Q:顧問先から「譲渡後も顧問を継続してほしい」と事前に相談された時の対応は?
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顧問先からのM&A相談対応Q&A(入門編)
本連載は、顧問先のM&Aの疑問に答える税理士の視点で解説してきます。
Vol.6 Q:顧問先から「譲渡後も顧問を継続してほしい」と事前に相談された時の対応は?
A:
まずは、顧問先がM&Aを検討するに至った背景や希望を確認したうえで、M&A後も顧問契約を継続することを希望している旨を仲介会社などの関係者に早い段階で共有してもらうことが重要です。
M&A後の顧問契約は、譲渡先となる買手企業の意向にも左右されるため、顧問先から希望された時点で継続が決まるわけではありません。
そのため、早い段階から顧問継続の希望を共有し、買手にとっても既存の顧問税理士が関与するメリットを理解してもらうことが大切です。
<解説>
① まずは「なぜM&Aを検討しているのか」を確認する
顧問先から「M&A後も顧問を続けてほしい」と相談された場合、いきなり顧問継続の方法を考えるのではなく、まずM&Aを検討している背景を確認することが重要です。
後継者がいない、経営から離れたい、会社をさらに成長させたいなど、M&Aを検討する理由はさまざまです。
また、M&Aの話がどこから来たのか、すでに仲介会社などに相談しているのかによっても、その後の対応は変わります。
税理士としては、顧問先の意向を確認したうえで、必要に応じてM&Aの専門家への相談を促すなど、初期段階から適切な関係者につなぐことが重要です。
② 「顧問契約を継続してほしい」ではなく「買手にとってのメリット」を整理する
M&A後の顧問継続を希望する場合、その希望をそのまま受け入れるのではなく、買手企業にとって既存の顧問税理士が関与するメリットを整理することが重要です。
既存の顧問税理士には、
・過年度の会計・税務処理を把握している
・会社固有の取引や経理処理を理解している
・経営者との長年の関係がある
・M&A前後の数値変化や経緯を説明できる
といった強みがあります。
こうした情報や経験は、買手企業にとってM&A後の会計・税務体制をスムーズに整えるうえで役立つ場合があります。
そのため、顧問先から相談を受けた際には、顧問契約を継続すること自体を目的とするのではなく、買手企業にとって既存の顧問税理士が関与するメリットを整理しておくことが重要です。
③ 仲介会社と早い段階から共有する
M&Aの検討が進み、買手候補との交渉が始まってから顧問継続を相談するのではなく、顧問先から希望を聞いた段階で、M&Aを担当する仲介会社などにその意向を共有しておくことが重要です。
買手候補を探す段階から既存顧問税理士の存在や役割を理解してもらうことで、M&A後の関与についても話し合いやすくなります。
また、買手企業の経理体制や会計方針によっては、従来と同じ業務内容・条件での継続が難しい場合もあります。その場合は、税務顧問に限らず、会計・税務面で必要な部分を継続して支援するなど、買手のニーズに応じて関与方法を検討することも選択肢です。
M&A後の顧問継続は、売手企業の希望だけで決まるものではありません。顧問先から事前に相談を受けた場合には、その希望を早期に共有し、買手にとっても既存顧問税理士が関与するメリットを整理しておくことが、M&A後の継続的な関与につながります。
【今回のポイント】
・顧問先から事前に相談された場合は、まずM&Aを検討する背景や希望を確認する。
・顧問契約を継続すること自体を目的とせず、買手にとって既存顧問税理士が関与するメリットを整理する。
・顧問継続の希望は早い段階から仲介会社などの関係者と共有し、M&A後の関与方法を検討する。
【著者】
株式会社たすきコンサルティング 代表取締役 森田 修
【プロフィール】
代表取締役 森田 修
1974年生まれ、大阪府出身。清風高等学校を卒業後、日本大学文理学部を経て、東洋大学大学院経済学研究科を修了。2004年に税理士登録。事業会社での実務経験を積んだ後、株式会社エスネットワークスにて株式公開コンサルティングなどに従事。
2005年に株式会社たすきコンサルティングを設立し、代表取締役に就任。以降、M&A・組織再編コンサルティングを中心に、税務・労務・株式公開支援など幅広い分野にわたりサービスを展開。グループ全体で約1,000社の企業と取引実績を持つ。
実務に裏打ちされた高い専門性と現場目線のアドバイスに定評があり、特に中小企業の経営支援において豊富な実績を誇る。剣道錬士六段の腕前も持ち、ビジネスと武道の両面で研鑽を重ねている。
