Q-9 M&Aでは複数の相手から譲渡先を選ぶようなこともできますか?

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Q-9 M&Aでは複数の相手から譲渡先を選ぶようなこともできますか?|3分でわかる!M&Aのこと【解説コラム】
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今後、ますます活用が進んでいくであろうM&Aについて、できるだけわかりやすくQ&A形式で解説するコラムを掲載することにしました。ぜひご一読ください!
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Q-9 M&Aでは複数の相手から譲渡先を選ぶようなこともできますか?
A
基本、多くの相手先の中からM&A仲介会社等を通してマッチングが行われます。その中から売り手・買い手のおよその希望の範囲の会社から少数の相手先に絞られてきます。そこから先は、M&A仲介会社・相手先との交渉の流れについて主導権を握ることが実はとても大切なのです。
M&Aの流れについてはQを改めて解説しますが、下記のような形が基本です。
(1)意向表明
(2)トップ面談
(3)デューデリジェンス
(4)基本合意
(5)詳細交渉
(6)本契約
(7)クロージング
場合により、(1)と(2)が逆になる場合、(3)と(4)が逆になる場合があります。
また、どの段階で金額提示をするかについてもさまざまなケースがあり、(1)で行う場合、(2)でそれとなく伝える場合、(4)で行う場合等々さまざまです。
その上で、本題の「複数の相手から譲渡先を選ぶようなこともできるか」についてですが、もちろん可能です。上記の(1)~(4)のいずれかのフェーズにおいて、「排他的独占交渉権」というものが買い手に付与されることになります。そこまではいくつかの選択肢があるということになります。
日本のM&A仲介会社においては、M&Aのディールを円滑に進めるべく、基本的には上記(1)の段階で「排他的独占交渉権」を買い手に付与したい旨の打診があるのも通常です。
しかしながら、M&Aの世界は、売り手・買い手のパワーバランス(売り手市場か、買い手市場か)により、その力学が変わってきますので、例えば、誰もが欲しがる業態で収益性も見込める会社の譲渡であれば、この「排他的独占交渉権」を買い手に付与するのを、かなり後ろ倒しにすることも検討可能です。
筆者の経験で言えば、この「排他的独占交渉権」を買い手に付与するのを(6)の段階まで後にした例もあります(かなり強気な交渉です!!)。
つまり、複数の相手に財務諸表・事業計画を提出し、瑕疵内容を全開示した上で、かつ、表明保証等詳細にわたる本契約条項も買い手に提示してもらった上で(残す交渉事項がほとんどない状態で)、買い手に「独占的交渉権」を付与したケースです。
いずれにせよ、全てがパワーバランスの中で決まるものとご理解いただければと思います。
(執筆:税理士 高井 寿)
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高井 寿(たかい ひさし)
高井国際税務会計事務所 代表税理士 東京税理士会世田谷支部副支部長
2002年税理士登録、経営品質協議会認定アセッサー、CFPファイナンシャルプランナー、経営計画策定、国内及び国際タックスマネジメント、事業・資産承継、組織再編・連結納税、MAが専門。財団法人日本民事信託協会代表理事。
(著書等)「連結納税マニュアル(税務研究会)」「営業権の実務」(税務通信(税務研究会))、「経理システムと税務」「寄付金課税の問題点」(ともに税務弘報(中央経済社))、「資産家・事業家税務コンサルティングマニュアル」(税務研究会)
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