資本資産評価モデルは完全市場を前提としており、現実には資本資産評価モデルにより推計される利回りと実際の利回りが乖離する現象が多く発⽣している。時価総額別に経験的リスクリターンを⽐べた結果、時価総額が⼩さい企業の⽅が、⼤きい企業よりもリスクプレミアムが⼤きいという事実が広く認知されている。これをサイズリスクプレミアムという。
なお、⾮上場株式の評価に対して⾮流動性ディスカウントを適⽤する場合がある。これは、⾮上場株式の流動性の低さに起因する価値の低下を織り込むことにあるが、⾮流動ディスカウントは、売却に係るコスト負担を株式価値から控除する交渉の結果から⽣じるものであり、理論的な算定によって確定されるものではない。実務上、財産評価基本通達における類似業種⽐準⽅式で⼤会社が30%とされていることから、30%のディスカウントを採⽤する事例が多いと考えられる。
解説:野村昌弘(公認会計士・税理士)