2021.12.02

法人の解散・清算に伴う役員退職金の損金算入時期【税理士のための税務事例解説】

事業承継やM&Aに関する税務事例について、国税OB税理士が解説する事例研究シリーズです。

今回は、「法人の解散・清算に伴う役員退職金の損金算入時期」についてです。

 

 

※このページでは「質問」のみご紹介いたします(回答は本文ページにてご覧ください)

 

 

 

[質問]

㈱Aは建設業を営む青色申告法人です(売上高7千万円、役員は代表取締役甲 のみ、従業員3名、課税所得800万円、税務上の繰越欠損金額なし、8月決算)。

 

㈱Aの代表取締役甲は急病により余命1年と宣告されました。よって、甲は令和3年8月31日に㈱Aの解散登記、同10月31日に清算結了登記を行い、廃業することを決定しました。

 

甲は清算人に就任して、清算結了までの解散事務を行う予定です。
また、㈱Aは甲に対して退職金として800万円を支払う予定です。
※役員報酬月額70万円×勤続年数6年×功績倍率2倍=840万円

 

 

 

(質問事項)
この場合、解散の決議・清算人の選任を行う臨時株主総会(8月31日)におい て、併せて役員退職金(800万円)の支給決議を行い、直ちに支給する場合には、不相当に高額な場合を除き、解散事業年度の損金の額に算入することになる考えますが貴職のご見解をおたずねします。
※甲の入院にともない500万円の保険金が当期に㈱Aに入金されたことに対する税務対策として解散事業年度に退職金を支払う目的があります。

 

 

(参考資料)
所得税基本通達 30-2(6)
(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの)
30-2 引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われ る給与のうち、次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当 等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に 支払われるものは、30-1 にかかわらず、退職手当等とする。
(1)~(5) 省略
(6) 法人が解散した場合において引き続き役員又は使用人として清算事務に従 事する者に対し、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与