事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。今回は、「分割協議により遺言と異なる者が財産を取得した場合の贈与課税の有無」についてです。
※このページでは「質問」のみご紹介いたします(回答は本文ページにてご覧ください)
[質問]
次の事実が認められる場合、相続人乙から相続人丙へ贈与があったものと考えられるでしょうか。
①被相続人甲は平成30年1月に死亡し、公正証書遺言を残していました。
②遺言に従い、平成30年4月頃から各種財産の処分や登記、名義変更が開始されました。
③平成30年7月頃、遺言書に記載のない財産Aの存在が発覚しました。
④遺言書に記載のない財産について、遺言書には下記の通り記載されていました。
『遺言者は上記以外の一切の財産を、相続人乙に相続させる』
⑤しかし、相続人間の話し合いにより、財産Aは相続人丙が取得する旨の分割協議書を締結し、丙が取得しました。
結果、遺言に従うと乙が取得すべきである財産を、分割協議書の締結により丙が取得することになりましたが、この場合、相続人乙から相続人丙へ贈与があったものと考えられるのでしょうか。