財務デューディリジェンスを⾏っても粉飾決算を⾒抜けない可能性があるため、M&Aの契約書に表明保証条項を設けるのが⼀般的である。
表明保証とは、M&Aの契約に際して売主が「事実として開⽰した内容が真実であり、かつ、正確であること」を表明し、買主に対して保証することである。もし表明保証した内容が事実ではなかった場合には、買主が被った経済的な損失を売主が損害賠償することとなる。
このような表明保証は売主にとって⼀⾒不利に⾒えるが、開⽰した資料に⽋落があったり、過去においてやっておかなければならなかった法的⼿続きが⾏われていなかった場合でも、表明保証することで買主が納得して取引できるようになるため、表明保証を設けることは売主にとっても決してマイナスではない。
したがって、表明保証は、M&A成⽴後に粉飾決算が明らかになり、結果として実態より⾼く買収した場合に、損害賠償責任を売主に課すことにより、売買時点における正しい財務内容を担保させることになる。
解説:野村昌弘(公認会計士・税理士)
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