M&Aにおいて、対象会社に粉飾決算が発覚した場合に最も懸念されるのは、税務リスクである。
粉飾決算により利益を仮装し過⼤に納税していても、過⼤納税分全額について還付を受けられることは難しい場合が多い。したがって、粉飾決算により利益を過⼤に計上した会社はその粉飾決算を是正しても、納めた税⾦の還付を全額受けられない場合、納税負担が⼤きくなってしまう。
逆に、利益を過少に計上していると、追徴課税を受けるリスクがある。その結果、M&Aにおいて、このような税務リスクを残したまま買主が株式譲渡により会社を買収することは、通常選択しにくく、事業譲渡の⽅法によらざるを得ないと考えられる。
解説:野村昌弘(公認会計士・税理士)
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