中小企業の経営者の方々の事業承継やM&Aの疑問や不安にお答えする新シリーズ「中小企業経営者の悩みを解決!「M&A・事業承継 相談所」」。
第4回目のテーマは『M&Aの株式価値評価と自社株の相続税評価の違いは何でしょうか?』です。ぜひご覧ください。
[解説]
株式会社ストライク
【税務研究会よりおすすめM&Aセミナーのお知らせ】
【Live配信】オンラインセミナー
~セミナー後も1週間のアーカイブ視聴が出来ます~
中小企業をサポートする税理士等の専門家、事業会社のM&A担当者の方におすすめです。
-M&Aの実務経験がない方にもおすすめの講座ですー
~M&Aの全体像と流れを理解する、売却価格最大化のための準備、必要書類の理解~
●主導的な立場として顧問先をサポートできるようにするため、M&A実務の一連の流れ、M&Aにおける各プレーヤーの役割について解説し、税理士としてどのように中小企業のM&Aをサポートすべきか、また、他の専門家とどのように連携しM&Aを進めていくのかをお考えいただきます。
●売手の企業から求められることの一つは「売却価値の最大化」です。その実現のためにまず準備しなければいけない「IM(Information Memorandum)の作成」と、「セルサイドDD(デューデリジェンス)の実施」について、実務上のポイントを実例を交えてわかりやすく解説します。
●「NDA、意向表明書、基本合意書、SPAとは?」「M&A実務で出てくる契約書について関与先から説明やアドバイスを求められたら?」など、皆さまのギモンを解消すべくその実務上の留意点をポイントを絞って解説します。
●資料のサンプルやケーススタディを用いて分かりやすく説明いたします。
※定員に達し次第、締切となります。お早めにお申し込みください。
[セミナー内容]
1.事業承継M&Aについて
(1)日本のM&A市場の推移
(2)日本の事業承継の現状
(3)M&AアドバイザーとM&A仲介者の違い
2.M&Aの全体プロセス
(1)M&Aの実務手順
(2)各プロセス詳細
3.各プレーヤーの役割
(1)M&A実行中の役割
(2)M&A実行前の役割
4.売却価値最大化のための準備
(1)事業承継ケーススタディ
(2)セルサイドDDについて
(3)IM作成の要点
5.M&Aにおける必要書類の理解
(1)Teaser
(2)NDA(秘密保持契約)
(3)LOI(意向表明書)
(4)MOU(基本合意書)
(5)SPA(株式譲渡契約)
(開催日時)2021年2月5日(金)14:00-15:40
(講師)中村悠太(GCAサクセション株式会社 執行役員)
(受講料)無料
(主催)株式会社税務研究会
~基本手法の理解、売却目線を提示する際の初期型バリュエーション、事例検討~
●M&A実務で活用するバリュエーション(価値評価)の基本手法について、その評価手法ごとの違いを、事例を交えて解説します。売却価格算定の基本的な考え方を理解することを目指します。
●「M&Aで売却した際の売却価格はどのように決めるのか?」「相手先から提示された譲渡金額は妥当なのか?」「価値算定の手法はどれを採用すべきなのか?」「実際の事業承継型M&Aではどのようなバリュエーション(価値評価)が採用されているのか?」など、皆さまのギモンに実務経験豊富な専門家が解説いたします。
※定員に達し次第、締切となります。お早めにお申し込みください。
[セミナー内容]
1. バリュエーションの基本概念
(1)事業価値、企業価値、株式価値
(2)継続価値と清算価値
(3)支配権プレミアム、マイノリティディスカウント
(4)非流動性ディスカウント
2. バリュエーションの基本手法
(1)市場株価比較法
(2)類似取引比較法
(3)DCF法
(4)純資産法
3. 売却目線を提示する際の初期的バリュエーション
(1)事業が安定期にある場合
(2)事業が成長期にある場合
(3)事業が衰退期にある場合
(4)換金可能資産が多い場合
(5)土地等の含み益がある場合
3. 事例検討(案)
(1)評価手法により価値が大きく異なるケース
(2)買い手により評価が異なるケース
(3)運転資本の負担が大きいケース
(開催日時)2021年3月25日(木)14:00-15:40
(講師)草深文理(公認会計士・税理士/GCAサクセション株式会社 部長)
(受講料)一般19,800円、会員17,600円/税込み、テキスト代込み ※無料クーポン対象講座
(主催)株式会社税務研究会
~実務で活用できる資料「勘定科目別・財務税務デューデリジェンスの要点チェックポイント」プレゼント!~
●デューデリジェンスの基本的な目的を理解したうえで、特に中小企業のオーナー会社を対象としたM&Aで実施される財務税務デューデリジェンスの留意点について解説します。
●実際のDDの成果物であるDDレポートの構成を確認するとともに、DDにより検出された事項への対応として、契約書や売却価格、スキームへの反映方法について理解を深めていただいます。
●「顧問先の経営者からDDの作成を求められたら」「顧問先の経営者から財務DDについて詳細な説明を求められたら」「中小企業ではどの程度のDDを実施すべき」など皆さまのギモンに実務経験豊富な専門家が解説します。
※定員に達し次第、締切となります。お早めにお申し込みください。
[セミナー内容]
1.DD総論
(1)DDの目的
(2)DDの内容
(3)DDにおける留意事項
(4)財務税務DDの調査項目
2.財務税務DDレポートの構成
(1)導入部分
(2)重要総括事項
(3)会社概要
(4)損益計算書分析
(5)貸借対照表分析
(6)税務分析
3.検出事項毎の対応(契約書、価値評価への反映等)
(1)DDとM&A契約書
(2)DDとValuation
(3)DDとPMI
(4)ディールキラー
4. オーナー企業を対象としたDD実施時の留意点
(1)ガバナンス・内部統制・資料整備
(2)オーナー関連取引
(3)資料依頼
(4)インタビュー実施
5. 事例検討
(1)財務税務DDの演習
(2)DDの発見事項の対応
「財務税務DDの演習」で使用する資料を事前に配布いたします。
(開催日時)2021年4月22日(木)14:00-15:40
(講師)香取武志(公認会計士/GCA FAS株式会社 パートナー)
(受講料)一般19,800円、会員17,600円/税込み、テキスト代込み ※無料クーポン対象講座
(主催)株式会社税務研究会
~実務で活用できる資料「オーナー企業M&Aにおけるスキーム検討の勘所」プレゼント!~
●オーナー企業M&Aの特有なリスクを整理したうえで、事業承継型M&Aで活用しやすいスキームと、スキーム選択のポイントを、実例(例題)を交えて解説します。
●「DDでリスクが顕在化されたがどのようなスキームを採用するべき?」「株式譲渡と事業譲渡との違いは?」「一部事業を譲渡する場合に検討すべきスキームとは?」など皆さまのギモンに実務経験豊富な専門家が解説します。
※定員に達し次第、締切となります。お早めにお申し込みください。
[セミナー内容]
1. M&Aスキームの基本的な理解
(1)株式譲渡と事業譲渡の違い
(2)会社分割+株式譲渡スキーム
(3)その他M&Aスキームとしての組織再編
2.スキームを活用したオーナー企業特有リスクの遮断
(1)M&Aにおけるオーナー企業特有リスクとは
(2)組織再編によるリスク遮断
(3)活用例が増えてきた表明保証保険と令和3年度改正で創設された「中小企業事業再編投資損失準備金」制度の活用可能性
3.税務効率向上の観点からのスキーム選択のポイント
(1)役員退職金の有効活用
(2)承継対象外資産の切り分け
(3)含み損実現による将来キャッシュフローの改善
(4)事業承継税制を活用したM&Aによる資産承継
4.例題を活用したスキーム毎の税額比較
(1)役員退職金の支払+株式譲渡
(2)非適格分社型分割+株式譲渡
(3)適格分割型分割+株式譲渡
(4)非適格株式交換、移転
「例題を活用したスキーム毎の税額比較」で使用する資料を事前に配布いたします。
(開催日時)2021年5月27日(木)14:00-15:40
(受講料)一般19,800円、会員17,600円/税込み、テキスト代込み ※無料クーポン対象講座
(講師)小林正紀(公認会計士・税理士/GCA税理士法人 代表社員)
(主催)株式会社税務研究会
【税務研究会よりおすすめM&Aセミナーのお知らせ】
買手企業の財務経理・経営企画部門担当者のためのM&A実務講座
「PPAにおける無形資産評価の実務」(全2回シリーズ)
~セミナー後も1週間のアーカイブ視聴が出来ます~
〈特典〉PPAの実務チェックポイント資料をプレゼント!
●M&Aに買手企業として携わる企業の財務経理・経営企画部門等の担当者に向けて、PPA及び無形資産評価の実務について、ポイントを絞ってわかりやすく解説します。PPAの概要、無形資産の認識要件や具体的な算定評価手法といった実務上の論点に加え、M&Aを行った企業の担当者がPPAを進めるにあたってどのような点に留意すべきか、事例等も交えながら解説します。
●「PPAが業績に与える影響をどれくらい?」「PPAの手続きをスムーズに進めるポイントとは?」「無形資産として認識すべきポイントの見極め方とは?」「PPAに関する説明を社内で求められたら?」など、皆さまのギモンや課題を解消すべくその実務上の留意点を解説します。
●受講者特典として、実務で活用できる資料「PPAの実務チェックポイント」をプレゼントいたします。
※定員に達し次第、締切となります。お早めにお申し込みください。
[セミナー内容]
1.PPAの概要
(1)PPA(Purchase Price Allocation)とは
(2)時価評価の対象となる資産・負債
(3)M&AプロセスにおけるPPAの位置付け
(4)PPA手続きにおける関係図
2.無形資産の認識
(1)無形資産の認識要件
(2)IFRS及び国内基準におけるのれん・無形資産の取扱い
(3)認識される無形資産の例
(4)無形資産認識の具体例
3.無形資産の測定
(1)無形資産測定におけるポイント
(2)評価の基本となる考え方・イメージ
(3)代表的な算定手法
(4)測定における前提条件
4.実務において留意すべきポイント
(1)PPAの仕訳と数値例
(2)経済的耐用年数の設定
(3)のれんと無形資産の償却費
(4)無形資産が計上されないケース
5.まとめ
(1)講義を通して解説した事項の総括
(2)質疑応答、よくある質問
(開催日時)2021年2月25日(木)13:30-15:30
(講師)大和田寛行(公認会計士・税理士/株式会社Stand by C)
(受講料)一般19,800円、会員17,600円/税込み、テキスト代込み
(主催)株式会社税務研究会
〈特典〉資料データ(説明スライド及び演習用のエクセル)
「IFRSを意識した復習用の演習エクセルファイル」プレゼント!
●PPAを進めるに際して、担当者がどのような準備をしておくべきかについて解説し、代表的な評価手法であるロイヤリティ免除法と超過収益法の計算演習を通じて無形資産評価の基礎を学んでいただきます。
●エクセルでの演習を通じて、PPAの計算がどのように行われるかを体感して頂きます。PPAは様々な要素が組み合わさって計算されるため、エクセル演習で自ら手を動かして頂くことがPPAの計算を理解して頂く第一歩になれば幸いです。
●受講者特典として、資料データ「PPA実務で活用できるエクセルファイル」をプレゼントいたします。
※定員に達し次第、締切となります。お早めにお申し込みください。
[セミナー内容]
1.PPAを進めるに際して準備しておく事項
(1)プロジェクト前に準備しておく資料
(2)PPA実施に際して必要となる資料・データ
(3)キックオフ時に考慮しておくべきこと
2.計算演習
(1)ロイヤリティ免除法
(2)超過収益法
(3)解説
3.まとめ
(1)講義を通して解説した事項の総括
(2)質疑応答、よくある質問
※Excel2010以降が使用可能なPCをご準備ください。演習で使用するデータファイルをご登録されたメールアドレスに事前にお送りいたします。受講前にご確認をお願いいたします。
[事前事例検討]
●「M&Aのクロージング後にPPAを実施するか否はどのように判断すべきと考えますか?」
●「業歴が浅い会社を買収した場合、PPAが必要かどのように判断すべきと考えますか?」
●「PPAのキックオフではどのような事項を確認すべきでしょうか?」
※参会者の皆様の講義の理解度を高めていただくために「事前検討事例」をご用意しております。個別回答の返却や、参加者による当日の発表等はございませんが、予めご覧いただくことをお勧めいたします。
(開催日時)2021年3月17日(水)13:30-16:00
(講師)角野崇雄(公認会計士・税理士/株式会社Stand by C)
(受講料)一般19,800円、会員17,600円/税込み、テキスト代込み
(主催)株式会社税務研究会
事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。
今回は、「持続化給付金・家賃支援給付金の収益計上時期」についてです。
※このページでは「質問」のみご紹介いたします(回答は本文ページにてご覧ください)
[質問]
持続化給付金、家賃支援給付金の収益計上時期についてご教授ください。
今期申請を行い、決算をまたいで翌期に給付決定がなされ、入金がなされる場合、どちらの期で益金算入すべきでしょうか。
法人税基本通達2-1-42を準用してよいと判断したのですが、①事実があった(月売上が50%以上下がった)期に概算計上するべきものなのか、②支給決定があった日の属する事業年度で益金算入すべきなのか読み切れず、教えていただけると助かります。
持続化給付金は実際の経費の支出を前提としていないため②に該当し、家賃支援給付金の場合は家賃の支払いを前提としているので①に該当するのか①でよいのかと、考えている次第です。
「ZEIKEN LINKS(デジタル冊子版)」を発行いたしました。
本ページより、冊子PDFをダウンロードできます。ぜひ、M&A実務のご参考にご覧ください。
なお、本冊子は税務通信または経営財務の紙版をご購読の方には、2020年12月末に発送の綴じ込み台紙とともにお届けいたします。
●上の画像をクリックして、冊子PDFをダウンロードしてください。
[内容]
■特集1「わかりやすい‼ はじめて学ぶM&A誌上セミナー」
清水寛司/公認会計士・税理士(株式会社アカウンセル/アカウンセル税会計事務所)
■特集2「M&A担当者のための実務活用型誌上セミナー『税務デューデリジェンス』」
長野弘和/公認会計士・税理士(税理士法人LINK)
■令和3年4月 事業引継ぎ支援センターが新しくなります!
■用語の意味がわかりやすい‼ M&A用語入門解説
■マッチングサイトを活用したスモールM&A~年商1,000万円から2億円までのM&Aの現場から~
今村仁/税理士(ビジネスサクセション株式会社/マネーコンシェルジュ税理士法人/一般社団法人スモールM&Aアドバイザー実践会(SMAP))
[税務研究会主催セミナーのご案内]※12月中旬より募集を開始予定です。
◆事例を検討しながら理解する「中小企業の事業承継型M&Aのノウハウ講座」全4回シリーズ(2/5~)
◆「PPAにおける無形資産評価の実務」全2回シリーズ(2/25~)
【税務研究会がお届けするオンラインセミナーイベントのお知らせ】
[タイトル]
マッチングサイトを使った会計事務所が携わるべき「スモールM&Aビジネスの始め方」
[講師]
ビジネスサクセション株式会社/マネーコンシェルジュ税理士法人
一般社団法人スモールM&Aアドバイザー実践会(Smap)
代表税理士 今村 仁 氏
[日時]
2020年12月11日(金)11:20~12:00
[受講料]
無料
ZEIKEN BRIDGE特設ページよりお申込みください。
https://www.zeiken.co.jp/zeikenbridge2020/
1.スモールM&A業界が活況なワケ
①今や3社に1社が経営者「70歳以上かつ後継者未定」
②政府発表「第三者承継支援総合パッケージ」とは?
③ガイドライン改訂の経緯
④仲介手数料に補助金支援!?
⑤少子高齢化、意識の変化、金融緩和、政治の変化で案件増加!(コロナの影響は?)
2.ネットを使ったお相手探しは本当にうまくいくのか
①今まで廃業しか選択肢がなかった年商6千万円の会社が売れる!?
②ポイントは、「ネットの使い方」と「トラブル防止」
③毎年10件以上、現在41件成約の秘密大公開!(ネットの流儀)
④だから、会計事務所(税理士事務所)の本来業務にすべきなんです!
⑤スモールM&Aの仕組みを知れば、廃業先が新規顧問先に!
3.3つの諦め(あきらめ)ご存知ですか?
①国の諦め
②M&A業界の諦め
③小規模企業の諦め

日本税理士会連合会(以下、日税連)が2018年10月より運営を開始した「担い手探しナビ」。
中小企業の一番の相談役であり関与先企業の実情も理解している顧問税理士が、関与先企業の承諾を得たうえで、案件登録や検索、案件への問合せ対応を進めていくのが本サイトの大きな特徴。税理士のみに利用を制限しているため、掲載を依頼する中小企業も安心して依頼できる。今回は、日本税理士会連合会 中小企業対策部長の瀬戸順一氏に、「担い手探しナビ」の利用状況や利用方法についてお話をお伺いしました。
――:「担い手探しナビ」とはどのような目的で運営を開始したサービスなのでしょうか。
瀬戸:今、我が国において中小企業の円滑な事業承継の実施が喫緊の課題となっていますが、日税連中小企業対策部では、2017年5月に「事業承継に係る取り組みについて」という文書を取りまとめまして、その中で、顧問税理士主導による事業承継を実現するための施策の検討・実施が必要であること、そして、その具体的な施策として、第一に事業承継に関する研修等の実施・充実、第二に事業承継に関する会員同士のネットワークの構築、第三に関係団体等との事業承継に係る連携を提言しました。
このうち第二の事業承継に関する会員同士のネットワークというのが、まさに現在の「担い手探しナビ」に当たりますが、中小企業等の事業承継において後継者不在が大きな課題となっていますので、全国の税理士が窓口役となり、狭い地域に制限することなく、関与先の事業承継を推進するためのプラットフォームを提供しようという狙いから、事業承継サイトの構築を検討することとなりました。
当時、2017年4月から北陸税理士会の管内で事業承継サイト「担い手探しナビ」の運用が始まっていましたので、この仕組みを参考にして、2018年10月に全国版の「担い手探しナビ」の運用を開始しました。
利用にあたっては、税理士であれば、利用申請していただくことでどなたでもご利用いただけるものとなっています。現在、全国で約6,200名(正確には10/23時点で6,153)の会員に担い手探しナビをご利用いただいていますが、今後は更に多くの会員にご利用いただき、積極的に活用いただくことで顧問税理士主導による円滑な事業承継支援を実現するための重要なプラットフォームとして引き続き運用していければと考えております。
――:それでは、「担い手探しナビ」とはどのようなサービスなのでしょうか。また、他のM&Aマッチングサイトがいくつもありますが、それらのサイトとの違いはありますか。
瀬戸:担い手探しナビは、顧問税理士が窓口となって、関与先企業のマッチングを図るためのプラットフォームであり、税理士であれば利用申請することで無料で利用することができるものとなっています。
関与先企業が後継者難で困っている場合に、無料という観点から気軽に案件を登録、探索してみるなどの提案ができることはメリットの1つかと思います。
また、日々顧問税理士という立場で中小企業等に伴走し支援しているからこそ、企業の内情は当然熟知しておりますので、案件登録する場合なども、経営者が一から細かく事業内容等の説明や財務書類を用意する必要もなく、経営者自身で民間企業等へ依頼することに比べると、非常に簡易に後継者探索をできることもメリットだと考えています。
担い手探しナビの利用は税理士に限定されておりますので、サイト内の情報の秘匿性も高く、必ず税理士が窓口として存在している点でも、安心できるものになっていると思います。
――:「担い手探しナビ」の使い方を具体的に教えていただけますか。
瀬戸:関与先企業が「担い手探しナビ」への登録を希望する場合、税理士がサイトに掲載することについての「確認書」を取得し、経営者と相談の上、サイトにノンネーム情報(※1)で案件を登録します。企業名は表示されず、簡易な情報で登録することができます。登録できる案件について、個人や法人、企業の規模、承継までの希望期間といった制限などもありません。
※1 ノンネーム情報:情報漏洩リスクを踏まえ、社名が特定されない範囲で対象会社の情報を纏めた情報。
案件の登録にあたっては、担い手探しナビトップページから簡単に行うことができます。[案件を登録]を選択すると案件作成ページが開きますので、関与先企業と相談のうえ各項目を記載いただきます。登録時の必須項目は、区分(譲渡し/譲受け)、案件タイトル、案件詳細、業種、企業の地域のみで、その他の項目は任意で記載することが可能です。

また、案件の検索も、案件の登録同様にトップページから区分や業種、企業の地域といった条件を指定して検索することが可能となっています。
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その中で、気になる案件が見つかれば税理士から関与先企業に提案・相談をし、案件を登録した税理士に連絡を取りたいとなった場合には、「担い手探しナビ」のサイト内からメッセージを送ることができるようになっています。こうして顧問税理士が窓口となり、関与先企業同士のマッチングを図ります。
――:「担い手探しナビ」に登録されている案件数などの利用状況を教えていただけますでしょうか。
瀬戸:担い手探しナビには、2020年10月27日現在、譲渡し93件、譲受け118件の案件が登録されています。あくまでも日税連では会員が関与先企業のマッチング支援するための場を提供しているにすぎず、案件の詳細まで関知しているものではありませんが、業種、地域ともに全国幅広く登録されているものと思われます。
担い手探しナビに利用登録している会員の数は、先に申し上げました通り、全国で約6,200名(正確には10/23時点で6,153)です。案件に対する問合せは、案件を登録した税理士へ直接連絡がいくようなスキームとなっておりますので、日税連では分かりかねますが、担い手探しナビ内での成約件数は、北陸税理士会が独自で運用していた頃から合わせると、これまで計9件の成約があったと把握しています。
ただ、これは案件を登録した税理士自身が、サイト内で案件の進行状況のステータスを「成約済」とした件数のため、成約に至るまでの流れや詳細などは分かりません。
――:「担い手探しナビ」をご利用されている税理士の方からはどのような反応がありましたでしょうか。
瀬戸:個別の反応までは中々分からないのですが、成約案件のうち1件の成約事例については、私が個人的に繋がりのある税理士が担当していた案件だったので内容をお聞きすることができました。
この案件は「担い手探しナビ」の中でマッチングしたのではなく、「担い手探しナビ」に案件を登録したものの、最終的には、その税理士の別の関与先企業へ事業承継が行われたという事例です。とはいえ、税理士から関与先企業に対して「担い手探しナビ」を紹介したことで、経営者が自社の将来についてどのように考えているか、どうしたいかを対話するキッカケとなり、まさに「担い手探しナビ」への案件の登録が、事業承継の掘り起こしに繋がったと聞いています。
日税連としては、顧問税理士主導による中小企業の事業承継の推進を目的としておりますので、このようなサイトの活用の仕方も非常に有効かつ素晴らしい事例だと考えています。昨年(2019年)11月には、その税理士にご協力いただき、日税連中小企業対策部が実施した研修会の場で事例を紹介していただきましたが、生の事例ということで非常に好評でした。
――:「担い手探しナビ」を利用するにあたっての注意点などはありますでしょうか。
瀬戸:「担い手探しナビ」は、あくまでも税理士が関与先企業の後継者探索を支援するための仕組みになりますので、案件の交渉などは税理士が個別に対応することとなります。日税連や税理士会では、税理士が事業承継支援に際して他の専門家から支援を受けることができるよう、事業引継ぎ支援センター、中小企業再生支援協議会、弁護士会といった地域支援機関との連携を進めているところです。
――:「担い手探しナビ」の利用を開始するにはどのような手続きが必要でしょうか。
瀬戸:所属の税理士会会員専用ページから利用申請していただく必要があります。その際、税理士証票に記載されている証票番号と登録番号、ご自身のメールアドレスを入力すると、「担い手探しナビ」の初回ログイン時に必要となる仮パスワードがすぐに発行されます。

担い手探しナビは税理士であれば無料で利用することができますので、譲渡しや譲受けの案件がない方でも、まずは情報収集という観点からサイトをご覧になっていただければと思います。
――:最後に、税理士の方々へのメッセージをお願いします。
瀬戸:現時点では関与先企業に事業承継のニーズがないため、自分には関係ないと思われる方もいるかもしれませんが、事業承継には少なくとも5年程度はかかると言われており、事前に税理士が「担い手探しナビ」による支援も視野に入れて利用申込をしておくことは、関与先企業に提供できる支援の種類を増やすことにも繋がります。まずは一度、「担い手探しナビ」をご覧いただき、税理士が主導して中小企業の事業承継を支援していくための準備をしてみてはいかがでしょうか。
特に、「担い手探しナビ」は、利用者が増えるほどサイト内に集まる案件も増え、関与先企業同士のマッチングの可能性も高まってきます。個人的には、今年度中に1万件の利用申込みを目指したいと考えていますが、まだこのサイトの存在自体を知らないという方も少なくありません。税理士証票さえ用意すればすぐに利用できますので、是非、多くの方々に申込みをしていただければと思います。
――:ありがとうございました。
[取材先概要]
日本税理士会連合会 中小企業対策部
所在地:東京都品川区大崎1-11-8 日本税理士会館8階
URL:https://www.nichizeiren.or.jp/
[掲載希望募集中]
ZEIKEN LINKSでは、インタビュー記事の掲載を希望するM&A専門会社(M&A仲介会社、M&Aアドバイサリー会社、M&Aマッチングサイト、税理士法人、弁護士法人、金融機関など)を募集しております。
ご希望の会社様は下記アドレスまで、お気軽にお問合せください。
お問合せ先:links@zeiken.co.jp
【ZEIKEN LINKS(ゼイケン リンクス) 閲覧回数ランキング】
(集計期間 2020/11/01~2020/11/30)
1位 PPA(Purchase Price Allocation)の基本的な考え方とは?[経営企画部門、経理部門のためのPPA誌上セミナー]
2位 コロナ禍における飲食店の売上高や今後の考察。[新型コロナウイルスに関するM&A・事業再生の専門家の視点]
3位 【Q&A】解散をした場合の役員退職金の支給について[税理士のための税務事例解説]
4位 【Q&A】解散に際して支払われる役員退職金の課税関係[税理士のための税務事例解説]
5位 【Q&A】持続化給付金と家賃支援給付金の未収計上について[税理士のための税務事例解説]
6位 【Q&A】居住用財産の譲渡に係る3,000万円控除から住宅ローン特別控除への特例選択の変更の可否適用を受けることの可否
7位 WACC、IRR、WARAと各資産の割引率の設定とは?[経営企画部門、経理部門のためのPPA誌上セミナー]
8位 支配権プレミアム&流動性ディスカウントについて[M&A担当者のための実務活用型誌上セミナー『価値評価(バリュエーション)』」
9位 M&A関連費用の取扱い[伊藤俊一先生が伝授する!税理士のための中小企業M&Aの実践スキームのポイント]
10位 「事業デューデリジェンス(事業DD)」とは?[氏家洋輔先生が解説する!M&Aの基本ポイント]
※Webセミナーの閲覧、Q&A解説の全文閲覧、資料ダウンロード等には、会員登録(無料)が必要です。
会計事務所様へ、ZEIKEN LINKS(株式会社税務研究会)に、小さな会社で後継者不足でお困りの貴所顧問先様をご紹介ください。
年間売上1,000万円から2億円程度の小さな会社では、後継ぎ探し等を依頼できるM&A仲介会社が少なく、その対応に苦慮されている会計事務所様も多いのではないでしょうか。また、これまでM&Aに携わったご経験も少なく顧問先にどのように対応すべきか判断に悩むケースも多いのではないでしょうか。
ZEIKEN LINKSでは、そのようにお困りの会計事務所様や向けに、当社提携のM&Aアドバイザーとともに、貴所顧問先様の後継ぎ探しをサポートいたします。
まずはお気軽にご相談(お問合せ)ください。
※後継ぎ探し(M&Aの成約)を確約するサービスではございません。予めご了承ください。
●年間の売上高1,000万円~2億円程度の会社
(対象エリア:全国)
※日本国外の会社はお受けできません。
※反社会的勢力、または反社会的勢力と繋がりがあると思われる会社はお受けできません。
※お申込みの状況により対応をお待ちいただく場合やお断りする場合がございます。
※当社または当社提携会社がお受けするに相応しくないと判断した場合はお受けできません。
●会計事務所様は無料
※顧問先様(譲渡希望企業様)には、業務依頼先である当社提携会社に成約手数料等をお支払いいただきます。
※出張を伴う訪問を要する場合は、実費交通費を頂く場合がございます。
●顧問先様から「従業員と取引先が継続できた」「廃業より手残りが増えた」と感謝されることが多いです。
●顧問先様(譲渡企業企業様)が支払う費用が、大手M&A仲介業者の数分の1であるため、顧問先様に紹介しやすい。
●ご紹介の顧問先様が成約された際に、当社提携会社より貴所にご紹介料をお支払いします。
①お問合せフォームへのご記入
お問合せフォームにて、ご相談の案件内容についてお聞かせください。
②面談による打合せ
当社より、メールまたはお電話にて、面談日時調整のご連絡をいたします。面談(オンラインを含む)では、ご相談の案件情報についてお伺いいたします。また、本サービス内容についてもご説明いたします。
※今後、具体的にご相談いただく場合は、貴所と提携アドバイザーの間で顧問紹介契約を締結いただきます。
③貴所顧問先のご紹介(M&Aアドバイザリー業務契約の締結)
貴所の顧問先様をご紹介いただきます。当社提携会社より顧問先様にM&A支援サービス等に関するご説明をいたします。サービス内容にご納得いただいたうえで、顧問先様に当社提携会社とのM&Aアドバイザリー業務契約を締結していただきます。
※必要に応じて、貴所ご担当者様もご同席ください。
④後継ぎ探し(マッチング)
ノンネームシート(社名が特定されない範囲で対象会社の情報をまとめた資料)を作成し、当社提携会社のネットワークやウェブサービスを活用した相手先探しを行います。
※必要に応じて、貴所と連絡を取りながら進めさせていただきます。
⑤買手希望企業のオファーの受け入れ、質問対応、トップ面談
買手企業からの申し出をご判断いただき、受け入れるようであれば実名を公表して買手企業に詳細情報を開示し、質問のやり取り、トップ会談等を行います。
⑥基本合意(仮契約)、買収監査(デューデリジェンス)対応
条件面を確認し基本合意(仮契約)を結びます。
その後、買手企業からの買収監査(デューデリジェンス)を対応します。
⑦譲渡契約の締結(ご成約)
譲渡契約を締結し、M&Aが成約します。
ご成約後、貴所顧問先様より、当社提携会社に成約手数料をお支払いいただきます。
※当社提携会社によりましては基本合意(仮契約)時等に中間報酬を頂戴する場合がございます。
※貴所顧問先様からのご入金後、貴所に紹介手数料をお支払いいたします。
※法律事務に関する業務は含まれません。法律事務に関するサービスを必要な場合は弁護士をご紹介いたします。その他、基本サービス以外のサービスを希望する場合は別途料金が発生する場合があります。
※サービス内容の詳細や料金は、当社提携会社より異なる場合がございます。ご契約前に当社提携会社提示の案内書等をご確認ください。
※本ページの情報は2020年11月30日現在の情報です。予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
Q、依頼できる会社の規模はどれくらいですか?
年間の売上高が1,000万円から2億円程度の規模の譲渡企業が対象となります。なお、この規模の会社であっても、会社の状況等によりお受けできない場合もございます。予めご了承ください。
Q、赤字や債務超過の会社でも依頼することはできるのでしょうか?
赤字や債務超過の会社もお受けいたします。ただし、赤字や債務超過の状況によりお受けできない場合もございます。予めご了承ください。
Q、個人商店なども依頼することはできますか?
個人商店等もお受けいたします。ただし、会社の状況等によりお受けできない場合もございます。予めご了承ください。
Q、東京都内、大阪府内の会社に限るとありますが、他の地域の会社は受付けてもらえないのしょうか?
現在、受付けているのは東京都内、大阪府内に本社所在地のある会社に限らせて頂いております。ただし、東京都、大阪府に隣接する地域では対応可能な場合もございます。まずごは相談ください。
対応エリアを全国に拡大いたしました。(2021年7月更新)
Q、このサービスを受けた場合に、譲渡希望企業が支払う費用について教えてください。
M&Aアドバイザリー業務料として、以下の料金を譲渡希望企業様より弊社提携のM&A専門会社にお支払いいただきます。※以下はすべて税別
①中間報酬として、基本合意時に「20万円」
②成功報酬として、最終契約時に「承継対価×10%+100万円」
※上記②の金額が200万円未満の場合は200万円、上記②の金額が1,000万円超の場合は1,000万円
※承継対価総額は、事業の引継ぎに伴い受領する承継対価以外にも退職金や役員借入金の返済・配当等すべて含めて算出します。
Q、財務デューデリジェンスや企業価値評価、企業概要書の作成のみを依頼することはできますか?
財務デューデリジェンス、企業価値(事業価値)評価、企業概要書の作成のみのご依頼も受付けております。ご希望の場合は、お問合せフォーム「通信欄」にご希望の依頼業務をご記入のうえ、ご連絡ください。
Q、中小零細企業の経営者ですが、サービスを申込むことはできますか?
中小零細企業の経営者からの直接のご相談やお申込みも受付けております。お気軽にお問合せください。
Q、どのような専門家(専門会社)がサポートしてくれるのでしょうか?
年間平均5~6件以上のスモールM&A実績のある経験豊富な専門家(専門会社)がサポートいたします。
Q、どのようなサービスを受けられますか?
ノンネームシートの作成、企業概要書の作成、売却スキームの検討、M&Aサイトへの登録、相手探し、買い手企業との面談サポート、買収監査対応、最終契約の締結立ち合いなどです。
※法律事務に関する業務は含まれません。法律事務に関するサービスを必要な場合は弁護士をご紹介いたします。その他、基本サービス以外のサービスを希望する場合は別途料金が発生する場合があります。
Q、紹介した顧問先が譲渡された場合、会計事務所との顧問契約は継続されるのでしょうか?
譲渡企業の事業がこれまで通りに進むように、譲渡企業の事業をよくご理解されている会計事務所との顧問契約を少なくとも数年間は継続するケースが多いように思います。また、当社提携会社からも譲受企業には顧問先を継続するように促します。ただし、最終的には譲受け企業様のお考えによることになります。
Q、当社(会計事務所)がすることは何かありますか?
決算資料のご準備等でのご協力をお願いいたします。また、顧問先様からご相談される場合も多いかと思いますので、顧問先様の良き相談役としてサポートして頂けるとありがたいです。
●ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せください。
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事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。
今回は、「父から相続した建物を父の事業に従事していた者に低額譲渡した事例に対するみなし贈与課税の適用について」についてです。
※このページでは「質問」のみご紹介いたします(回答は本文ページにてご覧ください)
[質問]
個人で診療所を経営している甲医師(以下「甲」という)は、甲の叔父が所有している土地を賃貸借契約して賃借し、その土地に建物を建て、診療所を経営していました。土地の賃貸料は安く相当の地代に満たないそうです。
甲は2月に病気になり入院したため休診にしていましたが、病気が完全に治るという可能性がないこと、また甲の子も医師ですが、甲の診療所を利用して開業する意思がないため、甲は廃業して建物を解体する予定でした。しかし4月に病状が急変し死亡しました。
相続人になる甲の子(以下「乙」という)も、建物を解体しようと考えていましたが、甲の診療所に勤務している従業員の子で、他の病院に勤務している勤務医がおり、従業員と勤務医をしている子が乙に診療所を承継したい旨を話すと、乙も快諾しました。乙としても建物を解体しても費用がかかること、また廃業するためにはいろいろな面倒な手続きがあること、また承継を望んでいる従業員の子の開業の助けになればと考えたそうです。
診療所の建物は、診療所専用で鉄筋造りの2階建てで、総床面積は600㎡です。入院設備はありません。
建物の固定資産償却額は6,000万円ですが、乙は診療所を承継してもらえるならと500万円で譲る考えです。
乙に対しては建物の相続税評価額6,000万円に対して、また借地権に対して相続税が課税されますがその課税については了解しています。
500万円という値段については、甲が生前に入院中、他人からもし診療所を廃業して建物を売却する考えがあれば500万円で売ってほしいという話がもとになっているようです。
この建物を有効に活かせる人から見れば3,000万円あるいは4,000万円の値段がつくかもしれません。
乙と従業員は親族関係にはなく他人のため、固定資産税評価額6,000万円の建物と借地権を500万円で売却しても従業員に対してみなし贈与は発生しないと考えますが、いかがでしょうか。
また、みなし贈与以外に何か課税上問題が発生するでしょうか。
なお、建物の帳簿価額は6,400万円です。
[用語の意味がわかりやすい!M&A・事業再生・企業再生 用語入門解説]
事業再生・企業再生の金融支援・再生手法・破産清算に関する用語入門解説が追加されました。
<追加用語>
特例リスケとは、新型コロナウイルスの影響を受けて売上高が減少している等一定の場合に、既存の借入に最大1年間返済猶予を行う特例支援である。従来のリスケであれば、事業計画の策定を行い、事業改善の見通しがある場合にのみ実施されていたが、特例リスケでは、このような条件はなく、コロナの影響で業況が悪化した事業者の当面の資金繰りを確保する目的で実施されるため、事業者としては使い勝手の良い制度である。支援の窓口は中小企業再生支援協議会となっている。
リスケジュールは、リスケとも呼ばれ返済期限を延長するなど返済条件を変更することによる金融支援である。債務の減免を伴わないため、基本的には資金繰りや事業面での支援であり、財務面の改善効果は期待できない。従って一時的な事業の下振れが生じた場合など、比較的財務面の傷みが小さい早期再生の場面で実施されることが多い金融支援である。事業再生の実務で最も活用されている手法がリスケジュールである。
DDS(デット・デット・スワップ)は、債権者が債務者に対して有する既存の貸付債権を他の貸付債権に劣後する、劣後ローンに変更する再生手法である。一定の貸付債権を通常ローンから劣後ローンにすることにより一定期間返済の猶予を受けることができ、資金繰りが安定する効果がある。再生企業にとっては債権放棄と比較すると効果は限定的であるが、金融機関にとっては自己査定において、劣後ローンを資本とみなすことができる等のメリットがあるため利用される手法である。
DES(デット・エクイティ・スワップ)は、既存債務を株式に転換する再生手法である。DDSと異なり、決算書上も負債が資本に振り替わるため、負債が減少し、自己資本が充実することから、債権放棄に近い抜本的な再生手法であるといえる。ただし、DESを導入する場合には、会社法上のさまざまな手続が必要となるため、種類株式の設計等を含め、弁護士、公認会計士および税理士等の専門家を交えて協議することが必要となる。
債権放棄とは、債権者が債務者に対して債権の一部を放棄する手法である。再生手法として最も一般的で理解のしやすい方法である。法的整理手続において策定される再生計画(または更生計画)は、直接債権放棄を内容とすることが一般的である。しかし、私的整理においては、債権者側の金融機関にとって税務上費用処理できないリスクがあり、再生企業にとっても債務免除益課税の問題が発生するため、あまり活用されない手法である。
サービサーは(債権回収会社)は、金融機関等から不良債権のような回収が困難な債権の買取りと、管理・回収を主な業務とする金融サービス会社である。サービサーは、債権の買取り金額よりも再生企業からの回収額を増やすことで利益を獲得する仕組みとなっている。
事業再生の場面においても、金融機関からの借入金がすでにサービサーに売却されており、バンクミーティングにも金融機関は出席せず、サービサーが出席するケースも存在する。
金融機関が返済可能性に応じて融資先を格付けしたもので、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に分かれる。各金融機関が金融庁の金融検査マニュアルや独自の信用リスク格付け制度などに基づき、自主的に定めている。金融機関は、これらの区分に応じて貸付先企業への対応を決めている。赤字が続くなど経営成績が好ましくない状況であれば要注意先等にランクダウンとなり、新規の融資が難しくなる等の対応がなされるケースが多い。
プロラタ方式とは、「比例配分できる(Proratable)」の略称で、企業が複数の金融機関から借入をしている場合に、返済額を借入残高等に応じて比例的に決めて返済する方式のことである。このような方式がとられるのは、リスケの際に複数の金融機関の間で不公平が生じないようにするためである。会社更生や民事再生等の法的整理の場合は、債権放棄の金額(割合)を、総債権額から担保権(別除権や更生担保権)によって担保された債権額を控除した金額を基準として、プロラタ方式により決定することが一般的である。私的整理の場合は、債務者と債権者間および債権者相互の私的な話し合いの中で、金融支援が決定されるものであるため、必ずしも法的整理と同様の方法がとられるわけでなく、担保権を考慮しない純粋な借入残高プロラタ方式を用いられる場合や、金融機関によって割合に差を設ける場合等がある。
中小企業の場合、金融機関からの借入について、経営者が連帯保証となっていることが一般的である。また、経営者以外の第三者が連帯保証となっているケースも存在する。保証人に資力がある場合、金融機関からの金融支援がなされる際には、保証人の保証履行の検討は必要となる。経営者責任の観点からも私財提供等の保証責任の履行は必須となる。一方で、保証人に資力がなく、保証履行が見込めないことが明らかである場合には、債権放棄をするにあたって、同時に保証を解除するというケースが多い。
日常的に使用する倒産という言葉は、法律用語ではない。一般的には、債務者が弁済期にある債務の弁済ができなくなり、そのために経済活動を続けることができなくなった状態を倒産という。具体的には以下の6項目のいずれかに該当すると認められた場合を倒産と定め、これが事実上の倒産の定義となっている。
①2回目の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けたとき
②不渡りや法的整理によらず、任意の整理を行ったとき
③裁判所に会社更生法の適用を申請したとき
④裁判所に民事再生法の手続き開始を申請したとき
⑤裁判所に破産の申請をしたとき
⑥裁判所に特別清算開始の申請をしたとき
破産手続きは、清算型法的倒産手続きであり、自然人または法人等について、支払い不能または債務超過という破産原因がある場合に、利害関係人の申し立てにより裁判所の決定で開始される手続きである。債務者が経済的に破綻した場合、その総資産を換価・処分し、これを配当原資として総債権者にその優先順位と債権額に応じて配当することを目的とする。また、破産した債務者の財産の適正かつ公平な清算を迅速に図り、債権者、債務者その他の利害関係人の利害、および権利関係を適切に調整するとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的としている。
特別清算手続きは、会社法に規定される清算型の倒産手続きであり、清算中の株式会社について、清算の遂行に著しい支障をきたすべき事情、または債務超過の疑いがある場合に、裁判所の命令により開始され、その監督の下で行われる特別の清算手続きをいう。
会社が、合併、破産以外の事由で解散すると清算手続に入り、清算手続を経た後会社の法人格は消滅する。しかし、清算の遂行に著しい支障をきたすべき事情や債務超過の疑いがある場合、通常の清算手続では、公正な清算手続の遂行に支障が生じる恐れがある。そこで、会社の全財産を換価し、全債権者へ公平な分配を行うため、通常の清算手続に比べ強い拘束力を持つ特別清算手続により、清算手続が行われることとなる。
DIPファイナンスとは、民事再生法、会社更生法等の事業再生の手続申立後から手続終結までの間に行う融資をいう。その手法には、民事再生手続等の申立直後から計画認可決定までの期間において、再生会社等が運転資金を調達できず事業の継続が困難となった場合に、この事業の価値を維持させる一時的な運転資金を融資するケースと、再生計画等の認可決定以降に、再生計画等実施に必要となるリストラ資金の融資、設備投資に向けた中長期の融資、再生計画実施中の別除権の買い取りなどを含むケースがある。一般的にDIPファイナンスは、事業再生の手続き申立時の借入よりも優先して返済をすることとなる。
偏頗弁済とは特定の債権者のみに弁済したり担保を提供したりする行為のことである。通常事業再生において、公平性の観点から、金融機関等の債権者への返済をストップするタイミングは同一の日に揃える必要がある。返済をストップするタイミングを超えて特定の債権者にのみ返済をすることは他の債権者との間で公平性に反するため、事業再生の返済計画等で、その特定の債権者への返済は偏頗弁済した金額について遅らせる等の対応をするケースが多い。