『失敗例から学ぶM&A』についての解説記事がアップされました。
新連載『会計事務所の事業承継・M&Aの実務』の第2回目は、『失敗例から学ぶM&A』です。
後継者問題でお悩みの会計事務所の所長先生にぜひお読みいただきたい解説記事です。
[解説]
辻・本郷税理士法人 辻・本郷ビジネスコンサルティング株式会社
黒仁田健 土橋道章
[用語の意味がわかりやすい!M&A・事業再生・企業再生 用語入門解説]
事業再生・企業再生の手順・進め方(プロセス)・関係者・デューデリジェンスに関する用語入門解説が追加されました。
<追加用語>
事業再生とは、ターンアラウンドや企業再生とも呼ばれており、事業に行き詰まる等様々な要因で資金繰りに窮している企業が、金融機関や取引先等の債務者の協力の下、資金繰りの改善や、損益の改善を行うことで、財務的に健全な企業を目指すプロセスのことである。事業再生には法的整理と私的整理がある。法的整理では、会社更生および民事再生が再建型法的整理と呼ばれ、いずれも事業再生の一種である。法的整理でない事業再生は私的整理と呼ばれる。
事業再生には法的整理と私的整理がある。法的整理では、会社更生および民事再生が再建型法的整理と呼ばれ、いずれも事業再生の一種である。法的整理でない事業再生は私的整理と呼ばれる。私的整理手続きには、①私的整理に関するガイドライン、②RCC企業再生スキーム、③中小企業再生支援協議会スキーム、④事業再生ADR、⑤企業再生支援機構等があり、再生企業の置かれた状況や、債務者の性質等により、どの手続きを利用するかを選択する。
事業再生が始まるタイミングは、法的整理や、どの私的整理手続きを行うかで厳密には異なるが、一般的には、再生企業が事業に行き詰まる等様々な要因で資金繰りに窮して、金融機関への借入金の返済が難しい状況となったタイミング、または金融機関への借入金の返済ができない見通しとなったタイミングである。
事業再生のプロセスで最も重要なポイントは、どのプロセスでも資金ショートすることがないように常に資金繰りを把握することである。その上で、プロセスとしては、まず現状の企業の実態の把握を行う。一般的には専門家によるデューデリジェンスと呼ばれる調査が行われ、事業面や財務面の観点から現状の調査をし、窮境原因を把握する。企業の実態を把握した上で、窮境原因の除去を織り込んだ事業計画を策定する。金融機関に対してはデューデリジェンスの終了時点および事業計画の策定時点で報告を行う。事業計画が承認されると、計画を実行することとなる。
事業再生の関係者は、株主、債権者、取締役、従業員、顧客、外部アドバイザー等である。株主や債権者は財務的なステークホルダーであり、主要な関心は再生価値の最大化となる。中でも事業再生計画の承認の可否の権限をもつ債権者である金融機関は、再生企業にとって非常に重要なステークホルダーとなる。金融機関に承認をもらえるよう外部アドバイザーである専門家と二人三脚で事業再生計画を策定することとなる。取締役や従業員は雇用の維持についての利害関係となる。
事業再生は、財務デューデリジェンスや事業計画の策定を支援する公認会計士等の財務面での専門家、事業デューデリジェンスや事業計画の策定を支援する中小企業診断士等の事業面での専門家が登場する。財務面も事業面も会計系のコンサルティング会社が行う場合もあり、ケースバイケースとなっている。一部の私的整理や民事再生、会社更生等の法的整理であれば、これらに弁護士が加わる。事業再生にはこれらの専門家が必要不可欠となる。
事業再生手法は、主にリスケジュール、DDS(またはDES)、債権放棄、第二会社方式等である。リスケジュールは、返済期限を延長するなど返済条件を変更することによる金融支援である。DDSは、債権者が債務者に対して有する既存の貸付債権を他の貸付債権に劣後する、劣後ローンに変更する再生手法である。DESは、既存債務を株式に転換する再生手法である。
デューデリジェンス(DD)は一般的に、その対象とする分野に応じて3つのカテゴリに分けられることが多い。1つは企業組織、生産・販売活動、研究開発活動等の調査などを対象とする事業DD、2つ目は、企業の法的基本事項、重要な契約の内容、係争事件等の法的事項の調査などを対象とする法務DD、3つ目は、企業の経営成績や財政状態、金融取引や資金繰りの状況等を調査する財務DDである。これらのDDは、事業DDは事業系コンサルティングファームや中小企業診断士、法務DDは弁護士、財務DDは監査法人や公認会計士等が実施する。企業の実態を明らかにし、窮境の原因を突き止めるとともに、金融機関等の利害関係者への共有を目的に行われる。
事業再生における財務デューデリジェンス(DD)は現状の財政状態を把握する手続きとして、会社および金融機関にとって重要な手続きである。主な調査項目は、実質債務超過、正常収益力、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)、過剰債務金額、債務償還年数、保全の状況、税務上の繰越欠損金である。財務デューデリジェンスにて、これらの項目を正確に把握し、再生企業の実態として金融機関に報告し、事業再生計画の検討に役立てる。
事業再生における事業デューデリジェンス(DD)は、自助努力による事業改善がどの程度できうるか、すなわち事業の見立てが中心となる。事業デューデリジェンスにおける主な調査項目は、基本情報、外部環境、内部環境、SWOT分析、今後の方向性である。この中でも特に重要な論点は、窮境原因の把握、内部環境分析、そして分析の結果と最終的な事業再生計画との整合性である。事業デューデリジェンスの実施段階で、仮説を立て、再生のイメージを大まかにつかむことも重要である。
事業再生における事業計画案の策定では、財務デューデリジェンスや事業デューデリジェンスにて把握した企業の実態をベースに、事業再生計画の骨子を検討する。事業再生計画の骨子には、デューデリジェンスで把握した窮境原因を除去、あるいは改善する施策を入れることとなる。事業計画の数値面は主に損益計算書計画、貸借対照表計画、キャッシュ・フロー計画からなる。これらのほか、タックスプランや金融機関への返済計画等必要に応じて別途作成する必要がある。なお、数値計画では満たすべき基準があり、専門家を交えて策定することが望ましい。
事業再生において対象債権者から金融支援を受ける前提として、経営者が責任をとることが求められる。私的整理ガイドラインではこれについて、「対象債権者の債権放棄を受けるときは、債権放棄を受ける企業の経営者は、退任することを原則とする」と規定されている。一方で、中小企業再生支援協議会スキームにおいては、「対象債権者に対して金融支援を要請する場合には、経営者責任の明確化を図る内容とする」とされ、債権放棄に限定されておらず、退任の原則を規定していない。
このような状況下で、中小企業の再生を考える上では、上記のような形式的な考え方が適切であるとは言えず、実態にもそぐわない。よって、経営者責任は、会社を窮境に至らせた責任が経営者にあるか否か、事業再生計画成立後の再生企業の経営にその人物が必要不可欠か等を総合的に勘案して決定されることが多い。
事業再生において対象債権者から債権放棄を受ける場合、経営者だけでなく株主も相応の責任をとるべきことは当然である。私的整理手続きでは、債権放棄を伴う場合は株主責任の明確化を求めている。しかし、中小企業の再生を考える上では、経営者責任と同様に、株主責任についても柔軟な対応が必要となるケースが多い。中小企業では株主と経営者が一体であることが多いため、株主を一掃すると取引先等から信用を失うことにより事業自体が毀損してしまうケースも考えられる。よって、経営者責任と同様の考え方で、窮境原因に関与した経営者に関する株主責任は求める一方で、窮境原因に関与していない一族の株式は残す等、ケースにより柔軟な対応がなされている。
事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。
今回は、「特例経営承継期間中に事業が立ち行かなくなった場合の取扱い」についてです。
※このページでは「質問」のみご紹介いたします(回答は本文ページにてご覧ください)
[質問]
① 特例経営承継期間中に会社が破産した場合、納税が猶予されている相続税と利子税を併せて納付する必要がありますが、会社破産と共に、納税者個人も破産した場合、納税が難しいと思われますが、納税はどうなるのでしょうか。また、相続税の連帯納付義務は適用されるのでしょうか。
② 特例経営承継期間の経過後に、事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合において、会社について解散した場合、解散時の非上場株式等の相続税評価額が0円であった場合は、納税が猶予されている相続税と利子税は全額免除されると考えて宜しいのでしょうか。
また、解散時の非上場株式等の相続税評価額が500万円であった場合で、他の財産がないと仮定した場合、相続税本税と利子税の納付はどうなりますか。
株式会社ストライク主催の会計事務所向けのM&Aセミナーをご紹介いたします。
平成30年度税制改正で創設された事業承継税制(特例措置)の認定申請件数は従来の事業承継税制( 一般措置)に比べて約10倍となっています。本セミナーでは、同制度の適用に当たっての判断ポイントや実際の適用事例をご紹介いたします。そのほか、近年多くの会計事務所が取り組んでいる関与先のM&A支援事例を紹介し、今後の事務所経営に差をつけられる情報をお届けします。
「税理士が知っておくべき事業承継対策」
税理士法人タクトコンサルティング
代表取締役社長 山田 毅志 氏
「事務所経営に差をつけるM&A支援ノウハウ」
株式会社ストライク
代表取締役社長 荒井 邦彦
無料(無料登録制)
11月17日(火)※ライブ配信 13:00~14:30
11月26日(木)※録画配信 13:00~14:30
11月29日(日)※録画配信 9:30~11:00
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事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。
今回は、「事業を譲り受けた場合に営業権の計上について」です。
※このページでは「質問」のみご紹介いたします(回答は本文ページにてご覧ください)
[質問]
下記の場合の営業権の考え方についてご教示ください。
1. 前提
A社:株主Bが100%保有
C社:株主Bが100%保有
他にも株主Bが保有する会社が数社あります。
業種は小売業で多数店舗展開しています。
C社は毎期500万円前後の経常利益を計上しています。
2. 店舗の譲渡を検討
今回、C社の保有している店舗をすべて(2店舗)A社に譲渡することにしました。これはA社とC社は営業地域(関西)が同じ場所にあるからであり、譲渡後C社は清算する予定です。
3. 営業権の計上の可否
A社・C社は株主が同一のため計上は必要ないと考えています。
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