植木康彦(Ginza会計事務所)

公認会計士  本山純(Ginza会計事務所)

 

 

 

M&Aの場面でよく耳にする「デューデリジェンス(DD)」とは、簡単に言ってしまえば対象会社を調査することです。では、なぜM&Aの際にデューデリジェンス(DD)が必要とされるのでしょうか。

 

デューデリジェンス(DD)はなぜ必要?

M&Aの目的は様々ですが、対象会社をM&A候補とすることには理由(魅力)があることが一般的です。例えば、自社事業とのシナジー効果が期待できること、エンジニア等の優秀な人材が確保されていること、業界規制や新規契約が困難な重要な契約や権利を保有していることなどが挙げられるでしょう。

 

しかし、いざ会社を取得してみたら「想定と違った」「契約内容に欠陥があった」ということでは、会社を取得した目的が果たせなくなる可能性が生じます。

 

また、会社自体を取得する株式譲渡によるM&Aでは、対象会社の負う責任(義務)も合わせて取得することとなります、「会社の財務諸表が適切に作成されておらず、想定していない多額の簿外債務や債務保証が存在した」「重要な税務リスクや訴訟リスクを抱えていた」ということでは投資する意味は乏しく、またいくら魅力的に見える会社であっても事業として立ちいかなくなる可能性も存在します。

 

デューデリジェンス(DD)は、このような事態が発生しないよう、対象会社の実態を調査し、リスクや課題の洗い出しを行うために実施されます。

 

また、調査結果を踏まえて、「契約内容の見直しは必要か」「投資の方法(株式譲渡又は事業譲渡)への影響は」「取引価額(企業価値)は妥当か」などが検討されるのが一般的です。

 

M&Aの目的が様々なように、会社が持つリスクも様々です。そのため、対象会社のリスクや課題を洗い出すためには様々な視点から目的に応じて調査を実施する必要があり、デューデリジェンス(DD)もこの視点に応じて様々な種類があります。

 

 

 

 

 

拾い出す課題やリスクは?

デューデリジェンス(DD)は、その調査の視点から様々な種類がありますが、ここでは一般的なものとして、「財務デューデリジェンス(財務DD)」「税務デューデリジェンス(税務DD)」「法務デューデリジェンス(法務DD)」について、具体的な調査方法やこの調査によって拾い出す課題やリスクを見ていきましょう。

 

 

 

 

デューデリジェンス(DD)の流れ、実施後の対処は?

これまででご紹介したデューデリジェンス(DD)はほんの一部であり、このほかにも様々な種類のデューデリジェンス(DD)があります。

 

課題やリスクの洗い出しの観点からは、様々なデューデリジェンス(DD)を実施することが望ましいですが、これにはコストも時間や労力も必要となります。そのため、一般的には対象企業の特徴やM&Aの目的から必要なデューデリジェンス(DD)やその深度を決定していくこととなります。

 

また、M&Aは多くの利害関係者(取引先や従業員等)に影響を及ぼすものであるため、余計な動揺を生じさせないためにも、その前段で行われるデューデリジェンス(DD)実行の情報が外部に漏れないようにすることも重要です。

 

 

 

 

 

 

デューデリジェンス(DD)による調査結果(報告)を参考に、「投資の最終意思決定」を行うこととなります。

 

具体的には、「買収リスクを抑制するための契約内容への反映」「M&Aの方法(株式譲渡か事業譲渡か)」「取引価額への反映」「買収後の事業運営方針」などを検討していくこととなります。

[中小企業経営者のためのワンポイント解説]

「M&Aによる第三者への売却」~コンサルティングという観点からの『事業承継』とは?⑥~

 

コンサルティングという観点からみた「事業承継」と題した6回目の今回は、前回に引き続き、第1回でご紹介したタイプB(健全性は高いものの親族内後継者がいない会社)に着目します。 タイプBは、親族外の役員・従業員へ承継するケースと、第三者へ売却するケースに分けられますが、今回は、第三者へ売却(=M&A)するケースをご紹介します。

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 藤田祐紀/公認会計士

 


【M&Aによる会社株式の第三者への売却】

M&Aによって会社株式を第三者へ売却するケースは、「会社を売る」ことであるため、心理的な抵抗感がある、株式売却後のキャッシュフローが得られなくなる、買手が付かなければ成立しない、などの特徴がある一方、一般的に親族内承継と比べて下記のようなメリットがあると言われています。

 

【親族内承継と比べたM&Aのメリット】

①現経営者は株式の売却資金を得ることができる

事業承継の場合、後継者は「会社」は引き継ぐ(=以降のキャッシュフローを得られる)ものの、承継時点では得られる資金はありません。それどころか、承継にあたって時価相当額に対する贈与税(現経営者が急逝の場合は相続税のことも)を支払う必要があり、納税資金の確保が必要となります。

 

その一方M&Aであれば、株式の売却代金から税金(売却益に係る所得税)を差し引いた分を現経営者が得ることとなりますので、承継(売却)時点での納税資金の確保は不要となります。

 

さらに、株式売却後、相続発生までに節税対策(生前贈与や不動産の購入による相続財産の引き下げ、非課税財産の購入など)を実施することで、相続税を抑えられる可能性も考えられます。

 

 

②個人保証を外す(承継しない)ことができる

通常、中小企業のオーナー社長は、会社の借入に対して個人保証を行っているケースが多いと思います。

 

金融機関のプロパー融資はもちろん、信用保証協会等が介在する公的な融資に対しても同様に個人保証を行うケースが大半だと思います。

 

事業承継の場合は後継者がこれら個人保証を引き継ぐことが一般的ですが、M&Aによって株式が譲渡された場合、買手は会社の全財産を引き継ぐこととなるため、個人保証は外れることとなります(自宅や個人所有財産を担保に差し入れていた場合はこれらの抵当権も外れることとなります)。

 

前回、述べた通り、個人保証を引き継ぐことは、後継者の事業承継意欲を阻害する一因と言われており、M&Aではこの個人保証の問題をクリアすることができると考えられます。

 

M&Aのメリットについて上記の様に述べて参りましたが、事業承継のうちどの方法が最適かは、現経営者の会社売却後のライフプラン、後継者の有無、買手企業の有無等によって変わってきますので、公認会計士・税理士の方にご相談することをおすすめします。

 

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年3月20日)より再編集のうえ掲載

[初級者のための入門解説]

事業承継税制の概要~ゼロから学ぶ「事業承継 超入門」③~

 

事業承継の基本ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『事業承継 超入門』」シリーズです。

今回は、事業承継税制の制度の概要や利用の仕方について解説していきます。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士 植木康彦(Ginza会計事務所)

 

 

税制の利用の仕方は

前回、解説したとおり事業承継には、親から子などへの「親族承継」、役員や従業員への「社内承継」、外部に譲渡する「M&A」の3つの類型がありますが、このうち、「親族承継」の場合には事業承継税制の利用を検討すべきです。

 

理由は、事業承継税制の利用によって、株式の相続や贈与に係る税金が無税にできるためですが、無償の取引でないと利用できないので、通常は親族への贈与や相続が対象になります。言い方を変えると、役員・従業員、M&Aでも「無償取引」であれば事業承継税制の対象になります。

 

 

 

 

事業承継税制は、「無償」の贈与か相続で利用できます。事業承継は、事業をスムーズに後継者にバトンタッチする一連の手続です。

 

当然税金だけの問題でなく、「経営者保証の問題」「他の事業用資産の有無」「議決権の支配状況」「後継者教育」「従業員や取引関係者・金融機関の協力取り付け」などの諸課題の検討を同時並行的に進めるため、計画できない相続でなく、計画的な贈与がマッチします。そこで、通常は「XDay(贈与日)」を決めた上で、承継計画を立案します。

 

 

 

 

 

事業承継税制の主な要件

2018年4月に新しく生まれ変わった事業承継税制(以下、「新税制」といいます)は対象株式に係る相続税又は贈与税が無税(あくまで猶予です)となる画期的な制度です。

 

「株式」が対象ですが、あらかじめ個人所有資産を会社に移管してしまえば、その資産も株式に包含される形で対象にすることができます(移管には制約があります)。

 

新税制の要件としては、適用を受ける際の「入口要件」と適用を受けた後、その税が免除されるまで(死亡等まで)の期間中順守しなければならない「事後要件」によって構成されます。

 

入口要件としては、「あげる人」、「もらう人」、「その対象会社」の3つの要件を満たす必要があります。

 

(1)入口要件

新税制の適用を受けるためには、適用を受ける際に3つの要件、すなわち、「先代経営者の要件」「後継者の要件」「対象会社の要件」のすべてを満たす必要があります。簡単に言うと、あげる人、もらう人、その対象となる会社、の3要件で、それぞれの主な要件を示すと下記図のとおりです。

 

 

(2)事後要件

事業承継税制は、税がいきなり免除されるわけでなく、税の猶予からスタートします。それではいつ免除されるかと言うと、「先代経営者(贈与者)が死亡した時等」に後継者が猶予されていた贈与税が免除されます。

 

あくまでも税の猶予制度ですから、猶予期間中、守らなければならない要件、すなわち”事後要件“があり、「申告期限から5年間」守らなければならない要件と、「5年経過後も」守らなければならない要件によって構成されます。

 

当然のことながら最初の5年間の方が厳しく、「代表者でありつづけること」「株式を継続保有(すべての承継株式)し続けること」などを守る必要があります。

 

5年経過後は、代表者を退任すること、株式を売却することも可能ですが、株式を売却した場合には売却分に応じた猶予税の納付をしなければなりません。なお、経営環境変化事由に該当する場合はその時点での税の再計算が認められております。

[初級者のための入門解説]

中小企業におけるM&Aの利用方法は? ~ゼロから学ぶ「M&A超入門」⑤~

 

M&A実務の基礎ポイントを、わかりやすく解説する「ゼロから学ぶ『M&A超入門』」シリーズ

今回は、中小企業のM&Aを「売り手の目的」「買手の目的」を再確認しながら、整理しながら、「M&A仲介会社とマッチングサイトの使い分け」について解説いたします。

 

〈解説〉

公認会計士・税理士  植木康彦(Ginza会計事務所)

 

 

売り手サイド


M&Aによる「売り手の目的」としては、「選択と集中によるノンコア事業の売却」、「事業再編」「事業売却による資金調達」「事業の売却によるリタイヤ」などがありますが、最近は「事業承継がらみのケース」が多く発生しております。

 

事業承継でM&Aを選択するのは、親族や役員・従業員の中に後継者がいない場合に、事業自体をM&Aで売却するときに利用されます。

 

我が国経営者の平均引退年齢は70歳超と言われていますが、その中小企業経営者は245万人(全中小企業者の60%)で、その半数の127万人が廃業を予定していると言われています。廃業予定の理由としては、そもそも後継者がいない、あるいは後継者がいても継いでくれない、が多数を占め、更に残念なことは廃業予定者のうち30%程度は健全な会社が存在することです。

 

いわずもがな我が国経済は中小零細企業によって支えられていると言っても過言でなく、中小零細企業の減少はやがて日本株式会社の終焉を意味する大問題です。

 

他方、いつの時代にもやる気のある起業家や元気な企業が存在することも事実であり、かれらとうまくマッチングできれば廃業を免れることも可能となるのです。

 

 

 

買い手サイド


M&Aの買い手は、一昔前はファンドが多かったようですが、今日では事業会社や個人起業家など、プレーヤーが多様化しています。

 

それでは「買い手の目的」は、何でしょうか。一般的には以下のように言われております。

 

①新規の事業目的

既存の企業が事業を多角化しようとする場合、あるいは、事業ポートフォリオの組み換えをする場合、ゼロから事業を始めるよりも既に得意先やスタッフを抱えた事業を取得する方が容易です。特に、参入障壁が高い事業領域ではM&Aでないと参入できないケースがあります。

例)ソフトバンクによるボーダフォンジャパン買収による携帯電話事業への参入

 

②関連事業の拡大目的

川上又は川下への参入(アパレルによる小売事業への参入)、商品やサービスの拡充を目的としたM&Aがあります。

例)家電量販店ビックカメラによるコジマの買収による広い地域での店舗展開

 

③ブランド、許認可目的

ブランドや許認可の取得は容易ではないので、保有する企業自体を取得するM&Aがあります。

例)コンビニエンスストアのローソンによる成城石井の買収により、成城石井ブランドにより富裕層地域への出店

 

④人員目的

ますます雇用の確保が難しくなってきており、優秀な人員の確保を目的としてM&Aをする例が多くなっています。

例)IT技術者の雇用確保を目的としたM&A

 

M&A仲介会社とマッチングサイトの使い分け


M&Aをする場合、検討すべき項目として「費用」「手間」があります。

 

M&A仲介会社に依頼すると500万円~2000万円以上の費用がかかるので、費用の捻出が難しい場合や売り手企業の事業規模が小さい場合には、日本税理士会連合会の運営する「担い手探しナビ」、国が営む「事業引継ぎ支援センター」、トランビ等の「民間のマッチングサイト」の利用が検討されます。

 

しかしながら、M&Aに際して、「M&A仲介会社」を利用するのは一般的な方法です。M&A仲介会社は、M&Aマーケットに広いネットワークを有しているので、売り手、買い手共に短時間のうちに相手先を探してもらうことができ、売買交渉やデューデリジェンス、バリエーション、売買契約までフルパッケージでしっかりと支援してもらえる場合が多いと言えます。他方で、専門家をフルに活用するのでそれなりの費用がかかり、今日まで中小企業のM&Aが活性化してこなかった理由が費用面にあると言っても過言ではありません。

 

「マッチングサイト」とは、主にインターネット上で、売り手と買い手がそれぞれM&A情報を掲載し、手軽に、かつ安価なコストで、自分自身で相手先を探せる場所(サイト)です。端的に言うと、売り手は、まずノンネームといわれる情報(対象会社が特定できないように、業種、地域、おおよその年商のみ)を掲載して買い手からの応募を待ち、買い手は、業種や地域を絞った上で希望するM&A候補を探すことができます。売り手と買い手がうまく出会えた場合は、次のステップとして更に詳細な情報を交換して、お互いの希望がマッチすれば売買条件を詰め、最終的に売買契約(M&A)に至りますが、専門家の関与が少なければ少ないほどコストは安価ですむので、中小企業のM&Aに適していると言えます。そうはいっても、多くの中小企業者はM&Aの経験が無く知見が足りない場合が多いので、マッチングサイトを提供する会社や組織は、公認会計士・税理士やM&Aアドバイザリー等、各種専門家と提携していて、マッチングの場の提供だけでなく、売買交渉やデューデリジェンス、バリエーション業務を支援するケースもあります。

 

日本税理士会連合会の運営する「担い手探しナビ」は、マッチングサイトの一種ですが、誰でも参加できるわけでなく、税理士を通して行う点に特徴があります。もともとは北陸税理士会が行っていたサービスを好評につき全国版に拡大し2018年10月から運用を開始したもので、システム利用料も無料のため、利用の拡大が期待されています。「担い手探しナビ」は、クライアントを良く知る税理士が関与することで安心感が得られ社会的にも大きな意義があります。また、日本M&AセンターはM&A仲介会社として知名度の高い会社ですが、中小企業向けのマッチングサービスとして「Batonz」を始めており、注目を集めています。

 

M&Aアドバイザリー(仲介会社やマッチングサイト)のそれぞれの特徴と費用のイメージは以下のとおりです。

 

 

M&Aはだらだら時間をかけてするものではありません。期限を設けて迅速に行う必要があるので、上記の複数の方法によってM&Aを行う場合もあります。

[中小企業経営者のためのワンポイント解説]

「親族外承継における課題」~コンサルティングという観点からの『事業承継』とは?⑤~

 

コンサルティングという観点からみた「事業承継」と題した5回目として、第1回でご紹介したタイプB(健全性は高いものの親族内後継者がいない会社)に着目します。タイプBは、親族外の役員・従業員へ承継するケースと、第三者へ売却するケースに分けられますが、今回は、親族外の役員・従業員へ承継するケースをご紹介いただきます。

 

〈解説〉

税理士法人髙野総合会計事務所 関場靖人/公認会計士

 


【親族外の役員・従業員への承継】

親族の中に適切な後継者がいない場合、役員又は従業員の中から後継候補者を選んで承継させることが考えられます。親族外の役員に経営を委任し、所有権(自社株式)は引き続き保有し続ける場合(所有と経営の分離)も考えられますが、機動性の低下、経営者のモチベーションや将来オーナーに生じる相続等の問題から、所有と経営の一致を維持するのが望ましいと言われています。所有と経営を一致させることは、会社の支配権を移転することを意味するため、その手法として株式譲渡が典型です。親族外の役員へ株式譲渡する手法(自社株式の買取)を「MBO(ManagementBuyout)」、従業員へ株式譲渡する手法を「EBO(EmployeeBuyout)」などといいます。

【親族外承継における課題】

親族外承継において最も課題として以下の2つがあります。
①自社株式の買取資金に関する課題
健全性の高い会社においては、自社株式が高く評価されるため、後継者が当該自社株式を買い取るだけの資金力を有さず、自社株式の買取ができない場合があります。この場合、「経営承継円滑化法の金融支援(融資・保証制度)」「贈与税の納税猶予制度」などの解決方法があります。

 

例えば、上記で挙げたMBO、EBOでは、役員又は従業員が新会社を設立し、その会社がオーナー経営者から株式を買い取るという手法が用いられます。この際、新会社には資金力がないことから、金融機関等の資金面での協力が必要となり、この点において、経営承継円滑化法の金融支援制度が活用されています。

 

なお、上記贈与税の納税猶予について、平成30年度税制改正により「事業承継税制の特例措置」が創設されており、当該特例措置については、以前に解説した「事業承継税制の特例~『特例承継計画』について解説」もあわせてご参照ください。

 

②借入金の経営者個人保証の引継ぎに関する課題
 経営者の個人保証額は、当該個人が保有する資産額を上回っているケースが多く、経営者は無限責任とも言える重い責任を負担しています。この個人保証を引き継ぐことが、後継者の事業承継意欲を阻害する一因といわれます。親族内承継の場合、先代経営者から親族へ一定の資産が相続されることから、親族外承継の方が不安に感じる傾向があります。

 

この点について、平成26年2月1日より、中小企業の融資における合理的な保証契約の在り方を示した自主的なルールとして、「経営者保証ガイドライン」が適用されています。そもそも経営者が個人保証を求められる背景は、資金調達の際に信用を補完することにありますが、中小企業では経営者と所有者が一致している場合が多く、法人と個人間における資産保有の区分が曖昧なケースが散見されることから、個人保証により経営規律を担保する意味合いも持っています。

 

そのため、経営者保証ガイドラインにおいては、「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」、「財務基盤の強化」、「財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保」がされた経営状態の会社が、保証契約の解除の申入れを行った場合に、債権者へ経営者保証を求めない可能性又は代替的な融資手法を活用する可能性を検討するように求めています。

 

税理士法人髙野総合会計事務所 「TSKニュース&トピックス」(2019年2月21日)より再編集のうえ掲載

[個人版事業承継税制 入門ガイド]

個人版事業承継税制とは?制度の概要や手続きをわかりやすく解説!

 

[監修]

税理士法人山田&パートナーズ 税理士 北澤淳 氏

 

【目次】

1、個人版事業承継税制とは?

2、どういった場合に適用を受けられるの?納税が必要になる場合とは?

3、猶予税額や納税額はどのように計算するの?

4、会社の事業承継税制とは何が違う?

5、適用を受けるための手続きは?

6、個人事業承継計画とは?いつまでに?どこに提出?

7、個人版事業承継税制に関する書類などはどこで入手するの?

8、個人版事業承継税制のおすすめ書籍は?

9、特定事業用資産とは?資産保有型事業とは?

~個人版事業承継税制で出てくる用語解説~

 

1、個人版事業承継税制とは?


Q、個人版事業承継税制とは、 どのような制度ですか?制度利用のイメージを教えてください。

 

A、後継者の事業用資産取得に係る贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者がさらに次世代の後継者に当該事業用資産を承継した場合等に、その猶予された税額が免除される制度です。

 

後継者が先代事業者から特定事業用資産を贈与・相続又は遺贈により取得した場合に、経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けたときは、特例受贈事業用資産(特定事業用資産のうち贈与税の納税猶予制度の適用を受けるものをいいます。)に係る贈与税又は特例事業用資産(特定事業用資産のうち相続税の納税猶予制度の適用を受けるものをいいます。)に係る相続税の100%について納税が猶予されます。

 

納税を猶予された後継者(2代目)は、さらに次世代の後継者(3代目)にその特例受贈事業用資産又は特例事業用資産(以下、まとめて「特例事業用資産等」といいます。)を承継すれば、その後継者(2代目)について猶予されていた贈与税・相続税は免除されます。

 

この個人版事業承継税制は、平成30年度税制改正により創設された非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度、いわゆる事業承継税制(特例措置)に準じて設けられています。

 

個人版事業承継税制の適用のイメージは、次のとおりです。

 

 

 

 

 

贈与により取得した場合には、まずはその特例受贈事業用資産に係る贈与税が猶予されます。

 

次に、贈与者(先代事業者)に相続が発生した場合には、その猶予された贈与税は免除されます。ただし、その事業用資産をその先代事業者からの相続により取得したものとみなして、相続税の課税対象になります。相続税の納税猶予の要件(被相続人の要件を除きます。)を満たしていることについて都道府県知事の確認を受けたうえで、相続税の申告をした場合には、その特例受贈事業用資産に係る相続税について猶予を受けることができます。

 

そして、納税を猶予された後継者(2代目)が次世代の後継者(3代目)にその特例受贈事業用資産を贈与により承継し、その次世代の後継者(3代目)が本税制の適用を受けたときや、その後継者(2代目)に相続が発生したときは、その後継者(2代目)について猶予されていた相続税は免除されます。

 

 

 

 

相続により取得した場合には、その特例事業用資産に係る相続税が猶予されます。

 

その後、贈与税の納税猶予の場合と同様に、納税を猶予された後継者(2代目)が次世代の後継者(3代目)にその特例事業用資産を承継し、その次世代の後継者(3代目)が本税制の適用を受けたときや、その後継者(2代目)に相続が発生したときは、その後継者(2代目)について猶予されていた相続税は免除されます。

 

 

 

2、どういった場合に適用を受けられるの?納税が必要になる場合とは?


Q、個人版事業承継税制の適用を受けるための条件について教えてください。また、どういった場合に納税する必要がありますか?

 

A、先代事業者に関する要件、後継者に関する要件のすべてを満たしていることが必要となります。
適用後は、事業継続している限りその納税は猶予されますが、事業を廃業した場合などには納税する必要があります。

 

(1) 個人版事業承継税制の適用要件

本税制が適用できるかどうかの判断にあたって、先代事業者の要件、後継者の要件をそれぞれ定めており、そのすべてを満たしていることが必要となります。

 

先代事業者、後継者のそれぞれの主な要件は以下の表のとおりです。

 

 

 

(2) 確定事由(納税が必要となる場合)

本税制の適用を受けた後、事業を廃止した場合や贈与・相続等により取得した資産を売却した場合などには、猶予された税額を納税する必要があります。

 

主な確定事由は以下の表のとおりです。

 

 

 

確定事由に該当した場合には、猶予された税額に加えて、利子税を納税しなければなりません。利子税は原則として年3.6%ですが、利子税の特例(貸出約定平均金利の年平均が0.6%の場合)を適用した場合には、0.7%とされます。

 

 

 

 

(3) 免除事由(納税が免除される場合)

本税制の適用を受けた後、後継者からさらに次の後継者に本税制を適用して事業用資産を贈与した場合や、適用を受けた後継者に相続が発生した場合には猶予された税額が免除されます。

 

主な免除事由は以下の表のとおりです。

 

 

 

本税制の適用を受ける贈与税・相続税の申告期限から5年経過後に、納税を猶予されている後継者(2代目)からさらに次世代の後継者(3代目)にその特例事業用資産等を贈与し、その次世代の後継者(3代目)が本税制の適用を受ける場合には、その後継者(2代目)について猶予されていた贈与税・相続税は免除されます。

 

そのため、後継者(2代目)は事業承継後、少なくとも5年間は事業を継続する必要がありますので、事業承継時に自己の強み・弱みを把握する取組みが必要となると考えます。

 

 

 

3、猶予税額や納税額はどのように計算するの?


Q、事業用資産を贈与により取得した場合の猶予税額及び納税額の計算方法を教えてください。

 

A、猶予税額及び納税額の計算にあたっては、次の3ステップにより計算します。

 

<ステップ1 >

その年分の贈与税の総額を計算します。

 

<ステップ2 >

後継者が、その年中に贈与された財産が本税制の適用を受ける資産のみと仮定した贈与税額を計算します(=猶予税額)。

 

<ステップ3 >

ステップ1の金額からステップ2の金額を差し引いた金額が納税額です。

 

なお、ステップ1及びステップ2の贈与税額については、暦年課税制度又は相続時精算課税制度のいずれかの方法により計算した金額を用います。

 

(1) 猶予税額計算(贈与)の3つのステップ

 

<ステップ1 (贈与税の総額)>
贈与を受けたすべての財産の価額の合計額に基づき贈与税額を計算します。

 

<ステップ2 (猶予税額)>
贈与を受けた財産がこの制度の適用を受ける特例受贈事業用資産のみであると仮定して贈与税額を計算します。

 

<ステップ3 (納税額)>
ステップ1により計算した贈与税額から、ステップ2により計算した贈与税額(猶予税額)を差し引いた金額が、その贈与に係る申告期限までに納付する金額となります。

 

 

(2) 負担付贈与である場合の注意点

贈与を受けた特定事業用資産のうち本税制の適用を受けるものの価額から、債務その他の負担の額を控除した金額が猶予税額の基礎とされます。

 

 

 

(3) 暦年課税制度による場合の注意点

暦年課税制度により贈与税を計算する場合、贈与税は累進税率となります。
事業用資産と非事業用資産を同じ年に贈与した場合には、非事業用資産に係る納税額が高額となるケースがありますので、注意が必要です。

 

例えば、下記のようなケースにおいては、贈与を受けた現金はいずれも500万円ですが、納税額は大きく異なります。
※贈与を受けた者は20歳以上で直系尊属からの贈与の場合

 

(例1) 現金500万円のみ贈与を受けた場合
納税額: (500万円-110万円)× 15%-10万円=48万5,000円

 

(例2) 現金500万円と事業用資産5,000万円の贈与を受けた場合
贈与税の総額: (500万円+5,000万円-110万円)×55%-640万円=2,324万5,000円

猶予税額: (5,000万円-110万円)× 55%-640万円=2,049万5,000円
納税額: 2,324万5,000円-2,049万5,000円=275万円

 

(4) 相続時精算課税制度による場合の注意点

相続時精算課税制度の特別控除額は、猶予税額を計算するうえでも考慮されます。そのため、非事業用資産について納税額が発生するケースがあります。

 

例えば、下記のようなケースにおいては、贈与を受けた現金に係る贈与税を納付する必要があります。

 

(例) 現金500万円と事業用資産5,000万円の贈与を受けた場合
贈与税の総額: (500万円+5,000万円-2,500万円)×20%=600万円
猶予税額: (5,000万円-2,500万円)×20%=500万円
納税額: 600万円-500万円=100万円

 

贈与税の納税猶予制度は、その年において生じた贈与税の支払いを猶予する制度です。したがって、特定事業用資産の価額の合計額が特別控除額相当額である2,500万円(その年の前年以前に既に相続時精算課税制度の適用を受けている場合には2,500万円から既に適用を受けた金額を控除した残額。)以下の場合には、その年において生じた贈与税額が0 円となりますので相続時精算課税制度を適用したうえでこの制度の適用を受けることは出来ません。

 

また相続時精算課税制度は一度選択したら撤回することができません。特定事業用資産の贈与年の翌年以後に同じ贈与者から贈与を受けた場合には暦年課税制度を選択することは出来ず、その贈与を受けた財産の価額の20%相当額を納税することになります。

 

4、会社の事業承継税制とは何が違う?


Q、会社の事業承継税制との相違点を教えてください。

 

A、会社の事業承継税制は納税猶予の対象資産が非上場株式等ですが、個人版事業承継税制の対象資産は事業用の土地や建物等、一定の減価償却資産である点が主な相違点です。

 

具体的な相違点は以下の表のとおりです。

 

 

 

5、適用を受けるための手続きは?


Q、個人版事業承継税制の適用を受けるための手続きを教えてください。

 

A、以下の4つのステップにより、適用を受けることができます。

 

(1) 個人事業承継計画を作成し、認定経営革新等支援機関からの指導及び助言を受けたうえで、都道府県庁への確認申請を行います。
(2) 先代事業者から後継者へ特定事業用資産の贈与・相続等を行います。
(3) (2)の後一定の期間内に、都道府県庁へ認定申請を行います。
(4) 都道府県庁から発行された確認書認定書を添付して、税務署に贈与税・相続税の申告をすることで本税制の適用を受けることができます。

 

 

本税制の適用を受けるにあたっては、基本的には「個人事業承継計画の作成」 「都道府県庁への確認申請」 「特定事業用資産の贈与・相続」「都道府県庁への認定申請」「税務署への申告」という流れになります。

 

(1) まずは先代事業者及び後継者が協力して個人事業承継計画を作成し、その個人事業承継計画について認定経営革新等支援機関からの指導及び助言を受けたうえで、先代事業者の納税地がある都道府県庁へ確認申請を行います。個人事業承継計画の提出期間は平成31年(2019年)4 月1 日から令和6年(2024年)3 月31日までの間に限られています。

 

(2) 平成31年(2019年)1 月1 日から令和10年(2028年)12月31日までの間に先代事業者から後継者へ特定事業用資産の贈与を行います(又は、後継者が相続等により取得します。)。なお、先代事業者からの贈与・相続の日以後1年間に限り、先代事業者と生計を一にする配偶者その他の親族等から特定事業用資産の贈与・相続等を受けた場合には、その贈与・相続等に係る贈与税・相続税も本税制の適用を受けることができます。

 

(3) (2)の後一定の期間内に、後継者の納税地がある都道府県庁へ認定申請を行います。
原則として、贈与税の納税猶予の適用を受ける場合には贈与があった年の10月15日から翌年1月15日までに、相続税の納税猶予の適用を受ける場合には相続開始の日の翌日から5か月を経過する日から8か月を経過する日までの間に、都道府県庁へ認定申請を行う必要があります。

 

(4) 都道府県庁から発行された確認書認定書を添付して、税務署に贈与税・相続税の申告をすることで本税制の適用を受けることができます。

 

 

なお、事業の状況や個人の状況は様々ですので、以下のような柔軟な対応が認められています。

 

● 特定事業用資産の贈与年と、個人事業承継計画の作成年が同じであれば、個人事業承継計画の確認申請と個人版事業承継税制の各種要件を満たしていることの認定申請は、同時に行うことができます。
● 個人事業承継計画が提出できる期間内であれば、先代事業者からの贈与・相続の後に個人事業承継計画を作成・提出することもできます。

6、個人事業承継計画とは?いつまでに?どこに提出?


Q、個人事業承継計画について教えてください。

 

A、本税度の適用を受けるには、「個人事業承継計画」を作成し、都道府県知事の確認を受ける必要があります。提出できる期限は令和6年(2024年)3月31日までとなっています。

 

(1) 本税制の適用を受ける場合には、個人事業承継計画を作成し、都道府県知事の確認を受ける必要があります。
(2) 個人事業承継計画には、事業承継前後の経営見通しを記載し、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受ける必要があります。
(3) 個人事業承継計画が提出できる期間は、平成31年(2019年) 4月1日から令和6年(2024年) 3月31日までとなっています。
(4) 個人事業承継計画は、都道府県知事の確認を受けた後でも、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けたうえで変更することができます。

 

(1) 対象者

本税制の適用を受けることが出来るのは、個人事業承継計画を作成し、その個人事業承継計画に記載された個人に限られています。

(2) 記載事項

先代事業者の氏名、後継者の氏名、事業承継するまでの経営見通し、事業承継をした後の経営見通しといった内容を記載します。
また、個人事業承継計画は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則」に定められているため、個人事業承継計画を提出できるのは中小企業者に限定されます。したがって、先代事業者が中小企業者に該当することを確認するため、従業員数についても記載が必要です。常時使用する従業員の数は、青色申告書の「給料賃金の内訳」等で確認します。
従業員数がゼロ人であったとしても、個人事業承継計画を提出することができます。

(3)提出期間

個人事業承継計画が提出できる期間は、平成31年(2019年) 4月1日から令和6 年(2024年) 3月31日までとなっています。
贈与・相続自体は、平成31年(2019年) 1月1 日から令和10年(2028年) 12月31日までに発生しているものが対象となりますが、個人事業承継計画は令和6 年(2024年) 3月31日までに提出する必要があります。これは、事業承継には時間がかかることから早期に事業承継に向けた準備に取り組んでもらう必要があるためです。
なお、個人事業承継計画の提出日が令和6 年(2024年) 3月31日までであれば良く、都道府県知事の確認を受ける日付は令和6年(2024年) 4月1 日以降となっても差し支えありません。

(4) 計画の変更

個人事業承継計画に記載された後継者を変更する場合には必ず変更申請を行わないといけません。変更申請を提出する際には、改めて認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受ける必要があります。なお、当初提出時とは別の認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けても構いません。
一方で、事業承継するまでの経営見通し、事業承継をした後の経営見通しについては、必ずしも変更申請を提出する必要はありません。ただし、当初は具体的な経営計画が記載されていなかった場合、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けたうえで、それを具体化するための計画の変更の手続きを行うことが求められます。

(5) 計画通りに実行できなかった場合

個人事業承継計画の確認を受けたにもかかわらず、事業用資産の贈与等を行わなかった場合においても、罰則はありません。
個人事業承継計画を提出した後も、(4)のとおり個人事業承継計画の変更は可能です。そのため、少しでも本税制の適用を受ける可能性があるのであれば、とりあえず個人事業承継計画の提出を行っておくことをおすすめします。

7、個人版事業承継税制に関する書類などはどこで入手するの?


中小企業庁ウエブサイトに以下の書類が掲載されております。

※最新の情報は必ず該当のホームページ等でご確認ください。

◇マニュアル

・「個人版事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の手続マニュアル」

 ◇申請手続関係書類

<個人事業承継計画(認定の申請にあたり必ず提出が必要です) >

・「個人事業承継計画(様式21の3)」

・「添付書類」

・「個人事業承継計画の変更届(様式24の3)」

※確認を受けた計画を変更する場合に使用します。

・「確認取消申請(様式25) 」

※確認の取消を申請する場合に使用します。

 

<認定申請(様式) >

(贈与の場合)

・「認定申請書(様式7の5)」

※先代事業者から後継者への贈与 (第一種贈与認定申請)

・「認定申請書(様式7の6)」

※生計一親族等から後継者への贈与 (第二種贈与認定申請)

 

(相続(遺贈)の場合)

・「認定申請書(様式8の5)」

※先代事業者から後継者への相続 (第一種相続認定申請)

・「認定申請書(様式8の6)

※生計一親族等から後継者への相続 (第二種相続認定申請)

 

 

<認定有効期間中の報告等>

・「随時報告書(様式第12の2) 」
※認定の有効期間中に認定の取り消し事由に該当した場合に使用します。

・「切替確認申請書(様式第17の2)」 
※贈与者の相続が開始した場合において相続税の納税猶予へ切り替えるときに使用します。

・「法人成り後の切替確認申請書(様式第17の3)」
※法人成り後、贈与者の相続が開始した場合において相続税の納税猶予へ切り替えるときに使用します。

 

 ◇申請窓口・お問い合わせ先

事業承継税制に関するお問い合わせ先・申請窓口は、申請企業の主たる事務所が所在している都道府県庁です。

「各都道府県の申請窓口・お問い合わせ先」よりご確認ください。

 ◇税務申告の際の手続きについて

贈与税・相続税の納税猶予を受けるためには、都道府県知事による認定を受けた後、税務申告の際に別途手続きが必要です。詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。

 国税庁「事業承継税制特集ページ」よりご確認ください。

 

 

中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_kojin_ninntei.htm)を加工して作成

 

 

8、個人版事業承継税制のおすすめ書籍は?


 

「Q&Aで理解する『個人版事業承継税制の仕組みと手続き』」がおススメです。

 

この解説コラムの監修を頂いた北澤先生(税理士法人山田&パートナーズ)がご執筆した書籍です。

 

中小企業庁にて、事業承継税制(特例措置)の創設を担当し、まさに、個人版事業承継税制の草案を作成された北澤先生が、個人版事業承継税制の制度概要をわかりやすくQ&A形式で解説した書籍です。個人版事業承継税制の全体像を把握するのに最適な書籍です。ぜひ、ご参考にしてみてください。

(※実は、今回の解説コラムもこの書籍を参考に作成しております)

 

今回の解説コラムでは紹介しきれいていない「主な適用要件」「担保の提供」「小規模宅地等の選択適用」「具体的な承継パターン」「適用に関する詳細な手続き」「ケーススタディ」等々も掲載されていています。

 

Amazonまたは税務研究会サイトにて購入できます。

 

 

 

 

 

 

 

各章の主な内容は以下のとおりです。

 

第一章 制度の概要として主な適用要件や猶予税額の計算方法等を説明しています。

第二章 適用手続きについて、手続きごとに提出書類・提出先・記載内容・留意点をまとめています。

第三章 猶予税額が免除される場合又は税額が確定する場合をそれぞれ解説しています。

第四章 ケーススタディとして、個人版事業承継税制と事業用宅地等の小規模宅地等の評価減の特例のどちらの制度を適用した方が有利か、相続人が子1人又は2人だった場合など事例ごとに検討を行っています。

巻末 参考資料として承継計画等の様式を掲載しています。

 

9、特定事業用資産とは?資産保有型事業とは?


[用語解説]
(1) 特定事業用資産

贈与者又は被相続人(当該贈与者又は被相続人と生計を一にする配偶者その他の親族を含みます。)の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業を除きます。)の用に供されていた次に掲げる資産で、当該贈与者又は当該被相続人の事業所得に係る青色申告書(租税特別措置法第25条の2第3項の規定の適用に係るものに限ります。)の貸借対照表に計上されているもの(棚卸資産に該当するものを除きます。)をいいます。

 

① 宅地等(士地又は士地の上に存する権利をいい、建物又は構築物の敷地の用に供されているものとして一定のものに限ります。)
…当該宅地等の面積の合計のうち400㎡以下の部分(小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、一定の計算式により計算した面積を控除した部分)。
② 建物
…当該建物の床面積の合計のうち800㎡以下の部分
③ 減価償却資産
…機械、器具備品、車両、船舶、構築物、無形償却資産(特許権等)、生物(乳用牛等、果樹等)その他の一定の資産をいいます。

 

(2) 資産保有型事業

贈与の日又は相続の開始の日の属する年の前年の1月1日から当該贈与に係る贈与税又は当該相続に係る相続税の全部について、免除事由又は確定事由に該当することとなった日までのいずれかの日において、次の①及び③に掲げる金額の合計額に対する②及び③に掲げる金額の合計額の割合が100分の70以上となる事業をいいます。

 

① その日における当該個人の貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額の総額(事業所得に係るものに限ります。)
② その日における当該個人の貸借対照表に計上されている特定個人事業資産の金額の合計額(事業所得に係るものに限ります。)

③ その日以前5年以内において、当該個人と特別の関係がある者が当該個人から受けた給与のうち、必要経費の額に算入されなかった金額

 

(3) 特定個人事業資産

特定事業用資産に係る事業所得の貸借対照表に計上されている資産のうち、次に掲げるものが該当します。

 

① 有価証券等
② 現に自ら使用していない不動産
申請者が所有している不動産のうち、現に自ら使用していないものです。太陽光発電設備を設置している不動産や販売用として保有する不動産は、特定個人事業資産に該当します。
③ ゴルフ会員権等
④ 絵画、貴金属等
⑤ 現預金その他これらに類する資産

(4) 資産運用型事業

贈与の日又は相続の開始の日の属する年の前年の1月1日から当該贈与に係る贈与税又は当該相続に係る相続税の全部について、免除事由又は確定事由に該当することとなった日まで期間内のいずれかの年における事業所得に係る総収入金額に占める特定個人事業資産の運用収入の合計額の割合が100分の75以上となる事業をいいます。

(5) 特定申告期限

次の①又は②のうち、いずれか早い日をいいます。

 

① 後継者が初めて個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除の適用を受ける贈与に係る贈与税の申告期限
② 後継者が初めて個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の適用を受ける相続又は遺贈に係る相続税の申告期限

 

 

【この解説を監修した税理士】


税理士 北澤淳

税理士法人山田&パートナーズ マネージャー

 

2009年慶応義塾大学経済学部卒。2011年税理士法人山田&パートナーズ入所。
2016年10月経済産業省中小企業庁事業環境部財務課(税制専門官)。事業承継税制(平成29年度、平成30年度税制改正) の改正、個人版事業承継税制の草案の作成、事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の政省令改正、マニュアル作成等をはじめ、会計検査院対応、認定等を行う都道府県庁に対する助言等を行う。

2018年10月現職。ZEIKEN LINKS専門家登録。

 

税理士法人山田&パートナーズ
〒100-0005
束京都千代田区丸の内一丁目8 番1 号丸の内トラストタワーN 館8 階
TEL : 03-6212-1660
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地方拠点:札幌事務所、盛岡事務所、仙台事務所、北関東事務所、横浜事務所、新潟事務所、金沢事務所、静岡事務所、名古屋事務所、京都事務所、大阪事務所、神戸事務所、広島事務所、高松事務所、福岡事務所

(2019年4月1日現在)