[解説ニュース]

居住用財産の譲渡に係る3,000万円控除から住宅ローン特別控除への特例選択の変更の可否適用を受けることの可否

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■店舗兼住宅を譲渡した場合の居住用財産の3,000万円控除と事業用資産の買換え特例の併用

■住宅の譲渡所得の特例では、本当に居住していたか見られています

 

【問】

乙さんは、2019年12月末にそれまで居住していた東京都杉並区内の戸建て住宅とその敷地を譲渡し、同月末に購入した港区内の分譲マンション(購入資金は銀行借入金により調達)に2020年1月に引越し、居住を開始しました。

 

乙さんは、譲渡した戸建て住宅とその敷地について譲渡益が生じ、かつ適用要件を満たしていることから、2019年分の所得税の確定申告書を提出し、租税特別措置法(措法)35条1項の居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除(「3,000万円控除」)の適用を受けました(確定申告書は適法に提出され、そこに記載された税額に不足はありません)。ところが、乙さんが確定申告書の提出後に検討したところ、2019年の戸建て住宅の譲渡につき3,000万円控除の適用を受けず、2020年以後の各年分について港区のマンションに係る住宅ローン特別控除(措法41条)の適用を受けた方が、所得税の総額の負担が少なくなることが分かりました。

 

乙さんは、2019年分の所得税について3,000万円控除の適用を受けたため、2020年分の所得税においては住宅ローン控除の適用が受けられないと知り、2019年分の所得税の修正申告をすることで3,000万円控除の適用を撤回し、2020年以後の年分について港区のマンションに係る住宅ローン特別控除の適用を受けたいと考えていますが、可能でしょうか。

 

 

 

【回答】

1.結論


乙さんは2019年分の所得税につき適法に3,000万円控除の適用を受け、確定申告書に記載の税額に不足がないことから、修正申告書の提出ができず、その適用を撤回することができません。よって乙さんは、2020年以後の年分につき住宅ローン特別控除の適用を受けることができません。

 

2.解説


(1)3,000万円控除の概要

個人が自己の自宅とその敷地(居住用財産)を譲渡した場合には、一定の要件を満たすことにより譲渡所得の金額の計算上、最高3,000万円を控除することができます。(措法35条1項、2項)。

 

(2)住宅ローン特別控除の概要

①概要

個人が2021年12月31日までに国内で住宅の用に供する家屋で床面積が50㎡以上等の要件を満たすものの新築等をし、その家屋をその個人の居住の用に供した場合において、その個人がその家屋の新築等に係る借入金(住宅借入金)の額を有するときは、一定の要件を満たすことにより、その居住の用に供した日の属する年以後10年間(原則)の各年分のその個人の所得税額から、住宅借入金の年末残高に基づく一定額が控除されます(措法41条)。

 

②居住用財産譲渡に係る特例の適用を受けた場合の住宅ローン特別控除の不適用

個人が、新築等をした家屋を居住の用に供した日の属する年の前年又は前々年分の所得税につき、3,000万円控除等の居住用財産の譲渡に係る特例の適用を受けている場合、その個人の①に規定する10年間(原則)の各年分の所得税については、住宅ローン特別控除の適用を受けることができません(同20項)。

 

(3)修正申告

納税申告書を提出した者は、先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額がある場合は、その申告につき更正があるまでは、その申告に係る課税標準等又は税額等を修正する納税申告書を税務署長に提出できます(国税通則法19条1項1号)。

 

(4)本問へのあてはめ

乙さんは2019年分の所得税について3,000万円控除の適用を受けていることから、(2)②より、2020年分以降の所得税につき住宅ローン特別控除の適用を受けることができません。

 

乙さんが住宅ローン特別控除の適用を受けるため、2019年分の所得税について修正申告書の提出により3,000万円控除の適用を撤回できるかどうかについては、乙さんがいったん3,000万円控除の適用を受けることを選択して2019年分の確定申告書を提出した以上、その適用を撤回することはできません(参考:国税庁HP質疑応答事例「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用の撤回の可否」)。また撤回できない以上、2019年分の確定申告書に記載された税額に不足がないため、乙さんは上記(3)の事由による修正申告書を提出することもできません。

 

以上により、乙さんは2020年分以後の年分の所得税について、住宅ローン特別控除の適用を受けることができません。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/07/13)より転載

[M&Aニュース](2020年6月29日〜7月10日)

◇ファーストブラザーズ<3454>、大阪地盤でビル運営管理・設備点検などの富士ファシリティサービスを子会社化、◇ジャストプランニング<4287>、サン電子<6736>から飲食店向けテイクアウト支援アプリ「iToGo(アイトゥゴー)」事業を取得、◇ジーンテクノサイエンス<4584>、セルテクノロジーを同仁グループに譲渡、◇守谷商会<1798>、全額出資子会社「トヨタホームしなの」をトヨタウッドユーホームに譲渡、◇電算システム<3630>、情報セキュリティー製品輸入販売のピーエスアイを傘下に、◇ニチイ学館、MBOに向けた買付期間を8月3日まで15営業日延長、◇コロワイド<7616>、大戸屋ホールディングス<2705>をTOBで子会社化へ ほか

 

 

ファーストブラザーズ<3454>、大阪地盤でビル運営管理・設備点検などの富士ファシリティサービスを子会社化

2020-07-10

ファーストブラザーズは、ビル運営管理や設備点検・清掃などを手がける富士ファシリティサービス(大阪市。売上高18億3000万円、営業利益8640万円、純資産29億3000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ファーストブラザーズは商業施設、事務所ビルを中心とする不動産投資を主力とする。取得価額は21億7300万円。取得予定日は2020年7月末。

富士ファシリティサービスは1963年に設立し、60年近い業歴を持つ。大阪を本拠とし、東京、仙台、名古屋、高松、福岡に拠点展開し、管理物件は全国に及ぶ。

ジャストプランニング<4287>、サン電子<6736>から飲食店向けテイクアウト支援アプリ「iToGo(アイトゥゴー)」事業を取得

2020-07-10

ジャストプランニングは、サン電子から飲食店のテイクアウト業態向けスマートフォンアプリ「iToGo(アイトゥゴー)」事業を取得することを決めた。「iToGo」はスマホアプリを活用し、並ばず・待たずに受け取れる事前予約機能や、アプリ独自の割引クーポンを利用できる配信機能などを搭載し、飲食店のテイクアウト事業を支援するもの。当該事業の直近売上高は1800万円。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年8月1日。

ジャストプランニングは外食産業向けに業務管理を中心としたASP(アプリケーションサービスプロバイダー)事業を展開している。

ジーンテクノサイエンス<4584>、セルテクノロジーを同仁グループに譲渡

2020-07-10

ジーンテクノサイエンスは、再生医療事業に取り組む子会社のセルテクノロジー(東京都中央区。売上高8320万円、営業利益△2億2600万円、純資産4370万円)の全株式を、医薬品・医療機器など製造販売の同仁グループ(熊本市)に譲渡することを決めた。ただし、セルテクノロジーが手がける歯随幹細胞再生医療製品に関する研究開発などの事業は対象外とし、株式譲渡に先立ち、ジーンテクノサイエンスが本体で引き取る。株式の譲渡価額は0円。譲渡予定日は2020年9月30日。

セルテクノロジーは2008年に設立。今回、ジーンテクノサイエンスが本体に移管する歯随幹細胞再生医療製品関連の直近売上高は262万円。

守谷商会<1798>、全額出資子会社「トヨタホームしなの」をトヨタウッドユーホームに譲渡

2020-07-10

守谷商会は、トヨタホーム製プレハブ住宅を取り扱う全額出資子会社のトヨタホームしなの(長野市。売上高8億8500万円、営業利益3810万円、純資産△7580万円)の全株式を、トヨタホーム傘下のトヨタウッドユーホーム(宇都宮市)に譲渡することを決めた。グループ内の経営資源の集中と効率化の一環。トヨタホームしなのは業績立て直しが急務となっており、譲渡によりトヨタホームの一員として事業継続することが最善策と判断した。

トヨタホームしなのは2003年に設立し、トヨタホーム製のプレハブ住宅の販売代理店として長野県北部・東部を中心に事業展開してきた。

今年1月、トヨタ自動車とパナソニックは住宅事業の統合会社を新設し、トヨタホーム、ミサワホーム、パナソニックホームズの3社を傘下に置いた。こうした住宅事業の再編を踏まえ、今後の事業展開のあり方を検討していた。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年7月31日。

電算システム<3630>、情報セキュリティー製品輸入販売のピーエスアイを傘下に

2020-07-10

電算システムは、情報セキュリティー製品の輸入販売・保守サービスを手がけるピーエスアイ(東京都新宿区。売上高19億1000万円、営業利益9000万円、純資産6億3300万円)を傘下に収めることを決めた。ピーエスアイの持ち株会社ACAS2(東京都千代田区)の全株式を取得し、7月31日付で子会社化する。取得価額は17億1200万円。

ピーエスアイは1994年に設立。悪質なウイルスやハッカーによるシステム侵害を防ぐため、次世代ファイアウォールやUTM(統合脅威管理)製品、AI(人工知能)利用のサイバーセキュリティーシステムなどを米国をはじめ世界から輸入している。

電算システムは岐阜市に本社を置く独立系情報処理サービス企業。最近はデータセンターを中心としたクラウドサービス事業にも力を入れているが、これら既存事業では情報セキュリティーのニーズが一層高まっている。

ニチイ学館、MBOに向けた買付期間を8月3日まで15営業日延長

2020-07-09

介護大手のニチイ学館に対し、MBO(経営陣による買収)を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施している米投資ファンドのベインキャピタルは9日、同日までとしていた買付期間を8月3日まで15営業日延長すると発表した。5月11日からTOBを始めて以来、2度目の延長。1株1500円とする買付価格については変更していない。

8日のニチイ学館株価の終値は1591円で、買付価格を上回り、TOBへの応募が見込めない状況にある。

ニチイ学館の森信介社長ら経営陣はベインキャピタルと組んでMBOによる非公開化を目指している。ベインキャピタルの傘下企業がTOBを通じて約75%の株式を取得し、残りの株式は筆頭株主で創業家の資産管理会社から買い取る計画。

TOBを開始以降、ニチイ学館株価は上昇し、買付価格を上回る高値圏が続いた。ただ、ここ数日は1700円台に乗せた後、軟調に転じ、8日は1600円を割り込んだ。

コロワイド<7616>、大戸屋ホールディングス<2705>をTOBで子会社化へ

2020-07-09

コロワイドは9日、定食「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)に対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。TOBで株式32.16%を約72億円で追加取得して所有割合を51.32%に高め、経営権を掌握する。大戸屋HDのジャスダック上場は維持する。関係がこじれたコロワイドとのこれまでの経緯から、大戸屋HDは反対して敵対的TOBに発展する公算が大きい。

買付価格は大戸屋HD株式1株につき3081円。TOB公表前日の終値2113円に45.81%のプレミアムを加えた。買付予定数の上限は2333万株(所有割合32.16%)で、下限は187万2392株(同25.84%)に設定した。上限まで買い付けられれば、所有割合は現所有分(19.16%)と合わせて過半の50%超に達する。下限についは実質的支配(45%)が確立していると判断できる水準としている。

買付期間は7月10日~8月25日。決済の開始日は9月1日。公開買付代理人はSBI証券。

コロワイドは昨年10月、大戸屋HDの創業家から株式を取得して筆頭株主となった。これを受け、コロワイドは大戸屋HDに食材の仕込み・加工を工場で一括集中するセントラルキッチン方式の導入などのコスト削減策を提案したが、店内調理を売り物としてきた大戸屋HDは反発。6月末の株主総会では大戸屋HDの経営陣の刷新を求める株主提案をした。結果はコロワイドの株主提案が否決され、大戸屋HD側に軍配があがった。

大戸屋HDは「大戸屋ごはん処」を国内で約350店舗展開する。2020年3月期の業績は売上高4.5%減の245億円、営業赤字6億4800万円(前期は4億1400万円の黒字)、最終赤字11億4700万円(同5500万円の黒字)。コロワイドは居酒屋「甘太郎」「北海道」などで知られ、傘下には「牛角」のレインズインターナショナル、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトなどの上場子会社を持つ。

伊藤忠商事<8001>、傘下のファミリーマート<8028>をTOBで非公開化

2020-07-08

伊藤忠商事は、傘下のファミリーマートに対し株式の非公開化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施することを決めた。買収目的会社のリテールインベストメントカンパニー(東京都港区)を通じて全株式の取得を目指す。買付総額は5808億8100万円。伊藤忠は現在、間接保有分も含めてファミリーマート株の50.1%を所有している。ファミリーマートはTOBに賛同しており、TOB成立後に上場廃止となる見通し。

コンビニエンスストア業界では、24時間営業やフードロス問題などビジネスモデルの見直しを迫られている。また、Eコマースの急拡大による消費者の購買チャネル多様化で経営環境は厳しさを増している。伊藤忠はこうした変化に機動的に対応し競争に勝ち残っていくためには、ファミリーマートを非公開化しグループ一体となって迅速に意思決定を進めていくことが不可欠と判断した。

リテールインベストメントカンパニーは伊藤忠が99%、伊藤忠の持ち分法適用関連会社の東京センチュリーが1%出資する合同会社。伊藤忠は株式取得後、生鮮食品の供給などでの相乗効果を見込み、ファミリーマート株4.90%を全国農業協同組合連合会(JA全農)と農林中央金庫に譲渡する。また、東京センチュリーも0.40%の株式を取得する予定。

買付価格は1株当たり2300円。TOB公表前営業日の対象株式の終値1766円に対して30.24%のプレミアムを加えた水準。買付予定数は2億5255万7288株で、下限は5011万4060株。買付期間は2020年7月9日から8月24日まで。決済の開始日は8月28日。公開買付代理人は野村証券。

ノーリツ鋼機<7744>、少額短期保険の日本共済を光通信に譲渡

2020-07-07

ノーリツ鋼機は、家財分野の少額短期保険を手がける全額出資子会社の日本共済(東京都千代田区。売上高83億3000万円、経常利益3400万円、純資産4億4100万円)の全株式を、光通信に譲渡することを決めた。少額短期保険を取り巻く競争環境の変化に対応した措置で、グループ事業の再編の一環。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は未定。

日本共済は2006年設立で、2017年にノーリツ鋼機が傘下に収めた。家財保険分野で賃貸入居者のニーズに特化した補償内容を売り物にしてきたが、強力な販売力を持つ光通信グループのもとでより成長が期待できると判断した。

太陽ホールディングス<4626>、米サーキット・オートメーションからPCB製造に関するソリューション事業を取得

2020-07-06

太陽ホールディングス(HD)は米子会社を通じて、プリント配線板(PCB)製造装置メーカーの米サーキット・オートメーション(カリフォルニア州)からPCB製造プロセスに関するソリューション事業を取得した。取得日は7月4日。対象事業の直近業績や取得価額は非公表。

太陽HDはPCBに欠かせないソルダーレジスト(絶縁樹脂)を製造・販売している。顧客企業の PCB 製造にかかわる諸問題を総合的に解決する体制を構築することで、欧米での事業強化につなげる。サーキット・オートメーションは1981年に設立し、欧米を中心に PCB 製造装置の開発、製造、販売、保守に携わっている。

アジャイルメディア・ネットワーク<6573>、SNSアカウント運営の自動化・分析ツールを提供するpopteamを子会社化

2020-07-06

アジャイルメディア・ネットワークは、Webサービス事業のpopteam(東京都新宿区。売上高1690万円、営業利益101万円、純資産171万円)の全株式を取得し、6日付で子会社化した。アジャイルメディアは企業やブランドのファン育成・活性化を支援するアンバサダー事業を主力とする。大手企業向けにとどまらず、新たに中小規模の事業者や個人に向けてもSaaS(サービスとしてのソフトウエア)型のサービス提供に乗り出す。

popteamは2019年2月に設立。インスタグラム、ツイッターなどSNSのアカウント運営の自動化・分析を行うマーケティングツール「DIGITAL PANDA(デジタルパンダ)」を提供し、中小企業や個人事業者向けに500件以上の導入実績を持つ。

取得価額は非公表。

ジェイ・エス・ビー<3480>、大学生向けAIハッカソン運営などのMewcketを子会社化

2020-07-03

ジェイ・エス・ビーは、大学生を対象にAI(人工知能)を利用した開発イベント(ハッカソン)などを展開するMewcket(東京都千代田区。売上高2500万円、営業利益△2800万円、純資産1800万円)の株式71.49%を取得し子会社化することを決めた。学生支援サービス事業の拡充を目指す。ジェイ・エス・ビーは学生向け賃貸マンション事業を主力とし、全国7万室超の管理物件を持つほか、企業説明会・就職セミナー情報を提供している。取得価額は非公表。取得予定日は2020年8月3日。

ジェイ・エス・ビーはMewcketの子会社化に際し、発行済み株式の一部取得と第三者割当増資引き受けを組み合わせる。

ペッパーフードサービス<3053>、「ペッパーランチ」事業を投資ファンドのJ-STARに85億円で譲渡

2020-07-03

ペッパーフードサービスは3日、主力の「ペッパーランチ」事業を、投資ファンドのJ-STAR(東京都千代田区)に85億円で売却すると発表した。新型コロナ感染の影響で売り上げが大幅に落ち込む中、もう一方の柱である「いきなり!ステーキ」事業に経営資源を集中する。これに伴い、「いきなり!ステーキ」を中心に新たに114店舗を閉鎖し、併せて200人の希望退職者を募集することを決めた。

2019年12月期業績は売上高6.3%増の675億円、営業赤字7100万円(前期は38億円の黒字)、最終赤字27億円(同1億2100万円の赤字)。「いきなり!ステーキ」事業は売上高の約8割を占めるが、急激な出店の結果、同一エリア内で競合するなど業績の足を引っ張っていた。そこに今年に入ってコロナ禍が直撃し、業績不振に拍車がかかり、店舗閉鎖を進めてきた。5月末時点の国内店舗数は「いきなり!ステーキ」が414店舗、「ペッパーランチ」が189店舗。

ペッパーフードサービスは6月1日に、ペッパーランチ事業を分社して新会社のJP(東京都墨田区)を設立した。ペッパーランチ事業は規模は小さいものの、業績は比較的堅調に推移している。

希望退職者は「いきなり!ステーキ」事業部門の従業員を対象とし、内訳は閉店店舗で150人、その他店舗で50人を予定する。募集期間は7月6日~31日。退職日は8月31日とする。所定の額に特別退職金を上乗せして支給する。

日本創発グループ<7814>、映像企画制作のアエックスを子会社化

2020-07-03

日本創発グループは、コンピューターグラフィックス(CG)を使用した映像の企画制作を手がけるアエックス(大阪市。売上高1億7600万円、営業利益0、純資産△1000万円)の第三者割当増資を引き受け、同社株式を追加取得し子会社化することを決めた。現在16.67%の持ち株比率を79.17%に引き上げる。アエックスは1993年設立で、大手企業や地方自治体などを主要得意先とする。

日本創発は汎用的な一般情報用紙への印刷にとどまらず、特殊素材・立体物への印刷、ノベルティ・フィギュア、3D(三次元)プリンター造形、デジタルコンテンツなどの展開に力を入れている。

取得価額は1億8000万円。取得予定日は2020年7月10日。

ストライダーズ<9816>、倉敷ロイヤルアートホテルを譲渡

2020-07-03

ストライダーズは、倉敷ロイヤルアートホテル(岡山県倉敷市。売上高5億8700万円、営業利益641万円、純資産2310万円)の全所有株式99.82%を譲渡することを決めた。経営資源の効率的活用と財務体質の強化が目的としている。譲渡先、譲渡額はいずれも非公表。譲渡予定日は2020年7月20日。

歯愛メディカル<3540>、電力小売りの四つ葉電力を子会社化

2020-07-03

歯愛メディカルは、電力小売り事業を手がける四つ葉電力(大阪市。売上高3億1600万円、営業利益100万円、純資産1100万円)を子会社化することを決めた。株式を追加取得し、現在20%の持ち株比率を60%に引き上げる。歯愛メディカルは歯科診療用品の通販事業に続く新たな経営の柱として電力・エネルギー分野を位置づけ、育成に乗り出している。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月10日。

四つ葉電力は2016年に設立された小売り電気事業者。周波数(50Hz、60Hz)にかかわらず、沖縄県を除く都道府県でサービスを提供している。歯愛メディカルは2020年5月に同社株式の20%を取得し、資本参加していた。

歯愛メディカル<3540>、石川・福井で電力小売りを手がけるワンレクトホールディングスを子会社化

2020-07-03

歯愛メディカルは、電力小売り事業を手がけるワンレクトホールディングス(金沢市。売上高900万円、営業利益△300万円、純資産△1200万円)の株式60%を取得し子会社化することを決めた。歯愛メディカルは歯科診療用品の通販大手。近年は多角化の一環として電力・エネルギー分野に進出しており、その一環。ワンレクトは子会社として新電力の石川電力(金沢市)と福井電力(福井市)を持つ。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月10日。

歯愛メディカルは2016年に新電力事業に参入し、歯科医院、クリニックを中心に全国1万3000件を超える契約先に電力を販売している。東京地区などでは東京ガスと提携し、都市ガス小売りサービス「Ciガス Supplied by 東京ガス」を提供することになり、2020年4月から申し込み受け付けを始めている。

FRACTALE<3750>、ホテル運営会社のアレグロクスホテルマネジメントを子会社化

2020-07-03

FRACTALEは、ホテル運営受託のアレグロクスホテルマネジメント(東京都港区。売上高1600万円、営業利益40万4000円、純資産2190万円=決算期変更に伴う4カ月変則決算)の株式91%を3日付で取得し子会社化した。取得価額は2111万円。続いて9月1日付で、FRACTALE傘下のFRACTALEホテルマネジメント(東京都渋谷区)がアレグロクスを吸収合併する。ホテル運営事業の強化が狙い。

アレグロクスは30以上のホテル新規開業や、リブランディング・トランジションと呼ばれる分野で実績を積んできた。需要変動が激しいホテル業界特有の収益管理にも強みを持つという。

FRACTALEホテルマネジメントと子会社化後のアレグロクスとの合併比率は1:8。合併後の会社名は「フラクタルホスピタリティ」とする。

CKサンエツ<5757>、日立金属桶川工場の銅合金事業を取得

2020-07-03

CKサンエツは子会社のサンエツ金属(富山県砺波市)を通じて、日立金属桶川工場(埼玉県桶川市)の銅合金事業を取得することを決めた。サンエツ金属が主力とする伸銅事業と精密部品事業の強化につなげる狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2021年3月1日。

経営再建中の日立金属はグループの日立アロイ(埼玉県加須市)が手がける黄銅棒事業と加工品事業についても、2021年1月にサンエツ金属に譲渡することを決めている。

キユーピー<2809>、鶏卵加工品・乾燥肉メーカーの米子会社へニングセンを現地社に譲渡

2020-07-02

キユーピーは2日、鶏卵加工品・乾燥肉を製造・販売する米子会社へニングセン・フーズ(ネブラスカ州)の全株式を、米食品メーカーのポストホールディングス傘下のマイケル・フーズ・オブ・デラウエア(ミネソタ州)に1日付で譲渡したと発表した。

へニングセンは1889年に創業で、130年の業歴を持つ。2019年10月~2020年3月の半期業績は売上高34億5900万円、営業損失5400万円。キユーピーが1990年に傘下に収めたが、近年は業績が振るわなかった。

譲渡価額は非公表。

TSIホールディングス<3608>、3ミニッツのアパレル販売ブランド「ETRÉ TOKYO(エトレトウキョウ)」事業を取得

2020-07-02

TSIホールディングスは、3ミニッツ(東京都新宿区)が展開するアパレル販売ブランドの「ETRÉ TOKYO(エトレトウキョウ)」事業を取得することを決めた。ミレニアム世代における新たな顧客層の獲得などにつなげる。ETRÉ TOKYOは2017年にスタート。Eコマース(電子商取引)を主要販路に、ファッションインフルエンサーの杉田純奈(JUNNA)氏をクリエイティブディレクターとして起用し、20~30代を中心に支持を得ている。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年8月1日。

JALCOホールディングス<6625>、サン電子傘下でパチンコホール向け機器開発・製造のSUNTACを子会社化

2020-07-01

JALCOホールディングスは、サン電子傘下でパチンコホール向け機器の開発・製造を手がけるSUNTAC(愛知県江南市。売上高11億6000万円)を今秋に子会社化することを決めた。第一段階として7月1日付でSUNTAC株式の36%を取得。続いて10月1日から12月末を期間として同社株式50%を追加取得し、子会社化する。取得価額(所有割合86%)は8600万円。

SUNTACはサン電子のホールシステム事業部門を2020年5月1日に会社分割して設立した会社。

JALCOホールディングスはパチンコホール運営会社向けに融資と不動産に関するコンサルティングサービスを展開している。パチンコホール向け周辺機器の開発・製造力を取り込むことで、ハード面を含めてワンストップで総合提案が可能になると判断した。

OCHIホールディングス<3166>、内装工事のアイエムテックを子会社化

2020-07-01

OCHIホールディングスは、内装工事業のアイエムテック(広島市。売上高13億4000万円、営業利益2億3800万円、純資産7億1700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。非住建分野の事業領域を拡大するのが狙い。アイエムテックは2000年設立で、マンションやオフィスビルなどの内装工事で実績を積んできた。取得価額は12億~13億円。取得予定日は2020年7月9日。

OCHIホールディングス<3166>、土木工事の長豊建設を子会社化

2020-07-01

OCHIホールディングスは、土木建設業の長豊建設(長野県飯田市。売上高16億5000万円、営業利益5900万円、純資産9億6800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。住宅需要の変化に影響されにくい企業体質の確立に向け、非住建分野の事業領域を拡大するのが狙い。

長豊建設は1967年設立。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月16日。

神戸物産<3038>、外食事業関連子会社のクックイノベンチャーを経営陣に譲渡

2020-06-30

神戸物産は、外食関連子会社のクックイノベンチャー(兵庫県稲美町。売上高8060万円、経常利益2750万円、純資産1億1400万円)の全株式を、クックイノベンチャーと同社社長の杉本英雄氏に30日付で譲渡した。クックイノベンチャーは傘下に「平禄寿司」「壁の穴」「村さ来」など外食業態を展開するジャスダック上場のジー・テイストなどを抱える。譲渡価額は非公表。

神戸物産は2013年にクックイノベンチャーを子会社化し、同社傘下企業に対する食材提供や財務基盤の安定、不採算事業の整理などを進めてきた。一連の経営改善を通じて、クックイノベンチャーが自らの経営判断で事業を拡大することが可能になったとし、株式譲渡を決定したという。連結子会社から除外されるが、食材提供などの取引については継続する。

アイビーシー<3920>、“保険版フィンテック”のソフトウエア・サービス開発子会社のiChainを経営陣に譲渡

2020-06-30

アイビーシーは、保険版フィンテックに関するソフトウエア・サービス開発子会社のiChain(東京都中央区。売上高6060万円、営業利益△5540万円、純資産9490万円)の全株式を、iChain取締役の後藤昌紀氏に譲渡した。30日付。経営資源の最適配分の一環。新型コロナウイルス感染の影響による先行き不透明感から成果を出すまでにはなお多くの時間を要すると判断した。これに伴い、貸付金の一部約1億3500万円を債権放棄する。

譲渡価額は非公表。

イオンディライト<9787>、子会社KJS(旧カジタク)の証明写真機事業をDNPフォトイメージングジャパンに譲渡

2020-06-30

イオンディライトは、子会社化のKJS(旧カジタク、東京都中央区)が手がける証明写真機事業を、大日本印刷100%出資子会社のDNPフォトイメージングジャパン(東京都中野区)に30日付で譲渡した。対象事業を会社分割して新会社Kフォトイメージ(東京都中央区)に承継させたうえで、新会社の全株式を売却した。旧カジタクで発生した中古複写機の再販事業における不正会計処理問題を受けた事業再編の一環。

譲渡価額は未確定。

ソフィアホールディングス<6942>、システム開発の藤井を子会社化

2020-06-30

ソフィアホールディングスは、システム開発の藤井(東京都練馬区。売上高1億5300万円、営業利益△318万円、純資産2070万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。傘下のソフィア総合研究所(東京都新宿区)を通じて傘下に収める。グループのソフト開発力の拡充が目的。藤井は1991年設立。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年8月1日。

芝浦機械、希望退職者募集を7月29日まで2度目の延期

2020-06-29

芝浦機械(東芝機械)は29日、希望退職者の募集期間を7月29日まで約1カ月延長すると発表した。募集期間の延長は2度目。当初は3月中旬~4月上旬を募集期間としていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務や交代勤務などで、従業員との希望退職に関する意思疎通が十分に行えないとして6月末まで延長していた。今回の再延長も同様の理由。200~300人程度とする募集人員に変更はない。

エム・エイチ・グループ<9439>、ファッション・コスメ業界向け人材サービスのオンリー・ワンを子会社化

2020-06-29

エム・エイチ・グループは、ファッション・コスメ(化粧品)業界向けを中心に人材派遣・紹介事業を手がけるオンリー・ワン(東京都千代田区。売上高2億4100万円、営業利益300万円、純資産3200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。エム・エイチ・グループは美容室「モッズ・ヘア」を運営しているが、オンリー・ワンの主要取引先であるファッション・コスメ業界は美容業界と隣接する関係にあり、人材採用や新サービス開発などでシナジー(相乗効果)が見込めると判断した。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

クリーク・アンド・リバー社<4763>、ITコンサル・システム開発のGruneを子会社化

2020-06-29

クリーク・アンド・リバー社は、ITコンサルティングやシステム開発のGrune(福島県相馬市。売上高1億500万円、営業利益2140万円、純資産5240万円)の株式75%を取得し子会社化することを決めた。Gruneは2016年に設立し、VR(人工現実感)Web関連で高い技術力を持つという。クリーク・アンド・リバー社は建築分野での新たなソリューション提供などにつなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月10日。

IDホールディングス<4709>、ソフト受託開発のアクティブ・ティを子会社化

2020-06-29

IDホールディングスは、ソフト受託開発のアクティブ・ティ(名古屋市。売上高3億4700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アクティブ・ティは1996年設立。中部地区でのサービス力向上や顧客期の強化につなげる。

子会社のインフォメーション・ディベロプメント(東京都千代田区)を通じて、アクティブ・ティを傘下に収める。取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月30日。

クリーク・アンド・リバー社<4763>、NHKへの制作・編集スタッフ派遣を手がけるウイングを子会社化

2020-06-29

クリーク・アンド・リバー社は、NHKや関連会社の番組制作・編集部門へのスタッフ派遣を手がけるウイング(東京都渋谷区。売上高7億600万円、営業利益287万円、純資産9160万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ウイングは2005年にNHK出身の及川哲也氏(現会長)が設立した。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月3日。

クリーク・アンド・リバー社は映像、ゲーム、Web、広告・出版分野などの専門人材派遣を手がけている。

CKサンエツ<5757>、日立アロイから黄銅棒・加工品事業を取得

2020-06-29

CKサンエツは子会社のサンエツ金属(富山県砺波市)を通じて、日立金属傘下の日立アロイ(埼玉県加須市)が手がける黄銅棒事業(製造設備を含む)と加工品事業を取得することを決めた。サンエツ金属は伸銅事業と精密部品事業を両輪に、生産規模の拡大による競争力向上に取り組んでおり、今回の事業取得もこの一環。取得価額は非公表。取得予定日は2021年1月5日。

ミアヘルサ<7688>、神奈川・都内の6カ所で認可保育園を運営する東昇商事を子会社化

2020-06-29

ミアヘルサは、神奈川県や東京都で認可保育園6園を運営する東昇商事(東京都品川区。売上高5億7700万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ミアヘルサは保育事業を調剤薬局事業、介護事業と並ぶ経営の柱と位置づけており、東昇商事を傘下に取り込むことで保育園数は32園となる。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

東昇商事は1995年に設立し、「マリー保育園」の名称の認可保育園を神奈川県、都内に各3園運営する。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[新型コロナウイルスを背景としたM&A需要調査](2020年7月公表)

コロナ禍、「生き残り」のためのM&A!

64.8%の経営者が新型コロナの影響で会社や事業の買収を実施・検討の事実
〜株式会社バトンズ、新型コロナウイルスを背景としたM&A需要調査を実施〜

 

 

M&A総合支援プラットフォームを運営する株式会社バトンズ(本社:東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディング24階、代表:大山敬義)が、新型コロナウイルスを背景としたM&A需要の調査を目的に、会社・事業の売却もしくは買収について検討したことがある経営者111名を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施しましたのでお知らせいたします。

 

 

■アンケート調査結果の詳細を見る

 

 

 

[まとめ(アンケート調査結果より)]

今回、 新型コロナウイルスを背景としたM&A需要の調査を実施しましたところ、約9割の経営者がコロナを受け会社経営に変化があったと回答しました。また、コロナ発生後の現在、会社や事業の買収もしくは売却を実施・検討した経営者は約6割にのぼることが明らかとなりました。売却理由では「撤退」のため売るという選択肢も見受けられましたが、買収理由としては「市場の変化への対応」や「自社のウィークポイントの補強のため」が多く選択されました。コロナ禍における緊急事態宣言をきっかけに、都心から離れた地方にある営業拠点の増設や取引先の確保をしていく動きが増えていたり、ひとつの業種にこだわらず事業の多角化戦略を図っていく、といったトレンドが反映されています。

 

今後ますます市場の変化が激しくなっていく中、企業の生き残り戦略としてのM&Aには成約までのスピードが早いことが求められていきます。加えて、コロナ禍を受けて突発的に財務状況が厳しくなったことを理由とする売却が増えており、正しい企業価値を見極められ、トラブルなくM&Aの交渉や実務を行える専門家のニーズは今後さらに高まっていくでしょう。

 

 

 

情報提供元:株式会社バトンズ

[解説ニュース]

共有物の分割で不動産取得税がかかるとき

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(遠藤 純一 )

 

 

[関連解説]

■不動産の財産分与があった場合の不動産取得税

■不動産取得税の「相続による取得」を巡る最近のトラブル

 

1.はじめに


不動産の共有状態を解消する場合に行われるのが不動産現物の「共有物の分割」です。この場合、持ち分に応じて分割がされる等の所定の要件を満たすと、不動産取得税では形式的な所有権の移転等に当たるとして非課税となります。ただし、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得は除かれます(地法73条の7①2の3括弧書き、以下、持分超過部分規定という。)。今回は、分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得について整理します。

 

2.平成13年の改正


不動産取得税は、土地や家屋の「取得」に課税される都道府県税です(地法73条の2①)。ただし、形式的に不動産の所有権を移転したものとされる所定の「取得」は非課税とされます(地法73条の7)。共有物である不動産を分割した場合についても、もともと「不動産の取得」として不動産取得税の課税対象に含められるのですが、平成13年の改正前の実務では、共有であった不動産を分割した場合、その分割が持分に応じて単純に分割するケースについては、通達によって非課税として運用されていました。

 

ところが、東京高等裁判所平成10年8月5日判決で、法に基づかない非課税事由を通達で設定することは税法上問題であると判示したことに伴い、通達の非課税措置を地方税法上明らかに規定することが求められた結果、平成13年に上記の持分超過部分規定が新設された経緯があります。

 

 

3.分割前持分の割合を超える部分の取得とは?


そこで、実務上問題となるのは、不動産取得税が課税される「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得」は、どのように認識されるか、ということです。

 

考え方は、①分割前の土地の評価額の持ち分の金額と②分割後に取得した土地の評価額を前提として、超過部分については、②の分割後の評価額が①の分割前の評価額の持ち分の金額より高い部分とするものです。ポイントは、①と②の金額をどのように算定するかという点です。この場合は通常、土地に固定資産税評価額がある場合にはその価格を、ない場合には改めて固定資産評価基準により評価した価格を用いることになります(地法73条の21①②)。

 

これについて、「地方税の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)第5章・第1・5の2⑴」では、次のように注釈をつけています。

 

「持分の割合とは、原則として、不動産の価格の割合と解すべきものであるが、意図的に租税回避を図ろうとする意思が認められない場合については、不動産の面積の割合によっても差し支えないこと。」

 

 

4.最高裁の判決について


最高裁が原審を破棄して自判した令和2年3月19日判決は、兄弟で各々2分1の持ち分で遺贈を受けた1,200㎡弱の土地の分割が問題となったものでした。

 

具体的には、分割に際し相続税の財産評価基本通達に照らして差額が出ないように配慮し、620㎡弱と570㎡弱に分筆、兄が620㎡の方を取得したところ、分割後の土地の評価額に関し、地積比で約100万円分の持分超過部分があるとして不動産取得税が課税されたため、その取消しを求めて裁判に発展したものです。

 

一審は当初の課税処分を支持しましたが、二審では、分割前の一画地は、所有者が異なる土地をそれぞれ拠出している関係にあるため、分割後のそれぞれの土地の価格の割合で按分するのが公平、分割前の評価額を基に分割後の地積比で按分して兄の評価額を出すのは違法として、課税処分の取消を認容しました。

 

争点の重要なポイントは、分筆した土地が一体利用されていたことから、これを一画地として評価すべきか、それとも分筆後の土地ごとに評価すべきか、という点です。

 

これに対し最高裁は、問題の土地が一体として駐車場として利用されている事実関係があったことを前提に、分割後の土地の評価額は地積ベースですることと結論付けました。その理由の概要は次のとおりです。

 

「固定資産評価基準により、形状や利用状況からみて一体をなしていると認められる「隣接する2筆以上の宅地」は一画地として認定し評価することになるから、その単位面積当たりの評価額は、この土地全体に当てはまる。この場合の分割後の各筆の評価額は、単位面積当たりの評価額に分割後の各筆の地積を乗じることにより算出されるものというべき。」共有物分割のため分筆する際には、注意しておきたい判例でした。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/07/07)より転載

人手不足に対する企業の意識調査(2020年6月公開分)

 

 

 

◇栃木県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員不足29.4%、急速に低下
~ 「過剰」とする企業、製造・小売などで増加 ~

※詳細はこちら

 

◇長野県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員が「不足」は28.5%、「過剰」と同水準に低下
~企業の人手不足感が大きく変化、30%未満は6年9カ月ぶり~

※詳細はこちら

 

◇埼玉県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員・非正社員とも人手「不足」が大幅に減少
~ 正社員・非正社員とも「過剰」が大幅に増加 ~

※詳細はこちら

 

◇愛知県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

正社員「過剰」が2.6倍増、人手不足感は急速に後退
~ 「製造」「卸売」は過剰が不足を上回る ~

※詳細はこちら

 

◇九州地方「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感は急激に低下
~新型コロナウイルスの影響などで人手が過剰とする企業は前年同月比11.9ポイント増加~

※詳細はこちら

 

◇山梨県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感は急激に低下
~ 人手が過剰とする割合は増加 ~

※詳細はこちら

 

◇東北地方「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感は急激に低下
~ 人手が過剰とする企業、5社に1社の割合へ急増 ~

※詳細はこちら

 

◇神奈川県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

企業の人手不足感、コロナ禍で急速に低下
~ 人手が「過剰」とする割合は急増、「飲食店」で顕著 ~

※詳細はこちら

 

◇茨城県「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

新型コロナウイルスの影響で人手不足感は急激に低下
~正社員、非正社員ともにリーマン・ショック後に次ぐ落ち込み幅~

※詳細はこちら

 

◇近畿地方「人手不足に対する企業の意識調査」(2020年4月)

人手不足感は急激に低下、減少幅はリーマン越え
~ 人手が「過剰」とする割合は増加、特に「旅館・ホテル」で顕著 ~

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[M&Aニュース](2020年6月15日〜6月26日)

◇小島鉄工所<6112>、創業家によるMBOで非公開化、◇東京製綱<5981>、中国のスチールコード生産子会社を現地社に譲渡、◇SBテクノロジー<4726>、クラウドワークス傘下でシステム開発の電縁を子会社化、◇ユニチカ<3103>、プラスチック成形加工子会社のコソフを譲渡、◇モブキャストホールディングス<3664>、トヨタ車のコンプリートカー企画・開発を手がける子会社「トムス」をT2に譲渡、◇ヒューマンホールディングス<2415>、プロeスポーツチーム「CREST GAMING」運営のACTRIZEから全事業を取得 ほか

 

 

小島鉄工所<6112>、創業家によるMBOで非公開化

小島鉄工所は26日、MBO(経営陣による買収)を実施し、非公開化すると発表した。同社会長・筆頭株主の児玉正蔵氏ら創業家出身の4氏が設立した新会社「児玉本社」(群馬県高崎市)がTOB(株式公開買い付け)を通じて全株式を目指す。小島鉄工所はMBOに賛成している。

同社は大型油圧プレス機のメーカー。現在、名古屋証券取引所第2部に上場しているが、3月の平均時価総額が5億円未満となり、上場廃止のおそれが出ている。このため、顧客や取引先に対する信用力の低下などから、受注に悪影響が及ぶ懸念が出ており、中長期的な成長を見据えた場合、非公開化により事業基盤を再構築する必要があると判断した。

MBOの主体となる児玉本社は小島鉄工所会長の児玉正蔵、正蔵氏の実兄の児玉恒二、児玉三郎(いずれも取締役相談役)、甥の児玉太郎の4氏が各25%を出資して設立した。

買付価格は1株あたり570円で、TOB公表前日の終値401円に42.14%のプレミアムを加えた。買付予定数は99万9050株。買付予定数の下限は所有割合67%に相当する66万9976株。買付代金は5億6945万円。児玉本社に出資する大株主4氏(所有割合は合計29.17%)はTOBに応募する。

買付期間は6月29日~8月12日。決済の開始日は8月19日。公開買付代理人はSMBC日興証券。

2019年11月期業績は売上高0.6%減の22億4800万円、営業利益74.4%減の2300万円、最終利益66%減の3400万円。今年2月にはやはり時価総額が回復せず、東証2部を廃止となった。

小島鉄工所は1809年に初代の小島弥平が朝廷から免許を得て鋳造所として創業したことを起源とする名門。1930年に合資会社、1936年に株式会社に改組。明治期には水圧機(水圧プレス)の国産第1号を開発したことで知られる。

東京製綱<5981>、中国のスチールコード生産子会社を現地社に譲渡

東京製綱は、傘下の東京製綱海外事業投資(東京都中央区。純資産15億5000万円)を、不動産開発などを手がける中国の大連光伸企業集団有限公司(遼寧省)に譲渡することを決めた。東京製綱海外事業投資は100%出資の中国子会社として、タイヤ補強材のスチールコードを製造する東京製綱(常州)有限公司(江蘇省。売上高約15億円)を抱える。新型コロナ感染の影響で受注が減り、工場の稼働を停止していたが、安定操業再開の見通しが立たないことから、現地での事業継続を断念した。

スチールコード事業についてはグループの東綱スチールコード(岩手県北上市)に経営資源を集中し、収益改善に努めるとしている。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年7月31日。

SBテクノロジー<4726>、クラウドワークス傘下でシステム開発の電縁を子会社化

SBテクノロジーは、クラウドワークス傘下でシステム開発を手がける電縁(東京都品川区。売上高24億1000万円、営業利益6500万円、純資産3億2900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。両社が強みとする通信業、自治体向けに次世代通信規格(5G)や電子自治体といった領域で事業拡大を目指す。

取得価額は14億4100万円。取得予定日は2020年7月10日。

SBテクノロジーは建設業や製造業を中心とした法人、官公庁、自治体向けのIT関連プロジェクトを手がけている。

電縁は2000年設立。クラウドワークスは2017年11月に電縁を子会社化し、通信業や自治体、生命保険業などを主要顧客とする各種システム開発を展開してきた。しかし、マッチング事業を取り巻く環境が副業解禁や新型コロナに端を発するテレワーク(在宅勤務)の普及で、大きな転換点を迎える中、中核事業のマッチング事業へ経営資源を集中することの重要度が高まったとしている。

ユニチカ<3103>、プラスチック成形加工子会社のコソフを譲渡

ユニチカは、プラスチック成形加工の全額出資子会社であるコソフ(京都府久御山町。売上高4億9800万円、営業利益200万円、純資産4億3500万円)の全株式を、自己株取得するコソフ(取得割合90%)と同社社長の谷浩一氏(同10%)に譲渡することを決めた。経営資源の集中の一環という。譲渡価額は3億2000万円。譲渡価額は2020年7月1日。

コソフは1984年に設立し、センサーなどに使われる構造部品、光学部品などの精密射出成形を主力としている。

モブキャストホールディングス<3664>、トヨタ車のコンプリートカー企画・開発を手がける子会社「トムス」をT2に譲渡

モブキャストホールディングスは、トヨタ車をベースとしたコンプリートカーの企画・開発などを手がける全額出資子会社のトムス(東京都世田谷区。売上高24億円、営業利益△2億7500万円、純資産2億5300万円)の株式80%を、T2(東京都世田谷区)に譲渡することを決めた。譲渡価額は8億円。譲渡予定日は2020年6月26日。

トムスは1974年に設立し、モブキャストが2018年2月に子会社化。以降、SUPRA、CENTURYといったトヨタ自動車を代表する車種のコンプリートカー(市販車をベースにチューニングを施し、インテリア、エクステリアを変更したオリジナルな完成車)の発売、グッズ拡充、公認ファンクラブの発足などの新施策を実施してきた。ただ、モブキャストグループとのシナジー(相乗効果)創出には時間をなお要すると判断し、保有株の20%を残して、他社に経営を委ねることにした。

ヒューマンホールディングス<2415>、プロeスポーツチーム「CREST GAMING」運営のACTRIZEから全事業を取得

ヒューマンホールディングスは子会社のヒューマンアカデミー(東京都新宿区)を通じて、プロeスポーツチーム「CREST GAMING」運営のACTRIZE(東京都千代田区)から全事業を取得することを決めた。今後成長が期待されるeスポーツ関連事業の強化が目的。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ヒューマンアカデミーは2019年からスポンサーとしてACTRIZEが運営する「CREST GAMING」を支援してきた経緯がある。

ヒューマンアカデミー傘下の全日制専門校の総合学園ヒューマンアカデミーは2020年4月からeスポーツを学べる「e-Sportsカレッジ」を開講しているが、今回、「CREST GAMING」事業を取り込むことにより、選手からの実践指導、授業カリキュラムの監修・作成、卒業生のチーム加入機会の提供などが可能になると期待している。一連の取り組みを通じて、eスポーツ業界の発展と業界で活躍する人材の輩出を目指す。

オリンパス<7733>、デジカメなどの映像事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに譲渡へ

オリンパスは24日、デジタルカメラや交換レンズ、ICレコーダーなどの映像事業を投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP、東京都千代田区)に譲渡する意向確認書を締結したと発表した。赤字が続いている映像事業を新会社として分社化し、新会社の株式をJIPに売却する。今後、映像事業の抜本的な構造改革を実施したうえで、9月末までに最終契約を済ませ、年内の売却完了を目指す。

2020年3月期の映像事業の部門業績は売上高10.4%減の436億円、営業赤字103億円(前期は182億円の赤字)。映像事業の主力であるデジタルカメラはスマートフォンやタブレット端末の普及などに伴い、売上規模が年々縮小し、全社売上高に占める割合は6%に満たない。生産拠点の再編などのコスト構造見直しを進めたものの、収益改善が追い付かず、2020年3月期まで3期連続で営業赤字に陥っている。

三共生興、約30人の早期退職者を募集へ

繊維商社の三共生興は23日、グループ会社を含めて約30人の早期退職者を募集すると発表した。40歳以上の社員が対象。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、繊維アパレル市場を取り巻く先行き不透明な経営環境に対応するため、効率的な組織・人員体制の確立を目指す。募集期間は7月20日~31日。退職日は8月31日とする。

三共生興のほか、子会社の三共生興ファッションサービス、三共生興アパレルファッションから募集する。応募者には特別退職金を支給し、本人の要望に応じて会社負担による再就職支援を行う。

同社の2020年3月期業績は売上高14.6%減の233億円、営業利益94.9%減の9600万円、最終利益78.2%増の30億円。

日立化成、10月1日に「昭和電工マテリアルズ」に社名変更

昭和電工は23日、約9600億円を投じて子会社化した日立化成の社名を10月1日付で「昭和電工マテリアルズ」に変更すると発表した。日立化成は昭和電工によるTOB(株式公開買い付け)を通じた子会社化に伴い、6月19日付で東証1部から上場廃止となった。

日立化成は1962年に日立製作所から分離独立した化学メーカーで、半導体や自動車電池に使われる機能材料などに強みを持つ。日立によるグループ戦略の見直しや親子上場解消策を受け、昭和電工が日立化成の買収に動いた。買収金額約9600億円は昭和電工の連結売上高(2019年12月期9065億円)を上回り、社運をかけた大型M&Aとして注目された。

No.1<3562>、インターネット関連システム・アプリ開発のリライを子会社化

No.1はインターネット関連システム・アプリ開発のリライ(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。クラウドサービスを中心としたデジタル分野で新サービスの提供、新規顧客の開拓につなげる。取得価額は3699万円。取得予定日は2020年6月30日。

リライは2012年に設立。7月1日付で「No.1デジタルソリューション」に社名変更を予定している。

FIG<4392>、物流向けシステム開発のプライムキャストを子会社化

FIGは、物流向けシステム開発のプライムキャスト(東京都千代田区。売上高2億2700万円、営業利益708万円、純資産1億3300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。コンテンツ開発の強化に向け、IT人材の確保などが狙い。

FIGは物流・タクシー・バス事業者向け音声・動態サービスやホテル向けマルチメディアシステムなどの月額サービス契約件数が20万件を突破するなど、顧客基盤の拡大に伴い、コンテンツ開発の強化が課題となっている。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月8日。

ガイアックス<3775>、海外マッチングサイト事業のロコタビを子会社化

ガイアックスは、マッチングサイト事業を手がけるロコタビ(東京都千代田区。売上高9730万円、営業利益△5760万円、純資産△2120万円)を子会社化することを決めた。株式を追加取得し、現在11.56%の持ち株比率を50.002%に引き上げる。シェアリングエコノミー関連サービスの拡充が狙い。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ロコタビは海外在住日本人に観光案内や現地サポート、ビジネス翻訳、食事アテンドなどを依頼できるマッチングサイト「ロコタビ」を運営している。

テクノホライゾン・ホールディングス<6629>、AV機器販売・設置工事のシンガポールEscoを子会社化

テクノホライゾン・ホールディングスは、AV機器・システムの販売や設置工事を手がけるシンガポールEsco Pte.Ltd.(売上高22億5000万円、純資産3億1800万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。海外事業強化の一環。取得価額は約13億円。取得予定日は2020年7月上旬。

Escoは1989年設立で、シンガポールのほか、マレーシア、中国、香港、フィリピン、韓国、タイ、インドに拠点を置く。

大和工業<5444>、韓国子会社の棒鋼事業を現地同業の大韓製鋼に譲渡

大和工業は、韓国子会社のワイケー・スチールコーポレーション(釜山市)が営む棒鋼事業を、現地鉄鋼メーカーのDaehan Steel (大韓製鋼、釜山市)に譲渡することを決めた。棒鋼事業を全額出資で設立する新会社「ワイケーエスカンパニーリミテッド」(釜山市)に移管したうえで、大韓製鋼が新会社の株式51%を取得する。分割する事業の直近売上高は559億円。株式の譲渡価額は41億1200万円。譲渡予定日は2020年9月8日。

大和工業は2002年に韓国にヤマト・コリア・スチールコーポレーション(現ワイケー・スチールコーポレーション)を設立し、韓宝釜山製鉄所の営業を譲り受け、同国で建設向けを主用途とするH形鋼など棒鋼事業を展開してきた。しかし、棒鋼市場の縮小や競争激化に伴い、新たな戦略パートナーが必要と判断し、現地での棒鋼事業を合弁運営に切り替えることにした。大韓製鋼は1954年に設立し、従業員は約420人。

オプトホールディング<2389>、動画広告配信子会社のリレイドをCMerTVに譲渡

オプトホールディングは、動画広告配信事業を手がける100%子会社のリレイド(東京都千代田区。売上高7億400万円、営業利益△1億3200万円、純資産2億9500万円)の全株式を、同業のCMerTV(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。国内の動画広告市場は急速に拡大する一方で、厳しい競争にさらされ、業績が厳しさを増していた。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年6月30日。

オルトプラス<3672>、アクセルマーク<3624>からゲーム事業を取得

オルトプラスは、アクセルマークからゲーム事業を取得することを決めた。ソーシャルゲーム事業の基盤強化につなげる狙い。対象事業の直近業績は売上高7億3400万円、営業損失5億600万円(セグメント利益)。取得価額は協議中。取得予定は2020年9月。今回、オルトプラス、アクセルマークの両社は、新たな成長分野として期待されるブロックチェーン(分散型台帳)ゲームで協業体制を構築することでも基本合意した。

ウイルテック<7087>、ビジネスホンなどOA機器買取・販売のサザンプランを子会社化

ウイルテックは、中古ビジネスホンなどOA機器の買取・販売を手がけるサザンプラン(東京都新宿区。売上高5億3300万円、営業利益9700万円、純資産2億5900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は5億9200万円。取得予定日は2020年6月23日。

サザンプランは2012年設立で、ビジネスホンを中心に仕入れ、メンテナンス、流通の収益モデルを確立し、再生、磨き、塗装といった独自の再生技術を強みに業績を伸ばしてきた。ウイルテックは技術者派遣事業をはじめ、電子部品の卸売りや制御機器ユニットなどの受託生産、修理サービス事業を展開している。サザンプランを傘下に取り込むことで、電子部品の販売力強化などを期待している。

オウケイウェイヴ<3808>、通訳・翻訳子会社のブリックスをMBOで譲渡

オウケイウェイヴは、通訳・翻訳子会社のブリックス(東京都新宿区。売上高9億3400万円、経常利益763万円、純資産6550万円)の全所有株式76.85%を、MBO(経営陣が参加する買収)を通じてブリックス出資組合(東京都新宿区)に譲渡することを決めた。譲渡価額は3億円。譲渡予定日は2020年6月28日。

ブリックス出資組合はブリックス株式の取得を目的に、ブリックス社長の吉川健一氏が中心となって設立した。

オウケイウェイヴは2012年にブリックスを子会社化した。しかし、AI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳)、情報セキュリティーの各技術を組み合わせたプラットフォーム事業に経営資源を集中する中で、訪日外国人向けサービスを手がけるブリックスについて好条件での売却を模索していた。

エムジーホーム<8891>、戸建分譲のTAKI HOUSEを子会社化

エムジーホームは、戸建分譲のTAKI HOUSE(川崎市。売上高50億3000万円、営業利益1億2600万円、純資産8億9500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。エムジーホームは住宅事業でマンション分譲、注文住宅を手がけるが、新たに分譲住宅を取り込む。取得価額は8億9800万円。取得予定日は2020年7月。

TAKI HOUSEは2009年に設立し、神奈川・東京エリアを中心に年間100棟以上の戸建分譲住宅を手がける。東海地域を地盤とするエムジーホームは土地情報の共有を通じて、戸建住宅にとどまらず、マンション、オフィス、テナントビル、工場などで協業を進め、関東での事業拡大につなげる。

KLab<3656>、岡山事業所のゲーム事業をさくらソフトに譲渡

KLabは、岡山事業所(岡山市)で手がけるゲームの企画・制作・運営事業を、ゲーム開発のさくらソフト(千葉市)に譲渡することを決めた。モバイルオンラインゲーム市場が先進国を中心に成熟期を迎える中、ソフト・ハード両面から経営資源の再配分を進めており、その一環。

岡山事業所は2012年に子会社化したメディアインクルーズを前身とし、譲渡対象事業の直近売上高は6億8500万円。7月末に全額出資で設立する新会社「まかねソフト」(岡山市)に事業を移管し、この新会社の全株式をさくらソフトに譲渡する。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年8月1日。

SBIインシュアランスグループ<7326>、常口セーフティ少額短期保険を子会社化

SBIインシュアランスグループは、常口セーフティ少額短期保険(札幌市。売上高13億6000万円、経常利益5200万円、純資産5億300万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。傘下の既存4社との相乗効果を通じて、少額短期保険事業の拡大につなげる。常口セーフティは2008年に北海道で第1号の少額短期保険業者として営業開始し、賃貸住宅入居者向け災害時生活復旧費用保険を取り扱っている。取得価額は非公表。取得予定日は未定。

SBIインシュアランスグループは子会社のSBI少額保険ホールディングスを通じて、現在、SBIいきいき少額短期保険(東京都港区。死亡・医療保険、ペット保険、地震補償保険)、SBI日本少額短期保険(大阪市。賃貸向け保険、バイク・自動車保険)、SBIリスタ少額短期保険(東京都港区。地震補償保険)、日本アニマル倶楽部(仙台市。ペット保険)の4社を持つ。

JKホールディングス<9896>、合板・建材卸の井田商事を子会社化

JKホールディングスは合板・建材卸の井田商事(大阪市。売上高4億3600万円、営業利益800万円、純資産9900万円)の全株式を取得することを決めた。井田商事は1951年に設立し、大阪市内と大阪府北部を地盤とする。JKホールディングスは子会社のKEY BOARD(東京都江東区)を通じて傘下に収める。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

生前贈与がある場合の相続税申告の留意点

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(林 陽子/税理士)

 

 

[関連解説]

■特別縁故者に対する相続財産の分与と相続税

■贈与税の個人版事業承継税制の適用対象となる贈与者の要件

 

 

1. 相続開始前3年以内の贈与


(1)概要

相続又は遺贈により財産を取得した者が、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるときは、被相続人の相続財産に贈与を受けた財産の額(贈与時の価額)を加算し、加算された者の相続税の計算上、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額を控除します。

 

但し、次の財産については加算する必要はありません。

 

①贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
②直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
③直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
④直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額(相続開始時に残額がある場合は、残額を相続財産に加算)

(国税庁HP・タックスアンサー「贈与財産の加算と税額控除」より抜粋・加筆/相続税法第19条)

 

(2)留意点

この規定は、相続又は遺贈により財産を取得した者が対象です。相続人であるかどうか、遺産を取得したかどうかだけで判断しがちですが、死亡保険金など相続税法において相続財産とみなされる財産を取得した者についても、この規定の対象となります。

 

判断を誤りやすいのは、次のような事例です。

 

(加算もれ)
・相続人でない孫が、遺贈により財産を取得した場合
・相続放棄した相続人が、死亡保険金を受け取った場合

 

(誤って加算)
・相続人であるが、遺産を取得せず、死亡保険金などのみなし相続財産も取得しない場合(生前贈与のみ有)

 

 

2. 相続時精算課税制度を適用した贈与


(1)制度の概要

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用されます。

 

また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額を加算し、加算された者の相続税の計算上、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額を控除します。

(国税庁HP・タックスアンサー「相続時精算課税制度の選択」より抜粋・加筆/相続税法第21条の15)

 

(2)留意点

この制度を選択した年分以降は、その選択に係る贈与者からの贈与については、暦年課税の基礎控除(110万円)は使えません。また、この制度の特別控除額(2500万円)以下の贈与で贈与税を納めていない場合や、申告をし忘れている場合でも、相続財産に加算する必要があります。贈与税の申告をしたかどうか、贈与税が課されたかどうかにかかわらず加算しますので、注意が必要です。

 

 

3. 加算する贈与財産の価額と控除する贈与税額


相続財産に加算する贈与財産の価額は、相続開始時の財産の状況にかかわらず、贈与時の価額によることとされています。

 

相続開始前3年以内の贈与については、「贈与により取得した財産の価額」と、相続時精算課税制度による贈与については、「適用を受けるものの価額」と規定されています。「申告書に記載した価額」ではありません(相続税法第19条①,第21条の15①)。

 

では、申告をした贈与財産の価額に誤りがあった場合、贈与税や相続税の申告はどうなるのでしょうか?

 

評価額が過大だった場合、贈与税の更正の請求ができる期限内であれば、更正の請求により贈与税を減額することができます(国税通則法第23条)。

 

評価額が過少だった場合、贈与税の更正(税務署が税額等を更正する手続き)の期限内であれば、速やかに修正申告することが必要です。修正申告書の提出が無い場合は、更正処分を受ける(税務署が税額等を職権で更正する)ことになります(国税通則法第19条,第24条)。

 

 

このように期限内に誤りに気付いた場合は、贈与税について正しい評価額を申告等したうえで、相続税の申告を行います。

 

なお、期限後に誤りに気付いた場合は、実際の申告がどうであれ、贈与財産の正しい評価額を相続財産に加算しますが、相続税額から控除する贈与税額は、「課せられた贈与税」とされているため、誤った評価額に基づく贈与税額(実際の申告額)を相続税額から控除することになります(相続税法第19条①, 第21条の15③)。

 

最近、相続時精算課税制度と事業承継税制を併用して、生前に非上場株式を贈与する事例が増えてきました。

 

生前に贈与した財産を相続財産に加算して相続税の申告をする際は、加算する贈与財産の価額が正しい価額であるかの確認が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/06/22)より転載

[解説ニュース]

地積規模の大きな宅地の適用要件の留意点

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(小関 祐子/税理士)

 

 

[関連解説]

■相続税の家屋評価をめぐる最近の裁判例から

■底地の相続税法上の評価 VS 不動産鑑定士による評価

 

 

1. 地積規模の大きな宅地の評価方法


平成29年9月の財産評価基本通達(以下「評価通達」という)の一部改正により平成30年1月1日以後の土地の評価において、評価通達24-4「広大地の評価」が廃止され、評価通達20-2として「地積規模の大きな宅地の評価」が創設されました。

 

下記2の適用要件に当てはまる評価対象地を下記の算式に基づいて評価することにより、廃止された広大地の評価方法と比較して評価が簡便的になり、かつ、適用地の判断が評価者ごとに異なってしまうケースを減らすことが可能となったのではないかと思われます。

 

 

<評価算式>

評価額=路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率などの各種画地補正率×規模格差補正率×地積(㎡)

 

2. 地積規模の大きな宅地の適用要件


(1)三大都市圏においては500㎡以上、三大都市圏以外の地域においては1000㎡以上の地積の宅地であること

 

三大都市圏とは、次の地域をいいます。
①首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
②近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
③中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

 

 

(2)下記のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。

 

①市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除く)に所在する宅地
②都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
③指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
④評価通達22-2に定める大規模工業用地

 

 

(3)路線価地域に所在するものについては、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものであること、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

 

※規模画地補正率の算出方法や倍率地域に所在する宅地の評価算式等については国税庁HPタックスアンサー№4609をご参照ください。

 

 

3. 地積規模の大きな宅地の適用要件の留意点


(1)非線引き区域の適用の有無

市街化区域でも市街化調整区域でもない場所に所在する宅地で地積や容積率等、地積規模の大きな宅地としての要件をすべて満たしている宅地は地積規模の大きな宅地の評価対象となります。都市計画区域に所在しないから適用なしと判断するのではなく、市街化調整区域ではないから適用ありの可能性について検討が必要です。

 

(2)三大都市圏に該当するか否かの判定

三大都市圏の範囲については2(1)の通り、首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法の規定を用いています。また「地積規模の大きな宅地の評価」の適用チェックシートの(2面)に該当する市町村名が列挙されていますので照らし合わせれば容易に判定ができそうに思えます。しかし、首都圏で10市、近畿圏で58市町村、中部圏で3市について三大都市圏の該当範囲が「全域」ではなく「一部」となっており、欄外注釈には「評価対象となる宅地等が指定された区域に所在するか否かは、当該宅地等の所在する市町村又は府県にご確認ください」と記載されています。

 

例えば、神奈川県相模原市は政令指定都市でありながら「一部」に区分されています。理由は首都圏整備法に規定される既成市街地及び近郊整備地帯は昭和47年9月1日における行政区画その他の区域に基づいて作られており、平成18年から19年にかけて既成市街地又は近郊整備地帯として指定済の市町村と指定外の市町村が合併し新相模原市が誕生した結果、一部のみが三大都市圏の対象となる市に区分されることとなりました。このように一部となっている市町村については合併の有無などを確認することにより判定の手掛かりを得ることができるようです。

 

(3)その他

京都市が提供している都市計画情報では既成都市区域から外れているが、近畿圏整備法では既成都市区域に指定されている区域があります。この区域にある宅地は整備法において規制都市区域に規定されているわけですから、500㎡以上で地積規模が大きな宅地の評価対象地となります。京都市の都市計画情報のみを確認して1000㎡に満たないからと地積規模の大きな宅地の対象から除外したりしないように十分な調査が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/06/15)より転載

[M&Aニュース](2020年6月1日〜6月12日)

◇三井E&Sホールディングス<7003>、艦艇事業を三菱重工業<7011>に譲渡へ、◇富士山マガジンサービス<3138>、CS放送番組制作・サイト運営受託子会社の103Rを田島直樹社長に譲渡、◇GA technologies<3491>、中国NeoX Chinaグループから中華圏向け不動産サイト「神居秒算」事業を取得、◇アルプス技研<4641>、ソフト開発と技術者派遣のデジタル・スパイスを子会社化、◇ライク<2462>、子会社のライクキッズ<6065>をTOBで完全子会社化ダスキン<4665>、いちごHDグループから宅配ピザ事業を取得 ほか

 

 

三井E&Sホールディングス<7003>、艦艇事業を三菱重工業<7011>に譲渡へ

三井E&Sホールディングスは12日、傘下の三井E&S造船(東京都中央区)が手がける艦艇事業の譲渡に関し、三菱重工業と協議を始めることで基本合意したと発表した。経営再建に向けた事業構造改革の一環。12月末をめどに最終契約書を締結し、2021年10月の譲渡完了を目指す。

三井E&Sホールディングスは三井E&S造船を通じて展開する造船事業について、千葉工場(千葉県市原市)で商船建造からの撤退をすでに決定。今回、譲渡対象となる艦艇事業は玉野艦船工場(岡山県玉野市)が手がけている。三菱重工への事業譲渡後も防衛省を中心とする船舶の建造・修繕は玉野艦船工場で継続する予定としている。

三菱重工は防衛産業の国内トップで、戦車や艦艇、戦闘機など陸海空をフルにカバーしている。三井E&Sは防衛省向け護衛艦、海上保安庁向け巡視船などで実績を持つ。

富士山マガジンサービス<3138>、CS放送番組制作・サイト運営受託子会社の103Rを田島直樹社長に譲渡

富士山マガジンサービスは、CS放送の番組制作などを手がける子会社の103R (東京都港区。売上高8530万円、営業利益△1180万円、純資産310万円)の株式72.1%を同社社長の田島直樹氏に譲渡することを決めた。富士山マガジンは2018年11月に103Rを子会社化したが、103Rの業績が低迷するなど、グループ内で事業を存続することは難しいと判断した。譲渡価額は629円。譲渡予定日は2020年6月26日。

103RはCS放送の番組制作や広告関連サービスを目的に2016年に設立。富士山マガジンの傘下に入ったのに伴い、新事業として同社から雑誌記事紹介サイト「マガジンサミット」、PRマッチングサイト「メディキュレ」の運営業務を受託した。

今回、103R社長の田島氏から祖業であるCS放送の番組制作と広告関連サービスに専念して事業を継続したいとの要望があったという。「マガジンサミット」と「メディキュレ」の運営については富士山マガジンが直接行うこととし、103Rの一部従業員を採用する。また、富士山マガジンは103Rの株式10.1%を引き続き保有する。

GA technologies<3491>、中国NeoX Chinaグループから中華圏向け不動産サイト「神居秒算」事業を取得

GA technologiesは、中国の淼瀛(上海)信息技術有限公司(NeoX China、上海)グループが日本と中国で運営する不動産サイト「神居秒算」事業を取得することを決めた。海外向け不動産サービスの開始が狙い。「神居秒算」は中華圏の投資家向けに日本の不動産情報を提供し、掲載物件数は約1万2000件。

「神居秒算」は現在、NeoX Chinaが中国で、同社の何書勉社長が個人で設立したNeoX Japan(東京都渋谷区)が日本で共同運営しているが、NeoX China、NeoX Japanの両社は今後、AI(人口知能)事業に専念する。これに伴い、GA が両社の「神居秒算」事業を取得することにした。

NeoX ChinaとNeoX Japanは「神居秒算」事業をそれぞれ新会社に移管し、GAが新会社の株式を取得する形となる。取得価額は日中合計で約12億2500万円。取得予定日は2020年7月末。

アルプス技研<4641>、ソフト開発と技術者派遣のデジタル・スパイスを子会社化

アルプス技研は、ソフト受託開発と技術者派遣のデジタル・スパイス(長野県諏訪市。売上高11億7000万円、営業利益2580万円、純資産1億1700万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。デジタル・スパイスは2001年に設立。宇宙小型探査機の開発に協力した実績を持つ。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ダスキン<4665>、いちごHDグループから宅配ピザ事業を取得

ダスキンは、いちごホールディングス(HD、仙台市)と同社子会社のストロベリーコーンズ(同)が展開する宅配ピザ事業を取得することを決めた。「ミスタードーナツ」に次ぐフード事業の育成に向けた取り組みの一環。ダスキンは7月に受け皿となる新会社を設立する。対象事業(ピザ生地の製造販売、直営店運営、FC店管理など)の直近売上高は34億5200万円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年11月1日。

ダスキンは2016年にいちごHD傘下のストロベリーコーンズと業務提携し、ストロベリーコーンズの「ナポリの窯」(ピザ商品)をミスタードーナツ店舗で販売してきた。同商品の販売を加速するため、事業取得に動くことにした。

ライク<2462>、子会社のライクキッズ<6065>をTOBで完全子会社化

ライクは、連結子会社のライクキッズに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。現在50.1%の株式を所有しているが、全株を取得して完全子会社化を目指す。ライクキッズはTOBに賛同を表明している。TOBに上限を設定しておらず、TOB成立後ライクキッズは上場廃止となる見通し。

ライクは保育事業を手掛けるライクキッズを完全子会社化し、保育士の確保や保育施設の新規開設、サービス品質の向上など経営課題の克服を目指す。また、グループからの財務支援や信用力の補完、株式の非公開化によるコスト削減も見込んでいる。

買付価格は1株1005円。TOB公表前営業日の対象株式の終値768円に対して30.86%のプレミアムを加えた。買付予定数は523万136株で、下限は124万205株(所有割合11.83%)。応募が下限に満たない場合は買い付けを実施しない。買付予定額は最大52億5628万6680円。

買付期間は2020年6月10日から7月21日まで。決済の開始日は7月29日。公開買付代理人はSMBC日興証券。

アークランドサカモト<9842>、ホームセンター中堅のLIXILビバを約1085億円で買収へ

アークランドサカモトは9日、同業でホームセンター中堅のLIXILビバ(東証1部)を買収すると発表した。TOB(株式公開買い付け)などを通じて全株式を約1085億円で取得し、完全子会社化する。TOBで46%近い株式を買い付け、そのうえで親会社のLIXILグループが所有する残りの全株式についてLIXILビバが自己株取得する。アークランドはLIXILビバに自己株取得のための資金を提供する。

アークランドは新潟県を中心にホームセンターを展開しているが、LIXILビバを傘下に取り込み、首都圏での事業を一気に拡大する。一方、LIXILグループは主力の建材・住宅設備機器事業に経営資源を集中するため、非中核事業を切り離す。

LIXILビバ株式についてはLIXILグループが53.22%、アークランドが1.33%を所有しており、残る45.45%を買付予定数(1995万5693株)とする。買付価格は1株あたり2600円で、TOB公表前日の終値2506円に3.75%のプレミアムを加えた。買付代金は518億8500万円。買付予定数の下限は所有割合12.12%に設定(LIXILグループとアークランドの所有する株式を合わせると、所有割合は3分の2に相当)。

LIXILビバはTOBに賛同を表明している。買付期間は6月10日~7月21日、決済の開始日は7月30日。公開買付代理人は野村証券。

LIXILグループが所有するビバ株式についてはTOB成立後、ビバが1株2423円で自己株式取得を実施する。実施時期は11月頃を予定。所要金額は約566億円で、アークランドが資金提供する。一連の買収資金としてアークランドは三井住友銀行から1096億円(上限)の融資を受ける。

直近売上高はアークランドサカモトが1126億円(2020年2月期)、LIXILビバが1885億円(20年3月期)。アークランドは、とんかつ専門店「かつや」で知られるアークランドサービスホールディングスを上場子会社に持つ。

西華産業<8061>、三菱重工エンジン&ターボチャージャから国内船舶用エンジン販売・サービス事業を取得

西華産業は、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(神奈川県相模原市)とその子会社の三菱重工エンジンシステム(東京都品川区)が手がける国内船舶用エンジン販売・サービス事業を取得することを決めた。対象事業は売上高82億円、従業員数170人、国内拠点数20。西華産業は子会社の敷島機器(札幌市)が北海道地区で展開している船舶用エンジン販売・サービス事業の拡大策をかねて模索していた。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年10月1日。

西華産業は三菱系機械商社で、現在、三菱日立パワーシステムズが筆頭株主。

アイスタイル<3660>、美容・化粧品Eコマースのマレーシア子会社Hermoを譲渡へ

アイスタイルは、美容・化粧品のEコマース(電子商取引)サイトを運営するマレーシア子会社のHermo Creative (M) Sdn. Bhd.(売上高8億5300万円、営業利益△7200万円、純資産4600万円)の全保有株式(所有割合83.1%)を譲渡することを決めた。経営資源の選択と集中の一環。ただ、譲渡先、譲渡日程などは現時点で未定。

ぱど<4833>、地域情報誌のマーケティング子会社のリビングプロシードを譲渡へ

ぱどは、地域情報誌のマーケティング業務を手がける全額出資子会社のリビングプロシード(東京都千代田区。売上高68億2000万円、営業利益△200万円、純資産7億4800万円)の全株式を譲渡することを決めた。株式譲渡に関する基本合意書を締結したが、譲渡先は非公表。譲渡価額は7億5000万円。譲渡予定日は2020年8月10日。手元資金を確保し、構造改革を早期かつ確実に進めるとしている。

リビングプロシードは2018年に、RIZAPグループ傘下のサンケイリビング新聞社から地域情報誌の配布・流通などの事業を引き継いだ。RIZAPグループにおける機能集約を狙いとしたが、ぱどが昨年末、RIZAPグループから離れたことなどから、他社媒体の配布機能を担うリビングプロシードの切り離しによる財務状況の改善を検討していた。

ぱど、希望退職者の追加募集に73人応募

ぱどは4日、希望退職者の追加募集(70人程度)に73人の応募があったと発表した。同社は主力のフリーペーパー事業の業績不振に伴う構造改革の一環として、5月中旬に100人程度の希望退職者の募集を実施(応募105人)した。しかし、足元の業績が当初想定を大きく下回る状況となっていることから、一層のコスト削減を推し進めるため、5月28日~6月3日を期間として希望退職者の追加募集に踏み切った。

クスリのアオキホールディングス<3549>、金沢市内で食品スーパー5店舗運営のナルックスを子会社化

クスリのアオキホールディングス(HD)は、食品スーパーを金沢市内で5店舗運営するナルックス(金沢市。売上高48億7000万円)の株式89.84%を取得し、子会社化することを決めた。クスリのアオキHDは北陸最大手のドラッグストア。ドラッグストアのヘルス&ビューティーや日用品と、食品スーパーならではの新鮮な食材の品ぞろえを組み合わせ、顧客利便の高い店舗づくりにつなげる。

取得価額は非公表。取得予定日2020年6月30日。

ナルックスは1964年設立で、60年近い業歴を持つ。クスリのアオキHDは両社の強みが生かせるようナルックスの店舗の改装を進めるほか、福井県内の「クスリのアオキ」大型店では鮮魚テナントとしてナルックスの出店を予定している。

クスリのアオキHDは主力地盤の北陸をはじめ、信越、関東、東海、近畿、東北の20府県にドラッグストア626店舗(うち調剤薬局併設294店舗)、専門調剤薬局6店舗の合計632店舗を展開している。近年、食品販売に力を入れており、大型店では生鮮3品(魚、肉、野菜)も取り扱っている。

ケーヒン<7251>、自動車用空調製品製造の中国子会社「京濱大洋冷暖工業」を現地社に譲渡

ケーヒンは、自動車用空調製品を製造・販売する中国子会社の京濱大洋冷暖工業(大連)有限公司(大連市。売上高127億円、営業利益4億6000万円、純資産51億円)の全持ち分(所有割合約55%)を、現地同業のSONGZ AUTOMOBILE AIR CONDITIONING(上海市)に譲渡することを決めた。譲渡価額は約11億円。

譲渡は2段階で行い、第1回分が2020年8月31日、第2回分が9月初旬となる見通し。

京濱大洋冷暖工業は1993年に設立した合弁企業で、現在、ケーヒン子会社のケーヒン・サーマル・テクノロジー(栃木県小山市)が持ち分の過半以上を持つ。

日本電波工業<6779>、SAWフィルター事業子会社のNDKを中国投資会社に譲渡

日本電波工業は弾性表面波(SAW)フィルター事業の全額出資子会社NDK SAW devices(北海道函館市)の株式51%を、中国の投資会社Jiaxing Jiawang Investment Partnership(浙江省)に譲渡することを決めた。SAWフィルターは携帯電話など情報通信機器に搭載される重要部品で、中国市場での需要拡大に対応するため、新たなパートナーを通じた事業展開を検討していた。譲渡価額は約35億円。譲渡予定日は2020年8月31日。

SAWフィルターは多様な電波の中から必要な信号だけを取り出す。日本電波は1979年にニオブ酸リチウムを用いた製品の事業化に成功した。

NDK SAW devices は中国企業との合弁運営を前提として今年5月に、子会社の函館エヌ・デー・ケー(北海道函館市)で手がけてきたSAWフィルター事業を分社して設立した。12月31日にNDK SAW devices株式の24%を追加でJiaxing Jiawangに譲渡し、日本電波の持ち株比率は最終的に25%となる予定。

RVH<6786>、レディースウエア卸販売のラブリークィーンをJroutに譲渡

RVHは、レディースウエア卸販売のラブリークィーン(岐阜市)の全株式を、衣料品販売のJrout(大阪市)に譲渡することを決めた。2018年2月に、旧ラブリークィーンの服飾事業を継承した新設子会社(現・ラブリークィーン)を傘下に収めたが、業績改善が進んでいないうえ、足元の業績も新型コロナウイルスの感染拡大の影響で急速に悪化していた。譲渡価額は1000万円。譲渡日は2020年6月3日。

RVHはラブリークィーン株式譲渡にかかる売却損失4億6000万円と債権放棄損7億4200万円を特別損失として2021年3月期第1四半期に計上する予定。

バルクホールディングス<2467>、サイバーセキュリティートレーニングの米国事業をライセンス元のイスラエル企業に譲渡

バルクホールディングス(HD)は、米国子会社を通じて展開している米でのサイバーセキュリティートレーニング事業に関するライセンス・設備などを、イスラエルのサイバージムに譲渡する。バルクHDはサイバージムとの独占的ライセンス契約に基づき、2019年夏に米ニューヨーク州と東京都内にトレーニング施設を開設し、事業に乗り出したが、固定費負担が大きい米では収益化の見通しが立たない状況にあった。

バルクHDの米子会社であるStrategic Cyber Holdins LLC(SCH、デラウェア州)がこれまで日本と米でサーバーセキュリティートレーニング事業を手がけてきたが、今回の事業譲渡に伴い、米での展開は今後、サイバージムが引き継ぎ、バルクHDは日本と近隣アジアでの事業を担当する。これを受け、バルクHDが70%、サイバージムが30%出資する合弁会社を設立する。

対象事業の譲渡価額は330万ドル(約3億5600万円)。譲渡契約は遅くとも2020年12月までに締結される予定。

今回の取引で見込まれる譲渡損失7900万円は2020年3月期に減損損失として計上した。

新生銀行<8303>、ニュージーランド最大手のノンバンクUDC Financeを子会社化

新生銀行は2日、ニュージーランド最大手のノンバンク、UDC Finance(オークランド)を買収することで合意したと発表した。現地大手銀行ANZ Bank New Zealand(同)が保有する全株式(所有割合100%)を8月末に取得する。小口ファイナンス分野の事業強化が狙いで、経済成長が続くニュージーランドを有望市場とみている。取得価額は8月末のUDCの純資産額に1億2500万ニュージーランドドルを加算した額とする。3月末時点の純資産額(6億3700万ニュージーランドドル)に基づくと、取得価額は約515億円。

UDCは1938年に設立。1980年以降はANZ傘下で、個人向け自動車ローン、法人向け(運輸、林業、建設業など)資産担保ファイナンス、オートディーラーに対する在庫ファイナンスに強みを持つという。従業員は225人(2019年9月末)。ニュージーランド全土に営業拠点を展開し、個人約5万8000人、法人約2万4000社の顧客基盤を持つ。

新生銀行は小口ファイナンスを重点分野の一つに位置づける。傘下の昭和リースやアプラスを通じて、UDCと同様な事業を日本国内で行っている。

芝浦機械、希望退職者の募集期間を6月末まで延期

芝浦機械(東芝機械)は1日、希望退職者の募集期間を6月末まで延長すると発表した。当初予定の募集期間は3月中旬~4月上旬。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務や交代勤務などの実施で、従業員との希望退職に関する意思疎通が十分に行えない可能性が出ているのに呼応した措置。200~300人程度とする募集人員に変更はない。

UTグループ<2146>、日立グループ傘下でエレベーター設計・製造請負などの水戸エンジニアリングを子会社化

UTグループは、日立グループ傘下でエレベーター・エスカレーターの設計・製造請負やエンジニア派遣などを手がける水戸エンジニアリング(茨城県ひたちなか市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。UTグループは製造業派遣・請負の大手。日立グループとの関係強化を通じて技術者派遣領域の事業拡大につなげる。

水戸エンジは2001年設立で、日立ビルシステム(東京都千代田区)の100%出資子会社。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ココカラファイン<3098>、千葉県でユーエス・ケミカルの調剤薬局1店舗を取得

ココカラファインは、ユーエス・ケミカル(千葉県松戸市)が千葉県内で営む調剤薬局1店舗を1日付で取得した。取得価額は非公表。地域に集中出店するドミナント戦略の一環。

クロスプラス<3320>、「授乳ブラジャー」のローズマダムからマタニティーウエア事業を取得

クロスプラスは、ローズマダム(東京都墨田区)が展開するマタニティーウエアの企画・販売事業の一部を1日付で取得した。ローズマダムは業界で初めて商品化した「授乳ブラジャー」で知られる。クロスプラスはレディースアパレルを中心にメンズアパレル、キッズアパレル、服飾雑貨などの卸売りを主力とする。マタニティージャンルを取り込むことで、既存事業との補完関係が期待できると判断した。

取得価額は非公表。

穴吹興産<8928>、「和の宿 ホテル祖谷温泉」を運営する祖谷渓温泉観光など2社を子会社化

穴吹興産は、「和の宿 ホテル祖谷温泉」(全20室)を運営する祖谷渓温泉観光(徳島県三好市。売上高3億6400万円、営業利益571万円、純資産2億700万円)の株式約98%を取得し子会社化することを決めた。観光関連事業の拡大戦略の一環。穴吹興産は子会社を通じて香川県と岡山県でホテル5・旅館1施設を展開するほか、四国八十八カ所巡礼の旅をはじめトラベル事業に力を入れている。

祖谷温泉のエリアは「大歩危祖谷温泉郷」ブランドで知られる。穴吹興産は今回、祖谷渓温泉観光と合わせて、現地でケーブルカーを運営する祖谷温泉(高松市。売上高2930万円、営業利益252万円、純資産1億円)の全株式を取得する。祖谷渓温泉観光、祖谷温泉は兄弟会社の関係にあり、筆頭株主の植田佳宏氏が両社の社長を務める。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

東洋ドライルーブ<4976>、破産手続き中の萬松(東京都新宿区)から九州事業所を取得

東洋ドライルーブは、萬松(東京都新宿区)の九州事業所(大分県中津市)を取得することを決めた。九州事業所は1977年に開設し、自動車内外装部品の組み立て・塗装、塗料販売を手がける。販路の重複がなく、事業拡大に向けてシナジー(相乗効果)が見込めると判断した。萬松は今年4月末、東京地裁から破産手続きの開始決定を受け、スポンサー企業を募っていた。

取得予定日は2020年7月1日

エスプール<2471>、カーボンオフセット事業のブルードットグリーンを子会社化

エスプールは、エコノス傘下でカーボンオフセット事業を手がけるブルードットグリーン(東京都千代田区)の株式70%を取得し子会社化することを決めた。環境ビジネス領域での事業拡大が狙い。ブルードットグリーンは2011年設立で、温暖化対策の一環であるカーボンオフセット事業で大手企業を中心に約60社と取引関係にある。

エスプールは障がい者ら相対的に雇用機会が少ない人々の就労支援、地方創生など社会課題を解決するソーシャルビジネスに取り組んでいる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月5日。

東京一番フーズ<3067>、豊田から「寿し常」26店舗を取得

東京一番フーズは、豊田(東京都豊島区)が運営する寿司チェーン「寿し常」など首都圏26店舗の事業を1日付で取得した。豊田は1964年に設立。取得価額は非公表。東京一番フーズは「とらふぐ亭」「魚王KUNI」などの料理店を首都圏を中心に展開し、子会社を通じて平戸養殖場のブランド魚「平戸極海一番まぐろ」など水産品の販売を手がけている。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

土地区画整理事業の施行区域内にある宅地の相続税評価額

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(芦沢 亮介/公認会計士・税理士)

 

 

[関連解説]

■相続税の家屋評価をめぐる最近の裁判例から

■底地の相続税法上の評価 VS 不動産鑑定士による評価

 

 

1.土地区画整理事業とは


土地区画整理事業とは、都市計画区域内の土地について、公共施設(道路、公園等)を整備改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図るため、都道府県・市町村・土地区画整理組合などが、土地区画整理法に従って施行する事業をいいます。その事業では地権者からその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい、この土地を道路等の公共用地に充てる他、その一部を売却して事業資金の一部に充てることになります。地権者においては、その事業後の宅地地積は従前に比べて小さくなりますが、道路や公園等の公共施設が整備され、土地の区画が整うことにより、利用価値の高い宅地を得ることができます。そして、事業の施工期間は10数年~と長期間に渡ることが多く、進捗状況に応じて宅地の評価方法が異なります。

 

2.土地区画整理事業の大まかな流れ


 

3.土地区画整理事業の施行区域内にある宅地の評価


【2.①の段階の相続税評価の方法】

土地区画整理事業の計画を策定し、換地設計(当事業前の土地(従前の宅地)に対して、どのような換地を定めたらよいかの計算をして図面に割込み、換地の案(換地図)を作成すること)が行われる段階では、宅地は「従前の宅地」の価額により評価します。

 

【2.②の段階の相続税評価の方法】

施行区域内の地権者が新しく割り当てられる土地を「換地」と言います。工事完了後に地区内のすべての換地を、その位置形状に基づいて登記する行政処分を「換地処分」といいます(2.③④の段階)。しかし、施行区域の土地は広いため場所によって工事の完了時期は大きく異なります。よって、先に工事が終わった土地の使用を目的として、換地処分を行う前に「仮に」換地を指定することを「仮換地の指定」と言います。仮換地の指定により、換地設計に基づいて新しく使える仮換地の位置・形状・地積が指定されます。

 

仮換地の指定が行われた宅地は、状況によって相続税評価の方法が異なります。❶仮換地の使用収益が開始されている場合は、「仮換地」の価額で評価します。❷仮換地の造成工事が施行中であり使用収益が開始されていない場合は、課税時期から工事が完了するまでの期間が1年以内であれば上記の「仮換地」の価額で評価しますが、その期間が1年を超えると見込まれる場合には、仮換地の評価額の100分の95相当額により評価します。❸造成工事が未着手であり、かつ、土地区画整理法第99条第2項の規定により仮換地について使用又は収益を開始する日を別に定めるとされているため、その仮換地について使用又は収益を開始することができない場合には、「従前の宅地」の価額で評価することになります(財基通24-2)。

 

【2.③の段階の相続税評価の方法】

全体の工事が終わったら確定測量を行い、換地計画(事業の施行者が換地処分を行う場合に、従前の宅地が整理後どのような換地になるのかを定める計画をいう。)を定めて換地の権利関係を確定し、従前の宅地と換地の価格差を調整するための清算金の額を定めます。換地処分により徴収又は交付されることとなる清算金のうち、課税時期において確実と見込まれるものがあるときには、その金額を評価上考慮して、徴収されるものは「仮換地の価額」から減算し、交付されるものは加算して評価します(国税庁質疑応答事例「土地区画整理事業施行中の宅地の評価」)。

 

【2.④の段階の相続税評価の方法】

知事が換地処分の公告を行うことで土地区画整理事業に係る債権債務関係が確定し、仮換地に対する権利関係は換地へ移ります。この段階では宅地は「換地」の価額で評価することになります。

 

【その他の評価方法】

上記の評価方法を一律に適用することが適当ではない状況がある場合には、税務署に対して個別評価申請を行って評価するものとされており、評価対象地の財産評価基準書(路線価図等)に、個別評価である旨が記載されています。但し、個別評価の申請先は個別評価を行う評定担当税務署であり、納税地を所轄する税務署ではない場合もあります。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/06/11)より転載

[解説ニュース]

住宅ローン特別控除適用者が居住用財産を譲渡し3,000万円控除の適用を受ける場合の取扱い

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

 

[関連解説]

■店舗兼住宅を譲渡した場合の居住用財産の3,000万円控除と事業用資産の買換え特例の併用

■居住用財産の譲渡に係る3,000万円控除から住宅ローン特別控除への特例選択の変更の可否適用を受けることの可否

 

 

 

 

【問】

甲さんは、2017年12月にそれまで居住していた東京都港区内の分譲マンションから杉並区内に新築した戸建て住宅に引越し、居住を開始しました。甲さんは自宅の建築資金を銀行ローンにより調達したため、2017年分の所得税の計算上、租税特別措置法(措法)41条の住宅ローン特別控除の適用を受け、以後2019年分の所得税まで連続して同控除の適用を受けています。港区のマンションは、引越し後は賃貸していましたが、借家人が2019年12月に退去し空室となったため、2020年5月に譲渡しています。

 

甲さんは、譲渡したマンションにつき多額の譲渡益が生じ、かつ適用要件を満たしていることから、2020年分の所得税の計算上、居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除(措法35条第1項。以下「3,000万円控除」)の適用を受けるつもりです。甲さんが3,000万円控除の適用を受けた場合、既に適用を受けている住宅ローン特別控除の取扱いはどのようになりますか。なお、甲さんは2017年から連続して確定申告書を提出しています。

 

【回答】

1.結論


甲さんが2020年分の所得税につき3,000万円控除の適用を受けた場合には、2017年以後の各年分の所得税につき住宅ローン特別控除の適用を受けることができません。この場合には2017年から2019年までの各年分の所得税の修正申告書を提出し、特別控除額に相当する税額を納付する必要があります。

 

2.解説


(1)3,000万円控除の概要

個人が自己の居住用財産を譲渡した場合には、一定の要件を満たすことにより譲渡所得の金額の計算上、最高3,000万円を控除できる特例が設けられています。これが「3,000万円控除」です。

 

3,000万円控除の対象となる居住用財産には、①居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡した家屋と、②①の家屋とともに譲渡したその敷地の用に供されている土地等が含まれています(措法35条第2項2号)。

 

(2)住宅ローン特別控除の概要

①概要

個人が2021年12月31日までに、国内で住宅の用に供する家屋で床面積が50㎡以上などの要件を満たすものの新築等をし、その家屋をその個人の居住の用に供した場合において、その個人がその家屋の新築等に係る借入金(住宅借入金)の額を有するときは、一定の要件を満たすことにより、その居住の用に供した日の属する年以後10年間(原則)の各年のその個人の所得税の額から、住宅借入金の年末残高に基づく一定の金額が控除されます(措法41条)。

 

②居住用財産譲渡に係る特例の適用を受けた場合の住宅ローン特別控除の不適用

個人が新築等をした家屋(以下「新規住宅」)を居住の用に供した場合において、その居住の用に供した日の属する年(居住年)の翌年以後3年以内の各年中(注)に、新規住宅以外の資産を譲渡(以下「従前住宅の譲渡」)し、その従前住宅の譲渡につき3,000万円控除等の居住用財産の譲渡に係る特例の適用を受けるときは、その居住年以後の各年分につき、住宅ローン特別控除の適用を受けることができません(措法41条第21項)。

 

(注)2020年度税制改正により、2020年4月1日以後の従前住宅の譲渡につき、その譲渡の時期が下線部の通りに改められました。

 

③3,000万円控除の適用を受ける場合の修正申告

②の場合に、既に居住年以後の各年分について住宅ローン特別控除の適用を受けたときは、従前住宅の譲渡をした日の属する年分の確定申告期限までに、各年分の所得税の修正申告書又は期限後申告書を提出し、特別控除額に相当する税額を納付する必要があります(措法41条の3第1項)。

 

(3)本問へのあてはめ

甲さんによる港区のマンションの譲渡は、2(1)の居住用財産の譲渡に該当し、他の要件を満たすときには3,000万円控除の適用を受けることができます。ただし、新規住宅(杉並の自宅)への居住年(2017年)の翌年以後3年以内の年(2020年)に従前住宅(港区のマンション)の譲渡をしたことになるので、2020年分の所得税につき3,000万円控除の適用を受けた場合は、(2)②より、2017年以後の各年分の所得税につき、住宅ローン特別控除の適用を受けることができません。

 

この場合には、(2)③より、2020年分の確定申告期限までに2017年から2019年までの各年分の所得税の修正申告書を提出し、特別控除額に相当する税額を納付する必要があります。

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/06/01)より転載

[M&Aニュース](2020年5月18日〜5月29日)

◇ジェイ・エス・ビー<3480>、学生向け人材コンサルティング事業のスタイルガーデンを子会社化、◇西本Wismettacホールディングス<9260>、マグロ・サーモン輸入加工のフランスC3Cを子会社化、◇ぱど、希望退職者を70人程度追加募集、◇レナウン、300人規模の希望退職者を募集、◇第一商品<8746>、商品先物事業の一部を日産証券に譲渡、◇テクノホライゾン・ホールディングス<6629>、光学機器設計・製造のブルービジョンを子会社化、◇みらいワークス<6563>、日本人材機構から「GLOCAL Mission Times」などのメディア事業を取得、◇テリロジー<3356>、インターネットメディア運営事業のIGLOOOを子会社化 ほか

 

 

 

ジェイ・エス・ビー<3480>、学生向け人材コンサルティング事業のスタイルガーデンを子会社化

ジェイ・エス・ビーは、学生向けに職業適性や能力開発のコンサルティング事業を行うスタイルガーデン(大阪市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。総合的な学生支援サービスの拡充の一環。

ジェイ・エス・ビーは主力の学生マンション事業のほか、子会社を通じて学生向け企業説明会や就職セミナーの運営、アルバイト情報の提供などを手がけている。スタイルガーデンを傘下に取り込むことで、学生マンション事業のブランド力向上や教育機関との関係構築などの相乗効果が見込めると判断した。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

西本Wismettacホールディングス<9260>、マグロ・サーモン輸入加工のフランスC3Cを子会社化

 

西本Wismettacホールディングスは、持ち分法適用関連会社でマグロ、サーモンの輸入や加工を手がけるフランスCOMPTOIRS DES 3 CAPS SAS(C3C。売上高148億円、営業利益7億4400万円、純資産20億1000万円)の株式70%を追加取得し、子会社化(所有割合90%)することを決めた。欧州市場で日本食を中心としたアジア食品・食材の販売拡大を目指す。取得価額は約42億6000万円。取得予定日は2020年7月1日。

西本Wismettacはオランダ子会社を通じて、持ち株会社であるC3Cとその3事業子会社の計4社を傘下に収める。これにより、英国、ドイツ、フランスの欧州主要3カ国に事業拠点を確保することになる。

 

 

 

ぱど、希望退職者を70人程度追加募集

 

ぱどは28日、70人程度で希望退職者の追加募集を行うと発表した。募集期間は5月28日~6月3日で、退職日は7月31日。これに先立ち、同社は5月12日~20日に100人程度の希望退職者を募集を発表し、105人が応募(退職日は6月30日)したばかり。

しかし、4月業績と5月の見込みが受注目標に対して大きく未達となるなど、当初想定を大幅に下回る状況となっており、主力のフリーペーパー事業の存続のためには追加のコスト削減策が避けられないと判断した。

レナウン、300人規模の希望退職者を募集

レナウンは28日、300人程度の希望退職者を募集すると発表した。レナウン本体と関係会社の従業員(店頭勤務者など除く)を対象とし、募集人員は連結従業員(905人、2019年12月末)の3分の1にあたる。募集期間は6月4日~11日。退職日は6月30日とする。同社は5月15日に東京地裁から民事再生手続きの開始決定を受け、事実上経営破綻し、管財人の下で、グループ事業の維持再生に取り組んでいる。

レナウンは経営破綻に伴い、6月16日に東証1部から上場廃止となる。今後8月半ばまでに再生計画を策定する予定で、新たなスポンサー企業探しとともに、悪化した財務状況や資金繰りの改善に向けて販売戦略の練り直し、不採算店舗閉鎖などの構造改革を進めており、希望退職者の募集はその一環。

昨年8月に、関係会社を含む40歳以上を対象に150人規模で希望退職者を募集する計画を発表した。ところが、その後、「事業環境が変化した」として募集を中止した経緯がある。今回は希望退職者募集の詳細について明らかにしていない。

レナウンは2010年に中国繊維大手、山東如意科技集団の傘下に入り、経営立て直しを進めてきた。長期の業績不振から抜け出せなかったうえ、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や主力販路である百貨店の臨時休業などで衣料品販売が激減し、資金繰りが行き詰まった。

第一商品<8746>、商品先物事業の一部を日産証券に譲渡

第一商品は、商品先物事業の一部を日産証券(東京都中央区)に譲渡することを決めた。具体的な譲渡対象は東京商品取引所エネルギー市場と大阪堂島商品取引所での取扱商品を除く事業。当該事業の直近業績は売上高35億3000万円、営業利益6600万円。譲渡価額は9億円。譲渡予定日は2020年7月20日。

今年7月に貴金属市場、ゴム市場、農産物市場が東京商品取引所から大阪取引所に移管される予定となっているが、第一商品は不適切会計問題などの影響で、現時点で第一種金融商品取引業としての登録、大阪取引所の取引参加者資格が得られず、関連する顧客取引が行えないおそれが出ていた。このため、対象事業を日産証券に引き継ぐことで既存顧客の取引を停止させることなく、取引継続が可能になるとしている。

テクノホライゾン・ホールディングス<6629>、光学機器設計・製造のブルービジョンを子会社化

テクノホライゾン・ホールディングスは、光学機器設計・製造のブルービジョン(横浜市)の株式81.11%を取得し子会社化することを決めた。ブルービジョンは2009年設立で、プリズムを用いた分光イメージカメラと専用レンズに強みを持つ。

取得価額、取得日は非公表。

みらいワークス<6563>、日本人材機構から「GLOCAL Mission Times」などのメディア事業を取得

みらいワークスは、地方企業への転職情報を発信する日本人材機構(東京都中央区)からメディア事業の一部を取得することを決めた。対象事業は「GLOCAL Mission Times」「GLOCAL Mission Jobs」で、いずれも地方での働き方や地方企業に関する情報を提供している。

取得価額は1000万円。取得予定日は2020年7月7日。

テリロジー<3356>、インターネットメディア運営事業のIGLOOOを子会社化

テリロジーは、海外向けインターネットメディア運営事業のIGLOOO(神奈川県鎌倉市。売上高1億2700万円、営業利益500万円)の株式51.6%を取得し子会社化することを決めた。インバウンド(訪日観光客)領域のサービス拡充の一環。

テリロジーは子会社のテリロジーサービスウェア(東京都千代田区)を通じて、IGLOOOを傘下に収める。テリロジーサービスウェアはインバウンドを対象に、多言語映像通訳サービス「みえる通訳」を提供している。IGLOOOをグループに迎え、高品質の多言語情報発信を行い、「旅マエ・旅アト」での来日・集客支援につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月5日。

リズム時計工業、希望退職者を8月に募集へ

リズム時計工業は27日、希望退職者を募集すると発表した。対象者は勤続3年以上で満40歳以上の正社員。募集規模は未定だが、8月に募集する。退職日は9月30日とする。主力の時計事業の市場縮小が続いているうえ、接続端子事業や車載部品事業も米中貿易摩擦に伴う設備投資の後退などで業績悪化に陥っており、事業規模に合った人員体制を構築し、競争力向上を目指す。

希望退職者には所定の額に特別退職金を加算して支給する。また、再就職支援サービスを提供する。

リズム時計の2020年3月期業績予想(2月発表時点)は売上高6.5%減の290億円、営業赤字1億円(前期は7億6100万円の黒字)、最終赤字4億円(同2億6400万円の赤字)。売上高は5年連続の減少、最終赤字は2年連続を見込む。

昨年11月に時計事業でベトナム工場の撤退と中国工場への集約を決めたのをはじめ、全社的な事業改革を打ち出し、経営立て直しを進めている。今回の希望退職者募集もこの一環。

AppBank<6177>、アプリツール「SWAMP」を運営する3bitterを子会社化

AppBankは、インターネット関連サービスの3bitter(東京都渋谷区。売上高1310万円、営業利益△2470万円、純資産△2140万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。3bitterはビーコン(無線標識)によるエリア測定を行い、リアルな場所とコンテンツを結び付けるアプリツール「SWAMP」の提供を主力とする。AppBankは同社を傘下に取り込み、メディア事業の集客と広告単価の向上につなげる。

「SWAMP」は様々なイベント・場所とゲーム・コンテンツの連動施策に導入されるなど、新しいマーケティング手法として注目されているという。

取得価額は1150万円。取得予定日は2020年5月29日。

靜甲<6286>、荷造機械装置メーカーの共和テックを子会社化

靜甲は、荷造機械装置メーカーの共和テック(静岡市。売上高3億6500万円、営業利益1560万円、純資産3830万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。電機機器事業の拡大につなげる狙い。共和テックは2001年設立。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月3日。

カネミツ<7208>、金属プレス製品メーカーの津村製作所を子会社化

カネミツは、紙管用口金や道路保安資材部品など金属プレス製品を製造する津村製作所(大阪市。売上高7億8200万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。塑性加工技術の深化を図るとともに、小ロット生産体制を整備し、今後成長が見込まれる自動車向け電動部品などの新製品開発や拡販につなげる。津村製作所は1948年設立。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月12日。

エムスリー<2413>、医療機関向け情報サービスのアイチケットを子会社化

エムスリーは、医療機関向け情報提供サービスのアイチケット(東京都港区。売上高5億9400万円、営業利益8800万円、純資産3億9400万円)を株式交換により完全子会社化することを決めた。エムスリーは子会社のエムスリーデジカル(東京都港区)が手がける電子カルテ事業などとの連携を進め、アイチケットの企業価値向上を目指す。

アイチケットは2002年設立で、診療の受付、順番待ち時間の確認ができる医療機関向け診療予約システム「iTicket SmartCloud」、患者向けポータルサイト「アイチケット広場」を運営する。

株式交換比率はエムスリー1:アイチケット0.7467。株式交換の実施予定日は2020年8月1日。

エムスリーは国内28万人以上の医師が登録する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に、製薬会社向けマーケティング支援サービス「MR君」、治験に参加する医療機関・被験者を募集する「治験君」などのサービスを提供している。

明光ネットワークジャパン<4668>、学習塾採択教材・模擬試験販売子会社のユーデックを教育LABOに譲渡

明光ネットワークジャパンは、学習塾採択教材や模擬試験の販売を手がける子会社のユーデック(大阪市。売上高9億3600万円、営業利益△9300万円、純資産1億1900万円)の全株式(所有割合88.38%)を、教育LABO(京都市)に譲渡することを決めた。経営資源再配分の一環。譲渡価額は1750円。譲渡予定日は2020年5月29日。

明光ネットワークは2010年にユーデックに出資し、2012年に子会社化。ユーデックは学習塾「明光義塾」チェーンに対して明光義塾統一テストの提出や公立高校入試過去問題の販売などを行う。

明光ネットワークは今回、ユーデック全額出資子会社で大学教科書を発行する晃洋書房(京都市)も教育LABOに譲渡する。

LINE<3938>、電子コミック子会社のLINE Digital Frontierを米Webtoon Entに譲渡

LINEは、電子コミックサービス「LINEマンガ」を展開する子会社のLINE Digital Frontier(LDF、東京都新宿区。売上高61億6000万円、経常利益22億6000万円、純資産105億円)の株式70%を、米Webtoon Entertainment Inc.(カリフォルニア州)に譲渡することを決めた。これに伴い、Webtoon EntがLDF株式を100%保有することになる。

Webtoon Entは韓国と米国で電子コミックサービス「WEBTOON」を展開している。LDFを傘下に取り込み、電子コミック事業をグローバル規模で拡大させる。LINEはLDF株式の譲渡対価をWebtoon Entの株式取得に充て、その所有割合は33.4%となる見込み。

譲渡価額は非公表。譲渡時期は2020年8月上旬を予定。

大王製紙<3880>、鬼怒川ゴム工業傘下のケイジー物流を子会社化

大王製紙は、鬼怒川ゴム工業傘下のケイジー物流(千葉市。売上高21億8000万円、営業利益8200万円、純資産7億1600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。大王グループの製品配送とケイジー物流の物流ネットワークを組み合わせることや、復荷を活用したグループ外への販売増などの相乗効果を見込む。

ケイジー物流は自動車用ゴム製品大手である鬼怒川ゴム工業の100%子会社で、1970年に設立。自動車部品輸送を中心に輸送と倉庫業務のノウハウを蓄積してきた。地盤の関東のほか、九州にも営業所があり、約70台のトラックを保有する。

大王製紙は子会社のダイオーロジスティクス(愛媛県四国中央市)を通じてケイジー物流を傘下に収める。大王製紙は衛生用紙トップメーカーとして、生産拠点と需要地を結ぶ幹線物流に加え、各需要地でのエリア内物流の構築による安定供給体制の強化を推し進めており、この一環となる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ディー・エル・イー<3686>、映像・音楽関連企画・製作のamidusを子会社化

ディー・エル・イーは、映像、音楽関連の企画・製作を手がけるamidus(東京都渋谷区。売上高1億5800万円、営業利益100万円、純資産3800万円)の株式80%を取得し子会社化することを決めた。ディー・エル・イーは「秘密結社鷹の爪」などのキャラクターを中心にIP(著作権や商標権などの知的財産権)事業を展開する。amidusを傘下に取り込むことで、一連のIP事業に様々なシナジー(相乗効果)が見込めると判断した。

取得価額は5000万円。取得予定日は2020年6月1日。

塩野義製薬<4507>、医薬品開発ベンチャーの米Tetra Therapeuticsを子会社化

塩野義製薬は、医薬品開発の米Tetra Therapeutics(ミシガン州)の全株式を取得し、26日付で完全子会社化した。Tetraは2011年設立で、脆弱X症候群(FXS)、アルツハイマー型認知症(AD)、外傷性脳損傷などの治療薬を開発するバイオテクノロジー関連の研究開発型企業。塩野義は 2018年12月に認知機能改善薬候補BPN14770のライセンス契約と出資契約をTetraと締結して以降、段階的に関係を強化してきた。取得価額は非公表。

デザインワン・ジャパン<6048>、ナイトワーク出身者のキャリアシフトを支援する昼jobを子会社化

デザインワン・ジャパンは、有料職業紹介事業の昼job(東京都新宿区。売上高3550万円、営業利益996万円、純資産1220万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。昼jobはキャバクラ、クラブ、パブ、ラウンジなどナイトワーク系出身の求職者に特化した人材サービスを展開する。具体的には社会人未経験のナイトワーク出身者に基礎的な社会人研修などを行い、求職者のキャリアシフトを支援している。

デザインワンは国内最大級の口コミ店舗検索サイト「エキテン」の運営を中心に、国内20万以上の中小事業者に対して集客支援サービスを展開している。昼jobを傘下に取り込み、「エキテン」のメーンジャンルであるリラクゼーション分野をはじめとする事業領域の拡大につなげる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年5月28日。

イード<6038>、メルカリ傘下で自動車コミュニティーサイト運営のマイケルを子会社化

イードは、メルカリ傘下で自動車関連コミュニティーサイト「CARTUNE」を運営するマイケル(東京都渋谷区。売上高8100万円、営業利益△2億4700万円、純資産2億500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。メルカリは2018年にマイケルを子会社化し、新たに自動車カテゴリーを加え、フリマアプリ事業の拡大を目指したが、当初の想定通りに事業が進捗していなかった。

取得価額は8800万円。取得予定日は2020年6月30日。

イードは自動車総合ニュースサイト「レスポンス」、燃費管理サービス「e燃費」など複数の自動車関連メディアを運営する。「CARTUNE」を取り込み、事業領域の拡大につなげる。

Orchestra Holdings<6533>、ソフト開発のベトナムMulodo Vietnamを子会社化

Orchestra Holdingsは、ソフト開発のベトナムMulodo Vietnam(ホーチミン)の全持ち分を取得し子会社化することを決めた。IT産業の振興に力を入れるベトナムの労働市場での優秀なエンジニア獲得などを通じて、業容拡大につなげる。Mulodo Vietnamは2012年にソフト開発のムロドー(東京都渋谷区)が全額出資して設立した。

取得価額は非公表。取得日は2020年5月26日。

No.1<3562>、エフティグループ傘下で情報機器開発のアレクソンを子会社化

No.1は、エフティグループ傘下で情報機器開発・製造のアレクソン(大阪市。売上高28億900万円、営業利益3億3200万円、純資産15億3000万円)の株式98.7%を取得し子会社化することを決めた。今後需要が見込めるネットワーク・セキュリティー商材を強化するのが狙い。取得価額は22億5800万円。取得予定日は2020年7月31日。

アレクソンは1971年設立で、OEM(相手先ブランドによる製造)・ODM(相手先ブランドによる設計・製造)開発、ネットワーク・セキュリティー機器、環境・医療機器の製造を手がけている。No.1は同社を取り込み、製造面にとどまらず、代理店の相互活用による販売網強化も期待している。

No.1はアレクソンを子会社化したうえで、9月1日付で株式交換を実施して完全子会社化する予定。

オークネット<3964>、鉢物を中心とする卸売りの東京砧花き園芸市場を子会社化

オークネットは、鉢物を中心に卸売を手がける東京砧花き園芸市場(東京都世田谷区。売上高4億700万円、営業利益1800万円、純資産4億1300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。子会社のオークネット・アグリビジネス(東京都港区)を通じて展開する花き流通事業の拡大につなげる。

東京砧花き園芸市場は1998年に設立。世田谷中央卸売市場内で洋ラン・観葉植物・ガーデニング素材などの鉢物を主に取り扱う。世田谷市場は他の現物市場と比べ立地に優位性があり、業界トップクラスの買参人と生産者、高級品が集まるとされている。

オークネット子会社のオークネット・アグリビジネスは切花を中心とした花きのWebオークション・流通に付随する情報提供サービスを展開している。東京砧花きを傘下に取り込み、切花・鉢物のバランスのとれた総合流通市場を運営し、事業拡大を目指す。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

SBSホールディングス<2384>、東芝傘下の東芝ロジスティクスを子会社化

SBSホールディングスは、東芝傘下の東芝ロジスティクス(川崎市。売上高893億円、営業利益17億3000万円、純資産51億2000万円)の株式66.6%を取得し子会社化することを決めた。東芝ロジスティクスは東芝グループ製品の物流業務を担っている。SBSは同社を傘下に取り込み、国内トップクラスの3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)企業の仲間入りを目指す。取得価額は199億8000万円。取得予定日は2020年10月1日。

東芝ロジスティクスは荷主企業から物流業務を包括的に受託する3PL事業に加え、荷主企業の物流戦略の企画・推進までも担う4PL事業を手がけ、東芝グループ向けにとどまらず、総合的な物流サービスを提供している。

SBSによる子会社化後も東芝ロジスティクスの全常勤役員は留任する予定。

日本ケミコン、早期退職者募集に想定の1.5倍の157人応募

日本ケミコンは25日、4月10日~30日に実施した早期退職者募集に157人の応募があったと発表した。同社と国内子会社に勤務する45歳以上60歳未満(3月10日時点)の正社員と有期契約社員を対象に100人程度を募集したが、応募者数は当初想定を5割強上回った。退職日は5月31日で、所定の退職金に特別加算金を上乗せして支給する。2020年3月期決算に今回の早期退職者募集に伴う特別加算金8億4500万円を特別損失として計上した。

同社はアルミ電解コンデンサーの国内トップメーカー。米中貿易摩擦の長期化やこれに伴う操業度の低下などから業績が悪化の一途をたどっていた。25日発表した2020年3月期決算は売上高18.7%減の1145億円、営業赤字28億9000万円(前期は51億3700万円の黒字)、最終赤字59億2600万円(前期は9億1700万円の黒字)だった。

第一商品<8746>、オウケイウェイヴ傘下のOKプレミア証券を子会社化

第一商品は、オウケイウェイヴ傘下のOKプレミア証券(東京都港区。売上高2億7200万円、経常利益△4470万円、純資産1億1000万円)の全株式を取得し、25日付で子会社化した。証券事業への進出が狙い。取得価額は3億7000万円。

第一商品は貴金属を中心とした商品先物取引を主力事業とする。今年7月には金をはじめとする貴金属市場、ゴム市場、農産物市場が東京商品取引所から大阪取引所に移管される予定となっているが、第一商品は不適切会計問題などの影響で、現時点で第一種金融商品取引業としての登録、大阪取引所の取引参加者資格が得られていない。このため、関連する顧客取引が行えないおそれも出ている。

今回子会社化するOKプレミア証券は金融商品取引業の第一種、第二種の登録と商品先物取引業の認可取得をしている。

オウケイウェイヴは2018年にプレミア証券(現OKプレミア証券)を子会社化。フィンテック事業の柱に位置づけてきたが、当初想定していた計画通りの進捗が見られず、足元の資金繰りなどに問題を抱えていた。

ハードオフコーポレーション<2674>、FC加盟で「ハードオフ」など60店舗展開のエコプラスを子会社化

ハードオフコーポレーションは、同社のフランチャイズ(FC)加盟法人としてリユースショップを60店舗展開するエコプラス(宮城県名取市。売上高32億8000万円、営業利益1500万円、純資産6億5100万円)を株式交換により完全子会社化することを決めた。エコプラスが地盤とする東北・北海道での営業基盤を強化し、リユース事業の拡大につなげる。ハードオフは2014年にエコプラスの株式30%を保有し、持ち分法適用関連会社としてきた。

エコプラスはFC加盟により、「ハードオフ」(AV機器、パソコン)24店舗、「オフハウス」(洋服、家具、インテリア)25店舗、「ガレージオフ」(自動車、カー用品)2店舗、「ホビーオフ」(フィギュア、ゲーム)9店舗を運営する。

株式交換比率は現在未定で、今後詰める。株式交換日は2020年10月1日を予定する。

ぱど、希望退職者募集に105人が応募

ぱどは22日、希望退職者募集に105人の応募があったと発表した。100人程度を募集人数とし、5月14日~20日に募集した。退職日は6月30日。ぱどはフリーペーパー事業の業績低迷に伴い、営業・制作拠点や本社機能の再編、発行エリアの見直し、子会社再編など構造改革に取り組んでおり、希望退職者募集もその一環。昨年12月にはRIZAPグループから離脱した。

2020年3月期業績予想は売上高110億円、営業赤字2億9000万円、最終赤字2億9600万円。今回の希望者退職者募集により、2020年3月期に約2億7900万円の人件費減少を見込む。

米投資ファンドEVO FUND、ティアック<6803>をTOBで子会社化

米金融会社のエボリューション・フィナンシャル・グループは22日、音響機器メーカー、ティアックにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。米楽器大手、ギブソンブランズが持つティアックの全株式(所有割合54.65%)の取得を目的とする。ティアックは同日、TOBに賛同を表明した。2018年に経営破綻したギブソンは音響機器などの不採算事業から撤退し、ギターを中核とする楽器事業に専念する方針を打ち出しており、ティアック株の売却は経営再建策の一環。ティアックの上場(東証1部)は維持される予定。

TOBの実施主体はエボリューション・フィナンシャル・グループ傘下の投資ファンドEVO FUND。買付価格は1株60円で、TOB公表前日の終値147円に対して59.18%のディスカウント。買付予定数は1574万4700株で、これはギブソンのティアック株式の全保有数と同数。買付代金は9億4468万円。買付期間は5月25日~6月23日。決済の開始日は6月25日。公開買付代理人はフィリップ証券。

ティアックは2013年 、国内投資ファンドの傘下から米ギブソンの子会社となった。ギブソンはギターの世界的メーカーとして知られるが、2018年に米連邦法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請を経て、米投資ファンド大手のKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)傘下に入り、経営再建を進めている。

エボリューション・フィナンシャル・グループは日本国内に証券業務のEVOLUTION JAPAN証券(東京都千代田区)、資産運用業務のEVOLUTION JAPANアセットマネジメント(同)を設置している。

日本通運<9062>、医薬品物流の米MD Logisticsなど2社を子会社化

日本通運は、米物流会社のMD Logistics(インディアナ州)、MD Express(同)の全持ち分を取得し子会社化することを決めた。両社はインディアナ州を本拠地に医薬品産業向け物流事業を展開し、売上高は合計約55億円。取得価額は非公表。取得予定日は2020年9月。

ミライト・ホールディングス<1417>、通信タワー建設とシェアリングサービスの中国Shanghai Changlingを子会社化

ミライト・ホールディングスは、通信タワー建設とシェアリングサービスを手がける中国Shanghai Changling Communication Equipment(上海。売上高―、営業利益△4000万円、純資産△3700万円)の株式50.1%を取得し、子会社化することを決めた。5G(次世代通信規格)関連の需要を取り込むのが狙い。

中国では政府主導で5G整備が進められる中、設備投資の効率化などを促すため、支出の多くを占める通信タワーのシェアリングが推奨されているが、こうした分野でShanghai Changlingは実績を積んでいる。

ミライトは海外事業の中核子会社Lantrovision(シンガポール)を通じて、Shanghai Changlingを傘下に収める。データセンターなどの通信ケーブリングに加え、通信業者向けインフラ整備サービスを提供できる体制づくりを目指す。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ソースネクスト<4344>、東京SIM外語研究所から英語学習教材6製品の著作権を取得

ソースネクストは、東京SIM外語研究所(東京都多摩市)から英語学習教材6製品の著作権を取得することを決めた。ソースネクストは「POCKETALK」など英会話学習や翻訳に関するパソコンソフト・スマートフォンアプリを提供しており、こうした既存事業と相性が良く、中長期的な収益拡大に寄与すると判断した。

今回取得するのは、米国国営の国際放送機関(VOA)の放送内容を素材にした「スーパーエルマー」などの英語学習教材6製品。ユーザー数は74770人という。

取得価額は2700万円。取得予定日は2020年5月28日。

東京SIM外語研究所は1966年の設立以来、SIM(同時通訳方式)による英語学習法を提唱し、様々な教材・通信講座を開発してきた。

日本リビング保証<7320>、住宅建設・リフォーム工事の横浜ハウスを子会社化

日本リビング保証は、住宅建設やリフォーム工事を手がける横浜ハウス(横浜市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。日本リビング保証は個人向け住宅設備機器などの保証・アフタサービス業務を主力とする。横浜市内で工事実績を積んできた地場業者を傘下に迎え、住宅関連のリアルサービス体制強化につなげるという。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

大日光・エンジニアリング<6635>、部品加工受託のNCネットワークファクトリーを子会社化

大日光・エンジニアリングは、自動車や電機メーカー向けに部品加工受託を手がけるNCネットワークファクトリー(東京台東区)の株式60%を第三者割当増資の引き受けなどにより取得し、子会社化することを決めた。NCネットワークファクトリーは製造業向け情報サイトを運営するNCネットワーク(東京都台東区)が加工事業部門を分社したファブレス型企業。

大日光は「CASE」と呼ばれる自動車業界での技術革新に対応した車載関連電子機器や、新型コロナウイルス問題などで社会的ニーズが一層高まる医療機器の開発・受託を重点分野と位置づける。NCネットワークファクトリーを傘下に取り込み、事業基盤を拡充する。

大日光は第三者割当増資の引き受けと合わせ、NCネットワークと同社社長の角田洋晴氏が保有する一部株式を取得し、持ち株比率を60%とする。NCネットワークは角田氏の個人保有を含めて株式40%を継続保有する。

取得価額は1億8000万円(第三者割当増資分が1億4000万円)。取得予定日は2020年5月22日と29日。

ITbookホールディングス<1447>、労働者派遣子会社のi-NEXTをワタミに譲渡

ITbookホールディングスは、労働者派遣事業を手がける子会社のi-NEXT(大阪市)の全株式を、ワタミに20日付で譲渡した。譲渡価額は非公表。i-NEXT は2019年4月設立で、ITbookは子会社を通じて株式100%を間接保有する。

エフティグループ<2763>、太陽光発電や蓄電池の販売・施工子会社アローズコーポレーションを弓立昌輝社長に譲渡

エフティグループは、太陽光発電設備や蓄電池、オール電化などの販売・施工を手がける子会社のアローズコーポレーション(大阪府吹田市。売上高49億2000万円、営業利益6300万円、純資産9000万円)の株式20.07%を、アローズ社長の弓立昌輝氏に譲渡することを決めた。弓立氏の持ち株比率は現在の49.5%から69.57%に高まり、同氏が経営権を握る。

エフティは2015年、環境関連事業の拡大を目的にアローズと資本業務提携し、翌16年に連結子会社化した。しかし、事業戦略の修正などによりシナジー(相乗効果)が見込めない状況にあったという。エフティはアローズ株式の約30%を継続保有し、蓄電池の卸販売など取引関係を維持する。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年5月中。

藍沢証券<8708>、独立系投資顧問会社のあすかアセットマネジメントを子会社化

藍沢証券は、独立系投資顧問会社のあすかアセットマネジメント(東京都千代田区。売上高3億2300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。資産形成ビジネスと金融機関向けサービスを加速する狙い。あすかアセットはオルタナティブ(代替)投資に特化し、日本のヘッジファンド運用の草分け的な存在とされる。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月2日。

あすかアセットの前身は米大手投資顧問会社チューダー・インベストメント・コーポレーションが1999年に設立した日本拠点。この日本拠点の創設メンバーだった現会長の谷家衛、現社長の平尾俊裕の両氏が2002年にMBO(経営陣よる買収)を実施して独立し、あすかアセットマネジメントを発足させた。

アサンテ<6073>、外壁リフォーム工事のハートフルホームを子会社化

アサンテは、外壁リフォーム工事のハートフルホーム(札幌市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アサンテは木造家屋のシロアリ駆除を主力にハウスメンテナンスサービスを手がける。北海道に新拠点を確保するとともに、外壁リフォーム工事を取り込むことで、ハウスメンテナンスサービスとの相乗効果による事業拡大を目指す。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

ジェイホールディングス<2721>、投資用不動産の販売・仲介事業子会社のシナジー・コンサルティングを上野真司取締役に譲渡

ジェイホールディングスは、投資用不動産の販売・仲介事業を手がける全額出資子会社のシナジー・コンサルティング(東京都新宿区。売上高13億8000万円、営業利益2740万円、純資産7980万円)の全株式を、シナジー・コンサルティング取締役の上野真司氏に19日付で譲渡した。譲渡価額は1円。シナジーは2017年12月期と2018年12月期の決算で不動産取引を巡る不適切会計問題を引き起こした。ジェイ・ホールディングスは当該子会社の譲渡に伴い、投資用不動産の販売・仲介事業から撤退し、経営資源を金融関連事業に集中させる。

ソニー<6758>、ソニーフィナンシャルホールディングス<8729>をTOBで完全子会社化

ソニーは、金融子会社のソニーフィナンシャルホールディングス(ソニーFH)に対しTOB(株式公開買い付け)を実施し完全子会社化することを決めた。金融事業をエレクトロニクス、エンターテインメントと並ぶコア事業と位置づけ、親子上場の解消により迅速で柔軟な意思決定ができる経営体制の構築を図る。現在の株式の所有割合は65.04%でTOBにより全株式の取得を目指す。ソニーFHはTOBに賛同を表明しており、TOB成立後に上場廃止となる見通し。

買付価格は1株あたり2600円。TOB公表前営業日の終値2064円に対して25.97%のプレミアムを加えた。買付予定数は1億5213万36株(下限は707万株)で、買付予定額は最大3955億3800万円。買付期間は2020年5月20日から7月13日まで。決済の開始日は7月20日。買付代理人は野村証券。

ソニーは1979年、米保険会社のザ・プルデンシャル・インシュアランス・カンパニー・オブ・アメリカと合弁でソニー・プルーデンシャル生命保険(現在のソニー生命保険)を設立し、金融事業に参入した。その後、1998年にソニーインシュアランスプランニング(現・ソニー損害保険)、2001年にソニー銀行を設立。2004年に金融子会社を傘下に置く持ち株会社としてソニーFHを会社分割で設立した。ソニーはソニーFHを完全子会社化し、主力の生命保険事業で顧客データの収集や分析をする際にAI(人工知能)やクラウドコンピューティングを活用するなど、金融事業と最新技術の一層の融合を目指す。

ソニーは2021年4月1日に商号を「ソニーグループ」に変更することも併せて発表した。グループ本社事業を「ソニーグループ」が引き継ぎ、エレクトロニクス事業は4月1日に設立したソニーエレクトロニクスが承継する。

テイツー<7610>、ゲーム・アイドルグッズなど売買の山徳を子会社化

テイツーは、インターネットを利用してゲームや着物、アイドルグッズ、宝石など様々なリユース品の売買を手がける山徳(金沢市。売上高15億4000万円、営業利益660万円、純資産1億9100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。経営の重点課題に掲げるEC(電子商取引)販路拡張の早期実現につなげる。山徳は越境ECサイト「ebay」を通じて海外100カ国以上に販売ルートを持つ。

テイツーは古本・ソフト販売の「古本市場」を中心に店舗展開しているが、ここへきてEC事業に力を注いでいる。同社のEC事業は売上高3億4000万円、営業利益3300万円(2020年2月期)にとどまるが、山徳のすでに確立された国内外のEC販路を取り込むことで、事業規模を質量とも充実させる。自社の「古本市場」店舗の買取商品の流通ルート拡大など、既存事業との相乗効果も期待している。

山徳の子会社化に合わせ、同社の一部事業を受託する着物インターナショナル(金沢市。売上高1億1800万円、営業利益△1150万円、純資産△207万円)も傘下に収める。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月1日。

ウエルシアホールディングス<3141>、愛媛県でネオファルマーなど調剤薬局2社を子会社化

ウエルシアホールディングスは、愛媛県の地場調剤薬局2社を子会社化することを決めた。10店舗を運営するネオファルマー(四国中央市。売上高12億7000万円、営業利益1億700万円、純資産7億9600万円)、3店舗を持つサミット(新居浜市。売上高7億600万円、営業利益2900万円、純資産1億4500万円)の全株式を7月1日付で取得する。愛媛県での調剤事業の強化と四国地域での店舗網拡大が狙い。対象2社はいずれも香川将章氏が社長を務め、兄弟関係にある。取得価額は非公表。

ウエルシアは関東を中心に東北から中国、四国に店舗網を広げ、ドラッグストア・調剤薬局2046店舗(4月末)を展開する。地場有力企業のグループ化による規模拡大を進めている。

チャーム・ケア・コーポレーション<6062>、介護人材派遣・訪問介護のグッドパートナーズを子会社化

チャーム・ケア・コーポレーションは、介護人材の派遣・紹介事業や訪問介護事業を手がけるグッドパートナーズ(東京都世田谷区。売上高11億5000万円、営業利益4250万円、純資産1億9300万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。逼迫が続く首都圏での介護人材の確保につなげる狙い。

グッドパートナーズは2007年に設立し、首都圏で介護施設への介護スタッフの派遣や紹介のほか、訪問看護事業、特定技能の外国人人材紹介、外国留学生への支援などを手がける。

チャーム・ケアは2005年に介護付き有料老人ホームを開設し、現在までに近畿圏、首都圏で59ホーム(4002室)を運営する。東京都、神奈川県では高価格帯シリーズの有料老人ホームを積極展開しているが、相応のレベルを備えるハイスキルの介護人材の獲得が今後の事業拡大のうえで課題となっている。

取得価額は7億1700万円。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

【Q&A】株式移転により個人株主が保有株式を新設法人に譲渡した場合の譲渡所得の特例

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(中坂 克司/税理士)

 

【問】

当社グループは、個人株主Xが各社の株式を100%保有する同族会社グループです。主要事業を営むA社、B社とも業績は順調で今後も拡大が見込まれ、新興事業として研究開発を続けてきたC社についても、ようやく大量生産・市場投下できる見込みが立ちました。

 

そこで当社としては、効率的なグループ経営及び更なるグループ事業の拡大を目指し、下記の事項を検討しています。株主Xの課税関係はどのようになるでしょうか。

 

①株式移転の方法により持株会社P社を組成し、現在各社で行っている総務・経理機能を持株会社P社に集約(株式移転に際してXはP社株式のみの交付を受ける)
②①の後、スピーディーなシェア確保が求められるC社については、ファンドから出資を受け入れることにより生産規模を大幅に拡大

 

【回答】

1.結論


株主Xについて、P社に対するA社、B社、C社(以下「子法人」)株式の譲渡がなかったものとみなされ、譲渡所得に係る所得税は課税されません(所法57の4②)。

 

2.解説


(1)株式移転

株式移転とは、1社又は複数の会社が発行済株式の全部を新たに設立する株式会社(「株式移転完全親法人」)に取得させる会社法の手法をいいます(会社2三十二)。通常、既存会社の株主は取得させた既存会社の株式の代わりに、新設会社の株式の交付を受けるため、資金負担を掛けずに持株会社体制に移行する方法として利用されています。

 

(2)株式移転により個人株主が保有株式を株式移転完全親法人に譲渡した場合の譲渡所得の特例

 

①原則
個人株主が保有株式を株式移転完全親法人に譲渡した場合は、その譲渡益は譲渡所得等とされ、個人株主に所得税が課税されます(所法33①)。

 

②特例
個人株主が、保有する株式の発行法人の行う株式移転により株式移転完全親法人(株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得し設立された法人。 法法2十二の六の六)に株式を譲渡した場合で、株式移転完全親法人の株式以外の資産が交付されない株式移転であるときは、その株式の譲渡はなかったものとみなされます(所法57の4②)。この場合において、個人株主が新たに取得した株式移転完全親法人の株式の取得価額は、旧株の取得価額とされます(所令167の7)。

 

(3)本件への当てはめ

質問の場合には、株主Xは子法人の行った株式移転により子法人株式を譲渡していますが、P社(株式移転完全親法人)株式のみの交付がされる株式移転のため、それぞれの子法人株式の譲渡はなかったものとみなされ、譲渡所得に係る所得税は課税されません。なお、株主Xが新たに取得したP社株式の取得価額は子法人株式の取得価額の合計となります。

 

3.法人税法上の適格株式移転との関係


(1)適格株式移転

法人税法上、一定の要件を満たす株式移転は「適格株式移転」として、基本的に課税関係を発生させない取り扱いになっています。本件の場合、子法人間には、株主Xによる完全支配関係(100%保有)があるため、以下の要件を満たせば、適格株式移転に該当します(法法2十二の十八、法令4の3)。

 

①株主Xに親会社となるP社株式以外の資産が交付されないこと
②株式移転後に株主XとP社の間で完全支配関係が継続することが見込まれること
③株式移転後に株主Xと子法人の間で完全支配関係が継続することが見込まれること

 

(2)本件の判断と株主Xの課税関係

本件については、株式移転後にファンドからの出資を受け入れた場合、上記(1)③株主XとC社間の完全支配関係が継続しないこととなります。従って、株式移転時に完全支配関係が継続することが見込まれるかどうかにより、「適格株式移転」に該当するか判断が異なります。ただし、株主Xの課税関係については、2.(2)②の通り、適格かどうかにより課税関係が異なるところではありません。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/05/22)より転載

[M&Aニュース](2020年4月27日〜5月15日)

◇アドバンスト・メディア<3773>、家電制御関連ソフト開発子会社のグラモの経営権を後藤功社長に譲渡、◇シェアリングテクノロジー<3989>、電子回路設計の電子プリント工業を柄谷智治社長と従業員に譲渡、◇マーケットエンタープライズ<3135>、アグリステージから「JUM 全国中古農機市場」事業を取得、◇城南進学研究社<4720>、英語学童保育のTresterを子会社化、◇イワキ<6237>、ケミカルポンプ販売のデンマーク合弁会社を子会社化、シミックホールディングス<2309>、CRO業務の中国子会社「希米科(蘇州)医薬科技」の全持分を合弁相手に譲渡、◇MCJ<6670>、接骨院・鍼灸院経営のMJG(破産手続き開始決定)の事業を取得 ほか

 

 

 

 

アドバンスト・メディア<3773>、家電制御関連ソフト開発子会社のグラモの経営権を後藤功社長に譲渡

アドバンスト・メディアは、家電制御関連のソフト開発を手がけるグラモ(東京都豊島区。売上高2億5700万円、営業利益△1億3900万円、純資産△7700万円)の株式47.83%を、グラモ社長の後藤功氏に譲渡した。15日付。後藤氏の持ち株比率は51%に高まり、同氏が経営権を掌握する。

アドバンスト・メディアは2013年にグラモを傘下に収め、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)関連機器を通じて、住宅内における音声認識技術の活用を推し進めてきた。しかし、一定の相乗効果はあったものの、業績は当初の想定を下回り、低迷していた。アドバンスト・メディアは引き続き、グラモの株式18.49%を保有し、協業関係は維持する。

譲渡価額は非公表。

 

 

 

シェアリングテクノロジー<3989>、電子回路設計の電子プリント工業を柄谷智治社長と従業員に譲渡

シェアリングテクノロジーは、全額出資子会社で電子回路の設計やプリント配線板の製造を手がける電子プリント工業(兵庫県尼崎市。売上高8億2900万円、営業利益△2700万円、純資産11億6000万円)の全株式を、電子プリントの柄谷智治社長と従業員の吉田崇夫氏に譲渡することを決めた。電子プリントはシェアテクが2018年春に約6億5000万円を投じて買収した会社。電子プリントがシェアテクに対して特別配当を実施した後に、シェアテクは全株式を売却する。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年5月~6月。

 

 

 

マーケットエンタープライズ<3135>、アグリステージから「JUM 全国中古農機市場」事業を取得

マーケットエンタープライズは子会社を通じて、アグリステージ(三重県明和町)からインターネット上で中古農機具を売買する「JUM 全国中古農機市場」事業を15日付で取得した。農機具の買取・販売事業を拡充する狙い。これとは別に、マーケットエンタープライズは今月に入り、アジア向け中古農機具の販売で実績を持つ旺方トレーディング(鳥取市)の事業を傘下に収めたばかり。

マーケットエンタープライズはネットを通じた中古品の買取・販売を主力事業の一つとする。農機具は2017年から取り扱い始めたが、事業が着実に拡大しており、戦略的商材と位置づけ、取り組みを強化中。

今回取得する「JUM」は農機具店を中心に累計業者会員698社と農家会員4574人を持つ国内最大級のネット市場に成長。2007年のサービス開始以来、累計1万8000件以上の取引実績を持つ。

取得価額は非公表。

 

 

 

城南進学研究社<4720>、英語学童保育のTresterを子会社化

城南進学研究社は、英語学童保育のTrester(川崎市。売上高1億7100万円、営業利益1450万円、純資産△698万円)の全株式を取得し、15日付で子会社化した。Tresterは2013年に設立し、川崎市内に小学生を対象にネイティブ英語環境を提供する「トレスターインターナショナルアフタースクール」の教室を複数運営する。取得価額は非公表。

城南進学研究社は大学予備校「城南予備校」で知られるが、英語教育について未就学児から社会人までの教室展開を進めている。

 

 

 

イワキ<6237>、ケミカルポンプ販売のデンマーク合弁会社を子会社化

イワキは、北欧におけるケミカルポンプの合弁販売会社のデンマークIwaki NordicA/S(イワキノルディック、売上高7億8400万円、営業利益4780万円、純資産2億7900万円)の株式60%を取得し、完全子会社化することを決めた。イワキノルディックをグローバル一体運営体制に組み入れ、競争力強化を目指す。

イワキノルディックは1992年に合弁設立し、イワキが40%、現地企業が60%を出資する。今回、合弁相手から株式譲渡の申し入れがあったという。イワキノルディックはデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドを営業エリアとし、水処理や医療機器、化学、食品向けなどにケミカルポンプを販売している。

取得価額は約6億7000万円。取得予定日は2020年6月30日。

 

 

 

シミックホールディングス<2309>、CRO業務の中国子会社「希米科(蘇州)医薬科技」の全持分を合弁相手に譲渡

シミックホールディングスは、中国におけるCRO(開発業務受託機関)業務子会社の希米科(蘇州)医薬科技有限公司(CPT、蘇州市)の全持分(51%)を、合弁相手の上海復星医薬産業発展有限公司(上海市)に譲渡した。CPTは2017年に設立。ジェネリック医薬品許可取得支援業務を進めてきたが、中国で遺伝子申請に関する届出制度が導入され、外国合弁企業による業務運営が困難になっていた。合弁相手の上海復星は医薬事業に関する投資会社。

譲渡価額は525万元(約7880万円)。譲渡日は2020年5月9日。

 

 

 

MCJ<6670>、接骨院・鍼灸院経営のMJG(破産手続き開始決定)の事業を取得

MCJは接骨院や鍼灸院、整体サロンなどを経営するMJG(東京都新宿区。4月に破産手続き開始決定)から一部事業を取得することを決めた。取得するのは店舗19カ所、研修所1カ所。取得価額は1億3000万円。エンターテイメント事業拡充の一環。MCJは子会社のaprecio(東京都中央区)を通じて複合カフェやタイ古式マッサージ、24時間フィットネスなどを手がけており、こうした会員ビジネスや店舗運営のノウハウを生かせる新事業を模索していた。取得日は非公表。

 

 

 

CRI・ミドルウェア<3698>、ゲーム用ソフト開発のアールフォース・エンターテインメントを子会社化

CRI・ミドルウェアは、ゲーム用ソフト開発のアールフォース・エンターテインメント(東京都渋谷区。売上高4億4800万円、営業利益100万円、純資産1億9900万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アールフォースが持つネットワーク技術や独自フレームワークによる高い生産性、開発ノウハウを取り込み、製品・サービスの付加価値向上につなげる。

取得価額は2億5600万円。取得予定日は2020年5月29日。

CRI・ミドルウェアは音声・映像関連分野のミドルウエア製品を幅広く展開する。スマートフォンゲーム、家庭用ゲーム、カラオケなどのエンターテイメント分野から、家電・IoT(モノのインターネット)機器、医療ヘルスケア、さらに近年は車載や監視カメラ向けソリューションといった分野に事業を広げている。

 

 

 

トレイダーズホールディングス<8704>、木質バイオマス発電子会社のZEエナジーを江寿に譲渡

トレイダーズホールディングスは、木質バイオマス発電事業を手がける子会社のZEエナジー(東京都港区。売上高8840万円、営業利益△3億6700万円、純資産△29億9200万円)の株式50.99%を、投資会社の江寿(京都市)に譲渡することを決めた。トレイダーズは主力のFX(外国為替証拠金取引)事業に次ぐ柱として、再生可能エネルギー事業の育成に取り組んできたが、大幅な債務超過に陥っていた。

トレイダーズは2015年にZEエナジーを連結子会社化。ZEは山形県最上町に木質バイオマス発電の「もがみまち里山発電所」を設けたものの、安定稼働に至らず、不具合設備の改修や運転調整が続いている。トレイダーズは江寿に50%超の株式を売却した後も、49%を引き続き保有し、バイオマス事業に取り組む。

株式の譲渡価額は1597円。譲渡予定日は2020年5月15日。

トレイダーズは株式譲渡と合わせ、貸付金(未回収金約29億円)を中心とする総額30億7000万円の債権を江寿に譲渡する。

 

 

 

KeyHolder<4712>、「乃木坂46合同会社」の持ち分50%を保有するノース・リバーを子会社化

KeyHolderは、芸能界向けに車両サービス事業を手がけるノース・リバー(東京都千代田区。売上高96億6000万円、営業利益20億9000万円、純資産56億1000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。ノース・リバーは女性アイドルグループ「乃木坂46」を運営する芸能プロダクション「乃木坂46合同会社」の持ち分の50%を保有する。乃木坂46合同会社はKeyHolderの持ち分法適用関連会社となる。

KeyHolderは2019年1月、名古屋を拠点とするアイドルグループ「SKE48」事業を芸能プロダクションのAKS(現Vernalossom、東京都千代田区)から取得した。「SKE48」のほかにも、ガールズメタルバンド「BRIDEAR」、ロックバンド「Novelbright」などを管理・運営している。

今回傘下に収めるノース・リバーは2011年に設立し、「坂道シリーズ」、「AKB48グループ」などのアイドルグループや芸能人、著名人の移動時に車両サービスを主力とする。さらに、乃木坂46合同会社の持ち分50%を持ち、同グループに関する映像コンテンツの制作や権利管理などのプロデュース事業も展開する。

KeyHolderは、「乃木坂46」という有力コンテンツ、車両サービス事業を取り込むことで、総合エンターテイメント事業の基盤拡充につなげる。

取得価額は未確定。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

小田原機器<7314>、プリント基板設計・ソフト開発を手がけるアズマの全事業を取得

小田原機器は、プリント基板設計やソフト開発などを手がけるアズマ(奈良県三郷町。売上高3億1600万円、営業利益△1100万円、純資産△1億2300万円)の全事業を会社分割により取得することを決めた。路線バスで使われる運賃収受機器や表示・案内機器の製品化に際してはキャッシュレス化やIoT(モノのインターネット)化の進展で、システム開発やソフトウエア開発の業務比重が高まっており、内製化が可能な体制づくりを目指す。

小田原機器は5月10日付で、全額出資で同名の新会社「アズマ」(神奈川県小田原市)を設立済みで、新会社が会社分割されたアズマの全事業を承継する。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

昭和産業<2004>、米油大手のボーソー油脂をTOBで子会社化

昭和産業は14日、米油大手のボーソー油脂(東証2部)に対して完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。ボーソー油脂はTOBに賛同している。消費者の健康志向の高まりを背景に家庭用の米油市場は拡大している。しかし、大手食用油メーカーの参入や攻勢が激化し、ボーソー油脂はここ数年、売上高を大きく落とし、営業損益段階から赤字に陥っている。製粉・油脂大手の一角である昭和産業の傘下で、収益改善と安定的な事業基盤の構築を目指す。

買付価格は1株につき1080円。TOB公表前日の終値740円に45.95%のプレミアムを加えた。買付予定数は全株式だが、下限は所有割合66.67%に設定。買付代金は15億9900万円。買付期間は5月18日~7月13日。公開買付代理人は野村証券。決済の開始日は7月20日。

予定通り買い付けが進めば、ボーソー油脂は上場廃止となる。ボーソー油脂は1947年に米油の製造を目的に千葉県船橋市(現在、本社は東京都中央区)で設立。1961年に東証2部に上場した。

主力商品の米油は従来、ポテトチップスや煎餅、かりんとうといった業務用の揚げ油としての用途が中心だったが、ここ数年は家庭用でも認知度が高まり、スーパーマーケットなど小売店の定番商品になっている。しかし、2014 年以降、大手食用油メーカーによる家庭用米油への攻勢が活発化し、競争激化に伴い、業績が急速に悪化していた。

ボーソー油脂の2020年3月期業績予想は売上高9.1%増の129億円、営業赤字4000万円(前期は4億5000万円の赤字)、最終赤字1億円(同5億円の赤字)。

 

 

 

三井住友建設<1821>、橋梁事業の三井E&S鉄構エンジニアリングを子会社化

三井住友建設は、三井E&Sホールディングス(旧三井造船)傘下で橋梁事業や沿岸事業を手がける三井E&S鉄構エンジニアリング(千葉市。売上高179億円、営業利益7億2800万円、純資産19億7000万円)の株式70%を取得し子会社化することを決めた。鋼構造物分野進出の足掛かりとする。具体的には従来のコンクリート橋だけでなく、鋼橋の受注などを取り込む。

三井E&S鉄構エンジは1974年に設立し、三井E&Sが全額出資する。経営再建中の三井E&Sは子会社など資産売却を進めており、この一環となる。三井住友建設は三井E&S鉄構の子会社化に伴い、同社子会社のドーピー建設工業(札幌市。売上高145億円、営業利益6億1600万円、純資産16億7000万円)を孫会社とする。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年10月1日。

 

 

 

グローバルウェイ<3936>、シェアリングエコノミー事業子会社のタイムチケットの株式61%を各務正人社長に譲渡

グローバルウェイは、シェアリングエコノミー事業を手がける子会社のタイムチケット(東京都港区)の株式61%を、グローバルウェイ社長の各務正人氏に譲渡することを決めた。タイムチケットは個人が得意なスキルや経験などを30分単位で売買するチケット制サービスを展開し、会員数は約20万人。譲渡価額は4003万7000円。譲渡予定日は2020年5月14日。

 

 

 

ソーシャルワイヤー<3929>、ミャンマー最大の美容メディア「YUYU BEAUTY」を現地社から取得

ソーシャルワイヤーは、ミャンマー最大の美容メディア「YUYU BEAUTY」事業を現地YUYU Company Limited(ヤンゴン)から取得した。アジアにおけるインフルエンサーマーケティング事業の足掛かりとするのが狙い。事業取得に併せて現地に全額出資子会社を設立した。

YUYU BEAUTYはファッション、メイク、コスメ、ヘアスタイルなどの美容動画が投稿されるメディア。美容ノウハウ動画コンテンツ4000投稿以上、フェイスブックページは200万フォロワー(ターゲット人口の25%をカバー)を超え、累計動画再生回数は1億9000万回という。

事業の取得価額は非公表。取得日は2020年5月1日。

 

 

 

日立ハイテク<8036>、分析装置の香港販社Techcomp Scientificを子会社化

日立ハイテクは、中国・ASEAN(東南アジア諸国連合)向けに各種分析装置の販売を手がける香港Techcomp Scientific Limited(売上高36億円、純資産31億3000万円)の株式を追加取得し子会社化することを決めた。現在33.4%の持ち株比率を100%に引き上げる。持ち分法適用関連会社から完全子会社に切り替え、現地での販売・サービス体制を強化する。

Techcomp Scientificは2018年1月に設立し、日立ハイテクが33.4%、現地個人株主が66.6%を出資する。中国とASEAN地域を営業エリアとし、日立ハイテクの分光光度計、液体クロマトグラフ、電子顕微鏡などを取り扱う。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月31日。

 

 

 

日本曹達<4041>、丸善油化商事からフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)事業を取得

日本曹達は、丸善油化商事(東京都中央区)からフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)事業を取得することを決めた。日本曹達が手がける医薬品添加剤「NISSO HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)」とSSFを併用することで、成型が困難な素材の錠剤化が可能になるなどの例が見いだされており、今後さまざまな医薬品製剤への適用が期待されるという。

丸善油化商事はコスモ石油の傘下企業。SSFは医薬品錠剤製造における滑沢剤として、医薬品有効成分の安定性向上、錠剤硬度や打錠障害の改善などを目的に使われる。日本曹達は「NISSO HPC」の販路を活用し、海外展開を含めて事業拡大を目指す。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年5月下旬。

 

 

 

インターアクション<7725>、レーザー加工機受託開発のラステックを子会社化

インターアクションは、レーザー加工機の受託開発を手がけるラステック(埼玉県ふじみ野市)の全株式を取得し子会社化することを決めた。光学技術を軸とする事業領域拡大の一環。部品の小型化や加工の複雑化に伴い、レーザー微細加工へのニーズが高まっているのに対応する。

ラステックは2009年に設立。顧客の要望に沿ったレーザー加工機の受託開発を主力とし、多様な加工条件や素材に関するデータを蓄積しているのが強み。

取得価額は非公表。取得日は2020年5月12日。

 

 

 

丸大食品<2288>、「神戸プリン」「らくらくホイップ」のトーラクを子会社化

丸大食品は、不二製油グループ本社傘下で乳加工食品を製造・販売するトーラク(神戸市。売上高78億9000万円、営業利益1億8800万円、純資産23億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。丸大食品は主力のハム・ソーセージ事業に続く柱として、デザート類をはじめ、総菜、ピザ、レトルト食品など調理加工食品事業の拡充に力を入れており、その一環。トーラクは1960年設立で、神戸を代表するお土産の一つである「神戸プリン」「らくらくホイップ」などで知られる。

取得価額は12億円。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

スポーツフィールド<7080>、スポーツマリオから求人メディアサイト「スポジョバ」事業を取得

スポーツフィールドは、スポーツ用品製造販売のスポーツマリオ(東京都渋谷区)が運営する求人メディアサイト「スポジョバ」事業を取得することを決めた。ウエブサービスを取り込むことで、スポーツ関連企業を対象とする就職支援事業のサービスメニューを拡充する。

スポーツフィールドは体育会学生やプロ、アマスポーツ経験を持つ人に特化した就職支援事業を手がけている。サービスサイト「スポナビ」に登録した就職希望者と密な関係構築を行うことに特徴があり、対面などで何度も面接して企業への内定・入社をサポートする。これに対し、今回取得する「スポジョバ」はスポーツ関連企業の求人を中心に掲載するマッチング型のウエブサービス。

取得価額は非公表。取得日は2020年5月21日。

 

 

 

東京製綱、中国生産子会社で希望退職者を募集

東京製綱は11日、中国生産子会社の東京製綱(常州)有限公司(江蘇省常州市)で希望退職者の募集を始めたと発表した。目標人数は定めず、募集期間は5月11日から1週間程度。希望退職の内容は今後詳細を詰めるが、中国の法令に則り、割り増しの特別退職金を支給する予定。新型コロナウイルスの影響を受け、生産活動を休止し、従業員の一時帰休を実施しているが、安定操業再開の見通しが立たないことから、従業員削減により事業縮小を図る。

東京製綱(常州)有限公司は2005年に設立。中国に3つある工場の一つで、ラジアルタイヤの補強材として使われるタイヤコードと太陽光発電向けシリコンインゴット(塊)切断用極細ワイヤの生産を両輪とする。中国市場の環境変化に伴い、売り上げが減少傾向にあったところに新型コロナが直撃。顧客企業の操業停止などで受注がさらに減少したことを受け、生産休止を余儀なくされている。

 

 

 

アジアパイルホールディングス<5288>、コンクリパイル用継手金具を製造するシントク工業を子会社化

アジアパイルホールディングスは、コンクリートパイル用継手金具を製造するシントク工業(東京都港区。売上高34億3000万円、営業利益9700万円、純資産23億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。国内にとどまらず、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域を含めた安定的なサプライチェーン(供給網)の確立につなげる。

アジアパイルはくい基礎工事に使われるコンクリートパイルの大手メーカーで、近年、ASEAN展開に力を入れている。シントク工業は1953年に設立し、コンクリートパイル生産における重要部品である継手金具のほか、コンクリート二次製品用付属部品を製造する。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月中。

 

 

 

gooddaysホールディングス<4437>、インテリア業界向けITサービスのリビングスタイルから全事業を取得

gooddaysホールディングスは子会社を通じて、インテリア業界向けにITサービスを提供するリビングスタイル(東京都港区)の全事業を取得した。取得したのはインテリアに関する「3Dシミュレーター」、インテリアの試着を可能にするAR(拡張現実感)アプリ「RoomCo AR」など。取得価額は非公表。取得日は2020年4月1日。

 

 

 

Lib Work<1431>、関東進出へ分譲住宅販売のタクエーホームを子会社化

Lib Workは分譲住宅販売のタクエーホーム(横浜市。売上高23億6000万円、営業利益9200万円、純資産2億6000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。Lib Workは熊本県を本拠に全国展開を目指しており、その第一歩として関東圏に進出する。タクエーホームは2014年に設立し、神奈川県内を地盤に実績を積んできた。取得価額は4億円。取得予定日は2020年7月1日。

 

 

 

ニチイ学館<9792>、米ベインキャピタルと組んでMBO実施し非公開化

ニチイ学館は8日、MBO(経営陣による買収)を実施し非公開化すると発表した。森信介社長ら現経営陣の要請に基づき、米投資ファンドのベインキャピタルがニチイ学館に対してTOB(株式公開買い付け)を行い、全株取得を目指す。取得代金は最大約990億円。同社は介護事業と医療事務受託事業で業界トップに立つが、人手不足が深刻化し、安定的な人材供給体制の構築が不可欠になっている。こうした中、成長分野への展開を含め、大胆な経営改革を推し進めるためには非公開化が望ましいと判断した。

TOB主体となるのはベインキャピタルが設立したBCJ-44(東京都千代田区)。ニチイ学館株の買付価格は1株1500円で、TOB公表前日の終値1094円に37.11%のプレミアムを加えた。買付予定数は4953万998株(所有割合75.24%)で、下限は所有割合41.9%にあたる2758万6100株と設定。ニチイ学館の筆頭株主で株式24.76%を所有する創業家の資産管理会社「明和」はTOBに応募せず、TOB成立後にベインキャピタル側に全株式を譲渡する。

買付期間は5月11日~6月22日までの31営業日。公開買付代理人は野村証券。決済の開始日は6月29日。

ニチイ学館は1968年に創業し、医療事務受託事業を開始。1973年に保育総合学院(1975年にニチイ学館に社名変更)を設立し、1999年に東証2部に上場(2002年に東証1部に昇格)。医療事務受託を起点として、介護、人材育成、教育、語学などに事業領域を広げてきた。2019年9月に創業者で会長の寺田明彦氏が死去した。

 

 

 

コロプラ<3668>、コアエッジからオンラインゲームの企画・運営・コンサル事業を取得

コロプラは、コアエッジ(東京都品川区)からオンラインゲームの企画・運営・コンサルテーション事業を取得することを決めた。モバイルサービス事業の競争力向上が狙い。取得価額、取得日は非公表。コアエッジは対象事業を譲渡後、人材紹介事業に集中する。

 

 

 

日本アンテナ<6930>、台湾系中国企業でアンテナ製造の蘇州華広電通を子会社化

日本アンテナは、中国でアンテナや電子部品を製造する蘇州華広電通有限公司(蘇州市。売上高16億3000万円、営業利益△7700万円、純資産7億9900万円)の全持分を取得し子会社化することを決めた。中国の通信関連機器の需要拡大に対応するとともに、アジア圏をはじめグローバル市場開拓の足掛かりとする。取得価額は14億1000万円。取得予定日は2020年8月。

蘇州華広電通は台湾のアンテナメーカー、譁裕實業股份有限公司(新竹市)の中国子会社。日本アンテナは中国現地法人の上海日安天線有限公司(上海市)を通じて傘下に収める。日本アンテナは譁裕實業に4.63%を出資し、かねて資本関係にある。

 

 

 

アークランドサービスホールディングス<3085>、とんかつ・コロッケなど冷凍食品製造のコスミックダイニングを子会社化

アークランドサービスホールディンスは、とんかつ、コロッケなどの冷凍食品を製造するコスミックダイニング(前橋市。売上高26億5000万円、営業利益1億5900万円、純資産4億500万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。アークランドはとんかつ専門店「かつや」を中心に飲食店の経営とフランチャイズチェーン本部の運営を手がけているが、新分野として冷凍食品事業を取り込み、業容拡大につなげる。

コスミックダイニングの子会社化にあたっては、同社傘下でメンチカツ、コロッケなどの冷凍食品を製造する清和ヤマキフード(群馬県伊勢崎市。売上高12億600万円、営業利益5000万円、純資産4億7300万円)の全株式取得を前提としている。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月30日。

 

 

 

ロコンド<3558>、ワールド傘下でレディースファッション通販サイトのFashionwalkerを子会社化

ロコンドは、ワールド傘下でレディースファッション通販サイトを運営するFashionwalker(東京都港区。売上高9億800万円、営業利益△6300万円、純資産5億400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。アパレル領域のEC事業強化につなげるのが狙い。

Fashionwalkerはワールドが100%出資で2019年12月に設立。「Fashionwalker」を中心としたEC(電子商取引)モール事業と、他社通販サイトの構築・運営のEC受託事業を手がけている。このうちEC受託事業についてはワールドがグループ会社に移管する。そのうえでロコンドがFashionwalkerを子会社化する。

ロコンドは靴とファッションの自社通販サイト「LOCONDO.jp」との相乗効果を見込んでいる。一方、ワールドは競争が激しいECモール事業を切り離し、「WORLD ONLINE STORE」を中心とした自社ブランドのEC事業と外部向けEC受託事業の事業拡大、収益向上に集中する。

取得価額は未確定。取得予定日は2020年7月。

 

 

 

サマンサタバサジャパンリミテッド<7829>、海外事業とスイーツ事業を創業者寺田和正氏が設立の会社に譲渡へ

サマンサタバサジャパンリミテッドは1日、海外事業とスイーツ事業について、サマンサタバサグローバルブランディングアンドリサーチインスティテュート(東京都渋谷区)に譲渡する方向で検討に入ると発表した。経営不振に陥っているサマンサタバサは米国や中国などの海外事業を維持することは困難と判断し、紳士服大手のコナカ傘下で国内事業の立て直しに経営資源を集中することにしている。譲渡先のサマンサタバサグローバルは創業者の寺田和正氏が今年3月に設立した会社。

今回の協議で対象となる海外事業は米、中、韓国、香港にある子会社。事業移管後は、サマンサタバサグローバルを窓口としてバッグ類などを海外展開する。

 

 

 

JKホールディングス<9896>、建築資材販売の四辻製材を子会社化

JKホールディングスは、建築資材販売の四辻製材(京都府向日市。売上高7億6200万円、営業利益5300万円、純資産8億4100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。毎期安定した利益を確保している点に着目し、グループ事業への相乗効果が見込めると判断した。四辻製材は1976年に設立。

取得価額は非公表。取得日は2020年5月1日。

 

 

 

CAICA<2315>、Cryptionから各種情報提供・収集事業を取得

CAICAは、子会社のeワラント証券(東京都目黒区)を通じて、Cryption(東京都港区)から各種情報提供・収集サービス事業を取得した。1日付。新商品の設計やシステム開発・安定運用、リスク管理で相乗効果が見込めるという。取得価額は非公表。

 

 

 

LIXILグループ<5938>、イタリア建材子会社のペルマスティリーザを米社に譲渡

LIXILグループは1日、イタリアの建材子会社Permasteelisa S.p.A.(ペルマスティリーザ、売上高1300億円、営業利益△450億円、純資産135億円)の全株式を、米投資会社のAtlas Holdings LLC(コネチカット州グリニッジ)に譲渡すると発表した。LIXILグループは2018年秋に中国企業にペルマスティリーザの譲渡をいったん決めたものの、米当局が安全保障上の理由でこれを認めず、頓挫した経緯がある。

ペルマスティリーザはビルの外装に使われるカーテンウォールの世界的メーカーとして知られる。LIXILグループは2011年に同社を約600億円で買収した。しかし、業績低迷が続き、かねて売却を模索していた。売却計画の中止に追い込まれた2019年3月期決算では500億円規模の最終赤字に転落する主因となった。

Atlasに対する株式の譲渡価額は非公表。EU(欧州連合)、米、中国、ロシア、サウジアラビアでの競争当局の許可を得ることを条件とし、譲渡時期は未定としている。

 

 

 

サマンサタバサジャパンリミテッド<7829>、コナカ子会社と合併してコナカ傘下入り

サマンサタバサジャパンリミテッドは1日、コナカの連結子会社でシューズ・バッグ、服飾雑貨販売のフィットハウス(岐阜県可児市。売上高148億円、営業利益2億900万円、純資産110億円)を7月1日付で吸収合併すると発表した。合併に伴い、存続会社となるサマンサタバサはコナカの連結子会社となる。コナカグループとの連携強化を通じて、喫緊の課題である財務基盤の安定と業績向上につなげるのが目的。コナカは現在、サマンサタバサの株式31%強を持つ筆頭株主。

合併比率はサマンサタバサ1:フィットハウス1.4で、フィットハウスの1株にサマンサタバサの1.4株(合計で3055万5417株)を割り当てる。サマンサタバサは6月下旬、フィットハウスは5月21日の株主総会に合併を諮る。

フィットハウスはコナカが約91%の株式を保有する。東海地区を中心にシューズ・バッグ、服飾雑貨を販売するが、消費者の低価格志向を踏まえ、従来の海外ブランドを中心とした高価格商品の販売からの転換を課題とする。その点、サマンサタバサはSPA(製造小売り)方式による自社商品の開発・販売で実績を積んでいる。

サマンサタバサは昨年9月、コナカと資本業務提携し、コナカの持ち分法適用関連会社となった。これを機に出店ノウハウの共有や商品供給、人材交流などの協業を進めてきた経緯がある。

サマンサタバサはバッグ、ジュエリー(宝飾品)のブランドで知られるが、業績低迷に陥って久しい。コナカの傘下に入り、ファッション事業の競争力を強化し、経営立て直しを目指す。

 

 

 

ビーロット<3452>、グロームHD傘下で不動産ファンド事業のLCパートナーズを子会社化

ビーロットは、グローム・ホールディングス傘下で不動産ファンド事業を手がけるLCパートナーズ(東京都港区。売上高9億2800万円、営業利益△1億6100万円、純資産2億6800万円)の全株式と、LCパートナーズが運営するメディカルアセット投資法人(東京都港区。売上高-、営業利益△4030万円、純資産8800万円)の全投資口を取得し、子会社化することを決めた。取得価額は2億円。取得予定日は2020年5月末まで。

ビーロットはLCパートナーズを傘下に取り込み、投資家層・富裕層向け不動産投資商品の拡充につなげる。一方、グローム・ホールディングスは病院関連事業への経営資源集中に伴い、不動産関連事業の縮小を進めている。

 

 

 

GMOペイメントゲートウェイ<3769>、モバイル決済関連サービスのマレーシア子会社を譲渡

GMOペイメントゲートウェイは、マレーシアでモバイル決済関連サービスを手がける子会社のマレーシアMacro Kiosk Berhad(クアラルンプール。売上高50億5000万円、営業利益△2億3500万円、純資産△2億1100万円)の全保有株式(保有割合70%)を、Macro Kiosk社長で創業者のGoh Chee Ken氏ら3氏(いずれも現経営陣)に譲渡することを決めた。2016年にMacro Kioskを子会社化したが、債務超過の改善にメドが立たない状況が続いていた。

譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年5月以降。

株式譲渡に際し、Macro Kioskに対する貸付金・未収利息約10億円について債権放棄する。

 

 

 

日清紡ホールディングス<3105>、車載機器開発支援のドイツ2社を子会社化

日清紡ホールディングスは30日付で、大手自動車メーカー向けに車載機器の開発支援を手がけるドイツのRBI GmbH(所在地ハイムスハイム)とLEAS GmbH(同)を買収した。ETC(電子料金収受システム)をはじめITS(高度道路交通システム)関連の事業拡大につなげる。

モビリティー事業子会社のJRCモビリティ(東京都中野区)を通じて、両社の全株式を取得した。JRCモビリティは輸入車に搭載するETC車載機器を製造する。今回傘下に収めたドイツ2社とはかねて協力関係にあった。ドイツに新たな開発拠点を確保したことで、欧州自動車向け車載機器ビジネスを機動的に展開することが可能になるとみている。

RBI は1999年に設立し、インフォテイメントと呼ばれる情報・娯楽の両要素を兼ね備えた車載機器の開発支援を主力とする。従業員は95人。一方、LEASは2017年設立で、組み立てを行う。従業員は12人。株式の取得価額は非公表。

ETCと同種の道路課金システムは世界的に広がりつつあるが、仕組みや方式が国・地域によって異なることも少なくなく、車載機器の仕様が多種多様となっている。このため、開発スピードの向上が一段と重要性を増しているという。

 

 

 

ツルハホールディングス<3391>、ドラッグストア・調剤228店舗展開のJR九州ドラッグイレブンを子会社化

ツルハホールディングスは、JR九州傘下でドラッグストア・調剤薬局228店舗を展開するJR九州ドラッグイレブン(福岡県大野城市。売上高519億円、営業利益13億3000万円、純資産73億円)の株式51%を取得し子会社化することを決めた。JR九州は引き続き株式の49%を保有する。取得価額は非公表。取得予定日は2020年5月28日。

JR九州ドラッグイレブンは1989年に設立し、九州・沖縄地区を地盤とする。従来型の都市型店舗・ロードサイド店舗に加え、JR九州グループの強みを生かした駅ビル、駅ナカの店舗など、4坪から300坪までの様々な広さの店舗を展開する。

ツルハはドラッグストア業界トップクラスの国内2138店舗(4月15日現在)を持つ。ドミナント戦略に基づく地域集中出店とM&Aによる店舗網拡充を推し進めており、今回もこの一環。

ドラッグストア業界を取り巻く環境は競合他店による出店競争や業界大手の統合・再編による寡占化の進展などで厳しさを増している。こうした中、JR九州ドラッグイレブンはツルハの事業ノウハウなど経営資源を活用し、地域性と収益性を兼ね備えた企業としてもう一段の成長を目指すことが最善だと判断した。

 

 

 

廣済堂、約240人の希望者退職者を募集へ

廣済堂は28日、約240人の希望退職者を募集すると発表した。対象者は①45歳以上60歳未満の正社員②9月末閉鎖する豊中工場(大阪府豊中市)に在籍する正社員③新木場発送センター(東京都江東区)に在籍する正社員④上記以外の非正規社員。募集人員は単体従業員の約4分の1にあたる。主力の印刷関連事業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、全社的な人員配置の適正化と人員削減が不可欠と判断した。

募集期間は6月15日~7月3日。退職日は9月30日とする。正社員には通常の退職金に社外転進一時金を上乗せして支給するほか、希望者に対して再就職支援を行う。非正規社員には慰労金を支給する。希望退職者募集に伴い発生する特別加算金などの費用約9億円を2020年3月期決算に特別損失して計上する。

廣済堂は同日、事業構造改革の一環として豊中工場を9月末で閉鎖すると発表した。さいたま工場(さいたま市)に自社生産機能を集約する同時に、豊中工場が担ってきた西日本地区の印刷については佐川印刷(京都府向日市)に委託することを決めた。

 

 

 

ジェイック<7073>、「地方のミカタ」から就活シェアハウスなど就職関連事業を取得

ジェイックは、地方のミカタ(東京都港区)が運営する就職関連事業を取得することを決めた。具体的には、東京で就職活動する地方学生向けにサービス展開している就活シェアハウス提供、就活カフェ運営、インターネットメディア運営の3事業が対象。

ジェイックは就職支援情報サイト「新卒カレッジ」「FutureFinderメディア」を運営しており、地方学生の支援強化をかねて検討していた。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月上旬。

 

 

 

クイック<4318>、人材コンサルティングのジャンプを子会社化

クイックは、人材採用コンサルティングのジャンプ(東京都新宿区。売上高1億6300万円、営業利益44万3000円、純資産2100万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。リクルーティング事業における採用(求人)広告取り扱い以外のサービスの充実が狙い。

クイックは人材紹介を中心とする人材事業と、採用広告を取り扱うリクルーティング事業を主力とする。ジャンプが持つ採用戦略の企画や採用マーケティングに関するノウハウを取り込み、顧客企業の採用成功を幅広く支援する。

ジャンプが2018年に展開を始めた採用戦略企画プログラム「Only 1 Camp」は売り手市場が続き、優秀な人材採用の難易度が高まる中、独自性の高い採用活動を実現するサービスとして注目されたという。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年6月1日。

 

 

 

マーケットエンタープライズ<3135>、旺方トレーディングから中古農機具の買取・輸出事業を取得

マーケットエンタープライズは、旺方トレーディング(鳥取市)が手がける中古農機具の買取・販売、輸出などの事業を取得することを決めた。農機具の買取・販売事業の競争力強化が狙い。旺方トレーディングは1990年設立で、中古農機具の国内買取・販売にとどまらず、会員制の海外向け販売サイト「FARM MART」を通じて約7割を海外に輸出している。

マーケットエンタープライズはネットを通じた中古品の買取・販売を主力事業の一つとし、近年、農機具の買取相談が増えてきたことから、2017年から農機具の取り扱いを始めた。全額で設立した新会社MEトレーディング(東京都中央区)を通じて、旺方トレーディングの事業を取得する。当該事業の直近売上高は6億5900万円。

旺方トレーディングは輸出のほか、オークション販売や国内農機具店への販売ルートを持つ。また、同社には農機具のメンテナンス・修理エンジニアが多数在籍し、離農した農家が保有する不稼働農機具の買取も可能になる。

取得価額は2億4400万円。取得予定日は2020年5月14日。

 

 

 

UUUM<3990>、吉本興業のMCN運営権を取得

UUUMは、吉本興業(大阪市)が持つMCN(マルチチャンネルネットワーク)運営権の一部を取得することを決めた。併せて吉本興業と業務提携契約を締結する。これにより、吉本興業が専属マネジメント契約するタレントのYouTube(ユーチューブ)チャンネル(約800チャンネル)の運営はUUUMのネットワークに移管される。

MCNは複数のYouTubeチャンネルと提携し、デジタル著作権管理、収益化、タイアップ広告営業などを含むサービスを提供する事業をさす。

従来マスメディアで活躍してきた吉本興業のタレントがYouTubeチャンネルを開設するケースが増えるなどデジタルシフトが加速している。一方、YouTubeクリエーターがマスメディアに出演する機会が広がっている。こうした中、デジタル領域を得意とするUUUMとマスメディア領域で強みを持つ吉本興業が協業を進め、相互の経営資源を有効活用する。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年5月下旬。

 

 

 

野村総合研究所<4307>、証券取引管理などバックオフィス業務の豪AUSIEXを子会社化へ

野村総合研究所は28日、証券取引管理・ポートフォリオ管理などのバックオフィス業務を手がける豪Australian Investment Exchange Limited(AUSIEX、シドニー。売上高40億9000万円、当期純利益18億円、純資産43億5000万円)の全株式を取得し子会社化すると発表した。人口増などを背景に長期的な成長が見込まれる同国の資産運用・管理市場に本格参入する。取得価額は60億2700万円。2021年6月末までの取得完了を目指す。

AUSIEXは豪金融大手CBA銀行のグループ企業で、大手証券会社、資産運用・管理会社や1万人を超える独立系フィナンシャルアドバイザーなどを主要顧客とする。

野村総研は豪の地域統括会社を通じてAUSIEXを傘下に収める。国内外で実績のある証券取引管理システム「I-STAR/GV」やシステム開発のノウハウを提供するとともに、将来的には豪の直接金融市場インフラの一翼を担いたい考えだ。

 

 

 

野村総合研究所<4307>、だいこう証券ビジネス<8692>をTOBで完全子会社化

野村総合研究所は、子会社のだいこう証券ビジネスに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。現在株式の51.78%を保有しているが、TOBにより完全子会社化を目指す。だいこう証券ビジネスは賛同を表明しており、TOB成立後に上場廃止となる見込み。

野村総合研究所は2014年3月にだいこう証券ビジネスを子会社化し、証券バックオフィス事業での協業関係を強化していた。今後、金融機関がコスト競争力を高めるためITサービスや事務サービスを外部委託する流れが進むと想定。だいこう証券ビジネスを完全子会社化することで、両社が一体となって金融機関向けソリューション型サービスの構築を目指す。

買付価格は1株あたり920円。TOB公表前営業日の対象株式の終値558円に対して64.87%のプレミアムを加えた。買付予定数は1211万6752株で、下限は14.88%にあたる374万136株。買付予定額は最大で111億4741万1840円。

買付期間は2020年4月30日から6月15日まで。公開買い付け代理人は野村証券。決済の開始日は6月22日。

 

 

 

アイスタディ<2345>、3Dグラフィックソフト開発のイーフロンティアを子会社化

アイスタディは、ネクスグループ傘下でソフト開発のイーフロンティア(東京都港区。売上高1億4300万円、営業利益2100万円、純資産5億1100万円)の株式99.9%を取得することを決めた。イーフロンティアが強みとする3D(三次元)グラフィック技術を獲得し、LMS(学習管理システム)や学習コンテンツ事業と組み合わせ、次世代の在宅ワーク、在宅学習をにらんだラーニングサービスの開発を促進する。

イーフロンティアは1999年に設立。3Dグラフィックデザイン、3Dコンピューターグラフィック(CG)景観作成ソリューション、3DCGキャラクターなどの制作ソフトに加え、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)関連のソフトも手がける。ゲームソフトではAI(人工知能)エンジンを利用したAI麻雀、AI将棋、AI囲碁を販売している。アイスタディは2017年にイーフロンティアと業務提携していた。

取得価額は8100万円。取得予定日は2020年5月15日。

 

 

 

グッドコムアセット<3475>、家賃債務保証事業のルームバンクインシュアを子会社化

グッドコムアセットは、家賃債務保証事業のルームバンクインシュア(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた。2020年の民法改正で賃貸借契約時の連帯保証契約が厳格化されたのに伴い、個人の連帯保証人に代わり、賃貸保証会社の利用増が見込まれている。ルームバンクインシュアを傘下に取り込み、不動産管理業務における収益機会の拡大につなげる。

ルームバンクインシュアは2009年に設立し、不動産賃貸借契約時に保証人となる賃貸保証業務を専門に手がける。契約時に受け取る初回保証料に加え、1年に1回継続的に年間保証料を得るストック型の収益モデルを特徴とする。

グッドコムアセットは東京23区や最寄り駅から徒歩10分圏内の賃貸需要の高いエリアで、自社ブランドマンション「GENOVIA」シリーズの企画、開発から販売、管理をトータルに展開している。

取得価額は非公表。取得は2020年6月中を予定している。

 

 

 

ヤマックス<5285>、コンクリート二次製品販売のHOCヤマックスを子会社化

ヤマックスは、土木用コンクリート二次製品の販売を手がける関連会社のHOCヤマックス(長崎県佐世保市。売上高17億円、営業利益△24万6000円、純資産645万円)の株式を追加取得し子会社化することを決めた。HOCヤマックスは2013年にヤマックスが40%、景観製品の製造や建設資材販売のH.O.C(長崎県大村市)が60%を出資して設立したが、今回、持ち株比率を両社同率とし、併せてヤマックスは社長を含む取締役の過半数を派遣し、経営権を掌握する。

ヤマックスとしては新会社設立時から目標としていた製造部門の統合を含めた経営集約化に向け、経営責任の明確化と意思決定の迅速化を図るのが目的。株式の取得価額は80万円。取得予定日は2020年4月30日。

 

 

 

情報提供:株式会社ストライク

[解説ニュース]

店舗兼住宅を譲渡した場合の居住用財産の3,000万円控除と事業用資産の買換え特例の併用

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(山崎 信義/税理士)

 

【問】

甲さんは、令和2年1月に東京都大田区内に所有する店舗兼自宅の建物とその敷地(それぞれの所有期間は10年超)を、一括して上場会社の㈱乙に譲渡しました。甲さんは譲渡の直前までその建物と敷地を店舗及び自宅として使用していました。甲さんは、その譲渡代金により令和2年中に品川区に所有する土地上の上に貸家と自宅を建築する予定です。

 

甲さんは、譲渡した資産についてそれぞれの特例の適用要件を満たしていることから、自宅とその敷地部分の譲渡については居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の3,000万円控除の特例(租税特別措置法(措法)35条。以下「3,000万円控除」)の適用を受け,店舗とその敷地部分の譲渡については,事業用資産の買換え特例(措法37条)の適用を受けようと考えています。甲さんのように、一つの不動産の譲渡について事業用資産の買換え特例の適用を受ける場合に、3,000万円控除の適用を受けることが認められるのでしょうか。

 

 

【回答】

1.結論


一つの資産の譲渡について3,000万円控除と他の特例との重複適用はできませんが、甲さんの場合は店舗兼自宅と敷地の譲渡であり、店舗(事業用)部分の譲渡についてのみ事業用資産の買換え特例の適用を受けることから、買換え特例の適用を受ける場合であっても、自宅(居住用)部分の譲渡については、その適用要件を満たす限り、3,000万円控除の適用が認められます(措法通達35-1)。

 

2.解説


(1)3,000万円控除と他の特例との適用関係

個人が3,000万円控除の適用対象となる資産を譲渡した場合において、その譲渡が固定資産の交換の特例(所得税法58条)や事業用資産の買換え特例など特例(以下「他の特例」という。)の適用対象となり得るときがあります。その場合の特例の適用について、措法通達35-1の解説では次の通りの考え方が示されています。

 

①3,000万円控除の適用要件を満たしている資産の譲渡については、3,000万円控除と他の特例とを重複して適用することはできない。

 

②店舗兼自宅のように、3,000万円控除の適用対象となる部分(居住用部分)と適用対象とならない部分(非居住用部分)がある資産を譲渡する場合には、その資産を居住用部分と非居住用部分に区分し、非居住用部分の譲渡についてのみ「他の特例」の適用を受け、居住用部分の譲渡については3,000万円控除の適用を受けることができる。

 

③②の場合において、譲渡者が現に(つまり譲渡の直前まで)居住の用に供している資産を譲渡するときは、その譲渡時の現況により3,000万円控除の適用対象となる居住用部分と適用対象とならない非居住用部分とに区分する。

 

(2)3,000万円控除と事業用資産の買換え特例の適用

事業用資産の買換え特例は事業の用に供される資産の譲渡についてのみ適用され、3,000万円控除は、譲渡者が居住の用に供される資産についてのみ適用されることから、事業の用に供されている資産の譲渡について3,000万円控除は適用されません。このため、事業用資産の買換え特例と3,000万円控除とは競合せず、(1)①のような特例の重複適用が問題となることはありません。

 

また、店舗兼自宅である家屋とその敷地の譲渡において、事業用部分の譲渡につき事業用資産の買換え特例の適用を受け、居住用部分の譲渡につき3,000万円控除の適用を受ける場合は、(1)②の通り適用対象部分が異なる2つの資産([店舗とその敷地]と[自宅とその敷地])を、(1)③の通りに譲渡時の現況で事業用と居住用に区分の上、それぞれ譲渡して特例の適用を受けたとみることから、特例の重複適用には該当しません。

 

(3)本件へのあてはめ

ご質問の場合、譲渡者の甲さんは、店舗兼自宅として譲渡の直前まで事業の用及び居住の用に供されていた建物とその敷地を譲渡しています。この場合、①事業用資産の買換え特例は、店舗兼自宅のうち事業の用に供されていた部分とその敷地の譲渡についてのみ適用される一方、②3,000万円控除は、店舗兼自宅のうち譲渡者の甲さんが居住の用に供していた部分とその敷地の譲渡についてのみ適用されます(上記(2)参照)。よって3,000万円控除と事業用資産の買換え特例との間で競合関係が生じることがないので、甲さんが店舗併用住宅のうち事業用の部分について事業用資産の買換え特例の適用を受ける場合であっても、その居住用の部分については3,000万円控除の適用が認められます。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/05/08)より転載

新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年4月公開分)

 

 

[関連情報]

■「M&Aの検討段階における新型コロナウイルス等による影響」とは?

■「新型コロナ対策融資と特例リスケ」 ~事業再生の専門家の観点から~

■「超速報!新型コロナウイルス対策税制」

■「コロナ対応としての中小企業経営の留意点」 ~コロナとその先へ~

 

 

 

◇栃木県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

県内企業の77.8%がマイナスの影響
~ 「運輸・倉庫」「製造」「小売」などで高水準 ~

※詳細はこちら

 

◇長崎県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

企業の77.7%で「業績にマイナス」
~1カ月間でさらに悪化~

※詳細はこちら

 

◇静岡県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、企業の81.1%で「業績でマイナスの影響」
~ 企業の1.8%で「業績でプラスの影響」 ~

※詳細はこちら

 

◇愛知県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

「マイナスの影響」82.3%、全国を2ポイント上回る
~ 前回調査から15.6ポイントの大幅な増加 ~

※詳細はこちら

 

◇山形県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、県内企業の83.5%で「業績にマイナス」
~ 幅広い業種で脅威となるも、一部業種では業績にプラスの影響 ~

※詳細はこちら

 

◇熊本県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、企業の77.5%で「業績にマイナス」
~ 幅広い業種・業態で脅威となり、「既にマイナス」が4割を超える ~

※詳細はこちら

 

◇長野県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

県内企業の8割以上が業績に「マイナスの影響」
~前月から15ポイント増加、「中小企業」の増加が目立つ~

※詳細はこちら

 

◇近畿地方「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、企業の82.9%で「業績にマイナス」
~ 幅広い業種で脅威となるも、一部業種では業績にプラスの影響も ~

※詳細はこちら

 

◇茨城県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

県内企業の約8割で「業績にマイナスの影響」
~「マイナスの影響」は『サービス』が最も高く94.7%~

※詳細はこちら

 

◇北海道「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、企業の78.1%で「業績にマイナス」
~ 前回調査の2月から19.9ポイント増加 ~

※詳細はこちら

 

◇四国地区「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス感染症、四国企業の業績への影響が拡大
~四国企業の約8割が業績にマイナスの影響を見込む~

※詳細はこちら

 

◇兵庫県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

企業の81.6%が業績に「マイナスの影響」
~ 全業界で「既にマイナスの影響」の割合が増加 ~

※詳細はこちら

 

◇神奈川県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナ、県内企業の8割で「業績にマイナス」
~ 「マイナスの影響」、業種別では「運輸・倉庫」がトップ~

※詳細はこちら

 

◇山梨県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、企業の85.6%で「業績にマイナス」
~ 今後マイナス影響を見込む業界「製造」が5割超で最多 ~

※詳細はこちら

 

◇九州地方「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

新型コロナウイルス、企業の78.1%で「業績にマイナス」
~幅広い業種で脅威となり、3月28・29日には88.2%を記録~

※詳細はこちら

 

◇大分県「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2020年3月)

大分県企業の85.9%で「業績にマイナス」
~1カ月間でさらに悪化~

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[解説ニュース]

相続税法における養子の取扱い

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(宮田 房枝/税理士)

 

 

[関連解説]

■民法における養子の取扱い

■特別縁故者に対する相続財産の分与と相続税

 

1. はじめに


3月23日の記事では、「民法における養子の取扱い」をご紹介しました。民法上、養親が死亡した場合には、その養子縁組が普通養子縁組であったとしても特別養子縁組であったとしても、養子はその養親の相続人(子)として取り扱われ、その相続分は実子と変わりません。

 

一方、税務上は、むやみに養子の数を増やすことで公平性が損なわれること等があるため、普通養子縁組の場合には一定の制限規定が設けられています(下記2.参照)。また、被相続人の直系卑属(孫やひ孫)が養子である場合には、その者の相続税額については、原則として、相続税額が2割加算されます(下記3.参照)。本稿では、これらの取扱いをご紹介します。

 

 

2. 法定相続人の数


(1) 法定相続人の数が影響する計算項目

相続税の計算上、次の項目については、法定相続人の数を基に行います。

 

(2) 普通養子縁組による養子がいる場合の数の制限

 

上記(1)の法定相続人の数を民法どおりにカウントすると、むやみに養子の数を増やすことで、相続税回避が可能となってしまいます。
そこで、普通養子縁組の場合には、上記(1)の計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、次のとおり、一定数に制限されています。

 

・ 実子あり→1人まで
・ 実子なし→2人まで 
ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記の養子の数に含めることはできません。

(3) 実子として扱われる者

次のいずれかの者は、実子として取り扱われます(すなわち、上記(2)の数の制限は受けず、すべて法定相続人の数に含まれます)。

 

①特別養子縁組により被相続人の養子となった者
②被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった者
③被相続人と配偶者との婚姻前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となった者で、その婚姻後にその被相続人の養子となったもの
④被相続人の実子、養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため相続人となったその者の直系卑属

 

3. 相続税額の2割加算


(1) 相続税額の2割加算とは

相続、遺贈又は相続時精算課税贈与により財産を取得した者がその被相続人の一親等の血族(代襲相続人となったその被相続人の直系卑属を含む)及び配偶者以外の者である場合には、その者の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます(これを相続税額の2割加算といいます)。

(2) 養子の取扱い

被相続人の養子は、一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象とはなりません。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の直系卑属(孫やひ孫)は、その者が代襲相続人となっている場合を除き、相続税額の2割加算の対象になります。

(3) まとめ

相続税額の2割加算の適用対象者をまとめると、次表のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/04/27)より転載

[M&Aニュース](2020年4月13日〜4月24日)

◇INEST<3390>、予約サービスのEPARKライフスタイルなど子会社2社を譲渡、◇アミタホールディングス<2195>、産業廃棄物リサイクルの台湾子会社「台灣阿米達」を現地社に譲渡、◇ヤマノホールディングス<7571>、和装品リサイクルショップ運営「東京山喜」の事業取得へ、◇ミズノ<8022>、スポーツ記念品・観戦グッズ製造のシャープ産業を子会社化、◇パスコ<9232>、航空測量のベルギー子会社Aerodata International Surveyを譲渡、◇APAMAN<8889>、茨城県で不動産仲介・賃貸管理のマイハウスを子会社化、◇INEST<3390>、法人向け携帯販売のアイ・ステーションを株式交換で子会社化 ほか
 
 
 
 

INEST<3390>、予約サービスのEPARKライフスタイルなど子会社2社を譲渡

2020-04-24

INESTは、旅行代理店などに対する予約サービスを手がけるEPARKライフスタイル(東京都豊島区。売上高6450万円、営業利益△5500万円、純資産△5510万円)、EPARKモール(東京都豊島区。売上高9610万円、営業利益△3億4800万円、純資産△10億円)の子会社2社の全保有株式(保有割合は90%)を、EPARKグルメ(東京都豊島区)に譲渡することを決めた。両社はいずれも先行投資がかさんで赤字となっていた。譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年5月1日。

 

アミタホールディングス<2195>、産業廃棄物リサイクルの台湾子会社「台灣阿米達」を現地社に譲渡

2020-04-24

アミタホールディングスは、産業廃棄物リサイクル事業を手がける台湾子会社の台灣阿米達股份有限公司(売上高6700万円、営業利益△3700万円、純資産△5億5300万円)の全株式を、現地同業の眾保股份有限公司(Zhong Bao Co., Ltd.)に譲渡することを決めた。業績不振に伴い、台灣阿米達の設備の一部を日本国内に移設するなど事業撤退を段階的に進めてきたが、今回の全株式譲渡で一連の撤退を完了する。

台灣阿米達は2011年設立で、アミタホールディングス子会社のアミタ(東京都千代田区)が全額出資する。

譲渡価額は500万台湾ドル(約1700万円)。譲渡予定日は2020年5月。

 

ヤマノホールディングス<7571>、和装品リサイクルショップ運営「東京山喜」の事業取得へ

2020-04-24

ヤマノホールディングスは24日、東京地裁に民事再生法の適用を申請(4月20日付)した和装品リサイクルショップ運営の東京山喜(東京都江戸川区。売上高38億6000万円)の事業取得に関して検討に入ると発表した。民事再生スポンサーに関する基本合意書に締結した。今後、最終合意に向けて再生支援の方法などについて協議を進める。

東京山喜は1961年に設立し、一般家庭のたんすに埋もれた着物や帯の活用を目的とする和装品リサイクルショップの運営を主力とする。現在、直営36店舗、FC(フランチャイズ)64店舗、その他店舗12店舗の計112店舗を展開するが、近年の出店計画の失敗や競争激化で収益が悪化していたのに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休業、営業時間短縮や催事中止などで、売り上げが大幅に減少し、自力再建を断念した。

ヤマノホールディングスは和装用品事業を主力事業の一つとし、全国に104店舗を展開するほか、「前楽結び着方教室」「きものクリニック」といった取り組みに力を入れている。

ヤマノは経営管理や店舗管理のノウハウを東京山喜の既存事業に導入して、事業の立て直しを進める考え。また、和装小売事業における新規顧客の獲得や販路拡大につながるとみている。

 

ミズノ<8022>、スポーツ記念品・観戦グッズ製造のシャープ産業を子会社化

2020-04-24

ミズノは、スポーツ大会やスポーツチームの記念品・観戦グッズの製造を手がけるシャープ産業(神戸市。売上高22億1000万円、営業利益1億5500万円、純資産1600万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。取得価額は1億3000万円。取得予定日は2020年5月29日。

シャープ産業は1965年に設立し、50年以上の業歴を持つ。ミズノは同社を傘下に取り込み、各種スポーツ競技の応援・記念グッズの販売強化のほか、記念品事業のスポーツ以外の分野への応用などを推し進める。

 

パスコ<9232>、航空測量のベルギー子会社Aerodata International Surveyを譲渡

2020-04-24

パスコは、ベルギー子会社で航空機による測量・計測業務を手がけるAerodata International Survey BV(売上高200万円、営業利益△2億4000万円、純資産100万円)の全株式を譲渡することを決めた。異業種からの参入増による業界再編や競争激化など欧州市場の環境変化を踏まえた措置。譲渡先と譲渡金額は非公表。譲渡予定日は2020年5月30日。

Aerodataは1992年に設立。パスコは2010年に同社に70%出資し、子会社化(2014年に完全子会社化)した。しかし、Aerodataの業績は低迷し、 2017年12月期には10億円を超える債務超過に陥った。

 

APAMAN<8889>、茨城県で不動産仲介・賃貸管理のマイハウスを子会社化

2020-04-24

APAMANは、不動産仲介・賃貸管理のマイハウス(茨城県守谷市)を24日付で子会社化した。マイハウスは1993年設立で、2013年に賃貸情報物件「アパマンショップ」にFC(フランチャイズ)加盟した。賃貸仲介店舗を3店舗、約2600戸の賃貸管理を手がける。取得割合、取得価額は非公表。

 

INEST<3390>、法人向け携帯販売のアイ・ステーションを株式交換で子会社化

2020-04-24

INESTは、法人向け携帯電話販売のアイ・ステーション(東京都文京区。売上高42億5000万円、営業利益8400万円、純資産3億600万円)を株式交換により完全子会社化することを決めた。INESTはスマートフォンを中心とする携帯電話やモバイル通信端末などのWeb販売(直販事業)を主力の一つとするが、携帯電話の市場成熟化が進展している。同業を傘下に取り込むことで直販事業の強化につなげる。INEST、アイ・ステーションはいずれも光通信が筆頭株主。

株式交換比率はINEST1:アイ・ステーション375で、アイ・ステーションの1株に対してINESTの375株を割り当てる。株式交換予定日は2020年8月1日。

 

INEST<3390>、ウォーターサーバーや新電力小売りのPatchを子会社化

2020-04-24

INESTは、訪問販売やテレマーケティングを手がけるPatch(東京都新宿区。売上高6億6000万円、営業利益△9700万円、純資産△2億4400万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。収益機会の拡充や人員の効率的な活用などが狙いという。取得価額は5億3400万円。取得予定日は2020年8月1日。

Patchは2017年に設立し、訪問販売やテレマーケティングを通じてウォーターサーバーや新電力の営業活動を法人、個人向けに行っている。INESTは光通信の持ち分法適用関連会社(持ち株比率約38%)。今回傘下に収めるPatchには光通信が37.49%を出資している。

 

タケエイ<2151>、バイオマス発電事業の市原グリーン電力を子会社化

2020-04-23

タケエイは、木質バイオマス発電事業の市原グリーン電力(千葉県市原市。売上高40億9000万円、営業利益1億6600万円、純資産29億5000万円)の株式85.1%を取得し、子会社化することを決めた。タケエイは建設廃棄物の処理や資源化を主力とす一方、近年、グループとして木質バイオマス発電を中心に再生可能エネルギー事業に力を入れている。

市原グリーン電力は2004年設立で、株主構成は三井E&Sエンジニアリング(千葉市)70.2%、三井物産14.9%、鹿島14.9%。タケエイは今回、三井E&Sエンジ、三井物産両社の保有株式を取得する。これに合わせ、木屑チップ、廃棄物固形燃料(RPF)などバイオマス発電燃料の貯蔵・販売を手がける循環資源(東京都北区。売上高9億2100万円、営業利益△2300万円、純資産8300万円)について、株式30%を三井E&Sエンジから取得し、持ち分法適用関連会社とすることにした。

三井E&Sエンジは三井E&Sホールディングス(旧三井造船)の子会社。三井E&Sホールディングスは経営再建の一環としてグループ企業の資産売却を進めている。

取得価額は市原グリーン電力、循環資源の両社合計で約53億円。この内訳は非公表。取得予定日は2020年4月30日。

 

アイスタディ<2345>、介護事業者向けASPシステム提供のケア・ダイナミクスを子会社化

2020-04-23

アイスタディは傘下企業を通じて、介護事業者向けICT(情報通信技術)の導入支援を手がけるケア・ダイナミクス(東京都港区。売上高9000万円、営業利益50万円、純資産6900万円)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。介護事業領域に進出する足がかりとする狙い。

ケア・ダイナミクスはネクスグループの全額出資子会社。介護事業者向けASP(アプリケーションサービスプロバイダー)システム「Care Online」の提供を主力とし、400以上の導入実績を持つほか、各種介護ロボットの導入支援・販売を行っている。

アイスタディは東京大学と介護施設向けに転倒事故防止や危険行動をAI(人工知能)技術で検知するシステムの共同研究を進めている。その製品化に際し、ケア・ダイナミクスが持つ介護関連の顧客資産を有効活用できるとみている。

取得価額は7300万円。取得予定日は2020年5月1日。

 

香港投資会社のUP CAPITAL ASSET MANAGEMENT、証券業のリーディング証券をTOBで子会社化

2020-04-22

香港の機関投資家の匯升資産管理有限公司(UP CAPITAL ASSET MANAGEMENT LIMITED)は、証券業のリーディング証券(東京都中央区。営業収益13億2000万円、純資産8億8600万円)をTOB(株式公開買い付け)により子会社化すると発表した。株式の3分の2以上の取得を目指す。リーディング証券はTOBに賛同を表明している。

現在リーディング証券の株式81.66%を所有する中国系投資会社のランキャピタルマネジメント(東京都中央区)はTOBに応募する意向を示している。TOBを実施するのは、UP CAPITAL ASSET MANAGEMENTが今回の買収を目的に設立したMAJOR TREASURE HOLDINGS LIMITED(英領バージン諸島)。

UP CAPITAL ASSET MANAGEMENTは日本をアジア市場戦略の重要拠点と位置づけており、今後は香港の証券子会社のCRIC証券とリーディング証券の連携により、独自性のある金融商品の開発・提供を図る。また、プライベートバンキング部門を強化し、富裕層の顧客獲得を目指す。

TOBの買付価格は1株あたり40円。買付予定数は599万7547株で、買付予定額は2億4640万円。買付期間は2020年4月22日から5月25日。公開買い付け代理人は日本クラウド証券。決済開始日は5月28日。

 

アンドール<4640>、クボタシステムズから製造業向けパッケージソフト事業を取得

2020-04-22

アンドールは、クボタ全額出資のシステム開発会社であるクボタシステムズ(大阪市)が手がける製造業向けパッケージソフトの製品開発・販売事業を取得することを決めた。アンドールが得意とするCAD/CAM(コンピューター支援設計・製造)システムやメカトロニクス技術との親和性が高く、相乗効果を期待している。当該事業の直近売上高は2400万円。取得価額は無償。取得予定日は2020年7月1日。

 

アステラス製薬<4503>、英国創薬ベンチャーのナンナ・セラピューティクスを買収

2020-04-21

アステラス製薬は21日、英国子会社を通じて、創薬研究ベンチャーの現地ナンナ・セラピューティクス(ケンブリッジ)を買収したと発表した。19日付で全株式を1200万ポンド(約15億8000万円)で取得した。さらに今後、開発の進捗に応じて最大5750万ポンド(約75億円)を追加で旧株主に支払う取り決め(アーンアウト条項)で、買収代金は合計で約90億円となる見通し。ナンナは2012年設立で、ミトコンドリア関連疾患や加齢、免疫代謝などの分野での創薬研究を推し進めている。

アステラス製薬はナンナが持つ新規のDNAエンコード化合物ライブラリー(DELs)技術、最先端のスクリーニングプラットフォームなどを獲得することで、早期創薬研究が大幅に強化されるとしている。

 

ジェイック<7073>、キャリアアカデミーの「秋冬採用ナビ」を取得

2020-04-21

ジェイックは、学生向け就職・キャリア支援を手がけるキャリアアカデミー(東京都豊島区)が運営する就職情報サイト「秋冬採用ナビ」を取得することを決めた。「秋冬採用ナビ」はその名称の通り、大学生の就職後半期となる秋から冬の就職活動に特化。ジェイックは就職支援サービス「新卒カレッジ」を運営している。

取得価額は非公表。取得予定日は2020年4月28日。

 

大幸薬品<4574>、台湾Fortune River Biotech から「クレベリン」販売事業を取得

2020-04-20

大幸薬品は台湾子会社を通じて、感染管理事業を手がける現地Fortune River Biotech Inc.(台北市)からクレベリン販売事業(直近売上高は約1億9000万円)を取得することを決めた。「クレベリン」は大幸薬品のウイルス除去・除菌製品のブランド。台湾で同製品のWeb販売が急成長しているという。対象事業の取得価額は約5000万円。取得予定日は2020年4月末。

 

グルメ杵屋<9850>、茨城県でラーメン・中華料理など35店舗展開の雪村を子会社化

2020-04-20

グルメ杵屋は、ラーメン・中華料理店など経営の雪村(茨城県土浦市。売上高13億2500万円)とセントラルキッチン運営のゆきむら亭エフシー本部(同)の両社の全株式を取得し、20日付で子会社化した。グルメ杵屋は2018年10月に茨城県北部を中心にラーメン店などを展開する壱番亭本部(茨城県筑西市)を子会社化しており、今回の雪村のグループ入りにより関東東部地域での地盤強化につなげる。取得価額は非公表。

グルメ杵屋はうどん、そば、洋食、和食のジャンルで多様なブランドを展開している。傘下に収めた雪村は1979年に創業し、主に茨城県南部でラーメン店「ゆきむら亭」、つけ麺「吉右衛門」、中華料理「ゆきむら」、から揚げ専門店「鶏一番」などを35店舗展開する。セントラルキッチン方式による地域集中出店戦略を強みとしている。

 

TRUCK ONE<3047>、東南ア向け中古トラック販売のSUN AUTOを子会社化

2020-04-17

TRUCK-ONEは、東南アジア向けに中古トラックを販売するSUN AUTO(北九州市。売上高3億5600万円、営業利益△3100万円、純資産4億500万円)の全株式を取得し子会社化することを決めた。TRUCK-ONEが強みとする輸出用車両の仕入れとSUN AUTOが持つ東南アジアの販売網を組み合わせ、中古トラック販売の事業拡大を推し進める。取得価額は非公表。取得予定日は2020年7月3日。

TRUCK ONEは中古トラックの買取・販売を主力とする。以前はロシアやニュージーランド向けに輸出を手がけていたものの、近年は国内販売に特化していた。しかし、国内需要が縮小に向かう中、改めて海外市場開拓の機会を模索していた。傘下に収めるSUN AUTOは2004年に設立し、東南アジアに独自の販売ルートを築いている。

 

ジャパンエレベーターサービスHD<6544>、エレベーター保守管理のセイコーエレベーターを子会社化

2020-04-17

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーターの保守管理業務を手がけるセイコーエレベーター(東京都千代田区。売上高2億9000万円、営業利益35万3000円、純資産4680万円)の株式を追加取得し子会社化した。17日付。12.2%の持ち株比率を68.09%に引き上げた。首都圏での事業基盤強化が目的。セイコーエレベーターは1999年に設立し、首都圏を中心に800台以上を保守管理している。

取得価額は非公表。

 

INCLUSIVE<7078>、地域生活情報サイト「枚方つーしん」運営のmorondoを子会社化

2020-04-17

INCLUSIVEは、地域生活情報サイト「枚方つーしん」を運営するmorondo(大阪府枚方市)の全株式を取得し子会社化した。17日付。地域メディアネットワーク構築の一環。INCLUSIVEは同様の地域メディアに関して2016年の東海エリア「CUCURU」を手始めに、関西で「anna」、福岡で「ARNE」を、今年3月には北海道で「北海道 Likers」を傘下に取り込んでいる。

取得価額は非公表。

「枚方つーしん」は2008年にサービスを開始し、枚方市内の生活情報をインターネットを通じて発信している。INCLUSIVEは中長期的に、地域の店舗を支援するクラウドファンディングサービスや地域通貨の展開などを視野に入れている。

 

高島屋<8233>、発酵惣菜など食品子会社のフードアンドパートナーズを貝印に譲渡

2020-04-17

高島屋は、食品や食関連商品の製造・販売子会社のフードアンドパートナーズ(東京都港区。売上高4億7700万円、営業利益△1億3100万円、純資産1億6100万円)の全保有株式66.3%を共同出資相手である貝印(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。2015年に設立以来、発酵惣菜の店舗展開のほか、おせちや中元・歳暮商材などの卸売事業に取り組んできたが、小売事業の不調が響き、赤字が続いていた。譲渡価額は4000万円。譲渡予定日は2020年5月29日。

高島屋は事業改善に向けて売場の絞り込みなどを進めてきたが、卸売主体の事業転換になお時間を要すると判断、合弁先の貝印に経営を委ねることにした。貝印は刃物(包丁、はさみなど)で知られるほか、キッチンウエア(料理道具)、ビューティーケア用品、製菓用品などの製造・販売を手がける。

 

BuySell Technologies<7685>、バンクからリユース品即時買い取りアプリ「CASH」事業を取得

2020-04-16

BuySell Technologiesは、インターネットビジネス開発・運営のバンク(東京都渋谷区)から財布、バッグ、スマートフォンなどリユース品の即時買い取りアプリ「CASH」に関する事業を取得した。BuySellは出張買い取りを中心に事業展開しているが、新たにリユース品買い取りのアプリ市場に参入する。対象事業の直近業績、取得価額などは非公表。「CASH」のサービス開始は2017年6月。

BuySellは月間2万件を超える出張訪問の査定依頼に応じている。50代以上のシニア富裕層が約75%を占め、その多くが自宅整理や遺品整理、生前整理に関するという。アプリを通じた即時買い取りをサービスメニューに加えることで、シニア層以外の顧客獲得や取り扱い商材の拡大につなげる。

 

アキレス<5142>、シューズ輸出入の香港子会社「崇徳有限公司」を譲渡

2020-04-15

アキレスは、香港子会社の崇徳有限公司(売上高6900万円、営業利益△5300万円、純資産1億5400万円)の全株式を第三者に譲渡することを決めた。崇徳は1991年設立で、中国にある傘下の広州崇徳鞋業有限公司(広東州広州市)が生産するシューズ製品の輸出入を手がけてきた。しかし、広州崇徳鞋業は労務費の高騰などで業績が低迷し、2016 年にシューズ製品の生産を終了。新規事業への転換を模索してきたが、事業継続が困難と判断した。譲渡先、譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2020年4月下旬。

 

前田道路、535億円の特別配当を可決|都内で臨時株主総会

2020-04-14

前田道路は14日、都内で臨時株主総会を開き、総額535億円(1株あたり650円)の特別配当を実施する議案を可決した。今回の特別配当は前田建設工業によるTOB(株式公開買い付け)への対抗措置と位置づけていたが、TOBはすでに3月12日に成立し、前田建設が持ち株比率を従来の25%から51%に引き上げて前田道路を子会社化。前田建設は多額の資金流出につながる特別配当に反対の立場だったが、過半数の賛成を得た。

特別配当を受け取れる株主の基準日は3月6日。配当総額は535億7308万8400円。前田建設のTOB成立は基準日の後(決済開始日は3月19日)であるため、配当総額の4分の3にあたる約400億円が連結ベースで社外に流出することになる。

前田建設は1月21日に、持ち分法適用関連会社の前田道路に対してTOBを開始した。買付価格は1株3950円。これに対し、前田道路は対抗策として2月20日に総額535億円の特別配当を臨時株主総会に諮る計画を、さらに同27日に同業最大手のNIPPOとの資本業務提携に向けた協議開始を発表するなどTOBへの対抗姿勢を鮮明にしていた。

 

ありがとうサービス<3177>、今治デパート傘下で飲食店経営のエージーワイを子会社化

2020-04-13

ありがとうサービスは13日、今治デパート傘下で香川県、福岡県、大分県で喫茶店、レストランを経営するエージーワイ(愛媛県今治市。売上高5億9300万円、営業利益△1260万円、純資産△1830万円)の全株式を取得し子会社化したと発表した。2020年2月1日付。フードサービス事業拡大の一環。

ありがとうサービスは四国、九州でブックオフやモスバーガーなどのフランチャイジー(加盟店)事業を展開している。取得価額は非公表。

 

 
 
 

情報提供:株式会社ストライク

「休廃業・解散」動向調査(2020年3月公開分)

 

 

 

◇福井県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業・解散」は327件で2年ぶりに増加
~「倒産」と「休廃業・解散」がともに増加したのは2012年以来、7年ぶり~

※詳細はこちら

 

◇宮崎県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業・解散」 件数は「倒産」 件数の12.6倍
~「休廃業・解散」事業者の売上高合計は約139億円~

※詳細はこちら

 

◇熊本県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業・解散」 3年ぶりに増加へ転じる、前年比21.8%増の347件
~ 「休廃業」は252件、過去10年間で3番目の水準 ~

※詳細はこちら

 

◇滋賀県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業・解散」は183件で5年ぶりに増加
~業歴50年以上の企業が4割、地区では大津が最多~

※詳細はこちら

 

◇奈良県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業・解散」は233件、2年連続で減少
~ 2009年以降で「休廃業」は最少、「解散」は最多となる ~

※詳細はこちら

 

◇富山県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業・解散」の発生倍率は全国5位の高水準
~ 「倒産」と「休廃業・解散」ともに前年比増加 ~

※詳細はこちら

 

◇新潟県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

「休廃業」 「解散」ともに前年比減少
~「休廃業・解散」の合計は632件、3年連続の減少~

※詳細はこちら

 

◇兵庫県「休廃業・解散」動向調査(2019年)

2019年の休廃業・解散は880件
~ 企業倒産件数の1.8倍 ~

※詳細はこちら

 

 

 

 

 

 

情報提供元(出所):株式会社帝国データバンク

[解説ニュース]

不動産の売買契約中に買主に相続があった場合の評価

 

〈解説〉

税理士法人タクトコンサルティング(髙木 駿/公認会計士・税理士)

 

 

[関連解説]

■介護施設等に入所後、相続が発生した場合の居住用財産の譲渡所得と相続税の取扱い

■介護施設で亡くなった場合の相続税の小規模宅地等の特例

 

1.相続税計算における評価上の問題点


土地や建物の売買契約締結後、その契約に係る引渡しが未了の状態で買主に相続が開始した場合、相続税の計算上、相続人が取得することとなる相続財産の種類が何であるのか(不動産か債権(不動産の引渡請求権)か)、さらにはその評価額はどのように算定するのかが問題になります。

 

相続税法あるいは財産評価基本通達では、土地や建物の売買契約締結後引渡前に買主に相続が発生した場合の取扱いについて特段の明文規定等はありません。

 

 

2.現行の実務の取扱い


現行の実務は、平成3年1月11日付国税庁資産税課情報第1号(以下「情報」という。)の取扱いに基づき、被相続人である買主に係る相続税の計算上、被相続人から取得した財産及び承継した債務の種類の判定、そしてその財産及び債務の評価を行っています。今回は「情報」の取扱いについて、設例を用いて解説します。

 

(1)原則的な取扱い

買主に相続が開始した場合に相続人が取得した財産は、売買契約に係る土地や建物の引渡請求権とし、その評価額は売買契約に基づく土地や建物の取得価額(売買代金)の金額となります。また、その一方で相続人が承継した債務は、相続開始時における残代金支払債務とし、その額は売買契約に基づき、被相続人たる買主が負担することとなっている売買代金や仲介手数料その他経費で、相続開始の時における未払相当額となります。

 

設例の場合のように、買主である被相続人が6,000万円で土地を購入する売買契約を締結し、手付金600万円を支払った後、引渡前に相続が発生した場合は、6,000万円の土地の引渡請求権を課税財産として計上する一方で、未払となっている残代金5,400万円を債務控除の対象とします。

 

(2)特例的な取扱い-その1

売買契約日から相続開始日までの期間が通常の売買の例に比較して長期間であるなど、上記(1)の取得価額の金額が相続開始日における土地や建物の引渡請求権の価額として適当でない場合には、別途個別に評価した価額によります。

 

(3)特例的な取扱い-その2

買主に相続が開始した場合において、上記(1)にかかわらず、売買契約により取得する土地や建物を相続財産とする申告をすることも認められます。なお、この場合における土地や建物の価額は、財産評価基本通達により評価した金額となります。

 

この特例的な取扱いにより、設例の場合には、取得する財産を「土地」として、その評価額を4,000万円として申告することも認められます。一般的には、土地については売買代金よりも路線価等で評価した相続税評価額の方が低くなるケースの方が多いため、特例的な取扱いの場合の方が相続税上は有利になることが多いと思われます。

 

ただし、「情報」の(注)4では、「当該特例的な取扱いによる課税処分が訴訟事件となり、その審理の段階で引渡し前の相続財産が「土地等」であるとして争われる場合には、相続財産が「土地等」であるとしてもその価額が当該売買価額で評価すべきである旨を主張する事例もあることに留意する。」との記載がありますので注意が必要です。

 

 

3.小規模宅地等の特例の適用の可否


「情報」においては、上記2.(3)のとおり、土地の売買契約締結中に買主の相続が発生した場合における買主の相続財産を「土地」として申告することも認められています。この場合にその土地につき、小規模宅地等の特例の適用が受けられるかどうかについて「情報」では特に言及していません。私見では、被相続人である買主は相続開始直前において土地を所有しているものとして取り扱われることになるため、その土地が小規模宅地等の特例の適用要件を充足した場合は特例を適用することが可能であると考えますが、相続開始直前における被相続人等の居住の用及び事業の用に供していたのかという判定等には慎重な判断が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

税理士法人タクトコンサルティング 「TACTニュース」(2020/04/20)より転載