相続税の特例措置の適用を受けるためには、その相続に係る被相続人が「特例被相続人」に該当する必要があります。以下、特例被相続人に該当するためにそのすべてを満たさなければならない要件を列挙します。

特例被相続人とは、「この特例の対象となりうる株式（対象株式）を有していた個人で、政令(租税特別措置法施行令)で定めるもの」をいいます(措法70の7の6①)。
特例被相続人の具体的な要件は、政令40条の8の6第１項で定められています。そこでは、特例被相続人を「次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者」としていて、1号と2号の2つの「場合」を定めているので、まず、対象株式を後継者が相続または遺贈（以下「相続等」という。）により取得する時に、どちらの‘場合’に当たるかを判断する必要があります。1号は2号より先に出てくるのに「次号に掲げる場合以外の場合」となっているので、先に「次号」＝2号の場合を見にいかなければなりません。2号は、この特例の適用を受けようとする相続の開始の直前に、次の(1)、(2)または(3)のいずれかがいる場合、となっているので、(1)、(2)または(3)の者(のいずれか)が既にいる状況で相続が開始している場合(の被相続人)は、2号に掲げる場合に該当する、ということです。そして、2号は、その場合の「特例被相続人」を単に対象株式を有していた個人としているので、代表権を有していたかどうかなどは不問で、結局、株主ならだれでもOKということです。

(1)対象株式について、すでに贈与税の特例措置、相続税の特例措置またはみなし相続の特例措置の適用を受けている者
(2)政令40条の8の5第1項（以下「贈与税政令」）1号に定める者から、贈与税の特例措置の適用に係る贈与により株式を取得している者（(1)の者を除く。）

この「1号に定める者」とは、‥‥‥