• 2021.10.04
  • その他のお知らせ

事業承継のお悩み解決に事業承継・引継ぎ支援センターの活用を【独立行政法人 中小企業基盤整備機構 事業承継・再生支援部より】

独立行政法人 中小企業基盤整備機構 事業承継・再生支援部

 

 

[目次]

1. 事業承継・引継ぎ支援センターの概要と支援内容について

(1)事業承継ネットワークを通じた事業承継ニーズの掘り起し

(2)第三者承継支援

(3)親族内承継支援

(4)事業承継時の経営者保証解除支援

2.事業承継・引継ぎのための手順について

(1)相談のタイミング

(2)顧問税理士との連携

3.相談窓口について、相談方法について

(1)各地の事業承継・引継ぎ支援センター

(2)構成機関の相談窓口

(3)センターでの相談方法

4.終わりに

 

 

 

1. 事業承継・引継ぎ支援センターの概要と支援内容について


事業承継・引継ぎ支援センター(以下「センター」)は、令和3年4月に事業承継ネットワークと事業引継ぎ支援センターが統合して新たにスタートした公的機関で、事業承継全般の相談にワンストップで対応し、内容に応じて適切な支援を行う相談窓口である。センターの最大のミッションは、事業承継の重要性は理解しているが、日常の経営課題の対応に忙殺されて、事業承継を先延ばしにしている中小企業経営者に事業承継の重要性についての気づきを与え、承継に積極的に取り組んでいただくことである。センターの主な活動、支援内容は次の(1) 〜(4)である。特に、センターは公的機関であるため「公正・中立・秘密厳守」に忠実であり、このことは中小企業経営者に事業承継を安心して推進していただくためには大変重要と思われる(センターによくある相談事例は図1参照)。

 

 

 

 

 

 

(1)事業承継ネットワークを通じた事業承継ニーズの掘り起し
各道府県には「事業承継ネットワーク」が設置されている。同ネットワークの主な構成機関は自治体のほか、地域金融機関、商工会・商工会議所等の商工団体、士業団体、公的支援機関等である。各構成機関は自組織の会員や取引先等に「事業承継診断」を実施し、事業承継に関する準備の重要性を経営者に知っていただくこと、また準備を早めに開始するよう経営者の背中を押すお手伝いをしている。
センターではエリアコーディネーター(以下「エリアCO」)を通じてその「事業承継診断」で浮き彫りとなる課題の解決に関して構成機関と共に取り組んでいる。エリアCOは必要があれば、経営者と直接面談をし、センターへの取次ぎを行っている。具体的にいうと、(2)〜(4)で掲げる第三者承継支援等への橋渡しなどである。なお、令和2年度の事業承継診断実績は全国で16万2千者となっている。

 

(2)第三者承継支援
センターは、事業承継診断等に基づく課題整理をし、後継者不在の経営者へのアドバイス、従業員承継もしくは第三者承継の支援をしている。後継者不在企業に対して、譲受の意向のある企業の探索並びに最終契約に至るまでのサポートも実施している。企業の探索にはセンターと連携している地元金融機関、M&A仲介会社、士業法人等からの支援があるほか、センターに直接譲受相談のある企業からも探している。また、連携先として民間プラットフォーマーも加わっており、令和2年度の事業引継ぎ支援センターの実績は相談者数11,686者、成約件数1,379件となっている。

 

(3)親族内承継支援
親族内承継をすることが決定し、センターが支援を必要と判断した場合、支援を行う。具体的には承継に関する課題や承継に向けてのスケジュールの見える化のために、外部専門家による事業承継計画策定の支援や助言を実施している。

 

(4)事業承継時の経営者保証解除支援
事業承継時に課題となる金融機関に差し入れている経営者保証に対して、「経営者保証ガイドライン」の特則に基づき、経営者保証の二重徴求の解除支援を実施している。具体的にはセンターの「事業承継時判断材料チェックシート」の条件を満たす中小企業に対して経営者保証コーディネーターが支援する。必要に応じて相談者と金融機関との交渉時に専門家を派遣することもできる。

 

 

2.事業承継・引継ぎのための手順について


(1)相談のタイミング
事業承継ガイドラインによれば、事業承継には5つのステップがある(図2参照)。少しでも疑問や相談ごとがあれば、いずれのステップでもセンターに相談できる。経営者の中には企業規模が小さいことや財務状態が赤字、債務超過であることを理由に相談を躊躇してしまう方がいるが、そういう状況でも成約した事例はあるので、ぜひご相談いただきたい。経営者からは「いつ、誰に相談したらよいかわからなかった」という声をいただくが、センターでは「なにから手を付けてよいかわからない」という事業承継の初期の段階から「第三者承継で相手先が決まっているが、やり方がわからない」というかなり交渉が進んだ段階まで、幅広く相談を受け付けている。また、後継者不在で悩んでいる経営者が第三者承継や廃業に気持ちが傾いている場合でも、センターへの相談を契機に、再度、親族内承継、役員・従業員承継の可能性を考えてもらうほか、経営者が最終的な事業承継方針を決定するためのサポートを行っている。

 

(2)顧問税理士との連携
顧問税理士は中小企業の経営者にとって一番身近な支援者で相談先である。顧問税理士は顧問先の相談に触れる機会も多いので、直接その中小企業を支援することはもちろん、センターと連携することもぜひ、ご検討いただきたい。例えば、顧問先の経営者がセンター訪問時に帯同する、事業承継計画策定に関与する、担い手ナビ等を含むM&A仲介支援等をするなどが考えられる。

 

 

3.相談窓口について、相談方法について


(1)各地の事業承継・引継ぎ支援センター
全国の都道府県に設置されているセンターにお気軽に直接ご連絡、ご相談いただきたい。ちなみに事業承継のご相談はセンシティブな内容を含むため、必ずご予約の上ご来所いただきたい。全国のセンターの連絡先は中小機構の「事業承継・引継ぎポータルサイト」(https://shoukei.smrj.go.jp/)などで探すことができる。また、ポータルサイトでは事業承継に関する様々な情報やセンターの業務内容、支援事例等について紹介している。

 

 

 

 

(2)構成機関の相談窓口
各道府県に組織されている「事業承継ネットワーク」は、地域金融機関、商工団体等が構成機関となっている。各所相談窓口への問い合わせ、並びにセンターへの紹介を依頼することも可能である。その際に「事業承継診断」を利用すると、現状のおおまかな方向性が認識できる。その上でセンターに相談すると、早期方針決定の手助けとなる。

 

(3)センターでの相談方法
センターでの相談方法は大きく2種類に分かれる。センターに相談する場合には、直接面談が基本である。この面談において、相談者の状況や意向を聞き取り、承継に向けての課題やニーズが整理できる。なお、相談者のお住まいがセンターから遠隔地の場合や、昨今の新型コロナの影響で直接面談が困難な場合には、電話やオンライン面談なども活用できるようになっている。また、構成機関の相談窓口経由でのご相談の場合には、まず、センターのエリアCOと面談していただいた上で、現状把握から課題の整理などを行っている。面談後は、センターのサブマネージャー等が担当し、相談者が決定した承継方針に基づき、外部専門家や登録機関等M&A支援機関を通じて事業承継完了までサポートしている。

 

4.終わりに


今回新たにスタートした「事業承継・引継ぎ支援センター」は事業承継に関する困りごとをワンストップでサポートする相談窓口となっている。「経営者は孤独」とよくいわれるが、事業承継に関する相談は特に他人に相談しづらいテーマであり、ひとりで悩んでいる経営者は数多いと思われる。まずは一度、センターに相談され、現状認識や問題、課題を棚卸することをお勧めする。その結果、自社の事業価値の再確認や適切な事業承継方法を選択し、貴重な経営資源を次世代に残すこと、地域のサプライチェーンとしての役割を維持することが重要である。そのサポートとしてぜひセンターをご活用いただきたい。

 

 

 

 

  • 2021.09.15
  • その他のお知らせ

M&A支援機関登録制度に係る登録ファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者の公表(中間報告)について【中小企業庁】

中小企業庁は、M&A支援機関登録制度に係る登録ファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者の公表(中間報告)をいたしました。

 

中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するため、M&A支援機関に係る登録制度を創設し、令和3年8月24日(火)より登録申請受付を開始し、令和3年9月6日(月)までに登録申請のあったファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者であって、事務局にて登録要件の確認ができたものについて、9月13日(月)に、中間結果として公表しました。

 

なお、今回のM&A支援機関登録制度の公募期間は令和3年9月21日(火)までとなっています。

 

 

令和3年9月6日までに登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)及び仲介業者(以下、「登録FA及び仲介業者」)は、全493件、うち法人は405件、個人事業主は88件でした。また、M&A支援機関の種類別(上位5種)は、M&A専門業者(仲介)が154件、M&A専門業者(FA)が117件、税理士が61件、公認会計士が43件、地方銀行が26件、となっています。

 

今後、今回のM&A支援機関登録制度の公募期間終了後(令和3年9月21日)、登録申請のあったファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者であって、事務局にて登録要件の確認ができたものについて、最終結果として9月下旬頃に公表し、また、中小企業者等が令和3年度事業承継・引継ぎ補助金の利用に際し、登録FA及び仲介業者の検索が可能なデータベースを支援機関登録制度事務局ホームページで10月上中旬頃を目途に公表することとなっています。

 

 

■詳細は下記サイト(経済産業省ウェブサイト)にてご確認ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2021/210913m_and_a.html

  • 2020.12.08
  • その他のお知らせ

「担い手探しナビ」の活用方法 ~税理士が主導する中小企業M&Aの有用ツール~

日本税理士会連合会(以下、日税連)が2018年10月より運営を開始した「担い手探しナビ」。

中小企業の一番の相談役であり関与先企業の実情も理解している顧問税理士が、関与先企業の承諾を得たうえで、案件登録や検索、案件への問合せ対応を進めていくのが本サイトの大きな特徴。税理士のみに利用を制限しているため、掲載を依頼する中小企業も安心して依頼できる。今回は、日本税理士会連合会 中小企業対策部長の瀬戸順一氏に、「担い手探しナビ」の利用状況や利用方法についてお話をお伺いしました。

 

関与先の事業承継を推進するためのプラットフォーム「担い手探しナビ」

――:「担い手探しナビ」とはどのような目的で運営を開始したサービスなのでしょうか。

 

瀬戸:今、我が国において中小企業の円滑な事業承継の実施が喫緊の課題となっていますが、日税連中小企業対策部では、2017年5月に「事業承継に係る取り組みについて」という文書を取りまとめまして、その中で、顧問税理士主導による事業承継を実現するための施策の検討・実施が必要であること、そして、その具体的な施策として、第一に事業承継に関する研修等の実施・充実、第二に事業承継に関する会員同士のネットワークの構築、第三に関係団体等との事業承継に係る連携を提言しました。

 

このうち第二の事業承継に関する会員同士のネットワークというのが、まさに現在の「担い手探しナビ」に当たりますが、中小企業等の事業承継において後継者不在が大きな課題となっていますので、全国の税理士が窓口役となり、狭い地域に制限することなく、関与先の事業承継を推進するためのプラットフォームを提供しようという狙いから、事業承継サイトの構築を検討することとなりました。

 

当時、2017年4月から北陸税理士会の管内で事業承継サイト「担い手探しナビ」の運用が始まっていましたので、この仕組みを参考にして、2018年10月に全国版の「担い手探しナビ」の運用を開始しました。

 

利用にあたっては、税理士であれば、利用申請していただくことでどなたでもご利用いただけるものとなっています。現在、全国で約6,200名(正確には10/23時点で6,153)の会員に担い手探しナビをご利用いただいていますが、今後は更に多くの会員にご利用いただき、積極的に活用いただくことで顧問税理士主導による円滑な事業承継支援を実現するための重要なプラットフォームとして引き続き運用していければと考えております。

 

 

 

顧問税理士が窓口となるため関与先にとって”安心”できるサービス

――:それでは、「担い手探しナビ」とはどのようなサービスなのでしょうか。また、他のM&Aマッチングサイトがいくつもありますが、それらのサイトとの違いはありますか。

 

瀬戸:担い手探しナビは、顧問税理士が窓口となって、関与先企業のマッチングを図るためのプラットフォームであり、税理士であれば利用申請することで無料で利用することができるものとなっています。

 

関与先企業が後継者難で困っている場合に、無料という観点から気軽に案件を登録、探索してみるなどの提案ができることはメリットの1つかと思います。

 

また、日々顧問税理士という立場で中小企業等に伴走し支援しているからこそ、企業の内情は当然熟知しておりますので、案件登録する場合なども、経営者が一から細かく事業内容等の説明や財務書類を用意する必要もなく、経営者自身で民間企業等へ依頼することに比べると、非常に簡易に後継者探索をできることもメリットだと考えています。

 

担い手探しナビの利用は税理士に限定されておりますので、サイト内の情報の秘匿性も高く、必ず税理士が窓口として存在している点でも、安心できるものになっていると思います。

 

 

 

トップページより案件登録や検索も簡単に。気になる案件にはメッセージを。

――:「担い手探しナビ」の使い方を具体的に教えていただけますか。

 

瀬戸:関与先企業が「担い手探しナビ」への登録を希望する場合、税理士がサイトに掲載することについての「確認書」を取得し、経営者と相談の上、サイトにノンネーム情報(※1)で案件を登録します。企業名は表示されず、簡易な情報で登録することができます。登録できる案件について、個人や法人、企業の規模、承継までの希望期間といった制限などもありません。

 

※1 ノンネーム情報:情報漏洩リスクを踏まえ、社名が特定されない範囲で対象会社の情報を纏めた情報。

 

 

案件の登録にあたっては、担い手探しナビトップページから簡単に行うことができます。[案件を登録]を選択すると案件作成ページが開きますので、関与先企業と相談のうえ各項目を記載いただきます。登録時の必須項目は、区分(譲渡し/譲受け)、案件タイトル、案件詳細、業種、企業の地域のみで、その他の項目は任意で記載することが可能です。

 

 

 

 

また、案件の検索も、案件の登録同様にトップページから区分や業種、企業の地域といった条件を指定して検索することが可能となっています。

 

 

 

 

 

その中で、気になる案件が見つかれば税理士から関与先企業に提案・相談をし、案件を登録した税理士に連絡を取りたいとなった場合には、「担い手探しナビ」のサイト内からメッセージを送ることができるようになっています。こうして顧問税理士が窓口となり、関与先企業同士のマッチングを図ります。

 

 

 

譲渡案件93件、譲受案件118件が登録。約6,200名の税理士が利用登録。

――:「担い手探しナビ」に登録されている案件数などの利用状況を教えていただけますでしょうか。

 

瀬戸:担い手探しナビには、2020年10月27日現在、譲渡し93件、譲受け118件の案件が登録されています。あくまでも日税連では会員が関与先企業のマッチング支援するための場を提供しているにすぎず、案件の詳細まで関知しているものではありませんが、業種、地域ともに全国幅広く登録されているものと思われます。

 

担い手探しナビに利用登録している会員の数は、先に申し上げました通り、全国で約6,200名(正確には10/23時点で6,153)です。案件に対する問合せは、案件を登録した税理士へ直接連絡がいくようなスキームとなっておりますので、日税連では分かりかねますが、担い手探しナビ内での成約件数は、北陸税理士会が独自で運用していた頃から合わせると、これまで計9件の成約があったと把握しています。

 

ただ、これは案件を登録した税理士自身が、サイト内で案件の進行状況のステータスを「成約済」とした件数のため、成約に至るまでの流れや詳細などは分かりません。

 

 

 

「担い手探しナビ」の紹介が、事業承継について考える契機にも。

――:「担い手探しナビ」をご利用されている税理士の方からはどのような反応がありましたでしょうか。

 

瀬戸:個別の反応までは中々分からないのですが、成約案件のうち1件の成約事例については、私が個人的に繋がりのある税理士が担当していた案件だったので内容をお聞きすることができました。

 

この案件は「担い手探しナビ」の中でマッチングしたのではなく、「担い手探しナビ」に案件を登録したものの、最終的には、その税理士の別の関与先企業へ事業承継が行われたという事例です。とはいえ、税理士から関与先企業に対して「担い手探しナビ」を紹介したことで、経営者が自社の将来についてどのように考えているか、どうしたいかを対話するキッカケとなり、まさに「担い手探しナビ」への案件の登録が、事業承継の掘り起こしに繋がったと聞いています。

 

日税連としては、顧問税理士主導による中小企業の事業承継の推進を目的としておりますので、このようなサイトの活用の仕方も非常に有効かつ素晴らしい事例だと考えています。昨年(2019年)11月には、その税理士にご協力いただき、日税連中小企業対策部が実施した研修会の場で事例を紹介していただきましたが、生の事例ということで非常に好評でした。

 

 

――:「担い手探しナビ」を利用するにあたっての注意点などはありますでしょうか。

 

瀬戸:「担い手探しナビ」は、あくまでも税理士が関与先企業の後継者探索を支援するための仕組みになりますので、案件の交渉などは税理士が個別に対応することとなります。日税連や税理士会では、税理士が事業承継支援に際して他の専門家から支援を受けることができるよう、事業引継ぎ支援センター、中小企業再生支援協議会、弁護士会といった地域支援機関との連携を進めているところです。

 

 

 

まずは、所属の税理士会専用ページ方「利用申請」を。

――:「担い手探しナビ」の利用を開始するにはどのような手続きが必要でしょうか。

 

瀬戸:所属の税理士会会員専用ページから利用申請していただく必要があります。その際、税理士証票に記載されている証票番号と登録番号、ご自身のメールアドレスを入力すると、「担い手探しナビ」の初回ログイン時に必要となる仮パスワードがすぐに発行されます。

 

 

 

担い手探しナビは税理士であれば無料で利用することができますので、譲渡しや譲受けの案件がない方でも、まずは情報収集という観点からサイトをご覧になっていただければと思います。

 

 

 

「担い手探しナビ」で事業承継支援のご準備を進めてみはいかがでしょうか。

――:最後に、税理士の方々へのメッセージをお願いします。

 

瀬戸:現時点では関与先企業に事業承継のニーズがないため、自分には関係ないと思われる方もいるかもしれませんが、事業承継には少なくとも5年程度はかかると言われており、事前に税理士が「担い手探しナビ」による支援も視野に入れて利用申込をしておくことは、関与先企業に提供できる支援の種類を増やすことにも繋がります。まずは一度、「担い手探しナビ」をご覧いただき、税理士が主導して中小企業の事業承継を支援していくための準備をしてみてはいかがでしょうか。

 

特に、「担い手探しナビ」は、利用者が増えるほどサイト内に集まる案件も増え、関与先企業同士のマッチングの可能性も高まってきます。個人的には、今年度中に1万件の利用申込みを目指したいと考えていますが、まだこのサイトの存在自体を知らないという方も少なくありません。税理士証票さえ用意すればすぐに利用できますので、是非、多くの方々に申込みをしていただければと思います。

 

 

――:ありがとうございました。

 

 

 

 

[取材先概要]

日本税理士会連合会 中小企業対策部

所在地:東京都品川区大崎1-11-8 日本税理士会館8階

URL:https://www.nichizeiren.or.jp/

 

 

 

 

 

 


[掲載希望募集中]

ZEIKEN LINKSでは、インタビュー記事の掲載を希望するM&A専門会社(M&A仲介会社、M&Aアドバイサリー会社、M&Aマッチングサイト、税理士法人、弁護士法人、金融機関など)を募集しております。

ご希望の会社様は下記アドレスまで、お気軽にお問合せください。

お問合せ先:links@zeiken.co.jp

 


 

  • 2020.09.04
  • その他のお知らせ

具体例をマンガで解説!「中小M&Aハンドブック」を策定【経済産業省】

中小企業庁は、中小企業を対象とするM&A(中小M&A)を分かりやすく伝えることを目的とした「中小M&Aハンドブック」を策定しました。マンガを用いてわかりやすく解説しています。

 

〈目次〉

1.中小企業でもM&Aが可能です

2.M&Aには早期判断が重要

3.M&Aの流れについて

4.M&A専門業者について

5.M&Aプラットフォームについて

6.相談窓口

 

■詳細は下記サイト(経済産業省ウェブサイト)にてご確認ください。

https://www.meti.go.jp/press/2020/09/20200904001/20200904001.html

  • 2020.06.23
  • その他のお知らせ

第三者承継支援に関する最新動向と 税理士、公認会計士等へのビジネスチャンスの拡大【独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業引継ぎ支援全国本部より】

独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業引継ぎ支援全国本部

プロジェクトマネージャー 宇野俊英

プロジェクトマネージャー 上原久和

 

1.はじめに


後継者未定・不在企業の課題解決策として第三者承継は昨今経営者、支援者に認知されつつあります。しかしながら、親族内承継に比し、これまでの対策では不十分な点があったため、経済産業省は黒字廃業を雇用等の経営資源を次世代の意欲のある経営者に承継・集約することを目的に、昨年12月に「第三者承継支援総合パッケージ」を策定しました。

 

この中で、官民の支援機関が一体となり、今後10年間で60万者の第三者承継の実現を目指すことが示されました。また、経済産業省は「事業引継ぎガイドライン」を改訂し、経営者が適正な仲介業者・手数料水準を見極めるための指針を整備することで、第三者承継を経営者の身近な選択肢とすることを企図しています。

 

上記パッケージに基づき、本年3月に同ガイドラインを全面改訂し、名称も新たに「中小M&Aガイドライン」として制定したところです。

 

 

2.税理士・公認会計士へのメッセージ(中小M&A ガイドラインを通じて)


今回の中小M&Aガイドライン制定の目的は、「中小企業経営者と支援機関の双方に対し、中小企業M&Aの適切な進め方を提示する」ことにあります。後継者不在企業にとって、第三者承継(M&A)は重要な事業承継の選択肢であり、事業承継の一つの手法として認識が広がり始めています。

 

しかしながら、中小企業者全体で見れば、いまだM&Aにより社外の第三者が引継ぐことに抵抗感がある経営者は多く、また実際に進めようと思ってもM&Aに対する知見、経験もない場合も多いことから、結果として引継ぎが出来ずに廃業に至ってしまうケースは多いと考えられます。

 

今回制定した本ガイドラインでは、M&Aに関する知見、経験がない後継者不在の中小企業経営者にM&Aを適切な形で進めるための手引きを示すことで、彼らの背中を押し、これを支援する士業等の関係者がそれぞれの特色や能力を発揮し、中小企業のM&Aを適切にサポートするための基本的な事項を示しています。

 

第1章では中小企業経営者にM&Aの基本的な流れや留意点だけではなく、参考事例として失敗例を含めた18事例を紹介しています。紹介事例は必ずしも、それらの事例により、中小M&Aのすべてが類型化されるものではありませんが、具体的なイメージを中小企業経営者に持ってもらう上で有意義なものと思います。また近年M&A支援会社が増えているなか、中小企業との間で利益相反になるリスクやM&A支援会社の手数料に関連したトラブルが増加しています。これらのリスクに関する説明や手数料についての一般的な考え方を示すことで、中小企業経営者の不安を払拭することとともに、M&A支援会社を含めた支援機関に対してこれらの考え方の遵守を求めています。

 

今回の本ガイドラインの制定にあたり、税理士・公認会計士の皆さまにはこれまで以上に後継者不在の中小企業を積極的にサポートして頂きたいと思っております。

 

特に顧問先が後継者不在であったり、M&Aを検討している場合には、第2章の税理士・公認会計士の箇所のみならず、本ガイドライン全体をご一読頂き、積極的にサポートして頂きますようお願い申し上げます。このサポートを通じてより多くの後継者不在の中小企業を支援して頂ければ、望まない廃業を防ぐことも出来ると考えております。

 

また、税理士の方は、日本税理士連合会が運用する「担い手探しナビ」を活用して相手先候補を探索することも可能でありますし、各地の「事業引継ぎ支援センター」に顧問先や相談者と同行して相談を受ければ、M&Aに関する適切なサポートを受けることも可能になります。本ガイドラインとともに合わせて、ぜひ、ご活用頂きたくお願い申し上げます。

 

 

3.顧問先等への税理士・公認会計士の支援メニューとして求められるもの


本ガイドラインでは、M&Aに関する各支援機関に求められる役割/支援する際の留意点などを提示しています。特に税理士、公認会計士を中心とした士業専門家の皆さまには顧問先等に対する伴走支援のメニューとしての活用、活躍が大いに期待されます。

 

寄稿時には新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下ですが、譲渡側の経営者の業績的、心理的な影響により黒字であっても、後継者不在に伴う第三者承継が増加することが想定されます。一方、譲受側では部品等欠品等によるサプライチェーンの停滞を経験した事業者から経営戦略、特にBCPの観点から経営資源の承継を企図する事業者の増加が見込まれます。これらにより中小M&A推進が加速化されることが想定されます。まだまだ不足している支援者の役割、そしてビジネスチャンスが更に拡がることに論を待ちません。是非自らの支援メニューの拡大と差別化になることに加え、地域の産業衰退を防止する観点から一層の参入、支援推進をお願い申し上げます。

 

 

 

 

 


 

[関連するお知らせ]

■事業承継における税理士への期待と役割 ~事業承継の現場から、お願いしたいこと~【独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業引継ぎ支援全国本部より】

  • 2020.04.01
  • その他のお知らせ

「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン」を策定【経済産業省】

経済産業省は、中小企業におけるM&Aの更なる促進のため、平成27年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン」を策定しました。

 

■詳細は下記サイト(経済産業省ウェブサイト)にてご確認ください。

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001.html

 

■資料詳細は下記サイト(経済産業省ウェブサイト)にてご確認ください。

・中小M&Aガイドライン~第三者への円滑な事業引継ぎに向けて~(PDF形式:1,763KB)

・中小M&Aガイドライン参考資料(PDF形式:1,522KB) 

・概要資料(PDF形式:1,738KB)

  • 2019.12.26
  • その他のお知らせ

事業承継における税理士への期待と役割 ~事業承継の現場から、お願いしたいこと~【独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業引継ぎ支援全国本部より】

独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業引継ぎ支援全国本部

プロジェクトマネージャー 宇野俊英

 

1.高まる税理士への期待


経営者が、事業承継を相談した専門家として、まず上がるのが「公認会計士・税理士」です。2019年版中小企業白書によると、事業承継した経営者の実に72.5%、廃業した経営者の87.6%が相談をしています。

 

政府は今後10年間を事業承継の集中支援期間とし、後継者選定状況に合わせ、税制措置等による支援、後継者探しのためのマッチング支援等の支援を実施していきます。こうした動きからも、経営者の一番身近な相談者である税理士の皆さまへの事業承継支援の担い手としての期待は、ますます大きくなっています。

 

2.税理士の皆さまにお願いしたいこと


(1)税理士の役割

では、経営者は「公認会計士・税理士」にどのような相談をしているのでしょうか。2019年版中小企業白書によると、事業承継に関する相談内容で役に立ったことは①引退するまでの手段や計画を整理できた(50.7%)、②事業継続の可否を決定することができた(15.0%)、③税の手段を知りことができた(14.3%)となっています。これらを見ると税のことだけでなく、経営者が引退するまでのプロセスや今後の事業継続に関すること等、内容は多岐に亘っており、経営全般に係るコンサルティングの役割が期待されていることがうかがえます。

 

(2)事業承継への取り組み

後継者不在企業を放置しておけば、経営者は廃業に考えが傾きます。支援者からは現経営者に事業承継を切り出すことは引退を促すように聞こえがちという思いから、「事業承継はセンシティブで、簡単に切り出せない」という声をよく聞きます。

 

しかしながら、後継者育成を含めた事業承継は一般的に5年~10年は必要といわれます。是非、日ごろの関係性を活かし「早期の準備」に向けた、アドバイスをお願いいたします。それが、顧問先の持続的な成長につながります。

 

また、税理士の皆さまにとって、M&A領域をご自身の支援メニューに加えることはビジネスチャンスです。例えば、事業承継支援のみならず、成長意欲が高い顧問先に後継者不在企業とのM&Aを提案することは顧問先の成長促進に寄与することとなりますので、ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。

 

 

3.国の支援策と税理士の皆さまへのお願い


(1)事業承継ネットワーク

事業承継ネットワークは、地方自治体等と連携し、経営者に事業承継への「気付き」を促すもので、「プッシュ型」の「事業承継診断」により、ニーズを堀り起こし、適切な支援機関に取り次ぐと共に、地域の専門家による支援も実施します。

 

(2)事業引継ぎ支援センターとその活用

事業引継ぎ支援センター(以下「センター」という)は各都道府県に設置された国の支援機関です。センターでは、事業承継全般の相談を受けますが、特に役員・従業員承継や第三者承継を中心に支援する課題解決機関です。税理士の皆さまには是非、次の3つの局面での相互補完をお願いたします。

 

①後継者未定・不在企業のご紹介

まずは、後継者未定・不在企業のセンターへのご紹介をお願いいたします。該当する顧問先等をぜひ、ご紹介いただき、連携して課題解決に取り組みたいと思います。

②外部専門家もしくはマッチングコーディネーターとしての実務支援

次に、センターに外部専門家もしくはマッチングコーディネーター(以下「MC」という)として登録、M&A事業に参入し、事業引継ぎにご支援いただきたいと思います。

 

それぞれの役割ですが、外部専門家はM&Aフローの財務や法務等専門部分を支援し、MCは候補先探索を含めたM&Aフロー全般を支援します。登録当初はセンターと連携して支援を開始しますので、参入障壁は高くありません。

 

また、センターでは、マッチングの相手先探索のためNNDB(ノンネームデータベース)をインターネット上で提供し、全国のセンター並びに登録機関の登録案件から探索できるツールとして活用しています。

③PMI

最後にM&A完了後のPMIでの支援のお願いです。M&Aに関しては、クロージング後の支援が肝心です。センターは人員も限られ、対応が困難な状況ですので、是非、この分野でのご支援をお願いたします。

 

 

4.終わりに


事業承継は企業にとって重要な経営課題ですが、経営者が行動を開始するまでには時間的、心理的な壁が存在します。また、後継者育成には相応の時間が必要であり、税務、会計、法務そして目に見えない知的資産等、承継には様々な視点からの検討・支援が必要です。税理士の皆さまには顧問先だけでなく、後継者未定・不在企業が「望まない廃業」を選択しないよう、ご支援をお願いいたします。

 

そして、税理士の皆さまにはM&A事業への参入等による支援領域の拡大と事業承継ネットワークやセンターの利活用により、企業の新陳代謝を促していただきますよう重ねてお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

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■第三者承継支援に関する最新動向と 税理士、公認会計士等へのビジネスチャンスの拡大【独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業引継ぎ支援全国本部より】