Q-22 M&Aにかかる期間として目安はありますか?
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Q-22 M&Aにかかる期間として目安はありますか? |3分でわかる!M&Aのこと【解説コラム】
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今後、ますます活用が進んでいくであろうM&Aについて、できるだけわかりやすくQ&A形式で解説するコラムを掲載することにしました。ぜひご一読ください!
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Q-22 M&Aにかかる期間として目安はありますか?
A
M&Aは、買い手が見つかればすぐに終わる、というものではありません。相手が決まったのに、そこからなかなか前に進まない、ということも実際にはよくあります。ではなぜ時間がかかるのでしょうか。上場しているM&A仲介会社の開示を見ると、平均成約期間は6〜7か月程度とされています。ただこれは成約まで至った案件の平均で、実際の期間は規模や業種、スキームによって、数か月のこともあれば1年を超えることもあります。
そのため、質問に対する回答としては、数か月から1年を超えることもある、ということになりますが、M&Aにかかる期間を左右しているのは、相手が見つかるかどうかよりも、もう少し別の部分にあるようです。そのため、まずはM&Aの流れを簡単に振り返りながら、時間を要する理由を探っていきたいと思います。
1.M&Aの全体の流れ
M&Aは、大きく、(1)事前検討・準備、(2)マッチング・交渉、(3)契約締結の3つの段階に分けられます。(1)では、売り手が方針を固めて資料を整え、買い手は買収の方針やシナジーを検討します。(2)では、買い手候補との間で秘密保持契約(NDA)を結び、トップ面談を経て基本合意に進みます。(3)では、買い手によるデューデリジェンス(DD=詳細な調査)を受けて、最終契約を結び、クロージングに至ります。こうして並べてみると、「相手を探す」のは(2)の一部にすぎないことがわかります。実際のスケジュールはその前後で売り手・買い手の双方が進める作業の積み重ねで決まってきます。
2.時間がかかるのは、売り手・買い手それぞれの準備
時間が延びやすい場面は、売り手側と買い手側の両方にあります。売り手側でポイントになるのは、(3)のDDに耐えられる組織体制になっているかどうかです。DDは、買い手が会社の中身を細かく調べる、いわば身体測定のようなものです。月次決算が遅かったり、借入金や経営者保証、主要な契約や事業に必要な許認可等がきちんと管理されていなかったりすると、買い手は正しい収益力も実質的な純資産も十分に判断できません。その結果、追加の資料依頼や価格の再交渉が必要となり、結果として交渉に時間がかかります。
一方、買い手側にも事情があります。DDひとつとっても、依頼する専門家(公認会計士や弁護士など)の選定や契約、調査項目の検討等、着手するまでに意外と日数がかかります。資金面では、自己資金で賄えるなら比較的早く進みますが、借入による場合は金融機関の審査に時間を要します。買収についての社内の承認手続きにも、それなりの日数が必要です。また、DDでは財務面だけでなく、契約や許認可、係争の有無といった法務面の確認も行われ、規模の大きい案件では、これに加えて独占禁止法などの対応が必要になることもあります。
3.ただし、早ければよいというわけでもない
とはいえ、とにかく早いほうがよいかというと、そうとも言い切れません。売り手の立場からすると、買い手が同業他社の場合には、DDを通じて顧客別の売上や粗利、価格条件、技術情報といった、本来は社外に出したくない内部情報まで見られてしまう心配があります。経済産業省の「企業買収における行動指針」でも、目的の正当性が疑われる例として、競合他社が情報収集を目的に買収を持ちかけるケースが挙げられています。
一方で、買い手の立場からも急いで雑なDDをするのは禁物です。簿外債務や偶発債務を見落とすと、買収した後に思わぬ負担を抱えることになりかねません。
売り手は機微な情報を段階的に開示し、買い手は資金の裏付けや社内の承認状況を適時に示す。こうしたやりとりを丁寧に進めるほうが、結果として早く進みます。
最後に
結局のところ相手が決まっても話が進まないのは、売り手・買い手それぞれの準備がどこまで整っているか、によるところが大きいのだと思います。売り手は、いつ見られても問題のない数字を、買い手は、資金と社内の合意の段取りを。M&Aにかかる時間は、相手が見つかるまでの時間というよりも、双方が実際に動ける状態になるまでの時間だと考えると、わかりやすいのではないでしょうか。そこを早めに整えておくことが、結果的には近道になるはずです。
(執筆:税理士・公認会計士 風間啓哉)

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風間啓哉(かざま けいや)
税理士・公認会計士(風間会計事務所 代表)
2005年公認会計士登録、2010年税理士登録。
監査法人にて監査業務を経験後、上場会社オーナー及び富裕層向けの各種税務会計コンサル業務及びM&Aアドバイザリー業務等に従事。その後、事業会社㈱デジタルハーツ(現 ㈱デジタルハーツホールディングス:東証プライム)へ参画し、同社取締役CFOを経て、同社非常勤監査役(現任)を経験。2018年から会計事務所を本格的に立ち上げ、現在に至る。
(著書等)『PB・FPのための上場会社オーナーの資産管理実務(三訂版)』『資産家・事業家 税務コンサルティングマニュアル』(共著、税務研究会)、『ケーススタディ M&A会計・税務戦略』(共著、金融財政事情研究会)
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