事業再生において対象債権者から金融支援を受ける前提として、経営者が責任をとることが求められる。私的整理ガイドラインではこれについて、「対象債権者の債権放棄を受けるときは、債権放棄を受ける企業の経営者は、退任することを原則とする」と規定されている。一方で、中小企業再生支援協議会スキームにおいては、「対象債権者に対して金融支援を要請する場合には、経営者責任の明確化を図る内容とする」とされ、債権放棄に限定されておらず、退任の原則を規定していない。
このような状況下で、中小企業の再生を考える上では、上記のような形式的な考え方が適切であるとは言えず、実態にもそぐわない。よって、経営者責任は、会社を窮境に至らせた責任が経営者にあるか否か、事業再生計画成立後の再生企業の経営にその人物が必要不可欠か等を総合的に勘案して決定されることが多い。
解説:氏家洋輔(公認会計士・中小企業診断士)